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<図1>
  • -締結構造体、およびプラズマ発生装置 図1
  • -締結構造体、およびプラズマ発生装置 図2
  • -締結構造体、およびプラズマ発生装置 図3
  • -締結構造体、およびプラズマ発生装置 図4
  • -締結構造体、およびプラズマ発生装置 図5
  • -締結構造体、およびプラズマ発生装置 図6
  • -締結構造体、およびプラズマ発生装置 図7
  • -締結構造体、およびプラズマ発生装置 図8
  • -締結構造体、およびプラズマ発生装置 図9
  • -締結構造体、およびプラズマ発生装置 図10
  • -締結構造体、およびプラズマ発生装置 図11
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  • -締結構造体、およびプラズマ発生装置 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-12
(45)【発行日】2025-03-21
(54)【発明の名称】締結構造体、およびプラズマ発生装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20250313BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20250313BHJP
   H05H 1/26 20060101ALN20250313BHJP
【FI】
F16B5/02 E
F16B35/00 Q
H05H1/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021132298
(22)【出願日】2021-08-16
(65)【公開番号】P2023026880
(43)【公開日】2023-03-01
【審査請求日】2024-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】岩田 卓也
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-221696(JP,A)
【文献】実開昭57-069282(JP,U)
【文献】実開平01-058817(JP,U)
【文献】特開平03-089009(JP,A)
【文献】特開2013-104538(JP,A)
【文献】特開2004-152865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/02
F16B 35/00
H05H 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の部材により構成され、ネジ穴が形成されたベースと、
前記ネジ穴に螺合するネジ山が形成された軸と、軸の端部に形成されたヘッドとを有する螺合部材と、
前記螺合部材の軸が挿通される挿通穴が形成されたセラミック製のセラミック部材と、
前記ベースと前記セラミック部材との間に配置され、前記ベースの1以上の部材のうちの前記セラミック部材の側に位置する部材のヤング率及び前記セラミック部材のヤング率より低いヤング率の板状部材と、
を備え、
前記板状部材の上面と下面との少なくとも一方に凹部が形成された締結構造体。
【請求項2】
複数の前記板状部材が、前記ベースと前記セラミック部材との間に積層された状態で配置されており、
前記複数の板状部材の少なくとも1の板状部材に凹部が形成された請求項1に記載の締結構造体。
【請求項3】
前記複数の板状部材のうちの積層された状態で互いに接触する面に凹部が形成された請求項2に記載の締結構造体。
【請求項4】
前記螺合部材の前記挿通穴に挿通される部位の断面積が、前記螺合部材のネジ山が形成された部位の断面積より小さい請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の締結構造体。
【請求項5】
1以上の部材により構成され、ネジ穴が形成されたベースと、
前記ネジ穴に螺合するネジ山が形成された軸と、軸の端部に形成されたヘッドとを有する螺合部材と、
前記螺合部材の軸が挿通される挿通穴が形成されたセラミック製のセラミック部材と、
前記セラミック部材の内部に形成された反応室と、
前記セラミック部材の内部に配設され、前記反応室において電圧の印加により処理ガスをプラズマ化させる1対の電極と、
前記セラミック部材の内部に形成され、前記反応室に処理ガスを供給するためのガス流路と、
前記セラミック部材に取り付けられ、前記反応室においてプラズマ化されたガスを排出するためのノズルと、
前記ベースと前記セラミック部材との間に配置され、前記ベースの1以上の部材のうちの前記セラミック部材の側に位置する部材のヤング率及び前記セラミック部材のヤング率より低いヤング率の板状部材と、
を備え、
