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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-17
(45)【発行日】2025-03-26
(54)【発明の名称】車両制御装置、および車両制御方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20250318BHJP
   B60R 25/00 20130101ALI20250318BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20250318BHJP
【FI】
E05B49/00 J
B60R25/00
G08B21/00 U
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021157228
(22)【出願日】2021-09-27
(65)【公開番号】P2023048001
(43)【公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇太
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0048472(KR,A)
【文献】特開2008-208525(JP,A)
【文献】特開2017-155604(JP,A)
【文献】特開2017-007538(JP,A)
【文献】特開2011-223499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00
G08B 21/00
B60R 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに警報音を発出する持出警報部を備える車両制御装置であって、
前記持出警報部の動作を制御する警報制御部を備え、
前記警報制御部は、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記持出警報部に対し、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止
前記警報制御部は、前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両の電源装置の動作を切り替える電源スイッチが操作されたときは、前記持出警報部に対し、前記警報音の発出の禁止を解除する、
車両制御装置。
【請求項2】
車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに警報音を発出する持出警報部を備える車両制御装置であって、
前記持出警報部の動作を制御する警報制御部を備え、
前記警報制御部は、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記持出警報部に対し、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止し、
前記警報制御部は、前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両のシフト操作が行われたときは、前記持出警報部に対し、前記警報音の発出の禁止を解除する、
車両制御装置。
【請求項3】
車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに警報音を発出する持出警報部を備える車両制御装置であって、
前記持出警報部の動作を制御する警報制御部を備え、
前記警報制御部は、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記持出警報部に対し、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止し、
前記警報制御部は、前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両の運転席の車両ドアが開閉されたときは、前記持出警報部に対し、前記警報音の発出の禁止を解除する、
車両制御装置。
【請求項4】
車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに警報音を発出する持出警報部を備える車両制御装置であって、
前記持出警報部の動作を制御する警報制御部を備え、
前記警報制御部は、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記持出警報部に対し、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止し、
前記警報制御部は、前記電子キーが前記車両の室内にあることを条件として、前記電子キーにおける前記所定の操作が行われたときに、前記電子キーが前記車両の室内にあることを条件として、前記持出警報部に対し、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止する、
車両制御装置。
【請求項5】
前記警報制御部は、前記所定の操作の検知のときから所定時間の間である警報禁止期間を設定し、前記持出警報部に対し、前記警報禁止期間内での前記警報音の発出を禁止する、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記電子キーが前記車両の室内にあるか否かを判定する判定部を備え、
前記判定部は、前記車両の電源装置がオン状態のときに、前記電子キーから信号を受信したことを検知したときは、前記車両が備える複数のアンテナにより前記電子キーへ、前記電子キーの位置情報を要求する位置情報要求信号を送信し、前記電子キーから返信される位置情報に基づいて、前記電子キーが前記車両の室内にあるか否かを判断する、
請求項4に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記所定の操作は、前記電子キーにおける複数回の操作を含む、
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記所定の操作は、前記車両が備える車両ドアのロック機構についての複数回の操作を含む、
