(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-14
(45)【発行日】2025-03-25
(54)【発明の名称】複数の液体燃料を有する燃焼器を動作させるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F02C 9/40 20060101AFI20250317BHJP
F02C 7/236 20060101ALI20250317BHJP
F23R 3/36 20060101ALI20250317BHJP
【FI】
F02C9/40 A
F02C7/236
F23R3/36
(21)【出願番号】P 2022520081
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 US2020056870
(87)【国際公開番号】W WO2021086715
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-10-16
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】カスティーリョ、ヘスス、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】テヘダ、イーリー、エドガルド
(72)【発明者】
【氏名】グラツィアーノ トーレス、レネ
(72)【発明者】
【氏名】ショルニック、ジョー、フロイド
(72)【発明者】
【氏名】フィン、トゥイ、カム
(72)【発明者】
【氏名】バビウチ、ミロスワフ、パヴェウ
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-169465(JP,A)
【文献】特開平11-324719(JP,A)
【文献】特開2010-019195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/00-25/36
F02C 1/00- 9/58
F02D 13/00-28/00
F23R 3/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、当該システムが、
燃料供給システム(30)であって、
入口(62)及び出口(64)を備える燃料ポンプ(42)と、
第1の供給弁制御信号に少なくとも部分的に基づいて、前記入口(62)への第1の液体燃料(38a)の第1の流れを制御するように構成された第1の燃料供給弁(66a)と、
第2の供給弁制御信号に少なくとも部分的に基づいて、前記入口(62)への第2の液体燃料(38b)の第2の流れを制御するように構成された第2の燃料供給弁(66b)と、
前記燃料ポンプ(42)に結合されたモータ(44)であって、前記モータ(44)が、前記モータ(44)を駆動するように構成された可変周波数駆動装置(48)を備え、前記モータ(44)が、ポンプ速度制御信号に少なくとも部分的に基づいて、前記燃料ポンプ(42)を駆動するように構成されるモータ(44)と、
主燃料弁制御信号に少なくとも部分的に基づいて、ガスタービンシステム(10)の燃料マニホールド/ノズル(18)への燃料流を調節するように構成された主燃料制御弁(50)であって、前記主燃料弁制御信号が、前記ガスタービンシステム(10)の負荷要求に少なくとも部分的に基づき、かつ前記第1の液体燃料(38a)及び前記第2の液体燃料(38b)のコスト及び可用性に少なくとも部分的に基づく、主燃料制御弁(50)と、
前記モータ(44)、前記第1の燃料供給弁(66a)、前記第2の燃料供給弁(66b)、及び前記主燃料制御弁(50)に結合されたコントローラ(52)であって、前記コントローラ(52)が、前記第1の液体燃料(38a)の第1の燃料パラメータ及び前記第2の液体燃料(38b)の第2の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記第1の供給弁制御信号、前記第2の供給弁制御信号、前記ポンプ速度制御信号、及び前記主燃料弁制御信号を生成するように構成され、前記コントローラ(52)が、前記ガスタービンシステム(10)の動作中に前記ガスタービンシステム(10)の前記負荷要求を維持しながら第1の時間における前記入口(62)への前記第1の流れから第2の時間における前記入口(62)への第2の流れへの移行を制御するように構成され、かつ前記コントローラ(52)が、前記第1の液体燃料(38a)の前記第1の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記モータ(44)の第1の速度を決定すること、前記第2の液体燃料(38b)の前記第2の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記モータ(44)の第2の速度を決定すること、及び
前記移行中に前記モータ(44)の前記速度を前記第1の速度から前記第2の速度に制御することによって、前記モータ(44)の速度を制御する、コントローラ(52)と
を備える燃料供給システム(30)
を備える、システム。
【請求項2】
前記コントローラ(52)が、前記第1の液体燃料(38a)及び前記第2の液体燃料(38b)が各々前記移行中に液相のままであることを確実にするように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ポンプ速度制御信号が、前記モータ(44)の速度を制御するように構成され、前記燃料ポンプ(42)が、遠心ポンプを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記燃料ポンプ(42)の前記出口(64)に結合されたポンプ吐出圧力センサ(54)を備え、前記ポンプ吐出圧力センサ(54)が、吐出圧力のフィードバックを前記コントローラ(52)に提供するように構成され、前記コントローラ(52)が、前記ポンプ吐出圧力センサ(54)からの前記吐出圧力の前記フィードバックに少なくとも部分的に基づいて、前記移行中に前記第1の供給弁制御信号、前記第2の供給弁制御信号、及び前記ポンプ速度制御信号を生成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラ(52)が、前記移行中に前記ポンプ速度制御信号を生成し、前記出口(64)における前記吐出圧力を移行圧力範囲内に制御するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の燃料パラメータ、前記第2の燃料パラメータ又はそれらの任意の組み合わせのフィードバックを前記コントローラ(52)に提供するように構成された1つ又は複数の燃料センサ(74)を備え、前記コントローラ(52)が、前記1つ又は複数の燃料センサ(74)からの前記フィードバックに少なくとも部分的に基づいて、前記移行中に前記第1の供給弁制御信号、前記第2の供給弁制御信号、及び前記ポンプ速度制御信号を生成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ガスタービンシステム(10)を備え、前記ガスタービンシステム(10)が、
前記燃料ポンプ(42)の前記出口(64)から流れを受け取り、前記流れと酸化剤の混合物を燃焼させて排気ガス(24)を生成し、タービン(16)を通して前記排気ガス(24)を膨張させるように構成された燃焼器(14)と、
前記排気ガス(24)を膨張させてシャフト(26)を駆動するように構成された前記タービン(16)と、
前記タービン(16)及び負荷(32)に結合された前記シャフト(26)であって、前記コントローラ(52)が、前記シャフト(26)の速度、前記シャフト(26)上の前記負荷(32)又はそれらの任意の組み合わせに少なくとも部分的に基づいて、前記移行中に前記第1の供給弁制御信号、前記第2の供給弁制御信号、前記ポンプ速度制御信号、及び前記主燃料弁制御信号を生成するように構成される前記シャフト(26)と
