(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-12
(45)【発行日】2025-03-21
(54)【発明の名称】感震センサ
(51)【国際特許分類】
G01V 1/01 20240101AFI20250313BHJP
G01H 1/00 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
G01V1/01
G01H1/00 E
(21)【出願番号】P 2020064022
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-01-11
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成宮 章紀
(72)【発明者】
【氏名】山本 克行
【合議体】
【審判長】南 宏輔
【審判官】瓦井 秀憲
【審判官】伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-15604(JP,A)
【文献】特開2011-202961(JP,A)
【文献】特開2009-156743(JP,A)
【文献】特開2018-96963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00-17/00,
G01V 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定された加速度に応じて、地震の検知または地震の加速度の測定に係る動作モードが切り替わる感震センサであって、
前記測定された加速度が所定の第1閾値以下である場合に継続されるとともに、前記測定された加速度のデータは保存されない簡易地震検知モードと、
前記簡易地震検知モードにおいて測定された前記加速度が、前記第1閾値より大きく、前記第1閾値より大きい第2閾値以下である場合に継続されるとともに、測定された前記加速度のデータが保存される地震検知モードと、
前記地震検知モードにおいて測定される前記加速度が、前記第2閾値より大きい場合に継続されるとともに、前記加速度が測定され保存され、SI値が演算され保存される地震測定モードを有
し、
情報処理装置と加速度センサを備えており、
前記簡易地震検知モードでは、前記情報処理装置はOFFの状態で且つ前記加速度センサはONの状態であり、
前記地震検知モード、及び前記地震測定モードでは、前記情報処理装置は間欠駆動の状態で且つ前記加速度センサはONの状態であり、
前記加速度のデータを保存する記憶部をさらに備えており、
前記地震検知モード及び前記地震測定モードの期間は、所定の加速度データ取得期間に分割され、
前記加速度データ取得期間の経過毎に、前記加速度センサにより測定された加速度のデータは、前記情報処理装置内のメモリに一時保存され、
前記情報処理装置内のメモリに一時保存された前記加速度のデータは、前記地震測定モードの終了後、前記記憶部に保存され、
前記地震測定モードの終了後、前記記憶部に保存される加速度データは、前記地震測定モードにおける全データ取得期間に取得された加速度のデータと、前記地震検知モードにおける地震発生直前のデータ取得期間に取得された加速度データであることを特徴とする、感震センサ。
【請求項2】
前記地震測定モードにおける全データ取得期間に取得された加速度のデータの保存を完
了したのち、再度前記簡易地震検知モードに切り替わることを特徴とする、
請求項1に記載の感震センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感震センサに関する。
【背景技術】
【0002】
地震の発生時にガスや電気を遮断するために用いられる感震センサのように、例えばメータボックス等に設けられ、電池駆動するような装置の場合、特に待機電力を低減させることが望ましい。しかしながら、MCU(Micro Controller Unit)を用いた感震センサは、演算処理によって地震の規模を評価するための指標値を得ることができる一方、従来利用されていた振動によって通電するような機械式の感震センサと比較して消費電力が大きくなりがちである。
【0003】
この感震センサとしては、従来、消費電力を低減したモードから測定モードへの移行後に地震判定を行い、地震ではないと判定した場合には消費電力を低減したモードに戻る感震センサにおいて、測定された加速度に対しフィルタリングを行い、ノイズ成分を除去することで判定の精度を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、算出したノイズレベルに合わせてトリガレベルを上げることで、検知した振動がノイズか地震かを的確に区別するとともに、地震の検知が遅れる可能性がある閾値を設定し、その閾値をノイズレベルが一定期間継続して超えた場合に、地震を正確に検知できない異常が発生したものとして、異常警報手段が警報を発し、地震の検知が遅れる可能性があることを的確に把握できる地震計も提案されていた(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-15604号公報