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記所定の操作は、前記電子キーと少なくとも一つの前記操作器とにおいて同時に行われる操作、及び又は、少なくとも2つの前記操作器において同時に行われる操作を含む、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記キー持出状態が許容時間を超えて続いたときに前記車両の電源装置をオフにする電源制御部を備え、
前記電源制御部は、前記警報制御部が前記持出警報部に前記警報音の発出を禁止したときは、前記警報音の発出を禁止しないときに比べて、前記許容時間を短く設定する、
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項11】
車両制御装置のコンピュータが実行する車両制御方法であって、
車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに前記車両から警報音を発出するステップと、
前記発出するステップにおける前記警報音の発出を制限するステップと、
を備え、
前記制限するステップでは、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止
前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両の電源装置の動作を切り替える電源スイッチが操作されたときは、前記警報音の発出の禁止を解除するステップを備える、
車両制御方法。
【請求項12】
車両制御装置のコンピュータが実行する車両制御方法であって、
車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに前記車両から警報音を発出するステップと、
前記発出するステップにおける前記警報音の発出を制限するステップと、
を備え、
前記制限するステップでは、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止し、
前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両のシフト操作が行われたときは、前記警報音の発出の禁止を解除するステップを備える、
車両制御方法。
【請求項13】
車両制御装置のコンピュータが実行する車両制御方法であって、
車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに前記車両から警報音を発出するステップと、
前記発出するステップにおける前記警報音の発出を制限するステップと、
を備え、
前記制限するステップでは、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止し、
前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両の運転席の車両ドアが開閉されたときは、前記警報音の発出の禁止を解除するステップを備える、
車両制御方法。
【請求項14】
車両制御装置のコンピュータが実行する車両制御方法であって、
車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに前記車両から警報音を発出するステップと、
前記発出するステップにおける前記警報音の発出を制限するステップと、
を備え、
前記制限するステップでは、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止し、
前記電子キーが前記車両の室内にあることを条件として、前記電子キーにおける前記所定の操作が行われたときに、前記電子キーが前記車両の室内にあることを条件として、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止するステップを備える、
車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置がオンされている車両から電子キーが車両外に持ち出されたときに警報音を発生させる車両制御装置、および車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗員が降車する際に車両に1人しか乗車していないことを確認すると電子キー車外持ち出し警報制御をオフに設定する、電子キー車外持ち出し警報制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-100676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置では、車両に運転者のみが乗車している場合には、運転者が意図せずに電子キーを車外へ持ち出した場合でも警報が鳴らないこととなり、不都合となる場合があり得る。
本発明の目的は、安全を確保しつつ、不要なキー持出警報の発出を防止して、車両ユーザの利便性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一の態様は、車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに警報音を発出する持出警報部を備える車両制御装置であって、前記持出警報部の動作を制御する警報制御部を備え、前記警報制御部は、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記持出警報部に対し、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止し、前記警報制御部は、前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両の電源装置の動作を切り替える電源スイッチが操作されたときは、前記持出警報部に対し、前記警報音の発出の禁止を解除する、車両制御装置である。
