IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フェヴレ・トランスポール・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニの特許一覧

<>
  • 特許-鉄道車両の負荷指数を推定するシステム 図1
  • 特許-鉄道車両の負荷指数を推定するシステム 図2
  • 特許-鉄道車両の負荷指数を推定するシステム 図3
  • 特許-鉄道車両の負荷指数を推定するシステム 図4
  • 特許-鉄道車両の負荷指数を推定するシステム 図5
  • 特許-鉄道車両の負荷指数を推定するシステム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-13
(45)【発行日】2025-03-24
(54)【発明の名称】鉄道車両の負荷指数を推定するシステム
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20250314BHJP
   B61D 37/00 20060101ALI20250314BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20250314BHJP
【FI】
B60L3/00 N
B61D37/00 G
B60L15/20 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022548069
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 IB2021050942
(87)【国際公開番号】W WO2021156806
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】102020000002329
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516351289
【氏名又は名称】フェヴレ・トランスポール・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】FAIVELEY TRANSPORT ITALIA S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 宣喜
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】フレア, マッテオ
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-196349(JP,A)
【文献】特開2019-6272(JP,A)
【文献】特開2019-22306(JP,A)
【文献】特開2018-148367(JP,A)
【文献】国際公開第2013/088620(WO,A1)
【文献】特開2012-200030(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0023811(US,A1)
【文献】特開2019-182180(JP,A)
【文献】特開2008-301657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
B61D 17/00-49/00
B61L 1/00-99/00
G06T 7/00-7/90
G06V 10/00-20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の負荷指数を推定するためのシステム(100)であって、
前記鉄道車両の貨車の内部の所定領域の画像をリアルタイムで取得するように構成された画像取得手段(102)と、
前記画像取得手段(102)によって取得された前記画像の関数として、前記鉄道車両の負荷指数を決定するように構成された制御手段(104)と具備するシステムであって、
前記制御手段(104)は、
前記画像取得手段(102)によって取得された画像を、複数の所定のサンプル画像と比較し、ここで、各サンプル画像は、鉄道車両の所定の負荷指数が割り当てられており、
前記画像取得手段(102)によって取得された画像と、どのサンプル画像が最も高い類似度を有するかを決定し、
前記鉄道車両の現在の前記負荷指数が、前記画像取得手段(102)によって取得された画像と最も高い類似度を有すると判定された前記サンプル画像に割り当てられた前記所定の負荷指数に対応すると判定するように構成されるシステム。
【請求項2】
前記制御手段(104)は、人工知能に基づく画像認識ソフトウエアにより、前記画像取得手段(102)によって取得された画像と、どのサンプル画像が最も高い類似度を有するかを決定するように構成される請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御手段(104)は、
前記画像取得手段(102)によって取得された画像内の客の数をカウントし、
