(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-12
(45)【発行日】2025-03-21
(54)【発明の名称】柱間の桁材の装着構造
(51)【国際特許分類】
E04H 15/48 20060101AFI20250313BHJP
E04H 15/34 20060101ALI20250313BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
E04H15/48
E04H15/34 C
E04B2/74 531H
E04B2/74 531G
(21)【出願番号】P 2020152577
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】512135838
【氏名又は名称】有限会社埼玉通商
(74)【代理人】
【識別番号】100110157
【氏名又は名称】山田 基司
(74)【代理人】
【識別番号】100094536
【氏名又は名称】高橋 隆二
(74)【代理人】
【識別番号】100129805
【氏名又は名称】上野 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100189315
【氏名又は名称】杉原 誉胤
(72)【発明者】
【氏名】野村 昌子
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3057223(JP,U)
【文献】実公昭52-43138(JP,Y2)
【文献】実開昭49-21706(JP,U)
【文献】実開昭49-107111(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0222692(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 15/48
E04H 15/34
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱間に桁材を架設するための柱間の桁材の装着構造であって、
前記柱の上端近傍に固着されている連結部材を有し、
前記連結部材は、前記柱間に架設される前記桁材の長手方向に向けて延設された、左右対向した一対の平行な突出片
を有し、前記突出片間に
前記桁材の一端が挟持
され、
前記突
出片には、
前記桁材の上面を抑える支持部と、前記桁材の下面を支える舌片と、前記突出片を左右外面から弾発力で挟圧する一対の挟持片
とを有する固定部材が取り付けられていることを特徴とする柱間の桁材の装着構造。
【請求項2】
前記した各々の突出片の外面には係合突起が設けられ、前記した挟持片には前記係合突起と係合する係合孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の柱間の桁材の装着構造。
【請求項3】
前記した固定部材の各々の挟持片は内方に膨出部が向くように屈曲されていることを特徴とする請求項1または2に記載の柱間の桁材の装着構造。
【請求項4】
前
記固定部材の
前記支持部は中央が前記桁材との当接面として凹状に形成され、
前記固定部材の前記舌片は前記支持部の後端と一体に連結片でつなげられ
て前方へ延設されていることを特徴とする請求項1に記載の柱間の桁材の装着構造。
【請求項5】
桁材の一端を枢支する支持ポールと、
柱の上端近傍に固着されている、前記桁材の他端を挟持する連結部材とを有し、
前記支持ポールは、上端近傍に前記桁材の一端を枢支する取付部材が嵌め付け固定されており、
前記連結部材は、前記桁材の長手方向に向けて延設された、左右対向した一対の平行な突出片を有し、前記突出片間に前記桁材の他端が挟持され、
前記突出片には、前記桁材の上面を抑える支持部と、前記桁材の下面を支える舌片と、前記突出片を左右外面から弾発力で挟圧する一対の挟持片とを有する固定部材が取り付けられていることを特徴とする柱間の桁材の装着構造。
【請求項6】
前記した支持ポールには複数の桁材の一端が放射状に枢支されていることを特徴とする請求項5に記載の柱間の桁材の装着構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は柱間を連結するための桁材の装着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平面状態の床面に間仕切りを行なう場合、あるいはテントの柱を連結して位置決め固定する場合、柱に桁材連結用のジョイント部材を設け、多くの場合、このジョイント部材に穿孔を行ない、その孔を利用して、ボルト、ナット等の固定要素を用いて連結、位置決め固定している。
【0003】
しかしながら、従来の桁材の装着構造は、作業が非常に手間取り、面倒なもので、正確性に欠ける点がある。また、道路工事等にあっては複数のコーンを載置し、そのコーンの頭部を両端にリングを有する渡し棒でつなぎ、規制しているが、この構造は間仕切りやテントの構築には適しないものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
