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7651436工業用資産のレジームに基づく処理最適化のための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-17
(45)【発行日】2025-03-26
(54)【発明の名称】工業用資産のレジームに基づく処理最適化のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20250318BHJP
【FI】
G05B23/02 302N
G05B23/02 T
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021165791
(22)【出願日】2021-10-07
(65)【公開番号】P2022061975
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2021-12-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】202021043590
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】510337621
【氏名又は名称】タタ コンサルタンシー サービシズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TATA Consultancy Services Limited
【住所又は居所原語表記】Nirmal Building,9th Floor,Nariman Point,Mumbai 400021,Maharashtra,India.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】カルヤニ、ゾペ
(72)【発明者】
【氏名】スリ、ハールシャ、ニスタラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカタラマナ、ルンカナ
(72)【発明者】
【氏名】アディチャ、パレエク
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシュヌ、スワロープジ、マサムパリー
【合議体】
【審判長】本庄 亮太郎
【審判官】鈴木 貴雄
【審判官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-195308(JP,A)
【文献】国際公開第2013/051101(WO,A1)
【文献】特開2014-167667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 - 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工業用資産のオペレーションに関する1つまたは複数の最適設定を助言するためのプロセッサ実装方法であって、
1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、1つまたは複数のデータ供給源から前記複数の工業用資産の複数のデータを受信するステップと、
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、1つまたは複数の事前に規定されたデータフォーマットに従って、前記受信した複数のデータを前処理するステップと、
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、前記複数の工業用資産の前記前処理されたデータを使用して、複数のソフト・センサ・データを計算するステップであって、前記複数のソフトセンサは、物理学に基づくソフトセンサおよびデータ駆動ソフトセンサを含むステップと、
前記前処理された複数のデータと前記複数のソフト・センサ・データとを組み合わせることによって、前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、前記前処理された複数のデータおよび前記計算された複数のソフト・センサ・データを統合して、前記複数の工業用資産ごとに統合データを得るステップと、
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、前記統合データの1つまたは複数のセグメントに対する時間的階層的クラスタリングを使用して、前記統合データから前記複数の工業用資産の1つまたは複数のオペレーションレジームを識別するステップであって、前記時間的階層的クラスタリングは、
入力として、前記複数の工業用資産ごとの1つまたは複数の変数を包含する前記統合データから前記1つまたは複数のオペレーションレジームの1つまたは複数のシーケンスを得るステップであって、前記ステップは、
入力時系列データを、複数の固定数の重複するまたは重複しない時間セグメントに分割し
1つまたは複数の変数のグループ化によって前記1つまたは複数の変数の系統樹を生み出し、
前記1つまたは複数の変数に関するクラスタを得るため、事前に規定された高さで距離軸に垂直に前記系統樹を切断し、
前記時間セグメントごとに固有番号及び前記系統樹に基づく前記1つまたは複数のシーケンスを得るため、前記クラスタの各々の範囲内で各変数に前記固有番号を割り当てることによって行う、ステップ、
類似のレジームシーケンスがータベースで利用可能であるかどうかを確認するため、前記時間セグメントの前記得られた1つまたは複数のレジームシーケンスと前記ータベースで利用可能なレジームシーケンスの間の加重距離を使用して、前記1つまたは複数のレジームシーケンスの各々に対応するレジーム類似度スコアを計算するステップ、および
前記レジーム類似度スコアの事前に規定されたしきい値と前記計算されたレジーム類似度スコアを比較して、前記複数の工業用資産の前記1つまたは複数のオペレーションレジームを識別するステップ
を備えるステップと、
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、前記識別された1つまたは複数のオペレーションレジームに基づき前記複数の工業用資産をグループ化して1つまたは複数のグループにするステップと、
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、前記識別されたオペレーションレジームに特有の複数の予測モデルを使用して、前記複数の工業用資産の各前記グループの複数の重要性能パラメータを最適化するステップと、
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、前記複数の重要性能パラメータの前記最適化に基づき、前記複数の工業用資産の前記グループごとに1つまたは複数の操作変数の前記1つまたは複数の最適設定を助言するステップと
を備えるプロセッサ実装方法。
【請求項2】
既存のレジームシーケンスに対する前記1つまたは複数のシーケンスのレジーム類似度が、前記事前に規定されたしきい値よりも小さいことを決定することによって、前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、レジームデータベースに記憶された少なくとも1つの過去のオペレーションレジームとの比較に基づき、前記1つまたは複数の識別されたオペレーションレジームから少なくとも1つの不調和オペレーションレジームを決定するステップと、
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、複数のデータ駆動異常検出モデルを使用して、前記不調和オペレーションレジームで1つまたは複数の異常の存在を検出するステップと、
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、複数のデータ駆動異常診断モデルを使用して、前記複数の工業用資産の前記不調和オペレーションレジームで前記検出された1つまたは複数の異常の少なくとも1つの原因を識別するステップと、
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、前記異常の前記識別された原因に基づき残存耐用年数(RUL)を推定して、1つまたは複数の資産内の1つまたは複数の構成要素の故障の初期警告を提供するステップと
をさらに備える、請求項1に記載のプロセッサ実装方法。
