(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-14
(45)【発行日】2025-03-25
(54)【発明の名称】クリアランスセンサ
(51)【国際特許分類】
G01B 7/14 20060101AFI20250317BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20250317BHJP
【FI】
G01B7/14
G01B7/00 101C
(21)【出願番号】P 2021039173
(22)【出願日】2021-03-11
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 元春
(72)【発明者】
【氏名】大西 智之
(72)【発明者】
【氏名】國府田 敏明
(72)【発明者】
【氏名】武田 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】池本 拓真
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-029111(JP,A)
【文献】特開平04-297805(JP,A)
【文献】特開昭55-099004(JP,A)
【文献】実開昭58-144215(JP,U)
【文献】実開昭53-126661(JP,U)
【文献】実開昭63-073603(JP,U)
【文献】米国特許第04804905(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00 - 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸の軸線方向の一端側
である先端側に検出端面を有する円柱状の検出電極と、前記検出電極と前記中心軸が同軸であるガード電極及びグランド電極とを含む電極部材と、
前記検出電極と前記ガード電極とを連結し、前記ガード電極と前記グランド電極とを
前記軸線方向に連結する絶縁部材と、
前記絶縁部材とは別個に設けられ、前記検出電極と、前記ガード電極と、前記グランド電極と、前記絶縁部材との間に充填される絶縁
接着剤と
を備え、
前記ガード電極は、前記検出電極の外周面を囲うガード円筒部と、前記検出電極に対して前記軸線方向の先端側とは反対側である基端側に配置され前記ガード円筒部に接続されるガード基部とを有し、
前記グランド電極は、前記ガード電極の外周面を囲うグランド円筒部と、前記ガード基部に対して前記軸線方向の他端側に配置され前記グランド円筒部に接続されるグランド基部とを有し、
前記検出電極は、前記軸線方向の基端側に第1凹部を有する検出基端側端面を有し、
前記ガード基部は、前記軸線方向の先端側に前記検出基端側端面に対向し第2凹部を有するガード先端側端面を有し、前記軸線方向の基端側に前記グランド基部に対向し第3凹部を有するガード基端側端面を有し、
前記グランド基部は、前記軸線方向の先端側に前記ガード基端側端面に対向し第4凹部を有するグランド先端側端面を有し、
前記絶縁部材は、前記検出電極と前記ガード基部とを前記軸線方向に連結する第1絶縁部材と、前記ガード基部と前記グランド基部とを前記軸線方向に連結する第2絶縁部材とを有し、
前記第1絶縁部材は、前記軸線方向の先端側に突出する第1突出部と前記軸線方向の基端側に突出する第2突出部とを有し、前記第1突出部が前記第1凹部に挿入され、前記第2突出部が前記第2凹部に挿入された状態で前記検出電極と前記ガード基部とを連結し、
前記第2絶縁部材は、前記軸線方向の先端側に突出する第3突出部と前記軸線方向の基端側に突出する第4突出部とを有し、前記第3突出部が前記第3凹部に挿入され、前記第4突出部が前記第4凹部に挿入された状態で前記ガード基部と前記グランド基部とを連結し、
前記電極部材と前記絶縁部材との間は、前記中心軸の軸線方向及び軸回り方向の少なくとも一方に係止される
クリアランスセンサ。
【請求項2】
前記電極部材と前記絶縁部材との間は、ネジ接合により係止される
請求項
1に記載のクリアランスセンサ。
【請求項3】
前記電極部材と前記絶縁部材との間は、ピンが挿入されることで係止される
請求項1
又は請求項
2に記載のクリアランスセンサ。
