(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-12
(45)【発行日】2025-03-21
(54)【発明の名称】マイクロフォン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/24 20060101AFI20250313BHJP
H04R 1/22 20060101ALI20250313BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20250313BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20250313BHJP
H04R 17/02 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
H04R1/24 Z
H04R1/22 320
H04R3/00 320
H04R1/02 106
H04R17/02
(21)【出願番号】P 2022560091
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 CN2021112016
(87)【国際公開番号】W WO2023015477
(87)【国際公開日】2023-02-16
【審査請求日】2022-09-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514156013
【氏名又は名称】深▲セン▼市韶音科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SHOKZ CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Floors 1-4,Factory Building 26,Shancheng Industrial Park,Shiyan Street,Bao’an District,Shenzhen,Guangdong 518108,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】周 文兵
(72)【発明者】
【氏名】袁 永▲帥▼
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 文俊
(72)【発明者】
【氏名】黄 雨佳
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-195995(JP,A)
【文献】特開平09-163477(JP,A)
【文献】特開2019-103144(JP,A)
【文献】国際公開第2020/142812(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0210087(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/20- 1/40
H04R 3/00- 3/14
H04R 1/00- 1/02
H04R 17/02
H04R 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を生じるように構成されたハウジング構造と、
前記ハウジング構造に収容される振動ピックアップ部であって、前記ハウジング構造の振動を介して振動する振動ピックアップ部
であって、該振動ピックアップ部は、その周側により前記ハウジング構造に接続され、該振動ピックアップ部の少なくとも一部の構造は、外部音声信号に応答して振動し、該振動ピックアップ部は、上から下へ順に設置された第1の振動ピックアップ部及び第2の振動ピックアップ部を含み、前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部は、その周側により前記ハウジング構造に接続され、前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の少なくとも一部の構造は、前記外部音声信号に応答して振動する、振動ピックアップ部と、
それぞれ前記振動ピックアップ部の振動を受けて電気信号を生成するように構成される少なくとも2つの音響電気変換素子と、
を含
むマイクロフォンにおいて、
前記少なくとも2つの音響電気変換素子は、前記振動ピックアップ部の振動に対して異なる周波数応答を有し
、
それぞれの前記音響電気変換素子は、第1の片持ち梁構造及び第2の片持ち梁構造を含み、前記第1の片持ち梁構造と前記第2の片持ち梁構造は、対向して設置され、かつ前記第1の片持ち梁構造と前記第2の片持ち梁構造は、第1の間隔を有し、前記第1の片持ち梁構造と前記第2の片持ち梁構造の前記第1の間隔が振動信号に基づいて変化することにより、前記振動信号を電気信号に変換している、ことを特徴とするマイクロフォン。
【請求項2】
各前記音響電気変換素子に対応する周波数応答は、少なくとも1つの共振周波数を含み、前記少なくとも2つの音響電気変換素子に対応する複数の共振周波数のうちの少なくとも2つは、20Hz~16000Hzの範囲内にある、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項3】
前記少なくとも2つの音響電気変換素子に対応するサブバンドの数は、5つ以上である、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマイクロフォン。
【請求項4】
前記振動ピックアップ部は、第1の振動ピックアップ部を含み、前記少なくとも2つの音響電気変換素子は、前記第1の振動ピックアップ部に直接又は間接的に接続される、ことを特徴とする請求項
1に記載のマイクロフォン。
【請求項5】
前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部との間に、管状構造を呈する振動伝達部が設置され、前記振動伝達部、前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の間にキャビティが画成される、ことを特徴とする請求項
1に記載のマイクロフォン。
【請求項6】
前記振動ピックアップ部は、第1の振動ピックアップ部、第2の振動ピックアップ部及び第3の振動ピックアップ部を含み、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部は、上下に対向して設置され、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部との間に、管状構造を呈する振動伝達部が設置され、前記振動伝達部、前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の間にキャビティが画成され、
前記第3の振動ピックアップ部は、前記振動伝達部と前記ハウジング構造の内壁との間に接続され、
前記第3の振動ピックアップ部は、前記外部音声信号に応答して振動する、ことを特徴とする請求項
1に記載のマイクロフォン。
【請求項7】
前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部との間に、管状構造を呈する振動伝達部が設置され、前記振動伝達部、前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の間にキャビティが画成され、
各前記音響電気変換素子は、1つの片持ち梁構造を含み、前記片持ち梁構造の一端は、前記振動伝達部の内壁に接続され、前記片持ち梁構造の他端は、前記キャビティ内に宙吊りに設置され、前記片持ち梁構造が振動信号に基づいて変形することにより、前記振動信号を電気信号に変換する、ことを特徴とする請求項
5又は請求項6に記載のマイクロフォン。
【請求項8】
異なる前記片持ち梁構造は、前記振動伝達部の内壁に間隔を隔てて分布する、ことを特徴とする請求項
7に記載のマイクロフォン。
【請求項9】
前記少なくとも2つの音響電気変換素子にそれぞれ対応する前記片持ち梁構造の寸法又は材料は異なる、ことを特徴とする請求項
7又は請求項
8に記載のマイクロフォン。
【請求項10】
少なくとも1つの膜構造であって、前記音響電気変換素子の上面及び/又は下面に位置する、少なくとも1つの膜構造と、
少なくとも1つの支持構造であって、少なくとも1つの支持構造の一端は、前記振動ピックアップ部のうちの第1の振動ピックアップ部に接続され、支持構造の他端は、前記振動ピックアップ部のうちの第2の振動ピックアップ部に接続され、前記少なくとも2つの音響電気変換素子の自由端と前記支持構造とは、第2の間隔を有する、少なくとも1つの支持構造と、
異なる音響電気変換素子から出力された電気信号をデジタル信号に変換するように構成される少なくとも1つのサンプリングモジュールであって、異なるサンプリング周波数を用いて、異なる音響電気変換素子から出力された電気信号をサンプリングする、少なくとも1つのサンプリングモジュールと、
を含むことを特徴とする請求項1~
9のいずれか一項に記載のマイクロフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、マイクロフォン装置の技術分野に関し、特にマイクロフォンに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロフォン(例えば、骨伝導マイクロフォン又は空気伝導マイクロフォン)は、外部音声信号に基づいてフルバンド信号を出力し、マイクロフォンから出力されたフルバンド信号に対してサブバンド分周処理(サブバンド分解処理とも称される)を行うと、音声認識、ノイズ低減、信号増強などの後続の信号処理動作をより上手く行うことができる。サブバンド分周処理技術は、電気音響、通信、画像符号化、エコーキャンセル、レーダ信号選別などの分野に広く応用することができる。現在のサブバンド分周処理技術では、一般的にハードウェア回路(例えば、電子部品)、ソフトウェアアルゴリズム(例えば、デジタル技術)を利用してフルバンド信号に対してサブバンド分周処理を行うが、電子部品がそれ自体の特性の影響を受け、フィルタの性能が高いほど、その回路設計が複雑になる。一方、ソフトウェアアルゴリズムを使用してフルバンド信号に対してサブバンド分周処理を行うことは、計算資源に対する要求が高く、処理プロセスにおいて音声信号の歪み、雑音混入の問題を引き起こし、音質に影響を与える場合がある。
【0003】
したがって、フルバンド信号に対してサブバンド分周を行うプロセスを簡略化し、素子側によりサブバンド分周を実現し、その複雑なハードウェア回路及びソフトウェアアルゴリズムに対する依存性を低減すると共に、最終的に生成された音声信号の品質を向上させることができるマイクロフォンを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本願の実施例に係るマイクロフォンは、ハウジング構造と、前記ハウジング構造の振動に応答して振動する振動ピックアップ部と、それぞれ前記振動ピックアップ部の振動を受けて電気信号を生成するように構成される少なくとも2つの音響電気変換素子と、を含み、前記少なくとも2つの音響電気変換素子は、前記振動ピックアップ部の振動に対して、異なる周波数応答を有する。
【0005】
いくつかの実施例において、各音響電気変換素子に対応する周波数応答は、少なくとも1つの共振周波数を含み、前記少なくとも2つの音響電気変換素子に対応する複数の共振周波数のうちの少なくとも2つは、20Hz~16000Hzの範囲内にある。
【0006】
いくつかの実施例において、前記少なくとも2つの音響電気変換素子に対応するサブバンドの数は、5つ以上である。
【0007】
いくつかの実施例において、前記振動ピックアップ部と前記ハウジング構造は、少なくとも1つの音響キャビティを画成し、前記少なくとも1つの音響キャビティは、第1の音響キャビティを含み、前記ハウジング構造は、少なくとも1つの孔部を含み、前記少なくとも1つの孔部は、前記第1の音響キャビティに位置し、前記少なくとも1つの孔部は、前記外部音声信号を前記第1の音響キャビティに導入し、前記振動ピックアップ部は、前記第1の音響キャビティ内の音声信号に応答して振動し、前記少なくとも2つの音響電気変換素子は、それぞれ前記振動ピックアップ部の振動を受けて電気信号を生成する。
【0008】
いくつかの実施例において、前記振動ピックアップ部は、その周側により前記ハウジング構造に接続され、前記振動ピックアップ部の少なくとも一部の構造は、前記外部音声信号に応答して振動する。
【0009】
いくつかの実施例において、前記振動ピックアップ部は、第1の振動ピックアップ部を含み、前記少なくとも2つの音響電気変換素子は、前記第1の振動ピックアップ部に直接又は間接的に接続される。
【0010】
いくつかの実施例において、前記振動ピックアップ部は、上から下へ順に設置された第1の振動ピックアップ部及び第2の振動ピックアップ部を含み、前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部は、その周側により前記ハウジング構造に接続され、前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の少なくとも一部の構造は、前記外部音声信号に応答して振動する。
【0011】
いくつかの実施例において、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部との間に、管状構造を呈する振動伝達部が設置され、前記振動伝達部、前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の間にキャビティが画成される。
【0012】
いくつかの実施例において、前記振動ピックアップ部は、第1の振動ピックアップ部、第2の振動ピックアップ部及び第3の振動ピックアップ部を含み、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部は、上下に対向して設置され、前記第1の振動ピックアップ部と前記第2の振動ピックアップ部との間に、管状構造を呈する振動伝達部が設置され、前記振動伝達部、前記第1の振動ピックアップ部及び前記第2の振動ピックアップ部の間にキャビティが画成され、前記第3の振動ピックアップ部は、前記振動伝達部と前記ハウジング構造の内壁との間に接続され、前記第3の振動ピックアップ部は、前記外部音声信号に応答して振動する。
【0013】
いくつかの実施例において、各前記音響電気変換素子は、1つの片持ち梁構造を含み、前記片持ち梁構造の一端は、前記振動伝達部の内壁に接続され、前記片持ち梁構造の他端は、前記キャビティ内に宙吊りに設置され、前記片持ち梁構造が前記振動信号に基づいて変形することにより、前記振動信号を電気信号に変換する。
【0014】
いくつかの実施例において、異なる前記片持ち梁構造は、前記振動伝達部の内壁に間隔を隔てて分布する。
【0015】
いくつかの実施例において、前記少なくとも2つの音響電気変換素子にそれぞれ対応する前記片持ち梁構造の寸法又は材料は異なる。
【0016】
いくつかの実施例において、前記少なくとも2つの音響電気変換素子は、第1の片持ち梁構造及び第2の片持ち梁構造を含み、前記第1の片持ち梁のその振動方向に垂直な長さは、第2の片持ち梁のその振動方向に垂直な長さより大きく、前記第1の片持ち梁に対応する共振周波数は、前記第2の片持ち梁に対応する共振周波数より低い。
【0017】
いくつかの実施例において、前記片持ち梁構造は、第1の電極層、圧電層、第2の電極層、弾性層、ベース層を含み、前記第1の電極層、前記圧電層及び前記第2の電極層は、上から下へ順に設置され、前記弾性層は、前記第1の電極層の上面又は前記第2の電極層の下面に位置し、前記ベース層は、前記弾性層の上面又は下面に位置する。
【0018】
いくつかの実施例において、前記片持ち梁構造は、少なくとも1つの弾性層、電極層及び圧電層を含み、前記少なくとも1つの弾性層は、前記電極層の表面に位置し、前記電極層は、第1の電極及び第2の電極を含み、前記第1の電極は、第1の櫛歯状構造に折り曲げられ、前記第2の電極は、第2の櫛歯状構造に折り曲げられ、前記第1の櫛歯状構造は、前記第2の櫛歯状構造と嵌合して前記電極層を形成し、前記電極層は、前記圧電層の上面又は下面に位置し、前記第1の櫛歯状構造及び前記第2の櫛歯状構造は、前記片持ち梁構造の長手方向に沿って延在する。
【0019】
いくつかの実施例において、各前記音響電気変換素子は、第1の片持ち梁構造及び第2の片持ち梁構造を含み、前記第1の片持ち梁構造と前記第2の片持ち梁構造は、対向して設置され、かつ前記第1の片持ち梁構造と前記第2の片持ち梁構造とは、第1の間隔を有し、前記第1の片持ち梁構造と前記第2の片持ち梁構造との第1の間隔が前記振動信号に基づいて変化することにより、前記振動信号を電気信号に変換する。
【0020】
いくつかの実施例において、各音響電気変換素子に対応する第1の片持ち梁構造及び第2の片持ち梁構造は、前記振動伝達部の周側の内壁に間隔を隔てて分布する。
【0021】
いくつかの実施例において、前記第1の片持ち梁構造の剛性は、前記第2の片持ち梁構造の剛性とは異なる。
【0022】
いくつかの実施例において、前記マイクロフォンは、少なくとも1つの膜構造を含み、前記少なくとも1つの膜構造は、前記音響電気変換素子の上面及び/又は下面に位置する。
