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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-12
(45)【発行日】2025-03-21
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20250313BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022554980
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2020037687
(87)【国際公開番号】W WO2022074705
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】藤村 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】中村 大佑
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-138488(JP,A)
【文献】特許第6488632(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、
前記固定部に設置される接地端子と、
前記固定部に対してX方向とY方向とZ方向との少なくとも1の方向に移動する可動部と、
前記可動部に設けられる駆動源と、
前記固定部に配設されるコネクタと、
前記接地端子と前記コネクタとを接続する固定側アース線と、
前記コネクタと前記駆動源とを接続すると共に前記固定側アース線よりも細径な可動側アース線と、を備える作業機であって、
前記可動部と前記駆動源を複数有し、複数の前記可動部のうちのX方向とY方向とZ方向との少なくとも1の方向に移動するものに前記可動側アース線が接続される作業機。
【請求項2】
前記可動側アース線の太さは、前記可動側アース線の導体抵抗値と前記固定側アース線の導体抵抗値との和が導体抵抗の許容値よりも小さくなるように設定されている請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記コネクタは、前記可動側アース線が前記可動部に引き込まれる引込位置の近傍に配設される請求項1または請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記可動部は、前記可動側アース線の屈曲箇所が前記駆動源の動きに追従して移動することによって、前記可動側アース線を支持しながら案内する従動部材を備え、
前記可動側アース線の前記引込位置は、前記従動部材の固定端と隣り合う請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記駆動源の信号線及び前記可動側アース線を含むケーブルを備える請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の作業機。
【請求項6】
前記固定部内の所定位置に固設される制御装置と、
前記制御装置が配設される筐体と、を備え、
前記接地端子は、前記筐体に設けられる請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の作業機。
【請求項7】
前記駆動源は、一対の可動子を備え、
前記一対の可動子は、所定間隔を置いて向かい合いながら前記固定部に設けられる一対の固定子上を移動する請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アース線を備える作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記作業機に関し、種々の技術が提案されている。例えば、下記特許文献1に記載の技術は、水平多関節型ロボット又は垂直多関節型ロボットの手首先端近傍にアナログ映像信号を出力するアナログカメラを取付けたロボットシステムにおける、前記カメラに繋がるカメラ用ケーブルの配線処理構造において、前記カメラ用ケーブルは、アナログ映像信号を伝送する同軸ケーブル及びカメラ電源ケーブルを含み、前記カメラ用ケーブルは、少なくとも前記ロボットの前腕の内部を通され、更に、前記前腕を前記ロボットのベース部材と同電位とする手段により前記前腕を接地することで、前記カメラ用ケーブルが該前腕によりシールドされることを特徴とする。
【0003】
下記特許文献1の記載によれば、ロボットの前腕とベース部材を同電位とすることは、これら前腕やベース部材が導電性の材料で交際されるのが一般的であることから、複雑な構造などを採用しなくとも、簡単に実現できる。ロボットの前腕はロボット本体ベースに対し、複数の関節(連結リンク構造)を介して接続されているので、前腕に至る間の連結リンク構造を構成する各リンクの間をアースケーブルで夫々電気的に接続すれば良い。あるいは、前腕とロボット本体ベースとの間を直接アースケーブル等で繋いでも良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特願2004-98174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前腕とロボット本体ベースとの間を直接アースケーブルで繋ぐ場合、アースケーブルが長くなるので、アースケーブルの導体抵抗値を抑えるためには、アースケーブルを太くする必要がある。このようなアースケーブルの太径化は、アースケーブルの曲げ半径を大きくすることから、小型化を妨げる一因となる虞がある。