【請求項4】
前記絶縁部材及び前記絶縁接着剤とは別個に設けられ、前記検出電極と前記ガード電極との間、及び前記ガード電極と前記グランド電極との間の少なくとも一方に、絶縁体からなる
リング状のスペーサ部材が配置される
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載のクリアランスセンサ。
【請求項5】
前記中心軸の軸線方向に沿って前記電極部材及び前記絶縁部材を貫通する冷却流路を更に備える
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載のクリアランスセンサ。
【請求項6】
前記冷却流路は、前記中心軸の軸線方向視において前記中心軸を中心とした同心円上に複数配置される
請求項
5に記載のクリアランスセンサ。
【請求項7】
前記冷却流路は、前記中心軸の軸線方向に沿った直線状に形成される
請求項
6に記載のクリアランスセンサ。
【請求項8】
前記冷却流路は、検出端側に向けて前記中心軸に対する径方向の外側から内側に集まるように形成される
請求項
6に記載のクリアランスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クリアランスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
円筒状に形成されたケーシング内を回転する複数の動翼を有する軸流圧縮機などの回転機械が知られている。この種の回転機械では、ケーシングと動翼とのチップクリアランスを計測するチップクリアランスセンサを設け、計測したチップクリアランスの値が適正となるように保っている。このチップクリアランスセンサには、例えば、静電容量型センサ等の非接触型のセンサが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のクリアランスセンサは、中心軸が同軸の検出電極、ガード電極、グランド電極の3重構造を有し、各電極間には絶縁層が配置される。このようなクリアランスセンサでは、例えば溶射等により絶縁層が取り付けられ、嵌め合いを調整しながら各電極を組み立てることが行われる。その結果、組立精度のバラつきが大きくなり、例えば上記のようなチップクリアランスを長期間計測するような場合においては、信頼性が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、長期間の計測において信頼性の低下を抑制することが可能なクリアランスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るクリアランスセンサは、中心軸の軸線方向の一端側に検出端面を有する円柱状の検出電極と、前記検出電極と前記中心軸が同軸であるガード電極及びグランド電極とを含む電極部材と、前記検出電極と前記ガード電極とを連結し、前記ガード電極と前記グランド電極とを連結する絶縁部材と、前記検出電極と、前記ガード電極と、前記グランド電極と、前記絶縁部材との間に充填される絶縁層とを備え、前記電極部材と前記絶縁部材との間は、前記中心軸の軸線方向及び軸回り方向の少なくとも一方に係止される。
【0007】
本開示に係るクリアランスセンサは、中心軸の軸線方向の一端側に検出端面を有する円柱状の検出電極と、前記検出電極と前記中心軸が同軸であるガード電極及びグランド電極とを含む電極部材と、前記検出電極と前記ガード電極とを連結し、前記ガード電極と前記グランド電極とを連結する絶縁部材と、前記検出電極と、前記ガード電極と、前記グランド電極と、前記絶縁部材との間に充填される絶縁層と、前記中心軸の軸線方向に沿って前記電極部材及び前記絶縁部材を貫通する冷却流路とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、長期間の計測において信頼性の低下を抑制することが可能なクリアランスセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るクリアランスセンサの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るクリアランスセンサの他の例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るクリアランスセンサの他の例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るクリアランスセンサの他の例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4におけるA-A断面に沿った構成を示している図である。
