(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-13
(45)【発行日】2025-03-24
(54)【発明の名称】展示台用器材
(51)【国際特許分類】
A47F 5/11 20060101AFI20250314BHJP
A47F 5/10 20060101ALI20250314BHJP
【FI】
A47F5/11
A47F5/10 D
(21)【出願番号】P 2021090145
(22)【出願日】2021-05-28
【審査請求日】2024-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502337457
【氏名又は名称】株式会社プロテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 孝次
(72)【発明者】
【氏名】杉本 智数
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特許第6554297(JP,B2)
【文献】特開2019-076647(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0113355(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0034674(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 1/00-13/08
B65D 5/00- 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四辺形の天面板と、
天面板の第一方向に対向する一組の側辺での一方の側辺から他方の側辺に亘って第一方向に連続していて、第一支柱形成面板と引き裂き片と第二支柱形成面板とからなる周回部と、
天面板の前記第一方向と直交した第二方向に対向するもう一組の側辺での一方の側辺に連続し、天面板裏面側に曲げ折り可能にして天面板表面に折り重ねられている第一台座形成面板と、
天面板の第二方向に対向する前記もう一組の側辺での他方の側辺に連続し、天面板裏面側に曲げ折り可能にして天面板表面に折り重ねられている第二台座形成面板とを備えていて、
前記周回部は扁平となって、天面板とで、第一台座形成面板と第二台座形成面板とを挟み込んで保持するものであって、
前記引き裂き片の取り除きによって周回部が引き裂き片の位置で切断して、第一支柱形成面板と第二支柱形成面板とが分離されたときに、この第一支柱形成面板と第二支柱形成面板のそれぞれが、天面板裏面側に略コ字状に曲げ折り可能とされ、
周回部の前記切断によって前記周回部の保持から解放される第一台座形成面板と第二台座形成面板とが、天面板裏面側に略コ字状に曲げ折り可能とされていて、
天面板裏面側に略コ字状に曲げ折りしたときの第一支柱形成面板と第二支柱形成面板とが、天面板裏面側に略コ字状に曲げ折りしたときの第一台座形成面板と第二台座形成面板とに係脱可能に係止して、第一支柱形成面板と第二支柱形成面板とのそれぞれを曲げ折りしてなる支柱が、天面板裏面に形成される構成としていることを特徴とする展示台用器材。
【請求項2】
引き裂き片の第二方向に対向する側辺それぞれに、天面板裏面側に折り重ねられてこの天面板裏面に分離可能にして取り付けられる連結面板が連続していて、
前記連結面板を天面板裏面に取り付けて、第一台座形成面板と第二台座形成面板を間にして周回部と天面板とが重ね合わされた扁平状態を維持する請求項1に記載の展示台用器材。
【請求項3】
連結面板の端部には、天面板裏面に貼り付ける貼着片からなる連結手段が備えられていて、連結手段に沿って不連続な切り込みを穿設してなる切り込み線部が設けられている請求項2に記載の展示台用器材。
【請求項4】
天面板表面と、この天面板表面に連続する周面部と第一台座形成面板と第二台座形成面板の片面とが、印刷を施した印刷形成面とされ、
天面板と周回部とが連続してなる周回部分の内側に、天面板の印刷形成面と周回部の印刷形成面とが位置するとともに、第一台座形成面板の印刷形成面と第二台座形成面板の印刷形成面とが、前記天面板の印刷形成面側に重ね合わされていて、
周回部と天面板とで第一台座形成面板と第二台座形成面板とを挟み込み状態にして保持する形態時には、前記印刷形成面が外方に対して非表出となる構成を備えている請求項1から3の何れか一項に記載の展示台用器材。
【請求項5】