【0006】
本開示は、上述した点に鑑みてなされたものであり、可動部に設けられた駆動部のアース線を細径化することによって、可動部の小型化を図ることが可能な作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、固定部と、固定部に設置される接地端子と、固定部に対してX方向とY方向とZ方向との少なくとも1の方向に移動する可動部と、可動部に設けられる駆動源と、固定部に配設されるコネクタと、接地端子とコネクタとを接続する固定側アース線と、コネクタと駆動源とを接続すると共に固定側アース線よりも細径な可動側アース線と、を備える作業機であって、可動部と駆動源を複数有し、複数の可動部のうちのX方向とY方向とZ方向との少なくとも1の方向に移動するものに可動側アース線が接続される作業機を開示する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、作業機は、可動部に設けられた駆動部のアース線を細径化することによって、例えば、可動部の小型化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】部品実装機を示す斜視図である。
図2】部品実装機の作業ヘッド移動装置を示す斜視図である。
図3】部品実装機のアース系統を示すブロック図である。
図4】ケーブルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態である部品実装機を、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、各図面では、基本的構成の一部が省略されて描かれており、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態の部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、マークカメラ26、パーツカメラ28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、制御ユニット(図3参照)34を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
【0012】
装置本体20は、フレーム部40と、そのフレーム部40に上架されたビーム部42等によって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の作業位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
【0013】
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62の下端面には、図示しない吸着ノズルが設けられており、その吸着ノズルによって部品を吸着保持する。その吸着ノズルは、図示しないモータを駆動源とする回転装置によって回転し、吸着保持した部品の向きを調整可能となっている。なお、以下では、部品が上記吸着ノズルで吸着保持されることを、部品が作業ヘッド60,62で保持されると記載し、上記吸着ノズルの記載を省略する。また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム部40上の任意の位置に移動することができる。また、各作業ヘッド60,62は、図示しない2台のZ方向スライダにそれぞれ着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、上記各Z方向スライダを個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動することができる。
【0014】
マークカメラ26は、下方を向いた状態で上記2台のZ方向スライダの一方(作業ヘッド60が装着されたもの)に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向、Y方向およびZ方向に移動することができる。これにより、マークカメラ26は、フレーム部40上の任意の位置を撮像する。パーツカメラ28は、図1に示すように、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、パーツカメラ28は、作業ヘッド60,62に保持された部品を撮像する。
【0015】
部品供給装置30は、フレーム部40の前後方向での前端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置78と図示しないフィーダ型部品供給装置とを有している。トレイ型部品供給装置78は、トレイ上に載置された状態の部品を供給する装置である。上記フィーダ型部品供給装置は、テープフィーダ、スティックフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
【0016】
