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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-13
(45)【発行日】2025-03-24
(54)【発明の名称】電極用集電体
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/66 20060101AFI20250314BHJP
   H01M 50/583 20210101ALI20250314BHJP
   H01M 4/70 20060101ALI20250314BHJP
【FI】
H01M4/66 A
H01M50/583
H01M4/70 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022566402
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 KR2021015962
(87)【国際公開番号】W WO2022108204
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0154532
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521018683
【氏名又は名称】ユーアンドエス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,スン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ヨン フン
【審査官】窪田 陸人
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0099314(KR,A)
【文献】特開2010-238410(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0319312(US,A1)
【文献】韓国公開特許第1997-0051620(KR,A)
【文献】国際公開第2012/121972(WO,A1)
【文献】特開2019-194949(JP,A)
【文献】特開2007-250301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/64-84
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子フィルムと、
前記高分子フィルムの上面又は下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材とを含み、
前記導電材は、相対的に厚さの薄い部分と相対的に厚さの厚い部分を含み、
絡発生時に、前記導電材の厚さの薄い部分は、その全体厚さにわたって厚さ方向に沿って完全に腐食または割れながら短絡電流を遮断することを特徴とする電極用集電体。
【請求項2】
高分子フィルムと、
前記高分子フィルムの上面又は下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材とを含み、
前記高分子フィルムは、前記高分子フィルムの表面から陽刻で突出した部分または前記高分子フィルムの表面から陰刻で陥没した部分を含み、陽刻で突出した部分または陰刻で陥没した部分は高分子フィルムの一部として高分子フィルムと一体に形成され、
前記導電材は、相対的に厚さの薄い部分と相対的に厚さの厚い部分とを含み、
前記導電材の厚さの薄い部分は、前記高分子フィルムの表面から陽刻で突出した部分の垂直面または前記高分子フィルムの表面から陰刻に陥没した部分の垂直面に形成され、
短絡発生時、前記導電材のうち厚みが薄い部分は、その全体厚さにわたって厚さ方向に沿って完全に腐食または割れながら短絡電流を遮断することを特徴とする電極用集電体。
【請求項3】
前記導電材は、前記高分子フィルムの面方向に沿って形成された厚さの薄い部分を含む、又は、前記高分子フィルムの面方向と垂直な方向に沿って形成された厚さの薄い部分を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電極用集電体。
【請求項4】
前記高分子フィルムの表面から陽刻で突出した部分は、前記高分子フィルムに形成された段差部または前記高分子フィルムの表面から陰刻で陥没した部分を含むことを特徴とする請求項3に記載の電極用集電体。
【請求項5】
前記導電材のうち前記厚さの薄い部分は、他の部分の厚さに対して70%以下の厚さで形成されることを特徴とする請求項3に記載の電極用集電体。
【請求項6】
前記導電材のうち前記厚さの薄い部分は、0.4μm以下の厚さで形成されることを特徴とする請求項3に記載の電極用集電体。
【請求項7】
前記導電材のうち前記厚さの薄い部分は、前記高分子フィルムに設けられた前記導電材を上から見た時に閉曲線又は閉多角形状で形成されることを特徴とする請求項3に記載の電極用集電体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極用集電体に関し、さらに詳しくは、高分子フィルムに設けられた導電材金属の一部分が他の部分より薄く形成されることで、短絡時の電池の過熱現象を防止するか短絡電流パスを遮断するなどの電気化学的ヒューズ機能を発揮する電極用集電体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二次電池の需要が急激に増加しており、かかる二次電池のうち高いエネルギー密度と作動電位を表し、自然放電率の低いリチウム二次電池が商用化されている。
【0003】
リチウム金属二次電池は、最初に商用化された二次電池であり、リチウム金属を陰極(負極)として使用する。しかし、リチウム金属二次電池は、リチウム金属陰極(負極)の表面に形成されるリチウム樹枝状によってセルの体積膨張、容量およびエネルギー密度の漸進的な減少、樹枝状の持続成長に伴う短絡発生、サイクル寿命の減少とセル安定性の問題(爆発及び発火)があり、商用化以来わずか何年で生産が中断された。そこで、リチウム金属の代わりに、より安定し、格子や空の空間内にリチウムをイオン状態で安定して貯蔵することができる炭素系陰極(負極)が使用され、前記炭素系陰極(負極)の使用により本格的なリチウム二次電池の商用化および普及が進行された。
