(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-12
(45)【発行日】2025-03-21
(54)【発明の名称】横断プロファイル制御を備えた路面仕上げ機
(51)【国際特許分類】
E01C 19/48 20060101AFI20250313BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021065919
(22)【出願日】2021-04-08
【審査請求日】2023-12-01
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596068349
【氏名又は名称】ヨゼフ フェゲーレ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ブッシュマン
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・ヴァイザー
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-115387(JP,A)
【文献】特開2013-117158(JP,A)
【文献】特開平07-034411(JP,A)
【文献】特表2002-532643(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0233958(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109778643(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリード(3)を備えた路面仕上げ機(1)であって、
前記スクリード(3)は、少なくとも1つの圧縮ユニット(5、7、9)を有し、前記路面仕上げ機(1)は、GNSS受信機(25)と、材料コンベヤ(13)とを更に有し、
前記路面仕上げ機(1)は、デジタルの工事データ(37)、特に仕上げるべき道路舗装(15)の公称の高さプロファイル(43)が格納されるメモリ(21)と、データプロセッサ(23)とを備える電子制御システム(19)によって特徴づけられ、
前記路面仕上げ機(1)に備えられたアクチュエータ機構(17、55、61、67)
であって、レベリングシリンダ(17)
と、横断方向のキャンバー調整(55)
と、傾斜調整(61)
と、バーム調整(67)
とを有するアクチュエータ機構(17、55、61、67)を、前記工事データ(37)に基づいて自動的に制御するように前記制御システム(19)が構成され、
前記GNSS受信機(25)によって決定される前記路面仕上げ機(1)のそれぞれの位置座標点(45)に対する前記公称の高さプロファイル(43)とそれによって確定される横断プロファイルを用いて敷設材料(11)を敷設する、
路面仕上げ機。
【請求項2】
位置に応じて前記路面仕上げ機(1)のステアリングシステム(35)を自動的に制御するように前記制御システム(19)が構成される、請求項1に記載の路面仕上げ機。
【請求項3】
位置に応じて前記スクリードの幅を自動的に調整するように前記制御システム(19)が構成される、
請求項1または2に記載の路面仕上げ機。
【請求項4】
前記スクリード(3)はサイドスロープセンサ(53)を備え、前記サイドスロープセンサ(53)から受信したデータに基づいて前記アクチュエータ機構(17、55、61、67)を自動的に制御するように前記制御システム(19)が構成される、
請求項1から3のいずか一項に記載の路面仕上げ機。
【請求項5】
前記路面仕上げ機(1)は実際の高さプロファイル(59)を測定するためのセンサ(57)を備え、前記実際の高さプロファイル(59)と前記公称の高さプロファイル(43)の誤差を計算し、それに応じて前記アクチュエータ機構(17、55、61、67)を自動的に制御するように前記制御システム(19)が構成される、
請求項1から4のいずか一項に記載の路面仕上げ機。
【請求項6】
2つの横断プロファイル間を遷移する間、前記アクチュエータ機構(17、55、61、67)を自動的に調整するように前記制御システムが構成される、
請求項1から5のいずか一項に記載の路面仕上げ機。
【請求項7】
前記公称の高さプロファイル(43)の設置に必要な前記アクチュエータ設定をその設定限界と比較するように前記制御システム(19)が構成される、
