(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-13
(45)【発行日】2025-03-24
(54)【発明の名称】ハロゲン化ホスホニウムを含む収着剤ポリマー複合材、それを利用した煙道ガス処理デバイス及び煙道ガス処理方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/50 20060101AFI20250314BHJP
B01D 53/64 20060101ALI20250314BHJP
B01D 53/82 20060101ALI20250314BHJP
B01J 20/10 20060101ALI20250314BHJP
B01J 20/18 20060101ALI20250314BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20250314BHJP
【FI】
B01D53/50 100
B01D53/64 100
B01D53/82 ZAB
B01J20/10 A
B01J20/18 A
B01J20/18 E
B01J20/20 A
B01J20/20 D
(21)【出願番号】P 2022568893
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 US2021031652
(87)【国際公開番号】W WO2021231336
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-01-05
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ハードウイック
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-226254(JP,A)
【文献】特開2005-169306(JP,A)
【文献】特表2018-507776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34-53/85、
53/92、53/96、
53/14-53/18
B01J 20/00-20/28、
20/30-20/34
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収着剤ポリマー複合材と、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムとを含んでなるデバイスであって、
該収着剤ポリマー複合材は、収着剤とポリマーとを含み、
前記少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、式P(R
1
R
2
R
3
R
4
)X(式中、X=I
-
、I
3
-
、BrI
2
-
、Br
2
I
-
又はBr
3
-
であり、そしてR
1
、R
2
、R
3
又はR
4
のうちの少なくとも1つは、1~18個の炭素原子を有する炭化水素である)を有する化合物を含み、
該少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、該収着剤ポリマー複合材上に配置され、該収着剤ポリマー複合材内に配置され、又はそれらの任意の組み合わせであり、そして、該デバイスは煙道ガス流を処理するように構成されている、デバイス。
【請求項2】
前記炭化水素は、アルキル、アリール又は環状アルキルから選ばれる、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは第四級ホスホニウムヨージドを含む、請求項1または2項記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは第四級ホスホニウムトリヨージドを含む、請求項1~3のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは第四級ホスホニウムトリブロミドを含む、請求項1~4のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムはエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)を含む、請求項1~5のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI
3
)又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが180℃を超える温度で単一の分子式を保持するように、前記少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは熱的に安定である、請求項1~7のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが180℃~400℃の温度で単一の分子式を保持するように、前記少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは熱的に安定である、請求項8記載のデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが200℃~400℃の温度で単一の分子式を保持するように、前記少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは熱的に安定である、請求項9記載のデバイス。
【請求項11】
前記収着剤ポリマー複合材の前記収着剤は、400m
2/gを超える表面積を有する、請求項1~10のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項12】
前記収着剤ポリマー複合材の前記収着剤は、400m
2/g~2000m
2/gの範囲の表面積を有する、請求項11記載のデバイス。
【請求項13】
前記収着剤ポリマー複合材の前記収着剤は、活性炭、シリカゲル、ゼオライト又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる、請求項1~12のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項14】
前記収着剤ポリマー複合材の前記ポリマーは、1cm当たり31ダイン未満の表面エネルギーを有する、請求項1~13のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項15】
前記収着剤ポリマー複合材の前記ポリマーは、1cm当たり15ダイン~1cm当たり31ダインの範囲の表面エネルギーを有する、請求項14記載のデバイス。
【請求項16】
前記収着剤ポリマー複合材の前記ポリマーはフルオロポリマーを含む、請求項1~15のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項17】
前記フルオロポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である、請求項16記載のデバイス。
【請求項18】
酸素と、水蒸気と、少なくとも1つのSOx化合物と、水銀蒸気とを含む煙道ガス流を処理する方法であって、
該煙道ガス流を、
収着剤ポリマー複合材と、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムとを含んでなるデバイスであって、該収着剤ポリマー複合材は、収着剤とポリマーとを含み、かつ、
前記少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、式P(R
1
R
2
R
3
R
4
)X(式中、X=I
-
、I
3
-
、BrI
2
-
、Br
2
I
-
又はBr
3
-
であり、そしてR
1
、R
2
、R
3
又はR
4
のうちの少なくとも1つは、1~18個の炭素原子を有する炭化水素である)を有する化合物を含み、該少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、該収着剤ポリマー複合材上に配置され、該収着剤ポリマー複合材内に配置され、又はそれらの任意の組み合わせであるデバイスに通し、
該収着剤ポリマー複合材上で該酸素及び該水蒸気を該少なくとも1つのSOx化合物と反応させて、硫酸を生成させ、そして
該水銀蒸気を該少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムと反応させて、該水銀蒸気の分子を該収着剤ポリマー複合材に固定する
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記処理工程の前に、少なくとも1つの燃焼プロセスから前記煙道ガス流を得る工程をさらに含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのSOx化合物は、二酸化硫黄(SO
2)、三酸化硫黄(SO
3)又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項18又は19記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは前記収着剤ポリマー複合材内に配置されている、請求項1~17のいずれか1項記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の幾つかの実施形態は、ハロゲン化ホスホニウムを含む収着剤ポリマー複合材に関する。このような実施形態の収着剤ポリマー複合材は、本明細書に記載のとおりのデバイス及び方法で利用することができる。
【背景技術】
【0002】
石炭火力発電所、都市ごみ焼却炉及び石油精製プラントは、硫黄酸化物(SO2及びSO3)、窒素酸化物(NO、NO2)、水銀(Hg)蒸気及び粒子状物質(PM)などの実質的な種類及び量の環境汚染物質を含む、多量の煙道ガスを発生する。米国では、石炭を燃やすだけで、毎年約2,700万トンのSO2及び45トンのHgを生成する。
【0003】
限定するわけではないが、SOx、Hg蒸気及び粒子状物質などの複数の煙道ガス汚染物質を低コストで除去できるシステムを提供する必要性が継続的に存在する。
【発明の概要】
【0004】
主題は、明細書全体、いずれか又はすべての図面及び各特許請求の範囲の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0005】