【
図6】
図6は、
図5におけるB-B断面に沿った構成を示している図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係るクリアランスセンサの他の例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7におけるC-C断面に沿った構成を示している図である。
【
図9】
図9は、
図7におけるD-D断面に沿った構成を示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係るクリアランスセンサの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
図1は、本実施形態に係るクリアランスセンサ100の一例を示す図である。
図1は、中心軸AXを通る平面による断面構成の一例を示している。
図1に示すクリアランスセンサ100は、静電容量センサである。クリアランスセンサ100は、例えばガスタービン等のように円筒状に形成されたケーシング内を回転する複数の動翼を有する軸流圧縮機の、ケーシングと動翼とのチップクリアランスを計測する場合等に用いることができる。クリアランスセンサ100は、電極部材10と、絶縁部材20と、絶縁層30とを備える。
【0012】
電極部材10は、検出電極11と、ガード電極12と、グランド電極13とを含む。電極部材10は、例えば金属又はステンレス等の合金を用いて形成される。検出電極11、ガード電極12及びグランド電極13は、中心軸AXが同軸であり、径方向に3重に設けられる。
【0013】
検出電極11は、中心軸AXを中心とする円柱状の電極である。検出電極11は、中心軸AXの軸線方向の一端に検出端面11aを有する。以下、クリアランスセンサ100の位置関係を説明する際に、中心軸AXの軸線方向のうち検出端面11a側を先端側と表記し、検出端面11a側とは反対側を基端側と表記する場合がある。クリアランスセンサ100は、検出端面11aがケーシングの内周面の対応する位置に配置された状態で、チップクリアランスの計測を行う。
【0014】
検出電極11は、例えば無機絶縁(MI)ケーブルに接続される。MIケーブルは、配線部14と、管状部材15と、管状部品16とを有する。MIケーブルは、配線部14、管状部材15及び管状部品16が3重構造となっており、各部品間には酸化マグネシウム等の絶縁体が充填される。配線部14は、検出電極11と溶接等により接合される。配線部14は、検出電極11から中心軸AXの軸線方向の他端側に延びるように配置される。配線部14は、不図示の処理装置等に接続される。配線部14は、例えば中心軸AX上に配置することができる。管状部材15は、後述するガード基部12bと溶接等により接合される。管状部品16は、後述するグランド基部13bと溶接等により接合される。
【0015】
検出電極11は、基端側の端面11bに凹部11dを有する。凹部11dは、端面11bから先端側に向けて円柱状にくり抜いた形状を有する。凹部11dの内周面は、円筒面である。凹部11dの内周面には、ネジ山11eが形成される。ネジ山11eは、凹部11dの内周面に基端側から先端側にかけて螺旋状に形成される。
【0016】
ガード電極12は、中心軸AXを中心とした円筒状のガード円筒部12aと、中心軸AXを中心とした円柱状のガード基部12bとを有する。ガード電極12は、検出電極11と中心軸が同軸である。
【0017】
ガード円筒部12aは、検出電極11の外周面11cを囲う。ガード円筒部12aは、検出電極11の外周面11cとの間に所定の隙間を空けて配置される。ガード円筒部12aの先端側の端面は、検出電極11の検出端面11aと面一状態となっている。
【0018】
