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特許7651075炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置、炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法、および炭化珪素半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-14
(45)【発行日】2025-03-25
(54)【発明の名称】炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置、炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法、および炭化珪素半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20250317BHJP
   C30B 29/36 20060101ALI20250317BHJP
   C30B 25/20 20060101ALI20250317BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20250317BHJP
【FI】
H01L21/205
C30B29/36 A
C30B25/20
C23C16/42
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2024549218
(86)(22)【出願日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 JP2024028887
【審査請求日】2024-08-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊東 洋典
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/115950(WO,A1)
【文献】特開2003-142409(JP,A)
【文献】特開2011-192727(JP,A)
【文献】特開2023-096663(JP,A)
【文献】特開2010-034389(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056691(WO,A1)
【文献】特開平10-028855(JP,A)
【文献】特開2017-145150(JP,A)
【文献】特開2015-042602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C30B 29/36
C30B 25/20
C23C 16/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素基板が配置されるチャンバと、
前記チャンバに繋がる主配管部と、
前記主配管部に繋がり、且つ前記炭化珪素基板上にバッファ層を形成する際に用いられる第1アンモニアガス供給部と、
前記主配管部に繋がり、且つ前記バッファ層上にドリフト層を形成する際に用いられる第2アンモニアガス供給部と、
前記主配管部に繋がるキャリアガス供給部と、
前記主配管部に繋がる原料ガス供給部と、を備え、
前記第1アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度は、前記第2アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度よりも高く、
前記第1アンモニアガス供給部および前記第2アンモニアガス供給部の各々は、ドーパントガス供給部である、炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置。
【請求項2】
炭化珪素基板が配置されるチャンバと、
前記チャンバに繋がり、且つ前記炭化珪素基板上にバッファ層を形成する際に用いられる第1アンモニアガス供給部と、
前記チャンバに繋がり、且つ前記バッファ層上にドリフト層を形成する際に用いられる第2アンモニアガス供給部と、
前記チャンバに繋がるキャリアガス供給部と、
前記チャンバに繋がる原料ガス供給部と、を備え、
前記第1アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度は、前記第2アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度よりも高く、
前記第1アンモニアガス供給部および前記第2アンモニアガス供給部の各々は、ドーパントガス供給部である、炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置。
【請求項3】
前記原料ガス供給部は、シリコン含有ガス供給部と、カーボン含有ガス供給部とを有する、請求項1または2に記載の炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置。
【請求項4】
前記第1アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度は、前記第2アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度の5倍以上である、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置。
【請求項5】
前記第2アンモニアガス供給部は、水素ガスで希釈されたアンモニアガスを含む、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置。
【請求項6】
前記第1アンモニアガス供給部および前記第2アンモニアガス供給部の各々は、水素ガスで希釈されたアンモニアガスを含む、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置。
【請求項7】
前記第1アンモニアガス供給部と前記主配管部とを繋ぐ第1アンモニアガス配管と、
前記第2アンモニアガス供給部と前記主配管部とを繋ぐ第2アンモニアガス配管と、
前記原料ガス供給部と前記主配管部とを繋ぐ原料ガス配管と、を備え、
前記第1アンモニアガス配管と前記主配管部との接続部および前記第2アンモニアガス配管と前記主配管部との接続部の各々は、前記原料ガス配管と前記主配管部との接続部よりも前記チャンバの近くに位置する、請求項1に記載の炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置。
【請求項8】
第3アンモニアガス供給部を備える、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置。
【請求項9】
前記キャリアガス供給部は、水素ガスを含む、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置。
【請求項10】
炭化珪素基板を準備する工程と、
請求項1または請求項2に記載の炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置を用いて、前記炭化珪素基板上にエピタキシャル層を形成する工程と、を備えた、炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法。
【請求項11】
チャンバと、前記チャンバに繋がる第1アンモニアガス供給部と、前記チャンバに繋がる第2アンモニアガス供給部と、を準備する工程と、
前記第1アンモニアガス供給部から供給されたアンモニアガスを用いて炭化珪素基板上にバッファ層をエピタキシャル成長により形成する工程と、
前記第2アンモニアガス供給部から供給されたアンモニアガスを用いて前記バッファ層上にドリフト層をエピタキシャル成長により形成する工程と、を備え、
前記第1アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度は、前記第2アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度よりも高く、
前記第1アンモニアガス供給部および前記第2アンモニアガス供給部の各々は、ドーパントガス供給部である、炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法。
【請求項12】
前記第1アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度は、前記第2アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度の5倍以上である、請求項11に記載の炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法。
【請求項13】
前記炭化珪素基板は、前記バッファ層に接する主面を有し、
前記主面は、(0001)面または(000-1)面に対して6°以下の角度傾斜した面である、請求項11または請求項12に記載の炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法。
【請求項14】
請求項11または請求項12に記載の炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法を用いて炭化珪素エピタキシャル基板を準備する工程と、
前記炭化珪素エピタキシャル基板上に電極を形成する工程と、を備えた、炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項10に記載の炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法を用いて炭化珪素エピタキシャル基板を準備する工程と、
前記炭化珪素エピタキシャル基板上に電極を形成する工程と、を備えた、炭化珪素半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置、炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法、および炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2017/056691号(特許文献1)には、シランとアンモニアと水素とを含む混合ガスを用いて、炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素層を形成する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/056691号
【発明の概要】
【0004】
