(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-14
(45)【発行日】2025-03-25
(54)【発明の名称】医療資源管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20250317BHJP
G16H 40/00 20180101ALI20250317BHJP
G16H 50/70 20180101ALI20250317BHJP
【FI】
G06Q50/22
G16H40/00
G16H50/70
(21)【出願番号】P 2020171396
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2023-09-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 祐一
(72)【発明者】
【氏名】藤本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】森 啓
(72)【発明者】
【氏名】藤田 文理
【審査官】早川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-168860(JP,A)
【文献】特開2002-132957(JP,A)
【文献】特開2015-041183(JP,A)
【文献】特開2014-119841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地域を示す地図、前記地域に存在する患者に関する患者情報、及び前記地域に存在する医療資源に関する医療資源情報を取得する取得部と、
前記地図の範囲において、前記患者情報に含まれる前記患者の数に対する、前記医療資源情報に含まれる前記医療資源の数の比率を計算する計算部と、
前記比率に基づく情報を用いて前記地図の範囲を表示
し、かつ、前記比率に対応する色で前記地図の範囲に対応するメッシュを着色して表示する表示制御部と、
を具備する医療資源管理装置。
【請求項2】
地域に関する地域情報、前記地域に存在する患者に関する患者情報、及び前記地域に存在する医療資源に関する医療資源情報を取得する取得部と、
前記地域情報に含まれる前記地域の範囲において、前記患者情報に含まれる前記患者の数に対する、前記医療資源情報に含まれる前記医療資源の数の比率を計算し、かつ、
前記患者情報に含まれる疾患の再発リスク及び重症度のうち少なくとも一方を用いて、前記患者の健康リスクを計算する計算部と、
前記患者に対応する地域の前記比率と、前記患者の前記健康リスクとに基づいて、前記患者が入院又は退院すべきかに関する入退院必要性を表示する表示制御部と、
を具備する医療資源管理装置。
【請求項3】
地域に関する地域情報、前記地域に存在する患者に関する患者情報、及び前記地域に存在する医療資源に関し、かつ、コメディカルが所有する資格及びスキルのうち少なくとも一方に関する技能情報を含む医療資源情報を取得する取得部と、
前記地域情報に含まれる前記地域の範囲において、前記患者情報に含まれる前記患者の数に対する、前記医療資源情報に含まれる前記医療資源の数の比率を計算する計算部と、
前記技能情報に基づいて、前記比率が閾値よりも低い地域の周辺地域に存在する前記コメディカルのうち、前記患者を治療可能な資格及びスキルのうち少なくとも一方を持つコメディカルに関する情報を表示する表示制御部と、
を具備する医療資源管理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記比率に対応する色で前記地域の範囲を着色して表示する、
請求項
2又は請求項
3に記載の医療資源管理装置。
【請求項5】
前記計算部は、前記地図の範囲を分割した複数の小区画それぞれの範囲において前記比率を計算し、
前記表示制御部は、前記比率に対応する色で前記複数の小区画それぞれの範囲に対応するそれぞれのメッシュを着色して表示する、
請求項1に記載の医療資源管理装置。
【請求項6】
前記計算部は、前記患者情報に含まれる疾患の再発リスク及び重症度を用いて前記患者の健康リスクを計算し、
前記表示制御部は、前記患者の住所がある地域の前記比率と、前記患者の前記健康リスクとに基づいて、前記患者が入院又は退院すべきかに関する入退院必要性を表示する、
請求項1又は請求項3に記載の医療資源管理装置。
【請求項7】
前記入退院必要性は、前記比率が低いほど、かつ前記健康リスクが高いほど、前記患者の入院を促す、又は前記患者の入院を継続させるように促し、前記比率が高いほど、かつ前記健康リスクが低いほど、前記患者の退院を促す、又は前記患者が入院しないように促す情報である、
請求項
6に記載の医療資源管理装置。
【請求項8】
前記医療資源情報は、コメディカルが所有する資格及びスキルに関する技能情報を含み、
前記表示制御部は、前記技能情報に基づいて、前記比率が閾値よりも低い地域に存在する前記コメディカルのうち、前記患者を治療可能な資格及びスキルを持たないコメディカルを表示する、
請求項1又は請求項2に記載の医療資源管理装置。
【請求項9】
前記表示されたコメディカルに対し、前記患者を治療可能な資格及びスキルに関する情報を通知する通知部、をさらに具備する、
請求項
8に記載の医療資源管理装置。
【請求項10】
前記医療資源情報は、コメディカルが所有する資格及びスキルに関する技能情報を含み、
前記表示制御部は、前記技能情報に基づいて、前記比率が閾値よりも低い地域の周辺地域に存在する前記コメディカルのうち、前記患者を治療可能な資格及びスキルを持つコメディカルを表示する、
請求項1又は請求項2に記載の医療資源管理装置。
【請求項11】
前記表示されたコメディカルに対し、前記患者への対応可能範囲の拡張に関するインセンティブを示す情報を通知する通知部、をさらに具備する、
請求項
10に記載の医療資源管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医療資源管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の高齢化社会の進展に伴い、医療を必要とする高齢者の数が増加し、医療費の高騰が深刻な社会問題となっている。医療費の増加を抑制するため、患者の早期退院や在宅医療を促進する動きが加速している。特に、在宅医療に関しては医師や看護師等の医療従事者と、医療機器や医薬品等の医療物資とを含む医療資源を患者の元に届けて、医療従事者が現地で治療や看護等の医療行為を行うことが可能となっており、今後医療サービスのデリバリーがさらに進むことが予想される。
【0003】
医療サービスのデリバリーを促進するためには、現在よりも多様な重症度かつ多様な疾患をもった患者にも対処する必要があり、換言すれば、より多様な症状の患者に対してより高度な医療行為を提供する必要がある。したがって、地域別に医療資源を管理することが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、地域別に医療資源を管理することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る医療資源管理装置は、取得部と、計算部と、表示制御部とを具備する。取得部は、地域に関する地域情報、前記地域に存在する患者に関する患者情報、及び前記地域に存在する医療資源に関する医療資源情報を取得する。計算部は、前記地域情報に含まれる前記地域の範囲において、前記患者情報に含まれる前記患者の数に対する、前記医療資源情報に含まれる前記医療資源の数の比率を計算する。表示制御部は、前記地域に対応付けて前記比率を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る医療資源管理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る医療資源管理装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る医療資源管理装置の動作例を示す図である。
