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特許7651192ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、及び有機発光素子の有機物層用組成物
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  • 特許-ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、及び有機発光素子の有機物層用組成物 図1
  • 特許-ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、及び有機発光素子の有機物層用組成物 図2
  • 特許-ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、及び有機発光素子の有機物層用組成物 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-17
(45)【発行日】2025-03-26
(54)【発明の名称】ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、及び有機発光素子の有機物層用組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/04 20060101AFI20250318BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20250318BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20250318BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20250318BHJP
   C07D 491/048 20060101ALI20250318BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20250318BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20250318BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20250318BHJP
【FI】
C07D405/04 CSP
C07D405/14
C07D409/14
C07D487/04 136
C07D491/048
C07D495/04 103
H05B33/14 B
H05B33/22 A
H05B33/22 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022534447
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 KR2020018555
(87)【国際公開番号】W WO2021132982
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0175166
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513298491
【氏名又は名称】エルティー・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LT Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】113-19, Dangha-Ro, Namsa-Myeon, Cheoin-Gu, Yongin-si, Gyeonggi-do 17118, korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ビョン,ジ-ユン
(72)【発明者】
【氏名】モ,ジュン-テ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-ジュン
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/231226(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/203550(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
H10K
H05B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式2-1~2-6及び3-1~3-6のいずれかで表されるヘテロ環化合物:
【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

前記式2-1~2-6及び3-1~3-6において、
及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であり、
Xは、O;S;またはNRaであり、
11 15 、CRbであり、CRbが2以上の場合、それぞれのRbは、互いに同一または異なり、
は、下記式A-1~A-5のいずれかで表され
記Raは、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基であり、
前記Rbは、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロ環を形成し、
m及びnは、それぞれ独立して、0~3の整数であり、m及びnがそれぞれ2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なり
【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

前記式A-1~A-5において、
13 及びL 14 は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であり、
Ar 13 及びAr 14 は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基であり、
20 ~R 26 は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基であり、
11 は、O;S;又はCRcRdであり、前記Rc及びRdは、同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
c及びdは、それぞれ0または1であり、
【化46】

は、前記式2-1~2-6及び3-1~3-6のいずれかのLと結合する位置を意味する。
【請求項2】
前記「置換もしくは非置換」とは、炭素数1~60の直鎖または分岐鎖のアルキル基;炭素数2~60の直鎖または分岐鎖のアルケニル基;炭素数2~60の直鎖または分岐鎖のアルキニル基;炭素数3~60の単環または多環のシクロアルキル基;炭素数2~60の単環または多環のヘテロシクロアルキル基;炭素数6~60の単環または多環のアリール基;炭素数2~60の単環または多環のヘテロアリール基;シリル基;ホスフィンオキシド基;及びアミン基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、または前記例示の置換基の中から選択される2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味するものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項3】
前記式2-1~2-6及び3-1~3-6は、下記化合物のいずれかで表される、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化67】







【請求項4】
第1の電極;第2の電極;及び前記第1の電極と前記第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、請求項1~のいずれか一項に記載のヘテロ環化合物を含む、有機発光素子。
【請求項5】
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、前記ヘテロ環化合物を含む、請求項に記載の有機発光素子。
【請求項6】
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、前記ヘテロ環化合物を発光材料のホスト材料として含む、請求項に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記発光層は、2つ以上のホスト材料を含み、前記ホスト材料のうちの少なくとも1つは、前記ヘテロ環化合物である、請求項に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子ブロッキング層、正孔補助層及び正孔ブロッキング層からなる群から選択される1層または2層以上をさらに含むものである、請求項に記載の有機発光素子。
【請求項9】
請求項1に記載の前記式2-1~2-6及び3-1~3-6のいずれかで表されるヘテロ環化合物及び下記ヘテロ環化合物1-1~1-14のいずれかを含む、有機発光素子の有機物層用組成物。
【化68】
【請求項10】
前記組成物中の前記式2-1~2-6及び3-1~3-6のいずれかで表されるヘテロ環化合物:前記ヘテロ環化合物1-1~1-14のいずれかの重量比は1:10~10:1である、請求項に記載の有機発光素子の有機物層用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月26日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2019-0175166号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【0002】
本明細書は、ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、及び有機発光素子の有機物層用組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
電界発光素子は、自発光型表示素子の一種であって、視野角が広く、コントラストに優れるだけでなく、応答速度が速いという長所がある。
【0004】
有機発光素子は、2つの電極間に有機薄膜を配置させた構造を有する。このような構造の有機発光素子に電圧が印加されると、2つの電極から注入された電子と正孔が有機薄膜で結合して対をなした後、消滅しながら光を発する。前記有機薄膜は、必要に応じて単層または多層から構成されることができる。
【0005】
有機薄膜の材料は、必要に応じて発光機能を有していてもよい。例えば、有機薄膜の材料としては、それ自体が単独で発光層を構成できる化合物が使用されてもよく、またはホスト-ドーパント系発光層のホストまたはドーパントの役割を果たす化合物が使用されてもよい。その他にも、有機薄膜の材料として、正孔注入、正孔輸送、電子ブロック、正孔ブロック、電子輸送、電子注入などの役割を果たす化合物が使用されてもよい。
【0006】
有機発光素子の性能、寿命または効率を向上させるために、有機薄膜の材料の開発が求められ続けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第4,356,429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書は、ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、及び有機発光素子の有機物層用組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願の一実施態様は、下記式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【0010】
【化1】

前記式1において、
及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であり、
Xは、O;S;またはNRaであり、
~Yは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、NまたはCRbであり、Y~Yのうちの少なくとも1つ以上はNであり、CRbが2以上の場合、それぞれのRbは互いに同一または異なり、
は、下記式Aで表され、
~Rは、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基であり、
前記Raは、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基であり、
前記Rbは、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロ環を形成し、
mおよびnは、それぞれ独立して、0~3の整数であり、mおよびnがそれぞれ2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なり、
pは、0または1であり、
【化2】

前記式Aにおいて、
11及びL12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であり、
Ar11及びAr12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または前記 Ar11及びAr12は、互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロ環を形成し、
a及びbは、それぞれ0または1であり、
【化3】