周回部と天面板とで第一台座形成面板と第二台座形成面板とを挟み込んで保持する扁平な形態としたときの外方に表出する面に、配送物受取人情報記載欄が設けられている請求項1から4の何れか一項に記載の展示台用器材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易的な展示台として組み上げることができるとともに、組み上げ前の器材搬送時などに適した薄形の形態となっている展示台用器材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、片手で手持ちできる程度の大きさの商品を載せて展示したりその商品の背景物にする簡易的な展示台には、段ボールや厚紙などを素材として用いられることが多い。そして、このような展示台を組み起こしにより制作できる工夫が特許文献1に示されている。
【0003】
特許文献1は商品展示台に関するものであり、一枚のシート材から厚みのある箱状の商品展示台を組み起こすようにした技術であって、強度を高めるようにした工夫が示されている。
【0004】
この特許文献1の商品展示台では、底部の辺に連設されて曲げ起こされる第一及び第二の側壁部に第一及び第二の蓋部を連設していて、第一及び第二の蓋部を折り曲げると側部の中央付近上方で突き当り、その位置から第一及び第二の支柱部が連設されて、第一及び第二の支柱部が折り曲げられて底部に突き合って展示台中央の強度が高まるようにしている。
【0005】
また、組み起こすことで展示台となる展示台用基材が特許文献2に示されている。
この特許文献2では、一枚の商品載置部の一つの側辺に、展示台形態で起立させる二枚の背面部を連続させるとともに、商品載置部の残りの辺の内の対向二側辺それぞれにフラップ部を連続していて、商品載置部に背面部を倒し込んでからフラップ部をその上に重ね合わせることで、搬送に適した折り畳み形状にできる点が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-076647号公報
【文献】特許第6554297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、季節商品やキャンペーン関連商品などの展示を、デパートなどの大型小売店舗ばかりでなく、多種の日用品を取り扱うドラッグストアやコンビニエンスストアなどの小規模店舗でも行なっている。
そして、ドラッグストアやコンビニエンスストアなどでは、常設の商品棚に並ぶ商品に比べてアイキャッチ効果が高くなるように、嵩高の展示台に季節製品などを載せる展示形態を採ることが多い。
【0008】
さらに、ドラッグストアやコンビニエンスストアなどでは、従業員やアルバイト店員で展示用具の準備や撤去などが簡単に行なえるようにすることが望まれており、上述した特許文献1で示すような簡単に組み起こしできる展示台が利用される。
【0009】
しかしながら、特許文献1の商品展示台では、組み起こす前の形態では広く展開された状態であり、組み起こす前の器材はコンパクトなものではない。
そのため、商品展示台が展開された状態(組み起こし前)では、ドラッグストアなどの小売店舗向けに搬送するときに取り扱いが煩雑になるという問題がある。
【0010】
そこで本発明は上記事情に鑑み、箱状に組み起こす展示台用器材であって、組み起こし前の状態でもコンパクトな形態にすることを課題として、搬送が煩雑にならない組み起こし前の展示台用器材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、四辺形の天面板と、
天面板の第一方向に対向する一組の側辺での一方の側辺から他方の側辺に亘って第一方向に連続していて、第一支柱形成面板と引き裂き片と第二支柱形成面板とからなる周回部と、
天面板の前記第一方向と直交した第二方向に対向するもう一組の側辺での一方の側辺に連続し、天面板裏面側に曲げ折り可能にして天面板表面に折り重ねられている第一台座形成面板と、
天面板の第二方向に対向する前記もう一組の側辺での他方の側辺に連続し、天面板裏面側に曲げ折り可能にして天面板表面に折り重ねられている第二台座形成面板とを備えていて、
前記周回部は扁平となって、天面板とで、第一台座形成面板と第二台座形成面板とを挟み込んで保持するものであって、
前記引き裂き片の取り除きによって周回部が引き裂き片の位置で切断して、第一支柱形成面板と第二支柱形成面板とが分離されたときに、この第一支柱形成面板と第二支柱形成面板のそれぞれが、天面板裏面側に略コ字状に曲げ折り可能とされ、