請求項1から6のいずか一項に記載の路面仕上げ機。
【請求項8】
前記公称の高さプロファイル(43)を設置するために必要な前記アクチュエータ(17、55、61、67)の調整速度を可能な調整速度と比較するように制御システム(19)が構成される、
請求項1から7のいずか一項に記載の路面仕上げ機。
【請求項9】
路面仕上げ機(1)、
請求項1から8のいずか一項に記載の路面仕上げ機(1)を操作するための方法であって、
デジタルの工事データ(37)、特に公称の高さプロファイル(43)とそれによって確定される仕上げるべき道路舗装(15)の横断プロファイルを前記路面仕上げ機(1)の電子制御システム(19)のメモリ(21)に格納するステップと、
前記路面仕上げ機(1)のスクリード(3)を用いて敷設材料(11)を敷設するステップであって、前記路面仕上げ機(1)の現在位置のそれぞれがGNSS受信機(25)によって測定され、前記公称の高さプロファイル(43)を参照して、前記路面仕上げ機(1)に備えられたアクチュエータ機構(17、55、61、67)
であって、レベリングシリンダ(17)
と、横断方向のキャンバー調整(55)
と、傾斜調整(61)
と、バーム調整(67)
とを有するアクチュエータ機構(17、55、61、67)が自動的に制御される、ステップと
を含む方法。
【請求項10】
1つまたは複数のサイドスロープセンサ(53)を用いて、前記スクリード(3)及び/またはスクリード部分(47、49、51、63)の側面の傾きが測定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記敷設された道路舗装(15)の実際の高さプロファイル(59)が、センサ(57)によって測定され、前記実際の高さプロファイル(59)と前記公称の高さプロファイル(43)の差が計算され、前記差を最小化するように前記アクチュエータ機構(17、55、61、67)が自動的に制御される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
2つの横断プロファイル間を遷移する間に前記アクチュエータ機構(17、55、61、67)が自動的に調整される、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
プロセスの開始時に、無線接続またはケーブル接続(31、33)を用いて外部データ処理装置(29)から前記電子制御システム(19)の前記メモリ(21)に前記デジタルの工事データ(37)が送信される、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
敷設の開始前に、前記公称の高さプロファイル(43)の設置に必要な前記アクチュエータ設定がその設定限界と比較される、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
敷設の開始前に、前記アクチュエータ(17、55、61、67)の必要な調整速度が可能な調整速度と比較される、請求項9から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面仕上げ機及び路面仕上げ機の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路舗装は、完全に水平で平らな形状になるよう敷設されるものだけでなく、雨水の排水改善などの有利な効果が得られるような横断プロファイルを有するものもある。例えば、道路の直線区分は横断方向のキャンバー(camber)を有するよう、つまり、両サイドにある車道中央の最も高い線から外側に向かって傾斜するように仕上げられる。カーブは該カーブの内側半径から外側半径へ向かって高くなるカント(superelevation)を有するように形成される。このようなプロファイルを路面仕上げ機によって設置するために、スクリード全体の側面の傾きとスクリードの傾斜区分の側面の傾きを別々に変更することがこれまで知られてきた。調整はオペレータによって、例えば、レベリングシリンダの油圧調整または手動により作動可能な調整ナットを用いて行われる。