【請求項3】
非異常な不調和オペレーションレジームに関する適応学習処理に基づき前記複数の予測モデルを再調整することを含む、請求項2に記載のプロセッサ実装方法。
【請求項4】
前記複数のデータ供給源は、工場施設自動化システム、データヒストリアン(historian)、分散制御システム、研究所情報管理システム、環境データベース、保守データベース、およびオペレーションデータベースを備える、請求項1に記載のプロセッサ実装方法。
【請求項5】
前記前処理するステップは、
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、前記受信したデータから雑音および外れ値を除去するステップと、
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、受信した時系列データの統一されたサンプリング頻度を達成するステップと、
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、前記受信した複数のデータの欠測値を補完するステップと、
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサを介して、前記複数のデータ供給源から得られる前記補完されたデータを同期させるステップと
を備える、請求項1に記載のプロセッサ実装方法。
【請求項6】
前記決定された不調和オペレーションレジームを前記レジームデータベースに追加する、請求項2に記載のプロセッサ実装方法。
【請求項7】
複数の工業用資産のレジームに基づく処理最適化のためのシステムであって、
1つまたは複数のデータ供給源から前記複数の工業用資産の複数のデータを受信するための入力/出力インタフェースと、
1つまたは複数のハードウェアプロセッサと、
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサと通信状態にあるメモリであって、前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、前記メモリに記憶された、プログラムされた命令を実行して
前記受信した複数のデータを、前記データの1つまたは複数の事前に規定されたフォーマットに従って前処理し、
前記複数の工業用資産の前記前処理されたデータを使用して、物理学に基づくソフトセンサおよびデータ駆動ソフトセンサを含む複数のソフトセンサの複数のソフト・センサ・データを計算し、
前記前処理された複数のデータと前記複数のソフト・センサ・データとを組み合わせることによって、前記前処理された複数のデータおよび前記計算された複数のソフト・センサ・データを統合して、前記複数の工業用資産ごとに統合データを得て、
前記統合データの1つまたは複数のセグメントに対する時間的階層的クラスタリングを使用して、前記統合データから前記複数の工業用資産の1つまたは複数のオペレーションレジームを識別し、
前記識別された1つまたは複数のオペレーションレジームに基づき前記複数の工業用資産をグループ化して1つまたは複数のグループにし、
前記識別されたオペレーションレジームに特有の複数の予測モデルを使用して、前記複数の工業用資産の各前記グループの複数の重要性能パラメータを最適化し、
前記複数の工業用資産の前記グループごとに1つまたは複数の操作変数の1つまたは複数の最適設定を助言する
ように構成されたメモリと
を備え、前記時間的階層的クラスタリングは、
入力として、前記複数の工業用資産ごとの1つまたは複数の変数を包含する前記統合データから前記1つまたは複数のオペレーションレジームの1つまたは複数のシーケンスを得るステップであって、前記ステップは、
入力時系列データを、複数の固定数の重複するまたは重複しない時間セグメントに分割し
1つまたは複数の変数のグループ化によって前記1つまたは複数の変数の系統樹を生み出し、
前記1つまたは複数の変数に関するクラスタを得るため、事前に規定された高さで距離軸に垂直に前記系統樹を切断し、
前記時間セグメントごとに固有番号及び前記系統樹に基づく前記1つまたは複数のレジームシーケンスを得るため、前記クラスタの各々の範囲内の各変数に前記固有番号を割り当てる
ことによって行う、ステップ、
類似のレジームシーケンスがータベースで利用可能であるかどうかを確認するため、前記時間セグメントの前記得られた1つまたは複数のシーケンスと前記ータベースで利用可能なレジームシーケンスの間の加重距離を使用して、前記1つまたは複数のシーケンスの各々に対応するレジーム類似度スコアを計算するステップ、および
前記レジーム類似度スコアの事前に規定されたしきい値と前記計算されたレジーム類似度スコアを比較して、前記複数の工業用資産の前記1つまたは複数のオペレーションレジームを識別するステップ
を備える、システム。
【請求項8】
前記1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、前記メモリに記憶された、プログラムされた命令を実行して、
既存のレジームシーケンスに対する前記1つまたは複数のシーケンスのレジーム類似度が、前記事前に規定されたしきい値よりも小さいことを決定することによって、レジームデータベースに記憶された少なくとも1つの過去のオペレーションレジームとの比較に基づき、前記1つまたは複数の識別されたオペレーションレジームから少なくとも1つの不調和オペレーションレジームを決定し、
複数のデータ駆動異常検出モデルを使用して、前記少なくとも1つの識別されなかったオペレーションレジームで異常の存在を検出し、
複数のデータ駆動診断検出モデルを使用して、前記複数の工業用資産の前記オペレーションレジームで前記検出された異常の少なくとも1つの原因を識別し、
前記異常の前記識別された原因に基づき残存耐用年数(RUL)を推定して、1つまたは複数の前記資産内の1つまたは複数の構成要素の故障の初期警告を提供する
ように構成された、請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年10月7日に提出されたインド公開特許第202021043590号明細書(特許文献1)の優先権を主張する。
【0002】
本明細書の本開示は、一般に工業データ分析論の分野に関し、具体的には複数の工業用資産のレジームに基づく処理最適化のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
生産性、製品品質、エネルギー消費、可用性、保守費用、緊急作業のパーセンテージなどのような性能指標を使用して、製作および処理工業に伴う処理、設備、および資産の性能を監視する。工業界は今日、原料品質の幅広いばらつきに対処しながら、野心的製造達成目標を実現すること、工業に関するエネルギー消費を最小にすること、排出基準を達成すること、工業製品をカスタマイズすることという難題に直面している。工業用資産は、処理および設備に影響を及ぼすことが知られている数少ないパラメータを調整することにより、工業用資産の性能指標を連続して改善しようと努力している。
【0004】
工業界での多くのオペレーション装置は、動的挙動、ならびに処理で使用する入力材料、運用戦略、設備の摩滅、および保守活動に応じて変化する多数のオペレーションレジームを有する。そのような装置の例は、反応器、ガスタービン、燃焼機関などである。これらの装置のために処理最適化および/または予測保守(故障検出、故障診断、およびRUL推定)を遂行するために、詳細には多数のそのような装置を監視しているときに装置のオペレーションレジームを識別することが重要である。たとえば、CCGT(combined cycle gas turbine、複合サイクルガスタービン)工場施設にガスタービンを供給する相手先商標製造会社(original equipment manufacturer、OEM)は、自身のエンドユーザに遠隔監視サービスを提供する。遠隔監視中、異なる場所から得られる流量、圧力、温度、振動などのようなオペレーションおよび設備のデータは、中央遠隔監視センターにもたらされ、中央遠隔監視センターでガスタービン専門科はデータを分析し、オペレーションレジームを識別し、処理の故障を検出し、ガスタービン操作者に適切な手段を提案して、故障を防止する、および/またはタービンの性能を改善する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】インド公開特許第202021043590号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マハラノビス距離(Mahalanobis distance、MD)および主成分分析(principal component analysis PCA)などの従来の技法は、工業データでレジームを識別するために使用されてよいが、これらの技法は、工業データに存在する時間的関係を考慮しないとき、効果的ではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態は、従来のシステムで本発明者らが認識した上述の技術的問題の1つまたは複数に対する解決手段として技術的改善を提示する。たとえば、一実施形態では、複数の工業用資産のレジームに基づく処理最適化のためのシステムおよび方法を提供する。
