(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-17
(45)【発行日】2025-03-26
(54)【発明の名称】超音波診断システム、超音波診断装置、超音波診断方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20250318BHJP
A61B 8/14 20060101ALI20250318BHJP
【FI】
G16H50/20
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2024574785
(86)(22)【出願日】2024-09-18
(86)【国際出願番号】 JP2024033272
【審査請求日】2024-12-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524466609
【氏名又は名称】株式会社サウスウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 昌敏
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-067371(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0077003(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第117316411(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 8/00- 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項13】
被検体に対して超音波を送信するとともに、前記被検体からの反射波に基づいてプローブ信号を生成する超音波プローブと接続された超音波診断装置に、
前記超音波プローブから受信したプローブ信号に基づいて、超音波画像を生成させ、
前記被検体の診断処理に使用される複数の学習済みモデルを記憶させ、
前記超音波画像に基づき、前記複数の学習済みモデルのいずれかを用いて前記診断処理を行わせ、
前記超音波画像を他の超音波診断装置に送信させ、
前記診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、前記超音波診断装置および前記他の超音波診断装置のいずれで前記診断処理を実行するのかを判定させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断システム、超音波診断装置、超音波診断方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、AI(Artificial Intelligence)を用いて患者の診断を自動化するシステムが
知られている。例えば、特許文献1には、AIの学習済みモデルに対して、診断対象者の医学的な検査データを入力することで、診断対象者の疾病または症状を推定する医用情報処理システムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の医用情報処理システムは、複数の診断処理を複数の診断装置で並行して実行する場合に、複数の診断処理の振り分けを適切に行うことができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、複数の診断処理の振り分けを適切に行うことができる超音波診断システム、超音波診断装置、超音波診断方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、被検体に対して超音波を送信するとともに、前記被検体からの反射波に基づいてプローブ信号を生成する超音波プローブと、前記超音波プローブと接続された第1超音波診断装置と、ネットワークを介して前記第1超音波診断装置と通信可能な第2超音波診断装置と、を備える超音波診断システムであって、前記第1超音波診断装置は、前記超音波プローブから受信したプローブ信号に基づいて、超音波画像を生成する超音波画像生成部と、前記被検体の診断処理に使用される複数の学習済みモデルを記憶する第1記憶部と、前記超音波画像に基づき、前記複数の学習済みモデルのいずれかを用いて前記診断処理を実行する第1診断処理部と、前記超音波画像を前記第2超音波診断装置に送信する第1通信部と、を備え、前記第2超音波診断装置は、前記第1超音波診断装置から前記超音波画像を受信する第2通信部と、前記被検体の診断処理に使用される複数の学習済みモデルを記憶する第2記憶部と、前記超音波画像に基づき、前記複数の学習済みモデルのいずれかを用いて前記診断処理を実行する第2診断処理部と、を備え、前記第1超音波診断装置は、前記診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、前記第1超音波診断装置および前記第2超音波診断装置のいずれで前記診断処理を実行するのかを判定する判定部を更に備える、超音波診断システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、複数の診断処理の振り分けを適切に行うことができる超音波診断システム、超音波診断装置、超音波診断方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】超音波診断システム10の一例を示す図である。
【
図2】第1超音波診断装置100の構成を示すブロック図である。
【