【
図4】
図4は、医療資源管理画面の第1の表示例を示す図である。
【
図5】
図5は、医療資源管理画面の第1の表示例を示す図である。
【
図6】
図6は、医療資源管理画面の第2の表示例を示す図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る医療資源管理装置の構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る医療資源管理装置の動作例を示す図である。
【
図9】
図9は、健康リスクの計算ロジックを示す図である。
【
図10】
図10は、入退院必要性の判定ロジックを示す図である。
【
図12】
図12は、第3の実施形態に係る医療資源管理装置の構成例を示す図である。
【
図13】
図13は、第3の実施形態に係る医療資源管理装置の動作例を示す図である。
【
図14】
図14は、マッチング管理画面の表示例を示す図である。
【
図17】
図17は、緊急時のマッチング管理画面の表示例を示す図である。
【
図18】
図18は、第3の実施形態に係る医療資源管理装置を具備する医療資源管理システムの動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医療資源管理装置について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明を適宜、省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る医療資源管理システムの構成例を、
図1を参照して説明する。
医療資源管理システム100は、医療資源管理装置1、医師側端末2、コメディカル側端末3、患者側端末4、電子カルテシステム5、地図サーバ6、医療物資サーバ7、及び管理センター8を含む。医療資源管理システム100は、医療資源管理装置1を機能的中心として、医師側端末2、コメディカル側端末3、患者側端末4、電子カルテシステム5、地図サーバ6、医療物資サーバ7、及び管理センター8との間で各種情報をやり取りし、院外医療に関する業務支援を行うシステムである。医療資源管理装置1はLAN(Local Area Network)を介して医師側端末2、コメディカル側端末3、及び患者側端末4と通信可能に接続されている。また、医療資源管理装置1は、LANを介して外部ネットワークとも通信可能に接続されている。外部ネットワークには、例えば電子カルテシステム5、地図サーバ6、及び医療物資サーバ7が接続されている。また、医療資源管理装置1は、同装置を管理する管理センター8とも通信可能に接続されている。なお、LANと外部ネットワークとの間にはプロキシサーバが設置されてもよい。
【0010】
医療資源管理装置1は、医療資源管理システム100の機能的中心であり、医療資源管理装置1と通信可能に接続された各主体(医師側端末2、コメディカル側端末3、患者側端末4、電子カルテシステム5、地図サーバ6、医療物資サーバ7、管理センター8)との間で各種情報をやり取りし、院外医療に関する業務支援を行う装置である。業務支援として、例えば医療資源管理装置1は、(第1の実施形態)地域別の医療資源の管理、(第2の実施形態)患者の入退院必要性の表示、(第3の実施形態)コメディカルと患者とのマッチング支援を行う。医療資源管理装置1は、ハードウェア又はソフトウェアの態様で実装されてもよい。医療資源管理装置1は、例えば単数のサーバ又は複数のサーバ(サーバ群)により実装される。
【0011】
医師側端末2は、医師が操作するユーザ端末である。医師側端末2は、LANを介して外部ネットワークにアクセスすることで、電子カルテシステム5と通信する。医師側端末2は、電子カルテシステム5から取得した複数の患者に関する患者情報を医療資源管理装置1に登録する。なお、医療資源管理装置1は、電子カルテシステム5から直接、患者情報を取得してもよい。
【0012】
患者情報は、複数の患者それぞれに関する個人情報である患者個人情報と、当該複数の患者それぞれに関する診療情報である患者診療情報とを含む。患者個人情報は、例えば患者の氏名、住所、連絡先、年齢、性別、身長、体重、血液型、アレルギー、既往歴を含む。患者診療情報は、例えば現在罹患しており治療中である疾患に関する疾患名、再発リスク、重症度、現在までの経過、現在必要とする治療内容を含む。
【0013】
コメディカル側端末3は、コメディカルが操作するユーザ端末である。コメディカル側端末3は、LANを介して医療資源管理装置1にアクセスすることで、複数のコメディカルに関するコメディカル情報を医療資源管理装置1に登録する。本実施形態において、コメディカル側端末3は複数のコメディカルそれぞれが所有しているものとし、各コメディカルが、自身のコメディカル側端末3を介してコメディカル情報を登録するものとする。コメディカルは、医師と協同して医療行為を行う医療従事者であり、例えば看護師、助産師、保健師、理学療法士、作業療法士、放射線技師、臨床検査技師、言語聴覚士、栄養士を含む。なお、本実施形態では、医療資源管理装置1による処理時点で医師側端末2を利用していない医師として、病院内にはおらず在宅している非常勤医師等がコメディカル側端末3を所有してもよい。すなわち、非常勤医師が本実施形態に係るコメディカルの定義に含まれてもよい。
【0014】
コメディカル情報は、複数のコメディカルそれぞれに関する個人情報であるコメディカル個人情報と、当該複数のコメディカルそれぞれに関する技能情報であるコメディカル技能情報とを含む。コメディカル個人情報は、例えばコメディカルの氏名、住所、連絡先を含む。コメディカル技能情報は、例えばコメディカルが所有する医療系の資格やスキル、現在までの勤務経験、対応可能な時間や場所を含む。
【0015】
患者側端末4は、患者が操作するユーザ端末である。患者側端末4は、LANを介して医療資源管理装置1にアクセスすることで、複数の患者に関する患者健康情報を医療資源管理装置1に登録する。本実施形態において、患者側端末4は複数の患者それぞれが所有しているものとし、各患者が自身の患者側端末4を介して患者健康情報を医療資源管理装置1に登録するものとする。患者は、例えば自宅がある住所への医療サービスのデリバリー(すなわち、在宅医療)を希望する在宅患者を含む。
【0016】
患者健康情報は、患者の健康に関する情報であり、例えば血圧や脈拍等のバイタルサインに関する情報を含む。患者健康情報は、患者の日常生活における任意のタイミング(起床後、食前、食後、就寝前等)で定期的に医療資源管理装置1に登録される。患者健康情報は、患者情報に含まれる。
【0017】
なお、各ユーザ端末(医師側端末2、コメディカル側端末3、患者側端末4)は、例えば携帯可能な端末であってもよいし、各自の自宅に据え置かれた端末であってもよい。各ユーザ端末は、例えば処理回路、メモリ、表示装置、入力インタフェース、通信インタフェースを含み、各種情報処理が可能な構成を有していればよい。
【0018】
電子カルテシステム5は、複数の患者に関する患者情報を管理するシステムである。本実施形態において、電子カルテシステム5は、医師側端末2によりアクセスされ、医師側端末2のリクエストに応じて患者情報を提供する。電子カルテシステム5は、例えば医師側端末2を利用する医師が所属する医療機関(病院、診療所等)に設置されている。なお、電子カルテシステム5は、医療資源管理装置1により直接アクセスされ、医療資源管理装置1のリクエストに応じて患者情報を提供してもよい。
【0019】