【0008】
一様態では、複数の工業用資産のレジームに基づく処理最適化のためのプロセッサ実装方法を提供する。方法は、所定の頻度で複数の工業用資産の1つまたは複数のデータベースから複数のデータを受信するステップ、および受信した複数のデータを1つまたは複数の事前に規定されたデータフォーマットに従って前処理するステップなどの1つまたは複数のステップ、冗長データの除去、サンプリング頻度の統一、外れ値の識別および除去、欠測データの補完、ならびに1つまたは複数のデータベースから得られる複数の変数の同期化および統合を含む。
【0009】
プロセッサ実装方法は、複数の工業用資産の前処理されたデータを使用して、複数のソフト・センサ・データを計算するステップと、前処理された複数のデータおよび計算された複数のソフト・センサ・データを統合して、複数の工業用資産ごとに統合データを得るステップと、セグメント化されたデータに対する階層的クラスタリングを使用して統合データから複数の工業用資産の1つまたは複数のオペレーションレジームを識別するステップとを含む。本明細書では、階層的クラスタリングは、統合データから1つまたは複数のセグメント化されたデータを得て、1つまたは複数のレジームシーケンスの各々に対応するレジーム類似度スコアを計算し、レジーム類似度スコアの事前に規定されたしきい値と計算されたレジーム類似度スコアを比較して、複数の工業用資産の1つまたは複数のオペレーションレジームを識別する。さらに、識別された1つまたは複数のオペレーションレジームに基づき複数の工業用資産をグループ化して1つまたは複数のグループにし、複数のソフト・センサ・データを使用して、複数の工業用資産の各々の複数の重要性能パラメータを最適化する。そして最後に、複数の工業用資産の1つまたは複数の変数に対する1つまたは複数の処理最適化設定を助言する。
【0010】
その上、プロセッサ実装方法は、レジームデータベースに記憶された少なくとも1つの過去のオペレーションレジームとの比較に基づき、1つまたは複数のオペレーションレジームから少なくとも1つの不調和オペレーションレジームを決定するステップと、複数のデータ駆動異常検出モデルを使用して、少なくとも1つの識別されなかったオペレーションレジームで異常の存在を検出するステップとを備える。複数のデータ駆動異常診断モデルを使用して、複数の資産のオペレーションレジームで検出された異常の少なくとも1つの原因を識別する。非異常な不調和オペレーションレジームに関する適応学習に基づき最適化モデルを再調整することに留意されたい。最後に、識別された異常の原因に基づき、複数の資産の残存耐用年数(remaining useful life、RUL)を推定して、1つまたは複数の資産の故障の早期警告を助言する。
【0011】
別の様態では、工業用資産のレジームに基づく処理最適化のためのシステムを提供する。システムは、所定の頻度で工業用製作工場施設の1つまたは複数のデータベースから複数のデータを受信するように構成された入力/出力インタフェースと、複数の命令を記憶する少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのメモリと通信可能に連結した1つまたは複数のハードウェアプロセッサとを含み、1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、少なくとも1つのメモリに記憶された複数の命令を実行するように構成される。さらに、システムは、受信した複数のデータの可用性の検証、冗長データの除去、サンプリング頻度の統一、外れ値の識別および除去、欠測データの補完、ならびに1つまたは複数のデータベースから得た複数の変数の同期化および統合のために、受信した複数のデータを前処理するように構成される。さらに、システムは、複数の工業用資産の前処理されたデータを使用して、複数のソフト・センサ・データを計算し、前処理された複数のデータおよび計算された複数のソフト・センサ・データを統合して、複数の工業用資産ごとに統合データを得て、セグメント化されたデータに対する階層的クラスタリングを使用して、統合データから複数の工業用資産の1つまたは複数のオペレーションレジームを識別するように構成される。本明細書では、階層的クラスタリングは、統合データから1つまたは複数のレジームシーケンスを得て、1つまたは複数のレジームシーケンスの各々に対応するレジーム類似度スコア(regime similarity score、RSS)を計算し、レジーム類似度スコアの事前に規定されたしきい値と計算されたレジーム類似度スコアを比較して、複数の工業用資産の1つまたは複数のオペレーションレジームを識別する。さらに、識別された1つまたは複数のオペレーションレジームに基づき複数の工業用資産をグループ化して1つまたは複数のグループにし、複数のソフト・センサ・データを使用して、複数の工業用資産の各々の複数の重要性能パラメータを最適化する。そして最後に、複数の工業用資産の1つまたは複数の変数に対する1つまたは複数の処理最適化設定を助言する。
【0012】
その上、システムは、レジームデータベースに記憶された少なくとも1つの過去のオペレーションレジームとの比較に基づき1つまたは複数のオペレーションレジームから少なくとも1つの不調和オペレーションレジームを決定して、複数のデータ駆動異常検出モデルを使用して、少なくとも1つの識別されなかったオペレーションレジームで異常の存在を検出するように構成される。複数のデータ駆動異常診断モデルを使用して、複数の資産のオペレーションレジームで検出された異常の少なくとも1つの原因を識別する。非異常な不調和オペレーションレジームに関する適応学習に基づき最適化モデルを再調整することに留意されたい。システムは、識別された異常の原因に基づき複数の資産の残存耐用年数(RUL)を推定して、1つまたは複数の資産の故障の早期警告を助言するように構成される。
【0013】
さらに別の様態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、システム上の1つまたは複数のプロセッサにより実行されたとき、1つまたは複数のプロセッサに、複数の工業用資産のレジームに基づく処理最適化のための方法を遂行させる1つまたは複数の命令を記憶する。方法は、所定の頻度で複数の工業用資産の1つまたは複数のデータベースから複数のデータを受信するステップ、および受信した複数のデータを1つまたは複数の事前に規定されたデータフォーマットに従って前処理するステップなどの1つまたは複数のステップ、冗長データの除去、サンプリング頻度の統一、外れ値の識別および除去、欠測データの補完、ならびに1つまたは複数のデータベースから得られる複数の変数の同期化および統合を含む。
【0014】
プロセッサ実装方法は、複数の工業用資産の前処理されたデータを使用して複数のソフト・センサ・データを計算するステップと、前処理された複数のデータおよび計算された複数のソフト・センサ・データを統合して、複数の工業用資産ごとに統合データを得るステップと、セグメント化されたデータに対する階層的クラスタリングを使用して、統合データから複数の工業用資産の1つまたは複数のオペレーションレジームを識別するステップとを含む。本明細書では、階層的クラスタリングは、統合データから1つまたは複数のセグメント化されたデータを得て、1つまたは複数のレジームシーケンスの各々に対応するレジーム類似度スコアを計算し、レジーム類似度スコアの事前に規定されたしきい値と計算されたレジーム類似度スコアを比較して、複数の工業用資産の1つまたは複数のオペレーションレジームを識別する。さらに、識別された1つまたは複数のオペレーションレジームに基づき複数の工業用資産をグループ化して1つまたは複数のグループにし、複数のソフト・センサ・データを使用して複数の工業用資産の各々の複数の重要性能パラメータを最適化する。そして最後に、複数の工業用資産の1つまたは複数の変数に対する1つまたは複数の処理最適化設定を助言する。
