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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-12
(45)【発行日】2025-03-21
(54)【発明の名称】無洗米製造装置及び無洗米製造方法
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20250313BHJP
   B02B 3/00 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
B02B7/00 P
B02B3/00 104
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023181265
(22)【出願日】2023-10-20
【審査請求日】2024-03-11
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000144898
【氏名又は名称】株式会社山本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増子 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】小座間 梓
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-000954(JP,A)
【文献】特開2019-181384(JP,A)
【文献】実開昭62-079541(JP,U)
【文献】特開2004-330006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00- 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除去孔が設けられ、内部に米が供給される除去筒と、
前記除去筒内に発生させる風によって米が前記除去筒の内周側に層状に配置されつつ前記除去筒の内周面を移動されることで前記除去筒の前記除去孔周囲によって米から肌糠が除去される風発生機構と、
を備える無洗米製造装置。
【請求項2】
前記風発生機構は、
前記除去筒内に設けられ、回転される回転体と、
前記回転体に設けられ、前記回転体が回転されて前記除去筒内に発生させる風によって米が前記除去筒の内周面を移動される突出部と、
を有する請求項1記載の無洗米製造装置。
【請求項3】
前記突出部の先端より回転径方向内側への米の侵入が制限される請求項2記載の無洗米製造装置。
【請求項4】
前記除去筒の内周面と前記除去孔の周面との間の角部が尖る請求項1記載の無洗米製造装置。
【請求項5】
前記除去孔が前記除去筒の周方向側に延在される請求項1記載の無洗米製造装置。
【請求項6】
米から除去されて前記除去孔を介して前記除去筒外に排出された肌糠を吸引する吸引機構を備える請求項1記載の無洗米製造装置。
【請求項7】
前記除去筒内への米の供給量を調整する供給機構を備える請求項1記載の無洗米製造装置。
【請求項8】
除去孔が設けられる除去筒と、
前記除去筒内に風を発生させる風発生機構と、
を備え、
前記除去筒内に米を供給し、
前記風発生機構が前記除去筒内に発生させる風によって米が前記除去筒の内周側に層状に配置されつつ前記除去筒の内周面を移動されることで前記除去筒の前記除去孔周囲によって米から肌糠が除去される
無洗米製造方法。
【請求項9】
前記風発生機構は、
前記除去筒内に設けられる回転体と、
前記回転体に設けられる突出部と、
を有し、
前記回転体を回転させて前記突出部が前記除去筒内に風を発生させることによって米が前記除去筒の内周面を移動される
請求項8記載の無洗米製造方法。
【請求項10】
前記突出部の先端より回転径方向内側への米の侵入を制限する請求項9記載の無洗米製造方法。
【請求項11】
前記除去筒の内周面と前記除去孔の周面との間の角部が尖る請求項8記載の無洗米製造方法。
【請求項12】
前記除去孔が前記除去筒の周方向側に延在される請求項8記載の無洗米製造方法。
【請求項13】
米から除去されて前記除去孔を介して前記除去筒外に排出された肌糠を吸引機構が吸引する請求項8記載の無洗米製造方法。
【請求項14】
