(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-12
(45)【発行日】2025-03-21
(54)【発明の名称】原反の分割方法とその分割装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20250313BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20250313BHJP
H01G 11/86 20130101ALI20250313BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20250313BHJP
B23K 26/384 20140101ALI20250313BHJP
【FI】
H01M4/04 A
H01M4/139
H01G11/86
H01G13/00 381
B23K26/384
(21)【出願番号】P 2024109586
(22)【出願日】2024-07-08
【審査請求日】2024-07-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390006426
【氏名又は名称】オー・エム・シー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 信次
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-014993(JP,A)
【文献】特開2018-022554(JP,A)
【文献】特開昭63-076310(JP,A)
【文献】特開2021-104518(JP,A)
【文献】特表2022-554056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62
H01G4/00-4/40
H01G11/00-11/86
H01G13/00-13/06
B23K26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の金属箔4の少なくとも一方の面に活物質層2が塗着され、一方向に搬送されている原反1に、中心部の高強度レーザLfと、該高強度レーザLfの周囲を取り囲み、前記高強度レーザLfより低強度で、前記高強度レーザLfの照射点Pfの周囲Pyを予熱する予熱用レーザLyとで構成されたダブルコアレーザLをパルス状に照射して前記原反1に長手方向にミシン目状の孔1hを形成し、然る後、前記
ダブルコアレーザLの照射点Pから離れた下流で、前記ミシン目状の孔1hを起点として該孔1hの列に沿って前記原反1を上下に引き裂くことを特徴とする原反の分割方法。
【請求項2】
原反1の照射点Pを含む領域を、レーザビーム照射の反対方向からバックアップローラ30に接触させ、バックアップローラ30との接触範囲Θで原反1に張力Tを与えつつダブルコアレーザLを照射点Pに照射することを特徴とする請求項1に記載した原反の分割方法。
【請求項3】
照射点Pに接する接線Hに対して原反1の走行方向に傾斜させた方向からダブルコアレーザLを照射点Pに照射することを特徴とする請求項1又は2に記載した原反の分割方法。
【請求項4】
長尺の金属箔4の少なくとも一方の面に活物質層2が塗布された原反1をダブルコアレーザLで長手方向に切断する原反分割装置Aであって、
原反1を送り出す原反供給部10と、
分割された原反1s・1tを巻き取る分割原反巻取部60s・60tと、
原反供給部10と分割原反巻取部60s・60tとの間に位置する原反1の照射点PにダブルコアレーザLを照射するレーザ出射装置70と、
照射点Pと原反供給部10との間にて、原反1を上下から挟むように設置され、原反供給部10から原反1を引き出す上下一対の駆動ローラ20a・20bと、
照射点Pと分割原反巻取部60s・60tとの間にて、ダブルコアレーザLにてミシン目状に孔1hが形成された原反1を上下から挟むように設置された上下一対の挟持ローラ40a・40bと、
挟持ローラ40a・40bと分割原反巻取部60s・60tとの間にて、一方が前記挟持ローラ40a・40bの上方に、他方が挟持ローラ40a・40bの下方に配置され、挟持ローラ40a・40bから送出された原反1をミシン目状の孔1hを起点として上下に引き裂くセパレートローラ50s・50tとで構成され、
レーザ出射装置70は、中心部が高強度レーザLfであって、該高強度レーザLfより低強度であり、該高強度レーザLfの周囲Pyを取り囲み、該高強度レーザLfの照射点Pfの周囲Pyを予熱する予熱用レーザLyとで構成されたダブルコアレーザLをパルス状に出射するように構成されてなることを特徴とする原反分割装置。
【請求項5】
駆動ローラ20a・20bと挟持ローラ40a・40bの原反挟持部分を結ぶ平面Sをその上部が上に超えるようにバックアップローラ30が配置され、