本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置は、チャンバと、主配管部と、第1アンモニアガス供給部と、第2アンモニアガス供給部と、キャリアガス供給部と、原料ガス供給部と、を備えている。チャンバには、炭化珪素基板が配置される。主配管部は、チャンバに繋がる。第1アンモニアガス供給部は、主配管部に繋がる。第2アンモニアガス供給部は、主配管部に繋がる。キャリアガス供給部は、主配管部に繋がる。原料ガス供給部は、主配管部に繋がる。第1アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板の構成を示す平面模式図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面模式図である。
図3図3は、第1実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置の構成を示す一部断面模式図である。
図4図4は、第2実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置の構成を示す一部断面模式図である。
図5図5は、第3実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置の構成を示す一部断面模式図である。
図6図6は、第4実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置の構成を示す一部断面模式図である。
図7図7は、本実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法を概略的に示すフロー図である。
図8図8は、バッファ層を形成する工程を示す断面模式図である。
図9図9は、ドリフト層を形成する工程を示す断面模式図である。
図10図10は、ボディ領域を形成する工程を示す断面模式図である。
図11図11は、ソース領域を形成する工程を示す断面模式図である。
図12図12は、第1主面にトレンチを形成する工程を示す断面模式図である。
図13図13は、ゲート絶縁膜を形成する工程を示す断面模式図である。
図14図14は、ゲート電極および層間絶縁膜を形成する工程を示す断面模式図である。
図15図15は、本実施形態に係る炭化珪素半導体装置の構成を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示の実施形態の概要]
まず本開示の実施形態の概要について説明する。本明細書の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示す。結晶学上の指数が負であることは、通常、数字の上に”-”(バー)を付すことによって表現されるが、本明細書では数字の前に負の符号を付すことによって結晶学上の負の指数を表現する。
【0007】
(1)本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置は、チャンバと、主配管部と、第1アンモニアガス供給部と、第2アンモニアガス供給部と、キャリアガス供給部と、原料ガス供給部と、を備えている。チャンバには、炭化珪素基板が配置される。主配管部は、チャンバに繋がる。第1アンモニアガス供給部は、主配管部に繋がる。第2アンモニアガス供給部は、主配管部に繋がる。キャリアガス供給部は、主配管部に繋がる。原料ガス供給部は、主配管部に繋がる。第1アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度よりも高い。
【0008】
(2)本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置は、チャンバと、第1アンモニアガス供給部と、第2アンモニアガス供給部と、キャリアガス供給部と、原料ガス供給部と、を備えている。チャンバには、炭化珪素基板が配置される。第1アンモニアガス供給部は、チャンバに繋がる。第2アンモニアガス供給部は、チャンバに繋がる。キャリアガス供給部は、チャンバに繋がる。原料ガス供給部は、チャンバに繋がる。第1アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度よりも高い。
【0009】
(3)上記(1)または(2)に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置によれば、原料ガス供給部は、シリコン含有ガス供給部と、カーボン含有ガス供給部とを有してもよい。
【0010】
(4)上記(1)から(3)のいずれかに係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置によれば、第1アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度の5倍以上であってもよい。
【0011】
(5)上記(1)から(4)のいずれかに係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置によれば、第2アンモニアガス供給部は、水素ガスで希釈されたアンモニアガスを含んでもよい。
【0012】
(6)上記(1)から(5)のいずれかに係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置によれば、第1アンモニアガス供給部および第2アンモニアガス供給部の各々は、水素ガスで希釈されたアンモニアガスを含んでもよい。
【0013】
(7)上記(1)に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置は、第1アンモニアガス供給部と主配管部とを繋ぐ第1アンモニアガス配管と、第2アンモニアガス供給部と主配管部とを繋ぐ第2アンモニアガス配管と、原料ガス供給部と主配管部とを繋ぐ原料ガス配管と、を備えていてもよい。第1アンモニアガス配管と主配管部との接続部および第2アンモニアガス配管と主配管部との接続部の各々は、原料ガス配管と主配管部との接続部よりもチャンバの近くに位置してもよい。
【0014】
(8)上記(1)または(7)に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置は、主配管部に繋がる第3アンモニアガス供給部を備えてもよい。
【0015】
(9)本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置は、チャンバと、主配管部と、アンモニアガス供給部と、第1配管と、第2配管と、第3配管と、希釈ガス供給部と、キャリアガス供給部と、原料ガス供給部と、を備えている。チャンバには、炭化珪素基板が配置される。主配管部は、チャンバに繋がる。第1配管は、アンモニアガス供給部に繋がる。第2配管は、第1配管と主配管部とを繋ぐ。第3配管は、第1配管と主配管部とを繋ぐ。希釈ガス供給部は、第3配管に繋がる。キャリアガス供給部は、主配管部に繋がる。原料ガス供給部は、主配管部に繋がる。
【0016】
(10)本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置は、チャンバと、主配管部と、アンモニアガス供給部と、第1配管と、第2配管と、第3配管と、第1流量制御部と、第2流量制御部と、キャリアガス供給部と、原料ガス供給部と、を備えている。チャンバには、炭化珪素基板が配置される。主配管部は、チャンバに繋がる。第1配管は、アンモニアガス供給部に繋がる。第2配管は、第1配管と主配管部とを繋ぐ。第3配管は、第1配管と主配管部とを繋ぐ。第1流量制御部は、第2配管に配置される。第2流量制御部は、第3配管に配置される。キャリアガス供給部は、主配管部に繋がる。原料ガス供給部は、主配管部に繋がる。第2流量制御部の最大流量は、第1流量制御部の最大流量の10倍以上である。
【0017】
(11)上記(9)または(10)に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置は、原料ガス供給部と主配管部とを繋ぐ原料ガス配管、を備えていてもよい。第2配管と主配管部との接続部および第3配管と主配管部との接続部の各々は、原料ガス配管と主配管部との接続部よりもチャンバの近くに位置してもよい。
【0018】
(12)上記(9)から(11)のいずれかに係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置によれば、アンモニアガス供給部は、水素ガスで希釈されたアンモニアガスを含んでもよい。
【0019】
(13)上記(1)から(12)のいずれかに係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置によれば、キャリアガス供給部は、水素ガスを含んでもよい。
【0020】
(14)本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法は、以下の工程を備えている。第1アンモニアガス供給部から供給されたアンモニアガスを用いて炭化珪素基板上にバッファ層がエピタキシャル成長により形成される。第2アンモニアガス供給部から供給されたアンモニアガスを用いてバッファ層上にドリフト層がエピタキシャル成長により形成される。第1アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度よりも高い。
【0021】
(15)上記(14)に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法によれば、第1アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度の5倍以上であってもよい。
【0022】
(16)上記(14)または(15)に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法によれば、炭化珪素基板は、バッファ層に接する主面を有してもよい。主面は、(0001)面または(000-1)面に対して6°以下の角度傾斜した面であってもよい。
【0023】
(17)本開示に係る炭化珪素半導体装置の製造方法は、上記(14)から(16)のいずれかに記載の炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法を用いて炭化珪素エピタキシャル基板が準備される。炭化珪素エピタキシャル基板上に電極が形成される。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態の詳細について説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
【0025】