出願人は、本願発明について、先行する技術文献を調査したが、格別に本願発明と関連し、類似していると思われる文献は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明が解決しようとする問題点は、柱間での間仕切りやテントの構築等の際に、柱間に架設する桁材の装着構造に関して、従来、簡便で手間がかからず、誰もが容易に実行でき、しかも正確を期す桁材の装着構造がなかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した問題点を解決するために、本発明に係る柱間の桁材の装着構造は、柱間に桁材を架設するための柱間の桁材の装着構造であって、前記柱の上端近傍に固着されている連結部材を有し、前記連結部材は、前記柱間に架設される前記桁材の長手方向に向けて延設された、左右対向した一対の平行な突出片を有し、前記突出片間に前記桁材の一端が挟持され、前記突出片には、前記桁材の上面を抑える支持部と、前記桁材の下面を支える舌片と、前記突出片を左右外面から弾発力で挟圧する一対の挟持片とを有する固定部材が取り付けられていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る柱間の桁材の装着構造は、前記した各々の突出片の外面には係合突起が設けられ、前記した挟持片には前記係合突起と係合する係合孔が設けられていることを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明に係る柱間の桁材の装着構造は、前記した固定部材の各々の挟持片は内方に膨出部が向くように屈曲されていることを特徴としている。
【0009】
そして、本発明に係る柱間の桁材の装着構造は、前記固定部材の前記支持部は中央が前記桁材との当接面として凹状に形成され、前記固定部材の前記舌片は前記支持部の後端と一体に連結片でつなげられて前方へ延設されていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る柱間の桁材の装着構造は、桁材の一端を枢支する支持ポールと、柱の上端近傍に固着されている、前記桁材の他端を挟持する連結部材とを有し、前記支持ポールは、上端近傍に前記桁材の一端を枢支する取付部材が嵌め付け固定されており、前記連結部材は、前記桁材の長手方向に向けて延設された、左右対向した一対の平行な突出片を有し、前記突出片間に前記桁材の他端が挟持され、前記突出片には、前記桁材の上面を抑える支持部と、前記桁材の下面を支える舌片と、前記突出片を左右外面から弾発力で挟圧する一対の挟持片とを有する固定部材が取り付けられていることを特徴としている。
【0011】
さらに、本発明に係る柱間の桁材の装着構造は、前記した支持ポールには複数の桁材の一端が放射状に枢支されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本願発明に係る柱間の桁材の装着構造は上記のように構成されている。そのため、桁材の装着作業中にはボルト、ナット等の固定要素は一切必要なく、固定部材の弾発力で桁材の端部を固定し、位置決めすることができ、その取り付け作業、取り外し作業も容易に実行することができ、連結部材及び固定部材の構成自体も簡易なものとなって経済的にも低廉なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】柱間の桁材の装着構造の要部を示す斜視図である。
【
図5】桁材を枢動させ、上方から装着する状態の図である。
【
図6】周囲の柱群の中央に支持ポールを配備した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0015】
次に、本願発明の好ましい実施の一例を図面を参照して説明する。図中1は桁材2を架設し、幕等を取り付けて間仕切りやテントの構築を行なうための柱を示している。この柱1には上端近傍に連結部材3が固着されて備えられている。この連結部材3には柱1を貫通させる上下貫通孔4が形成され、柱1にその貫通孔4で嵌装後に、特に図示しないボルト、ねじまたはビス等の固定要素で予め柱1に固着された構造となっている。
【0016】
この連結部材3は桁2の方向に向けて、左右対向した一対の平行な平板による突出片5、5が一体に有しており、この突出片5、5のサイズは通常同一となっている。この一対の突出片5、5間に桁材2の一端が挟持され、保持されることとなる。尚、図では柱1を円柱(パイプ)としてあるが、角柱等でもよく、その際に貫通孔4もそれに適合する形状のものとなる。また、桁材2も角材としてあるが、これも円棒(パイプ)でもよく、その場合、突出片5、5の形状もそれに適合した弧状のものとすることができる。
【0017】
また、前記した突出片5、5の外表面には必要に応じて、後述する固定部材を係合ロックするための係合突起6、6が一体に形成されている。
