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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-13
(45)【発行日】2025-03-24
(54)【発明の名称】電位差測定過酸化水素センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/401 20060101AFI20250314BHJP
   G01N 27/30 20060101ALI20250314BHJP
   G01N 27/327 20060101ALI20250314BHJP
【FI】
G01N27/401 313Z
G01N27/30 B
G01N27/327 353P
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2022550727
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2021051075
(87)【国際公開番号】W WO2021170313
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2024-01-17
(31)【優先権主張番号】20382133.5
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520075199
【氏名又は名称】ウニベルシタ ロヴィラ イ ヴィルギリ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドラーデ フランシスコ ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】ブランキング ペール ロバート エリック ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ブロンドゥー パスカル
(72)【発明者】
【氏名】フークストラ ラファエル ヴィッツェ フェンウィック
(72)【発明者】
【氏名】バエス バスケス ジョナタン フランク
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-113727(JP,A)
【文献】特開2000-241377(JP,A)
【文献】特開平08-240562(JP,A)
【文献】特開平03-141503(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0018537(US,A1)
【文献】Jhonattan F. Baez et al.,Controlling the mixed potential of polyelectrolyte-coated platinum electrodes for the potentiometric detection of hydrogen peroxide,Analytical Chimica Acta,2020年,Vol.1097,pp.204-213
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶液中の過酸化水素の濃度を決定するための電位差測定セルのインビトロ使用であって、
前記電位差測定セルが、
i.導電性材料を含む支持体を含む参照電極と、
ii.白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む過酸化水素選択性電極とを含み、
前記電極の各々は、前記電極間に設けられた高分子電解質ブリッジによって他方に接続されており、
前記電極間に設けられた前記高分子電解質ブリッジに接触する前記電極の各々の表面が、電位差測定回路を効果的に閉じることを可能にし、
前記使用が、前記水溶液が前記作用電極と直接接触しており、前記水溶液を使用して前記2つの電極の前記過酸化水素選択性電極および前記参照電極(RE)間の前記電位差測定回路を閉じる代わりに、前記電位差測定セルが前記高分子電解質ブリッジを使用して前記電極を接続することを特徴とする、使用。
【請求項2】
前記過酸化水素選択性電極が、前記参照電極の真上に配置される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記過酸化水素選択性電極が、白金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記電極を接続する前記高分子電解質ブリッジが、ペルフルオロスルホン酸アイオノマーを含むか、またはペルフルオロスルホン酸アイオノマーからなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記電極を接続する前記高分子電解質ブリッジが、ナフィオンまたはアクイビオンを含むか、またはナフィオンまたはアクイビオンからなる、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記電極を接続する前記高分子電解質ブリッジが、ナフィオンを含むか、またはナフィオンからなる、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記参照電極が、銀、白金、金、ニッケル、亜鉛、銅、アルミニウム、および炭素からなるリストのいずれかから選択される導電性材料を含む支持体を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記参照電極および前記過酸化水素選択性電極が、同じ材料からなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記過酸化水素選択性電極が、白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面と、前記レドックス高感度表面上のプロトン交換膜の少なくとも1つの層とを含み、
前記プロトン交換膜の層が式(II)のコポリマーを含み、
【化1】
式中、x、y、m、およびnは繰り返し単位の数を表し、m=0、n=1であり、繰り返し単位の数xおよびyは、各yについて15×単位未満であるものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記プロトン交換膜の層が、式II(式中、m=1およびn=1、またはm=0もしくは1およびn=1~5、またはm=0もしくは3およびn=2~5、またはm=0およびn=2、ならびにxおよびyが、各yについて15×単位未満であるものである)のものから選択されるさらなるPFSAコポリマーとの混合物をさらに含む、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記プロトン交換膜の層が、その中に封入されたグルコースオキシダーゼまたはその生成物として過酸化水素を有する任意のオキシダーゼをさらに含む、請求項9または10に記載の使用。
【請求項12】
水溶液中の過酸化水素の濃度を決定するためのインビトロ方法であって、
前記方法が、
a.前記水溶液を電位差測定センサまたはセルの過酸化水素選択性電極と接触させて提供するステップであり、電位差測定センサまたはセルが、
i.導電性材料を含む支持体を含む参照電極、および
ii.白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む過酸化水素選択性電極を含み、