部分的に自動化された制御は、特許文献1から知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、横断プロファイルを自動制御するための改良された制御システムを有する路面仕上げ機及び路面仕上げ機の改良された操作方法を提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する路面仕上げ機、または請求項9の特徴を有する路面仕上げ機を操作するための方法によって達成される。本発明の更なる有利な発展形態は、従属請求項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による路面仕上げ機はスクリードを備え、該スクリードは少なくとも1つの圧縮ユニット(compacting unit)を有する。路面仕上げ機は、メモリとデータプロセッサを備える電子制御システムと、GNSS受信機と、材料コンベヤとを更に有する。メモリにはデジタルの工事データ、特に仕上げるべき道路舗装の公称の高さプロファイルが格納される。この工事データに基づいて、路面仕上げ機に備えられたアクチュエータ機構、特にレベリングシリンダ及び/または横断方向のキャンバー調整及び/または傾斜調整及び/またはバーム(berm)調整を自動的に制御するように制御システムが構成されることで、GNSS受信機によって決定される路面仕上げ機のそれぞれの位置座標点に対する公称の高さプロファイルとそれによって確定される横断プロファイルを用いて敷設材料が敷設される。つまり、空間におけるスクリード全体の位置と、個々のスクリード部分同士の傾きの両方が調節できる。例えば、カーブのカントを設けるためにスクリードの側面の傾きを自動的に調整できる。同様に、横断方向のキャンバーを仕上げるために、左側半分のスクリードと右側半分のスクリードを互いに角度をつけて自動的に調整できる。主スクリードに加えて、付属要素または引出要素も自動調整可能であり、特にそれらの走行方向を横断する方向の傾きを自動的に調整できる。アクチュエータ機構は例えば、油圧式または電動式アクチュエータ、あるいは油圧式または電動式駆動であり得る。つまり、デジタルの工事データを設定する際に横断プロファイルは正確に設計され、その後座標に基づいて路面仕上げ機によって正確に設置できる。起こり得るオペレータによるエラーは排除され、オペレータは路面仕上げ機の他の操作機能に注意を向けられる。
【0007】
好ましくは、位置に応じて路面仕上げ機のステアリングシステムを自動的に制御するように制御システムは構成される。このように、正確に指定される位置に道路舗装が確実に設置される。基盤と地面の横方向の遷移は正確に指定される位置と対応付けられるため、このことはプロファイルが付される道路面において特に重要となる。路面仕上げ機のGNSSベースの位置測定により、機械、レーザベース、またはオペレータによる視覚的モニタリングなどの他の参照システムを省くことができるが、追加で使用することもできる。ステアリングシステムが自動制御されることで、オペレータの不安はさらに解消される。
【0008】
ある有利な変形形態では、位置に応じてスクリードの幅を自動的に調整するように制御システムは構成される。このように道路舗装の所望の幅の変更が考慮されるので、オペレータはさらなる困難を強いられず、あるいは自動調整の監視に専念できる。電子制御システムによって処理されるデジタルの工事データに基づき、路面仕上げ機のすでに述べた自動機能及び以下で述べる自動機能によって、道路舗装はほぼまたは完全に全自律的に敷設できる。
【0009】
好ましくは、スクリードはサイドスロープセンサを備え、該サイドスロープセンサから受信したデータに基づいてアクチュエータ機構を自動的に制御するように制御システムが構成される。スクリードには複数のサイドスロープセンサを備えることができ、そのうちの少なくとも1つは、傾き調整可能なスクリード部分のそれぞれに適切に取り付けられる。例えば、基本スクリードの右側半分及び左側半分の側面の傾きと、右側及び左側の付属部または引出部の側面の傾きと、任意選択的にはバーム調整用の要素の側面の傾きとが該付属部または該引出部において測定できる。例えば、このフィードバック機構を用いて、制御システムは所望の調整を自動的かつ正確に実行できる。空間におけるそれぞれのスクリード部分側面の絶対傾斜及び/または1つまたは複数の他のスクリード部分に対する相対傾斜がサイドスロープセンサのデータによって示される。
【0010】