は、前記式1のLと結合する位置を意味する。
【0011】
また、本出願の一実施態様は、第1の電極;第2の電極;及び第1の電極と第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記式1で表されるヘテロ環化合物を含むものである、有機発光素子を提供する。
【0012】
最後に、本出願の一実施態様は、前記式1で表されるヘテロ環化合物および下記ヘテロ環化合物1-1~1-14のいずれかを含む有機発光素子の有機物層用組成物を提供する。
【0013】
【化4】
【発明の効果】
【0014】
本明細書に記載のヘテロ環化合物は、有機発光素子の有機物層材料として使用されてもよい。前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子において正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料などの役割を果たすことができる。
【0015】
具体的には、前記式1で表されるヘテロ環化合物を有機発光素子の有機物層に用いる場合、素子の駆動電圧を低くし、光効率を向上させ、素子の寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
図2】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
図3】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本出願について詳細に説明する。
【0018】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0019】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に置き換わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0020】
本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、炭素数1~60の直鎖または分岐鎖のアルキル基;炭素数2~60の直鎖または分岐鎖のアルケニル基;炭素数2~60の直鎖または分岐鎖のアルキニル基;炭素数3~60の単環または多環のシクロアルキル基;炭素数2~60の単環または多環のヘテロシクロアルキル基;炭素数6~60の単環または多環のアリール基;炭素数2~60の単環または多環のヘテロアリール基;シリル基;ホスフィンオキシド基;アミン基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、または前記例示の置換基から選択される2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味する。
【0021】
より具体的には、本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、炭素数6~60の単環または多環のアリール基;または炭素数2~60の単環または多環のヘテロアリール基;群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であることを意味することができる。
【0022】
本明細書において、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。
【0023】
本明細書において、前記アルキル基は、炭素数1~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキル基の炭素数は1~60、具体的には1~40、より具体的には1~20であってもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0024】
本明細書において、前記アルケニル基は、炭素数2~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルケニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。具体例としては、ビニル基、1-プロフェニル基、イソプロフェニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本明細書において、前記アルキニル基は、炭素数2~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。
【0026】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖または環状鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~20であることが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本明細書において、前記シクロアルキル基は、炭素数3~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えばヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は3~60、具体的には3~40、より具体的には5~20であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、前記ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子としてO、S、Se、NまたはSiを含み、炭素数2~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には3~20であってもよい。
【0029】
本明細書において、前記アリール基は、炭素数6~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、アリール基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、アリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記アリール基は、スピロ基を含む。前記アリール基の炭素数は6~60、具体的には6~40、より具体的には6~25であってもよい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、ベンゾフルオレニル基、スピロビフルオレニル基、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル基、これらの縮合環基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0030】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、-P(=O)R101R102で表され、R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;及びヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。前記ホスフィンオキシド基は、具体的にジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、シリル基はSiを含み、前記Si原子がラジカルとして直接結合している置換基であり、-SiR104R105R106で表され、R104~R106は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;及びヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されてもよく、隣接する置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0033】
本明細書において、前記スピロ基は、スピロ構造を含む基であって、炭素数15~60であってもよい。例えば、前記スピロ基は、フルオレニル基に2,3-ジヒドロ-1H-インデン基またはシクロヘキサン基がスピロ結合している構造を含むことができる。具体的には、下記のスピロ基は、下記構造式の基のいずれかを含むことができる。
【0034】
【化5】

本明細書において、前記ヘテロアリール基は、ヘテロ原子としてS、O、Se、NまたはSiを含み、炭素数2~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、前記多環とは、ヘテロアリール基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロアリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基などであってもよい。 前記ヘテロアリール基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には3~25であってもよい。前記ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フラニル基、チオフェン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ジチアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジアジニル基、オキサジニル基、チアジニル基、ジオキシニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イソキナゾリニル基、キノゾリリル基、ナフチリジル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾピリジニル基、ジアザナフタレニル基、トリアザインデン基、インドリル基、インドリジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、フェナジニル基、ジベンゾシロール基、スピロビ(ジベンゾシロール)、ジヒドロフェナジニル基、フェノキサジニル基、フェナントリジル基、イミダゾピリジニル基、チエニル基、インドロ[2,3-a]カルバゾリル基、インドロ[2,3-b]カルバゾリル基、インドリニル基、10,11-ジヒドロ-ジベンゾ[b,f]アゼピン基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、フェナントラジニル基、フェノチアチアジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル基、5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリニル、ピラゾロ[1,5-c]キナゾリニル基、ピリド[1,2-b]インダゾリル基、ピリド[1,2-a]イミダゾ[1,2-e]インドリニル基、5,11-ジヒドロインデノ[1,2-b]カルバゾリル基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0035】
本明細書において、前記アミン基は、モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;-NH;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;及びアリールヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であるものが好ましい。前記アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、ジビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、ビフェニルナフチルアミン基、フェニルビフェニルアミン基、ビフェニルフルオレニルアミン基、フェニルトリフェニレニルアミン基、ビフェニルトリフェニレニルアミン基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0036】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらはそれぞれ2価の基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。また、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらはそれぞれ2価の基であることを除けば、前述したヘテロアリール基の説明が適用可能である。
【0037】
本明細書において、「隣接する」基は、当該置換基が置換された原子と直接結合された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環においてオルト(ortho)位に置換された2つの置換基および脂肪族環において同一炭素に置換された2つの置換基は、互いに「隣接する」基として解釈されることができる。
【0038】
本明細書において、「化学式または化合物の構造において置換基が表示されていない場合」は、炭素原子に水素原子が結合されたことを意味する。ただし、重水素(H,Deuterium)は、水素の同位元素であるので、一部の水素原子は重水素であってもよい。
【0039】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物の構造において置換基が表示されていない場合」は、置換基として置換可能な位置全部が水素または重水素であることを意味することができる。すなわち、重水素の場合、水素の同位元素であって、一部の水素原子は同位元素である重水素であってもよく、この場合、重水素の含有量は0%~100%であってもよい。
【0040】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物の構造において置換基が表示されていない場合」において、重水素の含有量が0%、水素の含有量が100%、置換基はいずれも水素などと重水素を明確に排除しない場合には、水素と重水素は化合物において混在して使用されてもよい。
【0041】
本出願の一実施態様において、重水素は水素の同位元素(isotope)のうちの一つであって、陽子(proton)1個と中性子(neutron)1個からなる重陽子(deuteron)を原子核(nucleus)として有する元素であり、水素-2と表すことができ、元素記号はDまたは2Hとも書くことができる。
【0042】
本出願の一実施態様において、同位元素は原子番号(atomic number、Z)は同一であるが、質量数(mass number、A)が異なる原子を意味する同位元素は同数の陽子(proton)を有するが、中性子(neutron)の数が異なる元素としても解釈することができる。
【0043】
本出願の一実施態様において、特定の置換基の含有量T%の意味は、基本となる化合物が有し得る置換基の合計数をT1と定義し、そのうち、特定の置換基の個数をT2と定義する場合、T2/T1×100=T%と定義することができる。
【0044】
すなわち、一例において、
【化6】

で表されるフェニル基において、重水素の含有量20%というのは、フェニル基が有し得る置換基の合計数は5(式中T1)個であり、そのうちの重水素の個数が1(式中T2)である場合、20%で表示されることができる。すなわち、フェニル基において重水素の含有量20%であるというのは、下記構造式で表されることができる。
【0045】
【化7】

また、本出願の一実施態様において、「重水素の含有量が0%であるフェニル基」の場合、重水素原子を含まない、すなわち、水素原子5個を有するフェニル基を意味することができる。
【0046】
本出願の一実施態様において、下記式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【0047】
【化8】

