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特許7650070NKG2A抗体およびその製造方法と使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-13
(45)【発行日】2025-03-24
(54)【発明の名称】NKG2A抗体およびその製造方法と使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20250314BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20250314BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20250314BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20250314BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20250314BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20250314BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20250314BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250314BHJP
   A61K 35/17 20250101ALI20250314BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20250314BHJP
   C12N 5/078 20100101ALI20250314BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20250314BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61K35/17
A61K47/68
C12N5/078
A61K45/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021524469
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 CN2019116060
(87)【国際公開番号】W WO2020094071
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】201811320004.2
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520162765
【氏名又は名称】シャンハイ ヒャマブ バイオテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドゥアン チン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ リールア
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ダージ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ジン
(72)【発明者】
【氏名】フォ リーリ
(72)【発明者】
【氏名】スェイ ルイルイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ドンシュ
(72)【発明者】
【氏名】ハン イエ
(72)【発明者】
【氏名】シエ ロンロン
(72)【発明者】
【氏名】ルー ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ シャオフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジエ
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ ウェンミゥン
(72)【発明者】
【氏名】グォ ツェイツェイ
(72)【発明者】
【氏名】トン グォアツェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン リーナー
(72)【発明者】
【氏名】ダイ チャオフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン モンヨン
【審査官】大西 隆史
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538660(JP,A)
【文献】特表2009-541449(JP,A)
【文献】特表2011-510047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
C12N 1/00- 7/08
A61K 35/00-51/12
A61P 1/00-43/00
C12P 1/00-41/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NKG2Aに結合する抗体であって、
(1)重鎖可変領域、
(2)軽鎖可変領域、
(3)重鎖定常領域、および
(4)軽鎖定常領域を有し、
前記抗体の重鎖可変領域は配列番号1で示されるアミノ酸配列を含み、ならびに前記抗
体の軽鎖可変領域は配列番号5で示されるアミノ酸配列を含み、
前記抗体の重鎖定常領域はヒトIgG4重鎖定常領域を含み、ならびに前記抗体の軽鎖定常領域はヒトκ軽鎖定常領域を含む、
ことを特徴とする抗体。
【請求項2】
(i)請求項1に記載の抗体、ならびに
(ii)任意の発現および/または精製を補助するタグ配列
を含むことを特徴とする組み換えタンパク質。
【請求項3】
以下の群から選ばれるポリペプチドをコードすることを特徴とするポリヌクレオチド:
(1)請求項1に記載の抗体、ならびに
(2)請求項2に記載の組み換えタンパク質。
【請求項4】
前記重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは配列番号73で示され、ならびに前記軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは配列番号74で示されることを特徴とする請求項3に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
請求項3または4に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とするベクター。
【請求項6】
遺伝子工学化された宿主細胞であって、前記の宿主細胞は、請求項5に記載のベクターを含むか、あるいはゲノムに請求項3または4に記載のポリヌクレオチドが組み込まれている、宿主細胞。
【請求項7】
(a)請求項1に記載の抗体、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる抗体部分と、
(b)検出可能なマーカー、薬物、毒素、サイトカイン、放射性核種、酵素、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、前記抗体部分とカップリングするカップリング部分
を含むことを特徴とする抗体複合体。
【請求項8】
外来の請求項1に記載の抗体を発現するか、細胞膜外に露出することを特徴とする免疫細胞。
【請求項9】
(i)請求項1に記載の抗体、請求項2に記載の組み換えタンパク質、請求項7に記載の抗体複合体、請求項8に記載の免疫細胞、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる活性成分と、
(ii)薬学的に許容される担体と
を含むことを特徴とする薬物組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、抗体の分野に属し、具体的に、NKG2A抗体およびその製造方法と使用に関する。
【0002】
背景技術
自己免疫反応が起こらないように有効な免疫監視を維持するには、エフェクターT細胞の反応の正確性が必要である。免疫系が自身の抗原に対して免疫反応を起こすと、自己免疫性疾患が発生する。自己免疫性反応の誘発と維持に関する機序はまだ明らかではないが、二次リンパ器官における従来免疫において見逃された抗原の出現に関連する可能性がある。
【0003】
ナチュラルキラー(NK)細胞は通常と異なる免疫に関連するリンパ球を含む亜集団である。NK細胞は有効な免疫監視機序を提供することで、望ましくない細胞、たとえば腫瘍細胞やウイルスに感染した細胞を除去することができる。NK細胞の活性は2種類の活性化と抑制のシグナルを含む複雑な機序によって調節される。
【0004】
多くの異なるNK特異性受容体はNK細胞が仲介するHLAクラスI欠陥型標的細胞の認識および殺傷において重要な作用を果たすことが実証された。これらの受容体(NKp30、NKp46およびNKp44と呼ばれる)はIgスーパーファミリーのメンバーである。それらの架橋(特異性mAbによって誘導される)は強力なNK細胞の活性化につながることで、細胞内におけるCa++レベルが上がり、細胞毒性およびリンホカインの放出が触発される。重要なのは、モノクローナル抗体が仲介するNKp30、NKp46および/またはNKp44の活性化は複数種の標的細胞のNK細胞毒性の活性化につながる。これらの知見はこれらの受容体が天然細胞毒性において中心的作用を果たすことに証拠を提供した。
【0005】
NK細胞におけるもう一つの重要な抑制性受容体CD94-NKG2Aは、非典型的MHCクラスI分子HLA-Eと相互作用する。これらの受容体の一部はT細胞抗原受容体依存性T細胞活性化の閾値を調節する能力を有する。滅多にない抑制性受容体が欠失する場合、これらの活性化アイソフォーム(isoform)はT細胞エフェクターの機能を拡大し、そして自己免疫病理を促進する。NKG2Aのアミノ酸配列は哺乳動物(霊長類動物を含む)において変化する。たとえば、ヒトNKG2Aタンパク質のアカゲザルとの相同性が90%未満である。
【0006】
NKG2Aを調節するための療法への取り組み(主に炎症を防止するため)は、非典型的MHCクラスI分子、ヒト受容体用HLA-Eおよびマウス受容体用Qa-Ibに対する研究に集中している。細胞表面の発現について、これらのMHC分子はほかのMHCクラスI分子由来のシグナルペプチドとのペプチド結合が好適である。ほかのMHCクラスI分子の発現はHLA-Eの発現を調節することができるため、NK細胞が潜在の標的細胞においてMHCクラスI依存性抗原提示経路の状態を監視することができる。細胞表面のHLA-Eレベルは腫瘍およびウイルス感染細胞に対するNK細胞毒性に非常に重要である。HLA-Eの発現または機能を調節するための治療プランは、通常、NK細胞が活性化されないように、HLA-IまたはHSP60ペプチドで炎症発生を防止する保護状態を誘導するものに集中する。
【0007】
現在、NKG2Aを標的とする抗体はすでに関連研究が行われているが、活性がより強く、親和力がより高い特異性抗体が必要である。
発明の概要
本発明は、NKG2A抗体およびその製造方法と使用を公開する。前記NKG2A抗体は、NKG2A抗体の重鎖可変領域の重鎖CDR1(VH-CDR1)、重鎖CDR2(VH-CDR2)および重鎖CDR3(VH-CDR3)のうちの1つまたは複数、ならびにNKG2A抗体の軽鎖可変領域の軽鎖CDR1(VL-CDR1)、軽鎖CDR2(VL-CDR2)および軽鎖CDR3(VL-CDR3)のうちの1つまたは複数を含む。
【0008】
本発明の第一の側面では、抗体の重鎖可変領域であって、
配列番号8n+2で示されるVH-CDR1、
配列番号8n+3で示されるVH-CDR2、および
配列番号8n+4で示されるVH-CDR3
からなる群から選ばれる相補性決定領域CDRを有し、
ここで、各nは独立に0、1、2、3、4、5、6、7または8で、
ここで、上記アミノ酸配列のうちの任意の一つのアミノ酸配列は、さらに、任意に少なくとも一つのアミノ酸の付加、欠失、修飾および/または置換がありながら、NKG2A結合親和力を維持する誘導配列を含む重鎖可変領域を提供する。
【0009】
もう一つの好適な例において、前記重鎖可変領域は配列番号8n+1で示されるアミノ酸配列を有し、ここで、nは0、1、2、3、4、5、6、7または8である。
もう一つの好適な例において、前記重鎖可変領域は配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する。
【0010】
もう一つの好適な例において、前記重鎖可変領域は配列番号9で示されるアミノ酸配列を有する。
もう一つの好適な例において、前記重鎖可変領域は配列番号17で示されるアミノ酸配列を有する。
【0011】
もう一つの好適な例において、前記重鎖可変領域は配列番号25で示されるアミノ酸配列を有する。
本発明の第二の側面では、抗体の重鎖であって、本発明の第一の側面に記載の重鎖可変領域を有する重鎖を提供する。
【0012】
もう一つの好適な例において、前記重鎖は、さらに、重鎖定常領域を含む。
もう一つの好適な例において、前記重鎖定常領域は、ヒト由来またはマウス由来のものである。
【0013】
本発明の第三の側面では、抗体の軽鎖可変領域であって、
配列番号8n+6で示されるVL-CDR1、
配列番号8n+7で示されるVL-CDR2、および
配列番号8n+8で示されるVL-CDR3
からなる群から選ばれる相補性決定領域CDRを有し、
ここで、各nは独立に0、1、2、3、4、5、6、7または8で、
ここで、上記アミノ酸配列のうちの任意の一つのアミノ酸配列は、さらに、任意に少なくとも一つのアミノ酸の付加、欠失、修飾および/または置換がありながら、NKG2A結合親和力を維持する誘導配列を含む軽鎖可変領域を提供する。
【0014】
もう一つの好適な例において、前記軽鎖可変領域は配列番号8n+5で示されるアミノ酸配列を有し、ここで、nは0、1、2、3、4、5、6、7または8である。
もう一つの好適な例において、前記軽鎖可変領域は配列番号5で示されるアミノ酸配列を有する。
【0015】
もう一つの好適な例において、前記軽鎖可変領域は配列番号13で示されるアミノ酸配列を有する。
もう一つの好適な例において、前記軽鎖可変領域は配列番号21で示されるアミノ酸配列を有する。
【0016】
もう一つの好適な例において、前記軽鎖可変領域は配列番号29で示されるアミノ酸配列を有する。
本発明の第四の側面では、抗体の軽鎖であって、本発明の第三の側面に記載の軽鎖可変領域を有する軽鎖を提供する。
【0017】
もう一つの好適な例において、前記軽鎖は、さらに、軽鎖定常領域を含む。
もう一つの好適な例において、前記軽鎖定常領域は、ヒト由来またはマウス由来のものである。
【0018】
本発明の第五の側面では、
(1)本発明の第一の側面に記載の重鎖可変領域、および/または
(2)本発明の第三の側面に記載の軽鎖可変領域を有するか、
あるいは、本発明の第二の側面に記載の重鎖、および/または本発明の第四の側面に記載の軽鎖を有し、
ここで、上記アミノ酸配列のうちの任意の一つのアミノ酸配列は、さらに、任意に少なくとも一つのアミノ酸の付加、欠失、修飾および/または置換がありながら、NKG2A結合親和力を維持する誘導配列を含む抗体を提供する。
【0019】
もう一つの好適な例において、上記のいずれのCDRのアミノ酸配列も1、2または3個のアミノ酸の付加、欠失、修飾および/または置換を経た誘導CDR配列を含み、かつ前記誘導CDR配列のVHおよびVLからなる誘導抗体がNKG2Aに結合する親和力を維持するようになっている。
【0020】
もう一つの好適な例において、前記の誘導抗体のNKG2Aに結合する親和力F1と相応する非誘導抗体のNKG2Aに結合する親和力F0の比(F1/F0)は0.5-2、好ましくは0.7-1.5、より好ましくは0.8-1.2である。
【0021】
もう一つの好適な例において、前記付加、欠失、修飾および/または置換のアミノ酸の数は1-5個(たとえば1-3個、好ましくは1-2個、より好ましくは1個)である。
【0022】
もう一つの好適な例において、前記の少なくとも1個のアミノ酸の付加、欠失、修飾および/または置換を経ていながら、NKG2Aに結合する親和力を維持する誘導配列は、相同性または配列同一性が少なくとも96%のアミノ酸配列である。
【0023】
もう一つの好適な例において、前記の抗体は、さらに、重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域を含む。
もう一つの好適な例において、前記の重鎖定常領域はヒト由来のもので、かつ/または前記の軽鎖定常領域はヒト由来のものである。
【0024】
もう一つの好適な例において、前記抗体の重鎖定常領域はさらにヒト由来のフレームワーク領域を含み、かつ/または前記抗体の軽鎖定常領域はさらにヒト由来のフレームワーク領域を含む。
【0025】
もう一つの好適な例において、前記抗体の重鎖定常領域はさらにマウス由来のフレームワーク領域を含み、かつ/または前記抗体の軽鎖定常領域はさらにマウス由来のフレームワーク領域を含む。
【0026】
もう一つの好適な例において、前記抗体は、動物由来の抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、全ヒト抗体、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0027】
もう一つの好適な例において、前記のキメラ抗体のヒトにおける免疫原性Z1と非キメラ抗体(たとえばマウス由来抗体)のヒトにおける免疫原性Z0の比(Z1/Z0)は0~0.5、好ましくは0~0.2、より好ましくは0~0.05(たとえば0.001-0.05)である。
【0028】
もう一つの好適な例において、前記の抗体は部分的にまたは全部ヒト化したモノクローナル抗体、あるいは全ヒトのモノクローナル抗体である。
もう一つの好適な例において、前記の抗体は二本鎖抗体、または一本鎖抗体である。
【0029】
もう一つの好適な例において、前記抗体は抗体の全長タンパク質、または抗原結合断片である。
もう一つの好適な例において、前記抗体は二重特異性抗体、または多重特異性抗体である。
【0030】
もう一つの好適な例において、前記の抗体は、薬物複合体の形態である。
もう一つの好適な例において、前記抗体は、
(a)腫瘍細胞の遷移または転移を抑制すること、
(b)腫瘍の生長を抑制すること
からなる群から選ばれる1つまたは複数の特徴を有する。
【0031】
もう一つの好適な例において、前記の抗体は、本発明の第一の側面に記載の重鎖可変領域および本発明の第三の側面に記載の軽鎖可変領域を有し、
ここで、前記の重鎖可変領域および前記の軽鎖可変領域は以下の群から選ばれるCDRを含み、
【0032】
【表1】
【0033】
ここで、上記アミノ酸配列のうちの任意の一つのアミノ酸配列は、さらに、任意に少なくとも一つのアミノ酸の付加、欠失、修飾および/または置換がありながら、NKG2A結合親和力を維持する誘導配列を含む。
【0034】
もう一つの好適な例において、前記の抗体は、本発明の第一の側面に記載の重鎖可変領域および本発明の第三の側面に記載の軽鎖可変領域を有し、
前記の重鎖可変領域は、
配列番号2で示されるVH-CDR1、
配列番号3で示されるVH-CDR2、および
配列番号4で示されるVH-CDR3
の3つの相補性決定領域CDRを含み、
前記の軽鎖可変領域は、
配列番号6で示されるVL-CDR1、
配列番号7で示されるVL-CDR2、および
配列番号8で示されるVL-CDR3
の3つの相補性決定領域CDRを含むか、
あるいは
前記の重鎖可変領域は、
配列番号10で示されるVH-CDR1、
配列番号11で示されるVH-CDR2、および
配列番号12で示されるVH-CDR3
の3つの相補性決定領域CDRを含み、
前記の軽鎖可変領域は、
配列番号14で示されるVL-CDR1、
配列番号15で示されるVL-CDR2、および
配列番号16で示されるVL-CDR3
の3つの相補性決定領域CDRを含むか、
あるいは
前記の重鎖可変領域は、
配列番号18で示されるVH-CDR1、
配列番号19で示されるVH-CDR2、および
配列番号20で示されるVH-CDR3
の3つの相補性決定領域CDRを含み、
前記の軽鎖可変領域は、
配列番号22で示されるVL-CDR1、
配列番号23で示されるVL-CDR2、および
配列番号24で示されるVH-CDR3
の3つの相補性決定領域CDRを含むか、
あるいは
前記の重鎖可変領域は、
配列番号26で示されるVH-CDR1、
配列番号27で示されるVH-CDR2、および
配列番号28で示されるVH-CDR3
の3つの相補性決定領域CDRを含み、
前記の軽鎖可変領域は、
配列番号30で示されるVL-CDR1、
配列番号31で示されるVL-CDR2、および
配列番号32で示されるVL-CDR3、
の3つの相補性決定領域CDRを含む。
【0035】
もう一つの好適な例において、前記抗体の重鎖可変領域は配列番号1、9、17、25、33、41、49、57または65で示されるアミノ酸配列を含み、ならびに/あるいは前記抗体の軽鎖可変領域は配列番号5、13、21、29、37、45、53、61または69で示されるアミノ酸配列を含む。
【0036】
もう一つの好適な例において、前記抗体の重鎖可変領域は配列番号1で示されるアミノ酸配列を含み、かつ前記抗体の軽鎖可変領域は配列番号5で示されるアミノ酸配列を含む。
【0037】
もう一つの好適な例において、前記抗体の重鎖可変領域は配列番号9で示されるアミノ酸配列を含み、かつ前記抗体の軽鎖可変領域は配列番号13で示されるアミノ酸配列を含む。
【0038】
もう一つの好適な例において、前記抗体の重鎖可変領域は配列番号17で示されるアミノ酸配列を含み、かつ前記抗体の軽鎖可変領域は配列番号21で示されるアミノ酸配列を含む。
【0039】
