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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-14
(45)【発行日】2025-03-25
(54)【発明の名称】ワイヤーストリッパー
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/12 20060101AFI20250317BHJP
   B26B 27/00 20060101ALI20250317BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20250317BHJP
   B26D 1/30 20060101ALI20250317BHJP
【FI】
H02G1/12 014
B26B27/00 G
B26D3/00 603Z
B26D1/30
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023190048
(22)【出願日】2023-11-07
【審査請求日】2025-01-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592038018
【氏名又は名称】株式会社エンジニア
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】高崎 充弘
(72)【発明者】
【氏名】川合 真之介
(72)【発明者】
【氏名】森尾 奨
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-079433(JP,A)
【文献】実開昭63-021419(JP,U)
【文献】特開昭59-099911(JP,A)
【文献】実開昭49-004298(JP,U)
【文献】特開2019-092249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/12
B26B 27/00
B26D 3/00
B26D 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差する二つのアームを、回動軸を介して開閉自在に連結してある、ワイヤーストリッパーであって、
各アームには、
前記回動軸よりもアームの後端側に設ける、ハンドルと、
前記回動軸よりもアームの先端側に設ける、窪み刃と、
前記窪み刃よりもアームの先端側に設け、前記ハンドルの閉じ動作によって互いに接触可能な、接触部と、を少なくとも設け、
少なくとも一方のアームには、
前記回動軸を、前記一方のアーム上において、前記接触部同士の接触箇所を中心とする円周方向または前記アームの左右方向に移動自在に収容する、軸収容部と、
前記回動軸を、直接的または間接的に、前記軸収容部内の所定位置に付勢する、付勢部と、をさらに設けてあることを特徴とする、
ワイヤーストリッパー。
【請求項2】
前記付勢部が、更に前記ハンドルを開き状態に付勢することを特徴とする、
請求項1に記載のワイヤーストリッパー。
【請求項3】
前記付勢部の付勢力を調整可能な、付勢力調整部をさらに設けてあることを特徴とする、
請求項1に記載のワイヤーストリッパー。
【請求項4】
前記ハンドルを開き状態に付勢する、ハンドル付勢部を更に有することを特徴とする、
請求項1に記載のワイヤーストリッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線ケーブルなどの線材から、被覆部を剥離して芯線を露出させるためのワイヤーストリッパーに関し、より詳しくは、簡単な動作でもって、芯線に傷を付けることなく被覆部を剥離可能なワイヤーストリッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤーストリッパーは、開閉自在に連結した一対のアームのそれぞれに、線材のサイズに対応させた略半円状の窪みからなる切断刃(以下「窪み刃」という。)を複数設けておき、この窪み刃でもって線材を挟み込むことで切り込みを入れた被覆部を、線材の軸方向に引き抜いて剥離することで、芯線を露出させる工具である(特許文献1)。
【0003】
図8に示す従来のワイヤーストリッパーは、左右の直角方向からみて略真円になるように、窪み刃bが形成されている。このワイヤーストリッパーを用いて、線材cの被覆部c1を剥離して芯線c2を露出させようとするとき、ワイヤーストリッパーの左右の直角方向に被覆部c1を引き抜くと、窪み刃が芯線c2に接触することなく、被覆部c1を引き抜くことができる。
しかし実際は、ワイヤーストリッパーの刃が突き合わせではなく互い違いの関係にあるため、ワイヤーストリッパーに挟まれた線材cが傾き、左右方向に対して傾いた方向に引き抜きが行われる場合がある。
ワイヤーストリッパーの左右方向に対して傾いた方向に、被覆部c1を引き抜こうとすると、この引き抜き方向から見たときの窪み刃b間の距離が、ワイヤーストリッパーの左右方向から見たときの窪み刃b間の距離よりも狭まることから、窪み刃bが被覆部c1の引き抜き中に通過する芯線c2に接触し、芯線c2を損傷させてしまう問題があった。
