(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-12
(45)【発行日】2025-03-21
(54)【発明の名称】制御ユニットおよび照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/00 20220101AFI20250313BHJP
【FI】
H05B45/00
(21)【出願番号】P 2019180550
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-05-12
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142664
【氏名又は名称】熊谷 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】菊田 紗耶香
(72)【発明者】
【氏名】岩井 直子
(72)【発明者】
【氏名】小林 勝之
(72)【発明者】
【氏名】中島 啓道
(72)【発明者】
【氏名】小西 達也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聖
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】草野 顕子
【審判官】横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-156660(JP,A)
【文献】特開平8-31580(JP,A)
【文献】特開2007-227151(JP,A)
【文献】特開2017-208673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00、47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部を駆動するドライバに対して、異常が発生する直前の前記光源部の点灯状態
を維持させることを示す維持信号
、または前記光源部を消灯させる消灯信号を出力する出力部と;
自機および前記ドライバのうち少なくともいずれかに発生した異常の状態を検出する異常状態検出部と;
を具備し、
前記出力部は、
前記異常状態検出部によって前記自機または前記ドライバの異常の状態が検出された場合、
前記異常状態検出部によって検出された異常の状態に応じた前記維持信号または前記消灯信号を出力する、
制御ユニット。
【請求項2】
前記ドライバから現在の点灯状態を示す点灯状態情報を取得する取得部;
を具備する、請求項1
に記載の制御ユニット。
【請求項3】
前記光源部と;
前記光源部を駆動するドライバと;
請求項1
または2に記載の制御ユニットと;
を具備する、照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、制御ユニットおよび照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置において、例えば光源部としてLED(Light Emitting Diode)を用い、かかるLEDの駆動制御や調光制御を行う技術が種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した照明装置においては、LEDの点灯状態を制御する制御ユニットを具備する。ところで、従来技術にあっては、例えば調光器からの調光信号が途絶えた場合に、LEDを所定の点灯状態(具体的には所定の調光率での点灯状態)とする制御が行われていた。
【0005】
そのため、照明装置においては、通常時の点灯状態とは異なる点灯状態となる場合がある。かかる場合、例えば使用者は、照明装置を通常時のような点灯状態で使用することができず、照明装置の利便性が低下するおそれがあった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、利便性を向上させることができる制御ユニットおよび照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る制御ユニットは、出力部と、異常状態検出部とを具備する。出力部は、光源部を駆動するドライバに対して、異常が発生する直前の前記光源部の点灯状態を維持させることを示す維持信号、または光源部を消灯させる消灯信号を出力する。異常状態検出部は、自機および前記ドライバのうち少なくともいずれかに発生した異常の状態を検出する。