(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-12
(45)【発行日】2025-03-21
(54)【発明の名称】光ファイバケーブル、並びに光ファイバケーブルを使用して超高電力を分配するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20250313BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20250313BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20250313BHJP
H04B 10/80 20130101ALI20250313BHJP
C03C 13/04 20060101ALI20250313BHJP
H10F 30/20 20250101ALN20250313BHJP
【FI】
G02B6/44 396
G02B6/02 B
G02B6/02 376B
G02B6/42
H04B10/80 160
C03C13/04
H10F30/20
(21)【出願番号】P 2023544658
(86)(22)【出願日】2022-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022013432
(87)【国際公開番号】W WO2022159782
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2024-06-13
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523279947
【氏名又は名称】マクレオン リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】マッケンナ エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ウォレス ジェラルド レオン ジュニア
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-198396(JP,A)
【文献】特開2017-198782(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0247424(US,A1)
【文献】特許第6814258(JP,B1)
【文献】特開昭55-156374(JP,A)
【文献】特開平11-089120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/44
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ給電システムであって、
高出力レーザーエネルギーを放出するように構成されたレーザー光源と、
検出された光を電気エネルギーに変換
し、前記電気エネルギーを電気負荷に供給するように構成された光検出器と、
光ファイバケーブルと、
電力制御ユニットと、
を備え、前記光ファイバケーブルは、
前記レーザー光源に結合された第1の端部と、
前記光検出器に結合された反対側の第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる長さと、
複数の光ファイバ
であって、各々の前記光ファイバは、前記
光ファイバケーブルの長さに
個別に延び
る、前記複数の光ファイバと、
前記光ファイバ
の各々を取り囲
み、前記光ファイバケーブルの長さに延びるように構成された熱フィラー
と、を有
し、
前記電力制御ユニットは、前記高出力レーザーエネルギーを伝送するために使用される前記光ファイバの数を前記電気負荷の電力要件に基づいて調整することによって、前記高出力レーザーエネルギーの出力を制御するように構成されている、
光ファイバ給電システム。
【請求項2】
前記レーザー光源は、約2.1μmの波長で動作する1又は2以上のレーザーダイオードバーを含む、
請求項1に記載の光ファイバ給電システム。
【請求項3】
前記光検出器は、少なくとも1つのフォトダイオード検出器を含む、
請求項1に記載の光ファイバ給電システム。
【請求項4】
各光ファイバは、ZrF
4-BaF
2-LaF
3-AlF
3-NaF(ZBLAN)を含む、
請求項1に記載の光ファイバ給電システム。
【請求項5】
前記光ファイバケーブルは、約1ギガワットのパワーを有するレーザーエネルギーを約0.1デシベル(dB)の損失で約1000キロメートル(km)の距離にわたって伝送することができる、
請求項1に記載の光ファイバ給電システム。
【請求項6】
前記光ファイバケーブルの前記第2の端部に結合されてデータ信号を送信するように構成された光送信機と、
前記光ファイバケーブルの前記第1の端部に結合されて前記データ信号を受け取るように構成された光受信機と、
をさらに備える、請求項1に記載の光ファイバ給電システム。
【請求項7】
前記データ信号は、前記電気負荷の
前記電力要件に関する情報を含む、
請求項6に記載の光ファイバ給電システム。
【請求項8】
前記電力制御ユニットは、前記レーザー光源によって供給される電力量を前記データ信号に基づいて制御するように
さらに構成され
る、
請求項7に記載の光ファイバ給電システム。
【請求項9】
前記電力制御ユニットは、前記電力要件が閾値電力量を超えた場合に前記レーザー光源をオフにするように
さらに構成される、
請求項8に記載の光ファイバ給電システム。
【請求項10】
前記電力制御ユニットは、前記電力要件を満たすのに必要な前記複数の光ファイバの数を決定し、前記数の光ファイバを使用して前記レーザー光源から前記光検出器にレーザーエネルギーを供給するように
さらに構成される、
請求項8に記載の光ファイバ給電システム。
【請求項11】
前記電力制御ユニットは、前記レーザー光源に電力を供給するように構成された外部電源に結合される、
請求項8に記載の光ファイバ給電システム。
【請求項12】
レーザー光源を有する送信ユニットと、光検出器を有する受信ユニットと、前記送信ユニットと前記受信ユニットとの間に結合された光ファイバケーブルと、を備えた光ファイバ給電システムにおける電力供給を管理する方法であって、光ファイバケーブルは複数の光ファイバを含み、各光ファイバは前記光ファイバケーブルの長さに延び
且つ熱フィラーによって取り囲まれ、前記方法は、
前記光ファイバケーブルに含まれる一定数の前記光ファイバを使用して、前記送信ユニットから前記受信ユニットに高出力レーザーエネルギーを伝送するステップと、
前記光ファイバケーブルを使用して前記受信ユニットから前記送信ユニットに送信される、前記受信ユニットに結合された電気負荷の電力要件に関する情報を含むデータ信号をプロセッサにおいて受け取るステップと、
前記プロセッサを使用して、前記
高出力レーザーエネルギーを伝送するために使用される前記光ファイバの数を前記電気負荷の前記電力要件に基づいて調整することによって、前記送信ユニットによって出力される前記高出力レーザーエネルギーを制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記送信ユニットによって出力される前記高出力レーザーエネルギーを制御するステップは、前記電気負荷の前記電力要件が、前記送信ユニットに結合された外部電源に関連する閾値電力量を超えている場合に、前記高出力レーザーエネルギーの伝送を中断させるステップをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記送信ユニットによって出力される前記高出力レーザーエネルギーを制御するステップは、前記レーザー光源によって出力されるパワーの量を前記電気負荷の前記電力要件に従って調整するステップをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記データ信号は、前記電気負荷への電力供給を確認する情報をさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記データ信号は、前記受信ユニットに含まれる光送信機によって生成されて前記光ファイバケーブルを介して送信される光データ信号であり、前記データ信号を受け取る前記ステップは、前記送信ユニットに含まれる光受信機において前記光データ信号を受け取るステップを含み、前記方法は、前記光データ信号をデジタルデータ信号に変換するステップをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項17】
各光ファイバは熱フィラーによって取り囲まれる、
請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記光検出器は、少なくとも1つのフォトダイオード検出器を含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記光ファイバケーブルは、約1ギガワットのパワーを有するレーザーエネルギーを約0.1デシベル(dB)の損失で約1000キロメートル(km)の距離にわたって伝送することができる、
請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記レーザー光源は、約2.1μmの波長で動作する1又は2以上のレーザーダイオードバーを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項21】
各光ファイバは、ZrF
4-BaF
2-LaF
3-AlF
3-NaF(ZBLAN)を含む、
請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に光ファイバに関し、具体的には、光ファイバケーブル、光ファイバケーブルを使用して又はこれらのケーブルを別様に使用して電力を分配するシステム、及びこのようなケーブルに含まれる光ファイバを改良(refine)するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電源から遠くに離れたエンドポイントに電力を伝送するために光ファイバケーブルを使用することができる。通常、「光ファイバ給電(power over fiber)」という用語は、電源によって生成された電力がレーザー光源を使用して光パワー(optical power)に変換され、この光パワーが光ファイバケーブルを介して光検出器に伝送され、光検出器が光パワーを再び電力に変換して電気負荷に供給するシステムを意味する。一例として、典型的な光ファイバ給電システムは、レーザーダイオードと、シリカファイバで形成されたマルチモード光ファイバと、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)又はヒ化インジウムガリウム(InGaAs)などの材料で構成された光起電力セル又はその他の半導体デバイスとを含む。
【0003】
光ファイバ給電システムは、例えば電気的干渉、雷による停電、及び電気スパークで発火する爆発のリスクがほとんど又は全くないことを含む、典型的な電力システムに優る複数の利点をもたらす。また、光ファイバケーブルは、大幅に高い電力密度を有し、より高い温度に耐えることができ、電気ケーブルよりもはるかに軽量である。さらに、電線とは異なり、同じ光ファイバを使用して一方向に光パワーを送信し、例えば異なる波長又はチャネルを使用して他方向にデータを戻すこともできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シリカベースのファイバを利用する従来の光ファイバ給電システムは、伝送及び分配損失、送信側(すなわち、電気から光への変換)及び受信側(すなわち、光から電気への変換)の両方の変換効率、並びに伝送媒体自体における大量の減衰に見舞われ、従ってこのようなシステムの幅広い適用性が制限される。例えば、長距離(例えば、高架で800キロメートル(km)又は海面下で50km)にわたる高電力の伝送は、シリカベースのファイバの代わりに銅又はアルミニウムケーブルを使用する(電力又は電気高速路(power or electrical superhighway)としても知られている)高電圧直流(HVDC)送電システムを使用して達成される。それでも、交流(AC)からHVDCへの変換効率は60%程度の低さであると考えられ、いくつかの既存の海底システムは65%又はそれを上回る総電力損失に見舞われる。
【0005】
別の既知のタイプのファイバは、「ZBLAN」ファイバとしても知られているフッ化ジルコニウム-フッ化バリウム-フッ化ランタン-フッ化アルミニウム-フッ化ナトリウム(ZrF
4-BaF
2-LaF
3-AlF
3-NaF)である。ZBLANは、標準的なシリカよりも優れた赤外線透過率及び大幅に低い損失プロファイルを有するタイプのフッ化物ガラスである。例えば、
図1に示すように、標準的なシリカファイバは、1550ナノメートル(nm)において約0.25dB/kmの最小損失を有するのに対し、ZBLANファイバの理論的損失限界は、それよりも3桁低い約0.0001dB/kmである。しかしながら、多くの場合、ZBLANは、製造プロセス中に形成されて材料の透過率を阻害する恐れがある望ましくない不純物又は結晶子を含んでいるため、この損失限界は到達が困難である。
【0006】
具体的には、
図2に示すように、ZBLANは、ZBLANファイバが固体ガラスから液体又は粘性状態に転移する温度(すなわち、ガラス転移温度T
g)と結晶化が発生する温度(結晶化温度T
x)との間の温度差が比較的小さい。このため、ZBLANの動作範囲は狭く、従って線引きプロセス(drawing process)中に比較的容易に結晶子が生じてしまう。ZBLANを単位重力(すなわち、地球上)ではなく無重力又は微小重力(すなわち、宇宙空間)で成長させることにより、微小重力条件時における対流過程の低減に起因して結晶子を抑制又は低減できることが示されている。しかしながら、微小重力条件でZBLANを製造する従来の技術は、例えば宇宙での移動又は地球上での廃鉱縦坑の使用を必要とするため極めて高コストであり、時間を要し、及び/又は大規模な実行が困難である。
【0007】
従って、当該技術分野では、超高電力を大幅に低い損失で長距離にわたって効率的に伝送できる光ファイバケーブル及び総合的光ファイバ給電システムが依然として必要とされている。
【0008】
本発明は、(1)超高出力レーザーエネルギーを大幅に低い損失で長距離にわたって伝送できる複数の個々のZBLANファイバを含む光ファイバケーブルと、(2)地球上で形成された微小重力環境内でファイバをアニーリングすることを含む、上記光ファイバから欠陥を除去する技術と、(3)光ファイバケーブルと、光ファイバケーブルの第1の端部に結合された超高出力レーザー光源と、光ファイバケーブルの第2の端部に結合されたフォトダイオード検出器とを含む光ファイバ給電システムとを提供するように構成されたシステム、方法及び装置によって、上述の及びその他の問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの例示的な実施形態は、ファイバコアと、ファイバコアの周囲のクラッドとを含む一定長の光ファイバ内の欠陥を除去するシステムであって、光ファイバの所与のセグメントをファイバの結晶化温度(Tx)よりも高くファイバの溶融温度(Tm)よりも低い第1の温度に内部で加熱するように構成された加熱チャンバを含むアニーリングユニットと、自由落下運動を使用してアニーリングユニットを高所から低所に移動させるように構成されるとともに、自由落下運動の第1の期間中に光ファイバのセグメントの第1の温度を維持するようにさらに構成された加熱チャンバとを備え、アニーリングユニットが、第2の期間中に、光ファイバセグメントを光ファイバの結晶化温度(Tx)よりも低くガラス転移温度(Tg)よりも高い第2の温度に、光ファイバに関連する臨界冷却速度で冷却するように構成され、第2の期間の終了後に、アニーリングユニットが、光ファイバの後続のセグメントを加熱チャンバ内に移行させるようにさらに構成され、チャンバが、アニーリングユニットを低所から高所に移動させるようにさらに構成された、システムを提供する。
【0010】
別の例示的な実施形態は、1又は2以上のプロセッサを含むシステムのアニーリングユニット内に少なくとも部分的に配置された、ファイバコアとファイバコアの周囲のクラッドとを含む一定長の光ファイバから欠陥を除去する方法であって、(a)1又は2以上のプロセッサを使用して、光ファイバの所与のセグメントをアニーリングユニットの加熱チャンバ内に配置するステップと、(b)加熱チャンバ及び1又は2以上のプロセッサを使用して、所与のセグメントをファイバの結晶化温度(Tx)よりも高くファイバの溶融温度(Tm)よりも低い第1の温度に加熱するステップと、(c)1又は2以上のプロセッサを使用して、自由落下運動を使用してアニーリングユニットを高所から低所に移動させるステップと、(d)自由落下運動中に、加熱チャンバ及び1又は2以上のプロセッサを使用して、所与のセグメントを第1の期間にわたって第1の温度に維持するステップと、(e)第2の期間中に、1又は2以上のプロセッサを使用して、所与のセグメントをファイバの結晶化温度(Tx)よりも低くガラス転移温度(Tg)よりも高い第2の温度に、ファイバの臨界冷却速度で冷却するステップと、(f)第2の期間後に、1又は2以上のプロセッサを使用してアニーリングユニットを低所から高所に移動させるステップと、(g)1又は2以上のプロセッサを使用して、光ファイバの長さ全体が処理されるまで光ファイバの各後続のセグメントについてステップ(a)~(f)を繰り返すステップと、を含む方法を提供する。
【0011】
さらに別の例示的な実施形態は、ファイバコアとファイバコアの周囲のクラッドとを含む一定長の光ファイバ内の欠陥を低減するシステムであって、光ファイバの所与のセグメントをファイバの結晶化温度(Tx)よりも高くファイバの溶融温度(Tm)よりも低い第1の温度に選択的に加熱するように構成された発熱体と、所与のセグメントを発熱体に隣接して選択的に固定するように構成されたクランピングシステムと、を含むアニーリングユニットと、アニーリングユニットを収容し、アニーリングユニットとアニーリングユニット内に固定された光ファイバの所与のセグメントとを第1の位置から第2の位置に第1の加速度で移動させるともに、アニーリングユニット及び所与のセグメントを第2の位置から第1の位置に第1の加速度よりも低い第2の加速度で移動させるように構成された加速チャンバとを備え、光ファイバの所与のセグメントが、第1の加速度である間に発熱体によって第1の期間にわたって第1の温度に加熱され、所与のセグメントが、第2の期間にわたって、ファイバに関連する臨界冷却速度でファイバの結晶化温度よりも低くガラス転移温度(Tg)よりも高い第2の温度に冷却され、クランピングシステムが、第2の期間後に光ファイバの所与のセグメントを解放して光ファイバの後続のセグメントを発熱体に隣接して固定するように構成された、システムを提供する。
【0012】
別の例示的な実施形態は、1又は2以上のプロセッサを含むシステムのアニーリングユニット内に少なくとも部分的に配置された、ファイバコアとファイバコアの周囲のクラッドとを含む一定長の光ファイバから欠陥を除去する方法であって、(a)1又は2以上のプロセッサを使用して、光ファイバの所与のセグメントをアニーリングユニットの発熱体に隣接して固定するステップと、(b)1又は2以上のプロセッサ及び発熱体を使用して、所与のセグメントをファイバの結晶化温度(Tx)よりも高くファイバの溶融温度(Tm)よりも低い第1の温度に加熱するステップと、(c)1又は2以上のプロセッサを使用して、アニーリングユニットを第1の位置から第2の位置に第1の加速度で移動させるステップと、(d)第1の加速度である間に、1又は2以上のプロセッサ及び発熱体を使用して、所与のセグメントの第1の温度を第1の期間にわたって維持するステップと、(e)第2の期間中に、1又は2以上のプロセッサを使用して、所与のセグメントをファイバの結晶化温度よりも低くガラス転移温度(Tg)よりも高い第2の温度に、ファイバの臨界冷却速度で冷却するステップと、(f)第2の期間後に、1又は2以上のプロセッサを使用して所与のファイバセグメントを解放するステップと、(g)1又は2以上のプロセッサを使用して、アニーリングユニットを第1の加速度よりも遅い第2の加速度で第2の位置から第1の位置に移動させるステップと、(h)1又は2以上のプロセッサを使用して、光ファイバの長さ全体が処理されるまで光ファイバの各後続のセグメントについてステップ(a)~(g)を繰り返すステップと、を含む方法を提供する。