【文献】特開2013-108847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような地震計測用の感震センサにおいては、消費電力の低減や地震の検知精度の高感度化に加え、地震発生前後の加速度の検討を行う目的で、地震の検知前における振動の加速度のデータ取得が可能であることが求められる。
【0007】
これに対し、地震を検知して測定モードへ移行する前から常に一定間隔で加速度データを取得しておくことが考えられるが、その場合には、電池駆動で感震センサを5年、10年といった長期間に亘り動作を保証することが困難な場合があった。あるいは、ユーザーが電池交換を行う頻度が増え、手間がかかるといった難点が生じる虞があった。
【0008】
そこで、本発明では、上記のような問題に鑑みて、地震の検知前においても、振動の加速度のデータ取得が可能なロガー機能を備えるとともに、消費電力を可及的に低減可能な感震センサを提供することを最終的な目的とする。
【0009】
ここで、本発明における、上記のようなロガー機能を備えた感震センサは、単に感震センサとしてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための本発明は、
測定された加速度に応じて、地震の検知または地震の加速度の測定に係る動作モードが切り替わる感震センサであって、
前記測定された加速度が所定の第1閾値以下である場合に継続されるとともに、測定された前記加速度のデータは保存されない簡易地震検知モードと、
前記簡易地震検知モードにおいて測定された前記加速度が、前記第1閾値より大きく、前記第1閾値より大きい第2閾値以下である場合に継続されるとともに、測定された前記加速度のデータが保存される地震検知モードと、
前記地震検知モードにおいて測定される前記加速度が、前記第2閾値より大きい場合に継続されるとともに、前記加速度及びSI(Spectrum Intensity)値が測定され保存される地震測定モードを有する、
感震センサである。
本発明によれば、地震の加速度の保存処理が行われない簡易地震検知モードにおいても、加速度が測定されるため、低消費電力で地震の検知が可能である。また、簡易地震検知モードにおいて測定される加速度が、所定の第1閾値以上であると地震検知モードに切り替わり、加速度の測定と保存が実行されるため、地震発生前における加速度のデータを記録することが可能となる。また、地震検知モードにおいて測定される加速度が、所定の第2閾値以上であると地震測定モードに切り替わり、加速度に加えてSI値の測定と保存が実行されるため、地震発生と判断される大きな加速度が生じた場合、地震動が構造物に及ぼす影響の指標を記録することが可能となる。すなわち、本発明によれば、低消費電力で地震発生前の加速度情報を取得することが可能である。
【0011】
また、本発明においては、情報処理装置と加速度センサを備えており、前記簡易地震検知モードでは、前記情報処理装置はOFFの状態で且つ前記加速度センサはONの状態であり、前記地震検知モード、及び前記地震測定モードでは、前記情報処理装置は間欠駆動の状態で且つ前記加速度センサはONの状態であることを特徴とする、感震センサとしてもよい。これによれば、簡易地震検知モードにおいては、情報処理装置がOFFの状態であるため、より確実に消費電力の低減が可能となる。また、低消費電力の加速度センサはONの状態であるため、地震発生前の微振動から地震の検出につなげることが可能となる。
【0012】
また、本発明においては、前記加速度のデータを保存する記憶部をさらに備えており、前記地震検知モード及び前記地震測定モードの期間は、所定の加速度データ取得期間に分割され、前記加速度データ取得期間の経過毎に、前記加速度センサにより測定された加速度のデータは、前記情報処理装置内のメモリに一時保存され、前記情報処理装置内のメモリに一時保存された前記加速度のデータは、前記地震測定モードの終了後、前記記憶部に保存されることを特徴とする、感震センサとしてもよい。これによれば、感震センサが、地震をトリガーとした加速度のデータを取得することが可能となる。
【0013】
また、本発明においては、前記加速度データ取得期間は、20秒であり、前記地震測定モードの終了後、前記記憶部に保存される加速度データは、前記地震測定モードにおける全データ取得期間に取得された加速度のデータと、前記地震検知モードにおける地震発生直前のデータ取得期間に取得された加速度データであることを特徴とする、感震センサとしてもよい。これによれば、地震発生中に加え、地震発生の直前における加速度のデータを記録することが可能となる。
【0014】
また、本発明においては、前記地震測定モードにおける全データ取得期間に取得された加速度のデータの保存を完了したのち、再度前記簡易地震検知モードに切り替わることを特徴とする、感震センサとしてもよい。これによれば、地震発生時の加速度データを高い信頼性をもって取得することが可能であり、かつ、消費電力の低減につながる。また、一旦発生した地震の終息後に、再度、低消費電力で加速度の測定を継続することが可能であ
る。