【0004】
現在までリチウム二次電池は、炭素系又は非炭素系陰極(負極)素材が主流をなしており、大部分の陰極(負極)材の開発は、炭素系(黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンなど)と非炭素系(シリコーン、スズ、チタン酸化物など)の素材に集中している。
【0005】
一方、最近では、携帯用電子機器及び情報通信機器が小型化されるにつれて、これらを駆動するための超小型電源システムとしてリチウム二次電池の利用が大きく期待されている。
【0006】
さらに、最近では、柔軟性(Flexibility)、低価格、製作容易性などの長所を利用した高分子系電子機器及び素子の開発及び研究が活発に進行されている。従って、小型化された機器に使用するためには、リチウム二次電池のエネルギー密度または性能は維持しつつも、電池の厚さまたは重さを減らす必要がある。
【0007】
また、リチウム二次電池の厚さまたは重さを減らしても、短絡発生時に電流パスを遮断または破壊することでリチウム二次電池の安全性を高める必要がある。
【0008】
特に、2Ah以上のエネルギーを貯蔵できる大容量リチウム二次電池の場合、短絡が発生する場合に短絡電流を減らすか遮断することができる電池安全化技術がさらに必要な実情である。
【0009】
本出願人は、上記のような問題点を解決するために、本発明を提案するようになった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ホイルからなる集電体と比較して、厚さまたは重さを減らすことができると同時に、内部短絡または外部短絡の発生時にヒューズのような機能をすることで、温度上昇を防止し電池の安全性を高めることができる電極用集電体を提供する。
【0011】
また、本発明は、大型リチウム二次電池において、短絡発生時に陽極(正極)電極用集電体が反対極集電体と面接触をするため、短絡電流が遮断できないことを防止することができる電極用集電体を提供する。
【0012】
また、本発明は、短絡発生時にアルミニウム導電材が厚さ方向に完全に腐食するか割れないため、短絡電流が遮断できないことを防止することができる電極用集電体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記のような課題を達成するために、本発明の一実施例に係る電極用集電体は、高分子フィルムと、前記高分子フィルムの上面又は下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材とを含み、前記導電材は、相対的に厚さの薄い部分と相対的に厚さの厚い部分を含むことができる。
【0014】
前記導電材は、相対的に厚さの薄い部分を含み、前記厚さの薄い部分で電気化学的ヒューズの機能又は短絡電流の遮断機能を行うことができる。
【0015】
前記導電材は、前記高分子フィルムの面方向に沿って形成された厚さの薄い部分を含むか、前記高分子フィルムの面方向と垂直な方向に沿って形成された厚さの薄い部分を含むことができる。
【0016】
前記導電材の厚さの薄い部分は、前記導電材の表面から陰刻で陥没した部分の水平面、又は表面から陽刻で突出した部分の垂直面に形成されることができる。
【0017】
前記高分子フィルムは、前記高分子フィルムの表面から陰刻で陥没した部分を含むか、前記高分子フィルムの表面から陽刻で突出した部分を含むことができる。
【0018】
前記高分子フィルムの表面から陰刻で陥没した部分の水平面に形成された導電材、又は前記高分子フィルムの表面から陽刻で突出した部分の垂直面に形成された導電材は、他の部分より厚さが薄く形成されることができる。
【0019】
前記高分子フィルムの表面から陽刻で突出した部分は、前記高分子フィルムに形成された段差部を含むか、前記高分子フィルムの表面に付着したポリマーを含むことができる。
【0020】
前記導電材のうち前記厚さの薄い部分は、他の部分の厚さに対して70%以下の厚さで形成されることができる。
【0021】
前記導電材のうち前記厚さの薄い部分は、0.4μm以下の厚さで形成されることができる。
【0022】
前記導電材のうち前記厚さの薄い部分は、前記高分子フィルムに設けられた前記導電材を上から見た時に閉曲線又は閉多角形状で形成されることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る電極用集電体は、金属ホイルの代わりに不導体からなる高分子フィルムを利用し、高分子フィルムの表面に導電材をコーティング又はメッキ層を形成するため、金属ホイルからなる集電体より厚さを減らすことができる。
【0024】
本発明に係る電極用集電体は、短絡発生時に金属ホイルからなる集電体の抵抗より大きい抵抗値を有し、かつ、高分子フィルムの表面に形成された導電材のうち厚さの薄い部分における電気化学的反応により電流の流れが妨害を受けられるため、短絡発生時に短絡電流を低下させることができ、電池の温度が高くなることを防止して、電池の安全性を向上させることができる。
【0025】
本発明に係る電極用集電体は、短絡発生時にアルミニウム導電材のうち厚さが相対的に薄い部分において厚さ全体にわたって導電材が完全に腐食するか割れるため、抵抗が増加して短絡電流を遮断することができる。
【0026】
本発明に係る電極用集電体は、二次電池のエネルギー密度は高めながらも安全性を高めることができ、短絡発生時に大容量二次電池の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施例に係る電極用集電体を含む電極組立体を示した斜視図である。
図2】本発明の一実施例に係る電極組立体を示した分解斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係る電極用集電体を示した斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係る電極用集電体にリードタブが連結された様子を示す断面図である。