【0015】
その上、プロセッサ実装方法は、レジームデータベースに記憶された少なくとも1つの過去のオペレーションレジームとの比較に基づき、1つまたは複数のオペレーションレジームから少なくとも1つの不調和オペレーションレジームを決定するステップと、複数のデータ駆動異常検出モデルを使用して、少なくとも1つの識別されなかったオペレーションレジームで異常の存在を検出するステップとを備える。複数のデータ駆動異常診断モデルを使用して、複数の資産のオペレーションレジームで検出された異常の少なくとも1つの原因を識別する。非異常な不調和オペレーションレジームに関する適応学習に基づき最適化モデルを再調整することに留意されたい。最後に、識別された異常の原因に基づき複数の資産の残存耐用年数(RUL)を推定して、1つまたは複数の資産の故障の早期警告を助言する。
【0016】
前述の一般的記述も以下の詳細な記述も代表的なものであり、説明のためだけのものであり、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0017】
本開示に組み込まれ本開示の一部を構成する添付図面は、代表的実施形態を示し、本明細書と共に、開示する原理を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の実施形態による、工業用製作工場施設または処理の複数の工業用資産のレジームに基づく処理最適化のための代表的システムを例示する。
図2】本開示の実施形態による、工業用資産のレジームに基づく処理最適化のためのシステムのアーキテクチャ図を例示する。
図3】本開示の実施形態による、工業用資産のレジームに基づく処理最適化を例示する機能構成図である。
図4】本開示の実施形態による、異常の検出および診断、ならびに資産副グループ化を例示する作業の流れである。
図5】本開示のいくつかの実施形態による、工業用製作工場施設および処理の複数の工業用資産のレジームに基づく処理最適化のための方法を例示する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して代表的実施形態について記述する。図では、参照番号の1つまたは複数の左端の数字は、参照番号が最初に出現する図を識別する。好都合なときはいつでも、同じまたは類似する部分を指すために、図面全体を通して同じ参照番号を使用する。開示する原理の例および特徴について本明細書で説明するが、開示する実施形態の趣旨および範囲を逸脱することなく修正形態、適応形態、および他の実装形態が可能である。以下の詳細な説明は、ただ単に代表的であると考えられ、真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲により示されることが意図される。
【0020】
本明細書の実施形態は、工業用製作および処理工場施設または装置のさまざまな資産のレジームに基づく処理最適化のための方法およびシステムを提供する。時間的階層的クラスタリングを使用してさまざまな資産のオペレーションレジームを識別する。統合された工業データのレジームシーケンスから各資産のレジーム類似度スコア(RSS)を計算し、所与のしきい値と比較して、オペレーションレジームを識別する。本明細書では、識別されたオペレーションレジームオペレーションレジームデータベースのオペレーションレジームと調和させ、類似のオペレーションレジームを有する工業用資産を一緒にグループ化する。出力を最適化する、または損失/費用を考慮に入れる処理および設備制約条件を最小にするために、工業用資産のグループごとに処理最適化を行い、最適化設定を識別する。不調和オペレーションレジームでの異常を分析し、診断を行って、検出したいかなる異常の根本的原因も識別する。不調和オペレーションレジームを有する資産内の構成要素の残存耐用年数を推定して、構成要素の信頼性を確保し、故障を防止する。非異常な不調和レジームに関する(物理学に基づく、データ駆動、またはハイブリッドである可能性がある)能動モデルのための適応学習は、その構成に応じて連続的である、または要求に応じる。
【0021】
次に、図面を参照すると、より詳細には、類似する参照文字が図全体を通して、対応する特徴を一貫して示す図1図5を参照すると、好ましい実施形態が示されており、これらの実施形態について、以下の代表的なシステムおよび/または方法に関連して説明する。
【0022】
図1は、実施形態の例による、工業用製作および処理工場施設または装置のさまざまな資産のレジームに基づく処理最適化のためのシステム(100)の構成図を例示する。システム(100)をサーバ上に実装することを考慮して本開示について説明するが、システム(100)は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ノートブック、ワークステーション、クラウドに基づくコンピューティング環境などのような1つまたは複数のコンピューティング機器(102)を備えてよいことが理解されてよい。システム100は、集合的にI/Oインタフェース(104)と呼ばれる1つまたは複数の入力/出力インタフェース104-1、104-2、…、104-Nを通してアクセスされてよいことが理解されよう。I/Oインタフェース(104)の例は、ユーザインタフェース、携帯型コンピュータ、携帯情報端末、ハンドヘルド機器、スマートホン、タブレットコンピュータ、ワークステーションなどを含んでよいが、それらに限定されない。I/Oインタフェース(104)は、ネットワーク(106)を通してシステム(100)に通信可能に連結される。
【0023】
ある実施形態では、ネットワーク(106)は、無線もしくは有線のネットワーク、またはそれらの組合せであってよい。ある例では、ネットワーク(106)は、コンピュータネットワークとして、すなわち仮想プライベートネットワーク(virtual private network、VPN)、イントラネット、ローカル・エリア・ネットワーク(local area network、LAN)、広域ネットワーク(wide area network、WAN)、インターネットなどのような、異なるタイプのネットワークの1つとして実装することができる。ネットワーク106は、さまざまなプロトコルを、たとえば、ハイパーテキスト転送プロトコル(Hypertext Transfer Protocol、HTTP)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(Transmission Control Protocol/Internet Protocol、TCP/IP)、およびワイヤレス・アプリケーション・プロトコル(Wireless Application Protocol、WAP)を使用して互いに通信する、異なるタイプのネットワークの関連性を表す専用ネットワークまたは共用ネットワークであってよい。さらに、ネットワーク(106)は、ルータ、ブリッジ、サーバ、コンピューティング機器、記憶装置を含む、さまざまなネットワーク機器を含んでよい。ネットワーク(106)内部のネットワーク機器は、通信リンクを通してシステム(100)と対話してよい。
【0024】
システム(100)は、Bluetooth(登録商標)、USB、ZigBee、および他の携帯サービスなど、さまざまな接続性選択肢をサポートする。ネットワーク環境は、インターネット、WAN、MANなどを含む任意の通信リンクを使用してシステム(100)のさまざまな構成要素の接続を可能にする。ある代表的実施形態では、システム(100)は、スタンドアロンの機器として動作するように実装される。別の実施形態では、システム(100)は、スマートコンピューティング環境に疎に結合した機器として作動するように実装されてよい。システム(100)の構成要素および機能についてさらに詳細に記述する。
【0025】