本開示の幾つかの態様は、収着剤ポリマー複合材を含むデバイスに関し、ここで、前記収着剤ポリマー複合材は、収着剤、ポリマー及び少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムを含む。幾つかのそのような態様において、ハロゲン化ホスホニウムは非常に高い熱安定性を有する。したがって、そのような態様において、ハロゲン化ホスホニウムは、高温用途に適切であることができる。幾つかのそのような態様において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、収着剤ポリマー複合材上に配置されることができ、収着剤ポリマー複合材内に配置されることができ、又はそれらの任意の組み合わせであることができる。幾つかの態様において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、収着剤ポリマー複合材内に配置されうる。幾つかの態様において、デバイスはまた、煙道ガス流を処理するように構成されうる。
【0006】
幾つかの態様において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、式:P(R1R2R3R4)X(式中、XはI-、Br-、I3
-、BrI2
-、Br2I-又はBr3
-であり、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~18個の炭素原子を有する炭化水素である)を有する化合物を含む。幾つかの態様において、炭化水素は、アルキル、アリール又は環状アルキルから選ばれる。幾つかの態様において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、第四級ホスホニウムヨージドを含む。幾つかの態様において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは第四級ホスホニウムブロミドを含む。幾つかの態様において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは第四級ホスホニウムトリヨージドを含む。幾つかの態様において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、第四級ホスホニウムトリブロミドを含む。幾つかの態様において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)を含む。幾つかの態様において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI3)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0007】
幾つかの態様において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、180℃を超える温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの態様において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、180℃~400℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの態様において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、200℃~400℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの態様において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、400m2/gを超える表面積を有する。幾つかの態様において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、400m2/g~2000m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの態様において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、活性炭、シリカゲル、ゼオライト又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる。幾つかの態様において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり31ダイン未満の表面エネルギーを有する。幾つかの態様において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり15ダイン~1cm当たり31ダインの範囲の表面エネルギーを有する。幾つかの態様において、収着剤ポリマー複合材のポリマーはフルオロポリマーを含む。幾つかの態様において、フルオロポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である。幾つかの態様において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは収着剤ポリマー複合材内に配置される。
【0008】
本開示の幾つかの態様は、煙道ガス流を処理する方法に関する。幾つかのそのような態様において、煙道ガス流は、酸素、水蒸気、少なくとも1つのSOx化合物及び水銀蒸気を含むことができる。幾つかのそのような態様において、方法は、デバイス上に煙道ガス流を通過させることを含むことができ、該デバイスは収着剤ポリマー複合材を含み、そして収着剤ポリマー複合材は、収着剤、ポリマー及び少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムを含む。幾つかの態様において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、収着剤ポリマー複合材上に配置されるか、収着剤ポリマー複合材内に配置されるか、又はそれらの任意の組み合わせである。幾つかの態様において、この方法は、酸素及び水蒸気を、収着剤ポリマー複合材上で少なくとも1つのSOx化合物と反応させて、硫酸を生成することをさらに含むことができる。幾つかの態様において、方法は、水銀蒸気を少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムと反応させて、水銀蒸気の分子を収着剤ポリマー複合材に固定することをさらに含むことができる。幾つかの態様において、方法は、処理工程の前に、少なくとも1つの燃焼プロセスから煙道ガス流を得る工程をさらに含む。幾つかの態様において、少なくとも1つのSOx化合物は、二酸化硫黄(SO2)、三酸化硫黄(SO3)又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の幾つかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ、本明細書に記載される。ここで図面を詳細に特に参照すると、示された実施形態は、例として、また、本開示の実施形態の例示的な議論を目的としていることが強調される。この点に関して、図面を用いた説明は、本開示の実施形態がどのように実施されうるかを当業者に明らかにする。
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の幾つかの実施形態による、煙道ガス処理ユニットの形態のデバイスの図である。
【0011】
【
図2A】
図2Aは、本開示の幾つかの実施形態による、収着剤ポリマー複合材の簡略図である。
【
図2B】
図2Bは、本開示の幾つかの実施形態による、収着剤ポリマー複合材の簡略図である。
【0012】
【
図3】
図3は、本開示の幾つかの実施形態による、様々な例示的なハロゲン化ホスホニウムのラングミュア吸着等温線を示すチャートである。
【0013】
【
図4】
図4は、本開示の幾つかの実施形態による、熱重量分析における温度の関数としてのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)の安定性を示すチャートである。
【0014】
【
図5】
図5は、本開示の幾つかの実施形態による、熱重量分析における温度の関数としてのテトラブチルホスホニウムヨージドの安定性を示すチャートである。
【0015】
【
図6】
図6は、本開示の幾つかの実施形態による、熱重量分析における温度の関数としてのエチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)の安定性を示すチャートである。
【0016】
【
図7】
図7は、本開示の幾つかの実施形態による、熱重量分析における温度の関数としてのテトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)の安定性を示すチャートである。
【0017】
【
図8】
図8は、本開示の幾つかの実施形態による、熱重量分析における温度の関数としてのエチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI
3)の安定性を示す第二のチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
開示された利益及び改善の中で、本開示の他の目的及び利点は、添付の図と併せて解釈される以下の説明から明らかになるであろう。本開示の詳細な実施形態は本明細書に開示されるが、開示された実施形態は、様々な形態で具現化されうる開示の単なる例示であることを理解されたい。さらに、本開示の様々な実施形態に関して与えられた実施例のそれぞれは、例示を意図しており、限定を意図していない。
【0019】
明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、以下の用語は、関係が明確に別段の指示をしない限り、本明細書に明示的に関連付けられた意味を取る。「1つの実施形態において」、「実施形態において」及び「幾つかの実施形態において」という語句は、本明細書で使用されるときに、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らないが、そうである場合もある。さらに、「別の実施形態において」及び「幾つかの他の実施形態において」という語句は、本明細書で使用されるときに、必ずしも異なる実施形態を指すとは限らないが、異なる実施形態を指す場合もある。本開示のすべての実施形態は、本開示の範囲又は主旨から逸脱することなく組み合わせ可能であることを意図している。
【0020】
