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特許7651247無線電力伝送システム及び無線電力伝送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-17
(45)【発行日】2025-03-26
(54)【発明の名称】無線電力伝送システム及び無線電力伝送方法
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/36 20240101AFI20250318BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20250318BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20250318BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20250318BHJP
   B64D 27/24 20240101ALI20250318BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250318BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20250318BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20250318BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20250318BHJP
【FI】
B64F1/36
B64C13/18 Z
B64C27/04
B64C39/02
B64D27/24
H02J7/00 301D
H02J50/20
H02J50/40
H02J50/80
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019186131
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021059293
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-27
【審判番号】
【審判請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】酒井 貴行
【合議体】
【審判長】草野 顕子
【審判官】横溝 顕範
【審判官】小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-527479号公報(JP,A)
【文献】特開2018-177135号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64U50/34-50/39
B64C13/18,27/04,39/02
B64D27/24
B64F1/36
H02J7/00-7/36,50/20-50/27,50/40-50/50
G08G5/00-5/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電部とバッテリとを有する無人飛行体が航行する航路に対応して設けられ、前記無人飛行体が着陸可能な第1のスペースに着陸した前記無人飛行体の前記受電部へマイクロ波を送電する第1の送電部と、
前記バッテリの充電残量が予め設定した値よりも低下した場合、前記第1のスペースが利用可能であるか否かを判断し、前記第1のスペースが利用可能であると判断した場合、前記第1のスペースを前記無人飛行体の着陸場所として選択し、前記第1のスペースが利用不可能であると判断した場合、前記無人飛行体が着陸可能であり前記航路との距離が前記航路と前記第1のスペースとの距離よりも遠く、着陸した前記無人飛行体の前記受電部へ前記第1の送電部がマイクロ波を送電できる第2のスペースを前記無人飛行体の着陸場所として選択する判断部とを備えた無線電力伝送システム。
【請求項2】
前記第2のスペースに着陸した前記無人飛行体の前記受電部は、前記第1の送電部からマイクロ波を受電する請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項3】
前記第1の送電部は複数であって、
前記判断部は、前記無人飛行体の着陸場所として前記第2のスペースを選択した場合において、前記第2のスペースの位置情報、複数の前記第1の送電部の位置情報、及び複数の前記第1の送電部が利用可能であるか否かの情報を用いて、複数の前記第1の送電部から前記受電部へ送電する前記第1の送電部を選択する請求項2に記載の無線電力伝送システム。
【請求項4】
前記第2のスペースに着陸した前記無人飛行体の前記受電部へ電力を送電する電力供給部を備えた請求項1から請求項3の何れか1項に記載の無線電力伝送システム。
【請求項5】
前記第1の送電部は、前記航路に沿って設けられた構造物に設けられた請求項1から請求項4の何れか1項に記載の無線電力伝送システム。
【請求項6】
前記第1のスペースは、前記無人飛行体が着陸可能な最大数が設定されており、
前記判断部は、前記第1のスペースに着陸している前記無人飛行体の数が前記最大数の場合、前記第1のスペースが利用不可能であると判断し、前記第1のスペースに着陸している前記無人飛行体の数が前記最大数よりも小さい場合、前記第1のスペースが利用可能であると判断する請求項1から請求項5の何れか1項に記載の無線電力伝送システム。