前記過酸化水素選択性電極が、前記参照電極の真上に配置され、
前記電極の各々が、前記電極間に設けられた高分子電解質ブリッジによって他方に接続され、
前記電極間に設けられた前記高分子電解質ブリッジに接触する前記電極の各々の表面が、電位差測定回路を効果的に閉じることを可能にし、
前記電極を接続する前記高分子電解質ブリッジが、高分子電解質を含むか、または高分子電解質からなる、ステップと、
b.前記参照電極と前記過酸化水素選択性電極との間の電位差を測定するステップと、
c.電圧計を用いて前記電位差を評価することによって前記水溶液中の過酸化水素の濃度を決定するステップとを含み、
前記方法が、前記水溶液を使用して前記2つの電極の前記過酸化水素選択性電極および前記参照電極(RE)間の前記電位差測定回路を閉じる代わりに、前記電位差測定セルが前記溶液の代わりに前記高分子電解質ブリッジを使用して前記電極を接続することを特徴とする、方法
【請求項13】
前記過酸化水素選択性電極が、白金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電極を接続する前記高分子電解質ブリッジが、ペルフルオロスルホン酸アイオノマーを含むか、またはペルフルオロスルホン酸アイオノマーからなる、請求項12および13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記電極を接続する前記高分子電解質ブリッジが、ナフィオンまたはアクイビオンを含むか、またはナフィオンまたはアクイビオンからなる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電極を接続する前記高分子電解質ブリッジが、ナフィオンを含むか、またはナフィオンからなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記参照電極が、銀、白金、金、ニッケル、亜鉛、銅、アルミニウム、および炭素からなるリストのいずれかから選択される導電性材料を含む支持体を含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記参照電極および前記過酸化水素選択性電極が、同じ材料からなる、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記過酸化水素選択性電極が、白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面と、前記レドックス高感度表面上のプロトン交換膜の少なくとも1つの層とを含み、
前記プロトン交換膜の層が式(II)のコポリマーを含み、
【化2】
式中、x、y、m、およびnは繰り返し単位の数を表し、m=0、n=1であり、繰り返し単位の数xおよびyは、各yについて15×単位未満であるものである、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記プロトン交換膜の層が、式II(式中、m=1およびn=1、またはm=0もしくは1およびn=1~5、またはm=0もしくは3およびn=2~5、またはm=0およびn=2、ならびにxおよびyが、各yについて15×単位未満であるものである)のものから選択されるさらなるPFSAコポリマーとの混合物をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記プロトン交換膜の層が、その中に封入されたグルコースオキシダーゼまたはその生成物として過酸化水素を有する任意のオキシダーゼをさらに含む、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
水溶液中の過酸化水素の濃度を決定するための電位差測定セルであって、
前記電位差測定セルが、
i.導電性材料を含む支持体を含む参照電極と、
ii.白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面を有する過酸化水素選択性電極とを含み、
前記電極の各々は、前記電極間に設けられた高分子電解質ブリッジによって他方に接続されており、
前記電極間に設けられた前記高分子電解質ブリッジに接触する前記電極の各々の表面が、電位差測定回路を効果的に閉じることを可能にし、その結果、前記水溶液を使用して前記2つの電極の前記過酸化水素選択性電極および前記参照電極(RE)間の前記電位差測定回路を閉じる代わりに、前記電位差測定セルが前記水溶液の代わりに前記高分子電解質ブリッジを使用して前記電極を接続する、電位差測定セル。
【請求項23】
試験される水溶液が前記過酸化水素選択性電極とのみ接触し、前記2つの電極間の前記電位差測定回路を閉じないように、前記電位差測定セルが適合される、請求項22に記載の電位差測定セル。
【請求項24】
前記過酸化水素選択性電極が、前記参照電極の真上に配置されている、請求項22または23に記載の電位差測定セル。
【請求項25】
前記過酸化水素選択性電極が、白金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の電位差測定セル。
【請求項26】
前記電極を接続する前記高分子電解質ブリッジが、ペルフルオロスルホン酸アイオノマーを含むか、またはペルフルオロスルホン酸アイオノマーからなる、請求項22~25のいずれか一項に記載の電位差測定セル。
【請求項27】
前記電極を接続する前記高分子電解質ブリッジが、ナフィオンまたはアクイビオンを含むか、またはナフィオンまたはアクイビオンからなる、請求項26に記載の電位差測定セル。
【請求項28】
前記電極を接続する前記高分子電解質ブリッジが、ナフィオンを含むか、またはナフィオンからなる、請求項27に記載の電位差測定セル。
【請求項29】
前記参照電極が、銀、白金、金、ニッケル、亜鉛、銅、アルミニウム、および炭素からなるリストのいずれかから選択される導電性材料を含む支持体を含む、請求項22~28のいずれか一項に記載の電位差測定セル。
【請求項30】
前記参照電極および前記過酸化水素選択性電極が、同じ材料からなる、請求項22~29のいずれか一項に記載の電位差測定セル。
【請求項31】
前記過酸化水素選択性電極が、白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面と、前記レドックス高感度表面上のプロトン交換膜の少なくとも1つの層とを含み、
前記プロトン交換膜の層が式(II)のコポリマーを含み、
【化3】
式中、x、y、m、およびnは繰り返し単位の数を表し、m=0、n=1であり、繰り返し単位の数xおよびyは、各yについて15×単位未満であるものである、請求項22~30のいずれか一項に記載の電位差測定セル。
【請求項32】
前記プロトン交換膜の層が、式II(式中、m=1およびn=1、またはm=0もしくは1およびn=1~5、またはm=0もしくは3およびn=2~5、またはm=0およびn=2、ならびにxおよびyが、各yについて15×単位未満であるものである)のものから選択されるさらなるPFSAコポリマーとの混合物をさらに含む、請求項31に記載の電位差測定セル。
【請求項33】
前記プロトン交換膜の層が、その中に封入されたグルコースオキシダーゼまたはその生成物として過酸化水素を有する任意のオキシダーゼをさらに含む、請求項31または32に記載の電位差測定セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療分野に関し、特に、電位差測定センサを使用することによる試験試料または臨床試料中の過酸化水素またはリン酸塩関連化合物の検出に関する。より詳細には、本発明は、新規な構成で溶液中の化学種を検出するための電位差測定センサデバイスを提供するという問題を解決する。
