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特許7651386与信管理装置、与信管理方法、および与信管理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-17
(45)【発行日】2025-03-26
(54)【発明の名称】与信管理装置、与信管理方法、および与信管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20250318BHJP
   G06Q 40/03 20230101ALI20250318BHJP
【FI】
G06Q20/40 320
G06Q40/03
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021103508
(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公開番号】P2023002327
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中条 雅文
(72)【発明者】
【氏名】沓名 貴規
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 史彦
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-106987(JP,A)
【文献】特開2020-052684(JP,A)
【文献】特開2003-248754(JP,A)
【文献】特開2009-238100(JP,A)
【文献】特開2003-196474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部および記憶部を備え、与信を管理する与信管理装置であって、
前記記憶部は、
取引先の取引先識別情報と、取引先状況情報と、財務指標を表す決算書データと、現在設定されている与信限度額である前回与信限度額と、前記前回与信限度額の適用期限と、を少なくとも対応付けた与信管理データベースと、
前記取引先識別情報と、申請担当者識別情報と、前記取引先に現在設定されている与信限度基準額である前回与信限度基準額と、を少なくとも対応付けた複数の申請用データが登録されたワークフローデータベースと、
を記憶し、
前記制御部は、
前記与信管理データベースおよび前記ワークフローデータベースから、現時点から所定期間後を前記適用期限とする前記取引先識別情報を抽出し、抽出した前記取引先識別情報と、抽出した前記取引先識別情報に対応する前記決算書データ、前記前回与信限度基準額、および前記前回与信限度額と、を含む複数の新規申請用データを抽出する抽出部と、
抽出した複数の前記新規申請用データを、前記取引先状況情報に基づいて、個別申請対象の前記新規申請用データである個別申請用データと、一括申請対象の前記新規申請用データである一括申請用データと、に分類する分類部と、
前記個別申請用データおよび前記一括申請用データの各々ごとに、前記取引先識別情報によって識別される前記取引先の前記財務指標の評価点に基づいて、新たな前記与信限度基準額である新規与信限度基準額を算出する与信限度基準額算出部と、
前記評価点および前記新規与信限度基準額を含む前記個別申請用データ、および、前記評価点および前記与信限度基準額を含む前記一括申請用データを、対応する前記申請担当者識別情報によって識別される申請担当者へ通知する通知部と、
を備える与信管理装置。
【請求項2】
前記分類部は、
抽出した複数の前記新規申請用データの内、
前記取引先状況情報が要注意先であることを示す前記新規申請用データを、前記個別申請用データに分類し、
前記取引先状況情報が非要注意先であることを示す前記新規申請用データを、前記一括申請用データに分類する、
請求項1に記載の与信管理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、
前記財務指標の閾値と前記評価点とを対応付けた評価点マスタと、
前記評価点と前記与信限度基準額とを対応付けた限度額マスタと、
を記憶し、
前記与信限度基準額算出部は、
前記個別申請用データおよび前記一括申請用データの各々ごとに、前記取引先識別情報によって識別される前記取引先の前記決算書データによって表される前記財務指標に対応する前記評価点を前記評価点マスタから特定し、
前記限度額マスタにおける特定した前記評価点に対応する前記与信限度基準額を、前記新規与信限度基準額として算出する、
請求項1または請求項2に記載の与信管理装置。
【請求項4】
前記通知部は、
前記評価点の前回特定された前記評価点に対する変化方向を表す情報を更に含む前記個別申請用データの個別申請画面を、対応する前記申請担当者識別情報によって識別される前記申請担当者へ通知する、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の与信管理装置。
【請求項5】
前記通知部は、
前記一括申請用データの一覧を含む一括申請画面を、対応する前記申請担当者識別情報によって識別される前記申請担当者へ通知する、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の与信管理装置。
【請求項6】
前記通知部は、
前記個別申請用データおよび前記一括申請用データの少なくとも一方に基づいて前記申請担当者によって入力された与信限度申請金額を更に含む、前記個別申請用データおよび前記一括申請用データの少なくとも一方を、対応する承認者へ更に通知する、
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の与信管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記申請担当者によって入力された前記与信限度申請金額を含む前記個別申請用データおよび前記一括申請用データを、前記ワークフローデータベースに登録する登録部、
を更に備える請求項6に記載の与信管理装置。
【請求項8】
制御部および記憶部を備え、与信を管理する情報処理装置で実行される与信管理方法であって、
前記記憶部には、
取引先の取引先識別情報と、取引先状況情報と、財務指標を表す決算書データと、現在設定されている与信限度額である前回与信限度額と、前記前回与信限度額の適用期限と、を少なくとも対応付けた与信管理データベースと、
前記取引先識別情報と、申請担当者識別情報と、前記取引先に現在設定されている与信限度基準額である前回与信限度基準額と、を少なくとも対応付けた複数の申請用データが登録されたワークフローデータベースと、
が格納されており、
前記制御部で実行される、
前記与信管理データベースおよび前記ワークフローデータベースから、現時点から所定期間後を前記適用期限とする前記取引先識別情報を抽出し、抽出した前記取引先識別情報と、抽出した前記取引先識別情報に対応する前記決算書データ、前記前回与信限度基準額、および前記前回与信限度額と、を含む複数の新規申請用データを抽出するステップと、
抽出した複数の前記新規申請用データを、前記取引先状況情報に基づいて、個別申請対象の前記新規申請用データである個別申請用データと、一括申請対象の前記新規申請用データである一括申請用データと、に分類するステップと、
前記個別申請用データおよび前記一括申請用データの各々ごとに、前記取引先識別情報によって識別される前記取引先の前記財務指標の評価点に基づいて、新たな前記与信限度基準額である新規与信限度基準額を算出するステップと、
前記評価点および前記新規与信限度基準額を含む前記個別申請用データ、および、前記評価点および前記与信限度基準額を含む前記一括申請用データを、対応する前記申請担当者識別情報によって識別される申請担当者へ通知するステップと、
を含むことを特徴とする与信管理方法。
【請求項9】
制御部および記憶部を備え、与信を管理する情報処理装置で実行される与信管理プログラムであって、
前記記憶部には、
取引先の取引先識別情報と、取引先状況情報と、財務指標を表す決算書データと、現在設定されている与信限度額である前回与信限度額と、前記前回与信限度額の適用期限と、を少なくとも対応付けた与信管理データベースと、
前記取引先識別情報と、申請担当者識別情報と、前記取引先に現在設定されている与信限度基準額である前回与信限度基準額と、を少なくとも対応付けた複数の申請用データが登録されたワークフローデータベースと、
が格納されており、
前記制御部において、
前記与信管理データベースおよび前記ワークフローデータベースから、現時点から所定期間後を前記適用期限とする前記取引先識別情報を抽出し、抽出した前記取引先識別情報と、抽出した前記取引先識別情報に対応する前記決算書データ、前記前回与信限度基準額、および前記前回与信限度額と、を含む複数の新規申請用データを抽出するステップと、
抽出した複数の前記新規申請用データを、前記取引先状況情報に基づいて、個別申請対象の前記新規申請用データである個別申請用データと、一括申請対象の前記新規申請用データである一括申請用データと、に分類するステップと、
前記個別申請用データおよび前記一括申請用データの各々ごとに、前記取引先識別情報によって識別される前記取引先の前記財務指標の評価点に基づいて、新たな前記与信限度基準額である新規与信限度基準額を算出するステップと、
前記評価点および前記新規与信限度基準額を含む前記個別申請用データ、および、前記評価点および前記与信限度基準額を含む前記一括申請用データを、対応する前記申請担当者識別情報によって識別される申請担当者へ通知するステップと、
