(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-14
(45)【発行日】2025-03-25
(54)【発明の名称】時間計測システム
(51)【国際特許分類】
G04F 10/00 20060101AFI20250317BHJP
G04G 21/02 20100101ALI20250317BHJP
【FI】
G04F10/00 Z
G04G21/02 K
(21)【出願番号】P 2021009284
(22)【出願日】2021-01-25
(62)【分割の表示】P 2020072880の分割
【原出願日】2020-04-15
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】520132676
【氏名又は名称】株式会社コンセプトプロト
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】深井 善朗
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-283337(JP,A)
【文献】特開2019-132752(JP,A)
【文献】特開2017-156267(JP,A)
【文献】特開2011-85475(JP,A)
【文献】国際公開第2019/167955(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/103156(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04F 10/00-10/10
G04G 21/02
G07C 1/24
A63B 71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測中に被計測者によって携帯される電子機器端末を、
第1のタイミングで第1の時刻情報を取得する第1の時刻取得部及び前記第1の時刻情報を送信する第1の送信部を有する第1のセンサから送信された前記第1の時刻情報を受信し、第2のタイミングで第2の時刻情報を取得する第2の時刻取得部及び前記第2の時刻情報を送信する第2の送信部を有する第2のセンサから送信された前記第2の時刻情報を受信する第1の受信部と、
前記被計測者に対応する登録情報に関連付けられていない前記第1の受信部が受信した情報を、前記登録情報に関連付けて、
第3の送信部から送信された情報を受信する第2の受信部及び前記第2の受信部が受信した情報を記憶する記憶部を具備するデータサーバに、インターネット通信により送信する第3の送信部と、
前記第3の送信部から送信された情報に基づく計測結果を、前記データサーバを通じて閲覧するために、前記登録情報を前記データサーバに送信する通信部と、
前記登録情報に基づいてアクセスが許可される前記被計測者の計測に関する情報を前記データサーバから取得し、前記被計測者が閲覧可能に表示する表示部、として機能させる、プログラム。
【請求項2】
前記電子機器端末を、前記第1の時刻情報と前記第2の時刻情報から差分を計算する計算部として、さらに機能させる請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記電子機器端末を、前記第1のセンサの前記第1の送信部及び前記第2のセンサの前記第2の送信部と近距離通信を行う通信部としてさらに機能させる、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
計測中に被計測者によって携帯される電子機器端末が、
第1のタイミングで、前記被計測者に対応する登録情報に関連付けられていない第1の時刻情報を取得する第1の時刻取得部及び前記第1の時刻情報を送信する第1の送信部を有する第1のセンサから送信された第1の時刻情報を受信することと、
第2のタイミングで、前記登録情報に関連付けられていない、第2の時刻情報を取得する第2の時刻取得部及び前記第2の時刻情報を送信する第2の送信部を有する第2のセンサから送信された前記第2の時刻情報を受信することと、
前記第1の時刻情報及び前記第2の時刻情報を、前記登録情報に関連付けて、前記第1の時刻情報と前記第2の時刻情報と前記登録情報と、を前記電子機器端末からの情報を記憶するデータサーバに、インターネット通信により送信することと、
前記第1の時刻情報と、前記第2の時刻情報と、前記登録情報とに基づく計測結果を、前記データサーバを通じて閲覧するために、前記登録情報を前記データサーバに送信することと、
前記登録情報に基づいてアクセスが許可される前記被計測者の計測に関する情報を前記データサーバから取得し、前記被計測者が閲覧可能に表示することと、を含む、時間計測方法。
【請求項5】
