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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-13
(45)【発行日】2025-03-24
(54)【発明の名称】膨張弁
(51)【国際特許分類】
   F25B 41/335 20210101AFI20250314BHJP
   F16K 47/02 20060101ALI20250314BHJP
【FI】
F25B41/335 Z
F16K47/02 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021100672
(22)【出願日】2021-06-17
(65)【公開番号】P2023000071
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2024-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨塚 真弘
(72)【発明者】
【氏名】岡田 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】伊坂 充晶
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/131122(WO,A1)
【文献】特開2012-047393(JP,A)
【文献】特開2011-133139(JP,A)
【文献】特開2020-016292(JP,A)
【文献】実開昭54-156088(JP,U)
【文献】中国実用新案第205559973(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 41/31 ~ 41/36
F16K 31/68
F16K 47/00 ~ 47/16
F15D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧の冷媒を導入する入口通路、該入口通路に連通する弁室、該弁室内に配置された弁座、該弁座の下流側に設けられた膨張室、および該膨張室から冷媒を導出する出口通路を有する弁本体と、
前記膨張室と前記出口通路とを仕切るようにして前記弁本体に配置された整流部材と、
前記弁座を開閉する弁体と、
該弁体を駆動する作動棒と、を有し、
前記整流部材は、前記冷媒が通過する複数の開口を備え、前記開口を前記冷媒が流れる方向に投影した場合の前記開口の投影像、あるいは隣接する前記開口の間を、前記開口を前記冷媒が流れる方向に切断して得られる断面に、鋸刃形状を備える、
ことを特徴とする膨張弁。
【請求項2】
前記開口は、前記整流部材の周方向に沿って複数個配置され、前記開口の前記周方向に沿って向かい合う側壁に前記鋸刃形状が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。
【請求項3】
前記開口は、前記整流部材の軸線に直交する方向に平行に複数個配置され、前記開口の並び方向に沿って前記開口の向かい合う側壁に前記鋸刃形状が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。
【請求項4】
前記複数の開口は、前記鋸刃形状が形成された向かい合う側壁の間隔が互いに等しい、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の膨張弁。
【請求項5】
高圧の冷媒を導入する入口通路、該入口通路に連通する弁室、該弁室内に配置された弁座、該弁座の下流側に設けられた膨張室、および該膨張室から冷媒を導出する出口通路を有する弁本体と、
前記膨張室と前記出口通路とを仕切るようにして前記弁本体に配置された整流部材と、
前記弁座を開閉する弁体と、
該弁体を駆動する作動棒と、を有し、
前記整流部材は、前記冷媒が通過する複数の開口を備え、前記複数の開口を通り前記冷媒が流れる方向に切断して得られる断面に、鋸刃形状を備え、
前記開口は円形であり、前記冷媒の流れる方向に沿って断面積が漸次拡大する、
ことを特徴とする膨張弁。
【請求項6】
高圧の冷媒を導入する入口通路、該入口通路に連通する弁室、該弁室内に配置された弁座、該弁座の下流側に設けられた膨張室、および該膨張室から冷媒を導出する出口通路を有する弁本体と、
前記膨張室と前記出口通路とを仕切るようにして前記弁本体に配置された整流部材と、
前記弁座を開閉する弁体と、
該弁体を駆動する作動棒と、を有し、
前記整流部材は、前記冷媒が通過する複数の開口を備え、前記複数の開口を通り前記冷媒が流れる方向に切断して得られる断面に、鋸刃形状を備え、
前記開口は矩形であり、前記冷媒の流れる方向に沿って断面積が漸次拡大する、
ことを特徴とする膨張弁。
【請求項7】
高圧の冷媒を導入する入口通路、該入口通路に連通する弁室、該弁室内に配置された弁座、該弁座の下流側に設けられた膨張室、および該膨張室から冷媒を導出する出口通路を有する弁本体と、