前記式1において、
及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であり、
Xは、O;S;またはNRaであり、
~Yは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、NまたはCRbであり、Y~Yのうちの少なくとも1以上はNであり、CRbが2以上の場合、それぞれのRbは、互いに同一または異なり、
は、下記式Aで表され、
~Rは、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基であり、
前記Raは、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基であり、
前記Rbは、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロ環を形成し、
mおよびnは、それぞれ独立して、0~3の整数であり、mおよびnがそれぞれ2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なり、
pは、0または1であり、
【化9】

前記式Aにおいて、
11及びL12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であり、
Ar11及びAr12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または前記 Ar11及びAr12は、互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロ環を形成し、
a及びbは、それぞれ0または1であり、
【化10】

は、前記式1のLと結合する位置を意味する。
【0048】
前記式1で表される化合物は、1分子内に正孔輸送能力の良いドナー(donor)と電子輸送能力の良いアクセプタ(acceptor)を同時に有し、ナフトベンゾフランの11番位に置換基を固定させることにより、立体的配置(steric)を有し、ホモ(HOMO、Highest Occupied Molecular Orbital)とルモ(LUMO、HOMO、Lowest ighest Unoccupied Molecular Orbital)を空間的に分離して強い電荷移動(charge transfer)が可能であるため、有機発光素子内の有機物質として使用する場合、高い効率が期待される。
【0049】
本出願の一実施態様において、前記式1のL及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0050】
また他の実施態様において、L及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0051】
また他の実施態様において、前記L及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0052】
また他の実施態様において、前記L及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0053】
また他の実施態様において、前記L及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のフェニレン基;または置換もしくは非置換のビフェニレン基であってもよい。
【0054】
また他の実施態様において、前記L及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;フェニレン基;またはビフェニレン基であってもよい。
【0055】
本出願の一実施態様において、前記LおよびLは、互いに異なってもよい。
【0056】
本出願の一実施態様において、前記LおよびLは、互いに同一であってもよい。
【0057】
本出願の一実施態様において、前記Lは、直接結合であり、前記Lは、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0058】
本出願の一実施態様において、前記Lは、直接結合であり、前記Lは、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0059】
本出願の一実施態様において、前記Lは、直接結合であり、前記Lは、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0060】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合;置換もしくは非置換のフェニレン基;または置換もしくは非置換のビフェニレン基であってもよい。
【0061】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合;フェニレン基;またはビフェニレン基であってもよい。
【0062】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合である。
【0063】
また他の一実施態様において、前記Lは、フェニレン基である。
【0064】
また他の一実施態様において、前記Lは、ビフェニレン基である。
【0065】
本出願の一実施態様において、前記Lは、直接結合であり、前記Lは、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0066】
本出願の一実施態様において、前記Lは、直接結合であり、前記Lは、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0067】
本出願の一実施態様において、前記Lは、直接結合であり、前記Lは、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0068】
本出願の一実施態様において、前記Lは、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0069】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0070】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0071】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合;置換もしくは非置換のフェニレン基;または置換もしくは非置換のビフェニレン基であってもよい。
【0072】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合;フェニレン基;またはビフェニレン基;ナフチレン基であってもよい。
【0073】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合である。
【0074】
また他の一実施態様において、前記Lは、フェニレン基である。
【0075】
また他の一実施態様において、前記Lは、ビフェニレン基である。
【0076】
本出願の一実施態様において、前記式1におけるmおよびnは、それぞれ独立して、0~3の整数であり、mおよびnが2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0077】
本出願の一実施態様において、前記mは、3である。
【0078】
本出願の一実施態様において、前記mは、2である。
【0079】
本出願の一実施態様において、前記mは、1である。
【0080】
本出願の一実施態様において、前記mは、0である。
【0081】
本出願の一実施態様において、前記mが2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0082】
本出願の一実施態様において、前記nは、3である。
【0083】
本出願の一実施態様において、前記nは、2である。
【0084】
本出願の一実施態様において、前記nは、1である。
【0085】
本出願の一実施態様において、前記nは、0である。
【0086】
本出願の一実施態様において、前記nが2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0087】
本出願の一実施態様において、前記式1のXは、O;S;またはNRaであってもよい。
【0088】
本出願の一実施態様において、前記Xは、O;またはNRaである。
【0089】
本出願の一実施態様において、前記Xは、Oである。
【0090】
本出願の一実施態様において、前記Xは、NRaであってもよい。
【0091】
本出願の一実施態様において、前記式1のY~Yは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、NまたはCRbであり、Y~Yのうちの少なくとも1以上はNであり、CRbが2以上の場合、それぞれのRbは、互いに同一または異なっていてもよい。
【0092】
本出願の一実施態様において、前記Y~YのうちNは、1以上3以下であり、残りはCRbであり、CRbが2以上の場合、それぞれのRbは、互いに同一または異なってもよい。
【0093】
本出願の一実施態様において、前記Raは、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基であってもよい。
【0094】
本出願の一実施態様において、前記Raは、置換もしくは非置換の炭素数6~10のアリール基であってもよい。
【0095】
本出願の一実施態様において、前記Raは、置換もしくは非置換のフェニル基であってもよい。
【0096】
本出願の一実施態様において、前記Raは、フェニル基であってもよい。
【0097】
本出願の一実施態様において、前記Rbは、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロ環を形成することができる。
【0098】
本出願の一実施態様において、前記Rbは、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は互いに結合して置換または非置換の炭素数6~60の芳香族炭化水素環または置換または非置換の炭素数2~60のヘテロ環を形成することができる。
【0099】
本出願の一実施態様において、前記Rbは、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基からなる群から選択することができる。
【0100】
本出願の一実施態様において、前記Rbは、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基からなる群から選択することができる。
【0101】
本出願の一実施態様において、前記Rbは、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基からなる群から選択することができる。
【0102】
本出願の一実施態様において、前記Rbは、水素;または重水素であってもよい。
【0103】
本出願の一実施態様において、前記Rbは、水素である。
【0104】
本出願の一実施態様において、前記Rbは、重水素である。
【0105】
本出願の一実施態様において、前記Rbは、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基からなる群から選択することができる。
【0106】
本出願の一実施態様において、前記Rbは、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基からなる群から選択することができる。
【0107】
本出願の一実施態様において、前記Rbは、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基からなる群から選択することができる。
【0108】
本出願の一実施態様において、前記Rbは、水素;重水素;置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のフルオレニル基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;及び置換もしくは非置換のジベンゾフラン基からなる群から選択することができる。
【0109】
本出願の一実施態様において、前記Rbは、水素;重水素;フェニル基、またはナフチル基で置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;炭素数2~10のアルキル基で置換もしくは非置換のフルオレニル基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;及び置換もしくは非置換のジベンゾフラン基からなる群から選択することができる。
【0110】
本出願の一実施態様において、前記Rbは、水素;重水素;フェニル基、またはナフチル基で置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;メチル基で置換もしくは非置換のフルオレニル基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;及び置換もしくは非置換のジベンゾフラン基からなる群から選択することができる。
【0111】
本出願の一実施態様において、前記式1は、下記式1-1で表されることができる。
【0112】
【化11】

