(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-14
(45)【発行日】2025-03-25
(54)【発明の名称】マイクロストリップ線路、露光用マスクおよびマイクロストリップ線路の評価方法
(51)【国際特許分類】
H01P 3/08 20060101AFI20250317BHJP
G01R 27/26 20060101ALI20250317BHJP
【FI】
H01P3/08 100
G01R27/26 H
G01R27/26 T
(21)【出願番号】P 2021131411
(22)【出願日】2021-08-11
【審査請求日】2024-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】512307000
【氏名又は名称】住ベリサーチ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】馬路 哲
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-524213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 3/08
G01R 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに表裏の関係を持つ第1面および第2面を有する誘電体層と、
前記第1面に設けられている接地導体と、
前記第2面に設けられ、線状に延在する第1ストリップ導体および第2ストリップ導体と、
前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体にそれぞれ隣り合うように前記第2面に設けられ、前記接地導体と導通しているパッド部と、
を備え、
前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体は、互いに幅が異なることを特徴とするマイクロストリップ線路。
【請求項2】
前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体は、互いに長さが等しい請求項1に記載のマイクロストリップ線路。
【請求項3】
前記第1ストリップ導体の長手方向の中心から一端に向かう方向を第1A方向とし、前記中心から他端に向かう方向を第1B方向とするとき、
前記パッド部は、前記第1ストリップ導体の前記一端に隣り合う第1Aパッドおよび前記第1ストリップ導体の前記他端に隣り合う第1Bパッドを有し、
前記第1Aパッドは、前記第1ストリップ導体の前記一端よりも前記第1B方向の位置から前記一端よりも前記第1A方向の位置に至るまで延在し、
前記第1Bパッドは、前記第1ストリップ導体の前記他端よりも前記第1A方向の位置から前記他端よりも前記第1B方向の位置に至るまで延在している請求項1または2に記載のマイクロストリップ線路。
【請求項4】
前記パッド部は、前記第1Aパッドおよび前記第1Bパッドをそれぞれ複数有する請求項3に記載のマイクロストリップ線路。
【請求項5】
前記第2ストリップ導体の長手方向の中心から一端に向かう方向を第2A方向とし、前記中心から他端に向かう方向を第2B方向とするとき、
前記パッド部は、前記第2ストリップ導体の前記一端に隣り合う第2Aパッドおよび前記第2ストリップ導体の前記他端に隣り合う第2Bパッドを有し、
前記第2Aパッドは、前記第2ストリップ導体の前記一端よりも前記第2B方向の位置から前記一端よりも前記第2A方向の位置に至るまで延在し、
前記第2Bパッドは、前記第2ストリップ導体の前記他端よりも前記第2A方向の位置から前記他端よりも前記第2B方向の位置に至るまで延在している請求項3または4に記載のマイクロストリップ線路。
【請求項6】
前記パッド部は、前記第2Aパッドおよび前記第2Bパッドをそれぞれ複数有する請求項5に記載のマイクロストリップ線路。
【請求項7】
前記パッド部の厚さは、前記第1ストリップ導体の厚さおよび前記第2ストリップ導体の厚さよりも厚い請求項1ないし6のいずれか1項に記載のマイクロストリップ線路。
【請求項8】
前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体は、互いに平行に延在している請求項1ないし7のいずれか1項に記載のマイクロストリップ線路。
【請求項9】
前記第1ストリップ導体と幅が等しく、長さが異なる第3ストリップ導体をさらに備える請求項1ないし8のいずれか1項に記載のマイクロストリップ線路。
【請求項10】
前記第2ストリップ導体と幅が等しく、長さが異なる第4ストリップ導体をさらに備える請求項1ないし9のいずれか1項に記載のマイクロストリップ線路。
【請求項11】
高周波の信号が入力され、高周波特性の評価に用いられる請求項1ないし10のいずれか1項に記載のマイクロストリップ線路。
【請求項12】
遮蔽部および透過部を有し、金属箔張積層板に対する露光処理に用いる露光用マスクであって、
前記遮蔽部の形状または前記透過部の形状は、前記金属箔張積層板に形成する線路パターンに対応しており、
前記線路パターンは、
互いに幅が異なり、線状に延在する第1ストリップ導体および第2ストリップ導体と、
前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体にそれぞれ隣り合うように設けられているパッド部と、
を備えることを特徴とする露光用マスク。
【請求項13】
互いに表裏の関係を持つ第1面および第2面を有する誘電体層、前記第1面に設けられている接地導体、ならびに、前記第2面に設けられ、互いに幅が異なり、線状に延在する第1ストリップ導体および第2ストリップ導体、を備えるマイクロストリップ線路を用意する工程と、
前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体について、透過特性を測定し、共振周波数および無負荷Q値を取得する工程と、
前記共振周波数および前記無負荷Q値に基づいて、前記マイクロストリップ線路の実効誘電率および実効導電率を算出する工程と、
を有することを特徴とするマイクロストリップ線路の評価方法。
【請求項14】
前記実効導電率に基づいて、前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体に対応する導体損失を算出する工程を有する請求項13に記載のマイクロストリップ線路の評価方法。
【請求項15】
前記導体損失に基づいて、前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体に対応する誘電体損失を算出する工程を有する請求項14に記載のマイクロストリップ線路の評価方法。
【請求項16】
前記共振周波数、前記無負荷Q値および前記誘電体損失に基づいて、前記誘電体層の比誘電率および誘電正接を算出する工程を有する請求項15に記載のマイクロストリップ線路の評価方法。
【請求項17】
前記マイクロストリップ線路は、前記第1ストリップ導体に隣り合うように前記第2面に設けられ、前記接地導体と導通しているパッド部を備え、
前記共振周波数および前記無負荷Q値を取得する工程は、
シグナル端子およびグランド端子を備える高周波プローブを前記マイクロストリップ線路に近づける操作と、
前記グランド端子を前記パッド部に接触させるとともに、前記シグナル端子を前記第1ストリップ導体から離れた位置に配置する操作と、
を含む請求項13ないし16のいずれか1項に記載のマイクロストリップ線路の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロストリップ線路、露光用マスクおよびマイクロストリップ線路の評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロ波帯よりも周波数が高いミリ波帯の電磁波を活用する取り組みが進んでいる。ミリ波帯の電磁波を利用する電子機器では、ミリ波帯に対応した高周波回路が用いられる。このような高周波回路では、高周波域における伝送損失の低減が課題となっている。
【0003】
このような背景から、ミリ波帯のような高周波域に対応する低損失材料の開発が進められている。高周波回路は、主に誘電体基板と導体線路とで構成されるが、これらの構成要素は、いずれも高周波域における伝送損失に影響を及ぼす。したがって、伝送損失が発生する原因を詳細に理解するためには、高周波域において高周波回路の導体損失および誘電体損失を個別に計測する技術が必要となる。
【0004】
従来、誘電体および導体について、それぞれ単体としての高周波特性を測定する方法は知られている。しかしながら、伝送損失は、誘電体基板の構造や導体線路の表面粗さといった高周波回路の構造に影響を受ける。そうすると、誘電体や導体の単体としての高周波特性から高周波回路の状態における誘電体損失や導体損失を精度よく算出することは困難である。
【0005】
そこで、特許文献1には、マイクロストリップ線路の伝送損失から、高周波回路の状態における誘電体損失と導体損失をそれぞれ個別に求める方法が開示されている。
【0006】
具体的には、特許文献1には、第1のマイクロストリップ線路および第2のマイクロストリップ線路の各全損失を測定する工程と、各マイクロストリップ線路が有するストリップ導体の導体損失を計算する工程と、計算結果から誘電体損失を求める工程と、を有する誘電特性の算出方法が開示されている。第1のマイクロストリップ線路および第2のマイクロストリップ線路は、誘電体材料の材質が互いに同じである一方、誘電体材料からなる絶縁基板の板厚が互いに異なっている。この関係を利用することで、各ストリップ導体の導体損失を計算することができる。
【0007】
また、第1のマイクロストリップ線路から求めた全損失とストリップ導体の導体損失との間に成り立つ関係式、および、第2のマイクロストリップ線路から求めた全損失とストリップ導体の導体損失との間に成り立つ関係式を用いて、誘電体損失を算出することができる。
【0008】
以上の算出方法によれば、マイクロストリップ線路の導体損失および誘電体損失の双方を求めることができる。このようにして伝送損失を要因ごとに分離することができれば、高周波回路に生じる伝送損失の原因を容易に理解することができ、新たな高周波回路の開発に資する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の発明では、板厚が互いに異なる複数の絶縁基板を用意する必要がある。絶縁基板は、厚さが異なると、内部構造も異なることが多い。このため、板厚が異なる絶縁基板を用いた評価方法では、試料の準備に手間がかかるとともに、厚さの異なる絶縁基板の内部構造に影響を受けて、誘電体損失や導体損失の計測精度が低下するという課題がある。
