(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-14
(45)【発行日】2025-03-25
(54)【発明の名称】エネルギー活用システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20250317BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20250317BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20250317BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20250317BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20250317BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20250317BHJP
B60L 8/00 20060101ALI20250317BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20250317BHJP
【FI】
H02J7/00 303A
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
H02J7/02 F
H02J3/32
H02J3/38 130
B60L53/14
B60L3/00 N
B60L8/00
B60L58/12
(21)【出願番号】P 2024145368
(22)【出願日】2024-08-27
【審査請求日】2024-09-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】飯島 雅人
(72)【発明者】
【氏名】木村 優
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】坂井 あんず
(72)【発明者】
【氏名】納富 昭光
(72)【発明者】
【氏名】藤塚 亮太
(72)【発明者】
【氏名】吉永 沙織
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-146784(JP,A)
【文献】特開2021-129459(JP,A)
【文献】特開2024-021404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-7/12
H02J 7/34-7/36
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー活用システムであって、
敷地に建造される集合住宅と、
前記敷地に設置され、自然エネルギーから電力を生成する自然エネルギー発電装置と、
前記敷地に設置されるパーキングと、
前記自然エネルギー発電装置の発電時間帯において、前記自然エネルギー発電装置によって生成された電力を、前記パーキングに駐留される複数の電動輸送機のバッテリーに配分し、前記自然エネルギー発電装置の未発電時間帯において、前記複数の電動輸送機のバッテリーの間で充電電力を入れ替える電力コントローラーと、
を備え、
前記電力コントローラーは、前記複数の電動輸送機のバッテリーのそれぞれの充電量が前記複数の電動輸送機のそれぞれの翌日の日次スケジュールに基づいて決定された設定値に至るまで、前記複数の電動輸送機のバッテリーの間で充電電力を入れ替える
ことを特徴とするエネルギー活用システム。
【請求項2】
請求項
1に記載のエネルギー活用システムにおいて、
前記日次スケジュールは、前記電動輸送機によって移動する予定の目的地、移動ルート又は移動距離である
ことを特徴とするエネルギー活用システム。
【請求項3】
請求項
1又は
2に記載のエネルギー活用システムにおいて、
前記複数の電動輸送機のそれぞれの日次スケジュールを管理し、前記複数の電動輸送機のそれぞれの翌日の日次スケジュールに基づいて設定値を決定する管理装置
を備えることを特徴とするエネルギー活用システム。
【請求項4】
エネルギー活用システムであって、
敷地に建造される集合住宅と、
前記敷地に設置され、自然エネルギーから電力を生成する自然エネルギー発電装置と、
前記敷地に設置されるパーキングと、
前記自然エネルギー発電装置の発電時間帯において、前記自然エネルギー発電装置によって生成された電力を、前記パーキングに駐留される複数の電動輸送機のバッテリーに配分し、前記自然エネルギー発電装置の未発電時間帯において、前記複数の電動輸送機のバッテリーの間で充電電力を入れ替える電力コントローラーと、
を備え、
前記電力コントローラーは、前記複数の電動輸送機のバッテリーのそれぞれの充電量が前記複数の電動輸送機のそれぞれの動作履歴に基づいて決定された設定値に至るまで、前記複数の電動輸送機のバッテリーの間で充電電力を入れ替える
ことを特徴とするエネルギー活用システム。
【請求項5】
請求項
4に記載のエネルギー活用システムにおいて、
前記動作履歴は、稼働率、前記電動輸送機の移動距離を日次の時系列で並べた移動距離データ列、前記電動輸送機の移動速度を時系列で並べた速度データ列、前記電動輸送機の加速度を時系列で並べた加速度データ列、又は、前記電動輸送機の前記バッテリーに残った充電量の計測値を時系列で並べた残量データ列である
ことを特徴とするエネルギー活用システム。
【請求項6】
請求項
4又は
5に記載のエネルギー活用システムにおいて、
前記複数の電動輸送機のそれぞれの動作履歴を管理し、前記複数の電動輸送機のそれぞれの動作履歴に基づいて設定値を決定する管理装置
を備えることを特徴とするエネルギー活用システム。
【請求項7】
請求
項1、
2、
4又は
5に記載のエネルギー活用システムにおいて、
前記集合住宅の複数の専有部にそれぞれ設置された複数の管理装置を備え、
前記管理装置が、前記複数の電動輸送機のバッテリーのそれぞれの充電量の計測値を表示する
ことを特徴とするエネルギー活用システム。
【請求項8】
エネルギー活用システムであって、
敷地に建造される集合住宅と、
前記敷地に設置され、自然エネルギーから電力を生成する自然エネルギー発電装置と、
前記敷地に設置されるパーキングと、
前記自然エネルギー発電装置の発電時間帯において、前記自然エネルギー発電装置によって生成された電力を、前記パーキングに駐留される複数の電動輸送機のバッテリーに配分し、前記自然エネルギー発電装置の未発電時間帯において、前記複数の電動輸送機のバッテリーの間で充電電力を入れ替える電力コントローラーと、
前記集合住宅の複数の専有部にそれぞれ設置された複数の管理装置
と、を備え、
前記管理装置が、前記複数の電動輸送機のバッテリーのそれぞれの充電量の計測値を表示する
ことを特徴とするエネルギー活用システム。
【請求項9】
請求
項1、
2、
4又は
5に記載のエネルギー活用システムにおいて、
前記自然エネルギー発電装置が太陽光発電パネルであり、前記発電時間帯が昼間であり、前記未発電時間帯が夜間である
ことを特徴とするエネルギー活用システム。
【請求項10】
請求
項1、
2、
4又は
5に記載のエネルギー活用システムにおいて、
前記自然エネルギー発電装置が前記集合住宅の屋上に設置されている
ことを特徴とするエネルギー活用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー活用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、太陽電池モジュールが設置された集合住宅に採用される充放電制御システムを開示する。充放電制御システムのパワーコンディショナーは、系統電源からの電力及び太陽電池モジュールの発電電力を各住居区画及び共用部に供給する。パワーコンディショナーは、系統電源の電力及び太陽電池モジュールの発電電力を蓄電池に供給する。夜間、パワーコンディショナーは、蓄電池の放電電力を各住居区画に供給する。充放電制御システムの充放電装置は、蓄電池の放電電力を電気自動車のバッテリーに充電したり、電気自動車のバッテリーの放電電力を蓄電池に充電したりする。パワーコンディショナー又は充放電装置は、太陽電池モジュールの発電電力を複数の電気自動車に配分するものではない。パワーコンディショナー又は充放電装置は、複数の電気自動車の間で電力を移動させるものではない。昼間に太陽電池モジュールが電力を生成する際には、電気自動車の多くが利用されていることから、利用中の電気自動車のバッテリーが充電されず、未利用の電気自動車にしか充電されない。夜間は多くの電気自動車が集合住宅の駐車場に戻っていても、太陽電池モジュールが発電しないため、蓄電池の放電電力だけでは電気自動車の充電及び各住居区画の電力消費を賄うことができず、系統電源の電力も電気自動車の充電及び各住居区画の電力消費に利用される。従って、太陽電池モジュールの発電電力は電気自動車の充電に寄与しているとは言い切れない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、自然エネルギー発電装置の発電電力を多くの電動輸送機の充電に寄与させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の括弧書きで示された参照符号は