【0023】
いくつかの実施例において、前記少なくとも1つの膜構造は、前記音響電気変換素子の上面及び/又は下面を全部又は部分的に被覆する。
【0024】
いくつかの実施例において、前記マイクロフォンは、少なくとも1つの支持構造を含み、前記少なくとも1つの支持構造の一端は、前記振動ピックアップ部のうちの第1の振動ピックアップ部に接続され、前記支持構造の他端は、前記振動ピックアップ部のうちの第2の振動ピックアップ部に接続され、前記少なくとも2つの音響電気変換素子の自由端と前記支持構造とは、第2の間隔を有する。
【0025】
いくつかの実施例において、前記マイクロフォンは、異なる音響電気変換素子から出力された電気信号をデジタル信号に変換するように構成される少なくとも1つのサンプリングモジュールをさらに含み、前記サンプリングモジュールは、異なるサンプリング周波数を用いて、異なる音響電気変換素子から出力された電気信号をサンプリングする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本願は、例示的な実施例によってさらに説明し、これらの例示的な実施例を図面を参照して詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例では、同じ符号は同じ構造を表す。
【0027】
【
図1】本願のいくつかの実施例に係るサブバンド分周処理の例示的なフローチャートである。
【
図2】本願のいくつかの実施例に係るサブバンド分周処理の例示的なフローチャートである。
【
図3】本願のいくつかの実施例に係る音響電気変換素子のばね-質量-ダンパシステムの概略図である。
【
図4】本願のいくつかの実施例に係るばね-質量-ダンパシステムの変位共振曲線の例示的な正規化の概略図である。
【
図5】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図6A】
図5におけるマイクロフォンのA-A方向に沿う概略断面図である。
【
図6B】
図5におけるマイクロフォンのA-A方向に垂直な方向に沿う概略断面図である。
【
図7A】本願のいくつかの実施例に係る片持ち梁構造の分布概略図である。
【
図7B】本願のいくつかの実施例に係る片持ち梁構造の分布概略図である。
【
図8】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図9】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの周波数応答曲線の概略図である。
【
図10】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図11】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図12】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図13】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図14】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図15】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図16A】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略断面図である。
【
図16B】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略断面図である。
【
図17A】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略断面図である。
【
図17B】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略断面図である。
【
図18】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図19】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【
図20】本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、単に本願の例又は実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに応用することができる。言語環境から明らかではないか又は明記されていない限り、図面において同じ符号は同じ構造又は操作を表す。
【0029】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」は、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部品、部分又は組立体を区別するための方法であることが理解されよう。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0030】
本願及び特許請求の範囲に示すように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「一」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的には、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素のみを含むように提示し、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は設備は、他のステップ又は要素も含む可能性がある。
【0031】
本願において、フローチャートを用いて本願の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作は、必ずしも順序に応じて正確に実行されるとは限らないことが理解されよう。その代わりに、様々なステップを逆の順序で、又は同時に処理してもよい。また、他の操作をこれらのプロセスに追加してもよく、これらのプロセスから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0032】
本明細書は、マイクロフォンを説明する。マイクロフォンは、音声信号を電気信号に変換するトランスデューサである。いくつかの実施例において、マイクロフォンは、可動コイル型マイクロフォン、リボン型マイクロフォン、コンデンサ型マイクロフォン、圧電型マイクロフォン、エレクトレット型マイクロフォン、電磁型マイクロフォン、カーボンマイクロフォンなど、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施例において、音声収集方式で区別すると、マイクロフォンは、骨伝導マイクロフォン及び空気伝導マイクロフォンを含んでもよい。本明細書の実施例に係るマイクロフォンは、ハウジング構造、振動ピックアップ部及び少なくとも2つの音響電気変換素子を含んでもよい。ハウジング構造は、振動ピックアップ部及び少なくとも2つの音響電気変換素子を積載するように構成されてもよい。いくつかの実施例において、ハウジング構造は、直方体、円柱体又は他の不規則な構造体であってもよい。いくつかの実施例において、ハウジング構造は、内部が中空の構造体であってもよい。ハウジング構造は、音響キャビティを独立して形成してもよく、振動ピックアップ部及び少なくとも2つの音響電気変換素子は、ハウジング構造の音響キャビティ内に位置してもよい。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部は、ハウジング構造の側壁に接続されてもよく、振動ピックアップ部は、ハウジング構造に伝達された外部音声信号に応答して振動してもよい。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部の振動を受け、かつ受信された振動信号を電気信号に変換して出力するために、少なくとも2つの音響電気変換素子は、振動ピックアップ部に直接又は間接的に接続されてもよい。
【0033】
いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子(例えば、片持ち梁構造)は、振動ピックアップ部の振動に対して異なる周波数応答を有してもよい。例えば、各音響電気変換素子は、いずれも自体の共振周波数を有し、各音響電気変換素子は、いずれもその自体の共振周波数の近傍にある音声成分に対して高い応答を有する。いくつかの実施例において、各音響電気変換素子の音声信号又は振動信号に対する応答は、いずれもその対応する周波数応答曲線により説明することができる(例えば、
図9に示す周波数応答曲線920及び周波数応答曲線930)。いくつかの実施例において、各音響電気変換素子(例えば、片持ち梁構造)の構造、寸法、材料などをそれぞれ設定することにより、異なる音響電気変換素子が、異なる周波数幅及び異なる共振周波数を有する周波数応答をそれぞれ有することを実現することができる。例えば、長さの異なる片持ち梁構造を設置することにより、長さの異なる片持ち梁構造の共振周波数をそれぞれ300Hz~500Hz、500Hz~700Hz、700Hz~1000Hz、2200Hz~3000Hz、4700Hz~5700Hz、7000Hz~12000Hzなどの周波数範囲内にすることができる。いくつかの実施例において、各音響電気変換素子がその共振ピークの近傍のみに高い感度を保持し、すなわち、音響電気変換素子のその共振ピークでの感度が他の領域(特に共振ピーク位置から遠い領域)での感度よりはるかに大きいため、複数の音響電気変換部材を利用して、そのそれぞれの共振ピークの近傍にある音声信号に対して音響電気変換を行うことにより、音声信号に対するサブバンド分周を実現することができる。いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子のうち、少なくとも2つの音響電気変換素子の共振周波数の差が5000Hzより大きい。いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子のうち、少なくとも2つの音響電気変換素子の共振周波数の差が3000Hzより大きい。いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子のうち、少なくとも2つの音響電気変換素子の共振周波数の差が2000Hzより大きい。いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子のうち、少なくとも2つの音響電気変換素子の共振周波数の差が1000Hzより大きい。いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子のうち、少なくとも2つの音響電気変換素子の共振周波数の差が500Hzより大きい。いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子のうち、少なくとも2つの音響電気変換素子の共振周波数の差が200Hzより大きい。いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子のうち、少なくとも2つの音響電気変換素子の共振周波数の差が100Hzより大きい。該内容への説明を容易にするために、単に例示的な説明として、20Hz~15000Hz内に、マイクロフォンは100個のサブバンドを含んでもよく、各サブバンドの帯域幅は約150Hzであり、最小共振周波数が位置する周波数帯域範囲は20Hz~170Hzであり、最大共振周波数が位置する周波数帯域範囲は14850Hz~15000Hzであり、最大共振周波数(例えば、約14920Hz)と最小共振周波数(例えば、約95Hz)との差は約14825Hzである。また、例えば、20Hz~10000Hz内に、マイクロフォンは40個のサブバンドを含んでもよく、各サブバンドの帯域幅は250Hzであり、最小共振周波数が位置する周波数帯域範囲は20Hz~270Hzであり、最大共振周波数が位置する周波数帯域範囲は9750Hz~10000Hzであり、最大共振周波数(例えば、約9875Hz)と最小共振周波数(例えば、約145Hz)との差は約9730Hzである。さらに、例えば、20Hz~10000Hz内に、マイクロフォンは10個のサブバンドを含んでもよく、各サブバンドの帯域幅は1000Hzであり、最小共振周波数が位置する周波数帯域範囲は20Hz~1020Hzであり、最大共振周波数が位置する周波数帯域範囲は9000Hz~10000Hzであり、最大共振周波数(例えば、約9500Hz)と最小共振周波数(例えば、約510Hz)との差は約8090Hzである。なお、上記は単に例示的な説明であり、選択された周波数帯域範囲、サブバンドの数、帯域幅などの具体的な数値は、様々な応用シーン(例えば、室内通話シーン、室外雑音シーンなど)に応じて適応的に調整することができ、ここではさらに限定しない。マイクロフォンの周波数応答は、異なる音響電気変換素子の周波数応答の融合によって形成された信号対雑音比が高い、より平坦な周波数応答曲線と見なしてもよい(例えば、
図9に示す周波数応答曲線910)。本明細書の実施例に係るマイクロフォンは、ハードウェア回路(例えば、フィルタ回路)又はソフトウェアアルゴリズムを利用することなく、自体の構造によりフルバンド信号に対するサブバンド分周処理を実現し、ハードウェア回路の複雑な設計、ソフトウェアアルゴリズムによる計算資源の大量占用、信号歪み、雑音混入をもたらすという問題を回避し、さらにマイクロフォンの複雑さ及び製造コストを低減することができる。一方、本明細書の実施例に係るマイクロフォンは、信号対雑音比が高い、より平坦な周波数応答曲線を出力し、マイクロフォンの信号品質を向上させることができる。また、異なる音響電気変換素子(例えば、片持ち梁構造)を設置することにより、マイクロフォンシステムにおいて、周波数範囲の異なる共振ピークを付加し、マイクロフォンの複数の共振ピークの近傍での感度を向上させ、さらにマイクロフォンの広帯域全体での感度を向上させることができる。
【0034】
図1は、本願のいくつかの実施例に係るサブバンド分周処理の例示的なフローチャートである。
図1に示すように、いくつかの実施例において、マイクロフォン100は、音響電気変換素子110、サンプリングモジュール120、サブバンド分周モジュール130及び信号処理モジュール140を含んでもよい。
【0035】
マイクロフォン100は、音声信号を電気信号に変換するトランスデューサである。いくつかの実施例において、マイクロフォン100は、可動コイル型マイクロフォン、リボン型マイクロフォン、コンデンサ型マイクロフォン、圧電型マイクロフォン、エレクトレット型マイクロフォン、電磁型マイクロフォン、カーボンマイクロフォンなど、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施例において、音声収集方式で区別すると、マイクロフォン100は、骨伝導マイクロフォン及び空気伝導マイクロフォンを含んでもよい。
【0036】
音響電気変換素子110は、振動を受けて電気信号を生成するように構成される。骨伝導マイクロフォンを例として、いくつかの実施例において、マイクロフォン100は、ハウジング構造と、ハウジング構造内に収容され、ハウジング構造に伝達された外部音声信号に応答して振動する振動ピックアップ部と、をさらに含んでもよい。空気伝導マイクロフォンを例として、いくつかの実施例において、振動ピックアップ部とハウジング構造は、少なくとも1つの音響キャビティを画成し、少なくとも1つの音響キャビティは、第1の音響キャビティを含み、ハウジング構造は、1つ以上の孔部を含み、1つ以上の孔部は、第1の音響キャビティに位置し、1つ以上の孔部は、外部音声信号を第1の音響キャビティに導入することができ、振動ピックアップ部は、ハウジング構造に伝達されてさらに第1の音響キャビティ内に入る音声信号に応答して振動し、音響電気変換素子110は、振動ピックアップ部の振動を受けて電気信号を生成する。
【0037】
いくつかの実施例において、音響電気変換素子110は、音声信号を電気信号に変換することができる。いくつかの実施例において、音響電気変換素子110は、コンデンサ型音響電気変換素子又は圧電型変換素子を含んでもよい。いくつかの実施例において、圧電型変換素子は、測定される非電気量(例えば、圧力、変位など)の変化を電圧の変化に変換する素子であってもよい。例えば、圧電型変換素子は、1つの片持ち梁構造を含んでもよく、片持ち梁構造は、振動ピックアップ部の振動で変形することができ、変形した片持ち梁構造による逆圧電効果は、電気信号を生成することができる。いくつかの実施例において、コンデンサ型音響電気変換素子は、測定される非電気量(例えば、変位、圧力、光強度、加速度など)の変化を電気容量の変化に変換する素子であってもよい。例えば、コンデンサ型変換素子は、第1の片持ち梁構造及び第2の片持ち梁構造を含んでもよく、第1の片持ち梁構造及び第2の片持ち梁構造は、振動ピックアップ部の振動で程度の異なる変形を発生させることにより、第1の片持ち梁構造と第2の片持ち梁構造との間の間隔を変化させることができる。音響電気変換素子110の具体的な構造について、本願の明細書の