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
ガスタービンシステム(10)の動作中に前記ガスタービンシステム(10)に供給される液体燃料流(38)を移行させるための方法であって、当該方法が、
第1の液体燃料閾値(166)まで開かれた第1の燃料供給弁(66a)を通して第1の液体燃料(38a)を燃料ポンプ(42)の入口(62)に供給するステップであって、前記第1の液体燃料閾値(166)が、前記第1の液体燃料(38a)の第1の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づく、ステップと、
前記第1の液体燃料(38a)を前記燃料ポンプ(42)の出口(64)から前記ガスタービンシステム(10)の燃焼器(14)に導くステップと、
前記燃焼器(14)内で前記第1の液体燃料(38a)を酸化剤で燃焼させて排気ガス(24)を生成するステップと、
前記ガスタービンシステム(10)のタービン(16)を通して前記排気ガス(24)を膨張させ、前記タービン(16)及び負荷(32)に結合されたシャフト(26)を駆動するステップと、
前記燃焼器(14)内の前記第1の液体燃料(38a)の燃焼から前記燃焼器(14)内の第2の液体燃料(38b)の燃焼への移行期間にわたって移行させるステップであって、移行させるステップが、プロセッサによって実行され、かつ
第2の燃料供給弁(66b)を第2の液体燃料閾値(170)まで開き、前記第2の液体燃料(38b)を前記燃料ポンプ(42)の前記入口(62)に供給しながら前記第1の液体燃料(38a)を前記入口(62)に供給することであって、前記第2の液体燃料閾値(170)が、前記第2の液体燃料(38b)の第2の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づくこと、
前記第2の燃料供給弁(66b)を前記第2の液体燃料閾値(170)まで開くことに応じて、前記第1の液体燃料閾値(166)から前記第1の燃料供給弁(66a)を閉じて前記第1の液体燃料(38a)を前記入口(62)に供給することを停止すること、
前記ガスタービンシステム(10)の負荷要求に少なくとも部分的に基づいて、かつ前記第1の液体燃料(38a)及び前記第2の液体燃料(38b)のコスト及び可用性に少なくとも部分的に基づいて、前記ガスタービンシステム(10)の燃料流を調節するように主燃料制御弁(50)を制御すること、及び
前記燃料ポンプ(42)を駆動して前記出口(64)における液体燃料流の吐出圧力を移行圧力の範囲内に維持するように構成されたモータ(44)の速度を制御することであって、前記液体燃料流が、前記第1の液体燃料(38a)、前記第2の液体燃料(38b)又はそれらの任意の組み合わせを含むこと
を含んでいる、ステップと
を含んでおり、前記モータ(44)の速度を制御することが、
前記第1の液体燃料(38a)の前記第1の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記モータ(44)の第1の速度を決定すること、
前記第2の液体燃料(38b)の前記第2の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記モータ(44)の第2の速度を決定すること、及び
前記燃焼器(14)内の前記第1の液体燃料(38a)の燃焼から前記燃焼器(14)内の前記第2の液体燃料(38b)の燃焼に移行する前に、前記モータ(44)の前記速度を前記第1の速度から前記第2の速度に制御すること
を含んでいる、方法。
【請求項9】
センサ(74)で前記第2の液体燃料(38b)を監視し、前記第2の液体燃料(38b)の前記第2の燃料パラメータを決定することと、
前記第2の液体燃料閾値(170)を決定することと
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記移行期間が120秒以下である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の液体燃料(38a)の第1の燃料パラメータ及び前記第2の液体燃料(38b)の第2の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づいて、移行負荷を決定することと、
前記移行負荷に少なくとも部分的に基づいて、前記移行期間中に前記負荷(32)を制御することと
を含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、ガスタービンシステムに関し、より詳細には、複数の液体燃料を燃焼させるガスタービンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンシステムは、一般に、圧縮機と、燃焼器と、タービンとを含む。燃焼器は、圧縮空気と1つまたは複数の燃料の混合物を燃焼させて高温燃焼ガスを発生し、高温燃焼ガスは、タービンに導かれて発電機または他の負荷を駆動するなどの仕事を発生する。圧縮機は、酸化剤の流れ(例えば、空気)を圧縮し、続いて圧縮された酸化剤を燃焼器に導く。ガスタービンシステムは、様々な燃料で動作するように構成することができる。効率、可用性、および/またはコストの理由から、ガスタービンシステムの第1の動作期間中に一部の燃料を使用し、ガスタービンシステムの第2の動作期間中に他の燃料を使用することが望ましい場合がある。しかし、別々の燃料のための別々の燃料供給システムは、ガスタービンシステムのコストおよび設置面積を増加させる可能性がある。さらに、ガスタービンシステムの燃料源を変更するためにガスタービンシステムを停止することは望ましくない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2017/184111号明細書
【発明の概要】
【0004】
最初に特許請求する主題の範囲に相応する特定の実施形態を、以下に要約する。これらの実施形態は特許請求の範囲を限定することを意図するものではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示の実施形態の可能な形態の概要を提供することのみを意図している。実際、本開示は、以下に記載される実施形態と同様であっても異なっていてもよい様々な形態を包含することができる。
【0005】
一実施形態では、システムは、燃料供給システムを含む。燃料供給システムは、入口および出口を有する燃料ポンプを含む。燃料供給システムはまた、第1の供給弁制御信号に少なくとも部分的に基づいて、入口への第1の液体燃料の第1の流れを制御するように構成された第1の燃料供給弁を含む。燃料供給システムは、第2の供給弁制御信号に少なくとも部分的に基づいて、入口への第2の液体燃料の第2の流れを制御するように構成された第2の燃料供給弁をさらに含む。
【0006】
加えて、燃料供給システムは、燃料ポンプに結合されたモータを含む。モータは、モータを駆動するように構成された可変周波数駆動装置を含む。モータは、ポンプ速度制御信号に少なくとも部分的に基づいて、燃料ポンプを駆動するように構成される。燃料供給システムはまた、主燃料弁制御信号に少なくとも部分的に基づいて、ガスタービンシステムの燃料マニホールド/ノズルへの燃料流を調節するように構成された主燃料制御弁を含む。主燃料弁制御信号は、ガスタービンシステムの負荷要求に少なくとも部分的に基づく。燃料供給システムは、モータ、第1の燃料供給弁、第2の燃料供給弁、および主燃料制御弁に結合されたコントローラをさらに含む。コントローラは、第1の液体燃料の第1の燃料パラメータおよび第2の液体燃料の第2の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づいて、第1の供給弁制御信号、第2の供給弁制御信号、ポンプ速度制御信号、および主燃料弁制御信号を生成するように構成される。コントローラはまた、第1の時間における入口への第1の流れから第2の時間における入口への第2の流れへの移行を制御するように構成される。
