(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-17
(45)【発行日】2025-03-26
(54)【発明の名称】液体吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20250318BHJP
B65D 47/32 20060101ALI20250318BHJP
B65D 47/08 20060101ALI20250318BHJP
【FI】
B65D47/20 111
B65D47/32 210
B65D47/08 100
(21)【出願番号】P 2021194496
(22)【出願日】2021-11-30
【審査請求日】2024-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】早川 茂
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-095455(JP,A)
【文献】欧州特許第00495440(EP,B1)
【文献】特開2020-083409(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0189067(US,A1)
【文献】中国実用新案第212354954(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
B65D 47/32
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧搾可能な胴部(4)から口頸部(6)を起立する容器体(2)と、
前記口頸部(6)に装着され、当該口頸部(6)の開口面(9)を閉塞する閉塞壁部(20)を有するキャップ状閉塞具(10)と
を具備し、
前記閉塞壁部(20)の少なくとも一部を、前記胴部(4)の圧搾により上方へ膨出可能な易変形壁部(28)に形成するとともに、この易変形壁部(28)に単数又は複数の吐出孔(34)を開口してなる液体吐出容器において、
前記閉塞壁部(20)の下側に配設される中栓(50)を具備し、この中栓(50)は、前記易変形壁部(28)が変形していない状態で、当該易変形壁部(28)の下面に当接する栓板(58)を有するとともに、前記栓板(58)に、前記易変形壁部(28)で密閉される連通孔(60)を形成しており、
前記胴部(4)を圧搾したときに、前記易変形壁部(28)が、非変形時の第1位置から上方へ膨出した時の第2位置へ変位することにより、前記吐出孔(34)と
前記容器体(2)の内部とが前記連通孔(60)を介して連通するように設
け、
前記閉塞壁部(20)は、上方から見て前記口頸部(6)の内側で有頂筒状に隆起する隆起部分(A)を有しており、この隆起部分(A)の頂部を前記易変形壁部(28)とするとともに、前記隆起部分(A)内に前記中栓(50)を嵌挿しており、
前記隆起部分(A)の内面と前記中栓(50)との間に、前記易変形壁部(28)が前記連通孔(60)を密閉している状態で、前記吐出孔(34)から前記容器体(2)の内部へ外気を導入するための外気導入路(P)を形成するとともに、この外気導入路(P)の一部に、前記容器体(2)の内部の負圧化により開弁しかつ当該負圧化の解消により閉弁する逆止弁(V)を設けたことを特徴とする、液体吐出容器。
【請求項2】
前記栓板(58)の上面は、下方へ凹む凹曲面(59)に形成されており、
前記易変形壁部(28)は、前記凹曲面(59)に沿った下方への凸形に付形されており、かつ前記胴部(4)の圧搾により下方への凸形から上方への凸形へ反転するとともに、前記胴部(4)の圧搾の解放により下方への凸形へ弾性復元するように形成したことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出容器。
【請求項3】
前記キャップ状閉塞具(10)の上面を開閉可能に当該キャップ状閉塞具(10)に取り付けられた補助蓋(40)を具備しており、
前記易変形壁部(28)が閉蓋状態で前記補助蓋(40)と前記栓板(58)との間に挟持されるように形成したことを特徴とする、請求項1
又は請求項