図5、
図8及びその関連説明を参照することができる。
【0038】
サンプリングモジュール120は、サンプリング周波数に基づいて電気信号に対してサンプリング(及び保持)、量子化及び符号化を行うことにより、電気信号をデジタル信号に変換することを実現することができる。いくつかの実施例において、サンプリングモジュール120は、サンプリング回路、アナログデジタル変換器などを含んでもよい。具体的には、サンプリング回路は、サンプリングモジュール120に入力された連続的な電気信号に対して離散化処理を行い、すなわち、サンプリング周波数に基づいて連続的な電気信号をサンプリングし、一連の離散的なサンプリング値(即ちサンプリング信号)を取得することができる。
【0039】
サブバンド分周モジュール130は、デジタル信号を複数のサブバンド分周信号に分解することができる。いくつかの実施例において、サブバンド分周モジュール130は、電子部品(例えば、フィルタ、分周器など)を含んでもよい。いくつかの実施例において、フィルタは、自体の周波数の特性に基づいて特定の周波数範囲内の電気信号を選択し、他の周波数範囲内の電気信号を減衰させることができる。フィルタの周波数の特性は、フィルタ回路における抵抗、コンデンサ、インダクタンスなどの素子のパラメータを調整して実現することができる。いくつかの実施例において、サブバンド分周モジュール130は、異なる周波数の特性を有する複数のフィルタを含んでもよく、異なる周波数の特性を有するフィルタは、それぞれ自体の共振周波数範囲内に共振を発生させ、対応する共振周波数範囲内の電気信号をそれぞれ選択することにより、広い周波数帯域の電気信号を複数のサブバンド分周信号に分解することができる。いくつかの実施例において、さらにバックエンドアルゴリズムにより信号に対してサブバンド分周処理を行ってもよい。いくつかの実施例において、バックエンドアルゴリズムは、線形予測分析(LPC)、線形予測ケプストラム係数(LPCC)、メル周波数ケプストラム係数(MFCC)などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。
【0040】
信号処理モジュール140は、サブバンド分周信号を処理することができる。いくつかの実施例において、信号処理モジュール140は、等化器、ダイナミックレンジコントローラ、位相プロセッサなどのうちの1つ又は複数を含んでもよい。いくつかの実施例において、等化器は、サブバンド分周モジュール130から出力されたサブバンド分周信号に、特定の周波数帯域(例えば、サブバンド分周信号に対応する周波数帯域)に応じて、利得及び/又は減衰を付与するように構成されてもよい。サブバンド分周信号に利得を付与するとは、信号増幅量を増大させることであり、サブバンド分周信号に減衰を付与するとは、信号増幅量を低減することである。いくつかの実施例において、ダイナミックレンジコントローラは、サブバンド分周信号を圧縮及び/又は増幅するように構成されてもよい。サブバンド分周電気信号を圧縮及び/又は増幅するとは、マイクロフォン100において入力された信号と出力された信号との間の比率を減少及び/又は増加させることである。いくつかの実施例において、位相プロセッサは、サブバンド分周信号の位相を調整するように構成されてもよい。いくつかの実施例において、信号処理モジュール140は、マイクロフォン100の内部に位置してもよい。例えば、信号処理モジュール140は、マイクロフォン100のハウジング構造によって独立して形成された音響キャビティ内に位置してもよい。いくつかの実施例において、信号処理モジュール140は、他の電子装置、例えば、イヤホン、モバイルデバイス、タブレットコンピュータ、ノートパソコンなどのうちの1種又はそれらの任意の組み合わせに位置してもよい。いくつかの実施例において、モバイルデバイスは、携帯電話、スマートホームデバイス、スマートモバイルデバイスなど、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、スマートホームデバイスは、スマート電気器具の制御装置、スマート監視装置、スマートテレビ、スマートカメラなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、スマートモバイルデバイスは、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ゲーム装置、ナビゲーション装置、POS装置など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0041】
上記マイクロフォン100の動作プロセスにおいて、サブバンド分周モジュール130が電子部品であるとき、その電子部品の特性の影響を受け、サブバンド分周モジュール130のフィルタ回路は、より高い分周フィルタ効果を達成するために、一般的に設計が複雑である。一方、サブバンド分周モジュール130がバックエンドアルゴリズムによりサブバンド分周を実現する場合、バックエンドアルゴリズムの計算資源に対する要求が高く、処理する必要があるデータ量が大きいため、計算時間が長すぎ、バックエンドアルゴリズムによりサブバンド分周を実現することは、処理プロセスにおいて音声信号の歪み、雑音混入の問題を引き起こし、音質に影響を与える場合がある。したがって、上記サブバンド分周方法に存在する問題に対して、本明細書は、マイクロフォンにおけるフィルタ回路の設計が複雑で、バックエンドアルゴリズムの計算量が大きいという問題を解決すると共に、マイクロフォンのQ値及び感度を向上させるマイクロフォンを提供し、マイクロフォンの内容について、本願の明細書の
図2~
図20及びその関連説明を参照することができる。
【0042】
なお、マイクロフォン100の構成部分は、
図1に示す音響電気変換素子110、サンプリングモジュール120、サブバンド分周モジュール130及び信号処理モジュール140に限定されず、他のモジュールを含んでもよい。また、音響電気変換素子110、サンプリングモジュール120、サブバンド分周モジュール130及び信号処理モジュール140は、1つのシステムとしてもよく、マイクロフォン100は、該システムの一部として、音響電気変換素子110のみを含んでもよい。サンプリングモジュール120、サブバンド分周モジュール130及び信号処理モジュール140は、マイクロフォン100の外に設置されて、音響電気変換素子110から出力された電気信号が、後続の処理を行うために、有線又は無線の方式で対応するモジュールに伝達されてもよい。
【0043】
図2は、本願のいくつかの実施例に係るサブバンド分周処理の例示的なフローチャートである。
図2に示すように、いくつかの実施例において、マイクロフォン200は、少なくとも2つの音響電気変換素子210、サンプリングモジュール220及び信号処理モジュール230を含んでもよい。マイクロフォン200は、外部音声信号をピックアップし、かつ音声信号を音響電気変換素子210に伝達し、音響電気変換素子は、音声信号(例えば、振動)を電気信号に変換することができる。いくつかの実施例において、少なくとも2つの音響電気変換素子210のうちの各音響電気変換素子(例えば、第1の音響電気変換素子、第2の音響電気変換素子、……第n音響電気変換素子など)が、音声信号に対して異なる周波数応答をそれぞれ有するため、各音響電気変換素子から主に出力された電気信号はそれぞれ、異なる周波数範囲及び周波数帯域幅(すなわちサブバンド分周電気信号1、……サブバンド分周電気信号nなど)に対応する。例えば、音響電気変換素子は、第1の音響電気変換素子、第2の音響電気変換素子、第3の音響電気変換素子、及び第4の音響電気変換素子を含み、それらがそれぞれ第1の周波数応答、第2の周波数応答、第3の周波数応答及び第4の周波数応答を有してもよい。いくつかの実施例において、第1の周波数応答、第2の周波数応答、第3の周波数応答及び第4の周波数応答にそれぞれ対応する周波数範囲は異なってもよい。或いは、第1の周波数応答、第2の周波数応答及び第3の周波数応答にそれぞれ対応する周波数範囲は、互いに異なって、第4の周波数応答の周波数範囲は、第3の周波数応答の周波数範囲と同じであってもよい。いくつかの実施例において、第1の周波数応答、第2の周波数応答、第3の周波数応答及び第4の周波数応答に対応する周波数帯域幅は、同じであってもよく、異なってもよい。例えば、第2の周波数応答の周波数帯域幅は、第1の周波数応答の周波数帯域幅より大きく、第3の周波数応答の周波数帯域幅は、第2の周波数応答の周波数帯域幅より大きい。また、例えば、第4の周波数応答に対応する周波数帯域幅は、第3の周波数応答に対応する周波数帯域幅に等しい。いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子に対応する周波数範囲は、互いに重なってもよく、重ならなくてもよい。例えば、第1の周波数応答と第2の周波数応答は、隣接する2つのサブバンドのうちの1つにそれぞれ対応し、第2の周波数応答の周波数範囲は、第1の周波数応答の周波数範囲の少なくとも一部を含み、第2の周波数応答の周波数範囲と第1の周波数応答の周波数範囲は、重なる部分を有する。また、例えば、第1の周波数応答と第4の周波数応答は、隣接しない2つのサブバンドのうちの1つにそれぞれ対応し、第4の周波数応答の周波数範囲と第1の周波数応答の周波数範囲は、同じ周波数又は周波数範囲を有さず、この場合、第4の周波数応答と第1の周波数応答は、重ならない。いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子に対応する共振周波数は、異なってもよい。例えば、第1の周波数応答、第2の周波数応答、第3の周波数応答、及び第4の周波数応答にそれぞれ対応する共振周波数は、徐々に増大する。いくつかの実施例において、第2の周波数応答と第1の周波数応答は、半電力点に近接又は位置する位置で交差してもよい。例えば、第2の周波数応答の共振周波数は、第1の周波数応答の共振周波数より大きく、第2の周波数応答の半電力点は、第1の周波数応答の半電力点と交差する。いくつかの実施例において、第2の周波数応答と第1の周波数応答は、半電力点に近接しない位置で交差してもよい。
【0044】
いくつかの実施例において、片持ち梁構造の寸法(例えば、長さ、幅、厚さなど)、材料などを調整することにより、異なる片持ち梁構造に、それぞれ所望の周波数範囲内に共振を発生させ、さらに異なる共振周波数範囲に対応する周波数応答を取得することができる。片持ち梁が直方体構造であることを例示的に説明すると、いくつかの実施例において、音響電気変換素子250の共振周波数は、片持ち梁構造の長さと負の相関関係にある。例えば、音響電気変換素子250は、第1の音響電気変換素子及び第2の音響電気変換素子を含んでもよく、第1の音響電気変換素子は、第1の片持ち梁構造を含んでもよく、第2の音響電気変換素子は、第2の片持ち梁構造を含んでもよく、第1の片持ち梁構造の長さは、第2の片持ち梁構造の長さより大きく、第1の音響電気変換素子に対応する共振周波数は、第2の音響電気変換素子に対応する共振周波数より低い。なお、ここで、第1の片持ち梁構造と第2の片持ち梁構造は長さが異なる以外、他のパラメータ(例えば、幅、厚さ、材料)が同じである。他のいくつかの実施例において、異なる片持ち梁構造の共振周波数を調整するために、異なる片持ち梁構造の長さ、幅、厚さ、材料は、いずれも調整されてもよい。
【0045】
いくつかの実施例において、複数のサブバンド分周電気信号は、異なる並列回路を介してそれぞれ伝送されてもよい。いくつかの実施例において、複数のサブバンド分周電気信号は、1つの回路を共用して、特定のプロトコルルールに従って特定のフォーマットで出力されてもよい。いくつかの実施例において、特定のプロトコルルールは、直接伝送、振幅変調、周波数変調などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、回路媒体は、同軸ケーブル、通信ケーブル、フレキシブルケーブル、スパイラルケーブル、非金属シースケーブル、金属シースケーブル、多芯ケーブル、ツイストペアケーブル、フラットケーブル、シールドケーブル、電気通信ケーブル、ツインナックスケーブル、平行二芯線、ツイストペア線、光ファイバ、赤外線、電磁波、音波などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、特定のフォーマットは、CD、WAVE、AIFF、MPEG-1、MPEG-2、MPEG-3、MPEG-4、MIDI、WMA、Real Audio、VQF、AMR、APE、FLAC、AACなどのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、伝送プロトコルは、AES3、EBU、ADAT、I2S、TDM、MIDI、CobraNet、Ethernet AVB、Dante、ITU-T G.728、ITU-T G.711、ITU-T G.722、ITU-T G.722.1、ITU-T G.722.1 Annex C、AAC-LDなどのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。
【0046】
いくつかの実施例において、音響電気変換素子210における各音響電気変換素子(例えば、第1の音響電気変換素子、……第n音響電気変換素子)は、それに対応するサブバンド分周電気信号(例えば、サブバンド分周電気信号1、……サブバンド分周電気信号n)をそれぞれ出力し、さらに対応するサンプリングモジュール220(例えば、第1のサンプリングモジュール1、……第nサンプリングモジュールなど)にそれぞれ伝送してサンプリングすることにより、サブバンド分周電気信号(例えば、サブバンド分周電気信号1、……サブバンド分周電気信号nなど)をそれぞれ、それに対応するデジタル信号(例えば、デジタル信号1、……デジタル信号nなど)に変換する。例えば、第1のサンプリングモジュールは、サブバンド分周電気信号1をサンプリングすることにより、サブバンド分周電気信号1をデジタル信号1に変換することができる。なお、サブバンド分周電気信号は、サブバンドと略称されてもよい。いくつかの実施例において、サンプリングモジュール220の数は、音響電気変換素子210の数と異なってもよい。例えば、複数の音響電気変換素子から出力されたサブバンド分周電気信号は、同一のサンプリングモジュールにより同じサンプリング周波数でサンプリングされてもよい。いくつかの実施例において、隣接する2つ以上の音響電気変換素子から出力されたサブバンド分周電気信号の周波数範囲が比較的近く、サブバンド分周電気信号の変換効率を向上させるために、同一のサンプリングモジュールは、隣接する2つ以上の音響電気変換素子から出力されたサブバンド分周電気信号をサンプリングしてもよい。サンプリング周波数、サンプリングのデータ量及びサンプリングの難しさを低減するために、いくつかの実施例において、サンプリングモジュール220のサンプリング周波数は、異なるサブバンド分周電気信号の周波数範囲に基づいて決定されてもよい。これは、異なるサブバンド分周電気信号が異なる周波数範囲を有し、異なるサンプリング周波数に基づいて、サンプリングモジュールが異なるサブバンド分周電気信号を処理できると理解してもよい。例えば、低周波数範囲にあるサブバンド分周電気信号に対して、低いサンプリング周波数を用いることにより、低いカットオフ周波数を保証する。また、例えば、中高周波数範囲にあるサブバンド分周電気信号に対して、高いサンプリング周波数を用いることにより、比較的高いカットオフ周波数を保証する。サンプリングモジュールは、異なるサンプリング周波数に基づいて異なるサブバンド分周電気信号を処理することにより、サンプリングのデータ量を低減すると共に、サンプリングの難しさ及びコストを低減することができる。また、異なるサンプリング周波数によりサブバンド信号を処理し、サブバンド分周及びサンプリングの処理プロセスにおいて信号歪み及び雑音混入などの問題が発生することを回避する。いくつかの実施例において、各サブバンド分周電気信号に対応するサンプリングモジュールのサンプリングカットオフ周波数は、該サブバンド分周電気信号に対応する共振周波数範囲(以下では「帯域幅」と略称される)における最大周波数より、特定値だけ大きくてもよい。ここで、サブバンド分周電気信号に対応する共振周波数範囲は、サブバンド分周電気信号の3dBの帯域幅を指し、応答の振幅が共振ピークの1/2に低下するときに画定された周波数範囲と理解されてもよい。いくつかの実施例において、該特定値の範囲は、500Hzより大きくてもよい。いくつかの実施例において、該特定値の範囲は、600Hzより大きくてもよい。いくつかの実施例において、該特定値の範囲は、800Hzより大きくてもよい。サブバンド分周電気信号の変換品質をさらに向上させるために、いくつかの実施例において、サンプリング周波数は、サブバンド分周電気信号の帯域幅の最高周波数の2倍以上であってもよい。いくつかの実施例において、サンプリング周波数は、サブバンド分周電気信号の帯域幅の最高周波数の3倍以上であってもよい。いくつかの実施例において、サンプリング周波数は、サブバンド分周電気信号の帯域幅の最高周波数の2倍以上、サブバンド分周電気信号の帯域幅の最高周波数の4倍以下であってもよい。
【0047】