図5】本発明の一実施例に係る電極用集電体の平面図である。
図6】本発明の一実施例に係る電極用集電体の断面図である。
図7】本発明の他の一実施例に係る電極用集電体の断面図である。
図8】本発明の他の一実施例に係る電極用集電体の断面図である。
図9】短絡電流の遮断性能を比較するための比較対象電極用集電体を示した平面図である。
図10】本発明の他の一実施例に係る電極用集電体を示した平面図である。
図11図9及び図10に係る比較対象電極用集電体を含むリチウム二次電池と本発明の他の一実施例に係る電極用集電体を含むリチウム二次電池に対して外部短絡時に電圧及び温度の変化を比較した試験結果である。
図12図9及び図10に係る比較対象電極用集電体を含むリチウム二次電池と本発明の他の一実施例に係る電極用集電体を含むリチウム二次電池に対して外部短絡時に電圧及び温度の変化を比較した試験結果である。
図13図9及び図10に係る比較対象電極用集電体を含むリチウム二次電池と本発明の他の一実施例に係る電極用集電体を含むリチウム二次電池に対して外部短絡時に電圧及び温度の変化を比較した試験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、添付の図面を参照して本発明に係る実施例を詳しく説明する。しかし、本発明が実施例によって制限されるか限定されるものではない。各図面に提示された同一の参照符号は、同一の部材を表す。
【0029】
図1は、本発明の一実施例に係る電極用集電体を含む電極組立体を示した斜視図であり、図2は、本発明の一実施例に係る電極組立体を示した分解斜視図であり、図3は、本発明の一実施例に係る電極用集電体を示した斜視図であり、図4は、本発明の一実施例に係る電極用集電体にリードタブが連結された様子を示す断面図であり、図5及び図6は、本発明の一実施例に係る電極用集電体の平面図及び断面図であり、図7および図8は、本発明の他の一実施例に係る電極用集電体の断面図である。
【0030】
図1及び図2には、本発明に係る電極用集電体100を含む電極組立体10が示されている。図1及び図2の場合、本発明に係る電極用集電体100は陽極(正極)電極用集電体である。電極組立体10に使用されるために、電極用集電体100の表面に陽極(正極)活物質103が塗布されなければならない。
【0031】
一方、陰極(負極)電極用集電体200は、陰極(負極)金属ホイル201に陰極(負極)活物質203が塗布され、長さ方向の一端側に陰極(負極)リードタブ290が連結されることができる。
【0032】
陰極(負極)電極用集電体200と本発明に係る電極用(陽極)集電体100との間に分離膜300が配置されることができる。図2に示すように、分離膜300を挟んで上下にそれぞれ陰極(負極)電極用集電体200と陽極(正極)電極用集電体100を順に積むと、図1のような電極組立体10となる。
【0033】
以下では、説明の便宜のために、陽極(正極)電極用集電体100を電極用集電体という。
【0034】
図3には、本発明の一実施例に係る電極用集電体100が示されている。電極用集電体100は、上述した陰極(負極)電極用集電体200とは異なり、金属ホイルを使用しない。
【0035】
図3に示すような本発明の一実施例に係る電極用集電体(CURRENT COLLECTOR FOR ELECTRODES)100は、金属ホイルからなる集電体の抵抗より大きい抵抗値を有するため、集電体を流れる電流の限界電流値を調整することができ、高分子フィルムの損傷により電流の流れが妨害を受けられるため、二次電池の内部短絡の発生時に短絡電流を低下させるか発熱を防止することができる。
【0036】
本発明に係る電極用集電体100を具備したリチウム二次電池(Lithium Secondary Battery)は、Max Current Limited Battery(MCLB)の性格又は概念を有することができる。以下では、MCLBの実現を可能にする本発明に係る電極用集電体について説明する。
【0037】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、陽極(正極)集電体であって、既存電池の陽極(正極)集電体、即ち、金属ホイル(metal foil)で形成された陽極(正極)集電体の抵抗より高い抵抗値を有するため、限界電流を調整することができるだけでなく、内部短絡時に電流パスを遮断するか崩壊させることで、短絡電流を低下させるか短絡時に発生する発熱現象を減らして、電池の安全性を高めることができる。
【0038】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、金属ホイルを使用せずに、高分子フィルム101を基本素材とし、高分子フィルム101上に薄い厚さの金属を塗布するかコーティングすることを一特徴とする。
【0039】
図3及び図4を参照すると、本発明の一実施例に係る電極用集電体100(current collector)は、高分子フィルム101(polymer film)と、前記高分子フィルム101の上面又は下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材102とを含むことができる。
【0040】
ここで、前記導電材102は、電気化学的ヒューズ(electrochemical fuse)の機能をすることができるため、短絡防止機能を有することができる。かかる導電材102の電気化学的特性については後述する。
【0041】
一方、高分子フィルム101の上面又は下面のうち少なくとも一つの表面に設けられた導電材102の上に少なくとも一つの金属片120(metal element)が設けられることができる。すなわち、高分子フィルム101と金属片120との間に導電材102が設けられることができる。
【0042】
高分子フィルム101は、一定の長さを有するように帯状に設けられることができる。ここで、高分子フィルム101は、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリブチレンテレフタレート(PBT:Polybutylene terephthalate)、ポリイミド(PI:Polyimide)またはポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)等の不導体材質で設けられることが好ましい。