前記データサーバは、前記第1の時刻情報と前記第2の時刻情報から差分を計算する工程、を有する請求項4に記載の時間計測方法。
【請求項6】
計測中に被計測者によって携帯される電子機器端末であって、第1のタイミングで、前記被計測者に対応する登録情報に関連付けられていない第1の時刻情報を取得する第1の時刻取得部及び前記第1の時刻情報を送信する第1の送信部を有する第1のセンサから送信された前記第1の時刻情報を受信し、第2のタイミングで、前記登録情報に関連付けられていない第2の時刻情報を取得する第2の時刻取得部及び前記第2の時刻情報を送信する第2の送信部を有する第2のセンサから送信された前記第2の時刻情報を受信する第1の受信部と、
前記第1の受信部が受信した情報を、前記登録情報に関連付けて、
第3の送信部から送信された情報を受信する第2の受信部及び前記第2の受信部が受信した情報を記憶する記憶部を具備するデータサーバに、インターネット通信により送信する第3の送信部と、
前記第3の送信部から送信された情報に基づく計測結果を、前記データサーバを通じて閲覧するために、前記登録情報を前記データサーバに送信する通信部と、
前記登録情報に基づいてアクセスが許可される前記被計測者の計測に関する情報を前記データサーバから取得し、前記被計測者が閲覧可能に表示する表示部と、を備える、電子機器端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、ある区間を移動するのに要した時間を計測する時間計測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ある区間を移動する時間を正確に計測するため、ストップウォッチ等の時間計測機器が使用されている。近年は、計測者により生じる計測の誤差をなくし、また100分の1秒台までも正確に計測したいという要望から電気信号を用いた時間計測システムや時間計測誤差の少ない時計を用いた時間計測システムが用いられている。
【0003】
この時間計測システムとして、例えば、互いに通信機能を有し、光電センサからなるセンサ部を搭載する時間計測装置を組で用いる構成がある。まず、時間計測装置を同期させた後、計測開始位置及び計測終了位置にそれぞれ配置する。これらの時間計測装置を無線通信又は有線通信により接続し、各センサ部の検出信号に基づき、被計測者の通過時間又は移動時間を計測する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献に記載の時間計測システムは、センサ自体がネットワーク通信を行うことができる装備を有することが必要であり、費用が高額となるという問題があった。また、センサ自体の大きさも大きくなり、重量も重くなってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、請求項1の本発明に係る時間計測システムは、第1のタイミングで第1の時刻情報を取得する第1の時刻取得部と、前記第1の時刻情報を送信する第1の送信部を有する第一のセンサ(スタートセンサ)と、
第2のタイミングで第2の時刻情報を取得する第2の時刻取得部と、前記第2の時刻情報を送信する第2の送信部を有する第二のセンサ(ゴールセンサ)と、
被計測者が所持し、前記第1のセンサと前記第2のセンサから送信された第1の時刻情報と第2の時刻情報を受信する第1の受信部を有する、電子機器端末、で構成されることを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明によれば、センサ自体がネットワーク通信のための装備が必要ないので、費用の高騰を抑えることができる。また、センサ自体の大きさをコンパクトにでき、重量も軽くできるので、持ち運んで使用できるという利点がある。
【0008】
請求項2の本発明に係る時間計測システムは、前記電子機器端末が、前記第1の受信部が受信した情報を、(ネットワーク通信により)送信する第3の送信部を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3の本発明に係る時間計測システムは、請求項1又は2に記載のものにおいて、少なくとも前記電子機器端末の前記第3の送信部から送信された情報を受信する第2の受信部と、当該第2の受信部が受信した情報を記憶する記憶部を具備するデータサーバを有することを特徴とする。
【0010】
請求項4の本発明に係る時間計測システムは、請求項1、2又は3に記載のものにおいて、前記電子機器端末が、前記受信した第1の時刻情報と前記第2の時刻情報から差分を計算する計算部を有することを特徴とする。
【0011】
請求項5の本発明に係る時間計測システムは、請求項1、2又は3に記載のものにおいて、前記データサーバが、前記受信した第1の時刻情報と前記第2の時刻情報から差分を計算する計算部を有することを特徴とする。