周回部の前記切断によって前記周回部の保持から解放される第一台座形成面板と第二台座形成面板とが、天面板裏面側に略コ字状に曲げ折り可能とされていて、
天面板裏面側に略コ字状に曲げ折りしたときの第一支柱形成面板と第二支柱形成面板とが、天面板裏面側に略コ字状に曲げ折りしたときの第一台座形成面板と第二台座形成面板とに係脱可能に係止して、第一支柱形成面板と第二支柱形成面板とのそれぞれを曲げ折りしてなる支柱が、天面板裏面に形成される構成としていることを特徴とする展示台用器材を提供して、上記課題を解消するものである。
【0012】
そして、本発明は、引き裂き片の第二方向に対向する側辺それぞれに、天面板裏面側に折り重ねられてこの天面板裏面に分離可能にして取り付けられる連結面板が連続していて、
前記連結面板を天面板裏面に取り付けて、第一台座形成面板と第二台座形成面板を間にして周回部と天面板とが重ね合わされた扁平状態を維持することが良好である。
【0013】
また、本発明は、連結面板の端部には、天面板裏面に貼り付ける貼着片からなる連結手段が備えられていて、連結手段に沿って不連続な切り込みを穿設してなる切り込み線部が設けられていることが良好である。
【0014】
また、本発明は、天面板表面と、この天面板表面に連続する周面部と第一台座形成面板と第二台座形成面板の片面とが、印刷を施した印刷形成面とされ、
天面板と周回部とが連続してなる周回部分の内側に、天面板の印刷形成面と周回部の印刷形成面とが位置するとともに、第一台座形成面板の印刷形成面と第二台座形成面板の印刷形成面とが、前記天面板の印刷形成面側に重ね合わされていて、
周回部と天面板とで第一台座形成面板と第二台座形成面板とを挟み込み状態にして保持する形態時には、前記印刷形成面が外方に対して非表出となる構成を備えていることが良好である。
【0015】
さらに、本発明は、周回部と天面板とで第一台座形成面板と第二台座形成面板とを挟み込んで保持する扁平な形態としたときの外方に表出する面に、配送物受取人情報記載欄が設けられていることが良好である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、扁平な周回部と天面板とで第一台座形成面板と第二台座形成面板とを挟み込んで保持するとともに、周回部から引き裂き片を取り除いて周回部を切った後、第一台座形成面板と第二台座形成面板とを、天面板裏面側に略コ字状に曲げ折りし、また、周回部の切断により第一支柱形成面板と第二支柱形成面板とが分離されているので、第一支柱形成面板と第二支柱形成面板とを、天面板裏面側に略コ字状に曲げ折りできるようになる。
【0017】
そして、曲げ折りした第一支柱形成面板と第二支柱形成面板とが、先に天面板裏面側に曲げ折りした第一台座形成面板と第二台座形成面板とに係止し、第一支柱形成面板と第二支柱形成面板とのそれぞれからなる支柱が、天面板裏面に形成されるようにしている。
【0018】
よって、周回部の引き裂き片が取り除かれるまでは、展示台用器材は、天面板と第一、第二台座形成面板と扁平な周回部とが重なった薄形物となり、この展示台用器材を搬送するときの取り扱いが簡単になる。
また、引き裂き片の位置で周回部を切るという簡単な作業で、第一支柱形成面板と第二支柱形成面板と第一台座形成面板と第二台座形成面板を、天面板の裏面側に曲げ折りできるようになり、展示台の作成が簡単になるとともに、その展示台を撤去する場合に、配送時の薄形物の状態に戻すことも容易に行なえるという効果を奏する。
【0019】
さらに、本発明では、周回部が、第一方向にして天面板の一方の側辺から他方の側辺に亘って連続し、引き裂き片の第二方向で対向する側辺に連続する連結面板が、天面板裏面に取り付けられて、扁平な周回部と天面板との間に第一台座形成面板と第二台座形成面板とを配した薄形物の形態を維持するようにしている。
【0020】
このように天面板に対して周回部を第一方向とこれに直交する第二方向とで繋がるようにしているため、組み起こし前の展示台用器材を薄形にした状態が、配送時でも崩れない。加えて、天面板と周回部との間に、展示台とともに用いる物品、例えば、ポスターやカタログ、展示台組立説明書などの枚葉物、冊子物を収容させておくことができる。
【0021】
また、本発明では、連結面板の端部にあっては、天面板裏面に貼り付ける貼着片からなる連結手段が備えられていて、連結手段に沿って不連続な切り込みを穿設してなる切り込み線部が設けられているので、切り込み線部の部分から切断を行なうことで、天面板裏面から連結面板を簡単に分離させることができる。