本発明の他の態様は、車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに警報音を発出する持出警報部を備える車両制御装置であって、前記持出警報部の動作を制御する警報制御部を備え、前記警報制御部は、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記持出警報部に対し、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止し、前記警報制御部は、前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両のシフト操作が行われたときは、前記持出警報部に対し、前記警報音の発出の禁止を解除する、車両制御装置。
本発明の他の態様は、車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに警報音を発出する持出警報部を備える車両制御装置であって、前記持出警報部の動作を制御する警報制御部を備え、前記警報制御部は、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記持出警報部に対し、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止し、前記警報制御部は、前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両の運転席の車両ドアが開閉されたときは、前記持出警報部に対し、前記警報音の発出の禁止を解除する、車両制御装置。
本発明の他の態様は、車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに警報音を発出する持出警報部を備える車両制御装置であって、前記持出警報部の動作を制御する警報制御部を備え、前記警報制御部は、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記持出警報部に対し、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止し、前記警報制御部は、前記電子キーが前記車両の室内にあることを条件として、前記電子キーにおける前記所定の操作が行われたときに、前記電子キーが前記車両の室内にあることを条件として、前記持出警報部に対し、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止する、車両制御装置。
本発明の他の態様によると、前記警報制御部は、前記所定の操作の検知のときから所定時間の間である警報禁止期間を設定し、前記持出警報部に対し、前記警報禁止期間内での前記警報音の発出を禁止する。
本発明の他の態様によると、前記電子キーが前記車両の室内にあるか否かを判定する判定部を備え、前記判定部は、前記車両の電源装置がオン状態のときに、前記電子キーから信号を受信したことを検知したときは、前記車両が備える複数のアンテナにより前記電子キーへ、前記電子キーの位置情報を要求する位置情報要求信号を送信し、前記電子キーから返信される位置情報に基づいて、前記電子キーが前記車両の室内にあるか否かを判断する。
本発明の他の態様によると、前記所定の操作は、前記電子キーにおける複数回の操作を含む。
本発明の他の態様によると、前記所定の操作は、前記車両が備える車両ドアのロック機構についての複数回の操作を含む。
本発明の他の態様によると、前記所定の操作は、前記電子キーと少なくとも一つの前記操作器とにおいて同時に行われる操作、及び又は、少なくとも2つの前記操作器において同時に行われる操作を含む。
本発明の他の態様によると、前記キー持出状態が許容時間を超えて続いたときに前記車両の電源装置をオフにする電源制御部を備え、前記電源制御部は、前記警報制御部が前記持出警報部に前記警報音の発出を禁止したときは、前記警報音の発出を禁止しないときに比べて、前記許容時間を短く設定する。
本発明の他の態様は、車両制御装置のコンピュータが実行する車両制御方法であって、車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに前記車両から警報音を発出するステップと、前記発出するステップにおける前記警報音の発出を制限するステップと、を備え、前記制限するステップでは、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止し、前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両の電源装置の動作を切り替える電源スイッチが操作されたときは、前記警報音の発出の禁止を解除するステップを備える、車両制御方法。
本発明の他の態様は、車両制御装置のコンピュータが実行する車両制御方法であって、車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに前記車両から警報音を発出するステップと、前記発出するステップにおける前記警報音の発出を制限するステップと、を備え、前記制限するステップでは、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止し、前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両のシフト操作が行われたときは、前記警報音の発出の禁止を解除するステップを備える、車両制御方法。
本発明の他の態様は、車両制御装置のコンピュータが実行する車両制御方法であって、車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに前記車両から警報音を発出するステップと、前記発出するステップにおける前記警報音の発出を制限するステップと、を備え、前記制限するステップでは、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止し、前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両の運転席の車両ドアが開閉されたときは、前記警報音の発出の禁止を解除するステップを備える、車両制御方法。