図3】第2超音波診断装置200の構成を示すブロック図である。
【
図4】第1超音波診断装置100による診断処理の流れの一例を示す図である。
【
図5】第2超音波診断装置200による診断処理の流れの一例を示す図である。
【
図6】判定テーブル192の第1例を示す図である。
【
図7】判定部140によって実行される第1判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】判定テーブル192の第2例を示す図である。
【
図9】判定部140によって実行される第2判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】判定テーブル192の第3例を示す図である。
【
図11】判定部140によって実行される第3判定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の超音波診断システム、超音波診断装置、超音波診断方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0010】
[超音波診断システム]
図1は、超音波診断システム10の一例を示す図である。超音波診断システム10は、超音波プローブ50と、第1超音波診断装置100と、第2超音波診断装置200とを備える。超音波プローブ50は、第1超音波診断装置100と有線または無線で通信可能に接続されている。第1超音波診断装置100は、ネットワークNWを介して第2超音波診断装置200と通信可能に接続されている。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。
【0011】
超音波プローブ50は、超音波(エコー)検査に使用される装置である。超音波プローブ50は、例えば、複数の超音波振動子が所定の方向に沿って配列された一次元アレイリニアプローブである。超音波プローブ50は、第1超音波診断装置100からの制御に従い、被検体である生体P内のスキャン領域について超音波スキャンを実行する。超音波スキャンにおいて、超音波プローブ50は、生体Pに対して超音波を送信するとともに、被検体からの反射波に基づいてプローブ信号を生成する。超音波プローブ50は、生成したプローブ信号を第1超音波診断装置100に送信する。
【0012】
第1超音波診断装置100は、例えば、スマートフォンやタブレット端末などの可搬型のコンピュータであるが、ノート型のコンピュータまたはデスクトップ型のコンピュータであってもよい。第1超音波診断装置100は、ネットワークの末端(エッジ)に設けられたコンピュータである。第1超音波診断装置100は、例えば、病院内の医師によって使用される。第1超音波診断装置100は、超音波プローブ50から受信したプローブ信号に基づいて超音波画像(エコー画像)を生成する。超音波画像は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。また、第1超音波診断装置100は、超音波画像に基づいて、AI(Artificial Intelligence)を用いた診断処理を行う。診断処理は、生体Pの状
態や疾患の有無を診断するための処理である。
【0013】
第2超音波診断装置200は、第1超音波診断装置100よりも高スペックのサーバコンピュータである。第2超音波診断装置200は、第1超音波診断装置100からの要求に応じてAIを用いた診断処理を行う。
図1に示される例では、説明を簡略化するために第2超音波診断装置200に対して一つの第1超音波診断装置100が接続されている例が示されているが、第2超音波診断装置200に対して複数の第1超音波診断装置100が接続されていてもよい。
【0014】
[第1超音波診断装置]
図2は、第1超音波診断装置100の構成を示すブロック図である。第1超音波診断装置100は、例えば、第1通信部110と、超音波画像生成部120と、第1診断処理部130と、判定部140と、決定部150と、ダウンロード部160と、入力部170と、表示部180と、第1記憶部190とを備える。
【0015】
第1通信部110は、ネットワークNWを介して第2超音波診断装置200と通信するための通信モジュールを備える。また、第1通信部110は、有線で超音波プローブ50と通信するための通信インターフェースについても備えている。なお、第1通信部110は、超音波プローブ50と無線で通信するための通信モジュールを備えていてもよい。
【0016】
超音波画像生成部120、第1診断処理部130、判定部140、決定部150、およびダウンロード部160は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハード
ウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC
(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒
体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0017】
入力部170および表示部180は、例えばタッチパネルディスプレイにより実現される。なお、入力部170および表示部180の構成はこれに限らない。例えば、入力部170はキーボードおよびマウスを備えていてもよく、表示部180はCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置であってもよい。
【0018】