もう一つの好適な例において、前記抗体の重鎖可変領域は配列番号25で示されるアミノ酸配列を含み、かつ前記抗体の軽鎖可変領域は配列番号29で示されるアミノ酸配列を含む。
【0040】
もう一つの好適な例において、前記の抗体は、以下の群から選ばれる。
【0041】
【表2】
【0042】
もう一つの好適な例において、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号321、配列番号1、9、17、25、33、41、49、57または65で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列相同性または配列同一性を有する。
【0043】
もう一つの好適な例において、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号321、配列番号5、13、21、29、37、45、53、61または69で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列相同性または配列同一性を有する。
【0044】
本発明の第六の側面では、
(i)本発明の第一の側面に記載の重鎖可変領域、本発明の第二の側面に記載の重鎖、本発明の第三の側面に記載の軽鎖可変領域、本発明の第四の側面に記載の軽鎖、または本発明の第五の側面に記載の抗体、ならびに
(ii)任意の発現および/または精製を補助するタグ配列
を含む組み換えタンパク質を提供する。
【0045】
もう一つの好適な例において、前記のタグ配列は6Hisタグを含む。
もう一つの好適な例において、前記の組み換えタンパク質(またはポリペプチド)は融合タンパク質を含む。
【0046】
もう一つの好適な例において、前記の組み換えタンパク質は、単量体、二量体、または多量体である。
もう一つの好適な例において、前記組み換えタンパク質は、
(i)以下の群から選ばれる抗体、
【0047】
【表3】
【0048】
ならびに
(ii)任意の発現および/または精製を補助するタグ配列を含む。
本発明の第七の側面では、
(1)本発明の第一の側面に記載の重鎖可変領域、本発明の第二の側面に記載の重鎖、本発明の第三の側面に記載の軽鎖可変領域、本発明の第四の側面に記載の軽鎖、または本発明の第五の側面に記載の抗体、ならびに
(2)本発明の第六の側面に記載の組み換えタンパク質
からなる群から選ばれるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0049】
もう一つの好適な例において、前記重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは配列番号73、75、77、79、81、83、85、87または89で示され、ならびに/あるいは前記軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは配列番号74、76、78、80、82、84、86、88または90で示される。
【0050】
もう一つの好適な例において、前記重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドおよび前記軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは以下の群から選ばれる。
【0051】
【表4】
【0052】
本発明の第八の側面では、本発明の第七の側面に記載のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
もう一つの好適な例において、前記のベクターは、細菌プラスミド、ファージ、酵母プラスミド、植物細胞ウイルス、哺乳動物細胞ウイルス、たとえばアデノウイルス、レトロウイルス、またはほかのベクターを含む。
【0053】
本発明の第九の側面では、遺伝子工学化された宿主細胞であって、本発明の第八の側面に記載のベクターを含むか、あるいはゲノムに本発明の第七の側面に記載のポリヌクレオチドが組み込まれた宿主細胞を提供する。
【0054】
本発明の第十の側面では、
(a)本発明の第一の側面に記載の重鎖可変領域、本発明の第二の側面に記載の重鎖、本発明の第三の側面に記載の軽鎖可変領域、本発明の第四の側面に記載の軽鎖、または本発明の第五の側面に記載の抗体、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる抗体部分、ならびに
(b)検出可能なマーカー、薬物、毒素、サイトカイン、放射性核種、酵素、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、前記抗体部分とカップリングするカップリング部分
を含有する抗体複合体を提供する。
【0055】
もう一つの好適な例において、前記の抗体部分と前記のカップリング部分は化学結合またはリンカーを介してカップリングしている。
本発明の第十一の側面では、本発明の第五の側面に記載の抗体を発現するか、細胞膜外に露出する免疫細胞を提供する。
【0056】
もう一つの好適な例において、前記の免疫細胞は、NK細胞、T細胞を含む。
もう一つの好適な例において、前記の免疫細胞はヒトまたはヒト以外の哺乳動物(たとえばマウス)由来のものである。
【0057】
本発明の第十二の側面では、
(i)本発明の第一の側面に記載の重鎖可変領域、本発明の第二の側面に記載の重鎖、本発明の第三の側面に記載の軽鎖可変領域、本発明の第四の側面に記載の軽鎖、または本発明の第五の側面に記載の抗体、本発明の第六の側面に記載の組み換えタンパク質、本発明の第十の側面に記載の抗体複合体、本発明の第十一の側面に記載の免疫細胞、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる活性成分、ならびに
(ii)薬学的に許容される担体と
を含有する薬物組成物を提供する。
【0058】
もう一つの好適な例において、前記の薬物組成物は液体製剤である。
もう一つの好適な例において、前記の薬物組成物は注射剤である。
もう一つの好適な例において、前記の薬物組成物は、0.01~99.99%の本発明の第五の側面に記載の抗体、本発明の第六の側面に記載の組み換えタンパク質、本発明の第十の側面に記載の抗体複合体、本発明の第十一の側面に記載の免疫細胞、またはこれらの組み合わせ、ならびに0.01~99.99%の薬用担体を含み、前記百分率は前記薬物組成物で占める質量百分率である。
【0059】
本発明の第十三の側面では、本発明の第一の側面に記載の重鎖可変領域、本発明の第二の側面に記載の重鎖、本発明の第三の側面に記載の軽鎖可変領域、本発明の第四の側面に記載の軽鎖、または本発明の第五の側面に記載の抗体、本発明の第六の側面に記載の組み換えタンパク質、本発明の第十の側面に記載の抗体複合体、本発明の第十一の側面に記載の免疫細胞、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる活性成分の使用であって、前記活性成分は(a)診断試薬またはキットの製造、ならびに/あるいは(b)NKG2Aの発現または機能異常に関連する疾患を予防および/または治療する薬物の製造に用いられる使用を提供する。
【0060】
もう一つの好適な例において、前記の診断試薬は検出シートまたは検出プレートである。
もう一つの好適な例において、前記NKG2Aの発現または機能異常に関連する疾患は、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患からなる群から選ばれる。
【0061】
もう一つの好適な例において、前記診断試薬またはキットは、
(1)サンプルにおけるNKG2Aタンパク質の検出、および/または
(2)腫瘍細胞における内因性のNKG2Aタンパク質の検出、および/または
(3)NKG2Aタンパク質を発現する腫瘍細胞の検出に用いられ、
前記薬物はNKG2Aの発現または機能異常に関連する疾患の予防および/治療に用いられ、前記NKG2Aの発現または機能異常に関連する疾患は癌、自己免疫疾患、炎症性疾患である。
【0062】
もう一つの好適な例において、前記癌は、リンパ性白血病、卵巣癌、非小細胞肺癌、頭頚部癌からなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記癌はHLA-E過剰発現の癌である。
【0063】
もう一つの好適な例において、前記癌はHLA-E過剰発現の癌で、前記癌はリンパ性白血病、卵巣癌、非小細胞肺癌、頭頚部癌からなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記の抗体は、薬物複合体(ADC)の形態である。
【0064】
もう一つの好適な例において、前記の診断試薬またはキットはNKG2A関連疾患の診断に用いられる。
もう一つの好適な例において、前記の診断試薬またはキットはサンプルにおけるNKG2Aタンパク質の検出に用いられる。
【0065】
本発明の第十四の側面では、体外でサンプルにおけるNKG2Aタンパク質を検出(診断的なものまたは非診断的なものを含む)する方法であって、
(1)体外において、前記サンプルを本発明の第五の側面に記載の抗体と接触させる工程、
(2)抗原-抗体複合体が形成したか検出し、ここで、複合体が形成したというのはサンプルにNKG2Aタンパク質が存在することを意味する工程
を含む方法を提供する。
【0066】
本発明の第十五の側面では、体外でサンプルにおけるNKG2Aタンパク質を検出する組成物であって、本発明の第五の側面に記載の抗体、本発明の第六の側面に記載の組み換えタンパク質、本発明の第十の側面に記載の抗体複合体、本発明の第十一の側面に記載の免疫細胞、またはこれらの組み合わせを活性成分として含む組成物を提供する。
【0067】
本発明の第十六の側面では、下地シート(支持プレート)と、本発明の第五の側面に記載の抗体、本発明の第六の側面に記載の組み換えタンパク質、本発明の第十の側面に記載の抗体複合体、本発明の第十一の側面に記載の免疫細胞、またはこれらの組み合わせを含有する測定バーとを含む検出プレートを提供する。
【0068】
本発明の第十七の側面では、
(1)本発明の抗体を含有する第一の容器、および/または
(2)本発明の抗体に対する二次抗体を含有する第二の容器を含むか、
あるいは、
本発明の第十六の側面に記載の検出プレートを含むキットを提供する。
【0069】
本発明の第十八の側面では、組み換えポリペプチドの製造方法であって、
(a)発現に適切な条件において、本発明の第九の側面に記載の宿主細胞を培養する工程、
(b)培養物から、本発明の第五の側面に記載の抗体または本発明の第六の側面に記載の組み換えタンパク質である、組み換えポリペプチドを単離する工程
を含む方法を提供する。
【0070】
本発明の第十九の側面では、
(i)本発明の第五の側面に記載の抗体1、または本発明の第六の側面に記載の組み換えタンパク質、または本発明の第十の側面に記載の抗体複合体、または本発明の第十一の側面に記載の免疫細胞、または本発明の第十二の側面に記載の薬物組成物、またはこれらの組み合わせを含む第一の活性成分と、
(ii)第二抗体、または化学治療剤を含む第二の活性成分と
を含む薬物の組み合わせを提供する。
【0071】
もう一つの好適な例において、前記第二抗体はCTLA4抗体、PD-1抗体からなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記の第二抗体はPD-1抗体である。
【0072】
もう一つの好適な例において、前記化学治療剤は、ドセタキセル、カルボプラチン、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
本発明の第二十の側面では、本発明の第五の側面に記載の抗体、または本発明の第六の側面に記載の組み換えタンパク質、または本発明の第十の側面に記載の抗体複合体、または本発明の第十一の側面に記載の免疫細胞、および/または本発明の第十二の側面に記載の薬物組成物と第二の抗体または化学治療剤との組み合わせの使用であって、NKG2Aの発現または機能異常に関連する疾患を治療する薬物の製造に用いられる使用を提供する。
【0073】
もう一つの好適な例において、前記第二抗体はCTLA4抗体、PD-1抗体からなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記の第二抗体はPD-1抗体である。
【0074】
本発明の第二十一の側面では、NKG2Aの発現または機能異常に関連する疾患を治療する方法であって、必要な対象に有効量の本発明の第五の側面に記載の抗体、または本発明の第六の側面に記載の組み換えタンパク質、または本発明の第十の側面に記載の抗体複合体、または本発明の第十一の側面に記載の免疫細胞、または本発明の第十二の側面に記載の薬物組成物、またはこれらの組み合わせを施用する工程を含む方法を提供する。
【0075】
もう一つの好適な例において、前記NKG2Aの発現または機能異常に関連する疾患は癌、自己免疫疾患、炎症性疾患である。
もう一つの好適な例において、前記癌は、リンパ性白血病、卵巣癌、非小細胞肺癌、頭頚部癌からなる群から選ばれる。
【0076】
もう一つの好適な例において、前記癌はHLA-E過剰発現の癌である。
もう一つの好適な例において、前記癌はHLA-E過剰発現の癌で、前記癌はリンパ性白血病、卵巣癌、非小細胞肺癌、頭頚部癌からなる群から選ばれる。
【0077】
もう一つの好適な例において、前記の方法は、さらに、第一の活性成分を施用する前、中および/または後、前記対象に安全有効量の第二抗体を施用する工程を含む。
【0078】
もう一つの好適な例において、前記の第二抗体は、PD-1抗体、CTLA4抗体からなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記の第二抗体はPD-1抗体である。
【0079】
もちろん、本発明の範囲内において、本発明の上記の各技術特徴および下記(たとえば実施例)の具体的に記述された各技術特徴は互いに組合せ、新しい、または好適な技術方案を構成できることが理解される。紙数に限りがあるため、ここで逐一説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1図1は、対照抗体とNKG2A/CD94タンパク質の結合活性である。
図2a図2aは、ELISAによる免疫後のBalb/cマウス血清の抗体価の検出である。
図2b図2bは、FACSによる免疫後のBalb/cマウス血清の抗体価の検出である。
図3a図3aは、ELISAによる免疫後のSJLマウス血清の抗体価の検出である。
図3b図3bは、FACSによる免疫後のSJLマウス血清の抗体価の検出である。
図4図4は、動物免疫の技術の流れである。
図5a図5aは、ELISAによる免疫後のBalb/cマウス血清の抗体価の検出である。
図5b図5bは、ELISAによる免疫後のSJLマウス血清の抗体価の検出である。
図6a図6aは、FACSによる免疫後のBalb/cマウス血清の抗体価の検出で、ここで、cynoとはアカゲザルである。
図6b図6bは、FACSによる免疫後のSJLマウス血清の抗体価の検出である。
図7図7は、動物免疫の技術の流れである。
図8a図8aは、ELISAによる免疫後のBalb/cマウス血清の抗体価の検出である。
図8b図8bは、ELISAによる免疫後のSJLマウス血清の抗体価の検出である。
図9a図9aは、FACSによる免疫後のBalb/cマウス血清の抗体価の検出である。
図9b図9bは、FACSによる免疫後のSJLマウス血清の抗体価の検出である。
図10図10は、FACSによるNKG2A抗体とCHOK1-hNKG2A/CD94の結合反応の検出である。
図11図11は、FACSによるNKG2A抗体とCHOK1-cNKG2A/CD94の結合反応の検出である。
図12図12は、FACSによるNKG2A抗体とCHOK1-hNKG2C/CD94の結合反応の検出である。
図13図13は、ELISAによるNKG2A抗体とNKG22Eの結合反応の検出である。
図14図14は、FACSによる抗体の遮断活性の検出である。
図15図15は、NKG2A抗体のNK92殺傷実験における活性の検出である(抗体がNK92細胞の殺傷活性を増加させた)。
図16図16は、NKG2A抗体の初代NK細胞殺傷実験における活性の検出で(PBMCドナー-1)、抗体が初代NK細胞の殺傷活性を増加させ、ドナー1である。
図17図17は、NKG2A抗体の初代NK細胞殺傷実験における活性の検出で(PBMCドナー-2)、抗体が初代NK細胞の殺傷活性を増加させ、ドナー2である。
図18a図18aは、FACSによるヒト化NKG2A抗体とCHOK1-hNKG2A/CD94の結合反応の検出である。
図18b図18bは、FACSによるヒト化NKG2A抗体とCHOK1-hNKG2A/CD94の結合反応の検出である。
図19a図19aは、FACSによるヒト化NKG2A抗体とCHOK1-hNKG2C/CD94の結合反応の検出である。
図19b図19bは、FACSによるヒト化NKG2A抗体とCHOK1-hNKG2C/CD94の結合反応の検出である。
図20a図20aは、FACSによるヒト化NKG2A抗体とCHOK1-cNKG2A/CD94の結合反応の検出である。
図20b図20bは、FACSによるヒト化NKG2A抗体とCHOK1-cNKG2A/CD94の結合反応の検出である。
図21図21は、FACSによるヒト化NKG2A抗体の遮断活性の検出で、HLA-EとNKG2A/CD94細胞の結合が遮断された。
図22図22は、ヒト化NKG2A抗体がNK92の殺傷活性を増加させたことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
具体的な実施形態
本発明者は、幅広く深く研究したところ、それぞれファージディスプレイ技術およびハイブリドーマ技術により、意外に、一連の斬新なアミノ酸配列を有するヒト-マウスキメラおよびヒト化のNKG2A抗体(たとえばM15-5、Mpb416)を得た。本発明に係るNKG2A抗体はヒトNKG2Aと結合可能で、高親和力を有する(KDが1.04×10-11に達する)(本発明で得られた抗体は参照抗体の親和力よりも18倍高い)。また、前記NKG2A抗体はNKG2Aタンパク質受容体の細胞外領域に結合し、そして細胞レベルで有効にNKG2Aタンパク質をブロッキングし、NKG2Aタンパク質とリガンドHLA-Eの結合を阻止することができる。前記NKG2A抗体は顕著にNK92またはヒトNK細胞の標的細胞に対する殺傷効果を増加させることができる。初代NK細胞の活性実験の検出から、その生物学活性が顕著に参照抗体よりも良い。また、本発明に係るNKG2A抗体は、特異性が高く、ヒトNKG2CおよびNKG2Eの同ファミリーのタンパク質抗原とのクロス反応がない。本発明に係るNKG2A抗体は、NKG2A/HLA-Eが仲介するシグナル経路の負調節の遮断、生体の腫瘍に対する自然免疫反応の活性化、単独または抗PD-1などのモノクローナル抗体またはほかの抗腫瘍薬との併用による腫瘍免疫治療に使用することができる。本発明の抗体は、腫瘍、自己免疫性疾患などを治療する薬物の製造に使用することができる。これに基づき、本発明を完成させた。
【0082】
用語
NKG2A
ナチュラルキラー細胞(NK)は体内における非常に重要なリンパ球で、自然免疫と後天性免疫のいずれにおいても重要な作用を発揮する。NK細胞の表面に2種類の受容体が存在し、その機能によって抑制型と活性化型の2種類の受容体に分かれ、それぞれNK細胞の異なる認識パターンを仲介し、異なる活性化シグナルと抑制シグナルを伝達する。CD94/NKG2ファミリーは多く研究されている一つの受容体ファミリーで、主にNKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2D、NKG2E、NKG2F、NKG2Hなどのメンバーを含む。中では、NKG2Aは抑制性受容体で、そのリガンドは非典型的な主要組織適合遺伝子複合体クラスI分子であるHLA-Eである。標的細胞に発現されるHLA-E分子はNKG2Aと結合すると、NK細胞の殺傷機能に抑制作用がある。そのため、CD94/NKG2Aを抑制する抗体は腫瘍特異性リンパ球の腫瘍細胞に対する殺傷活性を向上させる可能性がある。また、一部のリンパ腫、たとえばNKリンパ腫は、CD94/NKG2A発現が特徴である。このような患者において、CD94/NKG2A発現細胞を標的として殺滅する治療性抗体は腫瘍細胞を根絶する可能性がある。
【0083】
抗体
本明細書で用いられるように、用語「抗体」または「免疫グロブリン」は同様な構造特徴を持つ、約150000ダルトンのヘテロテトラマーの糖タンパク質で、2つの同じ軽鎖(L)と2つの同じ重鎖(H)からなるものである。各軽鎖は、重鎖に1つの共有ジスルフィド結合によって結合しているが、重鎖間のジスルフィド結合の数は、免疫グロブリンのアイソタイプによるものである。各重鎖および軽鎖も、それぞれ一定の間隔の鎖内ジスルフィド結合を有する。各重鎖は、1つの末端に可変領域(VH)を有し、その先に多数の定常領域を有する。各軽鎖は、一方の末端に可変領域(VL)を有し、他方の末端に定常領域を有する。軽鎖の定常領域は重鎖の一つ目の定常領域と、軽鎖の可変領域は重鎖の可変領域と対向している。特殊なアミノ酸残基が軽鎖と重鎖の可変領域の間に界面を形成している。
【0084】
本明細書で用いられるように、用語の「可変」とは、抗体において可変領域のある部分が配列で異なっており、これによって各特定の抗体のその特定の抗原に対する結合および特異性が構成されることを指す。しかし、可変性は、均一に抗体の可変領域全体に分布しているわけではない。軽鎖と重鎖の可変領域における相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる3つの断片に集中している。可変領域において、比較的に保存的な部分は、フレームワーク領域(FR)FRと呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変領域に、それぞれ、基本的にβシート構造となっており、連結ループを形成する3つのCDRで連結され、場合によって部分βシート構造となる4つのFR領域が含まれる。各鎖におけるCDRは、FR領域で密接し、かつ他方の鎖のCDRと一緒に抗体の抗原結合部位(Kabatら、NIH Publ. No. 91-3242, 卷I,647-669頁(1991)を参照する)を形成している。定常領域は、抗体と抗原との結合には直接関与しないが、たとえば抗体の抗体依存細胞毒性に参与するなどの異なるエフェクター機能を示す。