本発明の他の態様は、車両制御装置のコンピュータが実行する車両制御方法であって、車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに前記車両から警報音を発出するステップと、前記発出するステップにおける前記警報音の発出を制限するステップと、を備え、前記制限するステップでは、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止し、前記電子キーが前記車両の室内にあることを条件として、前記電子キーにおける前記所定の操作が行われたときに、前記電子キーが前記車両の室内にあることを条件として、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止するステップを備える、車両制御方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、安全を確保しつつ、不要なキー持出警報の発出を防止して、車両ユーザの利便性を向上することができる。
【0007】
上記の目的は、様々な特性を持ったユーザの様々なシーンにおける車両の利便性を向上し、持続可能な車社会の実現を通じてSDGsの達成に貢献し得る(SDGs 11.2等)。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る車両制御装置を備える車両の構成を示す図である。
図2】車両におけるRFアンテナ及びLFアンテナの配置の一例を示す図である。
図3】電子キーの構成の一例を示す図である。
図4】運転席ドアにおけるリモートスイッチおよびドアSILスイッチの配置の例を示す図である。
図5】車両制御装置における警報発出処理の手順を示すフロー図である。
図6】車両制御装置における警報制限処理の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の車両制御装置3を備えた車両1の構成図である。車両1は、例えば電気自動車である。
車両制御装置3は、プロセッサ30およびメモリ35を備える。メモリ35は、例えば、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリ、及び又はハードディスク装置等により構成される。プロセッサ30は、車両制御装置3が備えるコンピュータであり、例えば、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)により構成される。
【0010】
車両制御装置3は、車載ネットワーク2を介して、通信制御ECU4(Electronic Control Unit)、駆動制御ECU7、ドア制御ECU13、および警音装置20等の、車両1の車載装置との間で通信を行う。車載ネットワーク2は、単一の通信規格に準拠した通信を行う単一の通信ネットワークに限らず、上述した種々の車載装置の間で通信すべき情報量及び又は通信の頻度に応じて、CAN、Ethernet(登録商標)、USB等の様々な通信規格に準拠した通信を行う複数の通信ネットワークが独立に又はゲートウェイ装置等を介して互いに接続されて、構成され得る。
【0011】
警音装置20は、警音器21による警報音の発出を制御する。
通信制御ECU4は、車両1の車室内に置かれた、又は車両1の外に持ち出された車両1の電子キー25と通信を行う。電子キー25は、車両1の車両ドアの施解錠、および車両1の利用開始時の認証等に用いられる、いわゆるFOBキー又はスマートキーであり得る。
【0012】
通信制御ECU4は、第1通信装置5と、第1通信装置5よりも通信可能距離の短い第2通信装置6と、を有する。従来技術に従い、第1通信装置5は、例えば、数100MHzの高周波通信を行うRF通信装置であり、第2通信装置6は、例えば、百数十kHzの低周波通信を行うLF通信装置である。第1通信装置5は、RFアンテナ41を用いて電子キー25と通信を行い、数十mの通信可能距離を有する。また、第2通信装置6は、例えば4つのLFアンテナ42a、42b、42c、42dを用いて電子キー25と通信を行う、数m程度の通信可能距離を有する。
【0013】
図2は、車両1におけるRFアンテナ41及びLFアンテナ42a、42b、42c、42dの配置の一例を示す図である。従来技術に従い、RFアンテナ41は、例えば車両1の中央部に配され、LFアンテナ42aおよび42bは、例えば、車両1の車室内前方、および車室内後方であってテールゲートドア43eの内側付近に配される。また、LFアンテナ42cは、助手席ドア43bと後部左ドア43dとの間の車室内に配され、LFアンテナ42dは、運転席ドア43aと後部右ドア43cとの間の車室内に配され得る。
【0014】
第1通信装置5は、電子キー25から送信される信号を、RFアンテナ41により受信する。また、第2通信装置6は、4つのLFアンテナ42により電子キー25に信号を送信する。電子キー25は、4つのLFアンテナ42から送信された信号の強度等に基づき、電子キー25の位置を示す位置情報(例えば、車室内にあるか、車室外にあるか、についての情報)を生成する。電子キー25は、生成した位置情報をRF通信により送信し、第1通信装置5は、送信された位置情報を受信する。
【0015】
以下、LFアンテナ42a、42b、42c、42dを総称してLFアンテナ42ともいい、運転席ドア43a、助手席ドア43b、後部右ドア43c、および後部左ドア43dを総称して車両ドア43ともいうものとする。
【0016】
図3は、電子キー25の構成の一例を示す図である。電子キー25には、例えば、すべての車両ドア43の施錠及び解錠を車両1に指示するためのロックボタン52aおよびアンロックボタン52bと、運転席ドア43aおよび助手席ドア43bの開閉を指示するためのドア開閉ボタン53aおよび53bと、が設けられている。ユーザがこれらのボタンのいずれかを操作すると、電子キー25は、その操作についての操作情報をRF通信により送信する。通信制御ECU4は、送信された操作情報を第1通信装置5により受信して、受信した操作情報をドア制御ECU13へ送る。ドア制御ECU13は、その操作情報に応じて、ドアロック機構14により車両ドア43の施錠若しくは解錠を行うか、またはドア開閉機構18により運転席ドア43a若しくは助手席ドア43bの開閉を行う。
【0017】