図1及び
図2において参照される。
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1によれば、
エネルギー活用システム(1)であって、
敷地に建造される集合住宅(2)と、
前記敷地に設置され、自然エネルギーから電力を生成する自然エネルギー発電装置(8)と、
前記敷地に設置されるパーキング(6)と、
前記自然エネルギー発電装置(8)の発電時間帯において、前記自然エネルギー発電装置(8)によって生成された電力を、前記パーキング(6)に駐留される複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)に配分し、前記自然エネルギー発電装置(8)の未発電時間帯において、前記複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)の間で充電電力を入れ替える電力コントローラー(50)と、
を備え、
前記電力コントローラー(50)は、前記複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)のそれぞれの充電量が前記複数の電動輸送機(10)のそれぞれの翌日の日次スケジュールに基づいて決定された設定値に至るまで、前記複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)の間で充電電力を入れ替える
ることを特徴とするエネルギー活用システム(1)が提供される。
【0007】
以上のような請求項1によれば、自然エネルギー発電装置(8)の発電時間帯においては、自然エネルギー発電装置(8)によって生成された電力が、パーキング(6)に駐留される複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)に配分される。自然エネルギー発電装置(8)の未発電時間帯においては、複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)の間で充電電力が入れ替えられる。従って、電動輸送機(10)が発電時間帯にパーキング(6)に駐留されていなくても、その電動輸送機(10)が未発電時間帯にパーキング(6)に戻っていれば、その電動輸送機(10)のバッテリー(12)への充電電力は、自然エネルギー発電装置(8)によって生成されたものである。よって、自然エネルギー発電装置(8)によって生成された電力が多くの電動輸送機(10)の充電に寄与する。
【0009】
以上のような請求項1によれば、電動輸送機(10)のバッテリー(12)の充電量が翌日の日次スケジュールに基づて決定された設定値に至るまで、バッテリー(12)が充電又は放電されるから、バッテリー(12)の充電量が過不足なく適切なものとなる。
【0010】
請求項2によれば、
請求項1に記載のエネルギー活用システム(1)において、
前記日次スケジュールは、前記電動輸送機(10)によって移動する予定の目的地、移動ルート又は移動距離である
ことを特徴とするエネルギー活用システム(1)が提供される。
【0011】
以上のような請求項2によれば、電動輸送機(10)のバッテリー(12)の充電量が目的地、移動ルート又は移動距離に基づいて決定された設定値に至るまで、バッテリー(12)が充電又は放電されるから、バッテリー(12)の充電量が過不足なく適切なものとなる。
【0012】
請求項3によれば、
請求項1又は2に記載のエネルギー活用システム(1)において、
前記複数の電動輸送機(10)のそれぞれの日次スケジュールを管理し、前記複数の電動輸送機(10)のそれぞれの翌日の日次スケジュールに基づいて設定値を決定する管理装置(66)
を備えることを特徴とするエネルギー活用システム(1)が提供される。
【0013】
以上のような請求項3によれば、複数の電動輸送機(10)のそれぞれの日次スケジュールが管理装置(66)によって管理される。
【0014】
請求項4によれば、
エネルギー活用システム(1)であって、
敷地に建造される集合住宅(2)と、
前記敷地に設置され、自然エネルギーから電力を生成する自然エネルギー発電装置(8)と、
前記敷地に設置されるパーキング(6)と、
前記自然エネルギー発電装置(8)の発電時間帯において、前記自然エネルギー発電装置(8)によって生成された電力を、前記パーキング(6)に駐留される複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)に配分し、前記自然エネルギー発電装置(8)の未発電時間帯において、前記複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)の間で充電電力を入れ替える電力コントローラー(50)と、
を備え、
前記電力コントローラー(50)は、前記複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)のそれぞれの充電量が前記複数の電動輸送機(10)のそれぞれの動作履歴に基づいて決定された設定値に至るまで、前記複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)の間で充電電力を入れ替える
ことを特徴とするエネルギー活用システム(1)が提供される。
【0015】
以上のような請求項4によれば、電動輸送機(10)のバッテリー(12)の充電量が動作履歴に基づて決定された設定値に至るまで、バッテリー(12)が充電又は放電されるから、電動輸送機(10)の過去の動作の傾向がバッテリー(12)の充電量に反映され、バッテリー(12)の充電量が過不足なく適切なものとなる。
【0016】
請求項5によれば、
請求項4に記載のエネルギー活用システム(1)において、
前記動作履歴は、稼働率、前記電動輸送機(10)の移動距離を日次の時系列で並べた移動距離データ列、前記電動輸送機(10)の移動速度を時系列で並べた速度データ列、前記電動輸送機(10)の加速度を時系列で並べた加速度データ列、又は、前記電動輸送機(10)の前記バッテリー(12)に残った充電量の計測値を時系列で並べた残量データ列である
ことを特徴とするエネルギー活用システム(1)が提供される。
【0017】
以上のような請求項5によれば、電動輸送機(10)のバッテリー(12)の充電量が移動距離データ列、速度データ列、加速度データ列又は残量データ列に基づいて決定された設定値に至るまで、バッテリー(12)が充電又は放電されるから、電動輸送機(10)の過去の動作の傾向がバッテリー(12)の充電量に反映され、バッテリー(12)の充電量が過不足なく適切なものとなる。
【0018】
請求項6によれば、
請求項4又は5に記載のエネルギー活用システム(1)において、
前記複数の電動輸送機(10)のそれぞれの動作履歴を管理し、前記複数の電動輸送機(10)のそれぞれの動作履歴に基づいて設定値を決定する管理装置(66)
を備えることを特徴とするエネルギー活用システム(1)が提供される。
【0019】
請求項6によれば、複数の電動輸送機(10)のそれぞれの動作履歴が管理装置(66)によって管理される。
【0020】
請求項7によれば、
請求項1、2、4又は5に記載のエネルギー活用システム(1)において、
前記集合住宅(2)の複数の専有部(4)にそれぞれ設置された複数の管理装置(46)を備え、
前記管理装置(46)が、前記複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)のそれぞれの充電量の計測値を表示する