前記膨張室と前記出口通路とを仕切るようにして前記弁本体に配置された整流部材と、
前記弁座を開閉する弁体と、
該弁体を駆動する作動棒と、を有し、
前記整流部材は、前記冷媒が通過する複数の開口を備え、前記複数の開口を通り前記冷媒が流れる方向に切断して得られる断面に、鋸刃形状を備え、
前記開口は、前記整流部材の軸線に直交する方向に並んで複数個配置され、前記開口の並び方向に沿って向かい合う側壁の長さに対し、向かい合う前記側壁の間隔が狭くなっており、前記冷媒の流れる方向に沿って前記開口の断面積が漸次拡大する、
ことを特徴とする膨張弁。
【請求項8】
前記開口は、前記整流部材の軸線に直交する方向に並んで複数個配置され、前記開口の並び方向に沿って向かい合う側壁の長さに対し、向かい合う前記側壁の間隔が狭くなっており、前記冷媒の流れる方向に沿って前記開口の断面積が漸次拡大する、
ことを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。
【請求項9】
隣接する前記開口の間に、凹凸形状を形成した梁部が形成され、前記凹凸形状は、その先端を前記冷媒の上流側に向けている、
ことを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。
【請求項10】
前記開口は、前記整流部材の軸線に直交する方向に並んで複数個配置され、前記開口の並び方向に沿って向かい合う側壁の長さに対し、向かい合う前記側壁の間隔が狭くなっており、前記側壁に前記整流部材の厚さ方向にわたって凸部が形成され、前記凸部は、前記整流部材の軸線に対し傾いて延在している、
ことを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張弁に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される空調装置等に用いる冷凍サイクルにおいては、冷媒の通過量を温度に応じて調整する感温式の膨張弁が使用されている。
【0003】
例えば特許文献1に示す膨張弁においては、高圧の冷媒がオリフィスで減圧されてエバポレータへ向かう出口通路に絞り部材を備えている。エバポレータへ向かう出口通路に絞り部材を備えることにより、冷媒中の気泡が細分化され、気泡の破裂に起因する騒音の発生を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-231571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、電池とモータを搭載した電気自動車が、環境保護の観点から注目されており、その需要は今後増大していくものと予想される。電気自動車は、内燃機関を搭載した自動車に比べると一般的に静音であるという特徴がある。このため、内燃機関を搭載した自動車では動作音が気にならなかった空調機器などにおいても、電気自動車に搭載する場合には、より静音化の要求が高まることが予想される。したがって、冷凍サイクルに用いる膨張弁においても、さらなる騒音抑制が必要となっている。
【0006】
そこで本発明は、騒音抑制効果が高い膨張弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による膨張弁は、
高圧の冷媒を導入する入口通路、該入口通路に連通する弁室、該弁室内に配置された弁座、該弁座の下流側に設けられた膨張室、および該膨張室から冷媒を導出する出口通路を有する弁本体と、
前記膨張室と前記出口通路とを仕切るようにして前記弁本体に配置された整流部材と、
前記弁座を開閉する弁体と、
該弁体を駆動する作動棒と、を有し、
前記整流部材は、前記冷媒が通過する複数の開口を備え、前記開口を前記冷媒が流れる方向に投影した場合の前記開口の投影像、あるいは隣接する前記開口の間を、前記開口を前記冷媒が流れる方向に切断して得られる断面に、鋸刃形状を備える、ことを特徴とする。
本発明による膨張弁は、
高圧の冷媒を導入する入口通路、該入口通路に連通する弁室、該弁室内に配置された弁座、該弁座の下流側に設けられた膨張室、および該膨張室から冷媒を導出する出口通路を有する弁本体と、
前記膨張室と前記出口通路とを仕切るようにして前記弁本体に配置された整流部材と、
前記弁座を開閉する弁体と、
該弁体を駆動する作動棒と、を有し、
前記整流部材は、前記冷媒が通過する複数の開口を備え、前記複数の開口を通り前記冷媒が流れる方向に切断して得られる断面に、鋸刃形状を備え、
前記開口は円形であり、前記冷媒の流れる方向に沿って断面積が漸次拡大する、ことを特徴とする。
本発明による膨張弁は、
高圧の冷媒を導入する入口通路、該入口通路に連通する弁室、該弁室内に配置された弁座、該弁座の下流側に設けられた膨張室、および該膨張室から冷媒を導出する出口通路を有する弁本体と、
前記膨張室と前記出口通路とを仕切るようにして前記弁本体に配置された整流部材と、
前記弁座を開閉する弁体と、
該弁体を駆動する作動棒と、を有し、
前記整流部材は、前記冷媒が通過する複数の開口を備え、前記複数の開口を通り前記冷媒が流れる方向に切断して得られる断面に、鋸刃形状を備え、