また、前記出力部は、前記異常状態検出部によって前記自機または前記ドライバの異常の状態が検出された場合、異常状態検出部によって検出された異常の状態に応じた維持信号または消灯信号を出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る制御ユニットおよび照明装置を含む照明システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、制御ユニットの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、点灯状態情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、ドライバの構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、点灯状態情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、制御ユニットが実行する光源部の点灯制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、制御ユニットが実行する点灯状態情報の取得処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する実施形態に係る制御ユニット30は、出力部323と、異常状態検出部322とを具備する。出力部323は、光源部50を駆動するドライバ40に対して、光源部50の現在の点灯状態を維持させることを示す維持信号を出力する。異常状態検出部322は、自機(制御ユニット30)およびドライバ40のうち少なくともいずれかに発生した異常の状態を検出する。また、出力部323は、異常状態検出部322によって自機またはドライバ40の異常の状態が検出された場合、維持信号を出力する。
【0011】
また、以下に説明する実施形態に係る出力部323は、異常状態検出部322によって検出された異常の状態に応じた維持信号または光源部50を消灯させる消灯信号を出力する。
【0012】
また、以下に説明する実施形態に係る制御ユニット30は、取得部324を具備する。取得部324は、ドライバ40から現在の点灯状態を示す点灯状態情報を取得する。
【0013】
また、以下に説明する実施形態に係る取得部324は、自機(制御ユニット30)の起動時に、ドライバ40から点灯状態情報を取得する。
【0014】
また、以下に説明する実施形態に係る照明装置10は、光源部50と、光源部50を駆動するドライバ40と、制御ユニット30とを具備する。
【0015】
以下、図面を参照して、実施形態に係る制御ユニットおよび照明装置について説明する。実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。
【0016】
[実施形態]
まず、
図1を用いて実施形態に係る制御ユニットおよび照明装置を含む照明システムの概要について説明する。
図1は、実施形態に係る制御ユニットおよび照明装置を含む照明システムの構成例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、照明システム1は、照明装置10と、外部装置70とを具備する。照明装置10としては、例えば建物内の天井に設置される照明装置を用いることができるが、これに限定されるものではない。すなわち、照明装置10は、例えば、非常用照明装置、床面に設置され床面を照らすフロア用照明装置、競技場などの比較的大型の施設を照らす照明装置、道路を照らす照明装置、間接照明、可搬性の照明装置等の任意の照明装置であってもよい。
【0018】
照明装置10は、外部装置70と通信可能に接続される。外部装置70としては、例えば、建物内に設置されるリモートコントローラやスイッチ、ボタン等を用いることができる。外部装置70は、例えば使用者によって操作されることで、照明装置10を点灯させる指示や消灯させる指示(オンオフ指示)、後述する光源部50の調光率の指示を示す指示信号などを照明装置10へ送信することができる。
【0019】
なお、
図1に示す例では、外部装置70を1つとしたが、これに限られず、照明装置10は複数の外部装置70と通信可能に接続されてもよい。また、外部装置70は、上記したリモートコントローラ等に限定されるものではない。すなわち、外部装置70は、例えば、照明装置10の管理者等が所有する管理用の端末装置であってもよい。かかる端末装置としては、例えば、スマートフォンや、タブレット端末、ノートパソコン等の可搬性の端末装置や、デスクトップ型のパソコン等の非可搬性の端末装置等を用いることができる。
【0020】
照明装置10と外部装置70との通信方式は、例えば、無線通信や有線通信、赤外線通信等の任意の通信方式を採用可能である。無線通信は、WAN(Wide Area Network)や、MAN(Metropolitan Area Network)、LAN(Local Area Network)、PAN(Personal Area Network)、近距離無線等の任意の通信距離の通信規格を採用可能である。有線通信は、例えば、DALI(Digital Addressable Lighting Interface)や、イーサネット(登録商標)等の通信規格を採用可能である。また、上記した通信方式は、事業者独自に開発された通信規格等を用いたものであってもよい。
