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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-13
(45)【発行日】2025-03-24
(54)【発明の名称】電子タバコのための質量流量計
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/51 20200101AFI20250314BHJP
   A24F 40/44 20200101ALI20250314BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20250314BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/44
A24F40/46
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021576008
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2020066500
(87)【国際公開番号】W WO2020254252
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】19181843.4
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】ゾミニー,クロード
(72)【発明者】
【氏名】ウットケ,ローラン
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-511128(JP,A)
【文献】国際公開第2019/072971(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/047092(WO,A1)
【文献】特表2016-525345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子タバコであって、
液体貯蔵部と、
気化器と、
液体を前記液体貯蔵部から前記気化器に案内するように構成される流体移送要素と、
前記流体移送要素内の液体の流れを測定するように構成される検知ユニットと、
測定された流量に基づいて前記電子タバコの少なくとも1つの態様を制御するように構成される制御回路と、
を含み、前記検知ユニットが、前記気化器と前記液体貯蔵部との間で前記流体移送要素において互いに分離される第2のヒータ及び温度センサを含む、電子タバコ。
【請求項2】
前記気化器が第1のヒータを含む、請求項1に記載の電子タバコ。
【請求項3】
前記第2のヒータが前記流体移送要素の周囲に巻回される、請求項1または2に記載の電子タバコ。
【請求項4】
前記第2のヒータが前記流体移送要素の内部に設けられる、請求項1または2に記載の電子タバコ。
【請求項5】
前記検知ユニットが、前記第2のヒータ内のヒータ要素の抵抗を測定して、前記ヒータ要素の温度を測定するように構成される抵抗センサを含む、請求項のいずれか一項に記載の電子タバコ。
【請求項6】
前記検知ユニットが、前記第2のヒータ内のヒータ要素の温度を測定するように構成される熱電対を含む、請求項のいずれか一項に記載の電子タバコ。
【請求項7】
前記検知ユニットが、前記第2のヒータによって温度の変化が適用される時間と、前記温度センサによって温度測定が行われる時間とを監視するためのタイマを更に含む、請求項のいずれか一項に記載の電子タバコ。
【請求項8】
前記制御回路が、前記検知ユニットによって測定される前記流量が所定の閾値を下回る場合、前記気化器の動作を低減するか又は一時停止するように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載の電子タバコ。
【請求項9】
前記制御回路が、前記検知ユニットによって測定される前記流量に応じて前記気化器の前記動作を修正するように構成される、請求項に記載の電子タバコ。
【請求項10】
前記流体移送要素が多孔質材料を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の電子タバコ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の電子タバコを動作させる方法であって、
前記流体移送要素を使用して、液体を前記液体貯蔵部から前記気化器に案内するステップと、
前記検知ユニットにより、前記流体移送要素内の液体の流れを測定するステップと、
測定された流量に基づいて前記電子タバコの少なくとも1つの態様を制御するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体輸送要素が液体貯蔵部から気化器に液体を輸送することができる電子タバコに関する。