地図サーバ6は、任意の地域に関する地域情報を管理するサーバである。地域情報は、一定範囲の地域に関する地理的特徴を文字や記号で表現した情報であり、具体的には自然物(山、川、海、植物等)や人工物(鉄道、道路、橋、建物等)を含む地物の位置や範囲に関する情報である。本実施形態において、地図サーバ6は医療資源管理装置1によりアクセスされ、医療資源管理装置1のリクエストに応じて地域情報を提供する。地図サーバ6は、例えば地図を提供する会社やクラウドサーバ等に設置されている。
【0020】
医療物資サーバ7は、医療機器や医薬品を含む医療物資に関する医療物資情報を管理するサーバである。医療物資情報は、例えば医療物資の名称、種類、数量、及び保管場所に関する情報である。本実施形態において、医療物資サーバ7は医療資源管理装置1によりアクセスされ、医療資源管理装置1のリクエストに応じて医療物資情報を提供する。医療物資サーバ7は、例えば医療物資を保管している医療機関や、医療機関から医療物資の配送を業務委託されている運送会社に設置されている。
【0021】
管理センター8は、医療資源管理装置1に登録された各種情報を管理する施設である。具体的には、管理センター8の職員は医療資源管理装置1にアクセスすることで、地域情報と、患者情報(患者個人情報、患者診療情報、患者健康情報)と、コメディカル情報(コメディカル個人情報、コメディカル技能情報)と、医療物資情報とを一元的に管理する。コメディカル及び医療物資は医療資源であるため、コメディカル情報及び医療物資情報は医療資源情報に含まれる。また、管理センター8の職員は医療資源管理装置1を操作することで、(第1の実施形態)地域別の医療資源の管理、(第2の実施形態)患者の入退院必要性の表示、(第3の実施形態)コメディカルと患者とのマッチング支援を含む各種処理を医療資源管理装置1に実行させる。
【0022】
なお、医療資源管理システム100において、医療資源管理装置1は管理センター8の内部又は外部のどちらに設置されていてもよい。また、医療資源管理システム100において、医療物資サーバ7を設けずに、管理センター8が医療物資サーバ7の構成を含んでもよい。
【0023】
第1の実施形態に係る医療資源管理装置の構成例を、
図2を参照して説明する。
本実施形態において、医療資源管理装置1は単数の装置であると想定し、詳細な構成を以下に述べる。
【0024】
医療資源管理装置1は、処理回路11、メモリ12、地域情報DB13、患者情報DB14、医療資源情報DB15、表示装置16、入力インタフェース17、及び通信インタフェース18を含む。各構成部は、バスを介して互いに通信可能に接続される。なお、各構成部は個々のハードウェアにより実装されなくてもよい。例えば、各構成部のうち少なくともいずれか2つが1つのハードウェアに組み込まれて実装されてもよい。
【0025】
処理回路11は、医療資源管理装置1の動作を制御する。処理回路11は、ハードウェアとしてCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPU(Floating Point Unit)等のプロセッサを有する。処理回路11は、プロセッサを介してメモリ12に展開された各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する各機能(取得機能111、合成機能112、設定機能113、計算機能114、表示制御機能115)を実現する。各機能は、例えば単数のプロセッサから成る処理回路11、又は複数のプロセッサ(プロセッサ群)から成る処理回路11により実装される。
【0026】
取得機能111は、地域に関する地域情報、地域に存在する患者に関する患者情報、及び地域に存在する医療資源に関する医療資源情報を取得する。
合成機能112は、地域情報に患者情報及び医療資源情報を合成する。
設定機能113は、地域情報に含まれる地域の範囲において、患者情報に含まれる患者の数に対する、医療資源情報に含まれる医療資源の数の比率の計算条件を設定する。
計算機能114は、地域情報に含まれる地域の範囲において、患者情報に含まれる患者の数に対する、医療資源情報に含まれる医療資源の数の比率を計算する。
表示制御機能115は、地域に対応付けて比率を表示する。
【0027】
メモリ12は、処理回路11が使用するデータやプログラム等の情報を記憶する。メモリ12は、ハードウェアとしてRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子を有する。なお、メモリ12は、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク)、光磁気ディスク(MO)、光学ディスク(CD、DVD、Blu-ray(登録商標))、フラッシュメモリ(USBフラッシュメモリ、メモリカード、SSD)、磁気テープ等の外部記憶装置との間で情報を読み書きする駆動装置であってもよい。なお、メモリ12の記憶領域は、医療資源管理装置1の内部にあってもよいし、外部記憶装置にあってもよい。
【0028】
地域情報DB13は、地図サーバ6から取得された地域情報が格納されるデータベースである。
患者情報DB14は、医師側端末2(電子カルテシステム5)、及び患者側端末4から取得された患者情報が格納されるデータベースである。
医療資源情報DB15は、コメディカル側端末3、及び医療物資サーバ7から取得された医療資源情報が格納されるデータベースである。なお、地域情報DB13、患者情報DB14、及び医療資源情報DB15は、同一のメモリ12上で異なる記憶領域にそれぞれ格納されてもよい。
【0029】
表示装置16は、処理回路11が生成したデータやメモリ12に格納されるデータ等の情報を表示する。表示装置16として、例えばブラウン管(CRT:Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)、及びタブレット端末を含む任意のディスプレイが使用可能である。
【0030】
入力インタフェース17は、医療資源管理装置1を操作するユーザからの入力を受け付け、受け付けた入力を電気信号に変換して処理回路11に出力する。入力インタフェース17として、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド、タッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品が使用可能である。なお、入力インタフェース17は、医療資源管理装置1とは別体である外部の入力装置から入力を受け付け、受け付けた入力を電気信号に変換して処理回路11に出力する装置であってもよい。ユーザは、例えば管理センター8の職員である。
【0031】
通信インタフェース18は、医療資源管理装置1と通信可能に接続された各主体(医師側端末2、コメディカル側端末3、患者側端末4、電子カルテシステム5、地図サーバ6、医療物資サーバ7、管理センター8)との間で各種情報をやり取りする。通信インタフェース18と各主体との間では任意の通信規格が使用可能である。例えば、医用文字情報に関する通信にはHL7(Health Level 7)が、医用画像情報に関する通信にはDICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)が使用可能である。なお、通信方式は有線又は無線のどちらでもよい。
【0032】
第1の実施形態に係る医療資源管理装置の動作例を、
図3を参照して説明する。
本フローにおいて、医療資源管理装置1は地域別の医療資源の管理を行う。
【0033】