前記式1-1において、各置換基における定義は、式1と同じである。
【0113】
本出願の一実施態様において、前記式1は、下記式2または3で表されることができる。
【0114】
【化12】

【化13】

前記式2および3において、各置換基における定義は、式1と同じである。
【0115】
本出願の一実施態様において、前記式2は、下記式2-1~2-6のいずれかで表されることができる。
【0116】
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

前記式2-1~2-6において、
1、2、X、R1、m及びnの定義は、式1と同じであり、
11~Y15は、CRbであり、前記Rbの定義は、式1と同じである。
【0117】
本出願の一実施態様において、前記式3は、下記式3-1~3-6のいずれかで表されることができる。
【0118】
【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

前記式3-1~3-6において、
1、2、X、R1、m及びnの定義は、式1と同じであり、
11~Y15は、CRbであり、前記Rbの定義は、式1と同じである。
【0119】
本出願の一実施態様において、前記Rは、下記式Aで表されることができる。
【0120】
【化26】

前記式Aにおいて、
11及びL12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であり、
Ar11及びAr12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または前記 Ar11及びAr12は、互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロ環を形成し、
a及びbは、0または1であり、
【化27】

は、前記式1のLと結合する位置を意味する。
【0121】
本出願の一実施態様において、前記式Aは、下記式A-1~A-5のいずれかで表されることができる。
【0122】
【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

前記式A-1~A-5において、
13及びL14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であり、
Ar13及びAr14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基であり、
20~R26は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基であり、
11は、O;S;又はCRcRdであり、前記Rc及びRdは、同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
c及びdは、それぞれ0または1であり、
【化33】

は、前記式1のLと結合する位置を意味する。
【0123】
本出願の一実施態様において、前記式A-1のL13及びL14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0124】
本出願の一実施態様において、前記式A-1のL13及びL14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0125】
本出願の一実施態様において、前記L13及びL14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基であってもよい。
【0126】
本出願の一実施態様において、前記L13及びL14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のフェニレン基;置換もしくは非置換のビフェニレン基;または置換もしくは非置換のナフチレン基であってもよい。
【0127】
本出願の一実施態様において、前記L13及びL14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;フェニレン基;ビフェニレン基;またはナフチレン基であってもよい。
【0128】
本出願の一実施態様において、前記L13は、直接結合である。
【0129】
本出願の一実施態様において、前記L13は、フェニレン基である。
【0130】
本出願の一実施態様において、前記L13は、ビフェニレン基である。
【0131】
本出願の一実施態様において、前記L13は、ナフチレン基である。
【0132】
本出願の一実施態様において、前記L14は、直接結合である。
【0133】
本出願の一実施態様において、前記L14は、フェニレン基である。
【0134】
本出願の一実施態様において、前記L14は、ビフェニレン基である。
【0135】
本出願の一実施態様において、前記L14は、ナフチレン基である。
【0136】
本出願の一実施態様において、前記式A-1のAr13及びAr14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基であってもよい。
【0137】
本出願の一実施態様において、前記式A-1のAr13及びAr14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基であってもよい。
【0138】
本出願の一実施態様において、前記Ar13及びAr14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のフルオレニル基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;または置換もしくは非置換のジベンゾフラン基であってもよい。
【0139】
本出願の一実施態様において、前記Ar13及びAr14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;フェニル基及び炭素数1~10のアルキル基からなる群から選択される1以上で置換もしくは非置換のフルオレニル基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;または置換もしくは非置換のジベンゾフラン基であってもよい。
【0140】
本出願の一実施態様において、前記Ar13及びAr14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;フェニル基及びメチル基からなる群から選択される1以上で置換もしくは非置換のフルオレニル基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;または置換もしくは非置換のジベンゾフラン基であってもよい。
【0141】
本出願の一実施態様において、前記Ar13及びAr14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;フェニル基及びメチル基からなる群から選択される1以上で置換もしくは非置換のフルオレニル基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;または置換もしくは非置換のジベンゾフラン基であってもよい。
【0142】
本出願の一実施態様において、前記式A-1のc及びdは、それぞれ0または1であってもよい。
【0143】
本出願の一実施態様において、前記cは、0である。
【0144】
本出願の一実施態様において、前記cは、1である。
【0145】
本出願の一実施態様において、前記dは、0である。
【0146】
本出願の一実施態様において、前記dは、1である。
【0147】
本出願の一実施態様において、前記式A-1~A-5のR20~R26は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基であってもよい。
【0148】
本出願の一実施態様において、前記R20~R26は、それぞれ独立して、水素;重水素;または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0149】
本出願の一実施態様において、前記R20~R26は、それぞれ独立して、水素;重水素;または置換もしくは非置換のフェニル基であってもよい。
【0150】
本出願の一実施態様において、前記R20~R26は、それぞれ独立して、水素;またはフェニル基であってもよい。
【0151】
本出願の一実施態様において、前記R20は、水素;またはフェニル基であってもよい。
【0152】
本出願の一実施態様において、前記R20は、水素である。
【0153】
本出願の一実施態様において、前記R20は、フェニル基である。
【0154】
本出願の一実施態様において、前記R21は、水素である。
【0155】
本出願の一実施態様において、前記R22は、水素である。
【0156】
本出願の一実施態様において、前記R23は、水素である。
【0157】
本出願の一実施態様において、前記R24は、水素である。
【0158】
本出願の一実施態様において、前記R25は、水素である。
【0159】
本出願の一実施態様において、前記R26は、水素である。
【0160】
本出願の一実施態様において、前記式A-5のX11は、O;S;またはCRcRdであり、前記Rc及びRdは、同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であってもよい。
【0161】
本出願の一実施態様において、前記X11は、O;S;またはCRcRdであり、前記Rc及びRdは、いずれもメチル基であってもよい。
【0162】
本出願の一実施態様において、前記X11は、Oである。
【0163】
本出願の一実施態様において、前記X11は、Sである。
【0164】
本出願の一実施態様において、前記X11は、CRcRdであり、前記Rc及びRdは、いずれもメチル基である。
【0165】
前記式1において、前記Rが式A-1であるヘテロ環化合物を有機発光素子内の有機物質として用いる場合、前記有機発光素子の駆動電圧がさらに低くなり、有機発光素子がより高い効率を有することができる。これは、前記Rが式A-1であるヘテロ環化合物は、正孔移動度(hole mobility)がより速いからであると判断される。
【0166】
本出願の一実施態様において、前記式1は、下記の化合物のいずれかで表されるものであるヘテロ環化合物を提供する。
【0167】
【化34】