【背景技術】
【0002】
気化性液体を気化させる電子タバコは、消費者向け装置として普及しつつある。これらの装置では、ユーザが吸入するための予測可能且つ繰り返し可能な蒸気が生成されるように気化器を慎重に制御することが重要である。あらゆる状況において、特に液体貯蔵部が空に近い場合、この種の繰り返し可能性及び予測可能性を提供することは、困難であり得ることがわかっている。
【0003】
電子タバコユーザの間で知られている現象は、「ドライパフ」として知られる事象である。「ドライパフ」状態では、印加された電力に対して気化器への液体輸送が不十分であり、生成された蒸気の吸入は、ユーザが気付く不快な味につながり得る。従って、「ドライパフ」状態の可能性を低減させる機能は、電子タバコのユーザにとって有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、これらの問題の幾つかに対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、電子タバコであって、液体貯蔵部と、気化器と、液体を液体貯蔵部から気化器に案内するように構成される流体移送要素と、流体移送要素内の液体の流れを測定するように構成される検知ユニットと、測定された流量に基づいて電子タバコの少なくとも1つの側面を制御するように構成される制御回路とを含む電子タバコが提供される。
【0006】
このようにして、流量が変化しても電子タバコを有効に使用し続けることができるように、測定された流量に基づいて電子タバコを制御することが可能である。1つの例において、低流量は、液体貯蔵部が枯渇していることを示し得、電子タバコは、気化器への不注意による損傷を防止し、且つ/又はユーザが「ドライパフ」現象を経験することを防止するために使用不能にされ得る。別の例において、気化器への電力供給は、気化が繰り返し可能であり、予測可能であり、且つ流体移送要素内の流量とは無関係であるように流量に応じて調整され得る。
【0007】
気化器は、第1のヒータを含み得る。このようにして、液体温度がその気化点まで上昇し、蒸気が生成されるように、熱を流体移送要素内の液体に伝達することができる。蒸気は、ユーザによって直接収集、抽出又は吸入され得る。代替の構成において、気化器は、アトマイザを含み得る。ヒータは、流体移送要素の周囲に巻回され得る加熱要素であることが好ましい。代替の構成において、ヒータは、レーザ又は他の光学加熱源を含み得る。
【0008】
検知ユニットは、気化器と液体貯蔵部との間で流体移送要素において互いに分離される第2のヒータ及び温度センサを含むことが好ましい。このようにして、検知ユニットは、第2のヒータを使用して流体移送要素内の液体を加熱し、この加熱動作の影響を温度センサにおいて測定することにより、流体移送要素内の質量流量を測定することができる。従って、流量が低い場合、第2のヒータにおける温度の変化が温度センサにおいて検出されるのにかかる時間は、(高い流量と比較して)比較的長くなり得る。更に、加熱動作の効果は、経時的に連続して測定することもできる。これは、流体移送要素内の液体流量の変化の表示を提供し、必要に応じて制御回路が補正動作を実行することを可能にすることができる。
【0009】
1つの構成において、第2のヒータは、流体移送要素の周囲に巻回され得る。別の構成において、第2のヒータは、流体移送要素の内部に提供され得る。
【0010】
検知ユニットは、第2のヒータ内のヒータ要素の抵抗を、ヒータ要素の温度を測定するために測定するように構成される抵抗センサを含むことが好ましい。電気抵抗を測定することは、温度を特定する有効な方法であり得ることがわかっている。これにより、第2のヒータの温度が厳密に制御され得ることが保証され、これは、検知ユニットの精度を保証するために重要である。別の例において、第2のヒータ内のヒータ要素の温度は、熱電対又は他の温度センサを使用して特定され得る。
【0011】
検知ユニットは、第2のヒータによって温度の変化が適用される時間及び温度センサによって温度測定が行われる時間を監視するためのタイマを含むことが好ましい。このようにして、温度の変化が第2のヒータから温度センサに伝播するのにかかる時間を測定することができる。変化が測定されるのにかかる時間は、第2のヒータと温度センサとの間の距離、液体の熱伝導率及び拡散率並びに平均流量に依存すると考えられる。従って、適切なルックアップテーブル(例えば、液体の輸送時間及び温度プロファイルに関するデータを含む)を使用することにより、流体移送要素内の液体の質量流量を計算することができる。
【0012】
