(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-14
(45)【発行日】2025-03-25
(54)【発明の名称】棚
(51)【国際特許分類】
A47B 57/00 20060101AFI20250317BHJP
A47B 96/00 20060101ALI20250317BHJP
【FI】
A47B57/00
A47B96/00 B
A47B96/00 Z
(21)【出願番号】P 2021132176
(22)【出願日】2021-08-16
【審査請求日】2024-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000104973
【氏名又は名称】クリナップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】萩原 健太
(72)【発明者】
【氏名】徳森 百恵
(72)【発明者】
【氏名】竹内 祥馬
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0131117(US,A1)
【文献】実開昭54-068587(JP,U)
【文献】実開昭56-126649(JP,U)
【文献】実開平02-056897(JP,U)
【文献】特公昭45-015345(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 57/00
A47B 96/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付けられる棚であって、
前記壁面に取り付けられる垂直板と、該垂直板に立設される水平板とを有する棚板と、
前記水平板に着脱可能に取り付けられるバーユニットとを備え、
前記バーユニットは、前記水平板の上方
にバーが位置するスタイル、または
、該水平板の下方に
前記バーが位置する
スタイルの任意の一方または両方を選択可能であり、かつ、前記水平板の奥行き方向の任意の位置で前記水平板に取り付けられることを特徴とする棚。
【請求項2】
前記バーユニットは、前記バーと、2つの柱状部材とを有し、
前記バーは、前記柱状部材に対して脱着可能であることを特徴とする請求項1に記載の棚。
【請求項3】
前記柱状部材の根元は、前記棚板の水平板に固定可能であり、
前記柱状部材の先端側には、他方の柱状部材に対向する側に向かって径が小さくなる円錐穴の台座が形成されていて、
前記バーの両端には、該バーの中央に向かって径が小さくなる円錐台の端部材が設けられていて、
前記バーの端部材が前記柱状部材の台座に嵌め込まれることにより、前記バーユニットが構成されることを特徴とする請求項
2に記載の棚。
【請求項4】
前記柱状部材の先端側には、前記バーを取り付ける前記台座が異なる高さで複数設けられていることを特徴とする請求項
3に記載の棚。
【請求項5】
前記壁面には、フックが取り付けられていて、
前記棚板の垂直板の背面には、フック受けが取り付けられていて、
前記フック受けは、上下方向に対称の枠形状の枠部を有し、
前記枠部は、
上下辺の中央に設けられ、前記垂直板との間に隙間を形成するように隆起していて、前記フックと係合する係合部と、
前記枠部の内側であって前記係合部の両脇に形成され、上下方向に向かうほど係合部に近づくように傾斜した傾斜面とを有することを特徴とする請求項1から
4のいずれか1項に記載の棚。
【請求項6】
前記フックの上下には、前記フック受けの上下の係合部と係合する舌片が形成されていて、
上の舌片の長さは、下の舌片よりも長く設定されていて、
前記上の舌片を上方の係合部に挿入したときには、前記下の舌片は、下方の係合部に到達せず、
前記下の舌片が前記下方の係合部と係合したときには、前記上の舌片は、前記上方の係合部との係合を維持することを特徴とする請求項
5に記載の棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に取り付けられる棚に関する。
【背景技術】
【0002】
一例としてキッチンなどの壁面には、各種物品を収納あるいは陳列するために、棚が設置されている。特許文献1には、キッチンの壁面に設置された横バーに係止する吊り棚(ラック)が記載されている。
【0003】
この吊り棚は、掛止片と、傾斜片と、垂直片と、水平片とを備える。掛止片は、キッチンの壁面に突出状に設置された横バーに掛止可能な部位である。傾斜片は、掛止片から壁面側に折曲された部位である。垂直片は、壁面にほぼ当接状態となる部位である。水平片は、調理用具などを載置可能な部位である。
