(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-13
(45)【発行日】2025-03-24
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20250314BHJP
【FI】
B06B1/04 Z
(21)【出願番号】P 2021063217
(22)【出願日】2021-04-02
【審査請求日】2024-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】羽多野 慎司
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 一彦
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102902(JP,A)
【文献】特開2013-062910(JP,A)
【文献】特開2020-185516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルおよび前記コイルを保持するコイルホルダを備える支持体と、
前記コイルと対向するマグネットおよび当該マグネットが固定されたヨークを備える可動体と、
前記可動体と前記支持体とを相対移動可能に接続する接続体と、
前記コイルと前記マグネットとを備え、前記支持体と前記可動体とを相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記コイルと前記マグネットとが対向する方向を
第1方向、前記可動体と前記支持体とが相対移動する方向を前記第1方向と直交する第2方向、前記第1方向および前記第2方向と直交する方向をY方向とした場合に、
前記コイルの巻回部は、前記第2方向に配列されて前記Y方向に延びる一対の有効辺部分、並びに、一対の前記有効辺部分の前記Y方向の一方端を接続する第1湾曲辺部分および前記Y方向の他方端を接続する第2湾曲辺部分を備え、
前記マグネットは、一対の前記有効辺部分と対向し、
前記マグネットとして、前記第1方向において前記コイルの一方側に位置する第1マグネットと、他方側に位置する第2マグネットと、を備え、
前記ヨークとして、前記第1マグネットの前記コイルとは反対側に位置する第1ヨークと、前記第2マグネットの前記コイルとは反対側に位置する第2ヨークと、前記コイルホルダの
前記第2方向の一方を前記第1方向に延びて前記第1ヨークと前記第2ヨークとを接続する一方側接続ヨークと、前記コイルホルダの
前記第2方向の他方を前記第1方向に延びて前記第1ヨークと前記第2ヨークとを接続する他方側接続ヨークと、を備え、
前記一方側接続ヨークおよび前記他方側接続ヨークは、前記第2方向から見た場合に前記有効辺部分および前記マグネットと重ならない位置に設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記一方側接続ヨークとして、前記マグネットの前記Y方向の両側で前記第1ヨークと前記第2ヨークとを接続する第1一方側接続ヨークおよび第2一方側接続ヨーク、を備え、
前記他方側接続ヨークとして、前記マグネットの前記Y方向の両側で前記第1ヨークと前記第2ヨークとを接続する第1他方側接続ヨークおよび第2他方側接続ヨークを備えることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1一方側接続ヨークおよび前記第1他方側接続ヨークは、前記第2方向から見た場合に前記第1湾曲辺部分と重なり、
前記第2一方側接続ヨークおよび前記第2他方側接続ヨークは、前記第2方向から見た場合に前記第2湾曲辺部分と重なることを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記コイルホルダは、厚み方向を前記第1方向に向けた板部と、前記板部に設けられたコイル配置穴と、を有し、
前記コイル配置穴は、前記第1方向から見た場合に前記巻回部が嵌合する形状を備え、
前記巻回部は、前記コイル配置穴に収容され、
前記板部は、前記第2方向から見た場合に前記第1湾曲辺部分と重なる位置で前記第2方向の両端縁から内側に窪む一対の第1切欠き部と、前記第2方向から見た場合に前記第2湾曲辺部分と重なる位置で前記第2方向の両端縁から内側に窪む第2切欠き部と、を備え、
前記第1一方側接続ヨークおよび前記第1他方側接続ヨークのそれぞれは、各第1切欠き部に挿入され、
前記第2一方側接続ヨークおよび前記第2他方側接続ヨークのそれぞれは、各第2切欠き部に挿入されることを特徴とする請求項2または3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記板部において、前記Y方向で一対の前記第1切欠き部と一対の前記第2切欠き部との間に位置する第1部分の前記第2方向の第1幅は、前記第2方向で一対の前記第1切欠き部の間に位置する第2部分の前記第2方向の第2幅および前記第2方向で一対の前記第2切欠き部の間に位置する第3部分の前記第2方向の第3幅よりも広く、