【0011】
また、従来の評価方法として、トリプレート線路共振器法、誘電体共振器法等が知られている。これらは、マイクロ波帯における高周波回路の評価は可能であるが、ミリ波帯における高周波回路の評価は困難である。
【0012】
本発明の目的は、ミリ波帯のような高周波の信号が入力される場合でも、高周波回路の誘電特性および導電特性を高い精度で効率よく計測可能なマイクロストリップ線路およびその評価方法、ならびに、前記マイクロストリップ線路を製造するのに用いられる露光用マスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的は、下記(1)~(17)の本発明により達成される。
(1) 互いに表裏の関係を持つ第1面および第2面を有する誘電体層と、
前記第1面に設けられている接地導体と、
前記第2面に設けられ、線状に延在する第1ストリップ導体および第2ストリップ導体と、
前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体にそれぞれ隣り合うように前記第2面に設けられ、前記接地導体と導通しているパッド部と、
を備え、
前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体は、互いに幅が異なることを特徴とするマイクロストリップ線路。
【0014】
(2) 前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体は、互いに長さが等しい上記(1)に記載のマイクロストリップ線路。
【0015】
(3) 前記第1ストリップ導体の長手方向の中心から一端に向かう方向を第1A方向とし、前記中心から他端に向かう方向を第1B方向とするとき、
前記パッド部は、前記第1ストリップ導体の前記一端に隣り合う第1Aパッドおよび前記第1ストリップ導体の前記他端に隣り合う第1Bパッドを有し、
前記第1Aパッドは、前記第1ストリップ導体の前記一端よりも前記第1B方向の位置から前記一端よりも前記第1A方向の位置に至るまで延在し、
前記第1Bパッドは、前記第1ストリップ導体の前記他端よりも前記第1A方向の位置から前記他端よりも前記第1B方向の位置に至るまで延在している上記(1)または(2)に記載のマイクロストリップ線路。
【0016】
(4) 前記パッド部は、前記第1Aパッドおよび前記第1Bパッドをそれぞれ複数有する上記(3)に記載のマイクロストリップ線路。
【0017】
(5) 前記第2ストリップ導体の長手方向の中心から一端に向かう方向を第2A方向とし、前記中心から他端に向かう方向を第2B方向とするとき、
前記パッド部は、前記第2ストリップ導体の前記一端に隣り合う第2Aパッドおよび前記第2ストリップ導体の前記他端に隣り合う第2Bパッドを有し、
前記第2Aパッドは、前記第2ストリップ導体の前記一端よりも前記第2B方向の位置から前記一端よりも前記第2A方向の位置に至るまで延在し、
前記第2Bパッドは、前記第2ストリップ導体の前記他端よりも前記第2A方向の位置から前記他端よりも前記第2B方向の位置に至るまで延在している上記(3)または(4)に記載のマイクロストリップ線路。
【0018】
(6) 前記パッド部は、前記第2Aパッドおよび前記第2Bパッドをそれぞれ複数有する上記(5)に記載のマイクロストリップ線路。
【0019】
(7) 前記パッド部の厚さは、前記第1ストリップ導体の厚さおよび前記第2ストリップ導体の厚さよりも厚い上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のマイクロストリップ線路。
【0020】
(8) 前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体は、互いに平行に延在している上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のマイクロストリップ線路。
【0021】
(9) 前記第1ストリップ導体と幅が等しく、長さが異なる第3ストリップ導体をさらに備える上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のマイクロストリップ線路。
【0022】
(10) 前記第2ストリップ導体と幅が等しく、長さが異なる第4ストリップ導体をさらに備える上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のマイクロストリップ線路。
【0023】
(11) 高周波の信号が入力され、高周波特性の評価に用いられる上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のマイクロストリップ線路。
【0024】
(12) 遮蔽部および透過部を有し、金属箔張積層板に対する露光処理に用いる露光用マスクであって、
前記遮蔽部の形状または前記透過部の形状は、前記金属箔張積層板に形成する線路パターンに対応しており、
前記線路パターンは、
互いに幅が異なり、線状に延在する第1ストリップ導体および第2ストリップ導体と、
前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体にそれぞれ隣り合うように設けられているパッド部と、
を備えることを特徴とする露光用マスク。
【0025】
(13) 互いに表裏の関係を持つ第1面および第2面を有する誘電体層、前記第1面に設けられている接地導体、ならびに、前記第2面に設けられ、互いに幅が異なり、線状に延在する第1ストリップ導体および第2ストリップ導体、を備えるマイクロストリップ線路を用意する工程と、
前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体について、透過特性を測定し、共振周波数および無負荷Q値を取得する工程と、
前記共振周波数および前記無負荷Q値に基づいて、前記マイクロストリップ線路の実効誘電率および実効導電率を算出する工程と、
を有することを特徴とするマイクロストリップ線路の評価方法。
【0026】
(14) 前記実効導電率に基づいて、前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体に対応する導体損失を算出する工程を有する上記(13)に記載のマイクロストリップ線路の評価方法。
【0027】
(15) 前記導体損失に基づいて、前記第1ストリップ導体および前記第2ストリップ導体に対応する誘電体損失を算出する工程を有する上記(14)に記載のマイクロストリップ線路の評価方法。
【0028】
(16) 前記共振周波数、前記無負荷Q値および前記誘電体損失に基づいて、前記誘電体層の比誘電率および誘電正接を算出する工程を有する上記(15)に記載のマイクロストリップ線路の評価方法。
【0029】
(17) 前記マイクロストリップ線路は、前記第1ストリップ導体に隣り合うように前記第2面に設けられ、前記接地導体と導通しているパッド部を備え、
前記共振周波数および前記無負荷Q値を取得する工程は、
シグナル端子およびグランド端子を備える高周波プローブを前記マイクロストリップ線路に近づける操作と、
前記グランド端子を前記パッド部に接触させるとともに、前記シグナル端子を前記第1ストリップ導体から離れた位置に配置する操作と、
を含む上記(13)ないし(16)のいずれかに記載のマイクロストリップ線路の評価方法。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ミリ波帯のような高周波の信号を伝送する場合でも、高周波回路の誘電特性および導電特性を高い精度で効率よく計測可能なマイクロストリップ線路が得られる。
【0031】
また、本発明によれば、高周波回路の誘電特性および導電特性を高い精度で求めることができるマイクロストリップ線路の評価方法を提供することができる。
【0032】
さらに、本発明によれば、露光処理を経てマイクロストリップ線路を製造するとき、高周波回路の誘電特性および導電特性を高い精度で効率よく計測し得るマイクロストリップ線路を製造可能な露光用マスクが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施形態に係るマイクロストリップ線路を示す平面図である。
【
図3】
図1に示すマイクロストリップ線路を評価する方法を説明するための斜視図である。
【
図4】実施形態に係るマイクロストリップ線路の評価方法を説明するためのフローチャートである。
【
図5】マイクロストリップ線路の透過特性を示す波形の一例である。
【
図6】互いに幅wが異なる5つのストリップ導体について測定した透過特性を示す波形の例を重ねた図である。
【
図7】互いに幅wが異なる5つのストリップ導体から取得された無負荷Q値Q
0を直交座標系にプロットして作成したグラフである。
【
図8】マイクロストリップ線路の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図8に示す露光工程を説明するための模式図である。
【
図10】
図9に示す露光工程に用いられる露光用マスクの一例を示す平面図である。
【
図11】第1変形例に係るマイクロストリップ線路を示す平面図である。
【
図12】共振周波数f
rおよび無負荷Q値Q
0を取得する共振点の次数を、ストリップ導体同士で同じにした場合(a)と、ストリップ導体同士で異ならせた場合(b)とで、透過特性を示す波形の例を比較した図である。
【
図13】第2変形例に係るマイクロストリップ線路を示す平面図である。
【
図14】第2変形例に係るマイクロストリップ線路の評価方法を説明するための斜視図である。
【
図15】第3変形例に係るマイクロストリップ線路を示す平面図である。
【
図16】第4変形例に係るマイクロストリップ線路を示す断面図である。
【
図17】第5変形例に係るマイクロストリップ線路を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明のマイクロストリップ線路、露光用マスクおよびマイクロストリップ線路の評価方法について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0035】
1.マイクロストリップ線路
まず、実施形態に係るマイクロストリップ線路について説明する。
