(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-12
(45)【発行日】2025-03-21
(54)【発明の名称】固体撮像素子及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H10F 39/18 20250101AFI20250313BHJP
H01L 21/764 20060101ALI20250313BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20250313BHJP
H01L 21/762 20060101ALI20250313BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20250313BHJP
【FI】
H10F39/18 A
H01L21/76 A
H01L21/76 L
H01L21/76 D
H04N25/70
(21)【出願番号】P 2021563859
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 JP2020044394
(87)【国際公開番号】W WO2021117523
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2019222488
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智美
(72)【発明者】
【氏名】正垣 敦
(72)【発明者】
【氏名】工藤 義治
【審査官】渡邊 佑紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0373108(US,A1)
【文献】特開2016-184624(JP,A)
【文献】特開2016-039315(JP,A)
【文献】特開2014-225647(JP,A)
【文献】特開2012-099841(JP,A)
【文献】特開2008-124344(JP,A)
【文献】国際公開第2018/174090(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10F 39/18
H01L 21/764
H01L 21/76
H01L 21/762
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換を行う光電変換素子と、
基板の第1主面から第2主面に貫通し、前記光電変換素子を含む画素の間に形成された完全貫通型素子分離と、
前記完全貫通型素子分離の前記第1主面側に密着して設けられ
、前記基板の前記第1主面に形成されたトレンチ内に埋め込まれた第1導体部と、
前記基板の前記第1主面に形成された 第二不純物拡散層と、
前記第1導体部と前記第二不純物拡散層との間に設けられた絶縁部と、
前記第二不純物拡散層よりも前記基板の第1主面から深い領域に形成されたウェル層と、
を備え、
前記第1導体部の少なくとも一部は、前記絶縁部よりも前記基板の前記第1主面から深さ方向において深い領域において前記ウェル層と接する
固体撮像素子。
【請求項2】
前記第1導体部は、前記絶縁部よりも深く形成され、
前記
第二不純物拡散層は、前記絶縁部よりも浅く形成される
請求項
1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記第1導体部の前記第1主面側に密着して設けられたキャップ層を備え、
前記第1導体部は、隣接する複数の画素の前記ウェル層と密接して配置されている
請求項
1に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記ウェル層と電気的に接続され、前記画素内に形成されたコンタクト電極を備え、
前記コンタクト電極は、前記前記第1導体部を介して、隣接する前記複数の画素の前記ウェル層を入力された電位に固定する
請求項
3に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記完全貫通型素子分離は、平面視で前記画素を取り囲んで設けられており、
前記第1導体部は、前記完全貫通型素子分離の上方の全面又は一部の面に密接して配置される
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記第1導体部は、隣接する2つの画素に挟まれた前記完全貫通型素子分離の上方及び2×2のマトリクス状に配列された4つの画素の中心に位置する前記完全貫通型素子分離の上方の少なくとも一方に設けられる
請求項
5に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記第1導体部は、前記完全貫通型素子分離を底面とする前記トレンチの一部又は全部が導体材料によって埋め込まれた形状である
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
前記絶縁部は、少なくとも表面が絶縁材料で形成されている
請求項
1に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
前記絶縁部は、前記第1導体部と前記
第二不純物拡散層との間に設けられたトレンチの表面を覆う絶縁膜と、トレンチ内に埋め込まれた純ポリシリコン又は酸化物、もしくは空気層との二層構造である
請求項
8に記載の固体撮像素子。
【請求項10】
前記第1導体部は、隣接する画素間で共用されるコンタクト電極である
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項11】
前記完全貫通型素子分離の上方の全面又は一部の面に密接して配置され、前記絶縁部よりも深くかつ前記ウェル層と接触するように設けられており、正電圧が印加されることで前記光電変換素子に蓄積された電子を引き寄せてトラップする第2導体部を備える
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項12】
前記前記第二不純物拡散層は、N型の不純物が拡散された領域である
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項13】
光電変換を行う光電変換素子と、基板の第1主面から第2主面に貫通し、前記光電変換素子を含む画素の間に形成された完全貫通型素子分離と、前記完全貫通型素子分離
に埋め込まれた第1導体部と、
前記基板の第1主面に形成された第二不純物拡散層と、前記第1導体部と前記第二不純物拡散層との間に設けられた絶縁部と、前記第二不純物拡散層よりも前記基板の第1主面から深い領域に形成されたウェル層と、を有する固体撮像素子を含む固体撮像装置と、
被写体からの像光を前記固体撮像装置の撮像面上に結像させる光学レンズと、
前記固体撮像装置から出力される信号に信号処理を行う信号処理回路と、
を備え
、
前記固体撮像素子において、前記第1導体部の少なくとも一部は、前記絶縁部よりも前記基板の前記第1主面から深さ方向において深い領域において前記ウェル層と接する
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像素子及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、完全貫通型素子分離(FFTI:Front Full Trench Isolation)を有する固体撮像素子が用いられている。FFTIを有する固体撮像素子は、画素間が絶縁物で分離されており、各画素が電気的に分離されている。このため、分離された個々の画素は、半導体基板を例えば接地電位とするためのコンタクト電極を備える必要がある。平面視におけるコンタクト電極の面積を小さくするために、FFTIの一部を活性領域として、コンタクト電極を形成した固体撮像素子が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような固体撮像素子では、素子の小型化のために、不純物濃度が高い領域であるトランジスタのソース/ドレインとなる不純物領域とコンタクト電極とが密着又は近接する。このため、不純物領域とコンタクト電極との間で強電界が発生してしまう。
【0005】
そこで、本開示は、小型でありながらトランジスタ近傍での強電界の発生を抑制可能な固体撮像素子及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る固体撮像素子は、光電変換を行う光電変換素子と、基板の第1主面から第2主面に貫通し、前記光電変換素子を含む画素の間に形成された完全貫通型素子分離と、前記完全貫通型素子分離の前記第1主面側に密着して設けられた導体部と、を備えること特徴とする。
【0007】
また、本開示の他の態様に係る電子機器は、光電変換を行う光電変換素子と、基板の第1主面から第2主面に貫通し、前記光電変換素子を含む画素の間に形成された完全貫通型素子分離と、前記完全貫通型素子分離の前記第1主面側に密着して設けられた導体部と、を有する固体撮像素子を含む固体撮像装置と、被写体からの像光を前記固体撮像装置の撮像面上に結像させる光学レンズと、前記固体撮像装置から出力される信号に信号処理を行う信号処理回路と、を備えること特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る固体撮像装置の全体構成を示す図である。
【
図2A】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図2B】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の構成の一例を示す断面図である。
【
図3A】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明する工程断面図である。
【
図3B】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明する工程断面図である。
【