【0007】
一実施形態では、ガスタービンシステムの動作中にガスタービンシステムに供給される液体燃料流を移行させるための方法は、第1の液体燃料閾値まで開かれた第1の燃料供給弁を通して第1の液体燃料を燃料ポンプの入口に供給することを含む。第1の液体燃料閾値は、第1の液体燃料の第1の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づく。方法はまた、第1の液体燃料を燃料ポンプの出口からガスタービンシステムの燃焼器に導くことを含む。方法は、燃焼器内で第1の液体燃料を酸化剤で燃焼させて排気ガスを生成することをさらに含む。加えて、方法は、ガスタービンシステムのタービンを通して排気ガスを膨張させ、タービンおよび負荷に結合されたシャフトを駆動することを含む。方法はまた、燃焼器内の第1の液体燃料の燃焼から燃焼器内の第2の液体燃料の燃焼への移行期間にわたって移行させることを含む。移行させることは、第2の液体燃料供給弁を第2の液体燃料閾値まで開き、第2の液体燃料を燃料ポンプの入口に供給しながら第1の液体燃料を入口に供給することを含む。第2の液体燃料閾値は、第2の液体燃料の第2の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づく。移行させることはまた、第2の燃料供給弁を第2の液体燃料閾値まで開くことに応じて、第1の液体燃料閾値から第1の燃料供給弁を閉じて第1の液体燃料を入口に供給することを停止することを含む。移行させることは、燃料ポンプを駆動して出口における液体燃料流の吐出圧力を移行圧力の範囲内に維持するように構成されたモータの速度を制御することをさらに含む。液体燃料流は、第1の液体燃料、第2の液体燃料、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0008】
一実施形態では、燃料供給システムは、第1の液体燃料を燃料ポンプに導くように構成された第1の燃料供給弁を制御するように構成されたプロセッサを含む。燃料ポンプは、ガスタービンシステムの始動期間中、主燃料制御弁を介して第1の液体燃料を燃焼器に供給するように構成される。プロセッサはまた、第1の液体燃料の第1の燃料パラメータおよび第2の液体燃料の第2の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づいて、第2の燃料供給弁についての第2の液体燃料閾値を決定するように構成される。プロセッサは、移行期間中、第2の燃料供給弁を第2の液体燃料閾値に制御し、第2の液体燃料を燃料ポンプに導きながら第1の液体燃料を燃料ポンプに導くようにさらに構成される。加えて、プロセッサは、移行期間中、第2の燃料供給弁を第2の液体燃料閾値に制御することに応じて、第1の燃料供給弁を制御して第1の液体燃料を燃料ポンプに導くことを停止するように構成される。プロセッサはまた、移行期間中、燃料ポンプを駆動して主燃料制御弁における燃料ポンプからの燃料流の吐出圧力を移行期間中の移行圧力の範囲内に維持するように構成されたモータの速度を制御するように構成される。燃料流は、第1の液体燃料、第2の液体燃料、またはそれらの任意の組み合わせを含む。プロセッサは、ガスタービンシステムの定常状態期間中、モータの速度を制御して燃料ポンプを駆動し、主燃料制御弁を介して第2の液体燃料を燃焼器に供給するようにさらに構成される。
【0009】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解されよう。添付の図面では、図面の全体にわたって、同様の符号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】複数の燃料を有する燃料供給システムを備えたガスタービンシステムの一実施形態の概略ブロック図である。
【
図2】ガスタービンシステムの動作中のガスタービンシステムの圧縮機シャフトおよび複数の燃料供給システムのポンプシャフトの速度のチャートである。
【
図3】燃料供給システムからガスタービンシステムに供給される燃料源の移行の一実施形態のフローチャートである。
【
図4】燃料供給システムの燃料源の移行中の燃料弁の制御を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の1つまたは複数の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態に関する簡潔な説明を提供するために、実際の実施態様に関するすべての特徴について本明細書に説明するわけではない。エンジニアリングまたは設計プロジェクトなどの実際の実施態様の開発においては、開発者の特定の目的を達成するために、例えばシステム関連および事業関連の制約条件への遵守など実施態様に特有の決定を数多くしなければならないし、また、これらの制約条件は実施態様ごとに異なる可能性があることを理解されたい。さらに、このような開発作業は複雑で時間がかかるかもしれないが、それでもなお本開示の利益を得る当業者にとっては、設計、製作、および製造の日常的な仕事であることを理解されたい。
【0012】
本開示の様々な実施形態の要素を導入するとき、冠詞「1つの(a、an)」、「この(the)」、および「前記(said)」は、その要素が1つまたは複数存在することを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的なものであり、列挙された要素以外のさらなる要素が存在してよいことを意味することを意図している。
【0013】
ガスタービンシステムは、タービンを通して燃焼ガスを膨張させ、1つまたは複数の負荷を駆動することができる仕事を発生する。ガスタービンシステムに提供される燃料は、燃料の化学的および物理的パラメータ、燃料のコスト、ならびに燃料の可用性に基づいて、燃焼ガスを生成するために燃焼器に提供することができる。ディーゼル油、天然ガス、ガソリン、ジェット燃料などの標準化された燃料は、始動および停止動作に望ましい一貫した燃料パラメータで利用可能であり得る。しかし、これらの標準化された燃料は、燃焼ガスを生成するためにガスタービンシステムに供給されない限り、ガスタービンシステムの部位の近くで場合によってはフレアされ得る燃料源などの他の燃料源よりも高価であるか、または利用可能でない場合がある。ガスタービンシステムの定常状態動作のために他の燃料源から燃料を送達する別々の燃料ポンプおよび/または圧縮機は、燃料供給システムの設置面積を増加させる可能性がある。しかし、本明細書に記載の燃料源の燃料パラメータの分析は、燃料供給システムが多相燃料流を回避しながら異なる燃料を燃焼器に提供することを可能にする。複数の液体燃料で動作する場合、燃料ポンプを駆動する可変速モータ、および燃料制御弁の制御を通じて、燃料供給システムは、燃料供給システムの液体燃料源を移行させながら燃料ポンプからの液体燃料の吐出圧力を維持することができる。本明細書に記載の液体燃料供給システムを制御するシステムおよび方法は、液体燃料源の移行全体にわたってガスタービンシステムの動作の安定性を維持する。
【0014】
ここで図面を参照すると、
図1は、ガスタービンシステム10の一実施形態のブロック図を示している。この図は、圧縮機12と、タービン燃焼器14と、タービン16とを含む。タービン燃焼器14は、液体燃料および/またはガス燃料(例えば、天然ガス、合成ガス、または任意の他の気体燃料)を燃料供給システム30からタービン燃焼器14に送る1つまたは複数の燃料マニホールド/ノズル18を含む。タービン燃焼器14は、空気-燃料混合物を点火して燃焼させて高温加圧燃焼ガス24を生成し、これは続いてタービン16に導かれる。