第1記憶部190は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。第1記憶部190は、第1超音波診断装置100がネットワークNWを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。第1記憶部190には、判定テーブル192や、第1学習済みモデル194-1~第N学習済みモデル194-Nなどの情報が格納される。Nは、2以上の自然数である。第1学習済みモデル194-1~第N学習済みモデル194-Nの各々は、予め教師データを機械学習することによって生成されたモデルであり、診断処理が実行される際に使用される情報である。
【0019】
[第2超音波診断装置]
図3は、第2超音波診断装置200の構成を示すブロック図である。第2超音波診断装置200は、例えば、第2通信部210と、第2診断処理部230と、第2記憶部290とを備える。
【0020】
第2通信部210は、ネットワークNWを介して第1超音波診断装置100と通信するための通信インターフェースである。第2通信部210は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0021】
第2診断処理部230は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0022】
第2記憶部290は、HDDやフラッシュメモリ、RAMなどである。第2記憶部290は、第2超音波診断装置200がネットワークNWを介してアクセス可能なNAS装置であってもよい。第2記憶部290には、第1学習済みモデル294-1~第N学習済みモデル294-Nなどの情報が格納される。第2記憶部290に記憶される第1学習済みモデル294-1~第N学習済みモデル294-Nは、第1記憶部190に記憶される第1学習済みモデル194-1~第N学習済みモデル194-Nと同様のモデルである。
【0023】
第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200は、それぞれ超音波画像(エコー画像)に基づいて診断処理を行う機能を有している。診断処理によって得られる診断結果には、脈拍数や血流量のような秘匿性の低い情報もあれば、癌の判定結果などの秘匿性の高い情報もある。特に、人の生死に関するような情報は、患者にとって他人に知られたくない秘匿性の高い情報である。第2超音波診断装置200はサーバ側のコンピュータであるため、エッジ側のコンピュータである第1超音波診断装置100よりも処理速度が速い。しかしながら、第2超音波診断装置200で診断処理を行う場合、インターネットを含むネットワークNW経由で情報をやり取りする必要があるため、情報が漏洩してしまう可能性がある。このため、診断結果に秘匿性の高い情報が含まれる場合には、第2超音波診断装置200側で診断処理を行うことは好ましくない。そこで、本実施形態の超音波診断システムは、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれで診断処理を行うのかを、適切に判定することとしている。以下、第1超音波診断装置による診断処理および第2超音波診断装置による診断処理について説明した後、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれで診断処理を行うのかを判定するための判定処理について説明する。
【0024】
[第1超音波診断装置による診断処理]
図4は、第1超音波診断装置100による診断処理の流れの一例を示す図である。
図4に示される例は、判定部140が第1超音波診断装置100で診断処理を実行すると判定する場合の処理の流れを示している。
【0025】
まず、超音波プローブ50は、被検体である生体Pに対して超音波を送信するとともに、生体Pからの反射波に基づいてプローブ信号を生成する。その後、超音波プローブ50は、プローブ信号を第1超音波診断装置100に送信する。
【0026】
第1超音波診断装置100の超音波画像生成部120は、超音波プローブ50から受信したプローブ信号に基づいて、超音波画像(エコー画像)を生成する。例えば、超音波画像生成部120は、超音波プローブ50による超音波の走査形態に応じた座標変換を実行することで、ピクセルから構成される2次元の超音波画像を生成する。超音波画像生成部120は、生成した超音波画像を判定部140に出力する。
【0027】
一方、決定部150は、実行すべき診断処理を決定する。例えば、生体Pを診察している医師が入力部170を用いて診断処理の内容を入力してよく、決定部150は、医師によって入力された内容に基づき、実行すべき診断処理を決定してよい。例えば、表示部180は複数の診断処理の選択肢を表示し、医師が入力部170を用いて実行すべき診断処理を選択してよい。決定部150は、決定した診断処理に対応する診断IDを判定部140に出力する。診断IDは、診断処理を識別するための識別情報である。
【0028】
次に、判定部140は、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれで診断処理を実行するのかを判定する。例えば、判定部140は、第1記憶部190に記憶された判定テーブル192に基づいて、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれで診断処理を実行するのかを判定してよい。判定テーブル192の内容と、判定部140による具体的な判定処理の内容については後述する。判定部140は、第1超音波診断装置100で診断処理を実行すると判定した場合、超音波画像生成部120によって生成された超音波画像(エコー画像)と、決定部150によって決定された診断処理を識別するための診断IDとを、第1診断処理部130に出力する。