適切には、路面仕上げ機は実際の高さプロファイルを測定するためのセンサを備え、実際の高さプロファイルと公称の高さプロファイルの誤差を計算し、それに応じてアクチュエータ機構を自動的に制御するように制御システムが構成される。このように、フィードバック機構によって自動的な敷設作業が機械的に制御され、所望の結果が得られるよう設定が自動的に再調整される。つまり、前段落で述べた機械の設定だけでなく、実際の敷設結果も監視できるので、特に高い敷設品質が実現される。
【0011】
ある有利な変形形態において、2つの横断プロファイル間を遷移する間、アクチュエータ機構を自動的に調整するように制御システムが構成される。遷移の例として、道路の直線区間上の横断方向のキャンバーからカーブのカントへの遷移がある。凹凸を発生させることなく、2つのスクリード部分同士の角度がついた状態からそうではなく真っ直ぐなスクリードの側面が傾く状態まで連続的に引き継がなければならないので、このような遷移は手動で構築するには特に煩雑である。特にカーブの多い地域では、高い道路品質が重要となる。自動調整することでこの敷設が最高品質で達成され、手動制御で起こり得る調整エラーは排除される。路面仕上げ機のGNSS位置測定によって、ここでは、道路プロファイルとその遷移の正確な位置決めが確実になされる。例えば、左右半分ずつのスクリードに対するサイドスロープセンサのそれぞれによって、スクリードの現在の設定が監視できる。つまり、オペレータは自ら位置測定を行って、手動で一連の遷移を設置し始める必要がない。
【0012】
理想的には、公称の高さプロファイルの設置に必要なアクチュエータ設定をその設定限界と比較するように制御システムは構成される。このようにして、採用された路面仕上げ機によって確実に所望のプロファイルが設置される。ここで、外部のデータ処理装置を用いてこの確認を実行することも考えられる。このためにはどちらの場合も路面仕上げ機のデータをデジタルで格納する必要がある。
【0013】
更なる変形形態において、公称の高さプロファイルを設置するために必要なアクチュエータの調整速度を可能な調整速度と比較するように制御システムは構成される。これによって特に、横断プロファイルにおける変化の設置を正確に計画でき、それに応じて路面仕上げ機の走行速度や敷設速度が調整できるようになる。
【0014】
路面仕上げ機、特に先行する実施形態のうちの1つによる路面仕上げ機を操作するための本発明にかかる方法は、デジタルの工事データ、特に公称の高さプロファイルとそれによって確定される仕上げるべき道路舗装の横断プロファイルを路面仕上げ機の電子制御システムのメモリに格納するステップと、路面仕上げ機のスクリードを用いて敷設材料を敷設するステップであって、路面仕上げ機の現在位置のそれぞれがGNSS受信機によって測定され、公称の高さプロファイルを参照して、路面仕上げ機に備えられたアクチュエータ機構、特にレベリングシリンダ及び/または横断方向のキャンバー調整及び/または傾斜調整及び/またはバーム調整が自動的に制御される、ステップとを含む。
【0015】
このようにして、指定される位置に所望の形状を有するように道路舗装が敷設される。ここで、路面仕上げ機のGNSS受信機または受信アンテナの位置が考慮できるため、スクリードの位置が正確に参照される。この目的のために、2つのGNSS受信機を使用することもできる。
【0016】
適切には、1つまたは複数のサイドスロープセンサを用いて、スクリード及び/またはスクリード部分の側面の傾きが測定される。理想的には、スクリードの左側半分または右側半分、引出部やバーム要素などの調整可能なスクリード各部分が存在する場合は、それぞれの要素における個別のセンサを用いて該調整可能なスクリード各部分の側面の傾きが測定される。制御システムによってデータが受信及び処理され、その結果自動フィードバック機構によって側面の正確な傾き調整が監視される。同様に、データはオペレータに対しても表示できる。
【0017】
好ましくは、敷設された道路舗装の実際の高さプロファイルが、センサによって測定される。これらのデータは、例えば、ディスプレイ装置上でオペレータに表示できる。このようにして、オペレータも必要に応じて手動で仕上げのプロセスに介入し、修正を加えることもできる。
【0018】
ある有利な変形形態において、公称の高さプロファイルと実際の高さプロファイルの差が計算され、その差を最小化するように閉ループ制御によってアクチュエータ機構が自動的に制御される。このフィードバック機構により、特に高い仕上げ品質が実現される。
【0019】