制御回路は、センサによって測定される流量が所定の閾値を下回る場合、気化器の動作を低減するか又は一時停止するように構成され得る。「ドライパフ」状態又は液体枯渇は、低い質量流量に対応することが知られている。従って、質量流量が低い場合に気化器の動作を低減するか又は一時停止することは、これらの状態中の気化を回避し、改善されたユーザ体験を提供し、気化器への損傷を防止する。加えて、望ましくない揮発性化合物の生成が抑制され、液体貯蔵部が空であるか又は空に近いことの表示がユーザに提供される。
【0013】
制御回路は、検知ユニットによって測定される流量に応じて、気化器に供給される電力を修正するように構成されることが好ましい。このようにして、蒸気放出の強化された制御が提供される。気化器に供給することができる最大電力と、気化器の温度と、気化される液体の質量との間に関係があると考えられる。気化した液体の量は、流体移送要素がその毛管限界に達することに起因して、気化した液体の量が電力とは無関係になる上限に達するまで、気化器に提供される電気エネルギーに比例する。気化器に流れる流体移送要素内の液体の量を監視することにより、電力をそれに応じて調整して、動作条件に対して最適な電力を提供し、ユーザが吸入するための予測可能且つ繰り返し可能な蒸気が生成されることを確実にすることができる。別の例として、低質量流量状態中の電力の低減は、カルボニル等の望ましくない化合物の形成を防止し得る。これは、気化器の温度が液体成分の分解温度を超えないようにすることによって達成され得る。別の例として、気化器に供給される電力を調整することは、電気効率を改善し得る。1つの例において、ルックアップテーブルを使用して、質量流量計算に基づいて第1のヒータに供給される電力を調整し得る。
【0014】
流体移送要素は、多孔質材料を含み得る。このようにして、ウィッキングは、多孔質媒体内の毛管吸引の結果として流体移送要素に沿って促進される。従って、液体の流れは、重力のような外力を用いることなく又は更にそれに逆らうことなく生じ得る。流体移送要素は、材料の種類(例えば、ガラス繊維、綿、セラミック等)及び物理的寸法(例えば、直径、ロープ数、材料密度等)のような要因に基づくその毛管特性によって特徴付けることができる。
【0015】
本発明の別の態様によれば、電子タバコを動作させる方法であって、流体移送要素を使用して、液体を液体貯蔵部から気化器に案内するステップと、検知ユニットにより、流体移送要素内の液体の流れを測定するステップと、測定された流量に基づいて電子タバコの少なくとも1つの側面を制御するステップとを含む方法が提供される。
【0016】
ここで、図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態における電子タバコの概略図である。
図2】本発明の実施形態における電子タバコの内部コンポーネントの概略図である。
図3】本発明の実施形態における電子タバコの内部コンポーネントの概略断面図である。
図4】本発明の実施形態における電子タバコのシステムコンポーネントのブロック図である。
図5】本発明の実施形態による電子タバコの動作のための方法ステップを示すフローチャートである。
図6】質量流量測定センサにおける温度対時間を示す2つの概要のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態における電子タバコ10の概略図である。電子タバコ10は、刻み煙草を含む従来のタバコの代替品として使用することができる。電子タバコ10は、カプセル11と細長い本体13とを含む。カプセル11は、取り外し可能であるか又は恒久的に固定されるかのいずれかであり得る。
【0019】
図2は、カプセル/カートリッジ内に収容され得る電子タバコ10の内部コンポーネントの概略図である。電子タバコ10は、第1の加熱要素12と、ウィック14と、気化性液体18を収容する液体リザーバ16とを含む。ウィック14は、液体リザーバ16から第1の加熱要素12まで延在する流体輸送要素であり、気化のために、第1の加熱要素12への毛管現象による液体18の輸送を容易にする。液体リザーバ16は、詰替可能な「オープンタンク」リザーバ又は取り外し可能なカートリッジ若しくは消耗品として構成することができる。気化性液体18は、目に見える蒸気を生成することができるプロピレングリコール又はグリセリンであり得る。気化性液体18は、ニコチン及び香料等の他の物質を更に含み得る。
【0020】
流量センサ20は、液体リザーバ16と第1の加熱要素12との間のウィック14に沿った位置に配置される。流量センサ20は、ウィック14内に位置する第2の加熱要素202及び温度センサ204を含む。代替の実施形態において、第2の加熱要素202及び温度センサ204は、ウィック14の周囲又はウィック14内及びその周囲の両方の組み合わせで位置決めされ得る。空気流路22は、電子タバコ10内に位置する。
【0021】
代わりに、複数の質量流量センサを使用することができる。例えば、第1及び第2の質量流量センサは、細長いウィック14の各端部に配置することができる。複数又は少なくとも2つの質量流量センサは、それらから平均質量流量を計算することができるように追加データを提供することができる。