【0013】
さらに別の例示的な実施形態は、光ファイバ給電システムであって、高出力レーザーエネルギーを放出するように構成されたレーザー光源と、検出された光を電気エネルギーに変換するように構成された光検出器と、光ファイバケーブルとを備え、光ファイバケーブルが、レーザー光源に結合された第1の端部と、光検出器に結合された反対側の第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延びる長さと、それぞれがケーブルの長さに延びて、ファイバを取り囲む熱フィラーを有する、複数の光ファイバとを含む、光ファイバ給電システムを提供する。
【0014】
別の例示的な実施形態は、レーザー光源を有する送信ユニットと、光検出器を有する受信ユニットと、送信ユニットと受信ユニットとの間に結合された光ファイバケーブルとを備えた光ファイバ給電システムにおける電力供給の管理方法であって、光ファイバケーブルが複数の光ファイバを含み、各光ファイバが光ファイバケーブルの長さに延び、方法が、光ファイバケーブルに含まれる一定数の光ファイバを使用して、送信ユニットから受信ユニットに高出力レーザーエネルギーを伝送するステップと、光ファイバケーブルを使用して受信ユニットから送信ユニットに送信される、受信ユニットに結合された電気負荷の電力要件に関する情報を含むデータ信号をプロセッサにおいて受け取るステップと、プロセッサを使用して、レーザーエネルギーを伝送するために使用される光ファイバの数を電気負荷の電力要件に基づいて調整することにより、送信ユニットによって出力される高出力レーザーエネルギーを制御するステップと、を含む方法を提供する。
【0015】
さらに別の例示的な実施形態は、光ファイバケーブルであって、第1の端部と第2の端部との間に延びる長さと、中心冷却管と、ファイバコアとファイバコアの周囲に配置されたクラッドとをそれぞれが含む、冷却管の半径方向周囲に配置された複数の光ファイバと、外側保護カバーと、外側保護カバーと中心冷却管との間に配置されて光ファイバの各々を取り囲む内側熱フィラーとを備え、中心冷却管、外側保護カバー、内側熱フィラー及び複数の光ファイバがそれぞれケーブルの長さに延びる、光ファイバケーブルを提供する。
【0016】
理解されるように、本開示は添付の特許請求の範囲によって定められる。本明細書は実施形態の態様の要約であり、特許請求の範囲を限定するために使用すべきではない。当業者には、以下の図面及び詳細な説明を検討すれば明らかになるように、本明細書で説明する技術に従って他の実施も想定され、このような実施も本出願の範囲に含まれるように意図される。
【0017】
本発明をより良好に理解できるように、以下の図面に示す実施形態を参照することができる。本明細書で説明する新規特徴を強調して明確に示すように、図面内のコンポーネントは必ずしも縮尺通りではなく、関連する要素を省略していることも、或いはいくつかの事例では比率を誇張していることもある。また、当業で知られているように、システムコンポーネントは様々な形で配置することができる。さらに、図面では複数の図全体を通じて同様の参照番号が対応する部分を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】シリカ及びZBLANの既知の予測損失プロファイルを示すグラフである。
【
図2】ZBLANの結晶化温度及びガラス転移温度を示す既知の示差走査熱量計(differential scanning calorimeter:DSC)の結果を示すグラフである。
【
図3】いくつかの実施形態による、
図3の光ファイバケーブルを含む例示的な光ファイバ給電システムを示す機能ブロック図である。
【
図4】いくつかの実施形態による例示的な光ファイバケーブルの断面ビューを示す概略図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、光ファイバを改良するために使用される加速度プロファイルを示すグラフである。
【
図6】いくつかの実施形態による、一定長の光ファイバから欠陥を除去する例示的な方法のフロー図である。
【
図7A】いくつかの実施形態による、
図6の方法を使用して光ファイバ内の欠陥を低減する例示的な改良システムの機能ブロック図である。
【
図7B】いくつかの実施形態による、
図7Aの改良システムに含まれる例示的なアニーリングユニットの機能ブロック図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、一定長の光ファイバから欠陥を除去する別の例示的な方法のフロー図である。
【
図9】いくつかの実施形態による、
図8の方法を使用して光ファイバ内の欠陥を除去する例示的な改良システムの概略図である。
【
図10A】いくつかの実施形態による、
図9の改良システムに含まれる例示的なアニーリングユニットの正面透視ビューを示す概略図である。
【
図10B】いくつかの実施形態による、
図9の改良システムに含まれる例示的なアニーリングユニットの底面透視ビューを示す概略図である。
【
図10C】いくつかの実施形態による、
図9の改良システムに含まれる例示的なアニーリングユニットの上面ビューを示す概略図である。
【
図11A】いくつかの実施形態による、
図9の改良システム内に光ファイバを固定する例示的なクランピングシステムの概略図である。
【
図11B】いくつかの実施形態による、
図9の改良システム内に光ファイバを固定する例示的なクランピングシステムの概略図である。
【
図12】いくつかの実施形態による別の例示的な光ファイバ給電システムの機能ブロック図である。
【
図13】いくつかの実施形態による例示的な光パワー分配システムの機能ブロック図である。
【
図14】いくつかの実施形態による、光ファイバ給電システムにおける例示的な送電管理方法のフロー図である。
【
図15】いくつかの実施形態による、医療用途のために構成された別の例示的な光ファイバ給電システムの機能ブロック図である。
【
図16】いくつかの実施形態による、
図15のシステムに含まれる例示的な光ファイバの断面ビューを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は様々な形態で具現化することができるが、本開示は本発明の例示としてみなすべきであり、本発明を図示の特定の実施形態に限定することを意図するものではないとの理解の下で、図面にはいくつかの例示的かつ非限定的な実施形態を示し、以下ではこれらについて説明する。
【0020】
本出願では、離接語(disjunctive)の使用は接続語を含むように意図される。定冠詞及び不定冠詞の使用は要素数の粒度(cardinality)を示すように意図するものではない。具体的には、「the(英文定冠詞)」又は「a及びan(英文不定冠詞)」を付した物体(object)への言及は、考えられる複数のこのような物体のうちの1つを示すように意図される。
【0021】
以下の説明では、不要な詳述で本開示を曖昧にしないように、要素、回路及び機能をブロック図形式で示していることがある。また、様々なブロック間のブロック指定及びロジックの分割は特定の実施形態の例示である。さらに、当業者であれば、ブロック図に示す情報及び信号は様々な異なる1又は複数の技術を使用して表すことができると理解するであろう。例えば、図にはデータ、命令、信号又はコマンドを表していることがあるが、これらは電圧、電流、電磁波、磁場又は光場、或いはこれらの組み合わせを表すものでもあると理解されるであろう。また、いくつかの図面には、説明を明確にするために信号を1つの信号として表しているが、当業者であれば、この信号は複数の信号のバスを表すこともできると認識するであろう。本明細書に開示する実施形態に関連して説明する様々な例示的な論理ブロック、モジュール及び回路は、1又は2以上のプロセッサを使用して実装又は実行することができる。当業者であれば十分に理解できるように、ブロック図における別々のプロセッサの開示は、本明細書に開示する機能又は論理シーケンスを実行する複数のプロセッサを示すことができ、或いは単一のプロセッサ上で実行される複数の機能又はシーケンスを表すことができる。
【0022】
本明細書で説明するシステム、方法及び装置は、ZBLANファイバを改良する技術を提供するとともに、改質されたZBLANファイバの複数のストランドで構成された、大量の電力を大幅に低い損失で非常に長い距離にわたって伝送できる光ファイバケーブルを提供する。また、電気-光変換ユニットに含まれる光源と光-電気変換ユニットに含まれる光検出器との間の伝送媒体として光ファイバケーブルを利用する光ファイバ給電システムも提供する。
【0023】
光ファイバ給電システムの用途は、光パワー分配システム及び医療又は外科用途を含む様々なものが想定される。実施形態は、超大容量の(例えば、小国に給電するのに十分な)光パワーを海底又は海中条件下で大陸間伝送するための連系線(interconnector)として光ファイバケーブルを使用する光パワー分配システムを含む。例えば、光パワー分配システムは、海水位では1000kmほどの、又は海底では50kmほどの距離にわたって最大1ギガワットの電力を分配することができる。他の実施形態は、配電所間で配電網を介して電力を分配し、及び/又はイーサネット給電(power over ethernet:POE)用途において住宅及び商業環境の中継塔に給電を行い、及び/又は様々な自動車及び航空宇宙用途において電力を分配するために光ファイバケーブルを使用する光パワー分配システムを提供する。
【0024】
図3に、実施形態による、光源102と、光ファイバケーブル104と、光検出器106とを含む例示的な光ファイバ給電システム100を示す。図示のように、光ファイバケーブル104は、光源102に結合された第1の端部108と、光検出器106に結合された反対側の第2の端部110と、第1の端部と第2の端部との間に延びる長さxとを含む。実施形態では、光源102、光ファイバケーブル104及び光検出器106の各々を、変換効率を最大化し、パワー伝送距離を最大化し、挿入損失を最小化するように最適に構成することができる。光ファイバ給電システム100は、例えば(例えば、
図13に示すような)商業用途、住宅用途又はその他の用途のための電力分配システム、及び(例えば、
図15に示すような)手術装置などの、2地点間での光パワーの伝送を必要とする様々な用途で使用することができる。
【0025】
光源102は、電気エネルギーを光エネルギーに変換して光エネルギーを放出できる1又は2以上のレーザーダイオード又はその他の半導体デバイスを含む。いくつかの実施形態では、光源102が、例えば
図12に示すような大規模電気-光変換ユニットの一部である。好ましい実施形態では、光源102が、超低閾値電流で超高出力レーザーエネルギーを放出できる高効率レーザー光源である。一例として、(本明細書では「レーザー光源」とも呼ぶ)光源102は、約2.1ミクロン(μm)の波長で動作する1又は2以上の高出力レーザーダイオードバー(例えば、GaInAsSb/AlGaAsSbダイオード)を含むことができる。別の例として、光源102内のレーザーダイオードは、約980ナノメートル(nm)の波長及び約420ワット(W)の出力電力を有するマルチエミッタマルチモードレーザーダイオード又はその他のいずれかの適切なレーザーダイオードであることができる。1つの実施形態では、光源102が、少なくとも約85パーセントの変換効率と、少なくとも約1ギガワット(GW)のリンク当たりピーク電力供給量(peak power delivery per link)とを有する。いくつかの実施形態では、光源702が、アレイ状に配置された複数のレーザーダイオード(例えば、ダイオードアレイ)を含む。このような事例では、光源102の総出力電力を変更又は制御するために、各ダイオードを個別に制御(例えば、オン又はオフ)することができる。光源102は、光源102の出力を安定化させる(例えば、レーザーエネルギーの変動を防ぐ)ように構成された1又は2以上のモニタダイオードをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、光源102のモニタダイオードが、光源102において光検出器106から受け取られた信号(例えば、光データ信号)をモニタし、これらの信号をプロセッサ(例えば、
図7のプロセッサ730)に供給するようにさらに構成される。
【0026】
光検出器106は、レーザー光又はその他の光エネルギーを検出して検出光を電気エネルギーに変換できるフォトダイオード、光起電力セル、又はその他の半導体デバイスを含む。いくつかの実施形態では、光検出器106が、例えば
図12に示すような大規模光-電気変換ユニットの一部である。好ましい実施形態では、光検出器106が、1又は2以上の高効率フォトダイオード検出器(例えば、4接合InGaAs)を含む。1つの実施形態では、光検出器106が、少なくとも約85パーセントの変換効率及び少なくとも約1ギガワット(GW)のリンク当たりピークパワー供給量を有するとともに、約1ワット(W)の連続パワー伝送量を有する。
【0027】
光ファイバケーブル104は、光源102から光検出器106に光パワーを運ぶ伝送媒体としての役割を果たすことができる。光ファイバケーブル104は、例えば
図13に示すように光パワーに加えてデータ信号を伝送するように構成することもできる。好ましい実施形態では、光ファイバケーブル104が、冷却された中心部と、ケーブルの長さに延びてZrF
4-BaF
2-LaF
3-AlF
3-NaF(ZBLAN)を含む各光ファイバを取り囲む熱アクリルフィラー(thermal acrylic filler)とを有する、互いに束ねられた複数の光ファイバを含む超高出力ケーブルである。1つの実施形態では、光ファイバケーブル104が、少なくとも約1ギガワット(GW)の電力を有するレーザーエネルギーを約0.1デシベル(dB)の損失及び0.4GW/cm
2の電力密度で少なくとも約1000キロメートル(km)の距離にわたって伝送することができる。
【0028】
図4に、実施形態による例示的な光ファイバケーブル200の断面図を示す。光ファイバケーブル200は、光ファイバ給電システム100に、又は本明細書で説明する他のシステムのうちのいずれかに光ファイバケーブル104として含めることができる。他の実施形態では、光ファイバケーブル200を、光パワーの代わりに通信信号を長距離にわたって伝送するように構成することもできる。
【0029】
図示のように、光ファイバケーブル200は、中心冷却管204の半径方向周囲に配置されて外側保護カバー206によって包まれた複数の光ファイバ202を含む。いくつかの実施形態によれば、光ファイバケーブル200は、所望の電力容量及び伝送距離に応じて約5~10本の範囲のファイバから選択されるいずれかの数のファイバ202を含むことができる。1つのこのような実施形態では、光ファイバケーブル200が8つの光ファイバ202の束を含み、少なくとも約1ギガワット(GW)の電力を有するレーザーエネルギーを約0.1デシベル(dB)の損失及び0.4GW/cm2の電力密度で少なくとも約1000キロメートル(km)の距離にわたって送信することができる。他の実施形態では、光ファイバケーブル200が、超大容量パワー伝送ニーズに対応するために最大約8000本の光ファイバ202を含む。
【0030】
複数のファイバ202を1つの光ファイバケーブル200に束ねることにより、ケーブル200を使用して、パワー伝送に使用されるファイバ202の数を単純に制御することによって、エンドポイント又はそこに結合された電気負荷への配電を変更することができる。このようにして、伝送される光パワーを電気負荷の分配ニーズに一時的に合わせることができる。
【0031】
冷却管204は、パワー伝送中に光ファイバ202によって発生する熱を中和し又は放散させることによってケーブル200のパワー容量を高めるように構成される。例えば、冷却管204は、ケーブル200の温度をZBLANファイバの熱膨張温度未満に保つとともに、ZBLANのガラス転移温度(例えば、摂氏約315度(℃))をはるかに下回る温度に保つように構成することができる。1つの実施形態例では、冷却管204が、ケーブル200の全体的温度を100℃未満に保持又は維持するように構成される。他の実施形態では、冷却管204を、ケーブル温度を異なる閾値温度又はそれ未満に維持するように構成することができる。
【0032】
実施形態によれば、冷却管204は、例えば空気又はその他の気体、或いは適切な油又はその他の液体などの好適な冷却物質又は冷却剤208で満たされた中空の内部を含む。例えば、冷却剤208は、直鎖デシルベンゼン又は分岐ノニルベンゼンなどの鉱油又はアルキラートを含むことができる。いくつかの実施形態では、冷却剤208が低温空気であり、低温空気が受動的に管204に行き渡ることを可能にするために、冷却管204の(例えば、ケーブル200の両端の)2つの端部を開いた状態に保つことができる。他の実施形態では、冷却剤208が、ケーブル200の1又は2以上の端部に(例えば、コネクタ内に)配置された冷却剤管理ポンプ(図示せず)を使用して能動的に管204全体に押しやられる低温空気又は液体である。物質208は、冷却特性を有することに加えて、冷却管204内に閾値量の圧力を維持することによって管204の機械的完全性を維持するように構成することもできる。必要とされる正確な圧力の量は、ケーブル200に含まれるファイバ202の数、冷却剤208のタイプ、及びケーブル200の使用環境(例えば、海面下又は地下)に応じて異なることができる。
【0033】
冷却管204自体は、アルミニウム、アクリル、又はその他の好適な材料で形成することができる。例えば、より厚い壁及び/又は高い機械的安定性が必要な場合(例えば、ケーブル200が多くのファイバ202を含み、従って多くのパワーを伝送して多くの熱を生じる場合)には、冷却管204をアルミニウムで形成することができる。別の例として、より薄い壁でよい場合(例えば、ケーブル200が少数のファイバ202を含み、従って伝送するパワーが少なく、発生する熱が少ない場合)には、冷却管204をアクリルで形成することができる。ケーブル200が少量のパワーを伝送する実施形態では、冷却管204の直径を非常に小さくし、又は冷却管204を完全に除外することもできる。
【0034】
(「保護ジャケット」とも呼ばれる)外側保護カバー206は、ポリウレタン(PUR)又はポリビニルクロリド(PVC)で構成され、ファイバ202及び冷却管204を外部の物理的力及び化学的劣化から保護して隔離するように構成される。保護カバー206は、ケーブル200の内部コンポーネントを包み込むハウジングも提供する。いくつかの実施形態では、外側保護カバー206が、カバー206を形成するように同心状に配置されて互いに接合された複数の材料層を含む。
【0035】
図4に示すように、光ファイバケーブル200は、外側保護カバー206と中心冷却管204との間に配置されて光ファイバ202の各々を取り囲む内側熱フィラー210をさらに含む。実施形態では、熱フィラー210が、ケーブル200の空間的又は機械的完全性を維持するとともに、ケーブル200全体を通じて一貫した温度を維持するように構成される。例えば、熱フィラー210は、光ファイバ202の各々を完全に取り囲むことによって個々のファイバ202間を隔離し、又はこれらの間の接触を防ぐことにより、ファイバ202のうちの1つ又は2つ以上に熱の蓄積が存在する場合にホットスポットの形成を回避する。さらに、熱フィラー210は、可変断熱性及び構造的完全性をもたらすように複数の異なるサイズの孔で構成された多孔質構造を有することができる。これらの孔を空気流が流れると、フィラー210全体を通じて熱が伝わり又は移動し、従って特定のファイバ202の周囲に熱が蓄積されるのを抑え又は防ぐ。実施形態によれば、熱フィラー210は、アクリル(例えば、ポリメチルメタクリラート(PMMA))又はその他の好適な材料で構成することができる。