ステップS101において、医療資源管理装置1は取得機能111を実行することで、地域情報、患者情報、及び医療資源情報を取得する。具体的には、医療資源管理装置1は通信インタフェース18を介して地図サーバ6から地域情報を取得し、医師側端末2(電子カルテシステム5)、及び患者側端末4から患者情報を取得し、コメディカル側端末3、及び医療物資サーバ7から医療資源情報を取得する。取得された各種情報は、それぞれ専用のデータベース(地域情報DB13、患者情報DB14、医療資源情報DB15)に格納される。このとき、少なくとも取得された地域情報に含まれる地域の範囲において、当該地域に存在する患者に関する患者情報と、当該地域に存在する医療資源に関する医療資源情報とが取得されればよい。
【0034】
ステップS102において、医療資源管理装置1は合成機能112を実行することで、地域情報に患者情報及び医療資源情報を合成する。具体的には、医療資源管理装置1は取得した地域情報に含まれる一定範囲の地域上に、取得した患者情報及び医療資源情報に基づいて複数の患者それぞれの位置、及び複数の医療資源それぞれの位置を特定する。位置の特定には、例えば地理座標系(経緯度座標系等)を利用し、地域上の特定の座標と患者の位置や医療資源の位置とを対応付ければよい。続いて、医療資源管理装置1は特定した位置に関連付けて、患者情報及び医療資源情報を管理する。これにより、医療資源管理装置1は、地域情報に関連付けて患者情報及び医療資源情報を一元的に管理することが可能となる。
【0035】
ステップS103において、医療資源管理装置1は設定機能113を実行することで、患者対医療資源比の計算条件を設定する。患者対医療資源比は、ある地域に存在する患者の数に対する医療資源の数の比率であり、地域ごとに患者数に対する医療資源数の多寡を判断するための指標となる。例えば、患者対医療資源比がより高い地域ほど、患者数に対して医療資源が豊富に存在することを示し、患者対医療資源比がより低い地域ほど、患者数に対して医療資源が不足していることを示す。なお、医療資源管理装置1はユーザが入力インタフェース17を介して入力した指示に応じて計算条件を設定してもよいし、あらかじめメモリ12に格納されているデフォルトの計算条件を設定してもよい。計算条件は、計算対象となる地域の範囲(計算対象範囲)、計算対象となる疾患(計算対象疾患)、及び計算対象となる時間(計算対象時間)を含む。
【0036】
計算対象範囲は、取得した地域情報に含まれる地域を超えない範囲で設定可能なパラメータである。例えば、取得した地域情報が特定の都道府県の全域に関する地図であった場合、計算対象範囲は地域情報の存在する当該都道府県内の範囲で設定可能である。もちろん、計算対象範囲は、取得した地域情報に含まれる地域の範囲と同一に設定されてもよいし、当該地域の範囲を複数に分割した複数の小区画それぞれの範囲に設定されてもよい。すなわち、取得した地域が「〇〇県」であれば、県全域を計算対象範囲としてもよいし、「〇〇県」よりも小さい行政区画である市区町村単位で計算対象範囲としてもよい。なお、計算対象範囲は、多角形(三角形、四角形等)及び円形(正円、楕円等)を含む任意の幾何学的図形により設定されてもよい。
【0037】
計算対象疾患は、任意の疾患の種類を設定可能なパラメータである。取得された患者情報には、複数の患者それぞれに関する患者情報が含まれるため、同一の計算対象範囲においても様々な疾患を持つ患者が存在することが想定される。そこで、医療資源管理装置1は特定の疾患を計算対象疾患として設定することで、当該特定の疾患を持つ患者数に対する、当該特定の疾患に対して治療可能な医療資源数の比率を患者対医療資源比として計算する。なお、計算対象疾患を設定しない場合は、特定の疾患の代わりに「全般」が設定されてもよい。「全般」が設定された場合、同一の計算対象範囲において疾患の種類に関わらず、すべての患者数に対するすべての医療資源数の比率が、患者対医療資源比として計算される。なお、計算対象疾患は疾患の種類に加えて、疾患の症状や重症度に応じてさらに細分化して設定されてもよい。例えば、計算対象疾患として「急性腎障害・重症」のように、特定の疾患と当該疾患の重症度とが同時に設定されてもよい。このように、同一の疾患であっても、患者ごとに疾患の症状や重症度が異なることを考慮して、より詳細な患者対医療資源比が計算されてもよい。
【0038】
計算対象時間は、任意の時間を設定可能なパラメータである。取得された医療資源情報には、コメディカルの対応可能な時間が含まれるため、同一の計算対象範囲においても時間によってはコメディカルが患者に対応できないことが想定される。そこで、医療資源管理装置1は特定の時間を計算対象時間として設定することで、当該特定の時間においてコメディカルが対応可能か否かを考慮して患者対医療資源比を計算する。計算対象時間として、例えば任意の日付や時間帯が設定可能である。なお、計算条件において、少なくとも計算対象範囲を計算条件として含めばよく、計算対象疾患及び計算対象時間は必ずしも考慮しなくともよい。
【0039】
ステップS104において、医療資源管理装置1は計算機能114を実行することで、患者対医療資源比を計算する。具体的には、医療資源管理装置1は設定された計算条件(計算対象範囲、計算対象疾患、計算対象時間)に基づいて、患者対医療資源比を計算する。計算された患者対医療資源比は、メモリ12に格納される。
【0040】
ステップS105において、医療資源管理装置1は表示制御機能115を実行することで、患者対医療資源比を表示する。具体的には、医療資源管理装置1は計算された患者対医療資源比を、計算対象範囲として設定された地域に対応付けて表示装置16に表示する。このとき、医療資源管理装置1は、当該比率に対応する色で当該地域の範囲を着色して表示してもよい。
【0041】
なお、ステップS101及びS102は、以降のステップにおいて患者対医療資源比を計算して表示するための予備的な動作であるため、医療資源管理装置1の初回起動時に少なくとも1回実行されれば十分である。また、一連のステップS103~S105は計算条件が変更されるたびに実行されてもよい。本フローが実行された結果として表示装置16に表示される医療資源管理画面の一例を、以下に述べる。
【0042】
医療資源管理画面の第1の表示例を、
図4及び
図5を参照して説明する。
医療資源管理画面200は、地域ごとの患者対医療資源比を表示する画面である。医療資源管理画面200は、ユーザからの入力インタフェース17を介した各種操作に応じて適宜、表示が変更され得る。医療資源管理画面200は、計算条件領域21と医療資源管理領域22とを含む。
【0043】
計算条件領域21は、設定された計算条件が表示される領域である。具体的には、計算対象範囲として「T県O市X丁目~T県O市Y丁目」、計算対象疾患として「急性腎障害」、計算対象時間として「〇月×日△時~□時」が表示されている。計算対象範囲は、医療資源管理領域22に表示される地図の範囲に相当する。本表示例では、計算条件として計算対象疾患及び計算対象時間を含めて患者対医療資源比が計算されているため、設定された計算対象範囲において、計算対象疾患及び計算対象時間で計算条件を絞り込んで計算された患者対医療資源比が、医療資源管理領域22に表示されている。
【0044】
医療資源管理領域22は、計算された患者対医療資源比が表示される領域である。ここでは患者対医療資源比の一例として、「急性腎障害」を持つ患者数に対する、「急性腎障害」に対して治療可能な医療資源数の比率が、メッシュ220状に分割された地域ごとに計算されて表示されている。具体的には、地図上に縦3枚×横4枚の計12枚からなる正方形のメッシュ220が配置され、それぞれのメッシュ220において計算された患者対医療資源比が各メッシュ220の色により表示されている。各色は、
図4及び