【0004】
この吊り棚では、壁面に突出状に設置されたバーに掛止片を掛止させると、傾斜片が掛止片から壁面側に折曲しているため、垂直片が壁面側にほぼ当接する。このため特許文献1では、横バーの下方の空間を有効に利用してデッドスペースをなくすことができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、横バーに係止する吊り棚(ラック)として、皿立てと包丁差しの2つが例示されている。また市場には、これに類する収納具として、お玉などのレードル類やフライパン等の調理器具を吊り下げるフックも提供されている。しかしながらこれらの吊り棚は、求める機能に応じて選択できるものの、1つの部品では1つの機能しか有していない。キッチンの壁面に横バーを設置できる幅は限られているため、必然的に吊り棚の数(すなわち選択できる機能の数)も2つ3つに限られてしまう。したがって、収納力の増大が少なく、壁面の利用効率が低いという問題がある。
【0007】
また、従来技術においては、物品を載置する棚、物品を吊り下げるフック、包丁差しなど、機能ごとに吊り棚(ラック)の形状・構造が全く異なっている。このため横バーに並べて設置したときに、意匠上の統一感が全く得られないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、簡素な構成で複数の機能を有し、さらに複数並べたときに意匠上の統一感を得ることができる棚を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかる棚の代表的な構成は、壁面に取り付けられる棚であって、壁面に取り付けられる垂直板と、垂直板に立設される水平板とを有する棚板と、水平板に着脱可能に取り付けられるバーユニットとを備え、バーユニットは、水平板の上方または下方にバーが位置するように、水平板の奥行き方向の任意の位置で水平板に取り付けられることを特徴とする。
【0010】
上記構成では、棚板の水平板の奥行き方向の任意の位置にバーユニットを着脱可能に取り付けた状態で、水平板の上方または下方にバーを配置することができる。このため、一例として、水平板の手前側すなわち壁面から離れる側にバーユニットを取り付けて、さらにバーを水平板の上方に配置させると、水平板に各種物品を載置したとき、バーによって各種物品の落下を防止することができる。また、バーを水平板の上方に配置させた状態で、バーユニットを水平板の奥側すなわち壁面に近づく側に取り付けると、例えばタブレットや本などの各種物品をバーによって支えることができる。
【0011】
また、バーを水平板の下方に配置させると、タオルやキッチンペーパー、レードルなどの各種物品をバーに引っ掛けることができる。さらに、棚板の水平板に複数のバーユニットを着脱可能に取り付けて、水平板の上方および下方にバーをそれぞれ配置したり、水平板の上方または下方にのみ複数のバーを配置したりすることで、機能をさらに追加することができる。
【0012】
したがって上記構成によれば、棚板の水平板にバーユニットを着脱可能に取り付けるという簡素な構成で、水平板に各種物品を載置するだけでなく、複数の機能を有することができ、省スペース化を図ることができる。また、複数の棚を並べて取り付けた場合であっても、主要な部材である垂直板と水平板が共通するため、意匠上の統一感を得ることができ、美観を向上させることができる。
【0013】
上記のバーユニットは、バーと、2つの柱状部材とを有し、柱状部材の根元は、棚板の水平板に固定可能であり、柱状部材の先端側には、他方の柱状部材に対向する側に向かって径が小さくなる円錐穴の台座が形成されていて、バーの両端には、バーの中央に向かって径が小さくなる円錐台の端部材が設けられていて、バーの端部材が柱状部材の台座に嵌め込まれることにより、バーユニットが構成されるとよい。
【0014】
このように、バーを2つの柱状部材に取り付けるときには、バーの両端に設けられた円錐台の端部材を、柱状部材の先端側に形成された円錐穴の台座に嵌め込む。これにより、バーの中心に向かう力が働くため、バーは、間口方向の定位置に引き込まれる。このため、バーの端部材と柱状部材の台座は、位置がずれることなく嵌合する。したがって、バーを2つの柱状部材に確実に取り付けることができる。
【0015】
上記の柱状部材の先端側には、バーを取り付ける台座が異なる高さで複数設けられているとよい。
【0016】