【0043】
高分子フィルム101は、50μm以下の厚さを有するが、1.4μm以上、50μm以下の厚さを有することが好ましい。本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、既存の金属ホイル集電体を使用する場合、より電池の厚さまたは重さを減らすことができるが、厚さが1.4μm以上、50μm以下の不導体の高分子フィルム101を集電体100の基本構成として使用することで、本発明の一実施例に係る電極用集電体100を具備したリチウム二次電池の全体的な厚さまたは重さを減らすことができる。
【0044】
一方、リードタブ190が付着される面の反対面または高分子フィルム101の両面に金属片120を位置させ、金属片120にリードタブ190を溶接して固定するが、高分子フィルム101がリードタブ190の溶接温度より低い温度で溶けなければリードタブ190が結合されることができない。従って、高分子フィルム101は、リードタブ190を溶接する過程で溶けられる程度の融点を有することが好ましい。
【0045】
図3及び図4を参照すると、高分子フィルム101の表面に設けられた導電材102と接触するか電気的に連結されるように金属片120が設けられることができる。図4に示すように、金属片120は、高分子フィルム101の両表面に全部設けられるか、またはある一面のみに設けられることができる。
【0046】
金属片120は、高分子フィルム101上でリードタブ190を溶接する位置を確保する役割をすることができる。即ち、金属片120は、リードタブ190の連結部のような役割をすることができる。
【0047】
金属片120は、5μm以上の厚さを有するように形成されることが好ましい。
【0048】
上記のように、金属片120は、5μm以上の厚さを有する金属薄膜又は金属ホイルの形態を有することが好ましいが、必ずしもこのような形態に限定されるものではない。即ち、金属片120は、薄膜、ホイル又はメッシュ(mesh)の形態で設けられることができる。
【0049】
金属片120は、アルミニウムホイル(foil)またはSUS 316Lホイルで設けられることが好ましい。
【0050】
一方、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、高分子フィルム101および/または高分子フィルム101の表面に設けられる導電材102(conductive material)を含むことができる。この時、導電材102が設けられる高分子フィルム101の表面は、陰刻の陥没した部分又は陽刻の突出した部分を含むことができる。
【0051】
電極用集電体100が陽極(正極)電極用集電体である場合に、導電材102はアルミニウム(Al)金属で設けられることができる。導電材102は、電極用集電体100の最も外面を形成する導電層(conductive layer)ともいえる。
【0052】
前記導電材102は、電極用集電体100の限界電流又は最大電流を調節または低くするように形成されることができる。換言すると、導電材102は、電極集電体100の伝導性(conductivity)を制御するために、高分子フィルム101の陰刻で陥没した表面又は陽刻で突出した表面にメッキまたはコーティングされるアルミニウム金属であり、高分子フィルム101および/または金属片120の表面にメッキ又はコーティングされた状態に重点を置く場合は、導電材102は導電層ともいえる。以下では、導電材102は、導電層を含む概念であることを明らかにする。
【0053】
高分子フィルム101の表面にメッキ(コーティング)または設けられる導電材102のコーティング量またはコーティングの厚さを調節することで、電極用集電体100を流れる電流の最大量を制御または低くすることができ、これにより、リチウム二次電池の安全性を高めることができ、短絡時の電池の安全性を確保することができる。
【0054】
換言すると、高分子フィルム101の表面に形成された導電材102の厚さまたは量によって、電極用集電体100を流れる限界電流または最大電流が調節されることができる。このように、本発明の一実施例に係る電極用集電体100の導電材102によってリチウム二次電池(Lithium Secondary Battery)のMax Current Limited Battery(MCLB)の性格または概念が実現されることができる。
【0055】
また、物理的な内部短絡または外部短絡の発生時に高分子フィルム101が溶けられるため、急激な電流の発生を妨害し得て電池の安全性を向上させることができる。
【0056】
前記導電材102は、多様な方式によって高分子フィルム101の表面に形成されることができる。例えば、導電材102のアルミニウム金属は、スパッタリング(sputtering)または蒸発コーティング(evaporation coating)によって高分子フィルム101の表面に形成されることができる。アルミニウムは酸化し易いため、電解メッキによって高分子フィルム101の表面に導電材102を形成することは容易ではない。
【0057】
導電材102がコーティングされている量(重さ)または厚さによって電極用集電体100の伝導性を制御するか電池の安全性を確保することができるため、メッキまたはコーティングする時導電材102の厚さまたは重さを制御または調節することができる方式を使用する必要がある。
【0058】
導電材102は、高分子フィルム101のある一面のみに形成されてもよく、両面に全部形成されてもよい。この時、導電材102は、最小断面基準0.5μm、最大断面基準2.5μmの厚さで形成されることが好ましい。
【0059】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、導電材102によって電流の流れが可能であるため、高分子フィルム101の表面に導電材102がコーティングされた状態がよく維持される必要がある。そのため、高分子フィルム101の表面処理をして導電材102と高分子フィルム101の結着力を高めることが好ましい。
【0060】
