(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-13
(45)【発行日】2025-03-24
(54)【発明の名称】自動チューニング特徴を備えるEMCアンテナシステム
(51)【国際特許分類】
G01R 29/08 20060101AFI20250314BHJP
H04B 17/00 20150101ALI20250314BHJP
H01Q 9/14 20060101ALI20250314BHJP
G01R 29/10 20060101ALI20250314BHJP
【FI】
G01R29/08 A
H04B17/00
H01Q9/14
G01R29/10 E
G01R29/08 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020121378
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2023-06-26
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520262375
【氏名又は名称】ステップアイアール コミュニケーション システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユリ アレックス ブリガンス
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-308546(JP,A)
【文献】特開2006-29906(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0118972(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0043885(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0229386(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08
G01R 27/04
G01R 31/30
G01R 31/00
H01Q 9/14
H01Q 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁適合性(EMC)試験システムを動作させるための方法であって、
EMC試験チャンバにおいて、長さ調整可能な励振素子と、長さ調整可能な導波器素子及び長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの少なくとも1つを有するEMCアンテナを提供するステップと、
EMC試験周波数範囲内の複数の周波数を選択するステップと、
前記複数の選択された周波数の各々について別々に、前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つとの長さ比の選択された組合せであって、該選択された組み合わせは前記励振素子が前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つより長い、長さ比の組合せを含むところの、選択された組み合わせのために、前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つの各々の長さを
増加分長さだけ個別
に調整するステップと、
長さ比の前記選択された組合せにおける前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つの各々の前記増加分長さの各々について、かつ前記複数の選択された周波数の各々について別々に、校正パワーレベルにおいて、選択された周波数でRFエネルギーを前記EMCアンテナの前記励振素子に入力し、かつVSWR及び信号強度を測定するステップと、
前記複数の選択された周波数の各々について別々に、最も低いVSWR及び最も高い信号強度を呈する閾値より低いVSWRの1つを有する、長さ比の前記選択された組合せの1つの前記増加分長さの1つを選択及び格納するステップと、
前記EMC試験チャンバ内に供試機器を配置するステップと、
前記複数の選択された周波数の各々について別々に、
前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つの各々の前記長さを、前記選択及び格納された長さに個別に調整するステップと、
前記供試機器において電界を生成するために、EMC試験パワーレベルにおいて、前記選択された周波数でRFエネルギーを前記EMCアンテナの前記励振素子に入力するステップと、
前記電界の存在下での前記供試機器の挙動を測定するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記EMC試験周波数範囲内の複数の周波数を選択するステップは、30MHz~200MHzの複数の周波数を選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つの各々の前記長さを個別
に調整するステップは、前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つの各々の前記長さを約1インチ~約10インチずつ個別に調整するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つの各々の前記長さを個別
に調整するステップは、前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つの各々の前記長さを1インチずつ個別に調整するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つの各々の前記長さを個別
に調整するステップは、前記長さ調整可能な複数の素子の各々の前記長さを5インチずつ個別に調整するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つは、前記長さ調整可能なリフレクタ素子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記長さ調整可能な励振素子と前記長さ調整可能なリフレクタ素子との長さ比の前記選択された組合せは、0.50、0.66、0.85、1.01及び1.15である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つは、前記長さ調整可能な導波器素子、及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記長さ調整可能な励振素子と前記長さ調整可能なリフレクタ素子との前記長さ比は、0.95であり、かつ前記長さ調整可能な励振素子と前記長さ調整可能な導波器素子との長さ比の前記選択された組合せは、0.90、1.00及び1.10であり、
前記長さ調整可能な励振素子と前記長さ調整可能なリフレクタ素子との前記長さ比は、1.00であり、かつ前記長さ調整可能な励振素子と前記長さ調整可能な導波器素子との長さ比の前記選択された組合せは、0.90、1.00及び1.10であり、及び
前記長さ調整可能な励振素子と前記長さ調整可能なリフレクタ素子との前記長さ比は、1.05であり、かつ前記長さ調整可能な励振素子と前記長さ調整可能な導波器素子との長さ比の前記選択された組合せは、0.90、1.00及び1.10である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
校正パワーレベルにおいて、前記選択された周波数でRFエネルギーを前記EMCアンテナの前記長さ調整可能な励振素子に入力することは、約1ワット未満~約100ワット未満において、前記選択された周波数でRFエネルギーを前記EMCアンテナの前記長さ調整可能な励振素子に入力することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