前記第2幅および前記第3幅は、前記第1部分における前記コイル配置穴の前記第2方向の内径よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記支持体は、前記板部の前記第1方向の他方側の端面に重ねられて前記コイル配置穴を封鎖する平板形状のプレートを有し、
前記第1一方側接続ヨークおよび前記第1他方側接続ヨークは、それぞれ前記第1切欠き部の内側を前記第1方向に延びて前記第1ヨークと前記第2ヨークとを接続する接続部分と、前記接続部分の前記第2ヨークの側の端部分から前記Y方向を前記第1部分に向かって突出し、前記第1方向で前記プレートと所定の隙間を開けて対向する突出部分とを備えることを特徴とする請求項
5に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記支持体は、前記コイルホルダおよび可動体の前記第1方向の一方側に位置する第1板部および他方側に位置する第2板部と、前記第1方向に延びて前記第1板部の前記第2方向の両端縁および前記第2板部の前記第2方向の両端縁をそれぞれ接続する一対の側板部と、を有する筒形状のケースを備え、
一対の前記側板部のそれぞれには、前記第2方向に貫通する開口部が設けられており、
前記第1部分は、前記第2方向の両端部分が一対の前記開口部に挿入されていることを特徴とする請求項
5または6に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルおよびマグネットを有する磁気駆動機構によって可動体を移動させるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
情報を振動によって報知するデバイスとして、支持体に支持された可動体を磁気駆動機構によって振動させるアクチュエータが提案されている。特許文献1のアクチュータは、マグネットおよびヨークを備える可動体と、コイルを備える支持体と、可動体と支持体とを相対移動可能に接続する接続体と、を備える。マグネットは、コイルの巻回部と対向しており、マグネットとコイルとは、可動体と支持体とを所定の移動方向に相対移動させる磁気駆動機構を構成する。移動方向は、マグネットと巻回部とが対向する対向方向と直交する方向である。巻回部は、移動方向に配列されて移動方向および対向方向と直交する直交方向に延びる一対の有効辺部分と、一対の有効辺部分の直交方向の両端をそれぞれ接続する一対の湾曲辺部分と、を備える。
【0003】
同文献のアクチュエータは、マグネットとして、コイルの一方側に位置する第1マグネットと、他方側に位置する第2マグネットと備える。また、アクチュエータは、ヨークとして、第1マグネットのコイルとは反対側に位置する第1ヨークと、第2マグネットのコイルとは反対側に位置する第2ヨークと、移動方向におけるコイルホルダの両側で第1ヨークと第2ヨークとを接続する一対の接続ヨークと、を備える。このような構成を備えるので、アクチュエータでは、第1マグネットからの磁束および第2マグネットからの磁束がヨークの形状に従ってコイルを囲むように流れる。これにより、マグネットからの磁束がヨークの外側に漏れることを抑制できるので、磁気駆動機構は、支持体と可動体とを相対移動させる推力を確保することができる。
【0004】
同文献では、一対の接続ヨークは、移動方向から見た場合に、コイルの巻回部と重なる。従って、一対の接続ヨークは、コイルホルダにおいてコイルの巻回部を保持している保持部の移動方向の両側に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁気駆動機構の推力としてより大きな推力を得るためには、コイルの有効辺部分とマグネットとが対向する対向面積を大きくすることが考えられる。例えば、コイルとして、従来よりも有効辺部分の幅が移動方向に大きいコイルを採用し、可動体に、コイルの有効辺部分と対向可能な大きさのマグネットを搭載することが考えられる。しかし、この場合には、コイルが移動方向で大きくなる分だけ、コイルホルダにおいてコイルを保持している保持部を移動方向で大きくする必要がある。
【0007】
ここで、特許文献1に記載のアクチュエータでは、コイルホルダにおいてコイルを保持している保持部の移動方向の両側に、可動体を構成する一対の接続ヨークが位置する。従って、大きなコイルを採用することによりコイルホルダにおけるコイルの保持部が移動方向で大きくなると、一対の接続ヨークの移動方向の間隔を従来よりも離間させなければならない。一対の接続ヨークの間隔が移動方向で大きくなると、可動体が移動方向で大きく
なるので、アクチュエータが移動方向で大型化するという問題がある。
【0008】
