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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-12
(45)【発行日】2025-03-21
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/10 20060101AFI20250313BHJP
   B65D 43/06 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
B65D43/10
B65D43/06 200
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020117463
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022014939
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】517220689
【氏名又は名称】株式会社アドマシンシステム
(73)【特許権者】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】正木 聖一
(72)【発明者】
【氏名】西垣 次朗
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-260560(JP,A)
【文献】特開2009-202937(JP,A)
【文献】特開2017-137091(JP,A)
【文献】特開2012-071897(JP,A)
【文献】特開2000-226071(JP,A)
【文献】特開2020-093845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/10
B65D 43/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸条を備えた容器本体と、凹条を備えた蓋体と、を備え、
前記容器本体の凸条に前記蓋体の凹条を重ね合わせて互いに接着させる包装用容器であって、
前記容器本体は、前記凸条の外側に突き出ると共に、前記凸条より低い位置に設けられた容器側嵌合段部を備え、
前記蓋体は、前記凹条の外側に突き出ると共に、前記凹条より低い位置に設けられた蓋体側嵌合段部を備え、
前記容器側嵌合段部と前記蓋体側嵌合段部は、互いに接着されておらず、互いに嵌合可能であり、
前記凸条の上壁は平坦面であり、前記凹条と重ねられて接着され、
前記容器側嵌合段部は、外壁に、平面視で内側へ窪んだ容器側嵌合部を備え、
前記蓋体側嵌合段部は、外壁に、平面視で内側へ窪んだ蓋体側嵌合部を備え、前記容器側嵌合部と前記蓋体側嵌合部は、互いに嵌合する、ことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記容器側嵌合段部は、外側に平面状の容器側摘まみ部を備え、
前記蓋体側嵌合段部は、外側に平面状の蓋体側摘まみ部を備えることを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記包装用容器は、平面視多角形をしており、
前記容器側嵌合段部と前記蓋体側嵌合段部は、前記包装用容器の少なくとも一つの隅部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、容器本体と蓋体とからなる包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、惣菜等の食品を収容する容器本体と、当該容器本体に取り付け可能な蓋体とからなる包装用容器が、スーパーやコンビニエンスストア等で使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1の包装用容器は、凸条を備えた容器本体と、凹条を備えた蓋体と、を備え、容器本体の凸条に蓋体の凹条を重ね合わせて、熱圧着等により互いに接着させる包装用容器であり、容器内に収容された食品の液体等が外部に漏れることがなく、また、長期の保存も行える。そして、容器本体の凸条の内側と、蓋体の凹条の内側には、互いに嵌合可能な嵌合部が設けられているため、蓋体を外して食品を利用した後でも、嵌合部によって、再び蓋体を容器本体に嵌合させることができる。
【0004】