【0036】
図1は、実施形態に係るマイクロストリップ線路1を示す平面図である。
図2は、
図1のX1-X1線断面図である。
図3は、
図1に示すマイクロストリップ線路を評価する方法を説明するための斜視図である。
【0037】
なお、本願の各図では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を設定し、矢印で示している。そして、矢印の基端側を各軸の「マイナス側」、矢印の先端側を各軸の「プラス側」という。また、本願明細書では、Z軸上の視点から見ることを「平面視」という。
【0038】
図1および
図2に示すマイクロストリップ線路1は、誘電体層2と、導体部3と、を備える。本実施形態に係るマイクロストリップ線路1は、半波長共振器のような共振器として機能する。このようなマイクロストリップ線路1は、例えば、
図3に示す高周波用プローブ81、82や図示しない同軸コネクター等を用い、ネットワークアナライザー9等の測定器と接続され、例えば透過特性S
21が測定されることにより、高周波域における誘電体層2の誘電特性や導体部3の導電特性の評価、すなわち高周波特性の評価に用いられる。
【0039】
誘電体層2は、誘電体で構成され、例えばプリント配線基板の絶縁基板に相当する。誘電体層2は、
図2に示すように、互いに表裏の関係を持つ第1面201および第2面202を有する。
【0040】
誘電体としては、例えば、フッ素樹脂、液晶ポリマー、ポリイミドのような樹脂材料、アルミナ、シリカのようなセラミックス材料、ホウケイ酸ガラスのようなガラス材料、ガラスエポキシ材料、ガラスセラミックス材料のような複合材料等が挙げられる。
【0041】
図2では、誘電体層2の厚さをhとする。誘電体層2の厚さhは、特に限定されないが、例えば、0.001mm以上2.0mm以下であるのが好ましく、0.05mm以上0.30mm以下であるのがより好ましい。
【0042】
導体部3は、導体で構成され、例えばプリント配線基板の配線に相当する。導体部3は、
図1および
図2に示すように、接地導体30と、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312と、パッド部33と、ビア配線34と、を備える。
【0043】
接地導体30は、誘電体層2の第1面201に設けられた導体である。接地導体30は、第1面201側から第2面202を透視したとき、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312を少なくとも覆う範囲に設けられていればよい。
【0044】
第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312は、誘電体層2の第2面202に設けられた導体である。第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312は、それぞれY軸方向に延在する線状をなしている。本明細書では、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312のY軸に沿う長さを「長さ」といい、X軸に沿う長さを「幅」といい、Z軸に沿う長さを「厚さ」という。また、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312は、X軸に沿って並んでいる。
【0045】
図1では、第1ストリップ導体311の幅をw1とし、第2ストリップ導体312の幅をw2とする。本実施形態では、幅w1および幅w2が、w1<w2の関係を満たしている。マイクロストリップ線路1が、互いに幅が異なる第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312を備えることにより、後述する評価方法において、誘電体層2の実効誘電率および導体部3の実効導電率を容易に求めることができる。なお、幅w1および幅w2は、特に限定されないが、20~5000μmであるのが好ましく、50~300μmであるのがより好ましい。
【0046】
図1では、第1ストリップ導体311の長さをL1とし、第2ストリップ導体312の長さをL2とする。本実施形態では、長さL1および長さL2が、L1=L2の関係を満たしている。長さL1、L2は、高周波特性を測定する周波数に応じて適宜設定される。なお、長さL1および長さL2は、特に限定されないが、0.05~100mmであるのが好ましく、0.5~40mmであるのがより好ましい。
【0047】
パッド部33は、誘電体層2の第2面202に設けられた導体である。パッド部33は、ビア配線34を介して接地導体30と電気的に接続されている。
【0048】
パッド部33は、
図1に示すように、2つの第1Aパッド335A、335Aと、2つの第1Bパッド335B、335Bと、を有する。
【0049】
2つの第1Aパッド335A、335Aは、第1ストリップ導体311の一端331に隣り合うように設けられている。具体的には、第1Aパッド335Aは、第1ストリップ導体311の一端331のX軸プラス側とX軸マイナス側にそれぞれ隣り合って設けられている。
【0050】
また、本実施形態では、第1ストリップ導体311の一端331と、2つの第1Aパッド335A、335Aとで、Y軸プラス側の端部の位置がずれている。具体的には、
図1に示すように、第1Aパッド335Aの第1A方向の端部が、第1ストリップ導体311の一端331よりも第1A方向に位置している。第1A方向は、第1ストリップ導体311の長手方向の中心から一端331に向かう方向である。なお、
図1では、第1A方向を「1A」と表記している。
【0051】
2つの第1Bパッド335B、335Bは、第1ストリップ導体311の他端332に隣り合うように設けられている。具体的には、第1Bパッド335Bは、第1ストリップ導体311の他端332のX軸プラス側とX軸マイナス側にそれぞれ隣り合って設けられている。
【0052】
また、本実施形態では、第1ストリップ導体311の他端332と、2つの第1Bパッド335B、335Bとで、Y軸マイナス側の端部の位置がずれている。具体的には、
図1に示すように、第1Bパッド335Bの第1B方向の端部が、第1ストリップ導体311の他端332よりも第1B方向に位置している。第1B方向は、第1ストリップ導体311の長手方向の中心から他端332に向かう方向である。なお、
図1では、第1B方向を「1B」と表記している。
【0053】
パッド部33は、
図1に示すように、2つの第2Aパッド336A、336Aと、2つの第2Bパッド336B、336Bと、を有する。
【0054】
2つの第2Aパッド336A、336Aは、第2ストリップ導体312の一端333に隣り合うように設けられている。具体的には、第2Aパッド336Aは、第2ストリップ導体312の一端333のX軸プラス側とX軸マイナス側にそれぞれ隣り合って設けられている。
【0055】
また、本実施形態では、第2ストリップ導体312の一端333と、2つの第2Aパッド336A、336Aとで、Y軸プラス側の端部の位置がずれている。具体的には、
図1に示すように、第2Aパッド336Aの第2A方向の端部が、第2ストリップ導体312の一端333よりも第2A方向に位置している。第2A方向は、第2ストリップ導体312の長手方向の中心から一端333に向かう方向である。なお、
図1では、第2A方向を「2A」と表記している。
【0056】
2つの第2Bパッド336B、336Bは、第2ストリップ導体312の他端334に隣り合うように設けられている。具体的には、第2Bパッド336Bは、第2ストリップ導体312の他端334のX軸プラス側とX軸マイナス側にそれぞれ隣り合って設けられている。
【0057】
また、本実施形態では、第2ストリップ導体312の他端334と、2つの第2Bパッド336B、336Bとで、Y軸マイナス側の端部の位置がずれている。具体的には、
図1に示すように、第2Bパッド336Bの第2B方向の端部が、第2ストリップ導体312の他端334よりも第2B方向に位置している。第2B方向は、第2ストリップ導体312の長手方向の中心から他端334に向かう方向である。なお、
図1では、第2B方向を「2B」と表記している。
【0058】
なお、ずれG1A、G1B、G2A、G2Bの長さは、それぞれ、特に限定されないが、30μm以上3mm以下であるのが好ましく、100μm以上1mm以下であるのがより好ましい。これにより、高周波特性の測定精度を低下させることなく、高周波プローブ81、82の位置合わせを容易に行うことができる。
【0059】
ビア配線34は、第1Aパッド335A、第1Bパッド335B、第2Aパッド336Aおよび第2Bパッド336Bと、接地導体30と、をそれぞれ電気的に接続するように、誘電体層2を貫通する配線である。
【0060】
このような導体部3を構成する導体としては、例えば、Cu、Al、Ni、Ag、Au等の単体またはこれらの少なくとも1種を含む合金等が挙げられる。なお、導体部3は、単層であっても、組成の異なる層が積層された多層であってもよい。
【0061】
なお、パッド部33の平面視形状は、図示した形状に限定されない。例えば、パッド部33は、第1Aパッド335A、第1Bパッド335B、第2Aパッド336Aおよび第2Bパッド336B以外の部位を備えていてもよい。かかる部位としては、例えば、第1ストリップ導体311、第1Aパッド335Aおよび第1Bパッド335Bで構成される構造単位を取り囲む枠体、第2ストリップ導体312、第2Aパッド336Aおよび第2Bパッド336Bで構成される構造単位を取り囲む枠体、複数の構造単位をまとめて取り囲む枠体等が挙げられる。
【0062】
2.マイクロストリップ線路の評価方法
次に、マイクロストリップ線路の評価方法について説明する。以下の説明では、
図1および
図2に示すマイクロストリップ線路1を評価対象として説明する。なお、以下の説明では、マイクロストリップ線路1の第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312を、単に「ストリップ導体」ということがある。
【0063】
図4は、実施形態に係るマイクロストリップ線路の評価方法を説明するためのフローチャートである。
【0064】
図4に示すマイクロストリップ線路の評価方法は、準備工程S102と、測定工程S104と、第1演算工程S106と、第2演算工程S108と、第3演算工程S110と、第4演算工程S112と、を有する。
【0065】
2.1.準備工程