そして、引き裂き片を取り除く作業に移って、第一支柱形成面板と第二支柱形成面板とに分けることができる。よって、薄形物の展示台用器材の状態から展示台に組み起こす手順が簡単になるという効果を奏する。
【0022】
また、本発明では、天面板表面と、この天面板表面に連続する周面部と第一台座形成面板と第二台座形成面板の片面とが、印刷を施した印刷形成面とされ、周回部と天面板とで第一台座形成面板と第二台座形成面板とを挟み込み状態にして保持する形態時には、この印刷形成面が、外方に対して非表出となるように設けられている。
そのため、展示台用器材を配送するときに、印刷形成面に汚れたり傷が付いたりすることを防止できるという効果がある。
【0023】
また、本発明では、展示台用器材の外方に表出する面に、配送物受取人情報記載欄が設けられているようにすることで、受取人情報が記載される場所が定まり、搬送過程中での受取人情報の確認作業が行ない易くなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の展示台用器材を得るためのブランクを示す説明図である。
【
図2】ブランクにおける第一、第二台座形成面部を折り重ねた状態を示す説明図である。
【
図3】ブランクにおける引き裂き片側を折り重ねた状態を示す説明図である。
【
図4】本発明の展示台用器材の一例を示す説明図である。
【
図5】ブランクにおける連結面板を取り付けた状態を示す説明図である。
【
図6】第一、第二台座形成面板を曲げ折りした状態を示す説明図である。
【
図7】第一、第二支柱形成面板を曲げ折りする状態を示す説明図である。
【
図8】第一、第二支柱形成面板からなる支柱を下方から見た状態で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
つぎに本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。図中1は本発明の展示台用器材を得るためのブランクで、化粧印刷が施されたコートボール(厚紙)を段ボールの片面に積層一体化し、さらに折り罫線と切り込み線を入れて複数の面板を構成するようにして打ち抜かれたブランクである。
図1のブランクは、化粧印刷が施された側を手前にして図示している。
【0026】
(ブランク)
このブランク1には、後述する展示台での商品載置板や背景板などとして用いる四辺形であって商品を載せる広さを有した長方形の天面板2が在る。そして、天面板2の第一方向Aに対向する一組の側辺の内、一方の側辺3から順にして第一方向Aに複数の面板が連続していて、図示するように側辺3側から第一側面板4、第一底面板5、第一差し込み片6、引き裂き片7、第二差し込み片8、第二底面板9が連接されている。また、第一方向Aで対向する側辺の内の他方の側辺10からは第一方向Aにして第二側面板11と糊代12が連接されている。
【0027】
天面板2の前記第一方向Aと直交する方向である第二方向Bで対向する一組の側辺の内、一方の側辺13から第二方向Bで順に第三側面板14、第一固定片15が連接され、他方の側辺16から第二方向Bで順に第四側面板17、第二固定片18が連接されている。
【0028】
第三側面板14と第四側面板17との第一方向Aで対向する側辺それぞれには、折り込みするフラップ19が連接されている。また、図示されているように第一固定片15と第二固定片18とには、後述するように展示台を組み起こすときに第一差し込み片6、第二差し込み片8を差し込みして係止させることができる長孔状の差し込み孔20が開けられている。
【0029】
さらに、引き裂き片7の第二方向Bで対向する側辺21、22には、二条の折り罫線を介して連結面板23が連接されている。連結面板23それぞれは、二条の折り罫線とは反対側の端部に、後述するように天面板裏面に貼り付ける貼着片からなる取付手段24を備えている。
【0030】
さらに、取付手段24とした貼着片の部分に沿って、不連続な切り込みを二条にして穿設した切り込み線部25が設けられていて、取付手段24の貼着片を天面板裏面に貼り付けた状態で、必要時に切り込み線部25の切り込み間を除去することで、取付手段24から連結面板23を分離できる。
【0031】
第一差し込み片6と引き裂き片7、また、引き裂き片7と第二差し込み片8とはそれぞれミシン目状の切り取り線部26を介して連接されており、上記連結面板23を切り込み線部25の位置で切断したのち、引き裂き片7を第一差し込み片6と第二差し込み片8との間から取り除くことができるように設けられている。さらに、第一差し込み片6、第二差し込み片8には上記差し込み孔20に差し込んだときにかみ合う溝状の切り込み27を切り取り線部26によって形成されている。
