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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-14
(45)【発行日】2025-03-25
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20250317BHJP
【FI】
H01L21/304 643A
H01L21/304 651B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021033263
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134248
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】畑 亮
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-73930(JP,A)
【文献】特開2005-332889(JP,A)
【文献】特開平08-168716(JP,A)
【文献】特開2003-229398(JP,A)
【文献】特開2021-2654(JP,A)
【文献】特開2015-188007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持面で保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された該被加工物に洗浄液を供給するノズルと、該チャックテーブルを回転可能に支持するスピンドルユニットと、を備え、該チャックテーブル及び該ノズルを収容する洗浄用チャンバにおいて該被加工物を洗浄する洗浄装置であって、
該スピンドルユニットは、
該チャックテーブルを支持するスピンドルと、
該スピンドルを回転可能に支持するベアリングと、
該スピンドルの一部及び該ベアリングを収容するケースと、を有し、
該ケース及び該スピンドルの間には、圧力可変部及び開放部が設けられ、
該圧力可変部は、該ケースに接続された負圧供給管及び正圧供給管と、該スピンドルの内部に形成され、該保持面上の空間に連通する負圧又は正圧供給管と、の間に設けられ、かつ、該ベアリングよりも該チャックテーブルから遠い位置に配置され、
該開放部は、該ベアリング及び該圧力可変部の間に設けられ、かつ、該ケースに形成された貫通孔又は該ケースに接続された開放管を介して開放され、
該スピンドルは、該ケースから突出した端部を有し、
該洗浄用チャンバの一部は、該スピンドルの該端部が挿入される開口を備えるカバー部材によって画定され、
該カバー部材及び該スピンドルの該端部の間には、該ケース及び該スピンドルの間の空間と該洗浄用チャンバとの連通を遮断するシール部が設けられ、
該シール部は、
該カバー部材の該開口を画定する内周面に設けられた環状のマグネットリングと、
該マグネットリングの内側に設けられ、かつ、該スピンドルの該端部と接触する磁性流体と、を有し、
該マグネットリングの磁力は、400~800Gであり、
該マグネットリングの厚さは、3~5mmであることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
該スピンドルの該端部は、該磁性流体と接触する円柱状の被シール部と、該被シール部から該チャックテーブル側に延在する該被シール部と同径の円柱状の延在部と、を有する請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
該ベアリング及び該シール部の間の空間と該洗浄用チャンバとの間に、それらの連通を遮断する該シール部が設けられている連通路以外の連通路が設けられていない請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスチップ等の各種電子部品の製造工程においては、デバイスが形成されたシリコンウェーハ、ガラス基板又は樹脂パッケージ基板等の板状の被加工物が切削ブレード又はレーザービーム等を用いて加工される。このように被加工物を加工すると、切削屑やデブリ等の加工屑が発生して被加工物の表面に付着することがある。
【0003】
そのため、被加工物は、加工後に、例えば、平坦な保持面を有するチャックテーブルと保持面に洗浄液を供給するノズルとを収容する洗浄用チャンバを有する洗浄装置において洗浄される。このチャックテーブルは、一般的に、保持面上の空間に負圧を生じさせて被加工物を吸引し、かつ、保持面上の空間に正圧を生じさせて被加工物から離隔させることが可能であり、また、保持面の中心を通り、かつ、保持面に直交する直線を回転軸として回転することが可能である。
【0004】