前記開口は矩形であり、前記冷媒の流れる方向に沿って断面積が漸次拡大する、ことを特徴とする。
本発明による膨張弁は、
高圧の冷媒を導入する入口通路、該入口通路に連通する弁室、該弁室内に配置された弁座、該弁座の下流側に設けられた膨張室、および該膨張室から冷媒を導出する出口通路を有する弁本体と、
前記膨張室と前記出口通路とを仕切るようにして前記弁本体に配置された整流部材と、
前記弁座を開閉する弁体と、
該弁体を駆動する作動棒と、を有し、
前記整流部材は、前記冷媒が通過する複数の開口を備え、前記複数の開口を通り前記冷媒が流れる方向に切断して得られる断面に、鋸刃形状を備え、
前記開口は、前記整流部材の軸線に直交する方向に並んで複数個配置され、前記開口の並び方向に沿って向かい合う側壁の長さに対し、向かい合う前記側壁の間隔が狭くなっており、前記冷媒の流れる方向に沿って前記開口の断面積が漸次拡大する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、騒音抑制効果が高い膨張弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態における膨張弁1を、冷媒循環システムに適用した例を模式的に示す概略断面図である。
図2図2は、図1の膨張弁をA方向から側面視した図である。
図3図3は、整流部材を中間室側からみた正面図である。
図4図4は、本実施形態の変形例にかかる整流部材の、図3と同様な正面図である。
図5図5は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材の、図3と同様な正面図である。
図6図6は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材の、図3と同様な正面図である。
図7図7は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材の斜視図である。
図8図8は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材の斜視図である。
図9図9(a)は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材を、中間室側から見た図であり、図9(b)は、整流部材を第2流路側から見た図である。
図10図10は、図9(a)のB-B線で整流部材を切断して示す断面図である。
図11図11(a)は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材を、中間室側から見た図であり、図11(b)は、整流部材を第2流路側から見た図である。
図12図12(a)は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材を、中間室側から見た図であり、図12(b)は、整流部材を第2流路側から見た図である。
図13図13(a)は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材を、中間室側から見た図であり、図13(b)は、整流部材を第2流路側から見た図である。
図14図14(a)は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材を、中間室側から見た図であり、図14(b)は、整流部材を第2流路側から見た図である。
図15図15は、シミュレーションのモデルを示す概略図であり、(a)は縦断面図であり、(b)は第2流路の軸線方向を見たときに断面の方向を示す図である。
図16図16は、比較例2の整流部材の正面図である。
図17図17は、比較例3の整流部材の正面図である。
図18図18は、比較例4の整流部材の正面図である。
図19図19は、比較例5の整流部材の正面図である。
図20図20は、シミュレーション結果をまとめた表を示す図である。
図21図21は、シミュレーション結果をまとめた表を示す図である。
図22図22は、鋸刃形状の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明にかかる実施形態について説明する。
【0011】
(方向の定義)
本明細書において、弁体3から作動棒5に向かう方向を「上方向」と定義し、作動棒5から弁体3に向かう方向を「下方向」と定義する。よって、本明細書では、膨張弁1の姿勢に関わらず、弁体3から作動棒5に向かう方向を「上方向」と呼ぶ。
また、本明細書において「鋸刃形状」とは、山谷が周期的に繰り返す形状を言う。ここで、山谷とは、立ち上がり部または立下り部の少なくとも一方が、並び方向に向かうに従って漸次増大または漸次減少する形状をいう。隣接する山の間に谷が形成される。
鋸刃形状の具体例としては、図22(a)に示すように、対称タイプの三角形状の山MTが周期的に繰り返され、山谷の立ち上がり部または立下り部の双方が、並び方向に向かうに従って漸次増大または漸次減少するものや、図22(b)に示すように、非対称タイプの三角形状の山MTが周期的に繰り返され、山谷の立ち上がり部または立下り部の一方が、並び方向に向かうに従って漸次増大または漸次減少するものや、図22(c)に示すように台形形状の山MTが周期的に繰り返され、隣接する山MT間に谷VLが形成される形状がある。
