(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-12
(45)【発行日】2025-03-21
(54)【発明の名称】包装食品および食品包装方法
(51)【国際特許分類】
B65D 65/10 20060101AFI20250313BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
B65D65/10
B65D85/50 100
(21)【出願番号】P 2021011696
(22)【出願日】2021-01-28
(62)【分割の表示】P 2016155109の分割
【原出願日】2016-08-05
【審査請求日】2021-01-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】509009038
【氏名又は名称】アイワ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【氏名又は名称】松島 理
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄一郎
【合議体】
【審判長】田口 傑
【審判官】武市 匡紘
【審判官】稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3093586(JP,U)
【文献】特開平8-11947(JP,A)
【文献】登録実用新案第3197179(JP,U)
【文献】特開2009-248970号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/10
B65D 75/64
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略正方形状の2枚のプラスチックシートである第1シートおよび第2シートを重ね合わせており、
第1辺およびこれに隣接する第2辺において辺に沿って第1シートおよび第2シートが易剥離性の接着により接続されている辺部接続部と、第1辺と第2辺が交わる第1角部において頂部よりも内側で第1シートと第2シートが接続されている角部接続部と、第1角部の頂部において第1シートと第2シートが接続されていない非接続部と、第3辺およびこれに隣接する第4辺において第1シートと第2シートが接続されていない開口部とが設けられていて、角部接続部には辺部接続部の端部につながっていてシートの外に向いて凸な曲線になっている凸部と、凸部に続いて頂部へ向かっていてシートの内に向いて凸な曲線である凹部が形成されている食品包装袋に食品が包装されており、開口部を閉じるようにしながら略正方形状の第1シートと第2シートの
第1角部を上側にしたときの左右及び下側の余ったシート部分を折り畳んでいき、折り畳み端を粘着テープやシールで固定した包装食品。
【請求項2】
包装された食品が米飯食品である請求項1に記載の包装食品。
【請求項3】
略正方形状の2枚のプラスチックシートである第1シートおよび第2シートを重ね合わせており、
第1辺およびこれに隣接する第2辺において辺に沿って第1シートおよび第2シートが易剥離性の接着により接続されている辺部接続部と、第1辺と第2辺が交わる第1角部において頂部よりも内側で第1シートと第2シートが接続されている角部接続部と、第1角部の頂部において第1シートと第2シートが接続されていない非接続部と、第3辺およびこれに隣接する第4辺において第1シートと第2シートが接続されていない開口部とが設けられていて、角部接続部には辺部接続部の端部につながっていてシートの外に向いて凸な曲線になっている凸部と、凸部に続いて頂部へ向かっていてシートの内に向いて凸な曲線である凹部が形成されている食品包装袋において、開口部を開いて食品を入れ、開口部を閉じるようにしながら略正方形状の第1シートと第2シートの
第1角部を上側にしたときの左右及び下側の余ったシート部分を折り畳んでいき、折り畳み端を粘着テープやシールで固定する食品包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品を包装するためのプラスチックフィルム製の食品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
海苔が巻かれないお握りや、すでに海苔が巻かれた状態のお握りなどの調理米飯食品は、特許文献1~特許文献3などに示すようなシート状のプラスチックフィルムで包装されている。また、封筒状のピロー包装体によって包装される場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】意匠登録第1203540号公報
【文献】意匠登録第1204008号公報