【0168】
また、前記式1の構造に多様な置換基を導入することにより、導入された置換基固有の特性を有する化合物を合成することができる。例えば、有機発光素子の製造時、用いられる正孔注入層物質、正孔輸送層物質、発光層物質、電子輸送層物質および電荷発生層材料に主に用いられる置換基を前記コア構造に導入することにより、各有機物層にて要求される条件を満たす材料を合成することができる。
【0169】
また、前記式1の構造に様々な置換基を導入することにより、エネルギーバンドギャップを微細に調整可能であり、一方で有機物間の界面での特性を向上させ、材料の用途を多様にすることができる。
【0170】
一方、前記ヘテロ環化合物は、ガラス転移温度(Tg)が高いので、熱的安定性に優れる。このような熱安定性の増加は、素子に駆動安定性を提供する重要な要因となる。
【0171】
本出願の一実施態様によるヘテロ環化合物は、多段階化学反応で製造することができる。一部の中間体化合物を先に製造し、その中間体化合物から式1の化合物を製造することができる。より具体的には、本出願の一実施態様によるヘテロ環化合物は、後述する製造例を基に製造することができる。
【0172】
本出願の他の実施態様は、前記式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子を提供する。前記「有機発光素子」は、「有機発光ダイオード」、「OLED(Organic Light Emitting Diodes)」、「OLED素子」、「有機電界発光素子」などの用語で表すことができる。
【0173】
本出願の一実施態様において、第1の電極;第2の電極;及び前記第1の電極と前記第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は前記式1で表されるヘテロ環化合物を含むものである、有機発光素子を提供する。
【0174】
本出願の一実施態様において、前記第1の電極は陽極であってもよく、前記第2の電極は陰極であってもよい。
【0175】
本出願のまた他の一実施態様において、前記第1の電極は陰極であってもよく、前記第2の電極は陽極であってもよい。
【0176】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は青色有機発光素子であってもよく、前記式1によるヘテロ環化合物は、前記青色有機発光素子の材料として使用することができる。
【0177】
本出願のまた他の一実施態様において、前記有機発光素子は緑色有機発光素子であってもよく、前記式1によるヘテロ環化合物は、前記緑色有機発光素子の材料として使用することができる。
【0178】
本出願のまた他の一実施態様において、前記有機発光素子は赤色有機発光素子であってもよく、前記式1によるヘテロ環化合物は前記赤色有機発光素子の材料として使用することができる。
【0179】
前記式1で表されるヘテロ環化合物についての具体的な内容は、前述したとおりである。
【0180】
本出願の有機発光素子は、上述のヘテロ環化合物を用いて1層以上の有機物層を形成することを除けば、通常の有機発光素子の製造方法及び材料によって製造することができる。
【0181】
前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子の製造時、真空蒸着法だけでなく、溶液塗布法により有機物層に形成することができる。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらのみに限定されるものではない。
【0182】
本発明の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなることもできるが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなることができる。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有することができる。しかし、有機発光素子の構造はこれらに限定されず、より少ない数の有機物層を含むことができる。
【0183】
本出願の有機発光素子において、前記有機物層は発光層を含み、前記発光層はヘテロ環化合物を含むことができる。前記ヘテロ環化合物を発光層に用いる場合、ホモ(HOMO、Highest Occupied Molecular Orbital)とルモ(LUMO、HOMO、Lowest ighest Unoccupied Molecular Orbital)を空間的に分離して強い電荷移動(charge transfer)が可能であるため、有機発光素子の駆動効率及び寿命に優れることができる。有機発光素子の駆動、効率、及び寿命に優れることができる。
【0184】
本発明の有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子ブロッキング層、正孔補助層及び正孔ブロッキング層からなる群から選択される1層又は2層以上をさらに含むことができる。
【0185】
図1~3において、本出願の一実施態様による有機発光素子の電極と有機物層との積層順序を例示した。しかし、これらの図面によって本出願の範囲が限定されることを意図したものではなく、当技術分野で知られている有機発光素子の構造が本出願にも適用可能である。
【0186】
図1によれば、基板100上に陽極200、有機物層300、及び陰極400が順次積層された有機発光素子が示されている。しかし、このような構造のみに限定されるものではなく、図2のように、基板上に陰極、有機物層及び陽極が順次積層された有機発光素子を具現することもできる。
【0187】
図3は、有機物層が多層である場合を例示したものである。図3による有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、正孔ブロッキング層304、電子輸送層305、及び電子注入層306を含む。しかし、このような積層構造によって本出願の範囲が限定されるものではなく、必要に応じて発光層を除いた残りの層を省略してもよく、必要な他の機能層をさらに追加してもよい。
【0188】
前記式1で表される化合物を含む有機物層は、必要に応じて他の材料をさらに含んでもよい。
【0189】
本出願の一実施態様による有機発光素子において、前記式1の化合物以外の材料を下記に例示するが、これらは例示のためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではなく、当技術分野で公知の材料に代替されてもよい。
【0190】
陽極材料としては、比較的仕事関数の低い材料を用いることができ、透明導電性酸化物、金属または導電性高分子などを使用することができる。前記陽極材料の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属またはこれらの合金;酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)等の金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロール及びポリアニリンなどの導電性高分子などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0191】
陰極材料としては、比較的仕事関数の低い材料を用いることができ、金属、金属酸化物または導電性高分子などを使用することができる。前記陰極材料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、鉛などの金属またはそれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alなどの多層構造材料などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0192】
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を用いることもできるが、例えば、米国特許第4,356,429号に開示された銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物または文献[Advanced Material,6,p.677(1994)]に記載されているスターバースト型アミン誘導体、例えば、トリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4’’-トリ[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、1,3,5-トリス[4-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m-MTDAPB)、可溶性導電性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Polyaniline/Camphor sulfonic acid)またはポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Polyaniline/Poly(4-styrene-sulfonate))等を用いることができる。
【0193】
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などを用いることができ、低分子または高分子材料を用いることもできる。
【0194】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体等を用いることができ、低分子材料だけでなく、高分子材料を用いることもできる。
【0195】
電子注入材料としては、例えば、LiFが当業界で代表的に使用されるが、本出願がこれに限定されるものではない。
【0196】
発光材料としては、赤色、緑色または青色発光材料を用いることができ、必要な場合、2以上の発光材料を混合して使用することができる。このとき、2以上の発光材料を個別の供給源として蒸着して使用するか、または予備混合して1つの供給源として蒸着して使用することもできる。また、発光材料として蛍光材料を用いることもできるが、燐光材料として用いることもできる。発光材料としては、単独として陽極と陰極からそれぞれ注入された正孔と電子を結合して発光させる材料が使用されてもよいが、ホスト材料とドーパント材料が共に発光に関与する材料が使用されてもよい。
【0197】
発光材料のホストを混合して使用する場合には、同一系列のホストを混合して使用してもよく、異なる系列のホストを混合して使用してもよい。例えば、n型ホスト材料またはp型ホスト材料のいずれか2種以上を選択して発光層のホスト材料として用いることができる。
【0198】
本出願の有機発光素子において、前記有機物層は発光層を含み、前記発光層はヘテロ環化合物を発光材料のホスト材料として含むことができる。
【0199】
本出願の有機発光素子において、前記発光層は2つ以上のホスト材料を含むことができ、前記ホスト材料のうちの少なくとも1つは前記ヘテロ環化合物を発光材料のホスト材料として含むことができる。
【0200】
本出願の有機発光素子において、前記発光層は、2つ以上のホスト材料を予混合(pre-mixed)して使用することができ、前記2つ以上のホスト材料のうちの少なくとも1つは、前記ヘテロ環化合物を発光材料のホスト材料と含んでもよい。
【0201】
前記予備混合(pre-mixed)は、前記発光層は、2つ以上のホスト材料を有機物層に蒸着する前に、材料を混合して予め1つの供源に入れて混合することを意味する。
【0202】
本出願の有機発光素子において、前記発光層は2つ以上のホスト材料を含むことができ、前記2つ以上のホスト材料はそれぞれ1つ以上のp型ホスト材料及びn型ホスト材料を含み、前記ホスト材料のうちの少なくとも1つは、前記ヘテロ環発光材料のホスト材料として含むことができる。この場合、有機発光素子の駆動、効率、及び寿命に優れることができる。
【0203】
本出願の有機発光素子において、前記発光層は、前記ヘテロ環化合物及び下記ヘテロ環化合物1-1~1-14のいずれかを含むことができる。
【0204】
【化35】