を実行させるための与信管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、与信管理装置、与信管理方法、および与信管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
与信管理を行うシステムが知られている。例えば、基幹システムに登録されている全件の取引先データから、与信限度額の適用期限の近い取引先データをユーザが目視で確認して抽出し、次の適用期限の与信限度額を申請することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-198183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来技術では、ユーザが目視で抽出した取引先データを用いて次の適用期限の与信限度額の申請が行われており、与信管理業務の処理漏れが発生する場合があった。すなわち、従来技術では、与信管理業務を高精度に管理することは困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、与信管理業務を高精度に管理することができる、与信管理装置、与信管理方法、および与信管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る与信管理装置は、制御部および記憶部を備え、与信を管理する与信管理装置であって、前記記憶部は、取引先の取引先識別情報と、取引先状況情報と、財務指標を表す決算書データと、現在設定されている与信限度額である前回与信限度額と、前記前回与信限度額の適用期限と、を少なくとも対応付けた与信管理データベースと、前記取引先識別情報と、申請担当者識別情報と、前記取引先に現在設定されている与信限度基準額である前回与信限度基準額と、を少なくとも対応付けた複数の申請用データが登録されたワークフローデータベースと、を記憶し、前記制御部は、前記与信管理データベースおよび前記ワークフローデータベースから、現時点から所定期間後を前記適用期限とする前記取引先識別情報を抽出し、抽出した前記取引先識別情報と、抽出した前記取引先識別情報に対応する前記決算書データ、前記前回与信限度基準額、および前記前回与信限度額と、を含む複数の新規申請用データを抽出する抽出部と、抽出した複数の前記新規申請用データを、前記取引先状況情報に基づいて、個別申請対象の前記新規申請用データである個別申請用データと、一括申請対象の前記新規申請用データである一括申請用データと、に分類する分類部と、前記個別申請用データおよび前記一括申請用データの各々ごとに、前記取引先識別情報によって識別される前記取引先の前記財務指標の評価点に基づいて、新たな前記与信限度基準額である新規与信限度基準額を算出する与信限度基準額算出部と、前記評価点および前記新規与信限度基準額を含む前記個別申請用データ、および、前記評価点および前記与信限度基準額を含む前記一括申請用データを、対応する前記申請担当者識別情報によって識別される申請担当者へ通知する通知部と、を備える。
【0007】
また、本発明に係る与信管理装置における前記分類部は、抽出した複数の前記新規申請用データの内、前記取引先状況情報が要注意先であることを示す前記新規申請用データを、前記個別申請用データに分類し、前記取引先状況情報が非要注意先であることを示す前記新規申請用データを、前記一括申請用データに分類する。
【0008】
また、本発明に係る与信管理装置における前記記憶部は、前記財務指標の閾値と前記評価点とを対応付けた評価点マスタと、前記評価点と前記与信限度基準額とを対応付けた限度額マスタと、を記憶し、前記与信限度基準額算出部は、前記個別申請用データおよび前記一括申請用データの各々ごとに、前記取引先識別情報によって識別される前記取引先の前記決算書データによって表される前記財務指標に対応する前記評価点を前記評価点マスタから特定し、前記限度額マスタにおける特定した前記評価点に対応する前記与信限度基準額を、前記新規与信限度基準額として算出する。
【0009】
また、本発明に係る与信管理装置における前記通知部は、前記評価点の前回特定された前記評価点に対する変化方向を表す情報を更に含む前記個別申請用データの個別申請画面を、対応する前記申請担当者識別情報によって識別される前記申請担当者へ通知する。
【0010】
また、本発明に係る与信管理装置における前記通知部は、前記一括申請用データの一覧を含む一括申請画面を、対応する前記申請担当者識別情報によって識別される前記申請担当者へ通知する。
【0011】
また、本発明に係る与信管理装置における前記通知部は、前記個別申請用データおよび前記一括申請用データの少なくとも一方に基づいて前記申請担当者によって入力された与信限度申請金額を更に含む、前記個別申請用データおよび前記一括申請用データの少なくとも一方を、対応する承認者へ更に通知する。
【0012】
また、本発明に係る与信管理装置における前記制御部は、前記申請担当者によって入力された前記与信限度申請金額を含む前記個別申請用データおよび前記一括申請用データを、前記ワークフローデータベースに登録する登録部、を更に備える。
【0013】
本発明に係る与信管理方法は、制御部および記憶部を備え、与信を管理する情報処理装置で実行される与信管理方法であって、前記記憶部には、取引先の取引先識別情報と、取引先状況情報と、財務指標を表す決算書データと、現在設定されている与信限度額である前回与信限度額と、前記前回与信限度額の適用期限と、を少なくとも対応付けた与信管理データベースと、前記取引先識別情報と、申請担当者識別情報と、前記取引先に現在設定されている与信限度基準額である前回与信限度基準額と、を少なくとも対応付けた複数の申請用データが登録されたワークフローデータベースと、が格納されており、前記制御部で実行される、前記与信管理データベースおよび前記ワークフローデータベースから、現時点から所定期間後を前記適用期限とする前記取引先識別情報を抽出し、抽出した前記取引先識別情報と、抽出した前記取引先識別情報に対応する前記決算書データ、前記前回与信限度基準額、および前記前回与信限度額と、を含む複数の新規申請用データを抽出するステップと、抽出した複数の前記新規申請用データを、前記取引先状況情報に基づいて、個別申請対象の前記新規申請用データである個別申請用データと、一括申請対象の前記新規申請用データである一括申請用データと、に分類するステップと、前記個別申請用データおよび前記一括申請用データの各々ごとに、前記取引先識別情報によって識別される前記取引先の前記財務指標の評価点に基づいて、新たな前記与信限度基準額である新規与信限度基準額を算出するステップと、前記評価点および前記新規与信限度基準額を含む前記個別申請用データ、および、前記評価点および前記与信限度基準額を含む前記一括申請用データを、対応する前記申請担当者識別情報によって識別される申請担当者へ通知するステップと、を含む。
【0014】
本発明に係る与信管理プログラムは、制御部および記憶部を備え、与信を管理する情報処理装置で実行される与信管理プログラムであって、前記記憶部には、取引先の取引先識別情報と、取引先状況情報と、財務指標を表す決算書データと、現在設定されている与信限度額である前回与信限度額と、前記前回与信限度額の適用期限と、を少なくとも対応付けた与信管理データベースと、前記取引先識別情報と、申請担当者識別情報と、前記取引先に現在設定されている与信限度基準額である前回与信限度基準額と、を少なくとも対応付けた複数の申請用データが登録されたワークフローデータベースと、が格納されており、前記制御部において、前記与信管理データベースおよび前記ワークフローデータベースから、現時点から所定期間後を前記適用期限とする前記取引先識別情報を抽出し、抽出した前記取引先識別情報と、抽出した前記取引先識別情報に対応する前記決算書データ、前記前回与信限度基準額、および前記前回与信限度額と、を含む複数の新規申請用データを抽出するステップと、抽出した複数の前記新規申請用データを、前記取引先状況情報に基づいて、個別申請対象の前記新規申請用データである個別申請用データと、一括申請対象の前記新規申請用データである一括申請用データと、に分類するステップと、前記個別申請用データおよび前記一括申請用データの各々ごとに、前記取引先識別情報によって識別される前記取引先の前記財務指標の評価点に基づいて、新たな前記与信限度基準額である新規与信限度基準額を算出するステップと、前記評価点および前記新規与信限度基準額を含む前記個別申請用データ、および、前記評価点および前記与信限度基準額を含む前記一括申請用データを、対応する前記申請担当者識別情報によって識別される申請担当者へ通知するステップと、を実行させるための与信管理プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、与信管理業務を高精度に管理することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、与信管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、与信管理装置による全体の処理の流れの一例を説明するためのフローを示す図である。