いくつかの実施例において、サンプリングモジュール220のうちの各サンプリングモジュールから出力されたデジタル信号(例えば、デジタル信号1、……デジタル信号nなど)は、信号処理を行うために、信号処理モジュール230にさらに伝送されてもよい。いくつかの実施例において、複数のデジタル信号は、異なる並列回路を介して信号処理モジュール230にそれぞれ伝送されてもよい。いくつかの実施例において、複数のデジタル信号は、1つの回路を共用して、特定のプロトコルルールに従って特定のフォーマットで信号処理モジュール230に伝送されてもよい。
【0048】
いくつかの実施例において、異なる周波数応答の特性を有する音響電気変換素子(例えば、片持ち梁構造)をマイクロフォンに設置することにより、音響電気変換素子が広帯域の音声信号に対してサブバンド分解を直接的に行うことを実現して、ハードウェア回路又はソフトウェアアルゴリズムを用いることで、ハードウェア回路の複雑な設計、ソフトウェアアルゴリズムによる計算資源の大量占用、信号歪み、雑音混入をもたらすという問題を回避し、さらにマイクロフォンの複雑さ及び製造コストを低減することができる。
【0049】
なお、マイクロフォン200の構成部分は、
図2に示す音響電気変換素子210、サンプリングモジュール220及び信号処理モジュール230に限定されず、他のモジュール、例えば、振動ピックアップ部、振動伝達部、回路モジュールなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。また、
図2において記載したn(例えば、第nの音響電気変換素子、第nのサンプリングモジュールなど)は、2以上の整数であってもよく、nの具体的な数値は、実際の応用シーンに応じて適応的に調整できるということは理解できるであろう。
【0050】
音響電気変換素子の理解を容易にするために、いくつかの実施例において、マイクロフォンの音響電気変換素子は、ばね-質量-ダンパシステムとほぼ同等であってもよい。マイクロフォンが動作するとき、ばね-質量-ダンパシステムは、励起源(例えば、振動ピックアップ部の振動)の作用で振動する可能性がある。
図3は、本願のいくつかの実施例に係る音響電気変換素子のばね-質量-ダンパシステムの概略図である。
図3に示すように、ばね-質量-ダンパシステムは、微分方程式(1)に従って移動してもよい。
【数1】
ここで、Mは、ばね-質量-ダンパシステムにおける質量を表し、xは、ばね-質量-ダンパシステムにおける変位を表し、Rは、ばね-質量-ダンパシステムにおけるダンパを表し、Kは、ばね-質量-ダンパシステムにおける弾性係数を表し、Fは、駆動力の振幅を表し、ωは、外力の角周波数を表す。
【0051】
微分方程式(1)を解いて定常状態(2)での変位を取得することができる。
【数2】
ここで、xは、出力電気信号の値に等しい、マイクロフォンが動作するときのばね-質量-ダンパシステムにおける変形を表し、
【数3】
におけるX
aは、出力変位を表し、Zは、機械的インピーダンスを表し、θは、発振位相を表す。
【0052】
変位振幅の比率Aの正規化は、方程式(3)で表現してもよい。
【数4】
ここで、
【数5】
におけるX
a0は、定常状態での変位幅(又はω=0であるときの変位幅)を表し、
【数6】
における
【数7】
は、外力周波数と固有周波数との比率を表し、ω
0=K/Mにおけるω
0は、振動の角周波数を表し、
【数8】
におけるQ
mは、機械的品質係数を表す。
【0053】
図4は、本願のいくつかの実施例に係るばね-質量-ダンパシステムの変位共振曲線の例示的な正規化の概略図である。横軸は、ばね-質量-ダンパシステムにおける実際の振動周波数とその固有周波数との比率を表すことができ、縦軸は、ばね-質量-ダンパシステムの正規化変位を表すことができる。
図4における各曲線は、異なるパラメータを有するばね-質量-ダンパシステムの変位共振曲線をそれぞれ表すことができるということは理解できるであろう。いくつかの実施例において、マイクロフォンは、音響電気変換素子とハウジング構造との間の相対変位により電気信号を生成してもよい。例えば、エレクトレット型マイクロフォンは、変形する振動膜と基板との間の距離の変化に基づいて電気信号を生成することができる。別の例として、片持ち梁式骨伝導マイクロフォンは、変形する片持ち梁構造による逆圧電効果、又は片持ち梁間の距離変化による容量変化に基づいて電気信号を生成することができる。いくつかの実施例において、片持ち梁構造の変形による変位が大きいほど、マイクロフォンから出力された電気信号が大きくなる。
図4に示すように、ばね-質量-ダンパシステムの実際の振動周波数とその固有周波数が同じ又はほぼ同じである場合(すなわち、ばね-質量-ダンパシステムの実際の振動周波数とその固有周波数との比率ω/ω
0が1に等しいか又はほぼ等しい場合)、ばね-質量-ダンパシステムの正規化変位が大きくなり、変位共振曲線における共振ピークの3dBの帯域幅(共振周波数範囲と理解してもよい)が狭くなる。上記方程式(3)から分かるように、ばね-質量-ダンパシステムの正規化変位が大きいほど、マイクロフォンのQ値が大きくなる。
【0054】
図5は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図5に示すように、マイクロフォン500は、ハウジング構造510、少なくとも2つの音響電気変換素子520及び振動ピックアップ部522を含んでもよい。ハウジング構造510は、振動ピックアップ部522及び音響電気変換素子520を積載するように構成されてもよい。いくつかの実施例において、ハウジング構造510は、直方体、円柱体、円錐台などの規則的な構造体、又は他の不規則な構造体であってもよい。いくつかの実施例において、ハウジング構造510は、内部が中空の構造体であり、ハウジング構造510は、音響キャビティを独立して形成してもよく、振動ピックアップ部522及び少なくとも2つの音響電気変換素子520は、該音響キャビティ内に位置してもよい。いくつかの実施例において、ハウジング構造510の材質は、金属、合金材料、ポリマー材料(例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリプロピレンなど)などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522は、ハウジング構造510で形成された音響キャビティを第1の音響キャビティ530及び第2の音響キャビティ540を含む複数のキャビティに仕切るために、ハウジング構造510の側壁に接続されてもよい。
【0055】
いくつかの実施例において、ハウジング構造510の第1の音響キャビティ530に対応する側壁に1つ以上の孔部511が開設されてもよく、1つ以上の孔部511は、第1の音響キャビティ530に位置し、かつ外部音声信号を第1の音響キャビティ530に導入してもよい。いくつかの実施例において、外部音声信号は、孔部511からマイクロフォン500の第1の音響キャビティ530に入り、かつ第1の音響キャビティ530内の空気を振動させてもよい。振動ピックアップ部522は、空気の振動信号をピックアップし、かつ振動信号を音響電気変換素子520に伝達してもよく、音響電気変換素子520は、該振動信号を受信し、かつ振動信号を電気信号に変換して出力する。
【0056】
いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522は、上から下へ順に設置された第1の振動ピックアップ部5221及び第2の振動ピックアップ部5222を含んでもよい。第1の振動ピックアップ部5221及び第2の振動ピックアップ部5222は、その周側によりハウジング構造510に接続されてもよく、第1の振動ピックアップ部5221及び第2の振動ピックアップ部5222の少なくとも一部の構造は、孔部511を通ってマイクロフォン500に入った音声信号に応答して振動してもよい。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522の材料は、半導体材料、金属材料、金属合金、有機材料などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、半導体材料は、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属材料は、銅、アルミニウム、クロム、チタン、金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属合金は、銅アルミニウム合金、銅金合金、チタン合金、アルミニウム合金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、有機材料は、ポリイミド、パリレン、PDMS、シリコンゲル、シリカゲルなどを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522の構造は、板状構造、柱状構造などであってもよい。
【0057】
いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522における異なる領域は、異なる材料で製造されてもよい。例えば、振動ピックアップ部522における振動伝達部523と接触する部分、振動ピックアップ部522におけるキャビティ550に対応する部分の材料は、剛性材料であってもよく、その剛性は、振動ピックアップ部522における他の領域、例えば、主に空気振動に応答してハウジング構造510に対して移動するエッジ領域の剛性より大きい。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522における剛性材料で構成された部分構造は、第1の音響キャビティ530内の空気振動の作用でほとんど変形しないため、キャビティ550の体積を基本的に一定に保持し、キャビティ550の体積変化による音響電気変換素子1320への影響を回避し、さらに音響電気変換素子520が受信した振動ピックアップ部522の振動信号を所望の周波数帯域範囲内の電気信号に変換できるよう保証することができる。いくつかの実施例において、キャビティ550は、真空キャビティであってもよい。音響電気変換素子520は、真空キャビティ内に位置し、音響電気変換素子520が音響キャビティの空気と接触することを回避し、さらに音響電気変換動作プロセスにおける音響キャビティの空気振動が音響電気変換素子520に与える影響を解決し、すなわちマイクロフォンの大きなノイズフロアの問題を解決する。一方、音響電気変換素子520は、真空キャビティ内に位置することにより、音響電気変換素子520が振動において気体と摩擦することを回避し、マイクロフォン500の真空キャビティの内部の空気ダンパを減少させ、マイクロフォン500のQ値を向上させることができる。いくつかの実施例において、キャビティ550の真空度は、100Paより小さくてもよい。いくつかの実施例において、キャビティ550の真空度は、10-6Pa~100Paであってもよい。いくつかの実施例において、キャビティ550の真空度は、10-3Pa~100Paであってもよい。いくつかの実施例において、キャビティ550の真空度は、1Pa~100Paであってもよい。
【0058】
いくつかの実施例において、マイクロフォン500は、振動伝達部523を含んでもよい。振動伝達部523は、第1の振動ピックアップ部5221と第2の振動ピックアップ部5222との間に位置してもよい。振動伝達部523の上面は、第1の振動ピックアップ部5221の下面に接続され、振動伝達部523の下面は、第2の振動ピックアップ部5222の上面に接続される。いくつかの実施例において、振動伝達部523、第1の振動ピックアップ部5221、第2の振動ピックアップ部5222の間にキャビティ550を形成してもよく、音響電気変換素子520はキャビティ550内に位置してもよい。具体的には、音響電気変換素子520の一端は、振動伝達部523の内壁に接続されてもよく、音響電気変換素子520の他端は、キャビティ550内に宙吊りに設置されてもよい。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部522(例えば、第1の振動ピックアップ部5221、第2の振動ピックアップ部5222)は、振動伝達部523により振動信号を音響電気変換素子520に伝達することができる。いくつかの実施例において、振動伝達部523の材料は、半導体材料、金属材料、金属合金、有機材料などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、振動伝達部523の材料と振動ピックアップ部522の材料は、同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの実施例において、振動伝達部523と振動ピックアップ部522は、一体成形された構造であってもよい。いくつかの実施例において、振動伝達部523と振動ピックアップ部522は、互いに独立した構造であってもよい。いくつかの実施例において、振動伝達部523は、管状構造、環状構造、四角形、五角形などの規則的及び/又は不規則な多角形構造であってもよい。
【0059】
なお、代替的な実施例において、振動ピックアップ部522は、第1の振動ピックアップ部5221のみを含んでもよく、第1の振動ピックアップ部5221は、その周側によりハウジング構造510に接続され、1つ以上の音響電気変換素子520は、第1の振動ピックアップ部5221に直接又は間接的に接続されてもよい。例えば、音響電気変換素子520は、第1の振動ピックアップ部5221の上面又は下面に位置してもよく、音響電気変換素子520の数が複数であるとき、複数の音響電気変換素子520は、第1の振動ピックアップ部5221の上面又は下面に間隔を隔てて分布し、複数の音響電気変換素子520は、互いに接触しない。また、例えば、音響電気変換素子520は、他の構造(例えば、振動伝達部523)により第1の振動ピックアップ部5221に接続されてもよい。第1の振動ピックアップ部5221が孔部511を通ってマイクロフォン500に入った音声信号に応答して振動し、音響電気変換素子520が第1の振動ピックアップ部5221又は振動伝達部523の振動を電気信号に変換してもよい。
【0060】
いくつかの実施例において、複数の音響電気変換素子520は、振動伝達部523の内壁に間隔を隔てて分布してもよい。なお、ここで、間隔を隔てて分布するとは、水平方向(
図5に示すA-A方向に垂直な方向)又は鉛直方向(
図5に示すA-A方向)であってもよい。例えば、振動伝達部523が環状管状構造であるとき、鉛直方向において、複数の音響電気変換素子520は、上から下へ順に間隔を隔てて分布してもよい。
図6Aは、
図5におけるマイクロフォンのA-A方向に沿う概略断面図である。
図6Aに示すように、複数の音響電気変換素子520は、振動伝達部523の内壁に順に間隔を隔てて分布してもよく、かつ水平方向において、間隔を隔てて分布する複数の音響電気変換素子520は、同一の平面上又はほぼ平行になる。
図6Bは、
図5におけるマイクロフォンのA-A方向に垂直な方向に沿う概略断面図である。
図6Bに示すように、水平方向において、各音響電気変換素子520における振動伝達部530との固定端は、振動伝達部523の環状内壁に間隔を隔てて分布してもよく、音響電気変換素子520の固定端と振動伝達部523とは、ほぼ垂直であってもよく、音響電気変換素子520の他端(自由端とも称される)は、振動伝達部523の中心の方向に延在し、かつキャビティ550内に宙吊りにされることにより、音響電気変換素子520は、水平方向において環状に分布する。いくつかの実施例において、振動伝達部523が多角形管状構造(例えば、三角形、五角形、六角形など)であるとき、水平方向において、複数の音響電気変換素子520の固定端は、振動伝達部523の各側壁に沿って間隔を隔てて分布してもよい。
図7Aは、本願のいくつかの実施例に係る音響電気変換素子の水平方向での分布概略図である。
図7Aに示すように、振動伝達部523は、四角形構造であり、複数の音響電気変換素子520は、振動伝達部523の4つの側壁に交互に分布してもよい。
図7Bは、本願のいくつかの実施例に係る音響電気変換素子の分布概略図である。
図7Bに示すように、振動伝達部523は、六角形構造であり、長さの異なる片持ち梁構造521は、振動伝達部523の6つの側壁に交互に分布してもよい。複数の音響電気変換素子520が振動伝達部523の内壁に間隔を隔てて分布することにより、キャビティ550の空間の利用率を向上させ、マイクロフォン500の全体体積を低減することができる。
【0061】
なお、水平方向又は鉛直方向において、複数の音響電気変換素子520は、振動伝達部523のすべての内壁に間隔を隔てて分布することに限定されず、複数の音響電気変換素子520は、振動伝達部523の1つの側壁又は一部の側壁に設置されてもよく、複数の音響電気変換素子520は、同一の水平面上に位置してもよい。例えば、振動伝達部523は、直方体構造であり、複数の音響電気変換素子520は、直方体構造の1つの側壁、対向又は隣接する2つの側壁、又は任意の3つの側壁に同時に設置されてもよい。複数の音響電気変換素子520の分布方式について、その数又はキャビティ550の大きさに応じて適応的に調整することができ、ここではさらに限定しない。
【0062】