ガード基部12bは、検出電極11に対して中心軸AXの軸線方向の他端側に配置される。ガード基部12bは、例えば溶接等によりガード円筒部12aに接続される。
【0019】
ガード基部12bは、先端側の端面12cに凹部12dを有する。凹部12dは、端面12cから基端側に向けて円柱状にくり抜いた形状を有する。凹部12dの内周面は、円筒面である。凹部12dの内周面には、ネジ山12eが形成される。ネジ山12eは、凹部12dの内周面に先端側から基端側にかけて螺旋状に形成される。
【0020】
ガード基部12bは、基端側の端面12fに凹部12gを有する。凹部12gは、端面12fから基端側に向けて円柱状にくり抜いた形状を有する。凹部12gの内周面は、円筒面である。凹部12gの内周面には、ネジ山12hが形成される。ネジ山12hは、凹部12gの内周面に先端側から基端側にかけて螺旋状に形成される。
【0021】
グランド電極13は、中心軸AXを中心とした円筒状のグランド円筒部13aと、中心軸AXを中心とした円柱状のグランド基部13bとを有する。グランド電極13は、検出電極11及びガード電極12と中心軸が同軸である。
【0022】
グランド円筒部13aは、ガード電極12の外周面を囲う。グランド円筒部13aは、ガード電極12の外周面との間に所定の隙間を空けて配置される。グランド円筒部13aの先端側の端面は、検出電極11の検出端面11a及びガード円筒部12aの先端側の端面と面一状態となっている。
【0023】
グランド基部13bは、ガード電極12に対して中心軸AXの軸線方向の他端側に配置される。グランド基部13bは、例えば溶接等によりグランド円筒部13aに接続される。
【0024】
グランド基部13bは、先端側の端面13cに凹部13dを有する。凹部13dは、端面13cから基端側に向けて円柱状にくり抜いた形状を有する。凹部13dの内周面は、円筒面である。凹部13dの内周面には、ネジ山13eが形成される。ネジ山13eは、凹部13dの内周面に先端側から基端側にかけて螺旋状に形成される。
【0025】
絶縁部材20は、検出電極11とガード電極12とを連結し、ガード電極12とグランド電極13とを連結する。絶縁部材20は、第1絶縁部材21と、第2絶縁部材22とを有する。第1絶縁部材21及び第2絶縁部材22は、例えばセラミックス等の絶縁体により形成される。
【0026】
第1絶縁部材21は、中心軸AXの軸線方向において検出電極11とガード基部12bとの間に配置される。第1絶縁部材21は、検出電極11とガード基部12bとを軸線方向に連結する。
【0027】
第1絶縁部材21は、基部21aと、突出部21b、21cとを有する。基部21aは、中心軸AXを中心とする円柱状である。突出部21bは、基部21aから先端側に突出する。突出部21cは、基部21aから基端側に突出する。突出部21b、21cは、中心軸AXを中心とする円柱状であり、例えば基部21aに対して径が小さい。突出部21bの径は、当該突出部21bが上記した検出電極11の凹部11dに挿入可能となるように設定される。突出部21bの外周面は、円筒面である。突出部21bの外周面には、ネジ山21dが形成される。ネジ山21dは、上記した検出電極11の凹部11dのネジ山11eにネジ接合されるように、突出部21bの外周面に基端側から先端側にかけて螺旋状に形成される。突出部21bは、ネジ山21dとネジ山11eとがネジ接合された状態で、検出電極11の凹部11dに挿入される。このように、第1絶縁部材21は、検出電極11との間でネジ接合される。
【0028】
一方、突出部21cの径は、当該突出部21cが上記したガード電極12の凹部12dに挿入可能となるように設定される。突出部21cの外周面は、円筒面である。突出部21cの外周面には、ネジ山21eが形成される。ネジ山21eは、上記したガード電極12の凹部12dのネジ山12eにネジ接合されるように、突出部21cの外周面に基端側から先端側にかけて螺旋状に形成される。突出部21cは、ネジ山21eとネジ山12eとがネジ接合された状態で、ガード電極12の凹部12dに挿入される。このように、第1絶縁部材21は、ガード電極12との間でネジ接合される。
【0029】
第2絶縁部材22は、中心軸AXの軸線方向においてガード基部12bとグランド基部13bとの間に配置される。第2絶縁部材22は、ガード基部12bとグランド基部13bとを軸線方向に連結する。