【0021】
照明装置10は、制御装置20と、光源部50とを具備する。制御装置20は、制御ユニット30と、ドライバ40とを具備する。
【0022】
制御ユニット30は、ドライバ40を介して光源部50の点灯状態を制御する。なお、光源部50の点灯状態には、例えば、光源部50が点灯した状態、点灯した光源部50の調光度の状態、光源部50が消灯した状態などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
例えば、制御ユニット30は、外部装置70から照明装置10を点灯させる指示や消灯させる指示、光源部50の調光率の指示を示す指示信号などを受信することができる。制御ユニット30は、受信した指示信号に基づき、光源部50を制御する制御信号を生成し、ドライバ40へ出力する。なお、制御ユニット30の詳細な構成については、
図2を参照して後述する。また、制御ユニット30は、自機の一例である。
【0024】
ドライバ40は、光源部50を駆動する。例えば、ドライバ40は、制御ユニット30から出力された制御信号に基づいて、光源部50を駆動するための駆動信号を生成し、光源部50へ出力する。なお、ドライバ40の詳細な構成については、
図5を参照して後述する。
【0025】
光源部50は、例えばLED(詳しくはLEDモジュール)である。光源部50は、ドライバ40から出力された駆動信号に応じた点灯状態で点灯(または消灯)する。なお、光源部50は、LED以外の光源であってもよい。また、
図1の例では、光源部50は1つであるが、これに限られず、複数であってもよい。
【0026】
ところで、制御ユニット30等に異常などが発生した場合、ドライバ40には、制御ユニット30から指示信号に応じた制御信号が出力されない。このとき、従来技術にあっては、ドライバ40が、光源部50を予め設定された所定の調光率で点灯させるようにしていた。
【0027】
しかしながら、上記した所定の調光率は、異常などが発生していない通常時に使用している調光率とは異なることがある。そのため、照明装置10においては、通常時の点灯状態とは異なる点灯状態となって、例えば使用者は、照明装置10を通常時のような点灯状態で使用することができず、照明装置10の利便性が低下してしまう。
【0028】
そこで、本実施形態に係る照明装置10にあっては、利便性を向上させることができるような構成とした。以下、その構成について詳しく説明する。
【0029】
図1の説明を続けると、照明装置10を含む照明システム1は、電流センサ61および電圧センサ62を具備する。電流センサ61は、例えば、ドライバ40から光源部50へ出力される電流の電流値を検出する。電流センサ61は、検出した電流値の検出結果を示す信号を制御ユニット30へ出力する。
【0030】
電圧センサ62は、例えば、ドライバ40から光源部50へ出力される電圧の電圧値を検出する。電圧センサ62は、検出した電圧値の検出結果を示す信号を制御ユニット30へ出力する。そして、制御ユニット30では、上記した電流値や電圧値の検出結果に基づいて、ドライバ40や光源部50等の異常の有無を検出するが、これについては後述する。なお、制御ユニット30は、電流センサ61や電圧センサ62に加えて、あるいは代えて、その他各種のセンサからの出力に基づいて、ドライバ40等の異常の有無を検出してもよい。
【0031】
次に、
図2を用いて制御ユニット30の構成について説明する。
図2は、制御ユニット30の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、制御ユニット30は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを具備する。
【0032】
通信部31は、外部装置70などとの通信処理を行うためのネットワークデバイスである。通信部31は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。
【0033】
制御部32は、異常状態検出部322と、受信部321と、異常状態検出部322と、出力部323と、取得部324とを具備する。記憶部33は、信号情報331と、点灯状態情報332とを記憶する。
【0034】
ここで、制御ユニット30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ(HDD)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0035】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部32の受信部321、異常状態検出部322、出力部323および取得部324として機能する。
【0036】