【請求項7】
前記航路に対応して設けられ、空中を浮遊している前記無人飛行体の前記受電部へマイクロ波により送電する第2の送電部を備え、
前記判断部は、前記バッテリの充電残量が予め設定した値よりも低下した場合、前記第1の送電部と前記第2の送電部とから何れか一方を選択し、前記第1の送電部を選択した場合、前記第1のスペースが利用可能であるか否かを判断する請求項1から請求項6の何れか1項に記載の無線電力伝送システム。
【請求項8】
前記判断部は、前記バッテリの充電残量が予め設定した値よりも低下した場合において、前記バッテリの充電残量に基づいて、空中を浮遊している前記無人飛行体の前記受電部への送電が可能であるか否かを判断し、空中を浮遊している前記無人飛行体の前記受電部への送電が可能であると判断した場合、前記第2の送電部を選択し、空中を浮遊している前記無人飛行体の前記受電部への送電が不可能であると判断した場合、前記第1の送電部を選択する請求項7に記載の無線電力伝送システム。
【請求項9】
無人飛行体に搭載されたバッテリの充電残量が予め設定した値よりも低下した場合、前記無人飛行体が航行する航路に対応して設けられ前記無人飛行体が着陸可能であり、着陸した前記無人飛行体の受電部に前記航路に対応して設けられた第1の送電部が送電できる第1のスペースが利用可能であるか否かを判断する第1のステップと、
前記第1のステップで前記第1のスペースが利用可能であると判断した場合、前記第1のスペースに前記無人飛行体が着陸し、前記第1のスペースが利用不可能であると判断した場合、前記無人飛行体が着陸可能であり前記航路との距離が前記航路と前記第1のスペースとの距離よりも遠く、着陸した前記無人飛行体の前記受電部へ前記第1の送電部が送電できる第2のスペースに前記無人飛行体が着陸する第2のステップと、
前記第2のステップで前記無人飛行体が前記第1のスペースに着陸した場合、前記第1の送電部から前記無人飛行体の前記受電部へ送電する第3のステップとを備えた無線電力伝送方法。
【請求項10】
前記第3のステップは、前記第2のステップで前記無人飛行体が前記第2のスペースに着陸した場合、前記第1の送電部から前記受電部へ送電する請求項9に記載の無線電力伝送方法。
【請求項11】
前記第1の送電部は複数であって、
前記第2のステップで前記無人飛行体が前記第2のスペースに着陸した場合、前記第2のスペースの位置情報、複数の前記第1の送電部の位置情報、及び複数の前記第1の送電部が利用可能であるか否かの情報を用いて、複数の前記第1の送電部から前記受電部へ送電する前記第1の送電部を選択する第4のステップを備え、
前記第3のステップは、前記第4のステップで選択した前記第1の送電部から前記受電部へ送電する請求項10に記載の無線電力伝送方法。
【請求項12】
前記第3のステップは、前記第2のステップで前記無人飛行体が前記第2のスペースに着陸した場合、前記第2のスペースに設けられた電力供給部から前記受電部へ送電する請求項9に無線電力伝送方法。
【請求項13】
前記第1の送電部は、前記航路に沿って設けられた構造物に設けられた請求項9から請求項12の何れか1項に記載の無線電力伝送方法。
【請求項14】
前記第1のスペースは、前記無人飛行体が着陸可能な最大数が設定されており、
前記第1のステップは、前記第1のスペースに着陸している前記無人飛行体の数が前記最大数の場合、前記第1のスペースが利用不可能であると判断し、前記第1のスペースに着陸している前記無人飛行体の数が前記最大数よりも小さい場合、前記第1のスペースが利用可能であると判断する請求項9から請求項13の何れか1項に記載の無線電力伝送方法。
【請求項15】
前記バッテリの充電残量が予め設定した値よりも低下した場合、前記第1の送電部と、前記航路に対応して設けられ空中を浮遊している前記無人飛行体の前記受電部へマイクロ波により送電する第2の送電部とから何れか1つを選択する第5のステップと、
前記第5のステップで、前記第2の送電部を選択した場合、前記第2の送電部から前記無人飛行体の前記受電部へ送電する第6のステップとを備え、
前記第5のステップで、前記第1の送電部を選択した場合、前記第1のステップで、前記第1のスペースが利用可能であるか否かを判断する請求項9から請求項14の何れか1項に記載の無線電力伝送方法。
【請求項16】
前記第5のステップは、前記バッテリの充電残量に基づいて、空中を浮遊している前記無人飛行体の前記受電部への送電が可能であるか否かを判断し、空中を浮遊している前記無人飛行体の前記受電部への送電が可能であると判断した場合、前記第2の送電部を選択し、空中を浮遊している前記無人飛行体の前記受電部への送電が不可能であると判断した場合、前記第1の送電部を選択する請求項15に記載の無線電力伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロ波を用いた無線電力伝送システム及び無線電力伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行体(電動回転翼を有する無人飛行機、マルチコプタ)へ無線電力伝送によって給電する方法が検討されている。構造物または移動体等に取り付けられたビーム源から、浮遊した状態の無人飛行体へ無線給電を行うシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、所定の位置に固定された充電スペースであるステーションに送電コイルを設置し、無人飛行体に受電コイルを取り付け、非接触で行う無線給電システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2012/078232号