本明細書で使用されるときに、用語「に基づく」は排他的ではなく、関係が明確に別段指示しない限り、記載されていない追加の要因に基づくことを許容する。さらに、明細書全体を通して、「a」、「an」及び「the」の意味は、複数の参照を含む。「中(in)」の意味には、「中(in)」及び「上(on)」が含まれる。
【0021】
本明細書で使用されるときに、「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」などの用語は、特定の特許請求の範囲を、請求項によって列挙される材料又は工程に限定しない。
【0022】
本明細書で使用されるときに、「から本質的になる」という用語は、特定の請求の範囲を、特定の材料又は工程、及び特定の請求項の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。
【0023】
本明細書で使用されるときに、「からなる」及び「から構成される」などの用語は、特定の特許請求の範囲を、請求項によって列挙される材料及び工程に限定する。
【0024】
本明細書で参照されるすべての先行特許、刊行物、及び試験方法は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0025】
本明細書で使用されるときに、「収着剤」という用語は、吸収、吸着又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つによって別の物質の分子を収集する特性を有する物質を意味する。
【0026】
本明細書で使用されるときに、「複合材」という用語は、組み合わせると個々の成分とは異なる特性を有する材料になる、異なる物理的又は化学的特性を有する2つ以上の構成材料を含む材料を指す。
【0027】
本明細書で使用されるときに、「収着剤ポリマー複合材」は、収着剤及びポリマーを含む複合材である。実施形態において、収着剤ポリマー複合材は、ポリマーの微細構造に組み込まれた収着剤粒子を含むことができる。
【0028】
本明細書で使用されるときに、「熱的に安定」とは、化合物が特定の温度範囲にわたって単一の分子式を保持することを意味する。
【0029】
本明細書で使用されるときに、「煙道ガス」は、燃焼プロセス(限定するわけではないが、石炭燃焼プロセスなど)の少なくとも1つの副生成物を含む気体混合物を指す。幾つかの実施形態において、煙道ガスは完全に燃焼プロセスの副生成物からなることができる。幾つかの実施形態において、煙道ガスは、燃焼プロセスから生じる濃度と比較して高い濃度の少なくとも1つのガスを含むことができる。例えば、1つの非限定的な例において、煙道ガスに「スクラビング」プロセスを施すことができ、その間に水蒸気を煙道ガスに加えることができる。したがって、幾つかのそのような実施形態において、煙道ガスは、燃焼による初期の水蒸気濃度に比べて高い濃度の水蒸気を含むことができる。同様に、幾つかの実施形態において、煙道ガスは、燃焼プロセスからの少なくとも1つのガスアウトレットの初期濃度よりも低い濃度の少なくとも1つのガスを含むことができる。これは、例えば、燃焼後に少なくとも1つのガスの少なくとも一部を除去することによって行うことができる。幾つかの実施形態において、煙道ガスは、複数の燃焼プロセスの副生成物の組み合わせである気体混合物の形態をとることができる。
【0030】
本明細書で使用されるときに、「SOx化合物」は、硫黄の任意の酸化物を指す。幾つの非限定的な実施形態において、「SOx化合物」は、既知の環境汚染物質であるガス状の硫黄酸化物を具体的に指すことができる。SOx化合物の非限定的な例としては、二酸化硫黄(SO2)及び三酸化硫黄(SO3)が挙げられる。SOx化合物の追加の非限定的な例としては、一酸化硫黄(SO)、一酸化二硫黄(S2O)及び二酸化二硫黄(S2O2)が挙げられる。
【0031】
本明細書で使用されるときに、「水銀蒸気」は、水銀を含む気体化合物を指す。水銀蒸気の非限定的な例としては、元素水銀蒸気及び酸化型水銀蒸気が挙げられる。
【0032】
本明細書で使用されるときに、「酸化型水銀蒸気」は、正の原子価状態の水銀を含む気相水銀化合物として定義される。酸化型水銀蒸気の非限定的な例としては、ハロゲン化第一水銀及びハロゲン化第二水銀が挙げられる。
【0033】
本開示の幾つかの実施形態はデバイスに関する。
図1は、本開示の幾つかの非限定的な実施形態による、例示的なデバイスの概略図を示す。示されるように、燃焼器からの煙道ガス流10は、熱交換器によって温度が下げられ、電気集塵機又はバッグハウス11に導入されることができる。幾つかの実施形態において、処理された煙道ガス流は、処理ユニット12によって温度がさらに下げられることができる。幾つかの実施形態において、処理ユニット12は、ガス湿度をさらに増加させる水スプレイを含む。幾つかの実施形態において、処理ユニット12は、SO
2を除去するための石灰石スクラバーを含むことができる。幾つかの実施形態において、処理された煙道ガスは、本開示の幾つかの実施形態による収着剤ポリマー複合材100を含む収着剤ハウジング13に導入される。幾つかの実施形態において(図示せず)、収着剤ハウスは、石灰石スクラバーの上部に好都合に配置することができる。
図1に示される例示的なデバイスの幾つかの実施形態において、少なくとも1つのSOx化合物は収着剤ポリマー複合材100の表面上で硫酸に転化される。幾つかの実施形態において、処理された煙道ガス10中の水銀蒸気は収着剤ポリマー複合材100に吸収される。幾つかの実施形態において、排出された硫酸は酸リザーバ14に滴り落ちることができる。幾つかの実施形態において、処理された煙道ガスは収着剤ハウジング13を出て、そして煙突15を出る。
【0034】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載のデバイスは、煙道ガス流を処理するように構成されている。幾つかの実施形態において、煙道ガス流は、酸素、水蒸気、少なくとも1つのSOx化合物、水銀蒸気又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施形態において、煙道ガス流は、酸素、水蒸気及び少なくとも1つのSOx化合物を含む。幾つかの実施形態において、煙道ガス流は、酸素、水蒸気及び複数のSOx化合物を含む。幾つかの実施形態において、煙道ガス流は、酸素、水蒸気及び水銀蒸気を含む。幾つかの実施形態において、煙道ガス流は、酸素、水蒸気、少なくとも1つのSOx化合物及び水銀蒸気を含む。幾つかの実施形態において、煙道ガス流は、酸素、水蒸気、複数のSOx化合物及び水銀蒸気を含む。幾つかの実施形態において、煙道ガス流が窒素を含むように、酸素が空気中に存在してもよい。
【0035】
幾つかの実施形態において、煙道ガス流中の少なくとも1つのSOx化合物又は複数のSOx化合物は、二酸化硫黄(SO2)、三酸化硫黄(SO3)、一酸化硫黄(SO)、一酸化二硫黄(S2O)、二酸化二硫黄(S2O2)又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる。幾つかの実施形態において、煙道ガス流中の少なくとも1つのSOx化合物又は複数のSOx化合物は、二酸化硫黄(SO2)、三酸化硫黄(SO3)、一酸化硫黄(SO)、一酸化二硫黄(S2O)、二酸化二硫黄(S2O2)及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる。
【0036】
幾つかの実施形態において、煙道ガス流中の少なくとも1つのSOx化合物又は複数のSOx化合物は、二酸化硫黄(SO2)、三酸化硫黄(SO3)又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる。幾つかの実施形態において、煙道ガス流中の少なくとも1つのSOx化合物又は複数のSOx化合物は、二酸化硫黄(SO2)、三酸化硫黄(SO3)及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる。
【0037】
幾つかの実施形態において、水銀蒸気は、元素水銀蒸気、酸化型水銀蒸気又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる。幾つかの実施形態において、水銀蒸気は、元素水銀蒸気、酸化型水銀蒸気及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる。
【0038】
幾つかの実施形態において、酸化型水銀蒸気は、1つ以上のハロゲン化水銀を含む。幾つかの実施形態において、ハロゲン化水銀はハロゲン化第二水銀である。幾つかの実施形態において、ハロゲン化水銀は、塩化水銀(II)、臭化水銀(II)又はヨウ化水銀(II)のうちの1つ以上を含む。幾つかの実施形態において、ハロゲン化水銀はハロゲン化第一水銀である。幾つかの実施形態において、ハロゲン化第一水銀は、塩化水銀(I)、臭化水銀(I)又はヨウ化水銀(I)のうちの1つ以上を含む。
【0039】
幾つかの実施形態において、デバイスは収着剤ポリマー複合材(SPC)を含む。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材は収着剤及びポリマーを含む。
【0040】
限定するわけではないが、活性炭充填ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むSPCなどの収着剤ポリマー複合材(SPC)は、煙道ガス流から望ましくない成分を除去するのに特に効果的であることが証明されている。そのような望ましくない成分としては、限定するわけではないが、少なくとも1つのSOx化合物及び水銀蒸気が挙げられる。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材(SPC)は、少なくとも1つのフルオロモノマーを含有し、追加の非フッ素化モノマーを含む又は含まない、ホモポリマー、コポリマー又はターポリマーのうちの1つ以上を含むことができる。
【0041】
幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材のポリマーとしては、ポリフルオロエチレンプロピレン(PFEP)、ポリペルフルオロアクリレート(PPFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー(THV)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCFE)、ポリ(エチレン-コ-テトラフルオロエチレン)(ETFE)、超高分子量ポリエチレン (UHMWPE)、ポリエチレン、ポリパラキシリレン(PPX)、ポリ乳酸(PLLA)、ポリエチレン(PE)、膨張ポリエチレン(ePE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施形態において、ポリマーはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。幾つかの実施形態において、ポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である。幾つかの実施形態において、ポリマーの構造は、伸張すると多孔質になり、それにより、ポリマーのフィブリルとノードとの間に空隙が形成されうる。
【0042】
幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材(SPC)のポリマー材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むことができる。幾つかの実施形態において、PVDFはPVDFホモポリマーであることができる。幾つかの実施形態において、PVDFはPVDFコポリマーであることができる。幾つかの実施形態において、PVDFコポリマーは、PVDFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマーである。本開示の幾つかの実施形態に適していることができるPVDFホモポリマー又はコポリマーの非限定的な商業的例としては、限定するわけではないが、Kynar Flex(登録商標)及びKynar Superflex(登録商標)が挙げられ、これらはそれぞれArkema社から商業的に入手可能である。
【0043】
幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり31ダイン未満の表面エネルギーを有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり30ダイン未満の表面エネルギーを有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり25ダイン未満の表面エネルギーを有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり20ダイン未満の表面エネルギーを有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり15ダイン未満の表面エネルギーを有する。
【0044】
幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり15ダイン~1cm当たり31ダインの範囲の表面エネルギーを有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり20ダイン~1cm当たり31ダインの範囲の表面エネルギーを有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり25ダイン~1cm当たり31ダインの範囲の表面エネルギーを有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり30ダイン~1cm当たり31ダインの範囲の表面エネルギーを有する。
【0045】
幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり15ダイン~1cm当たり30ダインの範囲の表面エネルギーを有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり15ダイン~1cm当たり25ダインの範囲の表面エネルギーを有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり15ダイン~1cm当たり20ダインの範囲の表面エネルギーを有する。
【0046】
幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材のポリマーは、1cm当たり20ダイン~1cm当たり25ダインの範囲の表面エネルギーを有する。
【0047】
幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、活性炭、シリカゲル、ゼオライト又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材(SPC)の収着剤は、活性炭を含む。幾つかの実施形態において、活性炭は、石炭由来の炭素、亜炭由来の炭素、木材由来の炭素、ココナッツ由来の炭素又はそれらの任意の組み合わせである。幾つかの実施形態において、収着剤がポリマーと組み合わされると、得られた混合物を引き伸ばして、収着剤を移動させることなく多孔質構造を形成することができる。
【0048】
幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、400m2/gを超える表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、600m2/gを超える表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、800m2/gを超える表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、1000m2/gを超える表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、1200m2/gを超える表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、1400m2/gを超える表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、1600m2/gを超える表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、1800m2/gを超える表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、2000m2/gを超える表面積を有する。
【0049】
幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、400m2/g~2000m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、600m2/g~2000m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、800m2/g~2000m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、1000m2/g~2000m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、1200m2/g~2000m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、1400m2/g~2000m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、1600m2/g~2000m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、1800m2/g~2000m2/gの範囲の表面積を有する。
【0050】
幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、400m2/g~1800m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、400m2/g~1600m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、400m2/g~1400m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、400m2/g~1200m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、400m2/g~1000m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、400m2/g~800m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、400m2/g~600m2/gの範囲の表面積を有する。
【0051】
幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、600m2/g~1800m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、800m2/g~1600m2/gの範囲の表面積を有する。幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材の収着剤は、1000m2/g~1400m2/gの範囲の表面積を有する。
【0052】
図2Aは、本明細書に記載の収着剤ポリマー複合材100の非限定的な実施形態を断面図で示す。この非限定的な実施形態において、収着剤ポリマー複合材100は、ポリマー101を部分的又は完全に覆う収着剤102を含む。幾つかの非限定的な実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウム103(本明細書に記載されるとおり)は、吸着剤102の一部を部分的に又は完全に覆うことができる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウム103は、収着剤102の細孔中に吸収されてもよい。
【0053】
図2Bは、本明細書に記載の収着剤ポリマー複合材100の追加の非限定的な実施形態を示す。示されるように、収着剤ポリマー複合材100は、ポリマーの微細構造201に組み込まれる収着剤102粒子を含むことができる。幾つかの実施形態において、収着剤102粒子は活性炭粒子であることができる。幾つかの実施形態において、ポリマーの微細構造201はフィブリルを含むことができる。幾つかの実施形態において、ポリマーは延伸PTFEであることができる。
【0054】