【0022】
図3は、本発明の実施形態における電子タバコの内部コンポーネントの概略断面図を示す。電子タバコは、第1の加熱要素12と、ウィック14と、第2の加熱要素202と、温度センサ204とを含む。
【0023】
第1の加熱要素12は、チタン、ニッケル又はニクロム等の材料からできた金属コイルであり得る。コイルの典型的な電気抵抗値は、約1.5~2.0Ωの範囲であるが、より低いことができる(チタンの場合等)。当業者に理解されるように、幾つかの他の熱伝導性材料が第1の加熱要素12に使用され得る。代替の実施形態において、第1の加熱要素12は、レーザ又は他の光学加熱源等、ウィック14に沿って輸送される液体を気化させることができる任意の他のシステムであり得る。
【0024】
ウィック14は、液体リザーバ16から第1の加熱要素12に液体18を案内するように動作可能である。通常、液体18の移動は、毛管現象によって達成される。ウィック14の毛管特性は、ウィック14の材料(例えば、ガラス繊維、綿、セラミック等)及び物理的寸法(例えば、直径、ロープ数、材料密度等)のような様々な要因に依存する。典型的なウィックの直径は、約3mmであり得る。これらの要因は、ウィック14の毛管限界、即ちウィックが最大液体質量流量に達する場所を特定する役割も果たし、それにより最大液体気化速度にも影響を及ぼす。加えて、ウィック14に沿った質量輸送は、液体特性(例えば、粘度)及び動作条件(例えば、温度)に依存する。
【0025】
1つの例において、ウィック14は、接続部分142によって一端において接続される、少なくとも2つの空間的に分離された平行な長さのウィッキング材料141及び143を含む。第1の加熱要素12は、ウィック14の各平行セクションに沿って移動する液体18が収束し、第1の加熱要素12において気化されるように、接続部分142に位置する。通常、接続部分142は、約5mmの長さであり得る。代替の例において、ウィック14は、1つの長さのウィッキング材料からなり得るか、又は液体の流れを、空気若しくは蒸気の通過のための十分な空間を維持しながら、円筒軸に平行に最大化することができるように中空円筒を含み得る。
【0026】
第2の加熱要素202は、ウィック14の周囲(加熱コイル又は加熱リング等)、ウィック14の内部又はこれらの組み合わせに提供され得る。第2の加熱要素202は、ウィック14に沿って流れる液体18が、第1の加熱要素12に到達する前に、第2の加熱要素202、次いで温度センサ204を通過するように位置する。第2の加熱要素202は、ウィックに沿って輸送される液体の温度を液体18の気化点より低い温度まで上昇させるように動作可能である。典型的な気化温度は、約200~290℃であり得る一方、第2の加熱要素202の位置における温度は、より低い。1つの例において、第2の加熱要素202における温度は、例えば、80℃前後であり得る。第2の加熱要素202の温度は、第2の加熱要素202の抵抗を測定することによって正確に検出し、制御することができる。代替の例において、第2の加熱要素202の温度は、熱電対又は他の温度センサを使用して監視され得る。
【0027】
温度センサ204は、ウィック14内の気化性液体18の温度を測定するために使用される。液体温度は、温度センサ204に流れる前に第2の加熱要素202によって上昇され、次いで第1の加熱要素12に流れて気化される。第2の加熱要素202と温度センサ204との間の距離(d1)は、システムの質量流量伝達能力に応じて設計によって調整される。温度センサ204は、通常、チタン等の材料でできたコイルを含み、それは、ウィック14の周囲に巻回されるか若しくは内部に位置するか又はこれらの組み合わせであり得る。コイルの抵抗を測定することにより、温度を特定することができる。他の例において、温度センサ204は、温度を測定することができる熱電対又は他のシステムを含み得る。
【0028】
図4は、本発明の実施形態における電子タバコのシステムコンポーネントのブロック図である。制御回路42は、第1のヒータ12、流量センサ20及びデータストレージユニット44と電子通信(例えば、有線又は無線)して提供される。制御回路42は、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリ(図示せず)を含み得る。メモリは、制御回路42の様々な機能を実行するためのコンピュータ実行可能命令を有する非一時的コンピュータ読取可能ストレージ媒体において具現化されるコンピュータプログラムを格納し得る。当業者によって正しく認識されるように、データストレージユニット44は、電子タバコ10内に位置し得るか、又は遠隔サーバの場合等、遠隔に位置し得る。
【0029】