図2を参照すると、複数の工業用資産のレジームに基づく処理最適化のための代表的システムが例示されている。工業用資産は、本明細書では処理工場施設の1つまたは複数の工業用装置、直列および/または並列の処理装置を備える処理または製作工場施設全体などの静的資産、ならびに航空エンジン、自動車エンジンなどのような移動資産または移動設備を指すことを認識されよう。工業用工場施設は、原料の形をとる入力を処理し、製品および副産物、ならびに場合によっては固体廃棄物、液体廃棄物、およびガス状排出物を発生させる。工業用工場施設は、通常はある環境の中でオペレーションされ、典型的には周囲温度、圧力、および湿度などの環境条件は、工場施設のオペレーションに影響を及ぼす。本明細書では、時系列階層的クラスタリングを使用して、複数の工業用資産のオペレーションレジームをリアルタイムで識別する。同じオペレーションレジームを有する工業用資産をグループ化し、重要性能パラメータの予測モデル、オペレーションおよび品質の制約条件、操作変数(manipulated variable、MV)、ならびに識別された支配時間に特有のMVの事前に規定されたしきい値限界を利用して、グループごとに処理最適化を行う。複数の資産に関して最適化の結果を助言する。しかしながら、識別されたオペレーションレジームが、レジームデータベースで利用可能な過去のオペレーションレジームのいずれとも不調和である場合、受信したリアル・タイム・データを、異常/故障を求めて分析する。そこでは、複数の資産のうち少なくとも1つで故障を検出し、識別された異常の原因に基づき複数の資産の残存耐用年数(RUL)および故障寿命(time to failure、TTF)を推定して、1つまたは複数の資産の故障の早期警告を助言する。
【0026】
レジームに基づく最適化モジュールは、通信層を介して1つまたは複数の工業用資産と対話し、オペレーションデータベース、研究所データベース、保守データベース、環境データベースなどのようないくつかの工業用処理データベースからリアル・タイム・データおよび非リアル・タイム・データを受信する。レジームに基づく最適化モジュールは、その構成に応じて連続して、または要求に応じて工場施設データを前処理し、前処理されたデータおよびソフトセンサを使用して、シミュレートされたデータを得て、シミュレートされたデータと前処理されたデータを組み合わせて、統合データを得て、統合データを使用して、予測、レジーム識別、分類、検出、診断および予知、処理最適化、モデル性能監視、ならびに(物理学に基づく、データ駆動の、またはハイブリッドである可能性がある)能動モデルのための適応学習などのサービスを提供する。レジームに基づく最適化モジュールの一部であるさまざまなインタフェースを介してユーザにさまざまなサービスの出力を示す。
【0027】
一実施形態では、システム(100)は、1つまたは複数の工業用資産のレジームに基づく最適化のために構成される。システム(100)は、複数の命令を伴う少なくとも1つのメモリ(102)と、1つまたは複数のデータベース(112)と、1つまたは複数の入力/出力インタフェース(104)と、本明細書の複数のモジュール(110)を実行するために少なくとも1つのメモリ(102)と通信可能に連結された1つまたは複数のハードウェアプロセッサ(108)とを備える。さらに、システムは、前処理モジュール(114)と、計算モジュール(116)と、データ統合モジュール(118)と、レジーム識別モジュール(120)と、グループ化モジュール(122)と、異常検出および診断(anomaly detection and diagnosis、ADD)モジュール(124)と、RUL推定モジュール(126)と、適応学習モジュール(128)と、処理最適化モジュール(130)と、助言モジュール(132)とを備える。
【0028】
図3を参照すると、機能構成図は、システム(100)の1つまたは複数のモジュールを例示する。本明細書では、入力/出力インタフェース(104)は、所定の頻度(たとえば、1回/秒、1回/分、1回/時間など)でさまざまなデータベースからリアル・タイム・データおよび非リアル・タイム・データを受信するように構成され、この場合、頻度はユーザにより構成可能である。リアル・タイム・データは、オペレーションデータおよび環境データを含む。オペレーションデータは、工業用資産内のセンサにより記録され、工業用資産の装置内の処理および設備から得られる温度、圧力、流量、および振動を含む。オペレーションデータは、分散制御システム(distributed control system、DCS)、OPCサーバなどから得られ、オペレーションデータベースまたはヒストリアン(historian)に記憶することができる。周囲温度、大気圧、周囲湿度、降雨などの環境データもまたセンサにより記録され、環境データベースに記憶することができる。非リアル・タイム・データは、研究所および保守活動から得られるデータを含む。研究所データは、原料、製品、副産物、固体および液体の廃棄物、ならびに研究所で試験された排出物に関する特性(たとえば、化学組成、サイズ分布、濃度、密度、粘度、発熱量、微細構造組成など)からなる。研究所データは、典型的には研究所情報管理システム(laboratory information management system、LIMS)、リレーショナルデータベース(relational database RDB)、またはSQLデータベースに記憶され、そこから取り出される。処理および設備の条件、工場施設作動状態、工業用装置に対して遂行される保守活動などに関係する情報は、保守データベースに記憶され、そこから取り出される。
【0029】
好ましい実施形態では、システム(100)の前処理モジュール(114)は、工業用製作工場施設の多数のデータベースから受信したリアル・タイム・データおよび非リアル・タイム・データの前処理を遂行するように構成される。前処理は、冗長データの除去、サンプリング頻度の統一、データのフィルタ処理、外れ値識別および除去、欠測データの補完、適切な遅れを組み入れることによるデータの同期化、ならびにさまざまなデータ供給源からの変数の統合を伴う。
【0030】
好ましい実施形態では、システム(100)の計算モジュール(116)は、複数の工業用資産の前処理されたデータを使用して、複数のソフト・センサ・データを計算するように構成される。場合によっては、いくつかの用途または環境では、アクセス要件、極端なオペレーション条件、環境での外乱、センサの限界などのような制約条件に起因して、物理的センサを直接に使用することが不可能なことがあることに留意されたい。さらに、物理的センサから収集した情報は、資産の挙動を獲得するのに十分ではないことがある。そのような場合、ソフトセンサ(物理学に基づくソフトセンサまたはデータ駆動ソフトセンサ)を使用して、工場施設に関する追加情報を生成する。ソフトセンサの例は、炉の点火ゾーン内の温度、反応器内部にある製品または副残物の濃度などを含む。(物理学に基づく、およびデータ駆動)ソフトセンサは、ソフト・センサ・データベースに記憶される。
【0031】
複数のセンサ(典型的には、数100のセンサ)に関して工業上のデータを記録してよいことを認識されよう。これらのセンサ変数のいくつかは、操作変数(MV)として知られ、操作者が調整/変更することができる。これらの変数のいくつかは、外乱変数(disturbance variable、DV)として知られ、工業用資産に対して外部から作用し、調整/変更することができない。操作変数および外乱変数以外の変数は、処理変数として知られ、直接に調整/変更することができないが、MVおよびDVの変化により影響を及ぼされる可能性がある。
【0032】
好ましい実施形態では、システム(100)のデータ統合モジュール(118)は、前処理された複数のデータおよび計算された複数のソフト・センサ・データを統合して、複数の工業用資産ごとに統合データを得るように構成される。統合データは、レジームを識別するために使用される。
【0033】
好ましい実施形態では、システム(100)のレジーム識別モジュール(120)は、セグメント化されたデータに対して階層的クラスタリングを使用して、統合データから複数の工業用資産の1つまたは複数のオペレーションレジームを識別するように構成される。本明細書では、レジーム識別モジュール(120)は、統合データから1つまたは複数のレジームシーケンスを得て、1つまたは複数の履歴レジームシーケンスの各々に対応するレジーム類似度スコア(RSS)を計算する。さらに、レジーム識別モジュール(120)は、事前に規定されたレジーム類似度スコアのしきい値と計算されたレジーム類似度スコアを比較して、複数の工業用資産の1つまたは複数のオペレーションレジームを識別してよい。