また、制御部32の受信部321、異常状態検出部322、出力部323および取得部324の少なくともいずれか1つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0037】
また、記憶部33は、例えば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、制御ユニット30は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0038】
ここで、記憶部33に記憶される信号情報331および点灯状態情報332について説明する。まず、信号情報331について説明すると、信号情報331は、例えば、制御ユニット30やドライバ40、光源部50などに異常が発生した場合に、制御ユニット30からドライバ40に対して出力する、光源部50の制御信号に関する情報である。
図3は、かかる信号情報331の一例を示す図である。
【0039】
図3に示すように、信号情報331は、「異常ID」、「異常の状態」および「出力制御信号」といった項目を含む。
【0040】
「異常ID」は、異常の状態を示す情報を情報毎に識別するための識別情報である。「異常の状態」は、制御ユニット30やドライバ40、光源部50などに発生した異常の状態や異常が発生した箇所を示す情報である。なお、
図3では、異常が発生した箇所を示す情報をカッコ内に示している。
【0041】
「出力制御信号」は、異常時に制御ユニット30からドライバ40に対して出力する制御信号を示す情報である。「出力制御信号」において「維持信号」は、光源部50の現在の点灯状態を維持させることを示す制御信号であり、「消灯信号」は、光源部50を消灯させる制御信号である。
【0042】
図3では、異常ID「A01」は、異常の状態が「制御ユニットの保存データ異常(制御ユニット異常)」で、出力制御信号が「維持信号」であることを示している。具体的に説明すると、制御ユニット30には、後述するように、ドライバ40へ出力した制御信号に関するデータ、詳しくは、出力した制御信号によって制御された光源部50の現在の点灯状態を示すデータ(点灯状態情報)などが保存(記憶)されている。ここでは、かかる保存データに異常が生じた場合、言い換えると、制御ユニット30に異常が発生した場合、制御ユニット30が、ドライバ40に対して、光源部50の現在の点灯状態を維持させることを示す維持信号を出力することを示している。
【0043】
また、異常ID「A02」は、異常の状態が「外部装置から制御ユニットへの通信異常(制御ユニット異常)」で、出力制御信号が「維持信号」であることを示している。これは、例えば外部装置70からの指示信号が受信できないなどの通信異常が生じた場合、言い換えると、制御ユニット30に異常が発生した場合、制御ユニット30が、ドライバ40に対して維持信号を出力することを示している。
【0044】
また、異常ID「A03」は、異常の状態が「過電流異常(ドライバ異常)」で、出力制御信号が「消灯信号」であることを示している。これは、例えばドライバ40から光源部50へ出力される電流が過電流である場合、言い換えると、ドライバ40に異常が発生した場合、制御ユニット30が、ドライバ40に対して、光源部50を消灯させる消灯信号を出力することを示している。
【0045】
また、異常ID「A04」は、異常の状態が「短絡異常(ドライバ異常)」で、出力制御信号が「消灯信号」であることを示している。これは、例えばドライバ40の回路などにおいて短絡が生じた場合、言い換えると、ドライバ40に異常が発生した場合、制御ユニット30が、ドライバ40に対して消灯信号を出力することを示している。
【0046】
また、異常ID「A05」は、異常の状態が「所定の異常(ドライバ異常)」で、出力制御信号が「維持信号」であることを示している。これは、例えばドライバ40において過電流や短絡とは異なる所定の異常が生じた場合、制御ユニット30が、ドライバ40に対して維持信号を出力することを示している。
【0047】
また、異常ID「A06」は、異常の状態が「光電部接触異常(光電部異常)」で、出力制御信号が「消灯信号」であることを示している。これは、例えば光源部50であるLEDが外れて接触に異常がある場合、言い換えると、光源部50に異常が発生した場合、制御ユニット30が、ドライバ40に対して消灯信号を出力することを示している。
【0048】
また、異常ID「A07」は、異常の状態が「負荷異常(光源部異常)」で、出力制御信号が「消灯信号」であることを示している。これは、例えば負荷である光源部50に異常が生じている場合、言い換えると、光源部50に異常が発生した場合、制御ユニット30が、ドライバ40に対して消灯信号を出力することを示している。
【0049】