図5では4段階のグレーの濃淡レベルにより表現される。各色と濃淡レベルとの対応関係は、青色が最も薄いグレー、黄色がやや薄いグレー、赤色がやや濃いグレー、灰色が最も濃いグレーである。例えば、患者数に対して医療資源が十分に存在するメッシュ220は青色、患者数に対して医療資源が不十分であるメッシュ220は黄色、患者数に対して医療資源が存在しないメッシュ220は赤色、患者が存在しないメッシュ220は灰色で表示される。なお、地図上にメッシュ220を重畳して配置した時に下部にある地図が視認可能なように、メッシュ220の透明度が設定されてもよい。さらに、ユーザ操作により地図が拡大又は縮小するのに追随して、メッシュ220の粗さが自動的に変化してもよい。
【0045】
メッシュ220の色は、特定の疾患を有する患者数に対する、当該疾患に対して治療可能な医療資源数の比率によって色分けされる。当該比率と各色との対応関係は、例えば以下のように表される。第一に、ある地域に急性腎障害の患者5名が存在し、透析管理が可能な看護師が5名以上かつ透析器が5台以上存在する場合は、患者数に対して医療資源数が十分であると判定し、当該地域を青色地域221(低リスク地域)として表示する。第二に、ある地域に急性腎障害の患者5名が存在し、透析管理が可能な看護師が1名かつ透析器が5台以上存在する場合は、患者数に対して医療資源数が不十分であると判定し、当該地域を黄色地域222(中リスク地域)として表示する。同様に、ある地域に急性腎障害の患者5名が存在し、透析管理が可能な看護師が5名以上かつ透析器が1台存在する場合は、患者数に対して医療資源数が不十分であると判定し、当該地域を黄色地域222(中リスク地域)として表示する。第三に、ある地域に急性腎障害の患者5名が存在し、透析管理が可能な看護師及び透析器のうち少なくともどちらかが存在しない場合は、患者数に対して医療資源が存在しないと判定し、当該地域を赤色地域223(高リスク地域)として表示する。第四に、ある地域に急性腎障害の患者が存在しない場合は、当該地域を灰色地域224として表示する。
【0046】
上記の例では、医療資源として「看護師」及び「透析器」の2種類が存在するため、患者対医療資源比は2種類存在する。すなわち、第1の患者対医療資源比は、「患者」の数に対する「看護師」の数の比率であり、第2の患者対医療資源比は、「患者」の数に対する「透析器」の数の比率である。医療資源管理装置1は、これら2種類の患者対医療資源比に基づいて、地域ごとに患者数に対する医療資源数が十分又は不十分であるかを判定する。例えば、患者数に対して医療資源である「看護師」の数、及び「透析器」の数がともに同数、又は上回る場合を、医療資源が十分であると判定する。なお、判定基準として、患者1名あたりに必要な医療従事者の数、又は患者1名あたりに必要な医療物資の数を、ユーザが疾患の種類ごと、又は疾患の症状や重症度ごとに任意の値に設定してもよい。医療資源管理装置1は、これら設定された判定基準に基づいて、地域ごとに患者数に対する医療資源数が十分又は不十分であるかを判定してもよい。
【0047】
また、上記の例では、計算対象疾患が「疾患の種類」である場合について説明したが、計算対象疾患が「疾患の種類」に加えて「疾患の症状や重症度」をさらに含む場合には、「疾患の症状や重症度」に応じて患者対医療資源比が計算されてもよい。例えば、ある地域に存在する急性腎障害の患者10名のうち、重症者が2名、軽症者が8名である場合を想定する。また、同地域に存在する医療資源「透析器」の数が5台であり、かつ患者数に対して医療資源数が同数、又は上回る場合を、医療資源が十分であると判定すると仮定する。ここで、ユーザが疾患の重症度に関係なく、患者1名ずつに透析器1台を適用することを想定し、計算対象疾患として「疾患の種類」である「急性腎障害」を指定した場合、患者対医療資源比は10:5となり、当該地域に医療資源が不足していると判定される。一方、ユーザが重症者1名ずつに透析器1台を適用することを想定し、計算対象疾患として「疾患の症状や重症度」を含む「急性腎障害・重症」を指定した場合、患者対医療資源比は2:5となり、当該地域に医療資源が十分であると判定される。
【0048】
また、特定のメッシュ220上にマウスカーソル等のポインタを乗せたときに、当該メッシュ220における患者対医療資源比の数値がポップアップ等でポインタ近傍に表示されてもよい。また、赤色地域223にポインタを乗せた場合に、患者数に対して医療資源であるコメディカルの数及び医療物資の数のうち、どちらが存在しないのかをポップアップ等で表示してもよい。
【0049】
また、特定のメッシュ220がポインタにより選択されたときに、
図5に示すように選択されたメッシュ220が複数の小区画に分割されてもよい。ひいては、分割された複数の小区画それぞれについて、患者対医療資源比がメッシュ220の色により表示されてもよい。具体的には、
図4において複数の黄色地域222のうち1つが選択されたとき、選択された黄色地域222が4つの正方形の小区画に分割され、各小区画を計算対象範囲とした計算条件下で患者対医療資源比が計算されて
図5のように表示される。
図5を見ると、選択された黄色地域222は詳細には、1つの青色地域221、2つの黄色地域222、及び1つの赤色地域223を含むことが分かる。このように、選択されたメッシュが細分化されることで、より詳細な地域での患者対医療資源比が表示されてもよい。
【0050】
医療資源管理画面の第2の表示例を、
図6を参照して説明する。
第1の表示例に示す医療資源管理画面200では、地図上に重畳されたメッシュ220の色により各地域の患者対医療資源比を表示する。第2の表示例に示す医療資源管理画面201では、地図を用いずに表形式で各地域の患者対医療資源比を表示する。
【0051】
医療資源管理画面201において、患者対医療資源比が計算された地域が「行政区画」に表される。行政区画は、複数あってもよく、例えば大きい行政区画(大区分)と当該行政区画に含まれる複数の小さい行政区画(小区分)があってもよい。例えば、医療資源管理画面201には、大区分から小区分の順に「行政区画1」、「行政区画2」、「行政区画3」が含まれる。さらに、各地域に対応付けられて、「患者」の数、「看護師」の数、「医薬品」の数が表示される。また、各地域の患者対医療資源比が、「行政区画」のセルを各色で着色することで表示される。
図6では、各色は、
図4及び
図5と同様な4段階のグレーの濃淡レベルにより表現される。なお、同一の大区分に複数の小区分が含まれる場合、当該複数の小区分の患者対医療資源比の平均値に対応する色で、当該大区分の患者対医療資源比が表されてもよい。
【0052】
例えば、T県U市は患者50名に対して看護師30名、医薬品100個であるため、患者数に対して医療資源である看護師が不十分であると判定され、「行政区画2」のセルが黄色で示される。一方、K県K市N区は、患者20名に対して看護師25名、医薬品30個であるため、患者数に対して医療資源が十分であると判定され、「行政区画3」のセルが青色で示される。
【0053】
以上説明した第1の実施形態によれば、医療資源管理装置1は地域ごとの患者対医療資源比を計算し、計算された患者対医療資源比を医療資源管理画面200、201に表示する。ユーザは医療資源管理画面200、201を確認することで、どの地域に医療資源が十分又は不十分であるかを容易に判断することができる。具体的には、各地域における患者対医療資源比が地域ごとの色で表示されることで、ユーザは地域ごとの患者数に対する医療資源の供給不足を容易に判断することができる。また、患者対医療資源比の計算条件が付随して表示されることで、ユーザは現在表示されている患者対医療資源比に関する詳細を同時に判断することができる。
【0054】
以上、第1の実施形態に係る医療資源管理装置1について説明した。第1の実施形態では、医療資源管理装置1は地域ごとの患者数に対する医療資源数の比率を計算して表示した。第2の実施形態では、医療資源管理装置1は地域ごとの当該比率と患者ごとの健康リスクとに基づいて、患者が入院又は退院すべきかに関する入退院必要性を表示する。