【背景技術】
【0002】
Pt電極の混合電位(MP)は、過酸化水素またはリン酸塩関連化合物に対する電位差測定応答を説明するために使用され、特定の高分子電解質コーティングの使用は、本明細書では、電極の静止電位をもたらす速度論プロセスを制御する方法(Baezら、Analytica Chimica Acta、1097(2020)、204~213)として提示される。他の多くの金属と同様に、電解液中のPt電極の静止電位は平衡下ではなく、混合電位(MP)レジーム下にあり、酸化(電子発生)および還元(電子捕捉)反応がアノード(i)およびカソード(i)交換電流を生成することは周知である。これらの電流の各々は、Butler-Volmerの式によって説明することができる。
【数1】
式中、下付き文字 「κ」は所与の反応を特定し、iκは総電流であり、
は交換電流密度であり、ακは対称係数、nκは律速ステップで交換される電子の数である。反応の推進力-過電圧(ηκ)は、研究中の
との差であり、F、RおよびTは、それぞれファラデー定数、一般気体定数、および絶対温度である。十分に大きな過電圧の場合、反応の方向の1つが無視できるようになり、すなわち、アノード交換電流のカソード成分およびカソード交換電流のアノード成分を無視することができる。したがって、上記の式はそのとき、ターフェル近似に減少することができる。各プロセスに1つの反応のみが寄与すると仮定すると、交換電流は次のように表すことができる。
【数2】
【数3】
【0003】
について電位の値を評価することで、系のMPを求めることができる。次いで、MPレジームの下では、総電流のゼロ値に起因して定常状態に達する正味の非ゼロの過電圧値(η)が存在する。このため、これらの系のOCP(開回路電圧、ゼロ電流電位、腐食電位、平衡電位、または静止電位としても知られる受動的な方法であるOCP(開回路電位は、他の実験の基礎となる系の静止電位を満たすためにしばしば使用される)は、ネルンスト依存性を示さないが、交換電流を説明するターフェルの関係によって制御される。ターフェルの式は、多くの場合、線形形式で表される。
【数4】
【数5】
式中、EおよびEは、アノードまたはカソード交換電流について計算された電極電位であり、KおよびKは、各反応の一連のパラメータおよび定数項を含み、βおよびβは、アノードおよびカソードプロセスのターフェル勾配である。典型的には、α=0.5の場合、予想されるターフェル勾配は、一電子および二電子移動についてそれぞれ120および60mVである。しかし、より複雑な反応機構をもたらすさらなる要因は、より広い範囲の勾配をもたらすターフェルの式に対する補正を必要とする。
【0004】
OCPは交換電流の変化に関連しているため、これらのMP系の電位差測定応答を理解するためには、ターフェル勾配が重要である。交換電流の再調整をもたらすいかなる摂動も、試験される化学物質を含む溶液へのWE(作用電極)の曝露など、それらのターフェルプロットによる電極電位の変化をもたらす。これは、多くの金属電極のOCPがPtを含み、溶存酸素濃度に応答する理由である。酸素還元反応(ORR)は、
【数6】
多くの金属のMPにおけるiに対する主な原因の1つである。したがって、Oの濃度の変化がiを変更し、系を新しいMPにする。溶存Oの感度は、一部の青銅では-120mV/decade、Coでは40mV/decade、Cuでは56~80mV/decadeであり、この反応の異なる速度論的条件を反映しており、異なるターフェル勾配を生じる。溶存酸素センサとしてこれらの金属を使用することが提案されているが、電極上の活性部位の遮断、表面の改質、吸着などの交換電流に影響を及ぼす他の要因に対する厳密な制御が必要である。例えば、酸化コバルト表面上のリン酸アニオンによって生成される交換電流の変更に基づく電位差測定リン酸塩センサが報告されている(Meruva and Meyerhoff,Anal Chem 1996,68,2022-2026)。これは、これらの混合電位系の主要な能力の1つであり、また主要な弱点でもある。一方で、それらは、高い汎用性および潜在的に高い感度を提供することができる。他方で、それらは、分析的に有用であるために慎重に制御されなければならないいくつかの環境要因への強い依存を示す。
【0005】
Pt電極の場合、MPを分析する場合に考慮すべき2つの主な要因は、一方でカソードおよびアノード交換電流、および他方で表面状態である。カソードプロセスに関して、溶存Oの濃度によるOCPの強い依存は、iに対するORRの主な寄与を証明する。還元反応として、ORRが作用して電子を除去する。このため、ORR率の低下は、電極電位の低下として反映される。逆に、この反応の速度を増加させると、電位がより高い値に駆動される。一方、アノード反応は、通常、電極の表面上のPtの酸化に関連する。この反応は非常に低いターフェル勾配を有することが報告されており、これは、実用的な用語では、Pt電極のOCPがほとんどカソードプロセスによって制御されることを意味する。したがって、ORRのターフェル勾配は、OCPの感度を決定する重要な役割を果たす。しかし、アノードプロセスに関してより重要なことは、以下に説明するように、それがPtOの層を生成し、ORRを阻害することである。
【0006】
Pt上のORRは、燃料電池の性能の改善における制限要因であるため、過去数十年の間に大きな注目を集めてきた(I Katsunaros,WB Schneider,JC Meier,U Benedikt,PU Biedermann,AA Auer,KJJ Mayrhofer,Phys.Chem.Chem.Phys.,2012,14,7384)。反応の実際の機構は完全には解明されておらず、証拠は、条件に応じて異なる反応経路が起こり得ることを示唆している。Pt上のORRは緩慢であり、可逆的に進行しない。多電子反応として、ORRは、異なる中間段階を有する多くの基本ステップを含む(NM markovic,PN Ross Jr,surface Science Reports 2002,45,117)。酸素は、水に直接還元されてもよく(4電子経路)、または最初に過酸化水素に還元されてもよく、これは異なる反応を受け得る。最新のモデルおよび実験的証拠は、ORRの機構がPt上へのOの吸着の第1のステップを含むことを示唆している。そのとき、1電子移動は律速ステップである。これらの条件下では、120mV/decadesのターフェル勾配(Markovicら)が予想され得る。それにもかかわらず、多くの要因が反応速度論に影響を及ぼし得る。したがって、60および120mV/decadeのターフェル勾配が典型的に報告されているが、40~80mV/decadeの範囲の値を見つけることもできる。
【0007】
反応の第1のステップはOの吸着であるため、Pt電極の表面状態はMPに強い影響を与える。Pt上への種の競合的な吸着は、MarkovicおよびRossによって研究されており、硫酸アニオンおよび塩化物アニオンの存在下でORRを評価した。Ptに対するこの傍観種の効果も最近概説されている。一般に、金属の表面上のアニオンの吸着は酸素の吸着を阻止し、ORRを減少させ、したがってMPに影響を及ぼす。明らかに、分析的観点から、これは、溶液中で裸のPt電極を使用するための厳しい制限であり、その理由は、マトリックスが有意かつ様々な程度の干渉を生じるためである。
【0008】