本発明の課題は、以上の問題点に鑑みて、磁気駆動機構のコイルとして大きなコイルを搭載する場合でも、移動方向に大型化することを抑制できるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のアクチュエータは、コイルおよび前記コイルを保持するコイルホルダを備える支持体と、前記コイルと対向するマグネットおよび当該マグネットが固定されたヨークを備える可動体と、前記可動体と前記支持体とを相対移動可能に接続する接続体と、前記コイルと前記マグネットとを備え、前記支持体と前記可動体とを相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、前記コイルと前記マグネットとが対向する方向を前記第1方向、前記可動体と前記支持体とが相対移動する方向を前記第1方向と直交する第2方向、前記第1方向および前記第2方向と直交する方向を第3方向とした場合に、前記コイルの巻回部は、前記第2方向に配列されて前記第3方向に延びる一対の有効辺部分、並びに、一対の前記有効辺部分の前記第3方向の一方端を接続する第1湾曲辺部分および前記第3方向の他方端を接続する第2湾曲辺部分を備え、前記マグネットは、一対の前記有効辺部分と対向し、前記マグネットとして、前記第1方向において前記コイルの一方側に位置する第1マグネットと、他方側に位置する第2マグネットと、を備え、前記ヨークとして、前記第1マグネットの前記コイルとは反対側に位置する第1ヨークと、前記第2マグネットの前記コイルとは反対側に位置する第2ヨークと、前記コイルホルダの前記第2方向の一方側を前記第1方向に延びて前記第1ヨークと前記第2ヨークとを接続する一方側接続ヨークと、前記コイルホルダの前記第2方向の他方側を前記第1方向に延びて前記第1ヨークと前記第2ヨークとを接続する他方側接続ヨークと、を備え、前記一方側接続ヨークおよび前記他方側接続ヨークは、前記第2方向から見た場合に前記有効辺部分および前記マグネットと重ならない位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明のアクチュエータは、コイルとともに磁気駆動機構を構成するマグネットとして、第1方向においてコイルの一方側に位置する第1マグネットおよび他方側に位置する第2マグネットを備える。また、アクチュエータは、ヨークとして、第1マグネットのコイルとは反対側に位置する第1ヨークと、第2マグネットのコイルとは反対側に位置する第2ヨークと、コイルホルダの第2方向の一方側を第1方向に延びて第1ヨークと第2ヨークとを接続する一方側接続ヨークと、コイルホルダの第2方向の他方側を第1方向に延びて第1ヨークと第2ヨークとを接続する他方側接続ヨークと、を備える。かかる構成によれば、第1マグネットからの磁束および第2マグネットからの磁束は、ヨークの形状に従って、コイルを囲むように流れる。これにより、マグネットからの磁束がヨークの外側に漏れることが抑制されるので、アクチュエータの磁気駆動機構は、支持体と可動体とを相対移動させる推力を得ることが容易となる。ここで、一方側接続ヨークおよび他方側接続ヨークは、第2方向から見た場合にコイルの有効辺部分およびマグネットと重ならない位置に設けられている。従って、コイルの有効辺部分とマグネットとの対向面積を増加させるために、コイルホルダに従来よりも第2方向に大きなコイルを搭載し、コイルを第2方向に大きくした分だけコイルホルダにおいて巻回部を保持している保持部を第2方向に大きくした場合でも、一方側接続ヨークと他方側接続ヨークを移動方向で離間させなくてもよい。よって、磁気駆動機構のコイルとして大きなコイルを搭載する場合でも、アクチュエータが移動方向で大型化することを防止或いは抑制できる。
【0011】
本発明において、前記一方側接続ヨークとして、前記マグネットの前記第3方向の両側で前記第1ヨークと前記第2ヨークとを接続する第1一方側接続ヨークおよび第2一方側接続ヨーク、を備え、前記他方側接続ヨークとして、前記マグネットの前記第3方向の両側で前記第1ヨークと前記第2ヨークとを接続する第1他方側接続ヨークおよび第2他方
側接続ヨークを備えるものとすることができる。このようにすれば、第1ヨークと第2ヨークとを接続する一方側接続ヨークとして第1一方側接続ヨークと第2一方側接続ヨークの2本を備えるとともに、他方側接続ヨークとして第1一方側接続ヨークと第2一方側接続ヨークの2本を備える。従って、第1マグネットからの磁束および第2マグネットからの磁束を、コイルを囲むように流しやすい。
【0012】
本発明において、前記第1一方側接続ヨークおよび前記第1他方側接続ヨークは、前記第2方向から見た場合に前記第1湾曲辺部分と重なり、前記第2一方側接続ヨークおよび前記第2他方側接続ヨークは、前記第2方向から見た場合に前記第2湾曲辺部分と重なることが望ましい。このようにすれば、一方側接続ヨークを構成する第1一方側接続ヨークと第2一方側接続ヨークの2本が第3方向で離間し過ぎることを防止できる。また、他方側接続ヨークを構成する第1一方側接続ヨークと第2一方側接続ヨークの2本が第3方向で離間し過ぎることを防止できる。よって、アクチュエータが第3方向で大型化することを防止或いは抑制できる。
【0013】
本発明において、前記コイルホルダは、厚み方向を前記第1方向に向けた板部と、前記板部に設けられたコイル配置穴と、を有し、前記コイル配置穴は、前記第1方向から見た場合に前記巻回部が嵌合する形状を備え、前記巻回部は、前記コイル配置穴に収容され、前記板部は、前記第2方向から見た場合に前記第1湾曲辺部分と重なる位置で前記第2方向の両端縁から内側に窪む一対の第1切欠き部と、前記第2方向から見た場合に前記第2湾曲辺部分と重なる位置で前記第2方向の両端縁から内側に窪む第2切欠き部と、を備え、前記第1一方側接続ヨークおよび前記第1他方側接続ヨークのそれぞれは、各第1切欠き部に挿入され、前記第2一方側接続ヨークおよび前記第2他方側接続ヨークのそれぞれは、各第2切欠き部に挿入されるものとすることができる。このようにすれば、第2方向でコイルホルダ11の外側に一方側接続ヨーク25と他方側接続ヨーク25とが位置している場合でも、可動体5が第2方向で大型化することを抑制しやすい。