【0055】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る医療資源管理装置の構成例を、
図7を参照して説明する。
第2の実施形態において、医療資源管理装置1は処理回路11に判定機能116を含む。その他の構成については、第1の実施形態と同様である。
【0056】
判定機能116は、入退院必要性を判定する。
【0057】
第2の実施形態に係る医療資源管理装置の動作例を、
図8を参照して説明する。
本フローにおいて、医療資源管理装置1は患者の入退院必要性の表示を行う。第2の実施形態では、第1の実施形態の一連のフロー(ステップS101~S105)に続いて付加的なフローを行う。
【0058】
ステップS201において、医療資源管理装置1は計算機能114を実行することで、患者の健康リスクを計算する。健康リスクは、患者の健康上のリスクであり、患者ごとに入退院必要性の表示を行うための指標となる。具体的には、医療資源管理装置1は取得された患者情報に含まれる、現在罹患しており治療中である疾患に関する再発リスク及び重症度を用いて、患者ごとに健康リスクを計算する。
【0059】
健康リスクは、具体的には
図9で示す計算ロジック300に従って計算される。例えば、健康リスクは再発リスク及び重症度をそれぞれ(低,中,高)の3段階に分け、再発リスクの程度と重症度の程度との組み合わせに応じて、レベル「1」~「5」の5段階で離散的に算出される。例えば、(再発リスク,重症度)の組み合わせが(低,低)ならば健康リスク「1」、(低,中)又は(中,低)ならば健康リスク「2」、(低,高)、(中,中)、又は(高,低)ならば健康リスク「3」、(中,高)又は(高,中)ならば健康リスク「4」、(高,高)ならば健康リスク「5」として算出される。なお、健康リスクは、健康リスク「1」及び「2」を合わせて1つのリスク区分とし、残る健康リスク「3」~「5」を定義した4段階でもよく、どのように健康リスクが算出されてもよい。
【0060】
ステップS202において、医療資源管理装置1は判定機能116を実行することで、入退院必要性を判定する。入退院必要性は、患者の住所がある地域の患者対医療資源比と、当該患者の健康リスクとに基づいて判定される。なお、地域の患者対医療資源比に関するリスク評価(青色地域221、黄色地域222、赤色地域223)は、地域リスクとも呼ぶ。
【0061】
入退院必要性は、具体的には
図10に示す判定ロジック400に従って判定される。医療資源管理装置1は健康リスクと地域リスクとの組み合わせによって、入退院必要性を判定する。例えば、健康リスクが「1」又は「2」ならば地域リスクに関係なく入退院必要性は「退院」と判定する。健康リスクが「3」ならば、青色地域221及び黄色地域222では入退院必要性は「退院」と判定し、赤色地域223では「入院」と判定する。健康リスクが「4」ならば、青色地域221では入退院必要性は「退院」と判定し、黄色地域222及び赤色地域223では「入院」と判定する。健康リスクが「5」ならば地域リスクに関係なく入退院必要性は「入院」と判定する。
【0062】
なお、入退院必要性が判定された患者が在宅患者である場合、入退院必要性の「入院」及び「退院」はそれぞれ、当該在宅患者が入院すべきである旨と、当該在宅患者が入院する必要がない旨とを意味する。一方、入退院必要性が判定された患者が入院患者である場合、入退院必要性の「入院」及び「退院」はそれぞれ、当該入院患者が入院を継続すべきである旨と、当該入院患者が退院すべきである旨とを意味する。また、判定ロジック400の性質から、入退院必要性は、患者対医療資源比が低いほど、かつ健康リスクが高いほど、患者の入院を促す、又は患者の入院を継続させるように促し、患者対医療資源比が高いほど、かつ健康リスクが低いほど、患者の退院を促す、又は患者が入院しないように促す情報であるといえる。
【0063】
ステップS203において、医療資源管理装置1は表示制御機能115を実行することで、入退院必要性を表示する。具体的には、医療資源管理装置1は患者ごとに判定された入退院必要性を表示装置16に表示する。
【0064】
以上、第2の実施形態に係る医療資源管理装置1の動作について説明した。本フローが実行された結果として表示装置16に表示される入退院必要性表500を、以下に述べる。なお、入退院必要性表500は、医療資源管理画面200、201とともに表示装置16上に表示されてもよい。
【0065】
入退院必要性の表示例を、
図11を参照して説明する。
入退院必要性表500において、「患者名」、「健康リスク」、「地域リスク」、及び「入退院必要性」が患者ごとに対応付けられて表示されている。例えば、患者名が「患者A」の健康リスクは「1」、地域リスクは「青色地域」、入退院必要性は「退院」であることが分かる。また、「患者C」及び「患者D」を比較すると、どちらも健康リスクが「3」であるにも関わらず地域リスクが異なるために、入退院必要性が「患者C」では「退院」、「患者D」では「入院」のように異なることが分かる。また、「患者E」を見ると、健康リスクが「5」であるために地域リスクが「青色地域」であっても入退院必要性が「入院」であることが分かる。
【0066】
以上説明した第2の実施形態によれば、医療資源管理装置1は患者の疾患の再発リスク及び重症度から健康リスクを計算し、計算された健康リスクと患者の住所が存在する地域の患者対医療資源比とに基づいて入退院必要性を判定し、判定された入退院必要性を表示する。ユーザは表示された入退院必要性を確認することで、どの患者が入院の必要があるか否かを容易に判断することができる。
【0067】
以上、第2の実施形態に係る医療資源管理装置1について説明した。他にも、医療資源管理装置1は、患者対医療資源比が低い地域、すなわち患者数に対して医療資源が不足している地域への対応として、以下の動作を行ってもよい。
第一に、医療資源管理装置1は、医療資源情報に含まれるコメディカル技能情報に基づいて、患者対医療資源比が閾値よりも低い地域に存在するコメディカルのうち、患者を治療可能な資格及びスキルを持たないコメディカルを表示してもよい。例えば、患者対医療資源比が低い地域のメッシュ220(例えば黄色地域222、赤色地域223)上に、当該資格及びスキルを持たないコメディカルの位置が、マーク等で表示されてもよい。さらに、表示されたコメディカルに対し、患者を治療可能な資格及びスキルに関する情報を通知してもよい。また、表示されたコメディカルに対し、研修等によるスキルアップを推奨してもよい。
【0068】
第二に、医療資源管理装置1は、医療資源情報に含まれるコメディカル技能情報に基づいて、患者対医療資源比が閾値よりも低い地域の周辺地域に存在するコメディカルのうち、患者を治療可能な資格及びスキルを持つコメディカルを表示してもよい。例えば、赤色地域223の周辺にある青色地域221又は黄色地域222に存在する、当該資格及びスキルを持つコメディカルの位置が、当該青色地域221又は黄色地域222上にマーク等で表示されてもよい。さらに、表示されたコメディカルに対し、患者への対応可能範囲の拡張に関するインセンティブを示す情報を通知してもよい。当該情報は、例えば「対応可能範囲を拡張すれば、拡張した範囲に応じて手当を支給する」のように、コメディカルが対応可能範囲を拡張するように促す情報である。
【0069】
第三に、医療資源管理装置1は、医療資源情報に含まれる医療物資情報に基づき、患者対医療資源比が閾値よりも低い地域の周辺地域に存在する医療物資のうち、患者を治療可能な医療物資を表示してもよい。さらに、周辺地域に存在する余剰な医療物資を、医療資源が不足している地域に分配するように医療従事者に通知してもよい。例えば、腎障害患者が少ないA地区の巡回車から腎障害患者が多いB地区の巡回車に透析器を分配するように、医療従事者に通知してもよい。