部品実装機10では、上記制御ユニット34によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。部品実装機10では、種々の部品を回路基材12に装着することが可能であるが、リードを有するリード部品(図示省略)を回路基材12に装着する場合について、以下に説明する。
【0017】
具体的には、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、マークカメラ26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。そして、上記制御ユニット34は、その撮像データに基づいて、回路基材12に形成された挿入孔(図示省略)のXY方向における位置座標等を演算する。
【0018】
また、部品供給装置30は、所定の供給位置において、部品を供給する。そして、作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、部品を保持する。なお、作業ヘッド60,62は、部品の部品本体部の上面において、部品を保持する。
【0019】
次に、部品を保持した作業ヘッド60,62が、パーツカメラ28の上方に移動し、パーツカメラ28によって、作業ヘッド60,62に保持された部品が撮像される。そして、上記制御ユニット34は、撮像データに基づいて、作業ヘッド60,62に保持された部品のXY方向における位置座標を演算する。
【0020】
続いて、部品を保持した作業ヘッド60,62が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12の保持位置の誤差、部品の保持位置の誤差等を補正する。そして、作業ヘッド60,62が部品の保持を解除することで、回路基材12に部品が装着される。
【0021】
次に、作業ヘッド移動装置64について、図2を用いて説明する。図2に示された作業ヘッド移動装置64は、本実施形態の部品実装機10に搭載可能なもののうち、本開示に好適な実施形態の一例であるが、図1とは異なる実施形態である。以下では、図1と実質的に共通する部分には同一の符号を付して説明する。なお、図2では、上記作業ヘッド62および上記Z方向移動装置72等が省略されている。
【0022】
図2に示すように、作業ヘッド移動装置64は、装置本体20に設けられるものであって、X方向移動装置68およびY方向移動装置70等を備えている。X方向移動装置68は、X方向リニアモータ100およびX方向配線案内装置102を備えている。Y方向移動装置70は、Y方向リニアモータ110およびY方向配線案内装置112を備えている。
【0023】
Y方向リニアモータ110は、一対のY方向固定子114A,114Bおよび一対のY方向可動子116A,116Bを備えている。各Y方向固定子114A,114Bは、複数の永久磁石が直線的に配置されたものであって、X方向で所定間隔を置いて、Y方向に沿って延在している。これにより、各Y方向固定子114A,114Bは、X方向で向かい合っている。各Y方向可動子116A,116Bは、所謂スライダであって、コイルを巻いた電機子鉄心を有し、各Y方向固定子114A,114B上を磁気浮上しながら移動する。
【0024】
Y方向配線案内装置112は、ケーブルベヤ(登録商標)である。Y方向配線案内装置112の先端117は、Y方向可動子116Aに固定されている。これに対して、Y方向配線案内装置112の基端118は、装置本体20に固定されている。これにより、Y方向配線案内装置112は、その屈曲箇所がY方向可動子116Aの動きに追従して移動することができる。
【0025】
X方向リニアモータ100は、X方向固定子104およびX方向可動子106を備えている。X方向固定子104は、複数の永久磁石が直線的に配置されたものであって、X方向に沿って延在している。更に、X方向固定子104の両端は、Y方向リニアモータ110の各Y方向可動子116A,116Bに支持されている。X方向可動子106は、所謂スライダであって、コイルを巻いた電機子鉄心を有し、X方向固定子104上を磁気浮上しながら移動する。更に、X方向可動子106には、作業ヘッド60が装着されている。
【0026】
X方向配線案内装置102は、ケーブルベヤ(登録商標)である。X方向配線案内装置102の先端107は、X方向可動子106に固定されている。これに対して、X方向配線案内装置102の基端108は、X方向固定子104に固定されている。これにより、X方向配線案内装置102は、その屈曲箇所がX方向可動子106の動きに追従して移動することができる。
【0027】
このような構成によって、Y方向リニアモータ110の各Y方向可動子116A,116B、X方向リニアモータ100、X方向配線案内装置102、および作業ヘッド60は、矢印AYに示すように、Y方向に沿って一体的に移動することができる。更に、X方向リニアモータ100のX方向可動子106および作業ヘッド60は、矢印AXに示すように、X方向に沿って一体的に移動することができる。
【0028】
X方向リニアモータ100のX方向可動子106に接続される複数の配線、および作業ヘッド60に接続される複数の配線は、装置本体20の引込位置Pから装置本体20内に引き込まれている。引込位置Pは、装置本体20の筐体21において、Y方向配線案内装置112の基端118と隣り合う所にある。更に、引込位置Pから引き込まれた各配線は、Y方向配線案内装置112の基端118を経て、Y方向配線案内装置112およびX方向配線案内装置102に通され、X方向リニアモータ100のX方向可動子106および作業ヘッド60に接続されている。