図3A図3Aは、限度額データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図3B図3Bは、申請基本データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図3C図3Cは、申請時評価点データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図3D図3Dは、申請詳細データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図3E図3Eは、企業データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図3F図3Fは、決算書データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図3G図3Gは、評価点マスタのデータ構成の一例を示す模式図である。
図3H図3Hは、評価点データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図3I図3Iは、限度額マスタのデータ構成の一例を示す模式図である。
図3J図3Jは、申請基本データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図3K図3Kは、申請時評価点データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図3L図3Lは、申請詳細データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図4A図4Aは、定期申請画面の一例を示す模式図である。
図4B図4Bは、個別申請画面の一例を示す模式図である。
図5A図5Aは、申請基本データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図5B図5Bは、申請時評価点データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図5C図5Cは、申請詳細データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図6A図6Aは、個別申請の承認画面の一例の模式図である。
図6B図6Bは、申請基本データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図6C図6Cは、申請時評価点データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図6D図6Dは、限度額マスタのデータ構成の一例を示す模式図である。
図7A図7Aは、申請基本データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図7B図7Bは、申請詳細データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図8A図8Aは、定期申請画面の一例を示す模式図である。
図8B図8Bは、一括申請画面の一例を示す模式図である。
図9A図9Aは、申請基本データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図9B図9Bは、申請詳細データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図10A図10Aは、一括申請の承認画面64の一例を示す模式図である。
図10B図10Bは、申請基本データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図10C図10Cは、申請時評価点データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図10D図10Dは、限度額マスタのデータ構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る与信管理装置、与信管理方法、および与信管理プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0018】
[1.構成]
本実施形態に係る与信管理装置100の構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、与信管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
本実施形態の与信管理装置100は、取引先ごとの与信を管理する装置である。本実施形態では、取引先が、企業である形態を一例として説明する。
【0020】
与信管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、与信管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0021】
与信管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備える。与信管理装置100が備える各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0022】
通信インターフェース部104は、ルータなどの通信装置および専用線などの有線または無線の通信回線を介して、与信管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、与信管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に記憶されている各種のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0023】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0024】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0025】
記憶部106は、例えば、与信管理DB(データベース)106aと、WFDB(ワークフローデータベース)106bと、を記憶する。これらのマスタおよびデータは、各種の情報を登録したデータベースやテーブルなどである。
【0026】
与信管理DB106aは、取引先ごとの与信を管理するためのデータベースである。与信管理DB106aは、例えば、取引先の取引先識別情報と、取引先状況情報と、財務指標を表す決算書データと、現在設定されている与信限度額である前回与信限度額と、前回与信限度額の適用期限と、を少なくとも対応付けたデータベースである。
【0027】
本実施形態では、与信管理DB106aは、複数のデータおよびマスタに分けて、これらの項目を対応付けて登録する。詳細には、本実施形態では、与信管理DB106aは、取引先識別情報をキーとして、これらの項目を対応付けて登録する。
【0028】
具体的には、与信管理DB106aは、限度額データ106a1と、企業データ106a2と、決算書データ106a3と、評価点マスタ106a4と、評価点データ106a5と、限度額マスタ106a6と、を含む。これらのデータおよびマスタは、各種の情報を登録したデータベースやテーブルなどである。なお、これらのデータおよびマスタのデータ形式は、データベースやテーブルに限定されない。これらのデータおよびマスタのデータ構造の詳細は後述する。
【0029】
WFDB106bは、与信管理業務におけるワークフローを管理するためのデータベースである。WFDB106bは、取引先識別情報と、申請担当者識別情報と、取引先に現在設定されている与信限度基準額である前回与信限度基準額と、を少なくとも対応付けた複数の申請用データが登録されたデータベースである。
【0030】
本実施形態では、WFDB106bは、複数のデータに分けて、これらの項目を対応付けて登録する。詳細には、本実施形態では、WFDB106bは、取引先識別情報や案件番号などをキーとして、これらの項目を対応付けた申請用データを登録する。
【0031】
具体的には、WFDB106bは、申請基本データ106b1と、申請時評価点データ106b2と、申請詳細データ106b3と、を含む。これらのデータは、各種の情報を登録したデータベースやテーブルなどである。なお、これらのデータおよびマスタのデータ形式は、データベースやテーブルに限定されない。これらのデータおよびマスタのデータ構造の詳細は後述する。
【0032】
制御部102は、与信管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS(オペレーティング・システム)等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0033】
本実施形態では、制御部102は、抽出部102aと、分類部102bと、与信限度基準額算出部102cと、通知部102dと、登録部102eと、を備える。
【0034】
抽出部102aは、与信管理DB106aから、現時点から所定期間後を適用期限とする取引先識別情報を抽出する。所定期間は、例えば、2か月などであるが、これに限定されない。
【0035】
そして、抽出部102aは、抽出した取引先識別情報と、抽出した取引先識別情報に対応する決算書データ106a3、取引先に現在設定されている与信限度基準額である前回与信限度基準額、および取引先に現在設定されている与信限度基準額である前回与信限度額と、を含む複数の新規申請用データを抽出する。抽出部102aは、与信管理DB106aおよびWFDB106bから、現時点から所定期間後を適用期限とする取引先識別情報に対応する情報を抽出することで、新規申請用データを抽出する。
【0036】
分類部102bは、抽出した複数の新規申請用データを、取引先状況情報に基づいて、個別申請対象の新規申請用データである個別申請用データと、一括申請対象の新規申請用データである一括申請用データと、に分類する。