【0085】
脊椎動物の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常領域のアミノ酸配列に基づき、明らかに異なる二種類(?と?と呼ばれる)のいずれかに分類することができる。免疫グロブリンは、重鎖の定常領域のアミノ酸配列に基づき、異なるクラスに分類することができる。免疫グロブリンには、主として5つのクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、そのうちのいくつかは、さらに、サブクラス(アイソタイプ)、たとえばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2に分類することができる。異なるクラスの免疫グロブリンの重鎖の定常領域に応じて、それぞれ?、?、?、?、および?と呼ばれる。各クラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元構造は本分野の技術者熟知である。
【0086】
一般的に、抗体の抗原結合特性は、重鎖および軽鎖の可変領域に位置する3つの特定の領域によって特徴付けられ、可変領域(CDR)と呼ばれ、4つのフレームワーク領域(FR)に分かれ、4つのFRのアミノ酸配列が比較的に保存され、直接結合反応に関与しない。これらのCDRは環状構造を形成し、その中のFRで形成されるβシートによって空間構造上で近づき、重鎖におけるCDRおよび相応の軽鎖におけるCDRが抗体の抗原結合部位を構成する。同類の抗体のアミノ酸配列の比較によってどのアミノ酸がFRあるいはCDR領域を構成するか確認することができる。
【0087】
本発明は、完全の抗体だけではなく、免疫活性を有する抗体の断片または抗体とほかの配列からなる融合タンパク質も含む。そのため、本発明は、さらに、前記抗体の断片、誘導体および類似体を含む。
【0088】
本発明において、抗体は当業者に熟知の技術によって製造されるマウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体または全ヒト抗体を含む。組み換え抗体、たとえばキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、ヒトの部分および非ヒトの部分を含み、標準のDNA組み換え技術によって得ることができ、いずれも有用な抗体である。キメラ抗体は一つの分子で、そのうちの異なる部分が異なる動物種由来で、たとえばマウス由来のモノクローナル抗体の可変領域、およびヒト免疫グロブリンの定常領域を有するキメラ抗体である(たとえば米国特許4,816,567および米国特許4,816,397を参照するが、ここで引用の形によって全体として本明細書に取り入れる)。ヒト化抗体とはヒト以外の種由来の抗体分子で、一つまたは複数のヒト以外の種由来の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する(米国特許5,585,089を参照するが、ここで引用の形によって全体として本明細書に取り入れる)。これらのキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、本分野で熟知されるDNA組み換え技術によって製造することができる。
【0089】
本発明において、抗体は、単特異性、二重特異性、三重特異性、またはそれ以上の多重特異性でもよい。
本発明において、本発明の抗体は、さらにその保存的変異体を含み、本発明の抗体のアミノ酸配列と比較すると、10個以下、好ましくは8個以下、より好ましくは5個以下、最も好ましくは3個以下のアミノ酸が類似または近い性質を持つアミノ酸で置換されてなるポリペプチドをいう。これらの保存的変異ポリペプチドは、表1のようにアミノ酸の置換を行って生成することが好ましい。
【0090】
【表5】
【0091】
抗NKG2Aの抗体
本発明において、前記抗体は抗NKG2Aの抗体である。本発明は、NKG2Aに対する高特異性で高親和力の抗体であって、重鎖および軽鎖を含み、前記重鎖は重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を、前記軽鎖は軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を含有する抗体を提供する。
【0092】
好ましくは、
前記の重鎖可変領域(VH)は、
配列番号8n+2で示されるVH-CDR1、
配列番号8n+3で示されるVH-CDR2、および
配列番号8n+4で示されるVH-CDR3
からなる群から選ばれる相補性決定領域CDRを有し、
ここで、各nは独立に0、1、2、3、4、5、6、7または8で、
前記の軽鎖可変領域(VL)は、
配列番号8n+6で示されるVL-CDR1、
配列番号8n+7で示されるVL-CDR2、および
配列番号8n+8で示されるVL-CDR3
からなる群から選ばれる相補性決定領域CDRを有し、
ここで、各nは独立に0、1、2、3、4、5、6、7または8で、
ここで、上記アミノ酸配列のうちの任意の一つのアミノ酸配列は、さらに、任意に少なくとも一つのアミノ酸の付加、欠失、修飾および/または置換がありながら、NKG2A結合親和力を維持する誘導配列を含む。
【0093】
好ましくは、重鎖可変領域(VH)は、
配列番号8n+2で示されるVH-CDR1、
配列番号8n+3で示されるVH-CDR2、および
配列番号8n+4で示されるVH-CDR3、
の3つの相補性決定領域CDRを含み、
軽鎖可変領域(VL)は、
配列番号8n+6で示されるVL-CDR1、
配列番号8n+7で示されるVL-CDR2、および
配列番号8n+8で示されるVL-CDR3、
の3つの相補性決定領域CDRを含み、
各nは独立に0、1、2、3、4、5、6、7または8で、好ましくはnは0または1で、
ここで、上記アミノ酸配列のうちの任意の一つのアミノ酸配列は、さらに、任意に少なくとも一つのアミノ酸の付加、欠失、修飾および/または置換がありながら、NKG2A結合親和力を維持する誘導配列を含む。
【0094】
もう一つの好適な例において、前記少なくとも1個のアミノ酸の付加、欠失、修飾および/または置換を経た配列は、好適に、相同性または配列同一性が少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列である。
【0095】
本分野の一般技術者に周知の配列の相同性または同一性の測定方法は、分子計算生物学(Computational Molecular Biology),Lesk,A.M.編集,オクスフォード大学出版社,ニューヨーク,1988、バイオコンピューティング:情報科学および ゲノムプロジェクト(Biocomputing:Informatics and Genome Projects),Smith,D.W.編集,アカデミック・プレス,ニューヨーク,1993、配列データのコンピューター分析(Computer Analysis of Sequence Data),第I部,Griffin,A.M.及びGriffin,H.G.編集,Humana Press,ニュージャージー,1994、分子生物学における配列分析(Sequence Analysis in Molecular Biology),von Heinje,G.,アカデミック・プレス,1987および配列分析プライマー(Sequence Analysis Primer),Gribskov,M.及びDevereux,J.編集M Stockton Press,ニューヨーク,1991およびCarillo,H.及びLipman,D.,SIAM J. Applied Math.,48:1073(1988)を含むが、これらに限定されない。同一性測定の好適な方法は、測定される配列の間で最大のマッチを得るものである。同一性の測定方法は、公衆に得られるコンピュータープログラムに組み込まれている。2つの配列の間の同一性の測定に好適なコンピュータープログラムは、GCGプログラムパック (Devereux,J.ら,1984)、BLASTP、BLASTNやFASTA(Altschul,S,F.ら,1990)を含むが、これらに限定されない。公衆は、NCBIやほかのリソースからBLASTXプログラム(BLASTマニュアル,Altschul,S.ら,NCBI NLM NIH Bethesda,Md.20894、Altschul,S.ら,1990)を得ることができる。よく知られるSmith Waterman法も同一性の測定に使用することができる。
【0096】
好ましくは、本明細書に記載の抗体は抗体の全長タンパク質、抗原抗体結合ドメインのタンパク質断片、二重特異性抗体、多重特異性抗体、一本鎖抗体(single chain antibody fragment、scFv)、単一ドメイン抗体(single-domain antibody、sdAb)および単一領域抗体(Signle-domain antibody)のうちの一つまたは複数、ならびに上記抗体で製造されたモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。前記モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術、ファージディスプレイ技術、単一リンパ球遺伝子クローニング技術などを含む、多くのアプローチおよび技術によって研究・製造することができるが、ハイブリドーマ技術によって野生型または遺伝子組み換えマウスからモノクローナル抗体を調製するのは主流である。
【0097】
前記の抗体全長タンパク質は本分野の通常の抗体全長タンパク質で、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、重鎖定常領域および軽鎖定常領域を含む。前記のタンパク質の重鎖可変領域および軽鎖可変領域はヒト由来の重鎖定常領域およびヒト由来の軽鎖定常領域と全ヒト由来抗体の全長タンパク質を構成する。好ましくは、前記の抗体の全長タンパク質はIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。
【0098】
本発明の抗体は二本鎖または一本鎖抗体でもよく、そして動物由来抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、より好ましくはヒト化抗体、ヒト-動物キメラ抗体、さらに好ましくは全ヒト化抗体から選ばれてもよい。
【0099】
本発明に係る抗体の誘導体は、一本鎖抗体、およびまたは抗体断片、たとえばFab、Fab'、(Fab')2あるいは当該分野におけるほかの既知の抗体の誘導体など、ならびにIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体またはほかのサブタイプの抗体のうちの任意の一つまたは複数でもよい。
【0100】
前記の一本鎖抗体は本分野の通常の一本鎖抗体で、重鎖可変領域、軽鎖可変領域および15~20アミノ酸の短鎖ペプチドを含む。
ここで、前記動物は、哺乳動物、たとえばマウスが好ましい。
【0101】
本発明の抗体は、NKG2A(たとえばヒトNKG2A)を標的とするキメラ抗体、ヒト化抗体、CDR接木および/または修飾の抗体でもよい。
本発明の上記内容において、前記付加、欠失、修飾および/または置換のアミノ酸数は、好ましくは元のアミノ酸配列の合計アミノ酸数の40%以下、より好ましくは35%以下、より好ましくは1~33%、より好ましくは5~30%、より好ましくは10~25%、より好ましくは15~20%である。
【0102】
本発明の上記内容において、より好適に、前記付加、欠失、修飾および/または置換のアミノ酸の数は、1~7個、より好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個でもよい。
【0103】
もう一つの好適な例において、前記抗体の重鎖可変領域は配列番号1、9、17、25、33、41、49、57または65で示されるアミノ酸配列を有する。
もう一つの好適な例において、前記抗体の軽鎖可変領域は配列番号5、13、21、29、37、45、53、61または69で示されるアミノ酸配列を有する。
【0104】
もう一つの好適な例において、前記NKG2Aを標的とする抗体の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列、および/または、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は下記表2-1で示される通りである。
【0105】
【表6】
【0106】
もう一つの好適な例において、前記NKG2Aを標的とする抗体はM15-5、Mpb416、Mab031、Mab032、Mab033、Mab036、2F10、9B10、14G3である。
もう一つの好適な例において、前記NKG2Aを標的とする抗体はM15-5である。
【0107】
もう一つの好適な例において、前記NKG2Aを標的とする抗体はMpb416である。
組換えタンパク質
また、本発明は、NKG2A抗体の重鎖CDR1(VH-CDR1)、重鎖CDR2(VH-CDR2)および重鎖CDR3(VH-CDR3)のうちの1つまたは複数、ならびに/あるいは、NKG2A抗体の軽鎖CDR1(VL-CDR1)、軽鎖CDR2(VL-CDR2)および軽鎖CDR3(VL-CDR3)のうちの1つまたは複数を含む組み換えタンパク質を提供する。
【0108】
前記重鎖CDR1-3の配列は、
配列番号8n+2で示されるVH-CDR1、
配列番号8n+3で示されるVH-CDR2、
配列番号8n+4で示されるVH-CDR3で、
前記軽鎖CDR1-3の配列は、
配列番号8n+6で示されるVL-CDR1、
配列番号8n+7で示されるVL-CDR2、および
配列番号8n+8で示されるVL-CDR3で、
各nは独立に0、1、2、3、4、5、6、7または8で、好ましくはnは0で、
ここで、上記アミノ酸配列のうちの任意の一つのアミノ酸配列は、さらに、任意に少なくとも一つのアミノ酸の付加、欠失、修飾および/または置換がありながら、NKG2A結合親和力を維持する誘導配列を含む。
【0109】
もう一つの好適な例において、前記少なくとも1個のアミノ酸の付加、欠失、修飾および/または置換を経た配列は、好適に、相同性または配列同一性が少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列である。
【0110】
もう一つの好適な例において、本発明に係る組み換えタンパク質はNKG2A抗体の重鎖可変領域および/またはNKG2A抗体の軽鎖可変領域を含み、前記抗体の重鎖可変領域は配列番号1、9、17、25、33、41、49、57または65で示されるアミノ配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は配列番号5、13、21、29、37、45、53、61または69で示されるアミノ配列を含む。
【0111】
もう一つの好適な例において、本発明に係る組み換えタンパク質はNKG2A抗体の重鎖可変領域およびNKG2A抗体の軽鎖可変領域を含み、前記抗体の重鎖可変領域は配列番号1、9、17、25、33、41、49、57または65で示されるアミノ配列を含み、かつ前記抗体の軽鎖可変領域は配列番号5、13、21、29、37、45、53、61または69で示されるアミノ配列を含む。
【0112】
もう一つの好適な例において、前記組み換えタンパク質およびそれに含まれる重鎖CDR1-3、軽鎖CDR1-3のアミノ酸配列の配列番号は表2-2で示される通りである。
【0113】
【表7】
【0114】
ここで、上記アミノ酸配列のうちの任意の一つのアミノ酸配列は、さらに、任意に少なくとも一つのアミノ酸の付加、欠失、修飾および/または置換がありながら、NKG2A結合親和力を維持する誘導配列を含む。
【0115】
好ましくは、前記の組み換えタンパク質はさらに抗体の重鎖定常領域および/または抗体の軽鎖定常領域を含み、前記抗体の重鎖定常領域は本分野の通常のもの、好ましくはラット由来抗体の重鎖定常領域またはヒト由来抗体の重鎖定常領域、より好ましくはヒト由来抗体の重鎖定常領域である。前記抗体の軽鎖定常領域は本分野の通常のもの、好ましくはラット由来抗体の軽鎖定常領域またはヒト由来抗体の軽鎖定常領域、より好ましくはヒト由来抗体の軽鎖定常領域である。
【0116】
前記の組み換えタンパク質は本分野の通常のタンパク質、好ましくは、抗体の全長タンパク質、抗原抗体結合ドメインのタンパク質断片、二重特異性抗体、多重特異性抗体、一本鎖抗体(single chain antibody fragment、scFv)、単一ドメイン抗体(single-domain antibody、sdAb)および単一領域抗体(Signle-domain antibody)のうちの一つまたは複数、ならびに上記抗体で製造されたモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。前記モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術、ファージディスプレイ技術、単一リンパ球遺伝子クローニング技術などを含む、多くのアプローチおよび技術によって研究・製造することができるが、ハイブリドーマ技術によって野生型または遺伝子組み換えマウスからモノクローナル抗体を調製するのは主流である。
【0117】
前記の抗体全長タンパク質は本分野の通常の抗体全長タンパク質で、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、重鎖定常領域および軽鎖定常領域を含む。前記のタンパク質の重鎖可変領域および軽鎖可変領域はヒト由来の重鎖定常領域およびヒト由来の軽鎖定常領域と全ヒト由来抗体の全長タンパク質を構成する。好ましくは、前記の抗体の全長タンパク質はIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。
【0118】
前記の一本鎖抗体は本分野の通常の一本鎖抗体で、重鎖可変領域、軽鎖可変領域および15~20アミノ酸の短鎖ペプチドを含む。
前記の抗原抗体結合ドメインのタンパク質断片は本分野の通常の抗原抗体結合ドメインのタンパク質断片で、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域および重鎖定常領域のFd断片を含む。好ましくは、前記の抗原抗体結合ドメインのタンパク質断片はFabおよびF(ab')である。
【0119】
前記の単一ドメイン抗体は本分野の通常の単一ドメイン抗体で、重鎖可変領域および重鎖定常領域を含む。
前記の単一領域抗体は本分野の通常の単一領域抗体で、重鎖可変領域のみを含む。
【0120】
ここで、前記組み換えタンパク質の製造方法は本分野の通常の製造方法である。前記製造方法は、好ましくは、当該タンパク質を組み換え発現する発現形質転換体から分離すること、またはタンパク質配列を人工合成することによって得るものである。前記の当該タンパク質を組み換え発現する発現形質転換体から分離することによって得る方法は、好ましくは、前記タンパク質をコードし、かつ点突然変異を持つ核酸分子を組み換えベクターにクローニングし、得られた組み換え発現形質転換体を培養し、分離・精製して前記組み換えタンパク質を得るものである。
【0121】
核酸
また、本発明は、上記の抗体(たとえば抗NKG2Aの抗体)または組み換えタンパク質または抗NKG2Aの抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域をコードする核酸を提供する。
【0122】
好ましくは、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表の配列番号73、75、77、79、81、83、85、87または89で示され、ならびに/あるいは、前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表の配列番号74、76、78、80、82、84、86、88または90で示される。
【0123】
より好ましくは、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表の配列番号73、75、77、79、81、83、85、87または89で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表の配列番号74、76、78、80、82、84、86、88または90で示される。
【0124】
前記核酸の製造方法は本分野の通常の製造方法で、好ましくは、遺伝子クローニング技術によって上記タンパク質をコードする核酸分子を得るか、または全配列を人工的に合成する方法によって上記タンパク質をコードする核酸分子を得る工程を含む。
【0125】
当業者には、上記タンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列に適当に置換、欠失、変更、挿入または添加を導入することによって一つのポリヌクレオチドのホモログを提供することができることがわかる。本発明において、ポリヌクレオチドのホモログは当該タンパク質をコードする遺伝子の一つまたは複数の塩基に対して抗体の活性を保つ範囲で置換、欠失または添加を行うことによって調製することができる。
【0126】
ベクター
また、本発明は前記核酸を含む組み換え発現ベクターを提供する。
ここで、前記組み換え発現ベクターは本分野の通常の方法、すなわち、本発明に記載の核酸分子を様々な発現ベクターに連結して構築することによって得ることができる。前記の発現ベクターは本分野の通常の様々なベクターで、前記核酸分子を担持することができればよい。前記ベクターは好ましくは様々なプラスミド、コスミド、ファージやウイルスベクターを含む。