図1は、本実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の構成を示す平面模式図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面模式図である。図1および図2に示されるように、本実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100は、炭化珪素基板10と、炭化珪素エピタキシャル層20とを有している。炭化珪素エピタキシャル層20は、炭化珪素基板10上にある。炭化珪素エピタキシャル層20は、炭化珪素基板10に接している。
【0026】
炭化珪素エピタキシャル層20は、炭化珪素エピタキシャル基板100の表面(第1主面1)を形成する。炭化珪素基板10は、炭化珪素エピタキシャル基板100の裏面(第2主面2)を形成する。
【0027】
図1に示されるように、炭化珪素エピタキシャル基板100は、外周縁5を有している。外周縁5は、第1主面1および第2主面2の各々に連なっている。外周縁5は、たとえばオリエンテーションフラット3と、円弧状部4とを有している。
【0028】
図1に示されるように、炭化珪素エピタキシャル層20から炭化珪素基板10に向かう方向に見て、第1主面1の中心Aからオリエンテーションフラット3に向かう方向は第1方向101とされる。炭化珪素エピタキシャル層20から炭化珪素基板10に向かう方向に見て、第1方向101に垂直な方向は第2方向102とされる。オリエンテーションフラット3は、第2方向102に沿って延在している。炭化珪素エピタキシャル層20から炭化珪素基板10に向かう方向に見て、第1主面1は、第1方向101および第2方向102の各々に沿って拡がっている。
【0029】
図1に示されるように、炭化珪素エピタキシャル層20から炭化珪素基板10に向かう方向に見て、オリエンテーションフラット3は、直線状である。円弧状部4は、オリエンテーションフラット3に連なっている。円弧状部4は、円弧状である。オリエンテーションフラット3の代わりにノッチが設けられていてもよい。この場合、第1方向101は、第1主面1の中心Aからノッチに向かう方向である。
【0030】
第1方向101は、たとえば<1-100>方向である。第1方向101は、たとえば[1-100]方向であってもよい。第1方向101は、たとえば<1-100>方向を第1主面1に射影した方向であってもよい。別の観点から言えば、第1方向101は、たとえば<1-100>方向成分を含む方向であってもよい。
【0031】
第2方向102は、たとえば<11-20>方向である。第2方向102は、たとえば[11-20]方向であってもよい。第2方向102は、<11-20>方向を第1主面1に射影した方向であってもよい。別の観点から言えば、第1方向101は、たとえば<11-20>方向成分を含む方向であってもよい。
【0032】
第1主面1は、{0001}面に対して傾斜した面であってもよい。第1主面1は、{0001}面に対して傾斜している場合、{0001}面に対する傾斜角(オフ角)は、たとえば2°以上6°以下である。第1主面1が{0001}面に対して傾斜している場合、第1主面1の傾斜方向(オフ方向)は、たとえば<11-20>方向である。別の観点から言えば、第2方向102が、第1主面1のオフ方向であってもよい。
【0033】
図1に示されるように、第1主面1の最大径W1(直径)は、たとえば100mm(4インチ)である。最大径W1は、150mm(6インチ)以上でもよいし、200mm(8インチ)以上であってもよい。最大径W1の上限は、特に限定されない。最大径W1は、たとえば250mm(10インチ)以下であってもよい。最大径W1は、外周縁5上の任意の2点間の最大距離である。
【0034】
なお本明細書において、4インチは、100mm又は101.6mm(4インチ×25.4mm/インチ)のことである。6インチは、150mm又は152.4mm(6インチ×25.4mm/インチ)のことである。8インチは、200mm又は203.2mm(8インチ×25.4mm/インチ)のことである。10インチは、250mm又は254mm(10インチ×25.4mm/インチ)のことである。
【0035】
炭化珪素基板10を構成する炭化珪素のポリタイプは、たとえば4Hである。同様に、炭化珪素エピタキシャル層20を構成する炭化珪素のポリタイプは、たとえば4Hである。図2に示されるように、第3方向103は、炭化珪素エピタキシャル層20から炭化珪素基板10に向かう方向である。第3方向103は、第1方向101および第2方向102の各々に垂直である。
【0036】
図2に示されるように、炭化珪素エピタキシャル層20は、バッファ層11と、ドリフト層14と、を有している。バッファ層11は、炭化珪素基板10上にある。バッファ層11は、炭化珪素基板10に連なっている。ドリフト層14は、バッファ層11上にある。ドリフト層14は、バッファ層11に連なっている。ドリフト層14は、第1主面1を構成している。第3方向103において、バッファ層11は、炭化珪素基板10と、ドリフト層14との間に位置している。
【0037】
炭化珪素基板10は、第3主面8を有している。第3主面8は、第2主面2の反対にある。第3主面8は、バッファ層11に接している。第3主面8は、たとえば(0001)面である。第3主面8は、たとえば(0001)面または(000-1)面に対して6°以下の角度で傾斜した面であってもよい。(0001)面または(000-1)面に対する傾斜角度は、4°以下であってもよいし、3°以下であってもよい。
【0038】
バッファ層11の厚みは、第1厚みT1とされる。第1厚みT1は、たとえば1μm以上である。第1厚みT1は、たとえば2μm以上であってもよいし、3μm以上であってもよいし、5μm以上であってもよい。第1厚みT1は、20μm以下であってもよいし、10μm以下であってもよい。
【0039】
ドリフト層14の厚みは、第2厚みT2とされる。第2厚みT2は、第1厚みT1よりも大きくてもよい。第2厚みT2は、たとえば5μm以上である。第2厚みT2は、たとえば10μm以上であってもよいし、30μm以上であってもよいし、50μm以上であってもよい。第2厚みT2は、100μm以下であってもよいし、80μm以下であってもよい。
【0040】
炭化珪素基板10は、n型不純物としての窒素(N)を含んでいる。炭化珪素基板10の導電型は、n型である。炭化珪素エピタキシャル層20は、n型不純物としての窒素を含んでいる。炭化珪素エピタキシャル層20の導電型は、n型である。具体的には、バッファ層11およびドリフト層14の各々は、n型不純物としての窒素を含んでいる。バッファ層11の窒素濃度は、ドリフト層14の窒素濃度よりも高い。バッファ層11およびドリフト層14の各々の導電型は、n型である。
【0041】
バッファ層11の窒素濃度は、たとえば3×1018cm-3以上である。バッファ層11の窒素濃度は、たとえば5×1018cm-3以上であってもよいし、7×1018cm-3以上であってもよいし、9×1018cm-3以上であってもよい。バッファ層11の窒素濃度は、たとえば5×1019cm-3以下であってもよいし、1×1019cm-3以下であってもよい。
【0042】
ドリフト層14の窒素濃度は、たとえば1×1015cm-3以上である。ドリフト層14の窒素濃度は、たとえば3×1015cm-3以上であってもよいし、7×1015cm-3以上であってもよいし、1×1016cm-3以上であってもよい。ドリフト層14の窒素濃度は、たとえば1×1018cm-3以下であってもよいし、1×1017cm-3以下であってもよい。
【0043】
なお、バッファ層11は、単一の層で構成されていてもよいし、窒素濃度の異なる2以上の層で構成されていてもよい。バッファ層11は、たとえば第1バッファ領域7と、第2バッファ領域6とを有していてもよい。第1バッファ領域7は、炭化珪素基板上に設けられている。第2バッファ領域6は、第1バッファ領域7上に設けられている。
【0044】
第1バッファ領域7における窒素濃度は、第2バッファ領域6における窒素濃度よりも高くてもよい。第1バッファ領域7における窒素濃度は、たとえば8×1018cm-3である。第2バッファ領域6における窒素濃度は、たとえば1×1018cm-3である。ドリフト層14における窒素濃度は、たとえば7×1015cm-3である。
【0045】
第1バッファ領域7の厚みは、第2バッファ領域6の厚みよりも大きくてもよい。第1バッファ領域7の厚みは、たとえば1~10μmである。第2バッファ領域6の厚みは、たとえば1~10μmである。ドリフト層14の厚みは、たとえば10μmである。第1バッファ領域7とドリフト層14との間に第2バッファ領域6を挟むことにより、結晶の格子定数差に起因した欠陥の発生を抑制することができる。
【0046】
(炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置)
<第1実施形態>
図3は、第1実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置の構成を示す一部断面模式図である。図3に示されるように、炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置は、たとえばホットウォール方式の横型CVD(Chemical Vapor Deposition)装置である。炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250は、チャンバ201と、発熱体203、石英管204、ホルダ210、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル(図示せず)とを主に有している。
【0047】
発熱体203は、たとえば筒状の形状を有しており、内部にチャンバ201を形成している。発熱体203は、たとえば黒鉛製である。発熱体203は、石英管204の内部に設けられている。断熱材は、発熱体203の外周を取り囲んでいる。誘導加熱コイルは、たとえば石英管204の外周面に沿って巻回されている。誘導加熱コイルは、外部電源(図示せず)により、交流電流が供給可能に構成されている。これにより、発熱体203が誘導加熱される。結果として、ホルダ210が発熱体203により加熱される。
【0048】
ホルダ210は、発熱体203の内壁面205に取り囲まれて形成されている。ホルダ210には、炭化珪素基板10が配置される。ホルダ210は、たとえば炭化珪素により構成されている。炭化珪素基板10は、ホルダ210に載置される。ホルダ210は、ステージ206上に配置される。ステージ206は、回転軸209によって自転可能に支持されている。ステージ206が回転することで、ホルダ210が回転する。
【0049】
炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250は、主配管部207およびガス排気口208をさらに有している。主配管部207は、ガス供給口である。主配管部207は、チャンバ201に繋がっている。ガス排気口208は、図示しない排気ポンプに繋がっている。図3中の矢印は、ガスの流れを示している。ガスは、主配管部207からチャンバ201に導入され、ガス排気口208から排気される。チャンバ201内の圧力は、ガスの供給量と、ガスの排気量とのバランスによって調整される。