ことを特徴とするエネルギー活用システム(1)が提供される。
請求項8によれば、
エネルギー活用システム(1)であって、
敷地に建造される集合住宅(2)と、
前記敷地に設置され、自然エネルギーから電力を生成する自然エネルギー発電装置(8)と、
前記敷地に設置されるパーキング(6)と、
前記自然エネルギー発電装置(8)の発電時間帯において、前記自然エネルギー発電装置(8)によって生成された電力を、前記パーキング(6)に駐留される複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)に配分し、前記自然エネルギー発電装置(8)の未発電時間帯において、前記複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)の間で充電電力を入れ替える電力コントローラー(50)と、
を備え、
前記管理装置(46)が、前記複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)のそれぞれの充電量の計測値を表示する
ことを特徴とするエネルギー活用システム(1)が提供される。
【0021】
以上のような請求項7、8によれば、居住者は専有部(4)から電動輸送機(10)へ移動しなくても、専有部(4)に居ながら電動輸送機(10)の充電量を把握することができる。
【0022】
請求項9によれば、
請求項1、2、4又は5に記載のエネルギー活用システム(1)において、
前記自然エネルギー発電装置(8)が太陽光発電パネルであり、前記発電時間帯が昼間であり、前記未発電時間帯が夜間である
ことを特徴とするエネルギー活用システム(1)が提供される。
【0023】
以上のような請求項9によれば、発電時間帯及び未発電時間帯が人間の生活リズムに適合する。つまり、電動輸送機(10)が昼間にパーキング(6)に駐留されていなくても、その電動輸送機(10)が夜間にパーキング(6)に戻っていれば、その電動輸送機(10)のバッテリー(12)への充電電力は、自然エネルギー発電装置(8)によって生成されたものである。よって、自然エネルギー発電装置(8)によって生成された電力が多くの電動輸送機(10)の充電に寄与する。
【0024】
請求項10によれば、
請求項1、2、4又は5に記載のエネルギー活用システム(1)において、
前記自然エネルギー発電装置(8)が前記集合住宅(2)の屋上に設置されている
ことを特徴とするエネルギー活用システム(1)が提供される。
【0025】
以上のような請求項10によれば、集合住宅(2)の屋上が広く、このことは自然エネルギー発電装置(8)の大規模化及び発電能力向上に貢献する。よって、自然エネルギー発電装置(8)の発電電力が電動輸送機(10)の充電を賄うことの実現性が高まる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、自然エネルギー発電装置によって生成された電力が多くの電動輸送機の充電に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、エネルギー活用システムの外観図である。
【
図2】
図2は、エネルギー活用システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。実施形態の特徴及び技術的な効果は、以下の詳細な説明及び図面から理解される。ただし、本発明の範囲は、以下に開示された実施形態に限定されない。図面は例示のみのために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0029】
<1. エネルギー活用システム>
図1は、敷地に設置されたエネルギー活用システム1の概要図である。
図2はエネルギー活用システム1のブロック図である。
【0030】
エネルギー活用システム1は、建物2、パーキング6、自然エネルギー発電装置8、複数の電動輸送機10、主計器32、受電設備34、主配電盤36、複数の専有部分電盤42、複数の専有部計器44、複数の個別管理装置46、電力コントローラー50、複数の輸送機用電力コンバーター52、バッテリー用電力コンバーター54、定置型バッテリー56、自家発電計器58、共用部分電盤62、共用部計器64、統合管理装置66及び複数の負荷68を備える。
【0031】
エネルギー活用システム1の構築前の設計段階で、インプット情報に基づいて年間のエネルギー収支をシミュレーションし、自然エネルギー発電装置の発電能力、定置型バッテリーの蓄電容量及び電動輸送機の蓄電容量等を提案し、その提案に基づいてエネルギー活用システム1が設計される。エネルギー活用システム1はそのような設計のもとで構築される。インプット情報とは、例えば建物性能、立地条件、気象条件、設備仕様、世帯数、居住者の総人数、居住者の生活スタイル、電動輸送機の台数、電動輸送機の仕様若しくは電動輸送機の走行パターン又はこれらのうち2以上の組み合わせである。このような提案は、エネルギー活用システム1の設計段階でエネルギー活用システム1の構築に必要な設備の把握に寄与する。
【0032】
建物2は敷地に建造されている。建物2は、いわゆるマンションと呼称される1階建て又は複数階建ての集合住宅である。建物2は地階を有してもよい。建物2の躯体は鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は木造である。建物2が複数階建ての混構造であってもよい。混構造は、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の下層階部分と、その上に構築された木造の上層階部分とを有する。建物2は、建物の区分所有等に関する法律によって区分所有権が設定される区分所有建物であってもよいし、そうでない一棟所有建物であってもよい。区分所有建物はいわゆる分譲マンションとも呼称され、一棟所有建物はいわゆる賃貸マンションとも呼称される。
【0033】
建物2は、複数の専有部4と、専有部4以外の共用部5とを内側に有する。専有部4は、例えば、戸境壁によって区切られた専有住戸である。共用部5はエントランス、共用廊下、エレベーターホール、エレベーター、共用階段、共用ルーム、ゴミ置き場、機械室若しくは電気設備室又はこれら2以上の組み合わせを有する。
【0034】
自然エネルギー発電装置8は敷地に設置されている。より具体的には、自然エネルギー発電装置8は建物2の屋上に設置されている。建物2が集合住宅であるから、建物2の屋上が広い上、自然エネルギー発電装置8が大型である。よって、自然エネルギー発電装置8の最大出力が高い。
なお、自然エネルギー発電装置8は建物2の外壁に設置されてもよい。自然エネルギー発電装置8は建物2から離れて敷地に設置されてもよい。
【0035】
自然エネルギー発電装置8は自然エネルギーから直流電力を生成して、直流電力を電力コントローラー50に出力する。自然エネルギー発電装置8の発電原理が風力発電機などのように誘導電動機などを用いて交流電力を生成する場合、自然エネルギー発電装置8がその交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバーターを有する。
【0036】
図1に示す例では、自然エネルギー発電装置8は、太陽光のエネルギーから直流電力を生成する複数の太陽光発電パネルを有する。自然エネルギー発電装置8は、太陽光発電パネルに加えて又は太陽光発電パネルに代えて、太陽光発電パネル以外の発電装置、例えば風力発電機を有してもよい。
【0037】
自然エネルギー発電装置8が太陽光発電パネルである場合、自然エネルギー発電装置8が昼間に発電し、夜間に発電しない。1日のうち、自然エネルギー発電装置8が発電する時間帯を発電時間帯といい、自然エネルギー発電装置8が発電しない時間帯を未発電時間帯という。
【0038】
パーキング6は敷地に設置されている。パーキング6の種類は問わないが、
図1に示す例では、パーキング6が建物2の外に設置される平面式駐車場である。パーキング6は、建物2の外に設置される機械式立体駐車場又は自走式立体駐車場であってもよい。パーキング6は建物2の地階又は1階に設置されてもよい。パーキング6は建物2の内側に設置される機械式駐車場又は自走式駐車場でもよい。パーキング6は以上に挙げた幾つかの種類の組み合わせであってもよい。パーキング6が建物2の外に設置される場合、自然エネルギー発電装置8の全体又は一部がパーキング6の屋根の上に設置されてもよい。