【0127】
また、本発明は上記組み換え発現ベクターを含む組み換え発現形質転換体を提供する。
ここで、前記組み換え発現形質転換体の製造方法は本分野の通常の製造方法で、好ましくは、上記組み換え発現ベクターを宿主細胞に形質転換させて得る方法である。前記の宿主細胞は本発明の通常の様々な宿主細胞で、上記組み換え発現形質転換体が安定して自己複製し、かつ担持される前記の核酸が有効に発現されるようにさせることができればよい。好ましくは、前記宿主細胞はE.coli TG1またはE.coli BL21細胞(一本鎖抗体またはFab抗体を発現する)、あるいはHEK293またはCHO細胞(全長IgG抗体を発現する)である。前記組み換え発現プラスミドを宿主細胞に形質転換させれば、本発明の好適な組み換え発現形質転換体を得ることができる。ここで、前記形質転換方法は本発明の通常の形質転換方法、好ましくは化学的形質転換法、ヒートショック法または電気的形質転換法である。
【0128】
抗体の製造
本発明の抗体またはその断片のDNA分子の配列は、通常の技術で、たとえば、PCR増幅 あるいはゲノムライブラリースクリーニングなどの方法によって得ることができる。また、軽鎖および重鎖のコード配列を一体に融合し、一本鎖抗体を形成してもよい。
【0129】
関連の配列を獲得すれば、組み換え法で大量に関連配列を獲得することができる。この場合、通常、その配列をベクターにクローンした後、細胞に導入し、さらに通常の方法で増殖させた宿主細胞から関連配列を単離して得る。
【0130】
また、特に断片の長さが短い場合、人工合成の方法で関連配列を合成してもよい。通常、まず多数の小さい断片を合成し、そして連接させることにより、配列の長い断片を得ることができる。
【0131】
現在、前記の本発明の抗体(またはその断片、あるいはその誘導体)をコードするDNA配列を全部化学合成で得ることがすでに可能である。さらに、このDNA配列を本分野で周知の各種の既知のDNA分子(あるいはベクターなど)や細胞に導入してもよい。また、化学合成で本発明のタンパク質配列に変異を導入することもできる。
【0132】
さらに、本発明は、上記の適当なDNA配列および適当なプロモーターあるいは制御配列を含むベクターに関する。これらのベクターは、タンパク質を発現するように、適当な宿主細胞の形質転換に用いることができる。
【0133】
宿主細胞は、原核細胞、たとえば細菌細胞、あるいは、低等真核細胞、たとえば酵母細胞、あるいは、高等真核細胞、たとえば哺乳動物細胞でもよい。好適な動物細胞は、CHO-S、HEK-293細胞を含むが、これらに限定されない。
【0134】
通常、本発明の抗体の発現に適切な条件で、形質転換で得られた宿主細胞を培養する。そして、通常のグロブリンの精製工程、例えばプロテインA-Sepharose、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、分子篩クロマトグラフィーやアフィニティークロマトグラフィーなどの本分野の技術者に熟知の通常の分離精製手段で精製し、本発明のの抗体を得る。
【0135】
得られたモノクローナル抗体は、通常の手段で同定することができる。たとえば、モノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降、あるいは体外結合試験(たとえば放射免疫測定(RIA)または酵素結合免疫吸着測定(ELISA))で測定することができる。モノクローナル抗体の結合親和力は、例えばMunson等, Anal. Biochem.,107:220(1980)のScatchard分析で測定することができる。
【0136】
本発明の抗体は、細胞内又は細胞膜において発現し、或いは細胞外に分泌することができる。必要であれば、その物理・化学的特性およびほかの特性を利用して各種の単離方法で組み換えタンパク質を単離・精製することができる。これらの方法は、本分野の技術者に熟知である。これらの方法の例として、通用の再生処理、タンパク質沈殿剤による処理(塩析法)、遠心、浸透圧ショック、超音波処理、超遠心、分子篩クロマトグラフィー(ゲルろ過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及びほかの各種の液体クロマトグラフィー技術、並びにこれらの方法の組合せを含むが、これらに限定されない。
【0137】
抗体-薬物複合体(ADC)
また、本発明は本発明の抗体に基づいた抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate、ADC)を提供する。
【0138】
典型的に、前記抗体薬物複合体は前記抗体、およびエフェクター分子を含み、前記抗体と前記エフェクター分子がカップリング、好ましくは化学的にカップリングしている。ここで、前記エフェクター分子は治療活性を有する薬物が好ましい。また、前記エフェクター分子は毒素タンパク質、化学治療薬、小分子薬物または放射性核種のうちの一つまたは複数でもよい。
【0139】
本発明の抗体と前記エフェクター分子の間はカップリング剤によってカップリングしてもよい。前記のカップリング剤の例は、非選択性カップリング剤、カルボキシ基を利用するカップリング剤、ペプチド鎖、ジスルフィド結合を利用するカップリング剤のうちの任意の一つまたは複数でもよい。前記非選択性カップリング剤とは、エフェクター分子と抗体を共役結合させて連結する化合物、たとえばグルタルアルデヒドなどである。前記カルボキシ基を利用するカップリング剤は、シスアコニット酸無水物系カップリング剤(たとえばシスアコニット酸無水物)、アシルヒドラゾン系カップリング剤(カップリング部位はアシルヒドラゾンである)のうちの任意の一つまたは複数でもよい。
【0140】
抗体における一部の残基(たとえばCysやLysなど)は多くの機能基との連結に使用され、イメージング試薬(たとえば発色基や蛍光基)、診断試薬(たとえばMRI造影剤や放射性同位元素)、安定剤(たとえばエチレングリコール重合体)および治療剤を含む。抗体は機能剤にカップリングして抗体-機能剤の複合体を形成してもよい。機能剤(たとえば薬物、検出試薬、安定剤)は抗体にカップリング(共役結合)されている。機能剤は直接、またはリンカーを介して間接に抗体に連結してもよい。
【0141】
抗体は薬物がカップリングすることによって抗体薬物複合体(ADC)になってもよい。典型的に、ADCは薬物と抗体の間に位置するリンカーを含む。リンカーは分解できるリンカーでもよく、分解できないリンカーでもよい。分解できるリンカーは、典型的に、細胞内の環境において分解しやすく、たとえば目的の部位で分解することにより、薬物が抗体から放出される。適切な分解できるリンカーは、たとえば、細胞内におけるプロテアーゼ(たとえばリソソームプロテアーゼやエンドソームプロテアーゼ)によって分解できるペプチジル含有リンカーを含む酵素によって分解されるリンカー、あるいはグルクロニダーゼによって分解できるグルクロン酸含有リンカーのような糖リンカーを含む。ペプチジルリンカーは、たとえばジペプチド、たとえばバリン-シトルリン、フェニルアラニン-リシンやバリン-アラニンを含んでもよい。ほかの適切な分解できるリンカーは、たとえば、pH感受性リンカー(たとえばpHが5.5未満になると加水分解するリンカー、たとえばヒドラゾンリンカー)および還元条件において分解できるリンカー(ジスルフィド結合リンカー)を含む。分解できないリンカーは典型的に抗体がプロテアーゼによって加水分解される条件において薬物を放出する。
【0142】
抗体に連結する前、リンカーはあるアミノ酸残基と反応できる活性反応基を有し、連結は活性反応基を介して実現する。チオール基に特異的な活性反応基が好ましく、たとえばマレイミド系化合物、ハロゲン化アミド(たとえばヨウ化、臭化または塩化のもの)、ハロゲン化エステル(たとえばヨウ化、臭化または塩化のもの)、ハロゲン化メチルケトン(たとえばヨウ化、臭化または塩化のもの)、ハロゲン化ベンジル(たとえばヨウ化、臭化または塩化のもの)、ビニルスルホン、ピリジルジスルフィド、水銀誘導体、たとえば3,6-ジ(水銀メチル)ジオキサン(対イオンは酢酸イオン、塩素イオンまたは硝酸イオンである)、およびポリメチレンジメチルスルフィドチオスルホネートを含む。リンカーは、たとえば、チオスクシンイミドを介して抗体に連結したマレイミドを含んでもよい。
【0143】
薬物は任意の細胞毒性薬物、細胞生長を抑制する薬物または免疫抑制薬物でもよい。実施形態において、リンカーは抗体と薬物を連結し、薬物はリンカーと結合できる機能性基を有する。たとえば、薬物はリンカーと結合できるアミノ基、カルボキシ基、チオール基、ヒドロキシ基、またはケトン基を有してもよい。薬物が直接リンカーに連結する場合、薬物は抗体に連結する前、反応する活性基を有する。
【0144】
有用な薬物の種類は、たとえば、抗チューブリン薬、DNA副溝結合試薬、DNA複製阻害剤、アルキル化試薬、抗生物質、葉酸拮抗薬、抗代謝薬、化学療法増感剤、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイドなどを含む。特に有用な細胞毒性薬物系の例は、たとえば、DNA副溝結合試薬、DNAアルキル化試薬、およびチューブリン阻害剤を含み、典型的な細胞毒性薬物は、たとえばオーリスタチン(auristatin)、カンプトテシン(camptothecin)、デュオカルマイシン(duocarmycin)、エトポシド(etoposide)、メイタンシン(maytansine)およびメイタンシノイド(maytansinoid)(たとえばDM1やDM4)、タキサン(taxane)、ベンゾジアゼピン系(benzodiazepine)またはベンゾジアゼピン含有薬物(benzodiazepine containing drug)(たとえばピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン系(PBDs)、インドリノベンゾジアゼピン系(indolinobenzodiazepines)およびオキサゾリジノベンゾジアゼピン系(oxazolidinobenzodiazepines))およびビンカアルカロイド(vinca alkaloid)を含む。
【0145】
本発明において、薬物-リンカーは一つの簡単な工程でADCの形成に使用することができる。別の実施形態において、二機能性リンカー化合物は二工程または多工程の方法でADCの形成に使用することができる。たとえば、システイン残基が第一の工程でリンカーの反応活性部分と反応し、そして後の工程で、リンカーにおける機能性基が薬物と反応することで、ADCになる。
【0146】
通常、特異的に薬物部分における適切な反応活性基と反応しやすいように、リンカーにおける機能性基を選択する。非限定的な例として、アジ化合物に基づいた部分は特異的な薬物部分における反応性アルキニル基との反応に使用することができる。薬物はアジ基とアルキニル基の間の1,3-双極子を介して付加することで、リンカーに共役結合する。ほかの有用な機能性基は、たとえばケトン類およびアルデヒド類(ヒドラジド類およびアルコキシアミンとの反応に適する)、ホスフィン(アジ基との反応に適する)、イソシアネートおよびイソチオシアネート(アミン類およびアルコール類との反応に適する)、および活性化したエステル類、たとえばN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(アミン類およびアルコール類との反応に適する)を含む。これらおよびほかの連結手段は、たとえば「生物カップリング技術」、第二版(Elsevier)に記載されるように、当業者に熟知されている。当業者には、薬物部分およびリンカーの選択性反応について、相補対の反応活性機能基を選択する場合、当該相補対のいずれでも、リンカーにも薬物にも使用することができる。
【0147】
また、本発明は、ADCを製造する方法であって、さらに、抗体を薬物-リンカー化合物と、抗体複合体(ADC)の形成に足りる条件において結合させる工程を含んでもよい方法を提供する。
【0148】
一部の実施形態において、本発明の方法は、抗体-リンカー複合体の形成に足りる条件において、抗体を二機能性リンカー化合物と結合させる工程を含む。これらの実施形態において、本発明の方法は、さらに、薬物部分がリンカーを介して抗体に共役結合するのに足りる条件において、抗体リンカー複合体を薬物部分と結合させる工程を含む。
【0149】
一部の実施形態において、抗体薬物複合体ADCは以下の分子式で表される。
【0150】
【化1】
【0151】
(ただし、
Abは抗体である。
LUはリンカーである。
【0152】
Dは薬物である。
そして、下付き文字pは1~8から選ばれる値である。)
応用
また、本発明は、本発明の抗体、抗体複合体ADC、組み換えタンパク質、および/または免疫細胞の使用であって、たとえば診断製剤または薬物の製造に用いられる使用を提供する。
【0153】
好ましくは、前記の薬物はNKG2Aの発現または機能異常に関連する疾患の予防および/治療に用いられる薬物である。
本発明において、前記NKG2Aの発現または機能異常に関連する疾患は本分野の通常のNKG2Aの発現または機能異常に関連する疾患である。好ましくは、前記NKG2Aの発現または機能異常に関連する疾患は癌、自己免疫疾患、炎症性疾患である。
【0154】
本発明において、前記癌は本分野の通常の癌、好ましくはHLA-E過剰発現の癌、たとえばHLA-E過剰発現のリンパ性白血病、卵巣癌、非小細胞肺癌、頭頚部癌などである。
【0155】
本発明において、前記自己免疫疾患は本分野の通常の自己免疫疾患、好ましくは溶血性貧血、悪性貧血、結節性多発動脈炎、全身性エリテマトーデス、アルツハイマー病、糖尿病などである。
【0156】
本発明の抗体、ADC、組み換えタンパク質、および/または免疫細胞の使用は、以下のものを含むが、これらに限定されない。
(i)腫瘍、特にNKG2A高発現の腫瘍の発生、生長および/または転移を診断、予防および/または治療する。前記腫瘍は、好ましくはHLA-E過剰発現の癌、たとえばHLA-E過剰発現のリンパ性白血病、卵巣癌、非小細胞肺癌、頭頚部癌などを含むが、これらに限定されない。
【0157】
(ii)自己免疫疾患を診断、予防および/または治療する。前記自己免疫疾患は、好ましくは溶血性貧血、悪性貧血、結節性多発動脈炎、全身性エリテマトーデス、アルツハイマー病、糖尿病などを含むが、これらに限定されない。
【0158】
(iii)炎症性疾患を診断、予防および/または治療する。前記炎症性疾患は、関節リウマチ、糸球体腎炎、重症筋無力症、多発性硬化症、円形脱毛症などを含むが、これらに限定されない。
【0159】
検出用途およびキット
本発明の抗体またはそのADCは検出に有用で、たとえば検体を検出することによって診断情報を提供することができる。
【0160】
本発明において、使用される検体(サンプル)は細胞、組織検体および生検標本を含む。本発明で用いられる用語「生検」は当業者に既知のすべての種類の生検を含む。そのため、本発明で使用される生検は、たとえば腫瘍の切除検体、内視鏡方法あるいは器官の穿刺または針刺しによって調製された組織検体を含む。
【0161】
本発明で使用される検体は固定または保存された細胞または組織検体を含む。
また、本発明は、本発明の抗体(またはその断片)を含有するキットを提供するが、本発明の一つの好適な例において、前記のキットはさらに容器、使用説明書、緩衝液などを含む。好適な例において、本発明の抗体は検出プレートに固定されてもよい。
【0162】
薬物組成物
さらに、本発明は組成物を提供する。好適な例において、前記の組成物は薬物組成物で、上記の抗体またはその活性断片あるいはその融合タンパク質またはそのADCまたは相応する免疫細胞と、薬学的に許容される担体とを含有する。通常、これらの物質を無毒で不活性で薬学的に許容される水系担体で配合し、pH値は配合される物質の性質および治療しようとする疾患にもよるが、pH値は通常5~8程度、好ましくは6~8程度である。
【0163】
配合された薬物組成物は通常の経路で給与することができ、腫瘍内、腹膜内、静脈内、あるいは局部給与が含まれるが、これらに限定されない。典型的に、本発明に係る薬物組成物の投与経路は注射投与または経口投与が好ましい。前記注射投与は、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮内注射または皮下注射などの経路を含むことが好ましい。前記の薬物組成物は本分野の通常の様々な剤形で、好ましくは固体、半固体または液体の様態で、水溶液、非水溶液または懸濁液でもよく、より好ましくは錠剤、カプセル、顆粒剤、注射剤または輸液剤などである。
【0164】
本発明に係る抗体は、ヌクレオチド配列によって細胞内で発現されて細胞治療に使用してもよく、たとえば、前記抗体はキメラ抗原受容体T細胞免疫療法(CAR-T)などに使用することができる。
【0165】
本発明に係る薬物組成物は、NKG2Aの発現または機能異常に関連する疾患の予防および/治療に用いられる薬物組成物である。
本発明の薬物組成物は直接NKG2Aタンパク質分子との結合に使用することができるため、腫瘍などの疾患の予防および治療に有用である。
【0166】
本発明の薬物組成物は、安全有効量(たとえば0.001~99wt%、好ましくは0.01~90wt%、より好ましくは0.1~80wt%)の本発明の上記のモノクローナル抗体(またはその複合体)と薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む。このような担体は、食塩水、緩衝液、ブドウ糖、水、グリセリン、エタノール、およびこれらの組み合せを含むが、これらに限定されない。薬物の製剤は投与形態に相応する。本発明の薬物組成物は、注射剤としてもよく、たとえば生理食塩水またはブドウ糖およびほかの助剤を含有する水溶液で通常の方法によって製造することができる。薬物組成物は、注射剤、溶液の場合、無菌条件で製造する。活性成分の投与量は治療有効量、たとえば毎日約1μg/kg体重~約5mg/kg体重である。また、本発明のポリペプチドはほかの治療剤と併用することが出来る。
【0167】
本発明において、好ましくは、本発明に係る薬物組成物はさらに1種または複数種の薬用担体を含む。前記の薬用担体は本分野の通常の薬用担体で、前記の薬用担体は任意の適切な生理学的にまたは薬学的に許容される薬物助剤でもよい。前記の薬物助剤は本分野の通常の薬物助剤で、好ましくは薬学的に許容される賦形剤、充填剤または希釈剤などを含む。より好ましくは、前記の薬物組成物は0.01~99.99%の上記タンパク質および0.01~99.99%の薬用担体を含み、前記百分率は前記薬物組成物で占める質量百分率である。
【0168】
本発明において、好ましくは、前記の薬物組成物の施用量は有効量で、前記有効量は疾患、退行性または損傷性病症の進展を緩和または遅延させることができる量である。前記有効量は個体基礎で測定し、かつ一部として治療しようとする症状および求められる結果を考慮するものでもよい。当業者は個体基礎などの上記要素および通常範囲内の実験で有効量を決定することができる。
【0169】
薬物組成物の使用時、安全有効量の免疫抱合体を哺乳動物に施用するが、その安全有効量は、通常、少なくとも約10μg/kg体重で、かつ多くの場合、約50mg/kg体重以下で、好ましくは当該投与量が約10μg/kg体重~約20mg/kg体重である。勿論、具体的な投与量は、さらに投与の様態、患者の健康状況などの要素を考えるべきで、すべて熟練の医者の技能範囲以内である。
【0170】
本発明はNKG2Aの発現または機能異常に関連する疾患を予防および/または治療する薬物の製造における上記薬物組成物の使用を提供する。好ましくは、前記NKG2Aの発現または機能異常に関連する疾患は癌、自己免疫疾患、炎症性疾患である。
【0171】
サンプルにおけるNKG2Aタンパク質を検出する方法、組成物
また、本発明は、サンプルにおけるNKG2Aタンパク質を検出する(たとえばNKG2Aを過剰発現する細胞を検出する)方法であって、上記の抗体を被験サンプルと体外で接触させ、上記の抗体が前記被験サンプルと結合して抗原-抗体複合体を形成するか、検出する工程を含む方法を提供する。
【0172】
前記の過剰発現の意味は本分野の通常のもので、NKG2Aタンパク質の被験サンプルにおけるRNAまたはタンパク質の過剰発現(転写の増加、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾およびタンパク質分解による変化)、およびタンパク質の輸送形態の変化(核局在化の増加)による局部の過剰発現と機能活性の向上(たとえば基質の酵素加水分解作用が増加する場合)をいう。
【0173】
本発明において、上記結合して抗原-抗体複合体を形成するかの検出手段は本分野の通常の検出手段、好ましくはフローサイトメトリー実験(FACS)による検出である。
【0174】
本発明は、サンプルにおけるNKG2Aタンパク質を検出する組成物であって、上記の抗体、組み換えタンパク質、抗体複合体、免疫細胞、またはこれらの組み合わせを活性成分として含む組成物を提供する。好ましくは、さらに上記の抗体の機能断片からなる化合物を活性成分として含む
本分野の常識に合うことを前提に、上記各好適な条件を任意に組み合わせれば、本発明の各好適な実例が得られる。
【0175】
本発明の主な利点は以下の通りである。
(1)本発明係るNKG2A抗体は、NKG2Aタンパク質と高度な親和力を有する(親和力定数KDが1.04×10-11に達する)。
【0176】
(2)本発明に係るNKG2A抗体は、NKG2Aタンパク質受容体の細胞外領域に結合し、そして細胞レベルで有効にNKG2Aタンパク質をブロッキングし、NKG2Aタンパク質とリガンドHLA-Eの結合を阻止することができる。
【0177】
(3)本発明に係るNKG2A抗体は、特異性が高く、ヒトNKG2CおよびNKG2Eの同ファミリーのタンパク質抗原とのクロス反応がない。