図3C】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明する工程断面図である。
【
図3D】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明する工程断面図である。
【
図3E】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明する工程断面図である。
【
図3F】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明する工程断面図である。
【
図3G】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明する工程断面図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の構成の他の例を示す断面図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の構成の他の例を示す断面図である。
【
図6A】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の構成の他の例を示す断面図である。
【
図6B】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の構成の他の例を示す断面図である。
【
図7】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の構成の他の例を示す断面図である。
【
図8】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の構成の他の例を示す断面図である。
【
図9】本開示の第1実施形態に係る固体撮像素子の構成の他の例を示す断面図である。
【
図10】本開示の第2実施形態に係る固体撮像素子のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図11】本開示の第2実施形態に係る固体撮像素子のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図12】本開示の第2実施形態に係る固体撮像素子のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図13】本開示の第3実施形態に係る固体撮像素子の構成の一例を示す断面図である。
【
図14A】本開示の第4実施形態に係る固体撮像素子のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図14B】本開示の第4実施形態に係る固体撮像素子の構成の一例を示す断面図である。
【
図14C】本開示の第4実施形態に係る固体撮像素子の構成の一例を示す断面図である。
【
図15A】本開示の第5実施形態に係る固体撮像素子のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図15B】本開示の第5実施形態に係る固体撮像素子の構成の一例を示す断面図である。
【
図15C】本開示の第5実施形態に係る固体撮像素子の構成の一例を示す断面図である。
【
図16】本開示の第6実施形態に係る固体撮像素子のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図17】本開示の第6実施形態に係る固体撮像素子のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図18】本開示の第7実施形態に係る電子機器の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施形態に係る光学素子、光学素子アレイ、電子機器、及び光学素子の製造方法の一例を、
図1~
図18を参照しながら説明する。本開示の実施形態は以下の順序で説明する。なお、本開示は以下の例に限定されるものではない。また、本明細書に記載された効果は例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0010】
1.第1実施形態:固体撮像装置
(1.1)固体撮像装置の全体構成
(1.2)固体撮像素子の構成
(1.3)固体撮像素子の製造方法
(1.4)変形例
2.第2実施形態:固体撮像素子
(2.1)固体撮像素子200の第1の例
(2.2)固体撮像素子200の第2の例
(2.3)固体撮像素子200の第3の例
3.第3実施形態:固体撮像素子
(3.1)固体撮像素子の構成
4.第4実施形態:固体撮像素子
(4.1)固体撮像素子の構成
5.第5実施形態:固体撮像素子
(5.1)固体撮像素子の構成
6.第6実施形態:固体撮像素子
(6.1)固体撮像素子の構成
(6.1.1)固体撮像素子600の第1の例
(6.1.2)固体撮像素子600の第2の例
7.第7実施形態:電子機器
【0011】
1.第1実施形態:固体撮像装置
(1.1)固体撮像装置の全体構成
本開示の第1実施形態に係る固体撮像装置1について説明する。
図1は、本開示の第1実施形態に係る固体撮像装置1の全体を示す概略構成図である。
【0012】
図1に示す固体撮像装置1は、裏面照射型のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。
図18に示すように、固体撮像装置1は、光学レンズ1002を介して被写体からの像光(入射光1006)を取り込み、撮像面上に結像された入射光1006の光量を、信号処理回路1005において画素単位で電気信号に変換して映像信号(画素信号)として出力する。
図1に示すように、第1実施形態の固体撮像装置1は、基板2と、画素領域3と、垂直駆動回路4と、カラム信号処理回路5と、水平駆動回路6と、出力回路7と、制御回路8とを備えている。
【0013】
画素領域3は、基板2上に、2次元アレイ状に規則的に配列された複数の画素9を有している。画素9は、
図2Bに示した光電変換部23と、複数の画素トランジスタ(不図示)とを有している。複数の画素トランジスタとしては、例えば、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、選択トランジスタ、アンプトランジスタの4つのトランジスタを採用できる。また、例えば、選択トランジスタを除いた3つのトランジスタを採用してもよい。
【0014】
垂直駆動回路4は、例えば、シフトレジスタによって構成され、所望の画素駆動配線L1を選択し、選択した画素駆動配線L1に画素9を駆動するためのパルスを供給し、各画素9を行単位で駆動する。即ち、垂直駆動回路4は、画素領域3の各画素9を行単位で順次垂直方向に選択走査し、各画素9の光電変換部23において受光量に応じて生成した信号電荷に基づく画素信号を、垂直信号線L2を通してカラム信号処理回路5に供給する。
【0015】
カラム信号処理回路5は、例えば、画素9の列毎に配置されており、1行分の画素9から出力される信号に対して画素列毎にノイズ除去等の信号処理を行う。例えばカラム信号処理回路5は画素固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)及びAD(Analog Digital)変換等の信号処理を行う。
水平駆動回路6は、例えば、シフトレジスタによって構成され、水平走査パルスをカラム信号処理回路5に順次出して、カラム信号処理回路5の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路5の各々から、信号処理が行われた画素信号を水平信号線L3に出力させる。
【0016】
出力回路7は、カラム信号処理回路5の各々から水平信号線L3を通して、順次に供給される画素信号に対し信号処理を行って出力する。信号処理としては、例えば、バファリング、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理等を用いることができる。
制御回路8は、垂直同期信号、水平同期信号、及びマスタクロック信号に基づいて、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、及び水平駆動回路6等の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路8は、生成したクロック信号や制御信号を、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、及び水平駆動回路6等に出力する。
【0017】
(1.2)固体撮像素子の構成
次に、
図1の固体撮像装置1の詳細構造について
図2A及び
図2Bを参照して説明する。
図2Aは、固体撮像装置1の画素領域3における固体撮像素子100のレイアウトの一例を示す平面図である。
図2Bは、
図2Aに示すA-A’断面における固体撮像素子100の画素9の断面図である。
図2A及び
図2Bに示す固体撮像素子100を有する固体撮像装置1は、裏面照射型のCMOSイメージセンサ(CMOS型固体撮像装置)である。
【0018】
図2Aに示すように、固体撮像素子100は、基板2上に複数の画素9(9a,9b等)が2次元的に配列されている。固体撮像素子100は、転送トランジスタTtr、リセットトランジスタTrs、増幅トランジスタTam及びセレクトトランジスタTslを備えている。
転送トランジスタTtrは、光電変換素子22から電荷を読み出し、電荷をフローティングディフュージョン41に転送するトランジスタである。リセットトランジスタTrsは、フローティングディフュージョン41の電位を電源電圧にリセットするトランジスタである。増幅トランジスタTamは、フローティングディフュージョン41の電位をゲートで受けて、ソースフォロアで垂直信号線(VSL:Vertical Signal Line)に出力するトランジスタである。セレクトトランジスタTslは、読み出す行の増幅トランジスタTamと垂直信号線とを接続し、読み出さない行の増幅トランジスタTamと垂直信号線との接続を解除するトランジスタである。
【0019】
図2A及び