【0036】
光ファイバケーブル200は、第1の端部と第2の端部との間に延びる長さ(例えば、
図3に示す長さx)を有し、中心冷却管204、外側保護カバー206、内側熱フィラー210及び複数の光ファイバ202の各々はこのケーブル200の長さに延びる。従って、光ファイバ202の各々は、中心冷却管204と実質的に平行に延びることができ、外側保護カバー206は、冷却管204と同心状に整列することができる。
【0037】
実施形態によれば、各光ファイバ202は、ファイバコア212と、ファイバコア212の周囲に配置されたクラッド214とを有するマルチモードファイバである。ファイバコア212は、クラッド214の中心に配置してクラッド214に融合又は接合することができる。コア212は、微小重力環境内で線引きされたZBLANファイバを含み、ファイバ202の長さに沿ったパワー伝送を最適化するように選択された直径を有するステップインデックスファイバコア(step index fiber core)であることができる。いくつかの実施形態では、ファイバコア212が、約200μm~約400μmの範囲から選択された直径を有する。他の実施形態では、ファイバコア212が、約300μm~約500μmの範囲から選択された直径を有する。1つの実施形態例では、コア直径が約600μmである。
【0038】
クラッド214は、クラッド214とコア212との間の境界で全内部反射を引き起こすことによって光をファイバコア212内に閉じ込めるように構成することができる。実施形態では、クラッド214を、ZBLANファイバ材料と同様のものではあるが光学的に異なるフッ化物ガラス材料で形成することができる。例えば、クラッド214は、ファイバコア212の屈折率よりも低い屈折率を有する材料で構成することができる。クラッド214の厚みは、コア直径、光ファイバ202にとって望ましい全径、ファイバ202を通じた光伝達を損なわずにクラッド214の厚みを最小化するこれらの2つの値間の最適な比率、及び/又はファイバ202全体にとって望ましい量の柔軟性に基づいて選択することができる。一例として、ファイバコア212が約400μmの直径を有する実施形態では、クラッド214(従って、ファイバ202全体)が約460μmの直径を有することができる。また、コア直径が小さい実施形態では、クラッド直径も比例的に小さくすることができる。
【0039】
光ファイバケーブル200の全径又は外側保護カバー206の直径は、各個々のファイバ202の直径、ケーブル200に含まれるファイバ202の数、冷却管204及び熱フィラー210の直径、及び/又は外側保護カバー206の厚みに依存することができる。一例として、図示の実施形態では、光ファイバケーブル200が、それぞれが約500ミクロンの直径を有する8つのZBLAN光ファイバ202の束と、約5ミリメートル(mm)の直径を有する外側保護カバー206とを含む。
【0040】
ZBLAN光ファイバ202は、光ファイバケーブル200の製造前に、例えば
図6に示す方法300及び/又は
図8に示す方法500などの1又は2以上のアニーリング法を使用して改良又は改質される。これらの方法は、ZBLANのコア及びクラッド内の散乱損失を生じる欠陥を除去又は低減することにより、ファイバ202をより長い伝送のために最適化するように構成される。さらに、相当量のZBLANファイバを改良するための従来の方法は、必要な低重力又は無重力環境を得るために宇宙(例えば、LEO衛星又は国際宇宙ステーション内)への移動を必要とするが、本明細書で説明するアニーリング法は、地球から離れ又は航空機を使用することなく達成することができる。
【0041】
一般に、これらの方法は、例えば
図4に示す光ファイバ202などの既製のZBLANファイバを非常に短いセグメントで処理してファイバ内の結晶及びその他の欠陥を除去し、従って既製のファイバを改善することを含む。実施形態によれば、このプロセスは、ZBLANのガラス転移温度(T
g)よりも十分に高く結晶化温度(T
x)よりも高いが溶融温度(T
m)よりも低い温度にファイバを加熱することを含む。例えば、ZBLANファイバが摂氏約260度(℃)のT
gと、約352℃のT
xと、約450℃のT
mとを有する実施形態では、このプロセス中にZBLANファイバを約370℃のアニーリング温度(T
a)に加熱することができる。プロセスは、ZBLANファイバをアニーリング温度で加熱しながら、自由落下環境又は微小重力環境を模倣するように所定の時間にわたって地球の重力加速度(例えば、9.8メートル毎秒毎秒(m/s
2))に加速させることをさらに含む。次に、プロセスは、結晶化温度を下回る急冷温度(T
q)にファイバを急速に冷却又は急冷することを含む。いくつかの実施形態では、急冷温度がアニーリング温度を約10~20℃下回る。例えば、アニーリング温度が約370℃である実施形態では、急冷温度が約350℃であることができる。このプロセス中に新たな結晶子が導入されるのを避けるのに役立つように、冷却ステップはファイバが依然として自由落下状態にある間に開始され、従って重力が存在するようになる前にアニーリングステップが完了することを確実にする。
【0042】
ZBLANファイバを完全なものにするプロセスは、レーザーと光検出器との組み合わせ、或いはファイバの散乱プロファイル又は材料内の欠陥によって散乱した入射光の量をリアルタイムで測定できる他のデバイスを使用して現場でモニタすることができる。散乱プロファイルは、ZBLANファイバの結晶子割合を示し、従ってアニーリングプロセスの有効性を判定するために使用することができる。リアルタイムモニタリング結果によって高い結晶子割合が示された場合には、最適なファイバ損失指標が達成されるまで複数回のサイクルを通じてプロセスを繰り返すことができる。
【0043】
図5に、実施形態による、本明細書で説明する処理中のZBLANファイバの例示的な加速度プロファイル250を示す。図示のように、加速度プロファイル250は3つの期間にわたって変化する。第1の期間t
1中には、ファイバがゼロ加速度(a=0)から約9.8m/s
2に等しい標準的な自由落下加速度又は重力(g
o)による加速度に加速する。また、この第1の期間中には、ファイバが開始温度からアニーリング温度T
a(例えば、370℃)に加熱される。この第1の期間t
1は、「立ち上げ(ramp up)」期間と呼ぶこともできる。第2の期間t
2中には、ファイバが重力加速度で移動し続ける。また、第2の期間中には、ファイバがアニーリング温度に加熱され続け、又は所定の時間長にわたってアニーリング温度に保持される。第3の期間t
3中には、ファイバが減速して静止状態に戻る。また、第3の期間中には、ファイバが予め設定された時間長にわたって急冷温度T
qに冷却される。
【0044】
実施形態では、第2の期間t2が、ファイバを加熱するための第1の所定の時間長と、ファイバを冷却するための第2の所定の時間長とを含む。第1の時間長は、ファイバがアニーリングされる又はアニーリング温度に加熱される期間を含むので、ファイバのアニーリング期間と考えることができる。第2の時間長は、ファイバの冷却期間の一部を成す。この冷却期間は、第3の期間t3の少なくとも一部、すなわちファイバを急冷温度に冷却するのに必要な予め設定された時間長の少なくとも一部も含む。実施形態によれば、第2の時間長は、加速中に冷却期間が開始するように第2の期間t2の最後に位置する。これにより、ファイバ温度がアニーリング温度未満に低下した時に依然としてファイバが自由落下状態にあることが確実になり、従ってファイバが冷えている間に新たな結晶子が形成されることが防がれる。様々な実施形態では、第1の時間長が第2の時間長よりも長い。いくつかの実施形態では、アニーリング期間の長さ及び冷却期間の長さが実質的に等しい。
【0045】
3つの期間(t
1、t
2及びt
3)の各々の正確な時間長は、複数の因子に基づいて決定することができる。例えば、第1の期間は、ファイバの加速率、及びファイバの加熱に使用される要素の加熱速度に依存することができる。第2の期間は、自由落下加速度に加えて、加速(例えば、自由落下による降下)中にファイバが移動する距離、及びアニーリングすべきファイバの長さに依存することができる。第3の期間は、ZBLANファイバに関連する臨界冷却速度(CCR)、及びファイバの減速率に依存することができる。一例として、いくつかの実施形態では、ZBLANファイバが40℃/sの臨界冷却速度を有する。このような事例では、約1メートルのファイバ長に約320ミリ秒(ms)の第2の期間が必要と考えられ、第1及び第3の期間の方がはるかに短い(例えば、100ms)。
図5には、期間t
1及びt
3をほぼ等しいように示しているが、他の事例では、これらの2つの期間が、例えば上述した因子に応じて変化し又は互いに異なることもできる。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1の期間中にファイバが加速する加速率又は速さを、例えば所与の波長(例えば、650ナノメートル(nm))におけるファイバ長の散乱及び吸収レベルなどの、ZBLANファイバのいくつかの特性、並びにファイバを自由落下状態にし又はファイバを重力場内に別様に解放するために使用される機構(例えば、アクチュエータ)に基づいて決定することができる。同様に、第2の期間中にファイバが減速する減速率又は速さは、同じファイバ特性、及び摩擦力を加えてファイバの動きを減速させるために使用される機構(例えば、グリッパ又はブレーキ)に基づいて決定することができる。
【0047】
図6に、ファイバコアとファイバコアの周囲のクラッドとを含む一定長の光ファイバから欠陥を除去する第1の例示的なプロセス又は方法300を示す。実施形態では、光ファイバが、
図4に示す光ファイバ202と同じもの又は実質的に同様のものであることができる。
図7Aには、一定長のZBLANファイバの欠陥を除去するように構成された例示的なファイバ改良システム(fiber refining system)400を示す。いくつかの実施形態では、システム400を使用してプロセス300を実行することができる。従って、以下の段落では、説明を容易にするためにプロセス300をシステム400に関連して説明する。しかしながら、他の実施形態では、ZBLANファイバのアニーリングが可能な他のシステム又はデバイスを使用してプロセス300を実施することもできると理解されたい。
【0048】
最初に
図7Aを参照すると、実施形態によれば、ファイバ改良システム400は、(「落下塔」とも呼ばれる)チャンバ又はタワー402と、タワー402内に移動可能に配置されて光ファイバ406の所与のセグメントを処理するように構成された1又は2以上のアニーリングユニット404とを含む。タワー402は、各アニーリングユニット404を所定の時間(例えば、
図5に示す第2の期間)にわたって自由落下状態に置くことによって微小重力環境を模倣するように構成することができる。1つの実施形態例では、タワー402が約44メートルの高さであり、約10メートルの長さの光ファイバ406のセグメントを処理するために少なくとも3秒の自由落下状態を提供するように構成される。
図7Aには、アニーリングユニット404a及び404bを含むタワー402を示しているが、他の実施形態では、タワー402が1つのみの又は2つよりも多くのアニーリングユニット404を含むこともできると理解されたい。実施形態では、ファイバ改良システム400が、タワー402、1又は2以上のアニーリングユニット404及び/又はシステム400の他の様々なコンポーネントと通信し、本明細書で説明する技術に従って光ファイバ406を改良するためにプロセス300を実行するように、又はシステム400のコンポーネントを別様に制御するように構成された、1又は2以上のプロセッサをさらに含む。
【0049】
図7Bには、実施形態による例示的なアニーリングユニット404を示す。図示のように、光ファイバ406は、アニーリングユニット404内に配置されて、ユニット404がタワー402内で落下し又は解放された時に自由落下又は重力加速度を受けるように構成される。光ファイバ406は、ZBLANファイバコアと、ファイバコアの周囲に配置されたクラッドとを含み、
図4に示す光ファイバ202と実質的に同様又は同一のものであることができる。
図7Bには、アニーリングユニット404内に完全に収容された光ファイバ406を示しているが、他の実施形態では、アニーリングユニットを、光ファイバの一部が収容されて残り部分がアニーリングユニットの外部に配置されるように構成することもできる。
【0050】
再び
図7Aを参照すると、タワー402は、1又は2以上のアニーリングユニット404に結合されて、例えばアニーリングユニット404aによって示すように各アニーリングユニット404を自由落下運動で高所から低所に移動させるように構成された、可動コンポーネント407をさらに含む。可動コンポーネント407は、例えばアニーリングユニット404bによって示すようにアニーリングユニット404を低所から高所に戻すようにさらに構成することができる。実施形態によれば、高所と低所との間の距離hは、所与の長さのZBLANファイバの改良を少なくとも1回引き起こすこと、或いは本明細書で説明するアニーリング及び冷却プロセス(例えば、
図6に示す方法300)の少なくとも1つのサイクルを完了させることができるほど十分に長く自由落下運動が続くことを確実にするように選択することができる。いくつかの実施形態では、距離hが、1度の落下内に複数回のアニーリングサイクルの完了を可能にするように選択される。各サイクルでの自由落下期間(例えば、第2の期間t
2)に必要な時間(ミリ秒数)、並びに加速(又は立ち上げ)期間及び減速期間の長さ(例えば、第1及び第3の期間t
1及びt
3)は、
図5に示す加速度プロファイル250を使用して計算することができる。加速度プロファイル250は、1回のサイクル内で処理できるファイバの長さを決定することもできる。1つの例示的な実施形態では、距離hが約44メートル(m)であり、アニーリングユニット404はこの距離を移動するのに約3秒を要し、アニーリングユニット404は、この時間内に約10メートルのファイバを処理する(例えば、10m/サイクル)ように構成される。
【0051】
いくつかの実施形態では、可動コンポーネント407が、1又は2以上の滑車408と、(単複の)滑車408に摺動可能に結合された1又は2以上のケーブル410とで構成される滑車システムを含む。各ケーブル410は、少なくとも1つのアニーリングユニット404に摺動可能に結合することができ、滑車システム407がユニット404を高所から低所に移動させてその後に高所に戻す際にユニット404の搬送及び支持を行うように構成することができる。
【0052】
例えば、図示の実施形態では、滑車システム407が、高所に又は高所に隣接して配置された第1の滑車408aと、低所に又は低所に隣接して配置された第2の滑車408bとを含む。図示のように、ケーブル410は、滑車408a及び408bの周囲にループを形成することができる。滑車408a及び408bは、アニーリングユニット404を高所から低所に移動させる第1の方向、及びアニーリングユニット404を低所から高所に戻す第2の方向という2方向に回転するように構成することができる。滑車システム407は、アニーリングユニット404がケーブル410を低所に向けて下方に摺動する際にユニット404を自由落下状態に置くように構成することができる。例えば、ケーブル410は、ユニット404が低所に向かって移動する際にはアニーリングユニット404にゼロ又は最低限の摩擦力を付与するように構成することができる。低所に到達すると、滑車408a及び408bは共に第2の方向に回転して、ケーブル410及びケーブル410に取り付けられたアニーリングユニット404を同じ経路で高所に引き戻すことができる。
【0053】
他の実施形態では、滑車システム407が、それぞれが別々のアニーリングユニット404に結合された複数の独立した滑車システムを含むことができる。このような事例では、これらのアニーリングユニット404を別々のケーブル上で高所から低所に単独で落下させ、別々の滑車を使用して単独で高所に引き戻すことができる。可動コンポーネント407については、例えばアニーリングユニットを高所から低所に配置されたプラットフォーム上に落下させてプラットフォーム及びアニーリングユニットを再び高所に持ち上げるように構成されたリフトシステムを含む他の構成も想定される。
【0054】
実施形態では、タワー402が、可動コンポーネント407に結合されて可動コンポーネント407の移動及び/又は可動コンポーネント407に結合されたアニーリングユニット404の移動を制御するように構成されたブレーキシステム411をさらに含む。例えば、図示の実施形態では、ブレーキシステム411を滑車408及び/又はケーブル410のうちの1つ又は2つ以上に結合することができ、(単複の)滑車408の第1の方向への回転を止め、或いは第1の滑車408aと第2の滑車408bとの間のケーブル410の移動を別様に防ぐことによって、アニーリングユニット404の自由落下加速を停止させるように構成することができる。一例として、ブレーキシステム411は、ケーブル410及び/又は1又は2以上の滑車408に結合された1又は2以上のブレーキ(図示せず)を含むことができ、停止動作が望ましい時にこれらのブレーキを作動させるように構成することができる。いくつかの事例では、ブレーキシステム411を使用して、アニーリングユニット404が第1の方向に移動している時には低所で停止させ、またアニーリングユニット404が第2の方向に移動している時には高所で停止させることができる。いくつかの実施形態では、ブレーキシステム411が、ブレーキを解除して滑車408が第1の方向に回転するように、及び/又はケーブル410が低所に向かって別様に自由に移動するようにすることによって、アニーリングユニット404の自由落下移動を開始するようにさらに構成される。
【0055】
図7Bに示すように、各アニーリングユニット404は、光ファイバ406を加熱する、又は具体的にはチャンバ412内に配置された光ファイバ406の所与のセグメント406aを加熱する加熱チャンバ412を含む。アニーリングユニット404は、光ファイバ406の漸増部分(incremental portions)を加熱チャンバ412に通して供給する1又は2以上のコンポーネントをさらに含む。具体的には、アニーリングユニット404は、未改質の又はアニーリング前の光ファイバ406の長さを保持又は保管して未改質の光ファイバ406を加熱チャンバ412内に供給するように構成された第1のスプール414を含む。また、アニーリングユニット404は、加熱チャンバ412から出た光ファイバ406の改質後のセグメントを含む改質後又はアニーリング後の光ファイバ406の長さを受け取って保管するように構成された第2のスプール416を含む。従って、最初は光ファイバ406の長さ全体を第1のスプール414上に保管しておいて、システム400によって光ファイバ406がますます多く処理されるにつれてこの長さを徐々に第2のスプール416に移行させることができる。アニーリングユニット404は、第1のスプール414、加熱チャンバ412及び第2のスプール416間で光ファイバ406を導くのに役立つ1又は2以上の滑車又はリールを含むこともできる。実施形態によれば、加熱チャンバ412において受け取られる各セグメント406aは、例えば約10メートル(m)などの実質的に均一な長さを有することができる。セグメント406aの正確な長さは、自由落下に利用できる距離(例えば、
図7Aの距離h)及び/又はアニーリングユニット404の物理的制約に依存することができる。
【0056】