前記バックアップローラ30の上部がレーザビーム照射の反対側からダブルコアレーザLの照射点Pを含む接触範囲Θに接触して原反1をバックアップし、当該接触範囲Θにて原反1に張力Tを付与するようになっていることを特徴とする請求項4に記載した原反分割装置。
【請求項6】
レーザ出射装置70は、原反1の照射点Pに接する接線Hに対して原反1の走行方向に傾斜して配置され、 バックアップローラ30には、ダブルコアレーザLの照射点Pを含む、原反1との接触範囲Θにおいて、ダブルコアレーザLの照射範囲を越える幅で凹溝31が全周にわたって形成されていることを特徴とする請求項5に記載した原反分割装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム2次電池やリチウムキャパシタ、電気2重層コンデンサ等に用いられる電極シート生産用の原反を移動状態下で、レーザビームにて複数に分割する際に照射点に於ける火花発生を抑制し、且つ活物質層に対する被熱影響を最小にすることが出来る画期的な原反の分割方法とその分割装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、高エネルギ密度であるメリットを活かして、小は携帯電話、パソコンなどの電子機器、大はハイブリッド或いは電気自動車の蓄電装置などの各種電子部品に使用されている。
リチウムイオン二次電池の主たる内部構造である電極組立体には、金属箔に活物質が塗着された正及び負の電極帯とセパレータとを重ね合わせて巻き付けた捲回式や、原反から矩形に切り出された正及び負電極シートとセパレータとを交互に積層した積層式のものがある。上記構造はリチウムキャパシタや電気2重層コンデンサも同じである。
【0003】
これら電極組立体は使用される電子部品の大きさに合わせて構成される。これに対して電極組立体の原材料である原反は、生産性の面から幅の広いアルミニウム又は銅のような金属箔の片面或いは両面に正又は負の電極ペースト(例えば、電池の充放電時に電子とイオンの移動を担当するリチウム化合物や炭素のような電極活物質、電極活物質粉体同士や集電体などと接着するバインダ及び活物質粒子間の導電性を上げ、導電パスを確保する導電助剤で構成される。)をそのほぼ全幅で帯状且つ長手方向に塗着し硬化させた活物質層と、その両側に設けられた、活物質が塗着されていない耳部とで構成されている。原反は一般的にはローラ状に巻き取られている。
そして、用途に合わせて幅広の原反を、例えば、上下一対の円板状の刃を持つスリッタで必要幅にスリットしている(特許文献1)。
【0004】
処が、硬い活物質が塗着された原反を円板状のスリッタ刃でスリットすると、次第に刃先が摩耗し、切断端面にカット方向、即ち、原反の表面にトラブルの原因となる鋭いバリが生じやすく、このバリが電池製品の故障(例えば、ショートに依る発火)の原因の1つになっていた。
【0005】
ここで、このような問題を解決する方法として、YAGレーザのようなレーザビームの使用が提案された(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平7-37595号公報
【文献】特開2007-14993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
YAGレーザのようなレーザビームを用いて走行中の原反を切断すると、まず、表面の活物質層にレーザビームが照射され、活物質層を構成する樹脂分が焼失し、続いて、活物質層と金属箔が急速に溶融し、この部分に液溜まりが形成される。この液溜まりは急速に形成され且つ原反の移動と共にこの液溜まりが原反の走行方向に移動するために液溜まり内で激しい乱流が発生し、この溶融金属がスパッタとなって周囲に飛散する。この飛散した溶融金属のスパッタは原反の表面の活物質層に付着して電池故障の一因となる。原反の走行方向の反対側ではレーザビームが移動した移動跡では溶融部分が再凝固しようとするが、これを妨げるためにエアブローを行う。このエアブローによって溶融金属が周囲に飛散するため、これも電池故障の一因となっていた。
【0008】
加えて、YAGレーザのようなレーザビームが照射された照射点の周囲では活物質層が焼けてその性能が劣化する。特許文献2のようにローラ・ツー・ローラで連続的に移動している原反のレーザビームを連続的に照射して原反を切断すると、切断ラインの両側の活物質層が切断ラインの全長にわたって熱影響を受け、幅広い範囲で性能劣化領域が発生する。
【0009】
製造コスト面から原反の切断速度は高速切断が要求されており、このような高速走行中での原反の連続切断が求められている。表面に100ミクロン・メートル程度の厚さの活物質層と、これを積層した10ミクロン・メートル程度の厚さの金属箔とで構成された幅広の原反をローラ・ツー・ローラで高速で走らせると、仮に、特許文献2のようにレーザ照射点の両側を原反の下面で送りローラで支えたとしてもレーザ照射点では原反が振動して走行方向に対して上下に波を打つ。一方、レーザビームの焦点深度は短いので、原反が上下に波を打ちながら走行すると、レーザビームの焦点深度からずれる場合があり、切断が不十分な箇所が発生する。