2に記載の液体吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の液体吐出容器として、容器体の口頸部に略筒状の栓蓋を組み付けるとともに、この栓蓋の口部上端に複数の噴出孔を穿設する薄板の外周部を付着させ、かつ当該栓蓋の口部の外面にキャップを嵌合させてあり、逆さまにして容器体を圧搾すると、前記噴出孔から液体がシャワー状に噴出されるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の容器は、前記キャップを外した状態で逆さまにしたり、倒したりすると、液体が噴出孔から垂れ出るおそれがあった。
【0005】
本発明の第1の目的は、容器体を傾けても内容液が飛び出さず、液垂れしにくい液体吐出容器を提供することである。
本発明の第2の目的は、使い勝手がよい液体吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、圧搾可能な胴部4から口頸部6を起立する容器体2と、
前記口頸部6に装着され、当該口頸部6の開口面9を閉塞する閉塞壁部20を有するキャップ状閉塞具10と
を具備し、
前記閉塞壁部20の少なくとも一部を、前記胴部4の圧搾により上方へ膨出可能な易変形壁部28に形成するとともに、この易変形壁部28に単数又は複数の吐出孔34を開口してなる液体吐出容器において、
前記閉塞壁部20の下側に配設される中栓50を具備し、この中栓50は、前記易変形壁部28が変形していない状態で、当該易変形壁部28の下面に当接する栓板58を有するとともに、前記栓板58に、前記易変形壁部28で密閉される連通孔60を形成しており、
前記胴部4を圧搾したときに、前記易変形壁部28が、非変形時の第1位置から上方へ膨出した時の第2位置へ変位することにより、前記吐出孔34と前記容器体2の内部とが前記連通孔60を介して連通するように設け、
前記閉塞壁部20は、上方から見て前記口頸部6の内側で有頂筒状に隆起する隆起部分Aを有しており、この隆起部分Aの頂部を前記易変形壁部28とするとともに、前記隆起部分A内に前記中栓50を嵌挿しており、
前記隆起部分Aの内面と前記中栓50との間に、前記易変形壁部28が前記連通孔60を密閉している状態で、前記吐出孔34から前記容器体2の内部へ外気を導入するための外気導入路Pを形成するとともに、この外気導入路Pの一部に、前記容器体2の内部の負圧化により開弁しかつ当該負圧化の解消により閉弁する逆止弁Vを設けた。
【0007】
本手段では、
図1に示すように、容器体2の口頸部6の開口面9を閉塞する閉塞壁部20の少なくとも一部を、易変形壁部28に形成している。
この易変形壁部28は、前記胴部4の圧搾により上方へ膨出可能である。また前記閉塞壁部20の下側に中栓50が配設されており、この中栓50が有する栓板58を前記易変形壁部28に当接させている。
当該栓板58には前記易変形壁部28で密閉される連通孔60が、また前記易変形壁部28には単数又は複数の吐出孔34がそれぞれ開口されている。そして、前記易変形壁部28が、非変形時の第1位置から上方へ膨出した時の第2位置へ変位することにより、前記吐出孔34と容器体2の内部とが前記連通孔60を介して連通するように設けた。
この構造によれば、前記胴部4を圧搾しない限り液体が吐出されないので、容器体2を傾けても内容液が飛び出さず、液垂れしにくい。
また本手段では、図1に示すように、前記閉塞壁部20は、上方から見て前記口頸部6の内側で有頂筒状に隆起する隆起部分Aを有しており、この隆起部分Aの頂部を前記易変形壁部28としている。
そして、前記隆起部分A内に前記中栓50を嵌挿している。
前記隆起部分Aの内面と中栓50との間に、外気導入路Pを形成する。この外気導入路Pは、図3(B)に示すように、前記易変形壁部28が前記連通孔60を密閉している状態で、前記吐出孔34から容器体2の内部へ外気を導入するように設ける。
この外気導入路Pの一部には逆止弁Vを設けている。
この構造によれば、前記胴部4を圧搾した後の内圧の負圧状態を速やかに解消することができ、連続した吐出操作を効率的に行うことができ、使い勝手がよい。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記栓板58の上面は、下方へ凹む凹曲面59に形成されており、
前記易変形壁部28は、前記凹曲面59に沿った下方への凸形に付形されており、かつ前記胴部4の圧搾により下方への凸形から上方への凸形へ反転するとともに、前記胴部4の圧搾の解放により下方への凸形へ弾性復元するように形成した。
【0009】
本手段では、