また、異常ID「A08」は、異常の状態が「制御ユニットとドライバとの間の通信異常(制御ユニット異常またはドライバ異常)」で、出力制御信号が無いことを示している。これは、例えば制御ユニット30とドライバ40との間で、制御信号など各種信号の送受信ができないなどの通信異常が生じた場合、言い換えると、制御ユニット30またはドライバ40に異常が発生した場合、制御ユニット30は、制御信号を出力しないことを示している。すなわち、かかる通信異常が生じた場合、制御ユニット30からドライバ40へ制御信号を出力できないため、ここでは制御信号を出力しないようにしている。なお、制御ユニット30とドライバ40との間で通信異常が生じた場合、ドライバ40は、光源部50を所定の点灯状態(具体的には所定の調光率での点灯状態、例えば全光点灯での点灯状態、消灯、所定の調光率未満もしくは所定の調光率以上の調光率)とする制御を行ってもよい。
【0050】
なお、
図3に示す異常の状態は一例であって、例えば、光源部50の経年劣化や照明装置10の配線異常など、その他の異常の状態を示す情報が含まれてもよい。また、
図3では、複数種類ある異常の状態にそれぞれ「維持信号」や「消灯信号」などの制御信号を対応させたが、この対応関係はあくまでも例示であって限定されるものではない。また、
図3に示す「出力制御信号」には、予め設定された所定の調光率で点灯させる点灯信号が含まれてもよい。
【0051】
次に、点灯状態情報332について説明する。点灯状態情報332は、光源部50の現在の点灯状態を示す情報である。
図4は、かかる点灯状態情報332の一例を示す図である。
【0052】
図4に示すように、点灯状態情報332は、「情報ID」および「現在の点灯状態」といった項目を含む。
【0053】
「情報ID」は、現在の点灯状態に関する情報を識別するための識別情報である。「現在の点灯状態」は、制御ユニット30が出力した制御信号によって制御された光源部50の現在の点灯状態を示す情報である。
【0054】
図4では、情報ID「B01」は、現在の点灯状態が「調光率60%で点灯」であることを示している。なお、
図4では、現在の点灯状態を具体的に示したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではない。
【0055】
図2の説明に戻ると、制御部32の受信部321は、外部装置70から送信される、照明装置10を点灯させる指示や消灯させる指示、光源部50の調光率の指示を示す指示信号などを通信部31を介して受信する。受信部321は、受信した指示信号を出力部323へ出力する。
【0056】
異常状態検出部322は、制御ユニット30、ドライバ40および光源部50に発生した異常の状態を検出する。
【0057】
例えば、異常状態検出部322は、記憶部33に保存(記憶)された光源部50の現在の点灯状態を示すデータ(点灯状態情報)が、何らかの理由で破壊されたり消去されたりするなどの異常が生じた場合、制御ユニット30に異常が発生し、その異常の状態が「制御ユニットの保存データ異常」であることを検出する(
図3の異常ID「A01」参照)。
【0058】
また、例えば、異常状態検出部322は、外部装置70との通信状態を監視し、外部装置70からの指示信号が受信できないなどの通信異常が生じた場合、制御ユニット30に異常が発生し、その異常の状態が「外部装置から制御ユニットへの通信異常」であることを検出する(
図3の異常ID「A02」参照)。
【0059】
また、例えば、異常状態検出部322は、電流センサ61で検出された電流値が過電流を示す閾値を超えた場合、ドライバ40に異常が発生し、その異常の状態が「過電流異常」であることを検出する(
図3の異常ID「A03」参照)。
【0060】
また、例えば、異常状態検出部322は、電流センサ61で検出された電流値が短絡を示す閾値を超えた場合、ドライバ40に異常が発生し、その異常の状態が「短絡異常」であることを検出する(
図3の異常ID「A04」参照)。
【0061】
また、例えば、異常状態検出部322は、ドライバ40を監視することで、ドライバ40に異常が発生し、その異常の状態が「所定の異常」であることを検出することができる(
図3の異常ID「A05」参照)。
【0062】
また、例えば、異常状態検出部322は、電流センサ61など各種のセンサの出力に基づいて、光源部50であるLEDが外れたり、緩んだりして光源部50の接触に異常があると推定される場合、光源部50に異常が発生し、その異常の状態が「光電部接触異常」であることを検出する(
図3の異常ID「A06」参照)。
【0063】
また、例えば、異常状態検出部322は、電圧センサ62で検出された電圧値等が正常値ではない場合、負荷である光源部50に異常が発生し、その異常の状態が「負荷異常」であることを検出する(
図3の異常ID「A07」参照)。
【0064】
また、例えば、異常状態検出部322は、ドライバ40との通信状態を監視し、制御信号など各種信号の送受信ができないなどの通信異常が生じた場合、制御ユニット30またはドライバ40に異常が発生し、その異常の状態が「制御ユニットとドライバとの間の通信異常」であることを検出する(