実施形態によれば、加熱チャンバ412は、光ファイバ406から欠陥を除去するプロセスの一部として、光ファイバ406の所与のセグメント406aを、ファイバコアの結晶化温度(Tx)よりも高くファイバコアのガラス転移温度(Tg)よりもはるかに高いがファイバの溶融温度(Tm)よりも低い第1の温度に加熱するように構成される。このように、第1の温度は、ファイバコア及びクラッド内の結晶体を除去できるほど十分に高いがガラスを完全に溶融させるのを回避できるほど十分に低い温度であることができる。実施形態では、ZBLANファイバが、約260℃のガラス転移温度と、約352℃の結晶化温度と、約450℃の溶融温度とを有する。従って、第1の温度は、352℃~450℃の間のいずれかの値であることができる。1つの実施形態では、第1の温度が約370℃である。
【0057】
本明細書で説明するように、セグメント406aは、アニーリングユニット404が自由落下状態にある間は第1の温度に留まる。例えば、加熱チャンバ412は、アニーリングユニット404が自由落下運動を開始する直前に所与のセグメント406aを第1の温度に加熱するように構成することができ、この自由落下運動中に所与のセグメント406aを加熱し続けて、第1のセグメント406aを所定の時間(すなわち、アニーリング期間)にわたって第1の温度に保つことができる。実施形態によれば、所定の時間は、セグメント406aの長さ、及び本明細書で説明するその他の因子に依存することができる。
【0058】
実施形態では、加熱チャンバ412が、特定の温度に正確に制御できる加熱コイル又は他のいずれかの好適な発熱体を含む。例えば、加熱チャンバ412は、入力値を使用して所望の温度に設定できるセラミック又は金属発熱体を含むことができる。1つの実施形態例では、発熱体が、十分に素早い発熱体の温度変化を保証する約0.888J/g・℃の比熱容量を有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、加熱チャンバ412が、発熱体のリアルタイム温度をモニタし、必要に応じて発熱体にその出力温度を調整させる熱電対又はその他のデバイスをさらに含む。例えば、熱電対は、発熱体に電気的に接続して、リアルタイム温度読み取り値が所望の温度値に比べてどうであるかに応じて発熱体にその出力温度を上昇又は低下させることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、加熱チャンバ412が、これらの発熱体及び熱電対の動作を制御する独立したプロセッサをさらに含む。他の実施形態では、加熱チャンバ412がアニーリングユニット404のプロセッサ418に電気的に結合され、プロセッサ418が加熱チャンバ412の加熱機能を管理するように構成される。さらに他の実施形態では、本明細書で説明する動作を実行するシステム400の1又は2以上の他のプロセッサに加熱チャンバ412を電気的に結合することができる。
【0061】
アニーリングユニット404は、欠陥除去プロセスにおける次のステップとして、加熱されたセグメント406aを、結晶化温度(Tx)よりも低いがガラス転移温度(Tg)よりも高い第2の温度に急速に冷却又は急冷するようにさらに構成することができる。1つの実施形態例では、第2の温度が約350℃であり、又は第1の温度よりも約10℃~20℃低い。また、アニーリングユニット404は、加熱されたセグメント406aを、冷却プロセスがどれほど長い時間を要するか(すなわち、冷却期間)を決定する、光ファイバに関連する臨界冷却速度で冷却するように構成することができる。実施形態では、ZBLANファイバの臨界冷却速度が40℃/sである。このような事例では、約10メートルの長さのファイバセグメント406aの冷却に約2秒を要する。
【0062】
いくつかの実施形態では、ファイバセグメント406aを加熱チャンバ412から出た時に冷却することができる。例えば、第2のスプール416は、加熱されたセグメント406aが第2のスプール416に到達した時に第2の温度に冷えるように、光ファイバ406の所与のセグメント406aを、臨界冷却速度とアニーリングユニット404の周囲温度とに基づいて選択された速度又は速さで加熱チャンバ412から引き出すように構成することができる。他の実施形態では、所与のファイバセグメント406aを加熱チャンバ412内で第2の温度に冷却することができる。例えば、加熱されたセグメント406aを急冷するために、加熱チャンバ412の温度を急速に第2の温度に低下させることができる。このような事例では、例えば発熱体に付与される電流の量を低減又は除去することによって発熱体を第2の温度に低下させることができる。
【0063】
図7Bに示すように、アニーリングユニット404は、例えば
図6のプロセス300に従ってアニーリングユニット404の1又は2以上の機能を制御するように構成された(本明細書では「プロセッサ418」とも呼ぶ)1又は2以上のプロセッサ418をさらに含む。他の実施形態では、1又は2以上のプロセッサ418をシステム400の別のコンポーネントに含め、アニーリングユニット404及び/又はアニーリングユニット404に含まれるコンポーネントと通信してアニーリングユニット404の動作を制御するように構成することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、プロセッサ418が、加熱チャンバ412に電気的に結合されてチャンバ412内の発熱体の温度設定を制御する。例えば、プロセッサ418は、アニーリング中に温度設定を第1の温度に上昇させることができる。プロセッサ418は、加熱チャンバ412又はその内部に配置されたセンサ(例えば、熱電対)から受け取られた温度読み取り値に基づいて温度設定を上昇又は低下させるように構成することもできる。
【0065】
いくつかの実施形態では、プロセッサ418が、第1及び第2のスプール414及び416の回転速度及び回転方向を含むスプールの動きを制御するためにこれらのスプールに電気的に結合される。例えば、プロセッサ418は、チャンバ412から所与のセグメント406aを引き出して光ファイバ406の後続のセグメント406bをチャンバ412内に引き込むために、第2のスプール416を第1の方向に回転させるように構成することができる。プロセッサ418は、例えば所与のセグメント406aをさらなる処理のために加熱チャンバ412に戻さなければならない時には、光ファイバ406の移動方向を逆転させるために第1のスプール414を第1の方向とは逆の第2の方向に回転させるように構成することもできる。
【0066】
また、プロセッサ418は、第1及び/又は第2のスプール414及び416が回転する速さを制御し、従って光ファイバ406が加熱チャンバ412に出入りする速度又は速さを制御するように構成することができる。いくつかの実施形態では、第2のスプール416の回転速度が、加熱されたセグメント406aがチャンバ412から出た時にセグメント406aが光ファイバに関連する臨界冷却速度で第2の温度まで急速に冷えるように選択される。例えば、加熱されたセグメント406aが1メートルの長さを有し、スプールのスプールサイズ又は円周も約1メートルである場合には、スプール414、416を、毎秒1メートルのファイバ(又は1つのファイバセグメント406a)を加熱チャンバ412に供給するために毎秒1回転の速さ又は速度で回転するように構成することができる。このような実施形態では、アニーリングユニット404を、毎秒1メートルのファイバを処理するように構成することができる。理解されるように、回転速度は、より大きな(例えば、10メートルの長さの)ファイバのセグメントに対応するように必要に応じて調整することができる。
【0067】
様々な実施形態では、アニーリングユニット404が、最適な結果を得るためにさらなる処理が必要であるかどうかを判定するために所与のセグメント406aのアニーリング後解析(post-annealing analysis)を行う。具体的には、アニーリングユニット404は、冷却ステップの完了後にセグメント406aの散乱プロファイルをモニタ又は測定する1又は2以上のレーザー又はその他のセンサをさらに含む。測定情報は、リアルタイム解析のためにプロセッサ418に提供することができる。プロセッサ418は、アニーリングしたセグメント406aのファイバ損失値を測定情報に基づいて決定し、この測定値をメモリに記憶されたファイバ損失閾値と比較するように構成することができる。閾値が満たされない場合には、プロセッサ418を、例えば第2のスプール416を第2の方向(例えば、時計回り方向)に回転させて所与のセグメント406aを逆方向に移動させることによってセグメント406aをさらなる処理のために加熱チャンバ412に戻すように構成することができる。
【0068】
具体的には、レーザー(例えば、632ナノメートル(nm)レーザー)を、冷却プロセスがどこで行われるかに応じて、ファイバセグメント406aが加熱チャンバ412から出た後又はチャンバ412の内部に存在している間にセグメント406aの方に光を向けるように構成することができる。レーザーは、加熱チャンバ412内又はアニーリングユニット404の別の位置に適切に位置することができる。アニーリングユニット404は光検出器を含むこともでき、この光検出器は、ファイバセグメント406aがレーザーと光検出器との間を通過するように、又はこれら2つのデバイス間に確立された見通し線を横切るようにレーザーに対向して配置される。光検出器は、ファイバセグメント406aを通過した光を受け取って、検出されたレーザー電力又はレーザー光の量を表す出力(例えば、電流値)を生成するように構成することができる。例えば、光検出器は、結晶体によって散乱しない又はファイバガラスを真っ直ぐに通過できる赤色光(例えば、650nm)の量を測定するように構成することができる。
【0069】
プロセッサ418は、光検出器に電気的に結合されて、光検出器出力を閾値又は予測電流量と比較するように構成することができる。測定量が低すぎる場合、プロセッサ418は、ファイバセグメント406aを加熱チャンバ412内に戻して再び処理することができる。いくつかの実施形態では、アニーリング及び冷却プロセスを、所与の光波長にとって最適な散乱係数又はその他のファイバ損失指標(例えば、650nmにおいてキロメートル当たり0.1デシベル(dB/km))が達成されるまで繰り返すことができる。
【0070】
次に、再び
図6を参照して、システム400のコンポーネントを参照しながらプロセス300について説明する。実施形態では、プロセス300を、例えばプロセッサ418を含むシステム400の1又は2以上のプロセッサを使用して実施することができる。図示のように、プロセス300はブロック302から開始して、光ファイバの所与のセグメント(例えば、ファイバセグメント406a)を処理又は改良のためにアニーリングユニット(例えば、アニーリングユニット404)の加熱チャンバ(例えば、加熱チャンバ412)内に配置し又は位置付ける。ファイバセグメントは、アニーリング前のファイバを保持するスプール(例えば、スプール414)を加熱チャンバに向けて第1の方向に回転させることによって加熱チャンバ内に移動させることができる。ブロック304において、ファイバセグメントを、光ファイバの結晶化温度(T
x)よりも高いがファイバの溶融温度(T
m)よりも低い第1の温度に加熱する。例えば、第1の温度は、約370℃、又は352℃~450℃の間の他のいずれかの値であることができる。
【0071】
ブロック306において、アニーリングユニット内のファイバセグメントが地球の重力加速度(例えば、9.8m/s2)で加速するように、自由落下運動を使用してアニーリングユニットを高所から低所に落下又は移動させる。自由落下運動は、アニーリングユニットに結合された可動コンポーネント(例えば、滑車システム407)の動きを制御することによって達成することができる。また、可動コンポーネントは、自由落下運動を最小時間(例えば、3秒)にわたって維持するように構成することができる。ブロック308において、この自由落下運動中の第1の期間にわたってファイバセグメントの温度を第1の温度に維持する。(本明細書では、この第1の期間を「アニーリング期間」とも呼ぶ。)
【0072】
ブロック310において、ファイバセグメントを(本明細書では「冷却期間」とも呼ぶ)第2の期間にわたって第2の温度に冷却する。第2の温度は、結晶化温度(Tx)を下回るがガラス転移温度(Tg)を上回る温度であることができる。1つの実施形態例では、第2の温度が約350℃であり、又は第1の温度よりも約10℃~20℃低い。第2の期間が終了すると、第1の処理サイクルが完了したものとみなすことができる。
【0073】
実施形態によれば、第2の期間は、ファイバセグメントが自由落下運動している間に開始し、自由落下運動の停止後又はファイバセグメントが減速している間(例えば、
図5の第3の期間t
3内)に終了することができる。従って、自由落下に割り当てられた時間は、ファイバセグメントの加熱と、少なくとも部分的に冷却とに費やすことができる。いくつかの実施形態では、第1の期間が第2の期間に実質的に等しい。他の実施形態では、第2の期間が第1の期間よりも長いことができる。理解されるように、第1の期間の正確な長さは、ファイバセグメントの物理的長さ、及び本明細書で説明するその他の因子に基づいて決定することができる。
【0074】
ブロック312において、可動コンポーネントを使用してアニーリングユニットを低所から高所に移動させる。ブロック314において、アニーリングユニットの1又は2以上のプロセッサ(例えば、プロセッサ418)が、処理されたファイバセグメントがユニットのメモリに記憶されたファイバ損失閾値を満たしているかどうかを判定する。ブロック314における判定が「いいえ」である(すなわち、閾値を満たしていない)場合、プロセス300はブロック304に戻って再びファイバセグメントを処理し始める(すなわち、ブロック304~314を繰り返す)。ブロック314における判定が「はい」である(すなわち、閾値を満たしている又は超えている)場合、プロセス300はブロック316に進む。
【0075】
ブロック316において、1又は2以上のプロセッサは、アニーリング前のファイバスプール(例えば、第1のスプール414)内に後続のファイバセグメントが残っているかどうかを判定する。ブロック316における判定が「いいえ」である場合、プロセス300は終了する。ブロック316における判定が「はい」である場合、プロセス300はブロック302に戻って次のファイバセグメントを処理し始める。従って、プロセス300は、アニーリング前のファイバの長さ全体が十分に改善されるまで、又はターゲットファイバ損失閾値(例えば、650nmにおいて0.1dB/km未満)が満たされるまで何度でも繰り返すことができる。
【0076】
図8に、実施形態による、ファイバコアとその周囲のクラッドとを含む一定長の光ファイバから欠陥を除去する第2の例示的な方法又はプロセス500を示す。一例として、この光ファイバは
図4に示す光ファイバ202と同一又は同様のものであることができる。
図9には、一定長のZBLANファイバ内の欠陥を除去するように構成された別の例示的なファイバ改良システム600を示す。いくつかの実施形態では、システム600を使用してプロセス500を実行することができる。従って、以下の段落では、説明を容易にするためにプロセス500をシステム600に関連して説明する。しかしながら、他の実施形態では、ZBLANファイバのアニーリングが可能な他のシステム又はデバイスを使用してプロセス500を実施することもできると理解されたい。
【0077】
最初に
図9を参照すると、実施形態によれば、ファイバ改良システム600は、加速チャンバ602と、チャンバ602内に移動可能に配置されて所与の長さの光ファイバ606を処理するように構成されたアニーリングユニット604とを含む。光ファイバ606は、ZBLANファイバコアと、ファイバコアの周囲に配置されたクラッドとを含み、
図4に示す光ファイバ202と実質的に同様又は同一のものである。加速チャンバ602は、(「スピンドル」とも呼ばれる)アニーリングユニット604を所定の時間(例えば、
図5に示す第2の期間t
2)にわたって自由落下状態に置くことによって微小重力環境を模倣するように構成することができる。1つの実施形態例では、加速チャンバ602が約0.5メートルの高さであり、約3インチの長さの光ファイバ606のセグメントを処理するために約320ミリ秒の自由落下を提供するように構成される。
【0078】
図9に示すように、アニーリングユニット604は、光ファイバ606を受け取るための中心開口部を含む概ね円筒形を有する。また、アニーリングユニット604は、本明細書で
図11に関してさらに詳細に説明するように中心開口部内に互いに隣接して配置されたクランピングシステム608及び加熱チャンバ612を含む。実施形態では、クランピングシステム608を、加速チャンバ602を通じてアニーリングユニット604が自由落下する際に加熱チャンバ612の中空内部613内で光ファイバ606の所与のセグメント606aを把持又は保持するように構成することができる。クランピングシステム608は、セグメント606aが十分に処理(アニーリング及び急冷)されると処理済みセグメント606aを解放し、光ファイバの新たな又は次のセグメントを処理のために把持するように構成することができる。この解放及び把持動作は、例えばアニーリングユニット604が加速チャンバ602の最上位又は開始位置に戻った時、アニーリングユニット604が最上位に到達した後、或いはアニーリングユニット604が依然としてチャンバ602の最低位に存在している間などの、いずれかの適切な時点又はいずれかの適切な加速チャンバ602の位置において行うことができる。このように、アニーリングユニット604の各落下及び自由落下加速を使用して光ファイバ606をセグメント毎に処理することができる。
【0079】
図示のように、システム600は、アニーリング前の光ファイバ606の長さを保持又は保管するように構成された第1のスプール614と、アニーリング後の光ファイバ606の長さを保持又は保管するように構成された第2のスプール616とをさらに含む。本明細書でさらに詳細に説明するように、システム600は、例えば加速チャンバ602、アニーリングユニット604、加熱チャンバ612、クランピングシステム608及び/又はスプール614、616などのシステム600の1又は2以上のコンポーネントの動作を制御するように構成された(本明細書では「プロセッサ618」とも呼ぶ)1又は2以上のプロセッサ618も含む。いくつかの実施形態では、1又は2以上のプロセッサ618が、本明細書で説明する技術に従って光ファイバ606を改良するために
図8に示すプロセス500を実行し、又はシステム600のコンポーネントを別様に制御するように構成される。
【0080】
図示のように、第1のスプール614は加速チャンバ602の入口に隣接して配置することができ、第2のスプール616は加速チャンバ602の出口に隣接して配置することができる。動作中には、光ファイバ606が処理後に第1のスプール614から加速チャンバ602を通じて第2のスプール616上に移動できるように、第1のスプール614を第1の方向に回転させることができる。図示のように、ファイバ606は、内部にアニーリングユニット604及び加熱チャンバ612が配置されたチャンバ602全体を通過する。いくつかの事例では、例えばファイバ606のセグメントを本明細書で説明するように再処理し又はさらに改良しなければならない場合に加速チャンバ602を通じて光ファイバ606を逆方向に移動させるために、第2のスプール616及び/又は第1のスプール614を第1の方向とは逆の第2の方向に回転させることができる。
【0081】
図10A~
図10Cをさらに参照すると、アニーリングユニット604は、ユニット604の上端615と下端617との間に延びる概ね環状の外壁619を有するとともに、加熱チャンバ612とクランピングシステム608とを収容するように構成された開口部中心(open center)620を有する。いくつかの実施形態では、上端615と下端617との間の距離yが約3インチである。他の実施形態では、アニーリングユニット604が、例えば加速チャンバ602の高さ及び/又は所与のサイクル内に処理すべき光ファイバ606の長さに応じてさらに長い又は短いものであることもできる。図示してはいないが、加熱チャンバ612は、アニーリングユニット604の開口部上端615、開口部下端617及び/又は外壁619のうちの少なくとも1つに結合することができる。