【発明の効果】
【0015】
感震センサにおいて、ロガー機能によって地震の検知前における振動の加速度のデータ取得が可能であるとともに、地震の検知前の加速度測定における消費電力を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】加速度ロガーと感震センサの実際の従来の動作の態様を説明するための図である
【
図3】感震センサを、地震発生の検知の前には、地震検知モードで動作させる場合について説明するための図である。
【
図4】感震センサの動作モードに係る処理フロー図である。
【
図5】感震センサの動作モードを説明するための図である。
【
図6】感震センサの加速度のデータ取得を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔適用例〕
本適用例においては、加速度のデータ取得を実行するためのロガー機能、及び消費電力を低減させるための動作モードである簡易地震検知モードを感震センサに適用した場合について説明する。本適用例に係る感震センサは、
図1に示すように、加速度センサ11と、加速度センサ11が測定する加速度に基づいて地震の発生の検知や地震の規模の算出を行うMCU12と、測定された加速度や地震判定に用いる閾値等を保持する記憶部13と、地震の発生やその規模を示す情報を出力する出力部14と、MCU12が有する入力端子である入力部15を備える。そして、測定される加速度の大小によって、地震の検知や、地震の加速度の測定に係る動作モードが切り替わる。より詳細には、
図5に示すように動作モードは3種類に分類され、簡易地震検知モード、または地震検知モード、または地震測定モードのいずれかで作動する。
【0018】
簡易地震検知モードにおいては加速度が測定され、測定された加速度のデータは保存されない。簡易地震検知モードは、測定された加速度が所定の第1閾値以下である場合に継続的に作動する。
【0019】
地震検知モードにおいては加速度が測定され、測定された加速度のデータは保存される。地震検知モードは、加速度が、第1閾値より大きく、第2閾値以下である場合に継続的に作動する。ここで、第2閾値は第1閾値と比較して大きい。
【0020】
地震測定モードにおいては加速度、及びSI値が測定され、測定された加速度、及びSI値は保存される。地震測定モードは、地震検知モードにおいて測定される加速度が、第2閾値より大きい場合に所定時間に亘って継続的に作動する。
【0021】
感震センサ1は、上述のように、MCU12と加速度センサ11を備えている。簡易地震検知モードにおいては、MCU12はONの状態、加速度センサ11はOFFの状態であり、地震検知モード、及び地震測定モードにおいては、MCU12、及び加速度センサ11はともにONの状態である。
【0022】
加速度のデータは、
図6に示すように、20秒毎の一定間隔で一時保存され、地震をトリガーとしてデータ保存する期間は、地震測定モードにおいて地震を検知している120秒間、及び地震検知モードにおける地震発生前の20秒間である。地震測定モードは、1
20秒間分の測定データの保存を完了したのち、簡易地震検知モードに切り替わる。
【0023】
〔実施例1〕
以下、本発明の実施形態に係る感震センサについて、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態においては、本発明をモジュールタイプの感震センサに適用した例について説明するが、本発明は、基板タイプの感震センサなど、他の感震センサに適用しても構わない。以下に示す実施形態は、モジュールタイプの感震センサの一例であり、本発明に係るモジュールタイプの感震センサは、以下の構成には限定されない。
【0024】
<装置構成>
図1は、本実施形態に係る感震センサの前提となる装置構成図である。感震センサ1は、加速度センサ11と、MCU12と、記憶部13と、出力部14と、入力部15とを有する。
【0025】
加速度センサ11は、例えば圧電素子を用いた加速度センサや、電極間の静電容量を検知する加速度センサである。なお、加速度センサ11が測定(「サンプリング」とも呼ぶ)した加速度は、MCU12に出力される。
【0026】
MCU12は、例えば汎用的な集積回路であり、所定の周期で加速度センサ11が測定する加速度を取得し、加速度に基づいて地震の発生を検知したり、地震の規模を示す指標値を算出したりする。また、MCU12は、状況に応じてアクティブモード又はスリープモードという異なる形式で動作する。スリープモードとは、MCU12が、割り込みを受け付けつつ命令の実行を停止したり、クロックの供給を停止する等、機能を制限して動作することにより、アクティブモードと比較して消費電力を低減させる動作形式である。MCU12は、アクティブモードにおいて、検知した振動が地震かノイズかの判定処理を行ったり、地震の規模を示す指標値を算出したりする。
【0027】
記憶部13は、RAM(Random Access Memory)等の一時記憶手段や、EPROM(Erasable Programmable Read Only