所定の平均乗客重量の値、前記乗客のカウント数、前記鉄道車両内に前記乗客の最大許容数が存在する状態での前記鉄道車両の質量を示す全負荷質量の値、および前記鉄道車両内に乗客が存在しない状態での前記鉄道車両の質量を示す風袋質量の値に基づいて、前記鉄道車両の現在の前記負荷指数を次式により決定するように構成される請求項に記載のシステム。
【数1】
【請求項4】
前記制御手段(104)は、
前記画像取得手段(102)によって取得された画像内の物品の数をカウントし、
所定の平均貨物品重量の値、前記貨物品のカウント数、前記鉄道車両内に前記貨物品の最大許容数が存在する状態での前記鉄道車両の質量を示す全負荷質量の値、および前記鉄道車両内に貨物品が存在しない状態での前記鉄道車両の質量を示す風袋質量の値に基づいて、前記鉄道車両の現在の前記負荷指数を次式により決定するように構成される請求項に記載のシステム。
【数2】
【請求項5】
前記制御手段(104)は、
前記画像取得手段(102)によって取得された画像内の客の数をカウントし、
前記鉄道車両内の乗客の所定最大許容数、および前記画像取得手段(102)によって取得された画像内の前記乗客のカウント数に基づいて、前記負荷指数を次式により決定するように構成される請求項に記載のシステム。
【数3】
【請求項6】
前記制御手段(104)は、
前記画像取得手段(102)によって取得された画像内の物品の数をカウントし、
前記鉄道車両内の貨物品の所定最大許容数、および前記画像取得手段(102)によって取得された画像内の前記貨物品のカウント数に基づいて、前記負荷指数を次式により決定するように構成される請求項に記載のシステム。
【数4】
【請求項7】
前記制御手段(104)は、人工知能に基づく画像認識ソフトウエアにより、前記画像取得手段(102)によって取得された画像内の前記乗客の数をカウントするように構成される請求項または請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御手段(104)は、人工知能に基づく画像認識ソフトウエアにより、前記画像取得手段(102)によって取得された前記画像内の前記貨物品の数をカウントするように構成される請求項または請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御手段(104)は、
前記画像取得手段(102)によって取得された画像内の占有座席の数をカウントし、
所定の平均乗客重量の値、前記占有座席のカウント数、鉄道車両内に前記乗客の最大許容数が存在する状態での前記鉄道車両の質量を示す全負荷質量の値、および前記鉄道車両内に乗客が存在しない状態での前記鉄道車両の質量を示す風袋質量の値に基づいて、前記鉄道車両の現在の前記負荷指数を次式により決定するように構成される請求項に記載のシステム。
【数5】
【請求項10】
前記制御手段(104)は、
前記画像取得手段(102)によって取得された画像内の占有座席の数をカウントし、
前記占有座席のカウント数、および前記鉄道車両の座席の総数に基づいて、前記鉄道車両の現在の前記負荷指数を次式により決定するように構成される請求項に記載のシステム。
【数6】
【請求項11】
前記制御段(104)は、人工知能に基づく画像認識ソフトウエアにより、前記画像取得手段(102)によって取得された画像内の前記占有座席の数をカウントするように構成される請求項または請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御手段(104)は、
前記画像取得手段(102)によって取得された画像を、鉄道車両の貨車の内部に乗客または貨物品が存在しない状態での前記貨車の内部を示す風袋負荷画像と比較し、
前記風袋負荷画像に対して前記画像取得手段(102)によって取得された画像内の乗客または貨物品によって占有される領域の比率の関数として、前記鉄道車両の現在の前記負荷指数を決定するように構成される請求項に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、鉄道車両の分野に関し、特に、本発明は、鉄道車両の負荷指数(load index)を推定するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車は、最小風袋質量AW0と最大全負荷質量AW3とを有するようにサイズ設定される。典型的には、例えば、公称負荷AW2のような中間的な負荷値も規定される。
【0003】
明らかに,今説明したことは,乗客の負荷および/または貨物品の負荷に適用することができる。風袋質量M0、公称質量M2および全負荷質量M3の公称値は、典型的には、設計レベルで、続いて直接重量測定の下流(downstream of a direct weight measurement)で定義され、かつ既知である。
【0004】
風袋負荷と全負荷との間での任意の運転負荷条件における車両質量の動的情報は、車両の制動を制御するために必要である。これは、ブレーキ作動技術(パッド-ディスク、シューブレーキ、電動ブレーキ、磁気ブレーキ、例えばMTB、渦電流ブレーキ等)が如何なるものであっても、常用ブレーキと非常ブレーキとの双方に適用される。