【0029】
次に、第1診断処理部130は、超音波画像(エコー画像)に基づき、第1学習済みモデル194-1~第N学習済みモデル194-Nのいずれかを用いて診断処理を実行する。例えば、第1診断処理部130は、決定部150から出力された診断IDに対応する学習済みモデルを第1記憶部190から読み出し、読み出した学習済みモデルに超音波画像を入力することで、診断結果を得ることができる。具体例を挙げると、超音波画像が生体Pの心臓の画像であり、決定部150から出力された診断IDが弁膜症の診断処理を示す場合、第1診断処理部130は、弁膜症の診断処理に対応する学習済みモデルを第1記憶部190から読み出し、読み出した学習済みモデルに超音波画像を入力することで、生体Pが弁膜症を発症しているか否かの診断結果を得ることができる。その後、第1診断処理部130は、診断結果を表示部180に出力する。
【0030】
表示部180は、第1診断処理部130から出力された診断結果を表示する。医師は、表示部180に表示された診断結果を確認することで、生体Pの状態または生体Pが罹患している疾患を把握することができる。
【0031】
図4に示される処理の流れによれば、情報がネットワークNWを介して外部に漏れることはないため、秘匿性の高い情報を保護することができる。しかしながら、エッジ側の第1超音波診断装置100はサーバ側の第2超音波診断装置200よりも診断処理に時間がかかるため、全ての診断処理を第1超音波診断装置100で行うことは好ましくない。このため、診断結果の秘匿性が低い場合や、診断処理に長時間がかかってしまうような場合には、第2超音波診断装置200で診断処理を行う方が好ましい場合がある。
【0032】
[第2超音波診断装置による診断処理]
図5は、第2超音波診断装置200による診断処理の流れの一例を示す図である。
図5に示される例は、判定部140が第2超音波診断装置200で診断処理を実行すると判定する場合の処理の流れを示している。なお、超音波プローブ50、超音波画像生成部120、および決定部150の動作は
図4と同様であるため、説明を省略する。
【0033】
判定部140は、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれで診断処理を実行するのかを判定する。前述したように、判定部140は、第1記憶部190に記憶された判定テーブル192に基づいて、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれで診断処理を実行するのかを判定してよい。判定部140は、第2超音波診断装置200で診断処理を実行すると判定した場合、超音波画像生成部120によって生成された超音波画像(エコー画像)と、決定部150によって決定された診断処理を識別するための診断IDとを、第1通信部110に出力する。
【0034】
第1通信部110は、ネットワークNWを介して、超音波画像(エコー画像)および診断IDを第2超音波診断装置200に送信する。ネットワークNW経由で情報を送信する場合、情報が外部に漏れてしまう可能性がある。このため、判定部140は、送信すべき情報(超音波画像および診断ID)を、第1超音波診断装置100と第2超音波診断装置200との間で予め定められた方法で暗号化してもよく、第1通信部110は暗号化された情報を送信してもよい。これによって、情報漏洩をより確実に防止することができる。
【0035】
次に、第2超音波診断装置200の第2通信部210は、ネットワークNWを介して、超音波画像(エコー画像)および診断IDを第1超音波診断装置100から受信する。その後、第2通信部210は、超音波画像(エコー画像)および診断IDを第2診断処理部230に出力する。
【0036】
次に、第2診断処理部230は、超音波画像(エコー画像)に基づき、第1学習済みモデル294-1~第N学習済みモデル294-Nのいずれかを用いて診断処理を実行する。例えば、第2診断処理部230は、第2通信部210から出力された診断IDに対応する学習済みモデルを第2記憶部290から読み出し、読み出した学習済みモデルに超音波画像を入力することで、診断結果を得ることができる。その後、第2診断処理部230は、診断結果を第2通信部210に出力する。
【0037】
第2通信部210は、ネットワークNWを介して、診断結果を第1超音波診断装置100に送信する。ネットワークNW経由で情報を送信する場合、情報が外部に漏れてしまう可能性がある。このため、第2診断処理部230は、送信すべき情報(診断結果)を、第1超音波診断装置100と第2超音波診断装置200との間で予め定められた方法で暗号化してもよく、第2通信部210は暗号化された情報を送信してもよい。これによって、情報漏洩をより確実に防止することができる。
【0038】
次に、第1超音波診断装置100の第1通信部110は、ネットワークNWを介して、診断結果を第2超音波診断装置200から受信する。その後、第1通信部110は、診断結果を表示部180に出力する。
【0039】
表示部180は、第1通信部110から出力された診断結果を表示する。医師は、表示部180に表示された診断結果を確認することで、生体Pの状態または生体Pが罹患している疾患を把握することができる。
【0040】
以上、第1超音波診断装置100が診断処理を実行する場合(
図4)および第2超音波診断装置200が診断処理を実行する場合(