【0010】
本発明は、かかる従来例の問題に鑑みてなされたもので、最小の熱影響でしかもスパッタ発生を抑制した状態でレーザビームを用いることが出来、加えて高速で正確に切断することができる切断方法とその分割装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載した発明方法(原反の分割方法)は、ハイブリッドのダブルコアレーザLを使用して原反1を分割する方法で、
長尺の金属箔4の少なくとも一方の面に活物質層2が塗着され、一方向に搬送されている原反1に、中心部の高強度レーザLfと、該高強度レーザLfの周囲を取り囲み、前記高強度レーザLfより低強度で、前記高強度レーザLfの照射点Pfの周囲Pyを予熱する予熱用レーザLyとで構成されたダブルコアレーザLをパルス状に照射して前記原反1に長手方向にミシン目状の孔1hを形成し、然る後、前記ダブルコアレーザLの照射点Pから離れた下流で、前記ミシン目状の孔1hを起点として該孔1hの列に沿って前記原反1を上下に引き裂くことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載した発明方法は、レーザ照射時における照射点Pでの、走行中の原反1の振動を抑制する方法で、前記請求項1に記載した原反の分割方法において、
原反1の照射点Pを含む領域を、レーザビーム照射の反対方向からバックアップローラ30に接触させ、バックアップローラ30との接触範囲Θで原反1に張力Tを与えつつダブルコアレーザLを照射点Pに照射することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載した発明方法は、ダブルコアレーザLの照射角度に関し、前記請求項1又は2に記載した原反の分割方法において、
照射点Pに接する接線Hに対して原反1の走行方向に傾斜させた方向からダブルコアレーザLを照射点Pに照射することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載した発明装置Aは、請求項1に記載された方法を実施する装置である。
長尺の金属箔4の少なくとも一方の面に活物質層2が塗布された原反1をダブルコアレーザLで長手方向に切断する原反分割装置Aであって、
前記原反分割装置Aは、
原反1を送り出す原反供給部10と、
分割された原反1s・1tを巻き取る分割原反巻取部60s・60tと、
原反供給部10と分割原反巻取部60s・60tとの間に位置する原反1の照射点PにダブルコアレーザLを照射するレーザ出射装置70と、
照射点Pと原反供給部10との間にて、原反1を上下から挟むように設置され、原反供給部10から原反1を引き出す上下一対の駆動ローラ20a・20bと、
照射点Pと分割原反巻取部60s・60tとの間にて、ダブルコアレーザLにてミシン目状に孔1hが形成された原反1を上下から挟むように設置された上下一対の挟持ローラ40a・40bと、
挟持ローラ40a・40bと分割原反巻取部60s・60tとの間にて、一方が前記挟持ローラ40a・40bの上方に、他方が挟持ローラ40a・40bの下方に配置され、挟持ローラ40a・40bから送出された原反1をミシン目状の孔1hを起点として上下に引き裂くセパレートローラ50s・50tとで構成され、
レーザ出射装置70は、中心部が高強度レーザLfであって、該高強度レーザLfより低強度であり、該高強度レーザLfの周囲Pyを取り囲み、該高強度レーザLfの照射点Pfの周囲Pyを予熱する予熱用レーザLyとで構成されたダブルコアレーザLをパルス状に出射するように構成されてなることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載した発明装置Aは、請求項2に記載された方法を実施する装置である(
図2)。請求項4に記載した原反分割装置Aにおいて、
駆動ローラ20a・20bと挟持ローラ40a・40bの原反挟持部分を結ぶ平面Sをその上部が上に超えるようにバックアップローラ30が配置され、
前記バックアップローラ30の上部がレーザビーム照射の反対側からダブルコアレーザLの照射点Pを含む接触範囲Θに接触して原反1をバックアップし、当該接触範囲Θにて原反1に張力Tを付与するようになっていることを特徴とする。
【0016】
請求項6はバックアップローラ30の構造とレーザ出射装置70の配置に関し(
図2)、請求項5に記載した発明装置Aにおいて、
レーザ出射装置70は、原反1の照射点Pに接する接線Hに対して原反1の走行方向に傾斜して配置され、
バックアップローラ30には、ダブルコアレーザLの照射点Pを含む、原反1との接触範囲Θにおいて、ダブルコアレーザLの照射範囲を越える幅で凹溝31が全周にわたって形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明において、ダブルコアレーザLを用いることで、高強度レーザLfの照射点Pfの周囲Pyを予熱用レーザLyが囲むように照射して当該部分(予熱領域Py)をリング状に加熱するようになるので、後述するようにこの予熱領域Pyがバッファとなって高強度レーザLfの照射点Pf付近からのスパッタ発生を抑制することが出来るようになった。
