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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-14
(45)【発行日】2025-03-25
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器蓋及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/22 20060101AFI20250317BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20250317BHJP
【FI】
B65D51/22 100
B65D47/08 100
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021051237
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149198
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】杉山 尚
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-109017(JP,A)
【文献】特開2019-051959(JP,A)
【文献】特開2013-071762(JP,A)
【文献】特開2013-043691(JP,A)
【文献】特開2016-043953(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0217652(US,A1)
【文献】特開昭62-228705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D35/44-35/54
B65D39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器蓋前成形体と締結補助具とを組み合わせてなる合成樹脂製容器蓋にして、
該容器蓋前成形体は本体及び上蓋を含み、
該本体は閉塞壁と該閉塞壁の周縁から垂下する円筒形垂下壁とを有し、該閉塞壁には破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域が規定されており、
該上蓋は天面壁と該天面壁の周縁から垂下するスカート壁とを有し、該スカート壁の外周面が該本体の該垂下壁の外周面にヒンジ手段を介して連結されていて、該上蓋は該本体の該閉塞壁を覆う閉位置と該本体の該閉塞壁を露呈せしめる開位置との間を旋回自在であり、
該閉塞壁の該除去領域には上方に延出する接続柱が設けられ、該接続柱の先端面には凹所が形成されていると共に該天面壁には軸方向に貫通する穴が形成されており、該上蓋が該閉位置に位置せしめられると、該接続柱の先端部は該穴を通過して上方に延出し且つ該天面壁と該接続柱との間には隙間が存在し、
該締結補助具は環状であって該上蓋が該閉位置に位置せしめられたときに該接続柱の先端部に挿入されて該天面壁に形成された該穴に位置し、該締結補助具を介して該天面壁は該本体の該接続柱の先端部に着されている、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋。
【請求項2】
該閉塞壁の下面には、該除去領域の内側に接続された基端から該除去領域の外側に向かって該破断可能薄肉ラインを越えて下方に延出する沈降防止片が形成されている、請求項1に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項3】
該接続柱は該除去領域において直径方向に見て該ヒンジ手段が設けられた側とは反対側に位置する、請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項4】
本体及び上蓋を含み、
該本体は閉塞壁と該閉塞壁の周縁から垂下する円筒形垂下壁とを有し、該閉塞壁には破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域が規定されており、
該上蓋は天面壁と該天面壁の周縁から垂下するスカート壁とを有し、該スカート壁の外周面が該本体の該垂下壁の外周面にヒンジ手段を介して連結されていて、該上蓋は該本体の該閉塞壁を覆う閉位置と該本体の該閉塞壁を露呈せしめる開位置との間を旋回自在であり、