(4)初代分離のNK細胞およびNK92細胞が仲介する殺傷実験では、本発明の抗体は顕著に2種類の細胞由来のNK細胞のHLA-E高発現腫瘍細胞に対する分解殺傷活性を増加させることができることが証明された。
【0178】
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を詳述する。これらの実施例は本発明を説明するために用いられるものだけで、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例で詳細な条件が示されていない実験方法は、通常、たとえば米国のJ. Sambrookら編著、「モレキュラー・クローニング:研究室マニュアル」(黄培堂ら訳、北京:科学出版社、2002年)に記載の条件、あるいは、メーカーのお薦めの条件(たとえば商品の説明書)に従う。特に断らない限り、%と部は、重量で計算された。以下、実施例で使用された実験材料および試薬は、特に説明しない限り、いずれも市販品として得られる。
【0179】
実施例に記載の室温は本分野の通常の室温で、一般的に10~30℃である。
実施例1 NKG2A抗体の製造
(一).免疫原Aの製造
ヒト由来NKG2Aタンパク質の細胞外領域のアミノ酸配列Pro94-Leu233(配列表の配列番号91で示される)をコードするヌクレオチド配列をヒトIgG Fc断片(hFc)を持つpCpCベクター(Invitrogenから購入、V044-50)にクローニングして既に確立された標準分子生物学方法によってプラスミドを製造した。同時に、ヒト由来CD94タンパク質の細胞外領域のアミノ酸配列Lys32-Ile179(配列表の配列番号92で示される)をコードするヌクレオチド配列をヒトIgG Fc断片(hFc)を持つpCpCベクター(Invitrogenから購入、V044-50)にクローニングして既に確立された標準の分子生物学的方法によってプラスミドを調製した。具体的な方法はSambrook, J., Fritsch, E. F.およびManiatis T.(1989). Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition(Plainview, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照する。HEK293細胞(Invitrogenから購入)に対して一過性形質移入(PEI、Polysciences)を行ってFreeStyleTM293(Invitrogen)によって37℃で増幅培養を行った。4日後細胞培養液を収集し、遠心で細胞成分を除去し、NKG2AおよびCD94タンパク質の細胞外領域のヘテロ二量体タンパク質を含有する培養上清液を得た。培養上清液をプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラム(Mabselect Sure、GE Healthcareから購入)に仕込み、同時に紫外(UV)検出装置によって紫外吸収値(A280nm)の変化をモニタリングした。仕込み後、PBSリン酸塩緩衝液(pH7.2)で紫外吸収値がベースラインに戻るまでプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムを洗浄し、さらに0.1 Mグリシン塩酸(pH2.5)で溶離させ、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから溶離したhFcタグ付きのNKG2A/CD94タンパク質(NKG2A/CD94-hFc)を収集し、PBSリン酸塩緩衝液(pH 7.2)で4℃の冷蔵庫において一晩透析した。透析後のタンパク質を0.22μmで無菌ろ過した後、分注して-80℃で保存し、すなわち、精製された免疫原Aを得た。免疫原Aは使用前に一連の品質管理の検出、たとえばそのタンパク質の濃度、純度、分子量、生物活性などの検出を行った。
【0180】
結果を図1に示す。NKG2A/CD94タンパク質と対照抗体のタンパク質レベルにおける結合は抗体の濃度変化によって変わったが、ここで、対照タンパク質は非NKG2A/CD94融合タンパク質で、表におけるデータはOD450nm値である。
【0181】
(二).免疫原Bの製造
NKG2A全長アミノ酸配列cDNA(配列表の配列番号93で示される)とCD94全長アミノ酸cDNA配列(配列表の配列番号94で示される)がPcho1.0ベクター(Invitrogenから購入)にコローニングされ、そして1.0μm金コロイド弾にコーティングされ、Heliosジーンガン(Helios Gene Gun System,Bio-rad,カタログ番号165-2431)で免疫した。ここで、1.0μm金コロイド弾にコーティングされる方法および免疫の方法はHeliosジーンガンの説明書を参照する。免疫後、免疫原Bを得た。
【0182】
(三).免疫原Cの製造
製造された免疫原BでHEK293細胞系(いずれもInvitrogenから購入)に対してプラスミドの形質移入(PEI、Polysciencesから購入)を行った後、0.5μg/mlの10%(w/w)牛胎児血清を含有するDMEM培地で2週間選択培養し、有限希釈法によって96ウェルプレートでサブクローニングを行い、そして37℃、5%(v/v)CO2で培養し、約2週間後、一部の単一クローンウェルを選んで6ウェルプレートで増幅させた。増幅させたたクローンに対して既知のNKG2A抗体(化学的純粋/インハウス(CP in house))とCD94抗体(eBioscienceから購入)でフローサイトメトリー分析法によってスクリーニングした。生長が良く、蛍光強度が高く、単一クローンの細胞系を選んで続いて増幅培養して液体窒素で冷凍保存し、すなわち、免疫原Cを得た。具体的な選択結果は表3に示すように、表3では、陽性細胞(%)とは陽性細胞の全細胞数における百分率である。つまり、一連のNKG2AとCD94の両方が陽性発現のHEK293細胞系が得られた。
【0183】
【表8】
【0184】
(四).免疫原Dの製造
製造された免疫原BでCHOK1細胞系(いずれもInvitrogenから購入)に対してプラスミドの形質移入(PEI、Polysciencesから購入)を行った後、0.5μg/mlの10%(w/w)牛胎児血清を含有するDMEM培地で2週間選択培養し、有限希釈法によって96ウェルプレートでサブクローニングを行い、そして37℃、5%(v/v)CO2で培養し、約2週間後、一部の単一クローンウェルを選んで6ウェルプレートで増幅させた。増幅させたたクローンに対して既知のNKG2A抗体(化学的純粋/インハウス(CP in house))とCD94抗体(eBioscienceから購入)でフローサイトメトリー分析法によってスクリーニングした。生長が良く、蛍光強度が高く、単一クローンの細胞系を選んで続いて増幅培養して液体窒素で冷凍保存し、すなわち、免疫原Cを得た。具体的な選択結果は表4に示すように、表4では、陽性細胞(%)とは陽性細胞の全細胞数における百分率である。
【0185】
【表9】
表4では、一連のNKG2AとCD94の両方が陽性発現のCHOK1細胞系が得られたことが示された。
【0186】
(五).免疫原Eの製造
アカゲザルNKG2A全長アミノ酸配列(配列表の配列番号95で示される)とCD94全長アミノ酸(配列表の配列番号96で示される)がPcho1.0ベクター(Invitrogenから購入)にコローニングされた。製造されたプラスミドで293細胞系(いずれもInvitrogenから購入)に対してプラスミドの形質移入(PEI、Polysciencesから購入)を行った後、0.5μg/mlの10%(w/w)牛胎児血清を含有するDMEM培地で2週間選択培養し、有限希釈法によって96ウェルプレートでサブクローニングを行い、そして37℃、5%(v/v)CO2で培養し、約2週間後、一部の単一クローンウェルを選んで6ウェルプレートで増幅させた。増幅させたたクローンに対して既知のNKG2A抗体(化学的純粋/インハウス(CP in house))とCD94抗体(eBioscienceから購入)でフローサイトメトリー分析法によってスクリーニングした。生長が良く、蛍光強度が高く、単一クローンの細胞系を選んで続いて増幅培養して液体窒素で冷凍保存し、すなわち、免疫原Eを得た。
【0187】
(四).ハイブリドーマ細胞の製造と抗体のスクリーニング
A.免疫原Aによる免疫では、6~8週齢のBalb/cマウスが使用され、SPF条件で飼育された。初回の免疫時、免疫原Aタンパク質をフロイント完全アジュバントで乳化した後、腹腔に0.25mL、すなわち、各マウスに50μg/匹ずつ、免疫原Aタンパク質を注射した。強化免疫の場合、免疫原Aタンパク質をフロイント不完全アジュバントで乳化した後、腹腔に0.25mL、すなわち、各マウスに50μg/匹ずつ、免疫原Aタンパク質を注射した。初回免疫と1回目の強化免疫の間は2週間の間隔で、その後の毎回の強化免疫は3週間おきに行われた。毎回の強化免疫の1週間後、採血し、ELISAおよびFACSによって血清における免疫原Aの抗体力価および特異性を検出した。
【0188】
結果は図2aのように、ヒトNKG2A/CD94のECD-Fcで免疫されたマウスの血清はいずれの免疫原に対しても異なる程度の結合があり、抗原抗体反応を示し、中でも、最高希釈度が10万程度であった。図2bでは、マウス血清は細胞表面のヒトNKG2Aに対しても特異的に結合することができ、ここで、最高希釈度が1000倍であったことが示された。
【0189】
B.免疫原Dによる免疫では、6~8週齢のSJLマウスが使用され、SPF条件で飼育された。免疫原DをT-75細胞培養瓶において90%コンフルエンスまで増幅培養したら、培地を吸い捨て、F12K基礎培地(Invitrogenから購入)で2回洗浄した後、無酵素細胞分解液(Invitrogenから購入)によって37℃で細胞が培養シャーレの壁から脱落可能になるまで処理し、細胞を収集した。F12K基礎培地で2回洗浄し、細胞の計数を行った後、細胞をリン酸塩緩衝液(pH 7.2)で2×107細胞/mLに希釈した。各マウスに毎回の免疫の時0.5mLの細胞懸濁液を腹腔注射した。1回目と2回目の強化免疫の間は2週間の間隔で、その後の毎回の免疫は3週間おきに行われた。1回目の免疫以外、毎回の免疫の1週間後、採血し、ELISAおよびFACSによって血清における抗体力価および特異性を検出した。
【0190】
結果は図3aのように、マウス血清はいずれの免疫原に対しても異なる程度の結合があり、抗原抗体反応を示し、中でも、最高希釈度が1万程度であった。図3bでは、マウス血清は細胞表面のヒトNKG2Aに対しても特異的に結合することができ、ここで、最高希釈度が1000倍であったことが示された。
【0191】
C.免疫原Eによる免疫では、6~8週齢のSJLとBalb/cマウスが使用され、SPF条件で飼育された。免疫原EをT-75細胞培養瓶において90%コンフルエンスまで増幅培養したら、培地を吸い捨て、DMEM基礎培地(Invitrogenから購入)で2回洗浄した後、無酵素細胞分解液(Invitrogenから購入)によって37℃で細胞が培養シャーレの壁から脱落可能になるまで処理し、細胞を収集した。DMEM基礎培地で2回洗浄し、細胞の計数を行った後、細胞をリン酸塩緩衝液(pH 7.2)で2×107細胞/mLに希釈した。各マウスに毎回の免疫の時0.5mLの細胞懸濁液を腹腔注射した。1回目と2回目の強化免疫の間は2週間の間隔で、その後の毎回の免疫は3週間おきに行われた。1回目の免疫以外、毎回の免疫の1週間後、採血し、FACSによって血清における抗体力価および特異性を検出した。2回目の免疫後、免疫原Aに変更して免疫を行い、初回の免疫時、免疫原Aをフロイント完全アジュバントで乳化した後、腹腔に0.25mL、すなわち、各マウスに50μg/匹ずつ、免疫原Aタンパク質を注射し、3回目の免疫時、免疫原Aタンパク質をフロイント不完全アジュバントで乳化した後、腹腔に0.25mL、すなわち、各マウスに50μg/匹ずつ、免疫原Aタンパク質を注射した(図4)。強化免疫の1週間後、採血し、ELISAおよびFACSによって血清における免疫原Aの抗体力価および特異性を検出した。
【0192】
結果は図(図5a図5b図6a図6b)に示すように、NKG2A/CD94-ECD-Fcで免疫されたマウスの血清はいずれの免疫原に対しても異なる程度の結合があり、抗原抗体反応を示し、ここで、ロットTB3とは3回目の強化免疫後の7日目のマウス血清である。FACSによって検出された血清抗体力価が1:1000以上に達し、ELISAの力価が1:100,000以上であった。
【0193】
D.免疫原Bによる免疫では、6~8週齢のBalb/cまたはSJLマウスが使用され、SPF条件で飼育された。すべてのマウスは腹部からHeliosジーンガンで4回免疫させ、毎回4ショットで、毎ショットは1.0μgのcDNAであった。初回の免疫と1回目の強化免疫の間は2週間の間隔で、その後の毎回の強化免疫は3週間おきに行われた。毎回の強化免疫の1週間後、採血し、ELISAまたはFACSによって血清における抗体力価を検出した。2回目の強化免疫後、免疫原Aに変更して免疫を行い、初回の免疫時、免疫原Aをフロイント完全アジュバントで乳化した後、腹腔に0.25mL、すなわち、各マウスに50μg/匹ずつ、免疫原Aタンパク質を注射し、3回目の免疫時、免疫原Aタンパク質をフロイント不完全アジュバントで乳化した後、腹腔に0.25mL、すなわち、各マウスに50μg/匹ずつ、免疫原Aタンパク質を注射した(図7)。強化免疫の1週間後、採血し、ELISAおよびFACSによって血清における免疫原Aの抗体力価および特異性を検出した。
【0194】
結果は図(図8a図8b図9a図9b)に示すように、NKG2A/CD94-ECD-Fcで免疫されたマウスの血清はいずれの免疫原に対しても異なる程度の結合があり、ここで、ロットTB3とは3回目の強化免疫後の7日目のマウス血清である。FACSによって検出された血清抗体力価が1:1000以上に達し、ELISAの力価が1:100,000以上であった。
【0195】
A~D工程が完成する前に、選ばれた各マウスに最後の免疫として100μgの精製されたhNKG2A/CD94-ECD-Fc(免疫原A、免疫原Cおよび免疫原Dに対して免疫反応をさせたマウス)またはヒトNKG2AとCD94を含有するCHOK1安定細胞系(免疫原Bに対して免疫反応をさせたマウス)を腹腔注射し、3-4日後マウスを殺処分し、脾臓細胞を収集した。最終濃度が1%(w/w)になるようにNH4OHを入れ、脾臓細胞における赤血球を分解させ、脾臓細胞懸濁液を得た。DMEM基礎培地で1000回/分で遠心して細胞を3回洗浄した後、生細胞数5:1の比率でマウス骨髓腫細胞SP2/0(ATCCから購入)と混合し、高効率電気融合方法によって(METHODS IN ENZYMOLOGY, VOL. 220を参照する)細胞融合を行った。融合した細胞を20%牛胎児血清、1×HATを含有するDMEM培地に希釈したが、前記百分率は質量百分率である。その後、1×105/200μL/ウェルで96ウェル細胞培養プレートに入れ、5%CO2、37℃のインキュベーターに置いたが、前記百分率は体積百分率である。14日後、ELISAおよびAcumen(マイクロプレート細胞検出法)によって細胞融合プレートの上清をスクリーニングし、ELISAにおけるOD450nm>1.0かつAcumenにおけるPercentage%値>15の陽性クローンを24ウェルプレートに増幅させ、10%(w/w)HT牛胎児血清を含有するDMEM(invitrogen)において37℃、5%(v/v)CO2の条件で増幅培養した。3日培養した後、24ウェルプレートにおいて増幅培養された培養液を遠心し、上清液を収集し、上清液に対して抗体のサブタイプの分析を行い、FACSによってNKG2A/CD94陽性細胞に対する結合活性を確認し(結合活性の検出方法はそれぞれ実施例3Aおよび実施例3Bを参照する)、リガンド受容体結合実験によって抗体サンプルのNKG2A受容体に対するブロッキング活性を確認した(結合活性の検出方法はそれぞれ実施例4を参照する)。
【0196】
24ウェルプレートのスクリーニングの結果から、FACS実験においてヒトNKG2AおよびCD94を発現するCHOK1細胞、サルNKG2AおよびCD94を発現するCHOK1細胞との結合が陽性で、かつヒトNKG2CおよびCD94を発現するCHOK1細胞との結合が陰性であるハイブリドーマを選んでクローニングし、同時にハイブリドーマの細胞培養のNKG2A受容体に対するブロッキング作用を検出し、クローンを選ぶ候補の基準とした。
【0197】
条件に合致するハイブリドーマ細胞を選んで有限希釈法によって96ウェルプレートでサブクローニングを行い、10%(w/w)FBS含有DMEM培地(invitrogenから購入)で37℃、5%(v/v)CO2の条件において培養した。サブクローニングから10日後ELISAおよびAcumenによって初期選別を行い、単一陽性クローンを選んで24ウェルプレートで培養を続けた。3日後、FACSによって抗原結合陽性を確認してNKG2A抗体-リガンド結合実験によって生物活性を評価した。
【0198】
24ウェルプレートのサンプルの検出結果から、最適なクローンを選択し、そして10%(w/w)FBSを含有するDMEM培地(invitrogenから購入)において37℃、5%(v/v)CO2の条件で当該最適なクローンを増幅培養し、液体窒素で凍結保存し、本発明のハイブリドーマ細胞を得たが、そして後の抗体の生産と精製に使用することができる。
【0199】
実施例2 リード抗体の生産と精製
ハイブリドーマ細胞が生成した抗体濃度は約1~10μg/mLと低く、抗体濃度の変化が大きかった。そして、培地における細胞培養で生じた多くのタンパク質および培地に含まれる牛胎児血清の成分は多くの生物活性分析方法にいずれも異なる程度の干渉があるため、小規模(1-5 mg)で抗体の生産と精製を行う必要がある。
【0200】
実施例1で得られたハイブリドーマ細胞をT-75細胞培養瓶に接種して生産培地(Hybridoma serum free medium、Invitrogen社から購入)で3代馴化継代した。その生長状態が良くなったら、細胞を培養回転瓶に接種した。各2Lの培養回転瓶に500mLの生産培地を入れ、接種細胞密度は1.0×105個/mLであった。蓋をしっかりし、回転瓶を37℃インキュベーターにおける回転装置に置き、回転数を3回/分とした。連続して14日回転培養した後、細胞培養液を収集し、ろ過で細胞を除去し、そして培養上清液が清澄になるまで0.45μmのろ膜でろ過した。清澄になった培養上清液をすぐに精製したか、あるいは-30℃で冷凍保存した。
【0201】
清澄なハイブリドーマ細胞の培養上清液(300 mL)におけるモノクローナル抗体を2mLプロテインGカラム(GE Healthcareから購入)によって精製した。プロテインGカラムはまず平衡緩衝液(PBSリン酸緩衝液、pH7.2)で平衡化した後、清澄な培養上清液をプロテインGカラムに仕込み、流速を3mL/分に制御した。仕込みが終了した後、平衡緩衝液でプロテインGカラムを洗浄し、平衡緩衝液の体積はプロテインGカラムのベッド体積の4倍であった。溶離液(0.1 Mグリシン-塩酸緩衝液、pH2.5)でプロテインGカラムに結合したNKG2A抗体を溶離させ、紫外検出器によって溶離状況をモニタリングした(A280紫外吸収ピーク)。溶離した抗体を収集し、10%の1.0M Tris-HCl緩衝液を入れてpHを中和し、前記百分率は体積百分率で、またすぐPBSリン酸緩衝液で一晩透析し、2日目に液置換を1回行い、続いて3時間透析した。透析されたNKG2A抗体を収集し、0.22μmのフィルターによって無菌ろ過を行い、無菌で保存し、すなわち、精製されたNKG2A抗体を得た。
【0202】
精製されたNKG2A抗体に対してタンパク質の濃度(A280/1.4)、純度などの検出・分析を行ったが、結果は表5に示すように、結果から、抗体の最終製品の内毒素濃度が1.0EU/mg以内であったことがわかる。
【0203】
【表10】
【0204】
実施例3 軽・重鎖可変領域のアミノ酸配列の測定
全RNA分離:実施例1のサブクローニング培養で得られた上清液に対して抗原結合を検証した後(すなわち、実施例3~6の同定および活性測定後)、遠心で5×107個のハイブリドーマ細胞を収集し、1 mLのTrizolを入れて均一に混合して1.5 mL遠心管に移し、室温で5分間静置した。0.2 mLのクロロホルムを入れ、15秒振とうし、2分間静置した後、4℃、12000 gで5分間遠心し、上清を取って新しい1.5 mL遠心管に移した。0.5 mLのイソプロパノールを入れ、管における液体を軽く均一に混合し、室温で10分間静置した後、4℃、12000 gで15分間遠心し、上清を捨てた。1mLの75%(v/v)アルコールを入れ、軽く沈殿を洗浄し、4℃、12000gで5分間遠心した後、上清を捨て、沈殿物を自然乾燥し、DEPCで処理されたH2Oを入れて溶解させ(55℃水浴で溶解を10分間促進した)、全RNAを得た。
【0205】
逆転写とPCR:1μgの全RNAを取り、20μL系を調製し、逆転写酵素を入れた後42℃で60分間反応させ、7℃で10分間反応させて反応を停止させた。1μLのcDNA、各プライマー25pmol、1μLのDNAポリメラーゼおよび相応する緩衝系、250μmolのdNTPsを含む50μLのPCR系を調製した。95℃で予備変性3分、95℃で変性30秒、55℃でアニーリング30秒、72℃で伸長35秒で35サイクル後、さらに72℃で5分伸長するように、PCRプログラムを設定し、PCR産物を得た。ここで、逆転写に使用されたキットはPrimeScript RT Master Mixで、Takaraから購入され、カタログ番号はRR036で、PCRに使用されたキットはQ5ハイフィデリティーポリメラーゼを含み、NEBから購入され、カタログ番号はM0492であった。
【0206】