【文献】特開2017-135880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の開示の技術では、無人飛行体は給電中においても浮遊するためのエネルギが必要であり、バッテリへの充電量が多い場合、及びバッテリの充電残量が少ない場合には適さないという課題がある。特許文献2に開示の技術では、無人飛行体を充電スペースに着陸させて給電することができるが、その充電スペースが利用できない場合にどのように無人飛行体へ給電するかが考慮されていないという課題がある。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、航路を航行している無人飛行体を、航路に対応して設けられた充電スペースである第1のスペースに着陸させて給電しようとする際に、第1のスペースが利用不可能な場合であっても、処置が容易な無線電力伝送システムおよび無線電力伝送方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る無線電力伝送システムは、受電部とバッテリとを有する無人飛行体が航行する航路に対応して設けられ、無人飛行体が着陸可能な第1のスペースに着陸した無人飛行体の受電部へマイクロ波を送電する第1の送電部と、バッテリの充電残量が予め設定した値よりも低下した場合、第1のスペースが利用可能であるか否かを判断し、第1のスペースが利用可能であると判断した場合、第1のスペースを無人飛行体の着陸場所として選択し、第1のスペースが利用不可能であると判断した場合、無人飛行体が着陸可能であり航路との距離が航路と第1のスペースとの距離よりも遠く、着陸した無人飛行体の受電部へ第1の送電部がマイクロ波を送電できる第2のスペースを無人飛行体の着陸場所として選択する判断部とを備えたものである。
【0007】
この発明に係る無線電力伝送方法は、無人飛行体に搭載されたバッテリの充電残量が予め設定した値よりも低下した場合、無人飛行体が航行する航路に対応して設けられ無人飛行体が着陸可能であり、着陸した無人飛行体の受電部に航路に対応して設けられた第1の送電部が送電できる第1のスペースが利用可能であるか否かを判断する第1のステップと、第1のステップで第1のスペースが利用可能であると判断した場合、第1のスペースに無人飛行体が着陸し、第1のスペースが利用不可能であると判断した場合、無人飛行体が着陸可能であり航路との距離が航路と第1のスペースとの距離よりも遠く、着陸した無人飛行体の受電部へ第1の送電部が送電できる第2のスペースに無人飛行体が着陸する第2のステップと、第2のステップで無人飛行体が第1のスペースに着陸した場合、第1の送電部から無人飛行体の受電部へ送電する第3のステップとを備えたものである。

【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、航路を航行している無人飛行体を、航路に対応して設けられた第1のスペースに着陸させて給電しようとする際に、第1のスペースが使用不可能な場合であっても、他の決められた場所である第2のスペースに無人飛行体を着陸させることが可能であり、第2のスペースに着陸後の処置が容易であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の実施の形態1に係る無線電力伝送システムの模式図である
図2】この発明の実施の形態1に係る無線電力伝送システムの構成を示す機能ブロック図である。
図3】この発明の実施の形態1に係る無線電力伝送システムの動作を示すフローチャートである。
図4】この発明の実施の形態1に係る無線電力伝送システムの運用方法を説明するフローチャートである。
図5】この発明の実施の形態1に係る無線電力伝送システムの運用方法を説明するフローチャートである。
図6】この発明の実施の形態2に係る無線電力伝送システムの模式図である。
図7】この発明の実施の形態2に係る無線電力伝送システムの構成を示す機能ブロック図である。
図8】この発明の実施の形態2に係る無線電力伝送システムの運用方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示し、それらについての詳細な説明は省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る無線電力伝送システム100の模式図である。無線電力伝送システム100は、受電部7とバッテリ9とを有する無人飛行体6に電力を送信するシステムである。無線電力伝送システム100は、第1の送電部1と、第1のスペース2と、判断部3と、第2のスペース4と、機上装置8とを備える。無人飛行体6は主に物流などを目的として、予め決められた航路を航行する。第2のスペース4と、機上装置8とは、無線電力伝送システム100の外部に設けてもよい。
【0012】
第1の送電部1と第1のスペース2と判断部3とは、無人飛行体6が航行する航路に対応してそれぞれ少なくとも1つ設けられる。第1のスペース2と第1の送電部1と判断部3とは、無人飛行体6が航行する航路に沿って設けられた構造物に設けられる。構造物とは鉄塔、ビルなどの人工物、又は樹木などの自然物を意味する。第1のスペース2は、1つ以上の無人飛行体6が着陸可能な場所である。第1のスペース2は、同時に無人飛行体6が着陸可能な最大数が予め設定されている。
【0013】