該閉塞壁の該除去領域には上方に延出する接続柱が設けられていると共に該天面壁には軸方向に貫通する穴が形成されており、該上蓋が該閉位置に位置せしめられると、該接続柱の先端部は該穴を通過して上方に延出する容器蓋前成形体を成形する容器蓋前成形体成形工程と、
該容器蓋前成形体成形工程の後に、該容器蓋前成形体の該上蓋を該閉位置にする容器蓋前成形体セット工程とを含む、合成樹脂製容器蓋の製造方法において、
該容器蓋前成形体セット工程の直後にあっては、該天面壁と該接続柱との間に隙間が存在し、
該容器蓋前成形体セット工程の後に、該接続柱の先端部に環状締結補助具を挿入してこれを該天面壁に形成された該穴に位置せしめ、該接続柱の先端部と該締結補助具とを固着させる締結補助具セット固着工程とを含む、ことを特徴とする製造方法。
【請求項5】
該締結補助具セット固着工程は、該接続柱の先端部に環状締結補助具を挿入してこれを該天面壁に形成された該穴に位置せしめる締結補助具セット工程と、
該締結補助具セット工程の後に、該接続柱の先端部と該締結補助具とを固着させる固着工程とを含む、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
該固着工程にあっては、加熱された押圧工具を該接続柱の先端部及び該締結補助具に作用せしめて、該締結補助具を介して該接続柱の先端部と該天面壁とを溶着させる、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
該容器蓋前成形体の該接続柱の先端面には凹所が形成されている、請求項に記載の製造方法。
【請求項8】
該容器蓋前成形体における該天面壁の上面には該穴の外周縁を囲繞した環状凹部が形成されている、請求項4乃至7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
該締結補助具は板状の基部と該基部の内周縁部から垂下する垂下部とを有する、請求項4乃至8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
該押圧工具の下面には円環突条が形成されている、請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器蓋前成形体と締結補助具とを組み合わせてなる合成樹脂製容器蓋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、本体及び上蓋を含み、該本体は閉塞壁と該閉塞壁の周縁から垂下する円筒形垂下壁とを有し、該閉塞壁には破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域が規定されており、該上蓋は天面壁と該天面壁の周縁から垂下するスカート壁とを有し、該スカート壁の外周面が該本体の該垂下壁の外周面にヒンジ手段を介して連結されていて、該上蓋は該本体の該閉塞壁を覆う閉位置と該本体の該閉塞壁を露呈せしめる開位置との間を旋回自在であり、該閉塞壁の該除去領域には上方に延出する接続柱が設けられていると共に該天面壁には軸方向に貫通する穴が形成されており、該上蓋が該閉位置に位置せしめられると、該接続柱の先端部は該穴を通過して上方に延出する合成樹脂製の容器蓋前成形体が開示されている。下記特許文献1には更に、上記容器蓋前成形体を成形した(容器蓋前成形体形成工程)後に上蓋を閉位置に位置せしめ(容器蓋前成形体セット工程)、その後に加熱された押圧工具を該接続柱の先端部に作用せしめて該接続柱の先端部と該天面壁とを固着(固着工程)させて容器蓋を製造する方法も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-109017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、上記特許文献1で開示された容器蓋及びその製造方法にあっては、容器蓋前成形体セット工程において接続柱の外周面が穴を規定する天面壁の内周面と当接することに起因して、上蓋が開位置から閉位置に向かって旋回せしめられた際に上蓋によって接続柱が下方に強制されることで閉塞壁に力が付加され、これによって閉塞壁に形成された破断可能薄肉ラインが意図せず破断せしめられてしまう虞がある。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、容器蓋前成形体セット工程において破断可能薄肉ラインが破断されることが防止される、新規の合成樹脂製容器蓋及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、上蓋が閉位置に位置せしめられた際には天面壁と接続柱との間に隙間が存在するようにし、天面壁と接続柱の先端部とを締結補助具を介して固着することで、上記主たる技術的課題を解決することができることを見出した。