【0050】
図3に示されるように、炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250は、第1アンモニアガス供給部231と、第2アンモニアガス供給部232と、キャリアガス供給部234と、原料ガス供給部233と、第1アンモニアガス配管251と、第2アンモニアガス配管252と、原料ガス配管253と、キャリアガス配管254とを有している。第1アンモニアガス供給部231、第2アンモニアガス供給部232、キャリアガス供給部234、および、原料ガス供給部233の各々は、チャンバ201に繋がっている。
【0051】
第1アンモニアガス供給部231は、主配管部207に繋がっている。第1アンモニアガス配管251は、第1アンモニアガス供給部231と主配管部207とを繋いでいる。第2アンモニアガス供給部232は、主配管部207に繋がっている。第2アンモニアガス配管252は、第2アンモニアガス供給部232と主配管部207とを繋いでいる。
【0052】
キャリアガス供給部234は、主配管部207に繋がる。キャリアガス配管254は、キャリアガス供給部234と主配管部207とを繋いでいる。原料ガス供給部233は、主配管部207に繋がっている。原料ガス配管253は、原料ガス供給部233と主配管部207とを繋いでいる。
【0053】
第1アンモニアガス供給部231は、アンモニアガスを供給可能に構成されている。第1アンモニアガス供給部231には、希釈されたアンモニアガスが充填されても良い。具体的には、第1アンモニアガス供給部231は、水素ガスで希釈されたアンモニアガスを含んでも良い。第1アンモニアガス供給部231におけるアンモニアガスの濃度は、たとえば1%である。第1アンモニアガス供給部231におけるアンモニアガスの濃度は、たとえば0.5%以上50%以下であってもよい。なお、アンモニアガスの濃度は、体積%である。
【0054】
第2アンモニアガス供給部232は、アンモニアガスを供給可能に構成されている。第2アンモニアガス供給部232には、希釈されたアンモニアガスが充填されても良い。具体的には、第2アンモニアガス供給部232は、水素ガスで希釈されたアンモニアガスを含んでも良い。第2アンモニアガス供給部232におけるアンモニアガスの濃度は、たとえば0.1%である。第1アンモニアガス供給部231におけるアンモニアガスの濃度は、たとえば0.01%以上であっても良く、0.05%以上であってもよく、1%以下であってもよく、0.2%以下であってもよい。
【0055】
第1アンモニアガス供給部231におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部232におけるアンモニアガスの濃度よりも高い。具体的には、第1アンモニアガス供給部231におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部232におけるアンモニアガスの濃度の2倍以上であってもよいし、5倍以上であってもよいし、10倍以上であってもよい。第1アンモニアガス供給部231におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部232におけるアンモニアガスの濃度の100倍以下であってもよいし、50倍以下であってもよいし、20倍以下であってもよい。
【0056】
キャリアガス供給部234は、キャリアガスを供給可能に構成されている。キャリアガスは、たとえば水素ガスである。キャリアガスは、たとえばアルゴンガスであってもよい。キャリアガスは、たとえば水素ガスとアルゴンガスの混合ガスであってもよい。キャリアガス供給部234は、たとえば水素が充填されたガスボンベである。
【0057】
原料ガス供給部233は、原料ガスを供給可能に構成されている。原料ガスとは、炭化珪素の原料となるガスである。原料ガスとは、たとえばプロパン(C38)ガスおよびシラン(SiH4)ガスである。原料ガスは水素で希釈されていても良い。原料ガス供給部233は、カーボン含有ガス供給部と、シリコン含有ガス供給部とを有してもよい。具体的には、原料ガス供給部233は、炭素と水素を含む化合物を含むガス(例えばプロパンガス)を供給可能なガスボンベと、珪素と水素を含む化合物を含むガス(例えばシランガス)を供給可能なガスボンベとを有している。
【0058】
第1アンモニアガス配管251と主配管部207との接続部は、第1接続部261とされる。第2アンモニアガス配管252と主配管部207との接続部は、第2接続部262とされる。原料ガス配管253と主配管部207との接続部は、第3接続部263とされる。キャリアガス配管254と主配管部207との接続部は、第4接続部264とされる。
【0059】
第1接続部261および第2接続部262の各々は、第3接続部263よりもチャンバ201の近くに位置している。別の観点から言えば、主配管部207においてガスが流れる方向において、第1接続部261および第2接続部262の各々は、第3接続部263よりも下流に位置していてもよい。第3接続部263は、第4接続部264よりもチャンバ201の近くに位置していてもよい。第1接続部261は、第2接続部262よりもチャンバ201の近くに位置していてもよい。
【0060】
炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250は、第1流量制御部241と、第2流量制御部242と、第3流量制御部243と、第4流量制御部244と、を有している。第1流量制御部241は、第1アンモニアガス配管251を流れるガスの流量を制御する。第2流量制御部242は、第2アンモニアガス配管252を流れるガスの流量を制御する。第3流量制御部243は、原料ガス配管253を流れるガスの流量を制御する。第4流量制御部244は、キャリアガス配管254を流れるガスの流量を制御する。各制御部は、たとえばMFC(Mass Flow Controller)である。
【0061】
バッファ層11を形成する工程においては、第1アンモニアガス配管251と第1アンモニアガス供給部231を用いて、高濃度のアンモニアガスが主配管部207に供給される。ドリフト層14を形成する工程においては、第2アンモニアガス配管252と第2アンモニアガス供給部232を用いて、低濃度のアンモニアガスが主配管部207に供給される。
【0062】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250の構成について説明する。第2実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250は、主に、第2アンモニアガス供給部232を有していない点において、第1実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250と異なっており、その他の点については、第1実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250と同様である。以下、第1実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250と異なる構成を中心に説明する。
【0063】
図4は、第2実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250の構成を示す一部断面模式図である。図4に示されるように、第2実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250は、チャンバ201と、第1アンモニアガス供給部231と、キャリアガス供給部234と、原料ガス供給部233と、希釈ガス供給部235と、主配管部207と、キャリアガス配管254と、原料ガス配管253と、第1配管271と、第2配管272と、第3配管273と、第4配管274と、第5配管275と、を有している。
【0064】
第1配管271は、第1アンモニアガス供給部231に繋がる。第2配管272は、第1配管271と主配管部207とを繋ぐ。第3配管273は、第1配管271と主配管部207とを繋ぐ。希釈ガス供給部235は、第3配管273に繋がる。第4配管274は、第3配管273と希釈ガス供給部235とを繋いでいる。第4配管274と第3配管273との接続部は、第1配管271と第3配管273との接続部と、第3配管273と主配管部207との接続部との間に位置する。
【0065】
第5配管275は、第3配管273に繋がっている。第5配管275と第3配管273との接続部は、第4配管274と第3配管273との接続部と、第3配管273と主配管部207との接続部との間に位置する。第5配管275には、排気弁278が設けられている。排気弁278は、第5配管275の内部圧力が指定圧力に達するとガスを排気方向に流す。キャリアガス供給部234は、主配管部207に繋がる。原料ガス供給部233は、主配管部207に繋がる。
【0066】
希釈ガス供給部235は、希釈ガスを供給可能に構成されている。希釈ガスは、たとえば水素ガスである。希釈ガスは、たとえばアルゴンガスであってもよい。希釈ガス供給部235は、たとえば水素が充填されたガスボンベである。
【0067】
第3配管273と主配管部207との接続部は、第5接続部265とされる。第2配管272と主配管部207との接続部は、第6接続部266とされる。第5接続部265および第6接続部266の各々は、第3接続部263よりもチャンバ201の近くに位置している。別の観点から言えば、主配管部207においてガスが流れる方向において、第5接続部265および第6接続部266の各々は、第3接続部263よりも下流に位置していてもよい。第5接続部265は、第6接続部266よりもチャンバ201の近くに位置していてもよい。
【0068】
炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250は、第5流量制御部245と、第6流量制御部246と、第7流量制御部247と、第8流量制御部248と、を有している。第5流量制御部245は、第2配管272を流れるガスの流量を制御する。第6流量制御部246は、第3配管273の上流部を流れるガスの流量を制御する。第6流量制御部246は、第3配管273と第4配管274との接続部よりも上流に設けられる。第7流量制御部247は、第4配管274を流れるガスの流量を制御する。第8流量制御部248は、第3流路の下流部を流れるガスの流量を制御する。第8流量制御部248は、第3配管273と第4配管274との接続部よりも下流に設けられる。各制御部は、たとえばMFCである。
【0069】