図1に示すように、前記栓板58の上面は、下方へ凹む凹曲面59に形成されているともに、前記易変形壁部28は、前記凹曲面59に沿った下方への凸形に付形されている。
そして、前記胴部4の圧搾により下方への凸形から上方への凸形へ反転するとともに、前記胴部4の圧搾の解放により下方への凸形へ弾性復元するように形成した。
この構造によれば、胴部の圧搾により上方へ凸形に反転した易変形壁部28と下方へ凹む凹曲面59との空隙Sを通って内容液を滞りなく効率的に吐出させることができる。
また、前記胴部4の圧搾を解放した後には易変形壁部28が下方への凸形へ速やかに反転して連通孔60を密閉して液垂れを回避するので、使い勝手がよい。
【0012】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記キャップ状閉塞具10の上面を開閉可能に当該キャップ状閉塞具10に取り付けられた補助蓋40を具備しており、
前記易変形壁部28が閉蓋状態で前記補助蓋40と前記栓板58との間に挟持されるように形成した。
【0013】
本手段では、
図1に示すように、前記キャップ状閉塞具10の上面を開閉可能に当該キャップ状閉塞具10に取り付けられた補助蓋40を具備している。
そして前記易変形壁部28が閉蓋状態で前記補助蓋40と前記栓板58との間に挟持されるように形成されている。
この構造によれば、前記連通孔60の密閉状態をより確実として液垂れを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容器体2を傾けても内容液が飛び出さず、液垂れしにくい。
また本発明によれば、吐出操作を効率よく行うことができ、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る液体吐出容器の要部の断面図である。
【
図2】
図1に示す容器のキャップ状閉塞部及び補助蓋の展開状態での平面図である。
【
図3】
図1に示す容器の外気導入路の作用説明図であり、同図(A)は、易変形壁部の作用を、同図(B)は、外気導入路の作用を、それぞれ示している。
【
図4】
図1に示す容器の吐出作業を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から
図4は、本発明の実施形態に係る液体吐出容器を示している。この容器は、容器体2と、キャップ状閉塞具10と、補助蓋40と、中栓50とで形成している。もっとも前記補助蓋40は省略しても構わない。
これら各部材は、例えば合成樹脂材で形成することができる。
【0017】
容器体2は、弾性圧縮可能な胴部4から口頸部6を起立しており、この口頸部6の上端7の内側に開口面9を有する。
図示例の口頸部6は、下側の大径部6aから縮径部6bを介して上側の小径部6cを起立しており、前記大径部6aの外面にオネジ部8を形成している。
【0018】
キャップ状閉塞具10は、前記口頸部6の開口面9を閉塞する役割を有する。
本実施形態では、前記キャップ状閉塞具10は、前記口頸部6の周囲を覆うキャップ本体として形成されている。
図示例のキャップ本体は、略有頂筒状であり、前記口頸部6の外面に嵌合される装着筒部12の上端に頂壁である閉塞壁部20を付設してなる。この閉塞壁部20は前記開口面9を閉塞するように設ける。
もっともこの構造は適宜変更することができる。
前記装着筒部12の内面には、前記オネジ部8とかみ合うメネジ部14が形成されており、装着筒部12の上端にはヒンジ16を介して前記補助蓋40が連結されている。
もっとも前記キャップ状閉塞具10と補助蓋40とは別体に形成しても構わない。
また前記装着筒部12の外面の上部には、環状段部eが形成されている。
【0019】
前記閉塞壁部20は、本実施形態において、
図1に示す如く、前記口頸部6の上方の部位を隆起させてなる隆起部分Aを有し、この隆起部分Aの内側に、前記中栓50を収納するための収納凹部Rを形成している。
前記隆起部分Aの具体的な構造については後述する。
図示例では、前記閉塞壁部20は、前記装着筒部12の上端部に付設された内向きフランジ22を有する。
そして、この内向きフランジ22の内端から短筒状の垂直筒部24を介して上端小径のテーパ状壁部26が起立されているとともに、このテーパ状壁部26の上端に、当該テーパ状壁部26の上端開口を閉塞する易変形壁部28が連設されている。