ただ、特許文献1の包装用容器では、高い密封性を備えるために、容器本体の凸条に蓋体の凹条を重ね合わせて、熱圧着等により互いに強固に接着させているから、蓋体を取り外す際に比較的大きな力が必要となる。さらに、大きな力を加えた部分(例えば、外縁のフランジなど)が変形してしまい、蓋体を容器本体に再び嵌合させることが難しく、再封性が低下する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5041408号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、軽い力で蓋体を取り外すことができると共に、良好な再封性を備えた包装用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る包装用容器は、凸条を備えた容器本体と、凹条を備えた蓋体と、を備え、前記容器本体の凸条に前記蓋体の凹条を重ね合わせて互いに接着させる包装用容器であって、前記容器本体は、前記凸条の外側に突き出ると共に、前記凸条より低い位置に設けられた容器側嵌合段部を備え、前記蓋体は、前記凹条の外側に突き出ると共に、前記凹条より低い位置に設けられた蓋体側嵌合段部を備え、前記容器側嵌合段部と前記蓋体側嵌合段部は、互いに接着されておらず、互いに嵌合可能であり、前記凸条の上壁は平坦面であり、前記凹条と重ねられて接着される、ことを特徴とする。
【0008】
上記特徴によれば、蓋体を引き上げて取り外す際に、まず、蓋体側嵌合段部と容器側嵌合段部との嵌合が外れ、その後、てこの原理(第2種)によって、凹条と凸条との接着を軽い力で引きはがしてゆくことができる。その結果、包装用容器は、凹条と凸条との接着により高い密封性を備えていても、軽い力で蓋体を取り外すことが出来るのである。また、軽い力で蓋体を取り外すことが出来るため、蓋体を取り外した時の力によって包装用容器の外縁部が変形することを防ぐことができ、包装用容器の再封性が良好となるのである。さらに、蓋体側嵌合段部と容器側嵌合段部は、凹条及び凸条よりも低い位置に設けられているので、凹条及び凸条の外側は階段状になるため強度が増して、変形しにくくなり、蓋体を取り外した時の力によって包装用容器の外縁部が変形することを効果的に防ぐことができ、包装用容器の再封性が良好となるのである。
【0009】
さらに、本願発明の請求項2に係る包装用容器は、前記容器側嵌合段部は、外側に平面状の容器側摘まみ部を備え、前記蓋体側嵌合段部は、外側に平面状の蓋体側摘まみ部を備えることを特徴とする。
【0010】
上記特徴によれば、蓋体側摘まみ部及び容器側摘まみ部を指で摘まんで、蓋体を容器本体から取り外しやすい。
【0011】
さらに、本願発明の請求項に係る包装用容器は、前記容器側嵌合段部は、外壁に、平面視で内側へ窪んだ容器側嵌合部を備え、前記蓋体側嵌合段部は、外壁に、平面視で内側へ窪んだ蓋体側嵌合部を備え、前記容器側嵌合部と前記蓋体側嵌合部は、互いに嵌合することを特徴とする。
【0012】
上記特徴によれば、蓋体側嵌合段部と容器側嵌合段部とがよりしっかりと嵌合できることから、包装用容器の再封性が更に良好になるのである。
【0013】
さらに、本願発明の請求項に係る包装用容器は、前記包装用容器は、平面視多角形をしており、前記容器側嵌合段部と前記蓋体側嵌合段部は、前記包装用容器の少なくとも一つの隅部に設けられていることを特徴とする。
【0014】
上記特徴によれば、平面視多角形の包装用容器の隅部に、蓋体を取り外す際の力を集中させて、蓋体をより簡単に取り外すことができる。また、蓋体を再度取り付けた際は、包装用容器の隅部で、蓋体側嵌合段部と容器側嵌合段部とがしっかりと嵌合するので、包装用容器の密閉性が良好である。
【発明の効果】
【0015】
本願発明の包装用容器は、軽い力で蓋体を取り外すことができると共に、良好な再封性を備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は、本願発明の包装用容器の蓋体の平面図、(b)は蓋体の側面図、(c)はA-A端面図である。
図2】(a)は、本願発明の包装用容器の容器本体の平面図、(b)は容器本体の側面図、(c)はB-B端面図である。
図3】(a)は、本願発明の包装用容器の平面図、(b)は包装用容器の側面図、(c)はC-C端面図である。
図4】(a)は、本願発明の包装用容器を開封する際の蓋体側嵌合段部周辺を拡大した平面図、(b)は、包装用容器の蓋体側嵌合段部周辺を拡大した側面図である。
図5図4(a)のD-D端面図である。
【符号の説明】
【0017】
100 蓋体
150 凹条
160 蓋体側嵌合段部
200 容器本体
250 凸条
260 容器側嵌合段部
300 包装用容器
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本願発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「上方」とは、包装用容器の容器本体の開口面を上にして水平面上に載置した際に、鉛直方向における上方に向かう方向のことであり、「下方」とは鉛直方向における下方に向かう方向のことである。
【0019】