図1を参照し、駆動制御ECU7は、車両1の走行を制御する。例えば、駆動制御ECU7は、車室内に設けられた電源スイッチ8に対する運転者の操作に応じて、車両1が備える走行用の駆動モータ(不図示)に電力を供給する電源装置9をオン/オフする。また、駆動制御ECU7は、シフトレバー(不図示)の位置を検出するシフトセンサ10、フットブレーキ(不図示)の操作を検知するブレーキセンサ11、及びサイドブレーキ(不図示)の操作を検知するサイドブレーキセンサ12からの情報に基づき、車両1の速度等を制御すると共に、停車や駐車の際に必要な動作を行う。
【0018】
ドア制御ECU13は、車両ドア43のそれぞれのドアロック機構14およびドア開閉機構18を制御し、ドアロックセンサ15およびドア開閉センサ19により、それらの動作を監視する。例えば、ドア制御ECU13は、運転席ドア43aに設けられたリモートスイッチ16及びドアSILスイッチ17に対するユーザ操作、および通信制御ECU4を介して取得される電子キー25に対するユーザ操作に基づき、ドアロック機構14を制御して、車両ドア43のそれぞれの施解錠を行う。
【0019】
図4は、運転席ドアにおけるリモートスイッチ16およびドアSILスイッチ17の配置の例である。リモートスイッチ16は、従来技術に従い、全ての車両ドア43の施錠および解錠を行うためのロックボタン50aおよびアンロックボタン50bと、テールゲートドア43eを除く4つの車両ドア43のそれぞれについての窓の開閉を行う4つのウィンドウボタン51と、を備える。
【0020】
図1を参照し、車両制御装置3のプロセッサ30は、機能要素又は機能ユニットとして、持出警報部31と、警報制御部32、判定部33と、電源制御部34と、を備える。プロセッサ30が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピュータであるプロセッサ30が、メモリ35に記憶されたコンピュータ・プログラムである車両制御プログラム36を実行することにより実現される。これに代えて、プロセッサ30が備える上記機能要素の全部又は一部を、それぞれ一つ以上の電子回路部品を含むハードウェアにより構成することもできる。なお、車両制御プログラム36は、光学ディスク、磁気ディスク、フラッシュメモリ等のコンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。
【0021】
持出警報部31は、車両1の電子キー25が車外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに警報音を発出する。具体的には、持出警報部31は、車両1の電源スイッチ8がオン状態であって、電子キー25が車両1の外に存在し、且つすべての車両ドア43が閉状態であるキー持出状態を検知したときに、警音装置20により警音器21から車両1の外部に向かって警報音を発生させる。以下、持出警報部31が発生させるキー持出状態の検知後の警報音を、キー持出警報音ともいうものとする。
【0022】
例えば、持出警報部31は、電源スイッチ8がオン状態であるときに、車両ドア43のいずれかが開けられたことを検知すると、所定の時間間隔で電子キー25の位置を取得する。そして、持出警報部31は、電子キー25が車両1の外にあるときに、全ての車両ドア43が閉状態となったときに、車両1がキー持出状態を検知したと判断する。ここで、持出警報部31は、電源スイッチ8の状態、電子キー25の位置、および車両ドア43の開閉状態を、それぞれ、駆動制御ECU7、通信制御ECU4、およびドア制御ECU13から取得する。
【0023】
警報制御部32は、持出警報部31の動作を制御する。警報制御部32は、ユーザが操作可能な車両1の操作器及び又は電子キー25について所定の操作が行われたことを検知したときに、持出警報部31に対し、キー持出状態を検知した後の警報音の発生の禁止を指示する。これにより、ユーザが所定の操作を行うことによりキー持出警報を不要とする明らかな意図を示した場合にキー持出警報音の発出が禁止されるので、車両1の安全を確保しつつ、不要なキー持出警報音の発出を防止して、ユーザの利便性を向上することができる。
【0024】
以下、キー持出状態を検知したときにキー持出警報音を発生させる持出警報部31の動作モードを通常モード、キー持出状態を検知してもキー持出警報音を発生させない持出警報部31の動作モードを警報禁止モードというものとする。すなわち、持出警報部31は、警報制御部32からキー持出警報音の発生の禁止を指示されたときは、動作モードを通常モードから警報禁止モードに切り替える。また、持出警報部31は、警報制御部32からキー持出警報音の発生の禁止の解除を指示されたときは、動作モードを警報禁止モードから通常モードに切り替える。キー持出警報音の発生の禁止の解除については後述する。
【0025】
警報制御部32は、持出警報部31に対するキー持出警報音の発生の禁止を指示する際に、上記所定の操作の検知のときから所定時間の間である警報禁止期間(例えば、30秒)を設定し、持出警報部31に対し、警報禁止期間内でのキー持出警報音の発生を禁止してもよい。持出警報部31は、警報禁止期間が経過したときに、動作モードを警報禁止モードから通常モードに切り替える。
【0026】
上記所定の操作は、車両1の操作器及び又は電子キー25についての複数回の操作の繰り返しであり得る。例えば、所定の操作は、車両ドア43のドアロック機構14に関する施錠操作および解錠操作を交互にそれぞれ4回繰り返す操作であり得る。そのような施錠操作および解錠操作は、電子キー25のロックボタン52aおよびアンロックボタン52b、運転席ドア43aに設けられたリモートスイッチ16のロックボタン50aおよびアンロックボタン50b、または運転席ドア43aに設けられたドアSILスイッチ17により行うものとすることができる。警報制御部32は、ドアロック機構14に関する施錠操作および解錠操作による所定の操作を、ドア制御ECU13を介して検知することができる。
【0027】
また、例えば、所定の操作は、電子キー25に設けられたドア開閉ボタン53a又は53bについての複数回の繰り返し操作であり得る。警報制御部32は、これらの操作を、例えば、ドア制御ECU13を介して検知する。
【0028】
また、例えば、所定の操作は、ブレーキペダル、サイドブレーキ、ドアウィンドウの開閉ボタンなどの、予め定めた操作器についての複数回の繰り返し操作であり得る。警報制御部32は、これらの操作器についての操作を、駆動制御ECU7、ドア制御ECU13、又はその他の車載ECUから取得することができる。