【0014】
本発明において、前記板部において、前記第3方向で一対の前記第1切欠き部と一対の前記第2切欠き部との間に位置する第1部分の前記第2方向の第1幅は、前記第2方向で一対の前記第1切欠き部の間に位置する第2部分の前記第2方向の第2幅および前記第2方向で一対の前記第2切欠き部の間に位置する第3部分の前記第2方向の第3幅よりも広く、前記第2幅および前記第3幅は、前記第1部分における前記コイル配置穴の前記第2方向の内径よりも小さいものとすることができる。このようにすれば、コイル配置穴においてコイルの有効辺部分が収容される部分は、第2方向の幅の広い第1部分に設けられる。従って、コイル配置穴においてコイルの有効辺部分が収容される部分を、第2方向に大きくすることができる。よって、コイルを第2方向で大きくすることが容易である。
【0015】
本発明において、前記支持体は、前記板部の前記第1方向の他方側の端面に重ねられて前記コイル配置穴を封鎖する平板形状のプレートを有し、前記第1一方側接続ヨークおよび前記第1他方側接続ヨークは、それぞれ前記第1切欠き部の内側を前記第1方向に延びて前記第1ヨークと前記第2ヨークとを接続する接続部分と、前記接続部分の前記第2ヨークの側の端部分から前記第3方向を前記第1部分に向かって突出し、前記第1方向で前記プレートと所定の隙間を開けて対向する突出部分とを備えるものとすることができる。このようにすれば、可動体が第2方向に過度に傾斜した場合には、支持体のプレートと、可動体の第1一方側接続ヨークの第1突出部分または第1他方側接続ヨークの第1突出部分とが当接する。従って、可動体が移動する際に、可動体が過度に傾斜することを防止できる。
【0016】
本発明において、前記支持体は、前記コイルホルダおよび可動体の前記第1方向の一方側に位置する第1板部および他方側に位置する第2板部と、前記第1方向に延びて前記第
1板部の前記第2方向の両端縁および前記第2板部の前記第2方向の両端縁をそれぞれ接続する一対の側板部と、を有する筒形状のケースを備え、一対の前記側板部のそれぞれには、前記第2方向に貫通する開口部が設けられており、前記第1部分は、前記第2方向の両端部分が一対の前記開口部に挿入されているものとすることができる。このようにすれば、コイルホルダが一対の側板部の内側に収容されている場合と比較して、少なくとも、ケースの一対の側板部の厚み分だけ、コイルホルダの第1部分を第2方向に大きくできる。従って、コイルホルダに、第2方向に大きいコイルを収容するコイル配置穴を設けることが容易となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のアクチュエータでは、マグネットが固定されたヨークが、支持体のコイルを包囲する。従って、マグネットからの磁束は、ヨークの形状に従って、コイルを囲むように流れる。これにより、マグネットからの磁束がヨークの外側に漏れることが抑制されるので、アクチュエータの磁気駆動機構は、支持体と可動体とを相対移動させる推力を得ることが容易である。また、コイルを保持するコイルホルダの第2方向の両側に位置する一方側接続ヨークおよび他方側接続ヨークは、第2方向から見た場合にコイルの有効辺部分およびマグネットと重ならない位置に設けられている。従って、コイルの有効辺部分とマグネットとの対向面積を増加させるために、コイルホルダに従来よりも第2方向に大きなコイルを搭載し、コイルを第2方向に大きくした分だけコイルホルダにおいて巻回部を保持している保持部を第2方向に大きくした場合でも、一方側接続ヨークと他方側接続ヨークを移動方向で離間させなくてもよい。よって、磁気駆動機構のコイルとして大きなコイルを搭載する場合でも、アクチュエータが移動方向で大型化することを防止或いは抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明を適用したアクチュエータの斜視図である。
【
図2】
図1のアクチュエータを短手方向の反対側から見た場合の斜視図である。
【
図3】アクチュエータを長手方向に切断した場合の断面図である。
【
図5】ケースを取り外したアクチュエータの側面図である。
【
図6】ケースを取り外したアクチュエータの分解斜視図である。
【
図7】ケースを取り外した支持体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したアクチュエータの実施の形態を説明する。また、アクチュエータの製造方法を説明する。
【0020】
(全体構成)
図1は、本発明を適用したアクチュエータの斜視図である。
図2は、
図1のアクチュエータを短手方向の反対側から見た場合の斜視図である。
図3は、アクチュエータを長手方向に切断した場合の断面図である。
図4は、アクチュエータの分解斜視図である。
図5は、ケースを取り外した状態のアクチュエータの側面図である。
図6は、ケースを取り外したアクチュエータの分解斜視図である。