【0018】
また、走行している原反1にダブルコアレーザLをパルス状に出射することで、原反1に走行方向に伸びた孔1hをミシン目状に一列に形成することになるので、従来のように連続的にレーザを照射して切断する場合と比べて原反1への入熱量が少なくなる。従って、本発明では活物質層2への熱影響を最小限に留めることが出来る。
【0019】
原反1の照射点Pを含む範囲ΘをダブルコアレーザLの照射反対方向からバックアップローラ30に接触させ、バックアップローラ30とのこの接触範囲Θに張力Tを与えているので、原反1は常にバックアップローラ30の表面に張り付いて走行し、走行中の照射であってもダブルコアレーザLの焦点は常に原反1から外れることがない。従って、いずれの孔1hも正確に形成することが出来る。
【0020】
ダブルコアレーザLが原反1の走行方向に対して傾斜方向から照射すると、照射点Pは原反1の走行方向に長く伸びる。ダブルコアレーザLはパルス照射であるからパルス照射時間の間、原反1は移動する。従って、原反1の走行と相俟って原反1の走行方向に伸びた孔1hが原反1に形成される。この原反1の走行方向に伸びた孔1hは、次の引き裂き工程で原反1を引き裂き易くする。
【0021】
バックアップローラ30には、ダブルコアレーザLの照射点Pを含む接触範囲Θにおいて、レーザ出射装置70から出射されたダブルコアレーザLの照射範囲をカバーする幅の凹溝31が全周にわたって形成されているので、原反1に穿設された孔1hを突き抜けたダブルコアレーザLは該凹溝31を通過してバックアップローラ30に接触せず、バックアップローラ30を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】
図1の概略側面図であり、(a)はダブルコアレーザが原反に対して斜めに照射された状態の部分拡大図、(b)はダブルコアレーザが原反に対して上からほぼ垂直に照射された状態の部分拡大図である。
【
図3】
図1の丸枠部分で、照射点と原反引き裂き部分の拡大斜視図である。
【
図5】(a)
図4の孔の拡大斜視図、(b)照射点における照射初期の平面図、(c)照射点が移動した場合の平面図である。
【
図6】照射点における照射初期の拡大断面図である。
【
図7】照射点における原反移動後の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の原反分割装置Aを図示実施例に沿って説明する。本発明の原反分割装置Aは、
図1に示すように、原反1を送り出す原反供給部10、分割された原反1s・1tを巻き取る分割原反巻取部60s・60t、原反供給部10と分割原反巻取部60s・60tとの間に位置する原反1の照射点PにダブルコアレーザLを照射するレーザ出射装置70、照射点Pの上流側に設けられ、原反1を上下から挟持して下流側に搬送駆動する駆動ローラ20a・20b、照射点Pにおいて、原反1の下面に接するように配置されたバックアップローラ30、照射点Pの下流側に設けられ、ダブルコアレーザLにて孔1hがミシン目状に形成された原反1を上下から挟むように設置され、原反1の引き裂き分割の起点となる上下一対の挟持ローラ40a・40b、挟持ローラ40a・40bと分割原反巻取部60s・60tとの間にて、一方が前記挟持ローラ40a・40bの上方に、他方が下方に配置され、挟持ローラ40a・40bから送出された原反1をミシン目状の孔1hを起点として上下に引き裂くセパレートローラ50s・50t及び排煙部80とで構成され、更に、送りローラ90、91、93、95s・95t、96t、ダンサーローラ92、97s・97tなども備え、それぞれ装置躯体(図示せず)に組み込まれている。
【0024】
適用される
図1の原反1は金属箔4の表・裏面の少なくとも一面に電極ペーストが塗布されて活物質層2が形成されている。図の実施例では金属箔4の表面に活物質層2が形成されている例を示す。
【0025】
原反1は金属箔4の両側辺に活物質層2となる電極ペーストが塗布されていない領域(この部分を耳部4bとする。)を有している。なお、この他に図示していないが、原反1には片側しか耳部4bがない場合、両方とも耳部4bがない場合など様々なものがある。用途に従って適するものが選定される。
金属箔4は、例えば、10ミクロン・メートルの厚みを持つ銅箔、或いはアルミニウム箔である。
【0026】
活物質層2となる電極ペーストは、活物質、バインダ、溶剤等を含んでいる。電極ペーストは、金属箔4に100ミクロン・メートル程度の厚みで塗着され、乾燥固化される。
電極ペーストに含まれる活物質には、正極活物質及び負極活物質がある。
正極活物質としては、例えば、複合酸化物、金属リチウム、硫黄などがあり、負極活物質は、例えば、各種カーボン類、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOxの金属酸化物、ホウ素添加炭素などがある。