好ましくは、2つの横断プロファイル間を遷移する間にアクチュエータ機構が自動的に調整される。2つの横断プロファイル間を遷移する間は遷移が完了するまで、スクリードの調整を連続的に変化させなければならない。これを手動で行うことは非常に難しく、エラーが発生しやすくなる。さらには、しばしば二人目のオペレータが必要になる。自動閉ループ制御によって、舗装は常に高品質で設置され、オペレータの安心につながる。
【0020】
適切には、プロセスの開始時に、無線接続またはケーブル接続を用いて外部データ処理装置から電子制御システムのメモリにデジタルの工事データが送信される。このようにして、これまでの全ての計算とデータ追加はパーソナルコンピュータにおいて実行できる。例えば、道路舗装の公称の高さプロファイルのデータはそれぞれ、基盤の3次元高さプロファイルと結び付けたり、あるいはそれに基づいて計算することができる。基盤のデータは、表面スキャンによって予め取得されている場合もある。例えば、敷設材料の層の厚さ、材料要求性及びその他の追加データも計算できる。ただし、ここでは、路面仕上げ機自体の制御システムを用いてこのような計算を行うことも考えられる。しかしながら、外部のデータ処理はより実用的であることが多く、そうでない場合に必要となる路面仕上げ機に備えられる表示機器及び入力機器がなくても実行できる。
【0021】
好ましい変形形態では、敷設の開始前に、公称の高さプロファイルの設置に必要なアクチュエータ設定がその設定限界と比較される。このようにして、路面仕上げ機、そして特にスクリードが、所望の横断プロファイルを有する道路舗装を仕上げるのに適したものであることが保証される。
【0022】
更に有利な変形形態において、敷設の開始前に、アクチュエータの必要な調整速度が可能な調整速度と比較される。敷設速度は、それに応じて計画及び調整できる。
【0023】
以下では、本発明の例示された実施形態が、図を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】スクリードが片勾配にある路面仕上げ機を後方から見た図である。
【
図4】スクリードが横断方向のキャンバー位置にある路面仕上げ機を後方から見た図である。
【
図5】スクリードが傾斜位置にある路面仕上げ機を後方から見た図である。
【
図6】スクリードがバーム位置にある路面仕上げ機を後方から見た図である。
【
図7】高さ調節される引出部を有するスクリードを備えた路面仕上げ機を後方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面において、対応する構成要素には常に同じ参照番号が付される。
【0026】
図1には、材料コンベヤ13によってスクリード3の前に配置される敷設材料11を圧縮するための押圧ストリップ9と、タンパー5と、スクリードプレート7を備えたスクリード3を有する路面仕上げ機1が図示される。スクリード3によって、予め決められた横断プロファイルを有する道路舗装15が仕上げられる。この側面図では、とりわけスクリード3の側面の傾きを調整するための制御可能なレベリングシリンダ17がさらに視認できる。この目的のために、メモリ21及びデータプロセッサ23を備える制御システム19は、レベリングシリンダ17またはそれに接続される油圧制御に適切な方法で接続される。路面仕上げ機1には、現在位置の座標を決定するためのGNSS受信機25がさらに備えられ、スクリード3に対する実際の受信アンテナ27の距離はスクリード3の実際の位置を決定するために考慮できる。別の方法では、GNSS受信アンテナ27をスクリード3上に配置することもできる。さらに、2つのGNSS受信アンテナ27を使用して、スクリード3の位置を正確に測定することができる。無線接続31またはケーブル接続33を用いて、外部データ処理装置29では制御システム19とデータを交換することができる。路面仕上げ機1の少なくとも1つの車軸にはステアリングシステム35が備えられ、該ステアリングシステム35も制御システム19によって制御可能である。
【0027】