図7は、ケースを取り外した支持体の分解斜視図である。
図8は、コイルホルダおよびコイルの平面図である。
【0021】
本例のアクチュエータ1は、振動によって情報を伝達する触覚デバイスとして用いられる。
図1、
図3に示すように、アクチュエータ1は、直方体形状の外観を備える。アクチュエータ1は、その外観の短手方向に振動を発生させる。以下の説明では、振動が発生する短手方向をX方向(第2方向)、アクチュエータ1の長手方向であってX方向と直交す
る方向をY方向(第3方向)とする。また、アクチュエータ1の厚み方向であって、X方向およびY方向と直交する方向をZ方向(第1方向)とする。さらに、X方向の一方をX1方向、他方をX2方向とする。Y方向の一方をY1方向、他方をY2方向とする。Z方向の一方をZ1方向、他方とZ2方向とする。
【0022】
図3に示すように、アクチュエータ1は、ケース2を備える支持体3と、ケース2の内部に収容された可動体5と、を有する。また、アクチュエータは、支持体3と可動体5とをX方向に相対移動可能に接続する接続体6、7と、可動体5と支持体3とを相対移動させる磁気駆動機構8と、を備える。可動体5の移動方向は、X方向である。
【0023】
図1、
図2に示すように、ケース2は、可動体5のZ1方向に位置する第1板部14と、可動体5のZ2方向に位置する第2板部15と、可動体のX方向の両側でZ方向に延びて第1板部14のX方向の端縁と第2板部15のX方向の端縁とを接続する一対の側板部16と、を備える。一対の側板部16のそれぞれには、Y2方向に長い矩形の開口部16aが設けられている。
図3に示すように、支持体3は、コイル10と、コイル10を保持する樹脂製のコイルホルダ11と、コイルホルダ11のZ1方向に重ねられた第1プレート12と、コイルホルダ11のZ2方向に重ねられた第2プレート13と、を備える。
【0024】
図7に示すように、コイル10は、コイル線を長円状に巻回した巻回部55と、巻回部55から引き出された図示しない2本の引き出し部を備える。巻回部55は、X方向に配列されてY方向に延びる一対の有効辺部分56、並びに、一対の有効辺部分56のY1方向の端を接続する第1湾曲辺部分57およびY2方向の端を接続する第2湾曲辺部分58を備える。コイル10は、巻回部55の厚み方向をZ方向に向けてコイルホルダ11に保持される。
図3に示すように、ケース2内において、巻回部55は、X方向およびZ方向の中央に位置する。
【0025】
可動体5は、マグネット17と、ヨーク18と、を備える。マグネット17は、コイル10の巻回部55とZ方向で対向する。接続体6は、第1プレート12とヨーク18との間に配置されている。接続体7は、第2プレートとヨーク18との間に配置されている。コイル10とマグネット17とは、可動体5と支持体3とをX方向に相対移動させる磁気駆動機構8を構成する。
【0026】
(可動体)
図5、
図6に示すように、可動体5は、マグネット17として、第1マグネット21および第2マグネット22を備える。第1マグネット21は、コイル10のZ1方向に位置する。第2マグネット22は、コイル10のZ2方向に位置する。第1マグネット21および第2マグネット22は、X方向で2つに分極されている。第1マグネット21の着磁分極線は、X方向の中心をY方向に延びる。第2マグネット22の着磁分極線は、X方向の中心をY方向に延びる。
【0027】
ヨーク18は磁性材料からなる。
図4、
図6に示すように、ヨーク18は、第1マグネットのZ1方向に位置する第1ヨーク23と、第2マグネットのZ2方向に位置する第2ヨーク24と、コイル10ホルダのX1方向をZ方向に延びて第1ヨーク23と第2ヨーク24とを接続する一方側接続ヨーク25と、コイルホルダ11のX2方向をZ方向に延びて第1方向に延びて第1ヨーク23と第2ヨーク24とを接続する他方側接続ヨーク26と、を備える。第1マグネット21は、第1ヨーク23のY方向の中央部分に固定される。第2マグネット22は、第2ヨーク24のY方向の中央部分に固定される。
【0028】
また、一方側接続ヨーク25は、第1マグネット21および第2マグネット22のY方向の両側で第1ヨーク23と第2ヨーク24とを接続する第1一方側接続ヨーク25aお
よび第2一方側接続ヨーク25bを備える。他方側接続ヨーク26は、第1マグネット21および第2マグネット22のX2方向の両側で第1ヨーク23と第2ヨーク24とを接続する第1他方側接続ヨーク26aおよび第2他方側接続ヨーク26bを備える。
【0029】
本例では、第1ヨーク23、第1一方側接続ヨーク25a、第2一方側接続ヨーク25b、第1他方側接続ヨーク26a、および第2他方側接続ヨーク26bは、一体に成形されている。第1一方側接続ヨーク25aおよび第2一方側接続ヨーク25b、第1他方側接続ヨーク26a、および第2他方側接続ヨーク26bのZ2方向の先端は、それぞれ第2ヨーク24の四隅に溶接によって接続される。
【0030】
ここで、
図5,
図6に示すように、第1一方側接続ヨーク25a、第2一方側接続ヨーク25b、第1他方側接続ヨーク26a、および第2他方側接続ヨーク26bは、それぞれZ方向に延びて第1ヨーク23と第2ヨーク24とを接続する接続部分27と、接続部分27のZ1方向の端部分からY方向を内側に向かって突出する突出部分28と、を備える。