【0007】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決することができる容器蓋として、容器蓋前成形体と締結補助具とを組み合わせてなる合成樹脂製容器蓋にして、
該容器蓋前成形体は本体及び上蓋を含み、
該本体は閉塞壁と該閉塞壁の周縁から垂下する円筒形垂下壁とを有し、該閉塞壁には破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域が規定されており、
該上蓋は天面壁と該天面壁の周縁から垂下するスカート壁とを有し、該スカート壁の外周面が該本体の該垂下壁の外周面にヒンジ手段を介して連結されていて、該上蓋は該本体の該閉塞壁を覆う閉位置と該本体の該閉塞壁を露呈せしめる開位置との間を旋回自在であり、
該閉塞壁の該除去領域には上方に延出する接続柱が設けられ、該接続柱の先端面には凹所が形成されていると共に該天面壁には軸方向に貫通する穴が形成されており、該上蓋が該閉位置に位置せしめられると、該接続柱の先端部は該穴を通過して上方に延出し且つ該天面壁と該接続柱との間には隙間が存在し、
該締結補助具は環状であって該上蓋が該閉位置に位置せしめられたときに該接続柱の先端部に挿入されて該天面壁に形成された該穴に位置し、該締結補助具を介して該天面壁は該本体の該接続柱の先端部に着されている、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋が提供される。
【0008】
好ましくは、該閉塞壁の下面には、該除去領域の内側に接続された基端から該除去領域の外側に向かって該破断可能薄肉ラインを越えて下方に延出する沈降防止片が形成されている。該接続柱は該除去領域において直径方向に見て該ヒンジ手段が設けられた側とは反対側に位置するのがよい。
【0009】
また、本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決することができる容器部の製造方法として、本体及び上蓋を含み、
該本体は閉塞壁と該閉塞壁の周縁から垂下する円筒形垂下壁とを有し、該閉塞壁には破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域が規定されており、
該上蓋は天面壁と該天面壁の周縁から垂下するスカート壁とを有し、該スカート壁の外周面が該本体の該垂下壁の外周面にヒンジ手段を介して連結されていて、該上蓋は該本体の該閉塞壁を覆う閉位置と該本体の該閉塞壁を露呈せしめる開位置との間を旋回自在であり、
該閉塞壁の該除去領域には上方に延出する接続柱が設けられていると共に該天面壁には軸方向に貫通する穴が形成されており、該上蓋が該閉位置に位置せしめられると、該接続柱の先端部は該穴を通過して上方に延出する容器蓋前成形体を成形する容器蓋前成形体成形工程と、
該容器蓋前成形体成形工程の後に、該容器蓋前成形体の該上蓋を該閉位置にする容器蓋前成形体セット工程とを含む、合成樹脂製容器蓋の製造方法において、
該容器蓋前成形体セット工程の直後にあっては、該天面壁と該接続柱との間に隙間が存在し、
該容器蓋前成形体セット工程の後に、該接続柱の先端部に環状締結補助具を挿入してこれを該天面壁に形成された該穴に位置せしめ、該接続柱の先端部と該締結補助具とを固着させる締結補助具セット固着工程とを含む、ことを特徴とする製造方法が提供される。
【0010】