また山谷の稜線は直線に限らず曲線であってもよく、例えば、図22(d)に示すように半円形状の山MTが周期的に繰り返され、隣接する山MT間に谷VLが形成される形状も鋸刃形状に含まれ、山MTの形状は問わない。さらに、図22(e)に示すように、山MT間の谷VLの最底部が一定レベルである形状も鋸刃形状に含まれる。
【0012】
図1、2を参照して、本実施形態における膨張弁1の概要について説明する。図1は、本実施形態における膨張弁1を、冷媒循環システム100に適用した例を模式的に示す概略断面図である。図2は、図1の膨張弁をA方向から側面視した図である。
【0013】
本実施形態では、膨張弁1は、コンプレッサ101と、コンデンサ102と、エバポレータ104とに流体接続されている。膨張弁1の軸線をLとする。
【0014】
図1において、膨張弁1は、弁室VSを備える弁本体2と、弁体3と、付勢装置4と、作動棒5と、パワーエレメント8を具備する。
【0015】
弁本体2は、弁室VSに加え、第1流路21と、第2流路22と、中間室(膨張室ともいう)221と、戻り流路23とを備える。第1流路21は入口通路であり、弁室VSには、入口通路を介して冷媒(流体ともいう)が供給される。第1流路21と弁室VSとの間は、第1流路21より小径の接続路21aにより連通している。
【0016】
第2流路22に隣接する中間室221の拡径段部222には、第2流路22と中間室221とを仕切るように、整流部材50が取り付けられている。整流部材50は、例えば金属板をプレス成形することによって形成され、円盤部51と、円盤部51の外縁に連設された短円筒部52とを有する。短円筒部52を、拡径段部222に圧入等により連結することで、整流部材50は、弁本体2に取り付けられる。
【0017】
図3は、整流部材50を中間室221側からみた正面図である。整流部材50の円盤部51には、8個の開口53が周方向に等間隔に(すなわち軸対称に)形成されている。各開口53は、円盤部51の外周に沿って形成された外縁53aと、外縁53aに並行し円盤部51の中心近傍に形成された内縁53bと、外縁53aと内縁53bの両端を結ぶ一対の側縁53c、53dとを有する。開口53の断面積は、整流部材50の軸線方向に沿って一様であるが、中間室221から第2流路22に向かうにつれて漸次拡大するようにしてもよい。
【0018】
整流部材50の軸線方向に見て(開口53を冷媒が流れる方向に投影した投影像において)、側縁53cは、同じピッチでストレートな稜線からなる山谷形状(鋸刃形状)を繰り返しており、側縁53dも、同じピッチでストレートな稜線からなる山谷形状(鋸刃形状)を繰り返しているが、側縁53cの山最頂点Pは、側縁53dの谷最奥部Vと周方向に対応している。このため、側縁53c、53dの間隔Δは、円盤部51の径方向にわたって一様である。山(および谷)の頂角は、90度としている。
【0019】
図1において、第2流路22は出口通路であり、弁室VS内の流体は、弁通孔27、中間室221、整流部材50の開口53及び出口通路を介して膨張弁外に排出される。
【0020】
中間室221の上方に形成された作動棒挿通孔28は、作動棒5をガイドする機能を有し、作動棒挿通孔28の上方に形成された環状凹部29は、O-リング6を収容する機能を有する。O-リング6は、作動棒5に所定の弾性力を付与して防振を図るものである。
【0021】
弁体3は弁室VS内に配置される。弁体3が弁本体2の弁座20に着座しているとき、弁通孔27の冷媒の流れが制限される。この状態を非連通状態という。ただし、弁体3が弁座20に着座した場合でも、制限された量の冷媒を流すこともある。一方、弁体3が弁座20から離間しているとき、弁通孔27を通過する冷媒の流れが増大する。この状態を連通状態という。
【0022】
作動棒5は、弁通孔27に所定の隙間を持って挿通されている。作動棒5の下端は、弁体3の上面に接触している。作動棒5の上端は、後述するストッパ部材84の嵌合孔84dに嵌合している。
【0023】
作動棒5は、付勢装置4による付勢力に抗して弁体3を開弁方向に押圧することができる。作動棒5が下方向に移動するとき、弁体3は、弁座20から離間し、膨張弁1が開状態となる。
【0024】
付勢装置4は、断面円形の線材を螺旋状に巻いたコイルばね41と、弁体サポート42と、ばね受け部材43と、防振ばね44とを有する。
【0025】
弁体サポート42は、コイルばね41の上端に取り付けられており、その上面には球状の弁体3が溶接され、両者は一体となっている。弁体サポート42の下端は、防振ばね44を通して、コイルばね41の上端内部に挿入されている。防振ばね44は、径方向外方及び下方に延在する複数の脚部を有し、脚部の先端を弁室VSの内壁に当接させて、弁体の振動を抑制する機能を有する。
【0026】