導電材102と高分子フィルム101間の結着力が良くなければ、電解液が注入された状態で導電材102が高分子フィルム101の表面から分離または離脱し得るため、導電材102と高分子フィルム101間の結着力を高めることが重要である。
【0061】
高分子フィルム101の表面には、導電材102との接着力または結着力を高めるための表面処理が形成されることができる。
【0062】
導電材102と高分子フィルム101の結着力を高めるために、高分子フィルム101の表面にコロナ処理をすることが好ましい。
【0063】
一方、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、外部機器との連結のためのリードタブ190を具備することができる。
【0064】
既存の金属ホイル集電体は、金属ホイルに直接リードタブを溶接することができるが、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、既存の金属ホイルに対応する構成が高分子フィルム101であるため、高分子フィルム101に直接リードタブを溶接することが不可能である。本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、高分子フィルム101の両面またはリードタブ190が連結される面の反対側面に金属片120を追加で位置させ、金属片120にリードタブ190を溶接することで、このような問題を解決することができる。
【0065】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100において、リードタブ190は、超音波溶接(ultrasonic welding)、レーザー溶接(laser welding)またはスポット溶接(spot welding)によって金属片120に溶接されることができる。
【0066】
図4に示すように、高分子フィルム101の上下両面に設けられた金属片120のいずれか一つの金属片120にリードタブ190が連結されることができる。図示してはいないが、高分子フィルム101の一面にリードタブ190と連結され、リードタブ190と向かい合う高分子フィルム101の他面には金属片120が設けられることもできる。この時、高分子フィルム101と金属片120の間、または高分子フィルム101とリードタブ190の間に導電材102が位置することになる。即ち、高分子フィルム101の上面および下面に導電材102を先に塗布またはコーティングした後に、導電材102と電気的に連結されるように金属片120が導電材102上に位置するか、金属片120が導電材102と接触するように設けられることができる。
【0067】
高分子フィルム101の両面に設けられた金属片120のいずれか一つの金属片120にリードタブ190を溶接する時、高分子フィルム101が溶けることで、高分子フィルム101の両面に設けられた金属片120が互いに連結され、その結果、リードタブ190が高分子フィルム101の両面に設けられた導電材102と同時に電気的に連結されることができる。
【0068】
高分子フィルム101の上下両面に金属片120と導電材102が設けられた状態で、高分子フィルム101の上面に設けられた金属片120にリードタブ190を超音波溶接、レーザー溶接、またはスポット溶接すると、高分子フィルム101の一部が溶けることができる。リードタブ190を溶接する時に発生する溶接熱が高分子フィルム101の融点より高い場合は、溶接過程で高分子フィルム101が溶けることができる。
【0069】
このように高分子フィルム101が溶けた部分では高分子フィルム101が存在しないため、上下の金属片120同士で直接接触することができる。この時、金属片120も溶接熱によって溶融した状態であるため、上下の金属片120同士が接合することになる。従って、高分子フィルム101が溶けてなくなった部分において上下の金属片120同士が直接溶融結合するため、いずれか一つの金属片120に溶接されるリードタブ190が上下の金属片120だけでなく高分子フィルム101の上下面に形成された導電材102と電気的に連結されることができる。
【0070】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、溶接熱によって高分子フィルム101の一部が溶けても金属片120が高分子フィルム101と連結された状態を維持するため、リードタブ190を連結することが可能である。
【0071】
但し、場合によっては、高分子フィルム101が溶けなかった状態でもリードタブ190を金属片120に溶接することができる。
【0072】
一方、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、二次電池の陽極(正極)として使用される集電体であり、既存の金属ホイルからなる集電体とは異なり、二次電池の安全性を高めることができる。何故なら、高分子フィルム101に塗布またはコーティングされた導電材102があたかもヒューズのように短絡電流の遮断機能をするためである。
【0073】
一般的に二次電池に内部短絡または外部短絡が発生すると、短絡電流によって二次電池の温度が上がるという発熱現象が生じ、また、発熱のため電池が爆発するなどの危険性がある。一方、陽極(正極)として本発明の一実施例に係る電極用集電体100を使用する二次電池の場合、内部短絡または外部短絡が発生しても二次電池の温度が上がることを防止し、短絡電流を遮断することで、電池の安全性を確保することができる。
【0074】
高分子フィルム101に塗布またはコーティングされた導電材102が電流パス(path)の機能をするが、短絡発生時に導電材102が電解液と反応しながら腐食したように細かく割れると電流パスが遮断されるため、短絡電流がこれ以上流れなくなる。
【0075】
本発明の一実施例に係る陽極(正極)電極用集電体100を含む二次電池の場合、短絡発生時に電流パスを遮断することができる理由は、高分子フィルム101の表面に形成された導電材102のうち厚さが相対的に薄い部分が存在し、該厚さの薄い部分で電気化学的反応が発生し抵抗が増加するため、短絡電流のパスを遮断することができる。
【0076】