ORRに対する最も厳しい阻害効果のいくつかは、酸素化種の存在によって生じる。水酸化物基の吸収は、例えば、ORRの活性部位を遮断する。このため、Ptの電気化学的挙動を制御する重要な因子は、表面酸化物被覆率である。水溶液に浸漬された清浄なPt表面は不安定であり、安定した電位に達するまで第1の金属層を迅速に酸化することが長い間知られている。したがって、Oは清浄なPt部位が吸着することを必要とするので、Ptは、電位依存性表面酸化物被覆率を示し、ORRに対する阻害効果を有する。この混合電位の酸化物層部の生成は、iに関与するためである。アノードプロセスは、おそらくそれが示すより低い動力学的障害のために、従来あまり注目されてこなかった。金属酸化は、
【数7】
水溶液中のPtの化学的性質の基本部分である。
【0009】
要約すると、Pt電極(または金もしくはコバルト電極)のOCPは、ORRが基本的な役割を果たすMP機構によって生成される。理想的な条件下では、ORRの速度論は、利用可能な遊離Pt部位への酸素吸着(および/または反応中間体の吸着エネルギーの変化)とそれに続く一電子移動によって制御され、120mVのターフェル勾配を生じる。それにもかかわらず、表面効果は、ORRを阻害する重要な役割を果たす。特に、還元される表面酸化物種の総量および性質(表面酸化の程度)が測定される電位に影響を及ぼすため、電位依存性表面酸化物被覆率は重大な影響を及ぼす。酸化物被覆率因子もまた、120mV/decades未満のターフェル勾配の値を説明するために使用されてきた。
【0010】
興味深いことに、ORRを遮断し得る酸素化種の1つは過酸化水素である。この分子は、(反応条件に応じて)ORR中で中間体としても見つけられ得、Pt上の表面に弱く吸着され、遊離活性部位を遮断する。Katsunarosは、過酸化物とPtとの相互作用の非電気化学的性質を強調している。過酸化物の添加前後の裸のPt電極のOCPは、電極電位の低下をもたらす。電極電位の低下は、以前に提案されているように、ORRの遮断の結果であり、酸化還元反応ではない。原則として、この応答は分析目的で使用することができるが、媒体の影響が応答に大きな影響を及ぼすことは明らかである。アニオンの濃度が増加すると、外来種の吸着度が高くなり、応答が低下する。
【0011】
最後に、とりわけ、MPの特徴は、電極の表面で化学種の連続的な生成および消費があり、これらの系を物質輸送現象に高度に依存させることである。任意の分析的に有用な手法は、電極の表面上の勾配の濃度を安定化し、外来種の干渉効果を最小限に抑えることによって任意に改善する。
【0012】
本発明では、発明者らは、Pt、金、またはコバルト電極(またはそれらの任意の混合物)の混合電位(MP)を使用して、従来的でない電位差測定手法を使用することによって過酸化水素またはリン酸塩関連化合物に対する電位差測定応答を提供する。従来の手法では、電位差測定センサまたはセルを使用することによる溶液中の化学種の検出のために、図5に反映されるように、2つの電極が溶液と接触しなければならず、特に作用電極および参照電極が溶液と接触しなければならない。このような要件により、これらの系は、系が効率的に動作するために使用される作用電極および参照電極の正確な選択に非常に依存する。
【0013】
しかし、本発明では、2つの電極(作用電極(WE)および参照電極(RE))間の回路を閉じるために溶液を使用する代わりに、本明細書に提示された結果から、電位差測定センサまたはセルが、試験される電解液の代わりにWEおよびREを接続するためにナフィオン高分子電解質ブリッジなどの高分子電解質ブリッジを使用することができ、そのような高分子電解質ブリッジが回路を効果的に閉じ、前記溶液中のHまたはリン酸塩関連化合物などの化学種の検出を可能にすることが確認される。そのような系は、非常に特殊な参照電極の選択に依存せず、容易に小型化することができる。発明者らの知る限り、これは溶液中の化学種の検出のためのこの種の構成についての最初の報告であり、そのような構成の概略図が図6に提供される。
【発明の詳細な説明】
【0014】
すでに示したように、本発明は、電位差測定センサまたはセルを使用することによる溶液中の化学種の検出のために、2つの電極が溶液と接触していなければならず、特に、作用電極および参照電極が、溶液と接触していなければならないという問題に直面している。このような要件により、これらの系は、系が効率的に動作するために使用される作用電極および参照電極の正確な選択に非常に依存する。本発明は、電位差測定センサまたはセルの各電極を、電極間に設けられた高分子電解質ブリッジによって接続することによってこの問題を解決し、電極間に設けられた高分子電解質ブリッジに接触する電極の各々の表面が、電位差測定回路を効果的に閉じることを可能にする。溶液の代わりに高分子電解質ブリッジを使用することによって電位差測定回路を効果的に閉じることにより、そのような電位差測定センサまたはセルは、あまり特定の参照電極の選択に依存せず、作用電極にも依存せず、容易に小型化することができる。
【0015】
すなわち、従来、電位差測定は、電解液によって接続された2つの電極(測定(作用)および参照電極)の使用を必要とするが、本発明では、このような測定は、試験される電解液の代わりに高分子電解質ブリッジによって接続された2つの電極(測定(作用)および参照電極)の使用を必要とする。次いで、電圧計は、通常、2つの電極間の電位差を測定し、電圧は、検体の濃度に関し、その存在および/または濃度が決定される。
【0016】
したがって、本発明の第1の態様は、水溶液中の過酸化水素の濃度を好ましくは選択的かつ直接的に決定するための電位差測定センサまたはセルのインビトロ使用を指し、電位差測定センサまたはセルが、
1.導電性材料を含む支持体を含む参照電極と、
2.白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む過酸化水素選択性電極とを含み、
電極の各々が、電極間に設けられた高分子電解質ブリッジによって他方に接続され、電極間に設けられた高分子電解質ブリッジに接触する電極の各々の表面が、電位差測定回路を効果的に閉じることを可能にし、
使用が、水溶液が作用電極と直接接触しており、水溶液を使用して2つの電極の過酸化水素選択性電極および参照電極(RE)間の電位差測定回路を閉じる代わりに、電位差測定セルが高分子電解質ブリッジを使用して電極を接続することを特徴とする。
【0017】
本発明のこの態様またはその関連する実施形態のいずれかにおいて、白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む過酸化水素選択性電極は、コバルトからなる多孔質レドックス高感度表面を含むホスフェート(またはホスフェート関連化合物)選択性電極によって任意に置き換えられ得ることに留意されたい。「リン酸関連化合物」 とは、本明細書では無機(PO4、H2PO4、HPO4)および有機、例えばアデノシン5-三リン酸(ATP)、アデノシン5-二リン酸(ADP)および高分子量ヌクレオチド、リン酸化合物と理解される。
【0018】
本発明の文脈において、「水溶液」または「電解液」という用語は、好ましくは全血、好ましくは無希釈全血、細胞内液、唾液、脳脊髄液、血清、血漿、汗、および尿などの生体液として理解されることにさらに留意されたい。より好ましくは、前記溶液は全血、特に無希釈全血である。上記の使用は、新規な構成によれば、図2の右に示すように、減少した体積での検出を可能にすることを強調することが特に重要である。使用は、好ましくは約50μLの一滴で行われ、体積を2桁減少させる。注目すべきことに、幾何学的最適化に基づいて、1μLまで体積をさらに減少させることが可能である。検出のための液滴使用は、2つの電極間にブリッジを形成する必要はないが、少なくとも作用電極と接触していなければならない。