バッファ層11を形成する工程においては、第1配管271と第2配管272と第1アンモニアガス供給部231を用いて、第1アンモニアガス供給部231のアンモニアの濃度と同じ濃度のアンモニアガスが主配管部207に供給される。ドリフト層14を形成する工程においては、第1配管271と第3配管273と第4配管274と第1アンモニアガス供給部231と希釈ガス供給部235とを用いて、希釈された低濃度のアンモニアガスが主配管部207に供給される。
【0070】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250の構成について説明する。第3実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250は、主に、第1アンモニアガス供給部231を有していない点において、第1実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250と異なっており、その他の点については、第1実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250と同様である。以下、第1実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250と異なる構成を中心に説明する。
【0071】
図5は、第3実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250の構成を示す一部断面模式図である。図5に示されるように、第3実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250は、チャンバ201と、第2アンモニアガス供給部232と、主配管部207と、キャリアガス配管254と、原料ガス配管253と、第1配管271と、第2配管272と、第3配管273と、第1流量制御部241と、第2流量制御部242と、キャリアガス供給部234と、原料ガス供給部233と、を有している。
【0072】
第1配管271は、第2アンモニアガス供給部232に繋がる。第2配管272は、第1配管271と主配管部207とを繋ぐ。第3配管273は、第1配管271と主配管部207とを繋ぐ。キャリアガス配管254は、キャリアガス供給部234と主配管部207とを繋ぐ。原料ガス配管253は、原料ガス供給部233と主配管部207とを繋ぐ。
【0073】
第1流量制御部241は、第2配管272に配置される。第2流量制御部242は、第3配管273に配置される。第2流量制御部242の最大流量は、第1流量制御部241の最大流量の10倍以上である。第2流量制御部242の最大流量は、第1流量制御部241の最大流量の20倍以上であってもよいし、50倍以上であってもよい。第2流量制御部242の最大流量は、第1流量制御部241の最大流量の500倍以下であってもよいし、200倍以下であってもよい。
【0074】
第3配管273と主配管部207との接続部は、第7接続部267とされる。第2配管272と主配管部207との接続部は、第8接続部268とされる。第7接続部267および第8接続部268の各々は、第3接続部263よりもチャンバ201の近くに位置している。別の観点から言えば、主配管部207においてガスが流れる方向において、第7接続部267および第8接続部268の各々は、第3接続部263よりも下流に位置していてもよい。第7接続部267は、第8接続部268よりもチャンバ201の近くに位置していてもよい。
【0075】
バッファ層11を形成する工程においては、第1配管271と第3配管273と第2アンモニアガス供給部232と第2流量制御部242を用いて、大流量のアンモニアガスが主配管部207に供給される。ドリフト層14を形成する工程においては、第1配管271と第2配管272と第2アンモニアガス供給部232と第1流量制御部241を用いて、小流量のアンモニアガスが主配管部207に供給される。
【0076】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250の構成について説明する。第4実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250は、主に、第3アンモニアガス供給部236を有している点において、第1実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250と異なっており、その他の点については、第1実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250と同様である。以下、第1実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250と異なる構成を中心に説明する。
【0077】
図6は、第4実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250の構成を示す一部断面模式図である。図6に示されるように、炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250は、第1アンモニアガス供給部231と、第2アンモニアガス供給部232と、第3アンモニアガス供給部236と、キャリアガス供給部234と、原料ガス供給部233と、第1アンモニアガス配管251と、第2アンモニアガス配管252と、第3アンモニアガス配管276と、原料ガス配管253と、キャリアガス配管254とを有している。
【0078】
第3アンモニアガス供給部236は、主配管部207に繋がっている。第3アンモニアガス配管276は、第3アンモニアガス供給部236と主配管部207とを繋いでいる。第3アンモニアガス供給部236は、アンモニアガスを供給可能に構成されている。第3アンモニアガス供給部236には、キャリアガスで希釈されたアンモニアガスが充填されている。
【0079】
具体的には、第3アンモニアガス供給部236は、水素ガスで希釈されたアンモニアガスを含んでも良い。第3アンモニアガス供給部236におけるアンモニアガスの濃度は、第1アンモニアガス供給部231におけるアンモニアガスの濃度および第2アンモニアガス供給部232におけるアンモニアガスの濃度の各々と異なっている。第3アンモニアガス供給部236におけるアンモニアガスの濃度は、第1アンモニアガス供給部231におけるアンモニアガスの濃度よりも低くてもよい。第3アンモニアガス供給部236におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部232におけるアンモニアガスの濃度よりも高くてもよい。
【0080】
第3アンモニアガス供給部236と主配管部207との接続部は、第9接続部269とされる。第9接続部269は、第3接続部263よりもチャンバ201の近くに位置している。別の観点から言えば、主配管部207においてガスが流れる方向において、第9接続部269は、第3接続部263よりも下流に位置していてもよい。
【0081】
炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250は、第1流量制御部241と、第2流量制御部242と、第3流量制御部243と、第4流量制御部244と、第9流量制御部249と、を有している。第9流量制御部249は、第3アンモニアガス配管276を流れるガスの流量を制御する。
【0082】
第1バッファ領域7を形成する工程においては、第1アンモニアガス配管251と第1アンモニアガス供給部231を用いて、高濃度のアンモニアガスが主配管部207に供給される。第2バッファ領域6を形成する工程においては、第3アンモニアガス配管276と第3アンモニアガス供給部236を用いて、中濃度のアンモニアガスが主配管部207に供給される。ドリフト層14を形成する工程においては、第2アンモニアガス配管252と第2アンモニアガス供給部232を用いて、低濃度のアンモニアガスが主配管部207に供給される。
【0083】
なお、第1実施形態から第4実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法において、第1アンモニアガス配管251、第2アンモニアガス配管252、原料ガス配管253、キャリアガス配管254、第1配管271、第2配管272、第3配管273、第4配管274、第5配管275、第3アンモニアガス配管276、および、主配管部207の少なくともいずれかの配管は、加熱されてもよいし、加熱されなくてもよい。
【0084】
なお、主配管部207は、1本の主配管でもよいし、複数の主配管でもよい。主配管部207は、たとえば、第1主配管(図示せず)と、第2主配管(図示せず)と、第3主配管(図示せず)とを有していてもよい。キャリガス供給部とシランガス供給部とは、たとえば、第1主配管に繋がっていてもよい。キャリガス供給部とプロパンガス供給部とは、たとえば、第2主配管に繋がっていてもよい。キャリガス供給部とアンモニアガス供給部とは、たとえば、第3主配管に繋がっていてもよい。
【0085】
第1アンモニアガス供給部231は、第1アンモニアガス配管251に繋がっているが、主配管部207を介さずに、チャンバ201に繋げることもできる。この場合、第1アンモニアガス配管251(第1流量制御部241とチャンバ201の間の部分)は、流量制御部を介してキャリアガス供給部234と繋がっていてもよい。
【0086】
第2アンモニアガス供給部232は、第2アンモニアガス配管252に繋がっているが、主配管部207を介さずに、チャンバ201に繋げることもできる。この場合、第2アンモニアガス配管252(第2流量制御部242とチャンバ201の間の部分)は、流量制御部を介してキャリアガス供給部234と繋がっていてもよい。
【0087】
原料ガス供給部233は、原料ガス配管253に繋がっているが、主配管部207を介さずに、チャンバ201に繋げることもできる。この場合、原料ガス供給部233(第3流量制御部243とチャンバ201の間の部分)は、流量制御部を介してキャリアガス供給部234と繋がっていてもよい。
【0088】
(炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法)
次に、本実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造方法について説明する。
【0089】
図7は、本実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造方法を概略的に示すフロー図である。図7に示されるように、本実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造方法は、バッファ層11を形成する工程(S10)と、ドリフト層14を形成する工程(S20)とを有している。
【0090】