【0039】
パーキング6は複数の駐車領域及び複数の駐輪領域に区画されており、1つの駐車領域につき1台の自動四輪車が駐車可能であり、1つの駐輪領域につき1台の自動二輪車が駐車可能である。自動四輪車と自動二輪車のどちらも輸送機の一種である。パーキング6は1又は複数の駐機領域を有してもよく、1つの駐機領域につき1台の飛行型輸送機が駐機可能である。飛行型輸送機はホバリングが可能な多翼機であり、いわゆるドローンとも呼称される。飛行型輸送機は有人と無人を問わない。駐車領域、駐輪領域及び駐機領域は輸送機駐留領域と総称される。輸送機駐留領域は外部の者に貸し出されてもよく、この場合、建物2の居住者、管理組合又は賃貸人が金銭又はそれに相当するものを輸送機駐留領域の賃借人から受けてもよい。輸送機駐留領域は電動輸送機駐留領域と一般輸送機駐留領域に分類される。電動輸送機駐留領域には、電動輸送機10を専用的に駐留できる。一般輸送機駐留領域には、電動輸送機10以外の電動輸送機のみならず、非電動輸送機も駐留できる。電動輸送機10は電動四輪車、電動二輪車又は電動多翼機である。
【0040】
昼間、つまり、発電時間帯には、建物2の居住者が電動輸送機10に乗って外出することから、パーキング6に残る電動輸送機10が少ない傾向にある。夜間、つまり、未発電時間帯には、建物2の居住者が帰宅することから、パーキング6に残る電動輸送機10が多い傾向にある。
【0041】
受電設備34は、建物2の内側の共有部に設置されている。受電設備34は、敷地内であって建物2の外に設置されてもよい。受電設備34は変圧器などを有する。受電設備34は、電力会社の系統電源30から三相交流電力を受けて、三相交流電力を低圧な交流電力に変換し、交流電力を主配電盤36に供給する。
【0042】
主計器32は、系統電源30から受電設備34に供給される電力及び電力量を周期的に計測する。主計器32は、受電設備34から主配電盤36に供給される電力及び電力量を周期的に計測してもよい。電力及び電力量の計測周期は可変又は固定である。主計器32によって計測される電力は、建物2の敷地の全体で消費される総消費電力であり、主計器32によって計測される電力量はその総消費電力の時間積分である。主計器32は、電力及び電力量の計測のたびに、電力及び電力量の計測値を統合管理装置66に送信する。
【0043】
主配電盤36は建物2の内側の共有部に設置されている。主配電盤36は変圧器、開閉器、継電器、断路器、遮断器、変成器及び切換器などを有する。主配電盤36は、受電設備34から供給される電力を変圧して、変圧後の電力を共用部分電盤62及び専有部分電盤42に配分する。主配電盤36は、変圧後の電力を電力コントローラー50に配分してもよい。
【0044】
共用部分電盤62は建物2の内側の共用部5に設置されている。共用部分電盤62は動力盤及び電灯盤などを有する。共用部分電盤62は、共用部5に設置された複数の負荷68に電力を分配する。負荷68は、共用部分電盤62から電力の供給を受けるとともに、その電力を消費して動作する。負荷68は例えば電灯、エレベーター、自動ドア又は空調設備などである。
【0045】
共用部計器64は、主配電盤36から共用部分電盤62に供給される電力及び電力量を周期的に計測する。電力及び電力量の計測周期は可変又は固定である。共用部計器64によって計測される電力は共用部5で消費される総消費電力であり、共用部計器64によって計測される電力量はその総消費電力の時間積分である。
【0046】
共用部計器64は、電力及び電力量の計測のたびに、電力及び電力量の計測値を統合管理装置66に送信する。
【0047】
専有部分電盤42は専有部4にそれぞれ設置されている。専有部分電盤42は遮断器などを有する。専有部分電盤42は、専有部4に配線された宅内配線網を介して専有部分電盤42に接続された負荷48及び個別管理装置48に分配する。負荷48は、専有部分電盤42から電力の供給を受けるとともに、その電力を消費して動作する。負荷48は、照明器、冷蔵庫、空調機器、給湯器、通信ネットワーク機器(ルーター、無線親機、無線中継機、電話機等)、テレビ、音響機器、録画機又は調理家電などのような電気機器である。
【0048】
専有部計器44は、主配電盤36から専有部分電盤42に供給される電力及び電力量を周期的に計測する。電力及び電力量の計測周期は可変又は固定である。専有部計器44によって計測される電力は専有部4で消費される総消費電力であり、専有部計器44によって計測される電力量はその総消費電力の時間積分である。専有部計器44は、電力及び電力量の計測のたびに、電力及び電力量の計測値を個別管理装置48に送信する。
【0049】
個別管理装置48はインターネット等のような情報通信ネットワークに接続されている。個別管理装置48は、汎用コンピューターシステム又は専用コンピューターシステムから構成される。汎用コンピューターシステムとは、汎用OS(Operating System)がインストールされた例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピューター、ラップトップ型コンピューター及びデスクトップ型コンピューターなどのようなコンピューターシステムをいう。汎用OSは、例えば、Windows(登録商標)、Android(登録商標)、iOS(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)又はUnix(登録商標)である。汎用OSには、専有部4の内側の負荷48の監視、管理、制御、電力監視、電力管理及び電力制御を実行するためのプログラムがインストールされている。専用コンピューターシステムとは、専有部4の壁などに設置されているとともに、専有部4の内側の負荷48の監視、管理、制御、電力監視、電力管理及び電力制御を実行する機能に特化したコンピューターシステムをいう。例えば、専用コンピューターシステムとしては、HEMS(Home Energy Management System)コントローラーが挙げられる。
【0050】
個別管理装置48は、専有部計器44から電力の計測値を受信するたびに、電力の計測値を時系列で記憶する。これにより、個別管理装置48は、専有部4の総消費電力の計測値を時系列で並べたデータ列を蓄積する。個別管理装置48は、専有部計器44から電力の計測値を受信するたびに、専有部4の総消費電力の最新計測値を更新表示する。個別管理装置48は、専有部4の総消費電力の計測値のデータ列をグラフで表示する。そのグラフは、専有部4の総消費電力の計測値の推移を表す。
【0051】
個別管理装置48は、専有部計器44から電力量の計測値を受信するたびに、電力量の計測値を時系列で記憶する。これにより、個別管理装置48は、専有部4の総消費電力量の計測値を時系列で並べたデータ列を蓄積する。個別管理装置48は、専有部計器44から電力量の計測値を受信するたびに、専有部4の総消費電力量の最新計測値を更新表示する。個別管理装置48は、専有部4の総消費電力量のデータ列をグラフで表示する。そのグラフは、専有部4の総消費電力量の計測値の推移を表す。
【0052】
電力コントローラー50は、建物2の内側の共用部5に設置されている。電力コントローラー50は、電線により自然エネルギー発電装置8に接続されている。電力コントローラー50は、自然エネルギー発電装置8によって出力された直流電力の供給を受ける。
【0053】
自家発電計器58は、自然エネルギー発電装置8から電力コントローラー50に供給される電力及び電力量を周期的に計測する。電力及び電力量の計測周期は可変又は固定である。自家発電計器58によって計測される電力は自然エネルギー発電装置8の発電電力であり、自家発電計器58によって計測される電力量はその発電電力の時間積分である。自家発電計器58は、電力及び電力量の計測のたびに、電力及び電力量の計測値を統合管理装置66に送信する。
【0054】
電力コントローラー50は、複数の輸送機用電力コンバーター52及びバッテリー用電力コンバーター54に接続されている。バッテリー用電力コンバーター54は、建物2の内側の共用部5に設置されている。バッテリー用電力コンバーター54と電力コントローラー50は互いに直流電力を授受する。輸送機用電力コンバーター52は、パーキング6の電動輸送機駐留領域のそれぞれの脇に設置されている。輸送機用電力コンバーター52と電力コントローラー50は互いに直流電力を授受する。電力コントローラー50は主配電盤36に接続されている。電力コントローラー50と主配電盤36は交流電力を授受する。