そして、この洗浄装置においては、被加工物の裏面側がチャックテーブルに吸引保持され、かつ、チャックテーブルが回転した状態で、被加工物の表面にノズルから洗浄液が供給される。これにより、被加工物の表面に付着した切削屑又はデブリが除去される。このように用いられるチャックテーブルは、スピンドルユニットによって回転可能に支持されている。
【0005】
スピンドルユニットは、チャックテーブルを支持するスピンドルと、スピンドルを回転可能に支持するベアリングとを有する。そして、スピンドルの端部に連結されたモータが動作することによってスピンドルとともにチャックテーブルが回転する。また、ベアリングの内部に設けられるグリス等の潤滑剤が周囲に飛散することを防止するため、スピンドルユニットにおいては、スピンドル及びベアリングがケースに収容されている。
【0006】
さらに、チャックテーブルの保持面上の空間は、スピンドルの内部に形成された負圧又は正圧供給管と、ケース及びスピンドルの間のオイルシールによって画定された空間である圧力可変部とを介して、ケースに接続された負圧供給管及び正圧供給管に連通する。そして、負圧供給管に接続された負圧供給源が動作することで保持面上の空間には負圧が生じ、また、正圧供給管に接続された正圧供給源が動作することで保持面上の空間には正圧が生じる。なお、スピンドルの回転を阻害しないように、オイルシールとスピンドルとの界面には潤滑油が設けられることが多い。
【0007】
ここで、スピンドルは、チャックテーブルと連結されるようにケースから突出する端部を有する。また、チャックテーブルを収容する洗浄用チャンバには、このスピンドルの端部が挿入される開口が設けられている。そのため、ケース及びスピンドルの間の空間と洗浄用チャンバとは、この開口を介して連通することがある。この場合、ベアリングから飛散した潤滑剤及び/又はオイルシールとスピンドルとの界面から飛散した潤滑油等が洗浄用チャンバ内に混入して被加工物の表面に付着するおそれがある。
【0008】
そのため、このようなチャックテーブルを有する装置においては、一般的に、チャックテーブル側の空間とスピンドルユニット側の空間との連通を遮断するシール部材が設けられている(例えば、特許文献1参照)。このシール部材は、例えば、Vリングによって構成され、そのリップ部が回転可能な被シール部に接触するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2018-73930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
シール部材が回転可能な被シール部と接触する場合、被シール部の回転に伴ってシール部材が摩耗するため、長期間に渡って、チャックテーブル側の空間とスピンドルユニット側の空間との連通を遮断することは困難である。
【0011】
この点に鑑み、本発明の目的は、スピンドルユニット側の空間とチャックテーブルを収容する洗浄用チャンバとの連通を長期間に渡って遮断することが可能な洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、被加工物を保持面で保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された該被加工物に洗浄液を供給するノズルと、該チャックテーブルを回転可能に支持するスピンドルユニットと、を備え、該チャックテーブル及び該ノズルを収容する洗浄用チャンバにおいて該被加工物を洗浄する洗浄装置であって、該スピンドルユニットは、該チャックテーブルを支持するスピンドルと、該スピンドルを回転可能に支持するベアリングと、該スピンドルの一部及び該ベアリングを収容するケースと、を有し、該ケース及び該スピンドルの間には、圧力可変部及び開放部が設けられ、該圧力可変部は、該ケースに接続された負圧供給管及び正圧供給管と、該スピンドルの内部に形成され、該保持面上の空間に連通する負圧又は正圧供給管と、の間に設けられ、かつ、該ベアリングよりも該チャックテーブルから遠い位置に配置され、該開放部は、該ベアリング及び該圧力可変部の間に設けられ、かつ、該ケースに形成された貫通孔又は該ケースに接続された開放管を介して開放され、該スピンドルは、該ケースから突出した端部を有し、該洗浄用チャンバの一部は、該スピンドルの該端部が挿入される開口を備えるカバー部材によって画定され、該カバー部材及び該スピンドルの該端部の間には、該ケース及び該スピンドルの間の空間と該洗浄用チャンバとの連通を遮断するシール部が設けられ、該シール部は、該カバー部材の該開口を画定する内周面に設けられた環状のマグネットリングと、該マグネットリングの内側に設けられ、かつ、該スピンドルの該端部と接触する磁性流体と、を有し、該マグネットリングの磁力は、400~800Gであり、該マグネットリングの厚さは、3~5mmである洗浄装置が提供される。