前記板状部材の上面と下面との少なくとも一方に凹部が形成されたプラズマ発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ベースにセラミック製のセラミック部材を螺合部材により締結する締結構造体などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、ベースにセラミック部材を螺合部材により締結する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-004495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、ベースにセラミック部材を螺合部材により適切に締結することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、1以上の部材により構成され、ネジ穴が形成されたベースと、前記ネジ穴に螺合するネジ山が形成された軸と、軸の端部に形成されたヘッドとを有する螺合部材と、前記螺合部材の軸が挿通される挿通穴が形成されたセラミック製のセラミック部材と、前記ベースと前記セラミック部材との間に配置され、前記ベースの1以上の部材のうちの前記セラミック部材の側に位置する部材のヤング率及び前記セラミック部材のヤング率より低いヤング率の板状部材と、を備え、前記板状部材の上面と下面との少なくとも一方に凹部が形成された締結構造体などを開示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、セラミック部材をベースに適切に締結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】プラズマ装置を示す図である。
図2】プラズマヘッドを示す斜視図である。
図3】電極及び本体側プラズマ通路の位置においてX方向及びZ方向にプラズマヘッドを切断した断面図である。
図4図3のAA線における断面図である。
図5図2のBB線における断面図である。
図6】本発明のプラズマヘッドを示す斜視図である。
図7】本発明のプラズマヘッドを示す断面図である。
図8】反った状態の中間部材を示す概略図である。
図9】変形例のプラズマヘッドを示す断面図である。
図10】変形例のプラズマヘッドを示す断面図である。
図11】変形例のプラズマヘッドを示す断面図である。
図12】変形例のプラズマヘッドを示す断面図である。
図13】変形例のプラズマヘッドを示す断面図である。
図14】反った状態の中間部材を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0009】
図1に示すように、プラズマ装置10は、プラズマヘッド11、ロボット13、制御ボックス15を備えている。プラズマヘッド11は、ロボット13に取り付けられている。ロボット13は、例えば、シリアルリンク型ロボット(多関節型ロボットと呼ぶこともできる)である。プラズマヘッド11は、ロボット13の先端に保持された状態でプラズマガスを照射可能となっている。プラズマヘッド11は、ロボット13の駆動に応じて3次元的に移動可能となっている。
【0010】
制御ボックス15は、コンピュータを主体として構成され、プラズマ装置10を統括的に制御する。制御ボックス15は、プラズマヘッド11に電力を供給する電源部15A及びプラズマヘッド11へガスを供給するガス供給部15Bを有している。電源部15Aは、電源ケーブル(図示省略)を介してプラズマヘッド11と接続されている。電源部15Aは、制御ボックス15の制御に基づいて、プラズマヘッド11の電極33(図3及び図4参照)に印加する電圧を変更する。
【0011】
また、ガス供給部15Bは、複数(本実施形態では4本)のガスチューブ19を介してプラズマヘッド11と接続されている。ガス供給部15Bは、制御ボックス15の制御に基づいて、後述する反応ガス、キャリアガス、ヒートガスをプラズマヘッド11へ供給する。制御ボックス15は、ガス供給部15Bを制御し、ガス供給部15Bからプラズマヘッド11へ供給するガスの量などを制御する。これにより、ロボット13は、制御ボックス15の制御に基づいて動作し、テーブル17の上に載置された被処理物Wに対してプラズマヘッド11からプラズマガスを照射する。
【0012】
また、制御ボックス15は、タッチパネルや各種スイッチを有する操作部15Cを備えている。制御ボックス15は、各種の設定画面や動作状態(例えば、ガス供給状態など)等を操作部15Cのタッチパネルに表示する。また、制御ボックス15は、操作部15Cに対する操作入力により各種の情報を受け付ける。
【0013】
図2に示すように、プラズマヘッド11は、プラズマ生成部21、ヒートガス供給部23等を備えている。プラズマ生成部21は、制御ボックス15のガス供給部15B(図1参照)から供給された処理ガスをプラズマ化して、プラズマガスを生成する。ヒートガス供給部23は、ガス供給部15Bから供給されたガスを加熱してヒートガスを生成する。本実施形態のプラズマヘッド11は、プラズマ生成部21において生成したプラズマガスを、ヒートガス供給部23によって生成したヒートガスとともに、図1に示す被処理物Wへ噴出する。プラズマヘッド11には、図2に示す矢印の方向に上流側から下流側へと処理ガスが供給される。なお、プラズマヘッド11は、ヒートガス供給部23を備えない構成でも良い。即ち、本開示のプラズマ装置は、ヒートガスを用いない構成でも良い。
【0014】
図3及び図4に示すように、プラズマ生成部21は、ハウジング31、一対の電極33、プラズマ照射部35等を含む。なお、図3は、一対の電極33及び後述する複数の本体側プラズマ通路71の位置に合わせて切断した断面図であり、図4は、図3のAA線における断面図である。ハウジング31は、耐熱性の高い樹脂製のベース36と、耐熱性の高いセラミック製のセラミック部材38とにより構成されている。そして、図5に示すように、セラミック部材38が、ベース36に4本のボルト(図では3本のみ図示されている)40によりボルト締結されている。なお、図5は、図2のBB線における断面図である。
【0015】
詳しくは、図5に示すように、セラミック部材38は、概して立方体形状であり、セラミック部材38の上下方向に延びる4辺の各々に、上下方向に延びる切欠き部41が形成されている。そして、その切欠き部41の上端からセラミック部材38の上端面に向って
挿通穴43が形成されている。挿通穴43の内径は、ボルト40の軸45の外径より僅かに大きく、ボルト40のヘッド46の外径より小さい。また、セラミック部材38の切欠き部41の内寸は、ボルト40のヘッドの外径より大きい。なお、ボルト40の軸45にはネジ山47が形成されている。