【0030】
第2絶縁部材22は、基部22aと、突出部22b、22cとを有する。基部22aは、中心軸AXを中心とする円柱状である。突出部22bは、基部22aから先端側に突出する。突出部22cは、基部22aから基端側に突出する。突出部22b、22cは、中心軸AXを中心とする円柱状であり、例えば基部22aに対して径が小さい。突出部22bの径は、当該突出部22bが上記したガード電極12の凹部12gに挿入可能となるように設定される。突出部22bの外周面は、円筒面である。突出部22bの外周面には、ネジ山22dが形成される。ネジ山22dは、上記したガード電極12の凹部12gのネジ山12hにネジ接合されるように、突出部22bの外周面に基端側から先端側にかけて螺旋状に形成される。突出部22bは、ネジ山22dとネジ山12hとがネジ接合された状態で、ガード電極12の凹部12gに挿入される。このように、第2絶縁部材22は、ガード電極12との間でネジ接合される。
【0031】
一方、突出部22cの径は、当該突出部22cが上記したグランド電極13の凹部13dに挿入可能となるように設定される。突出部22cの外周面は、円筒面である。突出部22cの外周面には、ネジ山22eが形成される。ネジ山22eは、上記したグランド電極13の凹部13dのネジ山13eにネジ接合されるように、突出部22cの外周面に基端側から先端側にかけて螺旋状に形成される。突出部22cは、ネジ山22eとネジ山13eとがネジ接合された状態で、グランド電極13の凹部13dに挿入される。このように、第2絶縁部材22は、グランド電極13との間でネジ接合される。
【0032】
上記したように、電極部材10と絶縁部材20との間は、検出電極11の凹部11dと第1絶縁部材21の突出部21bとの間のネジ接合、第1絶縁部材21の突出部21cとガード電極12の凹部12dとの間のネジ接合、ガード電極12の凹部12gと第2絶縁部材22の突出部22bとの間のネジ接合、及び第2絶縁部材22の突出部22cとグランド電極13の凹部13dとの間のネジ接合により、中心軸AXの軸線方向及び軸回り方向の少なくとも一方について係止された構成となっている。
【0033】
絶縁層30は、例えばセラミック系の絶縁接着剤等が用いられる。絶縁層30は、検出電極11と、ガード電極12と、グランド電極13と、絶縁部材20(第1絶縁部材21及び第2絶縁部材22)との間に充填される。絶縁層30が配置されることにより、検出電極11と、ガード電極12と、グランド電極13との間を絶縁しつつ、中心軸AXの軸回り方向への相対的な回転移動を抑制できる。また、絶縁層30は、第1絶縁部材21と検出電極11との間、第1絶縁部材21とガード電極12との間、第2絶縁部材22とガード電極12との間、第2絶縁部材22とグランド電極13との間のネジ部等の隙間を埋めるように配置される。これにより、各部品の相対的な回転移動を抑制することができる。
【0034】
以上のように、本実施形態に係るクリアランスセンサ100は、中心軸AXの軸線方向の一端側に検出端面を有する円柱状の検出電極11と、検出電極11と中心軸AXが同軸であるガード電極12及びグランド電極13とを含む電極部材10と、検出電極11とガード電極12とを連結し、ガード電極12とグランド電極13とを連結する絶縁部材20と、検出電極11と、ガード電極12と、グランド電極13と、絶縁部材20との間に充填される絶縁層30とを備え、電極部材10と絶縁部材20との間は、中心軸AXの軸線方向及び軸回り方向の少なくとも一方に係止される。
【0035】
この構成では、電極部材10と絶縁部材20とを係止させることにより、電極部材10と絶縁部材20との間の位置ズレを抑制できる。従って、長期間の計測において信頼性の低下を抑制することができる。また、例えばガスタービンのケーシングと動翼とのチップクリアランスを計測する場合のように高温下で長期間の計測を行う場合には、熱伸び差及び振動に起因する絶縁部材20の摩耗、絶縁層30の剥離を抑制でき、長期間に亘って信頼性を維持することができる。
【0036】