【文献】実用新案登録第3152459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~特許文献3などに示すシート状のプラスチックフィルムの場合、シートを折り畳みながら包装するので、作業に手間がかかる。専用の包装装置を使用すれば短時間で包装できるが、調理米飯食品の提供者の中には小規模な企業体の多く、そのような専用設備の導入は大きな負担となる。また、新しく普及しつつある調味米飯でさまざまな具材を米飯で包み、さらに外に海苔を巻いて、全体を平たく仕上げたものがある。このような調味米飯では具材の異なる多種類の商品を少数ずつ作る場合が多く、自動化された設備を使用するよりも手作業で包装するのが適している。
【0005】
しかし、上述の通り、シート状のプラスチックフィルムによる包装を手作業で行うには手間がかかる。また、封筒状のピロー包装体でも口部を開いて食品を中に投入するのは面倒な作業である。
【0006】
この発明は、中へ食品を投入するのが容易であり、包装に手間がかからず、開封時には簡単に開封できる食品包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明の食品包装袋は、略正方形状の2枚のプラスチックシートである第1シートおよび第2シートを重ね合わせており、第1辺およびこれに隣接する第2辺において辺に沿って第1シートと第2シートが接続されている辺部接続部と、第1辺と第2辺が交わる第1角部において頂部よりも内側で第1シートと第2シートが接続されている角部接続部と、第1角部の頂部において第1シートと第2シートが接続されていない非接続部と、第3辺およびこれに隣接する第4辺において第1シートと第2シートが接続されていない開口部とが設けられている。さらに、角部接続部は辺部接続部の端部につながりシートの外に向いて凸な凸部と、凸部の端部から頂部へ向かって形成されたシートの内に向いて凸な凹部とを有し、第1辺または第2辺のいずれかには第1シートまたは第2シートのいずれかが辺部の外に突き出た単層部を有することが好ましい。。
【発明の効果】
【0008】
この発明の食品包装袋は、正方形の4辺のうち2辺が開口したラップ状であるために、内部への食品の投入が容易である。包装した時に、頂点部には第1シートおよび第2シートが接続されていない非接続部が形成されているので、ここから第1シートと第2シートを引きはがして簡単に大きく開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図10】食品包装袋を束ねた状態を示す斜視図である。
【
図11】食品包装袋の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は食品包装袋を示す斜視図、
図2は同正面図、
図3は同背面図、
図4は同平面図、
図5は同底面図、
図6は同右側面図、
図7は同左側面図、
図8は同A-A端面図、
図9は同B-B端面図である。
【0011】
食品包装袋1では第1シート2および第2シート3を重ね合わせている。第1シート2と第2シート3は食品包装用の薄いプラスチックシートであり、熱溶着により易剥離性の接着が行えるイージーピールフィルムよりなる。ほぼ同形の正方形であるが、本例においては正面図における手前側の第1シート2の右側が第2シート3よりも3~5mm程度広がっている。
【0012】
正方形の角部の一つを第1角部4とすると、その第1角部4で接する2つの辺をそれぞれ第1辺5、第2辺6とする。この第1辺5と第2辺6には第1シート2と第2シート3が接着された接続部が設けられている。一方、それ以外の2辺である第3辺7と第4辺8では第1シート2と第2シート3は接続されておらず、開口している。この構造はハンバーガー等の調理パンを包装するバーガーラップと呼ばれる紙製の包装材と共通する。
【0013】
第1シート2と第2シート3の接続についてさらに説明する。第1辺5および第2辺6において第1角部4の反対側の端部から辺に沿って帯状に辺部接続部9が形成されている。この辺部接続部9は第1角部4の手前で終わっている。そして、辺部接続部9の終点部に続いて角部接続部10が設けられている。この角部接続部10は第1角部4の頂部よりも内側に形成されている。そして、第1角部の頂部において角部接続部10の外側には第1シート2と第2シート3が接続されていない非接続部11が設けられている。
【0014】
辺部接続部9および角部接続部10は易剥離性接着となっている。イージーピールシールとも呼ばれる接続であり、ある程度以上の力が加わらない時には剥離しないが、開封しようとして引き剥がそうとする力が加われば簡単に隔離するような接着状態である。イージーピールフィルムと呼ばれるプラスチックシート同士を重ねて熱圧着すれば、このような接続をすることができる。また、イージーピール性の接着剤によってもそのような接続をすることができる。