第1の送電部1は、無人飛行体6へ電力を送電する。詳しくは、第1の送電部1は、第1のスペース2に着陸した無人飛行体6の受電部7へマイクロ波を送電する。第1の送電部1は、第1のスペース2の方向に向けて設置されている。第1の送電部1を複数設ける場合は、複数の第1の送電部1それぞれに対応する第1のスペース2が設けられる。
【0014】
第2のスペース4は、図1に示す通り無人飛行体6が着陸可能な場所であり、例えば、航路に近い地上に設けられる。第2のスペース4は、航路との距離が航路と第1のスペース2との距離よりも遠い場所である。また、第2のスペース4は、第1の送電部1との距離が第1の送電部1と第1のスペース2との距離よりも遠い場所である。第2のスペース4に着陸した無人飛行体6の受電部7は、第1の送電部1からマイクロ波を受電する。また第2のスペース4には、受電部7へ電力を送電する送電部として電力供給部5をさらに備える構成としてもよい。電力供給部5は、第2のスペース4に着陸した無人飛行体6の受電部7へ電力を送電する。電力供給部5は、例えばマイクロ波、電磁誘導方式、または電界結合方式により受電部7へ電力を送電する。以上により、第2のスペースに着陸した無人飛行体6の受電部7は、第1の送電部1と電力供給部5の両方から電力を受電することが可能である。
【0015】
判断部3は、無人飛行体6のバッテリ9の充電残量が予め設定した値よりも低下した場合、第1のスペース2と第2のスペース4とから、無人飛行体6の着陸場所を選択する。また、第1の送電部1が複数である場合は、受電部7へ送電する第1の送電部1を選択する。判断部3の詳細な構成は後述する。
【0016】
判断部3は、ここでは航路に沿って設けられた構造物に設けられるが、機上装置8に設けられる構成としてもよい。または、航路に沿って設けられた構造物と機上装置8との両方に設けられていてもよい。
【0017】
以下に、無線電力伝送システム100のより詳細な構成を説明する。図2は、この発明の実施の形態1に係る無線電力伝送システム100の構成を示す機能ブロック図である。
【0018】
無人飛行体6には、機上装置8が搭載される。機上装置8は、受電部7、バッテリ9、負荷10及び第1の通信用アンテナ11を有する。受電部7は、第1の送電部1からのマイクロ波12のRF信号を受信し、RF信号を直流電流に変換することにより電力を受信する。バッテリ9は、受信部が受信した電力を貯蔵することができる。負荷10は、バッテリ9に貯蔵された電力を消費するものであり、例えば、無人飛行体6を駆動させるモータなどである。第1の通信用アンテナ11は、受電部7からの受電情報、バッテリ9の充電残量の情報を第2の通信用アンテナ14に送信する。
【0019】
第1の送電部1は、受電部7へマイクロ波12を送電する。第1の送電部1は、送電装置13、第2の通信用アンテナ14、制御部15、電源16、冷却部17、及び熱輸送部18を有する。送電装置13は、マイクロ波12のビームを形成して放射する。第2の通信用アンテナ14は、第1の通信用アンテナ11から、受電部7の受電情報及びバッテリ9の充電残量の情報を受信する。制御部15は、受電部7の受電情報及び判断部3の判断情報を取得し、送電装置13に対してビーム形成や送電電力の切り替えを指示する。電源16は、送電装置13に電力を供給する。
【0020】
冷却部17は、送電装置13を冷却するものであり、例えば、ラジエータまたはファンである。また、冷却部17には、熱輸送部18が設けられる。熱輸送部18は、機器全体の熱を冷却部17に輸送するものであり、例えば、ヒートパイプまたは熱交換器である。送電装置13では、直流電流をRF信号に変換する際にアンプなどによる増幅を行う。この増幅の際に、送電装置13が発熱し高温になる場合があるが、冷却部17により冷却することができるため機器の故障を防ぐことができる。
【0021】
また、送電装置13、受電部7、第1の通信用アンテナ11、及び第2の通信用アンテナ14は、それぞれレドーム19の内部に設けられる。レドーム19は内部に設けられた装置を覆うカバーであり、防水性能と、電波を透過する特性とを有するものである。
【0022】
判断部3は、バッテリ9の充電残量が予め設定した値よりも低下したか否かを判断する。具体的には、第1の通信用アンテナ11から受信した受電情報またはバッテリ9の充電残量の情報を基にバッテリ9の充電残量が予め設定した値よりも低下したか否かを判断する。なお、この判断には第1の通信用アンテナ11から受信した情報を用いなくてもよい。例えば、バッテリ9の充電残量が予め設定した値よりも低下した場合、無人飛行体6が空中で一定時間ホバリングを行う等の所定の動作を行うように予め設定しておく。カメラ等のセンサにより無人飛行体6の画像データを取得する。そして判断部3が、カメラ等のセンサが取得した画像データを用いて無人飛行体6の所定の動作を検知した場合に、バッテリ9の充電残量が予め設定した値よりも低下したと判断してもよい。
【0023】