まず、図1には、本願発明の蓋体100を示す。なお、図1(a)は蓋体100の平面図、図1(b)は蓋体100の側面図、図1(c)はA-A端面図である。
【0020】
図1に示すように、蓋体100は、四隅に隅部110を備えた平面視略四角形状をしており、平坦な天板120と、当該天板120の縁部121から上方へ向けて連続する側壁130と、当該側壁130から外側へ延出する平坦な上面140と、上面140から上方へ突出する凹条150とを備える。そして、側壁130、上面140、及び凹条150は、蓋体100の周方向へ全周にわたり連続または断続して設けられている。なお、蓋体100は平面視略四角形となっているが、これに限定されず、平面視略多角形、平面視略円形、平面視略楕円形等、任意の形状とすることができる。
【0021】
また、凹条150は、相対する内壁151と外壁152と、内壁151と外壁152を連結する上壁153によって、上方へ凸状に形成され、その内側が凹状となっている。そして、凹条150の内側、すなわち、内壁151と外壁152と上壁153で囲まれた溝154に、後述する容器本体の凸条が重ねられて、両者は接着される。また、凹条150は、蓋体100の周方向へわたり環状に延出しており、後述する容器本体の環状の凸条と全周にわたり重なるように構成されている。なお、凹条150は、蓋体100の周方向へわたり環状に連続して形成されているが、これに限定されず、蓋体100の周方向に部分的に形成してもよい。
【0022】
また、隅部110は、凹条150の外側に突き出ると共に、凹条150より下方の低い位置に設けられた蓋体側嵌合段部160を備えている。具体的には、この蓋体側嵌合段部160は、凹条150の上壁153より低い位置に設けられ、外側へ延出する平坦な上壁161と、上壁161から下方へ延出する外壁162とを備える。そして、蓋体側嵌合段部160は外側へ突き出ているので、蓋体側嵌合段部160の内側164は側方へ窪んで凹状となっており、後述する、容器本体の容器側嵌合段部が内側に嵌合できるようになっている。さらに、外壁162の略中央は、内側に窪んだ蓋体側嵌合部163となっており、後述する容器本体の容器側嵌合段部に設けられた容器側嵌合部と嵌合できるようになっている。また、蓋体側嵌合段部160は、外壁162の下端から外側へ延出する平面状の蓋体側摘まみ部170を備える。
【0023】
なお、蓋体側嵌合段部160は、上壁161と外壁162を備えた形状をしているので、蓋体側嵌合段部160自体の強度も強く変形しにくい。また、蓋体側嵌合段部160は、平面視で山が二つ並んだような形状をしているが、これに限定されず、凹条150の外側に突き出ると共に、凹条150より低い位置に設けられ、後述する容器本体の容器側嵌合段部が嵌合できるのであれば、任意の形状であってもよい。また、蓋体側嵌合段部160は、蓋体100の4つの全ての隅部110に設けられているが、これに限定されず、蓋体側嵌合段部160は、少なくとも一つの隅部110に設けてもよい。さらに、蓋体側嵌合段部160は隅部110に設けられているが、これに限定されず、蓋体100の外縁部の任意の箇所に設けてもよい。
【0024】
次に、図2には、本願発明の蓋体100によって被蓋される容器本体200を示す。なお、図2(a)は容器本体200の平面図、図2(b)は容器本体200の側面図、図2(c)はB-B端面図である。
【0025】
図2に示すように、容器本体200は、上方に開口した浅皿型で、四隅に隅部210を備えた平面視略四角形状をしており、平坦な底壁220と、底壁220の縁部221から立ち上がるように形成された側壁230と、当該側壁230から外側へ延出する平坦な上面240と、上面240から上方へ突出する凸条250とを備える。そして、側壁230、上面240、及び凸条250は、容器本体200の周方向へ全周にわたり連続または断続して設けられている。なお、容器本体200は平面視略四角形となっているが、これに限定されず、平面視略多角形、平面視略円形、平面視略楕円形等、任意の形状とすることができる。
【0026】
また、凸条250は、相対する内壁251と外壁252と、内壁251と外壁252を連結する上壁253によって、上方へ凸状に形成されている。そして、蓋体100を容器本体200に取り付けた際に、凸条250は、蓋体100の凹条150の溝154に挿入されて、凸条250と凹条150は上下に重なり、互いに接着される。この凸条250は、容器本体200の周方向へわたり環状に延出しており、蓋体100の凹条150と全周にわたり重なるように構成されている。なお、凸条250は、容器本体200の周方向へわたり環状に連続して形成されているが、これに限定されず、容器本体200の周方向に部分的に形成してもよい。
【0027】