【0029】
あるいは、所定の操作は、電子キー25と、少なくとも一つの操作器と、について同時に行われる操作、及び又は、少なくとも2つの操作器について同時に行われる操作であってもよい。これにより、キー持出警報を不要とするユーザの意図を更に確実に把握して、不要なキー持出警報の発出を防止することができる。
【0030】
警報制御部32は、電子キー25における上記所定の操作については、電子キーが前記車両の室内にあることを条件として、電子キー25における上記所定の操作が行われたときに、持出警報部31に対し、キー持出警報音の発生を禁止してもよい。これにより、例えば車両1の電子キーを持つ人が複数いる場合に、現在のユーザでない人が、現在のユーザが知らないうちに車両外から車両1を警報禁止の状態に移行させてしまうのを防止することができる。具体的には、警報制御部32は、例えば、後述する判定部33が車室内に電子キー25があると判断した場合に、電子キー25における上記所定の操作の有無を判断する。
【0031】
また、警報制御部32は、持出警報部31に対しキー持出警報音の発生を禁止したあとに、次に示す禁止解除条件のいずれかが成立したときに、持出警報部31に対し、キー持出警報音の発生の禁止の解除を指示する。
A:電源スイッチ8が操作されたことが検知された。
B:車両1のシフト操作が行われたことが検知された。
C:車両1の運転席ドア43aが開けられた後、閉められたことが検知された。
【0032】
警報制御部32から上記解除の指示を受信した持出警報部31は、動作モードを警報禁止モードから通常モードに切り替える。これにより、ユーザが運転を再開しようとするとき、又はユーザが車両1に戻ったときに、警報禁止の状態を解除することができる。
【0033】
例えば、上記禁止解除条件のCによりキー持出警報音の発生禁止の解除が持出警報部31に指示されたときは、持出警報部31は、通常モードに復帰し、その後にキー持出状態で運転席ドア43aのドアが開閉されたときは、持出警報音を発する。従って、例えば、警報禁止モードにおいて、電子キー25を持ったユーザが車両1に乗車することなく運転席ドア43aを2回開閉すると、持出警報部31は、1回目のドア開閉で通常モードに復帰し、2回目のドア開閉の操作後に持出警報音を発出することとなる。
【0034】
判定部33は、電子キー25が車両1の室内にあるか否かを判定する。判定部33は、電源装置9がオン状態のときに、電子キー25から信号を受信したことを検知したときは、電子キー25の位置情報を要求する位置情報要求信号を電子キー25へ送信する。そして、判定部33は、電子キー25から返信される位置情報に基づいて、電子キー25が車両1の室内にあるか否かを判断する。ここで、判定部33は、例えば端末検知ECU17を介して、電子キー25からの信号受信の検知、ならびに電子キー25との信号および情報の授受を行う。
【0035】
電源制御部34は、キー持出状態が許容時間を超えて続いたときに電源装置9をオフにする。電源制御部34は、特に、警報制御部32が持出警報部31に持出警報音の発生を禁止したときは、キー持出警報音の発生を禁止しないときに比べて、上記許容時間を短く設定する。例えば、電源制御部34は、キー持出警報音の発生が禁止されないときの許容時間をデフォルトの第1時間(例えば、1時間)とし、キー持出警報音の発生が禁止されときの許容時間を第2時間(例えば、15分)とする。これにより、警報禁止の状態に設定した後にユーザがそのことを忘れてしまった場合でも、電源装置9を通常よりも早く自動でオフにすることで、安全性を高めると共に不要な電力消費を防止することができる。
【0036】
次に、車両制御装置3における動作の手順について説明する。図4及び図5は、それぞれ、主として持出警報部31が行う警報発出処理、および主として警報制御部32が行う警報制限処理の、動作の手順を示すフロー図である。図4および図5に示す処理は、繰り返し実行される。
【0037】
次に、図5に示すフロー図を参照しつつ警報発出処理について説明する。
処理を開始すると、持出警報部31は、車両1がキー持出状態になったことを検知したか否かを判断する(S100)。そして、車両1がキー持出状態になっていないときは(S100、NO)、持出警報部31は、ステップS100に戻って、車両1がキー持出状態になるのを待機する。一方、車両1がキー持出状態になったときは(S100、YES)、持出警報部31は、直近の所定時間内に警報制御部32からキー持出警報音の禁止の指示を受信していたか否かを判断する(S102)。この指示は、後述する図6のステップS202においてに警報制御部32から送信される。
【0038】
そして、警報制御部32からキー持出警報音の禁止の指示を受信していたときは(S102、YES)、持出警報部31は、動作モードを通常モードから警報禁止モードに切り替える(S104)。また、電源制御部34は、電源装置9を自動オフするまでの許容時間をデフォルトである第1時間(例えば、30分~1時間の範囲の時間)よりも短い第2時間(例えば、10分~15分の範囲の時間)に設定する(S106)。
【0039】
続いて、持出警報部31は、キー持出状態になってからの経過時間が、キー持出警報音の禁止指示と共に警報制御部32から指定された警報禁止期間を経過したか否かを判断する(S108)。そして、警報禁止期間を経過していないときは(S108、NO)、持出警報部31は、警報禁止モードから通常モードへの復帰指示を警報制御部32から受信したか否かを判断する(S110)。この復帰指示は、図6のステップS210において警報制御部32から送信される。
【0040】
そして、復帰指示を受信したときは(S110、YES)、持出警報部31は、動作モードを警報禁止モードから通常モードへ切り替えたのち(S112)、処理を終了する。一方、ステップS110において復帰指示を受信しないときは(S110、NO)、持出警報部31は、ステップS108に戻って処理を繰り返す。
【0041】