供給機構が前記除去筒内への米の供給量を調整する請求項8記載の無洗米製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米から肌糠を除去する無洗米製造装置及び無洗米製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の精米機では、多孔容器内に白米が供給されて、多孔容器内において回転羽根が回転されることで、白米から肌糠が除去される。
【0003】
ここで、この精米機では、白米が回転される回転羽根によって攪拌されると共に多孔容器に接触されて、無洗米が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-275953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、無洗米の品質を向上できる無洗米製造装置及び無洗米製造方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の無洗米製造装置は、除去孔が設けられ、内部に米が供給される除去筒と、前記除去筒内に発生させる風によって米が前記除去筒の内周面を移動されることで前記除去筒の前記除去孔周囲によって米から肌糠が除去される風発生機構と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様の無洗米製造装置は、本発明の第1態様の無洗米製造装置において、前記風発生機構は、前記除去筒内に設けられ、回転される回転体と、前記回転体に設けられ、前記回転体が回転されて前記除去筒内に発生させる風によって米が前記除去筒の内周面を移動される突出部と、を有する。
【0008】
本発明の第3態様の無洗米製造装置は、本発明の第2態様の無洗米製造装置において、前記突出部の先端より回転径方向内側への米の侵入が制限される。
【0009】
本発明の第4態様の無洗米製造装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つの無洗米製造装置において、前記除去筒の内周面と前記除去孔の周面との間の角部が尖る。
【0010】
本発明の第5態様の無洗米製造装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つの無洗米製造装置において、前記除去孔が前記除去筒の周方向側に延在される。
【0011】
本発明の第6態様の無洗米製造装置は、本発明の第1態様~第5態様の何れか1つの無洗米製造装置において、米から除去されて前記除去孔を介して前記除去筒外に排出された肌糠を吸引する吸引機構を備える。
【0012】
本発明の第7態様の無洗米製造装置は、本発明の第1態様~第6態様の何れか1つの無洗米製造装置において、前記除去筒内への米の供給量を調整する供給機構を備える。
【0013】
本発明の第8態様の無洗米製造方法は、除去孔が設けられる除去筒と、前記除去筒内に風を発生させる風発生機構と、を備え、前記除去筒内に米を供給し、前記風発生機構が前記除去筒内に風を発生させて米が前記除去筒の内周面を移動されることで前記除去筒の前記除去孔周囲によって米から肌糠が除去される。
【0014】
本発明の第9態様の無洗米製造方法は、本発明の第8態様の無洗米製造方法において、前記風発生機構は、前記除去筒内に設けられる回転体と、前記回転体に設けられる突出部と、を有し、前記回転体を回転させて前記突出部が前記除去筒内に風を発生させることによって米が前記除去筒の内周面を移動される。
【0015】
本発明の第10態様の無洗米製造方法は、本発明の第9態様の無洗米製造方法において、前記突出部の先端より回転径方向内側への米の侵入を制限する。
【0016】
本発明の第11態様の無洗米製造方法は、本発明の第8態様~第10態様の何れか1つの無洗米製造方法において、前記除去筒の内周面と前記除去孔の周面との間の角部が尖る。
【0017】
本発明の第12態様の無洗米製造方法は、本発明の第8態様~第11態様の何れか1つの無洗米製造方法において、前記除去孔が前記除去筒の周方向側に延在される。
【0018】
本発明の第13態様の無洗米製造方法は、本発明の第8態様~第12態様の何れか1つの無洗米製造方法において、米から除去されて前記除去孔を介して前記除去筒外に排出された肌糠を吸引機構が吸引する。
【0019】
本発明の第14態様の無洗米製造方法は、本発明の第8態様~第13態様の何れか1つの無洗米製造方法において、供給機構が前記除去筒内への米の供給量を調整する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1態様の無洗米製造装置では、除去筒内に米が供給される。さらに、風発生機構が除去筒内に発生させる風によって米が除去筒の内周面を移動されることで、除去筒の除去孔周囲によって米から肌糠が除去されて、無洗米が製造される。