まず、炭化珪素基板10が準備される。たとえば昇華法により、ポリタイプ4Hの炭化珪素単結晶が製造される。次に、たとえばワイヤーソーによって、炭化珪素単結晶をスライスすることにより、炭化珪素基板10が準備される。炭化珪素基板10は、たとえば窒素などのn型不純物を含んでいる。炭化珪素基板10の導電型は、たとえばn型である。次に、炭化珪素基板10に対して機械研磨が行われる。次に、炭化珪素基板10に対して化学的機械研磨が実施される。
【0091】
次に、炭化珪素基板10は、第1実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250のチャンバ201に配置される。具体的には、炭化珪素基板10がホルダ210に載置された状態で、チャンバ201の内部に配置される。
【0092】
次に、バッファ層11を形成する工程(S10)が実施される。図8は、バッファ層11を形成する工程を示す断面模式図である。図8に示されるように、バッファ層11は、炭化珪素基板10上にエピタキシャル成長により形成される。エピタキシャル成長においては、原料ガスとしてたとえばシラン(SiH4)およびプロパン(C38)が用いられ、キャリアガスとして水素(H2)が用いられる。ホルダ210の温度がたとえば1600℃程度になった後、チャンバ201に、原料ガス、ドーパントガスおよびキャリアガスが供給される。具体的には、主配管部207を通じて、シランとプロパンとアンモニアと水素とを含む混合ガスが、チャンバ201に導入される。チャンバ201において、それぞれのガスが熱分解され、炭化珪素基板10上にバッファ層11が形成される。
【0093】
チャンバ201に供給されるシランガスの流量は、たとえば46sccmとなるように調整される。シランガスの流量は、たとえば30sccm以上60sccm以下であってもよい。チャンバ201に供給されるプロパンガスの流量は、たとえば14sccmとなるように調整される。プロパンガスの流量は、たとえば10sccm以上20sccm以下であってもよい。チャンバ201に供給される水素ガスの流量は、たとえば120slmとなるように調整される。水素ガスの流量は、たとえば100slm以上150slm以下であってもよい。
【0094】
バッファ層11の形成においては、第1アンモニアガス供給部231から供給されたアンモニアガスがドーパントガスとして用いられる。上述の通り、第1アンモニアガス供給部231は、水素ガスで希釈されたアンモニアガスを含んでいる。第1アンモニアガス供給部231におけるアンモニアガスの濃度は、たとえば1%である。第1流量制御部241を用いて、チャンバ201に供給されるアンモニアガスの流量が制御される。たとえば、水素ガスによる希釈により1%の濃度に希釈されたアンモニアガスの流量は、たとえば10sccm以上200sccm以下である。なお、この流量は、濃度100%のアンモニアガスの流量に換算すれば、たとえば0.1sccm以上2.0sccm以下である。
【0095】
以上のように、第1アンモニアガス供給部231から供給されたアンモニアガスを用いて炭化珪素基板10上にバッファ層11が形成される。バッファ層11の厚みは、たとえば1μm以上である。バッファ層11の窒素濃度は、たとえば3×1018cm-3以上である。
【0096】
次に、ドリフト層14を形成する工程(S20)が実施される。図9は、ドリフト層14を形成する工程を示す断面模式図である。図9に示されるように、ドリフト層14は、バッファ層11上にエピタキシャル成長により形成される。
【0097】
チャンバ201に供給されるシランガスの流量は、たとえば115sccmとなるように調整される。シランガスの流量は、たとえば80sccm以上150sccm以下であってもよい。チャンバ201に供給されるプロパンガスの流量は、たとえば37.5sccmとなるように調整される。プロパンガスの流量は、たとえば25sccm以上50sccm以下であってもよい。チャンバ201に供給される水素ガスの流量は、たとえば120slmとなるように調整される。水素ガスの流量は、たとえば100slm以上150slm以下であってもよい。
【0098】
ドリフト層14の形成においては、第2アンモニアガス供給部232から供給されたアンモニアガスがドーパントガスとして用いられる。上述の通り、第2アンモニアガス供給部232は、水素ガスで希釈されたアンモニアガスを含んでいる。第2アンモニアガス供給部232におけるアンモニアガスの濃度は、たとえば0.1%である。第2流量制御部242を用いて、チャンバ201に供給されるアンモニアガスの流量が制御される。たとえば、水素ガスによる希釈により0.1%の濃度に希釈されたアンモニアガスの流量は、たとえば10sccm以上200sccm以下である。なお、この流量は、濃度100%のアンモニアガスの流量に換算すれば、たとえば0.01sccm以上0.2sccm以下である。
【0099】
第1アンモニアガス供給部231におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部232におけるアンモニアガスの濃度よりも高い。具体的には、第1アンモニアガス供給部231におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部232におけるアンモニアガスの濃度の2倍以上であってもよいし、5倍以上であってもよいし、10倍以上であってもよい。第1アンモニアガス供給部231におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部232におけるアンモニアガスの濃度の100倍以下であってもよいし、50倍以下であってもよいし、20倍以下であってもよい。
【0100】
以上のように、第2アンモニアガス供給部232から供給されたアンモニアガスを用いてバッファ層11上にドリフト層14が形成される。ドリフト層14の厚みは、たとえば5μm以上である。ドリフト層14の窒素濃度は、たとえば1×1015cm-3以上1×1017cm-3以下である。これにより、炭化珪素エピタキシャル基板100が製造される。
【0101】
なお、別の態様として、図3を参照しつつ、バッファ層11を形成する工程の一部または全部において、第1アンモニアガス供給部231から供給されたアンモニアガスと、第2アンモニアガス供給部232から供給されたアンモニアガスとが同時に用いられ、且つ、ドリフト層14を形成する工程において、第2アンモニアガス供給部232から供給されたアンモニアガスが用いられてもよい。すなわち、バッファ層11を形成する工程の一部または全部と、ドリフト層14を形成する工程において、第2アンモニアガス供給部232から供給されたアンモニアガスが用いられてもよい。
【0102】
これにより、2つの経路から供給されるアンモニアガスの切り替えの瞬間をなくすことができ、バッファ層11とドリフト層14の間に、窒素濃度が急激に低下する層の形成を抑制することができる。
【0103】
なお、別の態様として、図4を参照しつつ、バッファ層11を形成する工程の一部または全部において、第1配管271と第2配管272と第1アンモニアガス供給部231から供給されたアンモニアガスと、第1配管271と第3配管273と第4配管274と第1アンモニアガス供給部231と希釈ガス供給部235から供給された希釈された低濃度のアンモニアガスとが同時に用いられ、且つ、ドリフト層14を形成する工程において、第1配管271と第3配管273と第4配管274と第1アンモニアガス供給部231と希釈ガス供給部235から供給された希釈された低濃度のアンモニアガスが用いられてよい。すなわち、バッファ層11を形成する工程の一部または全部と、ドリフト層14を形成する工程において、第1配管271と第3配管273と第4配管274と第1アンモニアガス供給部231と希釈ガス供給部235から供給された希釈された低濃度のアンモニアガスが用いられてもよい。
【0104】
これにより、2つの経路から供給されるアンモニアガスの切り替えの瞬間をなくすことができ、バッファ層11とドリフト層14の間に、窒素濃度が急激に低下する層の形成を抑制することができる。
【0105】
なお、別の態様として、図5を参照しつつ、バッファ層11を形成する工程の一部または全部において、第1配管271と第3配管273と第2アンモニアガス供給部232と第2流量制御部242を用いて、大流量のアンモニアガスと、第1配管271と第2配管272と第2アンモニアガス供給部232と第1流量制御部241を用いて、小流量のアンモニアガスとが、同時に用いられ、且つ、ドリフト層14を形成する工程において、第1配管271と第2配管272と第2アンモニアガス供給部232と第1流量制御部241を用いて、小流量のアンモニアガスが用いられてよい。すなわち、バッファ層11を形成する工程の一部または全部と、ドリフト層14を形成する工程において、第1配管271と第2配管272と第2アンモニアガス供給部232と第1流量制御部241を用いて、小流量のアンモニアガスが用いられてよい。
【0106】
これにより、2つの経路から供給されるアンモニアガスの切り替えの瞬間をなくすことができ、バッファ層11とドリフト層14の間に、窒素濃度が急激に低下する層の形成を抑制することができる。
【0107】
次に、炭化珪素エピタキシャル成長の際に窒素をドーピングする、炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法であって、アンモニアガスが炭化珪素エピタキシャル層が形成される炭化珪素基板10上に到達する前に、アンモニアガスが予め熱分解させておくための予備加熱領域211を通過させる、炭化珪素半導体の製造方法について開示する。
【0108】
窒素源のアンモニアガスを炭化珪素基板10上に到達する前に、予備加熱領域211にて熱分解させておくため、エピタキシャル成長がなされつつある広い炭化珪素基板10の面内での窒素の面内分布が均一になる。その結果、成長しつつある炭化珪素エピタキシャル層内へドーピングされる窒素の面内濃度分布も均一になる。
【0109】
予備加熱領域211では、チャンバ201内の部材の壁面が1300℃以上の領域をガスが通過するため、ガスの流れに大きな乱れ等を発生させることなくアンモニアガスを予め充分に熱分解できる。
【0110】
ここで予備加熱領域211とは、流れていくガスを加熱するための空間という意味であり、外部から加熱される細長い管、内部に伝熱コイルが設置された空間、内壁面にフィン等が形成された広い空間等も含む。
【0111】
なお、領域の壁面の温度の上限は、部屋の長さが多少短くても確実な熱分解を行うため1350℃以上が好ましく、また熱効率の面からは1800℃以下が好ましい。例えば、予備加熱領域211は、チャンバ201の端から、チャンバ201の端に対する最近接の炭化珪素基板10までの領域とすることができる。予備加熱領域211は、50mm以上、1000mm以下が好ましい。
【0112】