本出願の一実施態様において、前記式1で表されるヘテロ環化合物及びヘテロ環化合物1-1~1-14のいずれかをホスト材料として用いることができる。
【0205】
本出願の一実施態様において、前記式1で表されるヘテロ環化合物及び下記ヘテロ環化合物1-1~1-14のいずれかを含む有機発光素子の有機物層用組成物を提供する。
【0206】
【化36】

前記組成物中の前記式1で表されるヘテロ環化合物:前記ヘテロ環化合物1-1~1-14のいずれかの重量比は、1:10~10:1であってもよく、1:8~8:1であってもよく、1:5~5:1であってもよく、1:2~2:1であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0207】
本出願の一実施態様による有機発光素子は、使用される材料によって前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0208】
本出願の一実施態様によるヘテロ環化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどをはじめとする有機電子素子においても有機発光素子に適用されるものと同様の原理で作用することができる。
【実施例
【0209】
以下、実施態様を通じて本明細書をより詳細に説明するが、これらは本出願を例示するためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するものではない。
【0210】
<製造例>
<製造例1>化合物1の製造
【化37】
【0211】
1)化合物C-2の製造
1-ブロモナフタレン-2-オール(1-bromonaphthalen-2-ol)100g(448.29mmol)、(2-クロロ-6-フルオロフェニル)ボロン酸((2-chloro-6-fluorophenyl)boronic acid)85.98g(493.12mmol)、Pd(PPh)25.9g(22.41mmoL)、NaCO95.03g(896.58mmol)をToluene/Ethanol/HO 1L/200mL/200mLに溶かした後、4時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とジクロロメタン(DCM、Dichloromethane)を入れて抽出し、有機層をMgSOで乾燥した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物をカラムクロマトグラフィー(DCM:HeX=1:1)で精製して目的化合物C-1を48.9g(40%)得た。
【0212】
2)化合物C-1の製造
化合物C-2 49g(179.68mmol)、CsCO146.36g(449.21mol)をDMA(dimetylacetamide)400mLに溶解した後、2時間還流した。反応が完了した後、室温で塩をフィルターで濾過し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物をDCM/MeOH精製して目的化合物C-1を27.24g(60%)得た。
【0213】
3)化合物Cの製造
化合物C-1 27g(106.84mmol)をクロロホルム(CHCL)300mLに室温で溶かした後、Brを滴下して反応させた。反応が完了した後、メタノールで再結晶して目的化合物Cを26.93g(76%)得た。
【0214】
【化38】
【0215】
4)化合物1-2の製造
化合物1-3(化合物C)10.0g(30.15mmol)、ジフェニルアミン(diphenylamine)5.1g(30.15mmol)、Pd(dba)1.38g(1.51mmol)、P(t-Bu)1.22g(3.02mmol)、NaOtBu5.67g(60.32mmol)をToluene 100mLに溶解した後、2時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層をMgSOで乾燥した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物をカラムクロマトグラフィー(DCM:HeX=1:3)で精製して目的化合物1-2を7.59g(60%)得た。
【0216】
5)化合物1-1の製造
化合物1-2 7.59g(18.08mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-Octamethyl-2,2’-bi-(1,3,2-dioxaborolane)5.97g(23.5mmol)、Pd(dba)0.83g(0.903mmol)、Xphos 0.86g(1.81mmol)、KOAc 3.55g(36.15mmol)を1,4-dioxane 80mLに溶解した後、12時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSOで乾燥した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物をカラムクロマトグラフィー(DCM:HeX=1:2)で精製して、目的化合物1-1を4.81g(52%)得た。
【0217】
6)化合物1の製造
化合物1-1 4.81g(9.41mmol)、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)2.52g(9.41mmol)、Pd(pph0.54g(0.47mmol)、KCO2.6g(18.81mmol)を1,4-Dioxane/HO 50mL/10mLに溶かした後、3時間還流した。反応が完了した後、得られた固体を濾過し、蒸留水で洗浄して乾燥させた。乾燥した固体をDCBに沸騰させて溶かし、シリカ精製した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。アセトンで再結晶して目的化合物1を3.25g(56%)を得た。
【0218】
前記製造例1において、ジフェニルアミン(diphenylamine)の代わりに下記表1の中間体A-1を用い、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)の代わりに下記表1の中間体B-1を用いたことを除けば、前記製造例1の製造と同様の方法で製造して目的化合物を合成した。
【0219】
【表1】