準備工程S102では、前述したマイクロストリップ線路1を用意する。また、マイクロストリップ線路1に高周波信号を入力するネットワークアナライザー9、および、ネットワークアナライザー9とマイクロストリップ線路1とを電気的に接続する高周波プローブ81、82、を用意する。
【0066】
ネットワークアナライザー9には、例えばベクトルネットワークアナライザーが用いられる。ネットワークアナライザー9において入出力される高周波信号の周波数は、特に限定されないが、0.1~1000GHzであるのが好ましく、1~300GHzであるのがより好ましく、10~300GHzであるのがさらに好ましい。
【0067】
高周波プローブ81は、2つの接地プローブ81G、81Gと、1つの信号プローブ81Sと、を備えるGSGプローブである。高周波プローブ82は、2つの接地プローブ82G、82Gと、1つの信号プローブ82Sと、を備えるGSGプローブである。
【0068】
なお、マイクロストリップ線路1が備える第1ストリップ導体311の長さL1および第2ストリップ導体312の長さL2は、それぞれ、測定しようとする高周波特性の周波数に応じて、下記式(1)により求められる。
【0069】
【0070】
上記式(1)のLは、第1ストリップ導体311の長さL1[m]および第2ストリップ導体312の長さL2[m]である。εeffは、マイクロストリップ線路1の実効誘電率である。mは、正の整数であり、好ましくは1~15の整数とされる。cは、光速(3×108[m/s])である。frは、共振周波数[Hz]である。
【0071】
測定しようとする高周波特性の周波数に近い値を共振周波数frとして選択することで、上記式(1)に基づいて、高周波特性の測定に適した長さL1、L2が求められる。
また、上記式(1)の実効誘電率εeffは、下記式(2)により求められる。
【0072】
【0073】
上記式(2)のεrは、誘電体層2の比誘電率である。hは、誘電体層2の厚さ[m]である。wは、第1ストリップ導体311の幅w1[m]および第2ストリップ導体312の幅w2[m]である。Bは、厚さh、幅wおよび比誘電率εrから決まる定数であり、特に限定されないが、例えば0.5~0.6程度とできる。
【0074】
また、幅w1[m]および幅w2[m]は、それぞれ、誘電体層2の厚さh[m]およびマイクロストリップ線路1の特性インピーダンスZ0に応じて適宜設定されるのが好ましい。
【0075】
マイクロストリップ線路1の特性インピーダンスZ0は、下記式(3)により求められる。
【0076】
【0077】
上記式(3)で求められるマイクロストリップ線路1の特性インピーダンスZ0は、ネットワークアナライザー9や高周波プローブ81、82の特性を踏まえて、例えば30~300Ωの範囲内に収められるのが好ましい。Aは、厚さhおよび幅wから決まる定数であり、特に限定されないが、例えば6.0程度とできる。これらの値と誘電体層2の一般的な比誘電率εrとを踏まえると、w/hは、0.001~8.0程度に設定されるのが好ましい。これにより、高周波特性の測定に適した幅w1および幅w2が求められる。
【0078】
以上、長さL1、L2および幅w1、w2の設定方法について説明したが、これらの設定方法は上記の方法に限定されない。
【0079】
2.2.測定工程
測定工程S104では、マイクロストリップ線路1について、透過特性を測定する。具体的には、高周波プローブ81、82をマイクロストリップ線路1に接触させる。そして、ネットワークアナライザー9から高周波プローブ81を介して、マイクロストリップ線路1に高周波信号を供給し、共振を生じさせる。次に、高周波プローブ82を介してネットワークアナライザー9で透過特性S21を測定する。そして、透過特性から共振周波数frおよび無負荷Q値Q0を取得する。
【0080】
測定工程S104では、まず、第1ストリップ導体311について透過特性を測定する。
【0081】
具体的には、高周波プローブ81の2つの接地プローブ81G、81Gを、2つの第1Aパッド335A、335Aに接触させ、高周波プローブ81の信号プローブ81Sを、第1ストリップ導体311から離した位置に配置する。同様に、高周波プローブ82の2つの接地プローブ82G、82Gを、2つの第1Bパッド335B、335Bに接触させ、高周波プローブ82の信号プローブ82Sを、第1ストリップ導体311から離した位置に配置する。
【0082】
そして、マイクロストリップ線路1を通過した高周波信号をネットワークアナライザー9で検出すると、例えば、
図5に示すような透過特性を示す波形が得られる。なお、上述したマイクロストリップ線路1と高周波プローブ81、82との間の接触状態の再現性を高めるという観点から、第1ストリップ導体311、第2ストリップ導体312およびパッド部33の厚さは、互いに同じであるのが好ましい。
【0083】
図5は、マイクロストリップ線路1の透過特性を示す波形の一例である。
図5に示す波形では、2つのピークP1、P2が認められる。ピークP1は、基本共振(1次共振モード)に対応する共振点である。ピークP2は、高次共振(2次共振モード)に対応する共振点である。
【0084】
次に、ピークP1、P2のいずれかの周波数を共振周波数frとして取得する。ここでは、一例として、ピークP1の周波数を共振周波数frとして取得する。
【0085】
次に、ピークP1の波形から無負荷Q値Q0を取得する。無負荷Q値Q0の取得には、例えば半値幅法が用いられる。
【0086】
以上により、第1ストリップ導体311について透過特性が測定され、共振周波数frおよび無負荷Q値Q0を取得することができる。
【0087】
測定工程S104では、続いて、第2ストリップ導体312について透過特性を測定する。
【0088】
第2ストリップ導体312についての透過特性の測定は、第1ストリップ導体311についての透過特性の測定と同様にして行う。
【0089】
以上により、第2ストリップ導体312について透過特性が測定され、共振周波数frおよび無負荷Q値Q0を取得することができる。
【0090】
なお、以上の説明では、第1ストリップ導体311と第2ストリップ導体312について、それぞれ共振周波数frおよび無負荷Q値Q0を取得しているが、互いに幅wが異なる3つ以上のストリップ導体について、それぞれ共振周波数frおよび無負荷Q値Q0を取得するのが好ましい。これにより、後述する演算工程において求められる実効導電率等の算出精度を高めることができる。
【0091】
一例として、
図6は、互いに幅wが異なる5つのストリップ導体について測定した透過特性を示す波形の例を重ねた図である。この例では、各透過特性が80GHz付近に共振周波数f
rを持つ。ストリップ導体の幅wを80μmから240μmにかけて変化させることにより、
図6に示す波形では、共振点に対応するピークの位置がシフトしていること、および、ピークの鋭さが変化していることがわかる。つまり、ストリップ導体の幅wに応じて共振周波数f
rおよび無負荷Q値Q
0が変化することが読み取れる。したがって、マイクロストリップ線路1は、幅wが異なるストリップ導体を3つ以上備えているのが好ましく、5つ以上備えているのがより好ましい。
【0092】
2.3.第1演算工程
第1演算工程S106では、まず、測定工程S104で取得した共振周波数frを用いて、下記式(5)により、位相定数βを算出する。
【0093】
【0094】
上記式(5)のmは、正の整数であり、取得した共振周波数frに対応する共振モードの次数である。例えば、1次共振(基本共振)モードであれば、次数mは1であり、2次共振モードであれば、次数mは2である。
【0095】
上記式(5)から、マイクロストリップ線路1の位相定数βおよび実効誘電率εeffが求められる。実効誘電率εeffは、誘電体層2の厚さ方向に発生させた電界に基づいて求められた値である。このため、上記式(5)に基づいて求められた実効誘電率εeffは、面方向と厚さ方向とで内部構造に異方性がある誘電体層2であっても、この異方性を良好に反映したものとなる。
【0096】
第1演算工程S106では、次に、求めた実効誘電率εeffを用いて、下記式(3)により、各ストリップ導体の特性インピーダンスZ0を算出する。
【0097】
【0098】
以上のようにして、位相定数β、実効誘電率εeff、および特性インピーダンスZ0を求める。
【0099】
ここで、無負荷Q値Q0と、導体Q値Qcおよび誘電体Q値Qdと、位相定数β、導体損失αcおよび誘電体損失αdとの間には、下記式(6)が成り立つ。
【0100】
【0101】
一方、導体Q値Qcと導体損失αcとの間には、下記式(7)が成り立つ。
【0102】
【0103】
また、導体損失αcとストリップ導体の幅wとの間には、下記式(8)が成り立つ。
【0104】
【0105】
そうすると、上記式(7)および上記式(8)により、導体Q値Qcの逆数は、ストリップ導体の幅wの逆数に比例することが導かれる。マイクロストリップ線路1は、幅wが異なる複数のストリップ導体を備えている。したがって、マイクロストリップ線路1が備える複数の幅wのストリップ導体を用いることで、ストリップ導体の幅wの逆数の変化に対する導体Q値Qcの逆数の変化の割合を算出することができる。
【0106】
なお、上記式(8)のσeffは、マイクロストリップ線路1の実効導電率である。Kcは、比例係数である。
【0107】
ここで、上述した割合は、ストリップ導体の幅wの逆数の変化に対する無負荷Q値Q0の逆数の変化の割合とほぼ等しいことがわかっている。すなわち、ストリップ導体の幅wの逆数の変化に対する無負荷Q値Q0の逆数の変化は、主に、導体Q値Qcに起因していることがわかっている。そこで、この関係を利用し、第1演算工程S106では、複数の幅w、および、複数のストリップ導体から取得した無負荷Q値Q0から、ストリップ導体の幅wの逆数の変化に対する無負荷Q値Q0の逆数の変化の割合を求める。そして、それを用いて上記式(8)のKc/√σeffを導出する。
【0108】
この導出には、例えば、直交座標系の各軸にストリップ導体の幅wの逆数および無負荷Q値Q0の逆数をとり、値をプロットして作成したグラフを用いることができる。
【0109】
図7は、互いに幅wが異なる5つのストリップ導体から取得された無負荷Q値Q
0を直交座標系にプロットして作成したグラフである。なお、
図7のグラフの横軸は、ストリップ導体の幅wの逆数1/wであり、縦軸は、無負荷Q値Q
0の逆数1/Q
0である。また、
図7には、5つのプロットマークから求められた回帰直線を実線にて示している。さらに、