【0013】
さらに、本発明においては、該スピンドルの該端部は、該磁性流体と接触する円柱状の被シール部と、該被シール部から該チャックテーブル側に延在する該被シール部と同径の円柱状の延在部と、を有することが好ましい。また、本発明においては、該ベアリング及び該シール部の間の空間と該洗浄用チャンバとの間に、それらの連通を遮断する該シール部が設けられている連通路以外の連通路が設けられていないことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、ケース及びスピンドルの間の空間と洗浄用チャンバとの連通を遮断するシール部がスピンドルと接触する磁性流体を有する。そのため、本発明においては、固体同士を接触させることなく、当該空間と洗浄用チャンバとの連通が遮断される。その結果、スピンドルの回転に伴うシール部の摩耗が低減され、当該空間と洗浄用チャンバとの連通を長期間に渡って遮断することができる。
【0015】
さらに、本発明においては、ベアリング及び圧力可変部の間に開放部が設けられている。これにより、圧力可変部における圧力の変動に応じて圧力可変部から開放部へのリークが生じた場合であってもベアリング周辺の圧力の変動が抑制される。そのため、ベアリングの内部に設けられるグリス等の潤滑剤の飛散が抑制される。
【0016】
また、このような開放部が設けられている場合には、シール部周辺の圧力の変動も抑制される。そのため、シール部に含まれる磁性流体が流出することが防止される。その結果、ケース及びスピンドルの間の空間と洗浄用チャンバとの連通を長期間に渡って遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、加工装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、洗浄装置の一例を模式的に示す一部破断斜視図である。
図3図3は、スピンドル、ケース及びカバー部材等を模式的に示す一部断面側面図である。
図4図4は、図3の部分拡大図である
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、洗浄装置を有する加工装置(切削装置)の一例を模式的に示す斜視図である。なお、図1に示されるX軸方向(前後方向)及びY軸方向(左右方向)は、水平面上において互いに直交する方向であり、また、Z軸方向(上下方向)は、X軸方向及びY軸方向に直交する方向(鉛直方向)である。
【0019】
図1に示される切削装置2は、各構成要素を支持する基台4を備える。基台4の上面には、長手方向がX軸方向に平行な矩形の開口4aが形成されている。開口4a内には、移動テーブル6と、移動テーブル6の移動に伴って伸縮する蛇腹状の防塵防滴カバー8とが設けられている。防塵防滴カバー8の下方には、移動テーブル6をX軸方向に沿って移動させるX軸方向移動機構(不図示)が設けられている。
【0020】
移動テーブル6の上面には、チャックテーブル10が設けられている。チャックテーブル10は、上方に露出した円盤状のポーラス板10aを有し、ポーラス板10aに置かれた被加工物を吸引保持する機能を有する。ポーラス板10aの上面は、概ね平坦であり、被加工物を保持する保持面となる。チャックテーブル10の内部には、チャックテーブル10の外部に設けられたエジェクタ等の吸引源(不図示)に一端が接続された吸引路(不図示)が形成されている。
【0021】
吸引路の他端は、ポーラス板10aに達している。そのため、保持面に被加工物が置かれた状態で、この吸引源を動作させると、被加工物がチャックテーブル10に吸引保持される。さらに、チャックテーブル10は、モータ等のチャックテーブル用回転駆動源(不図示)に連結されている。このチャックテーブル用回転駆動源を動作させると、保持面の中心を通り、かつ、保持面に直交する直線を回転軸としてチャックテーブル10が回転する。
【0022】
基台4の上面の開口4aの近傍には、支持構造12が設けられている。支持構造12は、基台4の上面からZ軸方向に沿って延在する立設部12aと、開口4aを渡るように立設部12aの上端部からY軸方向に沿って延在する腕部12bとを備える。腕部12bの前面側には、Y軸方向移動機構14が設けられている。
【0023】
Y軸方向移動機構14は、腕部12bの前面に固定され、かつ、Y軸方向に沿って延在する一対のY軸ガイドレール16を備える。一対のY軸ガイドレール16の前面側には、一対のY軸ガイドレール16に沿ってスライド可能な態様でY軸移動プレート18が連結されている。
【0024】