好ましくは、該締結補助具セット固着工程は、該接続柱の先端部に環状締結補助具を挿入してこれを該天面壁に形成された該穴に位置せしめる締結補助具セット工程と、該締結補助具セット工程の後に、該接続柱の先端部と該締結補助具とを固着させる固着工程とを含む。この場合には、該固着工程にあっては、加熱された押圧工具を該接続柱の先端部及び該締結補助具に作用せしめて、該締結補助具を介して該接続柱の先端部と該天面壁とを溶着させるのが良い。該容器蓋前成形体の該接続柱の先端面には凹所が形成されている。該容器蓋前成形体における該天面壁の上面には該穴の外周縁を囲繞した環状凹部が形成されているのがよい。好適には、該締結補助具は板状の基部と該基部の内周縁部から垂下する垂下部とを有する。好適には、該押圧工具の下面には円環突条が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上蓋が閉位置に位置せしめられた際に天面壁と接続柱との間には隙間が存在し、天面壁と接続柱の先端部とは締結補助具を介して固着されることから、容器蓋前成形体セット工程において天面壁が接続柱を介して閉塞壁に力を付加することはなく、従って容器蓋前成形体セット工程において破断可能薄肉ラインが破断されることは防止される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態を示す断面図。
図2図1に示す合成樹脂製容器蓋の容器蓋前成形体において、上蓋が開位置にあるときの平面図。
図3図2に示す容器蓋前成形体の底面図。
図4図2に示す容器蓋前成形体のA-A線断面図。
図5図4において上蓋が閉位置に位置せしめられたときの図。
図6図1に示す合成樹脂製容器蓋の締結補助具を拡大して示す平面図。
図7図6の締結補助具のA-A線断面図。
図8図6の締結補助具の底面図。
図9図6に示す締結補助具を図2に示す容器蓋前成形体に組み合わせる工程を示す図。
図10図1に示す合成樹脂製容器蓋において上蓋を開方向に旋回せしめた状態の断面図。
図11図10に示す状態から上蓋を閉方向に旋回せしめてリシールした状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋及びその製造方法の好適実施形態について、更に詳述する。
【0014】
図1には、本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態であって、全体を番号2で示す容器蓋が示されている。かかる容器蓋2は図2乃至図5に示す容器蓋前成形体4と図6乃至図8に示す締結補助具6とを組み合わせてなる。
【0015】
図2乃至図5を参照して説明すると、容器蓋前成形体4はポリエチレン又はポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出成型によって成形され、本体8及び上蓋10を含んでいる。本体8は閉塞壁12と閉塞壁12の周縁から垂下する円筒形垂下壁14とを有している。閉塞壁12は平面視つまり図2において円形である。また、図4を参照することによって理解されるとおり、閉塞壁12は直径方向の一方から他方に向かってつまり同図の左側から右側に向かって上方に傾斜している。
【0016】
閉塞壁12には破断可能薄肉ライン16によって囲繞された除去領域18が規定されている。図2に示すとおり、除去領域18は平面視において直径方向の他方から一方に向かってつまり同図において右側から左側に向かって閉塞壁12の中央を通過して延びる先細り形状である。図4を参照することによって明確に理解される如く、破断可能薄肉ライン16は厚さを局部的に低減せしめるとこによって形成される所謂スコアから構成されている。閉塞壁12の除去領域18の中央部分には上方に隆起した中央突出柱20が形成されている。中央突出柱20は、容器蓋前成形体4を射出成型にて成形した際に、成型機から射出された溶融状態の合成樹脂材料が所要とおりに流動するために形成された流路の残留物である。中央突出柱20の上端面が所謂ゲート部でありこれは閉塞されている。閉塞壁12の除去領域18には上方に隆起した接続柱22も設けられている。接続柱22は除去領域18において直径方向に見て後述するヒンジ手段が設けられた側とは反対側つまり図2乃至図5において左側の端部に位置している。接続柱22は上下方向に見て中央突出柱20を超えて上方に延びている。図4と共に図2を参照して説明すると、接続柱22は、断面形状が所謂ホームベース形状である主部24と主部24の上方に位置して断面形状が円形である先端部26とに区画され、主部24と先端部26との境界には実質上水平で上方を向いた環状肩面28が規定されている。図2に示すとおり、主部24の断面形状における頂部24aは同図において左側を向いており、主部24の外周面において上記頂部とは反対側に位置する側面24bを除く側面の下端縁は破断可能薄肉ライン16の内周縁に接続されている。図2と共に図4を参照することによって理解されるとおり、主部24の頂部24aには、上下方向に延びる溝30が形成されている。また、主部24の内周面には環状突条32も形成されている。先端部26の上端面つまり接続柱22の先端面は閉塞されており、その中央には断面円形の凹所34が形成されている。図3及び図4に示されているとおり、閉塞壁12の下面には、除去領域18の内側に接続された基端から除去領域18の外側に向かって破断可能薄肉ライン16を越えて下方に延出する沈降防止片36が2つ形成されている。