【0082】
加熱チャンバ612は、光ファイバ606がアニーリングユニット604を通過する際に、中空内部613を通じて光ファイバ606を受け取るように構成することができる。中空内部613は、ファイバセグメントをチャンバ612内に受け取る開口部上端と、ファイバセグメントがチャンバ612から出ることができる開口部下端とによって定めることができる。加熱チャンバ612は、所望の温度に正確に制御できる加熱コイル又はその他の好適な発熱体をさらに含む。発熱体は、中空内部613を形成するように、或いは加熱チャンバ612内に配置されたファイバセグメント606aを別様に取り囲むように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、発熱体の壁が中空内部613を形成するように、発熱体を環状に配置することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、加熱チャンバ612がセラミック発熱体を含む。他の実施形態では、加熱チャンバ612が金属発熱体を含む。1つの実施形態例では、発熱体が、発熱体の素早い温度変化を保証する約0.888J/g・℃の比熱容量を有するように構成される。加熱チャンバ612は、
図7Bの加熱チャンバ412と同様に、光ファイバ606の所与のセグメントを光ファイバ606の結晶化温度よりも高くファイバ606の溶融温度よりも低い第1の温度に加熱するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の温度が約370℃である。
【0084】
いくつかの実施形態では、アニーリングユニット604の外壁619が、開口部上端615から開口部下端617に延び、壁619の全周に沿って実質的に均等に分散し、
図10A~
図10Cに示すようなバスケット状の外見をアニーリングユニット604に与える、複数の長手方向開口部622を含む。(説明を容易にするために、
図9には平面を有する外壁619を示している。)各開口部622の正確な幅は、外壁619の円周、及び所望の開口部622の数、又は外壁619の所望の中実構造対空間比に依存することができる。いくつかの実施形態では、加熱チャンバ612も部分的に開いた(又は非中実)構造を有することができる。アニーリングユニット604及び/又は加熱チャンバ612の開口壁は、プロセス500の冷却部分の最中にアニーリングユニット604を通る空気流がファイバ606の加熱されたセグメントを急冷するのに役立つことを可能にするように構成することができる。このような期間中には、加熱チャンバ612を、所与のファイバセグメント606aがもはや第1の温度に加熱されないように発熱体をオフにするよう構成することができる。いくつかの実施形態では、アニーリングユニット604が自由落下し続けている時にアニーリングユニット604及び/又は加熱チャンバ612の開口部622を通過する空気が、ファイバセグメント606aを結晶化温度よりも低いがガラス転移温度よりも高い第2の温度に急速に冷却するのに十分なものであることができる。例えば、第2の温度は約350℃であることができ、又は第1の温度よりも約10℃~20℃低いことができる。他の実施形態では、アニーリングユニット604を、このような急速冷却目的でアニーリングユニット604及び/又は加熱チャンバ612の開口壁を好適なガス又は液体が流れることを可能にするように構成することができる。
【0085】
図11A及び
図11Bは、例示的なクランピングシステム608をより良好に示すためにアニーリングユニット604及び加熱チャンバ612の壁を取り外いたアニーリングユニット604の内部の部分的拡大図である。図示のように、クランピングシステム608は、互いに向かい合って(又は加熱チャンバ612の両側に)かつ加熱チャンバ612の中空内部613に隣接して配置された2つの可動コンポーネント624を含む。2つのコンポーネント624は、外壁619及び/又は加熱チャンバ612に枢動可能に結合されて、
図11Aに示す非作動位置と
図11Bに示す作動位置との間で移動するように構成される。また、図示のように、2つの可動コンポーネント624は、加熱チャンバ612内に配置されたファイバセグメント606aに隣接して配置され、作動位置にある時にはファイバセグメント606aの両側に係合し又は両側を圧迫し、非作動位置にある時にはファイバセグメント606aを非接触状態にしておくように構成される。
【0086】
実施形態によれば、(「アクチュエータ」とも呼ばれる)各可動コンポーネント624は、作動位置に移動した時点でファイバセグメント606aに係合する把持部分626を含む。いくつかの事例では、各把持部分626が、可動コンポーネント624が損傷を与えることなくファイバ606を圧迫することを可能にするパッド、クッション、又はその他の好適なコンポーネントを含む。把持部分626は、クランピングシステム608が作動している間にセグメント606aを加熱チャンバ612内に維持又は保持するのに十分な摩擦力をファイバセグメント606aに加えるように構成することができる。例えば、いくつかの事例では、第1のスプール614及び/又は第2のスプール616が、ファイバ606を第2のスプール616に向けて継続的に引っ張るのに十分な下向きの力を光ファイバ606に加えることができる。このような事例では、把持部分626が、例えばこの下向きの力に打ち勝つのに十分な摩擦力を全体として加えることによって、或いはファイバ606が第2のスプール616に向かって移動又は摺動するのを別様に防ぐことによって、この下向きの力に対抗するように構成されなければならない。このように、所与のファイバセグメント606aを加熱チャンバ612内に固定(又は捕捉)して、作動位置にある間に処理できるようにすることができる。
【0087】
対照的に、クランピングシステム608が非作動位置又は休止位置にある時には、把持部分626がファイバセグメント606aから一定距離だけ離れて配置されてファイバセグメント606aとの接触を避けるように、コンポーネント624が互いに及びファイバ606に対して実質的に平行に配置される。このような休止位置では、ファイバ606が、加熱チャンバ612及びアニーリングユニット604の残り部分を通じて自由に移動する。
【0088】
いくつかの実施形態では、(「グリッパー」又は「ストッパー」とも呼ばれる)把持部分626が各可動コンポーネント624の下端又はその付近に配置される。例えば、
図11Aでは、コンポーネント624が把持部分626で終端している。このような事例では、例えば
図11Bに示すように各コンポーネント624の下端を内向きに押圧し又は動かすことによって作動位置を達成することができる。他の実施形態では、把持部分626を各可動コンポーネント624の上端又はその付近に配置することができ、この場合は各コンポーネント624の上端を内向きに押圧することによって把持部分626を作動させることができる。処理中に光ファイバ606のセグメントを把持してファイバセグメントを加熱チャンバ612内に保持する他のタイプのデバイスも想定される。
【0089】
実施形態では、クランピングシステム608を、各自由落下サイクル中、すなわちアニーリングユニット604が加速チャンバ602の上部からチャンバ602の底部に移動する際に、1つのファイバセグメント606a上に留まるように構成することができる。クランピングシステム608は、底部に到達した時点で所与のファイバセグメント606aを解放してファイバ606の第2の又は次のセグメントを把持するように構成することができる。例えば、加熱チャンバ612が一度に3インチのファイバを処理するように構成されている場合には、クランピングシステム608を、ファイバ606を3インチ間隔で把持又はクランプするように構成することができる。このように、システム600を使用して光ファイバ606の長さ全体を入念に処理し又は改良することができる。
【0090】
実施形態では、プロセッサ618を、アニーリングユニット404、加速チャンバ402、スプール614及び616、及び/又はシステム600の他のコンポーネントの1又は2以上の機能を制御するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサ618が、第1及び第2のスプール614及び616に電気的に結合されて、スプールの回転速度及び方向を含む移動又は回転をスプール414及び416のプロセッサ制御と同様に制御する。いくつかの実施形態では、プロセッサ618を、可動コンポーネント624の作動位置と非作動位置との間の移動を制御するためにクランピングシステム608に電気的に結合することができる。
【0091】
プロセッサ618は、加熱チャンバ612内の発熱体の温度設定を制御するためにチャンバ612に電気的に結合することもできる。例えば、プロセッサ618は、アニーリング中に発熱体の温度を第1の温度に設定することができ、自由落下中に第1の温度を維持するために、例えばチャンバ412内のセンサ(例えば、熱電対)からのリアルタイム温度読み取り値に基づいて、必要に応じてこの温度を上昇又は低下させることができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、プロセッサ618を、処理サイクルの開始時又はチャンバ602の上端におけるアニーリングユニット604の解放と、サイクルの終了時又はチャンバ602の下端への到達時におけるアニーリングユニット604の減速及び停止とを制御するために加速チャンバ602に電気的に結合することができる。例えば、加速チャンバ602は、アニーリングユニット604を加速チャンバ602内で上下に移動させることができる無摩擦軌道(図示せず)又はその他のデバイスと、軌道に沿ったアニーリングユニット604の移動を停止できるブレーキシステム(図示せず)とを含むことができる。このような事例では、プロセッサ618を、チャンバ602の底部においてアニーリングユニット604の動きを停止させるためにブレーキシステムに電気的に結合するとともに、アニーリングユニット604をユニット604の底部に向かう第1の方向及びユニット604の上部に向かう第2の反対方向に移動させるために軌道システムに電気的に結合することができる。加速チャンバ602内でアニーリングユニット604を移動させる他のデバイス又はシステムも想定される。
【0093】
いくつかの実施形態では、システム600が、最適な結果を得るためにさらなる処理が必要であるかどうかを判定するために処理済みセグメント606aのアニーリング後解析を行う1又は2以上のコンポーネントをさらに含む。このような事例では、システム600が、アニーリングユニット404に含まれているものと同様の1又は2以上のレーザー及び光検出器を含むことができる。さらに、プロセッサ618は、プロセッサ418と同様にこれらのコンポーネントに電気的に結合して、(冷却プロセスの完了後の)処理済みセグメント606aの散乱プロファイルをモニタ又は測定し、測定情報に基づいて処理済みセグメント606aのファイバ損失値をリアルタイムで決定するように構成することができる。プロセッサ618は、決定されたファイバ損失値をファイバ損失閾値と比較し、閾値が満たされていない場合には、ファイバセグメント606aをさらなる処理のために加速チャンバ602に戻すことができる。1つの実施形態例では、プロセッサ618が、所与の光波長にとって最適な散乱係数又はその他のファイバ損失指標(例えば、約650nmにおいてキロメートル当たり0.1デシベル(dB/km))が達成されるまでアニーリング及び冷却プロセスを繰り返すことができる。
【0094】
次に、再び
図8を参照して、システム600のコンポーネントを参照しながらプロセス500について説明する。プロセス500は、システム600に含まれる、例えばプロセッサ618を含む1又は2以上のプロセッサを使用して実行することができる。図示のように、プロセス500は、ブロック502から開始して、光ファイバのセグメント(例えば、ファイバセグメント606a)をアニーリングユニット(例えば、アニーリングユニット604)内に固定する。具体的には、加熱チャンバに隣接して配置されたクランピングシステム(例えば、クランピングシステム608)を使用して、ファイバセグメントをアニーリングユニットの加熱チャンバ(例えば、加熱チャンバ612)内に、又はこの加熱チャンバの発熱体に隣接して固定することができる。クランピングシステムは、各処理サイクル(例えば、アニーリング及び冷却)のために均一な長さ(例えば、3インチ)のファイバセグメントを固定又は把持するように構成することができる。ブロック504において、ファイバセグメントを光ファイバの結晶化温度(T
x)よりも高いがファイバの溶融温度(T
m)よりも低い第1の温度に加熱する。例えば、第1の温度は、約370℃、又は352℃~450℃の間の他のいずれかの値であることができる。
【0095】
ブロック506において、アニーリングユニットを加速チャンバ(例えば、加速チャンバ602)の第1の位置又は開始位置から同じチャンバの第2の位置又は終了位置に重力加速度(例えば、9.8m/s2)で又は自由落下運動を使用して落下又は移動させる。実施形態では、加速チャンバ602が、最小時間(例えば、320ミリ秒)にわたって自由落下運動を維持するように構成される。ブロック508において、この自由落下運動中の第1の期間にわたってファイバセグメントの温度を第1の温度に維持する。ブロック510において、ファイバセグメントを第2の期間にわたって第2の温度に冷却する。第2の温度は、結晶化温度(Tx)を下回るがガラス転移温度(Tg)を上回る温度であることができる。1つの実施形態例では、第2の温度が約350℃であり、又は第1の温度よりも約10℃~20℃低い。第2の期間が終了すると、ファイバ処理サイクルが完了したものとみなすことができる。
【0096】
実施形態によれば、(本明細書では「冷却期間」とも呼ぶ)第2の期間は、ファイバセグメントが自由落下運動している間に開始するが、自由落下運動の停止後又はファイバセグメントが減速している間(例えば、
図5の第3の期間t
3内)に終了することができる。従って、自由落下に割り当てられた時間は、ファイバセグメントの加熱と、少なくとも部分的に冷却とに費やすことができる。いくつかの実施形態では、第1の期間及び第2の期間が実質的に等しい長さであることができる。他の実施形態では、第2の期間が第1の期間よりも長いことができる。理解されるように、第1の期間の正確な長さは、ファイバセグメントの物理的長さ、及び本明細書で説明するその他の因子に依存する。
【0097】
ブロック512において、アニーリングユニットを加速チャンバ602の第2の位置からチャンバ602の第1の位置に戻す。ブロック514において、システム600の1又は2以上のプロセッサ(例えば、プロセッサ618)が、処理されたファイバセグメントがユニットのメモリに記憶されたファイバ損失閾値を満たしているかどうかを判定する。ブロック514における判定が「いいえ」である(すなわち、閾値を満たしていない)場合、プロセス500はブロック504に戻って再びファイバセグメントを処理し始める(すなわち、ブロック504~514を繰り返す)。ブロック514における判定が「はい」である(すなわち、閾値を満たしている又は超えている)場合、プロセス500はブロック516に進む。
【0098】
ブロック516において、1又は2以上のプロセッサは、アニーリング前のファイバスプール(例えば、第1のスプール614)内に後続のファイバセグメントが残っているかどうかを判定する。ブロック516における判定が「いいえ」である場合、プロセス500は終了する。ブロック516における判定が「はい」である場合、プロセス500はブロック518に進み、処理済みのファイバセグメントをアニーリングユニットの加熱チャンバから解放する。例えば、1又は2以上のプロセッサは、クランピングシステムにファイバの把持を解放させ、又は非作動状態に移行させることができる。プロセス500は、ブロック518からブロック502に戻って次のファイバセグメントを処理し始める。従って、プロセス500は、アニーリング前のファイバの長さ全体が十分に改善されるまで、又はターゲットファイバ損失閾値(例えば、650nmにおいて0.1dB/km未満)が満たされるまで何度でも繰り返すことができる。
【0099】
実施形態では、プロセス300及び500の各々を、例えばプロセッサ418などの、メモリに記憶されたソフトウェアを実行する少なくとも1つのデータプロセッサ、及び
図7Bに示すアニーリングユニット404に含まれるメモリ(図示せず)によって、或いは
図9に示す加速チャンバ602に含まれるプロセッサ618及びメモリ(図示せず)によって少なくとも部分的に実施することができる。プロセッサ418/618は、所与のプロセス300/500の動作を実行するために、システム400/600の1又は2以上の他のコンポーネントとそれぞれ相互作用することができる。プロセッサ418/618は、例えば中央処理装置(CPU)、(マイクロチップ又はチップセットの形態の)半導体ベースのマイクロプロセッサ又は別のタイプのマイクロプロセッサなどの、メモリから検索されたソフトウェア命令を実行するいずれかの適切なハードウェアデバイスであることができる。
【0100】
各プロセッサ418/618は、例えば揮発性記憶素子(例えば、ランダムアクセスメモリ(DRAM、SRAM、SDRAMなどのRAM))、不揮発性記憶素子(例えば、ROM、ハードドライブ、テープ及びCD-ROMなど)、又はこれらのいずれかの組み合わせなどの、ソフトウェア命令を記憶するのに適したいずれかの適切なメモリデバイスであることができるメモリに通信的に結合される。さらに、メモリは、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光学記憶媒体及び/又はその他のタイプの記憶媒体を組み込むことができる。いくつかの実施形態では、メモリが、本明細書で説明して
図5及び
図8に示す方法のうちの1つ又は2つ以上の全部又は一部を実装する非一時的コンピュータ可読媒体を含む。メモリは、例えばプロセッサ418/618が本明細書に開示する原理(例えば、プロセス300/500)を実行するために実行できる1又は2以上のソフトウェアアプリケーションなどの、実行すべき命令セットを含む1又は2以上の実行可能コンピュータプログラム又はソフトウェアモジュールを記憶することができる。実行可能プログラムは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はこれらの組み合わせで実行することができる。
【0101】
図12に、実施形態による例示的な光ファイバ給電システム700を示す。システム700のコンポーネントは、
図3に示す光ファイバ給電システム100と同様であることができる。例えば、システム700は、
図3の光源102と実質的に同様の光源702と、
図3の光ファイバケーブル104と実質的に同様の光ファイバケーブル704と、
図3の光検出器106と実質的に同様の光検出器706とを含む。いくつかの実施形態では、光ファイバケーブル704が、ケーブル104と同様に、光源702に結合された第1の端部708と、光検出器706に結合された第2の端部710と、ケーブル704の長さ、すなわち第1の端部708と第2の端部710との間の全長に延びる、例えば
図4に示すZBLAN光ファイバ202と実質的に同様の複数の光ファイバとを有することができる。簡潔にするために、光検出器706、(「レーザー光源」とも呼ばれる)光源702及び光ファイバケーブル704については、これらの類似性に照らしてここでは詳細に説明しない。
【0102】
実施形態では、光ファイバ給電システム700を、それぞれが光-電気コンバータに接続された又はこのような光-電気コンバータを含む様々な負荷に電力を供給する光ファイバネットワーク内で使用することができ、又はこのような光ファイバネットワークに含めることができる。例えば、光ファイバネットワークは、工業用途では様々な機械及び設備で、或いは住宅用途又は商業用途では標準的な壁コンセントを使用して給電される様々な電子機器及びその他のデバイスで終端することができる。このようなネットワークの一例は、