図2はデジタルの工事データ37の模式図であり、この例では基盤41の高さプロファイル39と、仕上げるべき道路舗装15の公称の高さプロファイル43を含む。公称の高さプロファイル43は、横断プロファイルであるか、または横断プロファイルを確定するものであり、ここでは横断方向のキャンバー形状で表されている。位置座標点45に対して工事データ37がそれぞれ格納され、該工事データ37は高さデータとともに3次元データの記録を表す。GNSS受信機25によって検出されたそれぞれの位置座標点45に対する工事データ37に基づき、スクリード3の横断プロファイル設定が調整される。2タイプのプロファイル間の遷移は、徐々に、つまり急激に変化することなく適切に設計されることは理解されよう。基盤のデータ39は、例えば表面スキャンによって得られる。この目的のために、例えば、表面スキャナ及びGNSS受信機を搭載した車両が基盤に沿って運転され、それぞれの位置座標について高さデータ39が格納される。
【0028】
図3は、例えばカーブのカントとして使用される傾斜した道路表面を仕上げるための、スクリード3が片勾配にある路面仕上げ機1を後方から見た図である。ここで示された変形形態においては、基盤41の側面はすでに水平面に対して所望の傾斜を有する。したがって、路面仕上げ機1はすでに基盤41上を傾斜して走行しており、スクリード3は、その左右軸をもって路面仕上げ機1の残りの部分に本質的に垂直である。しかしながら、水平な基盤41の場合は、該水平な基盤41の上に片勾配の道路表面を有する道路舗装15を仕上げるために、路面仕上げ機1のシャーシ及び該基盤に対してスクリード3を片側に傾けることも同じく可能である。レベリングシリンダ17を調節することで、ここではスクリード3全体が片側に傾斜される。全ての実施形態についてスクリード3には、左側半分のスクリード47と、右側半分のスクリード49と、拡張部51及び/または引出部51とが備えられる。この側面の傾きを監視するために、スクリード3またはスクリード部分47、49、51のそれぞれにサイドスロープセンサ53を配置できる。
【0029】
図4は、スクリード3が横断方向のキャンバー位置にある路面仕上げ機1を後方から見た図である。横断方向キャンバー調整55用アクチュエータによって、左側半分のスクリード47と右側半分のスクリード49は、互いに傾斜して位置するよう調整される。ここでは横断方向のポジティブキャンバーが図示されており、スクリード3の外端部が下向きに傾斜している。同様に、この外端部が上向きになる横断方向のネガティブキャンバーもあり得る。この例では、引出部51がないスクリード3が図示されているが、引出部51を備えることもできる。
【0030】
さらに、敷設された道路舗装15の実際の高さプロファイル59を測定するためのセンサ57が図示されている。制御システム19によって測定データは公称の高さプロファイル43と比較され、それに応じて横断方向キャンバー調整55に対し1つまたは複数のアクチュエータが再調整され、誤差を防ぐ。横断方向キャンバー調整用アクチュエータ55を使用して、スクリード3の形を調整できる。また、レベリングシリンダ17を用いてスクリード3全体の側面の傾き及び道路舗装15の敷設厚さを調整することができる。
【0031】
図5は、スクリード3が傾斜位置にある路面仕上げ機1を後方から見た図である。ここでは、基本スクリードの半分47、49に加えて引出部51も傾斜している。この調整は傾斜調整61に対するアクチュエータによってなされる。例えば、車道の端により明確な傾斜を有する雨水の排水路が仕上げられる。
【0032】
図6は、スクリード3がバーム位置にある路面仕上げ機1を後方から見た図である。ここでは、図示されるように角度をつけた位置に引出部51の区分63をもってくることができる。これらのバーム区分63によって、例えば、道路側方の縁に排水用のダクトを仕上げられる。制御システム19によって、バーム調整67用アクチュエータを用いたバーム区分63の自動制御が可能であり、バーム区分63にはサイドスロープセンサ53が更に備えられ、その結果引出部の主面65の側面の傾きとバーム区分63の側面の傾きの両方が計測できる。
【0033】
図7は、引出部51を有するスクリード3を備えた路面仕上げ機1を後方から見た図であり、該引出部51の下面は主面65と、もし存在すればバーム区分63とを含み、高さ調節が可能となっている。例えば、傾き調節に加えて油圧式駆動あるいは電気式駆動によって、高さが調節される。
【0034】
上で示した路面仕上げ機1の実施形態及び路面仕上げ機1を操作するための方法から、多数の変形形態が考えられる。例えば、M型の横断プロファイルまたはW型の横断プロファイルは、このスクリード部分47、49、51の側面の傾きを組み合わせることで調整できる。