図5および図6を参照すると、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、高分子フィルム101と、高分子フィルム101の上面又は下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材102とを含み、導電材102は、電気化学的ヒューズの機能を有するか短絡電流の遮断機能を有することができる。
【0077】
上述したように、導電材102は、相対的に厚さの薄い部分102bを含み、前記厚さの薄い部分102bにおいて電気化学的ヒューズの機能又は短絡電流の遮断機能を行うことができる。
【0078】
図5は、高分子フィルム101の上面に設けられた導電材102を上から見た平面図であり、図6は、図5の切断線A-Aに沿った断面図である。図5および図6を参照すると、移送方向Sに沿って帯状を有する高分子フィルム101の上面に設けられた導電材102は、厚さが相対的に薄い部分102bと厚さが相対的に厚い部分102aとを含むことができる。
【0079】
導電材102の大部分は相対的に厚さの厚い部分102aであり、残りの部分は相対的に厚さの薄い部分102bであることができる。図5を参照すると、導電材102のうち厚さの薄い部分102bは、格子状で均一に形成されることができ、厚さの薄い部分102bは、同じ厚さで形成されることができる。
【0080】
図5および図6の場合とは異なり、導電材102の全体にわたって一様に厚さの薄い部分102bが形成される代わりに、導電材102の一部分のみに厚さの薄い部分102bが形成されることもできる。例えば、導電材102のうちリードタブ190が連結された部分のみで導電材102の厚さが薄く形成されることもできる。
【0081】
図5および図6に示された本発明の一実施例に係る電極用集電体100を含むリチウム二次電池に内部短絡が発生する場合、導電材102の厚さの薄い部分102bにおいて電気化学的反応が容易に生じ得る。
【0082】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100を使用するリチウム二次電池に短絡が発生すると、アルミニウム金属が導電材102として高分子フィルム101に塗布またはコーティングされた陽極(正極)電極用集電体100の電位が陰極(負極)電位近く(即ち、<0.3volt、陰極(負極)Li金属)に低くなりながら導電材102が電解液と反応すると、導電材102があたかも腐食したように割れて短絡電流を遮断することができる。
【0083】
高分子フィルム101に塗布またはコーティングされた導電材102が電流パス(path)の機能をするが、短絡発生時に導電材102が電解液と反応して腐食したように細かく割れると電流パスが遮断されるため、短絡電流がこれ以上流れなくなる。
【0084】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100を含むリチウム二次電池に短絡が発生すると、導電材102が電解液と反応して導電材102の全体厚さにわたって厚さ方向に沿って腐食するか割れるため、短絡電流のパスを遮断することができる。
【0085】
しかし、導電材102の厚さの厚い部分102aでは、導電材102がその厚さ方向(深さ方向)に沿ってある程度まで割れるものの、抵抗が大きくなく依然として電流が流れられる状態である。従って、導電材102の厚さの厚い部分102aでは短絡が発生しても、全体厚さにわたって導電材102が厚さ方向に腐食するか割れないため、短絡電流パスが遮断されない。
【0086】
しかし、本発明の一実施例に係る電極用集電体100の場合は、導電材102のうち相対的に厚さの薄い部分102bが存在し、短絡発生時に導電材102の厚さの薄い部分102bは、その全体厚さにわたって厚さ方向に沿って完全に腐食するか割れやすく、その結果、この部分で抵抗が増加するため短絡電流のパスを遮断することができる。
【0087】
このように、本発明の一実施例に係る電極用集電体100の導電材102は、相対的に厚さの薄い部分102bで電気化学的ヒューズ機能又は短絡電流の遮断機能を発揮するため、短絡発生時に電池の温度が高くなることを防止し、短絡電流を遮断することで電池の安全性を確保することができる。
【0088】
図5および図6を参照すると、導電材102のうち厚さの薄い部分102bは、高分子フィルム101の面方向に沿って形成されている。図6を参照すると、導電材102のうち厚さの薄い部分102bは、高分子フィルム101の上面(表面)方向に沿って形成されている。図5および図6に示された場合、導電材102は、その表面から陰刻で陥没した部分102bを含むことができ、この陰刻で陥没した部分102bの厚さが薄いため、該部分が短絡電流を遮断することができる。
【0089】
ここで、高分子フィルム101の表面に導電材102の厚さの厚い部分102aを形成した後、導電材102を一定の深さほど掻きだすか除去することで、導電材102の厚さの薄い部分102b を形成することができる。または、導電材102の厚さの厚い部分102aにレーザーパターニング(laser patterning)をして厚さの薄い部分102bを形成することもできる。また、高分子フィルム101の表面に導電材102をコーティングまたは蒸着する時、厚さの厚い部分102aと厚さの薄い部分102bを一括して形成することもできる。
【0090】
図5に図すような電極用集電体100の場合、短絡が発生すると、格子状の導電材102部分のいずれか一つの格子部分の縁に沿って厚さの薄い部分102bが完全に腐食するか割れることで、他の格子部分に電流が流れることを効果的に遮断することができる。即ち、短絡発生時に格子部分を電気的に孤立させることで、短絡電流が導電材102の全体にわたって流れることを遮断することができる。
【0091】
導電材102のうち厚さの薄い部分102bは、高分子フィルム101に設けられた導電材102を上から見た時に閉曲線または閉多角形状で形成されることができる。例えば、図5に図示された場合は、厚さの薄い部分102bが四角形状で形成されている。このように、厚さの薄い部分102bが閉曲線または閉多角形状で形成されれば、短絡発生時に厚さの薄い部分102bで囲まれた導電材102を流れる電流が他の部分に流れることを遮断することができる。