【0070】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る医療資源管理装置の構成例を、
図12を参照して説明する。
第3の実施形態において、医療資源管理装置1は処理回路11に抽出機能117、決定機能118、及び通知機能119を含む。その他の構成については、第1の実施形態と同様である。
【0071】
抽出機能117は、対象患者周辺のコメディカルを抽出する。
決定機能118は、コメディカルの割当優先度を決定する。
通知機能119は、コメディカル及び対象患者に通知する。
【0072】
第3の実施形態に係る医療資源管理装置の動作例を、
図13を参照して説明する。
本フローにおいて、医療資源管理装置1はコメディカルと患者とのマッチング支援を行う。
【0073】
ステップS301及びS302はそれぞれ、第1の実施形態におけるステップS101及びS102と同様である。なお、第3の実施形態では、コメディカル情報及び医療物資情報を含む医療資源情報のうち、少なくともコメディカル情報が取得されればよい。
【0074】
ステップS303において、医療資源管理装置1は設定機能113を実行することで、マッチングの対象患者を設定する。対象患者は、コメディカルとのマッチングの対象となる患者であり、取得された地域情報に含まれる地域の範囲に存在する複数の患者のうち、任意の患者を設定可能である。対象患者は、例えばユーザが入力インタフェース17を介して設定した1名又は複数名であってもよい。
【0075】
ステップS304において、医療資源管理装置1は抽出機能117を実行することで、対象患者周辺のコメディカルを抽出する。具体的には、医療資源管理装置1は、取得された地域情報に含まれる地域の範囲に存在する複数のコメディカルのうち、設定された対象患者の周辺に存在するコメディカルを抽出する。例えば、医療資源管理装置1は、対象患者を中心とする任意半径の円内に存在するコメディカルを抽出してもよい。また、対象患者までの直線距離に限らず、道路に沿った道なり距離が閾値以内であるコメディカルを抽出してもよい。すなわち、任意の方法でコメディカルが抽出されればよい。
【0076】
ステップS305において、医療資源管理装置1は計算機能114を実行することで、抽出されたコメディカルの対応可能範囲を計算する。例えば、医療資源管理装置1は、取得された地域情報に含まれる公共交通機関(鉄道、バス等)を考慮して、コメディカルの対応可能範囲を計算してもよい。具体的には、鉄道の沿線上には対応可能範囲が広くてもよい。もちろん、コメディカルを中心とする任意半径の円内を対応可能範囲としてもよい。さらに、医療資源管理装置1は、コメディカル情報に含まれる、コメディカルの対応可能な時間や場所に基づいて対応可能範囲を計算してもよい。
【0077】
ステップS306において、医療資源管理装置1は決定機能118を実行することで、抽出されたコメディカルの割当優先度を決定する。例えば、医療資源管理装置1は、計算された対応可能範囲、コメディカルが所有する資格及びスキルに関する技能情報、コメディカルの対応可能時間、及びコメディカルの総合評価のうち少なくとも1つに基づき、抽出されたコメディカルの割当優先度を決定する。割当優先度は、例えば複数のコメディカルそれぞれに付与される数値であり、割当優先度が高いコメディカルほど、対象患者に対して割り当てるべきコメディカルであることを示す。なお、コメディカルの総合評価は、対応可能範囲、技能情報、及び対応可能時間に基づいて計算された値であってもよい。
【0078】
割当優先度の決定には、様々な基準が想定される。例えば、対象患者の住所に近いコメディカルほど、割当優先度を高くしてもよい。また、対応可能範囲が対象患者の住所を含まないコメディカルの割当優先度を低くしてもよい。また、対象患者の疾患を治療可能な技能を持つコメディカルの割当優先度を、当該技能を持たないコメディカルの割当優先度よりも高くしてもよい。
【0079】
ステップS307において、医療資源管理装置1は表示制御機能115を実行することで、コメディカルの対応可能範囲及び割当優先度を表示する。具体的には、医療資源管理装置1は対象患者に対応付けて、抽出されたコメディカルの対応可能範囲及び割当優先度を表示装置16に表示する。
【0080】
ステップS308において、医療資源管理装置1は通知機能119を実行することで、コメディカル及び対象患者に通知する。例えば、医療資源管理装置1は抽出された複数のコメディカルのうち、計算された割当優先度が最も高いコメディカルと、対象患者とに通知する。なお、抽出された複数のコメディカルのうち、ユーザが表示装置16に表示された割当優先度を見て選択した任意のコメディカルに通知してもよいし、当該抽出された複数のコメディカル全員に通知してもよい。当該通知は、例えばマッチングが行われたことを示す通知であり、マッチングされたコメディカルが所有するコメディカル側端末3、及び対象患者が所有する患者側端末4に対して通知される。
【0081】
なお、同一の対象患者に対して抽出されたコメディカルが二回目以降の訪問を行う場合、医療資源管理装置1は、二回目以降の訪問より前の訪問で対象患者が抽出されたコメディカルに対して与えた評価にさらに基づいて、抽出されたコメディカルの割当優先度を決定してもよい。さらに、当該評価が高いコメディカルの割当優先度を、当該評価が低いコメディカルの割当優先度よりも高い値に決定してもよい。
【0082】
さらに、第3の実施形態では、コメディカルからの医療行為を受けた患者からの当該コメディカルに対するコメディカル評価情報が、コメディカル情報に含まれてもよい。コメディカル評価情報は、患者がコメディカルによる在宅医療を受けた場合、当該コメディカルが行った治療内容や応対の質について、各患者が自身の患者側端末4を介して医療資源管理装置1に登録する情報である。コメディカル評価情報は、コメディカルの評価に関する情報であり、例えば1点~5点までの評価点を含む。コメディカル評価情報は、コメディカルによる在宅医療が完了したタイミングで、医療資源管理装置1に登録される。なお、コメディカル評価情報は、コメディカル情報に含まれる。
【0083】
以上、第3の実施形態に係る医療資源管理装置の動作について説明した。また、一連のステップS303~S308はマッチングの対象患者が変更されるたびに繰り返し実行されてもよい。本フローが実行された結果として表示装置16に表示されるマッチング管理画面の一例を、以下に述べる。
【0084】
マッチング管理画面の表示例を、
図14を参照して説明する。
マッチング管理画面600は、対象患者に割り当てるべきコメディカルを表示する画面である。マッチング管理画面600は、ユーザからの入力インタフェース17を介した各種操作に応じて適宜、表示が変更され得る。マッチング管理画面600は、マッチング管理領域61を含む。
【0085】
マッチング管理領域61は、取得された地図上に、設定されたマッチング対象患者の位置と、対象患者の周辺に存在するコメディカルの位置や対応可能範囲613が表示される領域である。ここで、対象患者は住宅(ホーム)のアイコン611、コメディカルは旗(フラグ)のアイコン612により表示される。コメディカルごとに対応可能範囲613は正円であったり、楕円であったりする。また、複数のコメディカルのうち、対象患者を治療可能な特定のスキルを持ったコメディカルの対応可能範囲613は、当該スキルを持たないコメディカルの対応可能範囲613とは異なる色で強調表示される。
【0086】
また、対象患者に関する患者情報が吹き出し614により表示される。具体的には、吹き出し614には、対象患者の患者名:「A」、疾患名:「急性腎障害」、経過:「急性血液浄化療法中」、治療内容:「透析管理」が表示されている。ユーザは、吹き出し614を見ることで、対象患者の位置以外の患者情報について確認することができる。