また、一対のY軸ガイドレール16の間には、Y軸方向に沿って延在するねじ軸20が配置されている。ねじ軸20の一端部には、ねじ軸20を回転させるためのモータ(不図示)が連結されている。ねじ軸20の螺旋状の溝が形成された表面には、回転するねじ軸20の表面を転がるボールを収容するナット部(不図示)が設けられ、ボールねじが構成されている。
【0025】
すなわち、ねじ軸20が回転すると、ボールがナット部内を循環して、ナット部がY軸方向に沿って移動する。また、このナット部は、Y軸移動プレート18の後面側に固定されている。そのため、ねじ軸20の一端部に連結されているモータでねじ軸20を回転させれば、ナット部とともにY軸移動プレート18がY軸方向に沿って移動する。
【0026】
Y軸移動プレート18の前面側には、Z軸方向移動機構22が設けられている。Z軸方向移動機構22は、Y軸移動プレート18の前面に固定され、かつ、Z軸方向に沿って延在する一対のZ軸ガイドレール24を備える。一対のZ軸ガイドレール24の前面側には、一対のZ軸ガイドレール24に沿ってスライド可能な態様でZ軸移動プレート26が連結されている。
【0027】
また、一対のZ軸ガイドレール24の間には、Z軸方向に沿って延在するねじ軸28が配置されている。ねじ軸28の一端部には、ねじ軸28を回転させるためのモータ30が連結されている。ねじ軸28の螺旋状の溝が形成された表面には、回転するねじ軸28の表面を転がるボールを収容するナット部(不図示)が設けられ、ボールねじが構成されている。
【0028】
すなわち、ねじ軸28が回転すると、ボールがナット部内を循環して、ナット部がZ軸方向に沿って移動する。また、このナット部は、Z軸移動プレート26の後面側に固定されている。そのため、モータ30でねじ軸28を回転させれば、ナット部とともにZ軸移動プレート26がZ軸方向に沿って移動する。
【0029】
Z軸移動プレート26の下部には、切削ユニット32が固定されている。切削ユニット32は、長手方向がY軸方向に平行な筒状のスピンドルハウジング34を有する。スピンドルハウジング34には、長手方向がY軸方向に平行な円柱状のスピンドル(不図示)が収容されている。このスピンドルは、回転可能な状態でスピンドルハウジング34によって支持される。
【0030】
スピンドルの先端部は、スピンドルハウジング34の外に突出し、この先端部には環状の切刃を有する切削ブレード36が装着されている。また、スピンドルの基端部は、スピンドルハウジング34に内蔵されるモータ等の切削ブレード用回転駆動源(不図示)に連結されている。
【0031】
X軸方向において切削ユニット32に隣接する位置には、Z軸移動プレート26の下部に固定されている撮像ユニット38が設けられている。撮像ユニット38は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の光源と、対物レンズと、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子とを含む。
【0032】
切削装置2における被加工物の加工は、例えば、以下の順序で行われる。まず、チャックテーブル10に吸引保持された被加工物を撮像ユニット38が撮像する。次いで、この撮像によって得られた画像に基づいて、切削ユニット32と被加工物との位置合わせを行う。具体的には、Y軸方向移動機構14及び/又はZ軸方向移動機構22が切削ユニット32の位置を調整し、かつ/又は、X軸方向移動機構及び/又はチャックテーブル用回転駆動源が被加工物を吸引保持するチャックテーブル10の位置及び/又は向きを調整する。
【0033】
次いで、切削ブレード36を回転させた状態で被加工物に接触させる。具体的には、先端部に切削ブレード36が装着されたスピンドルを切削ブレード用回転駆動源が回転させた状態で、Y軸方向移動機構14及び/又はZ軸方向移動機構22が切削ユニット32を移動させ、かつ/又は、X軸方向移動機構及び/又はチャックテーブル用回転駆動源が被加工物を吸引保持するチャックテーブル10を移動させる。これにより、被加工物に所望の加工が施される。
【0034】
また、基台4の上面の支持構造12の前方の位置には、洗浄装置40が設けられている。図2は、洗浄装置40を模式的に示す一部破断斜視図である。洗浄装置40は、チャックテーブル42を有する。チャックテーブル42は、上方に露出した円盤状のポーラス板42aを有し、ポーラス板42aに置かれた被加工物を吸引保持する機能を有する。ポーラス板42aの上面は、概ね平坦であり、被加工物を保持する保持面となる。
【0035】
チャックテーブル42の周囲には、チャックテーブル42を囲む洗浄用チャンバ本体44が設けられている。洗浄用チャンバ本体44は、円筒状の外周壁44aと、外周壁44aの下端部から径方向内側に延在する環状の底壁44bと、底壁44bの内端部から立設される円筒状の内周壁44cとを有する。