【0016】
また、ベース36も、概して立方体形状であり、ベース36の下面の外寸はセラミック部材38の上面と略同じである。そして、ベース36の下面の4隅の各々に、ボルト40の軸45のネジ山47に応じた形状のネジ穴48が形成されている。なお、4個のネジ穴48は、セラミック部材38に形成されている4個の挿通穴43と上下方向において一致するように、ベース36に形成されている。
【0017】
そして、ベース36の下面にセラミック部材38の上面を密着させた状態で、セラミック部材38が配設されており、ベース36の4個のネジ穴48とセラミック部材38の4個の挿通穴43とが連通する。そして、ボルト40の軸45の先端が、セラミック部材38の挿通穴43の下端から挿入されて、その挿通穴43を介して、ネジ穴48まで挿入されて、軸45に形成されているネジ山47をネジ穴48に螺合させる。この際、ボルト40のヘッド46と、ボルト40のネジ山47が螺合するネジ穴48との間で、セラミック部材38が挟持されることで、ベース36とセラミック部材38とが一体化される。このように、セラミック部材38が4本のボルト40によってベース36にボルト締結されることで、ベース36とセラミック部材38とがハウジング31として一体化される。
【0018】
このように、ベース36とセラミック部材38とが一体化されたハウジング31では、図3に示すように、セラミック部材38の内部に、プラズマガスを発生させる反応室51が形成されている。また、一対の電極33の各々は、例えば、円柱形状をなしており、その先端部を反応室51に突出させた状態で固定されている。以下の説明では、一対の電極33を、単に電極33と称する場合がある。また、一対の電極33が並ぶ方向をX方向、プラズマ生成部21とヒートガス供給部23とが並ぶ方向をY方向、円柱形状の電極33の軸方向をZ方向と称して説明する。また、本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向は互いに直交する方向である。
【0019】
ヒートガス供給部23は、図2及び図4に示すように、ガス管52、ヒータ53、連結部54等を備えている。ガス管52及びヒータ53は、ハウジング31の外周面に取り付けられ、図4に示すカバー55によって覆われている。ガス管52は、ガスチューブ(図1参照)19を介して、制御ボックス15のガス供給部15Bに接続されている。ガス管52には、ガス供給部15Bからガス(例えば、空気)が供給される。ヒータ53は、ガス管52の途中に取り付けられている。ヒータ53は、ガス管52を流れるガスを温めてヒートガスを生成する。
【0020】
図4に示すように、連結部54は、ガス管52をプラズマ照射部35に連結するものである。プラズマ照射部35がハウジング31に取り付けられた状態では、連結部54は、一端部をガス管52に接続され、他端部をプラズマ照射部35に形成されたヒートガス通路56に接続される。ヒートガス通路56には、ガス管52を介してヒートガスが供給される。
【0021】
図3に示すように電極33の一部の外周部は、セラミックス等の絶縁体で製造された電極カバー57によって覆われている。電極カバー57は、略中空筒状をなし、長手方向の両端部に開口が形成されている。電極カバー57の内周面と電極33の外周面との間の隙間は、ガス通路58として機能する。電極カバー57の下流側の開口は、反応室51に接続されている。電極33の下端は、電極カバー57の下流側の開口から突出している。
【0022】
また、ハウジング31のベース36の内部には、反応ガス流路61と、一対のキャリアガス流路63とが形成されている。反応ガス流路61は、ガスチューブ19(図1参照)を介してガス供給部15Bと接続され、ガス供給部15Bから供給される反応ガスを反応室51へ流入させる。また、一対のキャリアガス流路63は、X方向において反応ガス流路61を間に挟んだ位置に配置されている。一対のキャリアガス流路63の各々は、ガスチューブ19(図1参照)を介してガス供給部15Bと接続され、ガス供給部15Bからキャリアガスが供給される。キャリアガス流路63は、ガス通路58を介してキャリアガスを反応室51へ流入させる。
【0023】
反応ガス(種ガス)としては、酸素(O2)を採用できる。ガス供給部15Bは、例えば、反応ガス流路61を介して、酸素と窒素(N2)との混合気体(例えば、乾燥空気(Air))を、反応室51の電極33の間に流入させる。以下、この混合気体を、便宜的に反応ガスと呼び、酸素を種ガスと呼ぶ場合がある。キャリアガスとしては、窒素を採用できる。ガス供給部15Bは、ガス通路58の各々から、一対の電極33の各々を取り巻くようにキャリアガスを流入させる。
【0024】
一対の電極33には、制御ボックス15の電源部15Aから交流の電圧が印加される。電圧を印加することによって、例えば、図3に示すように、反応室51内において、一対の電極33の下端の間に、擬似アークAが発生する。この擬似アークAを反応ガスが通過する際に、反応ガスは、プラズマ化される。従って、一対の電極33は、擬似アークAの放電を発生させ、反応ガスをプラズマ化し、プラズマガスを発生させる。
【0025】
また、ハウジング31における反応室51の内部には、内部ノズル65が嵌合されており、反応室51の内部において、1対の電極33の下端の下方に位置している。その内部ノズル65には、X方向に間隔を隔てて並び、Z方向に伸びて形成された複数(本実施例においては、6本)の内部ノズルプラズマ通路67が形成されている。複数の内部ノズルプラズマ通路67の上流側の端部は、内部ノズル65の上端面に開口しており、反応室51に接続されている。一方、複数の内部ノズルプラズマ通路67の下流側の端部は、内部ノズル65の下端面に開口している。