図1は1つのタービン燃焼器14を示しているが、ガスタービンシステム10の特定の実施形態は、燃焼ガス24をタービン16に導く複数のタービン燃焼器14を含むことができることが理解されよう。タービン16のタービンブレードは、圧縮機シャフト26cを有する圧縮機12など、ガスタービンシステム10全体のいくつかの他の構成要素にも結合することができる1つまたは複数のシャフト26に結合される。燃焼ガス24がタービン16におけるタービンブレードに対して流れると、タービン16が回転駆動され、これによりタービンシャフト26tが回転する。最終的に、燃焼ガス24は、排気ガス28としてガスタービンシステム10から出る。タービンシャフト26tは、タービンシャフト26tの回転を介して動力供給される負荷32に結合することができる。例えば、負荷32は、発電プラントまたは外部の機械的負荷など、タービンシステム10の回転出力を介して動力を生成することができる任意の適切な装置であってもよい。特定の実施形態では、負荷32は、発電機、船舶のプロペラ(例えば、海洋用途における)などを含んでもよい。
【0015】
ガスタービンシステム10の一実施形態では、圧縮機ブレードは、圧縮機12の構成要素として含まれる。圧縮機12内のブレードは、圧縮機シャフト26cに結合され、上述したように、圧縮機シャフト26cがタービン16によって駆動されると回転する。圧縮機12内のブレードの回転は、吸気口34から圧縮機12によって受け取られた空気流20の圧縮を引き起こし、それによって加圧空気流36を形成する。例えば、特定の実施形態では、加圧空気流36aの第1のストリームは1つまたは複数の燃焼器14に供給されてもよく、この加圧空気流36aは、燃焼器14内の燃料供給システム30の1つまたは複数の燃料源38からの燃料を酸化するために使用される。特定の実施形態では、加圧空気流36bの第2のストリームは燃料マニホールド/ノズル18に供給されてもよく、この加圧空気流36bは、燃料システム30の1つまたは複数の燃料源38からの燃料と予混合され、燃料を浪費したり過剰な排出物を発生したりしないように燃焼に適した空気-燃料混合物40を発生する。
【0016】
本開示の燃料供給システム30は、1つまたは複数の燃料源38から燃料を1つまたは複数の燃料マニホールド/ノズル18に供給する。燃料供給システム30は、燃料ポンプ42を介して1つまたは複数の液体燃料を燃料マニホールド/ノズル18に供給することができる。燃料ポンプ42は、ポンプシャフト46を介してモータ44に結合され、可変周波数駆動(VFD)モータ、スイッチトリラクタンス(SR)モータ、またはその吐出側の形状を調整することによって吐出圧力を制御するポンプなどの可変周波数制御装置48で速度を制御する遠心または容積式ポンプであってもよい。特定の実施形態では、燃料供給システム30は、1つまたは複数の燃料源38を燃料制御弁50に結合して適切な燃料流を1つまたは複数の燃料マニホールド/ノズル18に導くように構成された1つの燃料ポンプ42のみを有し、それによって複数の液体燃料ポンプが並列に設けられた燃料供給システムと比較して燃料供給システム30の設置面積が削減される。
【0017】
特定の実施形態では、モータ44の可変速度を制御し、燃料制御弁50への吐出圧力を制御するために使用されるモータ44のVFD/SR48は、ガスタービンコントローラ52によって監視および制御することができる。特定の実施形態では、コントローラ52は、圧力調節の制御ループを閉じるためにフィードバックをコントローラ52に提供する、燃料ポンプ42の吐出部の近くに位置した圧力トランスミッタ54によって吐出圧力を連続的に監視することにより、ポンプシャフト46および燃料ポンプ42の出力速度を制御することによって吐出圧力を調節することができる。コントローラ52のプロセッサ56は、コントローラ52のメモリ58に記憶された命令を実行し、モータ制御ライン60上の信号を制御することができる。特定の実施形態では、コントローラ52は、本明細書に記載のセンサおよびトランスミッタからのフィードバックのみに基づいて、人間の介入なしに自動的に本明細書に記載の制御機能を実行することができる。
【0018】
燃料ポンプ42は、燃料ポンプ42の入口62で受け取られた燃料を、燃料ポンプ42の出口64を介して1つまたは複数の燃料マニホールド/ノズル18に送達する。コントローラ52は、供給弁制御ライン68上で通信される信号(例えば、弁制御信号)を介して、1つまたは複数のそれぞれの燃料供給弁66の制御を介して1つまたは複数の液体燃料源38のどの液体燃料が入口62に導かれるかを制御することができる。例えば、特定の実施形態では、入口62への第1の燃料源38a(例えば、ディーゼル油)の供給は、第1の燃料供給弁66aによって制御され、入口62への第2の燃料源38b(例えば、液体ブタン)の供給は、第2の燃料供給弁66bによって制御され、入口62への第3の燃料源38c(例えば、ナフサ)の供給は、第3の燃料供給弁66cによって制御される。
図1に示されるように、任意の数の燃料源38(例えば、
図1に示される第Nの燃料源38d)および対応する燃料弁66を使用することができる。
【0019】
特定の実施形態では、1つまたは複数の転送ポンプ70を燃料源38と燃料ポンプ42の入口62との間に配置することができる。各転送ポンプ70は、それぞれの液体燃料源38からの液体燃料の圧力を増加させ、燃料ポンプ42の入口62への二相流を低減または排除することができる。コントローラ52は、燃料供給弁66の制御と連動して1つまたは複数の転送ポンプ70の動作を制御することが可能である。例えば、コントローラ52は、それぞれの燃料供給弁66が閉じられている際には転送ポンプ70を停止し、それぞれの燃料供給弁66が開いている際には転送ポンプ70を始動してもよい。
【0020】
加えて、特定の実施形態では、本開示の燃料供給システム30は、1つまたは複数のガス燃料源72から気体燃料を供給することができる。コントローラ52は、気体燃料を用いた始動、停止、または定常状態動作、ならびに複数の液体燃料源38のいずれかとの間のコマンド伝達を指令することができる。
【0021】
特定の実施形態では、液体燃料は、比重によって、例えば、0.2~2.0の範囲であってもよく、20℃での蒸気圧によって、例えば、0.015psi~35psiの範囲であってもよく、潤滑性によって、例えば、高周波往復リグ(HFRR)法で350μm~1000μmの範囲であってもよく、より低い発熱量によって、例えば、8,000BTU/lbm~20,000BTU/lbmの範囲であってもよい。この分類には、周囲条件での液体炭化水素、周囲条件での液体アルコール、周囲条件での液体バイオ燃料、周囲条件での液体脂肪酸などが含まれる。ガス燃料は、比重によって、例えば、0.2~2.5の範囲であってもよく、14.696psia(1気圧)での炭化水素露点によって、例えば、-100~100Fの範囲であってもよく、修正ウォッベ指数(MWI)によって、例えば、10~80の範囲であってもよく、質量によるより低い発熱量によって、例えば、5,000~22,000BTU/lbmの範囲であってもよく、体積によるより低い発熱量によって、例えば、290BTU/scf~3700BTU/scfの範囲であってもよい。
【0022】