いくつかの実施例において、各音響電気変換素子520は、1つの片持ち梁構造を含んでもよく、片持ち梁構造の一端は、振動伝達部523の内壁に接続されてもよく、片持ち梁構造の他端は、キャビティ550内に宙吊りに設置されてもよい。
【0063】
いくつかの実施例において、片持ち梁構造は、第1の電極層、圧電層、第2の電極層、弾性層及びベース層を含んでもよい。第1の電極層、圧電層、第2の電極層は、上から下へ順に設置されてもよく、弾性層は、第1の電極層の上面又は第2の電極層の下面に位置してもよく、ベース層は、弾性層の上面又は下面に位置してもよい。いくつかの実施例において、外部音声信号は、孔部511を通ってマイクロフォン500の第1の音響キャビティ530に入り、かつ第1の音響キャビティ530内の空気を振動させることができる。振動ピックアップ部522は、空気の振動信号をピックアップし、かつ振動信号を振動伝達部523により音響電気変換素子520(例えば、片持ち梁構造)に伝達し、片持ち梁構造における弾性層を振動信号の作用で変形させることができる。いくつかの実施例において、圧電層は、弾性層の変形に基づいて電気信号を生成することができ、第1の電極層及び第2の電極層は、該電気信号を収集することができる。いくつかの実施例において、圧電層は、圧電効果に基づいて、弾性層の変形応力の作用で電圧(電位差)を生成することができ、第1の電極層及び第2の電極層は、該電圧(電気信号)を導出することができる。
【0064】
いくつかの実施例において、弾性層は、1つ又は複数の半導体材料で支持された膜状構造又はブロック状構造であってもよい。いくつかの実施例において、半導体材料は、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、圧電層の材料は、圧電結晶材料及び圧電セラミック材料を含んでもよい。圧電結晶材料とは、圧電単結晶である。いくつかの実施例において、圧電結晶材料は、水晶、閃亜鉛鉱、方硼石、電気石、紅亜鉛鉱、GaAs、チタン酸バリウム及びその誘導体結晶、KH2PO4、NaKC4H4O6・4H2O(ロッシェル塩)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。圧電セラミック材料とは、異なる材料の粉末間の固相反応と焼結により得られた微細結晶粒がランダムに集合した圧電多結晶体である。いくつかの実施例において、圧電セラミック材料は、チタン酸バリウム(BT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸鉛バリウムリチウム(PBLN)、改質チタン酸鉛(PT)、窒化アルミニウム(AIN)、酸化亜鉛(ZnO)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、圧電層の材料は、圧電ポリマー材料、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などであってもよい。いくつかの実施例において、第1の電極層及び第2の電極層は、導電性材質の構造であってもよい。例示的な導電性材質は、金属、合金材料、金属酸化物材料、グラフェンなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、金属と合金材料は、ニッケル、鉄、鉛、白金、チタン、銅、モリブデン、亜鉛、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、合金材料は、銅亜鉛合金、銅錫合金、銅ニッケルケイ素合金、銅クロム合金、銅銀合金など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、金属酸化物材料は、RuO2、MnO2、PbO2、NiOなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0065】
いくつかの実施例において、片持ち梁構造は、ボンディングワイヤ電極層(PAD層)を含んでもよく、ボンディングワイヤ電極層は、第1の電極層及び第2の電極層上に位置してもよく、外部ボンディングワイヤ(例えば、金線、アルミニウム線など)の方式で第1の電極層及び第2の電極層を外部回路に接続することにより、第1の電極層と第2の電極層との間の電圧信号をバックエンド処理回路に出力する。いくつかの実施例において、ボンディングワイヤ電極層の材料は、銅箔、チタン、銅などを含んでもよい。いくつかの実施例において、ボンディングワイヤ電極層と第1の電極層(又は第2の電極層)の材料は、同じであってもよい。いくつかの実施例において、ボンディングワイヤ電極層と第1の電極層(又は第2の電極層)の材料は、異なってもよい。
【0066】
他のいくつかの実施例において、片持ち梁構造は、少なくとも1つの弾性層、電極層及び圧電層を含んでもよく、弾性層は、電極層の表面に位置してもよく、電極層は、圧電層の上面又は下面に位置してもよい。いくつかの実施例において、電極層は、第1の電極及び第2の電極を含んでもよい。第1の電極と第2の電極は、第1の櫛歯状構造に折り曲げられてもよく、第1の櫛歯状構造と第2の櫛歯状構造は、複数の櫛歯構造を含んでもよく、第1の櫛歯状構造の隣接する櫛歯構造の間にも、第2の櫛歯状構造の隣接する櫛歯構造の間にも、一定の間隔を有し、該間隔は、同じであってもよく、異なってもよい。第1の櫛歯状構造は、第2の櫛歯状構造と嵌合して電極層を形成し、さらに、第1の櫛歯状構造の櫛歯構造は、第2の櫛歯状構造の間隔へ入り込み、第2の櫛歯状構造の櫛歯構造は、第1の櫛歯状構造の間隔へ入り込むことにより、互いに嵌合して電極層を形成してもよい。第1の櫛歯状構造と第2の櫛歯状構造が互いに嵌合することにより、第1の電極と第2の電極は、コンパクトに配列されるが、交差しない。いくつかの実施例において、第1の櫛歯状構造及び第2の櫛歯状構造は、片持ち梁の長手方向(例えば、固定端から自由端への方向)に沿って延在する。弾性層及び圧電層のさらなる説明について、
図5及びその関連説明を参照することができる。いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子520における各片持ち梁構造は、それぞれ片持ち梁共振システムを構成してもよく、該システムの共振周波数は、式(4)で表すことができる。
【数9】
ここで、f
0は、共振システムの共振周波数を表し、kは、共振システムの剛性を表し、mは、共振システムの質量を表す。式(4)から分かるように、片持ち梁共振システムの剛性とその質量との比率k/mの値が小さくなると、共振システムの共振周波数f
0も低下する。いくつかの実施例において、共振システムの共振周波数を変更することにより、共振システムの特定の(例えば、共振周波数より小さい)周波数範囲での感度を向上させることができる。
【0067】
いくつかの実施例において、片持ち梁構造が直方体構造であるとき、片持ち梁共振システムの共振周波数の計算式(4)は、さらに式(5)で表すことができる。
【数10】
ここで、f
0は、共振システムの共振周波数を表し、Eは、片持ち梁構造の材料の弾性率を表し、lは、片持ち梁構造の断面二次モーメント(片持ち梁構造の長さと理解されてもよい)を表し、ρは、片持ち梁構造の密度を表し、Aは、片持ち梁構造の断面積を表す。
【数11】
、ここで、bは、片持ち梁構造の断面の幅を表し、
hは、片持ち梁構造の断面の高さを表す。式(5)から分かるように、片持ち梁構造の断面寸法(すなわち、片持ち梁構造の幅及び高さ)、材料が同じであるとき、片持ち梁構造の長さが長いほど、片持ち梁構造の共振周波数が小さくなる。
【0068】
上記説明に基づいて、いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子520(例えば、長さの異なる片持ち梁構造)を設置することにより、異なる音響電気変換素子520にそれぞれ異なる共振周波数を備えさせ、振動伝達部523の振動信号に対して異なる周波数応答を生成することができる。いくつかの実施例において、片持ち梁構造のパラメータ(例えば、長さ、幅、厚さ、材料など)を設定することにより、異なる共振周波数に対応する周波数応答を取得することができる。いくつかの実施例において、片持ち梁構造に対応する共振周波数は、片持ち梁構造のその振動方向に垂直な長さと負の相関関係にあってもよく、すなわち片持ち梁構造のその振動方向に垂直な長さが長いほど、片持ち梁構造に対応する共振周波数が小さくなる。例えば、
図7Aにおける第1の片持ち梁構造5211のその振動方向に垂直な長さは、第2の片持ち梁構造5212のその振動方向に垂直な長さより大きく、第1の片持ち梁構造5211に対応する共振周波数は、第2の片持ち梁構造5212に対応する共振周波数より低い。いくつかの実施例において、片持ち梁構造の長さを調整することにより、異なる片持ち梁構造に対応する複数の共振周波数のうちの少なくとも2つを20Hz~16000Hzの範囲内にすることができる。いくつかの実施例において、片持ち梁構造の長さを調整することにより、異なる片持ち梁構造に対応する複数の共振周波数のうちの少なくとも2つを100Hz~12000Hzの範囲内にすることができる。片持ち梁構造は、その共振周波数の近傍にある振動に敏感であるため、片持ち梁構造が振動信号に対して周波数選択の特性を有すると考えられてもよく、すなわち、片持ち梁構造は、主に振動信号のうち、その共振周波数の近傍にあるサブバンド振動信号を電気信号に変換する。したがって、いくつかの実施例において、異なる長さに設定することにより、異なる片持ち梁構造が異なる共振周波数を有し、各共振周波数の近傍においてそれぞれサブバンドを形成することができる。例えば、複数の片持ち梁構造により人声の周波数範囲内に11個のサブバンドを設定してもよく、11個のサブバンドにそれぞれ対応する片持ち梁構造の共振周波数は、それぞれ500Hz~700Hz、700Hz~1000Hz、1000Hz~1300Hz、1300Hz~1700Hz、1700Hz~2200Hz、2200Hz~3000Hz、3000Hz~3800Hz、3800Hz~4700Hz、4700Hz~5700Hz、5700Hz~7000Hz、7000Hz~12000Hzにあってもよい。また、例えば、複数の片持ち梁構造により人声の周波数範囲内に16個のサブバンドを設定してもよく、16個のサブバンドにそれぞれ対応する片持ち梁構造の共振周波数は、それぞれ500Hz~640Hz、640Hz~780Hz、780Hz~930Hz、940Hz~1100Hz、1100Hz~1300Hz、1300Hz~1500Hz、1500Hz~1750Hz、1750Hz~1900Hz、1900Hz~2350Hz、2350Hz~2700Hz、2700Hz~3200Hz、3200Hz~3800Hz、3800Hz~4500Hz、4500Hz~5500Hz、5500Hz~6600Hz、6600Hz~8000Hzにあってもよい。さらに、例えば、複数の片持ち梁構造により人声の周波数範囲内に24個のサブバンドを設定してもよく、24個のサブバンドにそれぞれ対応する片持ち梁構造の共振周波数は、それぞれ20Hz~120Hz、120Hz~210Hz、210Hz~320Hz、320Hz~410Hz、410Hz~500Hz、500Hz~640Hz、640Hz~780Hz、780Hz~930Hz、940Hz~1100Hz、1100Hz~1300Hz、1300Hz~1500Hz、1500Hz~1750Hz、1750Hz~1900Hz、1900Hz~2350Hz、2350Hz~2700Hz、2700Hz~3200Hz、3200Hz~3800Hz、3800Hz~4500Hz、4500Hz~5500Hz、5500Hz~6600Hz、6600Hz~7900Hz、7900Hz~9600Hz、9600Hz~12100Hz、12100Hz~16000Hzにあってもよい。片持ち梁構造が直方体状であることを例示的に説明すると、いくつかの実施例において、複数の片持ち梁構造の長さを異なるように調整することにより、人声の周波数範囲(例えば、20Hz~16000Hz)内に少なくとも5つのサブバンドを形成してもよい。いくつかの実施例において、複数の片持ち梁構造の長さを異なるように調整することにより、人声の周波数範囲(例えば、20Hz~16000Hz)内に5個~11個のサブバンドを形成してもよい。いくつかの実施例において、複数の片持ち梁構造の長さを異なるように調整することにより、人声の周波数範囲(例えば、20Hz~16000Hz)内に5個~16個のサブバンドを形成してもよい。いくつかの実施例において、複数の片持ち梁構造の長さを異なるように調整することにより、人声の周波数範囲(例えば、20Hz~16000Hz)内に6個~24個のサブバンドを形成してもよい。なお、音響電気変換素子(又は片持ち梁構造)、サブバンドの数、各サブバンドにそれぞれ対応する共振周波数の周波数範囲は上記説明に限定されず、それらはマイクロフォンの応用シーン、マイクロフォンの寸法などの具体的な状況に応じて適応的に調整することができ、ここではさらに限定しない。また、片持ち梁構造は、上記直方体状に限定されず、片持ち梁構造は、他の形状であってもよく、片持ち梁構造の断面形状は、三角形、半円形、菱形、五角形、六角形などの規則的又は不規則な形状であってもよく、また、片持ち梁構造の質量又は剛性に関連するパラメータを調整することにより、異なる片持ち梁が異なる共振周波数を有することができる。
【0069】
いくつかの実施例において、さらに第1の音響キャビティ530及び/又は孔部511の構造、寸法、内面粗さなどのパラメータ情報を調整することにより、マイクロフォン500の音響電気変換素子520がそれぞれ所望の周波数範囲内に共振を発生可能にすることができる。例えば、第1の音響キャビティ530の形状、キャビティの体積及び内面粗さを調整して、振動信号へのサブバンド分解を実現することにより、第1の音響キャビティ530に入る音声は、特定のサブバンドの周波数を有することができる。第1の音響キャビティ530及び/又は孔部511の構造、寸法、内面粗さなどのパラメータ情報を調整することにより、マイクロフォン500がそれぞれ所望の周波数範囲内に共振を発生可能にすることができるという内容について、本願と同じ日付きに出願された「マイクロフォン」という名称の特許出願を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0070】
図8は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図8に示すように、マイクロフォン800は、ハウジング構造810、音響電気変換素子820及び振動ピックアップ部822を含んでもよい。
図8に示すマイクロフォン800は、
図5に示すマイクロフォン500と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン800のハウジング構造810は、マイクロフォン500のハウジング構造510と同じ又は類似であってもよい。また、例えば、マイクロフォン800の第1の音響キャビティ830、第2の音響キャビティ840、キャビティ850は、それぞれマイクロフォン500の第1の音響キャビティ530、第2の音響キャビティ540、キャビティ550と同じ又は類似であってもよい。さらに、例えば、マイクロフォン800の振動ピックアップ部822(例えば、第1の振動ピックアップ部8221、第2の振動ピックアップ部8222)は、マイクロフォン500の振動ピックアップ部522(例えば、第1の振動ピックアップ部5221、第2の振動ピックアップ部5222)と同じ又は類似であってもよい。マイクロフォン800のさらなる構造(例えば、孔部811、振動伝達部823など)について、
図5及びその関連説明を参照することができる。
【0071】
いくつかの実施例において、
図8に示すマイクロフォン800と
図5に示すマイクロフォン500との主な相違点は、マイクロフォン800の各音響電気変換素子820が第1の片持ち梁構造8211及び第2の片持ち梁構造8212を含んでもよいということであり、ここで、第1の片持ち梁構造8211及び第2の片持ち梁構造8212は2つの電極板と見なしてもよい。いくつかの実施例において、第1の片持ち梁構造8211と第2の片持ち梁構造8212は、対向して設置されてもよく、かつ第1の片持ち梁構造8211と第2の片持ち梁構造8212は、対向面積を有する。いくつかの実施例において、第1の片持ち梁構造8211及び第2の片持ち梁構造8212は、鉛直に配置され、このときの対向面積は、第1の片持ち梁構造8211の下面が第2の片持ち梁構造8212の上面と対向する面積であると理解されてもよい。いくつかの実施例において、第1の片持ち梁構造8211と第2の片持ち梁構造8212とは、第1の間隔d1を有してもよい。第1の片持ち梁構造8211及び第2の片持ち梁構造8212は、振動伝達部823の振動信号を受信すると、それぞれの振動方向(第1の間隔d1の延長方向)に程度の異なる変形を発生させ、第1の間隔d1を変化させることができる。第1の片持ち梁構造8211及び第2の片持ち梁構造8212は、第1の間隔d1の変化に基づいて、受信した振動伝達部823の振動信号を電気信号に変換することができる。
【0072】