【0021】
このため、米に圧力が作用することを抑制でき、米の温度上昇及び砕粒を抑制できて、無洗米の品質を向上できる。
【0022】
本発明の第2態様の無洗米製造装置では、風発生機構において、除去筒内の回転体が回転されて、回転体の突出部が除去筒内に発生させる風によって米が除去筒の内周面を移動される。このため、簡単な構成で、除去筒内に風を発生させることができて、米が除去筒の内周面を移動できる。
【0023】
本発明の第3態様の無洗米製造装置では、突出部の先端より回転径方向内側への米の侵入が制限される。このため、回転する突出部により米に圧力が作用することを適切に抑制できる。
【0024】
本発明の第4態様の無洗米製造装置では、除去筒の内周面と除去孔の周面との間の角部が尖る。このため、当該角部によって米から肌糠を効果的に除去できる。
【0025】
本発明の第5態様の無洗米製造装置では、除去孔が除去筒の周方向側に延在される。このため、除去孔が除去筒の軸方向に延在される場合とは異なり、除去筒の除去孔周囲による米の砕粒を適切に抑制できる。
【0026】
本発明の第6態様の無洗米製造装置では、米から除去されて除去孔を介して除去筒外に排出された肌糠を吸引機構が吸引する。このため、米から除去された肌糠を収集できる。
【0027】
本発明の第7態様の無洗米製造装置では、供給機構が除去筒内への米の供給量を調整する。このため、除去筒内の米の量を適切にできる。
【0028】
本発明の第8態様の無洗米製造方法では、除去筒内に米を供給する。さらに、風発生機構が除去筒内に風を発生させて米が除去筒の内周面を移動されることで、除去筒の除去孔周囲によって米から肌糠が除去されて、無洗米が製造される。
【0029】
このため、米に圧力が作用することを抑制でき、米の温度上昇及び砕粒を抑制できて、無洗米の品質を向上できる。
【0030】
本発明の第9態様の無洗米製造方法では、風発生機構において、除去筒内の回転体を回転させて、回転体の突出部が除去筒内に風を発生させることによって、米が除去筒の内周面を移動される。このため、簡単な構成で、除去筒内に風を発生させることができて、米が除去筒の内周面を移動できる。
【0031】
本発明の第10態様の無洗米製造方法では、突出部の先端より回転径方向内側への米の侵入を制限する。このため、回転する突出部により米に圧力が作用することを適切に抑制できる。
【0032】
本発明の第11態様の無洗米製造方法では、除去筒の内周面と除去孔の周面との間の角部が尖る。このため、当該角部によって米から肌糠を効果的に除去できる。
【0033】
本発明の第12態様の無洗米製造方法では、除去孔が除去筒の周方向側に延在される。このため、除去孔が除去筒の軸方向に延在される場合とは異なり、除去筒の除去孔周囲による米の砕粒を適切に抑制できる。
【0034】
本発明の第13態様の無洗米製造方法では、米から除去されて除去孔を介して除去筒外に排出された肌糠を吸引機構が吸引する。このため、米から除去された肌糠を収集できる。
【0035】
本発明の第14態様の無洗米製造方法では、供給機構が除去筒内への米の供給量を調整する。このため、除去筒内の米の量を適切にできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の実施形態に係る無洗米製造装置を示す右斜め前方から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る無洗米製造装置を示す前方から見た一部破断正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る無洗米製造装置を示す右方から見た一部破断側面図である。
図4】本発明の実施形態に係る無洗米製造装置の主要部を示す右斜め前方から見た斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る無洗米製造装置の主要部を示す右方から見た断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る無洗米製造装置の金網の一部を示す前側から見た正面図である。