図5)について説明した。なお、前述したように、判定部140は、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれで診断処理を実行するのかを判定する。以下、判定部140による判定処理として、3つの例(第1判定処理~第3判定処理)について説明する。
【0041】
[第1判定処理]
図6は、判定テーブル192の第1例を示す図である。第1記憶部190は、第1学習済みモデル194-1~第N学習済みモデル194-Nに対応する複数の診断処理毎に、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれかを示す情報が対応付けられた判定テーブル192を記憶している。
図6に示されるように、判定テーブル192は、診断IDと、診断処理と、診断対象と、診断装置情報とが対応付けられたテーブルである。診断IDは、診断処理を識別するための識別情報である。診断処理は、診断処理の内容を示す情報である。診断対象は、生体Pの診断対象(臓器など)を示す情報である。診断装置情報は、診断処理を実行すべき超音波診断装置を特定するための情報である。
【0042】
判定テーブル192は、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、予め設定されたテーブルである。例えば、第1診断処理が心拍数に関する診断処理である場合、第1診断処理の診断結果は秘匿性の低い情報であるため、第2超音波診断装置200で第1診断処理を実行することが推奨される。また、例えば、第2診断処理が癌に関する診断処理である場合、第2診断処理の診断結果は秘匿性の高い情報であるため、第1超音波診断装置100で第2診断処理を実行することが推奨される。このように、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、判定テーブル192が設定される。
【0043】
図7は、判定部140によって実行される第1判定処理の一例を示すフローチャートである。まず、判定部140は、超音波画像生成部120から超音波画像(エコー画像)を取得する(S101)。次に、判定部140は、決定部150から診断IDを取得する(S102)。ここで取得した診断IDは、前述したように、実行すべき診断処理を識別するための識別情報である。
【0044】
次に、判定部140は、S102で取得した診断IDに紐づけられた診断装置情報を判定テーブル192から取得する(S103)。例えば、
図6に示されるように、S102で取得した診断IDが「D001」である場合、判定部140は、第2超音波診断装置200を示す情報を診断装置情報として取得することとなる。一方、S102で取得した診断IDが「D002」である場合、判定部140は、第1超音波診断装置100を示す情報を診断装置情報として取得することとなる。
【0045】
次に、判定部140は、S103で取得した診断装置情報が第1超音波診断装置100を示すか否かを判定する(S104)。判定部140は、S103で取得した診断装置情報が第1超音波診断装置100を示す場合、第1超音波診断装置100に診断処理を実行させると判定する(S105)。この場合、
図4に示されるように、第1診断処理部130が決定部150によって決定された診断処理を行い、表示部180に診断結果が表示されることとなる。
【0046】
一方、判定部140は、S103で取得した診断装置情報が第2超音波診断装置200を示す場合、第2超音波診断装置200に診断処理を実行させると判定する(S106)。この場合、
図5に示されるように、第2診断処理部230が決定部150によって決定された診断処理を行い、表示部180に診断結果が表示されることとなる。
【0047】
以上説明したように、第1判定処理によれば、判定部140は、判定テーブル192に基づいて、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれで診断処理を実行するのかを判定する。これによって、判定部140は、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれで診断処理を実行するのかを適切に判定することができる。
【0048】
例えば、一つの超音波画像に基づいて複数の診断処理が行われる場合、判定部140は、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200に複数の診断処理を振り分ける。例えば、超音波画像が心臓のエコー動画であり、この心臓のエコー動画に基づいて、心拍数、血流量、弁膜症、および心筋症の診断処理が行われる場合、判定部140は、心拍数や血流量のような秘匿性の低い診断処理については第2超音波診断装置200に振り分け、弁膜症や心筋症のような秘匿性の高い診断処理については第1超音波診断装置100に振り分ける。これによって、判定部140は、複数の診断処理の振り分けを適切に行うことができる。
【0049】
[第2判定処理]
図8は、判定テーブル192の第2例を示す図である。第1記憶部190は、第1学習済みモデル194-1~第N学習済みモデル194-Nに対応する複数の診断処理毎に、第1超音波診断装置100で診断処理を実行する優先度を示す情報(エッジ優先度)が対応付けられた判定テーブル192を記憶している。
図8に示されるように、判定テーブル192は、診断IDと、診断処理と、診断対象と、エッジ優先度とが対応付けられたテーブルである。診断IDは、診断処理を識別するための識別情報である。診断処理は、診断処理の内容を示す情報である。診断対象は、生体Pの診断対象(臓器など)を示す情報である。エッジ優先度は、エッジ側のコンピュータである第1超音波診断装置100で診断処理を実行する優先度を示す情報である。エッジ優先度の値が小さいほど、第1超音波診断装置100で診断処理を実行する優先度が高いことを示す。例えば、エッジ優先度の値は1~9の整数であってよく、エッジ優先度の値が「1」に近いほど優先度が高いということになる。