【0092】
導電材102のうち厚さの薄い部分102bは、他の部分102aの厚さに対して70%以下の厚さで形成されることができる。図6を参照すると、導電材102のうち厚さの薄い部分102bの厚さをT1、厚い部分102aの厚さをT2というと、導電材102は、T1/T2が0.7以下となるように形成されることが好ましい。また、導電材102のうち厚さの薄い部分102bは、0.4μm以下の厚さで形成されることが好ましい。
【0093】
導電材102のうち厚さの薄い部分は、図5および図6に示すように、陰刻で陥没形成されるだけでなく、導電材102の表面から陽刻で突出すように形成されることもできる。
【0094】
図7及び図8には、本発明の他の一実施例に係る電極用集電体の断面図が示されている。図7及び図8に図示された場合、いずれも導電材102の表面から陽刻で突出した部分102dを含む。
【0095】
図7の場合、高分子フィルム101が段差部101bと非段差部101aを含む。段差部101bは、非段差部101aの表面から突出した部分である。このように、段差部101bと非段差部101aを含む高分子フィルム101の表面に導電材102をコーティングまたは蒸着すると、導電材102は、非段差部101aと段差部101bの表面に形成されるだけでなく、段差部101bの厚さ面にも導電材102が形成されることができる。
【0096】
導電材102を高分子フィルム101の表面にスパッタリング(sputtering)方式でコーティングする場合、導電材102は、高分子フィルム101の表面と垂直な方向に上側から下側にスパッタリングされる。図7における矢印SPは、導電材102のスパッタリング方向を意味する。スパッタリングされた導電材102は、高分子フィルム101の非段差部101a及び段差部101bの表面、段差部101bの側面(厚さ面)にコーティングされる。この時、段差部101bの側面にコーティングされた導電材102は、非段差部101aの表面側に流れる。従って、非段差部101aの表面に形成された導電材102a及び段差部101bの表面に形成された導電材102dの厚さより、段差部101bの側面に形成された導電材102cの厚さは必然的に薄くなる。
【0097】
高分子フィルム101の非段差部101aの表面に形成された導電材102aの厚さと段差部101bの表面に形成された導電材102dの厚さをT4といい、段差部101bの側面に形成された導電材102cの厚さをT3というと、T4がT3より大きい。
【0098】
一方、図8は、高分子フィルム101の形態が図7の場合と異なる。図7の場合は、段差部101bも高分子フィルム101で形成されるが、図8の場合は、段差部104が高分子フィルム101を形成しないという点で異なる。
【0099】
図8に示された電極用集電体100の場合は、高分子フィルム101の表面に付着したポリマー104を含むことができる。ポリマー104は、高分子フィルム101の表面に付着して段差部を形成し、ポリマー104と高分子フィルム101との間には付着のための接着剤(図示せず)が位置することができる。ここで、接着体を含むポリマー104の厚さT5は、図7の段差部101bの厚さと同一であることが好ましい。
【0100】
図7と同様に、高分子フィルム101の表面に形成された導電材102aの厚さ及びポリマー104の表面に形成された導電材102dの厚さよりポリマー104の側面(厚さ面)に形成された導電材102cの厚さが薄くなる。
【0101】
このように、導電材102は、高分子フィルム101の面方向と垂直な方向に沿って形成された厚さの薄い部分102cを含むことができる。
【0102】
本発明の他の一実施例に係る電極用集電体100の場合は、導電材102のうち相対的に厚さの薄い部分102cが存在し、短絡発生時に導電材102の厚さの薄い部分102cは、その全体厚さにわたって厚さ方向に沿って完全に腐食するか割れやすく、その結果、この部分で抵抗が増加するため、短絡電流のパスを遮断することができる。
【0103】
このように、本発明の他の一実施例に係る電極用集電体100の導電材102は、相対的に厚さの薄い部分102cで電気化学的ヒューズ機能又は短絡電流の遮断機能を発揮するため、短絡発生時に電池の温度が高くなることを防止し短絡電流を遮断することで、電池の安全性を確保することができる。
【0104】
図7及び図8の場合、導電材102のうち厚さの薄い部分102cは、他の部分102a、102dの厚さに対して70%以下の厚さで形成されることができる。図7を参照すると、導電材102のうち厚さの薄い部分102cの厚さをT3、厚い部分102a、102dの厚さをT4というと、導電材102は、T3/T4が0.7以下になるように形成されることが好ましい。また、導電材102のうち厚さの薄い部分102cは、0.4μm以下の厚さで形成されることが好ましい。
【0105】
下記の[表1]は、導電材102のうち厚さの薄い部分102cの厚さによる外部短絡時の温度上昇有無を測定した実験結果である。
【0106】
実験に実際使用された電池は、約350~400mAhを有するように製作し、陽極(正極)活物質はリチウムコバルトオキシド(LCO)、陰極(負極)活物質は黒鉛を使用した。分離膜はPE単層(7μm)を適用し、電解液はEC/EMC 1.1M LiPF6にVS、FEC、PS、SNが添加された形態を適用した。
【0107】
【表1】
【0108】
[表1]から分かるように、導電材102のうち厚さの薄い部分102cの厚さT3が0.4μm以下である場合は、外部短絡(~60mOhm)が発生する場合にもリチウム二次電池の温度上昇がないことが分かる。これは、外部短絡発生時に導電材102のうち厚さが相対的に薄い部分102cで厚さ全体にわたって導電材102が完全に腐食するか割れながら抵抗が増加して、短絡電流が遮断されるためである。
【0109】
図7及び図8に示された導電材102を上から見ると、段差部101bまたはポリマー104の縁(側面)に形成された導電材102cは、四角形状をなす。図5および図6と関連して言及したものと同様に、導電材102のうち厚さの薄い部分102cは、高分子フィルム101に設けられた導電材102を上から見た時に閉曲線または閉多角形状で形成されることができる。