EMC試験パワーレベルにおいて、前記選択された周波数でRFエネルギーを前記EMCアンテナの前記長さ調整可能な励振素子に入力することは、約400ワット~約2,000ワットにおいて、前記選択された周波数でRFエネルギーを前記EMCアンテナの前記長さ調整可能な励振素子に入力することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
隣接する素子長さ値を補間することにより、格納された素子長さデータを増大させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
電磁適合性(EMC)試験システムであって、
長さ調整可能な励振素子と、長さ調整可能な導波器素子及び長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの少なくとも1つを有する、EMCアンテナ、
前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つとの長さ比の選択された組合せのために前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つの各々の長さを
増加分長さだけ個別
に調整するアンテナ素子長さコントローラであって、前記選択された組合せは、前記長さ調整可能な励振素子が、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つより長い、長さ比の組合せを含む、アンテナ素子長さコントローラ、
長さ比の前記選択された組合せにおける前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つの各々の
前記増加分長さの各々について、か
つ複数の選択された周波数の各々について別々に、校正パワーレベルにおいて、EMC試験周波数範囲内の
前記複数の
選択された周波数でRFエネルギーを前記EMCアンテナに入力し、かつVSWR及び信号強度を測定するための回路、
コントローラであって、
前記周波数の各々において、最も低いVSWR及び最も高い信号強度を呈する閾値より低いVSWRの1つを有する、長さ比の前記選択された組合せの1つの前記増加分長さの1つを選択及び格納し、
前記複数の選択された周波数の各々について別々に、前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの前記少なくとも1つの各々の前記長さを、前記選択及び格納された長さに個別に調整し、供試機器において電界を生成するために、EMC試験パワーレベルにおいて、前記選択された周波数でRFエネルギーを前記EMCアンテナの前記励振素子に入力し、かつ前記電界の存在下での前記供試機器の挙動を測定する
ように構成されるコントローラ、
を含む電磁適合性(EMC)試験システム。
【請求項14】
前記EMCアンテナは、前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの1つを有する、請求項13に記載のEMC試験システム。
【請求項15】
前記EMCアンテナは、前記長さ調整可能な励振素子と、前記長さ調整可能な導波器素子及び前記長さ調整可能なリフレクタ素子のうちの両方を有する、請求項13に記載のEMC試験システム。
【請求項16】
前記コントローラは、振動RF信号源を前記校正パワーレベル及び前記EMC試験パワーレベルの1つに駆動するようにさらに構成される、請求項13に記載のEMC試験システム。
【請求項17】
前記振動RF信号源は、増幅器を含み、及び前記コントローラは、前記振動RF信号源を前記校正パワーレベルに駆動するために前記増幅器を使用不能にし、かつ前記振動RF信号源を前記EMC試験パワーレベルに駆動するために前記増幅器を使用可能にするように構成される、請求項16に記載のEMC試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナシステムに関する。より具体的には、本発明は、電磁適合性(EMC)試験に特に有用なアンテナシステムに関する。より具体的には、本発明は、自動チューニング特徴を有するEMCアンテナシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野では、EMC試験システムが知られている。EMC試験は、電子デバイスの放射及び感受率試験のために使用される。放射試験は、電子デバイスを動作している間に電子デバイスによってどの程度の高周波(RF)エネルギーが放射されるかを決定するために使用される。試験の放射モードでは、アンテナは、受信アンテナとして使用される。感受率試験は、デバイスがどの程度のRFエネルギーにさらされると、デバイスに機能障害が起こり得るかを決定するために使用される。試験の感受率モードでは、アンテナは、送信アンテナとして使用される。
【0003】
感受率試験は、30MHzで開始され、その周波数では、半波長ダイポール(この周波数では16フィート幅である)などの適度に効率的なアンテナを収容するために、非常に大きいシールドルームが必要とされる。これらの部屋は、試験施設の大半にとって実用的でない。加えて、試験は、少なくとも数百メガヘルツまでの周波数で実行されるため、現在利用可能なアンテナシステムは、これらの範囲上で動作するのに十分な広帯域を有するものでなければならない。
【0004】
感受率試験に使用される現在利用可能な広帯域EMCアンテナのタイプの1つは、バイコニカルアンテナ及び対数周期アレイを含む。そのようなアンテナは、非効率的かつ高価なものであり得る。これらのアンテナは、EMCシステムにおいてRF増幅器と対にされ、その総コストは、500,000ドル~700,000を超える可能性がある。現在利用可能なシステムは、非常に非効率的であるため、極めて高いパワーレベル(例えば、5KWを超える)で増幅器を起動する必要がある。そのようなパワーレベルでは、増幅器とアンテナとの間の極度のインピーダンス不整合と相まって、EMCアンテナは、第2又は第3の高調波で対象の基本周波数より多くのエネルギーを放射する場合がある。このセットアップにより、試験結果の歪度が極めて高くなり、既存の試験規格にしたがってそれらの試験結果が無効になる場合が多い。
【0005】
感受率試験には、ビルボードアンテナとしても知られている電界放射器などの他のアンテナが使用される場合があるが、供試デバイスに完全に照射することはできない。したがって、試験を繰り返さなければならないため、これらのアンテナは、非常に非効率的である。加えて、試験は、既存の試験規格に従って常に実行できるとは限らない。
【0006】
最近では、アンテナ素子の長さを調整することによってチューニングすることができる多素子アンテナを有するEMCアンテナシステムが利用可能になった。そのようなシステムについては、Mertelらの米国特許第8,963,560号で説明されており、米国再発行特許第42,087号で説明されているものと同様の長さ調整可能なアンテナ素子を採用するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