【0015】
本例では角部接続部10はさらに2つの部分に分けられる。第1辺5および第2辺6の辺部接続部9の端部につながっている部分は、シートの外に向いて凸な曲線になっている凸部10aである。そして、凸部10aに続いて頂部へ向かった曲線である凹部10bが形成されている。この凹部10bはシートの内に向いて凸な曲線である。この構成により、頂部に最も近いところでは凹部10bの端部同士が頂部に向いて突き出した形状になっている。頂部の非接続部11より第1シート2と第2シート3を引き剥がそうとすると、この角部接続部10の形状により角部接続部10は確実に剥離し、剥離は第1辺5および第2辺6の辺部接続部9に進行していく。
【0016】
また、本例では第1辺または第2辺のいずれかには第1シートまたは第2シートのいずれかが辺部の外に突き出た単層部12が形成される。
図2では第2辺6の外側に3~5mm程度の幅で第1シートが突き出している。このように単層部を設けることにより、開封時に非接続部11において第1シート2と第2シート3を開きやすくなる。
【0017】
第1シート2および第2シート3はいずれも薄く透明なプラスチックフィルムである。辺部接続部9と角部接続部10は接着の仕方によって若干半透明になる場合もあるが、おおむね透明と見てよい。したがって、食品包装袋1も印刷が施されていなければ全体的に透明である。
【0018】
図2から
図7に示す形態は、食品包装袋という物品においては新しいものであり、特に調理米飯食品用の包装袋としては斬新であり、意匠性が高い。
【0019】
図10は食品包装袋を束ねた状態を示す斜視図である。食品包装袋1は大きな連続シートから切り出して製造することができるが、切り出すときに第3辺7または第4辺8の外側まで第1シート2および第2シート3の延長部13を設け、第3辺7または第4辺8に沿ってミシン目などの切断補助線を設けることができる。そして、延長部13が上側になるようにそろえて複数の食品包装袋1を重ね、延長部13の上辺を接着剤などで接続することによって食品包装袋1の集合体を得ることができる。また、延長部13には吊り下げ用穴14を設けている。
【0020】
フックなどを吊り下げ用穴14に通すことによって、食品包装袋の集合体を吊り下げることができる。使用時には、手前側の食品包装袋をつかみ、切断補助線に沿って切り外せば、
図2などに示す食品包装袋1を一つ取り出すことができる。
【0021】
ついで、この食品包装袋を使用方法および食品包装袋を用いた包装食品について説明する。第3辺7および第4辺8は第1シート2と第2シート3が接続されていない開口部になっているので、ここを開いて包装対象の食品xを中に入れる。食品としては、調理パンや菓子でもよいが調理米飯が特に適している。
図10の例では、「おにぎらず」とよばれる海苔に包まれた具材入りの米飯を包装している。三角おにぎりよりも幅が広く、正面から見て略長方形の形状になっている。下側の2辺が開口するため、簡単に開くことができ、さらに食品の投入も容易である。開口が広いのでべたつきやすい米飯食品でも問題なく投入できる。
【0022】
そして、開口部を閉じるようにしながら左右及び下側の余ったシート部分を折り畳んでいき、折り畳み端を粘着テープやシールで固定
することにより、
図11に示す包装食品が得られる。店舗の棚に陳列するときも、
図11に示すように第1角部4を上に向けておけば、中の食品がよく見えるようになる。
【0023】
さらに、包装食品の開封について説明する。頂部の非接続部11は第1シート2と第2シート3が接続されていないので、それぞれのシートの角を指でつまむことができる。そして、第1シート2と第2シート3を相互に引き剥がすことにより、食品包装袋1の上部を開封する。頂部から始まる剥離は、角部接続部10の凹部10bにより左右に分かれて進行し、それぞれの剥離は凹部10aおよび辺部接続部に沿って進行して、大きな開口を形成する。易剥離性の接着であるため、簡単に開封することができ、シートの途中が破れるような不規則な開封もおこらない。
【0024】
上部に形成された大きな開封口から中の食品を取り出してもよい。あるいは、下部のまだ開封されていない部分をつかみ、上部に表れた食品を食べてもよい。従来のラップで包装されたハンバーガー等の場合、食品を投入した開口部を再び開いて、この側から食品を食べるが、本発明の包装食品の場合は、その反対で上部側から食べることになる。開封した状態も従来のバーガーラップとは全く異なる外観となる。折り畳み端を固定しているシールをはがしたり折り畳み部を開いたりする必要はない。
【符号の説明】
【0025】
1.食品包装袋
2.第1シート
3.第2シート
4.第1角部
5.第1辺
6.第2辺
7.第3辺
8.第4辺
9.辺部接続部
10.角部接続部
11.非接続部
12.単層部
13.延長部
14.吊り下げ用穴
x.食品