コイルばね41の下端を支持するばね受け部材43は、弁本体2に対して螺合可能となっていて、弁室VSを密封する機能と、コイルばね41の付勢力を調整する機能とを有する。
【0027】
図1において、パワーエレメント8は、栓81と、上蓋部材82と、ダイアフラム83と、受け部材86と、ストッパ部材84とを有する。
【0028】
略円錐形状の上蓋部材82の頂部の開口は、栓81により封止可能となっている。
【0029】
ダイアフラム83は、同心円の凹凸形状を複数個形成した薄い金属(たとえばSUS)製の板材からなり、上蓋部材82及び受け部材86の外径とほぼ同じ外径を有する。
【0030】
受け部材86は、例えば金属製の板材をプレス成形することによって形成され、フランジ部と中空円筒部とを連結してなる。
【0031】
ストッパ部材84は、円盤状の本体84aと、本体84aから径方向外方に延在するフランジ部84bと、本体84aの下方に突き出た円筒部84cと、円筒部84cの内側に形成された嵌合孔84dとを有する。本体84aの上面が、ダイアフラム83の下面中央と接している。
【0032】
パワーエレメント8の組み立てにおいて、ダイアフラム83と受け部材86との間にストッパ部材84を配置しつつ、上蓋部材82と、ダイアフラム83と、受け部材86のそれぞれ外周部を重ね合わせ、当該外周部を例えばTIG溶接やレーザ溶接、プラズマ溶接等により周溶接して一体化する。
【0033】
続いて、上蓋部材82に形成された開口から、上蓋部材82とダイアフラム83とで囲われる空間(圧力作動室POという)内に作動ガスを封入した後、開口を栓81で封止し、更にプロジェクション溶接等を用いて、栓81を上蓋部材82に固定する。
【0034】
以上のようにアッセンブリ化したパワーエレメント8を、弁本体2に組み付けるときは、受け部材86の中空円筒部の下端外周の雄ねじ86aを、弁本体2の戻り流路23に連通する縦穴2aの内周に形成した雌ねじ2bに螺合させる。受け部材86の雄ねじ86aを雌ねじ2bに対して螺進させてゆくと、受け部材86のフランジ部下面が弁本体2の上端面に当接する。これによりパワーエレメント8を弁本体2に固定できる。
【0035】
このとき、パワーエレメント8と弁本体2との間には、パッキンPKが介装され、弁本体2にパワーエレメント8を取り付けた際の冷媒のリークを防止する。かかる状態で、パワーエレメント8の下部空間LSは、縦穴2aを介して戻り流路23と連通する。
【0036】
(膨張弁の動作)
図1を参照して、膨張弁1の動作例について説明する。コンプレッサ101で加圧された冷媒は、コンデンサ102で液化され、膨張弁1に送られる。また、膨張弁1で断熱膨張された冷媒はエバポレータ104に送り出され、エバポレータ104で、エバポレータの周囲を流れる空気と熱交換される。エバポレータ104から戻る冷媒は、膨張弁1(より具体的には、戻り流路23)を通ってコンプレッサ101側へ戻される。このとき、エバポレータ104を通過することで、第2流路22内の流体圧は、戻り流路23の流体圧より大きくなる。
【0037】
膨張弁1には、コンデンサ102から高圧冷媒が供給される。より具体的には、コンデンサ102からの高圧冷媒は、第1流路21を介して弁室VSに供給される。
【0038】
弁体3が、弁座20に着座しているとき(非連通状態のとき)には、弁室VSから弁通孔27、中間室221及び第2流路22を通ってエバポレータ104へ送り出される冷媒の流量が制限される。他方、弁体3が、弁座20から離間しているとき(連通状態のとき)には、弁室VSから弁通孔27、中間室221及び第2流路22を通って、エバポレータ104へ送り出される冷媒の流量が増大する。膨張弁1の閉状態と開状態との間の切り換えは、ストッパ部材84を介してパワーエレメント8に接続された作動棒5によって行われる。
【0039】
図1において、パワーエレメント8の内部には、ダイアフラム83により仕切られた圧力作動室POと下部空間LSとが設けられている。このため、圧力作動室PO内の作動ガスが液化されると、ダイアフラム83とストッパ部材84が上昇するため、コイルばね41の付勢力に応じて作動棒5は上方向に移動する。一方、液化された作動ガスが気化されると、ダイアフラム83とストッパ部材84が下方に押圧されるため、作動棒5は下方向に移動する。こうして、膨張弁1の開状態と閉状態との間の切り換えが行われる。
【0040】
更に、パワーエレメント8の下部空間LSは、戻り流路23と連通している。このため、戻り流路23を流れる冷媒の温度・圧力に応じて、圧力作動室PO内の作動ガスの体積が変化し、作動棒5が駆動される。換言すれば、図1に記載の膨張弁1では、エバポレータ104から膨張弁1に戻る冷媒の温度・圧力に応じて、膨張弁1からエバポレータ104に向けて供給される冷媒の量が自動的に調整される。
【0041】
ところで、開状態において、弁室VSから弁通孔27を通過した冷媒には気泡が含まれるため、この気泡がつぶれる際のエネルギーで騒音が発生する。本実施形態によれば、弁通孔27を通過した冷媒は、中間室221で弁通孔27の軸線Lに直交する方向に向かい、整流部材50の開口53を通過することで整流される。このとき、開口53内に形成された鋸刃形状を通過することにより、冷媒に小さな渦が多数生じる。このような小さな渦が多数生じることで、気泡を細分化することができ、気泡がつぶれる際のエネルギーを抑制して、静音化に貢献する。