これにより、異なる高さに設けられた台座にバーを取り付けることで、バーの高さを変えることができ、利便性を高めることができる。一例として、棚板の水平板の下方にバーが位置するように、バーユニットを水平板に取り付けた場合、高い位置に設けられた台座にバーを取り付けることにより、キッチン天板(ワークトップ)から離れた位置で、ふきんなどをバーに掛けることができたり、低い位置に設けられた台座にバーを取り付けることにより、例えば海外製の径の大きなキッチンペーパーをバーに取り付けたりすることができる。
【0017】
上記の壁面には、フックが取り付けられていて、棚板の垂直板の背面には、フック受けが取り付けられていて、フック受けは、上下方向に対称の枠形状の枠部を有し、枠部は、上下辺の中央に設けられ、垂直板との間に隙間を形成するように隆起していて、フックと係合する係合部と、枠部の内側であって係合部の両脇に形成され、上下方向に向かうほど係合部に近づくように傾斜した傾斜面とを有するとよい。
【0018】
このように、棚板の垂直板の背面には、上下対称の枠形状のフック受けが取り付けられている。このため、垂直板は、上下逆にしてもフック受けの上下辺の係合部を、壁面のフックに係合させて取り付けることができる。これにより、垂直板に立設され各種物品が載置される水平板の高さを変えることができ、利便性を高めることができる。
【0019】
また、棚板を壁面のフックに取り付けるとき、垂直板の背面にフック受けが取り付けられているため、フック受けが見え難く位置決めし難い場合があり得る。そこで上記構成では、フック受けの係合部の両脇に傾斜面を形成している。これにより、棚板を壁面のフックに取り付けるとき、フック受けの枠部の内側に壁面のフックが位置するようにするだけで、壁面のフックは、枠部の傾斜面に接しながら係合部まで案内されて、係合部に容易に係合する。したがって、棚板のフック受けが見え難い場合であっても、棚板を壁面のフックに容易に取り付けることができる。
【0020】
上記のフックの上下には、フック受けの上下の係合部と係合する舌片が形成されていて、上の舌片の長さは、下の舌片よりも長く設定されていて、上の舌片を上方の係合部に挿入したときには、下の舌片は、下方の係合部に到達せず、下の舌片が下方の係合部と係合したときには、上の舌片は、上方の係合部との係合を維持するとよい。
【0021】
このように、上の舌片を上方の係合部に挿入しても、下の舌片は、下方の係合部に到達しないように上の舌片よりも短くなっている。このため、フックの上の舌片をフック受けの上方の係合部に確実に係合させて、壁面のフックに棚を確実に取り付けることができる。
【0022】
また、下の舌片が下方の係合部と係合したときであっても、上の舌片は、上方の係合部との係合を維持するように下の舌片よりも長く設定されている。これにより、棚が下方から衝撃を受けて下から突き上げられたときであっても、フックの上の舌片とフック受けの上方の係合部との係合が維持されるため、棚が壁面から脱落することを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、簡素な構成で複数の機能を有し、さらに複数並べたときに意匠上の統一感を得ることができる棚を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態における棚を示す図である。
【
図3】バーユニットの一部を拡大して示す図である。
【
図4】
図3(a)のバーユニットが組み付けられる様子を示す図である。
【
図5】
図4のバーユニットを備えた棚を示す図である。
【
図6】
図5の棚とは異なるスタイルの棚を示す図である。
【
図7】
図1の棚のフック受けおよび壁面のフックを説明する図である。
【
図8】
図7(a)の棚を壁面に取り付ける手順を示す図である。
【
図9】
図8(c)の棚が下方から衝撃を受けた様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態における棚100を示す図である。棚100は、例えばキッチンの壁面102に取り付けられ、各種物品を収納あるいは陳列するために用いられる。棚100は、
図1(a)に示すように、棚板104とバーユニット106とを備える。棚板104は、壁面102に取り付けられる垂直板108と、水平板110とを有する。水平板110は、垂直板108から立設していて、各種物品を載置する水平面を形成する。
【0027】
バーユニット106は、棚板104の水平板110に着脱可能に取り付けられるユニットであり、バー112と、左右一対の2つの柱状部材114、116とを有し、これらの部材が組み付けられることで構成される。なお