【0019】
本発明のこの第1の態様の好ましい実施形態では、過酸化水素選択性電極が、参照電極の真上に配置されている。
【0020】
本発明のこの第1の態様の別の好ましい実施形態では、過酸化水素選択性電極が、白金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む。
【0021】
本発明のこの第1の態様の別の好ましい実施形態では、電極を接続する高分子電解質ブリッジが、ペルフルオロスルホン酸アイオノマーを含むか、またはペルフルオロスルホン酸アイオノマーからなる。
【0022】
本発明のこの第1の態様の別の好ましい実施形態では、電極を接続する高分子電解質ブリッジが、ナフィオンまたはアクイビオンを含むか、またはナフィオンまたはアクイビオンからなる、好ましくはナフィオンを含むか、またはナフィオンからなる。
【0023】
本発明のこの第1の態様の別の好ましい実施形態では、参照電極が、銀、白金、金、ニッケル、亜鉛、銅、アルミニウム、および炭素からなるリストのいずれかから選択される導電性材料を含む支持体を含む。
【0024】
本発明のこの第1の態様の別の好ましい実施形態では、参照電極および過酸化水素選択性電極が、同じ材料、好ましくは金または白金からなる。
【0025】
本発明のこの第1の態様の別の好ましい実施形態では、電極を接続する高分子電解質ブリッジが、ペルフルオロスルホン酸アイオノマーまたはポリアンモニウムアイオノマーなどの高分子電解質を含む、高分子電解質からなる(consists of)、または高分子電解質からなる(is made of)。好ましい高分子電解質は、ナフィオン、ポリエチレンイミン(PEI)またはポリアジリジンからなるリストから選択されるものであり、ポリアジリジンは、アミン基および2つの炭素脂肪族CH2CH2スペーサーから構成される繰り返し単位を有するポリマーである。
【0026】
本発明のこの第1の態様の別の好ましい実施形態では、酸形態の2つのPFSA(ペルフルオロスルホン酸)アイオノマーを高分子電解質ブリッジに好ましく使用することができる:長側鎖PFSA;当量EW=1000g/eqを有するナフィオン(商標)NR-40、またはEW=830g/eqを有する短側鎖PFSAアクイビオン(商標)。
【0027】
ペルフルオロスルホン酸(PFSA)アイオノマーは、式(I)の化学部分を有するポリマーである。
【化1】
【0028】
好ましいクラスのペルフルオロスルホン酸アイオノマーは、式(II)のPFSA-ポリテトラフルオロエチレンコポリマーであり、
【化2】
式中、x、y、m、およびnは繰り返し単位の数を表す。xおよびyはそれぞれテトラフルオロエチレンおよびペルフルオロスルホン酸繰り返し単位の数であり、mおよびnはペルフルオロスルホン酸ブロックの側鎖の繰り返し単位である。xおよびyは、当量に依存する。本技術分野で公知のPFSAであるナフィオン(商標)アイオノマーの場合、当量(EW)とmとの関係は、EW=100x+446であり、その結果、側鎖は、EW=1100のアイオノマーにおいて約14 CF単位だけ分離される。好ましくは、繰り返し単位xおよびyの数は、各yについて15×単位未満であり、mおよびnの値は0~5の整数である。本技術分野で公知のPFSAコポリマーの例は、ナフィオン(商標):m=1およびn=1、フレミオン(商標):m=0または1およびn=1~5、アシプレックス(商標):m=0または3およびn=2~5、3M(商標)アイオノマー:m=0およびn=2、アクイビオン(商標):m=0およびn=1である。
【0029】
本発明のこの第1の態様のさらに別の好ましい実施形態では、過酸化水素選択性電極が、白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面と、前記レドックス高感度表面上のプロトン交換膜の少なくとも1つの層とを含み、前記プロトン交換膜の層が式(II)のコポリマーを含み、
【化3】
式中、x、y、m、およびnは繰り返し単位の数を表し、m=0、n=1であり、繰り返し単位の数xおよびyは、各yについて15×単位未満であるものである。好ましくは、前記プロトン交換膜の層が、式II(式中、m=1およびn=1、またはm=0もしくは1およびn=1~5、またはm=0もしくは3およびn=2~5、またはm=0およびn=2、ならびにxおよびyが、各yについて15×単位未満であるものである)のものから選択されるさらなるPFSAコポリマーとの混合物をさらに含むかまたは適合させる。好ましくは、前記プロトン交換膜の層が、その中に封入されたグルコースオキシダーゼまたはその生成物として過酸化水素を有する任意のオキシダーゼをさらに含む。
【0030】
さらに、本発明のこの第1の態様のさらに別の好ましい実施形態は、本発明の前述の態様のインビトロ使用を指し、前記電位差測定センサまたはセルが、好ましくは選択性電極および参照電極を含む紙製の支持体を含み、したがって紙ベースのセンサを提供する。しかし、プラスチック、ゴム、および織物などの他の支持体を使用して本発明を実施することができることに留意されたい。もちろん、そのような紙ベースのセンサは、例えば、水溶液中の過酸化水素の濃度を選択的かつ直接決定するために使用することができ、好ましくは、前記水溶液は、全血、好ましくは無希釈全血、細胞内液、唾液血清、および尿などの生体液であることにさらに留意されたい。特に、水溶液中の過酸化水素の濃度の前記選択的かつ直接的な決定は、前記溶液中のグルコース、ガラクトース、コレステロール、尿酸、乳酸、およびアミノ酸の濃度を決定する。
【0031】
本発明の第2の態様は、水溶液中の過酸化水素の濃度を好ましくは選択的かつ直接的に決定するインビトロ方法を指し、
方法が、
a.水溶液を電位差測定センサまたはセルの過酸化水素選択性電極と接触させて提供するステップであり、電位差測定センサまたはセルが、
i.導電性材料を含む支持体を含む参照電極と、
ii.白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む過酸化水素選択性電極とを含み、
過酸化水素選択性電極が、好ましくは、参照電極の真上に配置され、
電極の各々が、電極間に設けられた高分子電解質ブリッジによって他方に接続され、電極間に設けられた高分子電解質ブリッジに接触する電極の各々の表面が、電位差測定回路を効果的に閉じることを可能にし、
電極を接続する高分子電解質ブリッジが、ペルフルオロスルホン酸アイオノマーまたはポリアンモニウムアイオノマーなどの高分子電解質を含むか、または高分子電解質からなる、ステップと、
b.参照電極と過酸化水素選択性電極との間の電位差を測定するステップと、
c.好ましくは電圧計を用いて電位差を評価することによって水溶液中の過酸化水素の濃度を決定するステップとを含み、
方法が、水溶液を使用して2つの電極の過酸化水素選択性電極および参照電極(RE)間の電位差測定回路を閉じる代わりに、電位差測定セルが溶液の代わりに高分子電解質ブリッジを使用して電極を接続することを特徴とする。
【0032】
本発明のこの態様またはその関連する実施形態のいずれかにおいて、白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む過酸化水素選択性電極は、コバルトからなる多孔質レドックス高感度表面を含むホスフェート(またはホスフェート関連化合物)選択性電極によって任意に置き換えられ得ることに留意されたい。