本明細書に記載される収着剤ポリマー複合材の追加の非限定的構成は、Hardwickらの米国特許第9,827,551号明細書及びLuらの米国特許第7,442,352号明細書に記載されており、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材(SPC)は、米国特許第7,710,877号明細書、米国公開第2010/0119699号明細書、米国特許第5,849,235号明細書及び米国特許第6,218,000号明細書又は米国特許第4,985,296号明細書に一般的に教示されているような方法で、ポリマー粒子を吸収性粒子とブレンドすることによって形成されうる。上記明細書の各々をすべての目的でその全体を参照することにより本明細書に組み込む。
【0056】
幾つかの実施形態において、収着剤ポリマー複合材は、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムを含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは収着剤ポリマー複合材上に配置される。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは収着剤ポリマー複合材内に配置される。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムの上及び内部に配置される。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、収着剤ポリマー複合材の任意の細孔内に位置することができる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、限定するわけではないが、吸収、含浸、吸着、混合、散布、噴霧、浸漬、塗装、コーティング及び少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムを収着剤ポリマー複合材にイオン交換するか、又は別の方法で適用することを含む、任意の適切な技術によって収着剤ポリマー複合材に取り込むことができる。
【0057】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、式:P(R1R2R3R4)Xを有する化合物を含む。幾つの実施形態において、X=I-、Br-、I3
-、BrI2
-、Br2I-又はBr3
-である。
【0058】
幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは水素である。
【0059】
幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、2~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、3~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、4~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、5~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、6~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、7~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、8~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、9~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、10~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、11~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、12~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、13~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、14~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、15~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、16~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、17~18個の炭素原子を有する炭化水素である。
【0060】
幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~17個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~16個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~15個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~14個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~13個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~12個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~11個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~10個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~9個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~8個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~7個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~6個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~5個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~4個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~3個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1~2個の炭素原子を有する炭化水素である。
【0061】
幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、2~18個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、3~17個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、4~16個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、5~15個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、6~14個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、7~13個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、8~12個の炭素原子を有する炭化水素である。幾つかの実施形態において、R1、R2、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、9~11個の炭素原子を有する炭化水素である。
【0062】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムの炭化水素は、アルキル、アリール又は環状アルキルから選ばれる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムの炭化水素は、アルキル、アリール又は環状アルキルからなる群より選ばれる。
【0063】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、第四級ホスホニウムヨージド、第四級ホスホニウムブロミド、第四級ホスホニウムトリヨージド又はそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、第四級ホスホニウムヨージド、第四級ホスホニウムブロミド、第四級ホスホニウムトリヨージド又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる。
【0064】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、第四級ホスホニウムヨージドを含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、第四級ホスホニウムブロミドを含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、第四級ホスホニウムトリヨージドを含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、第四級ホスホニウムトリブロミドを含む。
【0065】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI3)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)又はそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI3)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)及びそれらの任意の組み合わせを含む。
【0066】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI3)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)又はそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI3)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる。