また、隅部210は、凸条250の外側に突き出ると共に、凸条250より下方の低い位置に設けられた容器側嵌合段部260を備えている。具体的には、この容器側嵌合段部260は、凸条250の上壁253より低い位置に設けられ、外側へ延出する平坦な上壁261と、上壁261から下方へ延出する外壁262とを備える。そして、容器側嵌合段部260は外側へ突き出ているので、蓋体100を容器本体200に取り付けた際に、蓋体100の蓋体側嵌合段部160の内側164に嵌合できるようになっている。さらに、外壁262の略中央は内側に窪んだ容器側嵌合部263となっており、蓋体100を容器本体200に取り付けた際に、蓋体側嵌合段部160の蓋体側嵌合部163と嵌合できるようになっている。また、容器側嵌合段部260は、外壁262の下端から外側へ延出する平面状の容器側摘まみ部270を備える。
【0028】
なお、容器側嵌合段部260は、上壁261と外壁262を備えた形状をしているので、容器側嵌合段部260自体の強度も強く変形しにくい。また、容器側嵌合段部260は、平面視で山が二つ並んだような形状をしているが、これに限定されず、凸条250の外側に突き出ると共に、凸条250より低い位置に設けられ、蓋体100の蓋体側嵌合段部160と嵌合できるのであれば、任意の形状であってもよい。また、容器側嵌合段部260は、容器本体200の4つの全ての隅部210に設けられているが、これに限定されず、容器側嵌合段部260は、少なくとも一つの隅部210に設けてもよい。さらに、容器側嵌合段部260は隅部210に設けられているが、これに限定されず、容器本体200の外縁部の任意の箇所に設けてもよい。
【0029】
また、蓋体100、及び容器本体200は、厚さが約0.1mmから1.00mm程度のシート状の素材を用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱盤成形)されたものであり、例えば、蓋体100や容器本体200の素材としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、A-PET、ポリ乳酸や、これらを二軸延伸させたものを用いることができる。
【0030】
では次に、本願発明の蓋体100を容器本体200へ取り付けた包装用容器300について、図3を参照して説明する。なお、図3(a)は包装用容器300の平面図、図3(b)は包装用容器300の側面図、図3(c)はC-C端面図である。
【0031】
図3に示すように、蓋体100は容器本体200の上から被せられ、包装用容器300の周方向の全周にわたり、蓋体100の凹条150が容器本体200の凸条250に接着されて、包装用容器300は密閉されている。具体的には、容器本体200の凸条250の上壁253の平坦な表面と、蓋体100の凹条150の上壁153の平坦な裏面との間に、熱可塑性の接着剤や熱硬化性の接着シート等を介在させ、凸条250の上に凹条150を重ねた状態とする。さらに、蓋体100の上方から凹条150の上壁153を平坦な加熱板等で下方へ押さえつけ、凹条150の上壁153と凸条250の上壁253を熱圧着してシールするのである。これにより、蓋体100の凹条150が容器本体200の凸条250に強固に接着されて、包装用容器300は高い密封性を備える。そのため、容器本体200に収容された液体状の内容物が外に漏れたり、包装用容器300内に外部から異物が混入することを防止できる。
【0032】
なお、凸条250の上壁253の表面と、凹条150の上壁153の裏面との間に、熱可塑性の接着剤や熱硬化性の接着シート等を介在させているが、これに限定されず、凹条150の外壁152と凸条250の外壁252の間にも熱可塑性の接着剤や熱硬化性の接着シート等を介在させるなど、凹条150と凸条250とを接着できるのであれば、凹条150と凸条250の任意の箇所に熱可塑性の接着剤や熱硬化性の接着シート等を介在させてもよい。
【0033】
また、蓋体100の蓋体側嵌合段部160が容器本体200の容器側嵌合段部260に嵌合しているので、凹条150と凸条250との間に指などが誤って入り込んで、凹条150と凸条250との接着が不用意に剥がされることを防止できる。さらに、蓋体側嵌合段部160の蓋体側嵌合部163と、容器側嵌合段部260の容器側嵌合部263とが、互いに嵌合しているので、蓋体側嵌合段部160と容器側嵌合段部260との嵌合がより強固になっている。
【0034】