【0037】
詳細には、分類部102bは、抽出部102aで抽出した複数の新規申請用データの内、取引先状況情報が要注意先であることを示す新規申請用データを個別申請用データに分類し、取引先状況情報が非要注意先であることを示す新規申請用データを一括申請用データに分類する。
【0038】
与信限度基準額算出部102cは、分類された個別申請用データおよび一括申請用データの各々ごとに、取引先識別情報によって識別される取引先の財務指標の評価点に基づいて、次の適用期限用の新たな与信限度基準額である新規与信限度基準額を算出する。
【0039】
通知部102dは、評価点および新規与信限度基準額を含む個別申請用データ、および、評価点および与信限度基準額を含む一括申請用データを、対応する申請担当者識別情報によって識別される申請担当者へ通知する。
【0040】
登録部102eは、申請担当者によって入力された与信限度申請金額を含む個別申請用データおよび一括申請用データを、WFDB106bに登録する。
【0041】
そして、申請担当者によって与信限度申請金額が入力されると、通知部102dは、入力された与信限度申請金額を更に含む個別申請用データおよび一括申請用データの少なくとも一方を、対応する承認者へ更に通知する。
【0042】
登録部102eは、承認者によって承認された個別申請用データおよび一括申請用データに、承認済を表すフラグを付与してWFDB106bに登録する。
【0043】
[2.具体例]
図2図10Dを参照して、本実施の形態における与信管理装置100の処理の具体例を説明する。
【0044】
なお、本実施形態では、取引先が企業である形態を一例として説明する。また、取引先識別情報として、企業の識別情報である親企業コードを用いる場合を一例として説明する。また、本実施形態では、本実施形態で用いるデータベース、マスタ、およびデータの構造を簡略化して記載するものとする。これらのデータベース、マスタ、およびデータの実際の構造は、より複雑であるが、本発明と直接関係のない部分については実際より簡略化して示す。
【0045】
図2は、本実施の形態における与信管理装置100による全体の処理の流れの一例を説明するためのフローを示す図である。例えば、与信管理装置100の制御部102は、所定タイミングごとに図2に示すフローを実行する。本実施形態では、制御部102は、24時間ごとに、例えば業務時間外の夜間等に、図2に示すフローを実行する形態を一例として説明する。
【0046】
抽出部102aは、与信管理DB106aおよびWFDB106bの適用期限を確認し、現在から所定期間後を適用期限とする親企業コードを抽出する(ステップS100)。例えば、制御部102は、現在から2ヶ月後を適用期限とする親企業コードを抽出する。本フローでは、現在が2021年6月31日である場面を想定して説明する。
【0047】
図3Aは、与信管理DB106aに含まれる限度額データ106a1のデータ構成の一例を示す模式図である。限度額データ106a1は、親企業コードと、企業名と、与信限度額と、適用期限と、を対応付けたデータベースである。限度額データ106a1には、取引先識別情報である親企業コードごとに、現在設定されている与信限度基準額である前回与信限度基準額と、該与信限度基準額の適用期限と、が対応付けて登録されている。
【0048】
この場合、抽出部102aは、現在から2ヶ月後である2021年8月31日を適用期限とする親企業コードを、限度額データ106a1から抽出する。なお、抽出部102aは、具体的なデータ構成を後述するWFDB106bから、現在から2ヶ月後を適用期限とする親企業コードを抽出してもよい。
【0049】
図2に戻り説明を続ける。次に、抽出部102aは、ステップS100で抽出した親企業コードを含む、新規申請用データを抽出する(ステップS102)。
【0050】
例えば、抽出部102aは、抽出した親企業コードと、抽出した親企業コードに対応する、決算書データ106a3、前回与信限度基準額、および前回与信限度額を与信管理DB106aおよびWFDB106bから抽出することで、親企業コードごとに、新規申請用データを生成する。
【0051】
図3B図3Dは、WFDB106bに含まれる申請基本データ106b1、申請時評価点データ106b2、および申請詳細データ106b3のデータ構成の一例を示す模式図である。
【0052】
図3Bは、申請基本データ106b1のデータ構成の一例を示す模式図である。申請基本データ106b1は、案件番号と、親企業コードと、部署1と、担当者1と、部署2と、担当者2と、ステータスと、を対応付けたデータベースである。案件番号は、申請用データを識別するための識別番号であり、申請用データごとに付与される。担当者1および担当者2は、対応する親企業コードによって識別される取引先である企業の、申請担当者を識別する申請担当者識別情報である。ステータスは、対応する案件番号によって識別される申請用データの承認フローにおけるステータスを意味する。ステータスは、例えば、「承認済」、「申請中」、「未申請」などである。
【0053】
図3Cは、申請時評価点データ106b2のデータ構成の一例を示す模式図である。申請時評価点データ106b2は、案件番号と、案件番号によって識別される申請用データによる申請対象の取引先である企業の、財務指標の各々の評価点と、比較案件番号と、を登録したデータベースである。図3Cには、案件番号に対応する財務指標の科目として、売上高前年比、有利子負債月商比、自己資本比率、流動比率、当座比率、固定比率、の各々の科目名を一例として示す。
【0054】
図3Dは、申請詳細データ106b3のデータ構成の一例を示す模式図である。申請詳細データ106b3は、案件番号と、評価点と、与信限度基準額と、申請額1と、従来金額1と、適用期限1と、申請額2と、従来金額2と、適用期限2と、を対応付けたデータベースである。申請詳細データ106b3の評価点には、申請時評価点データ106b2における対応する案件番号の評価点の総合の評価点である合計値が登録される。また、図3Dには、案件番号に対応する与信限度基準額および適用期限として、取引先に現在設定されている与信限度基準額である前回与信限度基準額、前回与信限度基準額の適用期限が登録されている状態を示す。申請額は、与信限度額の申請額を意味する。従来金額は、前回設定された与信限度額である。申請額、従来金額、および適用期限の右に付与されている数字1,2は、図3Bの申請基本データ106b1に示す担当者の右に付与されている数字1,2の各々に対応する。
【0055】
図3B図3Dに示すように、WFDB106bは、例えば、申請基本データ106b1、申請時評価点データ106b2、および申請詳細データ106b3から構成されている。そして、WFDB106bは、案件番号によって識別される申請用データごとに、親企業コード、申請担当者識別情報である担当者、取引先に現在設定されている与信限度基準額である前回与信限度基準額、などが対応付けて登録されている。
【0056】
上述したように、抽出部102aは、WFDB106bまたは与信管理DB106aから、現在から2ヶ月後を適用期限とする親企業コードを抽出する。図3A図3Dに示す状態の与信管理DB106aおよびWFDB106bを用いる場合を想定して説明する。この場合、抽出部102aは、現在から2ヶ月後である2021年8月31日を適用期限とする親企業コード「5678901234」、「6789012345」、「7890123456」、およひ「8901234567」を抽出する。そして、抽出部102aは、抽出したこれらの親企業コードと、新たに付与した案件番号と、抽出した親企業コードに対応する、決算書データ106a3、前回与信限度基準額、および前回与信限度額を与信管理DB106aおよびWFDB106bから抽出することで、親企業コードごとに、新規申請用データを生成する。このため、WFDB106bには、新たな案件番号が付与された新規申請用データの行が、申請基本データ106b1、申請時評価点データ106b2、および申請詳細データ106b3に登録された状態となる。なお、新規申請用データの詳細は後述する。
【0057】
図2に戻り説明を続ける。次に、分類部102bが、ステップS102で抽出した新規申請用データを、親企業コードによって識別される企業の取引先状況情報に基づいて、個別申請対象の新規申請用データである個別申請用データと、一括申請対象の新規申請用データである一括申請用データと、に分類する(ステップS104)。
【0058】
本実施形態では、分類部102bは、企業データ106a2に登録されている取引先状況情報に基づいて、分類処理を実行する。取引先状況情報は、取引先の現在の状況を表す情報である。取引先状況情報は、例えば、上場区分、現在設定されている与信限度基準額、および、業務注意状況、の少なくとも1つである。
【0059】
分類部102bは、抽出した複数の新規申請用データの内、取引先状況情報が要注意先であることを示す新規申請用データを個別申請用データに分類する。また、分類部102bは、抽出した複数の新規申請用データの内、取引先状況情報が非要注意先であることを示す新規申請用データを、一括申請用データに分類する。要注意先とは、安全性が低いことを意味する。非要注意先とは、安全性が高い事を意味する。
【0060】
図3Eは企業データ106a2のデータ構成の一例を示す模式図である。企業データ106a2は、親企業コードと、企業名と、取引先状況情報と、を対応付けたデータベースである。企業データ106a2は、例えば、企業データ106a21、企業データ106a22、および企業データ106a23の少なくとも1つのデータ構成である。分類部102bは、企業データ106a21、企業データ106a22、および企業データ106a23の少なくとも1つを用いて、分類処理を実行する。