判断部3は、無人飛行体6のバッテリ9の充電残量が予め設定した値よりも低下した場合、第1のスペース2が利用可能であるか否かを判断する。判断部3は、第1のスペース2が利用可能であると判断した場合、第1のスペース2を無人飛行体6の着陸場所として選択する。判断部3は、第1のスペース2が利用不可能であると判断した場合、第2のスペース4を無人飛行体6の着陸場所として選択する。具体的には、第1のスペース2に着陸している無人飛行体6の数が予め決められた最大数の場合、第1のスペース2が利用不可能であると判断し、第1のスペース2に着陸している無人飛行体6の数が最大数よりも小さい場合、第1のスペース2が利用可能であると判断する。また、その他の理由で第1のスペース2が利用不可能である場合においても、第1のスペース2が利用不可能であると判断してもよい。このとき判断部3は、第1のスペース2に着陸している無人飛行体6の数を、カメラ又は接触センサなどのセンサにより取得する。第1のスペース2に着陸している無人飛行体6の予め決められた最大数は、判断部3に登録されている。判断部3は、第1のスペース2を無人飛行体6の着陸場所として選択後に、無人飛行体6に対して第1のスペース2に着陸するように動作指示を行う。また、判断部3は、第2のスペース4を無人飛行体6の着陸場所として選択後に、無人飛行体6に対して第2のスペース4に着陸するように動作指示を行う。
【0024】
なお、第1のスペース2が利用不可能であると判断した場合、第2のスペース4が利用可能であるか否かの判断を行ってもよい。判断部3は、第2のスペース4が利用可能であると判断した場合、第2のスペース4を無人飛行体6の着陸場所として選択する。判断部3は、第2のスペース4が利用不可能であると判断した場合、無人飛行体6が不時着することを選択する。具体的には、第2のスペース4に着陸している無人飛行体6の数が予め決められた最大数の場合、第2のスペース4が利用不可能であると判断し、第2のスペース4に着陸している無人飛行体6の数が最大数よりも小さい場合、第2のスペース4が利用可能であると判断する。また、その他の理由で第2のスペース4が利用不可能である場合においても、第2のスペース4が利用不可能であると判断してもよい。このとき判断部3は、第2のスペース4に着陸している無人飛行体6の数を、カメラ又は接触センサなどのセンサにより取得する。第2のスペース4に着陸している無人飛行体6の予め決められた最大数は、判断部3に登録されている。判断部3は、第2のスペース4を無人飛行体6の着陸場所として選択後に、無人飛行体6に対して第2のスペース4に着陸するように動作指示を行う。判断部3は、無人飛行体6が不時着することを選択後に、無人飛行体6に対して安全な場所に不時着するように動作指示を行う。
【0025】
なお、判断部3は、第2のスペース4が利用可能であると判断した場合において、第1の送電部1が複数の場合、第2のスペースの位置情報、複数の第1の送電部1の位置情報、及び複数の第1の送電部1が利用可能であるか否かの情報を用いて複数の第1の送電部1から受電部7へ送電する第1の送電部1を選択する。第2のスペース4の位置情報は、判断部3に予め登録されている。また、第2のスペース4に電力供給部5を備える場合は、判断部3は、電力供給部5から受電部7へ送電することを選択してもよい。
【0026】
なお、判断部3は、第2のスペース4が利用不可能であると判断した場合において、第1の送電部1が複数の場合、複数の第1の送電部1の位置情報、及び複数の第1の送電部1が利用可能であるか否かの情報を用いて複数の第1の送電部1から受電部7へ送電する第1の送電部1を選択する。
【0027】
なお、判断部3は、無人飛行体6のバッテリ9の充電残量が予め設定した値よりも低下した場合において、第1の送電部1が複数である場合には、まず、複数の第1の送電部1の位置情報と無人飛行体6の現在地の位置情報に基づいて、複数の第1の送電部1のうち受電部7に送電する第1の送電部1を選択する。例えば、無人飛行体6の現在位置から最も近くに位置する第1の送電部1の場所を選択する。無人飛行体6の位置情報は例えば、GPS(Global Positioning System)により取得する。第1の送電部1の位置情報は、判断部3に予め登録されている。ここで、選択した第1の送電部1に対応している第1のスペース2について、利用可能であるか否かを判断する。
【0028】
無線電力伝送システム100の送電の動作を説明する。図3は、この発明の実施の形態1に係る無線電力伝送システム100の送電の動作を示すフローチャートである。
【0029】
送電装置13から受電部7に送電する場合には、図3において、通信開始ステップにおいて、送電開始前に制御部15は受電部7との通信を開始する(ステップS1)。次に、システムの各装置の状態を監視する(ステップS2)。次に、送電装置13は、送電開始に際して、制御部15の指示に基づいて受電部7の方向にビームを形成する(ステップS3)。
【0030】
次に、送電装置13は定常出力よりも低い低出力のマイクロ波12(校正マイクロ波)で送電を開始する(ステップS4)。制御部15は受電部7からの受電情報を入手し、受電電力またはマイクロ波受信レベルからシステムに異常の有無を確認する(ステップS5)。ステップ5にて、「異常あり」と確認された場合(「YES」の場合)は、制御部15は校正マイクロ波12の送電停止を送電装置13に指示する(ステップ8)。
【0031】
ステップ5にて、「異常なし」と確認された場合(「NO」の場合)は、制御部15は、定常出力である高出力のマイクロ波送電への移行を送電装置13に指示する(ステップ6)。制御部15は受電部7からの受電情報を監視し、十分な受電電力量が蓄積されたか否かを判断する(ステップ7)。なお、ステップ7では制御部15がバッテリ9の充電残量を監視してもよい。ステップ7にて、受電電力が十分でない場合(「NO」の場合)は、ステップ6に戻る。ステップ7にて、受電電力が十分と判断された場合(「YES」の場合)は、制御部15は、送電装置13に対してマイクロ波12の送電停止を指示する(ステップ8)。
【0032】