制御回路42は、システムの温度発展を監視すること、データストレージ44にデータを記録又は検索すること並びに第1のヒータ12及び流量センサ20に供給される電力を制御すること等、電子タバコ10の動作を制御する役割を担い得る。データストレージユニット44は、ルックアップテーブル、履歴質量流量データ及び較正データ等のデータを含み得る。
【0030】
図5は、本発明の実施形態による電子タバコのための動作方法を示す。
【0031】
質量流量測定は、気化プロセス中に開始される。このため、動作は、第1の加熱要素12のスイッチオンによりステップ302において開始する。ステップ302において、液体18は、液体リザーバ16から第1の加熱要素12に流れ、気化される。タイマは、第2の加熱要素202から温度センサ204に流れる液体の輸送時間(Ttime)を記録するように動作可能である。これにより、時間に対する温度発展の監視が可能である。ステップ304において、タイマがリセットされる(Ttime=0)。
【0032】
第2の加熱要素202がステップ306において起動される。第2の加熱要素202に供給される電力は、システム要件に従って構成可能である所望の温度設定点に依存する。温度設定点は、液体18の温度が、液体18の気化温度よりも低い温度まで上昇するように選択される。有利には、第2の加熱要素202の抵抗を監視して、第2の加熱要素202の温度の正確な測定値を提供し得る。
【0033】
一実施形態において、熱パルスが液体18内をウィック14に沿って伝達されるように、第2の加熱要素202を迅速にオン及びオフに切り替え得る。別の実施形態において、第2の加熱要素202は、特定の時間又は温度閾値に達するまでオンに切り替えられたままであり得る。
【0034】
ステップ308において、ウィック14及びウィック14内の液体18の温度発展が温度センサ204によって記録される。このようにして、液体18が第2の加熱要素202から温度センサ204まで移動するのにかかる時間中、温度発展が監視される。ステップ310において、温度発展の記録を停止する。これは、最大温度閾値に達したことによるか又は最大時間が経過したこと(時間=MaxDtime)によるかのいずれかによって生じる。最大温度閾値は、液体18の気化温度直下の温度に対応し得る。いずれの条件にも達していない場合、加熱及び監視プロセスは、ステップ308にループバックすることによって継続される。
【0035】
以前の質量流量測定からの履歴データは、ステップ312において、データストレージ44から検索される。これらのデータは、履歴データを測定データと比較することにより、システムの液体枯渇及び劣化の評価を可能にする。ウィックの汚染は、異物若しくは無関係な物質の混入又はウィックへの液体残留物の付着によって生じる毛細管の劣化をもたらし得る。代わりに、劣化は、液体枯渇により生じ得る。
【0036】
ステップ314において、質量流量は、被加熱液体が第2の加熱要素202から温度センサ204に流れる間に記録された時間(Ttime)と、経過時間中に記録された温度プロファイルとを使用して、これらのデータを較正データ及び/又はルックアップテーブル(LT1)と比較することによって計算される。ルックアップテーブル(LT1)は、質量流量を、測定された輸送時間(Ttime)及び温度センサ204の温度プロファイルに関連付けるデータを含む。
【0037】
ステップ316において、「ドライパフ」状態が評価される。制御回路42は、計算された質量流量を使用して、「ドライパフ」状態に適合しそうであるか又は既に適合しているかどうかを推定する。「ドライパフ」状態又は液体リザーバ16内の液体枯渇は、低い質量流量に対応し、従って記録された輸送時間(Ttime)、記録された温度プロファイル及び計算された質量流量に影響を及ぼす。「ドライパフ」状態に適合しているか若しくは適合しそうであると推定された場合又は液体枯渇が検出された場合、第1の加熱要素12は、オフに切り替えられる。1つの例において、アラームを作動させるか、又はユーザが適切な方法で通知され得る。このようにして、ユーザが「ドライパフ」現象を経験することを防止し、通知アラート又は通信は、電子タバコ10がもはや動作していないことをユーザが理解することを確実にする。更に、それは、液体リザーバ16が補充又は交換を必要とすることの表示を提供し得る。
【0038】
「ドライパフ」状態又は液体枯渇が検出されない場合、第1の加熱要素12に供給される電力は、質量流量データに従って調整され得る。特定のウィック特性(例えば、毛管現象特性、寸法等)に対する質量流量と、第1の加熱要素12に供給される電力との間の関係を定義する履歴質量流量データ及び第2のルックアップテーブル(LT2)を使用して、所望の質量流量及び液体気化レベルを達成するように供給電力の適切な調整を特定することができる。このようにして、液体18の劣化を気化プロセス中に回避することができ、ユーザが吸入するための予測可能且つ繰り返し可能な蒸気が生成されるように、最適な量の電力を動作条件に対して供給することができる。別の例として、低質量流量状態中の電力の低減は、液体成分の分解温度の超過を回避することにより、カルボニル等の望ましくない化合物の形成を防止し得る。別の例として、質量流量に従って気化器に供給される電力を調整することは、電気効率を改善し得る。