図13に示す光パワー分配システム800とすることができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、光ファイバケーブル704を、それぞれの光ファイバカプラ又はコネクタ712及び714と、光ファイバスプライス716及び717(例えば、機械的スプライス、融着スプライス、又は他のいずれかの好適なタイプのスプライシングデバイス)とを介して光源702及び/又は光検出器706に結合することができる。例えば、
図12に示すように、ケーブル704の第1の端部708は、光ファイバケーブル704と同様の第2の光ファイバケーブル713を介して第1のコネクタ712に接続できる第1のスプライス716に結合することができる。第1のコネクタ712は光源702にも結合されて、光源702から光ファイバケーブル713及び/又は704に光エネルギー又は光パワーを受け渡し又は伝送するように構成される。同様に、ケーブル704の第2の端部710は、光ファイバケーブル704と同様の第3の光ファイバケーブル715を介して第2のコネクタ714に接続できる第2のスプライス717に結合することができる。第2のコネクタ714は光検出器706にも結合されて、光ファイバケーブル715及び/又は704を介して受け取られた光パワーを光検出器706に受け渡すように構成される。理解されるように、光ファイバ給電システム700を介して電力を供給するためにより多くの光ファイバケーブルが互いに接合されている場合には、さらなるスプライス716を含めることもできる。
【0104】
図12に示すように、光源702は、(本明細書では電気-光(「E-O」)変換ユニットとも呼ぶ)送信ユニット718に含まれて、(
図1の光源102と同様に)光ファイバケーブル704を介した伝送のために電気エネルギーを光エネルギー(例えば、高出力レーザーエネルギー)に変換するように構成される。実施形態では、電気エネルギーが、送信ユニット718に結合された外部電源(例えば、DC電源、AC電源など)から受け取られる電力である。送信ユニット718は、電源(又はその他の電力入力)から受け取られた電力信号を使用して光源702(例えば、レーザーダイオード)の動作を駆動する、電源と光源702との間に結合されたドライバ720(例えば、レーザーダイオードドライバ)も含む。いくつかの実施形態では、送信ユニット718を、送信ユニット718と外部電源との間の仲介装置としての役割を果たす外部制御デバイス(例えば、
図13に示す電力制御ユニット836)に結合することができる。このような事例では、外部制御デバイスが、送信ユニット718に供給されている電力の量を管理するとともに、例えば
図14の方法900に従ってユニット718の他の動作面を制御することができる。
【0105】
図12に示すように、光検出器706は(本明細書では光-電気(「O-E」)変換ユニットとも呼ぶ)受信ユニット722に含まれて、光ファイバケーブル704を介して受け取られた光エネルギー(又はパワー)を電気エネルギー(又は電力)に変換するように構成される。実施形態では、(例えば、
図13に示すように)この電気エネルギーが、受信ユニット722に結合された1又は2以上の電気負荷への給電に使用される。
【0106】
実施形態では、受信ユニット722が、送信ユニット718との間に結合された同じ光ファイバケーブル704を介して送信ユニット718に制御信号、ステータス信号、フィードバック信号及び/又はその他のデータ信号を送信するようにも構成される。このようなデータ信号に含まれる情報は、(例えば、
図13に関して説明するように)受信ユニット722に結合された1又は2以上の電気負荷から、又は複数の電気負荷に結合された制御ユニット(図示せず)から受け取ることができる。このような実施形態では、光ファイバケーブル704が、ケーブル704全体を介した、或いはケーブル704に含まれる個々のファイバのうちの1つ又は2つ以上を介した双方向光信号送信を可能にする1又は2以上の光サーキュレータ(図示せず)を含むことができ、又はこのような光サーキュレータに結合することができる。
【0107】
図示のように、受信ユニット722は、受け取った情報に基づいて1又は2以上のデジタルデータ信号を生成するように構成された第1のプロセッサ724(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は同様のもの)をさらに含むことができる。受信ユニット722は、第1のプロセッサ724及び光ファイバケーブル704に結合された光送信機726を含むこともできる。光送信機726は、デジタルデータ信号を、光データ信号又は光ファイバケーブル704を介して送信できる他の信号に変換するように構成することができる。光送信機726は、送信ユニット718への送信のために光データ信号を光ファイバケーブル704に供給するようにさらに構成することができる。光送信機726は、レーザーダイオード(又はダイオードレーザー)、又は光ファイバケーブル704を介して光データ信号を送信できる他のいずれかの光学デバイスであることができる。いくつかの実施形態では、光送信機726が、光検出器706のフォトダイオードパッケージに含まれるレーザーダイオードである。
【0108】
同様に、送信ユニット718は、光ファイバケーブル704及び同様に送信ユニット718に含まれる第2のプロセッサ730(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は同様のもの)に結合された光受信機728をさらに含むことができる。光受信機728は、光ファイバケーブル704を介して送信された光データ信号を受け取り、受け取った信号を再びデジタル形態に変換するように構成することができる。光受信機728は、レーザーダイオード702の光キャビティを光データ信号についてモニタすることができるフォトダイオード又はその他の光学デバイスであることができる。いくつかの実施形態では、光受信機728が、光源702のレーザーダイオードパッケージに組み込まれたモニタダイオードである。光受信機728は、例えば
図13に関して説明するような処理のために第2のプロセッサ730にデジタルデータ信号を供給することができる。実施形態では、第2のプロセッサ730が、光データ信号から抽出されたデータを、例えば(例えば、
図13に示すような)外部電源のコントローラ又は制御ユニットなどの外部デバイスに供給することができる。
【0109】
次に、
図13に、実施形態による、(例えば、
図4に示すような)本明細書で説明する光ファイバケーブルを、高出力レーザーエネルギーの形態の光パワーを複数の位置又は負荷に伝送する伝送線として使用する例示的な光パワー分配システム800を示す。光パワー分配システム800は、例えば航空機内、自動車内又は住居内を含むいずれかの工業、商業、住宅又は個人環境において、長距離にわたって(例えば、大陸間、国家間、都市間などで)、及び/又は配電にリスクを伴う恐れがある高度に不安定なエリアで電力を分配するために使用することができる。
【0110】
実施形態では、光パワー分配システム800が、それぞれが
図12に示す光ファイバ給電システム700と実質的に同様のものであるn個の光ファイバ給電システム801を含むことができる。例えば、
図13に示すように、システム800は、複数の電気-光(「E-O」)変換ユニット818と、複数の光-電気(「O-E」)変換ユニット820と、複数の光ファイバケーブル804とを含むことができ、各E-Oユニット818は
図12の送信ユニット718と実質的に同様のものであり、各O-Eユニット822は
図12の受信ユニット722と実質的に同様のものであり、各光ファイバケーブル804は
図12の光ファイバケーブル704と実質的に同様のものである。さらに、各E-Oユニット818は、対応する光ファイバケーブル804を介してO-Eユニット822のそれぞれのO-Eユニット822に結合することができ、光ファイバ給電システム700の場合と同様にこのケーブル804を介してそれぞれのO-Eユニット822に光パワー(「OPP」)を送信するように構成することができる。簡潔にするために、E-Oユニット818、O-Eユニット822及び光ファイバケーブル804については
図12との類似性を考慮してここでは詳細に説明しない。
【0111】
図13に示すように、各光ファイバ給電システム801は、複数の電気負荷832のそれぞれの電気負荷832及び共通電源834に結合することができる。また、複数のE-Oユニット818の各々は、電源834に電気的に接続された電力制御ユニット836(又は電力コントローラ)に結合することができる。電源834は、電気負荷832を支援できるほど十分な電力を生成できるいずれかのタイプの電源(例えば、DC又はAC)又は他のいずれかのデバイスであることができる。(「マスター電力制御ユニット」とも呼ばれる)電力制御ユニット836は、電源834によって生成された電力のE-Oユニット818への分配又は送信を管理し、本明細書で説明するような電力分配システム800の他の様々な態様を制御することができる。
図13には、電力を生成する単一の電源834と、これに結合された単一の電力制御ユニット836とを示しているが、他の実施形態では、システム800が、複数のE-Oユニット818に結合された複数の電源及び/又は複数の制御ユニットを含むこともできる。
【0112】
実施形態によれば、電力制御ユニット836は、電源834の(例えば、オン又はオフ、生成される電力量の増加又は減少などの)動作を制御し、及び/又は各E-Oユニット818の(例えば、オン又はオフなどの)動作を制御し、及び/又は個々のE-Oユニット818への電力分配を管理し、及び/又は電力分配システム800の他の態様を制御するように構成することができる。いくつかの事例では、電力制御ユニット836が、生成された電力を全てのE-Oユニット818間で均等に分配することによって電力分配を管理する。他の事例では、電力制御ユニット836が、E-Oユニット818間における生成された電力の分配を、各E-Oユニット818に結合された電気負荷832に基づいて最適化するように構成される。
【0113】
例えば、電力制御ユニット836は、所与のO-Eユニット822に分配される光パワーを、対応する電気負荷832(すなわち、O-Eユニット822に電気的に接続された負荷832)の電力定格又は電力要件、或いは負荷832から受け取られたその他のステータス情報に従って調整又は制御することができる。このような事例では、電力制御ユニット836が、電気負荷832によって提供されるデータに基づいて各電気負荷832の電力要件を決定し、これに従って各対応するE-Oユニット818によって出力される光パワーの1又は2以上の特性を、対応する電気負荷832において最終的に受け取られる電力が負荷832の電力要件に一致又は適合するように制御する。
【0114】
電気負荷832は、例えば住居又は建造物、電子デバイス、発電所、車両及びその他を含む、電力を必要とするいずれかのタイプのデバイス又はシステムであることができる。各電気負荷832は、有線接続(例えば、電気ケーブル又は同様のもの)又は無線接続(例えば、無線送電システム)を使用してそれぞれのO-Eユニット822に電気的に結合することができる。実施形態では、各電気負荷832を、例えば同じ有線又は無線接続、或いはデータ送信のための別のリンク又は接続を使用して、この負荷832に接続されたO-Eユニット822にデータを送信するように構成することができる。データは、電力供給の管理に関するステータス情報、接続情報、電力要件情報、及び/又は他のいずれかの情報を含むことができる。ステータス情報は、例えば電気負荷832の力率(又は皮相電力に対する有効電力の比率)、負荷832のエネルギー効率を示す電力利用率又はその他の測定値、及び負荷832の動作又は状態に関する他のいずれかの情報を含むことができる。接続情報は、例えば負荷832がO-Eユニット822に接続されている旨及び/又はO-Eユニット822から電力を受け取っている旨の接続バリデータ(connection validator)又はその他の指示、並びに負荷832とO-Eユニット822との間の電気的接続に関する他の情報を含むことができる。電力要件情報は、例えば電気負荷832の電力定格、或いは負荷832を動作させ又は別様に支援するのに必要な電力量、及び負荷832の電力関連ニーズに関する他の情報を含むことができる。
【0115】
図12をさらに参照すると、O-Eユニット822は、電気負荷832によって提供されたデータを受け取り、ユニット822に含まれる個々のプロセッサ(例えば、
図12のプロセッサ724)又はその他のコンピュータデバイスを使用して、受け取ったデータを処理するように構成することができる。O-Eプロセッサは、受け取ったデータに基づいてデータ信号(又はデジタルデータ信号)を生成し、E-Oユニット818にデータを送信する光送信機(例えば、
図12の光送信機726)にデータ信号を供給するようにさらに構成することができる。
図12に関して説明したように、光送信機は、デジタルデータ信号を、
図13に示すような光ファイバケーブル804を介した送信に適した(本明細書では光ステータス信号(「OSS」)とも呼ぶ)光データ信号に変換することができる。
【0116】
実施形態では、電力制御ユニット836を、E-Oユニット818から受け取られた各データ信号(「OSS」)を解析して、各電気負荷832に供給される光パワーがこの負荷832の電力要件を満たしているかどうかを判定し、或いはシステム800のいずれかの電力又は負荷制限ニーズ(power or load shedding needs)を識別するように構成することができる。例えば、所与の電気負荷832が現在供給されている光パワー(「OPP」)よりも多くの光パワーを必要とする場合、電力制御ユニット836は、対応するO-Eユニット822に光パワーを伝送するために使用されている光ファイバケーブル804内の光ファイバの数を増やすことによってこのO-Eユニット822にさらなる光パワーを供給できるかどうかを判定することができる。これに加えて又は代えて、電力制御ユニット836は、負荷832が利用できる総電力量を増やすために、電源834が対応するE-Oユニット818にさらに多くの生成された電力を供給できるかどうかを判定することもできる。他の事例では、電力制御ユニット836が、負荷832に供給される電力量を増やすために、E-Oユニット818の他の特性及び/又はE-Oユニット818から伝送される光パワーを制御又は調整することができる。いずれの場合にも、さらなる電力が利用可能である場合、電力制御ユニット836は、必要に応じて各電気負荷832に確実にさらなる電力が供給されるようにE-Oユニット818及び/又は電源834を制御することができる。
【0117】
例えば、光ファイバケーブル804の全ての光ファイバが既に使用中であり、電源834が既に最大容量で動作しているためさらなる電力が利用可能でない場合、電力制御ユニット836は、電源834が所与の電気負荷832の電力要件に対応できないと判定し、この結果、対応するE-Oユニット818とO-Eユニット822との間の光リンクを終了させることができる。例えば、電力制御ユニット836は、対応するE-Oユニット818に含まれる光源をオフにし、或いはE-Oユニット818に結合された光ファイバケーブル804を介した光パワーの伝送を停止することができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、電力制御ユニット836を、負荷832が必要とする電力量が供給中の電力量よりも少ない場合にも、本明細書で説明する技術と同様の技術を使用するように構成することができる。例えば、電力制御ユニット836は、使用されている光ファイバの数を減少させ、電源834によってE-Oユニット818のレーザー光源に供給されている生成された電力の量を低減し、E-Oユニット818によって出力されている光パワーの量を低減し、及び/又はE-Oユニット818及び/又は光ファイバケーブル804の1又は2以上の他の特性を制御することができる。
【0119】
従って、システム800は、各負荷832の電力要件を適合させることによって送電網の非効率性を回避するが、本明細書で
図14の方法900に関してさらに説明するような電力制限技術も使用して電荷蓄積を防ぎ、O-E/E-Oインフラの効率的利用を確実にするように構成することができる。
【0120】
電力制御ユニット836は、例えば処理デバイス(又はプロセッサ)及びメモリデバイスなどの、本明細書で説明する動作を実行する1又は2以上の適切なハードウェアデバイスを含むことができる。プロセッサは、例えば中央処理装置(CPU)、(マイクロチップ又はチップセットの形態の)半導体ベースのマイクロプロセッサ又は別のタイプのマイクロプロセッサなどの、メモリデバイスから検索されたソフトウェア命令を実行するいずれかの適切なハードウェアデバイスであることができる。
【0121】
メモリデバイスは、例えば揮発性記憶素子(例えば、ランダムアクセスメモリ(DRAM、SRAM、SDRAMなどのRAM))、不揮発性記憶素子(例えば、ROM、ハードドライブ、テープ及びCD-ROMなど)、又はこれらのいずれかの組み合わせなどの、ソフトウェア命令を記憶するのに適したいずれかの適切なメモリデバイスであることができる。さらに、メモリデバイスは、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光学記憶媒体及び/又はその他のタイプの記憶媒体を組み込むことができる。いくつかの実施形態では、メモリが、本明細書で説明して
図14に示す方法のうちの1つ又は2つ以上の全部又は一部を実装する非一時的コンピュータ可読媒体を含む。メモリは、例えばプロセッサが本明細書に開示する原理(例えば、プロセス900)を実行するために実行できる1又は2以上のソフトウェアアプリケーションなどの、実行すべき命令セットを含む1又は2以上の実行可能コンピュータプログラム又はソフトウェアモジュールを記憶することができる。実行可能プログラムは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はこれらの組み合わせで実行することができる。
【0122】
図14に、実施形態による、レーザー光源を有する送信ユニットと、光検出器を有する受信ユニットと、これらのユニット間に結合された光ファイバケーブルとを含む光ファイバ給電システムにおける例示的な電力供給管理プロセス又は方法900を示す。いくつかの実施形態では、光ファイバ給電システムが、例えば
図12に示す光ファイバ給電システム700などの、本明細書で説明する光ファイバ給電システムのうちのいずれかと実質的に同様のものであることができる。いくつかの実施形態では、光ファイバ給電システムが、例えば
図13に示す光パワー分配システム800などの光パワー分配システムであることができ、或いは(例えば、
図13の光ファイバ給電システム801と同様の)より大規模な光パワー分配システムの一部を成すことができる。
【0123】
方法900は、光ファイバ給電システムの1又は2以上の電子デバイス又はコンポーネントが単独で実行することも、或いは1又は2以上の他の電子デバイスと組み合わせて実行することもできる。これらのデバイスは、例えば
図13に示す電力制御ユニット836、
図12に示す送信ユニット718、及び/又は
図12に示す受信ユニット722を含むことができる。方法900の機能は、デバイスのメモリに記憶されたソフトウェアアプリケーションを実行するデバイスのプロセッサ(例えば、電力制御ユニット836のプロセッサ及び/又は
図12のプロセッサ724及び730)によって少なくとも部分的に実施することができる。いくつかの実施形態では、アプリケーションが、デバイスのプロセッサが実行できる、非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータプログラムであることができる。(単複の)電子デバイスは、方法900の動作をさらに実行するために、1又は2以上の内部デバイス(例えば、送信ユニットのレーザー光源702及び光受信機728、受信ユニット722の光検出器706及び光送信機726など)を採用するだけでなく、例えば外部電源(例えば、