【0061】
企業データ106a21は、親企業コードと、企業名と、取引先状況情報である上場区分と、を対応付けたデータベースである。
【0062】
取引先状況情報として上場区分を用いる場合、分類部102bは、企業データ106a21における上場区分「非上場」に対応する親企業コードを含む新規申請用データを、個別申請用データに分類する。一方、分類部102bは、企業データ106a21における上場区分「上場」に対応する親企業コードを含む新規申請用データを、一括申請用データに分類する。
【0063】
企業データ106a22は、親企業コードと、企業名と、取引先状況情報である現在設定されている与信限度基準額と、を対応付けたデータベースである。
【0064】
取引先状況情報として与信限度基準額を用いる場合、分類部102bは、企業データ106a22における、大口与信先を表す閾値以上の金額の与信限度基準額に対応する親企業コードを含む新規申請用データを、個別申請用データに分類する。一方、分類部102bは、企業データ106a22における、大口与信先を表す閾値未満、すなわち小口与信先を表す金額の与信限度基準額に対応する親企業コードを含む新規申請用データを、一括申請用データに分類する。
【0065】
企業データ106a23は、親企業コードと、企業名と、取引先状況情報である現在設定されている業況注意フラグと、を対応付けたデータベースである。業況注意フラグは、企業の業務注意状況が、注意を要する状況であるか注意不要の状況であるかを表す情報である。
【0066】
取引先状況情報として業務注意状況を用いる場合、分類部102bは、企業データ106a23における、業況注意フラグ「要」に対応する親企業コードを含む新規申請用データを、個別申請用データに分類する。一方、分類部102bは、企業データ106a23における、業況注意フラグ「不要」に対応する親企業コードを含む新規申請用データを、一括申請用データに分類する。
【0067】
なお、分類部102bは、上場区分、現在設定されている与信限度基準額、および、業務注意状況、の少なくとも2以上を取引先状況情報として用いて、分類処理を行ってもよい。この場合、企業データ106a21、企業データ106a22、および企業データ106a23の内の2以上を組み合わせて、分類処理に用いればよい。また、分類部102bは、他の取引先状況情報を更に用いて、分類処理を行ってもよい。
【0068】
図2に戻り説明を続ける。次に、制御部102は、個別申請用データについては(ステップS106:Yes、ステップS116:Yes)、ステップS108~ステップ128の処理を実行する。
【0069】
与信限度基準額算出部102cは、個別申請用データの各々ごとに(ステップS106:Yes)、個別申請用データに含まれる親企業コードによって識別される取引先である企業の評価点を算出する(ステップS108)。評価点は、与信の取引先である企業の財務指標の評価点である。
【0070】
そして、与信限度基準額算出部102cは、算出した評価点に基づいて、次の適用期限用の新たな与信限度基準額である新規与信限度基準額を算出する(ステップS110)。
【0071】
与信限度基準額算出部102cは、与信管理DB106aを用いて、個別申請用データに含まれる親企業コードによって識別される取引先の評価点および新規与信限度基準額を算出する。
【0072】
図3F図3Hは、与信管理DB106aに含まれる、決算書データ106a3、評価点マスタ106a4、評価点データ106a5、および限度額マスタ106a6の各々のデータ構成の一例を示す模式図である。
【0073】
図3Fは、決算書データ106a3のデータ構成の一例を示す模式図である。決算書データ106a3は、取引先である企業の財務指標のデータを表す。本実施形態では、決算書データ106a3は、現時点に最も近い直前の決算による財務指標データを表す。例えば、決算書データ106a3は、親企業コードと、決算期と、科目名と、金額と、を対応付けたデータベースである。図3Fには、一例として、親企業コード「5678901234」の直前の決算による財務指標のデータの一例を示す。
【0074】
図3Gは、評価点マスタ106a4のデータ構成の一例を示す模式図である。評価点マスタ106a4は、財務指標の科目名と、閾値と、評価点と、を対応付けたデータベースである。図3Gには、財務指標の科目ごとに、上限値と下限値とによって表される範囲を閾値として示す。
【0075】
図3Hは、評価点データ106a5のデータ構成の一例を示す模式図である。評価点データ106a5は、親企業コードと、企業名と、評価点と、を対応付けたデータベースである。
【0076】
与信限度基準額算出部102cは、個別申請用データの各々ごとに、取引先識別情報である親企業コードによって識別される企業の、決算書データ106a3によって表される財務指標に対応する評価点を、評価点マスタ106a4から特定する。
【0077】
具体的には、例えば、親企業コード「5678901234」の企業について、与信限度基準額算出部102cは、図3Fに示す決算書データ106a3に含まれる財務指標の科目ごとに、評価点マスタ106a4を用いて科目ごとの評価点を特定する。詳細には、与信限度基準額算出部102cは、流動比率「101.2%」に対応する評価点として、評価点マスタ106a4から評価点「10」を特定する。同様に、与信限度基準額算出部102cは、当座比率「120.2%」に対応する評価点として、評価点マスタ106a4から評価点「10」を特定する。同様に、与信限度基準額算出部102cは、固定比率「99.2%」に対応する評価点として、評価点マスタ106a4から評価点「10」を特定する。
【0078】
そして、与信限度基準額算出部102cは、これらの財務指標の科目の各々について特定した評価点の合計値を、親企業コード「5678901234」の総合の評価点として算出し、評価点データ106a5に登録する(図3H参照)。
【0079】
そして、与信限度基準額算出部102cは、算出した評価点と、限度額マスタ106a6と、を用いて、次の適用期限用の新たな与信限度基準額である新規与信限度基準額を算出する。
【0080】
図3Iは、限度額マスタ106a6のデータ構成の一例を示す模式図である。限度額マスタ106a6は、格付と、評価点と、与信限度基準額の限度額と、を対応付けたデータベースである。
【0081】
与信限度基準額算出部102cは、限度額マスタ106a6における、親企業コードすなわち個別申請用データの各々ごとに算出した評価点に対応する限度額を、新たな与信限度基準額である新規与信限度基準額として算出する。
【0082】
具体的には、例えば、与信限度基準額算出部102cは、評価点「75」である親企業コード「5678901234」の新規与信限度基準額として「35,000,000」を算出する。また、与信限度基準額算出部102cは、評価点「59」である親企業コード「6789012345」の新規与信限度基準額として「21,000,000」を算出する。また、与信限度基準額算出部102cは、評価点「65」である親企業コード「7890123456」の新規与信限度基準額として「25,000,000」を算出する。同様に、与信限度基準額算出部102cは、評価点「72」である親企業コード「8901234567」の新規与信限度基準額として「30,000,000」を算出する。
【0083】
図2に戻り説明を続ける。そして、与信限度基準額算出部102cは、ステップS108で算出した評価点およびステップS110で算出した新規与信限度基準額を含む個別申請用データを、WFDB106bに登録する(ステップS112)。
【0084】
図3J図3Lは、評価点および新規与信限度基準額を含む個別申請用データ30の登録されたWFDB106bの一例を示す模式図である。
【0085】
図3Jは、個別申請用データ30を登録された申請基本データ106b1のデータ構成の一例を示す模式図である。図3Kは、個別申請用データ30を登録された申請時評価点データ106b2のデータ構成の一例を示す模式図である。図3Lは、個別申請用データ30を登録された申請詳細データ106b3のデータ構成の一例を示す模式図である。
【0086】
図3J図3Lに示すように、申請基本データ106b1、申請時評価点データ106b2、および申請詳細データ106b3には、案件番号、親企業コード、部署1、担当者1、部署2、担当者2、ステータス、財務指標の科目名に対応する評価点、比較案件番号、算出した評価点、算出した新規与信限度基準額である与信限度基準額、などを対応付けた個別申請用データ30が、案件番号ごとに登録される。
【0087】
なお、この時点では、与信限度基準額算出部102cは、ステータスを「未申請」とした個別申請用データ30を登録する。
【0088】
図2に戻り説明を続ける。通知部102dは、個別申請用データ30を対応する申請担当者識別情報によって識別される申請担当者へ通知する(ステップS114)。
【0089】
すなわち、制御部102は、個別申請用データ30や後述する一括申請用データなどの新規申請用データを作成すると、新規申請用データに含まれる「担当者1」または「担当者2」によって表される申請担当者へ通知する。詳細には、通知部102dは、申請担当者のアドレス宛に、作成した個別申請用データ30や後述する一括申請用データなどの新規申請用データの一覧を、ネットワーク300を介して送信する。
【0090】