【0005】
ある目標減速度を得るために付加すべき制動力は、次式(1)の通りである。
【数1】
【0006】
風袋負荷質量の値および全負荷質量の値が既知であるので、車両質量を測定する問題は、上記車両の負荷指数を測定する問題に変換される。
【数2】
【0007】
図1に見られるように、鉄道車両RVは、通常、複数のサスペンションを備える。
・1次サスペンションS1:車軸Aと台車Bとの間
・2次サスペンションS2:台車Bと車体Cとの間
【0008】
サスペンションの主な目的は、次の通りである。
・レール、車軸および本体の間で伝達される振動を低減すること
・鉄道車両内の乗客の快適性を改善すること
・鉄道車両が受ける機械的ストレスを低減すること
・プラットフォームに対して車体を水平に調整すること
・乗客の乗降時の快適性および安全性を向上すること
【0009】
1次サスペンションは、機械式であり、バネを用いて構成される。
【0010】
2次サスペンションは、典型的には空気圧式であるが、機械式であってもよい。
【0011】
空気圧式サスペンションの場合、それらは、空気ばね、空気ベローズおよびレベリングバルブがベースになる。
【0012】
レベリングバルブは、鉄道車両の緩衝部分(suspended part)、すなわち車体の一定の高さ(レベル)を確保するために、空気圧式サスペンションの内部の圧力を負荷、解除または維持する機能を有する。
【0013】
維持されるべきレベルは、典型的には、車体の床がプラットフォームと一致するレベルである。
【0014】
図2は、2次サスペンションS2として使用され得る空気圧式サスペンションの一例を示す。
【0015】
レベリングバルブがサスペンションの内部で制御しなければならない圧力は、鉄道車両の緩衝質量(suspended mass)に依存する。例えば、緩衝負荷(suspended load)が増加すると、車体を一定の高さに保つために必要な圧力が増加する。
【0016】
したがって、空気圧式2次サスペンション、特にそれらの内部で測定される圧力は、車両の負荷割合の間接的な測定値である。
【0017】
2つの台車と4つの車軸とからなる車両を想定すると、空気圧式2次サスペンションは、台車レベルに搭載されるため、単一の台車の負荷割合を求めることができる。制動力が台車レベルで管理される場合、すなわち第1台車(台車1)の車軸と第2台車(台車2)の車軸に対して個別の制動力を管理する場合、結果として次のようになる。
【数3】
【数4】
【0018】
制動が車両レベルで管理される場合、すなわち同じ制動力が全ての車両の車軸に付与される場合、車両の負荷指数は、例えば用途に依存する方法論に従って、各台車の負荷指数から計算されるであろう。これは、例えば次のようになり得る。
【数5】
または
【数6】
または
【数7】
【0019】
車両の負荷指数が決定されると、その質量は、上記式(2)を適用することによって決定され、制動力は、上記式(1)を適用することによって決定され得る。
【0020】
サスペンションの圧力の値と負荷指数との間の関連性は、設計段階で規定され、その後、既知の負荷条件下での車両の直接計量に基づく経験的校正によって精緻化される。この校正は、特定の車種の車両(サンプルとして使用される)に対して行われる。この校正の下流では、例えば図3に示されるタイプの表が得られる。
【0021】
このテーブルが得られると、図4に示すように、サスペンションの圧力と負荷指数とを関連付ける特性関数f(p)を構築することができる。
【0022】
負荷指数がサスペンションにおける圧力から決定されると、車両の質量は、式(2)を使用して容易に推定され得る。負荷指数の関数として車両質量の推移を示すグラフが図5に示されている。
【0023】
従来技術に従って作製されたシステムは、以下に記載される欠点を有する。
a)エネルギーの欠点:空気圧式サスペンションは、圧縮空気を消費する。この圧縮空気は、重く、エネルギーを消費し、高温で、かつ騒音が大きいコンプレッサによって生成される。
b)列車の走行ダイナミクスの典型的な振動は、車両負荷が一定であっても、サスペンションにおける圧力をレベリングバルブに変調させる原因となる。かかる変調は、快適性の観点からは不要であり、空気を過度に消費するため、エネルギー的な欠点がさらに大きくなる。
【0024】
欠点b)を克服するために、レベリングバルブは、デッドバンドで動作する。すなわち、車体の高さ(レベル)の変動がある許容範囲内に留まる場合、圧力は変調されない。この解決策は、空気の過度の消費を低減するが、地面に対する車体の高さを維持する際の不正確さ、およびサスペンションにおける圧力からの質量の測定における間接的な不正確さの原因となる。
【0025】
サスペンションの圧力による重量の間接的な測定も、この技術的に不正確であるという問題がある。圧力が変化すると、サスペンションの形状が変化するため、接触面も変化する。サスペンションによって発揮される持ち上げ力は、次式の通りである。
【数8】
【0026】