【0036】
そして、外周壁44aには排気口(不図示)が設けられており、この排気口は、排気管46を介して排気ポンプ(不図示)に接続されている。また、底壁44bには排水口48が設けられており、排水口48には下方に延在する排水管50が接続されている。また、底壁44bの下面には、複数本(例えば、3本)の支持脚52が固定されている。複数の支持脚52は、底壁44bの周方向に沿って概ね等間隔に設けられており、洗浄用チャンバ本体44を支持する。
【0037】
また、洗浄用チャンバ本体44の上方には、円盤状の蓋(不図示)が設けられている。この蓋の直径は、外周壁44aの内径より長い。そして、この蓋の下面が外周壁44aの上面と接するように配置されることで、被加工物に付着した切削屑又は洗浄に用いられる洗浄液が被加工物の洗浄時に基台4の上面に飛散することが防止される。
【0038】
外周壁44aの内側には、洗浄ユニット54及び乾燥ユニット56が配置されている。洗浄ユニット54及び乾燥ユニット56のそれぞれは、底壁44bに挿入されるパイプ状の軸部54a,56aを有する。軸部54a,56aは、チャックテーブル42の外側でチャックテーブル42の保持面に対して垂直な方向に延在するパイプ状の部材である。そして、軸部54a,56aの下端側には、軸部54a,56aを回転させるためのモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。
【0039】
軸部54a,56aの上端部には、腕部54b,56bが接続されている。腕部54b,56bは、軸部54a,54aの上端部からチャックテーブル42の中央までの距離に相当する長さでチャックテーブル42の保持面に対して平行な方向に延在するパイプ状の部材である。腕部54b,56bの先端部(軸部54a,56aと接続されない側の腕部54b,56bの端部)には、下方に向いたノズル54c,56cが設けられている。
【0040】
さらに、軸部54a及び腕部54bは、洗浄液供給源(不図示)に連通している。そのため、例えば、ノズル54cをチャックテーブル42の上方に位置付けるように軸部54aを回転させた後に、洗浄液供給源から軸部54a及び腕部54bに洗浄液が供給されると、ノズル54cからチャックテーブル42の保持面に洗浄液が供給される。
【0041】
また、軸部56a及び腕部56bは、エアー供給源(不図示)に連通している。そのため、例えば、ノズル56cをチャックテーブル42の上方に位置付けるように軸部56aを回転させた後に、エアー供給源から軸部56a及び腕部56bにエアーが供給されると、ノズル56cからチャックテーブル42の保持面にエアーが供給される。
【0042】
内周壁44cの内側に存在する円筒状の空間には、スピンドルユニット58が上下に通されている。スピンドルユニット58は、フェライト系又はマルテンサイト系のステンレス鋼等からなるスピンドル60を有する。スピンドル60は、上端側がチャックテーブル42に連結され、チャックテーブル42を支持する。また、スピンドル60の下端部にはモータ62が連結されており、モータ62を動作させると、保持面の中心を通り、かつ、保持面に直交する直線を回転軸としてチャックテーブル42が回転する。
【0043】
モータ62は、上下方向に移動可能な態様で支持機構64により支持されている。支持機構64は、モータ62に取り付けられた複数(例えば、3つ)のエアシリンダ66を備え、それぞれのエアシリンダ66の下部には支持脚68が連結されている。そして、複数のエアシリンダ66を同時に動作させると、モータ62及びチャックテーブル42が昇降する。
【0044】
例えば、洗浄装置40における被加工物の搬出入時には、支持機構64を動作させて所定の搬出入位置にチャックテーブル42を位置付け、被加工物の洗浄時には、搬出入位置よりも下方の洗浄位置にチャックテーブル42を位置付ける。なお、図2においては、チャックテーブル42が搬出入位置にある状態の洗浄装置40が模式的に示されている。
【0045】
スピンドル60の周囲には、ケース70及びカバー部材72が設けられている。図3は、スピンドル60、ケース70及びカバー部材72等を模式的に示す一部断面側面図であり、図4は、図3の部分拡大図である。なお、図3及び図4においては、チャックテーブル42が洗浄位置にある状態の洗浄装置40が模式的に示されている。
【0046】
ケース70は、内周壁44cの内径より外径が短い円筒状の形状を有し、連結部材(不図示)を介してモータ62に固定されている。ケース70の上部の内周面には、ベアリング74の外輪が固定されている。ベアリング74は、その内輪がスピンドル60と接触してスピンドル60を回転可能に支持する。
【0047】