【0029】
Y方向リニアモータ110のY方向可動子116Aに接続される複数の配線は、同様にして、装置本体20の引込位置Pから装置本体20内に引き込まれている。更に、引込位置Pから引き込まれた各配線は、Y方向配線案内装置112の基端118を経て、Y方向配線案内装置112に通され、Y方向リニアモータ110のY方向可動子116Aに接続されている。
【0030】
なお、Y方向リニアモータ110の一対のY方向可動子116A,116Bのうち、Y方向可動子116Bに接続される複数の配線は、装置本体20の引込位置Pとは異なる引込位置(図示省略)から装置本体20内に引き込まれている。更に、このようにして引き込まれた各配線は、Y方向配線案内装置112とは異なるY方向配線案内装置(図示省略)を通って、Y方向リニアモータ110のY方向可動子116Bに接続されている。但し、Y方向リニアモータ110のY方向可動子116Bに接続される複数の配線は、Y方向リニアモータ110のY方向可動子116Aに接続される複数の配線と同様にして、装置本体20の引込位置Pから装置本体20内に引き込まれてもよい。このような場合、引込位置Pから引き込まれた各配線は、例えば、Y方向配線案内装置112およびX方向リニアモータ100のX方向固定子104を経由して、Y方向リニアモータ110のY方向可動子116Bに接続される。
【0031】
次に、X方向移動装置68のアース系統について説明する。図3に示すように、アース線140が、X方向移動装置68と接地端子126とに接続されている。アース線140は、X方向リニアモータ100のX方向可動子106から延出している。接地端子126は、サーボアンプ122の筐体124に設けられている。サーボアンプ122の筐体124は、接地されている。このような構成によって、X方向リニアモータ100は、所謂筐体接地されている。
【0032】
サーボアンプ122は、X方向リニアモータ100の動作制御(例えば、フィードバック制御)を行うものであって、本実施形態の部品実装機10を制御する制御ユニット34の一部を構成している。サーボアンプ122は、装置本体20内の所定位置に固定した状態で設けられている。このようにして、接地端子126は、装置本体20に内設されている。なお、その他のサーボアンプ(例えば、Y方向リニアモータ110の動作制御を行うサーボアンプ等)は、図示されていないが、メンテナンス時の利便性等の観点から、サーボアンプ122と纏めて並設されている。
【0033】
アース線140は、可動側アース線142および固定側アース線144を備えている。可動側アース線142は、上述したX方向リニアモータ100のX方向可動子106に接続される複数の配線の一つである。従って、可動側アース線142は、装置本体20の引込位置Pから装置本体20内に引き込まれ、Y方向配線案内装置112の基端118を経て、Y方向配線案内装置112およびX方向配線案内装置102に通され、X方向リニアモータ100のX方向可動子106に接続されている。このような構成によって、可動側アース線142は、Y方向配線案内装置112およびX方向配線案内装置102に支持されながら案内される。そのため、可動側アース線142は、その屈曲箇所が、Y方向リニアモータ110の各Y方向可動子116A,116B、およびX方向リニアモータ100のX方向可動子106の動きに追従して移動する。
【0034】
これに対して、固定側アース線144は、サーボアンプ122の筐体124の接地端子126に接続された状態で、装置本体20の筐体21外に引き出されている。よって、固定側アース線144は、可動側アース線142とは異なり、従動することはない。
【0035】
更に、可動側アース線142および固定側アース線144は、コネクタ132に接続されている。コネクタ132は、アース線同士を接続するための部品であって、装置本体20の引込位置Pの近傍において、装置本体20の筐体21の外面に設けられ、第1端子134および第2端子136を有している。コネクタ132では、可動側アース線142が第1端子134に接続され、固定側アース線144が第2端子136に接続されている。このような構成によって、可動側アース線142および固定側アース線144は、コネクタ132で直結されている。
【0036】
可動側アース線142は、固定側アース線144よりも細いものが使用されることによって、細径化されている。これにより、可動側アース線142の屈曲箇所の小径化を図っている。但し、アース線140には、導体抵抗の許容値が設定されている。従って、可動側アース線142の太さは、可動側アース線142の導体抵抗値と固定側アース線144の導体抵抗値との和が導体抵抗の許容値よりも小さくなるようなものが選ばれている。その際、固定側アース線144が太径化されていると、可動側アース線142がより一層に細径化されることが可能となる。
【0037】
また、可動側アース線142は、図4に示すように、ケーブル150に納められている。ケーブル150には、可動側アース線142に加えて、3個の信号線152,154,156、介在物158、シールド160、およびシース162を備えている。各信号線152,154,156は、X方向リニアモータ100のX方向可動子106に接続されている配線である。ケーブル150では、可動側アース線142および各信号線152,154,156が、介在物158に囲まれた状態でシールド160およびシース162に覆われている。なお、ケーブル150には、電力線が含まれてもよい。