また、本実施形態に係るクリアランスセンサ100において、ガード電極12は、検出電極11の外周面を囲うガード円筒部12aと、検出電極11に対して軸線方向の基端側に配置されガード円筒部12aに接続されるガード基部12bとを有し、グランド電極13は、ガード電極12の外周面を囲うグランド円筒部13aと、ガード電極12に対して基端側に配置されグランド円筒部13aに接続されるグランド基部13bとを有し、絶縁部材20は、検出電極11とガード基部12bとを軸線方向に連結する第1絶縁部材21と、ガード基部12bとグランド基部13bとを軸線方向に連結する第2絶縁部材22を有する。したがって、電極部材10を構成する各電極の基部同士が絶縁部材20により連結され、連結部分が係止されるため、電極部材10と絶縁部材20との間の位置ズレをより確実に抑制できる。
【0037】
また、本実施形態に係るクリアランスセンサ100において、電極部材10と絶縁部材20との間は、ネジ接合により係止される。従って、中心軸AXの軸線方向及び軸回り方向の両方について、電極部材10と絶縁部材20との間の位置ズレを抑制できる。
【0038】
上記した
図1に示す例では、電極部材10と絶縁部材20との間がネジ接合により係止された構成を例に挙げて説明したが、電極部材10と絶縁部材20との間を係止させる構成については、ネジ接合に限定されない。
【0039】
図2は、本実施形態に係るクリアランスセンサの他の例を示す図である。
図2は、中心軸AXを通る平面による断面構成の一例を示している。例えば、
図2にクリアランスセンサ200のように、電極部材10と絶縁部材20との間にピンを挿入することで、電極部材10と絶縁部材20とを係止する構成であってもよい。
【0040】
図2に示す例では、検出電極11と第1絶縁部材21との間にピン41が配置される。ピン41は、検出電極11の外周面と凹部11dとの間を貫通し、第1絶縁部材21の突出部21bの外周に差し込まれるように配置される。ピン41が配置されることにより、検出電極11と第1絶縁部材21との間は、中心軸AXの軸線方向及び軸回り方向についての移動が規制される。
【0041】
また、ガード電極12と第1絶縁部材21との間には、ピン42が配置される。ピン42は、ガード電極12の外周面と凹部12dとの間を貫通し、第1絶縁部材21の突出部21cの外周に差し込まれるように配置される。ピン42が配置されることにより、ガード電極12と第1絶縁部材21との間は、中心軸AXの軸線方向及び軸回り方向についての移動が規制される。
【0042】
また、ガード電極12と第2絶縁部材22との間には、ピン43が配置される。ピン43は、ガード電極12の外周面と凹部12gとの間を貫通し、第2絶縁部材22の突出部22bの外周に差し込まれるように配置される。ピン43が配置されることにより、ガード電極12と第2絶縁部材22との間は、中心軸AXの軸線方向及び軸回り方向についての移動が規制される。
【0043】
また、グランド電極13と第2絶縁部材22との間には、ピン44が配置される。ピン44は、グランド電極13の外周面と凹部13dとの間を貫通し、第2絶縁部材22の突出部22cの外周に差し込まれるように配置される。ピン44が配置されることにより、グランド電極13と第2絶縁部材22との間は、中心軸AXの軸線方向及び軸回り方向についての移動が規制される。
【0044】
ピン41、42、43、44は、それじれ、例えば中心軸AXの軸回り方向に複数配置される。ピン41、42、43、44は、例えば電極部材10と同様に金属又は合金を用いて形成される。なお、ピン41、42、43、44は、絶縁部材20と同様にセラミックス等の絶縁体を用いて形成されてもよい。
【0045】
以上のように、本実施形態に係るクリアランスセンサ200において、電極部材10と絶縁部材20との間は、ピン41、42、43、44が挿入されることで係止される。従って、中心軸AXの軸線方向及び軸回り方向の両方について、電極部材10と絶縁部材20との間の位置ズレを抑制できる。
【0046】
図3は、本実施形態に係るクリアランスセンサの他の例を示す図である。
図3に示すクリアランスセンサ300は、検出電極11とガード電極12との間、及びガード電極12とグランド電極13との間に、例えばアルミナ等の絶縁体からなるスペーサ部材が配置された構成である。他の構成については、上記構成(
図1に示す構成)と同様である。