【0018】
一方、図中7は強力な弾発性を有する金属もしくはプラスチックで成形された固定部材を示している。固定部材7は桁材2の端部上面を抑える支持部8と下面を支える支持部としての舌片9とを後壁板15でつながれて一体に備えられている。上面の支持部8の両側縁には前記した突出片5、5に上方が嵌め付けるための嵌着溝10、10が形成され、その嵌着溝10、10の側端縁からは弾発力で突出片5、5を外方から挟圧する一対の挟持片11、11が一体に設けられている。
【0019】
前記した桁材2の上面を抑える支持部8及び下面を支える舌片9には必要に応じてねじやビスを用いて桁材2を固定するための透孔12、12‥が穿設されている。
【0020】
また、前記した挟持片11、11には挟圧力を集中して増強させるため、内側へ当接部を向けた、支持部8、舌片9と平行な屈曲部13、13が形成されているもので、必要に応じてこの屈曲部13、13に、前記した突出片5、5の係合突起6、6と係合して位置決めロックする係合孔14、14が穿設されている。尚、屈曲部13、13は図に示した直線的なものに代えて内方に向けて膨らむ膨出部として形成することもできる。
【0021】
桁材2を、連結部材3の突出片5、5間に嵌め、固定部材7で固定するには、桁材2が単なる棒材であるなら、予め、固定部材7をセットした連結部材3に対して桁材2の端部を挿し込めばよいが、桁材2の他端が枢支されているような場合は、枢動で連結部材3及び固定部材7の上方から端部を嵌め付ける必要がある。
【0022】
この場合、突出片5、5の外面を固定部材7の挟持片11、11で挟み付けて、固定部材7の前方を持ち上げた状態としておき、そこに桁材2の端部を矢印A方向へ枢動させて下降させると、この桁材2の端部下面が舌片9の上から押し、この押圧力で固定部材7も矢印B方向へ回動して突出片5、5の外面に密接することとなる。仮に、係合突起6、6と係合孔14が合致しなくとも、固定部材7を前後に突出片5、5に沿ってスライドさせることでこの係合は得ることができる。
【0023】
一方、図中16は、例えば四方を柱1、1‥で囲まれたスペースの中心部に配備し、周囲の柱1、特に、中間に位置する柱1、1との間に桁材2a、2a‥を架設し、スペースを四分割する際に使用される支持ポールを示している。
【0024】
この支持ポール16は上端近傍に十字状に桁材2a、2a‥の基端部を挟持枢支する一対の支持片17a、17aを備えた取付部材17を嵌め付け固定してあり、その取付部材17の各支持片17a、17a間に桁材2aの基端部がピン等で枢支された構成となっている。各桁材2a、2a‥の長さを同一に揃えれば、正方形のスペースに対応でき、相対向する二本の桁材2a、2aの長さを調整することで長方形のスペースにも対応することができる。いずれの場合も、桁材2aの長さは、支持ポール16の上下長さよりも短く設定される。
【0025】
この桁材2a、2a‥の遊端部は、先に示した連結部材3を取り付けた柱1に固定部材7によって固定保持されることとなり、この場合の装着手順は
図5で示した構成となる。この桁材2a、2a‥は
図8として示すように先端を支持ポール16に沿って下げることにより、折り畳むことができ、不使用時の収納や運搬作業も容易に行えることになる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本実施例に係る柱間の桁材の装着構造は、上記のように構成されている。本実施例では柱1の上端寄りに連結部材3を設けて、パーティション材を吊持する構成としてあるが、連結部材3を柱1の下端寄りにも更に設けて、桁材2を架設し、パーティション部材の上下を止着することもできる。
【0027】
また、連結部材3は柱1の必要部位に予め一体的に形成させておくことも可能となり、この構成によると、連結部材3を柱1に固着させる作業も省略することができる。さらに、連結部材3の突出片5、5を一方向のみでなく、多方向(三方、四方)に設けることで自在な空域(スペース)を間仕切りすることができ、異なる長さ(高さ)の柱間での桁材の装着も可能となる。即ち、高い柱の場合、その中途と、上部、下部に連結部材3を配備して桁材2を装着していくことも可能となる。そのため、スペースの拡張や空域の高低も自在に採択することができる。
【0028】
この柱は既設の幕体を有する屏風型のパーティションにも応用でき、そのパーティションを順次連結していく構成にも応用することができる。さらに、パーティション間に空隙をもたせて、その空隙を布等で覆う構成も可能となる。パーティションに採用されるのはプラスチックシートをはじめ、布等も可能で、必要に応じて網等による窓部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 柱
2、2a、2c 桁材
3 連結部材
4 貫通孔
5 突出片
6 突起
7 固定部材
8 支持部
9 舌片
10 嵌着溝
11 挟持片
12 孔
13 屈曲部
14 係合孔
15 連結板
16 支持ポール
17 取付部材