【0012】
請求項6の本発明に係る時間計測方法は、被計測者が電子機器端末を所持する工程と、前記被計測者が、第1のセンサを横切った時に第1の時刻情報を取得する工程と、取得した前記第1の時刻情報を前記電子機器端末に送信する工程と、
前記被計測者が、第2にセンサを横切った時に第2の時刻情報を取得する工程と、
取得した前記第2の時刻情報を前記電子機器端末に送信する工程、を有することを特徴とする。
【0013】
請求項7の本発明に係る時間計測方法は、請求項6に記載のものにおいて、前記電子機器端末が取得した前記第1の時刻情報と前記第2の時刻情報をデータサーバへ送信する工程、を有することを特徴とする。
【0014】
請求項8の本発明に係る時間計測方法は、請求項6又は7に記載の時間計測方法であって、前記データサーバにおいて、前記第1の時刻情報と前記第2の時刻情報を記憶する工程、を有することを特徴とする。
【0015】
請求項9の本発明に係る時間計測方法は、請求項6~8に記載の時間計測方法であって、前記電子機器端末において、前記第1の時刻情報と前記第2の時刻情報から差分を計算する工程、を有することを特徴とする。
【0016】
請求項10の本発明に係る時間計測方法は、請求項6~8に記載の時間計測方法であって、前記データサーバにおいて、前記第1の時刻情報と前記第2の時刻情報から差分を計算する工程、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る時間測定システムの概念的な構成を示す図である。
【
図2】
図1のスタート用のセンサ2の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図1のゴール用のセンサ3の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図1の時間計測システムにおける時間計測を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図1の時間計測システムにおける計測結果を閲覧する過程について説明するためのフローチャートである。
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一態様となる時間計測システムの概念的な構成を示す図である。この時間計測システム1は、予め定めた区間を被計測者6が移動又は通過するのに要した時間を計測するシステムである。
【0020】
時間計測システム1は、被計測者6が所持し共に移動する電子機器端末(例えば、スマートフォン)を有する。
【0021】
この電子機器端末は、図示しないが、GPS(Global Positioning System)通信及び、ネットワーク通信例えば、インターネット通信を行う通信部(第3の通信部)を有する。
【0022】
本実施形態では、ネットワーク通信として、インターネット通信を例としているが、これに限定されない。データサーバに相当する構成部位を設置できるのであれば、他のネットワーク通信も適用できる。
この電子機器端末は、インターネット通信を用いて取得した時刻情報を後述するデータサーバ5に送信する。
【0023】
また、時間計測システム1は、第1のセンサ2(スタートセンサ)と第2のセンサ3(ゴールセンサ)を有する。
【0024】
スタート用の第1のセンサ2は、スタート用の通過センサ11、スタート用の計測時計12(11と12を併せて第1の時刻取得部)と、メモリ34、そして近距離通信が可能な通信部(第1の送信部)を有する。
【0025】
スタート用の通過センサ11とスタート用計測時計12は、一体で構成されるのが望ましい。しかし、別体で構成されてもよい。
【0026】
スタート用のセンサ通過11は、時間の計測を開始するスタート位置に配置される。
【0027】
スタート用のセンサ通過11は、公知なセンサを利用できる。例えば、非接触センサであれば、光電センサや磁気センサが望ましい。光電センサは、赤外光やレーザ光を出射する投光部と、受光部とからなる公知なセンサを利用できる。出射される赤外光やレーザ光を横切るように被計測者が通過した際に、受光部が遮光又は反射光の検出により、センサ信号が出力される。
【0028】
また、開閉するゲート(バーや扉の形状)と電気スイッチを組み合わせたセンサも利用できる。この構成では、ゲートをスタート位置に配置し、被計測者6がゲートを押し開いた時など、ゲートの開放時に電気スイッチがオンして時間の計測が開始される。さらに、電気的に計測を開始させるという方式であれば、センサに代わって、光又は音を発する機器をスタート位置に配置して、光又は音を発して計測開始を告知した時に、その機器から時間計測開始のための電気信号を出力させてもよい。
【0029】