表面は、圧力に依存するため、力と圧力との関係は、非線形である。したがって、図4の特性関数は、直線ではない。この特性を決定するには、正確な経験的校正が必要であり、図4のグラフに多くの点を持たせるためには、表1に示すように、多くの測定値が必要である。典型的には、実際に図4の特性は、P0→P3とAW0→AW3との間で線形であると仮定され、車両質量の測定においてさらなる不正確さを引き起こす。
【0027】
上述した欠点を解決し、より一般的な鉄道車両の軽量化(コンプレッサ、パイプ等の撤去)の観点から、圧縮空気を使用しない列車という有力なシナリオが想定される。一部の製造業者は、例えば受動的な機械式サスペンションに置き換えて、非空気圧式2次サスペンションを採用する方向で動いている。このシナリオでは、空気圧式サスペンションがもはや存在しないので、車両質量の測定は、空気圧式サスペンションの圧力の測定に基づくものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本特許出願は、鉄道車両の負荷指数、結果としてその質量を決定する代替システムを提案する。このシステムは、例えば車両の内部に設置された少なくとも1つのカメラおよび/またはビデオカメラおよび/またはテレカメラおよび/またはプレゼンスセンサのような少なくとも1つの画像取得手段に基づき、適切な画像処理/人工知能/深層学習アルゴリズムを用いるものである。
【0029】
この解決策は、空気圧式サスペンションがない場合であっても、又は空気圧式サスペンションを備えた列車における既知のシステムの代替物として、車両質量を測定するために使用し得る。しかしながら、この解決策は、既知の解決策と比較して、エネルギー、コストおよび精度の点で有利である。
【0030】
上記および他の目的および利点は、本発明の一態様によれば、請求項1に規定された特徴を有する鉄道車両の負荷指数を推定するためのシステムによって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項において規定されており、その内容は、本明細書の不可欠な部分として理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
次に、本発明に係る鉄道車両の負荷指数を推定するためのシステムのいくつかの好ましい実施形態の機能的特徴および構造的特徴について説明する。添付の図面を参照する。
図1図1は、サスペンションを備える公知の鉄道車両の一例を示す。
図2図2は、空気圧式サスペンションの一例を示す。
図3図3は、サスペンションの圧力に関する負荷指数データを報告する例示的な表である。
図4図4は、サスペンションの圧力を負荷指数と関連付ける特性関数を示す。
図5図5は、負荷指数の関数として車両質量の推移を示すグラフである。
図6図6は、本発明に係る鉄道車両の負荷指数を推定するシステムの第1実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の複数の実施形態を詳述する前に、本発明は、その適用において、以下の明細書中で述べられ、または図に示される構造の詳細およびコンポーネントの構成に限定されないということが明らかにされるべきである。本発明は、他の実施形態をとることができ、本発明を、種々に異なる方法で、実際に実施または構築し得る。また、表現および専門用語は、説明を目的とするものであって、限定として解釈されるべきではないことも理解されるべきである。「備える(include)」、「含む(comprise)」、またはそれらのバリエーションは、以下に記述される要素やそれらの均等物、並びに、それらの追加要素およびその均等物を包含するものと理解されるべきである。
【0033】
最初に、図6を参照すると、本発明に係る鉄道車両の負荷指数(load index)を推定するシステム100は、鉄道車両貨車の内部の所定領域のリアルタイム画像を取得するように構成された画像取得手段102を備える。さらに、鉄道車両の負荷指数を推定するシステムは、画像取得手段102によって取得された画像から鉄道車両の負荷指数を決定するように構成された制御手段104も備える。
【0034】
画像取得手段102は、例えば少なくとも1つのカメラおよび/またはビデオカメラおよび/またはテレカメラおよび/またはプレゼンスセンサであり得る。明らかに、取得手段は、鉄道車両の負荷指数を推定するための装置によって行われる推定の精度を向上させるために、2つ以上であってもよい。
【0035】
制御手段104は、例えば制御ユニット、FPGA、PLC、マイクロプロセッサ、プロセッサ、コントローラまたは制御ユニット等であってもよい。
【0036】
明らかに、本明細書において負荷指数を参照して説明したことは、この負荷指数を100倍することにより負荷率と同様に適用され得る。例えば0.8の負荷指数は、80%の負荷率に対応する。
【0037】
一実施形態において、制御手段は、画像取得手段102によって取得された画像を、複数の所定のサンプル画像と比較するように構成され得る。その後、所定の鉄道車両の負荷指数は、各サンプル画像に割り当てられる。
【0038】