【0026】
その内部ノズル65の下端面に密着するハウジング31の下端部には、X方向に間隔を隔てて並び、Z方向に伸びて形成された複数(本実施例においては、6本)の本体側プラズマ通路71が形成されている。そして、複数の本体側プラズマ通路71の上流側の端部が、複数の内部ノズルプラズマ通路67の下端部と連通している。
【0027】
プラズマ照射部35は、ノズル73、ノズルカバー75等を備えている。ノズル73は、X方向からの側面視において概してT字形をなし、ノズル本体77とノズル先端79とにより構成されている。なお、ノズル73は、ノズル本体77とノズル先端79とによる一体物であり、耐熱性の高いセラミックにより成形されている。ノズル本体77は、概してフランジ形状をなし、ボルト80により、ハウジング31の下面に固定されている。また、ノズル先端79は、ノズル本体77の下面から下方に向って延び出す形状とされている。そして、ノズル73には、ノズル本体77とノズル先端79とを上下方向、つまり、Z方向に貫通する複数(本実施例においては、6本)のノズル側プラズマ通路81が形成されており、それら複数のノズル側プラズマ通路81は、X方向に間隔を隔てて並んでいる。なお、複数のノズル側プラズマ通路81は、Z方向において複数の本体側プラズマ通路71と同じ位置に形成されている。このため、本体側プラズマ通路71とノズル側プラズマ通路81とは連通している。
【0028】
ノズルカバー75は、X方向からの側面視において概してT字形をなし、カバー本体85とカバー先端87とにより構成されている。なお、ノズルカバー75は、カバー本体8
5とカバー先端87とによる一体物であり、耐熱性の高いセラミックにより成形されている。カバー本体85は、板厚の概して板形状とされており、カバー本体85には、上面に開口するとともに、Z方向に凹んだ形状の凹部89が形成されている。そして、その凹部89にノズル73のノズル本体77が収納されるように、カバー本体85が、ボルト90によりハウジング31のセラミック部材38の下面に固定されている。このため、ノズルカバー75は、ハウジング31に着脱可能とされており、ノズル73の交換時などに、ハウジング31から取り外される。さらに、カバー本体85には、Y方向に延びるように、ヒートガス通路56が形成されており、そのヒートガス通路56の一端部が、凹部89に開口し、ヒートガス通路56の他端部が、カバー本体85の側面に開口している。そして、カバー本体85の側面に開口するヒートガス通路56の端部が、上記したヒートガス供給部23の連結部54に連結されている。
【0029】
カバー先端87は、カバー本体85の下面から下方に向って延び出している。カバー先端87には、Z方向に貫通する1つの貫通孔93が形成されており、その貫通孔93の上端部は、カバー本体85の凹部89に連通している。そして、その貫通孔93に、ノズル73のノズル先端79が挿入されている。これにより、ノズル73は、ノズルカバー75により全体的に覆われている。なお、ノズル73のノズル先端79の下端と、ノズルカバー75のカバー先端87の下端とは、同じ高さに位置している。
【0030】
また、ノズル73がノズルカバー75により覆われた状態において、ノズルカバー75の凹部89の内部にノズル73のノズル本体77が位置し、ノズルカバー75の貫通孔93の内部にノズル73のノズル先端79が位置する。このような状態において、凹部89とノズル本体77との間及び、貫通孔93とノズル先端79との間に隙間が存在し、その隙間がヒートガス出力通路95として機能する。ヒートガス出力通路95には、ヒートガス通路56を経てヒートガスが供給される。
【0031】
このような構造により、反応室51で発生したプラズマガスは、キャリアガスとともに、本体側プラズマ通路71及びノズル側プラズマ通路81を経由して、ノズル側プラズマ通路81の下端の開口81Aから噴出される。また、ガス管52からヒートガス通路56へ供給されたヒートガスは、ヒートガス出力通路95を流れる。このヒートガスは、プラズマガスを保護するシールドガスとして機能するものである。ヒートガスは、ヒートガス出力通路95を流れ、ヒートガス出力通路95の下端の開口95Aからプラズマガスの噴出方向に沿って噴出される。この際、ヒートガスは、ノズル側プラズマ通路81の開口81Aから噴出されるプラズマガスの周囲を取り巻くように噴出される。このように、加熱したヒートガスをプラズマガスの周囲に噴出することで、プラズマガスの効能(濡れ性など)を高めることができる。
【0032】
このように、プラズマヘッド11では、反応室51において放電が生じ、プラズマが発生することで、そのプラズマガスがノズル73の先端から噴出され、被処理物Wに対してプラズマ処理が施される。この際、反応室51は高温となるため、反応室51が形成されているハウジング31のセラミック部材38は耐熱性の高いセラミック製とされている。ただし、セラミックは、耐熱性が高い素材であるが、ヤング率は低い素材である。なお、ヤング率は、弾性範囲における歪量と応力との比例定数であり、歪量に対する応力の比率である。このため、ヤング率が高い物体とヤング率の低い物体とを同じ応力で変形させた場合に、ヤング率の低い物体がヤング率の高い物体よりも大きく変形する。つまり、ヤング率が低い物体は変形し易く、ヤング率の高い物体は変形し難い。このため、ヤング率の低いセラミック製のセラミック部材38は変形し易い。一方、ハウジング31においてセラミック部材38の上面に密着するベース36は、耐熱性の高い樹脂製であるが、セラミック部材38より耐熱性は低い。また、ベース36の素材である樹脂は、セラミックより低いヤング率の素材である。つまり、ベース36のヤング率はセラミック部材38より低