スタート用の計測時計12は、スタート用の通過センサ11のセンサ信号が出力された第1のタイミングで計測開始の時刻情報を取得・記憶する。近距離通信が可能な第1の送信部は、取得した第1の時刻情報を、被計測者6が所持し、被計測者6ともに移動する電子機器端末に送信する。
【0030】
ゴール用の第2のセンサ3は、スタート用の通過センサ13、スタート用の計測時計14(13と14を併せて第2の時刻取得部)と、メモリ34、そして近距離通信が可能な通信部(第2の送信部)を有する。
【0031】
ゴール用の通過センサ13とゴール用の計測時計14は、一体で構成されるのが望ましい。しかし、別体で構成されてもよい。
ゴール用の通過センサ13は、時間の計測を終了するゴール位置に配置される。
ゴール用の通過センサ13は、スタート用の通過センサと同様に公知なセンサを利用できる。
【0032】
ゴール用の計測時計14は、ゴール用の通過センサ13のセンサ信号が出力された第2のタイミングで計測開始の時刻情報を取得・記憶する。近距離通信が可能な第2の送信部は、取得した第2の時刻情報を、被計測者6が所持し、被計測者6ともに移動する電子機器端末に送信する。
【0033】
また、ゴール用通過センサ13は、被計測者6が近接して通過することを前提とすれば、非接触センサが好適し、例えば、光電センサや磁気センサが用いられる。
【0034】
また、時間計測システム1は、インターネット4に接続されるデータサーバ5を有している。
【0035】
被計測者6が所持し、被計測者6ともに移動する電子機器端末のインターネット通信を行う第3の送信部は、第1のセンサ2、第2のセンサ3から取得した第1の時刻情報と第2の時刻情報を、データサーバ5に送信する。
【0036】
前述したスタート用計測器12及びゴール用計測時計14は、電源(図示せず)として、商用周波数の交流電圧や整流された直流電圧を使用できる。
【0037】
加えて、屋外など電源供給のない環境下で使用されることも想定されるため、バッテリー、例えば、アルカリ電池等の乾電池又は、リチウム電池等の充電可能な充電池を装着して利用することもできる。
【0038】
さらに、スタート用計測器12及びゴール用計測時計14の外装部や又は筐体に、太陽電池パネルを装備して補助電源として用いてもよい。
この補助電源は、電池寿命を長くする又は、低温環境下の使用時において、電池の出力電圧の低下を補助するように機能させてもよい。また、直流又は交流の外部電源から電源供給できるように、別途、外部電源入力端子を設けてもよい。
【0039】
これらのスタート用計測器12及びゴール用計測時計14の外装部材又は筐体は、落下等の外部からの衝撃に耐えて内装する部品を保護することができる強度及び機能を備えている構造である。
【0040】
外装部材又は筐体は、例えば、硬質樹脂部材や金属材料により形成される。外装部材又は筐体には、持ち運びが容易なように、取っ手や肩掛けベルト用の取り付け具が設けられている。さらに、外装部材又は筐体には、取り外しが可能な脚部や、他の機器に取り付けるための連結具を備えていてもよい。
【0041】
また、スタート用計測器12及びゴール用計測時計14は、さらに防水機能、防塵機能及び露結防止機能を備える。防水機能としては、外部に露出する構成部位、例えば、アンテナ部と筐体との間や筐体の繋ぎ目に防水用パッキンを装着する。さらに、使用する周囲環境に応じて、筐体内部の温度上昇を調整するための冷却機構や、筐体内部の低温化を調整する又は筐体内部の露結を防止するための保温機構を適宜、備えてもよい。冷却機構としては、例えば、空冷であれば内部温度を伝搬する冷却用フィンを外部に露出するように取り付けてもよい。また、水冷であれば、筐体内部に冷媒が封入された熱伝導が高いパイプ等を張り巡らせて、冷却用フィンで冷媒を冷却しながら小型ポンプ等で循環させてもよい。また、保温機構であれば、筐体内面に断熱材を貼り付けたり、抵抗加熱体やペルチェ素子を用いたヒータ部を設けたりしてもよい。これらの機構は、使用する環境に応じて適宜、選択して搭載してもよい。このようにスタート用計測器12及びゴール用計測時計14に対して温度調整を行うことで装着されたバッテリーの使用可能時間を確保したり、回路部品の誤動作や精度の低下を防止することができる。
【0042】
一態様におけるデータサーバ5は、所謂、Webデータサーバであり、例えば、演算処理及び情報を記憶することができるコンピュータ及び大容量メモリが適用できる。データサーバ5は、着信した計測開始の時刻情報と計測終了の時刻情報との差分を求める演算処理を行い、演算結果が時間情報としてデータサーバ5内に設けられたメモリ(図示せず)に格納される。
【0043】