また、一方、ステップS108において警報禁止期間を経過したときは(S108、YES)、持出警報部31は、ステップS112に処理を移して、動作モードを警報禁止モードから通常モードへ切り替える。また、一方、ステップS102において警報制御部32からキー持出警報音の禁止の指示を受信していないと判断されるときは(S102、NO)、持出警報部31は、警音装置20に指示して警音器21によりキー持出警報音を発出させる(S114)。また、電源制御部34は、電源装置9を自動オフするまでの許容時間をデフォルトである第1時間(例えば1時間)に設定する(S116)。続いて、持出警報部31は、キー持出警報音の解除操作が行われたことを検知したか否かを判断する(S118)。ここで、キー持出警報音の解除操作は、車両1のいずれかの車両ドア43を開閉する操作であるものとすることができる。
【0042】
そして、キー持出警報音の解除操作が行われないときは(S118、NO)、持出警報部31は、ステップS118の処理を繰り返し実行し、解除操作が行われるのを待機する。一方、キー持出警報音の解除操作を検知したときは(S118、YES)、持出警報部31は、警音装置20に指示してキー持出警報音を停止させたのち(S120)、処理を終了する。
【0043】
次に、図6に示すフロー図を参照しつつ警報制限処理について説明する。
処理を開始すると、警報制御部32は、ユーザによる所定の操作を検知したか否かを判断する(S200)。上述したように、所定の操作は、例えば、電子キー25におけるドアロック又はドア開閉についての複数回の繰り返し操作、リモートスイッチ16を介したドアロックに関する複数回の繰り返し操作等であり得る。
【0044】
そして、所定の操作を検知しないときは(S200、NO)、警報制御部32は、処理を終了する。一方、所定の操作を検知したときは(S200、YES)、警報制御部32は、持出警報部31に対し、警報禁止期間を指定して、キー持出状態の検知したあとの警報禁止期間内におけるキー持出警報音の発出を禁止する(S202)。ここで、上記検知した所定の操作が電子キー25における操作であるときは、警報制御部32は、その検知の前に判定部33が車両1の車室内に電子キー25が存在すると判断したことを条件として、持出警報部31に対し、警報禁止期間内におけるキー持出警報音の発出を禁止する。
【0045】
次に警報制御部32は、持出警報部31がキー持出状態を検知したか否かを判断する(S204)。この判断には、図5のステップS100における持出警報部31の判断結果が用いられる。そして、持出警報部31がキー持出状態を検知したときは(S204、YES)、警報制御部32は、キー持出状態が検知されてから警報禁止期間が経過したか否かを判断する(S206)。そして、警報禁止期間が経過しないときは(S206、NO)、警報制御部32は、禁止解除条件のいずれかが成立したか否かを判断する(S208)。そして、禁止解除条件のいずれかが成立したときは(S208、YES)、警報制御部32は、持出警報部31に対し、警報禁止モードから通常モードへの復帰を指示したのち(S210)、処理を終了する。
【0046】
一方、ステップS208においていずれの禁止解除条件も満たされていないときは(S208、NO)、警報制御部32は、ステップS206に戻って処理を繰り返す。また、一方、ステップS206において警報禁止期間が経過したときは(S206、YES)、警報制御部32は、処理を終了する。
【0047】
また、ステップS204において持出警報部31がキー持出状態を検知しないときは(S204、NO)、警報制御部32は、持出警報部31にキー持出警報音の発出の禁止を指示してからの経過時間が所定時間を経過したか否かを判断する(S212)。そして、経過時間が所定時間を経過していないときは(S212、NO)、警報制御部32は、ステップS204に戻ってキー持出状態が検知されるのを待機する。一方、ステップS212において経過時間が所定時間を経過したときは(S212、YES)、警報制御部32は、ステップS210に処理を移し、持出警報部31に対し警報禁止モードから通常モードへの復帰を指示したのち、処理を終了する。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態およびその変形例の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0049】
例えば、図5に示す警報発出処理においては、持出警報部31は、ステップS114で警報音を発出した後、警報解除操作が検知されるのを待って警報音の発出を停止するものとした(S118およびS120)。ただし、警報音発出後の当該警報音の停止条件は、警報解除操作の検知には限られない。例えば、持出警報部31は、ステップS114における警報音の発出から2~5秒程度の範囲の所定時間が経過したときに、すなわち、警報音が2~5秒程度出力されたことを条件として、警報音を停止するものとしてもよい。
【0050】
また、車両1は、上述した実施形態では電気自動車であるものとしたが、これには限られない。車両1は、内燃機関で駆動される車両、又は内燃機関とモータとで駆動される車両など、任意の方式で駆動される車両であり得る。
【0051】
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0052】
(構成1)車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに警報音を発出する持出警報部を備える車両制御装置であって、前記持出警報部の動作を制御する警報制御部を備え、前記警報制御部は、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記持出警報部に対し、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止する、車両制御装置。
構成1の車両制御装置によれば、ユーザが所定の操作を行うことによりキー持出警報を不要とする明らかな意図を示した場合にキー持出警報の発出が禁止されるので、車両の安全を確保しつつ、不要なキー持出警報の発出を防止して、ユーザの利便性を向上することができる。
(構成2)前記警報制御部は、前記所定の操作の検知のときから所定時間の間である警報禁止期間を設定し、前記持出警報部に対し、前記警報禁止期間内での前記警報音の発出を禁止する、構成1に記載の車両制御装置。