【0055】
電力コントローラー50は、DC/DCコンバーター、DC/ACコンバーター、AC/DCコンバーター、切換器及び制御回路などを有するパワーコンディショナーである。発電時間帯、つまり、昼間、電力コントローラー50は配分モードで動作する。配分モードでは、電力コントローラー50が、自然エネルギー発電装置8から供給された直流電力の電圧をDC/DCコンバーターにより調整し、DC/DCコンバーターにより調整された直流電力をバッテリー用電力コンバーター54及び輸送機用電力コンバーター52に配分する。なお、上述のように、発電時間帯、パーキング6に残る電動輸送機10が少ない傾向にある。昼間、外部の者が自身の電動輸送機を輸送機駐留領域に駐留して、その電動輸送機が輸送機用電力コンバーター52に接続され、輸送機用電力コンバーター52が配分電力をその電動輸送機のバッテリーに充電してもよい。この場合、建物2の居住者、管理組合又は賃貸人が金銭又はそれに相当するものを外部の者から受けてもよい。
【0056】
電力コントローラー50は配分モードで動作する際、バッテリー用電力コンバーター54及び輸送機用電力コンバーター52において余剰電力が発生する場合、電力コントローラー50が余剰電力をDC/ACコンバーターにより交流に変換した上で主配電盤36に供給してもよいし、そうでなくてもよい。余剰電力とは、自然エネルギー発電装置8の発電電力がバッテリー用電力コンバーター54及び輸送機用電力コンバーター52の充電電力を超えた場合に、その超過分をいう。主配電盤36は、電力コントローラー50から供給される余剰電力を共用部分電盤62及び専有部分電盤42に配分する。主配電盤36は、電力コントローラー50から供給される余剰電力を共用部分電盤62に供給するが、専有部分電盤42に供給しなくてもよい。
【0057】
電力コントローラー50は配分モードで動作する際、バッテリー用電力コンバーター54及び輸送機用電力コンバーター52において不足電力が発生する場合、電力コントローラー50が不足電力の供給を主配電盤36から受けてもよいし、そうでなくてもよい。不足電力とは、自然エネルギー発電装置8の発電電力がバッテリー用電力コンバーター54及び輸送機用電力コンバーター52の充電電力を下回る場合、その不足分をいう。電力コントローラー50は、主配電盤36から供給された不足電力を直流に変換した上でバッテリー用電力コンバーター54及び輸送機用電力コンバーター52に配分する。
【0058】
未発電時間帯、つまり、夜間、電力コントローラー50は入れ替えモードで動作する。入れ替えモードでは、電力コントローラー50が、何れか1又は複数の輸送機用電力コンバーター52から直流電力の供給を受けて、その直流電力の電圧をDC/DCコンバーターにより調整し、DC/DCコンバーターにより調整された直流電力を他の輸送機用電力コンバーター52に配分する。入れ替えモードの詳細は後述される。
【0059】
電力コントローラー50は、バッテリー用電力コンバーター54を通じて、定置型バッテリー56に残る充電量を周期的に計測する。電力コントローラー50は、充電量の計測のたびに、充電量の計測値を統合管理装置66に送信する。
【0060】
電力コントローラー50は、輸送機用電力コンバーター52を通じて、輸送機用電力コンバーター52に接続される電動輸送機10のバッテリー12に残る充電量を周期的に計測する。電力コントローラー50は、充電量の計測のたびに、充電量の計測値を統合管理装置66に送信する。
【0061】
バッテリー用電力コンバーター54は、定置型バッテリー56に接続されている。バッテリー用電力コンバーター54は、双方向DC/DCコンバーター及び制御回路などを有するパワーコンディショナーである。バッテリー用電力コンバーター54は定置型バッテリー56を充放電する。定置型バッテリー56の充電の際には、バッテリー用電力コンバーター54が電力コントローラー50から供給された直流電力の電圧を双方向DC/DCコンバーターにより調整し、調整された直流電力を定置型バッテリー56に供給する。定置型バッテリー56の放電の際には、バッテリー用電力コンバーター54が定置型バッテリー56から放電された直流電力の電圧を双方向DC/DCコンバーターにより調整し、調整された直流電力を電力コントローラー50に供給する。
【0062】
定置型バッテリー56は建物2の内側の共用部5に設置されている。定置型バッテリー56は建物2の外に建設された建屋に設置されてもよい。定置型バッテリー56は設置箇所から取り外し可能であってもよい。定置型バッテリー56は複数の小型バッテリーを有し、これら小型バッテリーが分離可能であり、小型バッテリーが設置箇所から取り外し可能であってもよい。定置型バッテリー56の小型バッテリーの持ち運びの容易化のために、キャスターが小型バッテリーに取り付けられてもよい。定置型バッテリー56の小型バッテリーが未充電の小型バッテリーに交換されてもよく、そのような交換事業が実施されてもよいし、小型バッテリーの貸出事業が実施されてもよい。
なお、バッテリー用電力コンバーター54及び定置型バッテリー56が設置されなくてもよい。
【0063】
輸送機用電力コンバーター52は、双方向DC/DCコンバーター、プラグ付き充放電ケーブル及び制御回路などを有するパワーコンディショナーである。プラグ付き充放電ケーブルが電動輸送機10のプラグに接続されることによって、輸送機用電力コンバーター52が電動輸送機10のバッテリー12に接続されて、輸送機用電力コンバーター52が電動輸送機10のバッテリー12を充放電する。電動輸送機10のバッテリー12の充電の際には、輸送機用電力コンバーター52が電力コントローラー50から供給された直流電力の電圧を双方向DC/DCコンバーターにより調整し、調整された直流電力を電動輸送機10のバッテリー12に供給する。電動輸送機10のバッテリー12の放電の際には、輸送機用電力コンバーター52が電動輸送機10のバッテリー12から放電された直流電力の電圧を双方向DC/DCコンバーターにより調整し、調整された直流電力を電力コントローラー50に供給する。
【0064】
輸送機用電力コンバーター52は、プラグ付き充放電ケーブルの代わりに、電動輸送機駐留領域に設置された非接触給電器53を有してもよい。電動輸送機10が非接触給電器53の上に駐留されると、輸送機用電力コンバーター52が電動輸送機10のバッテリー12を非接触的に充放電する。非接触給電器53と電動輸送機10の間の電力の授受方式は電磁結合方式、磁界共鳴方式又は電界結合方式である。
【0065】
輸送機用電力コンバーター52が有するプラグ付き充電ケーブルの数は1又は複数であり、輸送機用電力コンバーター52が充放電できる電動輸送機10の数がプラグ付き充電ケーブルの数に等しい。輸送機用電力コンバーター52が有するプラグ付き充電ケーブルの数は複数である場合、プラグ付き充電ケーブルが並列に双方向DC/DCコンバーターに接続されている。輸送機用電力コンバーター52が複数の電動輸送機10のバッテリー12に直列に接続され、輸送機用電力コンバーター52がそれら電動輸送機10のバッテリー12に充電してもよい。
【0066】
電力コントローラー50とバッテリー用電力コンバーター54と輸送機用電力コンバーター52(但し、プラグ付き充電ケーブル又は非接触給電器53を除く部分)が一体化されてもよい。それらが一体化された装置はエネルギーマネージメントシステム(EMS:Energy Management System)ともいう。
【0067】
パーキング6における電動輸送機10の駐留場所は予め決められている。電動輸送機10が接続される輸送機用電力コンバーター52は予め決められている。
【0068】
電動輸送機10は、賃貸サービス或いはシェアリングサービスを通じて貸し出されてもよい。電動輸送機10の貸出先は、建物2の居住者に限られてもよいし、建物2の居住者のみならず外部の者に開放されてもよい。電動輸送機10が外部の者に貸し出される場合、建物2の居住者、管理組合若しくは賃貸人又は電動輸送機10の賃貸サービス業者若しくはシェアリングサービス業者が金銭又はそれに相当するものを電動輸送機10の賃借人から受けてもよい。電動輸送機10は、建物2の居住者に共用されてもよい。電動輸送機10は、建物2の居住者に専有されてもよい。
【0069】