以下で詳細に説明するように、コントローラ52のプロセッサ56は、コントローラ52のメモリ58からの命令を実行し、様々な制御方式に従って液体燃料ポンプ42に供給される1つまたは複数の燃料源の量を制御することができる。例えば、コントローラ52は、燃料供給弁66を制御して1つの燃料源38のみから燃料を入口62に提供し、2つ以上の燃料源38からの液体燃料ポンプ42内の燃料を混合し、入口62に提供される燃料または燃料混合物を移行させることができる。以下に説明する実施形態は、第1の液体燃料と第2の液体燃料との間の移行を説明しているが、燃料供給システム30は、第1の液体燃料から第1の液体燃料を含む液体燃料の混合物への移行を制御するために、第1の液体燃料から第1の液体燃料を除く液体燃料の混合物への移行を制御するために、液体燃料の混合物から混合物の第1の液体燃料のみへの移行を制御するために、または液体燃料の混合物から混合物内になかった第1の液体燃料のみへの移行を制御するために制御されてもよいことが理解される。そのような移行の場合、コントローラは、センサ、アクチュエータからのフィードバック、および/または燃料供給システム30の液体燃料源38の各々についての燃料パラメータに関するオペレータからの入力を受信することができる。液体燃料源38についての燃料パラメータは、燃料供給弁閾値、モータ速度、ガスタービンシステムの速度、ガスタービンシステム上の負荷、またはそれらの任意の組み合わせに影響を及ぼし得る液体燃料移行値を決定するためのコントローラの動作を容易にする。
【0023】
燃料供給システム30のコントローラ52は、燃料供給システム30およびガスタービンシステム10全体にわたって、1つまたは複数のセンサ74からフィードバックを受信することができる。センサ74は、限定はしないが、圧力センサ、組成センサ、流量計、温度センサ、負荷センサ、回転センサ、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。センサ74は、液体燃料源38の温度、液体燃料源38の圧力、圧力トランスミッタ54によって示される液体燃料ポンプ42から導かれる1つまたは複数の燃料の出口64における吐出圧力、燃料制御弁50の位置、ポンプシャフト46の速度、ガスタービンシステム10の圧縮機シャフト26cの速度、ガスタービンシステム10のタービンシャフト26tの速度、ガスタービンシステム10上の負荷32、またはそれらの任意の組み合わせに関するフィードバックをコントローラ52に提供することができる。コントローラ52は、1つまたは複数のセンサ74からのフィードバックに少なくとも部分的に基づいて、液体燃料ポンプ42、燃料供給弁66、および燃料制御弁50を制御することができる。
【0024】
図2は、ガスタービンシステム10の動作中の
図1のガスタービンシステム10の一実施形態の圧縮機シャフト26cの速度を示すチャート75と、
図1のガスタービンシステム10の動作中のポンプシャフト46の速度を示すチャート76とを図示する。始動期間78の間、ガスタービンシステム10は、圧縮機シャフト26cがスタータ速度80で駆動されている間に燃焼器14内の第1の液体燃料38a(例えば、ディーゼル油)を燃焼させることによって始動する。始動期間78の間、ガスタービンシステム10の構成要素は、動作を通じて加熱される。例えば、第1の燃料の燃焼は、燃焼器14およびタービン16を加熱し、圧縮機12内の空気20の圧縮は、圧縮機12を加熱し、摩擦は、圧縮機シャフト26c、タービンシャフト26t、および被駆動負荷32内の潤滑油を暖めることができる。始動および停止動作中のガスタービンシステムの負荷は、ガスタービンシステムの定格負荷の約50、40、30、25、20、または10%未満であり得る。圧縮機シャフト26cは、燃焼器14内の燃料の燃焼が、スタータ速度80よりも速い速度でタービン16および圧縮機シャフト26cを駆動するのに十分な燃焼ガスを発生するまで、スタータによって最初にスタータ速度で駆動することができる。
【0025】
コントローラ52は、モータ44のVFD/SR48を制御し、初期ポンプ速度82で燃料ポンプ42を駆動することができる。圧縮機シャフト26cのスタータ速度80は、約2400RPMであってもよい。特定の実施形態では、約3500RPMの初期ポンプ速度82でポンプシャフト46を駆動することにより、燃料ポンプ42は、第1の液体燃料38a(例えば、ディーゼル油)を約600psigで燃料マニホールド/ノズル18に導く。燃焼ガスがタービン16を駆動し、T1においてアイドル速度84で圧縮機シャフト26cを回転させた後、コントローラ52は、T2においてモータ44のVFD/SR48を制御し、T3においてポンプ速度を初期ポンプ速度82から始動燃料速度86に増加させることができる。特定の実施形態では、ガスタービンシステム10の圧縮機シャフト26cのアイドル速度84は、6800~7000RPMである。特定の実施形態では、約5150RPMの始動燃料速度86でポンプシャフト46を駆動することにより、燃料ポンプ42は、第1の液体燃料38aを移行圧力(例えば、約1200psig)で燃料マニホールド/ノズル18に導く。シャフト速度は、T2でのポンプから燃焼器14への燃料の制御に応じて、T1でのアイドル速度84からT2での7100~7500RPMの最小負荷速度88に増加することができる。
【0026】
燃焼器14における第1の液体燃料38aの燃焼からの燃焼ガスは、圧縮機シャフト26cの速度を、T2における7100~7500RPMの最小負荷速度88からT4における燃料伝達速度90に増加させ続けることができる。燃料伝達速度90において、ガスタービンシステム10は、安定して動作し、第1の液体燃料38a、第2の液体燃料38b、またはそれらの任意の組み合わせによる燃料伝達を駆動するように構成されてもよい。特定の実施形態では、ガスタービンシステム10の安定した動作のための燃料伝達速度90は、8200~10000RPMである。特定の実施形態では、始動燃料速度86で可変速燃料ポンプ42によって提供される第1の液体燃料38aの圧力は、第1の移行期間92の間に第1の液体燃料38aに付加される第2の液体燃料38bの蒸気圧に基づいて決定される。すなわち、コントローラ52は、第1の液体燃料38aまたは第2の液体燃料38bの位相を変更することなく、第1の移行期間92中の第1の液体燃料38aから第2の液体燃料38bへの伝達を容易にするために、始動期間78中に燃料ポンプ42にリンクされたVFD/SR48を第1の液体燃料38aによる始動燃料速度86に制御してもよい。燃料ポンプ42が第2の液体燃料38bの蒸気圧よりも低い圧力で第1の液体燃料38aを受け取る場合、燃料ポンプ42は、第1の液体燃料38aが液体として受け取られ、第2の液体燃料38bがガスとして受け取られる二相流を受け取ってもよいことが理解されよう。コントローラ52は、燃料ポンプ42にリンクされたVFD/SR48および始動燃料速度86を制御し、燃料源のいずれかから二相流が燃料ポンプ42に提供されることを回避することができる。コントローラ52は、燃料源の燃料圧力、燃料源の燃料温度、オペレータによって入力された燃料特性、またはそれらの任意の組み合わせのセンサからのフィードバックに少なくとも部分的に基づいて、始動燃料速度86を決定することができる。
【0027】