【0050】
判定テーブル192は、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、予め設定されたテーブルである。例えば、他人に見られても問題ない秘匿性の低い診断処理(心拍数など)には低いエッジ優先度が設定され、他人に見られたくない秘匿性の高い診断処理(癌の診断など)には高いエッジ優先度が設定される。このように、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、判定テーブル192が設定される。
【0051】
図9は、判定部140によって実行される第2判定処理の一例を示すフローチャートである。まず、判定部140は、超音波画像生成部120から超音波画像(エコー画像)を取得する(S201)。次に、判定部140は、決定部150から診断IDを取得する(S202)。ここで取得した診断IDは、前述したように、実行すべき診断処理を識別するための識別情報である。
【0052】
次に、判定部140は、S202で取得した診断IDに紐づけられたエッジ優先度を判定テーブル192から取得する(S203)。例えば、
図8に示されるように、S202で取得した診断IDが「D001」である場合、判定部140は、エッジ優先度の値として「9」を取得することとなる。一方、S202で取得した診断IDが「D002」である場合、判定部140は、エッジ優先度の値として「2」を取得することとなる。
【0053】
次に、判定部140は、S203で取得したエッジ優先度が第1閾値未満であるか否かを判定する(S204)。第1閾値は予め設定された値であってよく、入力部170からの入力により変更可能であってよい。判定部140は、S203で取得したエッジ優先度が第1閾値未満である場合、第1超音波診断装置100に診断処理を実行させると判定する(S205)。この場合、
図4に示されるように、第1診断処理部130が決定部150によって決定された診断処理を行い、表示部180に診断結果が表示されることとなる。
【0054】
一方、判定部140は、S203で取得したエッジ優先度が第1閾値以上である場合、第2超音波診断装置200に診断処理を実行させると判定する(S206)。この場合、
図5に示されるように、第2診断処理部230が決定部150によって決定された診断処理を行い、表示部180に診断結果が表示されることとなる。
【0055】
以上説明したように、第2判定処理によれば、判定部140は、判定テーブル192に基づいて、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれで診断処理を実行するのかを判定する。これによって、判定部140は、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれで診断処理を実行するのかを適切に判定することができる。また、入力部170からの入力に応じて第1閾値を変更可能にすることで、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200への診断処理の振り分けを容易に調整することができる。
【0056】
[第3判定処理]
図10は、判定テーブル192の第3例を示す図である。第1記憶部190は、第1学習済みモデル194-1~第N学習済みモデル194-Nに対応する複数の診断処理毎に、診断結果の秘匿性の度合いを示す情報と、診断処理に要する処理時間を示す情報とが対応付けられた判定テーブル192を記憶している。
図10に示されるように、判定テーブル192は、診断IDと、診断処理と、診断対象と、秘匿性と、処理時間とが対応付けられたテーブルである。診断IDは、診断処理を識別するための識別情報である。診断処理は、診断処理の内容を示す情報である。診断対象は、生体Pの診断対象(臓器など)を示す情報である。秘匿性は、診断結果の秘匿性の度合いを示す情報である。例えば、秘匿性は、3段階のレベル(高、中、低)を示す情報であってよい。処理時間は、第1超音波診断装置100で診断処理を実行する場合に要する時間を示す情報である。
【0057】
判定テーブル192は、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、予め設定されたテーブルである。例えば、他人に見られても問題ない秘匿性の低い診断処理(心拍数など)には「低」が秘匿性の欄に設定され、他人に見られたくない秘匿性の高い診断処理(癌の診断など)には「高」が秘匿性の欄に設定される。「中」は、「高」と「低」の中間のレベルである。このように、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、判定テーブル192が設定される。
【0058】
図11は、判定部140によって実行される第3判定処理の一例を示すフローチャートである。まず、判定部140は、超音波画像生成部120から超音波画像(エコー画像)を取得する(S301)。次に、判定部140は、決定部150から診断IDを取得する(S302)。ここで取得した診断IDは、前述したように、実行すべき診断処理を識別するための識別情報である。
【0059】
次に、判定部140は、S302で取得した診断IDに紐づけられた秘匿性および処理時間を判定テーブル192から取得する(S303)。例えば、