【0038】
ケーブル150は、装置本体20の引込位置Pから装置本体20内に引き込まれ、Y方向配線案内装置112の基端118を経て、Y方向配線案内装置112およびX方向配線案内装置102に通されている。更に、装置本体20の引込位置Pの近傍では、可動側アース線142が、ケーブル150から延出して、コネクタ132の第1端子134に接続されている。
【0039】
このような構成によって、可動側アース線142の細径化は、ケーブル150の屈曲箇所の小径化、ひいては、Y方向配線案内装置112およびX方向配線案内装置102の屈曲箇所の小径化を実現可能にする。これにより、作業ヘッド移動装置64の小型化が図られる。
【0040】
以上詳細に説明したように、本実施形態の部品実装機10は、作業ヘッド移動装置64に設けられたX方向リニアモータ100の可動側アース線142を細径化することによって、作業ヘッド移動装置64の小型化を図ることが可能である。
【0041】
なお、各信号線152,154,156は、ケーブル150が装置本体20内に引き込まれることによって、サーボアンプ122に接続されている。また、固定側アース線144は、各信号線152,154,156と共に、ケーブル150内に納められている。サーボアンプ122の筐体124の近傍では、固定側アース線144が、ケーブル150から延出して、接地端子126に接続されている。これに対して、装置本体20の引込位置Pの近傍では、固定側アース線144が、ケーブル150から延出して、コネクタ132の第2端子136に接続されている。
【0042】
ちなみに、本実施形態において、部品実装機10は、作業機の一例である。装置本体20は、固定部の一例である。作業ヘッド移動装置64(一対のY方向固定子114A,114Bを除く)は、可動部の一例である。X方向リニアモータ100は、駆動源の一例である。X方向配線案内装置102は、従動部材の一例である。Y方向リニアモータ110は、駆動源の一例である。Y方向配線案内装置112は、従動部材の一例である。一対のY方向固定子114A,114Bは、一対の固定子の一例である。一対のY方向可動子116A,116Bは、一対の可動子の一例である。基端118は、従属部材の固定端の一例である。サーボアンプ122は、制御装置の一例である。サーボアンプ122の筐体124は、筐体の一例である。X方向リニアモータ100の各信号線152,154,156は、駆動源の信号線の一例である。
【0043】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、接地端子126は、装置本体20に内設されているものに限定されず、装置本体20に設置されていればよい。また、接地端子126は、サーボアンプ122の筐体124を経ることなく、接地されていてもよい。
【0044】
また、X方向配線案内装置102およびY方向配線案内装置112に代えて、可動側アース線142を含むフレキシブルフラットケーブルが使用されてもよい。このような場合、ケーブル150は不要である。ちなみに、フレキシブルフラットケーブルは、従動部材の一例である。
【0045】
また、本実施形態において、可動側アース線142は、X方向リニアモータ100のX方向可動子106に接続されているものとして説明されているが、Y方向リニアモータ110のY方向可動子116A、Z方向移動装置72、又は各作業ヘッド60,62等に接続されるものであってもよい。但し、Y方向リニアモータ110のY方向可動子116Aの場合、可動側アース線142は、装置本体20の引込位置Pから装置本体20内に引き込まれ、Y方向配線案内装置112の基端118を経て、Y方向配線案内装置112に通され、Y方向リニアモータ110のY方向可動子116Aに接続される。
【0046】
また、X方向リニアモータ100では、上記実施形態とは反対に、コイルを巻いた電機子鉄心がX方向固定子104に設けられ、複数の永久磁石がX方向可動子106に設けられていてもよい。このような場合、可動側アース線142は、装置本体20の引込位置Pから装置本体20内に引き込まれ、Y方向配線案内装置112の基端118を経て、Y方向配線案内装置112に通され、X方向リニアモータ100のX方向固定子104に接続される。
【0047】
また、本実施形態では、作業機は、部品実装機10として説明されていたが、外観検査装置、印刷装置、又は工作機械等であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10:部品実装機、20:装置本体、64:作業ヘッド移動装置、100:X方向リニアモータ、102:X方向配線案内装置、110:Y方向リニアモータ、112:Y方向配線案内装置、114A,114B:一対のY方向固定子、116A,116B:一対のY方向可動子、118:Y方向配線案内装置の基端、122:サーボアンプ、124:サーボアンプの筐体、126:接地端子、132:コネクタ、142:可動側アース線、144:固定側アース線、150:ケーブル、152:X方向リニアモータの信号線、154:X方向リニアモータの信号線、156:X方向リニアモータの信号線、P:引込位置
図1
図2
図3
図4