電動輸送機10は、電動四輪車車、電動二輪車又は電動多翼機である。電動輸送機10は、充放電可能なバッテリー12と、バッテリー12の電力によって駆動される電動機と、電動機の動力によって走行或いは飛行する輸送機本体と、制御装置と、を有する。電動輸送機10は、更に原動機を有するプラグインハイブリッド輸送機であってもよい。
【0070】
バッテリー12は複数の小型バッテリーを有し、これら小型バッテリーが分離可能であり、小型バッテリーが輸送機本体から取り外し可能であってもよい。バッテリー12の小型バッテリーの数を増減できてもよい。小型バッテリーの数の削減は、電動輸送機10の重量の低減と、電動輸送機10の燃費の向上に寄与する。バッテリー12の小型バッテリーが、充電された小型バッテリーに交換されてもよく、そのような交換事業が実施されてもよいし、小型バッテリーの貸出事業が実施されてもよい。バッテリー12の小型バッテリーの持ち運びが容易化のために、キャスターが小型バッテリーに取り付けられてもよい。バッテリー12の小型バッテリーは定置型バッテリー56の小型バッテリーと交換可能であってもよい。定置型バッテリー56の小型バッテリーが定置型バッテリー56から電動輸送機10のバッテリー12に付け替えられた場合でも、電動輸送機10の電動機がバッテリー12の電力によって駆動され得る。定置型バッテリー56の小型バッテリーが定置型バッテリー56から電動輸送機10のバッテリー12に付け替えられた場合でも、輸送機用電力コンバーター52がバッテリー12を充放電し得る。電動輸送機10のバッテリー12の小型バッテリーが電動輸送機10のバッテリー12から定置型バッテリー56に付け替えられた場合でも、バッテリー用電力コンバーター54は定置型バッテリー56を充放電し得る。
【0071】
統合管理装置66はインターネットなどのような情報通信ネットワークに接続されている。統合管理装置66は、例えば共用部5の管理室に設置されている。統合管理装置66は、建物2の外のデータセンターに設置されてもよい。統合管理装置66は、コンピューターシステムから構成されたサーバー用ホストマシンである。統合管理装置66は、1台のコンピューターシステムから構成されてもよいし、分散処理又は並列処理が可能な複数台のコンピューターシステムから構成されてもよい。統合管理装置66は、クラウドコンピューティングシステムであってもよい。
【0072】
統合管理装置66は、電力コントローラー50から充電量の計測値を受信するたびに、充電量の計測値を時系列で記憶する。これにより、統合管理装置66は、定置型バッテリー56の充電量の計測値を時系列で並べたデータ列を蓄積する。統合管理装置66は、電力コントローラー50から充電量の計測値を受信するたびに、定置型バッテリー56の充電量の最新計測値を更新表示する。統合管理装置66は、定置型バッテリー56の充電量の計測値のデータ列をグラフで表示する。そのグラフは、定置型バッテリー56の充電量の計測値の推移を表す。
【0073】
統合管理装置66は、電力コントローラー50から充電量の計測値を受信するたびに、充電量の計測値を時系列で記憶する。これにより、統合管理装置66は、電動輸送機10ごとに、バッテリー12の充電量の計測値を時系列で並べたデータ列を蓄積する。統合管理装置66は、輸送機用電力コンバーター52から充電量の計測値を受信するたびに、バッテリー12の充電量の最新計測値を更新表示する。統合管理装置66は、バッテリー12の充電量の計測値のデータ列をグラフで表示する。そのグラフは、バッテリー12の充電量の計測値の推移を表す。
【0074】
統合管理装置66は、主計器32から電力の計測値を受信するたびに、電力の計測値を時系列で記憶する。これにより、統合管理装置66は、建物2の敷地の全体で消費される総消費電力の計測値を時系列で並べたデータ列を蓄積する。統合管理装置66は、主計器32から電力の計測値を受信するたびに、全体の総消費電力の最新計測値を更新表示する。統合管理装置66は、全体の総消費電力の計測値のデータ列をグラフで表示する。そのグラフは、全体の総消費電力の計測値の推移を表す。
【0075】
統合管理装置66は、主計器32から電力量の計測値を受信するたびに、電力量の計測値を時系列で記憶する。これにより、統合管理装置66は、建物2の敷地の全体で消費される総消費電力量の計測値を時系列で並べたデータ列を蓄積する。統合管理装置66は、主計器32から電力量の計測値を受信するたびに、全体の総消費電力量の最新計測値を更新表示する。統合管理装置66は、全体の総消費電力量の計測値のデータ列をグラフで表示する。そのグラフは、全体の総消費電力量の計測値の推移を表す。
【0076】
統合管理装置66は、共用部計器64から電力の計測値を受信するたびに、電力の計測値を時系列で記憶する。これにより、統合管理装置66は、共用部5で消費される総消費電力の計測値を時系列で並べたデータ列を蓄積する。統合管理装置66は、共用部計器64から電力の計測値を受信するたびに、共用部5の総消費電力の最新計測値を更新表示する。
【0077】
統合管理装置66は、共用部計器64から電力量の計測値を受信するたびに、電力量の計測値を時系列で記憶する。これにより、統合管理装置66は、共用部5で消費される総消費電力量の計測値を時系列で並べたデータ列を蓄積する。統合管理装置66は、共用部計器64から電力量の計測値を受信するたびに、共用部5の総消費電力量の最新計測値を更新表示する。統合管理装置66は、共用部5の総消費電力量の計測値のデータ列をグラフで表示する。そのグラフは、共用部5の総消費電力量の計測値の推移を表す。
【0078】
統合管理装置66は、自家発電計器58から電力の計測値を受信するたびに、電力の計測値を時系列で記憶する。これにより、統合管理装置66は、自然エネルギー発電装置8の発電電力の計測値を時系列で並べたデータ列を蓄積する。統合管理装置66は、じk亜発電計器58から電力の計測値を受信するたびに、自然エネルギー発電装置8の発電電力の最新計測値を更新表示する。統合管理装置66は、自然エネルギー発電装置8の発電電力の計測値のデータ列をグラフで表示する。そのグラフは、自然エネルギー発電装置8の発電電力の計測値の推移を表す。
【0079】
統合管理装置66は、自家発電計器58から電力量の計測値を受信するたびに、電力量の計測値を時系列で記憶する。これにより、統合管理装置66は、自然エネルギー発電装置8の発電電力量の計測値を時系列で並べたデータ列を蓄積する。統合管理装置66は、自家発電計器58から電力量の計測値を受信するたびに、自然エネルギー発電装置8の発電電力量の最新計測値を更新表示する。統合管理装置66は、自然エネルギー発電装置8の発電電力量の計測値のデータ列をグラフで表示する。そのグラフは、自然エネルギー発電装置8の発電電力量の計測値の推移を表す。
【0080】
統合管理装置66と個別管理装置48は、電動輸送機10ごとの、充電量の計測値のデータ列を同期する。個別管理装置48は、電動輸送機10ごとの、充電量の計測値のデータ列をグラフで表示する。そのグラフは、充電量の計測値の推移を表す。個別管理装置48は、最新の充電量の計測値を表示する。
【0081】
電動輸送機10は、輸送機本体の内に設置されたナビゲーション装置などのような電子機器14を有する。電子機器14は、電動輸送機10の輸送機本体から取り外し可能であり、且つ、携帯可能であってもよい。電動輸送機10が建物2の居住者に専有される場合、電子機器14は専有者の専有部4に設置された個別管理装置48に紐付けられてもよい。
【0082】
電子機器14はインターネット等のような情報通信ネットワークに接続されている。電子機器14、統合管理装置66及び個別管理装置48は相互通信可能である。電子機器14、統合管理装置66及び個別管理装置48の間の通信には、例えばVPN(Virtual Private Network)等のようなセキュアな通信プロトコルが採用されてもよい。
【0083】
電子機器14は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ストレージ、通信デバイス、GNSS測位デバイス、入力デバイス及びディスプレイデバイスなどを有する。
【0084】