【0017】
閉塞壁12の上面には、除去領域18の外周縁の外側を囲繞して上方に延出する略円筒形状の注出案内壁38が形成されている。注出案内壁38の上端部は半径方向外方に湾曲せしめられている。図4に示すとおり、注出案内壁38の上端位置は上下方向に見て接続柱22の肩面28よりも低く設定されている。そして、図4と共に図2を参照することによって理解されるとおり、注出案内壁38の上端位置は、図2において右側に位置する所要角度領域が他の角度領域よりも局所的に低くなるよう設定されている。閉塞壁12の上面の外周縁部には円筒形状の被係止壁40が形成されており、被係止壁40の外周面の上端部には環状の被係止突条42が形成されている。閉塞壁12の外周縁部の下面には、下方に垂下する円筒形状のシール壁44が形成されており、シール壁44の外周面は垂下壁14の内周面と径方向に間隔をおいて対向している。
【0018】
垂下壁14の内周面下端部には係止手段46が配設されている。図示の実施形態においては、係止手段46は周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個の弧状突条から構成されている。所望ならば、周方向に連続して延びる環状突条から係止手段46を構成することもできる。垂下壁14の外周面上端部において後述するヒンジ手段とは直径方向に見て反対側の部位には、弧状に延びる切欠47が形成されている。垂下壁14には更に、上面が開放された有底環状溝48及び軸線方向スリット50を含む公知の分別機構が設けられており、容器蓋2が後述する容器の口頸部に装着されて使用された後に所要操作をすることで容器蓋2を口頸部から分離して廃棄することが可能となる。かような分別機構の詳細については、例えば本願に先立って本願の出願人によって出願されて既に特許された特許第6326472号公報を参照されたい。
【0019】
図2乃至図5を参照して説明を続けると、上蓋10は円形天面壁52と天面壁52の周縁から垂下する円筒形スカート壁54とを有し、スカート壁54の外周面下端部が本体8の垂下壁14の外周面上端部にヒンジ手段56を介して連結されていて、上蓋10は本体8の閉塞壁12を覆う閉位置(図5に示す状態)と本体8の閉塞壁12を露呈せしめる開位置(図4に示す状態)との間を旋回自在である。天面壁52の所要位置には軸方向に貫通する円形の穴58が形成されている。穴58は天面壁52の下面から上面に向かって(図5に示す状態において)漸次拡径せしめられており、天面壁52の上面には穴58の外周縁を囲繞する環状凹部60が形成されている。穴58については後に更に言及する。天面壁52の下面には下方に垂下する内側円筒壁62及び外側円筒壁64が形成されており、内側円筒壁62及び外側円筒壁64の間には2条の環状浅溝66が形成されている。スカート壁54の外周面下端部において直径方向に見て上記ヒンジ手段56とは反対側の部位には、半径方向外方に突出する鍔部68が配設されており、上蓋10を旋回開閉動する際に鍔部68に指を掛けることができる。更に、スカート壁54の下面において直径方向に見て上記ヒンジ手段56とは反対側の部位には下方に突出する薄肉弧状突出片70が形成されている。スカート壁54の内周面下端には環状係止突条72が配設され、そしてまたスカート壁54の内周面には上記環状係止突条72よりも上方に位置する環状当接突条74も配設されている。図5を参照することによって明確に理解される如く、上蓋10が閉位置に位置せしめられると、上蓋10の環状係止突条72が上記本体8の被係止突条42の外周面乃至下面に係止され、上蓋10の環状当接突条74が上記本体8の被係止壁40の上端に当接され、上蓋10の突出片70が上記本体8の切欠47と整合せしめられ、上蓋10の内側円筒壁62の外周面が上記本体8の注出案内壁38の内周面に密接せしめられ、そしてまた上蓋10の穴58に上記本体8の接続柱22の先端部26が挿通せしめられて先端部26は穴58を貫通して上方に延出する。このとき、天面壁52と接続柱22との間には隙間76が存在することが重要である。
【0020】