図7では、製造条件を変えて導体部3の導電率を大・中・小の3水準に振った場合のデータ、つまり、製造条件の異なる複数のマイクロストリップ線路から取得されたデータも併せて示している。
【0110】
図7に示すように、ストリップ導体の幅wの逆数1/wと、無負荷Q値Q
0の逆数1/Q
0と、の間には、導体部3の導電率によらず、一定の傾きaで増加する正の相関関係が成り立っている。したがって、
図7に示すグラフの回帰直線の傾きaから、下記式(9)により、各マイクロストリップ線路における上記式(8)のK
c/√σ
effを導出することができる。
【0111】
【0112】
ところで、導体損失αcは、理論的に、下記式(10)で定義される。
【0113】
【0114】
上記式(10)のgc(w,t,h)は、マイクロストリップ線路1の形状因子であって、特に限定されないが、ストリップ導体の幅wに対する依存性が大きくない値であるため、例えば0.6~0.7程度に収まる。ωは、共振周波数frの角周波数であり、ω=2πfrである。μ0は、真空の透磁率である。
【0115】
そうすると、前記式(8)および上記式(10)により、下記式(11)が導かれる。
【0116】
【0117】
特性インピーダンスZ0は算出できているので、上記式(11)により、比例係数Kcが求められる。そうすると、前記式(9)により、マイクロストリップ線路1の実効導電率σeffが求められる。
【0118】
2.4.第2演算工程
第2演算工程S108では、第1演算工程S106で求めた比例係数Kcおよびマイクロストリップ線路1の実効導電率σeffを、前記式(8)または前記式(10)に代入する。これにより、各ストリップ導体に対応する導体損失αcが求められる。
【0119】
2.5.第3演算工程
第3演算工程S110では、まず、前記式(6)から下記式(12)を導く。
【0120】
【0121】
次に、第1演算工程S106で求めた位相定数βおよび第2演算工程S108で求めた各ストリップ導体の導体損失αcを、上記式(12)に代入する。これにより、マイクロストリップ線路1の導体Q値Qcが求められる。
【0122】
次に、測定工程S104で取得した無負荷Q値Q0および本工程で求めた導体Q値Qcを前記式(6)に代入する。これにより、マイクロストリップ線路1の誘電体Q値Qdが求められる。
【0123】
第3演算工程S110では、次に、前記式(6)から下記式(13)を導く。
【0124】
【0125】
次に、第1演算工程S106で求めた位相定数βおよび本工程で求めた誘電体Q値Qdを前記式(13)に代入する。これにより、各ストリップ導体に対応する誘電体損失αdが求められる。
【0126】
2.6.第4演算工程
前述した第1演算工程S106で求めた実効誘電率εeffは、下記式(2)で表される。
【0127】
【0128】
上記式(2)では、誘電体層2の比誘電率εr以外のパラメーターがすでにわかっている。そうすると、上記式(2)から、誘電体層2の比誘電率εrが求められる。
【0129】
一方、前述した第3演算工程S110で求めた誘電体損失αdは、理論的に、下記式(14)で定義される。
【0130】
【0131】
そこで、第3演算工程S110で求めた誘電体損失αd、第1演算工程S106で求めた実効誘電率εeff、および、本工程で求めた誘電体層2の比誘電率εrを、上記式(14)に代入する。これにより、誘電体層2の誘電正接tanδが求められる。なお、上記式(14)のλ0は、マイクロストリップ線路1に入力する高周波信号の自由空間における波長である。
【0132】
以上のように、本実施形態に係るマイクロストリップ線路の評価方法は、準備工程S102と、測定工程S104と、第1演算工程S106と、を有する。準備工程S102では、例えばマイクロストリップ線路1を用意する。マイクロストリップ線路1は、互いに表裏の関係を持つ第1面201および第2面202を有する誘電体層2、第1面201に設けられている接地導体30、ならびに、第2面202に設けられ、互いに幅が異なり、線状に延在する第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312、を備える。測定工程S104では、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312について、透過特性を測定し、共振周波数frおよび無負荷Q値Q0を取得する。第1演算工程S106では、共振周波数frおよび無負荷Q値Q0に基づいて、マイクロストリップ線路1の実効誘電率εeffおよび実効導電率σeffを算出する。
【0133】
このような構成によれば、ミリ波帯のような高周波の信号が入力される場合でも、従来のように板厚が異なる複数の絶縁基板を用意するといった手間をかけることなく、マイクロストリップ線路1の誘電特性と導電特性の双方を効率よく測定することができる。誘電特性とは、マイクロストリップ線路1の実効誘電率εeffの他、そこから導出される、ストリップ導体に対応する誘電体損失αd、誘電体層2の比誘電率εrおよび誘電正接tanδ等を指す。導電特性とは、マイクロストリップ線路1の実効導電率σeffの他、そこから導出される、ストリップ導体に対応する導体損失αc等を指す。これにより、例えば、高周波回路の伝送損失の主たる原因が、誘電体層2側にあるのか、導体部3側にあるのかを、容易に理解することができる。その結果、新たな高周波回路を効率よく開発することができる。
【0134】
また、上記方法では、誘電体層2の厚さ方向に電界を印加して、誘電特性および導電特性を測定する。このため、誘電体層2の内部構造に異方性がある場合でも、この異方性を反映した誘電特性および導電特性を精度よく測定することができる。その結果、内部構造に異方性がある誘電体層2を備えた高周波回路を効率よく開発することができる。
【0135】
また、本実施形態に係るマイクロストリップ線路の評価方法は、第2演算工程S108を有する。第2演算工程S108では、前述したように、実効導電率σeffに基づいて、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312、すなわち各ストリップ導体に対応する導体損失αcを算出する。
【0136】
このような第2演算工程S108を有することにより、互いに幅wが異なるストリップ導体ごとに、導体損失αcを求めることができる。これにより、高周波回路の伝送損失の原因をより厳密に理解するための基礎データを取得することができる。
【0137】
さらに、本実施形態に係るマイクロストリップ線路の評価方法は、第3演算工程S110を有する。第3演算工程S110では、前述したように、導体損失αcに基づいて、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312、すなわち各ストリップ導体に対応する誘電体損失αdを算出する。
【0138】
このような第3演算工程S110を有することにより、互いに幅wが異なるストリップ導体ごとに、誘電体損失αdを求めることができる。これにより、高周波回路の伝送損失の原因をより厳密に理解するための基礎データを取得することができる。
【0139】
また、本実施形態に係るマイクロストリップ線路の評価方法は、第4演算工程S112を有する。第4演算工程S112では、前述したように、共振周波数fr、無負荷Q値Q0および誘電体損失αdに基づいて、誘電体層2の比誘電率εrおよび誘電正接tanδを算出する。
【0140】
このような第4演算工程S112を有することにより、高周波域における誘電体層2の単体の物性値を取得することができる。このため、誘電体の材料開発に必要な基礎データを取得することができる。
【0141】
以上、本実施形態に係るマイクロストリップ線路の評価方法について説明したが、各工程の順序は、上記の順序に限定されず、入れ替わっていてもよい。また、第2演算工程S108、第3演算工程S110および第4演算工程S112のうちの少なくとも1つは、省略されていてもよい。さらに、実効誘電率εeff、実効導電率σeff、導体損失αc、誘電体損失αd、比誘電率εr、および、誘電正接tanδの算出方法は、上記の方法に限定されず、別の算出方法が採用されていてもよい。
【0142】
また、本実施形態に係るマイクロストリップ線路1は、誘電体層2と、接地導体30と、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312と、パッド部33と、を備える。誘電体層2は、互いに表裏の関係を持つ第1面201および第2面202を有する。接地導体30は、第1面201に設けられている。第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312は、第2面202に設けられ、線状に延在している。パッド部33は、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312にそれぞれ隣り合うように第2面202に設けられ、接地導体30と導通している。そして、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312は、互いに幅wが異なっている。
【0143】
このような構成によれば、ミリ波帯のような高周波の信号が入力される場合でも、従来のように板厚が異なる複数の絶縁基板を用意するといった手間をかけることなく、高周波回路の誘電特性と導電特性の双方を効率よく測定可能なマイクロストリップ線路1が得られる。
【0144】
また、マイクロストリップ線路1では、誘電体層2の厚さ方向に電界が印加されるため、誘電体層2の内部構造に異方性がある場合でも、この異方性を反映した誘電特性および導電特性を精度よく測定することができる。
【0145】
本実施形態に係るマイクロストリップ線路1では、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312において、互いに長さが等しくなっている。
【0146】
このような構成によれば、無負荷Q値Q0を取得する共振点の次数を同じにしたとき、第1ストリップ導体311について取得される共振周波数frと、第2ストリップ導体312について取得される共振周波数frと、を互いに近づけることができる。これにより、同じ次数の共振点から無負荷Q値Q0を取得することで、測定しようとする周波数におけるマイクロストリップ線路1の誘電特性や導電特性を、より精度よく測定することができる。
【0147】