【0034】
図4を参照すると、流れ図は、レジーム識別モジュール(120)の機能を例示している。本明細書では、レジーム識別モジュール(120)は、各工業用資産から得られる変数を包含する統合データを入力として得る。入力時系列データは、ユーザが構成することができる固定数の時間インスタンスを包含する重複する/重複しない時間セグメントに分割される。時間セグメントごとに変数の各対間の距離指標を算出する。距離は、動的時間伸縮法(Dynamic Time Warping)、braycurtis(ブレイカーティス距離)、canberra(キャンベラ距離)、chebyshev(チェビシェフ距離)、cityblock(マンハッタン距離)、correlation(相関距離)、cosine(コサイン距離)、dice(ダイス距離)、euclidean(ユークリッド距離)、hamming(ハミング距離)、jaccard(ジャッカード距離)、jensenshannnon(イェンセンシャノン距離)、kulsinski、matching(マッチング距離)、minkowski(ミンコフスキー距離)、rogerstanimoto、russellrao、seuclidean(標準化されたユークリッド距離)、sokalmichener、sokalsneath、sqeuclidean(二乗ユークリッド距離)、yuleとすることができる。さらに、階層的クラスタリングを使用して、クラスタと呼ばれる類似変数をグループ化する。別個のクラスタ内の各変数から始めて、各ステップで2つの最も類似するクラスタをつなぎ合わせて新しい単一クラスタにする。収束するまでこれを繰り返して、階層的クラスタリングの結果として系統樹を生み出す。
【0035】
事前に規定された高さで距離軸に垂直に系統樹を切断することにより、変数に関する1組のクラスタが得られることを認識されよう。系統樹を切断後、変数の1つまたは複数のクラスタを得て、本明細書では、1つまたは複数のクラスタの各々の範囲内で各変数に固有番号を割り当て、セグメントごとにレジームシーケンスを得る。数少ないセグメントに関するレジームシーケンスのサンプルを表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
セグメントごとにレジームシーケンスを得た後、レジーム類似度スコア(RSS)を算出して、履歴レジームデータベース内で類似のレジームシーケンスが利用可能であるかどうかを確認する。セグメントの得られたレジームシーケンスとデータベースで利用可能なレジームシーケンスの間の加重距離を使用してRSSを算出してよい。距離は、ユークリッド、cityblock、cosine、euclidean、l1、l2,manhattan、braycurtis、canberra、chebyshev、correlation、dice、hamming、jaccard、kulsinski、‘mahalanobis’、minkowski、rogerstanimoto、russellrao、seuclidean、sokalmichener、sokalsneath、sqeuclidean、yuleとすることができる。たとえば、加重ユークリッド距離を式(1)に示す。
【0038】
【数1】
【0039】
上式で、セグメントのレジームシーケンスに関して得られたレジーム類似度、および履歴レジームデータベース内にある既存のレジームシーケンスのうちいずれかが、事前に規定されたしきい値よりも大きい場合、その時間セグメントに関するレジームは、既存のオペレーションレジームのうち1つと調和する。その時間セグメントに既存のオペレーションレジームに対応するレジームIDを割り当てる。履歴レジームデータベース内のレジームシーケンスは、履歴データセグメントに対してレジーム識別を適用することにより得られる。レジームシーケンスを適用後、類似するレジームシーケンスを有するセグメントを一緒にグループ化し、各グループでシーケンスのパーセンテージを算出する。特定のしきい値よりも高いパーセンテージを有するレジームシーケンスをレジームデータベースに追加する。新しく識別されたレジームに関して予測モデルを再調整する。しきい値よりも低いパーセンテージを有するシーケンスを異常検出および診断モジュールに送信し、異常である場合、ADDデータベースに追加する。
【0040】
好ましい実施形態では、システム(100)のグループ化モジュール(122)は、1つまたは複数のオペレーションレジームに関して識別されたレジームIDに基づき複数の工業用資産をグループ化して1つまたは複数のグループにするように構成される。本明細書では、工業用資産は、同じレジームIDを有する他の工業用資産と共にグループ化される。既存のレジームシーケンスのいずれかに関して1つまたは複数のレジームシーケンスのRSSが、事前に規定されたしきい値よりも小さい場合、セグメントに関して識別されたオペレーションレジームは、オペレーションレジームデータベースで利用可能な過去のオペレーションレジームのいずれとも調和しないことに留意されたい。次いで、異常/故障を求めてデータセグメントを確認する。
【0041】
好ましい実施形態では、システム(100)の診断モジュール(124)は、不調和オペレーションレジームで異常を検出するように構成され、診断を行って、故障の根本的原因、および異常の一因となるセンサを識別する。異常検出および診断のために統計的ディープラーニング技法を使用する。いくつかの多変量統計的技法は、主成分分析、1クラスサポートベクターマシン(One-Class Support Vector Machine)、Isolation Forest(隔離森林)、局所外れ値因子法(Local Outlier Factor)、マハラノビス距離、Elliptic Envelope(楕円エンベロープ)であり、ディープラーニング技法は、LSTMオートエンコーダ(Autoencoder)、Dense Autoencoder(高密度オートエンコーダ)、およびConvolutional Autoencoder(畳込みオートエンコーダ)などである。
【0042】
別の様態では、1つまたは複数のオペレーションレジームのRSSが、事前に規定されたしきい値よりも小さく、かつデータセグメントが診断モジュール(124)により異常として報告されない場合、このセグメントに関して得られたレジームシーケンスを新しいレジームとしてレジームデータベースに追加する。
【0043】
好ましい実施形態では、システム(100)のRUL推定モジュール(126)は、工業用資産の1つまたは複数の構成要素の健全性を推定して、検出された異常に起因する残存耐用年数(RUL)または故障寿命(TTF)を推定するように構成される。構成要素のRULが前もって予測される場合、構成要素が故障する前に検査、保守、または交換などのオペレーションを前もって行うことができる。機械学習およびディープラーニングの取り組み方法を伴うデータ駆動技法、物理学に基づく技法、ならびにそれらの組合せを使用して、診断モジュール(124)およびRUL推定モジュール(126)を構築する。
【0044】
好ましい実施形態では、システム(100)の適応学習モジュール(128)は、不調和で非異常なオペレーションレジームに従って1つまたは複数の予測モデルを再調整するように構成される。時系列セグメントに関して識別されたレジームレジームデータベースで利用可能ではなく、かつ異常であると識別されない場合、不調和で非異常なオペレーションレジームレジームデータベースに新しいレジームとして追加することに留意されたい。新しいレジームから得られるデータを使用して、新しいレジームに関連する予測モデルを再調整する。さらにまた、新しいレジームから得られるデータを使用して、物理学に基づくモデルを調整する。
【0045】
好ましい実施形態では、システム(100)の処理最適化モジュール(130)は、複数の工業用資産の各グループの複数の重要性能パラメータを最適化するように構成される。本明細書では、処理最適化を行って、最適オペレーション判定を識別して、所定の処理、設備、およびオペレーションの制約条件の範囲内で工業用資産のオペレーションおよび/または保守の目標を達成する。オペレーション目標は、出力、品質、効率などを最大にしている、またはエネルギー消費、排出物、オペレーションの費用、保守の費用などを最小にしている可能性がある。目標および制約機能に必要とされる予測モデル、操作変数の下界および上界、ならびにレジームごとの目標および制約機能を最適化データベースに記憶する。処理最適化モジュール(130)は、予測モデル、操作変数、ならびに識別されたレジームおよび最適化データベースから得られるグループ化された工業用資産それぞれに適した操作変数の境界および制約条件を選択し、最適化を遂行して、所与の1組の目標および制約条件に関する操作変数(MV)に関して最適化された値を識別する。