締結補助具6について図6乃至図8を参照して説明を続けると、締結補助具6はポリエチレン又はポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出成形又は圧縮成形によって好都合に成形することができる。締結補助具6は全体的に環状であって、円環形状基部78と基部78の内周縁部から下方に垂下する円筒形状垂下部80とを有する。基部78の上面の内周縁部には切り欠き82が周方向に連続して形成されている。基部78の上面の外周縁部には環状突条84が形成されている。図示の実施形態においては、締結補助具6は容器蓋前成形体4と同一の合成樹脂材料によって成形されているが、必ずしも容器蓋前成形体4と同一の合成樹脂材料によって成形される必要はない。
【0021】
次に、図9を参照して、上述した容器蓋前成形体4と締結補助具6とを組み合わせて容器蓋2を製造する工程について説明する。先ず、上述したとおりの容器蓋前成形体4を成形し(容器蓋前成形体成形工程)、上蓋10を閉位置に位置せしめる(容器蓋前成形体セット工程)。図9(a)には、容器蓋前成形体セット工程直後の穴58と接続柱22の先端部26との様子が部分拡大断面図として示されている。上述したとおり、天面壁52と接続柱22との間には隙間76が存在することが重要である。
【0022】
容器蓋前成形体セット工程の後には締結補助具セット固着工程が遂行される。締結補助具セット固着工程ではまず、図9(b)に示すとおり、接続柱22の先端部26に容器蓋前成形体4とは別個に成形された締結補助具6を挿入してこれを天面壁52に形成された穴58に位置せしめる締結補助具セット工程が遂行される。図示の実施形態において締結補助具セット工程が遂行されると、締結補助具6の基部78が天面壁52に形成された環状凹部60内に位置せしめられて基部78の下面が天面壁52の上面に着座し、垂下部80の外周面は穴58を規定する天面壁52の内周面と当接するが、垂下部80の内周面は接続柱22の外周面から僅かに離隔する(垂下部80の内周面は接続柱22の外周面に近接する)。つまり、締結補助具6は接続柱22の先端部26に遊嵌状態で嵌合している。締結補助具6を接続柱22の先端部26に遊嵌状態で嵌合させる場合には、垂下部80の外周面及び内周面は夫々穴58を規定する天面壁52の内周面及び接続柱22の先端部26の外周面と近接乃至当接していてよい。
【0023】
締結補助具セット固着工程では、締結補助具セット工程の後に、接続柱22の先端部26と締結補助具6とを固着させる固着工程が遂行される。図示の実施形態の固着工程では、図9(c)に示すとおり、容器蓋前成形体4を治具86によって下方から支持し、加熱された押圧工具88を接続柱22の先端部26及び締結補助具6に作用せしめて、締結補助具6を介して接続柱22の先端部26と天面壁52とを溶着させる。このとき、接続柱22の先端部26の先端面には凹所34が形成されていること、及び締結補助具6の基部78の内周縁部の上面には切り欠き82が周方向に連続して形成されていることに起因して、押圧工具88が先端部26の先端面に作用せしめられた際、先端部26の一部が溶解して生成された合成樹脂材は先端部26の径方向外側に向かって円滑に溶出し、先端部26と締結補助具6との溶着が良好となると共に溶着後の天面壁52の仕上がりが外観上良好となる。更に、締結補助具6の基部78の外周縁部の上面には環状突条84が形成されていることに起因して、押圧工具88が環状突条84に作用せしめられた際に、環状突条84が溶解して生成された合成樹脂材は締結補助具6の径方向外側に向かって溶出することで、締結補助具6の外周縁が確実に環状凹部60において容器蓋前成形体4と溶着され、先端部26と締結補助具6との溶着が良好となると共に溶着後の天面壁52の仕上がりが外観上良好となる。更に、押圧工具88の下面は実質上水平であるがその外周縁部には円環突条90が形成されており、円環突条90は環状凹部60の外側においてこれを囲繞して天面壁52の上面に作用する。このとき、押圧工具88の作用によって先端部26及び締結補助具6の一部が溶解して合成樹脂材が生成されるものの、円環突条90の存在に起因して上記合成樹脂材が円環突条90を超えて径方向外方に溶出することが防止され、溶着後の天面壁52の仕上がりが外観上良好となる。かくして容器蓋2は製造され、上記固着工程の後に図9(d)に示すとおり治具86及び押圧工具88は容器蓋2から離脱せしめられる。
【0024】