図4は、この発明の実施の形態1に係る無線電力伝送システム100の運用方法を説明するフローチャートである。ここで、ステップS9に入るトリガーは、判断部3がバッテリ9の充電残量が予め設定した値よりも低下したと判断した場合である。
【0033】
無人飛行体6が航路を航行中にバッテリ9の充電残量が予め設定した値よりも低下した場合、判断部3が、第1のスペース2が利用可能であるか否かを判断する(ステップS9)。第1のスペース2が利用可能であると判断した場合、第1のスペース2に無人飛行体6が着陸する(ステップS10)。第1のスペース2が利用不可能であると判断した場合、判断部3は第2のスペース4が利用可能であるか否かを判断する(ステップS11)。
【0034】
ステップ11で、第2のスペース4が利用可能であると判断した場合、第2のスペース4に無人飛行体6が着陸する(ステップS12)。ステップS12で、無人飛行体6が第2のスペース4に着陸した場合において、電力供給部5を備える場合は、第1の送電部1と電力供給部5との何れかから受電部7へ送電するものを選択する(ステップS13)。第2のスペース4が利用不可能であると判断した場合、現在飛行している近辺の安全な場所に無人飛行体6が不時着する(ステップS14)。無人飛行体6が不時着した場合、第1の送電部1が利用可能であるか否かを判断する(ステップS15)。
【0035】
ステップ10及びステップS13の後、ステップS16に移行する。また、ステップS15にて受電部7へ第1の送電部1が利用可能であると判断した場合、ステップS16に移行する。ステップ16では、ステップ10にて無人飛行体6が第1のスペース2に着陸した場合、上記のステップS1に移行し、第1の送電部1から受電部7への送電を実行する。また、無人飛行体6が第2のスペース4に着陸した場合において、ステップ13にて受電部7へ送電する第1の送電部1を選択した場合、上記のステップS1に移行し、第1の送電部1から受電部7への送電を実行する。また、ステップS15にて受電部7へ第1の送電部1が利用可能であると判断した場合、上記のステップS1に移行し、第1の送電部1から受電部7への送電を実行する。無人飛行体6が第2のスペース4に着陸した場合において、ステップ13にて電力供給部5を選択した場合、電力供給部5から受電部7への送電を実行する(ステップS16)。
【0036】
ステップS8にて、制御装置8が第1の送電部1に対してマイクロ波12の送電停止を指示した場合、無人飛行体6が飛行に復帰する。ステップ16にて電力供給部5から受電部7への送電が停止した場合、無人飛行体6が飛行に復帰する(ステップS17)。
【0037】
図5は、この発明の実施の形態1に係る無線電力伝送システム100の第1の送電部1を複数備える場合の運用方法を説明するフローチャートである。ここで、ステップS18に入るトリガーは、判断部3がバッテリ9の充電残量が予め設定した値よりも低下したと判断した場合である。
【0038】
判断部3が、無人飛行体6が航路を航行中にバッテリ9の充電残量が予め設定した値よりも低下した場合において、判断部3は、複数の第1の送電部1から受電部7へ送電する第1の送電部1を選択する(ステップS18)。
【0039】
ステップ18において選択した第1の送電部1において、判断部3は選択した第1の送電部1に対応している第1のスペース2が利用可能であるか否かを判断する(ステップS9)。第1のスペース2が利用可能であると判断した場合、無人飛行体6が第1のスペース2に着陸する(ステップS10)。第1のスペース2が利用不可能であると判断した場合、判断部3は第2のスペース4が利用可能であるか否かを判断する(ステップS11)。
【0040】
ステップ11で、第2のスペース4が利用可能であると判断した場合、無人飛行体6が第2のスペース4に着陸する(ステップS12)。ステップS12で、無人飛行体6が第2のスペース4に着陸した場合において、複数の第1の送電部1から受電部7へ送電する第1の送電部1を選択する。電力供給部5を備える場合は、複数の第1の送電部1と電力供給部5との何れかから受電部7へ送電するものを選択する(ステップS13)。第2のスペース4が利用不可能であると判断した場合、現在飛行している近辺の安全な場所に無人飛行体6が不時着する(ステップS14)。無人飛行体6が不時着した場合、受電部7へ送電可能な第1の送電部1があるか否かを判断する(ステップS15)。ステップS15にて受電部7へ送電可能な第1の送電部1があると判断した場合、複数の第1の送電部1から受電部7へ送電する第1の送電部1を選択する(ステップS19)。
【0041】
ステップ10にて無人飛行体6が第1のスペース2に着陸した場合、上記のステップS1に移行し、第1の送電部1から受電部7への送電を実行する。また、無人飛行体6が第2のスペース4に着陸した場合において、ステップ13にて受電部7へ送電する第1の送電部1を選択した場合、上記のステップS1に移行し、第1の送電部1から受電部7への送電を実行する。また、ステップS19にて受電部7へ送電する第1の送電部1を選択した場合、上記のステップS1に移行し、第1の送電部1から受電部7への送電を実行する。無人飛行体6が第2のスペース4に着陸した場合において、ステップ13にて電力供給部5を選択した場合、電力供給部5から受電部7への送電を実行する(ステップS16)。
【0042】
ステップS8にて、制御装置8が第1の送電部1に対してマイクロ波12の送電停止を指示した場合、無人飛行体6が飛行に復帰する。ステップ16にて電力供給部5から受電部7への送電が停止した場合、無人飛行体6が飛行に復帰する(ステップS17)。
【0043】