【0046】
データ駆動モデルは、回帰の変形形態(多重線形回帰、段階的回帰、前方回帰(forward regression)、後方回帰(backward regression)、部分最小二乗回帰、主成分回帰、ガウス過程回帰、多項式回帰など)、決定木およびその変形形態(ランダムフォレスト(random forest)、バギング(bagging)、ブースティング(boosting)、ブートストラッピング)、サポートベクター回帰、k最近傍回帰、スプラインフィッティング(spline fitting)またはその変形形態(たとえば、多適応回帰スプライン(multi adaptive regression spline))、人工ニューラルネットワークおよびその変形形態(多層パーセプトロン、再帰的ニューラルネットワークおよびその変形形態、たとえば、長・短期記憶ネットワーク(long short term memory network)、ならびに従来のニューラルネットワーク)、ならびに時系列回帰モデルなどの統計的技法、機械学習、またはディープラーニング技法を使用して構築されたモデルを含むことを認識されよう。
【0047】
さらに、データ駆動モデルはまた、統計、機械学習、またはディープラーニングに基づく1クラスまたは多クラス分類、スコア付け、または診断モデルを、たとえば、主成分分析、マハラノビス距離、隔離フォレスト(isolation forest)、ランダムフォレスト分類器、1クラス・サポート・ベクター・マシン、人工ニューラルネットワークおよびその変形形態、楕円エンベロープ(elliptic envelope)およびオートエンコーダ(たとえば、高密度オートエンコーダ(dense auto-encoder)、LSTMオートエンコーダ、CNNオートエンコーダ)を含む。データ駆動モデルは、点モデル(予測のためにデータインスタンス間の時間的関係を考慮しない)または時系列モデル(予測のためにデータインスタンス間の時間的関係を考慮する)とすることができる。
【0048】
その上、データ駆動モデルはまた、物理学に基づくモデルの縮小次元モデルまたは応答曲面モデルを含む。応答変数は、処理工場施設での重要処理パラメータを含み、生産性、歩留まり、サイクル時間、エネルギー消費、廃棄物生成、排出物、品質パラメータ、設備の条件、可用性、平均故障間隔、予想外のシャットダウンの回数、運転費用、保守費用、または工場施設、処理、および/もしくは設備の条件を示す、上記の加重組合せのうち1つまたは複数とすることができる。さまざまなモデルから得られる予測は、工場施設操作者または技術者が、工場施設のオペレーションに関する情報に基づく決断を行い、考えられる異常を確認し続け、工場施設の状態/健全性を分類し、検出された異常の根本的原因を識別し、さまざまな処理または設備の残存耐用年数を推定し、所望のレベルの重要処理パラメータを達成するためにオペレーションを最適化する助けになる。
【0049】
好ましい実施形態では、システム(100)の助言モジュール(132)は、複数の工業用資産のレジームグループごとに、処理最適化によって識別された1つまたは複数の操作変数の1つまたは複数の最適設定を助言する。
【0050】
別の実施形態では、適応学習知識ベースの作成が例示される。複数の工業用資産ごとにレジーム識別、および工業用資産のグループに関するレジームに基づく処理最適化を遂行するために、同じ地理的場所に位置する、または多数の地理的場所にある、類似する性質および機能を持つ多数の工業用資産から得られる第1組のデータ(オペレーションデータ、研究所データ、環境データ、保守データ、物理学駆動またはデータ駆動のソフトセンサを使用して推定されたソフト検知データなど)を使用する。それぞれの工業用資産で多数のデータベースに備わっている第1組のデータを、データ通信ネットワークを介して共通プロセッサに持って行くことができる。
【0051】
図5を参照すると、工業用資産のレジームに基づく処理最適化のためのプロセッサ実装方法(500)が例示されている。方法(500)は、工業用製作または処理工場施設の1つまたは複数の工業用資産に関連するレジームに基づく最適化処理モジュールの一部であることを認識されよう。本明細書では、1つまたは複数の工業用資産は、処理工場施設の1つまたは複数の工業用装置、直列および/または並列の処理装置を備える処理または製作工場施設全体などの静的資産、ならびに航空エンジン、自動車エンジンなどのような移動する資産または設備を指す。
【0052】
最初に、ステップ(502)で、所定の頻度で複数の工業用資産の1つまたは複数のデータベースから複数のデータを受信する。複数のデータは、リアル・タイム・データおよび非リアル・タイム・データを備える。1つまたは複数のデータベースは、オペレーションデータベース、研究所データベース、保守データベース、および環境データベースを含む。
【0053】
好ましい実施形態では、次のステップ(504)で、受信した複数のデータの可用性の検証、冗長データの除去、サンプリング頻度の統一、データのフィルタ処理、外れ値の識別および除去、欠測データの補完、ならびに適切な遅れの組入れおよび1つまたは複数のデータベースから得られる複数の変数の統合による同期化のために、受信した複数のデータを前処理する。複数のモデルは、1つまたは複数のデータ駆動モデル、1つまたは複数の物理学に基づくモデル、および1つまたは複数のハイブリッドモデルを含むことに留意されたい。
【0054】
好ましい実施形態では、次のステップ(506)で、複数の工業用資産の前処理されたデータを使用して、複数のソフト・センサ・データを計算する。そこでは、複数のソフトセンサは、物理学に基づくソフトセンサおよびデータ駆動ソフトセンサを含む。
【0055】
好ましい実施形態では、次のステップ(508)で、前処理された複数のデータおよび計算された複数のソフト・センサ・データを統合して、複数の工業用資産ごとに統合データを得る。
【0056】
好ましい実施形態では、次のステップ(510)で、セグメント化されたデータに対する時系列階層的クラスタリングを使用して、統合データから複数の工業用資産の1つまたは複数のオペレーションレジームを識別する。階層的クラスタリングは、統合データから1つまたは複数のレジームシーケンスを得るステップと、1つまたは複数のレジームシーケンスの各々に対応するレジーム類似度スコアを計算するステップと、事前に規定されたレジーム類似度スコアしきい値と計算されたレジーム類似度スコアを比較して、複数の工業用資産の1つまたは複数のオペレーションレジームを識別するステップとを備える。
【0057】
好ましい実施形態では、次のステップ(512)で、識別された1つまたは複数のオペレーションレジームに基づき複数の工業用資産をグループ化して1つまたは複数のグループにする。
【0058】
好ましい実施形態では、次のステップ(514)で、レジームデータベースに記憶された少なくとも1つの過去のオペレーションレジームとの比較に基づき、1つまたは複数の識別されたオペレーションレジームから少なくとも1つの不調和オペレーションレジームを決定する。
【0059】
好ましい実施形態では、次のステップ(516)で、複数のデータ駆動異常検出モデルを使用して、不調和オペレーションレジームで1つまたは複数の異常の存在を検出し、複数のデータ駆動異常診断モデルを使用して、複数の資産の不調和オペレーションレジームで検出された1つまたは複数の異常の少なくとも1つの原因を識別する。
【0060】
好ましい実施形態では、次のステップ(518)で、不調和で非異常なオペレーションレジームに従って1つまたは複数の予測モデルを再調整する。時系列セグメントに関して識別されたレジームレジームデータベースで利用可能ではなく、かつ異常であると識別されない場合、不調和で非異常なオペレーションレジームを新しいレジームとしてレジームデータベースに追加することに留意されたい。新しいレジームから得られるデータを使用して、新しいレジームに関連する予測モデルを再調整する。さらにまた、新しいレジームから得られるデータを使用して、物理学に基づくモデルを調整する。