移行期間中、コントローラ52は、燃料ポンプ42への第1の液体燃料38aの第1の流れを維持し、燃料ポンプ42への第2の液体燃料38bの第2の流れを増加させてもよい。コントローラ52は、モータ44のVFD/SR48を制御してT4における始動燃料速度86からT5における一次燃料速度94への移行期間中に燃料ポンプ42の速度を増加させ、燃料ポンプ42によって供給される燃料の圧力(例えば、吐出圧力)を調整することなく、追加の第2の液体燃料38bを燃料ポンプ42に導くことを容易にすることができる。すなわち、コントローラ52は、モータ44のVFD/SR48を制御して移行期間中に燃料ポンプ42の速度を調整し、所望の圧力(例えば、移行圧力)の範囲内に吐出圧力を維持することができる。第1の液体燃料38aがディーゼル液体燃料であり、第2の液体燃料38bが液体ブタン燃料である一実施形態では、一次燃料速度94は、約6060RPMであってもよい。コントローラ52は、ランプアップ期間96、定常状態期間100、および/またはランプダウン期間102の間に燃焼器に導かれた1つまたは複数の燃料の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づいて、燃料ポンプ42の一次燃料速度94を決定することができる。特定の実施形態では、コントローラ52は、第2の液体燃料38bのより低い発熱量、第2の液体燃料38bの潤滑性、第2の液体燃料38bの比重、もしくは第2の液体燃料38bの蒸気圧、またはそれらの任意の組み合わせに少なくとも部分的に基づいて、燃料ポンプの一次燃料速度94を決定する。特定の実施形態では、コントローラ52は、センサ74および圧力トランスミッタ54のフィードバックから燃料の組成を決定し、次いで、メモリ58に記憶されるか、あるいはコントローラ52のプロセッサ56によってアクセス可能なテーブルから燃料の1つまたは複数のパラメータを決定することができる。第1の移行期間92の間、コントローラ52は、燃料供給弁66を制御して燃料ポンプ42に提供される第2の液体燃料38bの量を増加させ、燃料ポンプ42に提供される第1の液体燃料38aの量を減少させてもよい。特定の実施形態では、第1の移行期間92は、15~180秒、30~150秒、または60~120秒である。以下で詳細に説明するように、コントローラ52は、最初に燃料ポンプ42に提供される第2の液体燃料38bの量をゼロから第2の量に増加させ、次に燃料ポンプ42に提供される第1の液体燃料38aの量を第1の量からゼロに減少させることができる。一般に、本明細書に記載の制御を介して、コントローラ52は、第1の液体燃料38aおよび第2の液体燃料38bが各々第1の移行期間92中に液相のままであることを確実にするように構成される。
【0028】
特定の実施形態では、上述の燃料伝達プロセスは、90におけるガスタービンシャフト速度に保持する必要なく、ガスタービンシャフト速度88から速度90への所定のランプアップと共に徐々に行うことができ、すなわち、第2の燃料供給弁38bを第2の閾値まで開き、第1の燃料供給弁38aを第1の閾値からゼロまで閉じる。特定の実施形態では、このプロセスは、第1および第2の燃料の燃料特性、周囲特性、およびガスタービンシャフトのランプアップ速度に基づいてポンプ42の速度を調整することによって部分的に行うことができる。
【0029】
T
5における第1の移行期間92の後、コントローラ52は、ランプアップ期間96中にガスタービンシステム10を制御し、T
6において圧縮機シャフト26cの速度を燃料伝達速度90から動作負荷速度98に増加させることができる。特定の実施形態では、動作負荷速度98は、9500~15000RPMである。動作負荷速度98において、第2の液体燃料38bによって供給されるガスタービンシステム10は、定常状態期間100の間に負荷を駆動するように構成される。ガスタービンシステム10は、定常状態期間100において数時間、数日、数週間、またはそれ以上動作するように構成することができる。T
7において、コントローラ52は、ランプダウン期間102の間にガスタービンシステム10を制御し、T
8において圧縮機シャフト26cの速度を動作負荷速度98から燃料伝達速度90に減少させることができる。T
8において、コントローラ52は、第2の移行期間104中に燃料供給弁66を制御して燃料ポンプ42に提供される第2の液体燃料38bの量を減少させ、燃料ポンプ42に提供される燃料供給システム30の別の液体燃料の量を増加させる。
図2のチャート75、76は第1の液体燃料38aと第2の液体燃料38bとの間の移行の一実施形態を示しているが、コントローラ52は、3つ以上の液体燃料の移行を制御することもできる。第2の移行期間104の間、コントローラ52は、供給弁66を制御して燃料ポンプ42に提供される第1の液体燃料38aの量をゼロから第1の量に増加させ、その後、燃料ポンプ42に提供される第2の液体燃料38bの量を第2の量からゼロに減少させてもよい。T
9において、コントローラ52は、停止期間106においてガスタービンシステム10を制御し、T
10において圧縮機シャフト26cの速度を燃料伝達速度90から最小負荷速度88に減少させることができる。コントローラ52は、T
11においてT
10におけるポンプシャフト46の速度を始動燃料速度86から初期ポンプ速度82に減少させ、それによって燃料供給システム30を停止のために準備することができる。T
11において、コントローラ52は、T
12において速度がそれぞれゼロRPMになるように減少するように、圧縮機シャフト26cの速度およびポンプ速度76を低減することができる。
図2はT
12におけるゼロRPMでの圧縮機シャフト26cの速度およびポンプシャフト46の速度を示しているが、ガスタービンシステム10の特定の実施形態では、圧縮機シャフト26cの速度およびポンプシャフト46の速度は、異なる速度で減少し、停止期間106中の異なる時間にゼロRPMに減少し得ることが理解される。一般に、本明細書に記載の制御を介して、コントローラ52は、第1の液体燃料38aおよび第2の液体燃料38bが各々第2の移行期間104中に液相のままであることを確実にするように構成される。
【0030】
液体燃料源38の可用性およびコストは、ガスタービンシステム10の部位によって異なり得る。例えば、ディーゼル燃料、灯油、またはガソリンを、ガスタービンシステム10の標準化された始動および停止手順に利用することができる。しかし、ディーゼル油などの一部の液体燃料は、他の液体燃料、例えば蒸留燃料、ジェット燃料、ナフサ、液体ブタン、液体プロパン、液化石油ガス(LPG)、および他の炭化水素もしくは炭化水素混合物、またはバイオ燃料と比較して、可用性が低いか、コストが高いか、またはその両方である場合がある。さらに、液体燃料の発熱量は異なるため、発熱量がより高い第1の液体燃料は、発熱量がより低い第2の液体燃料よりも高い負荷で動作することが望ましい場合がある。したがって、コントローラ52は、燃料供給弁66、VFD/SR48、および燃料制御弁50を制御し、1つまたは複数の液体燃料の可用性、1つまたは複数の液体燃料のコスト、および/または1つまたは複数の液体燃料の燃焼を通じて駆動される所望の負荷に基づいて、燃料供給システム30の1つまたは複数の液体燃料の第1の流れから燃料供給システム30の1つまたは複数の液体燃料の第2の流れに移行させることができる。オペレータにとって利用可能であり便利である場合、始動および停止は、ガス燃料システムトレインを通して任意の気体燃料で実施することができる。
【0031】
図3は、ガスタービンシステムを第1の液体燃料での始動から第2の液体燃料または液体燃料混合物で全負荷を駆動するまで動作させる方法120の一実施形態のフローチャートを示している。燃料供給システムのコントローラは、燃料ポンプにリンクされたVFD/SRを制御し、第1の液体燃料を燃料供給システムの1つまたは複数の燃料マニホールドまたはノズルに向けて導く(ブロック122)。コントローラはまた、燃料ポンプの入口への第1の液体燃料の流れを可能にするために燃料供給制御弁を開く(ブロック124)。コントローラは、ほぼ同時(例えば、1~10秒以内)にブロック122および124を実行することができる。ガスタービンシステムは、ガスタービンシステムの圧縮機およびタービンを始動させ(ブロック126)、それによってガスタービンシステムのシャフトの回転を開始する。特定の実施形態では、ガスタービンシステムを始動させる(ブロック126)コントローラはまた、燃料供給システムを制御する。第1の液体燃料が主燃料制御弁によって燃料ポンプから燃焼器に送られ、圧縮機からの酸化剤が燃焼器に送られると、コントローラは、燃焼器内の酸化剤-燃料混合物の燃焼を制御することができる(ブロック128)。始動期間78中に上述したように、コントローラは、燃焼器に供給される燃料および酸化剤を制御してガスタービンエンジンの構成要素を暖め(ブロック130)、それによってガスタービンシステムの安定性を増加させる。