図13の電源834)及び外部電気負荷(例えば、
図13の電気負荷832)などの、電子デバイスに結合された1又は2以上の外部デバイス又はコンポーネントと相互作用又は連動することもできる。いくつかの実施形態では、光パワー分配システム800に含まれる各光ファイバ給電システム801における電力供給を管理するために、方法900を電力制御ユニット836が実行することができる。
【0124】
図14に示すように、方法902は、光ファイバケーブルに含まれる第1の数のn本の光ファイバを使用して送信ユニットから受信ユニットに高出力レーザーエネルギーを伝送することを含むステップ902から開始することができる。実施形態では、光ファイバケーブルが、それぞれが光ファイバケーブルの長さに延びて熱フィラーによって取り囲まれた複数の光ファイバを含む。例えば、光ファイバケーブルは、
図4に示す光ファイバケーブル200と実質的に同様のものであることができ、約1ギガワットの電力を有するレーザーエネルギーを約0.1デシベル(dB)の損失で約1000キロメートル(km)の距離にわたって伝送できる光ファイバ202又は他のいずれかの光ファイバケーブルで構成することができる。このような実施形態では、送信ユニットが、光ファイバケーブル内の全部の、一部の、又は他のいずれかの数の光ファイバを使用して受信ユニットに光パワーを伝送することができる。いくつかの実施形態では、送信ユニットが、予め設定された値(例えば、1つのファイバ、ファイバの50%など)に基づいて選択された第1の数の光ファイバを最初に使用するように構成される。他の実施形態では、システムのユーザ又はオペレータが光ファイバの第1の数を選択することができる。
【0125】
方法900のステップ904は、高出力レーザーエネルギーの伝送に使用される光ファイバケーブルと同じ光ファイバケーブルを使用して受信ユニットから送信ユニットに送信された、受信ユニットに結合された電気負荷の電力要件に関する情報を含むデータ信号をプロセッサにおいて受け取ることを含む。電力要件情報は、例えば電気負荷の電力定格、又は電気負荷を動作させるのに必要な電力量を示す他のものを含むことができる。いくつかの実施形態では、データ信号が、例えば電気負荷への電力供給を裏付ける接続情報、電気負荷の力率又は電力利用率を示すステータス情報、或いは負荷によって使用されている又は負荷において受け取られている電力量を示す他のもの、電気負荷及び/又は受信ユニットからのメッセージを含むフィードバック情報、及び/又は本明細書で説明するその他の情報などの追加情報を含むこともできる。
【0126】
実施形態によれば、データ信号は、受信ユニットに含まれる光送信機(例えば、
図12の光送信機726)によって生成されて光ファイバケーブルを介して送信される光データ信号である。このような実施形態では、ステップ904が、送信ユニットに含まれる光受信機(例えば、
図12の光受信機728)において光データ信号を受け取ることをさらに含む。ステップ906において、例えば光受信機(例えば、モニタダイオード)を使用して光データ信号をデジタルデータ信号に変換してプロセッサに供給する。
【0127】
実施形態では、方法900が、プロセッサを使用してデータ信号を解析し、この解析に基づいて、送信ユニットによって出力される高出力レーザーエネルギーを制御することをさらに含む。例えば、データ信号が電気負荷の電力要件情報を含む場合、方法900は、送信ユニットによって出力される高出力レーザーエネルギーを電気負荷の電力要件に基づいて制御することを含む。様々な実施形態では、方法900が、高出力レーザーエネルギー出力を制御するために、送信ユニット及び/又は光ファイバケーブルの1又は2以上の特性を調整又は制御することを含む。
【0128】
具体的には、データ信号の解析は、ステップ908において、データ信号に含まれる電力要件情報を識別し、データ信号に含まれる電力要件が閾値電力量を超えているかどうかを判定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、閾値電力量が、例えば外部電源が生成できる最大電力量、又は外部電源の他の閾値などの、送信ユニットに結合された外部電源(例えば、
図13の電源834)に関連するものであることができる。他の実施形態では、閾値電力量が、例えばレーザーが出力できる最大光パワー量、光源の他の閾値などの、送信ユニットの光源(例えば、レーザー光源)に関連するものであることができる。さらに他の実施形態では、閾値電力量が、例えばケーブルがその長さ全体にわたって搬送できる最大電力量、又は光ファイバケーブルの他の閾値など、光ファイバケーブルに関連するものであることができる。光ファイバ給電システムに関連する他の閾値量も想定される。
【0129】
ステップ908における判定が肯定的なものであり、すなわち電気負荷の電力要件が閾値電力量を超えている場合、方法900は、送信ユニットからの高出力レーザーエネルギーの送信を中断させることによって、送信ユニットによって送信される高出力レーザーエネルギー出力を制御することを含むステップ910に進む。すなわち、光ファイバ給電システムは、電気負荷の動作に必要な電力が利用可能な電力量よりも大きい場合、光源の動作を中断させ、又は光ファイバケーブルを介した光パワーの供給を別様に停止する。
【0130】
ステップ908における判定が否定である場合、すなわち電力要件が閾値を超えていない場合、方法900は、送信ユニットが出力している又は受信ユニットが受け取っている高出力レーザーエネルギーが電気負荷の電力要件を満たしているかどうかを判定することを含むステップ912に進む。例えば、プロセッサは、受信ユニットによって検出された光パワーの量を電気負荷の動作に必要な電力量と比較して、受信側にギャップ又は不足があるかどうかを判定することができる。ステップ912における判定が肯定的なものであり、すなわち電気負荷の電力要件が満たされている場合、方法900は終了することができる。
【0131】
一方で、ステップ912における判定が否定である場合、すなわち受け取られたレーザーエネルギーが電力要件を満たしていない場合、方法900は、送信ユニットによって出力される高出力レーザーエネルギーを電力要件が満たされるように制御又は調整し、或いは対応する電気負荷のニーズを満たすように別様にレーザー出力を調整することを含むことができる。送信ユニットのレーザーエネルギー出力を調整する正確な方法は、例えば電気負荷の電力要件、光ファイバケーブルに含まれる総光ファイバ数、レーザー光源の電力特性、及び各ファイバの最大電力容量を含む様々な因子に応じて異なる。
【0132】
いくつかの実施形態では、ステップ914において、光ファイバケーブルを介して伝送されている光パワー(OPP)の形態を制御するように、送信ユニットからのレーザーエネルギーの伝送に使用される光ファイバの数を電気負荷の電力要件に基づいて調整することによって、上記調整を達成することができる。例えば、いくつかの事例では、送信ユニットが、最初にレーザーエネルギーの送信に使用された光ファイバの第1の数を、第1の数よりも多い光ファイバの第2の数に増加させることができる。他の事例では、送信ユニットが、受信側に伝送されている光パワーの量を低減するために、使用されている光ファイバの数を第1の数よりも少ない第3の数に減少させることができる。従って、ステップ914は、プロセッサを使用して、電気負荷の電力要件を満たすのに必要な光ファイバの数を決定すること、及び受信ユニットへの光パワー伝送に決定された光ファイバの数を使用するように送信ユニット(又は送信ユニットに含まれるレーザー光源)に命令することをさらに含むことができる。
【0133】
いくつかの事例では、ステップ916におけるレーザーエネルギー出力の調整を、光ファイバの数だけでなく、各光ファイバを介して送信されるパワーの量も調整することによって達成することができる。一例として、最初は第1の数のファイバ内の各光ファイバをファイバの最大パワー容量(例えば、約10キロワット(kW))の約75%で動作させることができる。さらに多くの電力が必要な場合には、これらのファイバのうちの1つ又は2つ以上をさらに高い容量(例えば、80%)で動作させ、或いは電力要件を満たすのに必要な容量までに限ってさらなるファイバを使用することができる。同様に、少ない電力しか必要ない場合には、1又は2以上のファイバを介して伝送される光パワーの量を制御又は減少させることによって総電力出力を低減することができる。
【0134】
いくつかの事例では、ステップ916におけるレーザーエネルギー出力又は光パワーの形態の調整を、レーザー光源によって出力される電力の量を電気負荷の電力要件に従って調整することによって達成することができる。例えば、受信ユニットに伝送される光パワーの量を増加させるために、レーザー光源の電力設定又は送信ユニット全体の光パワー変換設定を第1の設定から第2の設定に増加させ又は調整することができる。別の例として、レーザー光源が複数のレーザーダイオードで構成されたダイオードアレイである実施形態では、光パワーを出力するために使用されているレーザーダイオードの数を制御することによってレーザー光源のレーザーエネルギー出力を調整することができる。例えば、送信ユニットを、電気負荷の電力要件を満たすのに必要な電力の量に応じてアレイ内のレーザーダイオードのうちの1つ又は2つ以上をオン又はオフにするように構成することができる。
【0135】
いくつかの事例では、ステップ914及び916の組み合わせを使用して電気負荷の電力要件を満たすことができる。例えば、光ファイバケーブル内の全ての光ファイバを使用しても電気負荷の電力要件が満たされない場合には、レーザー光源によって出力される光パワーの量を各ファイバの最大パワー容量まで増加させることもできる。いくつかの事例では、レーザー光源によって出力される光パワーの量を増加させるとともに、レーザーエネルギーの送信に使用される光ファイバの数を第1のファイバ数から光ファイバケーブルに含まれる総光ファイバ数に等しい第2のファイバ数に増加させることにより、送信ユニットによって出力される高出力レーザーエネルギーが電気負荷の電力要件に基づいて制御又は調整される。
【0136】
いくつかの実施形態では、例えば(例えば、日中の)ピーク負荷要求又は光ファイバ給電システムの他の一時的ニーズを満たすために、送信ユニットによって出力されるレーザーエネルギーを一時的に又は設定期間のみにわたって調整することができる。例えば、ステップ914は、使用される光ファイバの数を第1の時点()に第1の数から第2の数まで増加させ、第2の時点に又は設定期間の経過後に光ファイバの数を再び第1の数に減少させることをさらに含むことができる。同様に、ステップ916は、レーザー光源によって出力されている光パワーの量を第1の時点で第1の設定から第2の設定に増加させ、レーザー光源によって出力されている光パワーの量を減少させるために第2の時点で又は一定期間の経過後に再び第1の設定に戻すことをさらに含むことができる。理解されるように、光ファイバケーブルを介して伝送されている光パワーの形態を一時的に調整する他の技術を使用することもできる。
【0137】
図15に、実施形態による、医療用途での使用に適するように構成された例示的な光ファイバ給電システム1000を示す。いくつかの実施形態では、光ファイバ給電システム1000を、大規模な手術を伴わずに人体内の腫瘍又はその他の望ましくない物体を除去又は切除するために使用することができる。一例として、光ファイバ給電システム100は、レーザー誘起温熱療法、特定の腫瘍(例えば、原発性及び続発性悪性肺腫瘍及び同様のもの)の経皮的レーザーアブレーション、並びにその他の適切な医療処置(例えば、尿管結石除去など)に使用することができる。光ファイバ給電システム1000は、本明細書で説明する他の光ファイバ給電システムと同様に、たとえ受信側、又はこの事例では実行中の特定の医療処置のニーズが処置全体を通じて変化する場合でも、これらのニーズに従ってそのレーザーエネルギー出力を調整することができる。例えば、システム1000は、患者の体内の望ましくない物体を切除又は排除するために使用される場合、レーザー治療に反応して物体のサイズ及び/又は形状が変化するにつれてレーザーエネルギー出力の1又は2以上の特性を調整するように構成することができる。この結果、光ファイバ給電システム1000は、既存のレーザー誘起温熱療法などよりも効率的かつ正確なアブレーション法を提供することができる。
【0138】
図15に示すように、システム1000は、
図3に示す光源102と同様の、超高出力レーザーエネルギーを放出する光源1002(又はレーザー光源)を含む。システム1000は、第1の端部がレーザー光源1002に結合された少なくとも1つの光ファイバ1004をさらに含む。アブレーション手順中には、除去又は切除すべき物体1008に隣接する患者1006の体部に少なくとも1つの光ファイバ1004の第2の端部を挿入することができる。光ファイバ1004は、レーザー光源1002から物体1008に向けて高出力レーザーエネルギーを導く伝送線としての役割を果たすことができる。処置が完了すると、光ファイバ1004の全部又は一部を患者の身体から取り出して廃棄することができる。
【0139】
一般に、光ファイバ1004を介して放出されるレーザーエネルギーは、特定の物体1008のアブレーションを達成するように調整又は最適化することができる。例えば、レーザー光源1002によって出力される高出力レーザーエネルギーは、切除すべき物体1042に応じて約2~3マイクロメートル(μm)の波長又はその他の適切な波長を有するように構成することができる。例えば、この波長は、腫瘍アブレーションでは2.1μmに、尿管結石のアブレーションでは2.0μmに設定することができる。いくつかの実施形態では、レーザー光源1002を、医療処置及び/又は物体1008のタイプに応じた特定のレートでレーザーエネルギーのパルスを放出するように構成することができる。例えば、レーザー光源1002は、尿管結石の粉砕時には50ヘルツ(Hz)の繰り返し率でレーザーエネルギーのパルスを送信するように構成することができる。また、レーザー光源1002は、特定の医療用途に応じて特定量のパワー(例えば、1パルス当たり約1ジュール(J)のパルス出力)を有する光エネルギーのパルスを送信するように構成することができる。
【0140】
実施形態では、物体1008の特定のタイプだけでなくアブレーションが行われるにつれて変化する物体1008の物理的構造にも従って高出力レーザーエネルギーを調整するために、アブレーション手順中にレーザーエネルギー出力が調整される。例えば、物体1008のサイズが小さくなるにつれて、及び/又は物体1008が複数の小片に分裂するにつれて、物体1008に向けられているレーザーエネルギーの強度を低減することができる。実施形態では、このような調整を、例えばレーザー光源1002によって出力されるレーザーエネルギーの出力レベルなどの、レーザーエネルギー出力の1又は2以上の特徴又は特性を制御することによって達成することができる。いくつかの事例では、このような調整を、最初に処置の開始前に、例えば物体1008の初期サイズ及び/又は初期形状に関する情報に基づいて行い、処置中に物体1008又はその残り部分に関するステータス情報又はフィードバック情報に基づいて行い続けることができる。
【0141】
この目的のために、光ファイバ給電システム1000は、患者1006の体内の第1の光ファイバ1004と同じ位置又はその付近に(すなわち、物体1008に隣接して)配置された遠位端を有する第2の光ファイバ1012に結合された分光計1010をさらに含む。第2の光ファイバ1012は、物体1008の位置で検出された光エネルギーを分光計1010に戻すように構成することができる。実施形態では、第2の光ファイバ1012が、
図4に示す光ファイバ202のうちの1つと実質的に同様のものであることができる。分光計1010は、戻り光(又は光パルス)の様々な特性を分析又は測定し、この分析に基づいて物体1008又はその他の入射物体の状態を決定できる、近赤外(又は「NTR」)分光計又はその他の光学分光デバイスであることができる。例えば、分光計1010は、最初のレーザーエネルギーの付与後に、戻り光の強度を測定し、戻りパルスのスペクトルシグネチャ(spectral signature)を分析して、レーザーエネルギー出力が物体1008を完全に切除したか、それとも物体1008の一部しか切除しなかったか、及び/又は物体1008を複数の小片に分裂させてしまったかを判定することができる。分光計1010は、戻りパルスのシグネチャを分析して物体1008の残りの断片のサイズを決定することもできる。いくつかの事例では、分光計1010が、各戻りパルスのシグネチャを識別してこれらのシグネチャを以前に取得された物体1008のシグネチャ又はその他の先行情報と比較することによって戻り光を分析し、元々の物体1008が残っている場合にはどれほど多くが残っているかを判定するように構成される。分光計1010は、組織形態及び吸収特性を含む戻りパルスのシグネチャをモニタして、アブレーション手順の有効性又は完全性を評価することもできる。理解されるように、分光計1010は、これらの判定を行うために、戻りパルスに含まれる異なる色の光及び戻りパルスのスペクトル構造を識別して分析することができる。
【0142】
光ファイバ給電システム1000は、分光計1012によって決定されたステータス情報に基づいてレーザーエネルギー出力の少なくとも1つの特性を調整する制御ユニット1014をさらに含む。実施形態では、制御ユニット1014が、物体1008に向けられたレーザーエネルギーの強度に影響を及ぼすことができる光ファイバ給電システム1000の1又は2以上の特性を制御することができる。例えば、制御ユニット1014は、光源1002から放出される光パワー又は光エネルギーの量を調整するように構成することができる。別の例として、制御ユニット1014は、物体1008に入射するレーザーエネルギーパルスの形状を調整し、或いはレーザーエネルギーを患者1006に向けて伝送するために使用される
図16に関して本明細書で説明するような光ファイバ1004の1又は2以上の特性を別様に変化させ又はこのような特性に影響を及ぼすように構成することができる。
【0143】
図15に示すように、いくつかの実施形態では、制御ユニット1014が、有線又は無線接続を介して分光計1012及びレーザー光源1002の両方と通信するスタンドアローン型コンピュータデバイスである。他の実施形態では、制御ユニット1014が、分光計1012に含まれるマイクロコントローラ又は同様のものであることができ、この場合、分光計1012はレーザー光源1002と通信することができる。理解されるように、それにもかかわらず、制御ユニット1014は、本明細書で説明する動作を実行する(例えば、
図12に示す受信ユニット722のものと同様の)プロセッサ及びメモリを含むことができる。
【0144】
さらに、
図16には、
図15の光ファイバ給電システム1000に含まれる光ファイバ1004の断面図を示す。実施形態では、光ファイバ1004を、光ファイバ1004を介して供給されているレーザーエネルギーのパルス形状及び/又はその他の特性の制御を可能にするように構成することができる。図示のように、光ファイバ1004は、
図4に示して本明細書で説明したファイバコア212と実質的に同様のものであることができるZBLANコア1016を含む。光ファイバ1004は、ZBLANコア1016の周囲に配置されたクラッド1018をさらに含む。クラッド1018は、
図4のクラッド214と同様にコア1016に融合又は接合することができる。光ファイバケーブル1004は、ZBLANファイバコア1016及びクラッド1018を保護して隔離するように構成された保護コーティング1020をさらに含む。コーティング1020は、ポリビニルフルオリド(「PVF」)又はその他の好適なポリマーで構成することができる。
【0145】