【0067】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)である。
【0068】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、180℃を超える温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、200℃を超える温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、220℃を超える温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、240℃を超える温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、260℃を超える温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、280℃を超える温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、300℃を超える温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、320℃を超える温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、340℃を超える温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、360℃を超える温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、380℃を超える温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、400℃を超える温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。
【0069】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、180℃~400℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、200℃~400℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、220℃~400℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、240℃~400℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、260℃~400℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、280℃~400℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、300℃~400℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、320℃~400℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、340℃~400℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、360℃~400℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、380℃~400℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。
【0070】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、180℃~380℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、180℃~360℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、180℃~340℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、180℃~320℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、180℃~300℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、180℃~280℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、180℃~260℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、180℃~240℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、180℃~220℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、180℃~200℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。
【0071】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、200℃~380℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、220℃~360℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、240℃~340℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、260℃~320℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムは、280℃~300℃の温度で、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウムが単一の分子式を保持するように、熱的に安定である。
【0072】
本開示の幾つかの実施形態は、方法に関する。幾つかの実施形態において、この方法は、煙道ガス流、例えば、限定するわけではないが、本明細書に記載の任意の煙道ガス流を処理することを含む。幾つかの実施形態において、この方法は、燃焼プロセスから煙道ガス流を得ることを含む。幾つかの実施形態において、この方法は、煙道ガス流が完全に燃焼副生成物からなるように、燃焼プロセスから煙道ガス流を直接得ることを含む。幾つかの実施形態において、この方法は、燃焼プロセスから煙道ガス流を間接的に得る工程を含み、それにより、前記煙道ガス流は、本明細書に記載の他の処理工程が実行される前に、少なくとも1つの中間工程(例えば、スクラビング)を受ける。
【0073】
幾つかの非限定的な実施形態において、処理される煙道ガス流は、本明細書に記載の少なくとも1つのSOx化合物を含む初期煙道ガス流に水蒸気及び酸素を添加することによって得られる。しかしながら、幾つかの実施形態において、水蒸気及び酸素は、初期煙道ガス流に添加されず、代わりに、燃焼プロセスの副生成物として存在する。幾つかの非限定的な実施形態において、処理される煙道ガス流は、水銀蒸気を含む初期煙道ガス流に水蒸気及び酸素を添加することによって得られる。幾つかの非限定的な実施形態において、処理される煙道ガス流は、本明細書に記載の少なくとも1つのSOx化合物及び水銀蒸気の混合物を含む初期煙道ガス流に水蒸気及び酸素を加えることによって得られる。幾つかの非限定的な実施形態において、処理される煙道ガス流は、まず水蒸気及び酸素を、少なくとも1つのSOx化合物を含む第一の初期煙道ガス流に加えて混合物を形成すること、次いで、水銀蒸気を含む第二の初期煙道ガス流を前記混合物に添加することによって得られる。幾つかの非限定的な実施形態において、処理される煙道ガス流は、水蒸気及び酸素を、水銀蒸気を含む第一の初期煙道ガス流に加えて混合物を形成すること、次いで、少なくとも1つのSOx化合物を含む第二の初期煙道ガス流を前記混合物に添加することによって得られる。幾つかの実施形態において、処理される任意の煙道ガス流、本明細書に記載の任意の初期煙道ガス流、又はそれらの任意の組み合わせは、燃焼プロセスからの排気流であることができる。
【0074】
幾つかの実施形態において、煙道ガス流を処理する方法は、さらに、煙道ガス流を、デバイス、例えば、限定するわけではないが、本明細書に記載の任意のデバイスに通すことを含む。幾つかの実施形態において、煙道ガス流を処理する方法は、さらに、煙道ガス流からの酸素及び水蒸気を、収着剤ポリマー複合材(例えば、本明細書に記載の任意の収着剤ポリマー複合材)上で、煙道ガス流の少なくとも1つのSOx化合物と反応させて、硫酸を生成することを含む。幾つかの実施形態において、煙道ガス流を処理する方法は、さらに、水銀蒸気を少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウム(例えば、本明細書に記載の任意のホスホニウムイオン)と反応させて、水銀蒸気の分子を収着剤ポリマー複合材に固定することを含む。
【実施例】
【0075】
例
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態を例示するものであり、限定を意図するものではない。
【0076】
図3は、本開示の幾つかの実施形態による、様々な例示的なハロゲン化ホスホニウムのラングミュア吸着等温線を示すチャートである。具体的には、
図3は、活性炭収着剤へのTBPI及びETPPIの例示的な吸着を示す。溶液からのTBPI及びETPPIの吸着は、幾つかの実施形態において、吸着容量の指標を提供しうる結合K値によって特性化されうる。別の言い方をすれば、より高いK値は、所与の収着剤に対する所与のハロゲン化ホスホニウムの親和性を示していることができる。
図3の例に示すように、ETPPIの場合、K値は約34,000mgヨウ素/g炭素/(モル/L)であった。
【0077】
K値は、