クローニングと配列決定:5μLのPCR産物を取ってアガロースゲル電気泳動によって検出し、陽性と検出されたサンプルをカラム回収キットによって精製し、ここで、回収キットはNucleoSpin(登録商標)Gel & PCR Clean-upで、MACHEREY-NAGELから購入され、カタログ番号は740609であった。連結反応:サンプル50ng、Tベクター50ng、リガーゼ0.5μL、緩衝液1μL、反応系10μLで、16℃で半時間反応させて連結産物を得たが、ここで、連結のキットはT4 DNAリガーゼで、NEBから購入され、カタログ番号はM0402であった。5μLの連結産物を100μLの感受性細胞(Ecos 101competent cells、Yeasternから購入、カタログ番号FYE607)に入れ、氷浴で5分間置いた。その後、42℃で水浴で1分間ヒートショックさせ、氷の上に1分間置いた後650μLの抗生物質のないSOC培地を入れ、37℃でシェーカーで200RPMの速度で30分間蘇生させ、200μL取って抗生物質を含有するLB固体培地に塗布して37℃のインキュベーターで一晩培養した。次の日に、Tベクターを使用してプライマーM13FとM13Rで30μLのPCR系を調製し、集落のPCRを行い、ピペットチップの先端で集落を取ってPCR反応系に吹き込み、そして0.5μL取ってもう一つの100nMアンピシリンを含有するLB固体培養シャーレに接種して菌株を保存した。PCR反応終了後、5μLを取ってアガロースゲル電気泳動によって検出し、陽性のサンプルに対して配列決定および分析を行った[Kabat,“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)を参照する]。
【0207】
シークエンシング結果は付録における本発明の配列情報を参照する。
実施例4 ファージディスプレイによるNKG2A抗体の製造
脾臓細胞の獲得:それぞれHNKG2A/CD94-ECD-FcとCHOK-1/HNKG2A/CD94を抗原として免疫されたマウスを、293/cynoNKG2A/CD94細胞でブースト免疫を行い、3日後、マウスの脾臓細胞を分離して免疫ライブラリーを製造した。分離された脾臓細胞をDMEM培地に再懸濁させ、2000rpm、4℃で10min遠心し、上清を捨てた。RNAiso plus(Takaraから購入。カタログ番号:9108)で細胞沈殿を分解させ、比率は1 ml RNAiso plusに1匹のマウスの脾臓を入れ、室温で5minインキュベートした後、-80℃で保存した。
【0208】
RNAの抽出:凍結乾燥されたマウス脾臓細胞を室温で解凍して5minボルテックスした。1mlあたりのRNAiso plusサンプルに0.2mlの1-ブロモ-3-クロロプロパン(1-Bromo-3-chloropropane、Sigmaから購入、カタログ番号:B9673-200ml)を入れ、激しく15秒振とうした後、室温で5minインキュベートした。サンプルを4℃、12000gで10min遠心し、水相を新たな管に移し、0.7mlのイソプロパノールを入れてRNAを沈殿させ、室温で10minインキュベートした後、12000g、4℃で10 min遠心し、上清を捨てた。RNA沈殿を1mlの75%アルコール(RNAaseなし)で1回洗浄し、12000g、4℃で5min遠心し、上清を捨てた。RNA沈殿を15min乾燥した後、40μlのDEPCを含有する水(Invitrogenから購入、46-2224)でRNAを溶解させ、軽く均一に混合して室温で5min置いた。すべてのサンプルのRNAをそれぞれ半分ずつ取って混合し、そして得られたRNAライブラリーに対して濃度の測定を行ったところ、2175.6 ng/μlであった。
【0209】
cDNAライブラリーの製造:逆転写キット5×PrimeScriptTMRT Master Mix(Takaraから購入、カタログ番号RR036A)を参照して逆転写反応系を下記表のように準備し、熱循環をさせた。設定条件は、37℃で20min、85℃で20s、4℃で持続するものである。得られた逆転写産物を混合し、そして2つに分けた。1つは-80℃で保存し、1つは4℃で保存して後続の実験を行った。
【0210】
【表11】
VHとVLのライブラリーの増幅と精製:増幅用プライマーの設計はJournal of Immunological Methods 201(1997),35-5を参照する。それぞれ重鎖、軽鎖のフォワード・リバース増幅プライマーを混合し、そして以下のようにPCR反応を準備した。
【0211】
【表12】
【0212】
以下のようにPCRプログラムを設定した。
【0213】
【表13】
【0214】
PCR終了後、増幅産物に対してゲル精製を行った結果、それぞれ230 ng/μl、170 ng/μlのVHとVLが得られた。得られたVHとVLライブラリーはSOE(スプライシングオーバーラップ伸長、splicing overlap extension)PCRの方法によってscFvを組み立て、得られたPCR産物を精製し(QIAquick Gel/PCR精製キット、QIAGENから購入、カタログ番号28706)、最終的に得られた精製scFvの濃度は130ng/μlであった。
【0215】
ファージの製造:pCANベクターとscFvをSfi酵素(NEBから購入、カタログ番号R0123S)で酵素切断し、ゲルを合併して酵素切断産物を回収し、得られたpCANベクターとscFvに対してT4リガーゼ(NEBから購入)で酵素連結反応を行い、そして精製キット(Qiagenから購入、カタログ番号:28014)によって得られた連結産物を精製し、免疫ファージライブラリーの製造に用いた。
【0216】
免疫ファージライブラリーの製造:500ngの上記精製で得られたDNAを200μlのTG1感受性大腸菌(通常の方法によって当該感受性を得ることができる)と混合してエレクトロポレーションを行った。エレクトロポレーション産物を1mlのYT培地において振とうして37℃で1h培養した。10μlの細胞懸濁液を取って10倍勾配希釈した後(10-4、10-5、10-6)、プレートに塗布してライブラリー容量を検出した。
【0217】
遠心して細菌沈殿を収集し、余った菌液を捨て、細胞沈殿を再懸濁させた後、プレートに塗布し、一晩培養した。2日目に培養プレートにおける細菌クローンをかきとり、遠心して沈殿を収集し、そして4ml の2×YT培地(medium)(40%グリセリン)に再懸濁させ、得られた免疫ライブラリーを-80℃で凍結保存した。
【0218】
スクリーニング:
プラン1:上記で得られた免疫ライブラリーをCHOK1/NKG2C/CD94細胞でネガティブセレクションした。収集されたCHOK1/NKG2C/CD94細胞を10mlのファージ液で再懸濁させ、4℃で1h回転させながらインキュベートし、遠心で細胞を除去し、上清におけるファージライブラリーを収集して次のスクリーニングを行った。上記で得られた上清とCHOK1/hNKG2A/CD94およびCHOK1細胞をポジティブセレクションし、等体積で細胞と上清をインキュベートし、4℃で1.5h回転させながらインキュベートした。PBSで細胞沈殿を繰り返して洗浄し、そして1mlのグリシン(上海凌峰化学試剤有限公司から購入、カタログ番号:56-40-6)に再懸濁させて緩衝液(ph2.2)におけるファージを溶離させ、室温で15minインキュベートし、そして軽く引っくり返して均一に混合した。18000gで10min遠心した後、上清を新たな遠心管に移し、100μlの2M Tris(pH8)を入れて中和した。1 mLの上記溶液を4 mLの対数増殖期にある大腸菌TG1に入れ、37℃で30分間インキュベートし、TG1の培養液を得た。TG1の培養液を勾配希釈し、プレートを塗布し、37℃で一晩培養した。得られたhNKG2A/CD94と結合したものおよび対照管のクローン数を計算し、そして30個のクローンを選んでシークエンシングした。1回目のスクリーニング後、計1300個のクローンが得られた。
【0219】
プラン2:まず、上記で得られた免疫ライブラリーをCD94-ECD-FcとCHOK-1細胞でネガティブセレクションした。小さい免疫管用40μgのAnti-hFc(ROCKLANDから購入、カタログ番号009-1103)を2ml PBSにおいてコーティングした後、23μgのCD94-Fcタンパク質を入れて室温で1hインキュベートした。同時に、3mlの2%MPBS(2%脱脂粉乳(Non-fat Dry Milk)含有、Bio-Radから購入、カタログ番号170-6404)でファージを4℃で1hブロッキングし、ブロッキングされたファージをCD94タンパク質がカップリングされた小さい免疫管に入れ、室温で1hインキュベートした後、ブロッキングされたCHOK1細胞沈殿をファージ上清で再懸濁させ、2%MPBSを11mlまで追加し、4℃で1h回転させながらインキュベートした。CD94およびCHOK1細胞でネガティブセレクションされたファージでCHOK-hNKG2A/CD94細胞をポジティブセレクションした。上記で得られたファージで再懸濁させ、そして4℃で2hインキュベートし、そして軽く振とうした。PBSで細胞沈殿を繰り返して洗浄し、そして1mlのグリシン(上海凌峰化学試剤有限公司から購入、カタログ番号:56-40-6)に再懸濁させて緩衝液(ph2.2)におけるファージを溶離させ、室温で15minインキュベートし、そして軽く引っくり返して均一に混合した。18000gで10min遠心した後、上清を新たな遠心管に移し、100μlの2M Tris(pH8)を入れて中和した。1 mLの上記溶液を4 mLの対数増殖期にある大腸菌TG1に入れ、37℃で30分間インキュベートし、TG1の培養液を得た。TG1の培養液を勾配希釈し、プレートを塗布し、37℃で一晩培養した。得られたhNKG2A/CD94と結合したものおよび対照管のクローン数を計算し、そして30個のクローンを選んでシークエンシングした。1回目のスクリーニング後、計6000個のクローンが得られた。
【0220】
上記の2つのスクリーニングプランのプレートから単一クローンを選んで96ウェルプレートで培養し、各ウェルに200 μLの抗生物質を入れた2YT培地を含有させ、37℃、1000 rpmで一晩振とう培養した。10 μLの一晩培養された上清を4 mLの抗生物質含有培地に入れ、37℃、250 rpmで1.5-2.5時間振とう培養した。最終濃度が1 mMのIPTGを入れ、30℃で16時間振とう培養し、4000 rpmで10分間遠心し、上清、すなわち、一本鎖抗体を得た。
【0221】
まず、ELISA方法によってスクリーニングで得られたscFv抗体のNKG2A/CD94-ECD-FcおよびNKG2C/CD94-ECD-Fcとの結合活性を確認した。両者(NKG2A/CD94-ECD-Fc/NKG2C/CD94-ECD-Fc)のOD450nm読み取り値の比率が4超のクローンを選び出した。一部のクローンはFACS方法によってスクリーニングで得られたscFv抗体のCHOK1/NKG2A/CD94-ECD-FcおよびCHOK1/NKG2C/CD94細胞との結合活性を確認した。特異的にCHOK1/hNKG2A/CD94細胞としか結合しないクローンを選び出した。上記のすべての特異性のクローンに対してFACS方法によってそのアカゲザル(cyno)NKG2Aとの結合活性を確認し、まだ陽性を示すクローンをシークエンシングし、異なる重鎖CDR3配列を有するクローンを計21個得たが、表8を参照する。
【0222】
【表14】
【0223】
ファージ由来のリード抗体の生産と精製:重鎖と軽鎖の可変領域の増幅:陽性クローンのシークエンシング結果から、PCR方法によってそれぞれ軽鎖および重鎖の可変領域を増幅させた。0.5 μLの形質移入クローンの大腸菌TG1から抽出されたプラスミド、各プライマー10 pmol、25 μLのQ5高正確性DNAポリメラーゼを含有する50 μL反応系を調製し、そして水を50 μLまで追加した。予備変性95℃、5分、変性95℃、30秒、アニーリング55℃ 、30秒、伸長68℃、30秒で25サイクル後、余分に68℃で1分伸長するように、PCRプログラムを設定し、PCR産物を得た。ここで、PCRに使用されたDNAポリメラーゼは、NEBから購入され、カタログ番号E0555Lである。5μLのPCR産物を取ってアガロースゲル電気泳動によって検出し、陽性と検出されたサンプルをカラム回収キットによって精製し、ここで、回収キットはQIAquick Gel extraction kitで、Qiagenから購入され、カタログ番号は28706であった。
【0224】
ヒトIgG4型抗体の製造:連結反応:挿入断片3μL、酵素切断された発現ベクター2μL、組み換え酵素Exnase 2μL、緩衝液4μL、反応系20μLで、37℃で半時間反応させて連結産物、すなわち、構築された組み換えベクターを得た。ここで、組み換え酵素はVazymeから購入され、カタログ番号C112-01/02で、緩衝液は当該組み換え酵素に合わせて購入して使用されるものである。重鎖可変領域をシグナルペプチドおよびヒト由来抗体重鎖IgG4(S228P)定常領域を含む発現ベクター(ここで、発現ベクターはInvitrogenから購入され、組み換え工程は通常の工程である)に、軽鎖可変領域をシグナルペプチドおよびヒト由来抗体軽鎖κ定常領域を含む発現ベクター(ここで、発現ベクターはInvitrogenから購入され、組み換え工程は通常の工程である)に位置指定クローニングした。10μLの連結産物を100μLの感受性細胞(Ecos 101competent cells、Yeasternから購入、カタログ番号FYE607)に入れ、氷浴で30分間置いた。さらに、42℃で水浴で90秒ヒートショックさせ、氷の上に2分間置いた後800μLの抗生物質のない2YT培地を入れ、37℃でチェーカーで200 rpmで45分間培養し、200μL取って100 μg/mLのアンピシリンを含有するLB固体培地に塗布し、37℃のインキュベーターで一晩培養した。翌日に、発現ベクターにおけるプライマーpTT-EF1a-FおよびpSV40(そのヌクレオチド配列がそれぞれ配列表の配列番号97~98で示される)を使用し、30 μL PCR系を調製し、集落のPCRを行った。集落のPCR系は、プライマーをそれぞれ1 μL、10 μLのPCR予混合液(Novoproteinから購入)で20 μLまで追加した。ピペットチップの先端で集落を取ってPCR反応系に吹き込み、かつ0.5μLを取ってもう一つの100μg/mLのアンピシリンを含有するLB固体培養シャーレに接種して菌株を保存した。PCR反応終了後、5μLを取ってアガロースゲル電気泳動によって検出し、陽性のサンプルに対して配列決定および分析を行った[Kabat,“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)を参照する]。
【0225】
集落PCRで検証した後、配列が正確な組み換え抗体の重、軽鎖の発現ベクターをFreeStyleTM293-F細胞(Invitrogenから購入)に一過性形質移入して抗体を生成させた。形質移入時、293-F細胞の密度は1-1.5×106個/mLで、100 mLの細胞に100 μgの上記構築された組み換えベクター(組み換え抗体の重鎖ベクターと軽鎖ベクターの質量比2:3)および200 μgの形質移入試薬ポリエチレンイミン(PEI)が必要であった。組み換えベクターとPEIをそれぞれ5 mL培地に入れ、室温で5分間静置し、0.22 μmろ膜でろ過した後、組み換えベクターとPEIの混合物を室温で15分間静置した。その後、上記混合物をゆっくり細胞に入れ、37℃、8%(v/v)CO2インキュベーターで回転数120 rpmで培養した。7日後、3500 gで細胞培養液を30分間遠心し、上清液を収集し、0.22 μmフィルターでろ過した。200 mLの清澄な上清液におけるモノクローナル抗体を1 mLプロテインAカラム(GE Healthcareから購入)によって精製した。プロテインAカラムはまず平衡緩衝液(PBSリン酸緩衝液、pH7.2)で平衡化した後、上清液をプロテインAカラムに仕込み、流速を3mL/分に制御した。仕込みが終了した後、平衡緩衝液でプロテインAカラムを洗浄し、平衡緩衝液の体積はプロテインAカラムのベッド体積の20倍であった。溶離液(0.1 Mグリシン-塩酸緩衝液、pH3.0)でプロテインAカラムに結合したモノクローナル抗体を溶離させ、紫外検出器によって溶離状況をモニタリングした(A280紫外吸収ピーク)。溶離した抗体を収集し、10%(v/v)の1.0 M Tris-HCl緩衝液を入れてpHを中和した。その後、すぐPBSリン酸緩衝液で一晩透析した。透析されたモノクローナル抗体を収集し、0.22μmのフィルターによって無菌ろ過を行い、無菌で保存し、すなわち、精製されたNKG2A抗体をリード抗体として得た。リード抗体に対してタンパク質の濃度(A280/1.4)、純度、内毒素(Lonzaキット)などを検出・分析した。結果は下記表9に示す。
【0226】
【表15】
【0227】
結果から、11G5抗体の収量と純度はいずれも低く、さらなる精製分析ができないことが示された。ほかの抗体の収量、純度、内毒素の分析はいずれも正常に見られた。
【0228】
実施例5 リード抗体の同定
A.フローサイトメトリー実験(FACS)による抗体とNKG2A/CD94発現細胞の結合の検出
実施例1の工程(二)に記載のヒト由来NKG2A/CD94全長アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有するpCHO1.0プラスミドでCHOK1細胞株を形質転移させてヒトNKG2AとCD94含有CHOK1安定細胞株(ここで、CHOk1-hNKG2A/CD94安定細胞株と呼ぶ)を得、サル由来NKG2AとCD94全長遺伝子を持つpCHO1.0プラスミド(その製造方法は実施例1の工程(一)「免疫原Aの製造」におけるヒト由来IgG Fc断片(hFc)を持つpCpCベクターの製造方法と同様である)でCHOK1細胞株を形質転移させてサルNKG2A/CD94含有CHOK1安定細胞株(ここで、CHOk1-cNKG2A/CD94安定細胞株と呼ぶ)を得、同様の方法によってCHOK1-hNKG2C/CD94安定細胞株を製造した。CHOk1-hNKG2A/CD94安定細胞株、CHOk1-cNKG2A/CD94安定細胞株およびCHOK1-hNKG2C/CD94安定細胞株をT-75細胞培養瓶において90%コンフルエンスまで増幅培養したら、培地を吸い捨て、PBS緩衝液(Invitrogenから購入)で2回洗浄した後、無酵素細胞分解液(Versene solution:Life technology社から購入)によって処理し、そして細胞を収集した。PBS緩衝液で細胞を2回洗浄し、細胞の計数を行った後、細胞をPBS緩衝液で2×106個細胞/mLに希釈し、1%ヤギ血清ブロッキング液を入れ、前記百分率は質量百分率で、氷の上で30分間インキュベートした後、PBS緩衝液で3回遠心洗浄した。収集された細胞をFACS緩衝液(PBS+1%BSA、前記百分率は質量百分率である)で2×106個細胞/mLに懸濁させ、100μL/ウェルで96ウェルFACS反応プレートに入れ、実施例2で得られた精製されたNKG2A抗体の被験サンプルを100μL/ウェル入れ、氷の上で2時間インキュベートした。FACS緩衝液で2回遠心洗浄し、100μL/ウェルの蛍光(Alexa 488)で標識された二次抗体(invitrogenから購入)を入れ、氷の上で1時間インキュベートした。FACS緩衝液で遠心して3回洗浄した後、100μL/ウェルのFACS緩衝液で細胞を懸濁させ、FACS(FACS Calibur、BD社から購入)によって検出して結果を分析した。結果を図10-13に示す。
【0229】
結果から、被験抗体は特異的に細胞胞表面におけるヒトNKG2A(図10)、アカゲザルNKG2A(図11)に結合できたが、細胞表面におけるNKG2C/CD94に結合せず(図12)、NKG2Eタンパク質ともクロス反応性がなかった(図13)ことが示された。ここで、IgG対照はヒトIgGであった。
【0230】
B.NKG2A抗体の親和定数の測定
Octet red96装置(Fortiebioから購入)で親和定数の測定を行った。具体的な操作および方法は装置の説明書およびメーカーが提供した詳細に準じた。具体的に、ストレプトアビジンセンサー(SAセンサー、Fortiebioから購入)によって親和力の測定を行った。ビオチンで標識されたヒト由来NKG2A/CD94-ECD-Fc(すなわち、免疫原A)を0.1%(w/w)BSA、0.02%(v/v)Tweenを含有する、pH 7.4のPBS溶液で10μg/mlに希釈した後、ストレプトアビジンセンサーと反応させた。免疫原Aと結合させたセンサーを5つの異なる濃度勾配で希釈されたNKG2A抗体と30℃で3分間インキュベートし、さらに0.1%(w/v)BSA、0.02%(v/v)Tweenを含有する、pH 7.4のPBS溶液と30℃で5分間インキュベートした。Octet装置によって干渉波長の変化を検出することによって抗体と免疫原Aの結合と解離を測定した後、Octet(登録商標)User Softwareソフトによって解離定数と結合定数をフィッティングし、親和力定数は解離定数と結合定数の比の値である。結果は表10に示す。
【0231】
【表16】
【0232】
実施例6 NKG2A抗体によるNKG2AとそのリガンドHLA-Eの結合に対する遮断の検出
CHOk1-hNKG2A/CD94安定細胞株をT-75細胞培養瓶において90%コンフルエンスまで増幅培養したら、培地を吸い捨て、PBS緩衝液(Invitrogenから購入)で2回洗浄した後、無酵素細胞分解液(Versene solution:Life technology社から購入)によって処理し、そして細胞を収集した。PBS緩衝液で細胞を2回洗浄し、細胞の計数を行った後、細胞をPBS緩衝液で2×106個細胞/mLに希釈し、1%ヤギ血清ブロッキング液を入れ、前記百分率は質量百分率で、氷の上で30分間インキュベートした後、PBS緩衝液で3回遠心洗浄した。収集された細胞をFACS緩衝液(PBS+1%BSA、前記百分率は質量百分率である)で2×106個細胞/mLに懸濁させ、100μL/ウェルで96ウェルFACS反応プレートに入れ、遠心して1回洗浄した後、精製して得られたNKG2A抗体をFACS緩衝液で勾配希釈し、50μL/ウェルで細胞を再懸濁させ、同時に各ウェルに希釈されたHLA-E-PEを50μL/ウェル入れ、光を避けて氷の上で2.5-3時間インキュベートした。FACS緩衝液で遠心して3回洗浄した後、100μL/ウェルのFACS緩衝液で細胞を懸濁させ、FACS(FACS Calibur、BD社から購入)によって検出して結果を分析した。結果は図14に示すように、被験抗体はHLA-Eの細胞表面におけるNKG2Aタンパク質への結合を遮断することができた。ここで、同じタイプの対照はヒトIgGで、表におけるデータはMFIで測定された細胞群の平均蛍光強度値である。