第1の片持ち梁構造8211と第2の片持ち梁構造8212に、その振動方向に程度の異なる変形を発生させるために、いくつかの実施例において、第1の片持ち梁構造8211の剛性と第2の片持ち梁構造8212の剛性は異なってもよい。振動伝達部823の振動信号の作用で、剛性が比較的小さい片持ち梁構造は、ある程度の変形を発生させることができ、剛性が比較的大きい片持ち梁構造は、ほぼ変形しないか又は剛性が比較的小さい片持ち梁構造より変形量が小さいと考えられてもよい。いくつかの実施例において、マイクロフォン800が動作状態にあるとき、比較的小さい剛性を有する片持ち梁構造(例えば、第2の片持ち梁構造8212)が振動伝達部823の振動に応答して変形し、比較的大きい剛性を有する片持ち梁構造(例えば、第1の片持ち梁構造8211)が変形することなく振動伝達部823と共に振動することにより、第1の間隔d1を変化させてもよい。
【0073】
いくつかの実施例において、音響電気変換素子820内の比較的小さい剛性を有する片持ち梁構造の共振周波数は、人の耳の聴覚範囲内(例えば、12000Hz内)の周波数範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、音響電気変換素子820内の比較的大きい剛性を有する片持ち梁構造の共振周波数は、人の耳が感知しにくい(例えば、12000Hzより大きい)周波数範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、音響電気変換素子820内の第1の片持ち梁構造8211(又は第2の片持ち梁構造8212)の剛性は、第1の片持ち梁構造8211(又は第2の片持ち梁構造8212)の材料、長さ、幅又は厚さなどを調整することによって実現することができる。いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子820に対応する各組の片持ち梁構造のパラメータ(例えば、片持ち梁構造の材料、厚さ、長さ、幅など)を調整することにより、異なる共振周波数に対応する異なる周波数応答を取得する。いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子820に対応する各組の片持ち梁構造(例えば、第1の片持ち梁構造8211及び第2の片持ち梁構造8212)の長さを調整することにより、異なる音響電気変換素子820に対応する複数の共振周波数のうちの少なくとも2つを20Hz~16000Hzの範囲内にしてもよい。いくつかの実施例において、異なる音響電気変換素子820に対応する各組の片持ち梁構造(例えば、第1の片持ち梁構造8211及び第2の片持ち梁構造8212)の長さを調整することにより、異なる音響電気変換素子820に対応する複数の共振周波数のうちの少なくとも2つを100Hz~1200Hzの範囲内にしてもよい。音響電気変換素子820に対応する一組の片持ち梁構造(例えば、第1の片持ち梁構造8211及び第2の片持ち梁構造8212)は、その共振周波数の近傍での振動に敏感であるため、音響電気変換素子820に対応する一組の片持ち梁構造が振動信号に対して周波数選択の特性を有すると考えられてもよく、すなわち、音響電気変換素子820に対応する一組の片持ち梁構造は、主に振動信号のうち、その共振周波数の近傍にあるサブバンド振動信号を電気信号に変換する。したがって、いくつかの実施例において、異なる長さに設定することにより、異なる音響電気変換素子820に対応する複数組の片持ち梁構造が異なる共振周波数を有し、各共振周波数の近傍においてそれぞれサブバンドを形成することができる。いくつかの実施例において、複数組の片持ち梁構造により人声の周波数範囲(例えば、20Hz~16000Hz)内に少なくとも5つのサブバンドを設定してもよい。例えば、複数組の片持ち梁構造により人声の周波数範囲内に11個のサブバンドを設定してもよく、11個のサブバンドにそれぞれ対応する各組の片持ち梁構造の共振周波数は、それぞれ500Hz~700Hz、700Hz~1000Hz、1000Hz~1300Hz、1300Hz~1700Hz、1700Hz~2200Hz、2200Hz~3000Hz、3000Hz~3800Hz、3800Hz~4700Hz、4700Hz~5700Hz、5700Hz~7000Hz、7000Hz~12000Hzにあってもよい。また、例えば、複数組の片持ち梁構造により人声の周波数範囲内に16個のサブバンドを設定してもよく、16個のサブバンドにそれぞれ対応する各組の片持ち梁構造の共振周波数は、それぞれ500Hz~640Hz、640Hz~780Hz、780Hz~930Hz、940Hz~1100Hz、1100Hz~1300Hz、1300Hz~1500Hz、1500Hz~1750Hz、1750Hz~1900Hz、1900Hz~2350Hz、2350Hz~2700Hz、2700Hz~3200Hz、3200Hz~3800Hz、3800Hz~4500Hz、4500Hz~5500Hz、5500Hz~6600Hz、6600Hz~8000Hzにあってもよい。さらに、例えば、複数組の片持ち梁構造により人声の周波数範囲内に24個のサブバンドを設定してもよく、24個のサブバンドにそれぞれ対応する各組の片持ち梁構造の共振周波数は、それぞれ20Hz~120Hz、120Hz~210Hz、210Hz~320Hz、320Hz~410Hz、410Hz~500Hz、500Hz~640Hz、640Hz~780Hz、780Hz~930Hz、940Hz~1100Hz、1100Hz~1300Hz、1300Hz~1500Hz、1500Hz~1750Hz、1750Hz~1900Hz、1900Hz~2350Hz、2350Hz~2700Hz、2700Hz~3200Hz、3200Hz~3800Hz、3800Hz~4500Hz、4500Hz~5500Hz、5500Hz~6600Hz、6600Hz~7900Hz、7900Hz~9600Hz、9600Hz~12100Hz、12100Hz~16000Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、複数組の片持ち梁構造の長さを異なるように調整することにより、異なる音響電気変換素子820は、人声の周波数範囲(例えば、20Hz~16000Hz)内に5個~50個のサブバンドを形成してもよい。好ましくは、複数組の片持ち梁構造の長さを異なるように設定することにより、複数組の片持ち梁構造は、人声の周波数範囲(例えば、20Hz~16000Hz)内に6個~24個のサブバンドを形成してもよい。
【0074】
図9は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの周波数応答曲線の概略図である。
図9に示すように、横軸は、周波数を表し、単位は、Hzであり、縦軸は、マイクロフォンから出力された音声信号の周波数応答を表し、単位は、dBである。ここで、マイクロフォンとは、マイクロフォン500、マイクロフォン800、マイクロフォン1000、マイクロフォン1100、マイクロフォン1300、マイクロフォン1400、マイクロフォン1500、マイクロフォン1800、マイクロフォン1900、マイクロフォン2000などであってもよい。
図9における各破線は、マイクロフォンの各音響電気変換素子にそれぞれ対応する周波数応答曲線を表すことができる。
図9における各周波数応答曲線から分かるように、各音響電気変換素子は、いずれも自体の共振周波数を有し(例えば、周波数応答曲線920の共振周波数が約350Hzであり、周波数応答曲線930の共振周波数が約1500Hzである)、外部音声信号がマイクロフォンに伝達されるとき、各音響電気変換素子がいずれも自体の共振周波数の近傍にある振動信号により敏感であるため、各音響電気変換素子から出力される電気信号は、主にその共振周波数に対応するサブバンド信号を含む。いくつかの実施例において、各音響電気変換素子の共振ピークでの出力は、その自体の平坦領域での出力よりはるかに大きく、各音響電気変換部材の周波数応答曲線における共振ピークに近接する周波数帯域を選択することにより、音声信号に対応するフルバンド信号に対するサブバンド分周を実現することができる。いくつかの実施例において、
図9における各周波数応答曲線を融合することで、信号対雑音比が高く、かつより平坦なマイクロフォンの周波数応答曲線910を取得することができる。また、異なる音響電気変換素子(片持ち梁構造)を設置することにより、マイクロフォンシステムにおいて周波数範囲の異なる共振ピークを付加し、マイクロフォンの複数の共振ピークの近傍での感度を向上させ、さらにマイクロフォンの広帯域全体での感度を向上させることができる。
【0075】
マイクロフォンに複数の音響電気変換素子を設置し、音響電気変換素子(例えば、片持ち梁構造)が異なる共振周波数の特性を有することを利用することにより、振動信号に対するフィルタリング及び帯域分解を実現し、マイクロフォンにおける複雑なフィルタ回路、ソフトウェアアルゴリズムによる計算資源の大量占用、信号歪み、雑音混入をもたらすという問題を回避し、さらにマイクロフォンの複雑さ及び製造コストを低減することができる。
【0076】
図10は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図10に示すように、マイクロフォン1000は、ハウジング構造1010、音響電気変換素子1020及び振動ピックアップ部1022を含んでもよい。
図10に示すマイクロフォン1000は、
図5に示すマイクロフォン500と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン1000のハウジング構造1010は、マイクロフォン500のハウジング構造510と同じ又は類似であってもよい。また、例えば、マイクロフォン1000の第1の音響キャビティ1030、第2の音響キャビティ1040、キャビティ1050は、それぞれマイクロフォン500の第1の音響キャビティ530、第2の音響キャビティ540、キャビティ550と同じ又は類似であってもよい。さらに、例えば、マイクロフォン1000の振動ピックアップ部1022(例えば、第1の振動ピックアップ部10221、第2の振動ピックアップ部10222)は、マイクロフォン500の振動ピックアップ部522(例えば、第1の振動ピックアップ部5221、第2の振動ピックアップ部5222)と同じ又は類似であってもよい。マイクロフォン1000のさらなる構造(例えば、孔部1011、振動伝達部1023、音響電気変換素子1020など)について、
図5及びその関連説明を参照することができる。
【0077】
いくつかの実施例において、
図10に示すマイクロフォン1000と
図5に示すマイクロフォン500との主な相違点は、マイクロフォン1000が1つ以上の膜構造1060を含んでもよいということである。いくつかの実施例において、膜構造1060は、音響電気変換素子1020の上面及び/又は下面に位置してもよい。例えば、膜構造1060は、単層膜構造であって、音響電気変換素子1020の上面又は下面に位置してもよい。また、例えば、膜構造1060は、二層膜であって、音響電気変換素子1020の上面に位置する第1の膜構造と、音響電気変換素子1020の下面に位置する第2の膜構造と、を含んでもよい。音響電気変換素子1020の表面に膜構造1060を設置することにより、音響電気変換素子1020の共振周波数を調整することができ、いくつかの実施例において、膜構造1060の材料、寸法(例えば長さ、幅)、厚さなどを調整することにより、音響電気変換素子1020の共振周波数に影響を与えることができる。膜構造1060のパラメータ情報(例えば、材料、寸法、厚さなど)及び音響電気変換素子1020(例えば、片持ち梁構造)を調整することにより、各音響電気変換素子1020が所望の周波数範囲内に共振を発生させることができる。一方、音響電気変換素子1020の表面に膜構造1060を設置することにより、マイクロフォン1000の過負荷による音響電気変換素子1020への損傷を回避し、マイクロフォン1000の信頼性を向上させることができる。それ以外に、音響電気変換素子1020の表面に膜構造1060を設置することにより、応力によるマイクロフォン1000の変形量を低減し、実際の製品を設計目標により適合させることができる。
【0078】
いくつかの実施例において、膜構造1060は、音響電気変換素子1020の上面及び/又は下面を全部又は部分的に被覆してもよい。例えば、各音響電気変換素子1020の上面又は下面には対応する膜構造1060が被覆され、膜構造1060は、対応する音響電気変換素子1020の上面又は下面を全部被覆してもよく、膜構造1060は、対応する音響電気変換素子1020の上面又は下面を部分的に被覆してもよい。また、例えば、水平方向に見ると、複数の音響電気変換素子1020が同時に同一の水平面に位置するとき、1つの膜構造1060は、同時に同一の水平面にある複数の音響電気変換素子1020の上面又は下面を全部被覆してもよく、例えば、ここで、膜構造1060は、その周側により振動伝達部1023の内壁に接続されることにより、キャビティ1050を互いに独立した上下2つのキャビティに仕切る。さらに、例えば、膜構造1060の形状は、振動伝達部1023の断面形状と同じであってもよく、膜構造1060は、その周側により振動伝達部1023の内壁に接続され、膜構造1060の中間部分は、1つの孔部(
図10には図示せず)を含んでもよく、膜構造1060は、同時に同一の水平面にある複数の音響電気変換素子1020の上面又は下面を部分的に被覆してもよく、かつキャビティ1050を連通する上下2つのキャビティに仕切ってもよい。
【0079】
いくつかの実施例において、膜構造1060の材料は、半導体材料、金属材料、金属合金、有機材料などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、半導体材料は、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属材料は、銅、アルミニウム、クロム、チタン、金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属合金は、銅アルミニウム合金、銅金合金、チタン合金、アルミニウム合金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、有機材料は、ポリイミド、パリレン、PDMS、シリコンゲル、シリカゲルなどを含むが、これらに限定されない。
【0080】
図11は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図11に示すマイクロフォン1100は、
図8に示すマイクロフォン800と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン1100のハウジング構造1110は、マイクロフォン800のハウジング構造810と同じ又は類似であってもよい。また、例えば、マイクロフォン1100の第1の音響キャビティ1130、第2の音響キャビティ1140、キャビティ1150は、それぞれマイクロフォン800の第1の音響キャビティ830、第2の音響キャビティ840、キャビティ850と同じ又は類似であってもよい。さらに、例えば、マイクロフォン1100の振動ピックアップ部1122(例えば、第1の振動ピックアップ部11221、第2の振動ピックアップ部11222)は、マイクロフォン800の振動ピックアップ部822(例えば、第1の振動ピックアップ部8221、第2の振動ピックアップ部8222)と同じ又は類似であってもよい。マイクロフォン1100のさらなる構造(例えば、孔部1111、振動伝達部1123、音響電気変換素子1120など)について、
図8及びその関連説明を参照することができる。
【0081】
いくつかの実施例において、
図11に示すマイクロフォン1100と
図8に示すマイクロフォン800との主な相違点は、マイクロフォン1100が1つ以上の膜構造1160を含んでもよいということである。いくつかの実施例において、膜構造1160は、音響電気変換素子1120の比較的小さい剛性を有する片持ち梁構造(例えば、第2の片持ち梁構造11212)の上面及び/又は下面に位置してもよい。例えば、膜構造1160は、単層膜構造であって、第2の片持ち梁構造11212の上面又は下面に位置してもよい。また、例えば、膜構造1160は、二層膜であって、第2の片持ち梁構造11212の上面に位置する第1の膜構造と、第2の片持ち梁構造11212の下面に位置する第2の膜構造と、を含んでもよい。いくつかの実施例において、膜構造1160は、第2の片持ち梁構造11212の上面及び/又は下面を全部又は部分的に被覆してもよい。例えば、各第2の片持ち梁構造11212の上面又は下面には対応する膜構造1160が被覆され、膜構造1160は、対応する第2の片持ち梁構造11212の上面又は下面を全部被覆してもよく、膜構造1160は、対応する第2の片持ち梁構造11212の上面又は下面を部分的に被覆してもよい。第2の片持ち梁構造11212の上面及び下面を全部又は部分的に被覆する膜構造1160のさらなる内容について、
図10及びその関連説明を参照することができる。
【0082】
いくつかの実施例において、膜構造1160は、音響電気変換素子1120の比較的大きい剛性を有する片持ち梁構造(例えば、第1の片持ち梁構造11211)の上面及び/又は下面に位置してもよい。膜構造1160が第1の片持ち梁構造11211の上面及び/又は下面に位置する形態は、膜構造1160が第2の片持ち梁構造11212の上面及び/又は下面に位置する形態と類似し、ここでは説明を省略する。