【0004】
この問題を回避する方法として、非特許文献1で示した動画(2:00~3:00)では、使用者がハンドルを握って線材を挟み込んだあとに、わずかにハンドルの握りを緩めて窪み刃同士をやや離した状態にしてから被覆部を引き抜くことで、芯線の損傷を回避する方法が紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-92249号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】https://www.youtube.com/watch?v=Qmh3hsJoz24「[電子工作]AWG電線のストリップ方法/コツの解説」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この非特許文献1で紹介されている使用方法では、線材のサイズによってハンドルを緩める度合いを変える必要があること、また、ハンドルを緩めた状態を維持しながら被覆部の引き抜き作業を行う必要があることから、使用者に熟練が求められること、などの問題を有していた。
【0008】
よって、本発明は、使用者の熟練によらず、簡単な動作でもって、芯線を損傷させることなく被覆部を剥離可能なワイヤーストリッパーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るワイヤーストリッパーは、交差する二つのアームを、回動軸を介して開閉自在に連結してある、ワイヤーストリッパーであって、各アームには、前記回動軸よりもアームの後端側に設ける、ハンドルと、前記回動軸よりもアームの先端側に設ける、窪み刃と、前記窪み刃よりもアームの先端側に設け、前記ハンドルの閉じ動作によって互いに接触可能な、接触部と、を少なくとも設け、少なくとも一方のアームには、前記回動軸を、前記一方のアーム上において、前記接触部同士の接触箇所を中心とする円周方向または前記アームの左右方向に移動自在に収容する、軸収容部と、前記回動軸を、直接的または間接的に、前記軸収容部内の所定位置に付勢する、付勢部と、をさらに設けよう構成した。
【0010】
係る構成により、使用者によるハンドルを閉じる動作(握り込む動作)によって、窪み刃による被覆部への切り込みが形成された後に、窪み刃同士がやや離れた状態となるため、その後の被覆部の引き抜き作業において、窪み刃と芯線との接触可能性を軽減させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るワイヤーストリッパーによれば、使用者の熟練によらず、簡単な動作でもって、芯線を損傷させることなく被覆部を剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1に係るワイヤーストリッパーの全体概略図。
図2】回動軸周辺の部分概略図。
図3】ハンドルを握る動作の進行に伴う窪み刃の動作遷移を示す概略図。
図4】実施例2に係るワイヤーストリッパーの間接付勢例(1)を示す部分概略図。
図5】実施例2に係るワイヤーストリッパーの間接付勢例(2)を示す部分概略図。
図6】実施例3に係るワイヤーストリッパーの部分概略図。
図7】実施例4に係るワイヤーストリッパーの部分概略図。
図8】従来のワイヤーストリッパーの使用イメージを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
<1>全体構成(図1
図1に、本発明に係るワイヤーストリッパーの第1実施例を示す。
本発明に係るワイヤーストリッパーは、交差する二つのアーム(一方のアームA,他方のアームB)を、回動軸Cを介して開閉自在に連結した構造を有している。
本発明では、図1における紙面上下方向をアームの前後方向、紙面左右方向をアームの上下方向、紙面前後方向(回動軸Cの軸方向)をアームの左右方向と定義する。
本発明において、各アームの形状は特段限定せず、ワイヤーストリッパーとして採用される公知の形状(直線形状、曲線形状など)を採用することができる。
【0015】
<2>各アームに設ける構成
本実施例では、図1における紙面上側を、アームの先端側と定義し、紙面下側を、アームの後端側と定義する。
各アームは、少なくとも、ハンドル10、窪み刃20および接触部30を有する。
ハンドル10は、回動軸Cよりもアームの後端側に設ける。
窪み刃20および接触部30は、回動軸Cよりもアームの先端側に設ける。
【0016】
<3>ハンドル(図1
ハンドル10は、ワイヤーストリッパーを使用する使用者が握るための部位である。ハンドル10は、グリップ、把持部、または柄とも呼ばれる。
本発明において、ハンドル10の形状は特段限定しない。
使用者は、両ハンドル10を握って閉じる動作を行うことにより、各アームの先端側に設けた接触部30や窪み刃20を互いに接近させて、物体の掴み作業や切断作業を行うことができる。
【0017】
<4>窪み刃(図1
窪み刃20は、線材の外周に設けた被覆部に切り込みを設けるための部位である。窪み刃20は、ストリップ刃や、穴刃とも呼ばれる。
窪み刃20は、対応する線材の規格幅に応じて、複数設けておくことができる。
本発明において、窪み刃20の窪み部分の形状は特段限定せず、線材の外形に応じて、略半円形や矩形などを適宜設計することができる。