【0047】
図3に示すように、スペーサ部材31は、検出電極11とガード電極12のガード円筒部12aとの間に配置される。スペーサ部材31は、例えばリング状であるが、これに限定されず、他の形状であってもよい。スペーサ部材31が配置されることで、検出電極11とガード円筒部12aとの間における位置ズレが抑制される。
図3に示す構成において、検出電極11の外周及びガード円筒部12aの内周にスペーサ部材31を収容する凹部がそれぞれ設けられてもよい。また、検出電極11、ガード円筒部12aが先端側に向けて縮径されたテーパ状の縮径部を有し、スペーサ部材31が検出電極11の縮径部とガード円筒部12aの縮径部との間に配置された構成であってもよい。これにより、スペーサ部材31の位置ズレが抑制される。
【0048】
スペーサ部材32は、ガード電極12のガード円筒部12aと、グランド電極13のグランド円筒部13aとの間に配置される。スペーサ部材32は、例えばリング状であるが、これに限定されず、他の形状であってもよい。スペーサ部材32が配置されることで、ガード円筒部12aとグランド円筒部13aとの間における位置ズレが抑制される。
図3に示す構成において、ガード円筒部12aの外周及びグランド円筒部13aの内周にスペーサ部材32を収容する凹部がそれぞれ設けられてもよい。また、ガード円筒部12a及びグランド円筒部13aが先端側に向けて縮径されたテーパ状の縮径部を有し、スペーサ部材32がガード円筒部12aの縮径部とグランド円筒部13aの縮径部との間に配置された構成であってもよい。これにより、スペーサ部材32の位置ズレが抑制される。
【0049】
以上のように、本実施形態に係るクリアランスセンサ300において、検出電極11とガード電極12との間、及びガード電極12とグランド電極13との間にスペーサ部材31、32が配置されることで、検出電極11とガード電極12のガード円筒部12aとの間の位置ズレ、及びガード電極12のガード円筒部12aとグランド電極13のグランド円筒部13aとの間の位置ズレを抑制できる。
【0050】
図4は、本実施形態に係るクリアランスセンサの他の例を示す図である。
図5は、
図4におけるA-A断面に沿った構成を示している。
図6は、
図5におけるB-B断面に沿った構成を示している。
図4から
図6に示すクリアランスセンサ400は、冷却流路が設けられた構成である。他の構成については、上記した構成(
図2に示す構成)と同様であるが、これに限定されず、上記した
図1に示す構成と同様であってもよい。
【0051】
図5及び
図6に示すように、冷却流路50は、中心軸AXの軸線方向に沿って電極部材10及び絶縁部材20を貫通する。冷却流路50は、中心軸AXの軸線方向視において中心軸AXを中心とした同心円上に複数配置される。各冷却流路50は、中心軸AXの軸線方向に沿った直線状に形成される。
【0052】
図5及び
図6に示す例において、冷却流路50は、例えばグランド電極13のグランド基部13bと、第2絶縁部材22の基部22aと、ガード電極12のガード基部12bと、第1絶縁部材21の基部21aと、検出電極11とを貫通する位置に設けられる。このように、冷却流路50は、電極部材10及び絶縁部材20のうち各基部に相当する部分に設けられる。
【0053】
冷却流路50には、例えば冷却用の空気等を流通させることができる。冷却用の空気は、例えば冷却流路50の基端側から先端側に向けて流すことができる。冷却流路50に冷却用の空気等を流通させることで、電極部材10及び絶縁部材20のうち各基部に相当する部分を効率的に冷却できる。これにより、クリアランスセンサ400の温度上昇を抑制できる。
【0054】
なお、
図4から
図6に示す例では、
図1又は
図2に示すような電極部材10と絶縁部材20とが係止された構成が採用される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、電極部材10と絶縁部材20とが形成されておらず、例えば嵌め合い等により接続された構成であってもよい。
【0055】
図7は、本実施形態に係るクリアランスセンサの他の例を示す図である。
図8は、
図7におけるC-C断面に沿った構成を示している。
図9は、
図7におけるD-D断面に沿った構成を示している。