構成2の車両制御装置によれば、警報禁止の状態が不要に長く継続してしまうのを防止することができる。
(構成3)前記警報制御部は、前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両の電源装置の動作を切り替える電源スイッチが操作されたときは、前記持出警報部に対し、前記警報音の発出の禁止を解除する、構成1または2に記載の車両制御装置。
構成3の車両制御装置によれば、ユーザが運転を再開しようとするときに、警報禁止の状態を解除することができる。
(構成4)前記警報制御部は、前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両のシフト操作が行われたときは、前記持出警報部に対し、前記警報音の発出の禁止を解除する、構成1ないし3のいずれかに記載の車両制御装置。
構成4の車両制御装置によれば、ユーザが運転を再開しようとするときに、警報禁止の状態を確実に解除することができる。
(構成5)前記警報制御部は、前記警報音の発出を禁止したあとに、前記車両の運転席の車両ドアが開閉されたときは、前記持出警報部に対し、前記警報音の発出の禁止を解除する、構成1ないし3のいずれかに記載の車両制御装置。
構成5の車両制御装置によれば、ユーザが車両に戻ってきたときに、警報禁止の状態を解除することができる。
(構成6)前記警報制御部は、前記電子キーが前記車両の室内にあることを条件として、前記電子キーにおける前記所定の操作が行われたときに、前記持出警報部に対し、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止する、構成1ないし5のいずれかに記載の車両制御装置。
構成6の車両制御装置によれば、例えば、同一の車両の電子キーを持つ人が複数いる場合に、現在のユーザでない人が、現在のユーザが知らないうちに、車両外からその車両を警報禁止の状態に移行させてしまうのを防止することができる。
(構成7)前記電子キーが前記車両の室内にあるか否かを判定する判定部を備え、前記判定部は、前記車両の電源装置がオン状態のときに、前記電子キーから信号を受信したことを検知したときは、前記車両が備える複数のアンテナにより前記電子キーへ、前記電子キーの位置情報を要求する位置情報要求信号を送信し、前記電子キーから返信される位置情報に基づいて、前記電子キーが前記車両の室内にあるか否かを判断する、構成6に記載の車両制御装置。
構成7の車両制御装置によれば、判定部は、電子キーからの信号を受信したことに応じて、その電子キーが車室内にあるか否かを判断するので、警報制御部は、その後に、電子キーにおける所定の操作の有無を判断すればよい。このため、警報制御部は、電子キーからの全ての信号を監視する必要がなく、処理負荷が軽減され得る。
(構成8)前記所定の操作は、前記電子キーにおける複数回の操作を含む、構成1ないし7のいずれかに記載の車両制御装置。
構成8の車両制御装置によれば、ユーザは、車両を警報禁止の状態に移行させるための所定の操作を容易に行うことができる。
(構成9)前記所定の操作は、前記車両が備える車両ドアのロック機構についての複数回の操作を含む、構成1ないし8のいずれかに記載の車両制御装置。
構成9の車両制御装置によれば、ユーザは、車両を警報禁止の状態に移行させるための所定の操作を容易に行うことができる。
(構成10)前記所定の操作は、前記電子キーと少なくとも一つの前記操作器とにおいて同時に行われる操作、及び又は、少なくとも2つの前記操作器において同時に行われる操作を含む、構成1ないし9のいずれかに記載の車両制御装置。
構成10の車両制御装置によれば、キー持出警報を不要とするユーザの意図を更に確実に把握して、不要なキー持出警報の発出を防止することができる。
(構成11)前記キー持出状態が許容時間を超えて続いたときに前記車両の電源装置をオフにする電源制御部を備え、前記電源制御部は、前記警報制御部が前記持出警報部に前記警報音の発出を禁止したときは、前記警報音の発出を禁止しないときに比べて、前記許容時間を短く設定する、構成1ないし10のいずれかに記載の車両制御装置。
構成11の車両制御装置によれば、警報禁止の状態に設定した後にユーザがそのことを忘れてしまった場合でも、電源装置を通常よりも早く自動でオフにすることで、安全性を高めると共に、不要な電力消費を防止することができる。
(構成12)車両制御装置のコンピュータが実行する車両制御方法であって、車両の電子キーが前記車両の外に持ち出されたキー持出状態を検知したときに持出警報部が前記車両から警報音を発出するステップと、前記発出するステップにおける前記警報音の発出を制限するステップと、を備え、前記制限するステップでは、前記車両の操作器及び又は前記電子キーについて所定の操作が行われたことを検知したときは、前記持出警報部に対し、前記キー持出状態での前記警報音の発出を禁止する、車両制御方法。
構成12の車両制御方法によれば、ユーザが明らかな意図を示した場合にキー持出警報の発出が禁止されるので、車両の安全を確保しつつ、不要なキー持出警報の発出を防止して、ユーザの利便性を向上することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…車両、2…車載ネットワーク、3…車両制御装置、4…通信制御ECU、5…第1通信装置、6…第2通信装置、7…駆動制御ECU、8…電源スイッチ、9…電源装置、10…シフトセンサ、11…ブレーキセンサ、12…サイドブレーキセンサ、13…ドア制御ECU、14…ドアロック機構、15…ドアロックセンサ、16…リモートスイッチ、17…ドアSILスイッチ、18…ドア開閉機構、19…ドア開閉センサ、20…警音装置、21…警音器、25…電子キー、30…プロセッサ、31…持出警報部、32…警報制御部、33…判定部、34…電源制御部、35…メモリ、36…車両制御プログラム、41…RFアンテナ、42a、42b、42c、42d…LFアンテナ、43…車両ドア、43a…運転席ドア、43b…助手席ドア、43c…後部右ドア、43d…後部左ドア、43e…テールゲートドア、50a、52a…ロックボタン、50b、52b…アンロックボタン、51…ウィンドウボタン、53a、53b…ドア開閉ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6