典型的な反復ソフトウェアアルゴリズムは、多くの変数を伴う複雑なシステムの性能を最大化するように設計されている。通常の手法は、専門家の知識に基づいて、事前にプログラムされた戦略に基づいて調整可能なシステムパラメータを変化させ、次いで最良の結果を得る可能性が最も高いと思われる戦略を追求することである。本発明に関連して、課題は、RFの漏洩を遮蔽する金属チャンバ内に位置する調整可能なアンテナから発せられる電界を最大化することに向けられる。このチャンバの目的は、RFエネルギーが漏れ出て、広範囲の周波数スペクトルにわたる通信妨害を阻止することである。残念ながら、この環境で必要な高強度電界を生成することは、極めて難しく、なぜなら、これらのフィールドをもたらすことにより、チャンバ内に配置されたアンテナの能力が大幅に低減されるためである。金属チャンバ内にアンテナを配置することにより生じる変数の数は、非常に多いため、その管理は、事実上不可能である。変動性は、様々な原因から起こり、これらに限定されないが、供試機器(EUT)、チャンバ寸法及びRFの反射率/吸着率(周波数に依存する)を含む。重大な問題は、この環境では、アンテナがもはや論理的に対応しないことであり、実際には、30MHz~約100MHzにおいて通常のアンテナのように動作しない。このアンテナ挙動は、以前のチューニングシステムから生じたものであり、以前のチューニングシステムは、EMC試験において満足のいくRFフィールド強度と許容定在波比(SWR)との両方をもたらすことになる素子長さを全く見出すことができない。許容SWRと必要なフィールド強度との両方をもたらすチューニングに対する論理は全くない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の方法は、ある前提条件が確立された後に実施される。振動RF信号源は、特定の周波数で振動するように設定され、振動RF信号は、増幅器又は他の手段を介して増幅される。増幅された振動信号は、EMCアンテナに接続され、EMCアンテナ素子の長さは、プリセット長さまで拡張される。試験対象品(又はフィールドプローブ)は、EMCデバイスからある程度離れて配置される。
【0009】
電圧定在波比(VSWR)測定値がユーザ定義定数(例えば、1.75)を下回る場合、素子長さのセットは、最適であると考えられ、選択された素子長さは、試験対象品又はフィールドプローブの位置で測定される最大可能放出RFフィールド強度をもたらす。
【0010】
本発明の態様によれば、電磁適合性試験システムを動作させるための方法は、EMC試験チャンバにおいて、長さ調整可能な複数の素子であって、該長さ調整可能な複数の素子の1つが励振素子であるところの、長さ調整可能な複数の素子を有するEMCアンテナを提供するステップと、EMC試験周波数範囲内の複数の周波数を選択するステップと、複数の選択された周波数の各々について別々に、励振素子と長さ調整可能な複数の素子の他のものとの間の長さ比の選択された組合せであって、該選択された組合せは励振素子が長さ調整可能な複数の素子の他のものより長い長さ比の組合せを含むところの、選択された組み合わせのために長さ調整可能な複数の素子の各々の長さを個別に漸増調整するステップと、長さ比の選択された組合せにおける長さ調整可能な複数の素子の各々の増加分長さの各々について、かつ複数の選択された周波数の各々について別々に、校正パワーレベルにおいて、選択された周波数でRFエネルギーをEMCアンテナの励振素子に入力し、かつVSWR及び信号強度を測定するステップと、複数の選択された周波数の各々について別々に、最も低いVSWR及び最も高い信号強度を呈する閾値より低いVSWRの1つを有する、長さ比の選択された組合せの1つの増加分長さの1つを選択及び格納するステップと、EMC試験チャンバ内に供試機器を配置するステップと、複数の選択された周波数の各々について別々に、長さ調整可能な複数の素子の各々の長さを、選択及び格納された長さに個別に調整するステップと、供試機器において電界を生成するために、EMC試験パワーレベルにおいて、選択された周波数でRFエネルギーをEMCアンテナの励振素子に入力するステップと、電界の存在下での供試機器の挙動を測定するステップとを含む。
【0011】
本発明の態様によれば、EMC試験周波数範囲内の複数の周波数を選択するステップは、30MHz~200MHzの複数の周波数を選択するステップを含む。
【0012】
本発明の態様によれば、長さ調整可能な複数の素子の各々の長さを個別に漸増調整することは、長さ調整可能な複数の素子の各々の長さを約1インチ~約10インチずつ個別に調整することを含む。
【0013】
本発明の態様によれば、長さ調整可能な複数の素子の各々の長さを個別に漸増調整することは、長さ調整可能な複数の素子の各々の長さを1インチずつ個別に調整することを含む。
【0014】
本発明の態様によれば、長さ調整可能な複数の素子の各々の長さを個別に漸増調整することは、長さ調整可能な複数の素子の各々の長さを5インチずつ個別に調整することを含む。
【0015】
本発明の態様によれば、長さ調整可能な複数の素子は、励振素子及びリフレクタを含む。
【0016】
本発明の態様によれば、励振素子とリフレクタとの間の長さ比の選択された組合せは、0.50、0.66、0.85、1.01及び1.15である。
【0017】
本発明の態様によれば、長さ調整可能な複数の素子は、導波器、励振素子及びリフレクタを含む。
【0018】
本発明の態様によれば、励振素子とリフレクタとの間の長さ比は、0.95であり、かつ励振素子と導波器との間の長さ比の選択された組合せは、0.90、1.00及び1.10であり、励振素子とリフレクタとの間の長さ比は、1.00であり、かつ励振素子と導波器との間の長さ比の選択された組合せは、0.90、1.00及び1.10であり、及び励振素子とリフレクタとの間の長さ比は、1.05であり、かつ励振素子と導波器との間の長さ比の選択された組合せは、0.90、1.00及び1.10である。
【0019】
本発明の態様によれば、校正パワーレベルにおいて、選択された周波数でRFエネルギーをEMCアンテナの励振素子に入力することは、約1ワット未満~約100ワット未満において、選択された周波数でRFエネルギーをEMCアンテナの励振素子に入力することを含む。
【0020】
本発明の態様によれば、EMC試験パワーレベルにおいて、選択された周波数でRFエネルギーをEMCアンテナの励振素子に入力するステップは、約400ワット~約2,000ワットにおいて、選択された周波数でRFエネルギーをEMCアンテナの励振素子に入力するステップを含む。
【0021】
本発明の態様によれば、格納された素子長さデータは、隣接する素子長さ値を補間することによって増大される。
【0022】
本発明の態様によれば、電磁適合性(EMC)試験システムは、長さ調整可能な複数の素子を有するEMCアンテナであって、長さ調整可能な複数の素子の1つは、励振素子である、EMCアンテナ、励振素子と長さ調整可能な複数の素子の他のものとの間の長さ比の選択された組合せのために長さ調整可能な複数の素子の各々の長さを個別に漸増調整するアンテナ素子長さコントローラであって、選択された組合せは、励振素子が、長さ調整可能な複数の素子の他のものより長い長さ比の組合せを含む、アンテナ素子長さコントローラ、長さ比の選択された組合せにおける長さ調整可能な複数の素子の各々の増加分長さの各々について、かつ複数の選択された周波数の各々について別々に、校正パワーレベルにおいて、EMC試験周波数範囲内の複数の周波数でRFエネルギーをEMCアンテナに入力し、かつVSWR及び信号強度を測定するための回路、コントローラであって、周波数の各々において、最も低いVSWR及び最も高い信号強度を呈する閾値より低いVSWRの1つを有する、長さ比の選択された組合せの1つの増加分長さの1つを選択及び格納すること、複数の選択された周波数の各々について別々に、長さ調整可能な複数の素子の各々の長さを、選択及び格納された長さに個別に調整し、供試機器において電界を生成するために、EMC試験パワーレベルにおいて、選択された周波数でRFエネルギーをEMCアンテナの励振素子に入力し、かつ電界の存在下での供試機器の挙動を測定することを行うように構成されるコントローラを含む。
【0023】
本発明の態様によれば、EMCアンテナは、2つの長さ調整可能な素子を有する。
【0024】
本発明の態様によれば、EMCアンテナは、3つの長さ調整可能な素子を有する。
【0025】
本発明の態様によれば、コントローラは、振動RF信号源を校正パワーレベル及びEMC試験パワーレベルの1つに駆動するようにさらに構成される。
【0026】
本発明の態様によれば、振動RF信号源は、増幅器を含み、及びコントローラは、振動RF信号源を校正パワーレベルに駆動するために増幅器を使用不能にし、かつ振動RF信号源をEMC試験パワーレベルに駆動するために増幅器を使用可能にするように構成される。
【0027】