【0220】
<製造例2>化合物13の製造
【化39】
【0221】
1)化合物13-3の製造
化合物C 10.0g(30.15mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)9.2g(36.2mmol)、Pd(dppf)Cl1.1g(1.51mmol)、KOAc 5.68g(60.32mmol)を1,4-dioxane 100mLに溶解した後、2時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層をMgSOで乾燥した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物をカラムクロマトグラフィー(DCM:HeX=1:2)で精製して、目的化合物13-3を6.97g(61%)得た。
【0222】
2)化合物13-2の製造
化合物13-3 6.97g(18.41mmol)、4-ブロモ-N,N-ジフェニルアミン(4-bromo-N,N-diphenylaniline)5.97g(18.41mmol)、Pd(pph1.06g(9.2mmol)、KCO5.09g(36.81mmol)を1,4-Dioxane/HO 80mL/12mLに溶解した後、3時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層をMgSOで乾燥した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物をカラムクロマトグラフィー(DCM:HeX=1:3)で精製して、目的化合物13-2を4.75g(52%)得た。
【0223】
3)化合物13-1の製造
化合物13-2 4.75g(9.58mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-Octamethyl-2,2’-bi-(1,3,2-dioxaborolane)3.16g(12.45mmol)、Pd(dba)0.44g(0.48mmol)、Xphos 0.46g(0.96mmol)、KOAc 1.88g(19.15mmol)を1,4-dioxane 50mLに溶解した後、12時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層をMgSOで乾燥した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物をカラムクロマトグラフィー(DCM:HeX=1:2)で精製して、目的化合物13-1を4.28g(76%)得た。
【0224】
4)化合物13の製造
化合物13-1 4.28g(7.28mmol)、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)1.95g(7.28mmol)、Pd(pph0.42g(0.36mmol)、KCO2.01g(14.57mmol)を1,4-Dioxane/HO 50mL/10mLに溶かした後、3時間還流した。反応が完了した後、得られた固体を濾過し、蒸留水で洗浄して乾燥させた。乾燥した固体をDCBに沸騰させて溶かし、シリカ精製した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。アセトンで再結晶して目的化合物13を2.93g(58%)得た。
【0225】
前記製造例2において、4-ブロモ-N,N-ジフェニルアミン( 4-bromo-N,N-diphenylaniline)の代わりに下記表2の中間体A-2を用い、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)の代わりに下記表2の中間体B-2を用いたことを除けば、前記製造例2の製造と同様の方法で製造して目的化合物を合成した。
【0226】
【表2】





【0227】
<製造例3>化合物145の製造
【化40】
【0228】
1)化合物145-3の製造
化合物C-1 10g(39.57mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-Octamethyl-2,2’-bi-(1,3,2-dioxaborolane)12.06g(47.49mmol)、Pd(dba)1.81g(1.98mmol)、Xphos 1.89g(3.96mmol)、KOAc 7.77g(79.15mmol)を1,4-dioxane 100mLに溶かした後、12時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層をMgSOで乾燥した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物をカラムクロマトグラフィー(DCM:HeX=1:2))で精製して、目的化合物145-3を8.58g(63%)得た。
【0229】
2)化合物145-2の製造
化合物145-3 8.58g(24.93mmol)、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)7.34g(27.42mmol)、Pd(pph1.44g(1.25mmol)、KCO6.89g(49.85mmol)を1,4-Dioxane/HO 100mL/20mLに溶かした後、3時間還流した。反応が完了した後、得られた固体を濾過し、蒸留水で洗浄して乾燥させた。乾燥した固体をDCBに沸騰させて溶かしてシリカ精製した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。アセトンで再結晶して目的化合物145-2を9.19g(82%)得た。
【0230】
3)化合物145-1の製造
化合物145-2 9.19g(20.44mmol)を窒素置換下でTHF120mlに溶かした後、-78℃まで温度を下げた。2.5Mのn-BuLi8.59ml(21.47mmol)を滴下した後、室温まで温度を上げて1時間反応した。再び-78℃まで温度を下げた後、B(OMe)2.74mL(24.53mmol、d:0.932g/ml)を滴下した後、室温まで温度を上げて1時間反応した。反応が完結した後、MeOHで反応を終結させ、シリカ精製した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。EAとHexで再結晶して目的化合物145-1を5.24g(52%)得た。
【0231】
4)化合物145の製造
化合物145-1 5.24g(10.62mmol)、4-ブロモ-N ,N-ジフェニルアミン(4-bromo-N,N-diphenylaniline)3.79g(11.68mmol)、Pd(pph0.61g(0.53mmol)、KCO2.94g(21.24mmol)を1,4-Dioxane/HO 50mL/10mLに溶解した後、3時間還流した。反応が完了した後、得られた固体を濾過し、蒸留水で洗浄して乾燥させた。乾燥した固体をDCBに沸騰させて溶かしてシリカ精製した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。アセトンで再結晶して目的化合物145を2.58g(35%)得た。
【0232】
前記製造例3において、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)の代わりに下記表3の中間体A-3を用いて、4-ブロモ-N,N-ジフェニルアミン(4-bromo-N,N-diphenylaniline)の代わりに下記表3の中間体B-3を用いたことを除けば、前記製造例3の製造と同様の方法で調製して目的化合物を合成した。
【0233】
【表3】



【0234】
前記製造例と同様の方法で本明細書に記載の化合物を製造し、その製造された化合物の合成確認結果を下記表4及び表5に示す。下記表4は、 NMR(CDCL3、200Mz)の測定値であり、下記表5は、FD-質量分析計(FD-MS:Field desorption mass spectrometry)の測定値である。
【0235】
【表4】






【0236】
【表5】









【0237】
[実験例]
<実験例1>
1) 有機発光素子の作製(赤色host)
1,500Åの厚さでインジウムチンオキシド(ITO)で薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波で洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄をして乾燥した後、UV洗浄機でUVを用いて5分間UVO処理した。その後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に搬送した後、真空状態でITO仕事関数及び残膜除去のためにプラズマ処理を行い、有機蒸着用熱蒸着装置に搬送した。
【0238】
前記ITO透明電極(陽極)上に共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’,4’’-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)及び正孔輸送層NPB(N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)を形成した。
【0239】
その上に発光層を次のように熱真空蒸着した。発光層は、ホストとして下記化合物A、赤色燐光ドーパント(piq)(Ir)(acac)を用いてホストに(piq)(Ir)(acac)を3wt%ドープして500Å蒸着した。その後、正孔ブロッキング層としてBCPを60Å蒸着し、その上に電子輸送層としてAlqを200Å蒸着した。
【0240】
最後に、電子輸送層上にリチウムフッ化物(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機発光素子(比較例1)を作製した。
【0241】
一方、OLED素子作製に必要な全ての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-~10-torr下で真空昇華精製してOLED作製に使用した。
【0242】
前記実験例1の有機発光素子の製造過程で発光層のホストとして用いられた化合物Aの代わりに下記表6に示す化合物を用いることを除けば、同様の方法で比較例2~4及び実施例1~65の有機発光素子を追加で作製した。
【0243】
具体的に、実施例1~65及び比較例1~4で発光層のホストとして用いた化合物は、下記表6のとおりである。
【0244】
このとき、下記表6において比較例1~4の化合物A~Dは、下記のとおりである。
【0245】
【化41】
【0246】
2)有機発光素子の駆動電圧及び発光効率
前記のように作製された実施例1~65及び比較例1~4の有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社で製造された寿命測定装置(M6000)を通じて基準輝度が6,000cd/mのとき、T90を測定した。
【0247】
測定された本発明の有機発光素子の特性は、下記表6のとおりである。
【0248】
【表6】