実施された比較を考慮して、制御手段は、どのサンプル画像が画像取得手段102によって取得された画像と最も高い類似度を有するかを決定するように設定され得る。
【0039】
最後に、画像取得手段102によって取得された画像と最も高い類似度を有するサンプル画像が決定されると、制御手段104は、鉄道車両の現在の負荷指数が画像取得手段102によって取得された画像と最も高い類似度を有すると決定されたサンプル画像に割り当てられた所定の負荷指数と対応すると決定するように構成され得る。
【0040】
類似度は、例えば色彩評価パラメータ、形状パラメータ、輝度パラメータのような1つ以上の所定の評価パラメータの関数として決定されてもよいが、これに限定されない。
【0041】
一般的なアイデアは、特徴量(すなわち、画像を可能な限り正確に表現する上述の評価パラメータ)を抽出し、それらをベクトル形式で配置した後、これらのベクトル同士の間で比較を実行することであり得る。
【0042】
例えば、CBIR(コンテンツベース画像検索)技術、PCA(主構成分析)に基づく技術、ウェーブレット変成器、およびその他が使用され得る。
【0043】
実際の例を挙げると、第1のサンプル画像は、負荷指数条件1で取得された画像であり、第2のサンプル画像は、負荷指数条件0.5で取得された画像であり、第3のサンプル画像は、負荷指数条件0で取得された画像であり得る。したがって、第1のサンプル画像には、負荷指数1が割り当てられ、第2のサンプル画像には、負荷指数0.5が割り当てられ、第3のサンプル画像には、負荷指数0が割り当てられる。
【0044】
その後、撮像手段102によって現在の画像が取得される。この現在の画像は、3つのサンプル画像と比較される。第1のサンプル画像が現在の画像と最も類似する場合、取得された画像における鉄道車両の負荷指数は、第1のサンプル画像の負荷指数、すなわち1であると決定される。第2のサンプル画像が現在の画像と最も類似する場合、取得された画像における鉄道車両の負荷指数は、第2のサンプル画像の負荷指数、すなわち0.5であると決定される。第3のサンプル画像が現在の画像と最も類似する場合、取得された画像における鉄道車両の負荷指数は、第3のサンプル画像の負荷指数、すなわち0であると決定される。
【0045】
制御手段104は、人工知能に基づく画像認識ソフトウエアにより、画像取得手段102によって取得された画像と最も高い類似度有するサンプル画像がいずれであるのかを決定するように構成され得る。
【0046】
さらなる実施形態において、制御手段104は、画像取得手段102によって取得された画像内の乗客の数をカウントするように構成され得る。
【0047】
乗客の数がカウントされると、制御手段104は、乗客の平均重量の所定値、乗客のカウント数、乗客の最大許容数が存在する状態での鉄道車両の質量を示す全負荷質量の値、および乗客が存在しない状態での鉄道車両の質量を示す風袋質量の値の関数として、鉄道車両の現在の負荷指数を決定するように構成され得る。鉄道車両の現在の負荷指数を求めるには、次式を用い得る。
【数9】
【0048】
乗客の最大許容数は、適切な規則に従って鉄道車両の内部に収容することができる人の数として理解され得る。
【0049】
実際の例では、乗客のカウント数が10、平均重量が70kg、全負荷重量が1000kg、および風袋重量が100kgの場合、負荷指数は、次式の通りである。
【数10】
【0050】
乗客輸送用ではなく貨物輸送用である鉄道車両が考慮される更なる代替の実施形態では、制御手段104は、画像取得手段102によって取得された画像内の貨物品の数をカウントするように構成され得る。
【0051】
貨物品の数がカウントされると、制御手段104は、貨物品の平均重量の所定値、貨物品のカウント数、貨物品の最大許容数が存在する状態での鉄道車両の質量を示す全負荷質量の値、および貨物品が存在しない状態での鉄道車両の質量を示す風袋質量の値の関数として、鉄道車両の現在の負荷指数を決定するように構成され得る。鉄道車両の現在の負荷指数を求めるには、次式を用い得る。
【数11】
【0052】
貨物品の最大許容数は、適切な規則に従って鉄道車両の内部に収容することができる貨物品の数として理解され得る。
【0053】
貨物品は、例えば木箱や包装の内部に入っている任意の輸送品として理解され得る。
【0054】
さらに別の実施形態では、制御手段104は、画像取得手段102によって取得された画像内の乗客の数をカウントするように構成され得る。
【0055】
乗客の数がカウントされると、制御手段104は、鉄道車両内の乗客の所定の最大許容数と、画像取得手段102によって取得された画像内の乗客のカウント数とに基づいて、負荷指数を決定するように構成され得る。鉄道車両の現在の負荷指数を求めるには、次式を用い得る。
【数12】
【0056】
乗客の最大許容数は、適切な規則に従って鉄道車両の内部に収容することができる人の数として理解され得る。
【0057】
実際の例では、乗客のカウント数が10、乗客の最大許容数が13である場合、負荷指数は、次の通りである。
【数13】
【0058】