なお、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312は、互いに長さが異なっていてもよい。この場合、演算時の補正により、誘電特性や導電特性を算出することは可能である。
【0148】
また、本実施形態では、第1ストリップ導体311の一端331よりも第1B方向の位置から、一端331よりも第1A方向の位置に至るまで、第1Aパッド335Aが延在している。また、本実施形態では、第1ストリップ導体311の他端332よりも第1A方向の位置から、他端332よりも第1B方向の位置に至るまで、第1Bパッド335Bが延在している。これにより、一端331と第1Aパッド335Aの端部との間には、Y軸方向に沿って「ずれG1A」が生じる。また、他端332と第1Bパッド335Bとの間には、Y軸方向に沿って「ずれG1B」が生じる。
【0149】
このような構成によれば、ずれG1A、G1Bが存在しているため、
図3に示すように、高周波プローブ81、82と第1ストリップ導体311との間を非接触状態に保ちやすくなる。つまり、接地プローブ81G、82Gをパッド部33に接触させた状態で、信号プローブ81S、82Sを第1ストリップ導体311から離した位置に配置しやすくなる。これにより、第1ストリップ導体311の共振特性の測定が容易になる。すなわち、信号プローブ81S、82Sと第1ストリップ導体311とが電気的な疎結合となるため、透過特性S
21がほぼ第1ストリップ導体311の特性のみを反映する状態となる。この状態は、
図3に示すネットワークアナライザー9と高周波プローブ81、82とを含む回路のインピーダンス不整合や、高周波プローブ81、82と第1ストリップ導体311との接触抵抗の影響を低減させる。したがって、高周波プローブ81、82と第1ストリップ導体311との間を非接触状態に保つことで、測定精度の低下を抑制することができる。これにより、高周波特性の測定精度を高めることができる。また、高周波プローブ81、82の接触に伴う第1ストリップ導体311の損傷を避けることもできる。
【0150】
また、本実施形態では、パッド部33が、第1Aパッド335Aおよび第1Bパッド335Bをそれぞれ複数有している。これにより、GSGプローブである高周波プローブ81、82を用いた高周波特性の測定が可能なマイクロストリップ線路1が得られる。その結果、高周波特性をより精度よく測定することができる。
【0151】
また、本実施形態では、第2ストリップ導体312の一端333よりも第2B方向の位置から、一端333よりも第2A方向の位置に至るまで、第2Aパッド336Aが延在している。また、本実施形態では、第2ストリップ導体312の他端334よりも第2A方向の位置から、他端334よりも第2B方向の位置に至るまで、第2Bパッド336Bが延在している。これにより、一端333と第2Aパッド336Aの端部との間には、Y軸方向に沿って「ずれG2A」が生じる。また、他端334と第2Bパッド336Bとの間には、Y軸方向に沿って「ずれG2B」が生じる。
【0152】
このような構成によれば、ずれG2A、G2Bが存在しているため、高周波プローブ81、82と第2ストリップ導体312との間を非接触状態に保ちやすくなる。つまり、接地プローブ81G、82Gをパッド部33に接触させた状態で、信号プローブ81S、82Sを第2ストリップ導体312から離した位置に配置しやすくなる。これにより、第2ストリップ導体312の共振特性を容易に測定することができ、高周波プローブ81、82と第2ストリップ導体312との接触状態が、高周波特性の測定結果に影響を及ぼしにくくなる。これにより、高周波特性の測定精度を高めることができる。また、高周波プローブ81、82の接触に伴う第2ストリップ導体312の損傷を避けることもできる。
【0153】
また、本実施形態では、パッド部33が、第2Aパッド336Aおよび第2Bパッド336Bをそれぞれ複数有している。これにより、GSGプローブである高周波プローブ81、82を用いた高周波特性の測定が可能なマイクロストリップ線路1が得られる。その結果、高周波特性をより精度よく測定することができる。
【0154】
また、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312は、互いに非平行であってもよいが、本実施形態では互いに平行に延在している。
【0155】
誘電体層2の内部構造は、一般に、一方向に沿う均一性を有していることが多い。このため、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312を互いに平行に配置すれば、誘電体層2の内部構造が、誘電特性および導電特性の測定精度に対して悪影響を及ぼしにくくなる。その結果、マイクロストリップ線路1の評価精度をより高めることができる。
【0156】
なお、マイクロストリップ線路1は、様々な目的に用いられるが、好ましくは高周波の信号が入力され、高周波特性の評価に用いられる。高周波特性とは、前述した誘電特性および導電特性を指す。このような目的に用いることで、幅wが異なる複数のストリップ導体を備えるというマイクロストリップ線路1の特徴をより有効に活かすことができる。
【0157】
また、
図1に示すマイクロストリップ線路1は、前述したように、接地導体30と導通しているパッド部33を備えている。そして、本実施形態に係るマイクロストリップ線路の評価方法では、前述した共振周波数f
rおよび無負荷Q値Q
0を取得する測定工程S104が、シグナル端子である信号プローブ81S、82Sおよびグランド端子である接地プローブ81G、82Gを備える高周波プローブ81、82をマイクロストリップ線路1に近づける操作と、接地プローブ81G、82Gをパッド部33に接触させるとともに、信号プローブ81S、82Sを第1ストリップ導体311から離れた位置に配置する操作と、を含んでいる。
【0158】
このような操作を含むことにより、測定工程S104では、前述したように、高周波プローブ81、82と第1ストリップ導体311との間を非接触状態に保つことができる。これにより、インピーダンス不整合や接触抵抗という問題が顕在化しにくくなる。その結果、高周波特性の測定精度を高めることができる。
【0159】
3.マイクロストリップ線路の製造方法
次に、マイクロストリップ線路の製造方法の一例について説明する。
【0160】
マイクロストリップ線路の製造には、すでに知られているプリント配線基板の製造方法を用いることができる。
【0161】
図8は、マイクロストリップ線路の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図9は、
図8に示す露光工程を説明するための模式図である。
図10は、
図9に示す露光工程に用いられる露光用マスク6の一例を示す平面図である。
【0162】
図8に示すマイクロストリップ線路の製造方法は、準備工程S202と、レジスト塗布工程S204と、露光工程S206と、現像工程S208と、エッチング工程S210と、レジスト除去工程S212と、を有する。
【0163】
準備工程S202では、
図9に示すように、誘電体層200の両面に金属箔300が成膜された金属箔張積層板100を用意する。金属箔300は、単層であっても、組成の異なる層が積層された多層であってもよい。多層の場合、一部の層は、めっき法等の成膜法により形成された層であってもよい。
【0164】
レジスト塗布工程S204では、一方の金属箔300にフォトレジストを塗布する。これにより、フォトレジスト膜700を形成する。フォトレジスト膜700は、ポジ型であっても、ネガ型であってもよい。
【0165】
露光工程S206では、
図9に示すように、露光用マスク6を介して、フォトレジスト膜700に光LTを照射する露光処理を施す。これにより、フォトレジスト膜700がポジ型である場合、光LTが照射された部分の現像液に対する溶解性が増大する。また、フォトレジスト膜700がネガ型である場合、光LTが照射された部分の現像液に対する溶解性が低下する。
【0166】
露光工程S206で用いる露光用マスク6は、製造しようとするストリップ導体やパッド部の形状に応じて設計、製造される。
図10に示す露光用マスク6は、
図1に示すマイクロストリップ線路1の製造に用いられるマスクパターンを有する。
【0167】
具体的には、
図10に示す露光用マスク6は、遮蔽部61および透過部62を有し、金属箔張積層板100に対する露光処理に用いられるマスクである。遮蔽部61は、光LTを遮蔽し、透過部62は、光LTを透過させる。フォトレジスト膜700がポジ型である場合には、
図10に示すように、遮蔽部61の形状が、金属箔張積層板100に形成する導体パターン、すなわち、
図1に示す第1ストリップ導体311、第2ストリップ導体312、および、パッド部33に対応している。また、フォトレジスト膜700がネガ型である場合には、図示しないものの、透過部の形状が、上記導体パターン以外の領域に対応している。本明細書では、これらの双方を指して、遮蔽部61の形状または透過部62の形状が、金属箔張積層板100に形成する線路パターンに対応している、という。
【0168】
そして、
図1に示す第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312は、前述したように、それぞれ線状に延在し、互いに幅が異なっている。また、パッド部33は、前述したように、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312にそれぞれ隣り合うように設けられている。
【0169】
このような構成によれば、前述したような高周波回路の評価に好適に用いられるマイクロストリップ線路1を製造可能な露光用マスク6を得ることができる。つまり、露光用マスク6を用いれば、1つの誘電体層2に、互いに幅が異なる第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312を備える線路パターンを一括で形成することができる。
【0170】
現像工程S208では、露光処理を経た金属箔張積層板100を現像液に接触させる。これにより、相対的に溶解性が大きくなっている領域が現像液に溶解する。その結果、フォトレジスト膜700のうち、前述した線路パターンに対応する部分が残存し、それ以外の部分が除去される。これにより、フォトレジスト膜700がパターニングされる。
【0171】
エッチング工程S210では、金属箔張積層板100にエッチング処理を施す。これにより、フォトレジスト膜700のパターンに応じて、金属箔300が線路パターンの形状にパターニングされる。