電子機器14は、複数の衛星から受信した信号に基づき、電動輸送機10の現在位置を特定する機能を有する。電子機器14は、地図を表示する機能を有する。電子機器14は、電動輸送機10の現在位置を地図で表示する機能を有する。電子機器14は、電動輸送機10の制御装置と通信して、バッテリー12に残った充電量の計測値を電動輸送機10の制御装置から取得する機能を有する。電子機器14は、電動輸送機10の現在位置から目的地までの道順を検索する機能を有する。道順の検索には、その検索時におけるバッテリー12の充電量が考慮されてもよい。電子機器14は、道順の検索の際に、電動輸送機10がその道順に沿って移動するのに必要な消費電力量を算出してもよい。電子機器14は、電動輸送機10の現在位置から目的地までの道順を表示する機能を有する。電子機器14は、算出した消費電力量を表示する機能を有する。道順は、現在位置から目的地までの間に設定された経由地を有してもよい。経由地は、電動輸送機10のバッテリー12に対して充放電することができる充放電ステーションであってもよい。この場合、電子機器14は、バッテリー12に残った充電量の計測値に基づいて経由地を設定してもよい。充放電ステーションは小売店であってもよい。充放電ステーションにおける放電は売電であってもよい。充放電ステーションにおける充電は買電であってもよい。電子機器14は、電動輸送機10の動作履歴を蓄積する機能を有する。動作履歴は、電動輸送機10の位置を時系列で並べた位置データ列を有する。動作履歴は、電動輸送機10が一日で移動する距離を日次の時系列で並べた移動距離データ列を有してもよい。動作履歴は、電動輸送機10の移動速度を時系列で並べた速度データ列を有してもよい。動作履歴は、電動輸送機10の加速度を時系列で並べた加速度データ列を有してもよい。動作履歴は、電動輸送機10のバッテリー12に残った充電量の計測値を時系列で並べた残量データ列を有してもよい。動作履歴は、電動輸送機10の稼働率を有してもよい。稼働率とは、1日当たりの電動輸送機10の実働時間を24時間で除した値である。1日当たりの電動輸送機10の実働時間は過去の平均値であってもよく、平均値は算術平均値、加重平均値、幾何平均値、調和平均値、トリム平均値又は移動平均値であってもよい。
【0085】
電子機器14は、動作履歴の差分を統合管理装置66に即時的に送信する。動作履歴の差分とは、動作履歴が更新された場合に更新前の動作履歴と更新後の動作履歴の差分をいう。統合管理装置66は、電動輸送機10ごとに、動作履歴の差分を記憶することによって、動作履歴を蓄積する。統合管理装置66は、電動輸送機10ごとの動作履歴の内容を表示する。統合管理装置66と個別管理装置48は、電動輸送機10ごとの動作履歴を同期させる。個別管理装置48は、電動輸送機10ごとの動作履歴の内容を表示する。
【0086】
バッテリー12は複数の小型バッテリーを有し、これら小型バッテリーが分離可能であり、小型バッテリーが輸送機本体から取り外し可能であってもよい。バッテリー12の小型バッテリーは定置型バッテリー56の小型バッテリーと交換可能であってもよい。定置型バッテリー56の小型バッテリーが定置型バッテリー56から電動輸送機10のバッテリー12に付け替えられた場合でも、電動輸送機10の電動機がバッテリー12の電力によって駆動され得る。定置型バッテリー56の小型バッテリーが定置型バッテリー56から電動輸送機10のバッテリー12に付け替えられた場合でも、輸送機用電力コンバーター52がバッテリー12を充放電し得る。電動輸送機10のバッテリー12の小型バッテリーが電動輸送機10のバッテリー12から定置型バッテリー56に付け替えられた場合でも、バッテリー用電力コンバーター54は定置型バッテリー56を充放電し得る。
【0087】
統合管理装置66は、電動輸送機10ごとに、日次スケジュールを記憶して管理する。日次スケジュールは、電動輸送機10によって移動する予定の目的地、移動ルート、移動距離又はこれら2以上の組み合わせである。日次スケジュールの入力は電子機器14、統合管理装置66及び個別管理装置48の何れで行われてもよい。例えば、居住者が電子機器14を操作することによって何れかの電動輸送機10の日次スケジュールを電子機器14に入力すると、電子機器14が日次スケジュールを取得して統合管理装置66に送信し、統合管理装置66が日次スケジュールを受信して記憶する。居住者が個別管理装置48を操作することによって何れかの電動輸送機10の日次スケジュールを個別管理装置48に入力すると、個別管理装置48が日次スケジュールを取得して統合管理装置66に送信し、統合管理装置66が日次スケジュールを受信して記憶する。居住者又はその代理者が統合管理装置66を操作することによって何れかの電動輸送機10の日次スケジュールを統合管理装置66に入力すると、統合管理装置66が日次スケジュールを取得して記憶する。
【0088】
統合管理装置66は、電動輸送機10ごとの日次スケジュールを表示してもよい。統合管理装置66と個別管理装置48は、電動輸送機10ごとの日次スケジュールを同期させてもよい。個別管理装置48は、電動輸送機10ごとの日次スケジュールを表示してもよい。統合管理装置66と電子機器14は、電動輸送機10ごとの日次スケジュールを同期させてもよい。電子機器14は、電動輸送機10ごとの日次スケジュールを表示してもよい。
【0089】
発電時間帯、つまり、昼間、統合管理装置66は電力コントローラー50を配分モードで動作させる。未発電時間帯、つまり、夜間、統合管理装置66は電力コントローラー50を入れ替えモードで動作させる。
【0090】
統合管理装置66は、配分モードから入れ替えモードに移行する直前に以下の処理を実行する。以下の処理は毎日実行される。
【0091】
統合管理装置66は、電動輸送機10ごとに、翌日の日次スケジュール又は動作履歴に基づいて充電量の設定値を決定する。例えば、翌日の日次スケジュールにおける目的地が遠いほど、その日次スケジュールに対応する電動輸送機10に設定される充電量の設定値が大きくなる。例えば、翌日の日次スケジュールにおける移動ルートが長いほど、その日次スケジュールに対応する電動輸送機10に設定される充電量の設定値が大きくなる。例えば、翌日の日次スケジュールにおける移動距離が長いほど、その日次スケジュールに対応する電動輸送機10に設定される充電量の設定値が大きくなる。例えば、動作履歴における稼働率が高いほど、その動作履歴に対応する電動輸送機10に設定される充電量の設定値が大きくなる。例えば、動作履歴における位置データ列の中で建物2から最も遠い位置から建物2までの距離が長いほど、その動作履歴に対応する電動輸送機10に設定される充電量の設定値が大きくなる。例えば、動作履歴における移動距離データ列の平均値(算術平均値、加重平均値、幾何平均値、調和平均値、トリム平均値又は移動平均値)が高いほど、その動作履歴に対応する電動輸送機10に設定される充電量の設定値が大きくなる。例えば、動作履歴における速度データ列の平均値(算術平均値、加重平均値、幾何平均値、調和平均値、トリム平均値又は移動平均値)が高いほど、その動作履歴に対応する電動輸送機10に設定される充電量の設定値が大きくなる。例えば、動作履歴における加速度データ列の平均値(算術平均値、加重平均値、幾何平均値、調和平均値、トリム平均値又は移動平均値)が高いほど、その動作履歴に対応する電動輸送機10に設定される充電量の設定値が大きくなる。例えば、動作履歴における残量データ列の平均値(算術平均値、加重平均値、幾何平均値、調和平均値、トリム平均値又は移動平均値)が低いほど、その動作履歴に対応する電動輸送機10に設定される充電量の設定値が大きくなる。
【0092】
充電量の設定値が翌日の日次スケジュールに基づいて決定された場合、統合管理装置66は、動作履歴に基づいて、電動輸送機10ごとの充電量の設定値を補正してもよいし、動作履歴により機械学習された学習済みモデルを用いて、電動輸送機10ごとの充電量の設定値を補正してもよい。
充電量の設定値が動作履歴に基づいて決定された場合、統合管理装置66は、過去の日次スケジュールに基づいて、電動輸送機10ごとの充電量の設定値を補正してもよいし、過去の日次スケジュールにより機械学習された学習済みモデルを用いて、電動輸送機10ごとの充電量の設定値を補正してもよい。
充電量の設定値が翌日の日次スケジュール又は動作履歴に基づいて決定された場合、統合管理装置66は、翌日の予報気象データに基づいて、電動輸送機10ごとの充電量の設定値を補正してもよいし、電動輸送機10の重量に基づいて、電動輸送機10ごとの充電量の設定値を補正してもよい。
【0093】