バインダは、含フッ素樹脂、熱可塑性樹脂、イミド系樹脂などの樹脂が使用される。
【0027】
原反供給部10はトルクモータ11とこれに接続された原反送出軸12及び装置躯体に組み込まれた原反支持架台(図示せず)とで構成されている。
トルクモータ11は大きな起動トルクと垂下特性を持ち、回転速度-トルク特性の全域、特に低速及び拘束時での安定した運転が得られるモータである。
原反支持架台に懸架されたローラ状の原反1は、原反送出軸12に取り付けられ、送出側のトルクモータ11によって安定したテンション下で引き出される。
【0028】
原反供給部10の次には上下一対の駆動ローラ20a・20bが設けられ、原反供給部10と駆動ローラ20a・20bとの間には間隔を明けて送りローラ90、91,93が設けられており、隣接する送りローラ91、93の間にダンサーローラ92が更に設けられている。
ダンサーローラ92は公知の機構のもので、例えばダンサーローラ92にはこれに下向きの力を与える重錘やバネなどが設置され、原反1のこの部分に掛かる張力の変化に合わせて昇降し、原反1のこの部分に掛かる張力が一定するように構成されている。
【0029】
駆動ローラ20a・20bは、原反1を上下から挟んで回転し、原反供給部10から原反1を引き出し、原反1を次のレーザ照射領域に送り込むもので、一方の駆動ローラ20aに駆動用サーボモータ21が装着されている。この一対の駆動ローラ20a・20bの下流には、照射点Pが設置されている。照射点Pについては後述する。
【0030】
この照射点Pに一致してバックアップローラ30が設けられ、原反1の下面に接触している(
図2、
図6)。バックアップローラ30の上部は上流側の駆動ローラ20a・20bと下流側の上下の挟持ローラ40a・40bの原反挟持部分間を結ぶ平面Sに対して若干上に出るように設置されており、駆動ローラ20a・20bと挟持ローラ40a・40bの間を移動する原反1の下面を下から上に押し出すように設置されている。
その結果、バックアップローラ30の上部は接触範囲Θで原反1の下面に接し、原反1を上に若干押し上げ、接触範囲Θで張力Tを原反1に付与する。
原反1は移動の間、接触範囲Θでバックアップローラ30の上面に密着しており、移動による振動は完全に抑制される。
上記のように、バックアップローラ30の下流には原反1を上下に分割する起点となる上下一対の挟持ローラ40a・40bが設けられている。
【0031】
バックアップローラ30の外周面において、ダブルコアレーザLの照射点Pを含む部分にはダブルコアレーザLの照射範囲をカバーする幅と深さで凹溝31がその全周にわたって形成されている。
図2(a)は、原反1の照射点Pに接する接線Hに対して傾斜して斜め上から照射された状態を示す。
図1の実施例では、上流側の斜め上から照射された状態を示す。勿論、図示していないが、下流側の斜め上から照射するようにしてもよい。
図2(b)は、原反1の上からほぼ垂直に照射した場合である。この場合の照射点Pはバックアップローラ30の回転中心からずれ、凹溝31の溝底から外れた位置に設定される。
いずれの場合でも、凹溝31の幅及び深さは、原反1の孔1hを貫通したダブルコアレーザLがバックアップローラ30の凹溝31の溝底に接触しない大きさ(幅と深さ)に形成される。
【0032】
レーザ出射装置70は、2種類のレーザ発振器(図示せず)に接続され、ダブルクラッドファイバーと呼ばれる光ファイバを使用し、波長の短いダブルコアレーザLをパルス状に出射することが出来る装置である。
図2の右上の四角枠内は、波長の短い内外2種類で構成されたダブルコアレーザLをパルス状に出射する状態を示す。
図1は1台のレーザ出射装置70が描かれているが、原反1の分割数に合わせて複数台のレーザ出射装置(図示せず)を設置することが出来る。
【0033】
ダブルコアレーザLは、中心に高強度レーザLfが存在し、その周囲を取り囲むように予熱用レーザLyが設けられたハイブリッド型のレーザビームである。
図2(a)(b)で示す丸枠内の図は、ダブルコアレーザLの内側の超短波長の高強度レーザLfが照射点Pに向かってパルス状に出射され、これより波長の長い外側の予熱用レーザLyがパルス状に出射されている状態を模式的に表した図である。
高強度レーザLfのパルス間隔と予熱用レーザLyのパルス間隔とは一致していてもよいし、異なっていてもよい。また、パルスのタイミングも一致していてもよいし、ずれていてもよい。そして、高強度レーザLfと予熱用レーザLyとで構成されるハイブリッド型のダブルコアレーザLは、全体としてパルス状に出射される。
【0034】
高強度レーザLfに用いられる超短パルスレーザは、吸収率の関係から金属箔4の種類に応じて使い分けられ、金属箔4が銅の場合はブルーレーザ(青色光)、アルミニウムの場合はLD(半導体レーザ)光が用いられる。即ち、ブルーレーザ(青色光)は銅に吸収されやすく、LD(半導体レーザ)光はアルミニウムに吸収されやすい。