図1(a)には、バーユニット106の各部材が組み付けられる前の状態も示している。
【0028】
柱状部材114、116の根元には、固定部118、120が形成されている。固定部118、120は、棚板104の水平板110のうち奥行き方向に沿った側縁122、124を上下に挟み込むようにして、水平板110の奥行き方向の任意の位置に柱状部材114、116を着脱可能に取り付ける。以下、水平板110において、壁面102から離れる側を手前側、壁面102に近づく側を奥側という。
【0029】
また柱状部材114の先端側には、複数(ここでは2つ)の台座126、128が異なる高さで設けられている。さらに柱状部材116の先端側には、台座130、132が異なる高さで設けられている。なお柱状部材114、116は、左右対称の構造を有していて機能等が同様であるので、以下では柱状部材116の説明を適宜省略する。
【0030】
バー112の両端には、端部材134、136が設けられている。バー112の端部材134、136が柱状部材114、116の例えば台座126、130に嵌め込まれることにより(
図4参照)、バーユニット106が構成される。
【0031】
バーユニット106は、棚板104の水平板110の上方または下方にバー112が位置するように(
図2参照)、柱状部材114、116によって水平板110の奥行き方向の任意の位置で水平板110に着脱可能に取り付けられる。つまり、バーユニット106は、水平板110に対して上下逆にして取り付けたり、水平板110の奥側や手前側に移動させて取り付けたりすることができる。
【0032】
また壁面102には、
図1(a)に示すフック138、140が取り付けられている。また、
図1(b)に示す棚板104の垂直板108の背面142には、上下対称の枠形状のフック受け144、146が取り付けられている。このため、棚板104は、垂直板108を上下逆にしてもフック受け144、146を、壁面102のフック138、140に係合させて取り付けることができる。なお
図1(b)では、壁面102を透過させてフック118、120の裏面を示している。
【0033】
図1に示す棚100において、棚板104は、水平板110が垂直板108の下側に位置する姿勢になっている。さらにバーユニット106は、水平板110の上方にバー112が位置するように水平板110に着脱可能に取り付けられている。
【0034】
ここで、バーユニット106は、水平板110の奥行き方向の任意の位置で水平板110に取り付け可能である。そして棚板104は、垂直板108を上下逆にしても壁面102に取り付け可能である。このため、棚100は、各種の異なるスタイルで壁面102に取り付けることができる(
図2参照)。
【0035】
図2は、各種の異なるスタイルの棚101A~101Hを示す図である。棚101Aでは、棚板104の水平板110の手前側にバーユニット106の柱状部材114、116を取り付けて、さらにバー122を水平板110の上方に配置している。また棚板104は、水平板110が垂直板108の下側に位置する姿勢になっている。このような棚101Aでは、水平板110に各種物品(例えば調味料の入った瓶など)を載置したとき、バー112によって各種物品の落下を防止することができる。
【0036】
棚101Bでは、棚101Aに比べて、バーユニット106を水平板110の奥側に取り付けていて、これにより、水平板110に各種物品(例えば本やタブレットなど)を載置したとき、バー112によって各種物品を支えることができる。
【0037】
棚101Cでは、棚板104の水平板110の手前側にバーユニット106Aの柱状部材114、116を取り付けて、さらにバー122を水平板110の下方に配置している。このような棚101Cでは、水平板110に各種物品(例えば観葉植物)を載置しつつ、各種物品(例えばキッチンペーパー)をバー112に掛けることができる。
【0038】
棚101Dでは、棚101Aに比べて、バー122を水平板110の下方に配置するバーユニット106Aを追加している。これにより、棚101Dでは、水平板110に各種物品(例えば観葉植物など)を載置したとき、バーユニット106のバー112によって各種物品を支えるだけでなく、バーユニット106Aのバー112に各種物品(例えばキッチンペーパー)を掛けることができる。
【0039】