【0172】
レジスト除去工程S212では、フォトレジスト膜700を除去する。これにより、
図1に示す導体部3が得られる。その後、洗浄処理を施すことにより、
図1に示すマイクロストリップ線路1が得られる。
【0173】
4.第1変形例
次に、第1変形例に係るマイクロストリップ線路について説明する。
図11は、第1変形例に係るマイクロストリップ線路1aを示す平面図である。
【0174】
以下、第1変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、各図において前記実施形態と同様の構成には、同一の符号を付している。
【0175】
第1変形例は、幅wが異なる複数のストリップ導体に加え、長さLが異なる複数のストリップ導体を備えること以外、前記実施形態と同様である。
【0176】
図11に示すマイクロストリップ線路1aが備える導体部3は、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312に加え、第3ストリップ導体313および第4ストリップ導体314を備える。
【0177】
第3ストリップ導体313は、第1ストリップ導体311のY軸マイナス側に配置されている。第4ストリップ導体314は、第2ストリップ導体312のY軸マイナス側に配置されている。
【0178】
第3ストリップ導体313および第4ストリップ導体314は、誘電体層2の第2面202に設けられた導体である。第3ストリップ導体313および第4ストリップ導体314は、それぞれY軸方向に延在する線状をなしている。また、第3ストリップ導体313および第4ストリップ導体314は、X軸に沿って並んでいる。
【0179】
図11では、第3ストリップ導体313の幅をw3とし、第4ストリップ導体314の幅をw4とする。第1変形例では、幅w3および幅w4が、w3<w4の関係を満たしている。また、第1変形例では、幅w1、幅w2、幅w3および幅w4は、w1=w3の関係およびw2=w4の関係を満たしている。
【0180】
図11では、第3ストリップ導体313の長さをL3とし、第4ストリップ導体314の長さをL4とする。第1変形例では、長さL3および長さL4が、L3=L4の関係を満たしている。長さL3、L4は、高周波特性を測定する周波数に応じて適宜設定される。また、第1変形例では、長さL1、長さL2、長さL3および長さL4は、L1<L3の関係およびL2<L4の関係を満たしている。
【0181】
マイクロストリップ線路1aが、互いに幅wが異なるストリップ導体だけでなく、互いに長さLが異なるストリップ導体を備えることにより、測定しようとする高周波特性の周波数に応じて、測定に用いるストリップ導体の選択が可能になる。これにより、様々な周波数で高周波特性を測定することができる。例えば、前記実施形態では、第1ストリップ導体311と第2ストリップ導体312とを用いて高周波特性を測定しているが、第1変形例では、それだけでなく、第3ストリップ導体313と第4ストリップ導体314とを用いて高周波特性を測定することもできる。このため、第1変形例では、4つの周波数(少なくとも2つの周波数)について、高周波特性を測定することができる。
【0182】
また、共振周波数frおよび無負荷Q値Q0を取得する共振点の次数は、ストリップ導体同士の間で、互いに同じであっても、互いに異なっていてもよい。
【0183】
図12は、共振周波数f
rおよび無負荷Q値Q
0を取得する共振点の次数を、ストリップ導体同士で同じにした場合(a)と、ストリップ導体同士で異ならせた場合(b)とで、透過特性を示す波形の例を比較した図である。
【0184】
図12(a)では、互いに幅wが異なり、互いに長さLが同じである一対のストリップ導体S1、S2について、基本共振に対応する共振点の波形を重ねて示している。具体的には、ストリップ導体S1は、長さLが40mmであり、幅wが160μmである。ストリップ導体S2は、長さLが40mmであり、幅wが100μmである。これらの透過特性の基本共振の共振周波数f
rは、いずれも、約2.2GHzとなる。したがって、
図12(a)に示す透過特性では、ストリップ導体S1、S2の基本共振に対応する共振点から、共振周波数f
rおよび無負荷Q値Q
0等のパラメーターを取得することができる。
【0185】
一方、
図12(b)では、互いに幅wが同じで、互いに長さLが異なる一対のストリップ導体S3、S4および一対のストリップ導体S5、S6について、基本共振に対応する共振点の波形、および、高次共振に対応する共振点の波形を、重ねて示している。具体的には、ストリップ導体S3は、長さLが20mmであり、幅wが160μmである。ストリップ導体S4は、長さLが40mmであり、幅wが160μmである。ストリップ導体S5は、長さLが20mmであり、幅wが100μmである。ストリップ導体S6は、長さLが40mmであり、幅wが100μmである。
【0186】
ストリップ導体S3、S5の透過特性の基本共振の共振周波数f
rは、いずれも、約4.5GHzである。また、ストリップ導体S4、S6の透過特性の2次共振の共振周波数f
rも、いずれも、約4.5GHzである。したがって、
図12(b)に示す透過特性が得られる場合には、例えば、ストリップ導体S3の基本共振に対応する共振点、および、ストリップ導体S6の2次共振に対応する共振点から、前述したパラメーターを取得するようにしてもよい。同様に、ストリップ導体S4の2次共振に対応する共振点、および、ストリップ導体S5の基本共振に対応する共振点から、前述したパラメーターを取得するようにしてもよい。
【0187】
上記の例を踏まえると、前述した測定工程S104では、基本共振に対応する共振点から取得されるパラメーターと、高次共振に対応する共振点から取得されるパラメーターと、を混用するようにしてもよい。また、次数mが互いに異なる高次共振に対応する共振点から取得されるパラメーター同士を混用するようにしてもよい。
図11に示すマイクロストリップ線路1aを用いることで、このような次数mが互いに異なる共振点からパラメーターを容易に取得することができる。
【0188】
なお、異なる次数mの共振点からこれらのパラメーターを取得することができるか否かは、無負荷Q値Q
0を互いに比較して判断することができる。例えば、ストリップ導体S3について取得される無負荷Q値Q
0と、ストリップ導体S4について取得される無負荷Q値Q
0と、を比較して、両者の一致度が高い場合には、上記のようなパラメーターの混用が可能になる。
図12(b)では、ストリップ導体S3、S4の透過特性を示す波形が共振点近傍においてほぼ重なっているため、共振点から取得される無負荷Q値Q
0についても、一致度が高いといえる。ストリップ導体S5、S6についても同様である。
【0189】
以上のように、第1変形例に係るマイクロストリップ線路1aは、第1ストリップ導体311と幅wが等しく、長さLが異なる第3ストリップ導体313をさらに備えている。
【0190】
このような構成によれば、様々な周波数における高周波特性の測定、すなわち、次数mの異なる共振点からのパラメーターの取得が可能なマイクロストリップ線路1aを得ることができる。
【0191】
また、第1変形例に係るマイクロストリップ線路1aは、第2ストリップ導体312と幅wが等しく、長さLが異なる第4ストリップ導体314をさらに備えている。
【0192】
このような構成によれば、様々な周波数における高周波特性の測定、すなわち、次数mの異なる共振点からのパラメーターの取得が可能なマイクロストリップ線路1aを得ることができる。
【0193】
なお、マイクロストリップ線路1aが備えるストリップ導体の数は、特に限定されないが、例えば、10個以上であるのが好ましく、20個以上であるのがより好ましい。また、ストリップ導体の数の上限値は、特に限定されないが、マイクロストリップ線路1aが著しく大きくなってしまうのを避けるため、1000個以下であるのが好ましく、500個以下であるのがより好ましい。
【0194】
また、幅wの数は、3以上であるのが好ましく、5以上であるのがより好ましく、10以上であるのがさらに好ましい。さらに、長さLの数は、3以上であるのが好ましく、5以上であるのがより好ましく、10以上であるのがさらに好ましい。
以上のような第1変形例においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0195】
5.第2変形例
次に、第2変形例に係るマイクロストリップ線路について説明する。
【0196】
図13は、第2変形例に係るマイクロストリップ線路1bを示す平面図である。
図14は、第2変形例に係るマイクロストリップ線路の評価方法を説明するための斜視図である。
【0197】
以下、第2変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、各図において前記実施形態と同様の構成には、同一の符号を付している。
【0198】
第2変形例は、ストリップ導体に対するパッド部の配置が異なること以外、前記実施形態と同様である。
【0199】
図13に示すマイクロストリップ線路1bは、
図1と同様、第1ストリップ導体311、第2ストリップ導体312およびパッド部33を備える。
【0200】
前記実施形態では、第1ストリップ導体311の一端331と、2つの第1Aパッド335Aとで、Y軸プラス側の端部の位置がずれている。
【0201】
これに対し、第2変形例では、
図13に示すように、第1Aパッド335Aの第1A方向の端部が、第1ストリップ導体311の一端331とY軸方向で揃っている。
【0202】
また、前記実施形態では、第1ストリップ導体311の他端332と、2つの第1Bパッド335Bとで、Y軸マイナス側の端部の位置がずれている。
【0203】
これに対し、第2変形例では、
図13に示すように、第1Bパッド335Bの第1B方向の端部が、第1ストリップ導体311の他端332とY軸方向で揃っている。
【0204】
このような構成によれば、
図14に示すように、高周波プローブ81の2つの接地プローブ81G、81Gを、2つの第1Aパッド335A、335Aに接触させ、高周波プローブ81の信号プローブ81Sを、第1ストリップ導体311に接触させることができる。同様に、高周波プローブ82の2つの接地プローブ82G、82Gを、2つの第1Bパッド335B、335Bに接触させ、高周波プローブ82の信号プローブ82Sを、第1ストリップ導体311に接触させることができる。これにより、高周波プローブ82を介してネットワークアナライザー9で透過特性S