Memory)等の不揮発性メモリであり、例えば測定された加速度や地震判定に用いる閾値等を保持する。なお、記憶部13は、加速度センサ11やMCU12が内蔵するメモリであってもよい。また、出力部14は、例えばMCU12が有する出力端子である。MCU12は、例えば地震が発生したと判定した場合、出力部14を介して他の装置に地震の発生やその規模を示す情報を出力する。この出力部14は通信機能を有していてもよい。また、入力部15は、MCU12が有する入力端子である。MCU12は、入力部15を介して、例えば図示していないスイッチの操作や他の装置からのコマンドの入力等を受けるようにしてもよい。
【0028】
なお、加速度センサ11とMCU12との間には図示していないハイパスフィルタを設けて重力成分を取り除くようにしてもよい。また、MCU12は、加速度センサ11が測定する加速度を、所定のオフセットを基準とした加速度の絶対値に変換して扱うようにしてもよい。
【0029】
図2は、加速度ロガーと感震センサ1の実際の従来の動作の態様を説明するための図である。
図2(a)に、加速度ロガーの動作の概要を示す。一般的な加速度ロガーは、スタート信号等をトリガーに加速度データを取得する。このスタート信号としては、(1)開始ボタンのクリックによる信号、(2)タイマー設定により、所定時刻になると出力される信号、(3)所定以上の加速度信号が検知された場合に出力される信号、(4)上述の組み合わせによる信号、等が考えられる。特に、(1)開始ボタンのクリックによる信号、(2)タイマー設定により、所定時刻になると出力される信号、を用いる場合には、地
震の発生と関係なく加速度データの取得が開始されるため、取得するデータ量は膨大となる。次に
図2(b)には、従来の感震センサ1の動作の概要を示す。従来の感震センサ1は、地震発生をトリガーとして、加速度データを取得する。その場合には、MCU12は、地震発生前においては作動しないため、地震検知前における振動の加速度のデータ取得は不可能である。また、地震発生を検知するための閾値が過剰に高い場合は地震発生時にS波の前に到達する低加速度のP波が検知できず、また、閾値が過剰に低い場合は生活振動等のノイズも地震と誤検知する可能性がある。
【0030】
また、感震センサ1の動作の態様としては、加速度センサ11による地震発生の検知の前には、より少ない消費電力によって加速度の検知を行う地震検知モードで動作させることが考えられる。
図3は、上記の感震センサ1を、地震発生の検知の前には、地震検知モードで動作させる場合について説明するための図である。
図3において、加速度センサ11は常にON状態であり、取得された加速度データは、加速度センサ11内のRAM(不図示)に一時蓄積される。地震検知モードでは、MCU12が加速度センサ11より加速度データを受信する。MCU12はONの状態が10msec、OFFの状態が320msec継続し、これを繰り返す。すなわち、330msec毎に10msecの割合で、MCU12が加速度データを加速度センサ11内のRAMから取得する。取得した加速度データは、20秒間分はMCU12のRAM(不図示)蓄積されるが、20秒間を超えると消去され、再度20秒間分加速度データの蓄積が始まる。
【0031】
地震測定モードでは、地震検知モードと同タイミングでMCU12がONし、加速度センサ11のRAMより加速度データを受信し、MCU12のRAMに保存する。その際、同時に、数式(1)で示すSI値の演算も行う。
【数1】
上記のSI値は、剛性の高い構造物の固有周期である0.1~2.5秒の間の速度応答スペクトル積分値の平均によって地震動の破壊力を表す指標としたものである。なお、S
vは速度応答スペクトル、Tは周期、hは減衰定数である。よって、MCU12がONの状態の期間は、
図3に示すように地震検知モードより長くなり、OFFの状態の期間は、地震検知モードより短くなる。このため、地震測定モードにおける消費電力は、地震検知モードより大きくなる。
【0032】
また、この場合においても、加速度センサ11によって地震の発生が検知される前に膨大な量のデータを取得することとなり、MCU12の作動時間が長期化することで消費電力が増大し、非効率的である。
【0033】
上記の問題を踏まえ、以下では本実施例における感震センサ1を、地震検知前は消費電力を低減したモードで稼働させ、かつ、地震検知前における振動の加速度のデータ取得が可能であるロガー機能を備えた感震センサとする。ここで、当該ロガー機能を備えた感震センサについても、感震センサ1に相当するものとする。
【0034】
図4は、本実施例における感震センサ1の動作モードに係る処理フロー図である。このフローは、感震センサ1の記憶部13に記憶されたプログラムがMCU12によって実行されることで機能する。感震センサ1は、測定される加速度の大小によって、地震の検知や、地震の加速度の測定に係るモードが切り替わる。当該モードは3種類に分類されており、簡易地震検知モード、または地震検知モード、または地震測定モードのいずれかで作
動する。本フローが実行されると、最初に、感震センサ1は簡易地震検知モードで稼働する(