図2Bに示すように、固体撮像素子100は、入射された光を光電変換する光電変換素子(PD:Photo Diode)22を含む画素9(9a,9b等)間が完全貫通型素子分離(FFTI:Front Full Trench Isolation)11で分離された構造である。固体撮像素子100は、固体撮像素子100のトランジスタ形成面である第1主面(
図2B中の上側の面)と反対側の第2主面(
図2B中の下側の面)側から光電変換素子22に光が入射する。以下、第1主面を上面、第2主面を下面と称する場合がある。
【0020】
図2Bに示すように、固体撮像素子100は、基板2、FFTI11、埋込導体部12、絶縁部13、ウェル層21、光電変換素子22を含む。また、固体撮像素子100は、ゲート絶縁膜31、ゲート電極32,33,34及び35、並びにフローティングディフュージョン41及び高濃度不純物拡散層42を含む。なお、
図2A及び
図2Bには、埋込導体部12と電気的に接続されるGNDコンタクト50も併せて示している。基板2の下面側には、カラーフィルタ層及びウエハレンズ(不図示)がこの順に積層された集光層が形成されている。さらに、基板2のトランジスタ形成側面(上面)には、配線層及びロジック基板(不図示)がこの順に積層されている。
【0021】
(基板)
基板2は、例えば、シリコン(Si)により形成される。基板2上には、複数の画素9が配列された画素領域3が形成されている。画素領域3には、
図2Bに示すように、基板2には、光電変換素子22を含む画素9が複数形成されて、二次元マトリクス状に配置されている。
【0022】
(完全貫通型素子分離)
完全貫通型素子分離(FFTI)11は、基板2のトランジスタ形成側面(上面)から下面まで貫通し、各画素9を完全に分離するように形成される。FFTI11は、平面視で画素9を取り囲んで設けられており、FFTI11により、各画素9は、隣接する画素9と電気的に分離されている。FFTI11は、基板2に形成されたトレンチに、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜等の素子分離膜が埋め込まれた構造を有する。また、FFTI11は、トレンチの内壁を覆うように形成された素子分離膜と、素子分離膜が形成されたトレンチ内に埋め込まれたシリコン等の半導体膜との2層構造であってもよい。
【0023】
(埋込導体部)
埋込導体部12は、基板2(高濃度不純物拡散層42)へのGNDコンタクト用のコンタクト電極として機能する。埋込導体部12は、基板2の上面に形成されたトレンチ内に埋め込まれえている。埋込導体部12は、FFTI11を底面とする基板2の上部に設けられたトレンチの全部が導体膜で埋め込まれて形成されている。
上述したように、固体撮像素子100では、各画素9がFFTI11によって電気的に分離されている。このため、固体撮像素子100では、分離された個々の画素9がウェル層21の電位(基準電位)コンタクトを有する必要がある。固体撮像素子100では、FFTI11のトランジスタ形成面側の一部を活性領域として埋込導体部12とし、コンタクト電極として機能させる。このように、埋込導体部12をFFTI11の上方に密接して配置することにより、コンタクト電極を形成することによる固体撮像素子100の平面視での面積の増大を抑制することができ、固体撮像素子100の小面積化を図ることができる。
【0024】
本実施形態において、埋込導体部12は、
図2Aに示すように画素9同士の境界の全てに設けられる。また、GNDコンタクト50は、画素9同士の境界に設けられた埋込導体部12の一部と接続するように設けられる。
埋込導体部12は、断面視でFFTI11の上方(トランジスタ形成面側)に形成されている。埋込導体部12は、絶縁部13よりも深く形成されることにより、絶縁部13よりも深い領域においてウェル層21と密接して配置される。これにより、埋込導体部12はウェル層21とオーミック接合されて電気的に接続される。
図2A及び
図2Bに示すように、埋込導体部12は、画素9間に設けられたFFTI11の上方に密接して設けられ、隣接する2つの画素9間でGNDコンタクト用のコンタクト電極として共用される。
【0025】
埋込導体部12は、導体膜によって形成される。導体膜としては、P型又はN型の不純物がドープされたシリコン又は他の半導体材料、もしくは金属が用いられることが好ましい。シリコンとしては、例えば多結晶シリコン、アモルファスシリコン、エピタキシャル成長させたシリコン等が好ましい。
【0026】
(絶縁部)
絶縁部13は、埋込導体部12は、基板2の上面(トランジスタ形成側面)において、埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42との間に設けられる絶縁層である。埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42との間に絶縁部13が設けられることにより、埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42とが密着して埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42との間で強電界が発生することを抑制する。
【0027】
絶縁部13は、STI(Shallow Trench Isolation)又は絶縁膜によって形成される。STIとしては、一般的に用いられる材料であればよく、例えば酸化シリコンが用いられる。絶縁膜としては、酸化膜が用いられることが好ましく、特にシリコン酸化膜が用いられることが好ましい。絶縁部13は、基板2の上面(トランジスタ形成側面)に形成したトレンチ内に、絶縁膜として例えば酸化膜を埋め込むことによって形成される。
【0028】
このような絶縁部13が設けられることにより、埋込導体部12と、後述する高濃度不純物拡散層42とが密着せず、埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42との間の距離が大きくなる。このため、埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42との間に強電界が発生しにくくなり、固体撮像素子100の出力の安定性が向上する。
また、このような絶縁部13が設けられることにより、埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42が縦方向(基板2の深さ方向)に対して離間する。このため、固体撮像素子100の平面視での大きさを増大させることなく、埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42との間に強電界の発生を抑制し、固体撮像素子100の小面積化と出力の安定性の向上とを両立することができる。絶縁部13及び埋込導体部12の深さを深く形成する程、埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42の縦方向の距離が大きくなる。このため、例えば固体撮像素子100に流す電流の大きさ等に応じた深さの絶縁部13及び埋込導体部12を形成して、強電界の発生を抑制することができる。
【0029】
(ウェル層)
ウェル層21は、P型(第一導電型の一例)の不純物が低濃度で拡散されたP型領域である。ウェル層21は、後述する高濃度不純物拡散層42よりも深い領域に形成されている。ウェル層21は、絶縁部13よりも深い領域において導体部12と密接して配置されている。ウェル層21は、後述するように、光電変換素子22との間にPN接合を形成する。
【0030】
(光電変換素子)
光電変換素子22は、入射光を受光量に応じた量の電荷へ変換して蓄積するフォトダイオードである。光電変換素子22は、基板の下面において光電変換素子22に対して配置されたレンズ及びカラーフィルタを介して入射された、カラーフィルタの色に対応する光を受光する。画素9のそれぞれに設けられた光電変換素子22は、FFTI11によって分離されている。
【0031】
光電変換素子22は、各画素9内において、P型領域であるウェル層21で囲まれる領域に形成された領域である。光電変換素子22は、ウェル層21に拡散された不純物とは異なるN型(第二導電型の一例)の不純物が低濃度で拡散されたN型領域である。これにより、光電変換素子22は、ウェル層21との間にPN接合が形成されて、光電変換機能を有することとなる。
光電変換素子22は、転送トランジスタTtrのソース領域として機能する。
【0032】
(ゲート絶縁膜)
ゲート絶縁膜31は、光電変換素子22とフローティングディフュージョン41との間、及びフローティングディフュージョン41と高濃度不純物拡散層42との間に形成された絶縁膜である。ゲート絶縁膜31は、例えばシリコン酸化膜である。
【0033】
(ゲート電極)
ゲート電極32,33,34及び35は、それぞれ、転送トランジスタTtr、リセットトランジスタTrs、増幅トランジスタTam及びセレクトトランジスタTslのゲート電極である。
図2Bに示すように、ゲート電極32,33,34及び35は、多結晶シリコン膜等の導電膜により形成される。特に、ゲート電極32は、ウェル層21に対して光電変換素子22近傍まで伸びるように形成されたトレンチ内に形成されている。ゲート電極32は、表面にゲート絶縁膜31が設けられたトレンチ内に導電膜を埋め込むことによって形成される。
【0034】
(フローティングディフュージョン)
フローティングディフュージョン41は、基板2のトランジスタ形成側(上側)の表面に形成され、転送トランジスタTtrによって読み出された電荷を一時的に保持する領域である。フローティングディフュージョン41は、基板2の上面のトランジスタ形成領域に例えばN型(第二導電型の一例)の不純物が高濃度で拡散された領域である。フローティングディフュージョン41は、ウェル層21のうち転送トランジスタTtrのチャネル領域とリセットトランジスタTrsのチャネル領域との境界を含む領域に形成される。
フローティングディフュージョン41は、転送トランジスタTtrの駆動時にはドレイン領域として機能し、リセットトランジスタTrsの駆動時にはソース領域として機能する。
【0035】