図7から
図9に示すクリアランスセンサ500は、上記した
図4から
図6に示す冷却流路とは異なる態様の冷却流路51が設けられた構成である。他の構成については、上記した構成(
図2に示す構成)と同様であるが、これに限定されず、上記した
図1に示す構成と同様であってもよい。
【0056】
図7から
図9に示す例において、冷却流路51は、直線部51aと、集束部51bと、開口部51cとを有する。直線部51aは、例えばグランド電極13のグランド円筒部13aの内部に中心軸AXの軸線方向に沿って延びる。
図7に示すように、グランド円筒部13aの外周には、フランジ部13gが設けられる。グランド円筒部13aのうちフランジ部13gの先端側は、フランジ部13gの基端側に比べて径が大きくなっている。直線部51aは、フランジ部13gの基端側の端面からグランド円筒部13aの内部に向けて中心軸AXの軸線方向に沿って延びている。直線部51aは、グランド円筒部13aの先端側で集束部51bに接続される。直線部51aは、
図8に示すように、グランド円筒部13aの周方向に沿って複数配置される。複数の直線部51aは、例えばグランド円筒部13aの周方向に等ピッチで配置される。
【0057】
集束部51bは、グランド円筒部13aの先端側から径方向の内側に向けて延びる。集束部51bは、
図7に示すように、直線部51aとの接続部分から先端側にかけて中心軸AX側に傾斜する方向に延びている。また、集束部51bは、
図9に示すように、中心軸AXの軸線方向から見た場合、直線部51aとの接続部分から開口部51cの接線方向に向けて延びている。中心軸AXの軸線方向から見た場合に集束部51bが開口部51cの接線方向に向けて延びる構成とすることで、集束部51bが中心軸側に向けて延びる構成とした場合に比べて、集束部51bの長さを確保できる。このため、冷却空気を流通させた場合の冷却効率が高められる。
【0058】
開口部51cは、クリアランスセンサ500の先端側の端部に配置される。開口部51cは、検出電極11の外周とガード電極12のガード円筒部12aとの間に環状に形成される。
【0059】
冷却流路51には、例えば冷却用の空気等を流通させることができる。冷却用の空気は、例えば冷却流路51の直線部51aから集束部51bを経て開口部51cに向けて流れ、開口部51cから外部に放出される。冷却流路51に冷却用の空気等を流通させることで、電極部材10及び絶縁部材20のうち各基部に相当する部分を効率的に冷却できる。これにより、クリアランスセンサ500の温度上昇を抑制できる。
【0060】
なお、
図7から
図9に示す例では、
図1又は
図2に示すような電極部材10と絶縁部材20とが係止された構成が採用される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、電極部材10と絶縁部材20とが形成されておらず、例えば嵌め合い等により接続された構成であってもよい。
【0061】
また、クリアランスセンサは、例えば
図4から
図6で示したクリアランスセンサ400の冷却流路50と、
図7から
図9で示したクリアランスセンサ500の冷却流路51との両方の構成を有する態様であってもよい。これにより、クリアランスセンサの外周側から内部にかけて冷却することができるため、冷却効率が高められる。
【符号の説明】
【0062】
10 電極部材
11 検出電極
11a 検出端面
11b,12c,12f,13c 端面
11c 外周面
11d,12d,12g,13d 凹部
11e,12e,12h,13e,21d,21e,22d,22e ネジ山
11f,12i,13f 縮径部
12 ガード電極
12a ガード円筒部
12b ガード基部
13 グランド電極
13a グランド円筒部
13b グランド基部
13g フランジ部
14 配線部
15 管状部材
16 管状部品
20 絶縁部材
21 第1絶縁部材
21a,22a 基部
21b,21c,22b,22c 突出部
22 第2絶縁部材
30 絶縁層
31,32 スペーサ部材
41,42,43,44 ピン
50,51 冷却流路
51a 直線部
51b 集束部
51c 開口部
100,200,300,400,500 クリアランスセンサ
AX 中心軸