また、ケース70には、径方向にケース70を貫通する3つの貫通孔が上下に並ぶように設けられている。この3つの貫通孔のうちベアリング74に最も近接する貫通孔には、パイプ状の開放管76が接続されている。開放管76は、ケース70及びスピンドル60の間の環状の空間(開放部)Aと、ケース70の外側の空間とを連通する。なお、開放管76はなくてもよい。すなわち、開放部Aは、ケース70を貫通する貫通孔を介してケース70の外側の空間に連通してもよい。
【0048】
残りの2つの貫通孔には、パイプ状の負圧供給管78及び正圧供給管80がそれぞれ接続されている。負圧供給管78は、ケース70及びスピンドル60の間の、開放部Aよりもベアリング74から遠い環状の空間(圧力可変部)Bと、エジェクタ等の負圧供給源(吸引源)とを連通する。また、正圧供給管80は、圧力可変部Bと、エアー供給源等の正圧供給源とを連通する。
【0049】
さらに、開放部A及び圧力可変部Bの境界と、圧力可変部Bの下方の外部空間と圧力可変部Bとの境界とには、環状のオイルシール82a,82bがそれぞれ設けられている。また、圧力可変部Bはスピンドル60の内部に形成された負圧又は正圧供給管60aに連通可能である。負圧又は正圧供給管60aは、チャックテーブル42の内部に形成された流路(不図示)を介してチャックテーブル42の保持面上の空間に連通する。
【0050】
カバー部材72は、環状の頂壁72aと、頂壁72aの外端部から下方に延在する円筒状の側壁72bとを有する。なお、頂壁72aの内径は、ベアリング74の内径より長い。また、頂壁72aの外径及び側壁72bの内径は、内周壁44cの外径より長い。
【0051】
頂壁72aの内側には、ケース70から突出したスピンドル60の上端部が挿入されている。換言すると、カバー部材72は、スピンドル60の上端部が挿入される開口を備える。また、カバー部材72及びスピンドル60の上端部の間には、ケース70及びスピンドル60の間の空間(例えば、開放部A及び圧力可変部B)とチャックテーブル42側の空間との連通を遮断する環状のシール部84が設けられている。
【0052】
シール部84は、頂壁72aの内周面に設けられた環状のマグネットリング84aを有する。マグネットリング84aは、永久磁石からなり、N極及びS極が一対の環状のボールピース84bにそれぞれ接触するように設けられている。また、ボールピース84b及びスピンドル60の間には磁性流体84cが設けられている。
【0053】
磁性流体84cは、マグネットリング84a及びボールピース84bとスピンドル60との間に構成される磁束線に沿って保持される。なお、磁性流体84cは、例えば、マグネタイト又はマンガン亜鉛フェライト等の強磁性微粒子及び界面活性剤を含むアルキルナフタレンベース磁性流体である。あるいは、磁性流体84cは、強磁性微粒子及び界面活性剤を含むフッ素オイルベース磁性流体であってもよい。
【0054】
ここで、洗浄装置40の運搬時にスピンドル60が傾けられること等によって、流体である磁性流体84cがスピンドル60のボールピース84bの間の空間の外側に広がるおそれがある。スピンドル60は、このような場合であっても磁性流体84cの流出を抑制できる磁界が形成されるような形状を有することが好ましい。
【0055】
例えば、ケース70から突出してカバー部材72の開口(頂壁72aの内側)に挿入されるスピンドル60の上端部は、磁性流体84cと接触する円柱状の被シール部と、この被シール部から上方に延在する、被シール部と同径の延在部とを有することが好ましい。このように延在部が設けられている場合、磁性流体84cがスピンドル60のボールピース84bの間の空間から上方に広がった場合であっても磁性流体84cの流出が抑制される。
【0056】
また、スピンドル60が回転すると、スピンドル60と磁性流体84cとの摩擦によって摩擦熱が生じる。そして、摩擦熱によってスピンドル60が加熱されると、例えば、オイルシール82a,82bが劣化するおそれがある。
【0057】
そのため、マグネットリング84aの磁力は、上述した両空間の連通を遮断可能な量の磁性流体84cをボールピース84b及びスピンドル60の間に保持できる限りで、弱くすることが好ましい。例えば、マグネットリング84aの磁力は、400~800Gであることが好ましい。
【0058】
同様に、マグネットリング84aの厚さは、上述した両空間の連通を遮断可能な量の磁性流体84cをボールピース84b及びスピンドル60の間に保持できる限りで、薄くすることが好ましい。例えば、マグネットリング84aの厚さは、図4に示されるように、一対のボールピース84bと接触する磁性流体84cが分離することなく一体化されるように薄くされることが好ましい。具体的には、マグネットリング84aの厚さは、3~5mmであることが好ましい。