図3の異常ID「A08」参照)。
【0065】
異常状態検出部322は、制御ユニット30等に異常が発生した場合、上記のようにして検出された異常の状態を示す情報を出力部323へ出力する。
【0066】
なお、上記では、異常状態検出部322は、制御ユニット30、ドライバ40および光源部50に発生した異常の状態を検出するようにしたが、これに限られない。すなわち、異常状態検出部322は、制御ユニット30およびドライバ40のうち少なくともいずれかに発生した異常の状態を検出するようにしてもよいし、制御ユニット30、ドライバ40および光源部50のうち少なくともいずれかに発生した異常の状態を検出するようにしてもよい。
【0067】
出力部323は、受信部321から入力された指示信号に基づき、光源部50を制御する制御信号を生成する。そして、出力部323は、生成した制御信号をドライバ40へ出力する。
【0068】
また、出力部323は、出力した制御信号によって制御された光源部50の現在の点灯状態を示す情報(詳しくは、出力した制御信号から得られる光源部50の点灯状態を示す情報)を、点灯状態情報332として記憶部33に記憶させる。
【0069】
また、出力部323は、ドライバ40に対して、光源部50の現在の点灯状態を維持させることを示す維持信号を出力することができる。詳しくは、出力部323は、照明装置10が所定の状況下になった場合に、ドライバ40に対して、光源部50の現在の点灯状態を維持させることを示す維持信号を出力する。
【0070】
これにより、本実施形態にあっては、照明装置10の利便性を向上させることができる。すなわち、照明装置10が、例えば制御ユニット30またはドライバ40等に異常が発生するなどの所定の状況下になった場合、出力部323は、上記した維持信号を出力する。これにより、維持信号が出力されたドライバ40は、現在の点灯状態を維持させるように光源部50を駆動することから、照明装置10では、例えば異常などが発生する前(言い換えると、所定の状況下になる前の通常時)と同様な点灯状態が維持される。そのため、例えば使用者は、照明装置10を通常時と同じような点灯状態で使用することができ、よって照明装置10の利便性を向上させることができる。
【0071】
また、出力部323は、異常状態検出部322によって検出された異常の状態に応じた維持信号または消灯信号を出力してもよい。例えば、出力部323は、検出された異常の状態を示す情報に基づいて記憶部33の信号情報331(
図3参照)を読み込み、異常の状態に応じた制御信号を出力する。
【0072】
詳しくは、出力部323は、異常の状態が「制御ユニットの保存データ異常」や「外部装置から制御ユニットへの通信異常」であり、制御ユニット30に異常が発生している場合、維持信号をドライバ40へ出力する。これにより、ドライバ40によって光源部50の現在の点灯状態が維持され、よって照明装置10の利便性を向上できることは、既に述べた通りである。
【0073】
また、出力部323は、異常の状態が「所定の異常」であり、ドライバ40に異常が発生している場合、維持信号をドライバ40へ出力する。これにより、光源部50では、現在の点灯状態が維持され、同様に、照明装置10の利便性を向上させることができる。
【0074】
ここで、出力部323または異常状態検出部322は、制御ユニット30に異常が発生したことを示す異常情報を外部装置70へ送信してもよい。そして、外部装置70は、異常情報を受信した場合、例えばディスプレイ表示やランプの点灯、音声等で使用者や管理者等に報知してもよい。これにより、使用者や管理者等に対して制御ユニット30の点検作業や交換作業を行うことを促すことが可能となる。
【0075】
また、例えば、外部装置70が管理用の端末装置であり、かかる端末装置が異常情報を受信して報知する場合、照明装置10の管理者は、維持信号により通常時と同じような点灯状態の照明装置10を使用者が使用したままで、制御ユニット30の点検作業や交換作業を行うことが可能となる。すなわち、照明装置10の使用者に影響を与えることなく、制御ユニット30の点検作業や交換作業を行うことが可能となり、結果として照明装置10の利便性をより向上させることができる。
【0076】
また、出力部323は、異常の状態が「過電流異常」や「短絡異常」、「光電部接触異常」、「負荷異常」であり、ドライバ40や光源部50に異常が発生している場合、消灯信号をドライバ40へ出力する。これにより、ドライバ40によって光源部50を消灯させることができる。
【0077】
このように、本実施形態に係る出力部323は、ドライバ40に過電流や短絡の異常が発生している場合、または光源部50に異常が発生している場合、維持信号を出力しない、言い換えると、維持信号の出力を禁止する。
【0078】
また、出力部323は、異常の状態が「制御ユニットとドライバとの間の通信異常」であり、制御ユニット30またはドライバ40に異常が発生している場合、制御信号を出力しない、言い換えると、維持信号や消灯信号の出力を禁止する。