(高濃度不純物拡散層)
高濃度不純物拡散層42は、基板2のトランジスタ形成面(上面)側に形成され、例えばN型(第二導電型の一例)の不純物が高濃度で拡散された領域である。高濃度不純物拡散層42は、絶縁部13よりも浅く形成される。高濃度不純物拡散層42は、リセットトランジスタTrsのドレイン領域として機能する。
【0036】
以上説明した第1実施形態に係る固体撮像素子100では、固体撮像素子100の平面視での大きさを増大させることなく、埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42との間に強電界の発生を抑制し、固体撮像素子100の小面積化と出力の安定性の向上とを両立することができる。
【0037】
(1.3)固体撮像素子の製造方法
図3Aから
図3Gを参照して、第1実施形態に係る固体撮像素子100の製造方法について説明する。
図3Aから
図3Gは、固体撮像素子100の製造方法を示す工程断面図である。
図3Aから
図3Gでは、画素9(単位画素)の工程断面図を示している。
【0038】
図3Aに示すように、基板2のトランジスタ形成面(
図3A中の上面)となる第1主面にトレンチを形成し、絶縁材料を埋め込むことにより、STI13Aを形成する。
続いて、
図3Bに示すように、基板2の第1主面から基板2の反対側面(
図3B中の下面)である第2主面に貫通するトレンチを形成した後、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜等の素子分離膜11’を埋め込む。このとき、トレンチは、STIを貫通するように形成される。
【0039】
続いて、
図3Cに示すように、トレンチに埋め込んだ素子分離膜11’の第1主面の一部を除去して、トレンチを形成する。これにより、素子分離膜11’によりFFTI11が形成される。なお、素子分離膜11’の第1主面の一部を除去する前に、基板2の第1主面にエッチングストッパ膜を形成しても良い。
図3Dに示すように、形成されたトレンチと基板2の第1主面とを覆うように、例えば不純物がドープされたポリシリコン等の半導体膜12’を形成する。半導体膜12’は、例えば化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法等により形成される。
【0040】
図3Eに示すように、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により、基板2の第1主面に堆積した半導体膜12’を平坦化する。これにより、埋込導体部12が形成される。
図3Fに示すように、FFTI11で分離された画素9内に、半導体素子を形成する。まず、基板2にP型不純物をイオン注入することにより、P型領域であるウェル層21を形成する。また、ウェル層21に囲まれた領域にN型不純物をイオン注入することにより、N型領域である光電変換素子22を形成する。ウェル層21と光電変換素子22との間には、PN接合が形成される。次に、基板2を熱酸化処理することにより、基板2の上面から光電変換素子22の上面近傍まで伸びるトレンチを形成する。このあと、基板2の上面及びトレンチの表面を被覆するゲート絶縁膜31を形成する。続いて、ゲート絶縁膜31が設けられたトレンチ内に導電膜を埋め込むとともに、基板2上面に導電膜を形成する。この後、リソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて導電膜の一部を除去し、転送トランジスタTtrのゲート電極32と、リセットトランジスタTrsのゲート電極33とを形成する。最後に、基板2の上面の所定の領域にN型不純物をイオン注入したあと熱処理によりイオン注入領域を活性化させる。これにより、フローティングディフュージョン41及び高濃度不純物拡散層42とが形成される。
【0041】
図3Gに示すように、各トランジスタを形成した基板2の上面を覆うように層間絶縁膜を形成した後、層間絶縁膜を貫通して埋込導体部12に通じるコンタクトホールを形成する。最後に、コンタクトホール内に導電性材料を埋め込むことにより、GNDコンタクト50を形成する。
図3Gでは、層間絶縁膜を図示せず、GNDコンタクト50のみを示している。
【0042】
(1.4)変形例
以下、固体撮像素子100の7つの例である固体撮像素子100A、100B、100C、100D、100E、100F及び100Gについて、
図4から
図9を参照して説明する。固体撮像素子100A~100Gは、埋込導体部12に代えて、埋込導体部12A~12Gをそれぞれ備える点で第1実施形態に係る固体撮像素子100と相違する。
【0043】
なお、固体撮像素子100A~100Gうち、第1実施形態に係る固体撮像素子100と同様の機能を有する部分は、詳細な説明及び
図4から
図9への図示を省略する。すなわち、固体撮像素子100A~100Gの画素9内に形成されるFFTI11、絶縁部13、ウェル層21、光電変換素子22、ゲート絶縁膜31、ゲート電極32,33,34及び35、並びにフローティングディフュージョン41及び高濃度不純物拡散層42については、詳細な説明を省略する。
【0044】
(1.4.1)第1変形例
図4は、固体撮像素子100の変形例の一例である固体撮像素子100Aの画素9の断面図である。
図4は、第1実施形態における
図2Bに対応する断面図である。
図4に示すように、固体撮像素子100Aの埋込導体部12Aは、FFTI11を底面とする基板2の上部に設けられたトレンチの表面に形成された導体膜である。埋込導体部12Aは、ウェル層21と密着している部分があればよい。すなわち、埋込導体部12Aは、トレンチの一部が導体材料によって埋め込まれている(導体材料がトレンチを完全に埋め込んでいない)形状であってもよい。
【0045】
図9に示すように、埋込導体部12Bは、基板2の上側の表面に形成されたトレンチの表面に形成された導電膜であり、トレンチ内には導電膜で側方及び下方を囲まれた空気層が存在する。埋込導体部12Bは、トレンチ内に純ポリシリコン又は酸化膜が埋め込まれた構成であっても良い。
【0046】
(1.4.2)第2変形例
図5は、固体撮像素子100の変形例の一例である固体撮像素子100Bの画素9の断面図である。
図5は、第1実施形態における
図2Bに対応する断面図である。
図5に示すように、固体撮像素子100Bの埋込導体部12Bは、FFTI11を底面とする基板2の上部に設けられたトレンチの表面に形成された導体膜である。埋込導体部12Bは、ウェル層21と密着している部分があればよい。すなわち、埋込導体部12Aは、トレンチの一部が導体材料によって埋め込まれている(導体材料がトレンチを完全に埋め込んでいない)形状であってもよい。すなわち、埋込導体部12A、12Bは、導体材料がトレンチを完全に埋め込んでいない形状であってもよい。
【0047】
図5に示すように、埋込導体部12Bは、基板2の上側の表面に形成されたトレンチの表面に形成された導電膜であり、トレンチ内には導電膜で側方及び下方を囲まれた空気層が存在する。埋込導体部12Bは、トレンチ内に純ポリシリコン又は酸化膜が埋め込まれた構成であっても良い。
【0048】
(1.4.3)第3変形例
図6A及び
図6Bは、固体撮像素子100の変形例の一例である固体撮像素子100Cの画素9の断面図である。
図6A及び
図6Bは、第1実施形態における
図2Bに対応する断面図である。
図6A及び
図6Bに示すように、固体撮像素子100Cの埋込導体部12C,12Dは、FFTI11を底面とする基板2の上面近傍に形成されたトレンチ内に埋め込まれている。埋込導体部12C,12Dは、断面視で逆テーパ形状又はテーパ形状を有する。ここで、
図6Aは、埋込導体部12Cが埋込導体部12Cの下面から上面に向けて幅が細くなるテーパ形状である場合の構成を例示している。
図6Bは、埋込導体部12Dが埋込導体部12Cの上面から下面に向けて幅が細くなるテーパ形状である場合の構成を例示している。
【0049】
埋込導体部12C,12Dを形成するために、まず、基板2の上面に形成されたSTIを貫通するようにFFTI11及び埋込導体部12C,12Dを形成するためのトレンチを形成し、トレンチ内に絶縁膜を埋め込んでFFTI11を形成する。続いて、トレンチ内のFFTI11の上部に導体膜を埋め込むことにより、埋込導体部12C,12Dを形成する。埋込導体部12C,12Dの形成時におけるエッチング等のプロセスによっては、トレンチの形状がテーパ形状となる場合があり、埋込導体部12C,12Dの断面形状もテーパ形状となる。
【0050】
(1.4.4)第4変形例
図7は、固体撮像素子100の変形例の一例である固体撮像素子100Dの画素9の断面図である。
図7は、第1実施形態における
図2Bに対応する断面図である。
図7に示すように、固体撮像素子100Dの埋込導体部12E及び絶縁部13Eは、それぞれ断面視で下面から上面に向けて幅が細くなるテーパ形状を有する。
【0051】
埋込導体部12Eを形成するために、まず、基板2の上面に例えばトレンチを形成して絶縁部13となるSTIを形成する。続いて、FFTI11及び埋込導体部12Eを形成するためのトレンチをSTIを貫通するように形成し、トレンチ内に絶縁膜を埋め込んでFFTI11を形成する。最後に、トレンチ内のFFTI11の上部に導体膜を埋め込むことにより、埋込導体部12Eを形成する。埋込導体部12Eの形成時におけるエッチング等のプロセスによっては、絶縁部13を形成する際に形成されるトレンチの形状及び埋込導体部12Eを形成する際に形成されるトレンチの形状がいずれもテーパ形状となる場合がある。このような場合、絶縁部13及び埋込導体部12Eの断面形状も同様にテーパ形状となる。
【0052】
(1.4.5)第5変形例
図8は、固体撮像素子100の変形例の一例である固体撮像素子100Eの画素9の断面図である。
図8は、第1実施形態における
図2Bに対応する断面図である。
図8に示すように、固体撮像素子100Eの埋込導体部12Fは、FFTI11を底面とする基板2の上面近傍に形成されたトレンチ内に埋め込まれている。埋込導体部12Fは、断面視で基板2の上面に向かって径が徐々に大きくなる円柱が複数段積層された形状を有する。