【0032】
(展示台用器材)
本発明の展示台用器材28はブランク1から形成される。ブランク1から展示台用器材28を得るにあたっては、まず、
図2に示すように天面板2の表面2aに、第二方向Bで対向する側辺13から第三側面板14と第三側面板14に連続する第一固定片15とを折り重ねている。同じく天面板2のもう一方の側辺16から第四側面板17とこの第四側面板17に連続する第二固定片18とを折り重ねている。フラップ19は第三、第四側面板14、17に伴なって移動する。
【0033】
つぎに、天面板2の側辺10側にある二条の折り罫線の部分を断面略コ字状に折り起こすようにすることで、糊代12が第二側面板11の表面11aに対応する。また、天面板2の側辺3側の第一側面板4と第一底面板5との間の折り罫線の位置で折り曲げを行ない、第一底面板5から第二底面板9までの一連の面板を、糊代12、天面板2の表面2a、第一側面板4の表面4aに相対させて、前記糊代12と第二底面板9の対応部分とを貼り合わせている。(
図3参照)
【0034】
つぎに、引き裂き片7の側辺21、22に沿う二条の折り罫線の部分を断面略コ字状にして天面板2の裏面2b側へ折り起こすようにすることで、連結面板23それぞれを天面板2の裏面2bに重ね合わせ、取付手段(貼着片)24を貼り付けている。(
図4、
図5参照)
【0035】
以上のようにして
図4に示す展示台用器材28が完成する。制作された展示台用器材28は展示台を組み起こすことができるようにしたものである。組み起こされる展示台自体は、天面板2の裏面2b側に面板を曲げ折りして係止用の台座34、35が形成されるとともに、同じく裏面2b側に面板を曲げ折りして支柱36、37が形成されるようにして、後述のように台座34、35に支柱36、37を係止させて全体として厚みのある箱体が形成されるようにしている。
【0036】
展示台形態での天面板2の裏面2b側に支柱36、37が形成されるようにするために、本発明の展示台用器材28では、天面板2の第一方向Aに対向する一組の側辺の内の側辺3から他方の側辺10に亘って周回部29を備えて、その周回部29中に、それぞれ複数の面板からなる第一支柱形成面板30、第二支柱形成面板31を構成している。
【0037】
また同様に展示台形態での天面板2の裏面2b側に支柱掛け止め用の台座34、35が形成されるようにするために、天面板2の側辺13、16から第二方向Bに延設するようにして第一台座形成面板32と第二台座形成面板33とを備えている。
【0038】
(周回部、第一、第二支柱形成面板)
展示台用器材28の周回部29は、ブランク1での第二底面板9を糊代12に貼り合わせることによって第二底面板9が第二側面板11に連続するようにしているため、天面板2の側辺3から第一方向Aに第一側面板4と第一底面板5と第一差し込み片6と引き裂き片7と第二差し込み片8と第二底面板9と第二側面板11から構成されている。
【0039】
そして、第一支柱形成面板30は、側辺3から第一方向Aで連続する第一側面板4と第一底面板5と第一差し込み片6とから構成されているとともに、第二支柱形成面板31は、側辺10から第一方向Aで連続する第二側面板11と第二底面板9と第二差し込み片8とから構成されている。従って、周回部29は、側辺3から側辺10に亘る方向に沿う第一方向Aにして第一支柱形成面板30と引き裂き片7と第二支柱形成面板31とが順に並んでいる。
【0040】
また、周回部29では、図示されているように第一側面板4と第一底面板5との間の折り罫線の部分から、第一底面板5と第一差し込み片6と引き裂き片7と第二差し込み片8と第二底面板9とが一連となって、天面板2の表面2a、第一側面板4の表面4aに相対するように折り重ねられて、二条の折り罫線の部分から折り曲げられた糊代12にも第二底面板9の対応部分が貼り合わされている。
【0041】
ブランク1の状態で示すように天面板2の表面2aと第一側面板4、第二側面板11の表面4a、11aとは同一面側であり、また、第一底面板5、第一差し込み片6、引き裂き片7、第二差し込み片8、第二底面板9との表面5a、6a、7a、8a、9aも天面板2の表面2aと連続する面である。
そのため、天面板2と周回部29との第一方向Aで周回する部分の内方側が、各面板の表面、即ち、化粧印刷などを行なった印刷形成面で構成されている。
【0042】