【0039】
補正係数を、システム内のウィック劣化又は液体枯渇の主な原因となる計算された電力出力に適用し得る。これは、測定された質量流量データを履歴質量流量データと比較することによって計算することができる。加えて、履歴データは、平均質量流量を計算することによってシステム内の変動を説明するために使用され得、それにより電力調整の精度を向上させ得る。
【0040】
ステップ322において、質量流量測定データ及び調整された設定は、次の測定段階のためにデータストレージ44に記録される。
【0041】
ステップ324において、温度センサ204は、定常状態温度が検出されるまでウィック14の温度を監視し続ける。定常状態温度が生じると、質量流量測定をステップ304において再開することができる。
【0042】
上で説明した質量流量測定が以下の2段階プロセスであることが当業者によって理解されるであろう:気化性液体18を加熱する第1の段階及び気化性液体18を冷却させることを可能にする第2の段階。第1の段階において、気化性液体18は、十分に加熱されて、容易且つ迅速な温度検出を可能にし、被加熱液体が温度センサ204に到達するのにかかる時間に基づいて実行される質量流量計算のための十分な温度発展データを提供する。第2の/クールダウン段階において、第2の加熱要素202は、少なくとも温度センサ204が定常状態温度を検出するのにかかる時間にわたり、オフに切り替えられる。
【0043】
1つの例において、クールダウン段階は、ステップ308において、第2の加熱要素202がパルスオン及びオフされる場合に対応して開始され得る。別の例において、クールダウン段階は、ステップ310において、第2の加熱要素が時間又は温度閾値に達したためにオフに切り替えられた場合に開始され得る。更なる例において、クールダウン段階は、ステップ324において、第2の加熱要素202がこの時点まで作動されたままである場合に開始され得る。
【0044】
質量流量測定は、定常温度が温度センサ204によって検出されると直ちに、第1の段階が再び開始するように気化プロセス中に連続的に実行され得る。1つの例において、ステップ302~324は、30~60秒間に3~5回等、連続して数回繰り返され得る。このようにして、平均質量流量測定を計算することができ、より高い精度を提供することができる。
【0045】
代わりに、質量流量測定は、定常温度の検出直後に第1の段階が再開されないように気化プロセス中の任意の時点で実行され得る。1つの例において、ステップ302~324は、60秒毎又は5パフ毎等の規則的な間隔で繰り返され得る。
【0046】
図6は、質量流量測定において収集された事象及びデータの典型的なシーケンスを示す2つの概要のグラフを示す。グラフ50は、制御回路42によってデータストレージ44に記録された時間に対する第2の加熱要素202における温度のプロットである。グラフ60は、制御回路によってデータストレージ44に記録された時間に対する温度センサ204における温度のプロットである。
【0047】
Ttime=0において、制御回路42は、第2の加熱要素202をオンに切り替えて、液体18内のウィック14に沿って熱パルスを伝達する。温度センサ204における初期ウィック14温度(iT)は、制御回路42によって監視され、データストレージ44に記録される。特定の時間が経過するまで(Ttime=MaxDtime)、液体18が第2の加熱要素202から温度センサ204まで移動するのにかかる時間中、温度発展が監視され続ける。温度プロファイルは、制御回路42によって分析されて、温度のピーク値(pT)及びこれが生じる時間(pTime)を特定する。これは、温度上昇(ΔT=pT-iT)及び飛行時間(Δt=pTime)の計算を可能にする。これらのデータは、次いで、質量流量をΔT及びΔtに関連付けるウィック固有データを含むデータストレージ44に格納されたルックアップテーブル(LT1)を使用して、質量流量を計算するために使用される。制御回路42が、特定の時間が経過する前に温度のピークを特定することができない場合(Ttime=MaxDtime)、これは、低い質量流量を示し得る。
【0048】
代替の実施形態において、温度センサ204における温度は、液体18の気化温度直下の温度に対応するような最大温度閾値に達するまで制御回路42によって監視され続け得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6