埋込導体部12Fを形成するために、まず、基板2の上面に形成されたSTIを貫通するようにFFTI11及び埋込導体部12Fを形成するためのトレンチを形成し、トレンチ内に絶縁膜を埋め込んでFFTI11を形成する。続いて、トレンチ内のFFTI11の上部に導体膜を埋め込むことにより、埋込導体部12Fを形成する。
このとき、FFTI11及び埋込導体部12Fを形成するためのトレンチを複数回のエッチングによって形成することで、トレンチの形状が円柱が複数段積層された形状となる場合がある。この場合、埋込導体部12Fの断面形状も円柱が複数段積層された形状となる。
【0053】
(1.4.6)第6変形例
図9は、固体撮像素子100の変形例の一例である固体撮像素子100Fの画素9の断面図である。
図9は、第1実施形態における
図2Bに対応する断面図である。
図9に示すように、固体撮像素子100Fの埋込導体部12Gは、FFTI11を底面とする基板2の上面近傍に形成されたトレンチ内に埋め込まれている。埋込導体部12Gは、断面視でFFTI11よりも広い幅を有している。
埋込導体部12Gの形成時におけるエッチング等のプロセスによっては、埋込導体部12G形成部分のトレンチの幅がFFTI11形成部分のトレンチの幅よりも広くなる場合がある。このような場合、埋込導体部12Gは、断面視でFFTI11よりも広い幅を有することとなる。
【0054】
<第1実施形態の効果>
本実施形態に係る固体撮像装置1及び固体撮像素子100、並びに固体撮像素子100A~100Gでは、以下の効果を奏する。
(1)固体撮像素子100では、各画素9を分離する完全貫通型素子分離(FFTI)11の上方に密接して、コンタクト電極として機能する埋込導体部12を設ける。これにより、固体撮像素子100の画素9内にコンタクト電極を設ける必要がなく、各画素9の平面視での面積の増大を抑制することができるため、固体撮像素子100の小面積化を図ることができる。
【0055】
(2)固体撮像素子100では、平面視において埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42との間に絶縁部13が設けられている。これにより、固体撮像素子100では、埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42とが互いに密着せず、埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42との間の距離が大きくなる。このため、埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42との間に強電界が発生しにくくなり、固体撮像素子100の出力の安定性が向上する。
【0056】
(3)固体撮像素子100では、断面視において、絶縁部13よりも深く形成された埋込導体部12と、基板2のトランジスタ形成面の表面近傍に絶縁部13よりも浅く形成された高濃度不純物拡散層42との間に絶縁部13が設けられている。これにより、埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42が縦方向(基板2の深さ方向)に離間する。このため、固体撮像素子100の平面視での大きさを増大させることなく、埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42との間に強電界の発生を抑制し、固体撮像素子100の小面積化と出力の安定性の向上とを両立することができる。
【0057】
2.第2実施形態:固体撮像素子
本開示の第2実施形態に係る固体撮像素子200について説明する。固体撮像素子200は、第1実施形態において説明した固体撮像装置1の固体撮像素子100に代えて使用可能な固体撮像素子である。
第2実施形態では、固体撮像素子200の3つの例である固体撮像素子200A、200B及び200Cについて、
図10から
図12を参照して説明する。なお、固体撮像素子200のうち、第1実施形態に係る固体撮像素子100と同様の機能を有する部分は、詳細な説明及び
図10から
図12への図示を省略する。すなわち、固体撮像素子200Aの画素9内に形成されるウェル層21、光電変換素子22、ゲート絶縁膜31、ゲート電極32,33,34及び35、並びにフローティングディフュージョン41及び高濃度不純物拡散層42については、詳細な説明を省略する。
【0058】
(2.1)固体撮像素子200の第1の例
図10は、固体撮像素子200の一例である固体撮像素子200Aのレイアウトの一例を示す平面図である。
図10に示すように、固体撮像素子200Aは、埋込導体部12が、画素9同士の境界に設けられたFFTI11の一部の面に密接して設けられている点で、第1実施形態に係る固体撮像素子100と相違する。
以下、FFTI11及び埋込導体部12の配置、並びにGNDコンタクト50の接続について説明する。
【0059】
図10に示すように、固体撮像素子200AのFFTI11は、画素9同士の境界の全てに設けられている。また、固体撮像素子200Aの埋込導体部12は、各画素9同士の境界の一部、特に2×2で配置された4つの画素9のうち、隣接する画素9同士を分離する4つのFFTI11が交差する部分(4つの画素9の中心部分)にのみ設けられている。すなわち、固体撮像素子200Aの埋込導体部12は、一つの画素9の四隅に設けられている。
【0060】
4つのFFTI11が交差する部分において、FFTI11の上方(
図10における手前側)に隣接して埋込導体部12が設けられている。埋込導体部12は、絶縁部13よりも深く形成されることにより、ウェル層21と密接して配置される。
一方、4つのFFTI11が交差する部分以外の部分において、FFTI11の上方(
図10における手前側)には埋込導体部12が設けられておらず、基板2のトランジスタ形成側面(
図10における手前側面)から下面(
図10における奥側面)まで貫通するFFTI11が設けられている。
【0061】
埋込導体部12がFFTI11の一部の上方(一つの画素9の四隅)に設けられる場合、埋込導体部12は、半導体材料の埋め込み後に、埋め込んだ半導体材料の上部を除去し、例えば酸化シリコン等の絶縁体で上部を覆って封止しても良い。
【0062】
埋込導体部12は、隣接する4つの画素9間でGNDコンタクト用のコンタクト電極として共用される。画素9は、それぞれの四隅に4つのコンタクト電極を有することとなる。このため、固体撮像素子200Aでは、いずれかの埋込導体部12がコンタクト電極として機能しなくなった場合であっても、他の埋込導体部12がコンタクト電極として機能し、固体撮像素子200Aを有する固体撮像装置1の品質が向上する。
【0063】
(2.2)固体撮像素子200の第2の例
図11は、固体撮像素子200の一例である固体撮像素子200Bのレイアウトの一例を示す平面図である。
図11に示すように、固体撮像素子200Bは、埋込導体部12が、画素9同士の境界に設けられたFFTI11の一部の面に密接して設けられている点で、第1実施形態に係る固体撮像素子100と相違する。また、固体撮像素子200Bは、形成された埋込導体部12のうちの一部に対してGNDコンタクト50が接続されて、埋込導体部12の一部のみがコンタクト電極として機能する点で、固体撮像素子200Aと相違する。
以下、FFTI11及び埋込導体部12の配置、並びにGNDコンタクト50の接続について説明する。
【0064】
図11に示すように、固体撮像素子200BのFFTI11は、画素9同士の境界の全てに設けられている。また、固体撮像素子200Bの埋込導体部12は、各画素9同士の境界の一部、特に2×2で配置された4つの画素9のうち、隣接する画素9同士を分離する4つのFFTI11が交差する部分(4つの画素9の中心部分)にのみ設けられている。すなわち、固体撮像素子200Bの埋込導体部12は、一つの画素9の四隅に設けられている。
【0065】
4つのFFTI11が交差する部分において、FFTI11の上方(
図11における手前側)には、絶縁部13よりも深く、かつウェル層21と接触するように形成された埋込導体部12が設けられている。GNDコンタクト50は、4つのFFTI11が交差する部分に設けられた埋込導体部12のうちの一部と接続される。GNDコンタクト50は、隣接した画素9と電気的に接続できればよい。このため、例えば
図11に示すように、一つの画素9において、対角の位置に設けられた一対の埋込導体部12に対してGNDコンタクト50が接続されていればよい。
【0066】
上述したように配置された埋込導体部12は、隣接する4つの画素9間でGNDコンタクト用のコンタクト電極として共用される。画素9は、それぞれの二隅に2つのコンタクト電極を有することとなる。このため、固体撮像素子200Bでは、一つの埋込導体部12がコンタクト電極として機能しなくなった場合であっても、他の埋込導体部12がコンタクト電極として機能し、固体撮像素子200Bを有する固体撮像装置1の品質が向上する。
【0067】
(2.3)固体撮像素子200の第3の例
図12は、固体撮像素子200の一例である固体撮像素子200Cのレイアウトの一例を示す平面図である。
図12に示すように、固体撮像素子200Cは、埋込導体部12が、画素9同士の境界に設けられたFFTI11の一部の面に密接して設けられている点で、第1実施形態に係る固体撮像素子100と相違する。また、固体撮像素子200Cは、一つの画素9の対角の位置(二隅)のみに埋込導体部12が設けられている点で、固体撮像素子200Aと相違する。
以下、FFTI11及び埋込導体部12の配置、並びにGNDコンタクト50の接続について説明する。
【0068】
図12に示すように、固体撮像素子200CのFFTI11は、画素9同士の境界の全てに設けられている。また、固体撮像素子200Cの埋込導体部12は、各画素9同士の境界の一部に設けられている。埋込導体部12は、一つの画素9の一対の対角上の位置に設けられている。
【0069】
一つの画素9の対角の位置において、FFTI11の上方(