データサーバ5には、種々の閲覧形態を実現するいくつかのアプリケーションを格納している。これらのアプリケーションを利用して、例えば、1ファィル内の全時間情報に対する選択した識別情報に関わる時間情報、又は格納される全時間情報、又は特定の時間情報に対して、順位付け、最大最小の時間情報及び、平均となる時間情報を数値で表示する。さらには、全時間情報における偏差値や分布グラフ等の種々の閲覧形態で出力することができる。また、被計測者毎の過去に記憶された時間情報との対比(パーソナルベスト)などの閲覧形態で表示させることもできる。
【0044】
データサーバ5に格納された時間情報は、インターネット4を通じて、通信端末、例えば、パーソナルコンピュータ24やスマートフォン等の無線携帯端末7に読み出されて閲覧される。
【0045】
まず、無線携帯端末7やパーソナルコンピュータ24からインターネット4を通じて、データサーバ5にアクセスする。
【0046】
無線携帯端末7は、基地局22の4G,3Gの環境下や無線LANルータ23等を利用したWifiの環境下でインターネット4に接続する。また、パーソナルコンピュータ24等であれば、インターネット4の回線に有線接続するモデムやルータ等を用いた環境下や前述したWifiの環境下でインターネット4に接続する。
【0047】
ここでは、データサーバ5に対して予め設定した登録番号やパスワードを入力することで、アクセスが許可された閲覧者のみが時間情報を閲覧することができる。尚、許可された閲覧者とは、登録番号やパスワードを知っている者とする。勿論、一般公開可能な時間情報であれば、制限を掛けることなく、誰にでもアクセス可能となるように設定してもよい。
【0048】
次に、データサーバ5に対してアクセスした閲覧者は、格納されている複数の時間情報に対して、識別情報を用いて検索することで、所望する時間情報を読み出して、パーソナルコンピュータ24や無線携帯端末7の表示画面に表示させる。
【0049】
これに対して、本実施形態の時間計測システムは、スタート用の第1のセンサ2とゴール用の第2のセンサ3の間で直接的に通信していない。
【0050】
このため、スタート用の第1のセンサ2とゴール用の第2のセンサ3の設置位置の間に通信障害となる障害物が存在しても、時間計測や通信には影響がない。
【0051】
よって、時間計測システムは、市街における高い建造物や山の峰などの障害物がスタート位置とフィニッシュ位置の間に存在しても、問題なく通信することができる。
【0052】
本実施形態の時間計測システムは、インターネット通信を利用して、通信端末で時間情報を確認することができるため、滑走者が計測終了位置まで戻る必要は無い。さらに、本実施形態の時間計測システムは、インターネット4を通じて、時間計測結果となる時間情報の閲覧ができるため、スタート用の第1のセンサ2やゴール用の第2のセンサ3の設置場所から遠く離れた地点から、携帯端末やパーソナルコンピュータからデータサーバ5にアクセスすることができ、時間情報を容易に入手することができる。
【0053】
また、時刻情報の演算処理や表示するための処理がデータサーバ5で行われるため、最新の処理プログラムやアプリケーションへのバーションアップが容易である。スタート用の計測時計12及びゴール用の計測時計14においては、小容量のメモリを搭載することで対応が可能であり、製造コストを低コスト化できる。
【0054】
[実施形態]
次に、
図2及び
図3を参照して、第1の実施形態に係る時間計測システムについて説明する。
【0055】
図2は、スタート用の第1のセンサ2の構成を説明するブロック図である。
【0056】
スタート用の第1のセンサ2は、スタート用の通過センサ11と、スタート用の計測時計12と、近距離通信を行う通信部31により構成される。
【0057】
スタート用の計測時計12は、設定事項等の情報を記憶するメモリ34と、計測器全体を制御する制御部35と、図示していないが、電源スイッチが設けられている。
【0058】
近距離通信を行う通信部31(第1の送信部)は、取得した第1の時刻情報を、被計測者6が所持し被計測者6と共に移動する電子機器端末へ送信する。
通信部31は、公知な構成で実現できる。
【0059】
メモリ34は、補助記憶素子であり、ROMやRAM等の半導体記憶素子が用いられる。メモリ34は、後述する制御部35が制御及び処理を行うための制御プログラムやアプリケーションソフトウェアが格納されている。
【0060】
制御部35は、演算処理を行うための装置であり、データを一時記憶するレジスタやインターフェース等を有する、例えば、CPUを用いることができる。この制御部35は、通常、各構成部位に対して動作タイミングを図りながら制御するために必要なシステムクロック(以下、クロックと称する)を発振する発振回路を有している。本実施形態では、この発振回路のクロック信号を利用して時計部を構成する。勿論、時計部においては、制御部35を利用せずに、別途、専用の時計部を設けてもよい。
【0061】
次に、ゴール用のセンサ3について説明する。
【0062】