なお、本明細書において、「易変形壁部」とは、一定の操作(前記胴部4の圧搾)により所要の作用(易変形壁部28の膨出)が得られる程度に容易に変形し得る壁部という程度の意味である。この点に関しては後述する。
また、前記内向きフランジ22は、厚肉部に形成されている。
この例では、前記隆起部分Aは、
図3(B)に示す如く、前記垂直筒部24と、前記テーパ状壁部26と、前記易変形壁部28とからなる。
また前記収納凹部Rは、
図3(A)に示す如く、前記垂直筒部24の内周面25と、前記テーパ状壁部26の内面27と、及び前記易変形壁部28の下面29などで画成されている。
また前記収納凹部R内には後述の鍔部54の下面に係止する係止突起bが付設されている。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
また図示例では、
図1に示す如く、前記垂直筒部24を上方へ延長し、前記補助蓋40側へ連結させるための連結筒部30が形成されている。当該連結筒部30の外面上端には圧接リブ31が周設されている。
また図示例では、前記内向きフランジ22の内端からシール筒部32を垂設している。このシール筒部32は、前記口頸部6の小径部6c内に密嵌されている。
さらに図示例では、前記内向きフランジ22の上面外周部に後述の蓋周壁42へ係止するための係止突条fが周設されている。
【0020】
前記テーパ状壁部26は、図示例では、
図1に示す如く、水平よりも垂直に近い角度で前記垂直筒部24から上内方へ突設している。また当該テーパ状壁部26は、前記垂直筒部24及び連結筒部30より薄肉に形成されているが、テーパ状壁部26の上端には、厚肉の補剛リブiが周設されている。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
【0021】
前記易変形壁部28は、前記胴部4の圧搾による前記容器体2内の高圧化により、上方へ膨出し、圧搾の解放により元の形状へ弾性復元することが可能に形成されている。
本実施形態では、前記易変形壁部28は、下方へ凸形の形態(図示例では浅い椀形状)に付形され、かつ、前記容器体2内の高圧化により、当該形態から上方へ凸形の形態へ膨出することが可能に形成されている。
前記易変形壁部28の壁厚或いは材質は、上方への膨出が可能となるように適宜設計する。図示例において、前記易変形壁部28を前記テーパ状壁部26より更に薄肉に形成することにより、易変形性を確保している。
前記易変形壁部28には、単数又は複数(図示例では4個)の吐出孔34が開口されている。これらの吐出孔34は、
図2に示す如く、上方から後述の連通孔60と重ならないように配置されている。図示例では、後述の栓板58の中心(易変形壁部28の中心と一致する)に配置された連通孔60を囲むように等角的に4個の吐出孔34が配置されている。吐出孔34は、連通孔60の径方向外側に形成されていればよい。
前記吐出孔34のサイズは、内容物をシャワー状に噴出可能な大きさとするとよい。
【0022】
補助蓋40は、
図1に示す如く、蓋周壁42の上端に天板44を連設してなる。
前記蓋周壁42は前記ヒンジ16を介して前記装着筒部12に連結されている。当該ヒンジ16の反対側に位置させて、前記蓋周壁42の外面下端部には、指掛け部43が付設されている。
また前記蓋周壁42の内面下端部には前記係止突条fが係止されている。
前記天板44の下面からは、前記連結筒部30の外面に液密に嵌合する垂下筒部46が垂設されている。
また前記垂下筒部46の内側において、前記易変形壁部28の上面へ当接させるための当接用突部48が形成されている。この当接用突部48の下面は前記易変形壁部28の上面に沿った下方へ凸の曲がり面に形成されている。
図示例の当接用突部48は、前記天板44の一部(図示例では中央部)を有底筒状(図示例では浅皿状)に下方へ陥没させることで形成されている。
【0023】
中栓50は、前記吐出孔34からの液体の吐出を規制する役割を有し、前記収納凹部R内へ挿入されているとともに、前記係止突起bにより支持されている。
前記中栓50は、全体として有頂筒状であり、本実施形態では、
図3(A)に示す如く、栓筒52と、栓板58と、弁体部56とで形成している。
前記栓筒52は、本実施形態において、前記テーパ状壁部26の内面27に沿った上端側小径のテーパ形状に形成されている。
前記栓筒52の筒壁の下端部からは、環状の鍔部54が外方へ突設されている。