【0083】
いくつかの実施例において、膜構造1160は、同時に音響電気変換素子1120の比較的小さい剛性を有する片持ち梁構造(例えば、第2の片持ち梁構造11212)の上面及び/又は下面と、比較的大きい剛性を有する片持ち梁構造(例えば、第1の片持ち梁構造11211)の上面及び/又は下面とに位置してもよい。例えば、
図12は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図であり、
図12に示すように、膜構造1160は、同時に第1の片持ち梁構造11211の上面と第2の片持ち梁構造11212の下面に位置する。いくつかの実施例において、比較的大きい剛性を有する片持ち梁構造(例えば、第1の片持ち梁構造11211)の上面及び/又は下面に膜構造1160を設置することにより、比較的大きい剛性を有する片持ち梁構造の振動伝達部1123に対する変形を防止し、マイクロフォン1100の感度を向上させることができる。一方、第2の片持ち梁構造11212又は第1の片持ち梁構造11211の表面に膜構造1060を設置することにより、応力による第2の片持ち梁構造11212又は第1の片持ち梁構造11211の変形量を調整し、第2の片持ち梁構造11212と第1の片持ち梁構造11211の間隔を正確に制御することができる。
【0084】
図13は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図13に示すように、マイクロフォン1300は、ハウジング構造1310、音響電気変換素子1320及び振動ピックアップ部1322を含んでもよい。
図13に示すマイクロフォン1300は、
図5に示すマイクロフォン500と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン1300のハウジング構造1310は、マイクロフォン500のハウジング構造510と同じ又は類似であってもよい。また、例えば、マイクロフォン1300の第1の音響キャビティ1330、第2の音響キャビティ1340、キャビティ1350は、それぞれマイクロフォン500の第1の音響キャビティ530、第2の音響キャビティ540、キャビティ550と同じ又は類似であってもよい。マイクロフォン1300のさらなる構造(例えば、孔部1311、振動伝達部1323、音響電気変換素子1320など)について、
図5及びその関連説明を参照することができる。
【0085】
いくつかの実施例において、
図13に示すマイクロフォン1300と
図5に示すマイクロフォン500との主な相違点は、振動ピックアップ部1322である。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部1322は、第1の振動ピックアップ部13221、第2の振動ピックアップ部13222及び第3の振動ピックアップ部13223を含んでもよい。いくつかの実施例において、第1の振動ピックアップ部13221、振動伝達部1323、第2の振動ピックアップ部13222は、上から下へ順に設置され、具体的には、第1の振動ピックアップ部13221の下面は、振動伝達部1323の上面に接続され、第2の振動ピックアップ部13222の上面は、振動伝達部1323の下面に接続され、第1の振動ピックアップ部13221と、第2の振動ピックアップ部13222と、振動伝達部1323との間にキャビティ1350が画成されてもよく、音響電気変換素子1320は、キャビティ1350内に位置する。いくつかの実施例において、第3の振動ピックアップ部13223は、振動伝達部1323とハウジング構造1310の内壁との間に接続される。マイクロフォン1300が動作するとき、音声信号が孔部1311を通って第1の音響キャビティ1330に入り、かつ振動ピックアップ部1322に作用することにより、第3の振動ピックアップ部13223を振動させることができ、第3の振動ピックアップ部13223は、振動を振動伝達部1323により音響電気変換素子1320に伝達する。
【0086】
いくつかの実施例において、第3の振動ピックアップ部13223は、1つ以上の薄膜構造を含んでもよく、該薄膜構造は、振動伝達部1323及びハウジング構造1310に適合する。例えば、ハウジング構造1310及び振動伝達部1323がいずれも円柱状の構造であるとき、第3の振動ピックアップ部13223は、環状の薄膜構造であってもよく、環状の薄膜構造の周側の外壁は、ハウジング構造1310に接続され、環状の薄膜構造の周側の内壁は、振動伝達部1323に接続される。また、例えば、ハウジング構造1310が円柱状の構造であり、振動伝達部1323が直方体構造であるとき、第3の振動ピックアップ部13223は、中心部位に長方形の孔部を有する円形の薄膜構造であってもよく、該薄膜構造の周側の外壁は、ハウジング構造1310に接続され、薄膜構造の内壁は、振動伝達部1323に接続される。なお、第3の振動ピックアップ部13223の形状は、前述の環状及び長方形に限定されず、他の形状、例えば、五角形、六角形などの規則的及び/又は不規則な形状の薄膜構造であってもよく、第3の振動ピックアップ部13223の形状及び構造は、ハウジング構造1310及び振動伝達部1323の形状に応じて適応的に調整することができる。
【0087】
いくつかの実施例において、第3の振動ピックアップ部13223の材料は、半導体材料、金属材料、金属合金、有機材料などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、半導体材料は、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属材料は、銅、アルミニウム、クロム、チタン、金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属合金は、銅アルミニウム合金、銅金合金、チタン合金、アルミニウム合金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、有機材料は、ポリイミド、パリレン、PDMS、シリコンゲル、シリカゲルなどを含むが、これらに限定されない。
【0088】
いくつかの実施例において、第1の振動ピックアップ部13221の材料及び/又は第2の振動ピックアップ部13222の材料は、可撓性材料であってもよい。第1の振動ピックアップ部13221及び第2の振動ピックアップ部13222の材料と、第3の振動ピックアップ部13223の材料とがいずれも可撓性材料であってもよい。この場合、第1の振動ピックアップ部13221及び第2の振動ピックアップ部13222は、振動ピックアップ部1322の一部として(すなわち、第1の振動ピックアップ部13221及び第2の振動ピックアップ部13222が振動信号をピックアップするために用いられる)、第1の音響キャビティ1330内の空気振動の作用で変形することができる。いくつかの実施例において、第1の振動ピックアップ部13221の材料及び第2の振動ピックアップ部13222の材料は、剛性材料であってもよい。この場合、第1の振動ピックアップ部13221及び第2の振動ピックアップ部13222は、第1の音響キャビティ1330内の空気振動の作用で変形しない。いくつかの実施例において、第1の振動ピックアップ部13221及び第2の振動ピックアップ部13222が剛性材料であるため、マイクロフォン1300が動作するとき、キャビティ1350の体積を基本的に一定に保持することができ、キャビティ1350の体積変化による音響電気変換素子1320への影響を回避し、さらに音響電気変換素子1320が所望の周波数範囲内に共振を発生させることを保証することができる。
【0089】
いくつかの実施例において、マイクロフォン1300は、少なくとも1つの膜構造(図示せず)を含んでもよく、少なくとも1つの膜構造は、音響電気変換素子1320の上面及び/又は下面に位置してもよい。少なくとも1つの膜構造の詳細について、
図10及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0090】
図14は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図14に示すように、マイクロフォン1400は、ハウジング構造1410、音響電気変換素子1420及び振動ピックアップ部1422を含んでもよい。
図14に示すマイクロフォン1400は、
図8に示すマイクロフォン800と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン1400のハウジング構造1410は、マイクロフォン800のハウジング構造810と同じ又は類似であってもよい。また、例えば、マイクロフォン1400の第1の音響キャビティ1430、第2の音響キャビティ1440、キャビティ1450は、それぞれマイクロフォン800の第1の音響キャビティ830、第2の音響キャビティ840、キャビティ850と同じ又は類似であってもよい。マイクロフォン1400のさらなる構造(例えば、孔部1411、振動伝達部1423、音響電気変換素子1420など)について、
図8及びその関連説明を参照することができる。
【0091】
いくつかの実施例において、
図14に示すマイクロフォン1400と
図8に示すマイクロフォン800との主な相違点は、振動ピックアップ部1422である。いくつかの実施例において、振動ピックアップ部1422は、第1の振動ピックアップ部14221、第2の振動ピックアップ部14222及び第3の振動ピックアップ部14223を含んでもよい。いくつかの実施例において、第1の振動ピックアップ部14221、振動伝達部1423、第2の振動ピックアップ部14222は、上から下へ順に設置され、具体的には、第1の振動ピックアップ部14221の下面は、振動伝達部1423の上面に接続されてもよく、第2の振動ピックアップ部14222の上面は、振動伝達部1423の下面に接続されてもよく、第1の振動ピックアップ部14221、第2の振動ピックアップ部14222と振動伝達部1423との間にキャビティ1450が画成されてもよく、音響電気変換素子1420は、キャビティ1450内に位置する。いくつかの実施例において、第3の振動ピックアップ部14223は、振動伝達部1423とハウジング構造1410の内壁との間に接続される。マイクロフォン1400が動作するとき、音声信号は、孔部1411を通って第1の音響キャビティ1430に入り、かつ第3の振動ピックアップ部14223に作用してそれを振動させることができ、第3の振動ピックアップ部14223は、振動を振動伝達部1423により音響電気変換素子1420に伝達する。第3の振動ピックアップ部14223の詳細について、
図13及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0092】
いくつかの実施例において、マイクロフォン1400は、少なくとも1つの膜構造(図示せず)を含んでもよく、少なくとも1つの膜構造は、音響電気変換素子1420の上面及び/又は下面に位置してもよい。少なくとも1つの膜構造の詳細について、
図10~
図12及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0093】
図15は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図15に示すように、マイクロフォン1500は、ハウジング構造1510、音響電気変換素子1520及び振動ピックアップ部1522を含んでもよい。
図15に示すマイクロフォン1500は、
図13に示すマイクロフォン1300と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン1500のハウジング構造1510は、マイクロフォン1300のハウジング構造1310と同じ又は類似であってもよい。また、例えば、マイクロフォン1500の第1の音響キャビティ1530、第2の音響キャビティ1540、キャビティ1550は、それぞれマイクロフォン1300の第1の音響キャビティ1330、第2の音響キャビティ1340、キャビティ1350と同じ又は類似であってもよい。さらに、例えば、マイクロフォン1500の振動ピックアップ部1522(例えば、第1の振動ピックアップ部15221、第2の振動ピックアップ部15222、第3の振動ピックアップ部15223)は、マイクロフォン1300の振動ピックアップ部1322(例えば、第1の振動ピックアップ部13221、第2の振動ピックアップ部13222、第3の振動ピックアップ部13223)と同じ又は類似であってもよい。マイクロフォン1500のさらなる構造(例えば、孔部1511、振動伝達部1523、音響電気変換素子1520など)について、
図13及びその関連説明を参照することができる。
【0094】
いくつかの実施例において、
図15に示すマイクロフォン1500と
図13に示すマイクロフォン1300との主な相違点は、マイクロフォン1500が1つ以上の支持構造1560を含んでもよいということである。いくつかの実施例において、支持構造1560は、キャビティ1550内に設置されてもよく、支持構造1560の上面は、第1の振動ピックアップ部15221の下面に接続されてもよく、支持構造1560の下面は、第2の振動ピックアップ部15222の上面に接続されてもよい。キャビティ内に支持構造1560を設置し、支持構造1560をそれぞれ第1の振動ピックアップ部15221と第2の振動ピックアップ部15222に接続することにより、第1の振動ピックアップ部15221と第2の振動ピックアップ部15222の剛性をさらに向上させ、第1の振動ピックアップ部15221と第2の振動ピックアップ部15222が第1の音響キャビティ1530内の空気振動の影響を受けて変形することのないようにし、さらにマイクロフォン1500の内部素子(例えば、第1の振動ピックアップ部15221、第2の振動ピックアップ部15222)の振動モードを減少させることができる。一方、支持構造1560をそれぞれ第1の振動ピックアップ部15221と第2の振動ピックアップ部15222に接続することにより、マイクロフォン1500の過負荷の場合での信頼性も向上させることができる。
【0095】
いくつかの実施例において、支持構造1560の形状は、板状構造、円柱体、円錐台、直方体、角錐台、六面体などの規則的及び/又は不規則な構造であってもよい。いくつかの実施例において、支持構造1560の材料は、半導体材料、金属材料、金属合金、有機材料などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、半導体材料は、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属材料は、銅、アルミニウム、クロム、チタン、金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、金属合金は、銅アルミニウム合金、銅金合金、チタン合金、アルミニウム合金などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、有機材料は、ポリイミド、パリレン、PDMS、シリコンゲル、シリカゲルなどを含むが、これらに限定されない。
【0096】
図15に示すように、いくつかの実施例において、音響電気変換素子1520における自由端(即ちキャビティ1550内に宙吊りにされた端部)と支持構造1560との間の第2の間隔d2を2um以上にすることにより、音響電気変換素子1520が振動において支持構造1560と衝突することを防止する。また、第2の間隔d2が小さい(例えば、第2の間隔d2が20um以下である)とき、マイクロフォン1500全体の体積を効果的に低減することができる。いくつかの実施例において、各音響電気変換素子1520(例えば、長さの異なる片持ち梁構造)における自由端と支持構造1560との第2の間隔d2は異なってもよい。いくつかの実施例において、形状、寸法の異なる支持構造1560を設計し、かつ支持構造1560の位置を調整することにより、複数の音響電気変換素子1520(例えば、片持ち梁構造)をキャビティ1550内に緊密に配置し、マイクロフォン1500の全体寸法を小さくすることができる。
図16A及び
図16Bは、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの異なる方向での概略断面図であり、
図16A及び
図16Bに示すように、支持構造1560が楕円柱体であるとき、支持構造1560、振動伝達部、及び振動ピックアップ部は、キャビティ1550において環状又は略環状のキャビティを画成し、複数の音響電気変換素子1520は、該キャビティ内に位置し、かつ支持構造1560の周側に沿って間隔を隔てて分布する。いくつかの実施例において、支持構造1560は、キャビティ1550の中心位置に位置してもよい。例えば、
図17Aは、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略断面図であり、
図17Aに示すように、支持構造1560は、キャビティ1550の中心位置に位置する。ここで、中心位置は、キャビティ1550の幾何学的な中心であってもよい。いくつかの実施例において、支持構造1560は、キャビティ1550における、振動伝達部1523のいずれか一端に近接する位置に設置されてもよい。例えば、