【0033】
本発明のこの第2の態様の好ましい実施形態では、過酸化水素選択性電極が、白金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む。
【0034】
本発明のこの第2の態様の別の好ましい実施形態では、電極を接続する高分子電解質ブリッジが、ペルフルオロスルホン酸アイオノマーを含むか、またはペルフルオロスルホン酸アイオノマーからなる。
【0035】
本発明のこの第2の態様の別の好ましい実施形態では、電極を接続する高分子電解質ブリッジが、ナフィオンまたはアクイビオンを含むか、またはナフィオンまたはアクイビオンからなる、好ましくはナフィオンを含むか、またはナフィオンからなる。
【0036】
本発明のこの第2の態様の別の好ましい実施形態では、参照電極が、銀、白金、金、ニッケル、亜鉛、銅、アルミニウム、および炭素からなるリストのいずれかから選択される導電性材料を含む支持体を含む。
【0037】
本発明のこの第2の態様の別の好ましい実施形態では、参照電極および過酸化水素選択性電極が、同じ材料、好ましくは金または白金からなる。
【0038】
本発明のこの第2の態様のさらに別の好ましい実施形態では、過酸化水素選択性電極が、白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面と、前記レドックス高感度表面上のプロトン交換膜の少なくとも1つの層とを含み、前記プロトン交換膜の層が式(II)のコポリマーを含み、
【化4】
式中、x、y、m、およびnは繰り返し単位の数を表し、m=0、n=1であり、繰り返し単位の数xおよびyは、各yについて15×単位未満であるものである。好ましくは、前記プロトン交換膜の層が、式II(式中、m=1およびn=1、またはm=0もしくは1およびn=1~5、またはm=0もしくは3およびn=2~5、またはm=0およびn=2、ならびにxおよびyが、各yについて15×単位未満であるものである)のものから選択されるさらなるPFSAコポリマーとの混合物をさらに含むかまたは適合させる。好ましくは、前記プロトン交換膜の層が、その中に封入されたグルコースオキシダーゼまたはその生成物として過酸化水素を有する任意のオキシダーゼをさらに含む。
【0039】
さらに、本発明のこの第2の態様のさらに別の好ましい実施形態は、本発明の前述の態様のインビトロ方法を指し、前記電位差測定センサまたはセルが、好ましくは選択性電極および参照電極を含む紙製の支持体を含み、したがって紙ベースのセンサを提供する。しかし、プラスチック、ゴム、および織物などの他の支持体を使用して本発明を実施することができることに留意されたい。もちろん、そのような紙ベースのセンサは、例えば、水溶液中の過酸化水素の濃度を選択的かつ直接決定するために使用することができ、好ましくは、前記水溶液は、全血、好ましくは無希釈全血、細胞内液、唾液血清、および尿などの生体液であることにさらに留意されたい。特に、水溶液中の過酸化水素の濃度の前記選択的かつ直接的な決定は、前記溶液中のグルコース、ガラクトース、コレステロール、尿酸、乳酸、およびアミノ酸の濃度を決定する。
【0040】
本発明の第3の態様は、溶液中の過酸化水素またはリン酸塩関連化合物などの化学種を選択的に測定するのに適した電位差測定センサまたはセルを指し、
a.銀、白金、金、ニッケル、亜鉛、銅、アルミニウム、または炭素などの導電性材料を含む支持体を含む参照電極と、
b.白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む過酸化水素選択性電極、またはコバルトからなる多孔質レドックス高感度表面を含むホスフェート(またはホスフェート関連化合物)選択性電極とを含み、
電極は、好ましくは、他の電極の真上に配置され、電極の各々は、電極間に設けられた高分子電解質ブリッジによって他の電極に接続される。
【0041】
本発明のこの態様の好ましい実施形態では、電極を接続する高分子電解質ブリッジが、ペルフルオロスルホン酸アイオノマーまたはポリアンモニウムアイオノマーなどの高分子電解質を含む、高分子電解質からなる(consists of)、または高分子電解質からなる(is made of)。好ましい高分子電解質は、ナフィオン、ポリエチレンイミン(PEI)またはポリアジリジンからなるリストから選択されるものであり、ポリアジリジンは、アミン基および2つの炭素脂肪族CH2CH2スペーサーから構成される繰り返し単位を有するポリマーである。
【0042】
本発明のこの態様の別の好ましい実施形態では、酸形態の2つのPFSA(ペルフルオロスルホン酸)アイオノマーを高分子電解質ブリッジに好ましく使用することができる:長側鎖PFSA;当量EW=1000g/eqを有するナフィオン(商標)NR-40、またはEW=830g/eqを有する短側鎖PFSAアクイビオン(商標)。
【0043】
既に述べたように、好ましいクラスのペルフルオロスルホン酸アイオノマーは、式(II)のPFSA-ポリテトラフルオロエチレンコポリマーであり、
【化5】
式中、x、y、m、およびnは繰り返し単位の数を表す。xおよびyはそれぞれテトラフルオロエチレンおよびペルフルオロスルホン酸繰り返し単位の数であり、mおよびnはペルフルオロスルホン酸ブロックの側鎖の繰り返し単位である。xおよびyは、当量に依存する。本技術分野で公知のPFSAであるナフィオン(商標)アイオノマーの場合、当量(EW)とmとの関係は、EW=100x+446であり、その結果、側鎖は、EW=1100のアイオノマーにおいて約14 CF単位だけ分離される。好ましくは、繰り返し単位xおよびyの数は、各yについて15×単位未満であり、mおよびnの値は0~5の整数である。本技術分野で公知のPFSAコポリマーの例は、ナフィオン(商標):m=1およびn=1、フレミオン(商標):m=0または1およびn=1~5、アシプレックス(商標):m=0または3およびn=2~5、3M(商標)アイオノマー:m=0およびn=2、アクイビオン(商標):m=0およびn=1である。
【0044】
本発明の第3の態様の好ましい実施形態は、溶液中の過酸化水素またはリン酸塩関連化合物を選択的に測定するのに適した電位差測定センサまたはセルを指し、
a.銀、白金、金、ニッケル、亜鉛、銅、アルミニウム、または炭素などの導電性材料を含む支持体を含む参照電極と、
b.白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面と、前記レドックス高感度表面上のプロトン交換膜の少なくとも1つの層とを含む過酸化水素選択性電極、または、コバルトからなる多孔質レドックス高感度表面と、前記レドックス高感度表面上のプロトン交換膜の少なくとも1つの層とを含むホスフェート関連化合物選択性電極とを含み、
電極は、好ましくは、他の電極の真上に配置され、電極の各々は、電極間に設けられた高分子電解質ブリッジによって他の電極に接続され、
前記プロトン交換膜の層が式(II)のコポリマーを含み、
【化6】
式中、x、y、m、およびnは繰り返し単位の数を表し、m=0、n=1であり、繰り返し単位の数xおよびyは、各yについて15×単位未満であるものである。
【0045】
このようなプロトン交換膜の層は、電極の表面上の勾配の濃度を安定化し、外来種の干渉効果を最小限に抑えるのに役立つ。
【0046】