図10に示されるように、S302で取得した診断IDが「D001」である場合、判定部140は、秘匿性として「高」を取得するとともに、処理時間として500秒を取得することとなる。一方、S302で取得した診断IDが「D002」である場合、判定部140は、秘匿性として「低」を取得するとともに、処理時間として90秒を取得することとなる。
【0060】
次に、判定部140は、診断結果の秘匿性の度合いを示す情報および診断処理に要する処理時間に基づいて、第1超音波診断装置100に診断処理を実行させることを推奨する度合いを示す判定スコアを算出する(S304)。前述したように、秘匿性の高い診断処理については第1超音波診断装置100で実行することが好ましく、処理時間の長い診断処理については処理速度の速い第2超音波診断装置200で実行することが好ましい。このため、判定部140は、秘匿性が高いほど判定スコアが高くなるように、かつ処理時間が短いほど判定スコアが高くなるように、判定スコアを算出する。
【0061】
次に、判定部140は、S304で算出した判定スコアが第2閾値より大きいか否かを判定する(S305)。第2閾値は予め設定された値であってよく、入力部170からの入力により変更可能であってよい。判定部140は、S304で算出した判定スコアが第2閾値より大きい場合、第1超音波診断装置100に診断処理を実行させると判定する(S306)。この場合、
図4に示されるように、第1診断処理部130が決定部150によって決定された診断処理を行い、表示部180に診断結果が表示されることとなる。
【0062】
一方、判定部140は、S304で算出し判定スコアが第2閾値以下である場合、第2超音波診断装置200に診断処理を実行させると判定する(S307)。この場合、
図5に示されるように、第2診断処理部230が決定部150によって決定された診断処理を行い、表示部180に診断結果が表示されることとなる。
【0063】
以上説明したように、第3判定処理によれば、判定部140は、判定テーブル192に基づいて判定スコアを算出し、算出した判定スコアに基づいて、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれで診断処理を実行するのかを判定する。これによって、判定部140は、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれで診断処理を実行するのかを適切に判定することができる。また、入力部170からの入力に応じて第2閾値を変更可能にすることで、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200への診断処理の振り分けを容易に調整することができる。
【0064】
なお、判定部140は、第1判定処理~第3判定処理のいずれかを実行することとしたが、これらの判定処理に限らない。例えば、判定部140は、ユーザ(医師など)が入力部170を用いて指定した1つの診断処理のみをエッジ側の第1超音波診断装置100で実行すると判定し、それ以外の診断処理を第2超音波診断装置200で実行すると判定してもよい。具体例を挙げると、心臓の超音波画像に基づいて3つの診断処理(心拍数、血流量、弁膜症)を行う際に、ユーザ(医師など)が入力部170を用いて秘匿性の高い弁膜症の診断処理を指定すると、判定部140は、弁膜症の診断処理のみをエッジ側の第1超音波診断装置100で実行すると判定し、心拍数および血流量の診断処理を第2超音波診断装置200で実行すると判定してもよい。これによって、本実施形態の超音波診断システム10は、複数の診断処理の振り分けを適切に行うことができる。
【0065】
[ダウンロード処理]
第2超音波診断装置200はハイスペックなサーバであり、第2記憶部290の容量も大きい。このため第2記憶部290は、複数の診断処理に必要な全ての学習済みモデルを記憶している。一方、第1超音波診断装置100は、スマートフォンやタブレット端末などの可搬型のコンピュータである場合、第1記憶部190の容量が小さい場合がある。このような場合、第1記憶部190に全ての学習済みモデルを記憶させることができない場合がある。
【0066】
そこで、第1超音波診断装置100のダウンロード部160は、診断処理に使用する学習済みモデルが第1記憶部190に記憶されていない場合、学習済みモデルを第2超音波診断装置からダウンロードしてもよい。また、第1診断処理部130による診断処理が完了した場合、使用した学習済みモデルを第1記憶部190から消去してもよい。これによって、第1診断処理部130は、第1記憶部190の容量が小さい場合であっても、様々な診断処理を実行することができる。
【0067】
なお、ダウンロード部160は、学習済みモデルのダウンロードに長時間を要する場合には、ダウンロードを行わずに第2超音波診断装置200に診断処理を実行させてもよい。例えば、第2超音波診断装置200が第1超音波診断装置100と同じローカルネットワーク(例えば、院内ネットワーク)内に接続されている場合、ダウンロードが短時間で完了する。一方、第2超音波診断装置200が外部ネットワーク(例えば、院内ネットワークとは異なるネットワーク)に接続されている場合、ダウントードに長時間を要することとなる。したがって、ダウンロード部160は、第2超音波診断装置200が第1超音波診断装置100と同じローカルネットワーク(例えば、院内ネットワーク)内に接続されている場合、学習済みモデルを第2超音波診断装置200からダウンロードしてよい。一方、ダウンロード部160は、第2超音波診断装置200が外部ネットワーク(例えば、院内ネットワークとは異なるネットワーク)に接続されている場合、超音波画像を第2超音波診断装置200に送信することで、第2超音波診断装置200に診断処理を実行させてもよい。なお、ダウンロード部160は、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性が低い場合に限って、第2超音波診断装置200に診断処理を実行させてもよい。これによって、診断結果の取得に長時間を要してしまうことを防止することができる。