このように、所定期間後を適用期限とする親企業コードの企業である取引先に関する新規申請用データが制御部102で自動作成され、個別申請用データ30と一括申請用データに分類されて申請担当者へ通知される。このため、与信管理業務の処理漏れリスクの軽減を図ることが出来る。
【0091】
図4Aは、申請担当者である「山田 太郎」のパーソナルコンピュータのモニタに表示された定期申請画面50の一例を示す模式図である。定期申請画面50は、例えば、与信管理装置100の制御部102で作成された新規申請用データの一覧を含む。申請担当者は、表示された新規申請用データの一覧の中から、申請対象の1つの新規申請用データを選択する。ここでは、1つの個別申請用データ30Aが選択された場面を想定して説明を続ける。
【0092】
図2に戻り説明を続ける。個別申請用データ30が選択された場合(ステップS116:Yes)、ステップS118へ進む。
【0093】
ステップS118では、通知部102dは、ステップS116で選択された個別申請用データ30の個別申請画面を申請担当者へ通知する(ステップS118)。
【0094】
なお、通知部102dは、評価点の前回特定された評価点に対する変化方向を表す情報を更に含む個別申請用データ30の個別申請画面52を、対応する申請担当者識別情報によって識別される申請担当者へ通知してもよい。
【0095】
詳細には、通知部102dは、ステップS108で算出された財務指標の科目名および総合の評価点の各々について、対応する親企業コードに現在設定されている対応する財務指標の科目名および総合の評価点の各々と比較する。そして、評価点が現在設定されている評価点より高い場合には上矢印を表す情報、同じである場合には横向きの矢印を表す情報、低い場合には下矢印を表す情報、を各々の評価点に付与する。なお、これらの変化方向を表す情報の付与は、与信限度基準額算出部102cが行ってもよい。
【0096】
そして、通知部102dは、これらの変化方向を表す情報を含む個別申請用データ30の個別申請画面52を、対応する申請担当者識別情報によって識別される申請担当者へ通知する。
【0097】
図4Bは、個別申請画面52の一例を示す模式図である。図4Aに示すように、申請担当者である「山田 太郎」によって、案件番号「101」の企業名「EEEEE」の個別申請用データ30Aが選択された場面を想定する。この場合、通知部102dは、選択された個別申請用データ30Aを含む個別申請画面52を生成し、申請担当者である「山田 太郎」のアドレス宛に個別申請画面52を通知する。このため、申請担当者である「山田 太郎」のパーソナルコンピュータのモニタには、例えば、図4Bに示す個別申請画面52が表示される。
【0098】
図4Bに示すように、個別申請画面52は、選択された個別申請用データ30Aの取引先識別情報である親企業コード、取引先の財務指標を表す決算書データ106a3に含まれる財務指標のデータ、前回与信限度基準額、前回与信限度額、財務指標の評価点、新たな与信限度基準額である新規与信限度基準額、評価点の前回の評価点に対する変化方向を表す変化情報である矢印、を含む。また、個別申請画面52は、個別申請用データ30Aにおける、今回申請する与信限度額である与信限度申請金額の入力欄52Aを含む。
【0099】
このため、申請担当者は、所定期間後を適用期限とする親企業コードの企業である取引先に関して、与信の申請に必要な多量の項目を手入力することなく、与信の申請に必要な最低限の項目(例えば、与信限度金額)の入力を行うことで、新たな与信申請を行うことができる。
【0100】
また、個別申請画面52には、取引先の財務指標を表す決算書データ106a3、前回与信限度基準額、前回与信限度額、財務指標のデータ、財務指標の評価点、新たな与信限度基準額である新規与信限度基準額、評価点の前回の評価点に対する変化方向を表す変化情報である矢印、などが含まれる。このため、申請担当者は、これらの情報を参照することで、容易に与信限度申請金額を設定することができる。
【0101】
申請担当者は、入力欄52Aへ与信限度申請金額を入力し、申請ボタンを入力することで、与信限度申請金額を含む個別申請用データ30Aの申請依頼を行う。
【0102】
図2に戻り説明を続ける。すると、登録部102eは、申請担当者から、与信限度申請金額および申請要求信号を含む個別申請用データ30Aを受付ける(ステップS120)。登録部102eは、受け付けた個別申請用データ30Aに含まれる与信限度申請金額を、申請詳細データ106b3の対応する個別申請用データ30Aへ登録する。
【0103】
図5A図5Cは、申請担当者によって入力された与信限度申請金額を含む個別申請用データ30の登録された申請基本データ106b1、申請時評価点データ106b2、申請詳細データ106b3のデータ構成の一例を示す模式図である。図5A図5Cに示すように、案件番号「101」の個別申請用データ30Aには、担当者1である申請担当者「山田 太郎」によって入力された与信限度申請金額である「15,000,000」が申請額2として登録された状態となる。また、登録部102eは、申請依頼を受け付けると、個別申請用データ30Aにおけるステータスを「申請中」に変更する。
【0104】
図2に戻り説明を続ける。通知部102dは、ステップS122で与信限度申請金額を登録され申請要求された個別申請用データ30Aの個別申請の承認画面を、対応する承認者へ通知する(ステップS124)。例えば、制御部102は、親企業コードごとに、承認者識別情報を予め記憶する。そして、通知部102dは、申請依頼された個別申請用データ30Aに含まれる親企業コードに対応する承認者識別情報を特定し、特定した承認者識別情報によって識別される承認者のアドレス宛に、個別申請用データ30の個別申請の承認画面を、ネットワーク300を介して通知する(ステップS124)。
【0105】
このため、承認者のパーソナルコンピュータのモニタには、例えば、図6Aに示す個別申請の承認画面54が表示される。なお、通知部102dは、申請担当者から申請された複数の新規申請用データ(個別申請用データ30や一括申請用データ)の一覧を承認者のパーソナルコンピュータのモニタに表示してもよい。そして、承認者から1つの新規申請用データである個別申請用データ30が選択されると、選択された個別申請用データ30の個別申請の承認画面54をモニタに表示してもよい。
【0106】
図6Aに示すように、個別申請の承認画面54には、個別申請用データ30Aの取引先識別情報である親企業コード、取引先の財務指標を表す決算書データ106a3に含まれる財務指標のデータ、前回与信限度基準額、前回与信限度額、財務指標の評価点、新たな与信限度基準額である新規与信限度基準額、評価点の前回の評価点に対する変化方向を表す変化情報である矢印、を含む。また、個別申請画面52は、個別申請用データ30Aにおける、今回申請された与信限度額が含まれる。
【0107】
このため、承認者は、所定期間後を適用期限とする親企業コードの企業である取引先に関して、与信の申請の確認に必要な多量の項目を別途確認することなく、1つの承認画面54で、与信の申請の確認に必要な項目を確認することができる。
【0108】
また、個別申請の承認画面54には、取引先の財務指標を表す決算書データ106a3に含まれる財務指標データ、前回与信限度基準額、前回与信限度額、財務指標のデータ、財務指標の評価点、新たな与信限度基準額である新規与信限度基準額、評価点の前回の評価点に対する変化方向を表す変化情報である矢印、などが含まれる。このため、承認者は、これらの情報を参照することで、容易に与信限度申請金額を承認するか否かを判定することができる。
【0109】
承認者は、承認ボタンを入力することで、個別申請用データ30Aの承認を行う。
【0110】
図2に戻り説明を続ける。すると、登録部102eは、承認者から、承認信号を含む個別申請用データ30Aを受付ける(ステップS126)。登録部102eは、受け付けた個別申請用データ30Aに含まれるステータスを「承認済」に変更する(ステップS128)。そして、本ルーチンを終了する。
【0111】
図6Bおよび図6Cは、登録部102eによってステップS128の処理が行われた後の申請基本データ106b1、申請時評価点データ106b2、および限度額マスタ106a6のデータ構成の一例を示す模式図である。
【0112】
登録部102eは、個別申請用データ30Aのステータスを「承認済」に設定する(図6B参照)。また、登録部102eは、上記処理によって個別申請用データ30の各々が承認されると、承認された個別申請用データ30の親企業コードに対応付けて、承認された与信限度申請金額を与信限度額とし、新たな適用期限を対応付けて限度額マスタ106a6に登録する。このため、図6Dに示すように、限度額マスタ106a6には、親企業コードに対応付けて、企業名と、新たに設定された与信限度額と、該与信限度額の適用期限と、が対応付けて登録された状態となる。
【0113】
図2に戻り説明を続ける。一方、制御部102は、ステップS104で分類された一括申請用データについては(ステップS106:No、ステップS116:No)、ステップS130~ステップ134、ステップS114、ステップS116、ステップS136~ステップS146の処理を実行する。
【0114】
与信限度基準額算出部102cは、一括申請用データの各々ごとに(ステップS106:No)、一括申請用データ32に含まれる親企業コードによって識別される取引先である企業の評価点を算出する(ステップS130)。与信限度基準額算出部102cは、個別申請用データ30における評価点の算出処理と同様にして、一括申請用データ32に含まれる親企業コードによって識別される企業の評価点を算出すればよい。