く、ベース36はセラミック部材38より変形し易い。また、セラミック部材38の下面にヘッド46を密着させた状態でセラミック部材38を締結するボルト40は、鋼材製であり、鋼材のヤング率は、樹脂,セラミックより高い。つまり、セラミック部材38を締結するボルト40のヤング率はセラミック部材38より高く、ボルト40はセラミック部材38より変形し難い。
【0033】
つまり、セラミック部材38の上面は、セラミック部材38よりヤング率の低いベース36に密着しており、セラミック部材38の下面は、セラミック部材38のヤング率より高いボルト40のヘッド46に密着している。そして、プラズマヘッド11が繰り返して使用されることで、ハウジング31の温度は高温と常温との間で繰り返して変化する。この際、セラミック部材38が熱膨張と収縮とを繰り返すが、熱膨張と収縮とが繰り返される際に、変形し易いセラミック部材38は大きく変形する。つまり、熱応力が繰り返しセラミック部材38に生じて、セラミック部材38が大きく変形する。
【0034】
また、ボルト40の締め付けトルクはボルト40のヘッド46に密着しているセラミック部材38に生じる。このように、熱応力が生じた際のセラミック部材38の変形,ボルト40の締め付けトルク等に起因して、ボルト40のヘッド46に密着するセラミック部材38が破損する虞がある。特に、セラミック部材38は、切欠き部41においてボルト締結されているため、ボルト40のヘッド46へのセラミック部材38の密着面と、その密着面と交差する切欠き部41の側面との境界線に応力が集中し、その境界線において破損する可能性が高い。
【0035】
また、ハウジング31の温度が高温と常温との間で繰り返して変化する際に、ベース36も熱膨張と収縮とを繰り返すが、ベース36のヤング率はセラミック部材38のヤング率より低いため、ベース36の熱膨張に伴って、変形し易いベース36が大きく変形する。このため、ベース36の変形により、セラミック部材38がボルト40のヘッド46に向って付勢されることでも、ボルト40のヘッド46に密着するセラミック部材38が破損する虞がある。
【0036】
このようなことに鑑みて、プラズマヘッド11では、図6及び図7に示すように、軸中央部の径が先端部の径より細いボルト100によって、セラミック部材38がベース36に締結されている。そして、そのボルト100のヘッド102とセラミック部材38との間にワッシャ106が配設され、ベース36とセラミック部材38との間に2枚の板状の中間部材110,112が積層された状態で配設されている。
【0037】
詳しくは、ボルト100の軸116の先端部にネジ山118が形成されており、ボルト100のネジ山118が形成されている部位(以下、「先端部位」と記載する)120とヘッド102との間の部位(以下、「中央部位」と記載する)122は、先端部位120より細い。つまり、ボルト100の軸116の中央部位122の径方向の断面積が先端部位120の断面積より小さくされている。また、ワッシャ106は、円環形状をなし、ワッシャ106の内径はボルト100の軸116の中央部位122の外径より大きく、ワッシャ106の外径はボルト100のヘッド102の外径と略同じ、若しくはヘッド102の外径より大きい。そして、ワッシャ106は、4本のボルト100のヘッド102の各々とセラミック部材38との間に配設されている。
【0038】
また、2枚の板状の中間部材110,112は、板形状をなし、セラミック部材38の上面と略同じ寸法である。2枚の板状の中間部材110,112は、積層されており、上に積層された中間部材(以下、「第1中間部材」と記載する)110の厚さ寸法は、下に積層された中間部材(以下、「第2中間部材」と記載する)112の厚さ寸法の半分程度である。また、第1中間部材110は、平板形状であるが、第2中間部材112の上面に
は、凹部126が形成されている。凹部126は、第2中間部材112の上面の中央部を通る十字路形状の溝であり、凹部126の端は第2中間部材112の4つの側面に開口している。なお、凹部126の深さ寸法は、第1中間部材110の厚さ寸法と略同じである。そして、凹部126が形成されている第2中間部材112の上面を第1中間部材110の下面に密着させた状態で、第1中間部材110と第2中間部材112とが積層されている。
【0039】
積層された状態の第1中間部材110と第2中間部材112とは、セラミック部材38の上面とベース36の下面との間に配設されている。また、第1中間部材110と第2中間部材112とには、セラミック部材38に形成されている挿通穴43と同じ内寸の挿通穴128,130が形成されている。そして、ボルト100の軸116が、セラミック部材38,第1中間部材110,第2中間部材112の挿通穴43,128,130に挿通し、ネジ山118がベース36のネジ穴48に螺合することで、ベース36,セラミック部材38,第1中間部材110,第2中間部材112が一体的に締結される。なお、ボルト100の軸116の中央部位122は、セラミック部材38,第1中間部材110,第2中間部材112の挿通穴43,128,130を挿通しており、軸116の先端部位120は、ベース36のネジ穴48に螺合している。
【0040】
また、ワッシャ106と第1中間部材110と第2中間部材112とは、耐熱性の高い樹脂材料やゴム系材料により成形されている。なお、ワッシャ106と第1中間部材110と第2中間部材112とは、同じ材料により成形されていてもよく、異なる材料により成形されていてもよい。また、耐熱性の高い樹脂材料やゴム系材料として、例えば、PEEK,PPS,PES,フッ素系ゴム,シリコン系ゴム等が挙げられる。また、ワッシャ106のヤング率は、ボルト100、つまり、ヘッド102のヤング率及びセラミック部材38のヤング率より低く、第1中間部材110と第2中間部材112とのヤング率は、ベース36のヤング率及びセラミック部材38のヤング率より低い。