なお、蓋体側嵌合段部160は凹条150より低い位置に設けられ、容器側嵌合段部260も凸条250より低い位置に設けられている。そのため、容器本体200の凸条250と蓋体100の凹条150の間に、熱可塑性の接着剤や熱硬化性の接着シート等を介在させて互いに熱圧着する際に、凹条150及び凸条250よりも一段低い蓋体側嵌合段部160及び容器側嵌合段部260は、熱の影響を受けにくく、蓋体側嵌合段部160と容器側嵌合段部260は互いに接着されない状態を容易に維持できる。特に、凸条250の上壁253の表面と、凹条150の上壁153の裏面の間に、熱可塑性の接着剤や熱硬化性の接着シート等を介在させ、蓋体100の上方から凹条150の上壁153を平坦な加熱板等で下方へ押さえつけ、凹条150の上壁153と凸条250の上壁253を熱圧着してシールする場合は、平坦な加熱板が、凹条150及び凸条250よりも一段低い蓋体側嵌合段部160及び容器側嵌合段部260に接触しないため、蓋体側嵌合段部160及び容器側嵌合段部260は、熱圧着の影響を受けにくく、蓋体側嵌合段部160と容器側嵌合段部260は互いに接着されない状態を容易に維持できるのである。なお、凹条150と凸条250は互いに熱圧着により接着されているが、これに限定されず、凹条150と凸条250を互いに接着できるのであれば、常温で、凹条150と凸条250を互いに接着可能な接着剤を用いるなど、その他の任意の方法を利用してもよい。
【0035】
では次に、密閉された包装用容器300の開封の方法について、図4及び図5を参照して説明する。なお、図4(a)は、包装用容器300を開封する際の蓋体側嵌合段部160周辺を拡大した平面図、図4(b)は、包装用容器300の蓋体側嵌合段部160周辺を拡大した側面図、図5は、図4(a)のD-D端面図である。
【0036】
図4及び図5に示すように、包装用容器300の蓋体100を取り外して開封する際は、例えば、一方の手の人差し指F1と親指F2とで、蓋体100の蓋体側摘まみ部170を摘まみ、他方の手の親指F3と人差し指F4とで、容器本体200の容器側摘まみ部270を摘まんで、蓋体100の蓋体側摘まみ部170を上方へ引き上げていく。その際、蓋体100の平面状の蓋体側摘まみ部170は上方へ撓むように変形するものの、段状になっている蓋体側嵌合段部160は変形しにくい。同様に、容器本体200の平面状の容器側摘まみ部270は下方へ撓むように変形するものの、段状になっている容器側嵌合段部260は変形しにくい。
【0037】
そして、蓋体100の蓋体側摘まみ部170を上方へ引き上げていくと、蓋体側嵌合段部160も上方へ持ち上げられる。その際、蓋体側嵌合段部160は容器側嵌合段部260に嵌合しているものの、接着はしていないので、蓋体側嵌合段部160と容器側嵌合段部260の嵌合は容易に外れる。さらに、蓋体100の蓋体側摘まみ部170に加えられた上方への力は、蓋体側嵌合段部160が変形しにくいので、凹条150までしっかりと効率的に伝達される。また、蓋体100を取り外す際に、容器側摘まみ部270を指で摘まんで容器本体200が動かないように保持するが、容器側嵌合段部260が変形しにくいので、容器側嵌合段部260や隣接する凸条250も変形しにくく、蓋体100の取り外しが容易に行える。
【0038】
そして引き続き、蓋体100の蓋体側摘まみ部170を上方へ引き上げていくと、蓋体側嵌合段部160に隣接する凹条150は、容器本体200の凸条250から引き剥がされていく。その際、図4及び図5に示すように、てこの原理(第2種)が働いているので、軽い力で凹条150を凸条250から簡単に剥がすことができる。具体的には、蓋体100を上方へ引き上げていく際に、力が直接的に最も加わる部分、すなわち、蓋体側嵌合段部160の外端部付近が力点P1となっている。そして、凹条150が凸条250から引き剥がされる始めの部分、すなわち、蓋体側嵌合段部160に隣接した凹条150の外端部付近が、荷重点(作用点)P2となっている。さらに、凹条150が凸条250から引き剥がされる終わりの部分、すなわち、蓋体側嵌合段部160から最も離れた凹条150の内端部付近が、支点P3となっている。そして、てこの原理(第2種)により、力点P1で加えられた上向きの力G1は、荷重点P2において、力G1より大きな上向きの力G2になるのである。この上向きの力G2によって、凹条150は外側の荷重点P2側から内側の支点P3にかけて、次第に凸条250から剥がされてゆく。その結果、軽い力で、蓋体100の凹条150を凸条250から簡単に剥がすことができるのである。
【0039】
一方、蓋体100を容器本体200から取り外して包装用容器300を開封した後に、再び蓋体100によって容器本体200を閉じて包装用容器300を再封する際は、蓋体100を容器本体200の上から被せて、包装用容器300の周方向の全周にわたり、蓋体100の凹条150と容器本体200の凸条250とを重ねる。その際、蓋体100の凹条150と容器本体200の凸条250とを接着しなくても、蓋体100の蓋体側嵌合段部160と容器本体200の容器側嵌合段部260とがしっかりと嵌合するので、蓋体100が不用意に外れることがなく、包装用容器300を再封することができる。
【0040】