本発明は、示される実施形態及び図面を参照して以下でより詳細に説明される。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1A】自動チューニングを実施するために使用されたEMCアンテナシステムのブロック図である。
【
図1B】本発明による、EMC試験システムの試験セットアップの非限定的な説明に役立つ例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の態様による、EMCアンテナ素子及び測定機器校正を実行するために使用された方法のフロー図である。
【
図3】本発明の態様による、方法の測定段階を実行するための方法を示すフロー図である。
【
図4】本発明の態様による、方法のデータ分析段階を実行するための方法を示すフロー図である。
【
図5】本発明の態様による、EMCアンテナシステムを動作させるための方法を示すフロー図である。
【
図6】幅広い励振素子長さを有するEMCアンテナに対する周波数の関数としての信号利得を示す三次元グラフである。
【
図7】幅広い励振素子長さを有するEMCアンテナに対する周波数の関数としてのVSWRを示す三次元グラフである。
【
図8】幅広い励振素子長さを有するEMCアンテナに対する周波数の関数としての信号利得を示す補間三次元グラフである。
【
図9】幅広い励振素子長さを有するEMCアンテナに対する周波数の関数としてのVSWRを示す補間三次元グラフである。
【
図10】補間信号利得データが、実際に測定された信号利得データとどのように比較されるかを示す、周波数の関数としての信号利得のグラフである。
【
図11】補間信号利得データが、実際に測定された信号利得データとどのように比較されるかを示す、周波数の関数としての信号利得のグラフである。
【
図12】データの閾値化及びフィルタリングの結果を示すグラフである。
【
図13】最も高い信号ポイントを選び、それらを素子長さ並びにデータの周波数閾値化及びフィルタリングと相関させた結果を示すグラフである。
【
図14】最良の信号及び閾値化SWR値と共に、全周波数スパンにわたるすべてのセグメント長さを示す、デカルト座標空間における結果として得られたデータのグラフである。
【
図15】最良の信号及び閾値化SWR値と共に、全周波数スパンにわたるすべてのセグメント長さを示す、デカルト座標空間における結果として得られたデータのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
当業者は、以下の説明が単なる例示であり、決して限定するものではないことを認識するであろう。他の実施形態は、そのような当業者の容易に想到されるであろう。
【0043】
議論中のEMCアンテナは、八木アンテナであり、素子は、周知の関係を有し、受動素子の長さは、常に、励振素子より3%~10%短い又は長い範囲に収まる。本発明を使用するEMC試験チャンバの内部では、特により低い周波数範囲で受動素子の長さが励振素子の長さと0%~150%ほど異なる場合、満足のいく結果がときに起こることが分かっており、それは、明らかに当業者に予想できない結果である。EMC試験チャンバ内のEMCアンテナの挙動が、古典的なアルゴリズムに組み込むことができるごくわずかな傾向のみを呈した場合、本発明は、先行技術よりかなり少ない利点を有することになるが、数百もの効果のある不可解かつ予想外の組合せが存在することが発見されている。
【0044】
要するに、本発明は、妥当な時間内(数時間以内)において、いずれの人物又は既存のいずれのアルゴリズムも予測できない満足のいく結果を与える素子長さを特定することができる。前付けとして、先行技術は、リフレクタが励振素子より長く、及び導波器が励振素子より短いなど、導波器、励振素子及びリフレクタアンテナ素子の相対長さ間の予期される関係を想定したものである。先行技術の校正プロセスを自動化することにより、試験予定のアンテナ素子長さの組合せは、導波器、励振素子及びリフレクタアンテナ素子の相対長さ間のこの想定された関係を継続するという想定に進むことになる。
【0045】
EMC試験チャンバ内の八木アンテナの挙動は、導波器、励振素子及びリフレクタアンテナ素子の相対長さ間の予期される関係を継続しないことが発見されている。実際に、EMC試験周波数範囲内のある周波数でEMC試験チャンバ内に存在することが見出された八木アンテナの最適解の多くは、導波器、励振素子及びリフレクタアンテナ素子の相対長さを含み、リフレクタ及び導波器素子は、励振素子より短い。本発明によれば、校正方法は、すべての周波数について、先行技術によって予測されたもの以外の素子長さ及び比率を利用する解に対する試験を行う。
【0046】
満足のいく組合せを見出すためにあらゆる素子長さ及び比率を無作為に試行するには、法外な量の時間が必要になり、なぜなら、各反復には、素子の物理的変動とそれに続く評価とが必要とされるためである。382の周波数セグメントがあり、素子は、0インチから230インチまで拡張することができる(中間素子は、0インチから100インチまで拡張する)。また、満足のいく組合せを見出すためにあらゆる素子長さ及び比率を系統的に試行するにも、法外な量の時間が必要になる。1インチの分解能であらゆる周波数セグメントに対するあらゆる素子位置の試験を行うには、382*230*100*230=約二十億回の変動が必要になる。各変動及び付随測定は、共に約1~2秒を要する。その結果、あらゆる周波数セグメントに対するあらゆる素子位置の試験を行うのに必要なおよその時間は、三素子八木アンテナの場合に128年余りに達する。
【0047】
まず、
図1Aを参照すると、EMC試験システム10は、コントローラ12を含み、コントローラ12は、CPUと、メモリと、機器の動作に合わせた制御アルゴリズムのセットとを内包するデバイスであり得る。このデバイスは、ユーザインタフェースのみならず、他のデバイスによる制御を可能にするアプリケーションプログラミングインタフェースも有し得る。また、このデバイスは、クライアント(他のPC、モバイルデバイス、ウェブブラウザ又は他のハードウェア周辺機器)が機器にリモート接続して制御できるように、有線イーサネット、Wi-Fi、セルラ又は他の任意のインターネットに接続するための手段を介したクラウドとの接続性又はローカル接続性を促進することもできる。そのような接続性及び制御は、当技術分野でよく知られている。
【0048】
コントローラ12は、EMCアンテナ14に結合される。EMCアンテナ14は、長さ調整可能な複数の素子を有するアンテナであり得る。本発明の一例では、EMCアンテナ14は、3つの長さ調整可能な素子を有し得る。EMCアンテナ14は、第3の長さ調整可能な素子を完全に引き込むことによって二素子アンテナとして構成することができる。EMCアンテナ14は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるMertelらの米国特許第8,963,560号で説明されているものなどのアンテナであり得る。コントローラ12は、長さ調整可能な素子の長さを調整する。アンテナの長さ調整可能な素子の制御は、当技術分野で知られており、アンテナの長さ調整可能な素子の長さを調整する方法の1つについては、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるMertelらの米国再発行特許第42,087号で説明されている。
【0049】
また、コントローラ12は、RF源16にも結合される。RF源16は、周波数のスパンにわたってRF信号(増幅されるか否かにかかわらず)を生成することが可能な振動RF源である。RF源16は、EMCアンテナ14にRFエネルギーを入力する。本発明の一例では、RF源16は、コントローラ12によって制御された増幅器を含み得、RF源16を校正パワーレベルに駆動するために増幅器を使用不能にし、かつ振動RF信号源を校正レベルより高いEMC試験パワーレベルに駆動するために増幅器を使用可能にして、本明細書で説明するように校正モードとEMC試験モードとの間でのシステムの再構成を容易にする。