【0079】
取得部324は、ドライバ40から現在の点灯状態を示す点灯状態情報を取得することができる。そして、取得部324は、取得した情報を記憶部33に点灯状態情報332として記憶させることができる。
【0080】
これにより、記憶部33の点灯状態情報332を修復または復元することができる。すなわち、例えば、記憶部33に記憶されていた点灯状態情報332が制御ユニット30の異常により破壊されたり消去されたりした場合や、異常が発生した制御ユニット30が交換作業により新しい制御ユニット30に交換されて点灯状態情報332が記憶部33に記憶されていない場合であっても、取得部324がドライバ40から取得した点灯状態情報を記憶部33に記憶させることで、点灯状態情報332を修復または復元することができる。
【0081】
従って、例えば、取得部324は、記憶部33に記憶されていた点灯状態情報332が破壊されたり消去されたりしたとき、ドライバ40に対して点灯状態情報を要求し、ドライバ40から点灯状態情報を取得する。また、例えば、取得部324は、制御ユニット30の起動時に、詳しくは、制御ユニット30の交換後、初回の起動時に、ドライバ40に対して点灯状態情報を要求し、ドライバ40から点灯状態情報を取得する。
【0082】
これにより、本実施形態にあっては、点灯状態情報332を修復または復元すべき適切なタイミングで、ドライバ40から点灯状態情報を取得することができる。
【0083】
次に、
図5を用いてドライバ40の構成について説明する。
図5は、ドライバ40の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、ドライバ40は、制御部41と、記憶部42とを具備する。
【0084】
制御部41は、信号処理部411と、送信部412とを具備する。記憶部42は、点灯状態情報421を記憶する。
【0085】
ここで、ドライバ40は、例えば、光源部50を点灯制御するための各種回路、CPU、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0086】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部41の信号処理部411および送信部412として機能する。
【0087】
また、制御部41の信号処理部411および送信部412の少なくともいずれか1つまたは全部をASICやFPGA等のハードウェアで構成することもできる。
【0088】
また、記憶部42は、例えば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、ドライバ40は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0089】
ここで、記憶部42に記憶される点灯状態情報421について説明する。点灯状態情報421は、光源部50の現在の点灯状態を示す情報である。
図6は、点灯状態情報421の一例を示す図である。
【0090】
図6に示すように、点灯状態情報421は、「情報ID」および「現在の点灯状態」といった項目を含む。
【0091】
「情報ID」は、現在の点灯状態に関する情報を識別するための識別情報である。「現在の点灯状態」は、ドライバ40が出力した駆動信号によって駆動された光源部50の現在の点灯状態を示す情報である。なお、
図4および
図6に示すように、例えばデータが破壊されたり消去されたりしない通常時、点灯状態情報332の「現在の点灯状態」と点灯状態情報421の「現在の点灯状態」とは、同様な情報となる。
【0092】
図6では、情報ID「C01」は、現在の点灯状態が「調光率60%で点灯」であることを示している。なお、
図6では、現在の点灯状態を具体的に示したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではない。
【0093】
図5の説明に戻ると、制御部41の信号処理部411は、制御ユニット30から出力された制御信号に基づいて、光源部50を駆動するための駆動信号を生成し、光源部50へ出力する。
【0094】
例えば、信号処理部411は、制御ユニット30から調光率60%で点灯することを示す制御信号が出力された場合、かかる制御信号に応じた駆動信号を生成し、光源部50へ出力する。これにより、光源部50は調光率60%で点灯する。
【0095】
なお、信号処理部411は、出力した駆動信号によって駆動された光源部50の現在の点灯状態を示す情報(詳しくは、出力した駆動信号から得られる光源部50の点灯状態を示す情報)を、点灯状態情報421として記憶部42に記憶させてもよい。
【0096】
また、例えば、信号処理部411は、制御ユニット30から維持信号が出力された場合、光源部50の現在の点灯状態を維持させる駆動信号を生成し、光源部50へ出力する。これにより、光源部50は現在の点灯状態(ここでは、例えば調光率60%の点灯状態)を維持する。