図12における手前側)には、絶縁部13よりも深く、かつウェル層21と接触するように形成された埋込導体部12が設けられている。GNDコンタクト50は、画素9の対角に設けられた埋込導体部12のそれぞれと接続される。
【0070】
上述したように配置された埋込導体部12は、隣接する4つの画素9間でGNDコンタクト用のコンタクト電極として共用される。画素9は、それぞれの二隅に2つのコンタクト電極を有することとなる。このため、固体撮像素子200Cでは、一つの埋込導体部12がコンタクト電極として機能しなくなった場合であっても、他の埋込導体部12がコンタクト電極として機能し、固体撮像素子200Cを有する固体撮像装置1の品質が向上する。
また、固体撮像素子200Cのように、GNDコンタクト50を配置しない部分には埋込導体部12を設けないことにより、固体撮像素子200Cの特性や、固体撮像素子200C製造時における歩留まりが高くなる。
【0071】
なお、固体撮像素子200は、埋込導体部12に代えて、第1実施形態の変形例の埋込導体部12A~12Gのいずれかを有していても良い。
【0072】
<第2実施形態の効果>
本実施形態に係る固体撮像素子200では、第1実施形態に記載の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(4)固体撮像素子200では、各画素9の角部にコンタクト電極として機能する埋込導体部12が設けられている。これにより、埋込導体部12は、隣接する4つの画素9間でGNDコンタクト用のコンタクト電極として共用され、いずれかの埋込導体部12がコンタクト電極として機能しなくなった場合であっても他の埋込導体部12がコンタクト電極として機能する。このため、固体撮像素子200Aを有する固体撮像装置1の品質が向上する。
【0073】
(5)固体撮像素子200では、各画素9の対角の角部(二隅)のみに埋込導体部12が設けられている。これにより、各画素9の四隅に埋込導体部12が設けられた場合と比較して、固体撮像素子200Cの特性や固体撮像素子200C製造時における歩留まりが向上する。
【0074】
3.第3実施形態:固体撮像素子
本開示の第3実施形態に係る固体撮像素子300について説明する。固体撮像素子300は、第1実施形態において説明した固体撮像装置1の固体撮像素子100に代えて使用可能な固体撮像素子である。
【0075】
(3.1)固体撮像素子の構成
第3実施形態では、固体撮像素子300について
図13を参照して説明する。なお、固体撮像素子300のうち、第1実施形態に係る固体撮像素子100と同様の機能を有する部分は、詳細な説明及び
図13への図示を省略する。すなわち、固体撮像素子300の画素9内に形成されるウェル層21、光電変換素子22、ゲート絶縁膜31、ゲート電極32,33,34及び35、並びにフローティングディフュージョン41及び高濃度不純物拡散層42については、詳細な説明及び図示を省略する。
【0076】
図13は、固体撮像素子300の画素9の断面図である。
図13は、第1実施形態における
図2Bに対応する断面図である。固体撮像素子300は、絶縁部13に代えて、絶縁部313を備える点で第1実施形態に係る固体撮像素子100と相違する。
図13に示すように、絶縁部313は、埋込導体部12と高濃度不純物拡散層42との間に設けられたトレンチの表面を覆う絶縁膜と、トレンチ内に埋め込まれた純ポリシリコン又は酸化物との二層構造となっている。また、絶縁部313は、純ポリシリコン又は酸化物に代えて空気層(エアギャップ)が設けられていても良い。すなわち、絶縁部313は、少なくとも表面が絶縁材料で形成されていればよい。
このような絶縁部313を設けることにより、絶縁部13と比較して絶縁部313の幅を狭くすることができ、画素の微細化に有効である。
【0077】
なお、固体撮像素子300は、埋込導体部12に代えて、第1実施形態の変形例の埋込導体部12A~12Gのいずれかを有していても良い。
【0078】
<第3実施形態の効果>
本実施形態に係る固体撮像素子300では、第1実施形態に記載の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(6)固体撮像素子300では、絶縁部313が、トレンチ表面に形成された絶縁膜と、絶縁膜が形成されたトレンチ内に埋め込まれた純ポリシリコン又は酸化膜、もしくは空気層との二層構造とされている。これにより、絶縁部313の幅をより狭く形成することができ、固体撮像素子300の小面積化にさらに有効となる。
【0079】
4.第4実施形態:固体撮像素子
本開示の第4実施形態に係る固体撮像素子400について説明する。固体撮像素子400は、第1実施形態において説明した固体撮像装置1の固体撮像素子100に代えて使用可能な固体撮像素子である。
【0080】
(4.1)固体撮像素子の構成
第4実施形態では、固体撮像素子400について、
図14Aから
図14Cを参照して説明する。固体撮像素子400は、埋込導体部12に代えて画素9間接続用の埋込導体部412を備える点で第1実施形態に係る固体撮像素子100と相違する。また、固体撮像素子400は、絶縁部414を備える点で第1実施形態に係る固体撮像素子100と相違する。さらに、固体撮像素子400は、コンタクト電極460及び埋込導体部43と、が設けられる点で第1実施形態に係る固体撮像素子100と相違する。
【0081】
なお、固体撮像素子400のうち、第1実施形態に係る固体撮像素子100と同様の機能を有する部分は、詳細な説明及び
図14Aから
図14Cへの図示を省略する。すなわち、固体撮像素子400の画素9内に形成されるFFTI11、絶縁部13、ウェル層21、光電変換素子22、ゲート絶縁膜31、ゲート電極32,33,34及び35、並びにフローティングディフュージョン41及び高濃度不純物拡散層42については、詳細な説明を省略する。
【0082】
図14Aは、固体撮像素子400のレイアウトの一例を示す平面図である。
図14Bは、
図14Aに示すB-B’断面における固体撮像素子400の画素9の断面図である。
図14Bは、転送トランジスタTtr及びリセットトランジスタTrsを含む部分における断面図である。
図14Cは、
図14Aに示すC-C’断面における固体撮像素子400の画素9の断面図である。
図14Cは、増幅トランジスタTam及びセレクトトランジスタTslを含む部分における断面図である。
【0083】
図14Aに示すように、固体撮像素子400は、画素9内にコンタクト電極460を有している。また、
図14B及び
図14Cに示すように、固体撮像素子400は、FFTI11の上部に設けられた埋込導体部412と、埋込導体部412の上部に設けられた絶縁部414とを有している。
【0084】
埋込導体部412は、FFTI11と絶縁部414との間に設けられる。埋込導体部412は、基板2の絶縁部13よりも深い位置まで形成され、隣接する画素9双方のウェル層21と密接して配置されている。すなわち、埋込導体部412は、各画素9間を電気的に接続する機能を有する。一方、本実施形態の埋込導体部412は、第1実施形態の埋込導体部12と異なり、コンタクト電極としての機能は有していない。
埋込導体部412は、埋込導体部12と同様の材料により形成される。埋込導体部412は、FFTI11の上部に導体膜を埋め込んだ後、埋め込んだ導体の上部を除去して形成される。
【0085】
絶縁部414は、埋込導体部412の上部に設けられ、絶縁部414のキャップ層としての機能を有する。絶縁部414は、例えば酸化シリコン又は窒化シリコン、もしくはその他の絶縁部により形成される。絶縁部414は、トレンチ内の埋込導体部412上部に絶縁部を埋め込むことにより形成される。
【0086】
図14Aに示すように、コンタクト電極460は、GNDコンタクト50と接続されてコンタクトを取るための領域である。
図14Cに示すように、コンタクト電極460は、ウェル層21と接続され、ウェル層21をGNDコンタクト50から入力された電位に固定する。コンタクト電極460は、画素9領域内に形成される。また、コンタクト電極460は、画素9領域内とともに画素9領域の外(
図1に示す画素領域3の外)に配置されてもよい。コンタクト電極460が画素9領域内に形成される場合、コンタクト電極460は、数個の画素9に1つ設けられる。この場合、コンタクト電極460が設けられる画素9は、青色(B)のカラーフィルタが設けられた画素9であることが好ましい。短波長である青色光が入射される画素9では、青色光の光学特性に起因して光入射面の反対側面(
図14Bの上面)となるトランジスタ形成面のパターンの違いの影響を抑制することができるためである。このため、青色(B)のカラーフィルタが設けられた画素9にコンタクト電極460を設けた場合、画素9間の出力のバラつきを抑制し、各画素9からの出力を均一性を向上させることができる。
【0087】
画素9は、埋込導体部412により電気的に接続されている。このため、1つのコンタクト電極460が分離された個々の画素9のウェル層21の電位(基準電位)コンタクトとして機能する。画素9は、コンタクト電極460は、GNDコンタクト50とコンタクトを取るために設けられた、不純物が高濃度で拡散された領域である。
図14Cに示すように、コンタクト電極460は、下面がウェル層21と電気的に接触する深さに形成される。コンタクト電極460は、基板2に設けられたトレンチ内に導体膜が埋め込まれて形成される。導体膜は、例えばP型の不純物がドープされたシリコン又は他の半導体材料、もしくは金属が用いられることが好ましい。シリコンとしては、例えば多結晶シリコン、アモルファスシリコン、エピタキシャル成長させたシリコン等が好ましい。
【0088】
<第4実施形態の効果>
本実施形態に係る固体撮像素子400では、以下の効果を奏する。
(7)固体撮像素子400では、各画素9間が埋込導体部412で電気的に接続されるとともに、コンタクト電極460が数個の画素9のうちの一つの画素9に設けられる。これにより、各画素9毎にコンタクト電極460を設ける場合と比較してコンタクト電極460の数を減少させ、固体撮像素子300の小面積化に有効となる。
【0089】