図3は、ゴール用センサ3の構成を説明するブロック図である。
【0063】
このゴール用センサ3は、ゴール用通過センサ13と、ゴール用計測時計14と近距離通信を行う通信部31により構成される。
【0064】
ゴール用の計測時計14は、設定事項等の情報を記憶するメモリ34と、計測器全体を制御する制御部35と、図示していないが、電源スイッチが設けられている。
【0065】
近距離通信を行う通信部41(第2の送信部)は、取得した第2の時刻情報を、被計測者6が所持し被計測者6と共に移動する電子機器端末へ送信する。
通信部41は、公知な構成で実現できる。
【0066】
メモリ34と制御部35は、スタート用のセンサ2で用いたものと同様なので、説明を省略する。
【0067】
前述した第1の実施形態の時間計測システムをスキーやスノーボードによる雪上の滑走競技を適用した例について説明する。この滑走競技は、雪上に複数の旗門を配置して、通過に要する時間を争う競技である。
【0068】
まず、被計測者(滑走者)は、自分で競技中に所持する電子機器端末(スマートフォン)に計測アプリケーションソフトとダウンロードし、ソフトを起動する。
このアプリのダウンロードにより、本時間計測システムの利用(第1、第2の時刻情報の取得やデータサーバ5への送信が可能となる)。
【0069】
予め設定した滑走コースにおいて、山頂側の滑走開始位置近傍にスタート用の第1のセンサ2を設置し、麓側の滑走終了位置近傍にゴール用の第3のセンサ3を設置する。
【0070】
この実施形態で、スタート用の第1のセンサ2のスタート用の通過センサ11は、スタート用計測時計12と一体である。
【0071】
スタート用の通過センサ12は、滑走者が当該スタート用の通過センサ12を通過した時刻を、滑走開始時刻として取得する。
本実施形態では、スタート用の通過センサ12として、前述した一対の光電センサを用いる。
【0072】
ゴール用の第2のセンサ3においても、ゴール用通過センサ12は、ゴール用計測時計14と一体である。
【0073】
ゴール用の通過センサ13は、一対の光電センサを用いて、ゴール位置に配置する。滑走者がゴール用の通過センサ13を通過した時の時刻を記憶し、滑走終了時刻とする。
【0074】
図1、
図2、
図3及び
図4に示すフローチャートを参照して、スタート用の第1のセンサ2とゴール用の第2のセンサ3を用いた滑走開始時刻及び滑走終了時刻の取得過程について説明する。
【0075】
図4は、時間計測システムの時間計測について説明するためのフローチャートである。
【0076】
まず、被計測者(滑走者)は、自分で競技中に所持する電子機器端末(スマートフォンやタブレット等)に計測アプリケーションソフトとダウンロードし、ソフトを起動する(ステップS1)
【0077】
次に、まず、スタート用の第1のセンサ2およびゴール用の第2のセンサ3を起動させる。しっかりと起動されているか動作確認を行うのが望ましい(ステップS2)。
【0078】
次に、滑走者が滑走を開始して、スタート用の通過センサ11を通過すると、スタート用の通過センサ11からスタート用計測時計12へセンサ信号が入力される。スタート用計測時計12の制御部35は、センサ信号が入力されると、スタートの時刻情報(第1の時刻情報)を取得する(ステップS3)。
【0079】
スタート用の第1のセンサ2の通信部31は、取得したスタート時の時刻情報を滑走者が所持する電子機器端末に送信する(ステップS4)。
【0080】
その後、滑走者がゴールを通過すると、ゴール用の通過センサ13からゴール用計測時計14にセンサ信号が入力される。ゴール用計測時計14の制御部35は、センサ信号が入力されると、ゴールの時刻情報(第2の時刻情報)を取得する(ステップS5)。
【0081】
ゴール用の第1のセンサ3の通信部41は、取得したゴール時の時刻情報を滑走者が所持する電子機器端末に送信する(ステップS6)。
【0082】
ここで、スタート用計測時計12やゴール用の計測時計14と滑走者の所持する電子機器端末は、ブルートゥース(Bluetooth)[登録商標]等の近距離無線通信で接続される。
【0083】
その後、滑走者が所持している電子端末機器の第3の送信部は、データサーバ5に取得したスタート時刻情報とゴール時刻情報を送信する(ステップS7)。
【0084】
データサーバ5では、特定の電子機器端末から送信された時刻情報をセットにして、一時的に記憶する。
【0085】
データサーバ5内の図示しない演算処理部において、フィニッシュの時刻情報からスタートの時刻情報を差し引き、滑走に要した時間を滑走の時間情報(差分)として算出する(ステップS8)。
例えば、スタート時刻情報: 10時 10分 13.634秒
フィニッシュ時刻情報: 10時 11分 52.102秒
滑走の時間情報: 1分38.468秒 となる。