実施形態では、クラッド1018及びコーティング1020を、光ファイバ1004のコア1016を通じて伝播するレーザーエネルギーの1又は2以上の特性の特定の制御又は調整を可能にするように構成することができる。例えば、クラッド1018は、物体1008に向かうレーザーエネルギーの伝播を案内又は誘導するように構成された周期的構造を有することができる。コーティング1020は、例えば
図15の制御ユニット1014がクラッド1018に付与する電場などの電場によって刺激された時にサイズ又は形状が変化できる電気活性高分子であることができる。電場に反応してコーティング1020が膨張及び/又は収縮するにつれて、周期的構造のクラッド1018の周期も変化する。これに対応して、コア1016を通じて伝播するレーザーエネルギーのパルス形状及び各光パルスの振幅又は強度が変化し、従って光ファイバ1004を通過できる光のタイプが制御される。実施形態では、制御ユニット1014を、物体1008に入射するレーザーエネルギーのパルス形状及び強度レベルが必要に応じて又は物体1008の現状(例えば、残りの断片の数及びサイズなど)に従って調整されるように、クラッド1018に特定の電場を付与するように構成することができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、光ファイバ給電システム1000に含まれる光源1002のタイプを特定の医療処置に応じて変更又は修正することができる。例えば、尿管結石の粉砕には、このような外科的処置では標準的なHo:YAGレーザーを使用することができる。
【0147】
いくつかの実施形態では、
図6、
図8及び
図14などの図におけるプロセス記述又はブロックが、プロセスにおいて特定の論理機能又は論理ステップを実装するための1又は2以上の実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメント又は部分を表すことができる。当業者であれば理解するように、本明細書で説明した実施形態の範囲には、関与する機能に応じて実質的に同時に又は逆順で機能を実行することを含む、図示又は説明したものとは違う順序で機能を実行できる別のいずれかの実施が含まれる。
【0148】
上述した実施形態、とりわけいずれかの「好ましい」実施形態は、本発明の原理を明確に理解できるように示したものにすぎない可能な実施例であることを強調しておく。上述した(単複の)実施形態には、本明細書で説明した技術の趣旨及び原理から実質的に逸脱することなく多くの変更及び修正を行うことができる。本明細書では、このような修正は全て本開示の範囲に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されるように意図される。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]
光ファイバケーブルであって、
第1の端部と第2の端部との間に延びる長さと、
中心冷却管と、
ファイバコアと前記ファイバコアの周囲に配置されたクラッドとをそれぞれが含む、前記冷却管の半径方向周囲に配置された複数の光ファイバと、
外側保護カバーと、
前記外側保護カバーと前記中心冷却管との間に配置されて前記光ファイバの各々を取り囲む内側熱フィラーと、
を備え、
前記中心冷却管、前記外側保護カバー、前記内側熱フィラー及び前記複数の光ファイバは、それぞれ前記ケーブルの前記長さに延びる、
光ファイバケーブル。
[2]
各光ファイバは、ZrF
4
-BaF
2
-LaF
3
-AlF
3
-NaF(ZBLAN)を含む、
[1]に記載の光ファイバケーブル。
[3]
前記熱フィラーはアクリルで構成される、
[1]に記載の光ファイバケーブル。
[4]
前記冷却管は、前記ケーブルの温度を閾値温度未満に保つように構成された冷却物質を含む、
[1]に記載の光ファイバケーブル。
[5]
前記冷却物質は空気である、
[1]に記載の光ファイバケーブル。
[6]
各ファイバコアは、約300マイクロメートル(μm)~約500μmの範囲から選択された半径を有する、
[1]に記載の光ファイバケーブル。
[7]
前記ケーブルは、約1ギガワットのパワーを有するレーザーエネルギーを約0.1デシベル(dB)の損失で約1000キロメートル(km)の距離にわたって送信することができる、
[1]に記載の光ファイバケーブル。
[8]
前記レーザーエネルギーは、約2.1μmの波長を有する、
[7]に記載の光ファイバケーブル。
[9]
前記長さは少なくとも約50kmである、
[1]に記載の光ファイバケーブル。
[10]
前記複数の光ファイバは、約8000本の光ファイバを含む、
[1]に記載の光ファイバケーブル。
[11]
前記クラッドは、前記ファイバコア内に光を閉じ込めるように構成される、
[1]に記載の光ファイバケーブル。
[12]
前記クラッドは、前記ファイバコアよりも低い屈折率を有するフッ化物ガラス材料で形成される、
[11]に記載の光ファイバケーブル。
[13]
各光ファイバは、前記ファイバコア内の欠陥の数を低減するように構成されたアニーリング法を使用して改良される、
[1]に記載の光ファイバケーブル。
[14]
前記アニーリング法は、
前記光ファイバを、前記光ファイバの結晶化温度(T
x
)よりも高く前記光ファイバの溶融温度(T
m
)よりも低い第1の温度に加熱するステップと、
前記光ファイバが前記第1の温度にある間に前記光ファイバを第1の位置から第2の位置に第1の加速度で移動させるステップと、
前記光ファイバを、前記光ファイバの前記結晶化温度よりも低くガラス転移温度(T
g
)よりも高い第2の温度に、前記光ファイバに関連する臨界冷却速度で冷却するステップと、
を含む、[13]に記載の光ファイバケーブル。
[15]
前記第1の加速度は重力加速度である、
[14]に記載の光ファイバケーブル。
[16]
前記ガラス転移温度は約260℃であり、前記結晶化温度は約352℃であり、前記溶融温度は約450℃である、
[14]に記載の光ファイバケーブル。
[17]
ファイバコアと、前記ファイバコアの周囲のクラッドとを含む一定長の光ファイバ内の欠陥を除去するシステムであって、
前記光ファイバの所与のセグメントを前記光ファイバの結晶化温度(T
x
)よりも高く前記光ファイバの溶融温度(T
m
)よりも低い第1の温度に内部で加熱するように構成された加熱チャンバを含むアニーリングユニットと、
自由落下運動を使用して前記アニーリングユニットを高所から低所に移動させるように構成されるとともに、前記自由落下運動の第1の期間中に前記光ファイバのセグメントの前記第1の温度を維持するようにさらに構成された加熱チャンバと、
を備え、
前記アニーリングユニットは、第2の期間中に、前記光ファイバのセグメントを前記光ファイバの前記結晶化温度(T
x
)よりも低くガラス転移温度(T
g
)よりも高い第2の温度に、前記光ファイバに関連する臨界冷却速度で冷却するように構成され、
前記第2の期間の終了後、前記アニーリングユニットは、前記光ファイバの後続のセグメントを前記加熱チャンバ内に移行させるようにさらに構成され、前記ハウジングは、前記アニーリングユニットを前記低所から前記高所に移動させるようにさらに構成される、
システム。
[18]
前記アニーリングユニットは、前記光ファイバを前記加熱チャンバ内に供給するように構成された第1のスプールと、前記加熱チャンバから出た前記光ファイバを受け取るように構成された第2のスプールとをさらに含む、
[17]に記載のシステム。
[19]
前記アニーリングユニットは、前記チャンバ前記所与のセグメントをから引き出して前記後続のセグメントを前記チャンバ内に引き込むために前記第2のスプールを第1の方向に回転させるように構成された1又は2以上のプロセッサをさらに含む、
[18]に記載のシステム。
[20]
前記第2の期間は、前記自由落下運動中において前記第1の期間の終了後に開始する、
[19]に記載のシステム。
[21]
前記1又は2以上のプロセッサは、
前記光ファイバの所与のセグメントが冷却後にファイバ損失閾値を満たしているかどうかを判定し、
前記閾値が満たされていない場合、前記所与のセグメントをさらなる加熱のために前記加熱チャンバに戻すために、前記第2のスプールを前記第1の方向とは逆の第2の方向に回転させる、
ようにさらに構成される、[19]に記載のシステム。
[22]
前記光ファイバは、ZrF
4
-BaF
2
-LaF
3
-AlF
3
-NaF(ZBLAN)を含む、
[17]に記載のシステム。
[23]
前記光ファイバの各セグメントは少なくとも約10メートルの実質的に均一な長さを有し、前記高所と前記低所との間の距離は少なくとも約44メートルであり、前記自由落下運動は約3秒にわたって続く、
[17]に記載のシステム。
[24]
前記臨界冷却速度は、毎秒約摂氏40度(℃)である、
[17]に記載のシステム。
[25]
前記ガラス転移温度は約260℃であり、前記結晶化温度は約352℃であり、前記溶融温度は約450℃である、
[17]に記載のシステム。
[26]
1又は2以上のプロセッサを含むシステムのアニーリングユニット内に少なくとも部分的に配置された、ファイバコアと前記ファイバコアの周囲のクラッドとを含む一定長の光ファイバから欠陥を除去する方法であって、
(a)前記1又は2以上のプロセッサを使用して、前記光ファイバの所与のセグメントを前記アニーリングユニットの加熱チャンバ内に配置するステップと、
(b)前記加熱チャンバ及び前記1又は2以上のプロセッサを使用して、前記所与のセグメントを前記光ファイバの結晶化温度(T
x
)よりも高く前記光ファイバの溶融温度(T
m
)よりも低い第1の温度に加熱するステップと、
(c)前記1又は2以上のプロセッサを使用して、自由落下運動を使用して前記アニーリングユニットを高所から低所に移動させるステップと、
(d)前記自由落下運動中に、前記加熱チャンバ及び前記1又は2以上のプロセッサを使用して、前記所与のセグメントを第1の期間にわたって前記第1の温度に維持するステップと、
(e)第2の期間中に、前記1又は2以上のプロセッサを使用して、前記所与のセグメントを前記光ファイバの前記結晶化温度(T
x
)よりも低くガラス転移温度(T
g
)よりも高い第2の温度に、前記光ファイバの臨界冷却速度で冷却するステップと、
(f)前記第2の期間後に、前記1又は2以上のプロセッサを使用して前記アニーリングユニットを前記低所から前記高所に移動させるステップと、
(g)前記1又は2以上のプロセッサを使用して、前記光ファイバの長さ全体が処理されるまで前記光ファイバの各後続のセグメントについてステップ(a)~(f)を繰り返すステップと、
を含む、方法。
[27]
前記所与のセグメントを冷却するステップは、前記臨界冷却速度に基づいて選択された速さで前記第1のセグメントを前記加熱チャンバから引き出すステップを含み、前記光ファイバの所与のセグメントは、前記加熱チャンバから出た時点で前記第2の温度に冷える、
[26]に記載の方法。
[28]
前記所与のセグメントが引き出されると、前記光ファイバの後続のセグメントが前記加熱チャンバに引き込まれる、
[27]に記載の方法。
[29]
ステップ(g)の前に、前記1又は2以上のプロセッサを使用して、前記光ファイバの所与のセグメントがファイバ損失閾値を満たしているかどうかを判定するステップと、
前記閾値が満たされていない場合、前記所与のセグメントをさらなる加熱のために前記加熱チャンバに戻すために、前記1又は2以上のプロセッサを使用して前記第2のスプールを前記第1の方向とは逆の第2の方向に回転させるステップと、
をさらに含む[26]に記載の方法。
[30]
前記さらなる加熱を行うために、前記所与のセグメントに対してステップ(b)~(f)を繰り返すステップをさらに含む、
[29]に記載の方法。
[31]
前記第2の期間は、前記自由落下運動中において前記第1の期間の終了後に開始する、
[26]に記載の方法。
[32]
前記光ファイバの各セグメントは、少なくとも約10メートルの実質的に均一な長さを有し、前記高所から前記低所までの距離は少なくとも約44メートルであり、前記自由落下運動は約3秒にわたって続く、
[26]に記載の方法。
[33]
前記光ファイバは、ZrF
4
-BaF
2
-LaF
3
-AlF
3
-NaF(ZBLAN)を含む、
[26]に記載の方法。
[34]
前記臨界冷却速度は、少なくとも毎秒約摂氏40度(℃)である、
[26]に記載の方法。
[35]
前記ガラス転移温度は約260℃であり、前記結晶化温度は約352℃であり、前記溶融温度は約450℃である、
[26]に記載の方法。
[36]
ファイバコアと前記ファイバコアの周囲のクラッドとを含む一定長の光ファイバ内の欠陥を低減するシステムであって、
前記光ファイバの所与のセグメントを前記光ファイバの結晶化温度(T
x
)よりも高く前記光ファイバの溶融温度(T
m
)よりも低い第1の温度に選択的に加熱するように構成された発熱体と、前記所与のセグメントを前記発熱体に隣接して選択的に固定するように構成されたクランピングシステムと、を含むアニーリングユニットと、
前記アニーリングユニットを収容し、前記アニーリングユニットと前記アニーリングユニット内に固定された前記光ファイバの所与のセグメントとを第1の位置から第2の位置に第1の加速度で移動させるともに、前記アニーリングユニット及び前記所与のセグメントを前記第2の位置から前記第1の位置に前記第1の加速度よりも低い第2の加速度で移動させるように構成された加速チャンバと、
を備え、
前記光ファイバの所与のセグメントは、前記第1の加速度である間に前記発熱体によって第1の期間にわたって前記第1の温度に加熱され、
前記所与のセグメントは、第2の期間にわたって、前記光ファイバに関連する臨界冷却速度で前記光ファイバの前記結晶化温度よりも低くガラス転移温度(T
g
)よりも高い第2の温度に冷却され、
前記クランピングシステムは、前記第2の期間後に前記光ファイバの所与のセグメントを解放し、前記光ファイバの後続のセグメントを前記発熱体に隣接して固定するように構成される、
システム。
[37]
前記光ファイバを前記加速チャンバ内に供給するように構成された第1のスプールと、前記加速チャンバから出た前記光ファイバを受け取るように構成された第2のスプールとをさらに備える、
[36]に記載のシステム。
[38]
前記加速チャンバは、前記第1の位置と前記第2の位置との間における前記アニーリングユニットの移動を制御するとともに、前記クランピングシステム及び前記クランピングシステムに含まれる前記加熱システムの動作を制御するように構成された1又は2以上のプロセッサを含む、
[37]に記載のシステム。
[39]
前記1又は2以上のプロセッサは、
前記光ファイバの前記所与のセグメントを解放する前に、前記所与のセグメントがファイバ損失閾値を満たしているかどうかを判定し、
前記閾値が満たされていない場合、前記所与のセグメントを前記第1の温度に加熱しながら前記アニーリングユニットを前記第1の位置から前記第2の位置に前記第1の加速度で移動させることを繰り返す、
ようにさらに構成される、[38]に記載のシステム。
[40]
前記アニーリングユニットは、前記アニーリングユニットの長さに沿って延びて、前記第2の期間中に前記所与のセグメントを冷却する空気流が前記ユニットを通過することを可能にするように構成された複数の開口部を含む、
[36]に記載のシステム。
[41]
前記発熱体は、前記アニーリングユニットの中心に配置されたコイルであり、前記光ファイバは前記コイルの中心を貫通する、
[36]に記載のシステム。
[42]
前記クランピングシステムは、前記発熱体の両側に隣接して配置されて、前記光ファイバの所与のセグメントを前記発熱体に隣接して固定する第1の位置と、前記セグメントを解放する第2の位置との間で移動するように構成された2つのアクチュエータを含み、各アクチュエータは、前記クランピングシステムが前記第1の位置にある時に前記光ファイバを圧迫するように構成された把持部分において終端する、
[41]に記載のシステム。
[43]
前記第2の期間は、前記第1の加速度である間において前記第1の期間の終了後に開始する、
[36]に記載のシステム。
[44]
前記光ファイバは、ZrF
4
-BaF
2
-LaF
3
-AlF
3
-NaF(ZBLAN)を含む、
[36]に記載のシステム。
[45]
前記光ファイバの各セグメントは、約3インチの実質的に均一な長さを有する、
[36]に記載のシステム。
[46]
前記第1の位置と前記第2の位置との間の距離は少なくとも約0.5メートルであり、前記アニーリングユニットは、前記第1の加速度である間に前記第1の位置から前記第2の位置に約320ミリ秒で移動する、
[36]に記載のシステム。
[47]
前記臨界冷却速度は、少なくとも毎秒約摂氏40度(℃)である、
[36]に記載のシステム。
[48]
前記ガラス転移温度は約260℃であり、前記結晶化温度は約352℃であり、前記溶融温度は約450℃である、
[36]に記載のシステム。
[49]
1又は2以上のプロセッサを含むシステムのアニーリングユニット内に少なくとも部分的に配置された、ファイバコアと前記ファイバコアの周囲のクラッドとを含む一定長の光ファイバから欠陥を除去する方法であって、
(a)前記1又は2以上のプロセッサを使用して、前記光ファイバの所与のセグメントを前記アニーリングユニットの発熱体に隣接して固定するステップと、
(b)前記1又は2以上のプロセッサ及び前記発熱体を使用して、前記所与のセグメントを前記光ファイバの結晶化温度(T
x
)よりも高く前記光ファイバの溶融温度(T
m
)よりも低い第1の温度に加熱するステップと、
(c)前記1又は2以上のプロセッサを使用して、前記アニーリングユニットを第1の位置から第2の位置に第1の加速度で移動させるステップと、
(d)前記加速度である間に、前記1又は2以上のプロセッサ及び前記発熱体を使用して、前記所与のセグメントの前記第1の温度を第1の期間にわたって維持するステップと、
(e)第2の期間中に、前記1又は2以上のプロセッサを使用して、前記所与のセグメントを前記光ファイバの前記結晶化温度よりも低くガラス転移温度(T
g
)よりも高い第2の温度に、前記光ファイバの臨界冷却速度で冷却するステップと、
(f)前記第2の期間後に、前記1又は2以上のプロセッサを使用して前記所与のファイバセグメントを解放するステップと、
(g)前記1又は2以上のプロセッサを使用して、前記アニーリングユニットを前記第1の加速度よりも遅い第2の加速度で前記第2の位置から前記第1の位置に移動させるステップと、
(h)前記1又は2以上のプロセッサを使用して、前記光ファイバの長さ全体が処理されるまで前記光ファイバの各後続のセグメントについてステップ(a)~(g)を繰り返すステップと、
を含む、方法。
[50]
ステップ(f)の前に、前記1又は2以上のプロセッサを使用して、前記光ファイバの所与のセグメントがファイバ損失閾値を満たしているかどうかを判定するステップと、
前記閾値が満たされていない場合、前記1又は2以上のプロセッサを使用して、前記所与のセグメントについてステップ(b)~(e)を繰り返すステップと、
をさらに含む、[49]に記載の方法。
[51]
ステップ(a)は、前記所与のセグメントを前記アニーリングユニットのクランピングシステムに固定するステップを含み、ステップ(f)は、前記所与のセグメントを前記クランピングシステムから解放するステップを含む、
[49]に記載の方法。
[52]
前記第2の期間は、前記第1の加速度である間において前記第1の期間の終了後に開始する、
[49]に記載の方法。
[53]
前記光ファイバの各セグメントは、約3インチの実質的に均一な長さを有する、
[49]に記載の方法。
[54]
前記第1の位置と前記第2の位置との間の距離は少なくとも約0.5メートルであり、前記アニーリングユニットは、前記第1の加速度である間に前記第1の位置から前記第2の位置に約320ミリ秒で移動する、
[49]に記載の方法。
[55]
前記光ファイバは、ZrF
4
-BaF
2
-LaF
3
-AlF
3
-NaF(ZBLAN)を含む、
[49]に記載の方法。
[56]
前記臨界冷却速度は、少なくとも毎秒約摂氏40度(℃)である、
[49]に記載の方法。
[57]
前記ガラス転移温度は約260℃であり、前記結晶化温度は約352℃であり、前記溶融温度は約450℃である、
[49]に記載の方法。