【0050】
EMCデバイスによって放出されたRFフィールドを検知することが可能な1つ又は複数のフィールドプローブ18(理想的には試験を行っている特定の周波数にチューニングされる)は、当技術分野で知られているように、EMCアンテナ14によって放出されたRFエネルギーを検知するためにEMCアンテナ14から一定の距離に配置される。本発明の一例では、フィールドプローブは、システムによって実行されるEMC試験に必要である、米国標準技術局(NIST)によるトレース可能なプローブであり得る。
【0051】
フィールド強度及びVSWRアナライザ20は、EMCアンテナ14と、1つ又は複数のフィールドプローブ18の出力とに結合される。フィールド強度及びVSWRアナライザ20は、周波数のスパンにわたってフィールドプローブ18からフィールド強度測定値を取り入れること及びEMCデバイスからVSRW測定値を取り入れることが可能な1つのデバイス又はデバイスセットであり得る。フィールド強度及びVSWRアナライザ20は、測定されたフィールド強度及びVSWRデータをコントローラ12にダウンロードできるようにコントローラ12に結合される。
【0052】
本発明の方法は、ある前提条件が確立された後に実施される。振動RF信号源16は、特定の周波数で振動するように設定され、振動RF信号は、増幅器又は他の手段(
図1Aには図示せず)を介して増幅することができる。振動信号は、EMCアンテナ14に接続され、EMCアンテナ素子の長さは、プリセット長さまで拡張される。試験対象品(又はフィールドプローブ)18は、EMCアンテナ14からある程度離れて配置される。
【0053】
VSWR測定値がユーザ定義定数(例えば、1.75:1)を下回る場合、素子長さのセットは、最適であると考えられ、選択された素子長さは、1つ又は複数のフィールドプローブ18の位置で測定される最大可能放出RFフィールド強度をもたらす。
【0054】
図1Bは、本発明による、EMC試験システムの試験セットアップ30の非限定的な説明に役立つ例を示すブロック図である。PC又はシングルボードコンピュータ(SBC)の形態のコントローラ32は、チューニング及び制御ソフトウェアを内包する。説明に役立つ実施形態によれば、LinuxのRaspbian Stretchディストリビューションを起動するRaspberry Pi SBCが採用された。コントローラ32は、バス34を通じてシステムの他の要素と通信し、バス34は、本発明の一例では、ユニバーサルシリアルバス(USB)である。
【0055】
コントローラ32は、バス34を通じてアンテナ素子長さコントローラ36と通信し、アンテナ素子長さコントローラ36は、本発明の一例では、ワシントン州のBellevueに所在するSteppir Communications Systemsから利用可能なモデルSDA100アンテナ素子長さコントローラ36であり得る。このアンテナ素子長さコントローラ36は、バス34上でコントローラ32からコマンドを受信し、それらのコマンドをステッピングモータ信号(EMCアンテナ38におけるEMC素子変動を実施するもの)に変換する。多くのベンダから利用可能である、スコットランドのGlasgowに所在するFuture Technology Devices International(FTDI)によって提供されるFT232Rチップセットに基づくシリアル/USBアダプタにより、コントローラ32は、USBバス接続34上でSDA100アンテナ素子長さコントローラ36にシリアルコマンドを送信することができる。
【0056】
中国の北京に所在するRigol Technologiesから利用可能なRigol DSA-815スペクトルアナライザ40など、トラッキング発生器を有するスペクトルアナライザは、指定された周波数スパンにわたって掃引する振動RF信号を作成するためにRF信号源として使用される。この振動RF信号は、VSWRブリッジ42(例えば、Rigol Technologies VB1080 VSWRブリッジ)及び真空リレー44を通じてEMCアンテナ38を駆動するために使用される。
【0057】
真空リレー44は、リレーパワーサプライ48から電力を取り入れるリレー制御回路46によって制御される。リレー制御回路46は、SDA100アンテナ素子長さコントローラ36において提供されるリレーであり得るか、又はバス34上でコントローラ32によって制御されるSDA100アンテナ素子長さコントローラ36の外部のリレーであり得る。
【0058】
また、Rigol DSA-815スペクトルアナライザ40は、利用可能なソフトウェアオプションにより、VSWRブリッジ42によって検知されたVSWRを測定するようにも構成される(例えば、Rigol Technologies DSA800-VSWR VSWR測定キットを使用して)。
【0059】
EMCアンテナ38によって放出されたRFエネルギーは、測定のためにフィールドプローブ50によって検知される。本出願において報告される試験は、フィールド強度プローブとして動作する適切な参照アンテナを使用して実行されたものである。Rigol DSA-815スペクトルアナライザ52などの第2のスペクトルアナライザは、フィールド強度のみを測定するために使用される。そのクロック基準は、参照番号54で示されるクロック基準同期同軸ケーブルを介してスペクトルアナライザ40と同期する。
【0060】
真空リレー44は、初期のVSWR校正の目的のために、EMCアンテナ38とVSRWブリッジ42のDUTポートとの間の接続を開閉するために使用される。スペクトルアナライザ40は、反射減衰量(RL)及びVSWRを測定する前に反射率を測定することを必要とする。これを実現するには、反射率を測定する際、VSWRブリッジ42のDUTポートが開いていなければならない。次いで、RL及びSWRを測定するため、VSWRブリッジ42のDUTポートが再接続されなければならない。真空リレー44は、EMCアンテナ38とVSRWブリッジ42との間の接続を開閉することができ、自動VSWR校正を容易にするために使用される。リレー制御46は、単に、校正中にEMCアンテナ38とVSRWブリッジ42のDUTポートとの間の接続及び切断を行う目的で、真空RFリレー44の開閉をプログラム制御するために使用される。
【0061】
全周波数スパンにわたってVSWR及び信号強度を測定するため、スペクトルアナライザ40及び52は、それらの掃引を同時に開始する必要がある(及びそれらの基準クロックを同期させさせなければならない)。外部の掃引トリガ56は、両方のスペクトルアナライザ40及び52に接続される外部のトリガとして動作し、それにより、コントローラ32は、両方のスペクトルアナライザ掃引を同時にトリガするというコマンドを発行することができる。当業者は、例えば、Raspberry Pi SBC上の汎用入力/出力(GPIO)ピンを使用することにより、外部の掃引トリガ56をパルス状5ボルト信号の生成が可能な他の任意のデバイスと交換できることを理解するであろう。
【0062】
本発明の一態様によれば、長さ可変素子を含むようなEMCアンテナ自体は、本明細書ではM1、M2、M3と呼ばれる。当業者は、本発明の異なる実施形態では、EMCアンテナにおいて他の数の素子を採用できることを理解するであろう。3つの素子のいずれを使用するかは、いずれの周波数セグメントが現在選択されているかに依存する。本発明の一例では、表1は、検査中の周波数範囲に応じた3つのアンテナ素子の使用及びそれらの機能を示す。セグメント数は、測定値が取られる周波数範囲内の離散周波数の数を指す。表1に示される本発明の特定の実施形態では、382のセグメントが使用されている。当業者は、異なる数のセグメント、異なる数の周波数範囲及び周波数範囲のうちのセグメントの異なる分布を使用する本発明の実施形態が本発明の範囲内に収まることが企図されることを理解するであろう。
【表1】
【0063】