電動輸送機10ごとの充電量の設定値の総和は、電動輸送機10ごとの充電量の計測値の総和以下である。なお、充電量の設定値が翌日の日次スケジュール又は動作履歴に基づいて決定されるのではなく、統合管理装置66が何れの電動輸送機10の充電量の設定値を互いに等しく決定してもよい。この場合でも、電動輸送機10ごとの充電量の設定値の総和は、電動輸送機10ごとの充電量の計測値の総和以下である。
【0094】
次に、統合管理装置66は、電動輸送機10ごとに、最新の充電量の計測値から充電量の設定値を減算して、設定値と計測値の差分を求める。差分が負であれば、電動輸送機10のバッテリー12の充電量が不足することを意味する。差分が正であれば、電動輸送機10のバッテリー12の充電量が過剰であることを意味する。差分がゼロであれば、電動輸送機10のバッテリー12の充電量が適正であることを意味する。
【0095】
その後、未発電時間帯に至ると、統合管理装置66は電力コントローラー50を入れ替えモードで動作させる。この際、統合管理装置66が電動輸送機10ごとの充電量の設定値を電力コントローラー50に送信し、電力コントローラー50が電動輸送機10ごとの充電量の設定値を受信して一時的に記憶する。
【0096】
入れ替えモードでは、電力コントローラー50は、差分が正を取る電動輸送機10に接続された輸送機用電力コンバーター52を通じて、その電動輸送機10のバッテリー12を放電させ、輸送機用電力コンバーター52から電力の供給を受ける。電力コントローラー50は、供給を受けた電力を、差分が負を取る電動輸送機10に接続された輸送機用電力コンバーター52に供給し、輸送機用電力コンバーター52を通じてその電動輸送機10のバッテリー12に充電する。これにより、差分が正を取る電動輸送機10のバッテリー12の充電電力は、差分が負を取る電動輸送機10のバッテリー12に移る。
【0097】
充電電力の移動中、電力コントローラー50は、輸送機用電力コンバーター52を通じて、輸送機用電力コンバーター52に接続される電動輸送機10のバッテリー12に残る充電量を計測して監視する。電動輸送機10のバッテリー12の充電量の計測値が設定値に至ったら、電力コントローラー50はそのバッテリー12に対する充電又は放電を停止する。輸送機用電力コンバーター52に接続された全ての電動輸送機10のバッテリー12に対する充電又は放電が停止されるまで、電力コントローラー50が入れ替えモードの動作を継続する。電動輸送機10ごとの充電量の設定値の総和が電動輸送機10ごとの充電量の計測値の総和未満であれば、電力コントローラー50は放電されるバッテリー12に対する放電を最後に停止する。それまでは、電力コントローラー50は、放電されるバッテリー12から輸送機用電力コンバーター52を通じて受けた電力を交流に変換した上で、主配電盤36に供給する。その電力は、専有部4の負荷48若しくは共用部5の負荷68又はそれら両方にて消費される。専有部4の分電盤42が主配電盤36、電力コントローラー50及び輸送機用電力コンバーター52を通じて放電中のバッテリー12から供給を受ける電力量は、その専有部4の居住者が電動輸送機10を使用する履歴に応じて設定されてもよい。具体的には、専有部4の居住者による電動輸送機10の使用頻度又は使用時間が増加するにつれて、専有部4の分電盤42が主配電盤36、電力コントローラー50及び輸送機用電力コンバーター52を通じて放電中のバッテリー12から供給を受ける電力量が低くなる。各専有部4の居住者による電動輸送機10の使用頻度又は使用時間は、電子機器14によって計測されて統合管理装置66によって管理される。専有部4の分電盤42が主配電盤36、電力コントローラー50及び輸送機用電力コンバーター52を通じて放電中のバッテリー12から供給を受ける電力量は、統合管理装置66による指令の下で、個別管理装置46が専有部分電盤42を制御されることによって実現される。
【0098】
<2. まとめ>
(1) 自然エネルギー発電装置8の発電時間帯、つまり昼間においては、自然エネルギー発電装置8によって生成された電力が、パーキング6に駐留される複数の電動輸送機10のバッテリー12に配分される。自然エネルギー発電装置8の未発電時間帯、つまり夜間においては、複数の電動輸送機10のバッテリー12の間で充電電力が入れ替えられる。従って、電動輸送機10が昼間にパーキング6に駐留されていなくても、その電動輸送機10が夜間にパーキング6に戻っていれば、その電動輸送機10のバッテリー12への充電電力は、自然エネルギー発電装置8によって生成されたものである。よって、自然エネルギー発電装置8によって生成された電力が多くの電動輸送機10のバッテリー12の充電に寄与する。
【0099】
(2) 未発電時間帯において、電動輸送機10のバッテリー12の充電量が翌日の日次スケジュールに基づて決定された設定値に至るまで、バッテリー12が充電又は放電されるから、バッテリー12の充電量が過不足なく適切なものとなる。
【0100】
(3) 未発電時間帯において、電動輸送機10のバッテリー12の充電量が目的地、移動ルート又は移動距離に基づいて決定された設定値に至るまで、バッテリー12が充電又は放電されるから、バッテリー12の充電量が過不足なく適切なものとなる。
【0101】
(4) 未発電時間帯において、電動輸送機10のバッテリー12の充電量が動作履歴に基づて決定された設定値に至るまで、バッテリー12が充電又は放電されるから、電動輸送機10の過去の動作の傾向がバッテリー12の充電量に反映され、バッテリー12の充電量が過不足なく適切なものとなる。
【0102】
(5) 電動輸送機10のバッテリー12の充電量が稼働率、移動距離データ列、速度データ列、加速度データ列又は残量データ列に基づいて決定された設定値に至るまで、バッテリー12が充電又は放電されるから、電動輸送機10の過去の動作の傾向がバッテリー12の充電量に反映され、バッテリー12の充電量が過不足なく適切なものとなる。
【0103】
(6) 個別管理装置46が、複数の電動輸送機10のバッテリー12のそれぞれの充電量の計測値を表示する。よって、居住者は専有部4から電動輸送機10へ移動しなくても、専有部4に居ながら電動輸送機10のバッテリー12の充電量を把握することができる。
【0104】
(7) 自然エネルギー発電装置8が太陽光発電パネルであり、発電時間帯が昼間であり、未発電時間帯が夜間である。居住者は昼間に電動輸送機10に乗って外出する傾向にある。電動輸送機10が昼間にパーキング6に駐留されていなくても、その電動輸送機10が夜間にパーキング6に戻っていれば、その電動輸送機10のバッテリー12への充電電力は、自然エネルギー発電装置8によって生成されたものである。そのため、発電時間帯及び未発電時間帯が人間の生活リズムに適合する上、自然エネルギー発電装置8によって生成された電力が多くの電動輸送機10の充電に寄与する。
【0105】
(8) 建物2が集合住宅であることから、建物2の屋上が広い。このことは、自然エネルギー発電装置8の大規模化及び発電能力向上に貢献する。よって、自然エネルギー発電装置8の発電電力が電動輸送機10の充電を賄うことの実現性が高まる。
【0106】
(9) 自然エネルギー発電装置8の発電電力が電動輸送機10の充電を賄うことから、このエネルギー活用システム1はカーボンニュートラルの推進と、脱炭素社会の実現と、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の達成とに貢献する。
【符号の説明】
【0107】
1 エネルギー活用システム
2 建物(集合住宅)
4 専有部
6 パーキング
8 自然エネルギー発電装置
10 電動輸送機
12 バッテリー
46 個別管理装置
50 電力コントローラー
66 統合管理装置
【要約】
【課題】本発明の目的は、自然エネルギー発電装置の発電電力を多くの電動輸送機の充電に寄与させることである。
【解決手段】エネルギー活用システム(1)は、敷地に建造される集合住宅(2)と、前記敷地に設置され、自然エネルギーから電力を生成する自然エネルギー発電装置(8)と、前記敷地に設置されるパーキング(6)と、前記自然エネルギー発電装置(8)の発電時間帯において、前記自然エネルギー発電装置(8)によって生成された電力を、前記パーキング(6)に駐留される複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)に配分し、前記自然エネルギー発電装置(8)の未発電時間帯において、前記複数の電動輸送機(10)のバッテリー(12)の間で充電電力を入れ替える電力コントローラー(50)と、を備える。
【選択図】
図1