図17Bは、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略断面図であり、
図17Bに示すように、支持構造1560は、キャビティ1550における、振動伝達部1523の側壁Lに近接する位置に位置する。なお、支持構造1560の形状、配置方式、位置、材料などは、音響電気変換素子1520の長さ、数量及び分布方式などに応じて適応的に調整することができ、ここではさらに限定しない。
【0097】
いくつかの実施例において、マイクロフォン1500は、少なくとも1つの膜構造(図示せず)を含んでもよく、少なくとも1つの膜構造は、音響電気変換素子1520の上面及び/又は下面に設置されてもよい。いくつかの実施例において、膜構造の中部位置に、支持構造1560が貫通するための孔部が設置されてもよく、該孔部は、支持構造の断面形状と同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの実施例において、支持構造1560の周側の側壁は、膜構造における孔部の周側に部分的に接続されてもよく、膜構造における孔部の周側に部分的に接続されなくてもよい。膜構造の形状、材質、構造などのさらなる説明について、
図10及びその関連説明を参照することができる。
【0098】
なお、支持構造は、他の実施例におけるマイクロフォンに適用されてもよく、例えば、
図5に示すマイクロフォン500、
図8に示すマイクロフォン800、
図10に示すマイクロフォン1000、
図11に示すマイクロフォン1100、
図12に示すマイクロフォン1200に適用されてもよく、支持構造が他のマイクロフォンに適用されるとき、支持構造の形状、位置、材料は、具体的な状況に応じて適応的に調整することができる。
【0099】
図18は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図18に示すように、マイクロフォン1800は、ハウジング構造1810、音響電気変換素子1820及び振動ピックアップ部1822を含んでもよい。
図18に示すマイクロフォン1800は、
図14に示すマイクロフォン1400と同じ又は類似であってもよい。例えば、マイクロフォン1800のハウジング構造1810は、マイクロフォン1400のハウジング構造1410と同じ又は類似であってもよい。また、例えば、マイクロフォン1800の第1の音響キャビティ1830、第2の音響キャビティ1840、キャビティ1850は、それぞれマイクロフォン1400の第1の音響キャビティ1430、第2の音響キャビティ1440、キャビティ1450と同じ又は類似であってもよい。さらに、例えば、マイクロフォン1800の振動ピックアップ部1822(例えば、第1の振動ピックアップ部18221、第2の振動ピックアップ部18222、第3の振動ピックアップ部18223)は、マイクロフォン1400の振動ピックアップ部1422(例えば、第1の振動ピックアップ部14221、第2の振動ピックアップ部14222、第3の振動ピックアップ部14223)と同じ又は類似であってもよい。マイクロフォン1800のさらなる構造(例えば、孔部1811、振動伝達部1823、音響電気変換素子1820など)について、
図14及びその関連説明を参照することができる。
【0100】
いくつかの実施例において、
図18に示すマイクロフォン1800と
図14に示すマイクロフォン1400との主な相違点は、マイクロフォン1800が支持構造1860を含んでもよいということである。いくつかの実施例において、支持構造1860の上面は、第1の振動ピックアップ部18221の下面に接続されてもよく、支持構造1860の下面は、第2の振動ピックアップ部18222の上面に接続されてもよい。いくつかの実施例において、少なくとも2つの音響電気変換素子1820の自由端(すなわち、キャビティ1850内に宙吊りにされた端部)と支持構造1860とは、第2の間隔d2を有してもよい。支持構造1860のさらなる説明について、
図15及びその関連説明を参照することができる。
【0101】
いくつかの実施例において、マイクロフォン1800は、少なくとも1つの膜構造(図示せず)を含んでもよく、支持構造1860を含むマイクロフォン1800の少なくとも1つの膜構造の詳細な説明について、
図11、
図12、
図15及びその関連説明を参照することができる。
【0102】
なお、本実施例における支持構造は、
図15及び
図18において説明されたマイクロフォンに限定されず、支持構造は、他の実施例に説明されたマイクロフォン、例えば、
図5、
図8、
図10、
図11、
図12などにおけるマイクロフォンに適用されてもよく、ここでは限定しない。
【0103】
図19は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。いくつかの実施例において、マイクロフォンは、骨伝導マイクロフォンであってもよく、
図19に示すように、骨伝導マイクロフォン1900は、ハウジング構造1910、音響電気変換素子1920及び振動ピックアップ部1922を含んでもよい。
図19に示す骨伝導マイクロフォン1900の部品、例えば、音響電気変換素子1920、第1の音響キャビティ1930、第2の音響キャビティ1940、キャビティ1950、振動伝達部1923、支持構造1960などは、
図15に示すマイクロフォン1500の部品と同じ又は類似であってもよい。
【0104】
いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン1900と
図15に示すマイクロフォン1500との相違点は、振動ピックアップの方式が異なるということであり、マイクロフォン1500の振動ピックアップ部1522(例えば、第1の振動ピックアップ部15221、第2の振動ピックアップ部15222、第3の振動ピックアップ部15223)は、孔部1511を通って第1の音響キャビティ1530内に伝達された空気の振動信号をピックアップするが、骨伝導マイクロフォン1900のハウジング構造1910は、孔部を含まず、骨伝導マイクロフォン1900は、振動ピックアップ部1922(例えば、第3の振動ピックアップ部19223)によりハウジング構造1910の振動に応答して振動信号を生成する。具体的には、ハウジング構造1910は、外部音声信号に基づいて振動することができ、第3の振動ピックアップ部19223は、ハウジング構造1910の振動に応答して振動信号を生成し、かつ振動信号を振動伝達部1923により音響電気変換素子1920に伝達することができ、音響電気変換素子1920は、振動信号を電気信号に変換して出力する。
【0105】
図20は、本願のいくつかの実施例に係るマイクロフォンの概略構成図である。
図20に示すように、骨伝導マイクロフォン2000は、ハウジング構造2010、音響電気変換素子2020及び振動ピックアップ部2022を含んでもよい。
図20に示す骨伝導マイクロフォン2000の部品、例えば、音響電気変換素子2020、第1の音響キャビティ2030、第2の音響キャビティ2040、キャビティ2050、振動伝達部2023、支持構造2060などは、
図18に示すマイクロフォン1800の部品と同じ又は類似であってもよい。
【0106】
いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン2000と
図18に示すマイクロフォン1800との相違点は、振動ピックアップの方式が異なるということであり、マイクロフォン1800の振動ピックアップ部1822(例えば、第1の振動ピックアップ部18221、第2の振動ピックアップ部18222、第3の振動ピックアップ部18223)は、孔部1811を通って第1の音響キャビティ1830内に伝達された空気の振動信号をピックアップするが、骨伝導マイクロフォン2000のハウジング構造2010は、孔部を含まず、骨伝導マイクロフォン2000は、振動ピックアップ部2022(例えば、第3の振動ピックアップ部20223)によりハウジング構造2010の振動に応答して振動信号を生成する。いくつかの実施例において、ハウジング構造2010は、外部音声信号に基づいて振動することができ、第3の振動ピックアップ部20223は、ハウジング構造2010の振動に応答して振動信号を生成し、かつ振動信号を振動伝達部2023により音響電気変換素子2020に伝達することができ、音響電気変換素子2020は、振動信号を電気信号に変換して出力する。
【0107】
なお、
図5に示すマイクロフォン500、
図8に示すマイクロフォン800、
図10に示すマイクロフォン1000、
図11に示すマイクロフォン1100、
図12に示すマイクロフォン1200は、骨伝導マイクロフォンとして使用されてもよい。例えば、ここで、マイクロフォンは、孔部が設置されず、ハウジング構造が外部音声信号に基づいて振動し、第1の振動ピックアップ部又は第2の振動ピックアップ部がハウジング構造の振動に応答して振動信号を生成し、かつ振動を振動伝達部により音響電気変換素子に伝達し、音響電気変換素子が振動信号を電気信号に変換して出力してもよい。
【0108】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されておるため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0109】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0110】
さらに、当業者には理解されように、本願の各態様は、任意の新規かつ有用なプロセス、機械、製品又は物質の組み合わせ、又はそれらへの任意の新規かつ有用な改善を含む、いくつかの特許可能なクラス又はコンテキストで、例示及び説明され得る。よって、本願の各態様は、完全にハードウェアによって実行されてもよく、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)によって実行されてもよく、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実行されてもよい。以上のハードウェア又はソフトウェアは、いずれも「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」又は「システム」と呼ばれてもよい。さらに、本願の各態様は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含む1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。
【0111】
コンピュータ記憶媒体は、例えばベースバンド上に、又は搬送波の一部として、コンピュータプログラムコードを含む伝播データ信号を含み得る。該伝播信号は、電磁的な形態、光学的な形態など、又は適切な組み合わせ形態の様々な形態であってもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体以外の任意のコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよく、該媒体は、命令実行システム、装置又は設備に接続されることにより、使用されるプログラムの通信、伝播又は伝送を実現することができる。コンピュータ記憶媒体上のプログラムコードは、無線、ケーブル、光ファイバケーブル、RFを含む任意の適切な媒体、又は類似の媒体、又は上記媒体の任意の組み合わせを介して伝播され得る。
【0112】
本願の各部分の操作に必要なコンピュータプログラムコードは、Java、Scala、Smalltalk、Eiffel、JADE、Emerald、C++、C#、VB.NET、Pythonなどのようなオブジェクト指向プログラミング言語、C言語、Visual Basic、Fortran 2003、Perl、COBOL 2002、PHP、ABAPのような一般的な手続き型プログラミング言語、Python、Ruby及びGroovyのような動的プログラミング言語、又は他のプログラミング言語などを含む、いずれか1つ又は複数のプログラミング言語で記述することができる。該プログラムコードは、完全にユーザコンピュータ上で実行されてもよく、独立したソフトウェアパッケージとしてユーザコンピュータ上で実行されてもよく、一部がユーザコンピュータ上で実行され、一部がリモートコンピュータ上で実行されてもよく、完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行されてもよい。後者の場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)などの任意のネットワーク形態でユーザコンピュータに接続されてもよく、或いは、(例えばインターネットを介して)外部コンピュータに接続されて、又はクラウドコンピューティング環境において、又はソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)などのサービスとして利用してもよい。
【0113】
さらに、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単にその目的のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、反対に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることが理解されよう。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0114】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本開示を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることが理解されるであろう。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、特許請求される主題は、前述の単一の開示された実施形態のすべての特徴より少ない場合がある。
【0115】
いくつかの実施例において成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「実質的」によって修飾されるものとして理解されるべきである。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「実質的」は、上記数字が説明する値の±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例において、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも特定の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例において、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例におけるその範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例では、このような数値は可能な限り正確に設定される。
【0116】
本願において参照されているすべての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などのような他の資料は、本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の特許請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本願に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における説明、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0117】
最後に、本願に記載の実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることが理解されよう。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0118】
100、200、500、800、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1800、1900、2000 マイクロフォン
110、210、520、820、1020、1120、1320、1420、1520、1820、1920、2020 音響電気変換素子
120、220 サンプリングモジュール
130 サブバンド分周モジュール
140、230 信号処理モジュール
510、810、1010、1110、1310、1410、1510、1810、1910、2010 ハウジング構造
522、822、1022、1122、1322、1422、1522、1822、1922、2022 振動ピックアップ部
511、811、1011、1111、1311、1411、1511、1811 孔部
523、823、1023、1123、1323、1423、1523、1823、1923、2023 振動伝達部