21を測定することができる。
【0205】
このとき、測定工程S104に代わり、ネットワークアナライザー9の透過特性S21の絶対値から伝送損失αを、透過特性S21の位相から位相定数βを得る工程を行うことができる。また、伝送の無負荷Q値Q0は下記式(16)で定義される。
【0206】
【0207】
これらを、第1演算工程S106に適用すると、共振周波数に限定されない任意の周波数での実効誘電率と実効導電率を得ることができる。以上のように第2変形例においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0208】
6.第3変形例
次に、第3変形例に係るマイクロストリップ線路について説明する。
図15は、第3変形例に係るマイクロストリップ線路1cを示す平面図である。
【0209】
以下、第3変形例について説明するが、以下の説明では、第2変形例との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、各図において第2変形例と同様の構成には、同一の符号を付している。
【0210】
第3変形例は、幅wが異なる複数のストリップ導体に加え、長さLが異なる複数のストリップ導体を備えること以外、第2変形例と同様である。
【0211】
図15に示すマイクロストリップ線路1cが備える導体部3は、第1ストリップ導体311および第2ストリップ導体312に加え、第3ストリップ導体313および第4ストリップ導体314を備える。
【0212】
第3ストリップ導体313は、第1ストリップ導体311のY軸マイナス側に配置されている。第4ストリップ導体314は、第2ストリップ導体312のY軸マイナス側に配置されている。
【0213】
第3ストリップ導体313および第4ストリップ導体314は、誘電体層2の第2面202に設けられた導体である。第3ストリップ導体313および第4ストリップ導体314は、それぞれY軸方向に延在する線状をなしている。また、第3ストリップ導体313および第4ストリップ導体314は、X軸に沿って並んでいる。
【0214】
図15では、第3ストリップ導体313の幅をw3とし、第4ストリップ導体314の幅をw4とする。第3変形例では、幅w3および幅w4が、w3<w4の関係を満たしている。また、第3変形例では、幅w1、幅w2、幅w3および幅w4は、w1=w3の関係およびw2=w4の関係を満たしている。
【0215】
図15では、第3ストリップ導体313の長さをL3とし、第4ストリップ導体314の長さをL4とする。第3変形例では、長さL3および長さL4が、L3=L4の関係を満たしている。長さL3、L4は、高周波特性を測定する周波数に応じて適宜設定される。また、第3変形例では、長さL1、長さL2、長さL3および長さL4は、L1<L3の関係およびL2<L4の関係を満たしている。
【0216】
マイクロストリップ線路1cが、互いに幅wが異なるストリップ導体だけでなく、互いに長さLが異なるストリップ導体を備えることにより、ストリップ導体と高周波プローブの接触の影響を見積ることが可能になる。これにより、様々な周波数での高周波特性を高精度で測定することができる。例えば、第2変形例では、第1ストリップ導体311と第2ストリップ導体312とを用いて高周波特性を測定しているが、第3変形例では、それだけでなく、第3ストリップ導体313と第4ストリップ導体314とを用いて高周波特性を測定することもできる。いずれのストリップ導体もプローブの接触の影響が同じであるので、第3ストリップ導体313の透過特性から第1ストリップ導体311の透過特性を差し引いた値、および、第4ストリップ導体314の透過特性から第2ストリップ導体312の透過特性を差し引いた値は、高周波プローブとストリップ導体の接触による損失がキャンセルされたものとなる。このため、接触の影響を取り除いたより信頼性の高い測定をすることができる。
【0217】
なお、マイクロストリップ線路1cが備えるストリップ導体の数は、特に限定されないが、例えば、10個以上であるのが好ましく、20個以上であるのがより好ましい。なお、ストリップ導体の数の上限値は、特に限定されないが、マイクロストリップ線路1cが著しく大きくなってしまうのを避けるため、1000個以下であるのが好ましく、500個以下であるのがより好ましい。
【0218】
また、幅wの数は、前述したように3以上であるのが好ましく、5以上であるのがより好ましく、10以上であるのがさらに好ましい。さらに、長さLの数は、3以上であるのが好ましく、5以上であるのがより好ましく、10以上であるのがさらに好ましい。
【0219】
以上のような第3変形例においても、第1変形例および第2変形例と同様の効果が得られる。
【0220】
7.第4変形例
次に、第4変形例に係るマイクロストリップ線路について説明する。
図16は、第4変形例に係るマイクロストリップ線路1dを示す断面図である。
【0221】
以下、第4変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、各図において前記実施形態と同様の構成には、同一の符号を付している。
【0222】
前記実施形態では、第1ストリップ導体311、第2ストリップ導体312およびパッド部33の厚さが、互いに同じである。
【0223】
これに対し、第4変形例では、パッド部33の厚さが、第1ストリップ導体311の厚さおよび第2ストリップ導体312の厚さよりも厚くなっている。これにより、例えば、高周波プローブ81の2つの接地プローブ81G、81Gを、2つの第1Aパッド335A、335Aに接触させたとき、高周波プローブ81の信号プローブ81Sは、第1ストリップ導体311から離れた位置に保持される。その結果、前記実施形態と同様、第1ストリップ導体311の共振特性の測定が容易になる。すなわち、信号プローブ81S、82Sと第1ストリップ導体311とが電気的な疎結合となるため、透過特性S21がほぼ第1ストリップ導体311の特性のみを反映する状態となる。これにより、高周波特性の測定精度を高めることができる。また、高周波プローブ81の接触に伴う第1ストリップ導体311の損傷を避けることもできる。なお、第1Bパッド335B、第2Aパッド336Aおよび第2Bパッド336Bについても、第1Aパッド335Aと同様である。
以上のような第4変形例においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0224】
8.第5変形例
次に、第5変形例に係るマイクロストリップ線路について説明する。
図17は、第5変形例に係るマイクロストリップ線路1eを示す平面図である。
【0225】
以下、第5変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、各図において前記実施形態と同様の構成には、同一の符号を付している。
【0226】
前記実施形態では、第1ストリップ導体311に対し、2つの第1Aパッド335A、335Aおよび2つの第1Bパッド335B、335Bが隣り合うように設けられている。また、第2ストリップ導体312に対し、2つの第2Aパッド336A、336Aおよび2つの第2Bパッド336B、336Bが隣り合うように設けられている。
【0227】
これに対し、第5変形例では、
図17に示すように、第1ストリップ導体311に対して、1つの第1Aパッド335Aおよび1つの第1Bパッド335Bが隣り合っている。また、第2ストリップ導体312に対し、1つの第2Aパッド336Aおよび1つの第2Bパッド336Bが隣り合っている。
【0228】
このような構成によれば、
図1に示す高周波プローブ81、82がGSGプローブではなくGSプローブである場合でも、それに適したマイクロストリップ線路1eを提供することができる。これにより、高周波プローブ81、82の低コスト化を図ることができる。また、パッド部33の面積を相対的に小さくすることができるので、マイクロストリップ線路1eの小型化を図ることができる。
【0229】
以上、本発明のマイクロストリップ線路、露光用マスクおよびマイクロストリップ線路の評価方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0230】
例えば、本発明のマイクロストリップ線路および露光用マスクは、それぞれ、前記実施形態および前記変形例の各部が同様の機能を有する任意の構成物に置換されたものであってもよく、前記実施形態および前記変形例に任意の構成物が付加されたものであってもよい。また、本発明のマイクロストリップ線路は、前記実施形態および前記変形例のうち、少なくとも2つ以上が組み合わされたものであってもよい。
【0231】
また、本発明のマイクロストリップ線路の評価方法は、前記実施形態に任意の目的の工程が付加されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0232】
1 マイクロストリップ線路
1a マイクロストリップ線路
1b マイクロストリップ線路
1c マイクロストリップ線路
1d マイクロストリップ線路
1e マイクロストリップ線路
2 誘電体層
3 導体部
6 露光用マスク
9 ネットワークアナライザー
30 接地導体
33 パッド部
34 ビア配線
61 遮蔽部
62 透過部
81 高周波プローブ
81G 接地プローブ
81S 信号プローブ
82 高周波プローブ
82G 接地プローブ
82S 信号プローブ
100 金属箔張積層板
200 誘電体層
201 第1面
202 第2面
300 金属箔
311 第1ストリップ導体
312 第2ストリップ導体
313 第3ストリップ導体
314 第4ストリップ導体
331 一端
332 他端
333 一端
334 他端
335A 第1Aパッド
335B 第1Bパッド
336A 第2Aパッド
336B 第2Bパッド
700 フォトレジスト膜
G1A ずれ
G1B ずれ
G2A ずれ
G2B ずれ
h 厚さ
L1 長さ
L2 長さ
L3 長さ
L4 長さ
LT 光
P1 ピーク
P2 ピーク
S1 ストリップ導体
S2 ストリップ導体
S3 ストリップ導体
S4 ストリップ導体
S5 ストリップ導体
S6 ストリップ導体
S102 準備工程
S104 測定工程
S106 第1演算工程
S108 第2演算工程
S110 第3演算工程
S112 第4演算工程
S202 準備工程
S204 レジスト塗布工程
S206 露光工程
S208 現像工程
S210 エッチング工程
S212 レジスト除去工程
w1 幅
w2 幅
w3 幅
w4 幅