棚101Eでは、棚101Aに比べて、棚板104の垂直板108を上下逆にしているため、各種物品(例えば調味料の入った瓶など)が載置される水平板110の高さを変えることができる。そして棚板101Eでは、棚板104の水平板110の手前側にバーユニット106の柱状部材114、116を取り付けて、さらにバー122を水平板110の上方に配置しているため、バー112によって各種物品の落下を防止することができる。
【0040】
棚101Fでは、棚101Eに比べて、バーユニット106に代えて、バー122を水平板110の下方に配置するバーユニット106Aを水平板110に取り付けている。このような棚101Fでは、水平板110に各種物品(例えば容器など)を載置しつつ、各種物品(例えばキッチンペーパー)をバー112に掛けることができる。
【0041】
棚101Gでは、棚101Eに比べて、バー122を水平板110の下方に配置するバーユニット106Aを追加している。これにより、棚101Gでは、水平板110に各種物品を載置したとき、バーユニット106のバー112によって各種物品を支えるだけでなく、バーユニット106Aのバー112に各種物品(例えばキッチンペーパー)を掛けることができる。
【0042】
棚101Hでは、棚101Fに比べて、バー122を水平板110の下方に配置するバーユニット106Aを追加している。これにより、棚101Hは、水平板110の下方に2つのバー112が並んで配置される。このため、棚101Hでは、造作対面などの壁面102(
図1参照)が低い場合であっても、水平板110の高さを高くすることができる。そして、これら2つのバー112に各種物品(例えばふきん、レードルなど)を掛けることができる。
【0043】
したがって
図1に示す棚100は、棚板104の水平板110にバーユニット106を着脱可能に取り付けるという簡素な構成で、
図2に示すような異なるスタイルの棚101A~101Hを適宜組み付けることができる。そして棚100は、水平板110に各種物品を載置するだけでなく、バー112によって各種部品の落下を防止したり、各種部品を支えたり、さらにバー112に各種物品を掛けるなど、複数の機能を有することができ、省スペース化を図ることができる。
【0044】
また、複数の棚100を並べて取り付けた場合であっても、主要な部材である垂直板108と水平板110が共通するため、意匠上の統一感を得ることができ、美観を向上させることができる。
【0045】
図3は、バーユニット106A、106Bの一部を拡大して示す図である。
図3(a)に示すバーユニット106Aは、
図2の棚101C、101D、101F、101G、101Hで用いられ、棚板104の水平板110に柱状部材114、116を取り付けて、さらにバー122を水平板110の下方に配置する。
【0046】
柱状部材114の根元に形成された固定部118は、上記したように
図1に示す水平板110の側縁122を上下に挟み込み、さらにユリヤねじ147を締め付けることによって、水平板110の側縁122に確実に固定することができる。なお固定部118としては、ユリヤねじ147に限定されず、棚板104の水平板110の側縁122を上下に挟み込むことができる適宜の機構を採用することができる。
【0047】
また柱状部材114の先端側には、上記したように台座126、128が異なる高さで設けられている。バーユニット106Aでは、
図3(a)に示すようにバー112の端部材134が柱状部材114の台座126に嵌め込まれている。
図3(b)に示すバーユニット106Bでは、バー112の端部材134が柱状部材114の台座128に嵌め込まれている。このようにして、バーユニット106A、106Bでは、異なる高さに設けられた台座126、128にバー112を取り付けることで、バー112の高さを変えることができ、利便性を高めることができる。
【0048】
図4は、
図3(a)のバーユニット106Aが組み付けられる様子を示す図である。
図5は、
図4のバーユニット106Aを備えた棚101Fを示す図である。
【0049】
図5に示す棚101Fは、棚板104の水平板110の手前側にバーユニット106Aの柱状部材114、116を取り付けて、さらにバー122を水平板110の下方に配置する構成となっている(
図2参照)。また棚板104は、水平板110が垂直板108の上側に位置する姿勢になっている。
【0050】
柱状部材114の台座126は、
図4(a)に示すように円錐穴を形成していて、
図4(b)および
図4(c)に示す他方の柱状部材116に対向する側に向かって径が小さくなっている。また柱状部材116の台座130も、円錐穴を形成していて、柱状部材114に対向する側に向かって径が小さくなっている。またバー122の両端の端部材134、136は、円錐台を形成していて、バー112の中央に向かって径が小さくなっている。