【0115】
次に、与信限度基準額算出部102cは、ステップS130で算出した評価点に基づいて、次の適用期限用の新たな前記与信限度基準額である新規与信限度基準額を算出する(ステップS132)。与信限度基準額算出部102cは、与信管理DB106aを用いて、一括申請用データに含まれる親企業コードによって識別される取引先の評価点および新規与信限度基準額を算出する。与信限度基準額算出部102cは、個別申請用データ30における新規与信限度基準額の算出処理と同様にして、一括申請用データの新規与信限度基準額を算出すればよい。
【0116】
そして、与信限度基準額算出部102cは、ステップS130で算出した評価点およびステップS132で算出した新規与信限度基準額を含む一括申請用データを、WFDB106bに登録する(ステップS134)。
【0117】
図7A図7Bは、評価点および新規与信限度基準額を含む一括申請用データ32の登録されたWFDB106bの一例を示す模式図である。
【0118】
図7Aは、一括申請用データ32を登録された申請基本データ106b1のデータ構成の一例を示す模式図である。図7Bは、一括申請用データ32を登録された申請詳細データ106b3のデータ構成の一例を示す模式図である。
【0119】
図7Aおよび図7Bに示すように、申請基本データ106b1および申請詳細データ106b3には、案件番号、親企業コード、部署1、担当者1、部署2、担当者2、ステータス、算出した評価点、算出した新規与信限度基準額である与信限度基準額、などを対応付けた一括申請用データ32が、案件番号ごとに登録される。なお、図示は省略するが、申請時評価点データ106b2についても同様に、案件番号ごとに財務指標の科目名に対応する評価点および比較案件番号を含む一括申請用データ32が登録される。
【0120】
なお、この時点では、与信限度基準額算出部102cは、ステータスを「未申請」とした一括申請用データ32を登録する。
【0121】
図2に戻り説明を続ける。通知部102dは、一括申請用データ32を対応する申請担当者識別情報によって識別される申請担当者へ通知する(ステップS114)。
【0122】
すなわち、制御部102は、個別申請用データ30や一括申請用データ32などの新規申請用データを作成すると、新規申請用データに含まれる「担当者1」または「担当者2」によって表される申請担当者へ通知する。詳細には、通知部102dは、申請担当者のアドレス宛に、作成した個別申請用データ30や一括申請用データ32などの新規申請用データの一覧を、ネットワーク300を介して送信する。
【0123】
このように、所定期間後を適用期限とする親企業コードの企業に関する新規申請用データが制御部102で自動作成され、個別申請用データ30と一括申請用データ32に分類されて申請担当者へ通知される。このため、与信管理業務の処理漏れリスクの軽減を図ることが出来る。
【0124】
図8Aは、申請担当者である「山田 太郎」のパーソナルコンピュータのモニタに表示された定期申請画面50の一例を示す模式図である。定期申請画面50は、例えば、与信管理装置100の制御部102で作成された新規申請用データの一覧を含む。申請担当者は、表示された新規申請用データの一覧の中から、申請対象の1つの新規申請用データを選択する。ここでは、一括申請用データ32が選択された場面を想定して説明を続ける。
【0125】
図2に戻り説明を続ける。一括申請用データ32が選択された場合(ステップS116:No)、ステップS136へ進む。
【0126】
ステップS136では、通知部102dは、ステップS116で選択された一括申請用データ32の一括申請画面を申請担当者へ通知する(ステップS136)。
【0127】
図8Bは、一括申請画面62の一例を示す模式図である。図8Aに示すように、申請担当者である「山田 太郎」によって、一括申請用データ32が選択された場面を想定する。この場合、通知部102dは、選択された一括申請用データ32を含む一括申請画面62を生成し、申請担当者である「山田 太郎」のアドレス宛に一括申請画面62を通知する。このため、申請担当者である「山田 太郎」のパーソナルコンピュータのモニタには、例えば、図8Bに示す一括申請画面62が表示される。
【0128】
図8Bに示すように、一括申請画面62には、申請担当者「山田 太郎」に対応する一括申請用データ32の一覧が表示される。一括申請画面62は、個別申請画面52に比べて簡易的な表示となっており、一括申請用データ32に分類された新規申請用データの一覧を一括して視認可能な構成となっている。また、一括申請画面62は、一括申請用データ32ごとに、今回申請する与信限度額である与信限度申請金額の入力欄62Aを含む。
【0129】
このため、申請担当者は、所定期間後を適用期限とする親企業コードの企業である取引先に関して、与信の申請に必要な多量の項目を手入力することなく、与信の申請に必要な最低限の項目(例えば、与信限度金額)の入力を行うことで、新たな与信申請を一括して行うことができる。
【0130】
また、一括申請画面62には、申請担当者が担当する複数の新規申請用データの一覧が示される。また、一括申請画面62には、取引先の財務指標を表す決算書データ106a3に含まれる財務指標の科目の一部、および評価点、などが含まれる。このため、申請担当者は、これらの情報を参照することで、一括申請用データ32に分類された複数の新規申請用データの与信限度申請金額を容易に設定することができる。
【0131】
申請担当者は、入力欄62Aへ与信限度申請金額を入力し、申請ボタンを入力することで、与信限度申請金額を含む一括申請用データ32の申請依頼を行う。
【0132】
図2に戻り説明を続ける。すると、登録部102eは、申請担当者から、与信限度申請金額および申請要求信号を含む一括申請用データ32を受付ける(ステップS138)。登録部102eは、受け付けた一括申請用データ32に含まれる与信限度申請金額を、申請詳細データ106b3の対応する一括申請用データ32へ登録する(ステップS140)。
【0133】
図9A図9Bは、申請担当者によって入力された与信限度申請金額を含む一括申請用データ32の登録された申請基本データ106b1、および申請詳細データ106b3のデータ構成の一例を示す模式図である。図9Aおよび図9Bに示すように、案件番号「111」の一括申請用データ32には、担当者1である申請担当者「山田 太郎」によって入力された与信限度申請金額である「9,000,000」が申請額1として登録された状態となる。また同様の処理によって、担当者1である主管申請担当「山田 太郎」によって入力された与信限度申請金額である「11,000,000」が申請額2として登録された状態となる。また、登録部102eは、申請依頼を受け付けると、一括申請用データ32におけるステータスを「申請中」に変更する。
【0134】
図2に戻り説明を続ける。通知部102dは、ステップS138で与信限度申請金額を登録され申請要求された一括申請用データ32の一括申請の承認画面を、対応する承認者へ通知する(ステップS142)。例えば、制御部102は、親企業コードごとに、承認者識別情報を予め記憶する。そして、通知部102dは、申請依頼された一括申請用データに含まれる親企業コードに対応する承認者識別情報を特定し、特定した承認者識別情報によって識別される承認者のアドレス宛に、一括申請用データ32の一括申請の承認画面を、ネットワーク300を介して通知する(ステップS142)。
【0135】
このため、承認者のパーソナルコンピュータのモニタには、例えば、図10Aに示す一括申請の承認画面64が表示される。なお、通知部102dは、申請担当者から申請された複数の新規申請用データ(個別申請用データ30や一括申請用データ32)の一覧を承認者のパーソナルコンピュータのモニタに表示してもよい。そして、承認者から1つの新規申請用データである一括申請用データ32が選択されると、選択された一括申請用データ32の一括申請の承認画面64をモニタに表示してもよい。
【0136】
図10Aに示すように、一括申請の承認画面64には、一括申請用データ32の一覧が表示される。一括申請の承認画面64は、個別申請の承認画面54に比べて簡易的な表示となっており、一括申請用データ32に分類された新規申請用データの一覧を一括して視認可能な構成となっている。
【0137】
このため、承認者は、所定期間後を適用期限とする親企業コードの企業である取引先に関して、与信の申請の確認に必要な多量の項目を別途確認することなく、1つの一括申請の承認画面64で、与信の申請の確認に必要な項目を確認することができる。
【0138】
また、一括申請の承認画面64には、一括申請用データ32の一覧が表示される。このため、承認者は、一括申請用データ32に分類された新規申請用データの一覧を、一括して承認または非承認とすることができる。
【0139】
例えば、承認者は、承認ボタンを入力することで、一括申請用データ32の承認を行う。
【0140】
図2に戻り説明を続ける。すると、登録部102eは、承認者から、承認信号を含む一括申請用データ32を受付ける(ステップS144)。登録部102eは、受け付けた一括申請用データ32に含まれるステータスを「承認済」に変更する(ステップS146)。そして、本ルーチン終了する。
【0141】
図10B図10Dは、登録部102eによってステップS146の処理が行われた後の申請基本データ106b1、申請時評価点データ106b2、および限度額マスタ106a6のデータ構成の一例を示す模式図である。
【0142】