以上、この発明の実施の形態1に係る無線電力伝送システム及び無線電力伝送方法では、航路を航行している無人飛行体6を、航路に対応して設けられた第1のスペース2に着陸させて給電しようとする際に、第1のスペース2が使用不可能な場合であっても、他の決められた場所である第2のスペース4に無人飛行体を着陸させることが可能であり、第2のスペースに着陸後の処置が容易である。
【0044】
例えば、無人飛行体6が主に物流などを目的として、予め決められた航路を航行する場合では、複数の無人飛行体6が同時に航路を航行するような運用が想定される。このような運用では、無人飛行体6が第1のスペース2に着陸して給電を行いたい場合において、既に他の無人飛行体6によって第1のスペース2が使用されている場合がある。この発明の実施の形態1に係る無線電力伝送システム及び無線電力伝送方法では、そのような場合でも、他の充電可能な場所である第2のスペース4を設けることで複数の無人飛行体6に対して滞りなく無人飛行体6への給電を行うことができる。また、第1の送電部1を複数設ける場合では、第2のスペース4に無人飛行体6が着陸した際に複数の第1の送電部1の中からそれぞれの利用状況に応じて使用する第1の送電部1を選択することができ、複数の無人飛行体6に対して効率よく送電を行うことができる。
【0045】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る無線電力伝送システム200を説明する説明図である。無線電力伝送システム200は、第2の送電部20を備える点が上述の実施の形態と異なる。その他の構成は、実質的に同様である。以下、上述の実施の形態で説明した構成と同一又は対応する構成については同一符号を付し、それらの構成の説明を繰り返し行わない。
【0046】
第2の送電部20は、無人飛行体6が航行する航路に沿って設けられた構造物に設けられる。ここでは、図5に示すように1つの第1の送電部1と同じ構造物に設けられるが、他の構造物に設けられてもよい。第2の送電部20は、無人飛行体6が航行する航路に対応して複数設けてもよい。第2の送電部20は、航路に向けて設置されており、離陸した無人飛行体6へマイクロ波により送電する。ここで離陸した状態とは、空中を移動している状態やホバリングしている状態等、無人飛行体6が浮遊している状態である。
【0047】
第2の送電部20から受電部7が電力を受電する場合、第1の送電部1から電力を受電する場合と比較して、無人飛行体6の飛行の中断時間と航路からの離脱する距離を小さくすることができる。しかし、離陸した状態で電力を受電するため、給電中にも浮遊するためのエネルギを消費する。そのため、充電残量が少なく離陸した状態での給電ができない場合は適さない。よって、第1の送電部1と第2の送電部20とを選択する優先順位は、送電の効率を考慮した場合、バッテリ9の充電残量に基づき離陸した状態での給電が可能な場合は、第2の送電部20、第1の送電部1の順とすることが好ましい。
【0048】
以下に、無線電力伝送システム200のより詳細な構成を説明する。図7は、無線電力伝送システム200の構成を示す機能ブロック図である。
【0049】
無線電力伝送システム200は、無線電力伝送システム100に第2の送電部20をさらに設ける構成である。第2の送電部20は、送電装置13、第2の通信用アンテナ14、制御部15、電源16、冷却部17、熱輸送部18、及びレドーム19を有する。なお、第2の通信用アンテナ14、制御部15、電源16、冷却部17、熱輸送部18のうち可能なものは、第1の送電部1と共用する構成としてもよい。図7では、第2の通信用アンテナ14を共用している場合である。
【0050】
以下、判断部3の実施の形態1と異なる構成を説明する。判断部3は、バッテリ9の充電残量が予め設定した値よりも低下したと判断した場合、第1のスペース2が利用可能であるか否かを判断する前に、第2の送電部20と第1の送電部1とから受電部7へ送電するものとして何れか1つを選択する。具体的には、バッテリ9の充電残量に基づいて、離陸した無人飛行体6の受電部7への送電が可能であるか否かを判断する。離陸した無人飛行体6の受電部7への送電が可能であると判断した場合、受電部7へ送電する送電部として第2の送電部20を選択し、無人飛行体6に対して第2の送電部20が送電するマイクロ波を受信可能な範囲内に移動するように動作指示を行う。離陸した無人飛行体6の受電部7への送電が不可能であると判断した場合、第1の送電部1を選択する。そして、判断部3は、第1の送電部1を選択した場合、第1のスペース2が利用可能であるか否かを判断する。
【0051】
図8は、無線電力伝送システム200の運用方法を説明するフローチャートである。図8では、第1の送電部1を複数備え、第2の送電部20を1つ備える場合を示す。ここで、ステップS20に入るトリガーは、判断部3がバッテリ9の充電残量が予め設定した値よりも低下したと判断した場合である。
【0052】
無人飛行体6が航路を航行中にバッテリ9の充電残量が予め設定した値よりも低下した場合、判断部3は、第2の送電部20と第1の送電部1とから何れか1つを選択する。(ステップS20)。
【0053】
ステップ20にて、第2の送電部20を選択した場合、無人飛行体6が第2の送電部20が送電するマイクロ波を受信可能な範囲内に移動する(ステップS21)。
【0054】
ステップ20にて、第1の送電部1を選択した場合、判断部3は、複数の第1の送電部1から受電部7へ送電する第1の送電部1を選択する(ステップS18)。
【0055】