【0086】
次に、前述した
図1及び、
図5に示すフローチャートを参照して、データサーバ5に格納された滑走の時間情報の閲覧について説明する。
【0087】
図5は、時間計測システムにおける端末で計測結果を閲覧する過程について説明するためのフローチャートである。ここでは、滑走終了後に滑走者(閲覧者)が閲覧する例である。
【0088】
まず、閲覧者の端末、例えばパーソナルコンピュータやスマートフォン等の電子機器端末から、インターネット4を通じて、データサーバ5にアクセスする(ステップS9)。
【0089】
無線携帯端末は、基地局の4G,3Gの環境下や無線LANルータ等を利用したWifiの環境下でインターネット4に接続する。
また、インターネット4の回線に有線接続するルータ等を用いた環境下でインターネット4に接続してもよい。
【0090】
データサーバ5は、アクセスしたパーソナルコンピュータや電子機器端末に対して、登録番号又はパスワードを要求する。この例では、データサーバ5に対して予め設定した登録番号やパスワードを入力することで、アクセスが許可された閲覧者のみが時間情報を閲覧することができる。
【0091】
但し、一般公開可能な時間情報であれば、制限を掛けることなく、誰にでもアクセス可能となるように設定してもよい。
【0092】
なお、データサーバ5に時刻情報を送信した電子機器端末で、ダウンロードしたアプリケーションソフトを用いてデータサーバ5にアクセスする場合には、必ずしも登録番号又はパスワードを要求しなくともよい。
この場合は、電子機器端末の情報で閲覧を許可することになる。
【0093】
閲覧者から登録番号又はパスワードを入力されると(ステップS10)、データサーバ5は、例えば、登録番号に応じて割り当てられた時間情報のインデックス(閲覧の題目)を表示させる(ステップS11)。
【0094】
選択が容易なように、閲覧の題目には、例えば、時間情報が記憶された日時、場所(例えば、スキー場名)、主催者又はスキークラブ名等の事項や滑走タイムのオンラインランキングが表示される。
【0095】
閲覧者は、選択した閲覧題目の画面で滑走者氏名を入力して所望する時間情報を読み出し、パーソナルコンピュータ24や無線携帯端末7の表示画面に表示させることができる。
【0096】
過去に記憶された滑走記録の時間情報だけではなく、現在、複数の滑走者が順次、滑走して時間情報が更新されている状況を中継的に閲覧することも可能である。時間情報が更新中であれば、最新の時間情報が随時、更新されている状況を閲覧することとなる。
【0097】
さらに、順位だけでなく、首位者からの遅れ時間、平均速度(滑走距離が既知の場合)、偏差値や分布等のデータも併せて表示することができる。また、過去に記憶されたデータも読み出せば、比較対照して閲覧することも可能である。
【0098】
以上のように、第1の実施形態によれば、簡易な時間計測システムにおいて、自己の滑走タイム(時間情報)や順位や他者の滑走タイム(時間情報)を取得できる。
【0099】
なお、なんらかの理由でゴールの時刻情報を取得できない場合には、ゴール後に滑走者が所持する電子機器端末をゴール用の計測時計14に近づけることで、ゴール時の時間情報をゴール用計測時計14の通信部41から取得することができる。
【0100】
その後、電子機器端末のインターネット通信を行う第3の送信部を利用して、ゴールの時刻情報が共に、データサーバ5に送信される。
【0101】
なお、滑走者が所持する電子機器端末は、スタート時の時刻情報を取得した場合には、スタートの時刻情報(第1の時刻情報)をデータサーバ5には、送信せずに、ゴールの時刻情報(第2の時刻情報)を取得した際にスタートの時刻情報を併せてデータサーバ5に送信してもよい。
【0102】
また以上説明した一態様となる時間計測システムは、前述した雪上における滑走競技に限らず、種々の時間計測に適用することができる。例えば、1)陸上のトラック競技、マラソン等の走者が行う競技時間を計測する時間計測、2)自転車、モータバイク、又は自動車等の車両の走行時間を計測する時間計測、3)ヨットレース等の船艇の走行時間を計測する時間計測、4)飛行機でパイロンを通過する競技の時間計測など、予め設定された区間を移動するのに要する時間計測においては、種々の測定対象に対して時間計測を行うことができる。
【0103】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0104】
1 時間計測システム
2 スタート用のセンサ
3 ゴール用のセンサ
5 データサーバ
6 電子機器端末
11 スタート用の通過センサ
12 スタート用の計測時計
13 ゴール用の通過センサ
14 ゴール用の計測時計
31 通信部(第1の送信部)
34 メモリ
35 制御部
41 通信部(第2の送信部)