【0249】
前記実験例1から前記式1のヘテロ環化合物を有機発光素子の有機物層、特に発光層のホストとして用いる場合、駆動電圧、効率を改善させることができることが確認できた。具体的には、比較例1~4に比べて前記式1のヘテロ環化合物を用いた実施例1~65の場合、中心構造にベンゼン環が増えるにつれて共鳴(resonance)効果が増加し、レッドホスト(red host)として適していることが確認できた。また、1分子内に正孔輸送能力の良いドナー(donor)と電子輸送能力の良いアクセプタ(acceptor)を同時に有し、ナフトベンゾフランの11位に置換基を固定させることにより、立体的配置(steric)を有し、ホモ(HOMO、Highest Occupied Molecular Orbital)とルモ(LUMO、HOMO、Lowest ighest Unoccupied Molecular Orbital)を空間的に分離して強い電荷移動(charge transfer)が可能であるため、有機発光素子内の有機物質として使用する場合、高い効率を期待することが確認できた。
【0250】
また、実施例1~実施例57の場合と実施例58~実施例65とを比較すると、前記式1において、Rに該当するHole unitがアミン基である場合がカルバゾール基である場合よりも駆動電圧が相対的に低いことが確認できた。その理由は、Rに該当するHole unitがアミン基である場合が、正孔移動度(hole mobility)がカルバゾール基の場合よりも相対的に速いため、低電圧で発光できるからであると判断される。
【0251】
<実験例2>
1)有機発光素子の作製(赤色host)
1,500Åの厚さでインジウムチンオキシド(ITO)で薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波で洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄をして乾燥した後、UV洗浄機でUVを用いて5分間UVO処理した。その後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に搬送した後、真空状態でITO仕事関数及び残膜除去のためにプラズマ処理を行い、有機蒸着用熱蒸着装置に搬送した。
【0252】
前記ITO透明電極(陽極)上に共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’,4’’-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)及び正孔輸送層NPB(N,N’-Dinaphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)を形成した。
【0253】
その上に発光層を次のように熱真空蒸着した。発光層は、第1ホストとして本発明のヘテロ環化合物5及び第2ホストとして化合物1-1を一つの供給源として蒸着する方式で用い、赤色燐光ドーパント(piq)(Ir)(acac)を用いて、ホストに(piq)(Ir)(acac)を3wt%ドープして500Å蒸着した。その後、正孔ブロッキング層でBCPを60Å蒸着し、その上に電子輸送層としてAlqを200Å蒸着した。
【0254】
最後に、電子輸送層上にリチウムフッ化物(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより有機発光素子(実施例66)を作製した。
【0255】
一方、OLED素子作製に必要な全ての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-~10-torr下で真空昇華精製してOLED作製に使用した。
【0256】
前記実験例2の有機発光素子の製造過程で発光層の第2ホストとして用いられた化合物1-1の代わりに下記表7に示す化合物を用いることを除けば、同様の方法で実施例66~113の有機発光素子を追加で作製した。
【0257】
具体的に、実施例66~113において発光層の第1ホスト及び第2ホストとして用いた化合物は、下記表7のとおりである。
【0258】
2)有機発光素子の駆動電圧及び発光効率
前記のように作製された実施例66~113の有機発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社で製造された寿命装備測定装置(M6000)を通じて基準輝度が6,000cd/mのとき、T95を測定した。
【0259】
測定された本発明の有機発光素子の特性は、下記表7のとおりである。
【0260】
このとき、下記表7において化合物1-1~1-14は、下記のとおりである。下記化合物1-1~1-14は、正孔輸送能力に優れたp-Host(p型ホスト)化合物である。
【0261】
【化42】
【0262】
【表7】

【0263】
前記実験例2から本発明のヘテロ環化合物を、有機発光素子の有機物層、特に発光層の第1ホストとして用い、正孔輸送能力に優れた特定化合物を第2ホストとして用いる場合、駆動電圧、効率を改善させることができることを確認できた。具体的には、正孔輸送能力を有する前記化合物1-1~1-14を本発明のヘテロ環化合物と併用する場合、本発明のヘテロ環化合物から発生する電子が蓄積して生じる性能低下(degradation)現象を減らし、寿命の問題を改善できることを確認できた。
【0264】
<実験例3>
1)有機発光素子の作製(赤色host)
1,500Åの厚さでインジウムチンオキシド(ITO)で薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波で洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄をして乾燥した後、UV洗浄機でUVを用いて5分間UVO処理した。その後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に搬送した後、真空状態でITO仕事関数及び残膜除去のためにプラズマ処理を行い、有機蒸着用熱蒸着装置に搬送した。
【0265】
前記ITO透明電極(陽極)上に共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’,4’’-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)及び正孔輸送層NPB(N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)を形成した。
【0266】
その上に発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層は、第1ホストとして本発明のヘテロ環化合物14及び第2ホストとして化合物2-1を1つの供給源として蒸着する方式で用い、赤色燐光ドーパント(piq)(Ir)(acac)を用いて、ホストに(piq)(Ir)(acac)を3wt%ドープして500Å蒸着した。その後、正孔ブロッキング層でBCPを60Å蒸着し、その上に電子輸送層としてAlqを200Å蒸着した。
【0267】
最後に、電子輸送層上にリチウムフッ化物(lithium fluoride:LiF)を10Å厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機発光素子(実施例114)を作製した。
【0268】
一方、OLED素子作製に必要な全ての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-~10-torr下で真空昇華精製してOLED作製に使用した。
【0269】
前記実験例3の有機発光素子の製造過程において、発光層の第1ホストとして用いられた化合物14及び化合物2-1の代わりに下記表8に示す化合物を用いることを除けば、同様の方法で実施例114~153の有機発光素子を追加で作製した。
【0270】
具体的に、実施例114~153において発光層の第1ホスト及び第2ホストとして用いた化合物は、下記表8のとおりである。
【0271】
2)有機発光素子の駆動電圧及び発光効率
前記のように作製された実施例114~153の有機発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社で製造された寿命装備測定装置(M6000)をを通じて基準輝度が6,000cd/mのとき、T95を測定した。
【0272】
測定された本発明の有機発光素子の特性は、下記表8のとおりである。
【0273】
このとき、下記表8において化合物2-1~2-4は、下記のとおりである。下記化合物2-1~2-4は、電子輸送能力に優れたn-Host(n型ホスト)化合物である。
【0274】
【化43】
【0275】
【表8】

【0276】
前記実験例3から本発明のヘテロ環化合物を有機発光素子の有機物層、特に発光層の第1ホストとして用いて、電子輸送能力に優れた特定化合物を第2ホストとして用いる場合、素子の寿命を改善させることできることが確認できた。具体的には、電子輸送能力を有している前記化合物2-1~2-4を本発明のヘテロ環化合物と併用する場合、発光層内のチャージバランス(charge balance)が極大化されて、発光特性を向上させたことが確認できた。
【符号の説明】
【0277】
100 ・・・基板
200 ・・・陽極
300 ・・・有機物層
301 ・・・正孔注入層
302 ・・・正孔輸送層
303 ・・・発光層
304 ・・・正孔ブロッキング層
305 ・・・電子輸送層
306 ・・・電子注入層
400 ・・・陰極
図1
図2
図3