【0068】
また、ダウンロード部160は、学習済みモデルのサイズが所定の閾値未満である場合、学習済みモデルを第2超音波診断装置200からダウンロードし、学習済みモデルのサイズが所定の閾値以上である場合、超音波画像を第2超音波診断装置200に送信することで、第2超音波診断装置200に診断処理を実行させてもよい。この場合についても、ダウンロード部160は、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性が低い場合に限って、第2超音波診断装置200に診断処理を実行させてもよい。これによって、診断結果の取得に長時間を要してしまうことを防止することができる。
【0069】
なお、上記の実施形態において、決定部150は、入力部170を用いた医師からの入力に基づいて、実行すべき診断処理を決定することとしたが、これに限らない。例えば、決定部150は、超音波画像に基づいて、実行すべき診断処理を自動的に決定してもよい。具体的に、決定部150は、超音波画像に基づいて診断対象となる臓器を特定し、特定した臓器に基づいて診断処理の内容を決定してもよい。この場合、第1記憶部190には臓器判定用の学習済みモデルが記憶されていてよく、決定部150は、臓器判定用の学習済みモデルに超音波画像を入力することで、診断対象となる臓器を特定してよい。例えば、決定部150は、診断対象となる臓器が心臓であると特定した場合、心臓に関する診断処理(脈拍数や血流量の他、弁膜症、虚血性心疾患、心筋症、心筋炎、心膜炎などの疾患の診断処理)を、実行すべき診断処理として自動的に決定してもよい。これによって、実行すべき診断処理を医師がわざわざ入力する必要が無くなるため、医師による作業負荷を低減することができる。
【0070】
以上説明したように、超音波診断システム10は、超音波プローブ50と、第1超音波診断装置100と、第2超音波診断装置200とを備える。超音波プローブ50は、被検体(生体P)に対して超音波を送信するとともに、被検体からの反射波に基づいてプローブ信号を生成する。第1超音波診断装置100は、超音波プローブ50と接続されている。第2超音波診断装置200は、ネットワークNWを介して第1超音波診断装置100と通信可能である。第1超音波診断装置100は、超音波画像生成部120と、第1記憶部190と、第1診断処理部130と、第1通信部110とを備える。超音波画像生成部120は、超音波プローブ50から受信したプローブ信号に基づいて、超音波画像を生成する。第1記憶部190は、被検体の診断処理に使用される複数の学習済みモデル194-1~194-Nを記憶する。第1診断処理部130は、超音波画像に基づき、複数の学習済みモデル194-1~194-Nのいずれかを用いて診断処理を実行する。第1通信部110は、超音波画像を第2超音波診断装置200に送信する。第2超音波診断装置200は、第2通信部210と、第2記憶部290と、第2診断処理部230とを備える。第2通信部210は、第1超音波診断装置100から超音波画像を受信する。第2記憶部290は、被検体の診断処理に使用される複数の学習済みモデル294-1~294-Nを記憶する。第2診断処理部230は、超音波画像に基づき、複数の学習済みモデル294-1~294-Nのいずれかを用いて診断処理を実行する。第1超音波診断装置100は、診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、第1超音波診断装置100および第2超音波診断装置200のいずれで診断処理を実行するのかを判定する判定部140を更に備える。これによって、本実施形態の超音波診断システム10は、複数の診断処理の振り分けを適切に行うことができる。
【0071】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0072】
50 超音波プローブ
100 第1超音波診断装置
110 第1通信部
120 超音波画像生成部
130 第1診断処理部
140 判定部
150 決定部
160 ダウンロード部
170 入力部
180 表示部
190 第1記憶部
200 第2超音波診断装置
210 第2通信部
230 第2診断処理部
290 第2記憶部
【要約】
被検体に対して超音波を送信するとともに、前記被検体からの反射波に基づいてプローブ信号を生成する超音波プローブ(50)と接続された超音波診断装置(100)であって、前記超音波プローブ(50)から受信したプローブ信号に基づいて、超音波画像を生成する超音波画像生成部(120)と、前記被検体の診断処理に使用される複数の学習済みモデル(194)を記憶する記憶部(190)と、前記超音波画像に基づき、前記複数の学習済みモデル(194)のいずれかを用いて前記診断処理を実行する診断処理部(130)と、前記超音波画像を他の超音波診断装置(200)に送信する通信部(110)と、前記診断処理によって得られる診断結果の秘匿性の度合いに応じて、前記超音波診断装置(100)および前記他の超音波診断装置(200)のいずれで前記診断処理を実行するのかを判定する判定部(140)と、を備える超音波診断装置(100)。