【0061】
好ましい実施形態では、次のステップ(520)で、識別された異常の原因に基づき残存耐用年数(RUL)を推定して、1つまたは複数の資産内の1つまたは複数の構成要素の故障の早期警告を提供する。
【0062】
時系列セグメントに関して識別されたレジームレジームデータベースで利用可能ではなく、かつ異常であると識別されない場合、識別されたレジームを新しいレジームとしてレジームデータベースに追加することに留意されたい。新しいレジームおよびシステムの適応学習モデルから得られるデータを使用して、新しいレジームに関連する予測モデルを再調整する。さらに、新しいレジームから得られるデータを使用して、物理学に基づくモデルもまた再調整する。複数の工業用資産の各グループの複数の重要性能パラメータの最適化で、再調整された予測モデルを使用する。
【0063】
好ましい実施形態では、次のステップ(522)で、予測モデル、目標および制約条件、ならびに各レジームグループに特有の操作変数およびそれらの限度を使用して、複数の工業用資産のレジームグループに関して複数の重要性能パラメータを最適化する。
【0064】
好ましい実施形態では、次のステップ(524)で、複数の工業用資産のレジームグループごとに1つまたは複数の操作変数の1つまたは複数の最適設定を助言する。
【0065】
1つまたは複数の工業用資産に関して識別されたオペレーションレジームが、レジームデータベースで利用可能な過去のオペレーションレジームのいずれとも調和しない場合、異常/故障を求めて時系列データセグメントを分析することを認識されよう。時系列データセグメントに関する異常検出および診断を遂行するために、資産の以前の正常レジームに関して利用可能な異常検出および診断モジュールを利用する。処理または設備の故障が検出された場合、診断を行って、故障の根本的原因を識別する。さらに、時系列セグメントに関して識別されたオペレーションレジームレジームデータベースで利用可能ではなく、かつ異常として識別されない場合、識別されたオペレーションレジームを新しいレジームとしてレジームデータベースに追加する。新しいレジームから得られる統合データを使用して、適応学習モジュールで新しいレジームに関連する予測モデルを構築する。さらにまた、新しいレジームから得られる統合データを使用して、工業用資産に関連する物理学に基づくモデルを調整する。
【0066】
書面による記述は、任意の当業者が実施形態を作り出し、使用することができるようにする、本明細書の主題について記述している。主題の実施形態の範囲は、特許請求の範囲により規定され、当業者が思いつく他の修正形態を含んでよい。そのような他の修正形態は、特許請求の範囲の文言と異ならない類似の要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言とわずかな差を有する均等の要素を含む場合、特許請求の範囲に入ることが意図される。
【0067】
本開示の実施形態は、本明細書では監視されている多数の工業用資産に関してモデルに基づく処理最適化および予測保守(故障検出、故障診断、およびRUL推定)を遂行するために、静的工業用資産および移動する工業用資産でオペレーションレジームおよびレジームシフトを識別するという未解決の問題に対処する。したがって、本明細書の実施形態は、工業用製作処理の1つまたは複数の工業用資産のレジームに基づく最適化のためのシステムおよび方法を提供する。
【0068】
保護の範囲は、そのようなプログラムに、さらには中にメッセージを有するコンピュータ可読手段に拡張され、そのようなコンピュータ可読記憶手段は、プログラムがサーバもしくは移動体機器、または任意の適切なプログラム可能機器上で走るとき、方法の1つまたは複数のステップを実装するためのプログラムコード手段を包含することを理解されたい。ハードウェア機器は、たとえば、サーバもしくはパーソナルコンピュータなど、またはそれらの任意の組合せのような任意の種類のコンピュータを含む、プログラムすることができる任意の種類の機器とすることができる。機器はまた、たとえば、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field-programmable gate array、FPGA)などのようなハードウェア手段、またはASICおよびFPGA、もしくは少なくとも1つのマイクロプロセッサおよび中にソフトウェアモジュールが配置された少なくとも1つのメモリなどのハードウェア手段とソフトウェア手段の組合せとすることができる手段を含んでよい。したがって、手段はハードウェア手段とソフトウェア手段の両方を含むことができる。本明細書で記述する方法の実施形態を、ハードウェアおよびソフトウェアの形で実装することができる。機器はまた、ソフトウェア手段を含んでよい。あるいは、たとえば複数のCPUを使用して、異なるハードウェア機器上に実施形態を実装してよい。
【0069】
本明細書の実施形態は、ハードウェア要素およびソフトウェア要素を備えることができる。ソフトウェアの形で実装される実施形態は、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むが、それらに限定されない。本明細書で記述するさまざまなモジュールが遂行する機能を他のモジュールで、または他のモジュールを組み合わせて実装してよい。本明細書が意図するところでは、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、もしくは機器により使用する、またはそれらと共に使用するためのプログラムを備える、記憶する、伝達する、伝播する、または移送することができる任意の装置とすることができる。
【0070】
例示するステップは、示されている代表的実施形態を説明するために提示され、継続的技術開発により、特定の機能を遂行する手法が変わることを認識されたい。これらの例は、例示のために本明細書に提示され、限定するために提示されているわけではない。さらに、記述の便宜上、機能基本構成要素の境界について、本明細書で任意に規定してきた。指定された機能およびそれらの関係が適切に遂行される限り、代わりの境界を規定することができる。代替形態(本明細書で記述する実施形態の均等形態、拡張形態、変形形態、偏向形態などを含む)は、本明細書に包含される教示に基づき、1つまたは複数の関連技術分野の当業者に明らかであろう。そのような代替形態は、開示する実施形態の範囲および精神に入る。また、用語「comprising(備える)」、「having(有する)」、「containing(包含する)」、および「including(含む)」、ならびに他の類似形態は、意味が同等であることが意図され、これらの用語の任意の1つに続く1つまたは複数の項目が、そのような1つまたは複数の項目の網羅的な列挙であることを意味することも、列挙した1つまたは複数の項目だけに限定されることを意味することもないという点で、オープンエンド形式であることが意図される。また、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、前後関係が他の方法で明確に規定しない限り、複数の参照を含むことに留意しなければならない。
【0071】
その上、本開示と整合性のある実施形態を実装する際、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体を利用してよい。コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサにより可読の情報またはデータを記憶してよい、任意のタイプの物理メモリを指す。したがって、コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書で記述する実施形態と矛盾しないステップまたはステージを1つまたは複数のプロセッサに遂行させるための命令を含む、1つまたは複数のプロセッサにより実行するための命令を記憶してよい。用語「コンピュータ可読媒体」は、有形の項目を含み、かつ搬送波および過渡信号を除外する、すなわち、非一時的であることを理解されたい。例には、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードドライブ、CD ROM、DVD、フラッシュドライブ、ディスク、および任意の他の公知の物理的記憶媒体が含まれる。

図1
図2
図3
図4
図5