ステップ18において選択した第1の送電部1において、判断部3は選択した第1の送電部1に対応している第1のスペース2が利用可能であるか否かを判断する(ステップS9)。第1のスペース2が利用可能であると判断した場合、無人飛行体6が第1のスペース2に着陸する(ステップS10)。第1のスペース2が利用不可能であると判断した場合、判断部3は第2のスペース4が利用可能であるか否かを判断する(ステップS11)。
【0056】
ステップ11で、第2のスペース4が利用可能であると判断した場合、無人飛行体6は第2のスペース4に着陸する(ステップS12)。ステップS12で、無人飛行体6が第2のスペース4に着陸した場合において、複数の第1の送電部1から受電部7へ送電する第1の送電部1を選択する。電力供給部5を備える場合は、複数の第1の送電部1と電力供給部5との何れかから受電部7へ送電するものを選択する(ステップS13)。第2のスペース4が利用不可能であると判断した場合、現在飛行している近辺の安全な場所に無人飛行体6が不時着する(ステップS14)。無人飛行体6が不時着した場合、受電部7へ送電可能な第1の送電部1があるか否かを判断する(ステップS15)。ステップS15にて受電部7へ送電可能な第1の送電部1があると判断した場合、複数の第1の送電部1から受電部7へ送電する第1の送電部1を選択する(ステップS19)。
【0057】
ステップ10にて無人飛行体6が第1のスペース2に着陸した場合、上記のステップS1に移行し、第1の送電部1から受電部7への送電を実行する。また、無人飛行体6が第2のスペース4に着陸した場合において、ステップ13にて受電部7へ送電する第1の送電部1を選択した場合、上記のステップS1に移行し、第1の送電部1から受電部7への送電を実行する。また、ステップS19にて受電部7へ送電する第1の送電部1を選択した場合、上記のステップS1に移行し、第1の送電部1から受電部7への送電を実行する。無人飛行体6が第2のスペース4に着陸した場合において、ステップ13にて電力供給部5を選択した場合、電力供給部5から受電部7への送電を実行する(ステップS16)。
【0058】
ステップS8にて、制御装置8が第1の送電部1に対してマイクロ波12の送電停止を指示した場合、無人飛行体6が飛行に復帰する。ステップ16にて電力供給部5から受電部7への送電が停止した場合、無人飛行体6が飛行に復帰する(ステップS17)。
【0059】
以上、この発明の実施の形態2に係る無線電力伝送システム及び無線電力伝送方法では、航路を航行している無人飛行体を、航路に対応して設けられた第1のスペースに着陸させて給電しようとする際に、第1のスペースが使用不可能な場合であっても、他の決められた場所である第2のスペースに無人飛行体を着陸させることが可能であり、第2のスペースに着陸後の処置が容易である。
【0060】
例えば、無人飛行体6が主に物流などを目的として、予め決められた航路を航行する場合では、複数の無人飛行体6が同時に航路を航行するような運用が想定される。このような運用では、無人飛行体6が第1のスペース2に着陸して給電を行いたい場合において、既に他の無人飛行体6によって第1のスペース2が使用されている場合がある。この発明の実施の形態2に係る無線電力伝送システム及び無線電力伝送方法では、そのような場合でも、他の充電可能な場所である第2のスペース4を設けることで複数の無人飛行体6に対して滞りなく無人飛行体6への給電を行うことができる。また、第1の送電部1を複数設ける場合では、第2のスペース4に無人飛行体6が着陸した際に複数の第1の送電部1の中からそれぞれの利用状況に応じて使用する第1の送電部1を選択することができ、複数の無人飛行体6に対して効率よく送電を行うことができる。
【0061】
また、着陸した無人飛行体6へ送電する第1の送電部1と離陸した無人飛行体6へ送電する第2の送電部20とから、無人飛行体6の状態に応じて第1の送電部1または第2の送電部20を選択することができる。よって、異なった状況下でも効率のよい給電方法を選択することができる。例えば、バッテリへの充電量が多い場合、またはバッテリの充電残量が少ない場合においては、無人飛行体6を着陸させて第1の送電部1から受電部7への送電を行うことができる。バッテリへの充電量が少なくてよい場合、またはバッテリに無人飛行体6を浮遊させるエネルギが残っている場合においては、第2の送電部20から受電部7へ送電を行うことができる。第2の送電部20から受電部7へ送電を行う場合、第1の送電部1から受電部7へ送電を行う場合と比較して、無人飛行体6の飛行の中断時間と航路からの離脱する距離を小さくすることができる。
【0062】
なお、以上、実施の形態1および実施の形態2に係る無線電力伝送システムを説明したが、各実施の形態に係る構成の一部又は全部を適宜追加または削除することにより無線電力伝送システムを構成してもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0063】
1 第1の送電部、2 第1のスペース、3 判断部、4 第2のスペース、5 電力供給部、6 無人飛行体、7 受電部、8 機上装置、9 バッテリ、10 負荷、11 第1の通信用アンテナ、12 マイクロ波、13 送電装置、14 第2の通信用アンテナ14、15 制御部、16 電源、17 冷却部、18 熱輸送部、19 レドーム、20 第2の送電部、100、200 無線電力伝送システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8