このように、本願発明の包装用容器300は、互いに接着された凹条150及び凸条250の外側に突き出た蓋体側嵌合段部160及び容器側嵌合段部260を備えており、この蓋体側嵌合段部160及び容器側嵌合段部260は互いに接着されておらず、互いに嵌合可能であるから、蓋体100を引き上げて取り外す際に、まず、蓋体側嵌合段部160と容器側嵌合段部260との嵌合が外れ、その後、てこの原理(第2種)によって、蓋体側嵌合段部160及び容器側嵌合段部260に隣接する、凹条150と凸条250との接着を軽い力で引きはがしてゆくことができるのである。その結果、包装用容器300は、凹条150と凸条250との接着により高い密封性を備えていても、軽い力で蓋体100を取り外すことが出来るのである。また、軽い力で蓋体100を取り外すことが出来るため、蓋体100を取り外した時の力によって包装用容器300の外縁部(例えば、凹条150及び凸条250、並びに蓋体側嵌合段部160及び容器側嵌合段部260の周辺)が変形することを防ぐことができ、包装用容器300の再封性が良好となるのである。
【0041】
さらに、図5に示すように、蓋体側嵌合段部160と容器側嵌合段部260は、凹条150及び凸条250よりも低い位置に設けられているので、凹条150及び凸条250の外側は階段状になるため強度が増して、変形しにくくなる。そのため、蓋体100を取り外した時の力によって包装用容器300の外縁部(凹条150及び凸条250、並びに蓋体側嵌合段部160及び容器側嵌合段部260の周辺)が変形することを効果的に防ぐことができ、包装用容器300の再封性が良好となるのである。また、蓋体側嵌合段部160と容器側嵌合段部260は変形しにくいことから、蓋体100を上方へ引き上げていく際に、力が直接的に最も加わる部分となるので、蓋体側嵌合段部160の外端部付近が、てこの原理(第2種)における力点P1として作用しやすくなる。
【0042】
なお、容器本体200の凸条250と蓋体100の凹条150の間に、熱可塑性の接着剤や熱硬化性の接着シート等を介在させて互いに熱圧着した場合は、凹条150及び凸条250よりも一段低い蓋体側嵌合段部160及び容器側嵌合段部260は、熱の影響を受けにくく、蓋体側嵌合段部160と容器側嵌合段部260は互いに接着されない状態を容易に維持できる。
【0043】
また、蓋体側嵌合段部160は外側に平面状の蓋体側摘まみ部170を備え、容器側嵌合段部260は外側に平面状の容器側摘まみ部270を備えているので、蓋体側摘まみ部170及び容器側摘まみ部270を指で摘まんで、蓋体100を容器本体200から取り外しやすい。なお、蓋体側摘まみ部170は蓋体100の各隅部110に、容器側摘まみ部270は容器本体200の各隅部210にそれぞれ設けられているが、これに限定されず、蓋体側摘まみ部170を蓋体100の外縁部の任意の箇所に少なくとも一つ以上設け、容器側摘まみ部270を容器本体200の外縁部の任意の箇所に少なくとも一つ以上設けてもよい。
【0044】
また、蓋体側嵌合段部160は外壁162に内側へ窪んだ蓋体側嵌合部163を備え、容器側嵌合段部260は外壁262に内側へ窪んだ容器側嵌合部263を備えているので、蓋体側嵌合段部160と容器側嵌合段部260とがよりしっかりと嵌合できることから、包装用容器300の再封性が更に良好になるのである。また、図4(a)に示すように、蓋体側嵌合部163及び容器側嵌合部263は内側に窪んでいるので、蓋体100を取り外す際に、その窪んだ部分に指の一部(例えば、人差し指F1)を置くことができるため、蓋体100の外縁部を摘まんで力を入れやすくなることから、蓋体100の取り外しが更に容易になる。
【0045】
なお、蓋体側嵌合部163は蓋体側嵌合段部160に、容器側嵌合部263は容器側嵌合段部260にそれぞれ形成されているが、これに限定されず、蓋体側嵌合部163と容器側嵌合部263とが互いに嵌合できるのであれば、蓋体側嵌合部163を蓋体100の外縁部の任意の箇所に設け、容器側嵌合部263も容器本体200の外縁部の任意の箇所に設けて、包装用容器300の再封性を高めてもよい。
【0046】
また、包装用容器300は平面視多角形をしており、蓋体側嵌合段部160及び容器側嵌合段部260は、包装用容器300の少なくとも一つの隅部(具体的には、隅部110と隅部210)に設けられている。そのため、平面視多角形の包装用容器300の隅部に、蓋体100を取り外す際の力を集中させて、蓋体100をより簡単に取り外すことができる。また、蓋体100を再度取り付けた際は、包装用容器300の隅部で、蓋体側嵌合段部160と容器側嵌合段部260とがしっかりと嵌合するので、包装用容器300の密閉性が良好である。
【0047】
なお、本願発明の包装用容器は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
図1
図2
図3
図4
図5