【0042】
さらに、弁通孔27を通過した冷媒中の気泡が長い時間残存すると、冷媒の整流化を妨げ、それにより弁体振動が生じるおそれがある。これに対し、冷媒が開口53を通過する際に小さな渦が多数生じると、気泡が細分化されて迅速に消滅するため、整流部材50は、冷媒の整流化にも貢献することとなる。
【0043】
以下に、本実施形態の変形例にかかる整流部材を説明するが、いずれの変形例も上述した膨張弁1の拡径段部222に取り付けることができる。
【0044】
(変形例1)
図4は、本実施形態の変形例にかかる整流部材50Aの、図3と同様な正面図である。上述した実施の形態に対し、本変形例においては、円盤部51Aに形成された開口53Aの側縁53Ac、53Adの山の数を3つとしている点のみが異なる。これにより、開口53Aの鋸刃形状がより微細化され、騒音低減をさらに図ることができる。山(および谷)の頂角は、60度としている。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0045】
(変形例2)
図5は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材50Bの、図3と同様な正面図である。上述した実施の形態に対し、本変形例においては、円盤部51Bに形成された開口53Bの側縁53Bc、53Bdの山の数を4つまたは5つとしている点のみが異なる。これにより、開口53Bの鋸刃形状がより微細化され、騒音低減をさらに図ることができる。山(および谷)の頂角は、45度としている。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0046】
(変形例3)
図6は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材50Cの、図3と同様な正面図である。上述した実施の形態に対し、本変形例においては、円盤部51Cに形成された開口53Cの側縁53Cc、53Cdの山の数を7つとしている点のみが異なる。これにより、開口53Cの鋸刃形状がより微細化され、騒音低減をさらに図ることができる。山(および谷)の頂角は、30度としている。山、谷の頂角は、10度~120度であると好ましい。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0047】
(変形例4)
図7は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材50Dの斜視図である。上述した実施の形態に対し、本変形例においては、4つの開口53Dが円盤部51Dに平行に形成されている点が異なる。このため、開口53Dを長くすることができ、側縁53Dc、53Ddによって形成される山の数も多くなる。これにより、開口53Dを通過する冷媒において、より多くの細かい渦が生じるため、騒音低減をさらに図ることができる。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0048】
(変形例5)
図8は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材50Eの斜視図である。本変形例においては、変形例4に対し、3つの開口53Eを円盤部51Eに平行に形成しており、また側縁53Ec、53Edによって形成される山の数も少なくしている。これにより、整流部材50Eの加工が容易になる。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0049】
(変形例6)
図9(a)は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材50Fを、中間室221側から見た図であり、図9(b)は、整流部材50Fを第2流路22側から見た図である。図10は、図9(a)のB-B線で整流部材50Fを切断して示す断面図である。本変形例においては、短円筒部は形成されておらず、円盤部51Fの外周が拡径段部222に嵌合する。
【0050】
本変形例の整流部材50Fには、図9(a)、(b)に示すように、円盤部51Fに円形断面の開口53Fが複数個(中心に1個、その周辺に8個)形成されている。開口53Fは、冷媒の入口側内径に対し、出口側内径が大きくなっており、図10に示すようなテーパー形状を有する。
【0051】
図10に示す断面形状(複数の開口53Fを冷媒が流れる方向に切断して得られる断面形状)で明らかなように、整流部材50Fは、複数の開口53Fの断面輪郭をなぞることで鋸刃形状を有するともいえる。したがって、本変形例によれば、開口53Fを通過する冷媒において細かい渦が生じるため、騒音低減をさらに図ることができる。
【0052】
(変形例7)