【0041】
このように、ボルト100のヘッド102及びセラミック部材38より低いヤング率のワッシャ106が、ヘッド102とセラミック部材38との間に配設されることで、セラミック部材38の変形に伴う破損を防止することができる。詳しくは、セラミック部材38が熱膨張した際に、セラミック部材38とヘッド102との間にワッシャ106が配設されていない場合には、ヘッド102よりヤング率の低いセラミック部材38が変形していた。一方で、セラミック部材38とヘッド102との間にワッシャ106が配設されている場合には、セラミック部材38が熱膨張すると、ボルト100のヘッド102及びセラミック部材38より低いヤング率のワッシャ106が変形する。また、ボルト100の締め付けトルクは、セラミック部材38とヘッド102との間にワッシャ106が配設されていない場合には、セラミック部材38に生じていたが、セラミック部材38とヘッド102との間にワッシャ106が配設されている場合には、ワッシャ106に生じる。そして、ボルト100の締め付けトルクにより、ヘッド102及びセラミック部材38より低いヤング率のワッシャ106が変形する。つまり、熱応力が生じた際にセラミック部材38の代わりにワッシャ106が変形し,ボルト100の締め付けトルク等により、セラミック部材38の代わりにワッシャ106が変形する。これにより、セラミック部材38の変形を抑制し、セラミック部材38の破損を防止することができる。
【0042】
また、ベース36及びセラミック部材38より低いヤング率の第1中間部材110と第2中間部材112とが、ベース36とセラミック部材38との間に配設されることで、セラミック部材38の変形に伴う破損を防止することができる。詳しくは、ベース36が熱膨張した際に、ベース36とセラミック部材38との間に第1中間部材110と第2中間部材112とが配設されていない場合には、ベース36が変形し、セラミック部材38がボルト100のヘッド102に向って付勢されていた。一方で、ベース36とセラミック
部材38との間に第1中間部材110と第2中間部材112とが配設されている場合には、ベース36が熱膨張すると、ベース36及びセラミック部材38より低いヤング率の第1中間部材110と第2中間部材112とが変形する。つまり、熱応力が生じた際にセラミック部材38の代わりに第1中間部材110と第2中間部材112とが変形する。これにより、セラミック部材38のボルト100のヘッド102への付勢を抑制し、セラミック部材38の破損を防止することができる。
【0043】
また、ベース36とセラミック部材38との間に、第1中間部材110と第2中間部材112との2枚の部材を配設することで、セラミック部材38にかかる荷重を低減し、セラミック部材38の破損を防止することができる。詳しくは、例えば、図8に示す板形状の中間部材140をベース36とセラミック部材38との間に配設すると、中間部材140は、中央部を下方に向けて突出した状態で反る。これは、セラミック部材38の内部に反応室51が形成されているため、セラミック部材38は高温となり、そのセラミック部材38に接触している中間部材140の下面は大きく膨張し、セラミック部材38より低温のベース36に接触している中間部材の上面は、下面より膨張しないためである。そして、中間部材140の反りを戻すための力がセラミック部材38にかかる。この中間部材140の反りを戻すための力Fは、下記式により演算される。
F={(48×E×I)/L3}×σ
なお、Eは中間部材140のヤング率であり、Iは断面二次モーメントであり、Lは中間部材140の長さ寸法である。また、σは、図8に示すように、中間部材140の反り量である。そして、断面二次モーメントIは、中間部材140の厚さ寸法の3乗に比例する。ここで、中間部材140の厚さ寸法を3tとする。
【0044】
また、ベース36とセラミック部材38との間で、中間部材140と同等にセラミック部材38の破損を防止するためには、第1中間部材110と第2中間部材112との2枚の部材の厚さ寸法は3tである。そして、上述したように、第1中間部材110の厚さ寸法は、第2中間部材112の厚さ寸法の半分程度である。このため、第1中間部材110の厚さ寸法はtであり、第2中間部材112の厚さ寸法は2tである。なお、第2中間部材112に形成される凹部126の深さ寸法は、第1中間部材110の厚さ寸法と同じであるため、tである。
【0045】
そして、第1中間部材110と第2中間部材112との2枚の部材がベース36とセラミック部材38との間に配設されている際において、セラミック部材38に接触している第2中間部材112が、中間部材140と同様に、中央部を下方に向けて突出した状態で反る。この際、第2中間部材112の凹部126の下方の部分に第2中間部材112の反りを戻すための力Fが生じる。このため、第2中間部材112の反りを戻すための力Fの演算時に用いられる断面二次モーメントIは、第2中間部材112の凹部126の下方の部分の厚さ寸法の3乗に比例する。つまり、第2中間部材112の厚さ寸法は2tであり、凹部126の深さ寸法はtであるため、第2中間部材112の凹部126の下方の部分の厚さ寸法はt(=2t-t)となり、第2中間部材112の反りを戻すための力Fの演算時に用いられる断面二次モーメントIはtの3乗に比例する。
【0046】