本発明によるチューニング手順は、所定の周波数に対する素子長さの最適なセットを自動的に決定するように設計される。チューニング手順は、3つのステージを含むものと見なすことができる。第1のステージは、セットアップ及び校正であり、第2のステージは、測定であり、第3のステージは、データ分析である。
【0064】
チューニング手順を開始する前、システム機器は、測定用にセットアップされる。ここで、
図2を参照すると、フロー図は、本発明の概念を使用して採用することができる説明に役立つセットアップ及び校正手順60を示す。手順は、参照番号62から始まる。
【0065】
参照番号64では、例えば、
図1A及び
図1Bの説明に役立つ実施形態を参照して示されかつ説明されるように、EMCチャンバ内に様々なシステムコンポーネントを配置し、それらを共に相互接続することにより、システムが構成される。この時点で、EMCチャンバ内のその試験位置に供試機器(EUT)を配置することが好ましいが、必ずしもそうする必要はない。当業者は、EUTを配置する前のシステムの校正により、非最適な校正が起こり得ることを理解するであろう。
【0066】
参照番号66では、EMCアンテナ素子位置校正が実行される。このステップは、SDA100アンテナ素子長さコントローラ36に校正コマンドを送信することによって実行される。
【0067】
参照番号68では、VSWRブリッジが校正される。
図1BのRigol DSA-815スペクトルアナライザ40のVSWR測定オプションを使用するため、アナライザは、例えば、National Instrumentsの仮想計測器ソフトウェアアーキテクチャ(NI-VISA)アプリケーションプログラミングインタフェース(API)及びUSB接続を使用してプログラム制御される。周波数スパン及び分解能帯域幅は、測定されている特定の周波数セグメントに対して必要に応じて設定される。EMCアンテナは、コントローラ32からリレー制御46にコマンドを送信することにより、VSRWブリッジ42のDUTポートから切断される。これにより、真空RFリレー44の動力が断たれるため、VSRWブリッジ42のDUTポートからEMCアンテナ38が切断される。全周波数スペクトルにわたる反射率が測定され、格納される。この動作は、「Calオープン」コマンドをRigolアナライザに送信することによって行われる。真空RFリレー44に再び動力供給するため、コマンドがリレー制御46に送信される。これにより、EMCアンテナ38がVSWRブリッジ42のDUTポートに再接続される。次いで、反射減衰量を測定するために掃引がトリガされる。
【0068】
Rigol DSA-815アナライザスクリーンに表示される2つのトレースは、参照(反射率)トレース及び反射減衰量トレースを含み、この2つのトレースは、反射係数及びVSWRを計算するためにアナライザによって使用されるものである。
【0069】
参照番号70では、信号背景雑音が測定される。信号利得(背景を上回る)を測定する前にEMCチャンバ内の背景雑音を参照のために測定する必要がある。スペクトルアナライザ52の周波数スパン及び分解能帯域幅は、測定されている特定の周波数セグメントに対して必要に応じて設定される。スペクトルアナライザ40のトラッキング発生器を使用不能にすることにより、測定値のセットは、全周波数スパンにわたってフィールドプローブ50から取り入れられる。測定値は、平均化して格納される。次いで、トラッキング発生器が再度使用可能になる。Rigol DSA-815が使用される場合、2つのトレースが表示される。第1のトレースは、チャンバの背景雑音であり、第2のトレースは、信号利得(他のスペクトルアナライザのトラッキング発生器によって生成され、フィールドプローブアンテナによって捕捉するためにEMCアンテナ38から放出されるRFフィールド)である。
【0070】
チューニング手順の測定ステージを実施するための代表的な方法80は、
図3のフロー図に示されている。チューニングアルゴリズムは、構成可能な距離(例えば、1インチ)ずつ励振素子長さを変更し、全周波数スペクトルについて、各長さにおけるVSWR及び信号利得測定値を取り入れることにより、測定を実行する。励振素子の長さが変更されると、他の素子の長さも更新される。他の素子(例:導波器、リフレクタ)の長さは、現行の比率に依存し、その比率は、励振素子の長さのパーセンテージとして定義される。低周波数では、約1インチ~10インチの増加が動作可能であることが分かっている。当業者は、周波数が高いほど、増加が小さくなることを理解するであろう。
【0071】
本明細書で説明される比率概念をより良く理解するため、所定の励振素子長さについて、例示的なリフレクタ長さが提供される。非限定的な例として、現行の周波数スパンは、2つの素子(励振素子とリフレクタ)の使用を必要とすると想定する。励振素子長さは、230インチから90インチまで一度に1インチずつ変動される。現行のリフレクタ比率は、0.5に設定される(リフレクタ素子の長さが励振素子長さの50%に設定されることを意味する)と想定する。励振素子長さが200インチに設定されると、リフレクタの長さは、100インチに設定される。励振素子長さが100インチに設定されると、リフレクタの長さは、50インチに設定されるなど、以下同様である。
【0072】
方法は、「支持」素子(導波器、リフレクタなど)の開始及び終了比率に基づいて複数のパスを実行する。開始及び終了比率並びに比率の数は、ユーザが構成可能なものである。
【0073】
非限定的な例として、上記の二素子構成を使用すると、ユーザは、リフレクタ長さが励振素子長さの最小50%及び励振素子長さの最大115%であるべきであること、及び5つのサンプルを採るべきであることを指定することができる。このシナリオでは、アルゴリズムは、次の5つのリフレクタ比率、すなわち50%、66%、85%、101%、115%において、励振素子長さを1インチ増加するたびに測定値を取り入れることになる。
【0074】
3つ以上のアンテナ素子(例えば、導波器、励振素子及びリフレクタ)が使用されると、方法は、すべてのリフレクタ比率について、すべての導波器比率の試験が行われるように比率を変える。簡単な例を以下に記載する。
【0075】
方法は、以下のユーザ構成可能なパラメータを使用する。第1のパラメータは、開始セグメント数であり、開始周波数セグメントを定義する1~382の整数(例えば、表1の例)である。
【0076】
第2のパラメータは、最大VSWRである。この値は、小数(≧1.0)であり、許容される最大VSWR値である。この値を下回るVSWR測定値が収集されなかった場合、最も低いVSWR値を有する測定値が使用される。
【0077】
長い励振素子-リフレクタ比率開始は、小数(≧0)であり、励振素子(現行の実施形態ではM1)が「長い」場合の開始リフレクタ比率である。
【0078】
長い励振素子-リフレクタ比率終了は、小数(≧0)であり、励振素子(現行の実施形態ではM1)が「長い」場合の終了リフレクタ比率である。
【0079】
長い励振素子-リフレクタサンプルカウントは、整数(≧0)であり、開始値と終了値との間の試験を行う比率の数である。1に設定された場合、終了値のみが使用される。
【0080】
短い励振素子-導波器比率開始は、小数(≧0)であり、励振素子(現行の実施形態ではM2)が「短い」場合の開始導波器比率である。
【0081】
短い励振素子-導波器比率終了は、小数(≧0)であり、励振素子(現行の実施形態ではM2)が「短い」場合の終了導波器比率である。
【0082】
短い励振素子-導波器サンプルカウントは、整数(≧0)であり、開始値と終了値との間の試験を行う比率の数である。1に設定された場合、終了値のみが使用される。
【0083】
短い励振素子-リフレクタ比率開始は、小数(≧0)であり、励振素子(現行の実施形態ではM2)が「短い」場合の開始リフレクタ比率である。
【0084】
短い励振素子-リフレクタ比率終了は、小数(≧0)であり、励振素子(現行の実施形態ではM2)が「短い」場合の終了リフレクタ比率である。
【0085】