乗客輸送用ではなく貨物輸送用である鉄道車両が考慮される更なる代替の実施形態では、制御手段104は、画像取得手段102によって取得された画像内の貨物品の数をカウントするように構成され得る。
【0059】
貨物品の数がカウントされると、制御手段は、鉄道車両内の貨物品の所定の最大許容数と、画像取得手段102によって取得された画像内の貨物品のカウント数とに基づいて、負荷指数を決定し得る。鉄道車両の現在の負荷指数を求めるには、次式を用い得る。
【数14】
【0060】
貨物品の最大許容数は、適切な規則に従って鉄道車両の内部に収容することができる貨物品の数として理解され得る。
【0061】
制御手段104が取得された画像内の乗客の数をカウントする必要がある実施形態では、制御手段が人工知能に基づく画像認識ソフトウエアにより画像取得手段102によって取得された画像内の乗客の数をカウントするように構成され得る。
【0062】
制御手段104が取得された画像内の貨物品の数をカウントする必要がある実施形態では、制御手段104が人工知能に基づく画像認識ソフトウエアにより画像取得手段102によって取得された画像内の貨物品の数をカウントするように構成され得る。
【0063】
さらに別の実施形態では、制御手段104は、画像取得手段102によって取得された画像内の占有座席の数をカウントするように構成される。
【0064】
取得された画像内の占有座席の数がカウントされると、制御手段104は、乗客の平均重量の所定値、占有座席のカウント数、乗客の最大許容数が存在する状態での鉄道車両の質量を示す全負荷質量の値、および乗客が存在しない状態での鉄道車両の質量を示す風袋質量の値の関数として、車両の現在の負荷指数を決定するように構成され得る。鉄道車両の現在の負荷指数を求めるには、次式を用い得る。
【数15】
【0065】
実際の例では、占有座席の数が10、平均乗客重量が70kg、全負荷質量が1000kg、風袋質量が100kgの場合、負荷指数は、次の通りである。
【数16】
【0066】
占有座席の数をカウントする必要がある本実施形態では、制御手段104は、人工知能に基づく画像認識ソフトウエアにより画像取得手段102によって取得された画像内の占有座席の数をカウントするように構成され得る。
【0067】
代替の実施形態では、制御手段104は、画像取得手段102によって取得された画像を、乗客または貨物品が存在しない状態での鉄道車両貨車の内部を示す風袋負荷画像と比較するように構成され得る。
【0068】
比較に続いて、制御手段104は、風袋負荷画像に対する画像取得手段102によって取得された画像における乗客または貨物物の占有面積の割合の関数として、鉄道車両の現在の負荷指数を決定するように構成され得る。
【0069】
例えば、取得された画像内の乗客による占有面積が風袋負荷画像の80%であることが判明した場合、現在の負荷指数は、0.8であり得る。
【0070】
例えば、取得された画像内の貨物品によるが占有面積が風袋負荷画像の80%であることが判明した場合、現在の負荷指数は、0.8であり得る。
【0071】
以下の態様は、上記の全ての実施形態に適用され、特に、制御手段104は、現在の決定された負荷指数の関数として、鉄道車両の質量の値、鉄道車両内の乗客または貨物品の最大許容数が存在する状態での鉄道車両の質量を示す全負荷質量の値、および乗客または貨物品が存在しない状態での鉄道車両の質量を示す風袋質量の値を決定するようにも構成され得る。
【0072】
この車両質量は、次式を用いて計算し得る。
【数17】
【0073】
実際の例では、無負荷質量が100kg、全負荷質量が1000kg、負荷指数が0.78の場合、車両質量は、次の通りである。
【数18】
【0074】
したがって、取得画像から推定される車両の質量は、802kgである。
【0075】
さらに、制御手段104は、鉄道車両の質量および鉄道車両によって達成されるべき目標減速度の関数として、鉄道車両の制動手段により付与されるべき制動力を計算するように構成され得る。
【0076】
制動力は、次式により算出され得る。
【数19】
【0077】
実際の例では、車体質量が178kg、目標減速度が10m/sである場合、制動力は、次の通りである。
【数20】
【0078】
したがって、空気圧式サスペンションがない場合でも、または空気圧式サスペンションを備えた列車における既知のシステムの代替物として、車両の質量を測定するために使用され得るエネルギー、コスト、および精度の点で有利な解決策を提供することができるという利点が得られる。
【0079】
本発明による鉄道車両の負荷指数を推定するシステムの種々の態様および実施形態について記載した。各実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせ得ることが理解される。さらに、本発明は、記載された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定される範囲内で変更され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6