【0059】
なお、カバー部材72の頂壁72aの下面は、図3に示されるように、チャックテーブル42が洗浄位置にある状態において、洗浄用チャンバ本体44の内周壁44cの上面に十分に接近する。そのため、洗浄装置40においては、洗浄用チャンバ本体44と、洗浄用チャンバ本体44の外周壁44aの上面に接触するように配置される蓋と、カバー部材72と、シール部84とによって洗浄用チャンバが画定される。
【0060】
切削装置2に含まれる洗浄装置40における被加工物の洗浄は、例えば、以下の順序で行われる。まず、上述のように加工された被加工物を搬出入位置にあるチャックテーブル42に置く。次いで、チャックテーブル42を洗浄位置に移動させた後にチャックテーブル42に被加工物を吸引保持させる。
【0061】
次いで、洗浄用チャンバ本体44の外周壁44aの上面に接触するように蓋を配置して洗浄用チャンバを構成するとともに洗浄ユニット54のノズル54cを被加工物の上方に位置付けるように軸部54aを回転させる。次いで、排気管46を介して洗浄用チャンバを排気した状態で、チャックテーブル42を回転させながらノズル54cから被加工物に洗浄液を供給する。これにより、被加工物の表面に付着した切削屑等が除去される。
【0062】
次いで、洗浄ユニット54のノズル54cを被加工物の上方から退避させるように軸部54aを回転させ、かつ、乾燥ユニット56のノズル56cを被加工物の上方に位置付けるように軸部56aを回転させる。次いで、チャックテーブル42を回転させながらノズル56cから被加工物にエアーを供給する。これにより、被加工物の表面に付着した洗浄液等が除去される。
【0063】
次いで、乾燥ユニット56のノズル56cを被加工物の上方から退避させるように軸部56aを回転させる。次いで、チャックテーブル42を搬出入位置に移動させた後にチャックテーブル42から被加工物を搬出する。以上によって、被加工物の洗浄が完了する。
【0064】
洗浄装置40においては、ケース70及びスピンドル60の間の空間(例えば、開放部A及び圧力可変部B)と洗浄用チャンバとの連通を遮断するシール部84がスピンドル60と接触する磁性流体84cを有する。そのため、洗浄装置40においては、固体同士を接触させることなく、当該空間と洗浄用チャンバとの連通が遮断される。その結果、スピンドル60の回転に伴うシール部84の摩耗が低減され、当該空間と洗浄用チャンバとの連通を長期間に渡って遮断することができる。
【0065】
さらに、洗浄装置40においては、ベアリング74及び圧力可変部Bの間に開放部Aが設けられている。これにより、圧力可変部Bにおける圧力の変動に応じて圧力可変部Bから開放部Aへのリークが生じた場合であってもベアリング74周辺の圧力の変動が抑制される。そのため、ベアリング74の内部に設けられるグリス等の潤滑剤の飛散が抑制される。
【0066】
また、このような開放部Aが設けられている場合には、シール部84周辺の圧力の変動も抑制される。そのため、シール部84に含まれる磁性流体84cが流出することが防止される。その結果、ケース70及びスピンドル60の間の空間と洗浄用チャンバとの連通を長期間に渡って遮断することができる。
【0067】
なお、上述した実施形態にかかる構造及び方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0068】
2 :切削装置
4 :基台(4a:開口)
6 :移動テーブル
8 :防塵防滴カバー
10 :チャックテーブル(10a:ポーラス板)
12 :支持構造(12a:立設部、12b:腕部)
14 :Y軸方向移動機構
16 :Y軸ガイドレール
18 :Y軸移動プレート
20 :ねじ軸
22 :Z軸方向移動機構
24 :Z軸ガイドレール
26 :Z軸移動プレート
28 :ねじ軸
30 :モータ
32 :切削ユニット
34 :スピンドルハウジング
36 :切削ブレード
38 :撮像ユニット
40 :洗浄装置
42 :チャックテーブル(42a:ポーラス板)
44 :洗浄用チャンバ本体(44a:外周壁、44b:底壁、44c:内周壁)
46 :排気管
48 :排水口
50 :排水管
52 :支持脚
54 :洗浄ユニット(54a:軸部、54b:腕部、54c:ノズル)
56 :乾燥ユニット(56a:軸部、56b:腕部、56c:ノズル)
58 :スピンドルユニット
60 :スピンドル(60a:負圧又は正圧供給管)
62 :モータ
64 :支持機構
66 :エアシリンダ
68 :支持脚
70 :ケース
72 :カバー部材
74 :ベアリング
76 :開放管
78 :負圧供給管
80 :正圧供給管
82a,82b:オイルシール
84 :シール部
(84a:マグネットリング、84b:ボールピース、84c:磁性流体)
図1
図2
図3
図4