図11(a)は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材50Gを、中間室221側から見た図であり、図11(b)は、整流部材50Gを第2流路22側から見た図である。本変形例においても、短円筒部は形成されておらず、円盤部51Gの外周が拡径段部222に嵌合する。
【0053】
本変形例の整流部材50Gには、図11(a)、(b)に示すように、円盤部51Gに矩形形断面の開口53Gが複数個形成されている。開口53Gは、冷媒の入口側内径に対し、出口側内径が大きくなっており、テーパー形状を有する。したがって、本変形例によれば、開口53Gを通過する冷媒において細かい渦が生じるため、騒音低減をさらに図ることができる。
【0054】
(変形例8)
図12(a)は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材50Hを、中間室221側から見た図であり、図12(b)は、整流部材50Hを第2流路22側から見た図である。本変形例においても、短円筒部は形成されておらず、円盤部51Hの外周が拡径段部222に嵌合する。
【0055】
本変形例の整流部材50Hには、図12(a)、(b)に示すように、円盤部51Hに平行に3つの縦長な開口53Hが形成されている。開口53Hの側縁53Hc,53Hdには、複数の半円筒部(凸部)53He、53Hfが、それぞれ開口53Hの長手方向に沿って並べて配置されている。半円筒部53He、53Hfは、それぞれ円盤部51Hの一方の面から他方の面に向かって、円盤部51Hの軸線に対し傾いて延在している。
【0056】
側縁53Hc,53Hdに半円筒部53He、53Hfを形成することで、円盤部51Hの軸線方向に見たときに、開口53Hの側壁が鋸刃形状を有する。したがって、本変形例によれば、開口53Gを通過する冷媒において細かい渦が生じるため、騒音低減をさらに図ることができる。
【0057】
(変形例9)
図13(a)は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材50Iを、中間室221側から見た図であり、図13(b)は、整流部材50Iを第2流路22側から見た図である。本変形例においても、短円筒部は形成されておらず、円盤部51Iの外周が拡径段部222に嵌合する。
【0058】
本変形例の整流部材50Iには、図13(a)、(b)に示すように、互いに平行に3つの横長な開口53Iが円盤部51Iに形成されており、隣接する開口53Iの間は、梁部54Iとなっている。
【0059】
梁部54Iは、冷媒の入口側の幅に対し、出口側の幅が小さくなっており、開口53Iの断面がテーパー形状を有する。換言すれば、開口53Iは、冷媒の入口側の幅に対し、出口側の幅が大きくなっている。このため整流部材50Iは、複数の開口53Iの断面輪郭をなぞることで鋸刃形状を有するともいえる。したがって、本変形例によれば、開口53Iを通過する冷媒において細かい渦が生じるため、騒音低減をさらに図ることができる。
【0060】
(変形例10)
図14(a)は、本実施形態の別な変形例にかかる整流部材50Jを、中間室221側から見た図であり、図14(b)は、整流部材50Jを第2流路22側から見た図である。本変形例においても、短円筒部は形成されておらず、円盤部51Jの外周が拡径段部222に嵌合する。
【0061】
本変形例の整流部材50Jには、図14(a)、(b)に示すように、円盤部51Iに平行に5つの縦長な開口53Jが形成されており、隣接する開口53Jの間は、梁部54Jとなっている。
【0062】
円盤部51Iの各梁部54Jには、冷媒の入口側に先端を向けた四角錐部54Jaが、梁部54Jの長手方向に沿って複数個形成されている。複数の四角錐部54Jaにより凹凸形状を構成する。複数の四角錐部54Jaを、円盤部51Jの軸線に沿った面で切断したき、その断面に鋸刃形状が生じる。このため、本変形例によれば、開口53Jを通過する冷媒において細かい渦が生じるため、騒音低減をさらに図ることができる。
【0063】
(比較例と実施例との比較)
本発明者らは、比較例と実施例とを比較解析することにより、本願発明の効果を確認した。図15に示すように、弁室VSと、弁通孔27と、中間室221と、第2流路22とを備えたモデルにおいて、弁室側から第2流路22に向かって冷媒を流した状態で、流れの状態を、水平方向断面と垂直方向断面とにおいてシミュレーションにて求めた。整流部材を取り付ける場合、第2流路22に隣接する中間室221の拡径段部222とした。また、第2流路22の長さを50mmとした。
【0064】
シミュレーションの条件としては、R134aの液冷媒を使用し、弁座20を通過する冷媒の入口圧力、温度を0.86MPa、38℃とし、第2流路22を通過する冷媒の出口圧力、温度を0.25MPa、5℃とし、弁体3のリフト量を0.6mmとし、解析ソフトSOLIDWORKSを用いて解析を行った。
【0065】
(比較例1)
整流部材をなしとしたものを比較例1とした。
【0066】
(比較例2)