【0032】
コントローラは、燃料供給システムの燃料源の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づいて、燃料移行値を決定する(ブロック132)。特定の実施形態では、コントローラは、ガスタービンシステムの周囲環境の燃料パラメータおよび環境パラメータ(例えば、温度、圧力、湿度)に少なくとも部分的に基づいて、燃料移行値を決定する(ブロック132)。燃料移行値は、限定はしないが、燃料ポンプが第1の液体燃料から第2の液体燃料への移行を開始するための始動燃料速度、第1の液体燃料から第2の液体燃料への移行中のガスタービンシステム上の伝達負荷、燃料供給システムの1つまたは複数の燃料供給弁の移行閾値、移行後に燃焼器に提供される第2の液体燃料の液体燃料の混合物、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。次に、コントローラは、第1の液体燃料および第2の液体燃料の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づいて、燃料ポンプにリンクされたVFD/SRを始動燃料速度に制御する(ブロック134)。上述したように、始動燃料速度は、移行期間中に第1の液体燃料に付加される第2の液体燃料の蒸気圧に基づいて決定することができる。コントローラは、多相燃料流を燃料ポンプまたは1つまたは複数の燃料マニホールド/ノズルに供給することなく、燃料ポンプにリンクされたVFD/SRを第1の液体燃料から第2の液体燃料への伝達を容易にする始動燃料速度に制御することができる(ブロック134)。これらのシナリオのいずれについても、主燃料制御弁は、液体燃料流制御の目的のための可変速燃料ポンプの補助として、始動燃料流、移行中の液体燃料混合物の流れ、およびマニホールド/ノズルへの第2の液体燃料流を調節する。
【0033】
コントローラは、ガスタービンシステム上の負荷を、コントローラが主燃料制御弁および個々の燃料供給弁によって燃焼器に供給される燃料を第1の液体燃料から第2の液体燃料に安定して移行させることができる伝達負荷に制御する(ブロック136)。始動燃料は、それぞれディーゼル油、灯油、もしくはガソリン、または気体燃料であってもよい。第2の燃料は、とりわけ、ブタン、灯油、またはジェット燃料などの液体燃料であってもよい。上述したように、コントローラは、第2の液体燃料の燃料パラメータに少なくとも部分的に基づいて、伝達負荷のような燃料移行値を決定することができる(ブロック132)。例えば、第1の液体燃料の燃焼によって支持される第1のアイドル負荷が第2の液体燃料の燃焼によって支持される第2のアイドル負荷よりも小さい場合、伝達負荷は、ガスタービンが第1の液体燃料から第2の液体燃料への移行中に伝達負荷を安定して提供することができるように、第2のアイドル負荷であってもよい。ガスタービンシステムが伝達負荷を支持した後、コントローラは、第1の液体燃料から第2の液体燃料に移行する(ブロック138)。燃料を移行させるために、コントローラは、ガスタービンシステムの安定した動作を維持しながら、第2の液体燃料用の第2の燃料供給弁を開く(ブロック140)。第2の燃料供給弁が第2の液体燃料移行閾値まで開かれると、コントローラは、ガスタービンシステムの安定した動作を維持しながら、第1の液体燃料用の第1の燃料供給弁を閉じる(ブロック142)。ガスタービンシステムの安定した動作を維持するために、コントローラは、それぞれの移行期間にわたって燃料供給弁を徐々に開き(ブロック140)、かつ徐々に閉じる(ブロック142)ことができる。
【0034】
燃料供給弁を開閉するための移行は、5、10、15、20、30、45、または60秒以上であってもよく、その結果、コントローラは、10、20、30、40、60、90、または120秒以上の期間にわたってブロック140および142を実行する。特定の実施形態では、コントローラは、移行(ブロック138)中に燃料供給弁を開くこと(ブロック140)と閉じること(ブロック142)との間に5、10、15、30、または60秒以上一時停止することができる。第2の燃料供給弁を開く(ブロック140)ための第2の液体燃料移行閾値は、約50、60、70、80、90、または100%開であってもよい。液体燃料の移行(ブロック138)中、コントローラは、移行期間にわたって燃料供給弁および主燃料制御弁を制御しながら、VFD/SRによって燃料ポンプの速度を調整することができる(ブロック144)。例えば、コントローラは、ガスタービン負荷を維持するために主燃料制御弁の位置を調整しながら、第1の液体燃料よりも高い蒸気圧を有する第2の液体燃料への移行中に燃料ポンプの速度を増加させることができる。コントローラは、燃料ポンプの速度を増加させ、ポンプの出口から燃焼器に供給される燃料の吐出圧力を移行期間中の移行圧力の範囲(例えば、0.5~10%)内に維持し、主燃料制御弁の位置を調整してガスタービン負荷を維持することが可能である。移行圧力範囲内に燃焼器に供給される液体燃料の吐出圧力を維持することにより、移行期間中の燃焼器内の安定した燃焼を容易にすることができる。いくつかの例では、気体燃料を使用してガスタービンシステムを始動および停止させ、液体燃料源への移行を行うことができ、ガスタービンシステムは、定常状態で、または始動および停止プロセスのための移行負荷よりも高い負荷で、第2の液体燃料または他の液体燃料の混合物への移行を実施することが可能になる。
【0035】
コントローラが第1の燃料供給弁を閉じ(ブロック142)、ガスタービンシステムが第2の液体燃料の燃焼を通じて完全に動作した後、コントローラは、第2の液体燃料でガスタービンシステムを動作させながら、所望の負荷に基づいて、ガスタービンシステムを制御することができる(ブロック146)。理解され得るように、コントローラは、主燃料制御弁によるガスタービンシステムの負荷の変化に応じて、ガスタービンシステムの定常状態動作中に燃焼器に供給される第2の液体燃料の量および/または圧力を調整することができる。コントローラは、上述したブロック132~144を繰り返し、第2の液体燃料から第1の液体燃料、第3の液体燃料、または燃料供給システムの1つまたは複数の液体燃料の混合物に移行してもよい。
【0036】
図4は、上述の液体燃料の移行のための燃料供給弁の制御の一実施形態のチャート160を示している。燃料移行162の前に、第1の液体燃料を燃料ポンプに供給するように構成された第1の燃料供給弁の第1の位置164は、第1の液体燃料閾値166まで開かれる。第1の液体燃料閾値166は、ガスタービンシステムに対する決定された伝達負荷に基づいて、燃料供給システムのコントローラによって決定することができる。上述したように、伝達負荷は、第1の液体燃料および第2の液体燃料の燃料パラメータならびにガスタービンシステムに対する周囲条件に基づいて決定することが可能である。例えば、燃料供給システムのコントローラは、第1の液体燃料および第2の液体燃料の燃料パラメータの分析から、第1の液体燃料から第2の液体燃料への安定した移行が、第1の燃料供給弁が第1の液体燃料閾値まで開かれたときに供給される第1の液体燃料の第1の量の燃焼によって支持される伝達負荷で起こり得ると決定することができる。コントローラはまた、第1の液体燃料および第2の液体燃料の燃料パラメータの分析から、第2の燃料供給弁の第2の位置168が第2の液体燃料閾値170まで開かれたとき、伝達負荷が第2の液体燃料の第2の量の燃焼によって支持され得ると決定することができる。コントローラは、それぞれの液体燃料を監視するセンサからのフィードバック、それぞれの液体燃料の燃料パラメータに関連するコントローラへの入力からのフィードバック、またはそれらの任意の組み合わせに基づいて、第1の液体燃料および第2の液体燃料の燃料パラメータを分析することができる。特定の実施形態では、第1の液体燃料閾値166は、約25、30、40、50、60、70、75、80、90、または100%開である。特定の実施形態では、第2の液体燃料閾値170は、約25、30、40、50、60、70、75、80、90、または100%開である。例えば、第1の液体燃料閾値166は約40%開であってもよく、第2の液体燃料閾値は約75%開であってもよい。