【0018】
<5>接触部(図1
接触部30は、一方のアームA上で、回動軸Cを移動させる際に、両アームの接触部30の接触箇所を支点として機能させるための部位である。
接触部30は、窪み刃20よりもさらにアームの先端側に設ける。
本発明において、接触部30の形状は特段限定しない。
本発明では、物体を挟持するために各アームに設ける顎部(咥え部)を接触部30として兼用させてもよい。
【0019】
<6>その他の部位(図1
その他、各アームには、線材を切断するための直線刃50や、線材をそれぞれの窪み刃20への位置決めを案内するためのガイド溝40などを設けておいてもよい。
【0020】
<7>転換機構(図1図2
本発明に係るワイヤーストリッパーでは、両アームの閉じ動作が進行するにつれて、各アームに設けた窪み刃20が接近したのち、離隔に転じる機構(転換機構)を設ける。
この転換機構の一例として、各アームに設けた接触部30の接触箇所を支点として回動軸Cを移動させる機構(回動軸移動機構)が考えられる。
本実施例では、この回動軸移動機構の一例として、少なくとも一方のアームAに、軸収容部60および付勢部70を設ける構造とした。
以下、各部の詳細について説明する。
【0021】
<7.1>軸収容部(図2
軸収容部60は、回動軸Cを、接触部30同士の接触箇所を中心とする円周方向に移動自在に収容するための部位である。
本発明において、軸収容部60の形状は、特段限定するものではなく、例えば回動軸Cの径を幅長とする円弧形状や、回動軸Cの径を幅長として、アームの左右方向に直交した方向に拡幅した形状などを採用することができる。
本実施例では、軸収容部60を、回動軸Cの外径を幅長として、接触部30同士の接触箇所を中心とした円周方向に延伸した長穴で構成している。
【0022】
<7.2>付勢部(図2
付勢部70は、軸収容部60に収容している回動軸Cを、軸収容部60内の所定位置に付勢しておくための部位である。
本発明において、付勢部70は、回動軸Cと接触して直接的に付勢する形であってもよいし、回動軸Cとは直接接触させずに、他の部材を介して間接的に付勢する形であってもよい。
本発明において、付勢部70は、バネやゴムなどの弾性部材で構成することができる。
本実施例(図2)では、付勢部70をバネで構成している。このバネを、軸収容部60と連通するように形成した溝穴71に収容しておき、バネを圧縮させた状態で、バネの一端を回動軸Cと接触させておくことにより、バネの復元力でもって、回動軸Cを軸収容部60内の所定位置に直接的に付勢している。
付勢部70による付勢力は、各アームを閉じて窪み刃20による線材の被覆部に切り込みを設ける際の抵抗によって、回動軸Cが移動してしまうことのない程度の範囲で設計すればよい。
【0023】
<8>動作イメージ(図3
次に、本実施例に係るワイヤーストリッパーの動作イメージについて説明する。
【0024】
(1)ハンドルを開いた状態(図3(a))
図3(a)では、ハンドル10を開いた状態の窪み刃20および接触部30の位置を示している。このとき、回動軸Cは、付勢部70による付勢によって所定の位置に留まった状態である。
【0025】
(2)ハンドルを握って窪み刃を接近させた状態(図3(b))
図3(b)では、線材Dの径に応じて適した窪み刃20に繋がるガイド溝40に線材Dをセットしたのち、ハンドル10を握ってアームを閉じることで、窪み刃20によって被覆部Eに切り込みE1を入れた状態を示している。
このとき、各アームの接触部30は接触した状態となり、また各アームの窪み刃20は、最も接近した状態となる。
そして、回動軸Cは、引き続き、付勢部70による付勢によって所定の位置に留まった状態である。
【0026】
(3)さらにハンドルを握り込んで窪み刃を離隔させた状態(図3(c))
図3(c)では、各アームの接触部30が接触した状態から、さらにハンドル10を握り込んだ状態を示している。
図3(b)の状態から、さらにハンドル10を握り込むと、両接触部30の接触箇所を支点として、軸収容部60に収容してある回動軸Cに対し、当該回動軸Cを所定位置に付勢する付勢部70の付勢力に抵抗する力が作用する。
その結果、回動軸Cは、軸収容部60内の所定位置から移動し、一方のアームAと他方のアームBが、接触部30の接触箇所を支点として、角度θを伴ってわずかに開く状態となり、その結果、両窪み刃20もやや離れた状態となる。
【0027】
(4)被覆部の抜き取り(図示せず)
図3(c)で示す状態(ハンドル10を握り込んだ状態)のまま、ワイヤーストリッパーを線材Dの長手方向へと動かす動作を行うと、線材Dから被覆部Eを抜き取って、内部の芯線Fを露出させることができる。
このとき、各窪み刃20はやや離れた状態のままであるため、被覆部Eを引き抜く方向が、アームの左右方向に対して傾いた状態となっても、窪み刃20と芯線Fとの接触可能性を軽減させることができる。
【0028】
<9>まとめ
以上説明したとおり、本発明に係るワイヤーストリッパーでは、一対のアームA,Bを閉じる動作、すなわち使用者によるハンドル10の握り込み動作によって、窪み刃20による被覆部Eへの切り込みの形成後に、窪み刃20同士がやや離れた状態となるため、その後の被覆部Eの引き抜き作業において、窪み刃20と芯線Fとの接触可能性を軽減させることができる。