【0087】
割当優先度の表示例を、
図15を参照して説明する。
割当優先度表700は、対象患者に対して抽出された複数のコメディカルそれぞれの割当優先度を表示する表である。割当優先度表700において、割当優先度が高い順に複数のコメディカルが上から下にかけてリストアップされている。割当優先度表700は、「コメディカル名」、「総合評価点」、「対象患者評価点」を含む。なお、割当優先度表700は、マッチング管理画面600上でマッチング管理領域61とともに表示されてもよい。また、割当優先度表700のコメディカル名と、マッチング管理領域61上のコメディカルとの対応関係が分かるように、例えば各コメディカルのアイコン612の近傍に、割当優先度表700で対応するコメディカル名を表示してもよい。
【0088】
例えば、割当優先度表700において、総合評価点に関わらず、対象患者からの評価点が高い順に、「コメディカルA」、「コメディカルB」、「コメディカルD」が表示されている。次に、総合評価点が高い順に、「コメディカルE」、「コメディカルC」が表示されている。
【0089】
さらに、ユーザは割当優先度表700をクリックすることで、
図16に示す予約カレンダー800に遷移しても良い。予約カレンダー800では、割当優先度表700に表示された複数のコメディカルそれぞれに対応する特定の日時の勤務予定が表示される。具体的には、コメディカルを割り当てる予定の日付として「2020年XX月YY日」が表示され、各コメディカルの同日における勤務予定のスケジュールが表示される。
【0090】
緊急時のマッチング管理画面の表示例を、
図17を参照して説明する。
例えば、患者側端末4から定期的に送信される患者健康情報から、医療資源管理装置1が異常値を検出した場合や、患者側端末4から緊急の呼び出しがあった場合には、
図17のようなマッチング管理画面600が表示される。
【0091】
マッチング管理画面600において、異常値が検出された患者を表すアイコン611が表示される。また、当該患者の周辺に存在するコメディカルを表すアイコン612と、コメディカルの対応可能範囲613とが表示される。また、吹き出し614には、当該患者に関する患者情報が表示される。例えば、吹き出し614において、バイタルサインに異常が起きたことを伝える旨の情報「脈拍異常」が太字で強調表示される。
【0092】
さらに、医療資源管理装置1は、異常値が出た患者とバイタルデータの情報を管理センター8に通知する。続いて、管理センター8の職員は、状況確認や救急手配等の対応を行うと同時に、当該患者の周辺に存在するコメディカルに一斉に緊急要請を発出する。その後、要請を受けたコメディカルのうち、緊急対応が可能であるコメディカルは、自身のコメディカル側端末3を介して当該患者の元に向かう旨を管理センター8に対して通知し、現場に向かう。
【0093】
第3の実施形態に係る医療資源管理装置を具備する医療資源管理システムの動作を、
図18を参照して説明する。
ステップS401において、医療資源管理装置1は、コメディカルと患者とのマッチングを行う。ステップS401は、ステップS301~S307に相当する。
【0094】
ステップS402において、医療資源管理装置1は、コメディカル側端末3及び患者側端末4に通知する。ステップS402は、ステップS308に相当する。
【0095】
ステップS403において、コメディカル側端末3は、医療資源管理装置1に対して、業務開始を登録する。ここで、医療資源管理装置1は、予定時刻に医療行為が開始されない場合は、コメディカルに対してアラートを送信する。同時に、管理センター8の職員が状況確認を行う。登録後、コメディカルは患者に対して医療行為を行う。
【0096】
ステップS404において、コメディカル側端末3は、医療資源管理装置1に対して、業務記録を登録する。具体的には、コメディカルは、業務記録として患者に対する各種測定結果、検査結果、作業内容、患者の健康状態等を登録する。業務記録は、次回の担当者が患者に対して医療行為を行うための申し送りにも活用される。
【0097】
ステップS405において、コメディカル側端末3は、医療資源管理装置1に対して、次回訪問の予約を行う。コメディカルが予約しない場合、本ステップは省略可能である。
【0098】
ステップS406において、患者側端末4は、医療資源管理装置1に対して、フィードバックを登録する。フィードバックは、例えばコメディカルが施した医療行為の質に対するコメントや、評価点を含む。当該評価点は、対象患者評価点に相当し、高いほどコメディカルのマッチングにおける割当優先度が上昇する。さらに、管理センター8は、患者からのフィードバックに応じて、コメディカルに対して必要な教育を実施したり、報酬を増額させたり等の措置をとってもよい。
【0099】
以上説明した第3の実施形態によれば、医療資源管理装置1は対象患者に割り当てるべきコメディカルを割当優先度順に表示する。ユーザは、表示された割当優先度を見ることで、どのコメディカルが対象患者に対して適任かを容易に判断することができる。また、患者ごとに必要な医療行為と、当該医療行為に対して必要なスキルを持つコメディカルをマッチングさせ、適切な医療を提供することができる。
【0100】
以上、第3の実施形態に係る医療資源管理装置について説明した。他にも、医療資源管理装置1は、以下の動作を行ってもよい。
【0101】
第一に、医療資源管理装置1は、コメディカルが現地で医療行為を始めるタイミングに合わせて現地に医療物資を配送するように手配してもよい。このとき、コメディカルの訪問の予約に応じて、配送元や配送ルートを決定してもよい。
【0102】
第二に、医療資源管理装置1は、電子学習教材(e-learning)の提供を在宅患者への訪問前、又は訪問中のコメディカルに対して行ってもよい。コメディカルのなかには、業務の空白期間があるために、基本業務の確認をさせる必要があるコメディカルが存在する可能性がある。このようなコメディカルに対して、電子学習教材等により業務に関する知識を提供することで、空白期間のあるコメディカルの復帰支援を行うことができる。また、継続的に業務を行っているコメディカルに対しても電子学習教材を提供することで、コメディカルに業務に関する知識を再確認させることができる。また、自動的に電子学習教材を最新版に更新してもよい。さらに、1回目にコメディカルが在宅患者のもとを訪問する場合は、当該コメディカルの指導員等を含む複数人を派遣してもよい。
【0103】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、地域別に医療資源を管理することができる。
【0104】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0105】
1 医療資源管理装置
2 医師側端末
3 コメディカル側端末
4 患者側端末
5 電子カルテシステム
6 地図サーバ
7 医療物資サーバ
8 管理センター
11 処理回路
12 メモリ
13 地域情報DB
14 患者情報DB
15 医療資源情報DB
16 表示装置
17 入力インタフェース
18 通信インタフェース
21 計算条件領域
22 医療資源管理領域
61 マッチング管理領域
100 医療資源管理システム
111 取得機能
112 合成機能
113 設定機能
114 計算機能
115 表示制御機能
116 判定機能
117 抽出機能
118 決定機能
119 通知機能
200,201 医療資源管理画面
220 メッシュ
221 青色地域
222 黄色地域
223 赤色地域
224 灰色地域
300 計算ロジック
400 判定ロジック
500 入退院必要性表
600 マッチング管理画面
611,612 アイコン
613 対応可能範囲
614 吹き出し
700 割当優先度表
800 予約カレンダー