図7】(A)~(C)は、本発明の実施形態に係る無洗米製造装置の排出ユニットを示す図であり、(A)は、右斜め前方から見た斜視図であり、(B)は、排出シャッタの閉鎖状態を示す右方から見た断面図であり、(C)は、排出シャッタの開放状態を示す右方から見た断面図である。
図8】(A)~(D)は、本発明の実施形態に係る無洗米製造装置における無洗米の製造状況を示す右方から見た側面図であり、(A)は、第1段階を示し、(B)は、第2段階を示し、(C)は、第3段階を示し、(D)は、第4段階を示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1には、本発明の実施形態に係る無洗米製造装置10が右斜め前方から見た斜視図にて示されている。さらに、図2には、無洗米製造装置10が前方から見た一部破断正面図にて示されており、図3には、無洗米製造装置10が右方から見た一部破断側面図にて示されている。なお、図面では、無洗米製造装置10の前方を矢印FRで示し、無洗米製造装置10の右方を矢印RHで示し、上方を矢印UPで示している。
【0038】
図1図3に示す如く、本実施形態に係る無洗米製造装置10には、支持体としての支持枠12が設けられている。
【0039】
支持枠12の上部には、略円筒状の外筒14が支持されており、外筒14は、軸方向が左右方向にされると共に、左端及び右端が閉鎖されている。
【0040】
外筒14の左端及び右端には、供給筒16が固定されており、供給筒16の下端部は、外筒14内に挿入されている。供給筒16は、外筒14から上側に延出されており、供給筒16の上端部は、拡径されてホッパ16Aにされている。ホッパ16A内は、上側に開放されており、ホッパ16A内には、上側から米としての白米H(精白米)が供給(投入)される。
【0041】
供給筒16には、ホッパ16Aの下側において、供給機構としての供給ユニット18が設けられており、供給ユニット18には、供給規制部材としての板状の供給シャッタ(図示省略)が設けられている。供給シャッタは、供給筒16内を閉鎖しており、供給シャッタは、ホッパ16A内の白米Hが供給筒16内を流下されることを規制している。供給シャッタには、供給駆動装置18A(例えばエアシリンダ)が連結されており、供給駆動装置18Aが作動されて、供給シャッタが往復移動されることで、供給シャッタが供給筒16内を規定時間開放して、ホッパ16A内の所定量の白米Hが供給筒16内を流下される。
【0042】
外筒14内には、除去筒としての円筒状の金網20(図4図6参照)が略同軸上に設けられており、金網20の左端及び右端は、閉鎖されると共に、供給筒16の下端部が貫通かつ嵌合されている。金網20には、除去孔としての略長尺矩形状のスリット20A(図4及び図6において一部図示)が多数貫通形成されており、スリット20Aは、金網20の周方向全体(下記排出孔20Bの部分を除く)及び軸方向全体に配列されている。スリット20Aは、金網20の周方向に延在されると共に、両端部が円弧状に湾曲されており、金網20の内周面とスリット20Aの周面との間の角部は、尖っている。金網20の下斜め前部には、矩形状の排出孔20Bが貫通形成されており、排出孔20Bは、金網20の軸方向全体に延在されている。金網20と外筒14との間の空間は、吸引室22にされており、吸引室22は、スリット20Aを介して金網20内に連通されている。
【0043】
金網20内には、風発生機構を構成する回転体としての円筒状のロール24(図4図6参照)が同軸上に設けられており、ロール24の左端及び右端は、閉鎖されている。ロール24には、除去駆動装置26(例えばモータ)が連結されており、除去駆動装置26が作動されて、ロール24が高速で回転される。金網20とロール24との間の空間は、除去室28にされており、除去室28には、供給筒16の下端内が連通されて、供給筒16内を流下された白米Hが供給(流下)される。
【0044】
ロール24の外周には、風発生機構を構成する突出部としての長尺矩形板状の羽根24Aが複数固定されており、複数の羽根24Aは、ロール24の周方向に等間隔に配置されると共に、ロール24と一体回転される。羽根24Aは、ロール24の径方向外側に突出されると共に、ロール24の周方向に垂直に配置されており、羽根24Aは、ロール24の軸方向全体に延在されている。金網20の内周面と羽根24Aの先端(突出先端)との隙間寸法は、白米Hの長手方向寸法の1倍~2倍程度にされており、金網20の内周面と羽根24A先端の回転軌跡との間の体積は、一対の供給筒16から除去室28に一度に供給される白米Hの容積に比し大きくされている。ロール24(羽根24Aを含む)が回転される際には、羽根24Aが除去室28に径方向外側かつ周方向への風を発生させて、当該風によって白米Hが金網20の内周面を周方向に移動されることで(図8の(A)~(D)参照)、金網20の内周面とスリット20Aの周面との間の角部によって白米Hから肌糠が除去されて、白米Hが無洗米Mにされる。また、白米Hから除去された肌糠は、羽根24Aが発生させた風によって、スリット20Aを介して金網20と外筒14との間の吸引室22に排出される。