図3のデータを適合させること又はラングミュア吸着等温線への類似のプロットによって導き出すことができる。具体的には、ラングミュア吸着等温線θ=(KCeq/(1+KCeq)。ラングミュア吸着等温線θは、無次元部分表面被覆率として特性化されうる。ラングミュア吸着等温線θは、測定吸収容量(g/g収着剤)を最大吸収容量(g/g収着剤)で割った値として定義されうる。最大吸収容量は、データを適合させることから導き出すことができる。Kは、吸着平衡定数と見なすことができる。例えば、炭素収着剤上のETTPIでは、平衡反応は、ETPPI(aq)+炭素⇔ETPPI(ads)であることができ、ここで、「aq」は水相中のETTPIの量を示し、「ads」は炭素収着剤に吸着されたETTPIの量を示す。もちろん、同様の平衡反応は、本明細書に記載の他のタイプの収着剤及びホスホニウム塩にも存在しうる。
【0078】
一般的に言えば、K値が大きいほど、平衡は右にあり(すなわち、吸着相に向かう)、その結果、吸着された種(例えば、少なくとも1つのハロゲン化ホスホニウム)は浸出に対してより耐久性がある。
【0079】
図4~8は、幾つかのハロゲン化ホスホニウムが分解する温度を示す熱重量分析(TGA)を示す。TA Instruments製のTGA V5000熱重量分析装置を使用して、TA Instruments Hi-Res Dynamic Methodを使用して、空気雰囲気下で質量損失を測定しながら、サンプル温度を周囲温度から800℃までゆっくりと上昇させることによって、熱重量分析を行った。収着剤ポリマー複合材の製造及びその後の処理工程において、収着剤ポリマー複合材が特定時間、180℃を超える温度にさらされることは珍しくない。時折、プロセスの混乱により、高温にさらされる時間が長くなることがある。同様に、適用において、プロセスの混乱により、収着剤ポリマー複合材が高温の煙道ガス流にさらされる可能性がある。200℃を超えるピーク分解温度を有するホスホニウム塩は、幾つかの実施形態において、これらの温度に達する用途に適している可能性がある。
【0080】
図4~8の各々において、実線は質量の変化を示す。点線は一次導関数である。導関数のピークは分解の最大速度を示し、ハロゲン化ホスホニウムの相対的な熱安定性の指標と考えることができる。
【0081】
図4及び5は、それぞれETPPI(402)及びTBPI(403)のTGAデータであり、それぞれ280℃及び313℃のピーク分解温度を有する。したがって、幾つかの実施形態において、特定のハロゲン化ホスホニウムについて、ホスホニウムを組み込んだ収着剤ポリマー複合材は、200℃を超える温度で有意な劣化なしに処理に耐えることができる。
【0082】
図6及び7は、それぞれETPPBr及びTBPBrのTGAデータである。これらの化合物のピーク分解温度はそれぞれ304℃及び355℃であり、使用可能な範囲が300℃を超えて拡張される。ETPPBrは304℃に最大脱着ピークがあり、TBPBrは355℃に最大脱着ピークがあった。
【0083】
図8はまた、ETPPI
3のTGAを示している。ETPPI
3の最大分解速度は297℃で発生し、ETPPI
3(つまり、297℃)は、ETPPIの分解温度に類似しているが、200℃をはるかに下回る温度で初期分解が開始され、ETPPIは幾つかの実施形態において150℃までの用途により適している。
【0084】
第四級ホスホニウムヨウ化物の収着剤ポリマー複合材への組み込みは、当業者に知られている任意の数の方法によって達成することができる。それは、初期配合物中に成分として含まれてよく、又は溶液又は溶融物から予備成形された複合材に吸収されてもよい。例示の目的で、TPBI及びETTPIを、メタノール溶液から収着剤ポリマー複合材に吸収させた。幾つかの実施形態において、収着剤は、収着剤ポリマー複合材への加工前、加工中又は加工後に、ヨウ化物塩とともに含浸されうる。
【0085】
水銀蒸気除去の例示的な試験
【0086】
水銀蒸気除去の例示的な試験は、(1)質量流量コントローラによって調整される空気供給源、(2)水銀透過管を含む、DYNACALIBRATR Calibration Gas Generators(VICI Metronics,Inc.米国ワシントン州ポールズボ)小窒素パージスルーによって生成される水銀源、(3)バイパスを備えており、そして65℃に維持されたオーブン内に配置されているサンプルセル、(4)酸化型水銀を元素水銀に転化するための塩化第一スズ/H2SO4バブラー、及び、(5)短経路長ガスセルを備えた、RA915+水銀アナライザー(OHIO LUMEX Co., Inc.、米国オハイオ州)による水銀検出器を含む、装置を用いて行った。
【0087】
水銀修復効率(η)は、入口水銀レベル(サンプルをバイパスする)と出口レベル(サンプルを通過する)の差を入口濃度で割ったものとして報告される。
【0088】
η=(入口濃度-出口濃度)/(入口濃度)
【0089】
ヨウ化ホスホニウム例:
【0090】
ヨウ化ホスホニウム例1: ETPPIを吸収した55/45炭素/PTFE収着剤ポリマー複合材による水銀蒸気の吸着
【0091】
55部の活性炭(Westvaco NUCHAR SA20)及び45部のPTFEを含む収着剤ポリマー複合材を、米国特許第7,442,352号明細書に記載されているように調製した。この材料を10mmx150mmのストリップに切断し、重量は0.63gであった。ストリップを、メタノール(Sigma Aldrich Inc.、米国ミシガン州)に溶解した0.1グラムのETPPI(Deepwater Chemicals Inc.、米国オクラホマ州)を含む10mlの溶液と一晩接触させた。この処理されたストリップ又はテープを取り出して空気乾燥し、1cmx1cm正方形のガラス容器での水銀除去効率を試験した。総流量は10slpm(標準リットル/分)であり、水銀濃度は120μg/m3であった。除去効率は、短光路長セルを使用したRA915+水銀アナライザーによって測定して、入口と出口の水銀濃度の比較によって決定した。乾燥空気及び80~90%の相対湿度に加湿された空気を使用して個別の効率を測定し、乾燥空気流と湿潤空気流でそれぞれ27.3%及び26.3%の効率を得た。
【0092】
ヨウ化ホスホニウム比較例1:未処理の55/45炭素/PTFE収着剤ポリマー複合材による水銀の吸着
【0093】
ヨウ化ホスホニウム例1からの未処理収着剤ポリマー複合材ストリップのサンプルも、例1に記載されたものと同じ条件を使用して、ハロゲン化ホスホニウムを添加しないで効率について試験した。測定効率は、それぞれ、乾燥空気流及び湿潤空気流で9.5%及び1.6%であった。処理済み及び未処理の炭素/ポリマーの効率を比較すると、水銀の一部は懸濁炭素のみに吸着されているように見えるが、ヨウ化ホスホニウムを含めると、特に、湿潤空気流の中での吸着速度が増加することが示される。
【0094】
ヨウ化ホスホニウム例2: ETPPIを吸収した80/20炭素/PTFE収着剤ポリマー複合材による水銀の吸着
【0095】
80部の活性炭(NORIT-CABOT PAC20BF)及び20部のPTFEを含む収着剤ポリマー複合材を、Mitchellらの米国特許第7,791,861B2号明細書に教示されている一般的な環式混合法を用いて調製して、Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示に従って一軸延伸された複合材テープを形成した。この材料を10mmx150mmのストリップに切断し、重量は0.87gであった。ヨウ化物例1に関して上述したように、ストリップを、メタノール(Sigma Aldrich Inc.、米国ミシガン州)に溶解した0.1グラムのETPPIを含む10mlの溶液と一晩接触させ、次いで溶液から取り出し、空気乾燥した。この材料を、ヨウ化ホスホニウム例1と同じ条件下、すなわち総流量10slpm及び水銀濃度120μg/m3で、1cm×1cm正方形のガラス容器内で水銀除去効率について試験した。除去効率はまた、RA915+水銀アナライザーを使用して短い経路長のセルを使用しヨウ化ホスホニウム例1と同じ方法で測定し、乾燥空気及び湿潤空気でそれぞれ31.6%及び29.2%の測定効率を得た。
【0096】
ヨウ化ホスホニウム比較例2:未処理の80/20炭素/PTFE収着剤ポリマー複合材による水銀の吸着
【0097】
ヨウ化ホスホニウム例2からの未処理収着剤ポリマー複合材シートのサンプルも、ヨウ化ホスホニウム例2に記載されたのと同じ条件を使用して効率について試験した。それぞれ、乾燥空気流及び80~90%湿潤空気流において測定効率は24.1%及び12.7%であった。ヨウ化ホスホニウム例1と同様に、処理及び未処理収着剤ポリマー複合材の比較は、幾つかの実施形態において、ハロゲン化ホスホニウムの含有が、特に、湿潤空気流における水銀捕捉性を劇的に改善することを示す。
【0098】
ヨウ化ホスホニウム例3: TBPIを吸収した55/45炭素/PTFE収着剤ポリマー複合材による水銀の吸着
【0099】
55部の活性炭(Westvaco NUCHAR SA20)及び45部のPTFEを含む収着剤ポリマー複合材を、米国特許第7,442,352号明細書に記載されているように調製した。材料を10mm×150mmストリップ(0.61g)に切断した。100mlの脱イオン(DI)水に溶解した0.5gのTBPI(Alfa Aesar, Inc.、米国マサチューセッツ州)を含むTBPI溶液を調製した。収着剤ポリマー複合材ストリップを10mlのTBPI溶液及び10mlのDI水と一晩接触させ、続いて溶液から取り出し、120℃で1時間過乾燥させた。この材料を、10slpmの全流速及び120μg/m3の水銀濃度で、上記の例に関して記載されたのと同じ方法に従って、1cm×1cm正方形のガラス容器内で水銀除去効率について試験した。除去効率はまた、例1と同じ方法で測定され、乾燥空気及び80~90%の湿潤空気においてそれぞれ32.8%及び31.8%の測定効率を得た。
【0100】
ヨウ化ホスホニウム例4:TBPIを吸収した80/20炭素/PTFE収着剤ポリマー複合材による水銀の吸着
【0101】
80部の活性炭(NORIT-CABOT PAC20BF)及び20部のPTFEを含む収着剤ポリマー複合材は、Mitchellらに付与された米国特許第7,791,861号明細書で教示されている一般的な乾式混合法を使用して調製し、Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示に従って一軸延伸された複合テープを形成した。この材料を、10mmx150mmのストリップに切断し、0.85gの重さであった。100mlのDI水に溶解した0.5gのTBPIを含むTBPI溶液を調製した。収着剤ポリマー複合材ストリップを10mlのTBPI溶液及び10mlのDI水と一晩接触させ、次いで、取り出し、120℃のオーブンで1時間乾燥させた。この材料を、上記の例と同じ条件下、総流量10slpm、水銀濃度120μg/m3で、1cm×1cm正方形のガラス容器内で水銀除去効率について試験した。ヨウ化ホスホニウム例1と同じ方法によって除去効率も決定され、乾燥空気及び80~90%の湿潤空気において、それぞれ26.1及び23.6%の測定効率を得た。