【0031】
(支持体)
図1、
図2、
図4に示すように、ケース2は、Z方向に重ねられた第1ケース部材31および第2ケース部材32を備える。第1ケース部材31は、Z1方向からコイルホルダ11に取り付けられている。第2ケース部材32は、Z2方向からコイルホルダ11に取り付けられている。
図4に示すように、第1ケース部材31は、ケース2のZ1方向の端面を規定する第1板部14と、第1板部14のX方向の両端縁からZ1方向に延びる一対の側板部33と、を備える。側板部33のZ2方向の端縁には、Y方向の中央部分に切欠き部33aが設けられている。第2ケース部材32は、ケース2のZ2方向の端面を規定する第2板部15と、第2板部15のX方向の両端縁からZ1方向に延びる一対の側板部34と、を備える。側板部34のZ1方向の端縁には、Y方向の中央部分に切欠き部34aが設けられている。第1ケース部材の一対の側板部33と第2ケース部材32の一対の側板部34とは、Z方向で重ねられてケース2の一対の側板部16を構成する。側板部33に設けれた切欠き部33aと側板部34に設けられた切欠き部34aは、ケース2の側板部16に設けられた開口部16aを構成する。
【0032】
図7に示すように、コイルホルダ11は、厚み方向をZ方向に向けた板部40を備える。板部40は、X方向およびY方向の中央部分に、Z方向から見た場合にコイル10の巻回部55が嵌合する形状のコイル配置穴41を備える。コイル10の巻回部55は、コイル配置穴41に収容されて、接着剤によりコイルホルダ11に固定される。また、板部40は、Y1方向の端部分においてX1方向の端縁およびX2方向の端縁から内側に窪む一対の第1切欠き部42を備える。さらに、板部40は、Y2方向の端部分において、X1方向の端縁およびX2方向の端縁から内側に窪む一対の第2切欠き部43と、を備える。これにより、板部40は、Y方向で一対の第1切欠き部42と一対の第2切欠き部43との間に位置する第1部分45と、X方向で一対の第1切欠き部42の間に位置する第2部分46と、X方向で一対の第2切欠き部43の間に位置する第3部分47と、を備える。
【0033】
ここで、
図8に示すように、第1部分45のX方向の第1幅W1は、第2部分46の第2幅W2および第3部分47の第3幅W3よりも広い。第2幅W2と第3幅W3とは同一である。また、第2幅W2および第3幅W3は、第1部分45におけるコイル配置穴41のX方向の内径D1よりも小さい。さらに、コイル10の巻回部55をコイル配置穴41に収容した状態をX方向から見た場合に、第1部分45は、巻回部55の一対の有効辺部分56と重なる。一対の第1切欠き部42は、それぞれ巻回部55の第1湾曲辺部分57と重なる。一対の第2切欠き部43は、それぞれ巻回部55の第2湾曲辺部分58と重なる。
【0034】
また、コイルホルダ11は、板部40をY方向の両側から挟む一対の壁部50を備える。壁部50は、Y方向から見た場合の形状が長方形である。
図1、
図2に示すように、一対の壁部50は、角筒状のケース2のY方向の両端の開口に嵌合する。
図8に示すように、壁部50のX方向の長さ寸法W4は、板部40の第1部分45の第1幅W1よりも短く、第2部分46の第2幅W2および第3部分47の第3幅W3よりも長い。
【0035】
図6、
図7に示すように、第1プレート12は、板部40のZ1方向の端面に重ねられてコイル配置穴41を封鎖する。第1プレート12は、板部40の輪郭形状に対応する形状を備えており、板部40のZ1方向の端面の全体を覆う。第1プレート12は、板部40に接着剤により固定される。第2プレート13は、板部40のZ2方向の端面に重ねられてコイル配置穴41を封鎖する。第2プレート13は、板部40の輪郭形状に対応する形状を備えており、板部40のZ2方向の端面の全体を覆う。第2プレート13は、板部40に接着剤により固定される。
【0036】
(接続体)
接続体6、7は、それぞれX方向に長く延びる直方体形状である。接続体6は、第1ヨーク23と第1プレート12との間に配置されている。より詳細には、接続体6は、同一形状の2部材からなり、第1ヨーク23のY1方向の端部分と第1プレート12とのY1方向の端部分との間、および、第1ヨーク23のY3方向の端部分と第1プレート12とのY2方向の端部分との間の2か所に挟まれている。接続体7は、第2ヨーク24と第2プレート13との間に配置されている。より詳細には、接続体7は、同一形状の2部材からなり、第2ヨーク24のY1方向の端部分と第2プレート13とのY1方向の端部分との間、および、第2ヨーク24のY1方向の端部分と第2プレート13とのY2方向の端部分との間の2か所に挟まれている。接続体6、7は、シリコーンゲルからなるゲル状部材である。接続体6、接続体7は、支持体3と可動体5との間でZ方向に圧縮された状態とされている。
【0037】
ここで、可動体5が、接続体6、7を介して支持体3に支持されてた状態では、コイルホルダ11の板部40に保持されたコイル10の巻回部55がZ方向で第1マグネット21と第2マグネット22との間に位置する。この状態をZ方向から見た場合には、巻回部55の一対の有効辺部分56は、Z1方向で第1マグネット21に対向し、Z2方向で第2マグネット22に対向する。