【0051】
このようなバー122の端部材134、136を、柱状部材114、116の台座126、130に嵌め込む場合には、一方の端部材134を台座126に引っ掛けた後に、他方の端部材136を台座130に取り付けてもよいし(
図5(a)参照)、両方の端部材134、136を台座126、130に同時に取り付けるようにしてもよい(
図5(b)参照)。
【0052】
ここで、バー122の端部材134、136が円錐台を形成し、柱状部材114、116の台座126、130が円錐穴を形成している。このため、
図4(b)に示すように端部材134、136を台座126、130に嵌め込むとき、位置が多少ずれたとしても、バー122の中心に向かう力が働くため、バー122は、間口方向の定位置に引き込まれる。
【0053】
このため、バー122の端部材134、136と柱状部材114、116の台座126、130は、
図4(c)に示すように位置がずれることなく嵌合する。したがって、バー122を2つの柱状部材114、116に確実に取り付けて、バーユニット106Aを構成することができる。
【0054】
ここで使用者は、例えば
図2に示すような各種の異なるスタイルの棚101A~101Hを適宜組み付けて使用することができる。このため、バー122の取付け位置は、使用者の使用方法に応じて、棚板104の水平板110の上方または下方、さらには水平板110の手前側または奥側に頻繁に変わる場合がある。このような場合、上記したようにバー122の端部材134、136を台座126、130に嵌め込むとき、位置が多少ずれたとしても、バー122を2つの柱状部材114、116に確実に取り付けることができるため、棚101A~101Hを短時間で組み付け可能として作業性を向上させることができる。
【0055】
図6は、
図5の棚101Fとは異なるスタイルの棚101Iを示す図である。棚101Iは、
図6(a)に示すように棚101Fに比べて、バーユニット106Aを棚板104の水平板110の奥側に配置している。また棚101Iは、一例としてワークトップAの上方で棚板104の垂直板108が壁面102に取り付けられている。
【0056】
図6(a)に示すように使用者Bが斜め上方から棚101Iを見下ろした場合(点線C参照)、使用者Bから見た棚板101Iは、
図6(b)に示すように棚板104の水平板110によって、バーユニット106Aのバー112(
図6(a)参照)が隠された状態になる。しかし上記したように、バー122の端部材134、136を台座126、130に嵌め込むとき、位置が多少ずれたとしても、バー122は、間口方向の定位置に引き込まれる。
【0057】
このため、棚101Iと使用者Bの位置関係によりバー122を視認できない場合、使用者Bは、
図5(a)に示すようにバー122の一方の端部材134を台座126に引っ掛けた後に、他方の端部材136を台座130に取り付けることで、バー122を2つの柱状部材114、116に確実に取り付けることができる。すなわち、使用者Bは、バー122を視認できない状態で、バー122の両方の端部材134、136を台座126、130に同時に取り付ける必要がなく(
図5(b)参照)、取付け作業に手間がかからない。
【0058】
図7は、
図1の棚100のフック受け144、146および壁面102のフック138、140を説明する図である。
図7(a)に示すようにフック受け144、146が棚板104の垂直板108の背面142に取り付けられていて、フック138、140が壁面102に取り付けられている。なおフック受け144、146、フック138、140はそれぞれ、同一構造を有していて機能等が同様であるので、以下ではフック受け146、フック140の説明を適宜省略する。
【0059】
フック受け144は、
図7(b)に示すように枠部148を有する。枠部148は、上下方向に対称の枠形状を形成していて、係合部150、152と、傾斜面154、156、158、160とを有する。係合部150は、枠部148の上辺162の中央に設けられ、垂直板108との間に
図7(a)に示す隙間164を形成するように隆起している。係合部152は、枠部148の下辺166(
図7(b)参照)の中央に設けられ、垂直板108との間に
図7(a)に示す隙間168を形成するように隆起している。
【0060】
傾斜面154、156は、