好ましくは、本発明の第3の態様の上記実施形態のいずれかに記載のプロトン交換膜の層が、式II(式中、m=1およびn=1、またはm=0もしくは1およびn=1~5、またはm=0もしくは3およびn=2~5、またはm=0およびn=2、ならびにxおよびyが、各yについて15×単位未満であるものである)のものから選択されるさらなるPFSAコポリマーとの混合物をさらに含むかまたは適合させる。
【0047】
本発明のこの第3の態様またはその好ましい実施形態のいずれかのさらに別の好ましい実施形態では、プロトン交換膜の層は、その中に封入されたグルコースオキシダーゼまたはその生成物として過酸化水素を含む任意のオキシダーゼをさらに含む。
【0048】
本発明の第3の態様のなおさらに好ましい実施形態は、選択性電極および参照電極を含む水溶液中の過酸化水素を選択的に測定することができる電位差測定センサまたはセルを指し、選択性電極が、白金または金からなるレドックス高感度表面と、本発明のこの態様の異なる実施形態で定義されるような前記レドックス高感度表面上のプロトン交換膜の任意に少なくとも1つの層とを含む。好ましくは、前記過酸化水素電位差測定セルは、
a.メタノールなどの適切な溶媒に溶解した塩化ナトリウムおよびPVBを含む膜が堆積されたAg/AgClなどの導電材料を含む参照電極と、
b.白金または金からなるレドックス高感度表面と、本発明の第1の態様またはその好ましい実施形態のいずれかにおいて定義されるような前記レドックス高感度表面上のプロトン交換膜の少なくとも1つの層とを含む過酸化水素選択性電極とを含む。
【0049】
PVBまたはButvar B-98は、分子量が40000~70000g/molであり、ブチリル含有量がポリビニルブチリルの総重量当たり78~80重量%(w/w)であり、ヒドロキシル含有量が18~20%(w/w)であり、酢酸塩が2.5%未満、好ましくは1.5~2.5%(w/w)であるポリビニルブチリルとして理解されることに留意されたい。
【0050】
本発明のこの第3の態様のより具体的な代替実施形態は、水溶液中の過酸化水素の濃度を好ましくは選択的かつ直接的に決定するための電位差測定センサまたはセルを指し、
電位差測定センサまたはセルが、
i.導電性材料を含む支持体を含む参照電極と、
ii.白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む過酸化水素選択性電極とを含み、
電極の各々が、電極間に設けられた高分子電解質ブリッジによって他方に接続され、電極間に設けられた高分子電解質ブリッジに接触する電極の各々の表面が、電位差測定回路を効果的に閉じることを可能にし、その結果、水溶液を使用して2つの電極の過酸化水素選択性電極および参照電極(RE)間の電位差測定回路を閉じる代わりに、電位差測定セルは、電極を接続するために高分子電解質ブリッジを使用する。
【0051】
本発明のこの代替実施形態の好ましい実施形態では、電位差測定セルは、水溶液が過酸化水素選択性電極と接触し、2つの電極間の電位差測定回路を閉じないように構成される。水溶液が主に過酸化水素選択性電極と接触している図6を参照されたい。
【0052】
本発明のこの代替実施形態の別の好ましい実施形態では、過酸化水素選択性電極が、白金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む。
【0053】
本発明のこの代替実施形態の別の好ましい実施形態では、電極を接続する高分子電解質ブリッジが、ペルフルオロスルホン酸アイオノマーを含むか、またはペルフルオロスルホン酸アイオノマーからなる。
【0054】
本発明のこの代替実施形態の別の好ましい実施形態では、電極を接続する高分子電解質ブリッジが、ナフィオンまたはアクイビオンを含むか、またはナフィオンまたはアクイビオンからなる、好ましくはナフィオンを含むか、またはナフィオンからなる。
【0055】
本発明のこの代替実施形態の別の好ましい実施形態では、参照電極が、銀、白金、金、ニッケル、亜鉛、銅、アルミニウム、および炭素からなるリストのいずれかから選択される導電性材料を含む支持体を含む。
【0056】
本発明のこの代替実施形態の別の好ましい実施形態では、参照電極および過酸化水素選択性電極が、同じ材料、好ましくは金または白金からなる。
【0057】
本発明のこの代替実施形態の別の好ましい実施形態では、過酸化水素選択性電極が、白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面と、前記レドックス高感度表面上のプロトン交換膜の少なくとも1つの層とを含み、前記プロトン交換膜の層が式(II)のコポリマーを含み、
【化7】
式中、x、y、m、およびnは繰り返し単位の数を表し、m=0、n=1であり、繰り返し単位の数xおよびyは、各yについて15×単位未満であるものである。好ましくは、前記プロトン交換膜の層が、式II(式中、m=1およびn=1、またはm=0もしくは1およびn=1~5、またはm=0もしくは3およびn=2~5、またはm=0およびn=2、ならびにxおよびyが、各yについて15×単位未満であるものである)のものから選択されるさらなるPFSAコポリマーとの混合物をさらに含むかまたは適合させる。好ましくは、前記プロトン交換膜の層が、その中に封入されたグルコースオキシダーゼまたはその生成物として過酸化水素を有する任意のオキシダーゼをさらに含む。
【0058】
最後に、本発明のこの第3の態様のさらに別の好ましい実施形態は、本発明の前述の態様の電位差測定センサまたはセルを指し、前記電位差測定センサまたはセルが、好ましくは選択性電極および参照電極を含む紙製の支持体を含み、したがって紙ベースのセンサを提供する。しかし、プラスチック、ゴム、および織物などの他の支持体を使用して本発明を実施することができることに留意されたい。もちろん、そのような紙ベースのセンサは、例えば、水溶液中の過酸化水素の濃度を選択的かつ直接決定するために使用することができ、好ましくは、前記水溶液は、全血、好ましくは無希釈全血、細胞内液、唾液血清、および尿などの生体液であることにさらに留意されたい。特に、水溶液中の過酸化水素の濃度の前記選択的かつ直接的な決定は、前記溶液中のグルコース、ガラクトース、コレステロール、尿酸、乳酸、およびアミノ酸の濃度を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】過酸化水素検出用(右)およびグルコース検出用(左)の紙ベースのセンサ構成、a.ナフィオン(商標)5%膜、b.Ptスパッタリング紙ストリップ、c.ナフィオン(商標)10%、d.導電性紙ストリップ、e.プラスチックマスク、f.GOx酵素。左側はセンサの構成要素であり、右側は組み立てられたセンサである。
図2】PBS中の過酸化水素の濃度に対するセンサの応答時間(対数単位):左)時間2500~4000秒は、5mL容量のセル内のセンサを指し、右)時間4500~6500秒は、50μL容量の液滴を指す。
図3】センサの検量線(図2からのデータに対応する)溶液(PBS5mL)および液滴(PBS50uL)で得られた青色データ
図4】a)グルコースセンサの時間トレースおよびb)PBS(5mL)での対応する検量線。
図5】電位差測定センサを使用することによる溶液中の化学種の検出のための従来の手法。
図6】そのような提案された構成の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下の実施例は、本発明を例示するにすぎず、本発明を限定するものではない。
実施例
【0061】