よって、従来のワイヤーストリッパーに係る使用方法のように、使用者がハンドル10を握って線材Dを挟み込んだあとに、わずかにハンドル10の握りを緩め、その状態を維持して被覆部Eの引き抜き作業を行う必要がなくなる。
その結果、使用者の熟練によらず、簡単な作業でもって、芯線Fを損傷させることなく、被覆部Eを剥離することができる。
【実施例2】
【0029】
<1>付勢部による間接的な付勢(図4図5
本発明に係るワイヤーストリッパーでは、付勢部70を、回動軸Cとは直接接触させずに、他の部材を介して回動軸Cを間接的に付勢した構成とすることもできる。
以下、図4,5を参照しながら、回動軸Cを間接的に付勢する場合の構成例について説明する。
【0030】
<2>間接付勢例(1)(図4
図4に示す例では、付勢部70を、回動軸Cの近辺で、一方のアームAと他方のアームBを開き状態に付勢するように配置した弾性部材で構成している。
本構成によれば、両アームA,Bを開いた状態から閉じた状態に遷移するまでの、付勢部70による付勢によって回動軸Cを所定の位置に留めておくことができる。
【0031】
<3>間接付勢例(2)(図5
図5に示す例では、付勢部70を、一方のアームAに設けたハンドル10Aと、他方のアームBに設けたハンドル10Bとの間を繋ぐように配置した弾性部材で構成している。 本構成によっても、両アームA,Bを開いた状態から閉じた状態に遷移するまでの、付勢部70による付勢によって回動軸Cを所定の位置に留めておくことができる。
【0032】
<4>付勢部とハンドル付勢部との兼用
なお、本実施例では、付勢部70が、後述する実施例3で説明する、ハンドル付勢部80としても機能する場合がある。
【実施例3】
【0033】
<1>ハンドル付勢部の付加(図6
本発明に係るワイヤーストリッパーでは、付勢部70とは別に、さらに、一方のアームAと他方のアームBを開き状態に付勢しておく、ハンドル付勢部80を設けておいても良い。
本実施例では、ハンドル付勢部80を、一方のアームAに設けたハンドル10Aと、他方のアームBに設けたハンドル10Bとの間を繋ぐように配置した弾性部材で構成している。 本構成によれば、被覆部の抜き取り作業や、線材の切断作業などにおいて、閉じたハンドル10が自然に開いた位置に復帰するため、使用者の利便性が向上する。
【0034】
<2>付勢部およびハンドル付勢部での付勢力の設計について
本実施例のように、付勢部70およびハンドル付勢部80を個別に設ける場合、各アームを閉じて接触部30同士を接触させた状態から、窪み刃20を離そうとした場合には、ハンドル付勢部80による付勢力にさらに付勢部70による付勢力が合算された力に抵抗するようにハンドル10を握り込む必要がある。
したがって、付勢部70およびハンドル付勢部80の付勢力は、これらの付勢力が合算された力を基準に、使用者の握力を考慮して適宜設計することが好ましい。
【実施例4】
【0035】
<1>付勢力調整部の付加(図7
本発明に係るワイヤーストリッパーでは、付勢部70の付勢力を調整可能な、付勢力調整部90を設けておいても良い。
本実施例では、実施例1に係る構成の一方のアームAに対し、付勢部70を収容している溝穴71の内部に連通するように形成したネジ穴91と、このネジ穴91に螺合可能なボルト92でもって、付勢力調整部90を構成している。
このボルト92の螺合量でもってボルト92の先端位置を変えることで、回動軸Cと接触する側の付勢部70の端部と反対側の端部を、ボルト92の先端で押圧可能とすることにより、付勢部70の付勢力を調整することができる。
本構成によれば、使用者の握力に応じて、窪み刃20による被覆部Eへの切り込み形成後、さらにハンドル10を握り込んで窪み刃20をやや離す際に必要な握力を調整することができる。
【符号の説明】
【0036】
A :一方のアーム
B :他方のアーム
C :回動軸
D :線材
E :被覆部
F :芯線
10:ハンドル
20:窪み刃
30:接触部
40:ガイド溝
50:直線刃
60:軸収容部
70:付勢部
71:溝穴
80:ハンドル付勢部
90:付勢力調整部
91:ネジ穴
92:ボルト
a :アーム
b :窪み刃
c :線材
c1:被覆部
c2:芯線
【要約】
【課題】使用者の熟練によらず、簡単な作業でもって、芯線Fを損傷させることなく被覆部Eを剥離可能なワイヤーストリッパーを提供する。
【解決手段】交差する二つのアームA,Bを、回動軸Cを介して開閉自在に連結してある、ワイヤーストリッパーであって、少なくとも一方のアームAに、回動軸Cを一方のアームA上において接触部30同士の接触箇所を中心とする円周方向または前記アームの左右方向に移動自在に収容する軸収容部60、および回動軸Cを軸収容部60内の所定位置に付勢する付勢部70を設ける。本構成により、使用者によるハンドル10を閉じる動作(握り込む動作)によって、窪み刃20による被覆部Eへの切り込みが形成された後に、窪み刃20同士が離隔した状態となるため、その後の被覆部Eの引き抜き作業において、窪み刃20と芯線Fとの接触可能性を軽減させることができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8