次に、炭化珪素エピタキシャル成長の際に窒素をドーピングする、炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置であって、アンモニアガスが炭化珪素エピタキシャル層が形成される炭化珪素基板10上に到達する前に、アンモニアガスが予め熱分解させておくための予備加熱領域211を有する、炭化珪素半導体の製造装置について開示する。
【0113】
窒素源のアンモニアガスを炭化珪素基板10上に到達する前に、予備加熱領域211にて熱分解させておくため、エピタキシャル成長がなされつつある広い炭化珪素基板10の面内での窒素の面内分布が均一になる。その結果、成長しつつある炭化珪素エピタキシャル層内へドーピングされる窒素の面内濃度分布も均一になる。
【0114】
予備加熱領域211では、チャンバ201内の部材の壁面が1300℃以上の領域をガスが通過するため、ガスの流れに大きな乱れ等を発生させることなくアンモニアガスを予め充分に熱分解できる。
【0115】
ここで予備加熱領域211とは、流れていくガスを加熱するための空間という意味であり、外部から加熱される細長い管、内部に伝熱コイルが設置された空間、内壁面にフィン等が形成された広い空間等も含む。
【0116】
なお、領域の壁面の温度の上限は、部屋の長さが多少短くても確実な熱分解を行うため1350℃以上が好ましく、また熱効率の面からは1800℃以下が好ましい。例えば、予備加熱領域211は、チャンバ201の端から、チャンバ201の端に対する最近接の炭化珪素基板10までの領域とすることができる。予備加熱領域211は、50mm以上、1000mm以下が好ましい。
【0117】
(炭化珪素半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態に係る炭化珪素半導体装置300の製造方法について説明する。
【0118】
まず、本実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100が準備される(図9参照)。次に、ボディ領域を形成する工程が実施される。図10は、ボディ領域を形成する工程を示す断面模式図である。具体的には、炭化珪素エピタキシャル層20のドリフト層14に対して、たとえばアルミニウムなどのp型不純物がイオン注入される。これにより、p型の導電型を有するボディ領域113が形成される。ボディ領域113の厚みは、たとえば0.9μmである。
【0119】
次に、ソース領域を形成する工程が実施される。図11は、ソース領域を形成する工程を示す断面模式図である。具体的には、ボディ領域113に対して、たとえばリンなどのn型不純物がイオン注入される。これにより、n型の導電型を有するソース領域114が形成される。ソース領域114の厚みは、たとえば0.4μmである。ソース領域114が含むn型不純物の濃度は、ボディ領域113が含むp型不純物の濃度よりも高くてもよい。
【0120】
次に、ソース領域114に対して、たとえばアルミニウムなどのp型不純物がイオン注入されることにより、コンタクト領域118が形成される。コンタクト領域118は、ソース領域114およびボディ領域113を貫通し、ドリフト層14に接するように形成される。コンタクト領域118が含むp型不純物の濃度は、ソース領域114が含むn型不純物の濃度よりも高くてもよい。
【0121】
次に、イオン注入された不純物を活性化するため活性化アニールが実施される。活性化アニールの温度は、たとえば1700℃程度である。活性化アニールの時間は、たとえば30分程度である。活性化アニールの雰囲気は、たとえばAr雰囲気である。
【0122】
次に、第1主面1にトレンチを形成する工程が実施される。図12は、第1主面1にトレンチを形成する工程を示す断面模式図である。図12に示されるように、ソース領域114およびコンタクト領域118から構成される第1主面1上に、開口を有するマスク117が形成される。マスク117を用いて、ソース領域114と、ボディ領域113と、ドリフト層14の一部とがエッチングにより除去される。エッチングの方法としては、たとえば反応性イオンエッチング、特に誘導結合プラズマ反応性イオンエッチングを用いることができる。具体的には、たとえば反応ガスとしてSF6またはSF6とO2との混合ガスを用いた誘導結合プラズマ反応性イオンエッチングを用いることができる。エッチングにより、第1主面1に凹部が形成される。
【0123】
次に、凹部において熱エッチングが行われる。熱エッチングは、第1主面1上にマスク117が形成された状態で、たとえば、少なくとも1種類以上のハロゲン原子を有する反応性ガスを含む雰囲気中での加熱によって行い得る。少なくとも1種類以上のハロゲン原子は、塩素(Cl)原子およびフッ素(F)原子の少なくともいずれかを含む。当該雰囲気は、たとえば、Cl2、BCl3、SF6またはCF4を含む。たとえば、塩素ガスと酸素ガスとの混合ガスを反応ガスとして用い、熱処理温度を、たとえば700℃以上1000℃以下として、熱エッチングが行われる。なお、反応ガスは、上述した塩素ガスと酸素ガスとに加えて、キャリアガスを含んでいてもよい。キャリアガスとしては、たとえば窒素ガス、アルゴンガスまたはヘリウムガスなどを用いることができる。
【0124】
図12に示されるように、熱エッチングにより、第1主面1にトレンチ106が形成される。トレンチ106は、側面123と、底面124とにより規定される。側面123は、ソース領域114と、ボディ領域113と、ドリフト層14とにより構成される。底面124は、ドリフト層14により構成される。次に、マスク117が第1主面1から除去される。
【0125】
次に、ゲート絶縁膜を形成する工程が実施される。図13は、ゲート絶縁膜を形成する工程を示す断面模式図である。具体的には、第1主面1にトレンチ106が形成された炭化珪素エピタキシャル基板100が、酸素を含む雰囲気中において、たとえば1300℃以上1400℃以下の温度で加熱される。これにより、底面124においてドリフト層14と接し、側面123においてドリフト層14、ボディ領域113およびソース領域114の各々に接し、かつ第1主面1においてソース領域114およびコンタクト領域118の各々と接するゲート絶縁膜115が形成される。
【0126】
次に、ゲート電極を形成する工程が実施される。図14は、ゲート電極および層間絶縁膜を形成する工程を示す断面模式図である。ゲート電極127は、トレンチ106の内部においてゲート絶縁膜115に接するように形成される。ゲート電極127は、トレンチ106の内部に配置され、ゲート絶縁膜115上においてトレンチ106の側面123および底面124の各々と対面するように形成される。ゲート電極127は、たとえばLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法により形成される。
【0127】
次に、層間絶縁膜126が形成される。層間絶縁膜126は、ゲート電極127を覆い、かつゲート絶縁膜115と接するように形成される。層間絶縁膜126は、たとえば化学気相成長法により形成される。層間絶縁膜126は、たとえば二酸化珪素を含む材料により構成される。次に、ソース領域114およびコンタクト領域118上に開口部が形成されるように、層間絶縁膜126およびゲート絶縁膜115の一部がエッチングされる。これにより、コンタクト領域118およびソース領域114がゲート絶縁膜115から露出する。
【0128】
次に、ソース電極を形成する工程が実施される。ソース電極116は、ソース領域114およびコンタクト領域118の各々に接するように形成される。ソース電極116は、たとえばスパッタリング法により形成される。ソース電極116は、たとえばTi、AlおよびSiを含む材料からなる。
【0129】
次に、合金化アニールが実施される。具体的には、ソース領域114およびコンタクト領域118の各々と接するソース電極116が、たとえば900℃以上1100℃以下の温度で5分程度保持される。これにより、ソース電極116の少なくとも一部がシリサイド化する。これにより、ソース領域114とオーミック接合するソース電極116が形成される。
【0130】
次に、ソース配線119が形成される。ソース配線119は、ソース電極116と電気的に接続される。ソース配線119は、ソース電極116および層間絶縁膜126を覆うように形成される。
【0131】
次に、ドレイン電極120を形成する工程が実施される。まず、第2主面2において、炭化珪素基板10が研磨される。次に、ドレイン電極120が形成される。ドレイン電極120は、第2主面2において、炭化珪素基板10と接するように形成される。以上により、本実施形態に係る炭化珪素半導体装置300が製造される。
【0132】
(炭化珪素半導体装置)
次に、本実施形態に係る炭化珪素半導体装置300の構成について説明する。図15は、本実施形態に係る炭化珪素半導体装置300の構成を示す断面模式図である。図15に示されるように、本実施形態に係る炭化珪素半導体装置300は、炭化珪素エピタキシャル基板100と、ゲート絶縁膜115と、ゲート電極127と、ソース電極116と、ドレイン電極120と、ソース配線119と、層間絶縁膜126とを主に有している。炭化珪素エピタキシャル基板100は、炭化珪素基板10と、炭化珪素エピタキシャル層20と、第1主面1と、第2主面2とを有している。炭化珪素エピタキシャル層20は、バッファ層11と、ドリフト層14と、ボディ領域113と、ソース領域114と、コンタクト領域118とを有している。
【0133】
ボディ領域113は、ドリフト層14上に形成されている。ボディ領域113は、ドリフト層14に接している。ボディ領域113は、たとえばアルミニウムなどのp型不純物を含む。ボディ領域113は、p型の導電型を有する。ソース領域114は、ボディ領域113上に形成されている。ソース領域114は、たとえばリンなどのn型不純物を含む。ソース領域114は、n型の導電型を含む。ソース領域114が含むn型不純物の濃度は、ボディ領域113が含むp型不純物の濃度よりも高くてもよい。ボディ領域113は、p型領域である。ドリフト層14は、n型領域である。p型領域とn型領域との間でボディダイオードが形成される。
【0134】
コンタクト領域118は、ソース領域114およびボディ領域113を貫通する。コンタクト領域118は、ソース領域114、ボディ領域113およびドリフト層14の各々に接している。コンタクト領域118は、たとえばアルミニウムなどのp型不純物を含む。コンタクト領域118が含むp型不純物の濃度は、ソース領域114が含むn型不純物の濃度よりも高くてもよい。
【0135】
第1主面1には、トレンチ106が設けられている。トレンチ106は、側面123と、底面124とにより規定される。側面123は、ソース領域114と、ボディ領域113と、ドリフト層14とにより構成される。底面124は、ドリフト層14により構成される。
【0136】