(8)固体撮像素子400では、青色(B)のカラーフィルタが設けられ波長の短い青色光が入射する画素9にコンタクト電極460を設けてもよい。この場合、コンタクト電極460の有無による画素9間の出力のバラつきを抑制し、各画素9からの出力を均一性を向上させることができる。
【0090】
5.第5実施形態:固体撮像素子
本開示の第5実施形態に係る固体撮像素子500について説明する。固体撮像素子500は、第1実施形態において説明した固体撮像装置1の固体撮像素子100に代えて使用可能な固体撮像素子である。
【0091】
(5.1)固体撮像素子の構成
第5実施形態では、固体撮像素子500について、
図15Aから
図15Cを参照して説明する。
図15Aに示すように、固体撮像素子500は、埋込導体部512が、画素9同士の境界に設けられたFFTI11の一部の面に密接して設けられている点で、第1実施形態に係る固体撮像素子100と相違する。固体撮像素子500は、平面視で一つの画素9の四隅を含む領域にそれぞれ埋込導体部512を備えている。また、固体撮像素子500は、2つの画素9に挟まれた境界上にそれぞれ設けられた埋込導体部515を備える点で第1実施形態に係る固体撮像素子100と相違する。
【0092】
なお、固体撮像素子500のうち、第1実施形態に係る固体撮像素子100と同様の機能を有する部分は、詳細な説明及び
図15Aから
図15Cへの図示を省略する。すなわち、固体撮像素子500の画素9内に形成されるFFTI11、絶縁部13、ウェル層21、光電変換素子22、ゲート絶縁膜31、ゲート電極32,33,34及び35、並びにフローティングディフュージョン41及び高濃度不純物拡散層42については、詳細な説明を省略する。
【0093】
図15Aは、固体撮像素子500のレイアウトの一例を示す平面図である。
図15Bは、
図2Aに示すD-D’断面における固体撮像素子500の画素9の断面図である。
図15Bは、電子トラップ機能を有する埋込導体部515を含む領域の断面図である。
図15Cは、
図2Aに示すE-E’断面における固体撮像素子500の画素9の断面図である。
図15Cは、コンタクト電極として機能する埋込導体部512を含む領域の断面図である。
【0094】
画素9の四隅に設けられた埋込導体部512は、第一実施形態における埋込導体部12と同様に、ウェル層21の電位を固定するコンタクト電極として機能する。
図15Aに示すように、固体撮像素子500のFFTI11は、画素9同士の境界の全てに設けられている。また、固体撮像素子500の埋込導体部512は、各画素9同士の境界の一部、特に2×2で配置された4つの画素9のうち、隣接する画素9同士を分離する4つのFFTI11が交差する部分(4つの画素9の中心部分)を含む領域に設けられている。すなわち、固体撮像素子500の埋込導体部512は、一つの画素9の四隅に設けられている。
図15Bに示すように、埋込導体部512は、画素9の四隅を含む領域のFFTI11の上方(
図15Bの上側)に、絶縁部13よりも深くかつウェル層21と接触するように設けられている。
図15Aでは、一例として、平面視で十字形状の埋込導体部512が図示されている。
埋込導体部512は、第1実施形態の埋込導体部12と同様の材料及び製法により形成される。
【0095】
画素9間の境界上に設けられた埋込導体部515は、大光量時に埋込導体部512又は515を介した隣接する画素9への電荷のオーバーフローを抑制するための電子トラップ機能を有する。埋込導体部515は、画素9同士の境界に位置するFFTI11の一部の上方(
図15Bの上側)に、絶縁部13よりも深くかつウェル層21と接触するように設けられている。埋込導体部515は、例えばN型の不純物がドープされたシリコン又は他の半導体材料、もしくは金属が用いられることが好ましい。シリコンとしては、例えば多結晶シリコン、アモルファスシリコン、エピタキシャル成長させたシリコン等が好ましい。
【0096】
埋込導体部512は、GNDコンタクト50と電気的に接続される。これにより、埋込導体部512は、コンタクト電極として機能する。埋込導体部512は、隣接する4つの画素9間でGNDコンタクト用のコンタクト電極として共用される。画素9は、それぞれの四隅に4つのコンタクト電極を有することとなる。このため、固体撮像素子500では、いずれかの埋込導体部512がコンタクト電極として機能しなくなった場合であっても、他の埋込導体部512がコンタクト電極として機能し、固体撮像素子500を有する固体撮像装置1の品質が向上する。
【0097】
一方、埋込導体部515は、埋込導体部515に正電圧を印加するVDDコンタクト570と電気的に接続される。埋込導体部515は、例えばN型半導体材料で形成され、正電圧が印加されることで光電変換素子22内に蓄積した電子をトラップする。これにより、大光量により光電変換素子22内に蓄積した電子が隣接画素へオーバーフローしそうな場合であっても、隣接する画素9に電子が流れないようにすることができる。これにより、固体撮像素子500は、異なる色のカラーフィルタが配置された隣接する画素9間での混色を抑制することができる。
また、固体撮像素子500では、光電変換素子22から埋込導体部515へのバリアと、光電変換素子22から転送トランジスタTtr等の各トランジスタへのバリアとの強度に差をつけることが好ましい。これにより、大光量時に光電変換素子22からあふれ出した電子が各トランジスタに対して影響を与えることを抑制することができる。
【0098】
なお、固体撮像素子500は、埋込導体部512に代えて、第1実施形態の変形例の埋込導体部12A~12Gのいずれかを有していても良い。また、固体撮像素子500では、埋込導体部515が、第1実施形態の変形例の埋込導体部12A~12Gと同様の構成とされていても良い。更に、固体撮像素子500は、絶縁部13に代えて、第3実施形態の絶縁部313を有していても良い。
【0099】
<第5実施形態の効果>
本実施形態に係る固体撮像素子500では、第1実施形態に記載の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(9)固体撮像素子500は、VDDコンタクトと電気的に接続され、VDDコンタクトから正電圧が印加されることで光電変換素子22からあふれ出した電子をトラップする埋込導体部515を備えている。このため、大光量時において、光電変換素子22からあふれ出した電子が隣接する画素9に流れることを抑制し、隣接する画素9との混色を抑制することができる。
【0100】
6.第6実施形態
本開示の第6実施形態に係る固体撮像素子600について説明する。固体撮像素子600は、第1実施形態において説明した固体撮像装置1の固体撮像素子100に代えて使用可能な固体撮像素子である。
【0101】
(6.1)固体撮像素子の構成
第6実施形態では、固体撮像素子600の2つの例である固体撮像素子600A及び600Bについて、
図16及び
図17を参照して説明する。なお、固体撮像素子600のうち、第1実施形態に係る固体撮像素子100と同様の機能を有する部分は、詳細な説明及び
図16及び
図17への図示を省略する。すなわち、固体撮像素子600A及び600Bの画素9内に形成されるFFTI11、絶縁部13、ウェル層21、光電変換素子22、ゲート絶縁膜31、ゲート電極32,33,34及び35、並びにフローティングディフュージョン41及び高濃度不純物拡散層42については、詳細な説明を省略する。
【0102】
(6.1.1)固体撮像素子600の第1の例
図16は、固体撮像素子600の一例である固体撮像素子600Aのレイアウトの一例を示す平面図である。
図16に示すように、固体撮像素子600Aは、埋込導体部12に代えて、2つの画素9に挟まれた境界上の領域の一部に設けられた埋込導体部612Aを備えている点で第1実施形態に係る固体撮像素子100と相違する。また、固体撮像素子600Aは、各画素を取り囲むFFTI11上の埋込導体部612Aが形成された領域を除いた領域に埋込導体部615Aを備える点で第1実施形態に係る固体撮像素子100と相違する。
以下、FFTI11、埋込導体部612A及び埋込導体部615Aの配置、並びにGNDコンタクト50の接続について説明する。
【0103】
固体撮像素子600Aは、隣接する2つの画素9を画素共有単位とした固体撮像素子である。
埋込導体部612Aは、隣接する2つの画素9に対して1つ設けられる。埋込導体部612Aは、隣接する2つの画素9の境界に設けられたFFTI11(不図示)の上部(
図16中の手前側)に設けられている。埋込導体部612Aは、平面視で、2つの画素9に挟まれたFFTI11の中央近傍に設けられている。埋込導体部612Aの上面は、後述する埋込導体部615Aから露出しており、GNDコンタクト50が接続される。
埋込導体部612Aは、第1実施形態に記載の埋込導体部12と同様に、コンタクト電極として機能する。埋込導体部612Aは、隣接する2つの画素9の境界に設けられたFFTI11上の一部に設けられた以外は埋込導体部12と同様にして形成される。
【0104】
埋込導体部615Aは、各画素9の境界に設けられたFFTI11(不図示)の上部に設けられる。埋込導体部615Aは、FFTI11上の埋込導体部612Aが形成された領域を除いた領域に形成される。
埋込導体部615Aは、第5実施形態に記載の埋込導体部515と同様に、大光量時に埋込導体部612A又は615Aを介した隣接する画素9への電荷のオーバーフローを抑制するための電子トラップ機能を有する。埋込導体部615Aは、各画素9のほとんどを取り囲む領域に設けられた以外は埋込導体部515と同様にして形成される。
【0105】
埋込導体部615Aには、埋込導体部615Aに正電圧を印加するVDDコンタクト670が接続される。VDDコンタクト670を介して正電圧が印加されることにより、埋込導体部615Aは光電変換素子22からあふれ出した電子をトラップする。VDDコンタクト670は、第5実施形態のVDDコンタクト570と同様の材料及び方法により形成される。
【0106】
このような固体撮像素子600Aでは、2つの画素9で構成される画素共有単位ごとにGND婚拓用電極としての埋込導体部612Aを共有する。固体撮像素子600Aに高輝度の光源が入射して埋込導体部612Aを介して画素9から電子が溢れた場合、埋込導体部612Aを介して共有画素単位内の他の画素9に電子が流入するものの、共有画素単位外の他の画素9への電子の流入を抑制することができる。このため、共有画素単位での欠陥による画素補正と同等の処理で画質の低下を抑制することができる。