【0097】
また、例えば、信号処理部411は、制御ユニット30から消灯信号が出力された場合、光源部50を消灯させる駆動信号を生成し、光源部50へ出力する。これにより、光源部50は消灯する。
【0098】
また、例えば、信号処理部411は、制御ユニット30との通信状態を監視し、制御ユニット30とドライバ40との間で通信異常が生じた場合、光源部50を所定の点灯状態(具体的には、予め設定された所定の調光率(例えば調光率100%)での点灯状態)とする駆動信号を生成し、光源部50へ出力してもよい。これにより、光源部50は所定の点灯状態となる。
【0099】
送信部412は、記憶部42に記憶された点灯状態情報421を制御ユニット30へ送信することができる。詳しくは、送信部412は、制御ユニット30から点灯状態情報の要求を受け付けた場合、記憶部42の点灯状態情報421を読み出して制御ユニット30へ送信することができる。
【0100】
次に、
図7および
図8を用いて、実施形態に係る制御ユニット30が実行する処理の手順について説明する。
図7は、実施形態に係る制御ユニット30が実行する光源部50の点灯制御処理の手順を示すフローチャートである。
図8は、実施形態に係る制御ユニット30が実行する点灯状態情報の取得処理の手順を示すフローチャートである。
【0101】
図7に示すように、制御ユニット30の制御部32は、外部装置70から指示信号を受信したか否かを判定する(ステップS10)。制御部32は、指示信号を受信したと判定された場合(ステップS10,Yes)、指示信号に基づいて光源部50を制御する制御信号を生成し、ドライバ40へ出力する(ステップS11)。一方、制御部32は、指示信号を受信していないと判定された場合(ステップS10,No)、ステップS11の処理をスキップする。
【0102】
次いで、制御部32は、制御ユニット30やドライバ40、光源部50などに異常が発生したか否かを判定する(ステップS12)。制御部32は、制御ユニット30等に異常が発生したと判定された場合(ステップS12,Yes)、異常の状態に応じた制御信号(例えば維持信号や消灯信号)を出力する(ステップS13)。他方、制御部32は、制御ユニット30等に異常が発生していないと判定された場合(ステップS12,No)、処理を終了する。
【0103】
続いて、
図8を用いて、制御ユニット30が実行する点灯状態情報の取得処理の手順について説明する。まず、制御部32は、異常が発生した制御ユニット30が交換作業により新しい制御ユニット30に交換され、交換後、初回の起動であるか否かを判定する(ステップS100)。すなわち、ステップS100は、制御ユニット30において点灯状態情報332が記憶部33に記憶されていない状態であるか否かを判定する処理である。
【0104】
制御部32は、初回の起動ではないと判定された場合(ステップS100,No)、記憶部33の点灯状態情報332が破壊または消去された状態か否かを判定する(ステップS101)。制御部32は、点灯状態情報332が破壊または消去された状態ではないと判定された場合(ステップS101,No)、以降の処理をスキップする。
【0105】
制御部32は、初回の起動であると判定された場合(ステップS100,Yes)、または、点灯状態情報332が破壊または消去された状態であると判定された場合(ステップS101,Yes)、ドライバ40に対して点灯状態情報を要求する(ステップS102)。
【0106】
次いで、制御部32は、要求によってドライバ40から送信された点灯状態情報を取得する(ステップS103)。そして、制御部32は、取得した点灯状態情報を記憶部33に記憶し(ステップS104)、処理を終了する。
【0107】
このように、実施形態に係る制御ユニット30は、ドライバ40と、制御ユニット30とを具備する。ドライバ40は、光源部50を駆動する。制御ユニット30は、ドライバ40を介して光源部50の点灯状態を制御する。また、制御ユニット30は、出力部323を具備する。出力部323は、ドライバ40に対して、光源部50の現在の点灯状態を維持させることを示す維持信号を出力する。これにより、利便性を向上させることができる。
【0108】
なお、上記した実施形態にあっては、例えば、1つまたは複数の照明装置10が外部サーバ等の上位装置(図示せず)に通信可能に接続されるように構成してもよい。かかる場合、照明装置10は、制御ユニット30等の異常時に維持される、光源部50の点灯状態を示す情報(点灯状態情報)など各種の情報を上位装置へ送信してもよい。
【0109】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0110】
10 照明装置
20 制御装置
30 制御ユニット
40 ドライバ
50 光源部
322 異常状態検出部
323 出力部
324 取得部