図16に正面図を示す整流部材50Kを比較例2とした。整流部材50Kは、中央に円形開口53Kを有する。円形開口53Kは、板厚方向に沿って断面形状が一様である。円形開口53Kの面積は、28.27mmとした。
【0067】
(比較例3)
図17に正面図を示す整流部材50Lを比較例3とした。整流部材50Lは、中央から下方にシフトした位置に円形開口53Lを有する。円形開口53Lは、板厚方向に沿って断面形状が一様である。円形開口53Lの面積は、28.27mmとした。
【0068】
(比較例4)
図18に正面図を示す整流部材50Mを比較例4とした。整流部材50Mは、中央及びその周囲に、合計9つの同一内径φ3mmを備えた円形開口53Mを有する。円形開口53Mは、板厚方向に沿って断面形状が一様である。円形開口53Mの合計面積は、15.90mmである。
【0069】
(比較例5)
図19に正面図を示す整流部材50Nを比較例5とした。整流部材50Nは、8つの同一形状である矩形開口53Nを有する。矩形開口53Nは、径方向に沿って延在しており、周方向に等間隔に配置されていいて、板厚方向に沿って断面形状が一様である。矩形開口53Nの合計面積は、20.96mmとした。
【0070】
(実施例1)
図3に正面図を示す整流部材50を実施例1とした。開口53の合計面積は、30.16mmとした。
【0071】
(実施例2)
図4に正面図を示す整流部材50Aを実施例2とした。開口53Aの合計面積は、31.20mmとした。
【0072】
(実施例3)
図5に正面図を示す整流部材50Bを実施例3とした。開口53Bの合計面積は、31.22mmとした。
【0073】
(実施例4)
図6に正面図を示す整流部材50Cを実施例4とした。開口53Cの合計面積は、31.28mmとした。
【0074】
図20,21に、シミュレーション結果をまとめた表を示す。図20,21の表において、騒音低減効果がない場合を「×」とし、ある程度の騒音低減効果を有する場合を「△」とし、評価「△」より高い騒音低減効果がある場合を「〇」とし、優れた騒音低減効果がある場合を「◎」とした。
【0075】
比較例1については、垂直方向断面及び水平方向断面のいずれにおいても、渦の発生がなく、騒音低減効果がないことがわかる。したがって、評価結果は「×」である。
【0076】
比較例2については、整流部材通過後の最大流速が7.2m/sであり、水平方向断面において二層に分かれた渦が発生していることがわかるが、大きな渦であることから、騒音低減効果は低い。したがって、評価結果は「×」である。
【0077】
比較例3については、整流部材通過後の最大流速が9.8m/sであり、水平方向断面において二層に分かれた渦が発生していることがわかるが、大きな渦であることから、騒音低減効果は低い。したがって、評価結果は「×」である。
【0078】
比較例4については、整流部材通過後の最大流速が11.5m/sであり、水平方向断面において複数の小さな渦が発生しており、ある程度騒音低減効果を有することがわかる。したがって、評価結果は「△」である。
【0079】
比較例5については、整流部材通過後の最大流速が6.8m/sであり、垂直方向断面の渦が比較的大きく、騒音低減効果は低い。したがって、評価結果は「×」である。
【0080】
実施例1については、垂直方向断面及び水平方向断面のいずれにおいても、小さな渦が多数発生しており、優れた騒音低減効果を有することがわかる。したがって、評価結果は「◎」である。
【0081】
実施例2については、垂直方向断面及び水平方向断面のいずれにおいても、小さな渦が発生しており、騒音低減効果を有することがわかる。したがって、評価結果は「〇」である。
【0082】
実施例3については、垂直方向断面及び水平方向断面のいずれにおいても、小さな渦が発生しており、騒音低減効果を有することがわかる。したがって、評価結果は「〇」である。
【0083】
実施例4については、垂直方向断面及び水平方向断面のいずれにおいても、小さな渦が発生しており、騒音低減効果を有することがわかる。したがって、評価結果は「〇」である。
【0084】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明の範囲内において、上述の実施形態の任意の構成要素の変形が可能である。また、上述の実施形態において任意の構成要素の追加または省略が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 :膨張弁
2 :弁本体
3 :弁体
4 :付勢装置
5 :作動棒
6 :O-リング
8 :パワーエレメント
20 :弁座
21 :第1流路
22 :第2流路
23 :戻り流路
27 :弁通孔
41 :コイルばね
42 :弁体サポート
43 :ばね受け部材
44 :防振ばね
50~50N:整流部材
100 :冷媒循環システム
101 :コンプレッサ
102 :コンデンサ
104 :エバポレータ
VS :弁室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
図20
図21
図22