(第一、第二台座形成面板)
第一台座形成面板32は、ブランク1の形態で示されているように天面板2の側辺13から第二方向Bに連続する第三側面板14と第一固定片15とからなるものである。また、第二台座形成面板33は、天面板2の側辺16から第二方向Bに連続する第四側面板17と第二固定片18とからなるものである。
第一台座形成面板32と第二台座形成面板33とは、天面板2の裏面2bに向けて略コ字状に曲げ折りすることが可能となるように、この実施の形態では第一固定片15と第二固定片18とのそれぞれに差し込み孔20の位置を通るようにして折り罫線が入れられている。
【0043】
(扁平形態)
展示台用器材28では、第一台座形成面板32と第二台座形成面板33とがそれぞれ天面板2の表面2aに折り重ねられている。そして、上述したように上記周回部29において第一側面板4と第一底面板5との間の折り罫線の位置から、第一底面板5と第一差し込み片6と引き裂き片7と第二差し込み片8と第二底面板9の一連の面板が折り倒され、第一台座形成面板32と第二台座形成面板33とに重なり、糊代12に第二底面板9が貼り合わされている。
【0044】
このように周回部29を扁平にするとともに、天面板2とで、第一台座形成面板32と第二台座形成面板33とを挟み込んで保持することから、展示台用器材28は薄形物として形成されている。
そのため、展示台用器材28を搬送する過程では嵩張ることがなく、また、展示台を組み起こす前の保管スペースを広くする必要がない。
【0045】
さらに本実施の形態では、第一台座形成面板32と第二台座形成面板33とが折り倒されている部分に引き裂き片7が対応している。そして、引き裂き片7の第二方向Bに対向する側辺21、22それぞれに沿う二条の折り罫線の部分から連結面板23が天面板2の裏面2bに折り倒され、天面板2の裏面2bに連結面板23の端部の取付手段24を取り付けているので、展示台用器材28の周回部29の扁平状態をより一層確実に維持し、強いては展示台用器材28の薄形物の形態を確実に維持できる。
【0046】
また、第一台座形成面板32、第二台座形成面板33を天面板2側に折り重ねるとともに、糊代12を第二側面板11に相対させるように折り曲げしたときの第二側面板11(糊代12)と天面板2と第一側面板4とで占める平面での形状と、第一底面板5から第二底面板9とで占める平面での形状とが同じにしている。
そのため、展示台用器材28の形態で、上記印刷形成面が外部に表出せず、搬送時などでの傷付けや汚れを未然に防止できる。
【0047】
(展示台)
展示台用器材28から展示台を組み起こす場合について以下に説明する。
まず、
図6で示されているように天面板2の裏面2bに折り重ねられている連結面板23を二条の切り込み線部25の位置で切断し、引き裂き片7を取り除くようにする。引き裂き片7を取り除くと第一差し込み片6と第二差し込み片8とが分かれる。即ち、第一支柱形成面板30と第二支柱形成面板31とが分かれるようになる。
こののち、第一支柱形成面板30と第二支柱形成面板31とを一旦、第一方向Aに展開する。
【0048】
つぎに、第一台座形成面板32と第二台座形成面板33とを天面板2の表面2aから起こし、さらに裏面2b側に、略コ字状になるようにして曲げ折りして、台座34、35を形成する。
本実施の形態での第一固定片15、第二固定片18とのそれぞれに差し込み孔20を通る位置にして折り罫線が入れられている。この折り罫線の位置で第一、第二固定片15、18をL型に折ることにより、第一、第二差し込み片6、8を差し入れることができる差し込み孔20が、台座での平面方向の開口とこれに繋がる上下方向の開口として形成される。
【0049】
つぎに、第一支柱形成面板30と第二支柱形成面板31とを、
図7に示すように天面板2の裏面2b側に略コ字状に曲げ折りして、第一支柱形成面板30の自由端縁側となる第一差し込み片6を、台座34(第一固定片15)の差し込み孔20と台座35(第二固定片18)の差し込み孔20とに差し入れて係止させる。
同様にして、第二支柱形成面板31の自由端縁側となる第二差し込み片8を、台座34(第一固定片15)の差し込み孔20と台座35(第二固定片18)の差し込み孔20とに差し入れて係止させる。
【0050】
第一差し込み片6と第二差し込み片8を差し込み孔20に差し込む際、第一差し込み片6と第二差し込み片8とのそれぞれに形成されている切り込み27の部分を、差し込み孔20の開口縁に噛み合わせる。