【0037】
燃料移行162を開始するために、コントローラは、TAにおいて第2の燃料供給弁の第2の位置168を調整し、第2の燃料供給弁を開く。第2の燃料供給弁を開く第2の速度172は、第2の燃料供給弁の弁のタイプ(例えば、バタフライ、ボール、ゲート、グローブ)、ガスタービンシステムの安定性、および第2の液体燃料のパラメータ(例えば、粘度、蒸気圧、比重、潤滑性)、またはそれらの任意の組み合わせに少なくとも部分的に基づいて制御することができる。第2の燃料供給弁の第2の位置168を第2の液体燃料閾値170まで開くための第2の移行期間174は、約5、10、15、20、30、45、または60秒であってもよい。コントローラは、第1の供給弁が第1の液体燃料閾値166まで開いたままである間、第2の燃料供給弁を第2の液体燃料閾値170まで開く。TBにおいて、第2の燃料供給弁は第2の液体燃料閾値170まで開かれ、第1の燃料供給弁は第1の液体燃料閾値166まで開かれたままである。したがって、第1の液体燃料および第2の液体燃料は、燃料移行162中に燃料ポンプに供給される。上述したように、燃料ポンプの速度は、燃料ポンプ内および/または燃料ポンプの下流の二相流を回避するために、第1の液体燃料および第2の液体燃料の燃料パラメータに基づいて、ならびに圧力トランスミッタからの吐出圧力に基づいて、燃料移行162中にVFD/SRによって制御されてもよい。ガスタービンシステムは、燃料移行162中に第1の液体燃料と第2の液体燃料の混合物を燃焼させる。
【0038】
特定の実施形態では、コントローラは、第2の燃料供給弁が第2の液体燃料閾値170まで開かれるとすぐに第1の燃料供給弁を閉じるようにTBで第1の燃料供給弁の第1の位置164を調整する。特定の実施形態では、コントローラは、第1の燃料供給弁の第1の位置164を調整する前に、ガスタービンシステムの燃焼安定性を確実にするために安定間隔(例えば、1~60秒)の間TBで一時停止することができる。第1の燃料供給弁を閉じる第1の速度176は、第1の燃料供給弁の弁のタイプ(例えば、バタフライ、ボール、ゲート、グローブ)、ガスタービンシステムの安定性、および第1の液体燃料のパラメータ(例えば、粘度、蒸気圧、比重、潤滑性)、またはそれらの任意の組み合わせに少なくとも部分的に基づいて制御することができる。第1の燃料供給弁の第1の位置164を第1の液体燃料閾値166から全閉位置180に閉じるための第1の移行期間178は、約5、10、15、20、30、45、または60秒であってもよい。コントローラは、第2の供給弁が第2の液体燃料閾値170まで開いたままである間、第1の燃料供給弁を閉じる。TCにおいて、第2の燃料供給弁は第2の液体燃料閾値170まで開かれたままであり、第1の燃料供給弁は全閉位置180へと指令される。したがって、燃料移行162の後、第2の液体燃料のみが燃料ポンプに供給される。TCの後、コントローラは、VFD/SRによって主燃料制御弁の位置および燃料ポンプの速度を調整し、第2の液体燃料の所望の量および圧力をガスタービンシステムの燃焼器に供給して所望の負荷を駆動することができる。
【0039】
本開示の技術的効果は、ガスタービンシステムを停止することなく、移行中に1つの燃料ポンプから両方の燃料を供給するように構成された1つの燃料ポンプを利用して、ガスタービンシステムの燃焼器に供給される第1の液体燃料から燃焼器に供給される第2の液体燃料に移行させることを含む。1つの燃料ポンプを利用して、移行中にポンプの動作を調整することにより、複数の液体燃料を用いたガスタービンシステムの動作を容易にするための複数の液体燃料トレインに関連する追加のコスト、サイズ、および動作の複雑さを回避することができる。ガスタービンシステムの動作中に複数の液体燃料を利用することは、定常状態動作中に様々な液体燃料源および/または局所的な液体燃料源の利用を可能にし、さらに始動または停止手順のために標準化された燃料源(例えば、ディーゼル油、灯油、ガソリン、場合によっては気体燃料)を利用することによって、ガスタービンシステムの動作の柔軟性を増加させる。
【0040】
本明細書は、最良の態様を含む本開示の実施形態を開示するために、またいかなる当業者も、任意の装置またはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実施を含む本開示の実践を可能にするために、実施例を使用している。本開示の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言との実質的な差異を有さない等価な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【符号の説明】
【0041】
10 ガスタービンシステム
12 圧縮機
14 燃焼器
16 タービン
18 燃料マニホールド/ノズル
20 空気
24 燃焼ガス
26c 圧縮機シャフト
26t ガスタービンシャフト
28 排気ガス
30 燃料供給システム
32 負荷
34 吸気口
36 加圧空気流
38 液体燃料源
40 燃料または空気-燃料混合物
42 燃料ポンプ
44 モータ
46 ポンプシャフト
48 可変周波数ドライバ(VFD)またはスイッチリラクタンス(SR)モータ速度変動装置
50 主燃料制御弁
52 コントローラ
54 圧力トランスミッタ
56 プロセッサ
58 メモリ
60 モータ制御ライン
62 ポンプ入口
64 ポンプ出口
66 燃料供給弁
68 供給弁制御ライン
70 転送ポンプ
72 ガス燃料源
74 センサ
75 ガスタービン圧縮機シャフト速度
76 燃料ポンプシャフト速度
78 始動期間
80 スタータ速度
82 初期ポンプ速度
84 アイドル速度(ガスタービンシャフト)
86 始動燃料速度(ポンプ)
88 最小負荷速度(ガスタービンシャフト)
90 伝達負荷速度(ガスタービンシャフト)
92 第1の移行期間
94 一次燃料速度(ポンプ)
96 ランプアップ期間
98 動作負荷速度(ガスタービンシャフト)
100 定常状態期間
102 ランプダウン期間
104 第2の移行期間
106 停止期間
120 方法
122 燃料ポンプを制御して第1の燃料を燃料マニホールド/ノズルに導く
124 燃料供給制御弁を開く
126 ガスタービンシステムを始動させる
128 液体燃料混合物を燃焼させる
130 ガスタービンシステムを暖める
132 燃料移行値を決定する
134 燃料ポンプを始動燃料速度に制御する
136 ガスタービンシステム上の負荷を制御して負荷を伝達する
138 移行期間中に燃料を移行させる
140 燃料供給弁を開いて第2の液体燃料を増加させる
142 燃料供給弁を閉じて第1の液体燃料を減少させる
144 燃料ポンプ速度を調整する
146 負荷に基づいてガスタービンシステムを制御する
160 チャート
162 燃料移行期間
164 第1の燃料供給弁位置
166 第1の液体燃料閾値
168 第2の燃料供給弁位置
170 第2の液体燃料閾値
172 第2の速度(第2の液体燃料)
174 第2の移行期間(第2の燃料供給弁開)
176 第1の速度(第1の液体燃料)
178 第1の移行期間(第1の燃料供給弁閉)
180 全閉位置(第1の燃料供給弁)