【0102】
上述のように、ETPPI及びTBPIの両方を使用して形成された処理済み複合材は、約26~32%(ETPPI)及び約24~33%(TBPI)のオーダーの水銀除去効率を達成し、これらはすべて、炭素のみを使用した複合材よりも改善された処理済み複合材の水銀捕捉を示している。
【0103】
エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI3)の調製
【0104】
ETPPI3を、以下のように、溶液中のETPPIをヨウ素溶液と反応させることによって調製した。ETPPI溶液を、1gのETPPIを100mlのイソプロパノール(IPA)に溶解することにより調製した。この溶液30ml(公称0.72ミリモル)を0.1Nヨウ素溶液15ml(1.5meq)と反応させた。15分後に、100mlのDI水を添加して、ヨウ素溶液から過剰のKIを可溶化するのを助け、三ヨウ化物塩の溶解度を低下させた。生成物をろ過し、真空デシケータで一晩乾燥させた。青銅褐色の結晶生成物0.4657グラムを回収した。
【0105】
反応は次のとおりである: EtPh3PI+I2→EtPh3PI3
【0106】
反応生成物を微量分析のためにテネシー州ノックスビルのガルブレイス・ラボラトリーズに提出した。ETPPI3の理論上の組成は、C=35.7%、H=3.0%、P=4.6%、I=56.6%である。分析により、C=36.4%、H=2.94%、P=4.63%、I=56.96%の組成であることが判った。したがって、生成物の微量分析は、理論上の組成とよく一致している。
【0107】
ヨウ化ホスホニウム例5:ETPPI3を吸収した80/20炭素/PTFE収着剤ポリマー複合材による水銀の吸着
【0108】
80部の活性炭(NORIT-CABOT PAC20BF)及び20部のPTFEを含む収着剤ポリマー複合材を、Mitchellらに付与された米国特許第7,791,861号明細書で教示されている一般的な乾式混合法を使用して調製し、Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示に従って一軸延伸された複合テープを形成する。この材料を10mmx150mmのストリップに切断し、重量は0.8gであった。次いで、ストリップを、上記のように調製して3mlの塩化メチレンに溶解した、0.0211gのETPPI3を含む溶液と15分間の接触時間で接触させ、次いで120℃のオーブンで1時間乾燥させた。処理された複合材を、120μg/m3の水銀濃度で、10slpmの総流量で、上記の例に記載されるとおりの試験方法に従って、1cm×1cm正方形のガラス容器内で水銀除去効率について試験した。除去効率はまた、上述の例と同じ方法で測定され、乾燥空気及び80~90%の湿潤空気でそれぞれ26.5及び24.6%の測定効率を得た。
【0109】
臭化ホスホニウム例:
【0110】
臭化ホスホニウム例1:ETPPBrを吸収した60/40炭素/PTFE収着剤ポリマー複合材による水銀の吸着
【0111】
60部の活性炭(Westvaco NUCHAR SA20)及び40部のPTFEを含む収着剤ポリマー複合材を、米国特許第7,442,352号明細書に記載されているように調製した。この材料を10mmx150mmのストリップに切断し、重量は0.67gであった。次いで、このストリップを、10mlのメタノールに溶解した0.1グラムのETPPBrを含む溶液(両方ともSigma Aldrich Inc.、米国ミシガン州から入手)と約1時間接触させた。処理したテープを溶液から取り出し、空気乾燥し、次いで、1cmx1cm正方形のガラス容器内で、総流量10slpmで、水銀濃度120μg/m3で水銀除去効率を試験した。除去効率は、短経路長セルを使用した RA915+水銀アナライザーによって測定して、入口と出口の水銀濃度の比較によって決定した。乾燥空気及び80~90%の相対湿度に加湿された空気を使用して別々の効率を測定し、乾燥空気及び湿潤空気でそれぞれ28.6%及び20.0%の測定効率を得た。
【0112】
臭化ホスホニウム比較例1:未処理の60/40炭素/PTFE収着剤ポリマー複合材による水銀の吸着
【0113】
上記の臭化物例1からの未処理収着剤ポリマー複合シートのサンプルも、例1に記載されたのと同じ条件を使用して効率について試験した。測定効率は、乾燥空気流及び湿潤空気流でそれぞれ0.2%及び1.1%であった。吸収された炭素/ポリマーと未処理の炭素/ポリマーの効率を比較すると、水銀の一部は懸濁炭素のみに吸着されているように見えるが、臭化ホスホニウムを含めると、特に、湿潤空気流で吸着速度が向上することが示されている。上記のヨウ化ホスホニウム例と同様の性能を有する。
【0114】
臭化ホスホニウム例2:ETPPBrを吸収した70/30炭素/PTFE収着剤ポリマー複合材による水銀の吸着
【0115】
70部の活性炭(NORIT-CABOT PAC20BF)及び30部のPTFEを含む収着剤ポリマー複合材を、米国特許第7,442,352号明細書に記載されているように調製した。この材料を10mmx150mmのストリップに切断し、重量は1.1gであった。処理されたストリップを、10mlのメタノール(Sigma Aldrich Inc.、米国ミシガン州)に溶解された、0.1グラムのETPPBrを含む10mlの溶液と約1時間接触させた。溶液からテープを取り出し、空気乾燥し、1cmx1cm正方形のガラス容器内で総流量10slpm、水銀濃度120μg/m3で水銀除去効率について試験した。除去効率は、短経路長セルを使用してRA915+水銀アナライザーで測定された、入口と出口の水銀濃度の比較によって決定した。効率は、乾燥空気及び80~90%の相対湿度に加湿された空気を使用して測定され、乾燥空気及び湿潤空気でそれぞれ31.9%及び24.9%の測定効率を得た。
【0116】
臭化ホスホニウム比較例2:未処理の70/30炭素/PTFE収着剤ポリマー複合材による水銀の吸着
【0117】
臭化ホスホニウム例2からの未処理収着剤ポリマー複合シートのサンプルも、上記と同じ条件を使用して効率について試験した。測定効率は、乾燥空気流及び湿潤空気流でそれぞれ19.6%及び5.7%であり、臭化ホスホニウムを含めると、特に、湿潤空気流で吸着率が増加することも示される。
【0118】
臭化物例3:TBPBrを吸収した60/40炭素/PTFE収着剤ポリマー複合材による水銀の吸着
【0119】
60部の活性炭(Westvaco NUCHAR SA20)及び40部のPTFEを含む収着剤ポリマー複合材を、米国特許第7,442,352号明細書に記載されているように調製した。この材料を10mmx150mmのストリップ(0.66g)に切断した。10mlのメタノールに溶解した0.1gのTBPBrを含む溶液を調製した (両方ともSigma Aldrich Inc.、米国ミシガン州から入手)。収着剤ポリマー複合材ストリップを10mlのTBPBr溶液と約1時間接触させた後に、溶液から取り出し、120℃のオーブンで1時間乾燥させた。処理された材料は、10slpmの総流量及び120μg/m3の水銀濃度で、1cmx1cm正方形のガラス容器内で水銀除去効率について試験した。除去効率は、短経路長セルを使用したRA915+水銀アナライザーによって測定して、入口と出口の水銀濃度の比較によって決定した。乾燥空気及び80~90%の相対湿度に加湿された空気を使用して別々の効率を測定し、乾燥空気及び湿潤空気でそれぞれ28.0%及び20.3%の測定効率を得た。
【0120】
臭化ホスホニウム例4:TBPBrを吸収した70/30炭素/PTFE収着剤ポリマー複合材による水銀の吸着
【0121】
70部の活性炭(NORIT-CABOT PAC20BF)及び30部のPTFEを含む収着剤ポリマー複合材を、米国特許第7,442,352号明細書に記載されているように調製した。この材料を10mmx150mmのストリップに切断し、重量は1.1gであった。10mlのメタノールに溶解した0.1gのTBPBrを含む溶液を調製した (両方ともSigma Aldrich Inc.、米国ミシガン州から入手)。収着剤ポリマー複合材ストリップを10mlのTBPBr溶液と約1時間接触させた後、溶液から取り出し、120℃のオーブンで1時間乾燥させた。この材料を、1cmx1cm正方形のガラス容器で水銀除去効率について試験した。総流量は10slpmで、水銀濃度は120μg/m3であった。除去効率は、短経路長セルを使用したRA915+水銀アナライザーによって測定して、入口と出口の水銀濃度の比較によって決定した。効率を、乾燥空気及び80~90%の相対湿度に加湿された空気を使用して測定し、乾燥空気及び湿潤空気でそれぞれ28.8%及び22.7%の測定効率を得た。
【0122】
ヨウ化ホスホニウム例1~6及び臭化ホスホニウム例1~4に関する上記の水銀除去効率を、参考のために以下の表1に要約する。
【表1】
【0123】
上述の本開示の実施形態に対する変形、変更及び改変は、当業者に明らかであろう。そのようなすべての変形、変更、改変などは、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本開示の主旨及び範囲内に入ることが意図されている。
【0124】
本開示の幾つかの実施形態を説明してきたが、これらの実施形態は例示にすぎず、限定的ではなく、当業者に多くの変更が明らかとなりうることが理解される。例えば、本明細書で議論されるすべての寸法は、例としてのみ提供され、例示を目的としており、限定することを意図していない。
【0125】
本記載で明確に識別される任意の特徴又は要素は、特許請求の範囲で規定される本発明の実施形態の特徴又は要素として明確に除外されることもある。
【0126】
本明細書に記載された開示は、本明細書に具体的に開示されていない1つ以上の要素、1つ以上の限定がなくても実施することができる。したがって、例えば、本明細書の各例において、用語「含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」のいずれも、本明細書で定義されるそれぞれの意味を変更することなく、他の2つの用語のいずれかに置き換えることができる。使用されている用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、示され、記載されている機能又はその一部の均等形態を除外する意図はなく、本開示の範囲内において種々の変更が可能であることに留意されたい。