【0233】
実施例7 NKG2A抗体によるNK92の標的細胞に対する殺傷作用の増加の検出
LCL721.221細胞株をT-75細胞培養瓶において90%コンフルエンスまで増幅培養したら、培地を吸い捨て、PBS緩衝液(Invitrogenから購入)で2回洗浄した。1mM ペプチドを含有する培地で1×106/500μlになるように細胞を再懸濁させ、26℃のインキュベーターにおいて一晩培養した後、PBSで2回洗浄した。分析緩衝液(1640培地に5%FBSを入れたもの)でLCL721.221細胞を2×105個細胞/mlになるように再懸濁させ、50μl取って96ウェルプレートに各ウェルの細胞数が10000個になるように入れた。抗体とインキュベートされたNK92細胞(37℃、30min)をエフェクター細胞:標的細胞の比率が2:1になるように、100μlの体積で上記96ウェルプレートに入れ、LCL721.221細胞と十分に混合した後、250gで5分間遠心し、96ウェルプレートを37℃のインキュベーターに4h置いた。
【0234】
AAF-GloTM反応液を75μl /ウェル入れ、15分間後、蛍光値を読み取り、死細胞の数を反映する。さらに分解液を75μl /ウェル入れ、15分間後、蛍光値を読み取り、全細胞の数を反映する。
【0235】
結果は図15に示すように、被験抗体はいずれもNK92細胞のLCL721.221に対する殺傷活性を増強させることができ、かつ効果が参照抗体Z270よりも優れたことが示された。
【0236】
実施例8 NKG2A抗体による初代NK細胞に対する殺傷作用の増加の検出
(一)Ficollによって全血を分離して末梢血の単核球PBMCを得た。
新しく採取された全血をリン酸緩衝液PBSで体積比1:1で希釈して希釈後の全血を得、無菌ピペットで軽く希釈後の全血をFicoll液面(GE Healthcareから購入)に振とうして混合しないように展開させ、Ficollと希釈後の全血の体積比は3:4で、回転数400gで室温20℃で30分間勾配遠心し、遠心後の遠心管では三層に分かれ、上層は血漿で、中間の乳白色の分層は単核球で、無菌ピペットで軽く中間層の細胞を吸い取り、新しい遠心管に収集し、PBSリン酸緩衝液で3倍体積に希釈し、回転数100gで室温で10分間遠心し、上清を捨てた。リンパ球をPBSリン酸緩衝液で10 mLに再懸濁させ、前の工程を繰返して血小板を取り出し、最後に、リンパ球を10 mLの10%牛胎児血清を含有する多成分RPMI1640培地(Invitrogenから購入)に再懸濁させて使用に備え、末梢血単核球PBMCになっており、前記百分率は質量百分率である。
【0237】
その後、PBMCから初代NKを分離し、体外で4日培養したが、1640培地の配合は、0.01 mm 2-me、1×L-Glu、1×NEAA、10% FBS、10 ng/ml IL-2、20 ng/ml IL-12であった。LCL721.221細胞株をT-75細胞培養瓶において90%コンフルエンスまで増幅培養したら、培地を吸い捨て、PBS緩衝液(Invitrogenから購入)で2回洗浄した。1mM ペプチドを含有する培地で1×106/500μlになるように細胞を再懸濁させ、26℃のインキュベーターにおいて一晩培養した後、PBSで2回洗浄した。培地(測定用緩衝液)でLCL721.221細胞を2×105個細胞/mlになるように再懸濁させ、50μl取って96ウェルプレートに各ウェルの細胞数が10000個になるように入れた。抗体とインキュベートされたNK92細胞(37℃、30min)をエフェクター細胞:標的細胞の比率が2:1になるように、100μlの体積で上記96ウェルプレートに入れ、LCL721.221細胞と十分に混合した後、250gで5分間遠心し、96ウェルプレートを37℃のインキュベーターに4h置いた。
【0238】
AAF-GloTM反応液を75μl /ウェル入れ、15分間後、蛍光値を読み取り、死細胞の数を反映する。さらに分解液を75μl /ウェル入れ、15分間後、蛍光値を読み取り、全細胞の数を反映する。
【0239】
結果は図16図17に示すように、異なるドナーでは、被験抗体はいずれも初代NK細胞のLCL721.221に対する殺傷活性を増強させることができたことが示された。
【0240】
実施例9 ヒト化抗体の製造
12G8、すなわち、mpb416クローンの軽・重鎖CDR領域を分析したところ、CDRH2とCDRL1におけるNG配列をNAに突然変異させ、M15抗体を得たが、以下の重鎖、軽鎖可変領域をヒト化鋳型とした。
【0241】
【表17】
【0242】
配列アライメント(NCBI-Igblast)によって候補の抗体の重鎖可変領域、軽鎖可変領域と相同性が最も高い生殖系列遺伝子配列を可変領域移植フレームワーク:IGHV1-46*01(60.2%)とIGKV2-28*01(80.0%)とした。ヒト抗体のフレームワークを決めた後、相同性モデリングにより、マウス抗体の定常領域における構造を左右する主要アミノ酸を予想し、グラフトのフレームワーク領域に対して復帰突然変異の設計を行った。
【0243】
以上の原則に従い、それぞれ5つの重鎖可変領域配列(Mpb416-M15 VH_g0、Mpb416-M15 VH_g1、Mpb416-M15 VH_g2、Mpb416-M15 VH_g3、Mpb416-M15 VH_g4)および3つの軽鎖可変領域配列(Mpb416-M15 VL_g0、Mpb416-M15 VL_g1、Mpb416-M15 VL_g2)を設計し、さらに交差して組み合わせて発現させたが、計15種類の発現の組み合わせで、表12を参照する。
【0244】
【表18】
【0245】
ベクターの構築:増幅プライマーはGenewizによって合成され、さらにPCR方法によってそれぞれ軽鎖および重鎖の可変領域を増幅させた。50 μLの反応系を調製し、50-100ngの重鎖可変領域、軽鎖可変領域、フォワードプライマーとリバースプライマーそれぞれ1μl、1μl pfxD酵素(invitrogenから購入、12344-012)、10×pfx緩衝液5μl(メーカーはpfx酵素と同様である)を含み、そして50 μLまで水を入れた。予備変性95℃、5分、変性95℃、30秒、アニーリング56℃ 、30秒、伸長68℃、30秒で25サイクル後、余分に68℃で10min伸長するように、PCRプログラムを設定し、PCR産物を得た。5μLのPCR産物を取ってアガロースゲル電気泳動によって検出し、陽性と検出されたサンプルをカラム回収キットによって精製し、ここで、回収キットはPureLink Quick Gel extraction kitで、Qiagenから購入され、カタログ番号は28706であった。
【0246】
ヒト化抗体の製造:連結反応:挿入断片20-40ng、酵素切断された発現ベクター60-100ng、組み換え酵素Exnase(Vazymeから購入、カタログ番号C112-01/02)1μL、緩衝液2μL、反応系10μLで、37℃で半時間反応させて連結産物、すなわち、構築された組み換えベクターを得た。緩衝液は当該組み換え酵素に合わせて購入して使用されるものである。重鎖可変領域をシグナルペプチドおよびヒト由来抗体重鎖IgG4(S228P)定常領域を含む発現ベクター(ここで、発現ベクターはInvitrogenから購入され、組み換え工程は通常の工程である)に、軽鎖可変領域をシグナルペプチドおよびヒト由来抗体軽鎖κ定常領域を含む発現ベクター(ここで、発現ベクターはInvitrogenから購入され、組み換え工程は通常の工程である)に位置指定クローニングした。10μLの連結産物を100μLの感受性細胞(Ecos 101competent cells、Yeasternから購入、カタログ番号FYE607)に入れ、42℃水浴で60秒ヒートショックさせ、氷の上で3分間置き、80μL取ってアンピシリンを含有するLB固体培地に塗布して37℃のインキュベーターで一晩培養した。翌日に、発現ベクターにおけるプライマーpEF1AおよびpSV40を使用し、30 μL PCR系を調製し、集落のPCRを行った。集落のPCR系は、プライマーをそれぞれ1 μL、15 μLのPCR予混合液(Novoproteinから購入)で30 μLまで追加した。ピペットチップの先端で集落を取ってPCR反応系に吹き込み、かつ0.5μLを取ってもう一つの100μg/mLのアンピシリンを含有するLB固体培養シャーレに接種して菌株を保存した。PCR反応終了後、4.5μLを取ってアガロースゲル電気泳動によって検出し、陽性のサンプルを配列決定した。
【0247】
配列が正確な組み換え抗体の重、軽鎖の発現ベクターを増幅させ、さらにFreeStyleTM293-F細胞(Invitrogenから購入)に一過性形質移入して抗体を生成させた。形質移入時、293-F細胞の密度は1-1.2×106个/mLで、100 mLの細胞に100 μgの上記で構築された組み換えベクターおよび200 μgの形質移入試薬ポリエチレンイミン(PEI)が必要であった。組み換えベクターとPEIをそれぞれ5 mL培地に入れ、室温で5分間静置し、0.22 μmろ膜でろ過した後、組み換えベクターとPEIの混合物を室温で15分間静置した。その後、上記混合物をゆっくり細胞に入れ、37℃、8%(v/v)CO2インキュベーターで回転数130 rpmで培養した。毎日、培養上清および細胞沈殿を採取して抗体の発現を検出した。5日後、3000 gで細胞培養液を30分間遠心し、上清液を収集し、0.22 μmフィルターでろ過した。1 mL MabSelectTMSuReTMカラム(GE Healthcareから購入)によって200 mLの清澄な上清液におけるモノクローナル抗体を精製した。MabSelectTMSuReTMカラムは、まず、平衡緩衝液(PBSリン酸緩衝液、pH7.2)で平衡化した。仕込みが終了した後、平衡緩衝液でMabSelectTMSuReTMカラムを洗浄し、平衡緩衝液の体積はプロテインAカラムのベッド体積の5倍であった。溶離液(0.1 Mグリシン-塩酸緩衝液、pH3.0)でMabSelectTMSuReTMカラムに結合したモノクローナル抗体を溶離させた。溶離した抗体を収集し、10%(v/v)の1.0 M Tris-HCl緩衝液を入れてpHを中和した。その後、すぐPBSリン酸緩衝液で一晩透析した。透析されたモノクローナル抗体を収集し、0.22μmのフィルターによって無菌ろ過を行い、無菌で保存し、すなわち、精製されたNKG2Aヒト化抗体を得た。得られた抗体に対してタンパク質の濃度、純度の検出・分析を行った。結果は下記表13に示すように、M15-3抗体の純度はいずれも低かったことが示された。ほかの抗体の収量、純度の分析はいずれも正常に見られた。
【0248】
【表19】
【0249】
ヒト化抗体の活性の同定(方法は実施例5と同様である)
A.フローサイトメトリー実験(FACS)によって抗体とNKG2A/CD94発現細胞の結合を検出した結果、図18a図18b図19a図19b図20a図20bに示すように、得られた抗体はいずれも細胞表面におけるヒトNKG2A、サルNKG2Aと結合できたが、ヒトNKG2CとヒトCD94に結合しなかった。ここで、IgG対照はヒトIgGで、表におけるデータはMFIで測定された細胞群の平均蛍光強度値である。
【0250】
B.NKG2A抗体によるNKG2AとそのリガンドHLA-Eの結合に対する遮断を検出したが、方法は実施例6と同様である。結果は図21に示すように、被験抗体はHLA-Eの細胞表面におけるNKG2Aタンパク質への結合を遮断することができた。ここで、同じタイプの対照はヒトIgGで、表におけるデータはMFIで測定された細胞群の平均蛍光強度値である。
【0251】
C.NKG2A抗体によるNKG2AとそのリガンドHLA-Eの結合に対する遮断を検出したが、方法は実施例7と同様である。M15-5、M15-10、M15-15を検出した結果、図22に示すように、抗体はいずれもNK92の腫瘍細胞の殺傷活性を増強させることができた。
【0252】
D.NKG2A抗体の親和定数の測定は、方法が実施例5Bと同様である。
ヒト化改造後の抗体の親和力を評価した結果、その親和力が参照陽性抗体よりも顕著に優れたことが示された。結果を表14に示す。
【0253】
【表20】
【0254】
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、当業者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の形態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるはずである。
【0255】
付録 本発明の配列情報
【0256】
【表21】
【0257】
【表22】
【0258】
M15-5
配列番号1
>QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIQNTYIHWVKQAPGQGLEWIGKIDPANADTKYAPTFQGRATITADTSTNTAYLELSSLRSEDTAVYYCARYRDYLFYYALGYWGQGTTVTVSS
配列番号2
>NTYIH
配列番号3
>IDPANADTKYAPTFQG
配列番号4
>YRDYLFYYALGY
配列番号5
>DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSKSLLHSNANTYLYWYLQKPGQSPQLLIYRMSNLASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQHLEYPYTFGQGTKLEIK
配列番号6
>RSSKSLLHSNANTYLY
配列番号7
>RMSNLAS
配列番号8
>MQHLEYPYT
Mpb416
配列番号9
>QVQLQQSVAELVRPGASVKLSCTASGFNIQNTYIHWVKQRPEQGLEWIGKIDPANGDTKYAPTFQGKATITADTSSNTAYLQLSSLTPEDTAIYYCARYRDYLFYYALGYWGQGTSVTVSS
配列番号10
>NTYIH
配列番号11
>IDPANGDTKYAPTFQG
配列番号12
>YRDYLFYYALGY
配列番号13
>DIVMTQSAPSVPVTPGESVSISCRSSKSLLHSNGNTYLYWFLQRPGQSPQLLIYRMSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDVGVYYCMQHLEYPYTFGGGTKLEIK
配列番号14
>RSSKSLLHSNGNTYLY
配列番号15
>RMSNLAS
配列番号16
>MQHLEYPYT
Mab031
配列番号17
EVQLQQSVAELVRPGASVRLSCTGSGFNIQNTYIHWVKQRPEQGLEWIGRIDPANGDTKYAPKFQGKATITADTSSNTAYLQLSSLTSEDTAIYYCTRYGNYLYYYSLDYWGQGTSVTVSS
配列番号18
>NTYIH
配列番号19
>IDPANGDTKYAPKFQG
配列番号20
>YGNYLYYYSLDY
配列番号21
DIVMTQAAPSVPVTPGESVSISCRSSKSLLHSNGNTYLYWFLQRPGQSPQLLIYRMSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDMGVYYCMQHLEYPYTFGGGTKLEIK
配列番号22
>RSSKSLLHSNGNTYLY
配列番号23
>RMSNLAS
配列番号24
>MQHLEYPYT
Mab032
配列番号25
>EVQLQQSVAELVRPGASVRLSCTGSGFNIENTYMHWLKQRPEQGLEWIGRIDPADGDTQYAPKFQGKATITTDTSSNTAYLQLSSLTSEDTAIYYCARYGNYLFYYSMDYWGQGTSVTVSS
配列番号26
>NTYMH
配列番号27
>IDPADGDTQYAPKFQG
配列番号28
>YGNYLFYYSMDY
配列番号29
>DIVMTQAAPSVPVTPGESVSISCRSSKSLLHSNGNTYLYWFLQRPGQSPQLLIYRMSNLASGVPDRFSGSGSATAFTLRISRVEAEDVGIYYCMQHLEYPYTFGGGTKLEIK
配列番号30
>RSSKSLLHSNGNTYLY
配列番号31
>RMSNLAS
配列番号32
>MQHLEYPYT
Mab033
配列番号33
EVQLQQSVAELVRPGASVRLSCTGSGFNIENTYMHWLKQRPEQGLEWIGRIDPADGDTQYAPKFQGKATITTDTSSNTAYLQLSSLTSEDTAIYYCARYGNYLFYYSMDYWGQGTSVTVSS
配列番号34
>NTYIH
配列番号35
>IDPANGDTQYDPKFQG
配列番号36
>YGDYLFYYSLKY
配列番号37
>DIVMTQAAPSVSVTPGESVSISCRSSKSLLHSNGNTYLYWFLQRPGQSPQLLIYRMSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDVGVYYCMQHLESPYTFGGGTKLEIK
配列番号38
>RSSKSLLHSNGNTYLY
配列番号39
>RMSNLAS
配列番号40
>MQHLESPYT
Mab036
配列番号41
EVQLQQSVAELVRPGASVKLSCTASGFNIENTFMHWLKQRPEQGLEWIGRIDPANGNTQYAPKFQGKATITADTSSNTAYLQLSRLTSEDTAIYYCARYGNYLFYYSMDYWGQGTSVTVSS
配列番号42
>NTFMH
配列番号43
>IDPANGNTQYAPKFQG
配列番号44
>YGNYLFYYSMDY
配列番号45
DIVMTQAAPSLPVTPGESVSISCRSSQSLLHSNGNTYLYWFLQRPGQSPQLLIYRMSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDVGVYYCMQHLEYPYTFGGGTKLEIK
配列番号46
>RSSQSLLHSNGNTYLY
配列番号47
>RMSNLAS
配列番号48
>MQHLEYPYT
2F10
配列番号49
>QVQLQQSVAELVRPGASVKLSCTASGFNIKNAYVHWVKQRPEQGLEWIGQIDPANGNTKYAPKFQAKATITADTSSNTVYLQLSSLTSEDTAVYYCARSYLGGQYYFDYSGQGTTLTVSS
配列番号50
>NAYVH
配列番号51
>IDPANGNTKYAPKFQA
配列番号52
>SYLGGQYYFDY
配列番号53
>DILMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLEYEDMGIYYCLQYDEFPLTFGAGTKLEIK
配列番号54
>KASQDINSYLS
配列番号55
>RANRLVD
配列番号56
>LQYDEFPLT
9B10
配列番号57
>QVQLQQSVAELVRPGASVKLSCTASGFNIQNTYMHWVKQRPEQGLEWIGRIDPANGNIKYAPKFQGKATITADTSSNTAYLQLSSLTSEDTAIYYCAIYYDFGRAFAYWGQGTLVTVSA
配列番号58
>NTYMH
配列番号59
>IDPANGNIKYAPKFQG
配列番号60
>YYDFGRAFAY
配列番号61
>DIVMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLEYEDMGIYYCLQYDEFPFTFGSGTKLEIK
配列番号62
>KASQDINSYLS
配列番号63
>RANRLVD
配列番号64
>LQYDEFPFT
14G3
配列番号65
>EVQLQQSVAELVRPGASVKLSCTASGFNIKNAYVHWVKQRPEQGLEWIGQIDPANGNTKYAPKFQAKATITADTSSNTVYLQLSSLTSEDTAVYYCARSYLGGQYYFDYSGQGTTLTVSS
配列番号66
>NAYVH
配列番号67
>IDPANGNTKYAPKFQA
配列番号68
>SYLGGQYYFDY
配列番号69
>DIVMTQSAFSNPVTLGTSASISCRSSKSLLHSNGITYLYWYLQKPGQSPQLLIYQMSNLASGVPDRFSSSGSGTDFTLRISRVEAEDVGVYYCMQHLEYPFTFGAGTKLEIK
配列番号70
>RSSKSLLHSNGITYLY
配列番号71
>QMSNLAS
配列番号72
>MQHLEYPFT
M15-5
M15-5重鎖
配列番号73
>CAGGTGCAGCTGGTGCAGAGCGGCGCCGAAGTGAAGAAACCCGGCGCCAGCGTGAAGGTGAGCTGCAAGGCCAGCGGCTTCAATATCCAGAACACCTACATCCACTGGGTGAAGCAAGCCCCTGGCCAGGGCCTGGAGTGGATCGGCAAGATCGACCCCGCCAACGCCGACACCAAGTACGCCCCCACCTTCCAGGGCAGAGCCACCATCACCGCCGACACCAGCACCAACACCGCCTACCTGGAGCTGAGCAGCCTGAGGAGCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGGTACAGGGACTACCTGTTCTACTATGCCCTGGGCTACTGGGGCCAGGGCACAACCGTGACCGTGAGCAGCC