差し込み孔20と切り込み27の噛み合わせによって係止状態が安定して第一支柱形成面板30からなる支柱36が台座34、35に係止した状態で天面板2の裏面2bに一体的にして形成され、同様に第二支柱形成面板31からなる支柱37が台座34、35に係止した状態で天面板2の裏面2bに一体的にして形成されて、箱状の展示台38が組み起こされる。(
図8、
図9参照)
【0051】
図8は、組み起こされた展示台38の下面側を上にして示している。この
図8に示されているように、差し込み孔20それぞれに第一、第二差し込み片6、8を差し入れて切り込み27に噛み合わせしたときには、支柱36、37における第一、第二底面板5、9の端部(第二方向に対向する端部)が台座34、35での第一、第二固定片15、18に重なるように設けられている。
【0052】
図9で示すように展示台38の第一側面板4は傾斜していて、外観上で目を引き易い面となるように設けられている。
【0053】
(受取人情報記載部)
本実施の形態の展示台用器材28は上述したように薄形物として搬送を行ない易い状態となっているが、
図5で示すように天面板2の裏面2bには、印刷にて配送物受取人情報記載欄39が設けられていて、この部分に直接受取人情報を書き込んだり受取人情報を書き込んだ配送伝票を貼り付けるようにすればよい。
【0054】
本実施の形態では、化粧用の印刷形成面を設けるために印刷が事前に施されているコートボールを段ボールの片面に積層一体化してブランク1を得ていて、このブランク1から展示台用器材28を制作しており、展示台用器材28の形態での外方側に上記配送物受取人情報記載欄39が表出するようにしている。
なお、配送物受取人情報記載欄39を段ボールの片面(天面板の裏面)に印刷する場合、印刷方式としては、段ボールの表面に凹凸があるので、フレキソ印刷が好ましい。
【0055】
(ブランクの制作)
ブランク1を制作する例を挙げるとすれば、トムソン型による打ち抜きが挙げられ、表抜きと裏抜きとのいずれでも必要に応じて選択すればよい。
ブランク1を制作する時点で入れる折り罫線は限定されるものではないが、裏返し180度折りを行なう部分の罫線刃は角ケイで、1.0~2.0mmの厚さの範囲が良好であり、さらに好ましくは厚さを1.4mmとすればよい。
また、裏返し90度折りを行なう部分の罫線刃は角ケイで、0.5~1.5mmの厚さの範囲が良好であり、さらに好ましくは厚さを0.9mmとすればよい。
【0056】
(変形例)
上述した実施の形態の展示台用器材28は、天面板2からなる商品載置部分が水平で厚みが均一の展示台38を組み起こすものとして説明したが、本発明は、平置きしたときの天面板が水平となる展示台が組み起こされる器材に限定されるものではない。
【0057】
図10は、他の展示台用器材28を制作するためのブランク1を示している。このブランク1では、第二側面板11の第一方向Aでの幅が第一側面板4の同方向での幅より大きく設けられている。また、第三側面板14と第四側面板17についても、第一側面板4と第二側面板11の前記幅寸法に合わせて第二方向Bでの幅が第一方向Aに沿って変化している。さらに第一固定片15と第二固定片18との折り罫線から外方部分の形状も、前記第三側面板14と第四側面板17と同様とされている。
【0058】
上記ブランク1から制作される展示台用器材28は、第一側面板4、第二側面板11、第三側面板14、第一固定片15、第四側面板17、第二固定片18の形状が異なるだけで、上記実施の形態でのものと同じとなる。よって、変形例での展示台用器材28については図示を省略する。
【0059】
この展示台用器材28から組み起こす展示台38では
図11で示すように天面板2が前下がりとなった形状を呈する。他の点は上記実施の形態と同じである。そして、傾斜した天面板2で展示品を安定的に載置できるようにするための一例としては、例えば凹み部分を落とし込み形成するようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…ブランク
2…天面板
2a…天面板の表面
2b…天面板の裏面
4…第一側面板
5…第一底面板
6…第一差し込み片
7…引き裂き片
8…第二差し込み片
9…第二底面板
11…第二側面板
14…第三側面板
15…第一固定片
17…第四側面板
18…第二固定片
20…差し込み孔
23…連結面板
24…取付手段
28…展示台用器材
29…周回部
30…第一支柱形成面板
31…第二支柱形成面板
32…第一台座形成面板
33…第二台座形成面板
34、35…台座
36、37…支柱
38…展示台
39…配送物受取人情報記載欄