所望ならば、固着工程では、加熱された押圧工具88を接続柱22の先端部26及び締結補助具6に作用せしめて、締結補助具6を介して接続柱22の先端部26と天面壁52とを溶着させることに替えて、接続柱22の先端部26と天面壁52とを締結補助具6を介して適宜の接着剤で接着してもよい。また、容器蓋前成形体4を治具86によって下方から支持すれば、押圧工具88を加熱することなく接続柱22の先端部26に上方から押し当ててこれを塑性変形させることで、接続柱22の先端部26と締結補助具6とを固着させることもできる。さらにまた、締結補助具セット固着工程においては、容器蓋前成形体4を治具86によって下方から支持すれば、締結補助具6を接続柱22に対して下方に強制して締結補助具6を接続柱22の先端部26に密嵌状態で嵌合させる、つまり締結補助具6の垂下部80を接続柱22の先端部26の外周面と穴58を規定する天面壁52の内周面との間に強固に噛み込ませることで、締結補助具セット工程と固着工程を同時に遂行することもできる。
【0025】
従って、本発明によれば、上蓋が閉位置に位置せしめられた際に天面壁と接続柱との間には隙間が存在し、天面壁と接続柱の先端部とは締結補助具を介して固着されることから、容器蓋前成形体セット工程において天面壁が接続柱を介して閉塞壁に力を付加することはなく、従って容器蓋前成形体セット工程において破断可能薄肉ラインが破断されることは防止される。
【0026】
図1には、本発明に従って構成された容器蓋2と共にかかる容器蓋2が適用される容器の口頸部も二点鎖線で図示されている。適宜の合成樹脂或いはガラスから形成することができる容器の口頸部100は上面が開放された円筒形状であり、その外周面上端部には被係止突条102が形成されている。口頸部100の外周面には、更に、被係止突条102の下方に位置するサポートリング104(このサポートリング104は容器を搬送する際に利用される)も形成されている。
【0027】
容器内に内容物を収容した後に口頸部100に容器蓋2を装着して口頸部100を密封する際には、容器蓋2を口頸部100に被嵌して下方に強制し、本体8を弾性的に変形せしめての垂下壁14の内周面に形成されている係止手段46を口頸部100の被係止突条102の下方に係止せしめる。容器の内容物を消費する際には、上蓋10の鍔部68の下面に指をかけ、鍔部68にヒンジ手段56を旋回中心とした上向きの力を加える。かくすると、かかる力は、締結補助具6と共に溶着されて一体となった天面壁52及び接続柱22を介して閉塞壁12に伝達され、閉塞壁12を上蓋10と共にヒンジ手段56を旋回中心として上方に変位させようとするため破断可能薄肉ライン16に剪断応力を生じさせ、破断可能薄肉ライン16を直径方向に見てヒンジ手段56とは反対側の一方から他方に向かって漸次破断せしめる。破断可能薄肉ライン16が完全に破断せしめられた後は、図10に示すとおり、除去領域18は接続柱22を介して上蓋10と一体となって開方向に旋回せしめられ、かくして閉塞壁12には排出開口が生成される。しかる後においては、容器を適宜に傾動することによって、容器の内容物は排出開口を通して排出される。
【0028】
内容物の排出を終了した後においては、上蓋10はヒンジ手段56を旋回中心として閉方向つまり閉塞壁12を覆う方向に旋回せしめられ、図11に示す状態となる。図11に示す状態は、図5に示す状態即ち容器蓋前成形体4の上蓋10が閉位置に位置せしめられた状態と殆ど同じであるが、沈降防止片36の下面が閉塞壁12の上面に当接している点で図5に示す状態とは異なる。沈降防止片36の下面が閉塞壁12の上面と当接することで、閉塞壁12から分離された除去領域18が閉塞壁12よりも下方に沈降せしめられることが防止される。これにより、上蓋10を再度開方向に旋回せしめる際に除去領域18の外周縁部が閉塞壁12の内周縁部と干渉してしまうことが回避され上蓋10は円滑に開方向に旋回せしめられる。
【符号の説明】
【0029】
2:容器蓋
4:容器蓋前成形体
6:締結補助具
8:本体
10:上蓋
12:閉塞壁
14:垂下壁
16:破断可能薄肉ライン
18:除去領域
22:接続柱
26:(接続柱の)先端部
52:天面壁
54:スカート壁
56:ヒンジ手段
58:穴
76:隙間
88:押圧工具
図1
図2
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図4
図5
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図10
図11