短い励振素子-リフレクタサンプルカウントは、整数(≧0)であり、開始値と終了値との間の試験を行う比率の数である。1に設定された場合、終了値のみが使用される。
【0086】
表2及び表3は、本発明の方法で使用することができるパラメータの説明に役立つ非限定的な例を示す。表2は、二素子EMCアンテナのパラメータの例を示す。
【表2】
【0087】
表3は、三素子EMCアンテナのパラメータの例を示す。
【表3】
【0088】
方法は、参照番号82から始まる。参照番号84では、依然として試験が行われていない周波数セグメントグループ(例えば、表1)が存在するかどうかが判断される。存在しない場合、方法は、参照番号86に進み、捕捉された測定値のすべてが分析される。次いで、方法は、参照番号88で終了する。
【0089】
参照番号84において、依然として試験が行われていない周波数セグメントグループが存在すると判断した場合、方法は、参照番号90に進み、次の周波数グループが選択される。次いで、方法は、参照番号92に進み、依然として試験が行われていない少なくとも1つの相対素子比率が存在するかどうかが判断される。存在しない場合、方法は、参照番号86に進み、捕捉された測定値のすべてが分析される。次いで、方法は、参照番号88で終了する。
【0090】
参照番号92において、依然として試験が行われていない少なくとも1つの相対素子比率が存在すると判断した場合、方法は、参照番号94に進み、次の相対素子比率が選択される。次いで、方法は、参照番号96に進み、コントローラは、EMCアンテナ38の素子長さを次の試験構成に調整するという素子長さコントローラへのコマンドを発行する。
【0091】
次いで、方法は、参照番号98に進み、現行の比率シリーズの最後の素子位置に達したかどうかが判断される。達していない場合、方法は、参照番号100に進み、素子長さの現行の構成に対するVSWR測定値が収集される。次いで、方法は、参照番号102に進み、素子長さの現行の構成に対するVSWR測定値が収集される。当業者は、参照番号100及び102で実行されるプロセスが必ずしもその順番で実行する必要がないことを理解するであろう。
【0092】
次いで、方法は、参照番号96に進み、再び素子長さが調整され、次いで現行の比率シリーズの最後の素子位置に達したかどうかの判断が行われる。現行の相対的比率の最後の素子位置に達した場合、方法は、再び参照番号92に進み、依然として試験が行われていない少なくとも1つの相対素子比率が存在するかどうかが判断される。
【0093】
方法は、すべての周波数セグメントに対するすべての比率のすべての素子長さの試験が行われ、測定値が分析され、方法が参照番号88で終了するまで、参照番号84、92及び98を何度も繰り返す。
【0094】
図3の検査から、当業者は、上記で説明されるように、VSWR測定値が全周波数スパンにわたってすべての素子位置について取り入れられることを指摘するであろう。信号強度測定値も、上記で説明されるように、全周波数スパンにわたってすべての素子位置について取り入れられる。「背景雑音を上回る信号利得」を説明する計量を生成するため、背景雑音値は、信号トレース値から減算される。当業者によって理解されるように、複数の測定値を平均化して、より正確な読取値を生成することができる。
【0095】
ここで、
図4を参照すると、フロー図は、本発明のチューニング手順の説明に役立つデータ分析ステージを実施するための方法110を示す。方法は、参照番号112から始まる。
【0096】
参照番号114では、サンプルがそれらのそれぞれのセグメントグループ別に分離及び分類される。当業者は、セグメントグループが任意に定義することができ、特定の周波数範囲に限定されないことを理解するであろう。それらのサンプルは、単にそれらが同じチューニングパラメータを共有するという理由で分類される。本発明の一例によれば、4つの別個のセグメントグループを定義することができる。30~35MHzの周波数範囲の第1の低周波数セグメントグループは、2つの素子、すなわち励振素子及びリフレクタ(M1及びM3のそれぞれ)を使用する。リフレクタが通常と異なる長さ(例えば、0インチ、励振素子の50%)を有し得ることが発見されていることを理由に、大複数のリフレクタ比率サンプルを収集することが有利であるため、このグループは、二素子周波数セグメントの残りから分離される。
【0097】
35~55MHzの周波数範囲の第2の低周波数セグメントグループは、2つの素子、すなわち励振素子及びリフレクタ(M1及びM3のそれぞれ)を使用する。これらの周波数では、リフレクタは、上記のグループよりも予想通りに挙動するため、このグループは、上記のグループほど多くの比率サンプルを必要としない。
【0098】
55~180MHzの周波数範囲の中高周波数グループは、3つの素子、すなわち導波器、励振素子及びリフレクタ(M1、M2、M3)をすべて使用する。この周波数範囲では、素子は、RFチャンバ内で予想通りに挙動するため、このグループは、大複数の比率サンプルを必要としない。
【0099】
180~200MHzの周波数範囲の高周波数グループは、3つの素子、すなわち導波器、励振素子及びリフレクタ(M1、M2、M3)をすべて使用する。このグループは、1波長又は1.5波長の長さの素子を有する八木アンテナを使用することができ、なぜなら、これらの高周波数では、通常の0.5波長のアンテナとは対照的に、EMCアンテナの素子は、これらの1~1.5波長のアンテナを作成できるほど十分に長くすることができるためである。より長い素子で作られた八木アンテナは、いくつかの事例では、さらに一層高いフィールド強度を生成することができ、したがって他のセグメントから分離される。
【0100】
経験的観察により、かなり長い距離(おそらく5インチ又は10インチもの長さ)にわたって素子を変動させる際、トレースデータ(全周波数範囲の完全な掃引後にスペクトルアナライザから収集されたデータ、試験が行われている周波数スパンにわたる複数のポイントにおける信号及びSWRの測定値)は、ほとんど変化しないため、一度にわずかな増加(0.5インチ又は1インチなど)で素子を変動する必要がないことが示されている。
【0101】
特定の長さ範囲についてすべてのトレースが収集された時点で、三次元で値をプロットすることができ、x軸は、周波数であり、y軸は、励振素子長さであり、z軸は、信号強度(
図6を参照されたい)又はVSWR(
図7を参照されたい)である。当業者は、これらの三次元データポイントが1つの「セグメントグループ」あたりであらゆる「素子比率」について収集されることを指摘するであろう。次いで、その間で値をかなり正確に近似させて三次元表面プロットを作成するため、様々な三次元補間方法を使用することができる。
【0102】
図8及び
図9にそれぞれ示されるように、結果として得られる3D表面は、欠損値の正確な充填を可能にする。
図10及び
図11は、30~55MHz周波数スパンの信号トレースの例を示し、励振素子長さは、113インチで1回測定され、再び118インチで測定される(長さ増加=5インチ)。116インチでの補間値は、
図10の点線と考えられる。
【0103】
図11は、116インチで測定された際、補間データが実際のデータとどの程度密接に比較されるかを示す。
図10及び
図11は、小さい素子長さ増加で信号強度及びVSWR読取値を取り入れる必要がないことを示す。この観察により、測定値の長さ増加の粒度を下げることによってチューニング速度を著しく増加させることができる。
【0104】
上記の観察を考慮して、
図4の方法は、参照番号116に進み、測定値間の位置に対するデータ値を提供するためにデータが補間される。この補間は、データの質を明らかに低下させることなく、データ測定時間を短くする。
【0105】
参照番号118では、分析する少なくとも1つの周波数セグメントグループが存在するかどうかが判断される。存在しない場合、参照番号120において、チューニングパラメータが保存され、方法は、参照番号122で終了する。
【0106】