【0035】
予熱用レーザLyとして使用される赤外領域(IR)のレーザは、1300から1700ナノメートルに及ぶ非可視スペクトルの放射で、ブルーレーザやLD光より強度は小さい。
レーザ出射装置70では、上記のようにこれらで構成されたダブルコアレーザLをパルス状に出射する。
【0036】
ダブルコアレーザLはバックアップローラ30の凹溝31上の一点である照射点Pに照射されて原反1に孔1hを形成する。孔1hの形成に付いては後述する。このダブルコアレーザLは原反1に孔1hを形成すると原反1の下面を通り抜けるため、上記
図2(a)のように通り抜けたダブルコアレーザLがバックアップローラ30に接しないように照射点Pに接する接線Hに対して原反1の走行方向に上流側から(或いは図示していないが下流側から)傾斜して配置される場合と、
図2(b)のようにバックアップローラ30の回転中心からずれた位置で、原反1に対してほぼ垂直に配置され、凹溝31を通過するように配置される場合がある。
そして、ダブルコアレーザLは走行している原反1にある一定のパルス時間だけ、パルス照射されるので、原反1の走行方向に伸びた孔1hが形成されることになる。
【0037】
挟持ローラ40a・40bは、原反1の引き裂き起点となるローラで、照射点Pより下流側に設けられ、ミシン目状の孔1hが形成された原反1を上下から挟持している。
【0038】
図1において、原反分割装置Aの手前側を前面側とすると、セパレートローラ50s・50tは、挟持ローラ40a・40bの下流側にて挟持ローラ40a・40bの前後に分かれて設置されている。そして、前面側に配置されているセパレートローラ50sは、図の実施例では挟持ローラ40a・40bよりも下、背面側に配置されているセパレートローラ50tは、挟持ローラ40a・40bよりも上に配置され、挟持ローラ40a・40bの出口で上下のセパレートローラ50s・50tの間でセパレート角γが形成されるようになっている。(勿論、セパレートローラ50s・50tの上下配置は逆であってもよい。)
【0039】
セパレートローラ50s・50tに続けて、分割された原反1s・1tを次の分割原反巻取部60s・60tに送り込むための送りローラ95s、95t・96tがそれぞれのラインに設けられている。
手前側のラインでは、セパレートローラ50sと送りローラ95sとの間にダンサーローラ97sが設けられており、背面側のラインでは、セパレートローラ50tと送りローラ95tとの間にダンサーローラ97tが設けられており、セパレートローラ50s・50tの出口で上下に引き裂かれ、分割原反巻取部60s・60tに巻き取られる分割原反1s・1tに一定の張力を与えるようになっている。
【0040】
送りローラ95s・96tの下流には分割原反巻取部60s・60tがそれぞれ設置されており、上下に引き裂かれた原反1s・1tがその巻取り軸62s・62tに巻き取られる。巻取り軸62s・62tには巻取り用サーボモータ61s・61tがそれぞれ接続されている。巻取り用サーボモータ61s・61tは駆動ローラ20aの駆動用サーボモータ21に同期して回転している。
【0041】
排煙部80は、上面側排煙ケース81と下面側排煙ケース85とで構成されている。
上面側排煙ケース81は、その下面が開口し、原反1の上面側にて照射点Pの周囲をカバーしている。
図4の上面側排煙ケース81は、中央から切断されたその半分が示されている。そして、上面側排煙ケース81の上面にはダブルコアレーザLが通過でき、原反1の搬送方向に伸びたスリット82(図ではその半分が示されている。)が形成されている。上面側排煙ケース81の側面には排煙管83が設けられ、常時、上面側排煙ケース81内が負圧となるように排煙管83から吸引されている。
【0042】
下面側排煙ケース85は、その上面が開口し、原反1の下面側にて照射点Pの周囲をカバーしている。下面側排煙ケース85の幅はバックアップローラ30の凹溝31より狭く、且つその高さは凹溝31の深さより浅く、凹溝31内に挿入される大きさである。下面側排煙ケース85の側面には排煙管87が設けられ、常時、下面側排煙ケース85内が負圧となるように排煙管87から吸引されている。
なお、下面側排煙ケース85の底面には、原反1の孔1hを通過したダブルコアレーザLが通過する通過窓86が設けられている。(或いは、通過窓86なしで、下面側排煙ケース85の内面を黒くし、ダブルコアレーザLを吸収するようにしてもよい。)
【0043】
次に、本装置Aの作用に付いて説明する。原反1は
図1のように原反送出軸12に装着されている。稼働前にあっては、原反1の引き出された部分は駆動ローラ20a・20bの間を通り、挟持ローラ40a・40bを越えた処で作業者により分割され、一方の分割された原反1sが前側のセパレートローラ50sの下を越え、他方の分割された原反1tは、後ろ側のセパレートローラ50tの上を通り、下流側の巻取り軸62s・62tにそれぞれ巻き付けられる。
【0044】