【0038】
また、コイルホルダ11の一対の第1切欠き部42のそれぞれには、ヨーク18の第1一方側接続ヨーク25aおよび第1他方側接続ヨーク26aがそれぞれ挿入される。一対の第2切欠き部43のそれぞれには、ヨーク18の第2一方側接続ヨーク25bおよび第2他方側接続ヨーク26bがそれぞれ挿入される。これにより、第1一方側接続ヨーク25a、第2一方側接続ヨーク25b、第1他方側接続ヨーク26a、および第2他方側接続ヨーク26bは、それぞれの接続部分27が各切欠き部42、43の内側でZ方向に延びる。また、第1一方側接続ヨーク25a、第2一方側接続ヨーク25b、第1他方側接続ヨーク26a、および第2他方側接続ヨーク26bのそれぞれの突出部分28は、コイルホルダ11の第1部分45の側に突出する。各突出部分28は、
図5に示すように、コイルホルダ11に固定された第2プレート13とZ方向で所定の隙間Sを開けて対向する。
【0039】
可動体5が、接続体6、7を介して支持体3に支持されてた状態をX方向から見た場合には、
図4、
図5に示すように、一方側接続ヨーク25および他方側接続ヨーク26は、コイルホルダ11の第1部分45と重ならない位置にある。従って、一方側接続ヨーク25および他方側接続ヨーク26は、コイル10の有効辺部分56およびマグネット21、
22と重ならない位置にある。
【0040】
また、
図1、
図2に示すように、コイルホルダ11の第1部分45の両端縁は、ケース2の一対の側板部16に形成された開口部16aに挿入される。
【0041】
(動作)
コイル10に所定方向の電流が供給されると、支持体3に支持された可動体5は、X方向の一方に移動する。その後、電流の向きが反転すると、可動体5は、X方向の他方に移動する。コイル10に供給される電流の向きの反転が繰り返されることにより、可動体5は振動する。
【0042】
(作用効果)
本例のアクチュエータ1は、コイル10とともに磁気駆動機構8を構成するマグネット17として、Z方向においてコイル10の一方側に位置する第1マグネット21および他方側に位置する第2マグネット22を備える。また、アクチュエータ1は、ヨーク18として、第1マグネット21のコイル10とは反対側に位置する第1ヨーク23と、第2マグネット22のコイル10とは反対側に位置する第2ヨーク24と、コイルホルダ11のX1方向をZ方向に延びて第1ヨーク23と第2ヨーク24とを接続する一方側接続ヨーク25と、コイルホルダ11のX2方向をZ方向に延びて第1ヨーク23と第2ヨーク24とを接続する他方側接続ヨーク26と、を備える。かかる構成によれば、第1マグネット21からの磁束および第2マグネット22からの磁束は、ヨーク18の形状に従って、コイル10を囲むように流れる。これにより、マグネット17からの磁束がヨーク18の外側に漏れることが抑制されるので、アクチュエータ1の磁気駆動機構8は、支持体3と可動体5とを相対移動させる推力を得ることが容易となる。
【0043】
ここで、一方側接続ヨーク25および他方側接続ヨーク26は、X方向から見た場合にコイル10の有効辺部分56およびマグネット21、22と重ならない位置に設けられている。従って、コイル10の有効辺部分56とマグネット21、22との対向面積を増加させるために、コイルホルダ11に従来よりもX方向に大きなコイル10を搭載し、コイル10をX方向に大きくした分だけコイルホルダ11に設けられたコイル配置穴41をX方向に大きくした場合でも、一方側接続ヨーク25と他方側接続ヨーク26をX方向で離間させなくてもよい。従って、磁気駆動機構8のコイル10として大きなコイル10を搭載する場合でも、アクチュエータ1がX方向で大型化することを防止或いは抑制できる。
【0044】
また、本例では、一方側接続ヨーク25として、マグネット21、22のY方向の両側で第1ヨーク23と第2ヨーク24とを接続する第1一方側接続ヨーク25aおよび第2一方側接続ヨーク25b、を備える。他方側接続ヨーク26として、マグネット21、22のY方向の両側で第1ヨーク23と第2ヨーク24とを接続する第1他方側接続ヨーク26aおよび第2他方側接続ヨーク26bを備える。これにより、第1ヨーク23と第2ヨーク24とを接続する一方側接続ヨーク25として2本の接続ヨークを備えるとともに、他方側接続ヨーク26として2本の接続ヨークを備える。従って、第1マグネット21からの磁束および第2マグネット22からの磁束を、コイル10を囲むように流しやすい。
【0045】
また、第1一方側接続ヨーク25aおよび第1他方側接続ヨーク26aは、X方向から見た場合に第1湾曲辺部分57と重なり、第2一方側接続ヨーク25bおよび第2他方側接続ヨーク26bは、X方向から見た場合に第2湾曲辺部分58と重なる。従って、一方側接続ヨーク25を構成する第1一方側接続ヨーク25aと第2一方側接続ヨーク25bの2本がY方向で離間し過ぎることを防止できる。また、他方側接続ヨーク26を構成する第1他方側接続ヨーク26aと第2他方側接続ヨーク26bの2本がY方向で離間し過
ぎることを防止できる。よって、アクチュエータ1がY方向で大型化することを防止或いは抑制できる。
【0046】