図7(b)に示すように枠部148の内側であって係合部150の両脇に形成されていて、上方に向かうほど係合部150に近づくように傾斜している。傾斜面158、160は、枠部148の内側であって係合部152の両脇に形成されていて、下方に向かうほど係合部152に近づくように傾斜している。
【0061】
図7(c)に示すようにフック138の上下には、上の舌片170と下の舌片172とが形成されている。上の舌片170は、下の舌片172よりも長く設定されている。
【0062】
ここで、
図7(b)に示すフック受け144の枠部148の内側の上下方向の長さを寸法W1、
図7(c)に示すフック138のうち下の舌片172を除いた上下方向の長さを寸法W2、フック138のうち上の舌片170を除いた上下方向の長さを寸法W3とする。このフック受け144およびフック138では、これらの寸法が「W2>W1>W3」となるように設定されている。
【0063】
図8は、
図7(a)の棚100を壁面102に取り付ける手順を示す図である。まず、
図7の棚板104の垂直板108の背面142に取り付けられたフック受け144、146を、壁面102のフック138、140に引っ掛ける。このとき、例えば
図8(a)の矢印に示すように、フック受け144の係合部150をフック138の上の舌片170に、接近させる。
【0064】
ところが、垂直板108の背面142にフック受け144が取り付けられているため、フック受け144が見え難く位置決めし難い場合があり得る。このような事態を考慮して、フック受け144の枠部148の内側には、係合部150の両脇に傾斜面154、156が形成されている。
【0065】
すなわち
図8(d)に示すように枠部148の内側に、壁面102のフック138を位置させるだけで、フック138の上の舌片170は、枠部148の傾斜面154、156のいずれか(ここでは傾斜面154)に接しながら、図中の矢印に示すように係合部150まで案内される。
【0066】
その結果、
図8(b)に示すようにフック138の上の舌片170は、フック受け144の係合部150に容易に係合する。そして、フック138の上の舌片170がフック受け144の係合部150に挿入され係合すると、
図8(b)の矢印に示すように棚板104の下側すなわち水平板110を壁面102に近づける。
【0067】
このとき、上記の寸法W3が寸法W1よりも短いため、フック138の上の舌片170をフック受け144の係合部150に挿入したときには、
図8(e)に示すように下の舌片172は、係合部152に到達しない。これにより、フック138の上の舌片170をフック受け144の係合部150に確実に係合させることができる。したがって、棚板104のフック受け144、146が見え難い場合であっても、棚100を壁面102のフック138、140に容易かつ確実に取り付けることができる。
【0068】
図9は、
図8(c)の棚100が下方から衝撃を受けた様子を示す図である。棚100が
図9(a)および
図9(b)の矢印に示すように下方から衝撃を受けて下から突き上げられると、フック138の下の舌片172が、フック受け144の係合部152と係合する。
【0069】
このとき、上記の寸法W2が寸法W1よりも長いため、フック138の下の舌片172がフック受け144の係合部152と係合したときには、
図9(a)および
図9(b)に示すように上の舌片170は、係合部150との係合が維持される。これにより、棚100が下方から衝撃を受けて下から突き上げられたときであっても、棚100が壁面102から脱落することを防止することができる。
【0070】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、壁面に取り付けられる棚に利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
100、101A、101B、101C、101D、101E、101F、101G、101H、101I…棚、102…壁面、104…棚板、106、106A、106B…バーユニット、108…垂直板、110…水平板、112…バー、114、116…柱状部材、118、120…固定部、122、124…水平板の側縁、126、128、130、132…台座、134、136…端部材、138、140…フック、142…垂直板の背面、144、146…フック受け、147…ユリヤねじ、148…枠部、150、152…係合部、154、156、158、160…傾斜面、162…枠部の上辺、164、168…隙間、166…枠部の下辺、170…上の舌片、172…下の舌片