この状態から本装置Aを作動させると、駆動用サーボモータ21が作動して原反1を原反供給部10から引き出す。原反供給部10にはトルクモータ11が設置されているので、駆動用サーボモータ21により引き出された原反1の送り速度に合わせてトルクモータ11が回転する。トルクモータ11によって原反1はその巻き数に影響されず終始安定した張力で原反供給部10から引き出される。
【0045】
原反供給部10の下流側にて、これに隣接して設けられたダンサーローラ92は原反供給部10から引き出された原反1の微妙な張力変化に対応して昇降し、駆動用サーボモータ21が接続されている駆動ローラ20a・20bと原反供給部10との間の原反1の張力Tを一定に保っている。
このように原反供給部10から原反1を引き出した駆動ローラ20a・20bは次の照射点P方向に原反1を送り込む。
【0046】
本装置Aでは、原反1を走行させながらこれをダブルコアレーザLにて切断する。
照射点Pでは、レーザ出射装置70からダブルコアレーザLがパルス状に出射される。ダブルコアレーザLは上記のように中心部が高強度レーザLf、その周囲を囲むように予熱用レーザLyが組み込まれており、原反1の照射点Pで内外2重の照射面を形成する。照射点Pの内側を高強度レーザの照射点Pf、その周囲を予熱用レーザLyによる予熱領域Pyとする(
図5(b))。
パルス状に出射された高強度レーザLfと予熱用レーザLyは、そのパルス時間の間、連続して照射点Pに投入される(
図2の四角枠内の図参照)。
図6、
図7では、原反1は右から左に移動する。
【0047】
図6は、ダブルコアレーザLが原反1に照射されてキーホールKhと小さい湯溜まり1uが形成された照射初期状態、
図7は原反1の移動によって移動したキーホールKhの周囲の予熱領域Pyで、キーホールKhの移動跡に出来た細長い孔1hの後方側面に大きい湯溜まり1uが形成された状態の模式図である。
図5(a)はその斜視図、
図5(c)はその平面図である。
【0048】
初期状態(
図5(b))では、照射点Pでは高強度レーザの照射点Pfの外周の予熱領域Pyで活物質層2と金属箔4とが瞬時に加熱されて溶融し、当該場所に小さな湯溜まり1uが形成される。この時、樹脂分が焼失し、活物質は変質する。
高強度レーザの照射点Pfでは予熱領域Pyよりも更に高温に加熱されて当該部分の活物質と金属箔4とが急激に溶融し、照射点Pfにおける原反1の中心部分から溶湯が急膨張する。急膨張部分Fには金属蒸気も含まれる。
この金属蒸気も含む急膨張部分Fは、中心部分から上下に噴出し、当該部分に原反1を上下に貫くキーホールKhが形成される。中心部分の金属蒸気も含む急膨張部分Fは、水平方向に膨張し、その周囲の予熱領域Pyの溶湯に圧を掛ける。このキーホールKh周辺の急膨張部分Fの動きが湯溜まり1u内の溶湯に影響して湯溜まり1u内に溶湯の流れを生み出す。
【0049】
この時、上記のようにキーホールKhの周辺において、キーホールKhの上半分では溶湯が下から上に急速に上昇し、従来ではこの上昇速度が過大となって溶湯をキーホールKhから飛散させていたが、この場合、予熱領域Pyの照射面側(原反1の上面側)では、キーホールKhの周囲に高強度レーザLfによりキーホール開口部が押し広げられてキーホール開口部分での溶湯の上昇速度がそがれることから溶湯の飛散が大幅に抑制される。
【0050】
そして次の瞬間、
図5(c)で太い矢印で示すように、原反1が左方向へ移動すると、照射点Pは右へ移動し、従って湯溜まり1uも右へ移動する。湯溜まり1uの残留部分は移動後も若干の間は溶融状態を保つので、湯溜まり1u全体はキーホールKhを中心に後方に長く伸びることになる。換言すれば、キーホールKhの後方に大きな湯溜まり1uが形成される。そして、照射点Pから外れた湯溜まり1uの残留部分は左端である後方の尾の部分1gから、周囲から熱を奪われて急速に凝固して行く。その時、キーホールKh内で発生した金属蒸気は、キーホールKhの背面側からキーホールKhの移動跡に高圧で流れ込み、キーホールKhの移動跡への溶湯の流れ込みを阻止する。その結果として、キーホールKhの移動跡に細長い孔1hが残留する(
図5(a))。換言すれば、キーホールKhの後ろ側は細長い孔1hに繋がって形成されることになる。
図7では、細長い孔1hの後方側面に出来た大きい湯溜まり1u内での溶湯の循環を示すためにキーホールKhの移動跡である細長い孔1hを符号だけで示している。
【0051】
上記のように、このキーホールKhは湯溜まり1uと共に右に移動するが、キーホールKhの進行方向の前側では湯溜まり1uは小さく、キーホールKhの後方で細長い孔1hの両側ではキーホールKhの移動に引きずられて大きな湯溜まり1uが形成される。この大きな湯溜まり1u内では溶湯が整流として循環する。
【0052】
キーホールKhは原反1を表裏で貫いて形成されるが、湯溜まり1uと共にキーホールがKh移動すると、移動後のキーホールKhが形成された部分(移動跡)はそのまま凝固する。キーホールKhは上記のように移動するので、パルス照射されたダブルコアレーザLの照射時間に合わせて原反1には上下に貫通した細長い孔1hが残る。