【0045】
金網20の排出孔20Bの下側には、排出機構としての排出ユニット30(図7の(A)~(C)参照)が設けられており、排出ユニット30は、左右方向に長尺にされると共に、外筒14に貫通かつ嵌合されている。排出ユニット30内には、排出路30Aが形成されており、排出路30Aの上端は、排出孔20Bに連通されている。排出ユニット30内には、排出規制部材としての長尺板状の排出シャッタ30Bが設けられており、排出シャッタ30Bは、排出路30Aの上端を閉鎖して(図7(B)参照)、排出孔20Bを閉鎖している。排出シャッタ30Bには、排出駆動装置30C(例えばエアシリンダ)が連結されており、排出駆動装置30Cが作動されて、排出シャッタ30Bが往復移動されることで、排出シャッタ30Bが排出路30A及び排出孔20Bを所定時間開放して、除去室28の無洗米Mが排出孔20B及び排出路30Aを流下される。
【0046】
排出ユニット30の下側には、矩形筒状の排出筒32が設けられており、排出筒32は、前斜め下方に延出されている。排出筒32の上端部は、左右方向に長尺にされており、排出筒32の左右方向寸法は、下側へ向かうに従い徐々に小さくされている。排出筒32の上端部内は、排出ユニット30の排出路30A下端に連通されており、排出路30Aの下端から無洗米Mが排出筒32の上端部内に流下されることで、無洗米Mが、排出筒32内を流下されて、排出筒32の下端から排出される。
【0047】
外筒14の後側かつ下側には、吸引筒34が固定されており、吸引筒34内は、外筒14と金網20との間の吸引室22に連通されている。吸引筒34は、吸引機構としての吸引装置36(例えばブロワ)に連絡されており、吸引装置36が作動されて、吸引室22の空気が吸引筒34内を介して吸引装置36に吸引されることで、吸引室22に排出された肌糠が吸引筒34内を介して吸引装置36に吸引される。
【0048】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0049】
以上の構成の無洗米製造装置10では、供給ユニット18において、供給駆動装置18Aが作動されて、供給シャッタが供給筒16内を規定時間開放することで、ホッパ16A内の白米Hが、供給筒16内を流下されて、金網20とロール24との間の除去室28に供給される。
【0050】
さらに、除去駆動装置26が作動されることで、金網20内においてロール24(羽根24Aを含む)が高速で回転されて、羽根24Aが除去室28に径方向外側かつ周方向への風を発生させている。このため、除去室28の白米Hが、金網20の全周において、除去室28の径方向外側への風圧を作用されて金網20の内周面と羽根24A先端の回転軌跡との間に層状に配置された状態で、当該風によって金網20の内周面を転がりつつ周方向に移動される。なお、金網20内の下端の白米Hも金網20内の下端以外の白米Hと同一速度(羽根24Aよりも低い速度)で移動される。そして、金網20の内周面とスリット20Aの周面との間の角部によって白米Hから肌糠が削り取られて(ピーリングされて)除去されることで、白米Hが無洗米Mにされる。
【0051】
また、白米Hから除去された肌糠が、羽根24Aが発生させた風によって、スリット20Aを介して金網20と外筒14との間の吸引室22に排出される。このため、白米Hから除去された肌糠が再度白米Hに付着することが抑制される。そして、吸引装置36が作動されることで、吸引室22に排出された肌糠が吸引筒34内を介して吸引装置36に吸引される。
【0052】
さらに、白米Hが無洗米Mにされた後には、排出ユニット30において、排出駆動装置30Cが作動されて、排出シャッタ30Bが金網20の排出孔20B及び排出ユニット30の排出路30Aを所定時間開放することで、除去室28の無洗米Mが、排出孔20B、排出路30A及び排出筒32内を流下されて、排出筒32の下端から排出される。
【0053】