さらに、本例では、コイルホルダ11の板部40は、X方向から見た場合に、コイル10の巻回部55の第1湾曲辺部分57と重なる位置でX方向の両端縁から内側に窪む一対の第1切欠き部42を備える。また、コイルホルダ11の板部40は、X方向から見た場合に第2湾曲辺部分58と重なる位置でX方向の両端縁から内側に窪む一対の第2切欠き部43を備える。また、第1一方側接続ヨーク25aおよび第1他方側接続ヨーク26aのそれぞれは、各第1切欠き部42に挿入され、第2一方側接続ヨーク25bおよび第2他方側接続ヨーク26bのそれぞれは、各第2切欠き部43に挿入される。従って、第1一方側接続ヨーク25aと第1他方側接続ヨーク26aとの間は、これらが一対の第1切欠き部42の内側に挿入される分だけ、X方向で接近させることができる。また、第2一方側接続ヨーク25bと第2他方側接続ヨーク26bとの間は、これらが一対の第2切欠き部43の内側に挿入される分だけ、X方向で接近させることができる。従って、X方向で、コイルホルダ11の外側に一方側接続ヨーク25と他方側接続ヨーク25とが位置している場合でも、可動体5がX方向で大型化することを抑制しやすい。
【0047】
また、板部40において、Y方向で一対の第1切欠き部42と一対の第2切欠き部43との間に位置する第1部分45のX方向の第1幅W1は、X方向で一対の第1切欠き部42の間に位置する第2部分46のX方向の第2幅W2およびX方向で一対の第2切欠き部43の間に位置する第3部分47のX方向の第3幅W3よりも広い。さらに、第2幅W2および第3幅W3は、第1部分45におけるコイル配置穴41のX方向の内径よりも小さい。これにより、第1部分45では、コイル配置穴41においてコイル10の有効辺部分56が収容される部分を、X方向に大きくすることができる。よって、コイル10をX方向で大きくすることが容易である。
【0048】
本例において、支持体3は、板部40のZ方向の他方側の端面に重ねられてコイル配置穴41を封鎖する平板形状の第2プレート13を有する。第1一方側接続ヨーク25a、第2一方側接続ヨーク25b、第1他方側接続ヨーク26a、および第2他方側接続ヨーク26bのそれぞれは、各切欠き部42、43の内側をZ方向に延びて第1ヨーク23と第2ヨーク24とを接続する接続部分27と、接続部分27の第2ヨーク24の側の端部分からY方向を第1部分45に向かって突出し、Z方向で第2プレート13と所定の隙間Sを開けて対向する突出部分28とを備える。従って、可動体5が移動する際にX方向に過度に傾斜した場合には、支持体3の第2プレート13と、第1一方側接続ヨーク25aの突出部分28または第2一方側接続ヨーク25bの突出部分28とが当接する。或いは、支持体3の第2プレート13と、第2一方側接続ヨーク25bの突出部分28または第2他方側接続ヨーク26bの突出部分28とが当接する。従って、可動体5が、X方向で過度に傾斜することを防止できる。また、可動体5がX移動する際にY方向に過度に傾斜した場合には、支持体3の第2プレート13と、第1一方側接続ヨーク25aの突出部分28または第2一方側接続ヨーク25bの突出部分28が当接する。或いは、支持体3の第2プレート13と、第1他方側接続ヨーク26aの突出部分28または第2他方側接続ヨーク26bの突出部分28が当接する。従って、可動体5がX方向に移動する際に、Y方向に過度に傾斜することを防止できる。
【0049】
また、支持体3は、コイルホルダ11および可動体5のZ方向の一方側に位置する第1板部14および他方側に位置する第2板部15と、Z方向に延びて第1板部14のX方向の両端縁と第2板部15のX方向の両端縁とを接続する一対の側板部16と、を有する筒形状のケース2を備える。一対の側板部16のそれぞれには、X方向に貫通する開口部16aが設けられている。コイルホルダ11の第1部分45は、X方向の両端部分が一対の開口部16aに挿入されている。従って、コイルホルダ11が一対の側板部16の間に収
容されている場合と比較して、少なくとも、ケース2の一対の側板部16の厚み分だけ、コイルホルダ11の第1部分45をX方向に大きくできる。従って、コイルホルダ11に、X方向に大きいコイル10を保持するコイル配置穴41を設けることが容易となる。
【符号の説明】
【0050】
1…アクチュエータ、2…ケース、3…支持体、5…可動体、6、7…接続体、8…磁気駆動機構、10…コイル、11…コイルホルダ、12…第1プレート、13…第2プレート、14…第1板部、15…第2板部、16…側板部、16a…開口部、17…マグネット、18…ヨーク、21…第1マグネット、22…第2マグネット、23…第1ヨーク、24…第2ヨーク、25…一方側接続ヨーク、25a…第1一方側接続ヨーク、25b…第2一方側接続ヨーク、26…他方側接続ヨーク、26a…第1他方側接続ヨーク、26b…第2他方側接続ヨーク、27…接続部分、28…突出部分、31…第1ケース部材、32…第2ケース部材、33…側板部、33a…切欠き部、34…側板部、34…側板部、40…板部、41…コイル配置穴、42…第1切欠き部、43…第2切欠き部、45…第1部分、46…第2部分、47…第3部分、50…壁部、55…巻回部、56…有効辺部分、57…第1湾曲辺部分、58…第2湾曲辺部分