図4:S101)。次に、加速度センサ11において、簡易地震検知モードで加速度をデータ取得する(S102)。簡易地震検知モードでは、加速度のデータは保存されない。
【0035】
S102の処理でデータ取得された加速度は、感震センサ1において予め設定されている所定の第1閾値(加速度スレッシュ)との比較が実行される(S103)。簡易地震検知モードにおいて取得された加速度が、第1閾値以下の場合(S103:no)、引き続き簡易地震検知モードが継続される。一方、簡易地震検知モードにおいて取得された加速度が、第1閾値より大きい場合(S103:yes)、感震センサ1は地震検知モードに切り替わる(S104)。
【0036】
感震センサ1が地震検知モードに切り替わった後、加速度のデータ取得、及び保存が実行される(S105)。取得された加速度は、感震センサ1おいて予め設定されている所定の第2閾値(加速度スレッシュ)との比較が実行される(S106)。ここで、第2閾値は第1閾値より大きい。地震検知モードにおいて取得された加速度が、第2閾値以下の場合(S106:no)、S103に戻る。S103において、第1閾値(加速度スレッシュ)との比較が再度実行される(S103)。直前にS105で取得された加速度が、第1閾値以下の場合(S103:no)、簡易地震検知モードに切り替わる。一方、直前にS105で取得された加速度が、第1閾値より大きい場合(S103:yes)、地震検知モードが継続される(S104)。一方、地震検知モードにおいて取得された加速度が、第2閾値より大きい場合(S106:yes)、感震センサ1は地震測定モードに切り替わる(S107)。ここで、地震測定モードは、測定モードに相当する。
【0037】
感震センサ1が地震測定モードに切り替わった後、加速度のデータ取得が実行される(S108)。取得された加速度からSI値が計算される(S109)。また、地震測定モードに切り替わった後に120秒経過したか否かの判断が行われる(S111)。120秒経過していない場合(S111:no)、S108の処理に戻り、繰り返し加速度のデータ取得から実行される。120秒経過した場合(S111:yes)、地震測定モードにおける120秒間分のデータと地震検知モードにおける20秒間分のデータが保存され(S112)、再度簡易地震検知モードに切り替わる。
【0038】
図5は、本実施例における感震センサ1の動作モードを説明するための図である。簡易地震検知モード、及び地震検知モード、及び地震測定モードの切り替えについては
図4の処理フロー図に示す通りである。感震センサ1の稼働時において、加速度センサ11はいずれのモードにおいても常時ONの状態であり、MCU12は、簡易地震検知モードにおいてはOFFの状態であるのに対し、地震検知モード、及び地震測定モードにおいてはONの状態(間欠的にONされる状態)である。
【0039】
よって、感震センサ1の消費電力は、加速度センサ11がONの状態であり、MCU12がOFFの状態である簡易地震検知モードにおいて最も低減が可能である。また、簡易地震検知モードから地震検知モードに切り替わるとMCU12がONの状態に移行するため、地震検知モードは地震発生前のロガー機能として活用することが可能である。
【0040】
図6は、本実施例における感震センサ1の加速度のデータ取得を説明するための図である。
図6(a)には、感震センサ1の内部動作の態様を示す。
図6(b)には、感震センサ1の動作の態様を示す。
図6(a)に示すように、加速度センサ11において取得された加速度の測定データは、20秒毎の一定間隔でMCU12内のRAM(不図示)に一時保存される。また、
図6(b)に示すように、地震をトリガーとして測定データを保存する期間は、地震測定モードにおいて地震を検知している120秒間、及び地震検知モード
における地震発生前の20秒間である。よって、感震センサ1は、地震発生中における加速度のデータに加え、地震発生前における加速度のデータも記録に残すことが可能である。なお、地震測定モードにおいて地震を検知している120秒間、及び地震検知モードにおける地震発生前の20秒間以外の加速度のデータは、測定データ保存後にリセットされる。
【0041】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
測定された加速度に応じて、地震の検知または地震の加速度の測定に係る動作モードが切り替わる感震センサ(1)であって、
前記測定された加速度が所定の第1閾値以下である場合に継続されるとともに、測定された前記加速度のデータは保存されない簡易地震検知モードと、
前記簡易地震検知モードにおいて測定された前記加速度が、前記第1閾値より大きく、前記第1閾値より大きい第2閾値以下である場合に継続されるとともに、測定された前記加速度のデータが保存される地震検知モードと、
前記地震検知モードにおいて測定される前記加速度が、前記第2閾値より大きい場合に継続されるとともに、前記加速度及びSI値が測定され保存される地震測定モードを有する、
感震センサ(1)。
【符号の説明】
【0042】
1 :感震センサ
11 :加速度センサ
12 :MCU(Micro Controller Unit)
13 :記憶部
14 :出力部
15 :入力部