登録部102eは、承認された一括申請用データ32のステータスを「承認済」に設定する(図10B参照)。また、登録部102eは、上記処理によって一括申請用データ32の各々が承認されると、承認された一括申請用データ32の親企業コードに対応付けて、承認された与信限度申請金額を与信限度額とし、新たな適用期限を対応付けて限度額マスタ106a6に登録する。このため、図10Dに示すように、限度額マスタ106a6には、親企業コードに対応付けて、企業名と、新たに設定された与信限度額と、該与信限度額の適用期限と、が対応付けて登録された状態となる。
【0143】
以上説明したように、本実施形態の与信管理装置100は、制御部102と、記憶部106と、を備える。記憶部106は、与信管理DB106aとWFDB106bとを記憶する。与信管理DB106aは、取引先の取引先識別情報(親企業コード)と、取引先状況情報と、財務指標を表す決算書データ106a3と、現在設定されている与信限度額である前回与信限度額と、前記前回与信限度額の適用期限と、を少なくとも対応付けたデータベースである。WFDB106bは、取引先識別情報(親企業コード)と、申請担当者識別情報と、取引先に現在設定されている与信限度基準額である前回与信限度基準額と、を少なくとも対応付けた複数の申請用データが登録されたデータベースである。
【0144】
制御部102は、抽出部102aと、分類部102bと、与信限度基準額算出部102cと、通知部102dと、を備える。抽出部102aは、与信管理DB106aから、現時点から所定期間後を適用期限とする取引先識別情報(親企業コード)を抽出し、抽出した取引先識別情報(親企業コード)と、抽出した取引先識別情報に対応する決算書データ106a3、前回与信限度基準額、および前回与信限度額と、を含む複数の新規申請用データを抽出する。分類部102bは、抽出した複数の新規申請用データを、取引先状況情報に基づいて、個別申請対象の新規申請用データである個別申請用データ30と、一括申請対象の新規申請用データである一括申請用データ32と、に分類する。与信限度基準額算出部102cは、個別申請用データ30および一括申請用データ32の各々ごとに、取引先識別情報(企業コード)によって識別される取引先の評価点に基づいて、次の適用期限用の新たな与信限度基準額である新規与信限度基準額を算出する。通知部102dは、財務指標の評価点および新規与信限度基準額を含む個別申請用データ30、および、評価点および与信限度基準額を含む一括申請用データ32を、対応する申請担当者識別情報によって識別される申請担当者へ通知する。
【0145】
このように、本実施形態の与信管理装置100は、現在設定されている適用期限から所定期間前に、該適用期限の新規申請用データを自動抽出し、個別申請用データ30と一括申請用データ32に自動分類する。そして、与信管理装置100は、取引先識別情報(企業コード)によって識別される取引先の評価点に基づいて、次の適用期限用の新たな与信限度基準額である新規与信限度基準額を算出し、評価点および新規与信限度基準額を含む個別申請用データ30および一括申請用データ32を、申請担当者へ通知する。
【0146】
このため、本実施形態の与信管理装置100は、所定期間後を適用期限とする親企業コードの企業である取引先に関して、申請者や承認者による与信管理業務の処理漏れを抑制することができる。
【0147】
従って、本実施形態の与信管理装置100は、与信管理業務を高精度に管理することができる。
【0148】
また、本実施形態の与信管理装置100は、現在設定されている適用期限から所定期間前に、該適用期限の新規申請用データを自動抽出し、新規申請用データを分類した個別申請用データ30および一括申請用データ32を、申請担当者へ通知する。
【0149】
このため、本実施形態の与信管理装置100は、上記効果に加えて、取引先の与信状況の可視化と申請者や承認者の業務効率化を実現することができる。
【0150】
また、本実施形態の与信管理装置100は、現在設定されている適用期限から所定期間前に、該適用期限の新規申請用データを自動抽出し、取引先状況情報に基づいて個別申請用データ30と一括申請用データ32に自動分類する。そして、個別申請用データ30および一括申請用データ32を申請担当者へ通知する。
【0151】
このため、申請担当者は、大口取引先や注意先などの要注意先の新規申請用データを個別申請用データ30として処理し、優良先や小口取引先などの非要注意先の新規申請用データを一括申請用データ32として処理することができる。このため、申請担当者は、個別申請用データ30については審査に注力し、一括申請用データ32については一括申請により負荷軽減を図ることができる。
【0152】
また、与信管理装置100が、新規申請用データを個別申請用データ30と一括申請用データ32に分類することで、与信管理装置100は、新規申請用データに濃淡をつけて管理することができる。このため、本実施形態の与信管理装置100は、上記効果に加えて、与信管理の精度を維持しつつ、ユーザの負荷を軽減し、且つ、与信業務の機会損失の防止を図ることが出来る。
【0153】
また、与信管理装置100は、個別申請画面52を申請担当者へ通知する。申請担当者は、個別申請画面52を視認することで、所定期間後を適用期限とする親企業コードの企業である取引先に関して、与信の申請に必要な多量の項目を手入力することなく、与信の申請に必要な最低限の項目(例えば、与信限度金額)の入力を行うことで、新たな与信申請を行うことができる。このため、本実施形態の与信管理装置100は、業務効率化を図ることができる。
【0154】
また、与信管理装置100は、個別申請の承認画面54を承認者へ通知する。承認者は、個別申請の承認画面54を視認することで、所定期間後を適用期限とする親企業コードの企業である取引先に関して、与信の申請の確認に必要な多量の項目を別途確認することなく、1つの承認画面54で、与信の申請の確認に必要な項目を確認することができる。このため、本実施形態の与信管理装置100は、業務効率化を図ることができる。
【0155】
また、与信管理装置100は、一括申請画面62を申請担当者へ通知する。一括申請画面62には、申請担当者に対応する一括申請用データ32の一覧が表示される。
【0156】
このため、申請担当者は、一括申請画面62を視認することで、所定期間後を適用期限とする親企業コードの企業である取引先に関して、与信の申請に必要な多量の項目を手入力することなく、与信の申請に必要な最低限の項目(例えば、与信限度金額)の入力を行うことで、新たな与信申請を行うことができる。このため、本実施形態の与信管理装置100は、業務効率化を図ることができる。
【0157】
また、与信管理装置100は、一括申請の承認画面64を承認者へ通知する。このため、承認者は、一括申請の承認画面64を視認することで、与信の申請の確認に必要な項目を容易に確認することができる。このため、本実施形態の与信管理装置100は、業務効率化を図ることができる。
【0158】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0159】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0160】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0161】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0162】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0163】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0164】
また、与信管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0165】
例えば、与信管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて与信管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0166】
また、このコンピュータプログラムは、与信管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0167】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、およびBlu-ray(登録商標)Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0168】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0169】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0170】
また、与信管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、与信管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0171】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0172】
100 与信管理装置
102 制御部
106 記憶部
102a 抽出部
102b 分類部
102c 与信限度基準額算出部
102d 通知部
102e 登録部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D