【0110】
図5図8に示すように、高分子フィルム101は、その表面から陰刻で陥没した部分を含むか陽刻で突出した部分を含むことができ、導電材102もその表面から陰刻で陥没した部分102bまたはその表面から陽刻で突出した部分102c、102dを含むことができる。陽刻で突出した部分102c、102dの側面(厚さ面)に形成された導電材102cは、他の部分より薄い厚さを有することになる。すなわち、高分子フィルム101のうち陰刻で陥没した部分の水平面に形成された導電材102b、または陽刻で突出した部分の垂直面に形成された導電材102cは、他の部分より厚さが薄く形成されることができる。
【0111】
一方、高分子フィルム101に段差部101bを形成する代わりに、導電材102がコーティングまたは蒸着される高分子フィルム101の表面に陰刻のパターンを形成するかスクラッチを作った後、導電材102をコーティングするか蒸着することで、厚さの薄い部分102bを作ることもできる。高分子フィルム101の表面に陰刻のパターンを形成するかスクラッチを作ると、その部分が陥没しながら深さ方向の垂直面が存在するようになる。この垂直面に塗布された導電材102は、他の部分より厚さが薄くなり、薄い厚さで形成された導電材102は、短絡発生時にその厚さ全体にわたって割れるか腐食しながら短絡電流のパスを遮断することができる。
【0112】
上述したように、本発明に係る電極用集電体100は、高分子フィルム101に設けられた導電材102に相対的に厚さの薄い部分102b、102cが存在し、短絡発生時に厚さの薄い部分102b、102cが電気化学的ヒューズ機能又は短絡電流の遮断機能を発揮して、短絡電流のパスを遮断することができる。
【0113】
本発明の発明者らは、導電材の厚さによる安全性を確認するために、図9および図10に示された電極用集電体を含むリチウム二次電池を対象として外部短絡試験などを行い、その結果、本発明に係る電極用集電体100は、導電材102のうち厚さの薄い部分を通じて電池の安全性を確保することができるということを確認することができた。以下では、図9図13を参照して外部短絡試験結果について説明する。
【0114】
図9および図10は、短絡電流の遮断性能を比較するための比較対象電極用集電体と本発明の他の一実施例に係る電極用集電体を示した平面図であり、図11図13は、図9および図10による比較対象電極用集電体を含むリチウム二次電池と本発明の他の一実施例に係る電極用集電体を含むリチウム二次電池に対して外部短絡時の電圧および温度変化を比較した試験結果である。
【0115】
本発明の発明者らは、電流パス(path)を減らす方案として、導電材の面積または電流パスの長さを減らした電極用集電体(図9参照)と、導電材の厚さを減らした電極用集電体(図10参照)を準備した。
【0116】
図9に示された電極用集電体は、高分子フィルムの両面にリードタブ190を置いて溶接してリードタブ190と導電材102を電気的に連結したものである。高分子フィルムは、PETが使用され、その厚さは7μmであり、導電材102としては、アルミニウムが0.6μm以下の厚さでコーティングされる。陽極(正極)活物質103とリードタブ190との間に位置する導電材102の一部分102eを除去して電流パスを減らす。この時、残っている部分の導電材102の長さL1は5mm、10mmとなるようにする。すなわち、電流パスの長さL1が5mm、10mmである。図9による電極用集電体は、導電材102の厚さは減らさず電流パスの長さのみ減らしたものである。
【0117】
図10に図示された電極用集電体は、図8に示された本発明の他の一実施例に係る電極用集電体100である。すなわち、高分子フィルム101の表面にアルミニウム導電材102をコーティングする前に高分子フィルム101にポリマー104を接着し、その状態で導電材102をコーティングした電極用集電体である。ここで、ポリマー104としてはPETが使用され、ポリマー104と接着剤(図示せず)の厚さは12μmである。ここで、ポリマー104の側面には、厚さの薄い導電材102cが形成されることができる([表1]の条件2と同一)。
【0118】
図11及び図12は、それぞれ図9による電極用集電体において、残っている部分の導電材102の長さL1、すなわち、電流パスの長さL1が5mmおよび10mmの電極用集電体を含む二次電池の外部短絡試験結果であり、図13は、図10による電極用集電体を含む二次電池の外部短絡試験結果である。ここで、試験に使用された二次電池は、厚さ7μmのPE分離膜を使用し、容量が350~400mAhのパウチ型二次電池である。
【0119】
図11及び図12を参照すると、高分子フィルム101に設けられた導電材102の厚さは減らさず、電流パスの長さL1のみ減らした場合は、短絡発生時に電流が遮断されず電池の温度が急激に上がることが分かる。
【0120】
一方、図13を参照すると、高分子フィルム101に設けられた導電材102に厚さの薄い部分102cがある場合は、短絡発生時に抵抗が大きくなり短絡電流が遮断されるということがわかる。
【0121】
このように、本発明に係る電極用集電体100を使用する二次電池に短絡が発生すると、導電材102のうち厚さの薄い部分102b、102cが厚さ全体にわたって割れるか腐食するため、短絡電流を遮断することができ、その結果、電池の爆発などを防止し電池の安全性を確保することができる。
【0122】
以上のように、本発明の一実施例では、具体的な構成要素などのような特定事項と限定された実施例及び図面によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものであるだけで、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、本発明が属する分野で通常の知識を有する者であればこのような記載から多様な修正及び変形が可能である。従って、本発明の思想は、説明された実施例に限定されて定められてはならず、後述する請求の範囲だけでなく、この請求の範囲と均等であるか等価的変形のある全てのものは本発明思想の範疇に属するといえる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13