このように、第1中間部材110と第2中間部材112との2枚の部材がベース36とセラミック部材38との間に配設されている場合には、断面二次モーメントIはtの3乗(t3)に比例する。一方、中間部材140がベース36とセラミック部材38との間に配設されている場合には、断面二次モーメントIは3tの3乗(27t3)に比例する。このため、第2中間部材112の反りを戻すための力Fは、中間部材140の反りを戻すための力Fの1/27となる。つまり、第1中間部材110と第2中間部材112との2枚の部材がベース36とセラミック部材38との間に配設されている場合にセラミック部材38にかかる荷重は、中間部材140がベース36とセラミック部材38との間に配設
されている場合にセラミック部材38にかかる荷重の1/27となる。このように、ベース36とセラミック部材38との間に、第1中間部材110と第2中間部材112との2枚の部材を配設することで、セラミック部材38にかかる荷重を低減し、セラミック部材38の破損を防止することができる。
【0047】
また、図7に示すように、軸116の中央部位122の径が先端部位120より細いボルト100によって、セラミック部材38がベース36に締結されることで、セラミック部材38にかかる荷重を低減し、セラミック部材38の破損を防止することができる。詳しくは、ボルト100のばね定数Kは、下記式により演算される。
K=A×(E/L)
なお、Aはボルト100が負荷を受ける部位の断面積であり、Lはボルト100が負荷を受ける部位の長さ寸法である。また、Eはボルト100のヤング率である。このため、ボルト100が負荷を受ける部位の断面積Aが小さくなるほど、ボルト100のばね定数Kも小さくなる。また、ばね定数は小さいほど、伸びやすい。つまり、ボルト100の断面積の小さい部位ほど伸びやすい。そして、ボルト100は、断面積の大きい先端部位120においてベース36に締結されており、断面積の小さい中央部位122においてセラミック部材38の挿通穴43を挿通している。このため、セラミック部材38などが膨張した際に、ボルト100が中央部位122において伸びることで、セラミック部材38にかかる荷重が低減する。これにより、セラミック部材38の破損を防止することができる。
【0048】
因みに、プラズマヘッド11は、プラズマ発生装置の一例である。ハウジング31は、締結構造体の一例である。電極33は、電極の一例である。ベース36は、ベース及び1以上の部材の一例である。セラミック部材38は、セラミック部材の一例である。挿通穴43は、挿通穴の一例である。ネジ穴48は、ネジ穴の一例である。反応室51は、反応室の一例である。反応ガス流路61は、ガス流路の一例である。ノズル73は、ノズルの一例である。ボルト100は、螺合部材の一例である。ヘッド102は、ヘッドの一例である。第1中間部材110は、板状部材の一例である第2中間部材112は、板状部材の一例である。軸116は、軸の一例である。ネジ山118は、ネジ山の一例である。凹部126は、凹部の一例である。
【0049】
以上、上記した本実施形態では、以下の効果を奏する。
【0050】
プラズマヘッド11では、軸116の中央部位122の断面積が先端部位120の断面積より小さいボルト100によって、セラミック部材38がベース36に締結されている。そして、ボルト100は、断面積の大きい先端部位120においてベース36に締結されており、断面積の小さい中央部位122においてセラミック部材38の挿通穴43を挿通している。また、軸116の中央部位122は、細いため、上述したように、中央部位122のばね定数は小さく、伸びやすい。このため、セラミック部材38などが膨張した際に、ボルト100が中央部位122において伸びることで、セラミック部材38にかかる荷重を低減し、セラミック部材38の破損を防止することができる。
【0051】
また、プラズマヘッド11では、ベース36及びセラミック部材38より低いヤング率の第2中間部材112が、ベース36とセラミック部材38との間に配設されており、その第2中間部材112に凹部126が形成されている。このため、第2中間部材112の凹部126が形成されている部位の厚さ寸法が薄くなり、上述したように、第2中間部材112の反りを戻すための力Fが小さくなる。これにより、セラミック部材38にかかる荷重を低減し、セラミック部材38の破損を防止することができる。
【0052】
また、プラズマヘッド11では、第2中間部材112だけでなく、第1中間部材110もベース36とセラミック部材38との間に配設されており、第1中間部材110と第2
中間部材112とが積層されている。このため、第1中間部材110と第2中間部材112との2枚の板状の部材によって厚みを確保することで、第1中間部材110と第2中間部材112との変形量を大きくすることが可能なる。これにより、セラミック部材38にかかる荷重を低減し、セラミック部材38の破損を防止することができる。
【0053】
また、プラズマヘッド11では、第2中間部材112の上面に凹部126が形成されており、その第2中間部材112の上面に第1中間部材110が積層されている。つまり、第1中間部材110と第2中間部材112との密着面に凹部126が形成されており、第1中間部材110と第2中間部材112との間に隙間が形成されている。これにより、第1中間部材110と第2中間部材112との間において、第1中間部材110と第2中間部材112との膨張を緩和することができる。
【0054】
また、プラズマヘッド11は、反応室51において放電を生じさせることでプラズマを発生させる装置である。そして、そのプラズマヘッド11において、ベース36とセラミック部材38との間に第1中間部材110と第2中間部材112とを配設することで、セラミック部材38の破損が防止されている。これにより、プラズマヘッド11が繰り返して使用される際のハウジング31の温度変化に伴うセラミック部材38へのダメージを適切に抑制することができる。特に、セラミック部材38の内部に反応室51が形成されているため、温度変化の影響を受けやすいセラミック部材38を好適に保護することができる。