材料および方法
本発明では、金属スパッタ紙を作用電極および参照電極に使用し、ナフィオン膜を導電性媒体として使用する新しいセル配列が、過酸化水素検出用の紙ベースの電位差測定全固体センサ、すなわちオキシダーゼ酵素反応のバイオマーカーならびにモデルバイオマーカーとしてのグルコースの構築に適用される。
【0062】
実験セクション
試薬ナフィオン(商標)117溶液(低級脂肪族アルコールと水の混合物中10%);グルコースオキシダーゼ(GOx)(アスペルギルス・ニガー製タイプX-S、凍結乾燥粉末(100000万~250000単位/g)D-グルコース);過酸化水素(30重量%水中)およびD-グルコース(Glu)は、シグマアルドリッチから購入した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH=7.4(0.1MのNaCl、0.003MのKCl、0.1MのNa2HPO4、0.02MのK2HPO4)を、18.2MΩcm-1二重脱イオン水(Milli-Q水系、Merck Millipore)を使用して調製した。
【0063】
スパッタされた白金紙Whatman(商標)グレード5の定性濾紙の円周物を、3mTorrで65秒間、200Wで操作する高周波スパッタリングプロセス(ATC Orion 8-HV、AJA International)を用いてPtでコーティングした。
【0064】
紙センサ構造(図1)。2つの導電性紙ストリップを使用し、すなわち、上部ストリップ(Ptスパッタリング紙製)は、WE(作用電極)として作用する;下側ストリップは、参照電極(RE)として作用する導電性紙である。WEおよびREを、一滴のナフィオン(商標)10%を使用して接着する(プラスチックマスクの間に挟む)。最後に、一滴のナフィオン(商標)5%が電気化学的活性ウィンドウ上に位置し、WEの露出領域を覆う。全ての場合において、導電性紙ストリップを0.4cmの幅で切断した。
【0065】
結果
溶液中および液滴中の過酸化水素検出
図2は、PBS(5mLセル)中のH2O2の添加に対する新規なセンサの応答および検量線を示す。ブリッジは実際に、作用電極を参照電極 に接続する(ナフィオン溶液)。添加は、-5~-3の線形範囲で-90mV/decadeの感度で負の応答(-7~-1)を与える(図3は、対応する検量線を報告する)。重要なことに、これらの結果から、提案された電位差測定セルは、溶液の代わりにWEおよびREを接続するためにナフィオンを使用し、回路を効果的に閉じ、溶液中のH2O2の検出を可能にすることが確認される。発明者らの知る限り、これは溶液中の化学種の検出のためのこの種の構成についての最初の報告である。
【0066】
さらに、新規な構成は、図2の右に示すように、減少した体積での検出を可能にする。検出は、体積を2桁減少させる50μLの一滴で行った。注目すべきことに、幾何学的最適化に基づいて、1μLまで体積をさらに減少させることが可能である。分析図は、シフトした線形範囲を有するが、溶液中のものと同等である。ここでの感度は、-4~-2の線形範囲で100mV/decであった。さらに、線形範囲は血糖の臨床範囲に対応し、したがって最も重要である。
【0067】
グルコース検出
さらに、グルコースセンサを構築し、作用電極によって検出されるH2O2を生成する溶液に添加されたグルコースの酸化に触媒作用を及ぼすように、GOx酵素をナフィオンの第1の層に捕捉した。図4aは、人工血清(AS)で得られたタイムトレースを示す。予想通り、測定されたEMFはグルコース濃度の増加と共に減少する(線形範囲-3.5~-2.5において-53mV/decの感度)。したがって、この結果から、新しい構成が他の報告されたグルコースバイオセンサと同様の分析性能を有する実際の用途に使用できることが確認される。
【0068】
第1項
溶液中の過酸化水素を選択的に測定するのに適した電位差測定セルであって、
a.導電性材料を含む支持体を含む参照電極と、
b.白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む過酸化水素選択性電極とを含み、
前記過酸化水素選択性電極が、前記参照電極の真上に配置され、前記電極の各々が、前記電極間に設けられた高分子電解質ブリッジによって他方に接続され、前記電極間に設けられた前記高分子電解質ブリッジに接触する前記電極の各々の表面が、回路を効果的に閉じることを可能にし、溶液中の前記化学種の検出を可能にし、
前記電極を接続する前記高分子電解質ブリッジが、ペルフルオロスルホン酸アイオノマーまたはポリアンモニウムアイオノマーなどの高分子電解質を含むか、または高分子電解質からなる、電位差測定セル。
【0069】
第2項
前記過酸化水素選択性電極が、白金からなる多孔質レドックス高感度表面を含む、第1項に記載の電位差測定セル。
【0070】
第3項
前記電極を接続する前記高分子電解質ブリッジが、ペルフルオロスルホン酸アイオノマーを含むか、またはペルフルオロスルホン酸アイオノマーからなる、第1項または第2項に記載の電位差測定セル。
【0071】
第4項
前記電極を接続する前記高分子電解質ブリッジが、ナフィオンまたはアクイビオンを含むか、またはナフィオンまたはアクイビオンからなる、好ましくはナフィオンを含むか、またはナフィオンからなる、第3項に記載の電位差測定セル。
【0072】
第5項
前記電極を接続する前記高分子電解質ブリッジが、ナフィオンを含むか、またはナフィオンからなる、第3項に記載の電位差測定セル。
【0073】
第6項
前記参照電極が、銀、白金、金、ニッケル、亜鉛、銅、アルミニウム、および炭素からなるリストのいずれかから選択される導電性材料を含む支持体を含む、第1項~第5項のうちのいずれかに記載の電位差測定セル。
【0074】
第7項
前記過酸化水素選択性電極が、白金または金からなる多孔質レドックス高感度表面と、前記レドックス高感度表面上のプロトン交換膜の少なくとも1つの層とを含み、
前記プロトン交換膜の層が式(II)のコポリマーを含み、
【化8】
式中、x、y、m、およびnは繰り返し単位の数を表し、m=0、n=1であり、繰り返し単位の数xおよびyは、各yについて15×単位未満であるものである、第1項~第6項のうちのいずれかに記載の電位差測定セル。
【0075】
第8項
前記プロトン交換膜の層が、式II(式中、m=1およびn=1、またはm=0もしくは1およびn=1~5、またはm=0もしくは3およびn=2~5、またはm=0およびn=2、ならびにxおよびyが、各yについて15×単位未満であるものである)のものから選択されるさらなるPFSAコポリマーとの混合物をさらに含むかまたは適合させる、第7項に記載の電位差測定セル。
【0076】
第9項
前記プロトン交換膜の層が、その中に封入されたグルコースオキシダーゼまたはその生成物として過酸化水素を有する任意のオキシダーゼをさらに含む、第7項または第8項に記載の電位差測定セル。
【0077】
第10項
水溶液中の過酸化水素の濃度を選択的かつ直接的に決定するための、第1項~第9項のうちのいずれかに記載の電位差測定セルのインビトロ使用。
【0078】
第11項
前記水溶液が、全血、好ましくは非希釈全血、細胞内液、唾液、脳脊髄液、血清、血漿、汗、および尿などの生体液である、第10項に記載のインビトロ使用。
図1
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図3
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図5
図6