参照番号118において、分析する少なくとも1つの周波数セグメントグループが存在すると判断した場合、方法は、参照番号124に進み、分析のために次の周波数グループが選択される。
【0107】
請求項4の方法において示される本発明の態様によれば、閾値化及びフィルタリングを実行することができる。信号強度が最も高い(MAX(SIGNAL))単一のポイントを見出す間、チューニングパラメータによって指定されるようなVSWR<MAX_VSWRであるデータポイントのみが選択される。これを実現するには、既定の閾値を満たさないすべてのVSWR値が単にフィルタ除去され、次いでフィルタリング済みの低VSWR領域内に収まる信号強度値のセットを生成するために、フィルタリング済みの断面が使用される。これは、
図12においてグラフで示されている。データの閾値化及びフィルタリング後、最も高い信号ポイントが選択され、素子長さ及び周波数と相関される。これは、
図13においてグラフで示されている。これは、周波数スパンにわたる最良の励振素子長さ及び導波器/リフレクタ比率を決定するために複数の3Dプロット上で行うことができる。
図13で描写される例は、単一のセグメントグループ及び単一の素子比率に対する単一のセットの測定値の分析を示す。結果として得られるデータは、
図14及び15に示されるように、デカルト平面上にグラフ表示し、プログラムされた閾値を下回る最良の信号及びVSWR値と共に、全周波数スパンにわたるすべてのセグメント長さを示すことができる。
【0108】
参照番号126では、VSWRが既定の閾値以下である測定値を有するすべてのサンプルが選択される。次いで、方法は、参照番号128に進み、参照番号126において選択されたサンプルの数が0より大きいかどうかが判断される。0より大きい場合、方法は、参照番号130に進み、選択されたサンプルのうちで最も高い測定信号強度を有するサンプルが選択される。次いで、方法は、参照番号132に進み、選択されたサンプルの素子長さが現行の周波数セグメントと関連付けられる。次いで、方法は、参照番号118に戻り、分析する少なくとも1つの周波数セグメントグループが存在するかどうかが判断される。
【0109】
参照番号128において、参照番号126において選択されたサンプル(VSWRが既定の閾値以下である)が存在しないと判断された場合、方法は、参照番号134に進み、最も低いVSWRを有するサンプルが選択される。次いで、方法は、参照番号132に進み、選択されたサンプルの素子長さが現行の周波数セグメントと関連付けられる。次いで、方法は、分析する周波数セグメントグループがなくなり、方法が参照番号122で終了するまで、参照番号118から始まるループに戻る。
【0110】
ここで、
図5を参照すると、フロー図は、本発明のEMCアンテナシステムの動作全体の説明に役立つ方法140を示す。方法は、参照番号142から始まる。
【0111】
参照番号144では、システムは、校正のために初期化される。このプロセスは、
図2を参照して示されかつ説明されている。参照番号146では、EMCアンテナ素子が校正される。このプロセスは、
図3及び
図4を参照して示されかつ説明されている。
【0112】
参照番号144及び146の初期化及び校正手順が実行された時点で、各試験周波数に対する最適な素子位置が決定され、格納される。この時点で、本発明のEMCアンテナシステムは、EMC試験を実行するために使用することができる。
【0113】
参照番号148では、システムは、EMC試験のために初期化される。校正に続いて実際のEMC試験を実行するため、試験のためにシステムを初期化することは、VSWR測定スペクトルアナライザのVSWRブリッジからEMCアンテナを切断することを含む。
図1Bで描写される構成試験セットアップにおけるスペクトルアナライザのトラッキング発生器は、増幅器と共に使用することができず、チューニングに適した弱いRF信号のみを生成することができる。フィールド強度測定スペクトルアナライザからチューニングのために使用されるフィールドプローブは、切断され、任意の接続ケーブルと共に試験チャンバから取り除かれる。EMCアンテナは、指定されたパワーレベルで試験対象品に照射する目的のために振動RF信号源によって駆動されるRF増幅器に接続される。NISTによるトレース可能な電界プローブが接続され、所望のRF感受率試験(RS-103、MIL-STD-461Gなど)を実行することができる。EMCアンテナは、SDA100アンテナ素子長さコントローラ36及びRaspberry Pi(又は他のコントローラ)に接続されたままである。
【0114】
当業者は、
図1Bに示される構成試験セットアップが構成試験セットアップの単なる非限定的な一例であり、完全なEMCアンテナシステムを形成するために、
図1Bに示される構成試験セットアップの機能を実行する他の回路ブロックと共に、EMC試験に必要な高出力増幅器及びNISTによるトレース可能なプローブを本発明のEMCアンテナシステムに組み込み、システムを初期化してEMC試験を実行するためにアンテナ及びコントローラを機器の異なるセットに切り替える必要性を排除できることを理解するであろう。
【0115】
EMC試験のためにシステムが初期化された時点で、参照番号150において、次のEMC試験周波数が選択される。システムが最初に参照番号150を実施する際、システムは、第1のEMC試験周波数を選択する。参照番号152では、振動RF信号源は、選択された周波数に設定される。新しい周波数の試験を行うたびに、機器(増幅器、RF源、EMCアンテナ)は、その特定の周波数に設定される。
【0116】
参照番号154では、選択された周波数に対する格納されたEMCアンテナの素子長さが回収される。参照番号156では、アンテナコントローラは、EMCアンテナ素子の長さを、選択されたEMC試験周波数に対する格納値に設定する。参照番号158では、システムは、RFエネルギーをEMCアンテナに収束し、選択されたEMC試験周波数に対するEUTの挙動を表すEMC試験データが捕捉される。
【0117】
参照番号160では、現在選択されているEMC試験周波数がシーケンスの最後のEMC試験周波数であるかどうかが判断される。現在選択されているEMC試験周波数がシーケンスの最後のEMC試験周波数である場合、方法は、参照番号162で終了する。参照番号160において、現在選択されているEMC試験周波数がシーケンスの最後のEMC試験周波数でないと判断された場合、方法は、参照番号150に戻り、次のEMC試験周波数が選択される。方法は、シーケンスのEMC試験周波数のすべてに対するEMC試験データが捕捉されるまで、参照番号150から参照番号160まで何度も繰り返し、捕捉後、方法は、参照番号162で終了する。
【0118】
当業者は、機械学習技法を適用することにより、本明細書で説明される実装形態の速度をさらに最適化できることを理解するであろう。
【0119】
これを達成する方法の1つは、事前に選択された対象のポイント(例えば、特定の素子長さ位置)において大複数のトレースデータ測定値を収集することである。これは、例えば、顧客使用からの匿名の分析を受信することにより、様々な環境において行う必要がある。
【0120】
機械学習モデルへの入力として使用される「特定の素子位置」は、すべてのトレースセグメントを分析し、いずれが最も大きい変動性を呈するか、したがっていずれが残りの測定値に最も大きい影響を及ぼすかを決定することによって決定される必要がある。
【0121】
十分なデータサンプル(例えば、1000以上)が収集された時点で、入力としてごくわずかなデータポイントを与えるのみで最良の長さを予測するように機械学習モデルを訓練することができる。この手法は、極めて高速なチューニング時間をもたらし得る。
【0122】
本発明の実施形態及び応用について示し、説明してきたが、本明細書の発明概念から逸脱することなく、上記で言及したものより多くの変更形態が可能であることは、当業者に明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨を除いて、限定されるものではない。