ゲート絶縁膜115は、底面124においてドリフト層14と接し、側面123においてドリフト層14、ボディ領域113およびソース領域114の各々に接している。ゲート電極127は、ゲート絶縁膜115上に配置されている。ゲート電極127は、トレンチ106の内部においてゲート絶縁膜115に接する。ゲート電極127は、トレンチ106の側面123および底面124の各々と対面している。
【0137】
層間絶縁膜126は、ゲート電極127を覆っている。層間絶縁膜126は、ゲート絶縁膜115と接している。層間絶縁膜126は、たとえば二酸化珪素を含む材料により構成される。ソース電極116は、ソース領域114およびコンタクト領域118の各々に接する。ソース電極116は、たとえばTi、AlおよびSiを含む材料からなる。ソース配線119は、ソース電極116に接する。ソース配線119は、ソース電極116と電気的に接続されている。ソース配線119は、ソース電極116および層間絶縁膜126を覆っている。ドレイン電極120は、第2主面2において炭化珪素基板10に接している。
【0138】
次に、本実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250、炭化珪素エピタキシャル基板100の製造方法、および炭化珪素半導体装置300の製造方法の作用効果について説明する。
【0139】
バッファ層11およびドリフト層14の各々に対して窒素をドーピングするために、窒素ガスまたはアンモニアガスが用いられる。アンモニアガスは、三重結合を有する窒素ガスよりも熱分解されやすい。そのため、同じ窒素濃度を実現するために必要なアンモニアガスの流量は、窒素ガスの流量よりも大幅に小さくなる。
【0140】
また炭化珪素エピタキシャル基板100において、バッファ層11における窒素濃度は、ドリフト層14における窒素濃度よりも高い。バッファ層11における窒素濃度は、ドリフト層14における窒素濃度の10倍以上あるいは100倍以上になる場合がある。そのため、バッファ層11を形成する際に必要とされるアンモニアガスの流量は、ドリフト層14を形成する際に必要とされるアンモニアガスの流量よりも大幅に大きくなる。流量制御部(MFC)においては、流すことが出来るガスの流量の範囲に制限がある。そのため、1つの流量制御部(MFC)を用いて、バッファ層11を形成する際に必要とされるアンモニアガスの流量と、ドリフト層14を形成する際に必要とされるアンモニアガスの流量とを、それぞれ精度良く制御することは困難であった。
【0141】
本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250および製造方法によれば、第1アンモニアガス供給部231から供給されたアンモニアガスを用いて炭化珪素基板10上にバッファ層11がエピタキシャル成長により形成される。第2アンモニアガス供給部232から供給されたアンモニアガスを用いてバッファ層11上にドリフト層14がエピタキシャル成長により形成される。第1アンモニアガス供給部231におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部232におけるアンモニアガスの濃度よりも高い。これにより、バッファ層11の形成に最適なアンモニアガスの濃度でバッファ層11を形成し、且つ、ドリフト層14の形成に最適なアンモニアガスの濃度でドリフト層14を形成することができる。結果として、バッファ層11およびドリフト層14の各々における窒素濃度の制御性を向上することができる。
【0142】
本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250および製造方法によれば、第1アンモニアガス供給部231におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部232におけるアンモニアガスの濃度の5倍以上であってもよい。これにより、バッファ層11およびドリフト層14の各々における窒素濃度の制御性をさらに向上することができる。
【0143】
本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250および製造方法によれば、第1アンモニアガス配管251と主配管部207との接続部および第2アンモニアガス配管252と主配管部207との接続部の各々は、原料ガス配管253と主配管部207との接続部よりもチャンバ201の近くに位置してもよい。これにより、アンモニアガスが原料ガスに混合しやすくなる。結果として、バッファ層11およびドリフト層14の各々における窒素濃度の制御性をさらに向上することができる。
【0144】
本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250および製造方法によれば、主配管部207に繋がる第3アンモニアガス供給部236を有していてもよい。これにより、異なる窒素濃度を有するバッファ領域を形成する場合において、各バッファ領域における窒素濃度の制御性を向上することができる。
【0145】
本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250によれば、第1配管271は、アンモニアガス供給部に繋がる。第2配管272は、第1配管271と主配管部207とを繋ぐ。第3配管273は、第1配管271と主配管部207とを繋ぐ。希釈ガス供給部235は、第3配管273に繋がる。キャリアガス供給部234は、主配管部207に繋がる。原料ガス供給部233は、主配管部207に繋がる。
【0146】
本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250によれば、第1配管271と第2配管272とを通して、高濃度のアンモニアガスを主配管部207に供給することができる。また第1配管271と第3配管273とを通して、希釈された低濃度のアンモニアガスを主配管部207に供給することができる。これにより、バッファ層11の形成に最適なアンモニアガスの濃度でバッファ層11を形成し、且つ、ドリフト層14の形成に最適なアンモニアガスの濃度でドリフト層14を形成することができる。結果として、バッファ層11およびドリフト層14の各々における窒素濃度の制御性を向上することができる。
【0147】
本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250によれば、第1配管271は、アンモニアガス供給部に繋がる。第2配管272は、第1配管271と主配管部207とを繋ぐ。第3配管273は、第1配管271と主配管部207とを繋ぐ。第1流量制御部241は、第2配管272に配置される。第2流量制御部242は、第3配管273に配置される。第2流量制御部242の最大流量は、第1流量制御部241の最大流量の10倍以上である。
【0148】
本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250によれば、第1配管271と第2配管272とを通して、小流量のアンモニアガスを主配管部207に供給することができる。また第1配管271と第3配管273とを通して、大流量のアンモニアガスを主配管部207に供給することができる。これにより、バッファ層11の形成に最適なアンモニアガスの流量でバッファ層11を形成し、且つ、ドリフト層14の形成に最適なアンモニアガスの流量でドリフト層14を形成することができる。結果として、バッファ層11およびドリフト層14の各々における窒素濃度の制御性を向上することができる。
【0149】
本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板100の製造装置250は、原料ガス供給部233と主配管部207とを繋ぐ原料ガス配管253、を備えていてもよい。第2配管272と主配管部207との接続部および第3配管273と主配管部207との接続部の各々は、原料ガス配管253と主配管部207との接続部よりもチャンバ201の近くに位置してもよい。これにより、アンモニアガスが原料ガスに混合しやすくなる。結果として、バッファ層11およびドリフト層14の各々における窒素濃度の制御性をさらに向上することができる。
【0150】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0151】
1 第1主面
2 第2主面
3 オリエンテーションフラット
4 円弧状部
5 外周縁
6 第2バッファ領域
7 第1バッファ領域
8 第3主面
10 炭化珪素基板
11 バッファ層
14 ドリフト層
20 炭化珪素エピタキシャル層
100 炭化珪素エピタキシャル基板
101 第1方向
102 第2方向
103 第3方向
106 トレンチ
113 ボディ領域
114 ソース領域
115 ゲート絶縁膜
116 ソース電極
117 マスク
118 コンタクト領域
119 ソース配線
120 ドレイン電極
123 側面
124 底面
126 層間絶縁膜
127 ゲート電極
201 チャンバ
203 発熱体
204 石英管
205 内壁面
206 ステージ
207 主配管部
208 ガス排気口
209 回転軸
210 ホルダ
211 予備加熱領域
231 第1アンモニアガス供給部
232 第2アンモニアガス供給部
233 原料ガス供給部
234 キャリアガス供給部
235 希釈ガス供給部
236 第3アンモニアガス供給部
241 第1流量制御部
242 第2流量制御部
243 第3流量制御部
244 第4流量制御部
245 第5流量制御部
246 第6流量制御部
247 第7流量制御部
248 第8流量制御部
249 第9流量制御部
250 製造装置
251 第1アンモニアガス配管
252 第2アンモニアガス配管
253 原料ガス配管
254 キャリアガス配管
261 第1接続部
262 第2接続部
263 第3接続部
264 第4接続部
265 第5接続部
266 第6接続部
267 第7接続部
268 第8接続部
269 第9接続部
271 第1配管
272 第2配管
273 第3配管
274 第4配管
275 第5配管
276 第3アンモニアガス配管
278 排気弁
300 炭化珪素半導体装置
A 中心
T1 第1厚み
T2 第2厚み
W1 最大径
【要約】
炭化珪素エピタキシャル基板の製造装置は、チャンバと、主配管部と、第1アンモニアガス供給部と、第2アンモニアガス供給部と、キャリアガス供給部と、原料ガス供給部と、を有している。チャンバには、炭化珪素基板が配置される。主配管部は、チャンバに繋がる。第1アンモニアガス供給部は、主配管部に繋がる。第2アンモニアガス供給部は、主配管部に繋がる。キャリアガス供給部は、主配管部に繋がる。原料ガス供給部は、主配管部に繋がる。第1アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度は、第2アンモニアガス供給部におけるアンモニアガスの濃度よりも高い。
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