M15-5軽鎖
配列番号74
>GACATCGTGATGACCCAGAGCCCTCTGAGCCTGCCTGTGACCCCTGGAGAGCCTGCCAGCATCAGCTGCAGGAGCAGCAAAAGCCTGCTGCACAGCAACGCCAACACCTACCTGTACTGGTACCTGCAGAAGCCCGGACAGAGCCCCCAGCTGCTGATCTACAGGATGAGCAACCTGGCCAGCGGCGTGCCTGATAGGTTTAGCGGCAGCGGCAGCGGAACCGACTTCACCCTGAAGATCAGCAGAGTGGAGGCCGAGGACGTGGGCGTGTACTACTGCATGCAGCACCTGGAGTACCCCTACACCTTCGGCCAGGGAACCAAGCTGGAGATCAAGG
Mpb416重鎖
配列番号75
>CAGGTTCAGCTTCAGCAGTCTGTGGCAGAGCTTGTGAGGCCAGGGGCCTCAGTCAAATTGTCCTGCACAGCTTCTGGCTTCAACATTCAAAACACCTATATACACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAATGGATTGGAAAGATTGATCCTGCGAATGGTGATACTAAATATGCCCCGACGTTCCAGGGCAAGGCCACTATAACTGCAGACACATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGCAGCCTAACACCTGAGGACACTGCCATCTATTACTGTGCTAGATACCGTGACTACCTATTTTACTATGCTTTGGGCTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCG
Mpb416軽鎖
配列番号76
>GACATTGTGATGACGCAGTCTGCACCCTCTGTACCTGTCACTCCTGGAGAGTCAGTATCCATCTCCTGCAGGTCTAGTAAGAGTCTCCTGCATAGTAATGGCAACACTTACTTGTATTGGTTCCTGCAGAGGCCAGGCCAGTCTCCTCAGCTCCTGATATATCGGATGTCCAACCTTGCCTCAGGAGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCAGGAACTGCTTTCACACTGAGAATCAGTAGAGTGGAGGCTGAGGATGTGGGTGTTTATTACTGTATGCAACATCTAGAATATCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATCAAA
Mab031重鎖
配列番号77
>GAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGTGGCAGAGCTTGTGAGGCCAGGGGCCTCAGTCAGGTTGTCCTGCACAGGTTCTGGCTTCAACATTCAAAACACATATATTCACTGGGTGAAACAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGAAGGATTGATCCTGCGAATGGTGATACTAAATATGCCCCGAAGTTCCAGGGCAAGGCCACTATAACTGCAGACACATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCCATCTATTACTGTACTAGATATGGTAACTACTTATATTACTATAGTTTGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA
Mab031軽鎖
配列番号78
>GATATTGTGATGACTCAGGCTGCACCCTCTGTACCTGTCACTCCTGGAGAGTCTGTATCCATCTCCTGCAGGTCTAGTAAGAGTCTCCTGCATAGTAATGGCAACACTTACTTGTATTGGTTCCTGCAGAGGCCAGGCCAGTCTCCTCAGCTCCTGATATATCGGATGTCCAACCTTGCCTCAGGAGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCAGGAACTGCTTTCACACTGAGAATCAGTAGAGTGGAGGCTGAGGATATGGGTGTTTATTACTGTATGCAACATCTAGAATATCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAG
Mab032重鎖
配列番号79
>GAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGTGGCAGAGCTTGTGAGGCCAGGGGCCTCAGTCAGGTTGTCCTGCACAGGTTCTGGCTTCAACATTGAAAACACCTATATGCACTGGCTGAAACAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGAAGGATTGATCCTGCGGATGGTGATACTCAATATGCCCCGAAGTTCCAGGGCAAGGCCACTATAACTACAGACACATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCCATTTATTACTGTGCTAGATATGGTAACTACTTATTTTACTATTCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA
Mab032軽鎖
配列番号80
>GATATTGTGATGACTCAGGCTGCACCCTCTGTACCTGTCACTCCTGGAGAGTCAGTATCCATCTCCTGCAGGTCTAGTAAGAGTCTCCTGCATAGTAATGGCAACACTTACTTGTATTGGTTCCTGCAGAGGCCAGGCCAGTCTCCTCAGCTCCTGATATATCGGATGTCCAACCTTGCCTCAGGAGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCAGCAACTGCTTTCACACTGAGAATCAGTAGAGTGGAGGCTGAGGATGTGGGTATTTATTACTGTATGCAACATCTAGAATATCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAA
Mab033重鎖
配列番号81
>GAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGTGGCAGAATTTGTGAGGCCAGGGGCCTCAGTCAGGTTGTCCTGCACAGCTTCTGGCTTCAACATTGAAAACACCTATATACACTGGCTGAAACAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGAAGGATTGATCCAGCGAATGGTGATACTCAATATGACCCGAAGTTCCAGGGCAAGGCCACTTTGACTGCAGCCACATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGCGGCCTGACATCTGAAGACACAGCCATCTATTATTGTACTAGATATGGTGACTATTTATTTTACTATTCTCTGAAGTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA
Mab033軽鎖
配列番号82
>GATATTGTGATGACTCAGGCTGCACCCTCTGTATCTGTCACTCCTGGAGAGTCAGTATCCATCTCCTGCAGGTCTAGTAAGAGTCTCCTGCATAGTAATGGCAACACTTACTTGTATTGGTTCCTGCAGAGGCCAGGCCAGTCTCCTCAGCTCCTGATATATCGGATGTCCAACCTTGCCTCAGGAGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCAGGAACTGCTTTCACACTGAGAATCAGTCGAGTGGAGGCTGAGGATGTGGGTGTTTATTACTGTATGCAACATCTAGAGTCTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAA
Mab036重鎖
配列番号83
>GAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGTGGCAGAGCTTGTGAGGCCAGGGGCCTCAGTCAAGTTGTCCTGCACAGCTTCTGGCTTCAACATTGAAAACACCTTTATGCACTGGCTGAAGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGAAGGATTGATCCTGCGAATGGTAATACTCAATATGCCCCGAAGTTCCAGGGCAAGGCCACTATAACTGCAGACACATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGCAGACTGACATCTGAGGACACTGCCATCTATTACTGTGCTAGATATGGTAACTACTTATTTTACTATTCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA
Mab036軽鎖
配列番号84
>GATATTGTGATGACTCAGGCTGCACCCTCTTTACCTGTCACTCCTGGAGAGTCAGTATCCATCTCCTGCAGGTCTAGTCAGAGTCTCCTGCATAGTAATGGCAACACTTACTTGTATTGGTTCCTGCAGAGGCCAGGCCAGTCTCCTCAGCTCCTGATATATCGGATGTCCAACCTTGCCTCAGGAGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCAGGAACTGCTTTCACACTGAGAATCAGTAGAGTGGAGGCTGAGGATGTGGGTGTTTATTACTGTATGCAACATCTAGAATATCCG
TACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAA
2F10重鎖
配列番号85
>CAGGTCCAGCTGCAGCAGTCTGTGGCAGAGCTTGTGAGGCCAGGGGCCTCAGTCAAGTTGTCCTGCACAGCTTCTGGCTTCAACATTAAAAACGCCTATGTCCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGACAGATTGATCCTGCGAATGGTAATACTAAATATGCCCCGAAGTTCCAGGCCAAGGCCACTATAACTGCAGACACATCCTCCAACACAGTCTACCTGCAACTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCCGTCTATTACTGTGCTAGATCCTATCTTGGTGGCCAGTACTACTTTGACTACTCGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCG
2F10軽鎖
配列番号86
>GACATTCTGATGACCCAGTCTCCATCTTCCATGTATGCATCTCTAGGAGAGAGAGTCACTATCACTTGCAAGGCGAGTCAGGACATTAATAGCTATTTAAGCTGGTTCCAGCAGAAACCAGGGAAATCTCCTAAGACCCTGATCTATCGTGCAAACAGATTGGTAGATGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGCAAGATTATTCTCTCACCATCAGCAGCCTGGAATATGAAGATATGGGAATTTATTATTGTCTACAGTATGATGAGTTCCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAAATAAAA
9B10重鎖
配列番号87
>CAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGTGGCAGAGCTTGTGAGGCCAGGGGCCTCAGTCAAGTTGTCCTGCACAGCTTCTGGCTTCAACATTCAAAACACCTATATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGAAGGATTGATCCTGCGAATGGTAATATTAAATATGCCCCGAAGTTCCAGGGCAAGGCCACTATAACTGCAGACACATCCTCCAATACAGCCTACCTGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAAGACACTGCCATCTATTACTGTGCTATCTACTATGATTTCGGCAGGGCCTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCG
9B10軽鎖
配列番号88
>GATATTGTGATGACCCAGTCTCCATCTTCCATGTATGCATCTCTAGGAGAGAGAGTCACTATCACTTGCAAGGCGAGTCAGGACATTAATAGCTATTTAAGCTGGTTCCAGCAGAAACCAGGGAAATCTCCTAAGACCCTGATCTATCGTGCAAACAGATTGGTAGATGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGCAAGATTATTCTCTCACCATCAGCAGCCTGGAGTATGAAGATATGGGAATTTATTATTGTCTACAGTATGATGAGTTTCCATTCACGTTCGGCTCGGGGACAAAGTTGGAAATAAAA
14G3重鎖
配列番号89
>GAGGTCCAGCTGCAGCAGTCTGTGGCAGAGCTTGTGAGGCCAGGGGCCTCAGTCAAGTTGTCCTGCACAGCCTCTGGCTTCAACATTAAAAACGCCTATGTCCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGACAGATTGATCCTGCGAATGGTAATACTAAATATGCCCCGAAGTTCCAGGCCAAGGCCACTATAACTGCAGACACATCCTCCAACACAGTCTACCTGCAACTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCCGTCTATTACTGTGCTAGGTCCTATCTTGGTGGCCAGTACTACTTTGACTACTCGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCG
14G3軽鎖
配列番号90
>GATATTGTGATGACTCAGTCTGCATTCTCCAATCCAGTCACTCTTGGAACATCAGCTTCCATCTCCTGCAGGTCTAGTAAGAGTCTCCTACATAGTAATGGCATCACTTATTTGTATTGGTATCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCTCAGCTCCTGATTTATCAGATGTCCAACCTTGCCTCAGGAGTCCCAGACAGGTTCAGTAGCAGTGGGTCAGGAACTGATTTCACACTGAGAATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATGTGGGTGTTTATTACTGTATGCAACATCTAGAATATCCTTTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAAATAAAA
配列番号91 (NKG2A ECD)
>PSTLIQRHNNSSLNTRTQKARHCGHCPEEWITYSNSCYYIGKERRTWEESLLACTSKNSSLLSIDNEEEMKFLSIISPSSWIGVFRNSSHHPWVTMNGLAFKHEIKDSDNAELNCAVLQVNRLKSAQCGSSIIYHCKHKL
配列番号92 (CD94 ECD)
>KNSFTKLSIEPAFTPGPNIELQKDSDCCSCQEKWVGYRCNCYFISSEQKTWNESRHLCASQKSSLLQLQNTDELDFMSSSQQFYWIGLSYSEEHTAWLWENGSALSQYLFPSFETFNTKNCIAYNPNGNALDESCEDKNRYICKQQLI
配列番号93 (NKG2A全長核酸)
>ATGGATAACCAAGGAGTAATCTACTCAGACCTGAATCTGCCCCCAAACCCAAAGAGGCAGCAACGAAAACCTAAAGGCAATAAAAGCTCCATTTTAGCAACTGAACAGGAAATAACCTATGCGGAATTAAACCTTCAAAAAGCTTCTCAGGATTTTCAAGGGAATGACAAAACCTATCACTGCAAAGATTTACCATCAGCTCCAGAGAAGCTCATTGTTGGGATCCTGGGAATTATCTGTCTTATCTTAATGGCCTCTGTGGTAACGATAGTTGTTATTCCCTCTACATTAATACAGAGGCACAACAATTCTTCCCTGAATACAAGAACTCAGAAAGCACGTCATTGTGGCCATTGTCCTGAGGAGTGGATTACATATTCCAACAGTTGTTACTACATTGGTAAGGAAAGAAGAACTTGGGAAGAGAGTTTGCTGGCCTGTACTTCGAAGAACTCCAGTCTGCTTTCTATAGATAATGAAGAAGAAATGAAATTTCTGTCCATCATTTCACCATCCTCATGGATTGGTGTGTTTCGTAACAGCAGTCATCATCCATGGGTGACAATGAATGGTTTGGCTTTCAAACATGAGATAAAAGACTCAGATAATGCTGAACTTAACTGTGCAGTGCTACAAGTAAATCGACTTAAATCAGCCCAGTGTGGATCTTCAATAATATATCATTGTAAGCATAAGCTTTAG
配列番号94 (CD94全長核酸)
>ATGGCAGCTTTTACTAAACTGAGTATTGAGCCAGCATTTACTCCAGGACCCAACATAGAACTCCAGAAAGACTCTGACTGCTGTTCTTGCCAAGAAAAATGGGTTGGGTACCGGTGCAACTGTTACTTCATTTCCAGTGAACAGAAAACTTGGAACGAAAGTCGGCATCTCTGTGCTTCTCAGAAATCCAGCCTGCTTCAGCTTCAAAACACAGATGAACTGGATTTTATGAGCTCCAGTCAACAATTTTACTGGATTGGACTCTCTTACAGTGAGGAGCACACCGCCTGGTTGTGGGAGAATGGCTCTGCACTCTCCCAGTATCTATTTCCATCATTTGAAACTTTTAATACAAAGAACTGCATAGCGTATAATCCAAATGGAAATGCTTTAGATGAATCCTGTGAAGATAAAAATCGTTATATCTGTAAGCAACAGCTCATTTAA
配列番号95 (アカゲザルNKG2A全長アミノ酸配列)
>MDNQGVIYSDLNLPPNQKRQQQKPKGNSRSTLVIEQEITYAELNLQKTSQDFQGNDKTNHCKDLPSAPEKLIAGILGIICLVLMASVVTIVVIPSTLTQKHNNSSLNTRTQKARHCGHCPKEWITYSNSCYYIGKEKRTWAESLLACTSKNSSLLSIDNEEEMKFLTAILSSSWIDVFRDSSHHPWVTINGLTFKHEIKDSDNAEHNCAMLHARGLKSDECGSSKIYHCKHKL
配列番号96 (アカゲザルCD94全長アミノ酸配列)
>MAVFKTTLWRLISGTLGIICLSLMATLGILLKNSFTKLSVEPAYTPGPNIELQKDSDCCSCHEKWVGYRCNCYFISSEEKTWNESRHFCASQKSSLLQLQNRDELDFMSSSQHFYWIGLSYSEEHTAWLWENGSALSQYLFPSFETFKPKNCIAYNSKGNALDESCETKNRYICKQQLI
配列番号97 pTT-EF1a-F
>gccctttttg agtttgga
配列番号98 pSV40
>cactgcattc tagttgtg
配列番号99 M15重鎖可変領域
>QVQLQQSVAELVRPGASVKLSCTASGFNIQNTYIHWVKQRPEQGLEWIGKIDPANADTKYAPTFQGKATITADTSSNTAYLQLSSLTPEDTAIYYCARYRDYLFYYALGYWGQGTSVTVSS
配列番号100 M15軽鎖可変領域
>DIVMTQSAPSVPVTPGESVSISCRSSKSLLHSNANTYLYWFLQRPGQSPQLLIYRMSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDVGVYYCMQHLEYPYTFGGGTKLEIK
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18a
図18b
図19a
図19b
図20a
図20b
図21
図22
【配列表】
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