【0055】
さらに言えば、セラミック部材38には、電圧の印加により放電する1対の電極33が配設され、反応ガスを反応室51に供給するための反応ガス流路61が形成されている。また、反応室51において発生したプラズマを噴出するためのノズル73が、セラミック部材38の下面側に取り付けられている。このため、セラミック部材38を保護することで、電極33,反応ガス流路61,ノズル73等をも保護することができる。
【0056】
尚、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、第2中間部材112の上面に第1中間部材110が積層されており、第2中間部材112の上面に凹部126が形成されている。一方で、図9に示すように、第1中間部材110の上面に第2中間部材112が積層され、第2中間部材112の下面に凹部126が形成されてもよい。また、図10に示すように、第1中間部材110の上面に第2中間部材112が積層され、第2中間部材112の上面に凹部126が形成されてもよい。また、図11に示すように、第2中間部材112の上面に第1中間部材110が積層され、第2中間部材112の下面に凹部126が形成されてもよい。なお、第2中間部材112の上面に第1中間部材110が積層され、第2中間部材112の下面に凹部126が形成される場合には、凹部126が形成されている第2中間部材112の下面がセラミック部材38に接触する。このため、第2中間部材112が中央部を下方に向けて突出した状態で反る場合に、第2中間部材112の下面の中央部に凹部126が形成されているため、第2中間部材112の下面の中央部はセラミック部材38の上面に殆ど接触しない。これにより、第2中間部材112の反りによって殆どセラミック部材38に負荷をかけることがなくなり、セラミック部材38の破損を適切に防止することができる。
【0057】
また、上記実施例では、ベース36とセラミック部材38との間に第1中間部材110と第2中間部材112との2枚の板状の部材が配設されているが、ベース36とセラミック部材38との間に3枚以上の板状の部材が配設されてもよい。一方で、図12に示すように、ベース36とセラミック部材38との間に1枚の中間部材150が配設されてもよい。そして、その中間部材150の下面の中央部に凹部126が形成されることで、図11に示す第2中間部材112と同様に、中間部材150の反りによって殆どセラミック部
材38に負荷をかけることがなくなり、セラミック部材38の破損を適切に防止することができる。
【0058】
また、上記実施例では、第2中間部材112の中央部に凹部126が形成されているが、図13に示すように、第1中間部材160の外縁部に凹部162が形成されてもよい。つまり、板状の部材の4辺の縁を切り欠いて凹部162を形成し、その板状の部材を、第2中間部材112の上面に積層してもよい。このように、板状の部材の4辺の縁を切り欠いて凹部162を形成することで、反り量を少なくすることができる。具体的には、例えば、図14に示すように、凹部が形成されていない中間部材170の反り量はt1である。一方で、中間部材180の上面の外縁に凹部182を形成した場合には、その中間部材180の反り量はt2となり、凹部が形成されていない中間部材170の反り量t1より少ない。これにより、中間部材180の反りによってセラミック部材38にかかる負荷を低減し、セラミック部材38の破損を防止することができる。
【0059】
また、上記実施例では、ベース36とセラミック部材38との間に第1中間部材110と第2中間部材112とが配設されるとともに、先端部位120より細い中央部位122のボルト100によってセラミック部材38が締結されている。一方で、ベース36とセラミック部材38との間に第1中間部材110と第2中間部材112とが配設されるが、一般的なボルト、つまり、径の同じ軸を有するボルトによってセラミック部材38が締結されてもよい。また、ベース36とセラミック部材38との間に第1中間部材110と第2中間部材112とを配設せずに、先端部位120より細い中央部位122のボルト100によってセラミック部材38が締結されてもよい。
【0060】
また、上記実施例では、セラミック部材38がボルト締結される際にボルト100,第1中間部材110,第2中間部材112が用いられているが、セラミック製のノズル73等がボルト締結される際にボルト100,第1中間部材110,第2中間部材112が用いられてもよい。また、プラズマヘッド11に限定されず、セラミック製の部材をベースにボルト締結する種々の装置,機構,システムなどにおいて、ボルト100,第1中間部材110,第2中間部材112を用いた締結構造体を採用することが可能である。
【0061】
また、上記実施例では、ボルト100によりセラミック製の部材を締結する構造が採用されているが、ネジ穴にネジ山を螺合することで締結する構造であれば、種々の構造を採用することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
11:プラズマヘッド(プラズマ発生装置)、31:ハウジング(締結構造体)、33:電極、36:ベース(1以上の部材)、38:セラミック部材、43:挿通穴、48:ネジ穴、51:反応室、61:反応ガス流路(ガス流路)、73:ノズル、100:ボルト(螺合部材)、102:ヘッド、110:第1中間部材(板状部材)、112:第2中間部材(板状部材)、116:軸、118:ネジ山、126:凹部
図1
図2
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図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14