また、上記の供給駆動装置18Aの作動から排出駆動装置30Cの作動までの工程は、必要に応じて、複数回繰り返される。
【0054】
ここで、上述の如く、白米Hが回転されるロール24の羽根24Aにより発生された風によって金網20の内周面を移動されることで、金網20の内周面とスリット20Aの周面との間の角部によって白米Hから肌糠が除去されて、無洗米Mが製造される。このため、回転される羽根24Aにより白米Hに圧力が作用することを抑制でき、白米Hの温度上昇及び砕粒を抑制できて、無洗米Mの品質を向上できる。
【0055】
また、金網20内のロール24が回転されて、ロール24の羽根24Aにより発生された風によって白米Hが金網20の内周面を移動される。このため、簡単な構成で、金網20内に風を発生させることができて、白米Hが金網20の内周面を移動できる。
【0056】
さらに、供給ユニット18が供給筒16から除去室28への白米Hの供給量を調整して、一対の供給筒16から除去室28に一度に供給される白米Hの容積が金網20の内周面と羽根24A先端の回転軌跡との間の体積に比し小さくされることで、羽根24Aの先端より回転径方向内側への白米Hの侵入が制限される。このため、回転する羽根24Aにより白米Hに圧力が作用することを適切に抑制でき、白米Hの温度上昇及び砕粒を適切に抑制できる。
【0057】
また、金網20の内周面とスリット20Aの周面との間の角部が尖っている。このため、当該角部によって白米Hから肌糠を効果的に削り取ることができ、炊飯時における無洗米Mの浸漬水の濁度を良好に低下できる。しかも、白米Hが金網20の内周面を移動されることで、白米Hから肌糠を均一に削り取ることができる。
【0058】
さらに、スリット20Aが金網20の周方向に延在されている。このため、スリット20Aが金網20の軸方向に延在される場合とは異なり、金網20の内周面とスリット20Aの周面との間の角部による白米Hの砕粒を適切に抑制できる。しかも、金網20の内周面の周方向への白米Hの移動をスリット20Aが阻害することを抑制できる。
【0059】
また、除去室28において白米Hから除去されてスリット20Aを介して金網20外に排出された肌糠を吸引装置36が吸引する。このため、白米Hから除去された肌糠を収集できる。
【0060】
なお、本実施形態では、金網20内のロール24が回転されて、ロール24の羽根24Aにより発生された風によって白米Hが金網20の内周面を移動される。しかしながら、風発生機構としての送気装置(例えばコンプレッサ)が金網20外から金網20内に空気を送付して金網20の内周面を周方向に空気流が旋回することで、白米Hが金網20の内周面を移動されてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、スリット20Aの延在方向が金網20の周方向にされる。しかしながら、スリット20Aの延在方向が金網20の周方向に対し傾斜されてもよく、スリット20Aの延在方向が金網20の軸方向にされてもよい。
【0062】
さらに、本実施形態では、金網20の内周面とスリット20Aの周面との間の角部が尖る。しかしながら、金網20の内周面とスリット20Aの周面との間の角部が丸くされてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、金網20内に白米Hが供給される。しかしながら、金網20内に玄米(米)が供給されてもよい。この場合、金網20内において、玄米が精米されて白米Hが製造された後に、白米Hから肌糠が除去されて無洗米が製造される。
【符号の説明】
【0064】
10 無洗米製造装置
18 供給ユニット(供給機構)
20 金網(除去筒)
20A スリット(除去孔)
24 ロール(風発生機構、回転体)
24A 羽根(風発生機構、突出部)
36 吸引装置(吸引機構)
H 白米(米)
M 無洗米
【要約】
【課題】無洗米の品質を向上させる。
【解決手段】無洗米製造装置10では、金網20内に白米が供給されると共に、金網20内においてロール24が回転される。ここで、白米が回転されるロール24の羽根24Aにより発生された風によって金網20の内周面を移動されることで、金網20の内周面のスリット20A周囲によって白米から肌糠が除去されて、無洗米が製造される。このため、白米に圧力が作用することを抑制でき、白米の温度上昇及び砕粒を抑制できて、無洗米の品質を向上できる。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8