ダブルコアレーザLが照射されていない時間帯も原反1は移動しているので、結果的には原反1の走行方向に伸びた細長い孔1hがミシン目状に形成される。ミシン目状に形成された細長い孔1hの周囲には予熱された熱影響部2nが残るが、孔1hの間の部分は熱影響を受けない。従って、連続切断に比べて熱影響部2nが格段に少なくなる。
【0053】
なお、このダブルコアレーザLは照射点Pに対してほぼ垂直に照射してもよいが、上記のように照射点Pに接する接線Hに対して傾斜するように照射すれば、照射面は原反1の走行方向に長く伸びる。しかも、このダブルコアレーザLの照射は、上記のように原反1の走行中に行われるので、ダブルコアレーザLのパルス照射の間も原反1は移動する。従って、照射点Pは原反1の走行方向に伸びた形状となる。そして、ダブルコアレーザLの照射はパルス状に行われるので、原反1に形成される孔1hは上記のようにミシン目状に一列に形成される(
図4)。
【0054】
この照射点Pを含む範囲Θにおいて、原反1は回転しているバックアップローラ30に接して走行している。上記接触範囲Θでは、バックアップローラ30の上部は原反1の仮想の走行面(平面S)より若干上に突き出しているので、接触範囲Θでは原反1はバックアップローラ30に張り付いており、走行による上下振動は完全に抑制される。換言すれば、照射点Pは完全に固定される。
ダブルコアレーザLを照射点Pに対して傾斜させて照射した場合、ダブルコアレーザLの焦点深度は浅くなるが、照射点Pは完全に固定されておればダブルコアレーザLの焦点深度範囲内から照射点Pが外れることがない。従って、形成される全ての孔1hは正確且つ均等となる。
【0055】
このように原反1にミシン目の孔1hが形成されると、照射点Pにおいて、原反1の上下両面から活物質層2や金属箔4の燃焼ガスが発生する。原反1の照射点Pを覆う上面側排煙ケース81及び下面側排煙ケース85内は負圧に保持されているので、これら燃焼ガスはそれぞれの排煙管83・87を介して外部に排出される。
【0056】
原反1にミシン目の孔1hが一列に形成されると、その部分は次の挟持ローラ40a・40bに送られる。挟持ローラ40a・40bの下流にはセパレートローラ50s・50tが設けられており、前面側のセパレートローラ50sが挟持ローラ40a・40bの前面側から引き出された分割原反1sを下に引き込み、背面側のセパレートローラ50tが挟持ローラ40a・40bの背面側から引き出された分割原反1tを上に引き込み、挟持ローラ40a・40bの出口で金属箔4のミシン目状に形成された孔1hを起点にミシン目状の孔1hに沿って原反1を上下に引き裂く。これによって、原反1は分割される。
分割された原反1s・1tは、ダンサーローラ97s・97t、送りローラ95s・95t、96tを経て分割原反巻取部60s・60tにそれぞれ巻き取られる。
【0057】
以上のように、本発明はダブルコアレーザを用いて最小の熱影響下で且つ高速で原反1を正確に切断することができるようになった。
【符号の説明】
【0058】
1:原反、F:急膨張部分、1g:湯溜まりの尾の部分、1h:孔、1s・1t:分割された原反、1u:湯溜まり、2:活物質層、2n:熱影響を受ける部分(熱影響部)、4:金属箔、4b:耳部、10:原反供給部、11:トルクモータ、12:原反送出軸、20a・20b:駆動ローラ、21:駆動用サーボモータ、30:バックアップローラ、31:凹溝、40a・40b:挟持ローラ、50s・50t:セパレートローラ、60s・60t:分割原反巻取部、61s・61t:巻取り用サーボモータ、62s・62t:巻取り軸、70:レーザ出射装置、80:排煙部、81:上面側排煙ケース、82:スリット、83:排煙管、85:下面側排煙ケース、86:通過窓、87:排煙管、90、91、93、95s・95t・96t:送りローラ、92、97s・97t:ダンサーローラ
A:原反分割装置、H:照射点に接する接線、Kh:キーホール、L:ダブルコアレーザ、Lf:高強度レーザ、Ly:予熱用レーザ、P:ダブルコアレーザの照射点、Pf:高強度レーザの照射点、Py:高強度レーザの照射点の周囲(予熱領域)、S:平面、T:張力、γ:セパレート角、Θ:(接触)範囲
【要約】
【課題】レーザビームを用いて最小の熱影響で且つ高速で正確に切断することができる切断方法である。
【解決手段】ハイブリッドのダブルコアレーザLを使用して原反1を分割する方法である。長尺の金属箔4の少なくとも一方の面に活物質層2が塗着された原反1が一方向に搬送されている。中心部が高強度レーザLfと、該高強度レーザLfの周囲を取り囲み、前記高強度レーザLfより低強度で、前記照射点Pの周囲を予熱する予熱用レーザLyとで構成されたダブルコアレーザLをパルス状に照射する。原反1に長手方向にミシン目状の孔1hを形成する。照射点Pから離れた下流で、前記ミシン目状の孔1hを起点として該孔1hの列に沿って前記原反1を上下に引き裂く。
【選択図】
図1