【0107】
(6.1.2)固体撮像素子600の第2の例
図17は、固体撮像素子600の一例である固体撮像素子600Bのレイアウトの一例を示す平面図である。
図17に示すように、固体撮像素子600Bは、埋込導体部12に代えて、4つの画素9に囲まれた境界上の領域に設けられた埋込導体部612Bを備えている点で第1実施形態に係る固体撮像素子100と相違する。また、固体撮像素子600Aは、各画素を取り囲むFFTI11上の埋込導体部612Aが形成された領域を除いた領域に埋込導体部615Bを備える点で第1実施形態に係る固体撮像素子100と相違する。
以下、FFTI11、埋込導体部612B及び埋込導体部615Bの配置、並びにGNDコンタクト50の接続について説明する。
【0108】
固体撮像素子600Bは、2×2のマトリクス状に配列された4つの画素9を画素共有単位とした固体撮像素子である。
埋込導体部612Bは、マトリクス状に配列された4つの画素9に対して1つ設けられる。埋込導体部612Bは、4つの画素9の中心に位置するFFTI11(不図示)の上部(
図17中の手前側)に設けられている。埋込導体部612Bの上面は、後述する埋込導体部615Bから露出しており、GNDコンタクト50が接続される。
【0109】
埋込導体部615Bは、各画素9の境界に設けられたFFTI11(不図示)の上部に設けられる。埋込導体部615Bは、FFTI11上の埋込導体部612Bが形成された領域を除いた領域に形成される。
埋込導体部615Bは、埋込導体部615Aと同様に、大光量時に埋込導体部612B又は615Bを介した隣接する画素9への電子のオーバーフローを抑制するための電子トラップ機能を有する。埋込導体部615Bは、各画素9のほとんどを取り囲む領域に設けられた以外は埋込導体部515と同様にして形成される。
【0110】
このような固体撮像素子600Bでは、2つの画素9で構成される画素共有単位ごとにGND婚拓用電極としての埋込導体部612Bを共有する。固体撮像素子600Bに高輝度の光源が入射して埋込導体部612Bを介して画素9から電子が溢れた場合、埋込導体部612Bを介して共有画素単位内の他の画素9に電子が流入するものの、共有画素単位外の他の画素9への電子の流入を抑制することができる。このため、共有画素単位での欠陥による画素補正と同等の処理で画質の低下を抑制することができる。
【0111】
<第6実施形態の効果>
本実施形態に係る固体撮像素子600では、第1実施形態に記載の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(10)固体撮像素子600は、VDDコンタクトと電気的に接続され、VDDコンタクトから正電圧が印加されることで光電変換素子22からあふれ出した電子をトラップする埋込導体部615A,615Bを備えている。このため、固体撮像素子600は、大光量時において、光電変換素子22からあふれ出した電子が隣接する画素9に流れることを抑制し、隣接する画素9との混色を抑制することができる。
【0112】
(11)固体撮像素子600は、画素9から電子が溢れた場合でも、共有画素単位外の他の画素9への電子の流入を抑制することができる。このため、固体撮像素子600は、共有画素単位での欠陥による画素補正と同等の処理で画質の低下を抑制することができる。
【0113】
7.第7実施形態
次に、本開示の第7実施形態に係る電子機器について説明する。
図18は、本開示の第7実施形態に係る電子機器1000の概略構成図である。
【0114】
第7実施形態に係る電子機器1000は、固体撮像装置1と、光学レンズ1002と、シャッタ装置1003と、駆動回路1004と、信号処理回路1005とを備えている。第7実施形態の電子機器1000は、固体撮像装置1として、本開示の第1実施形態に係る固体撮像装置1を電子機器(例えば、カメラ)に用いた場合の実施形態を示す。
【0115】
光学レンズ1002は、被写体からの像光(入射光106)を固体撮像装置1の撮像面上に結像させる。これにより、固体撮像装置1内に一定期間にわたって信号電荷が蓄積される。シャッタ装置1003は、固体撮像装置1への光照射期間及び遮光期間を制御する。駆動回路1004は、固体撮像装置1の転送動作及びシャッタ装置1003のシャッタ動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路1004から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像装置1の信号転送を行なう。信号処理回路1005は、固体撮像装置1から出力される信号(画素信号)に各種信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリ等の記憶媒体に記憶され、或いはモニタに出力される。
【0116】
なお、固体撮像装置1を適用できる電子機器1000としては、カメラに限られるものではなく、他の電子機器にも適用することができる。例えば、携帯電話機やタブレット端末等のモバイル機器向けカメラモジュール等の撮像装置に適用してもよい。
また、第7実施形態では、固体撮像装置1として、第1実施形態に係る固体撮像装置1を電子機器に用いる構成としたが、他の構成としてもよい。例えば、第2実施形態に係る固体撮像装置1や、変形例に係る固体撮像装置1を電子機器に用いてもよい。
【0117】
なお、本技術は、以下のような構成を取ることができる。
(1)
光電変換を行う光電変換素子と、
基板の第1主面から第2主面に貫通し、前記光電変換素子を含む画素の間に形成された完全貫通型素子分離と、
前記完全貫通型素子分離の前記第1主面側に密着して設けられた導体部と、
を備える固体撮像素子。
(2)
前記導体部は、前記基板の前記第1主面に形成された第1のトレンチ内に埋め込まれており、
前記基板の前記第1主面に形成された高濃度不純物拡散層と、
前記導体部と前記高濃度不純物拡散層との間に設けられた絶縁部と、をさらに備える
上記(1)に記載の固体撮像素子。
(3)
前記導体部は、前記絶縁部よりも深く形成され、
前記高濃度不純物拡散層は、前記絶縁部よりも浅く形成される
上記(2)に記載の固体撮像素子。
(4)
前記高濃度不純物拡散層よりも深い領域に形成されたウェル層を備え、
前記導体部は、前記絶縁部よりも深い領域において前記ウェル層と密接して配置されている
上記(2)又は(3)に記載の固体撮像素子。
(5)
前記導体部の前記第1主面側に密着して設けられたキャップ層を備え、
前記導体部は、密接する複数の画素の前記ウェル層と密接して配置されている
上記(4)に記載の固体撮像素子。
(6)
前記完全貫通型素子分離は、平面視で前記画素を取り囲んで設けられており、
前記導体部は、前記完全貫通型素子分離の上方の全面又は一部の面に密接して配置される
上記(1)から(5)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(7)
前記導体部は、隣接する2つの画素に挟まれた前記完全貫通型素子分離の上方及び2×2のマトリクス状に配列された4つの画素の中心に位置する前記完全貫通型素子分離の上方の少なくとも一方に設けられる
上記(6)に記載の固体撮像素子。
(8)
前記導体部は、前記完全貫通型素子分離を底面とする第2のトレンチの一部又は全部が導体材料によって埋め込まれた形状である
上記(1)から(6)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(9)
前記絶縁部は、少なくとも表面が絶縁材料で形成されている
上記(2)又は(3)に記載の固体撮像素子。
(10)
前記絶縁部は、前記導体部と前記高濃度不純物拡散層との間に設けられた第3のトレンチの表面を覆う絶縁膜と、トレンチ内に埋め込まれた純ポリシリコン又は酸化物、もしくは空気層との二層構造である
上記(9)に記載の固体撮像素子。
(11)
前記導体部は、隣接する画素間で共用されるコンタクト電極である
上記(1)から(10)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(12)
光電変換を行う光電変換素子と、基板の第1主面から第2主面に貫通し、前記光電変換素子を含む画素の間に形成された完全貫通型素子分離と、前記完全貫通型素子分離の前記第1主面側に密着して設けられた導体部と、を有する固体撮像素子を含む固体撮像装置と、
被写体からの像光を前記固体撮像装置の撮像面上に結像させる光学レンズと、
前記固体撮像装置から出力される信号に信号処理を行う信号処理回路と、
を備える電子機器。
【0118】
本開示の固体撮像素子は、FFTIとその近傍に設けられた高濃度不純物領域、埋込導電体及び絶縁部の配置が上述した構成となっていればよく、他の部分の構成は問わない。すなわち、画素内の半導体素子の構成は、上述した構成以外の任意の構成とすることができる。また、本開示の固体撮像素子の不純物拡散領域の導電型は例示であり、P型領域とN型領域とを反対に形成しても良い。
【0119】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0120】
2 基板
9 画素
11 完全貫通型素子分離(FFTI)
12,12A~12G,412,512,515,612A,612B,615A,615B 埋込導体部
13,13E,313,414 絶縁部
21 ウェル層
22 光電変換素子
23 光電変換部
31 ゲート絶縁膜
32~35 ゲート電極
41 フローティングディフュージョン
42 高濃度不純物拡散層
43 埋込導体部
50 GNDコンタクト
60,460 コンタクト電極
100,100A~100G,200,200A~200C,300,400,500,600,600A,600B 固体撮像素子
570,670 VDDコンタクト
Tam 増幅トランジスタ
Trs リセットトランジスタ
Tsl セレクトトランジスタ
Ttr 転送トランジスタ