この鍔部54は前記収納凹部Rへ嵌着されるとともに、当該鍔部54の下面が前記係止突起bで係止されており、こうすることにより、前記中栓50が前記収納凹部R内に支持されるように設けている。
前記栓板58は、中栓50の頂板として前記栓筒52の上端に連設されている。前記栓板58の上面は、下方へ凹む凹曲面59に形成されている。この凹曲面59と下方へ凸形の形態であるときの前記易変形壁部28の下面とは相互に合致するように形成されている。
図示例では、前記栓板58の全体を下方へ凸の曲がり板としているが、当該栓板58の下面の形状は適宜変更できる。
前記栓筒52及び栓板58は、剛性を有する厚肉部であり、
図1に示す状態で当該栓板58と前記当接用突部48との間に前記易変形壁部28を挟持できる程度の強度を有する。
【0024】
前記栓板58の中央部には連通孔60が開口されている。この連通孔60は、前記易変形壁部28が非変形時の第1位置(
図3(A)に実線で示す位置)にあるときには、当該易変形壁部28の下面29により密閉され、前記易変形壁部28が上方へ膨出した第2位置(
図3(A)に想像線で示す位置)へ変位したときに開放されるように設けられている。
【0025】
前記中栓50と前記収納凹部Rの内面との間には、前記吐出孔34から容器体2内へ外気を導入するための外気導入路Pが形成されている。
この外気導入路Pは、
図3(A)に示す如く、前記中栓50の上方側に形成される第1流路p1と、前記中栓50の側方側に形成される第2流路p2とを含む。
図示の第1流路p1は、前記栓板58の上面に、前記吐出孔34の下側から半径方向外側へ延びる溝を穿設してなる。
また図示の第2流路p2は、前記鍔部54の外面を縦断する切欠き部nを穿設するとともに、前記栓筒52と前記テーパ状壁部26との間に、前記第1流路p1及び前記切欠き部nと連通隙間を形成してなる。
なお、好適な図示例では、前記中栓50の筒径方向反対側に少なくとも一対の外気導入路Pを形成している。もっとも、この構造は適宜変更することができる。
【0026】
前記弁体部56は、前記栓筒52の下端面から下外方へ突設されている。
この弁体部56は、前記中栓50の下側で、前記シール筒部32の内面に当接されている。
これら弁体部56とシール筒部32の内面とで逆止弁Vが形成されている。
この逆止弁Vは、前記容器体2の内部の負圧化により開弁しかつ当該負圧化の解消により閉弁するように形成されている。
図示例の弁体部56は、下端大径のスカート状の弁(アブレラ弁)に形成されているが、その形態は適宜変更することができる。
図示例では、前記逆止弁Vは前記外気導入路Pの下流側(前記容器体2側)に配置されているが、その位置は適宜変更することができる。
【0027】
前記構成において、吐出作業を行うときには、
図1の状態から前記補助蓋40を開蓋して、
図4に示すように、前記容器体2を傾けて前記胴部4を圧搾すると、前記容器体2の内部が高圧化する。
これにより、前記易変形壁部28が外方(前記栓板58から離れる方向)へ膨出する。
故に、前記連通孔60が開放されるとともに、前記易変形壁部28と前記栓板58との間に空隙Sが形成される。
従って、前記容器体2内の高圧化した液体が、前記連通孔60及び前記空隙Sを通って複数の吐出孔34からシャワー状に噴出される。
なお、前述の吐出操作において、前記容器体2を傾けた後であって、前記胴部4を圧搾する前には、前記連通孔60は易変形壁部28により密閉されている。従って、前記胴部4を圧搾するまでは液体が外部へ吐出しないので、液体が不意に垂れることがない。
次に、前記胴部4の圧搾を解放すると、前記易変形壁部28が元の形状に弾性復元するために、前記空隙Sがなくなるとともに前記連通孔60が前記易変形壁部28により密閉される。
更に前記補助蓋40を閉蓋すると、当該補助蓋40の中栓50と前記栓板58との間に、前記易変形壁部28が挟持され、
図1の状態に戻る。
【0028】
前記構成及び作用によれば、容器体2の口頸部6の開口面9を閉塞する閉塞壁部20の少なくとも一部を、前記胴部4の圧搾により上方へ膨出可能な易変形壁部28に形成するとともに、当該易変形壁部28に中栓50の栓板58を当接させ、当該栓板58に前記易変形壁部28で密閉される連通孔60を、また前記易変形壁部28に単数又は複数の吐出孔34をそれぞれ開口したから、前記胴部4を圧搾しない限り液体が吐出されないので、単に前記容器体2を傾けても内容液が飛び出さず、液垂れしにくい。
また前記栓板58の上面は、下方へ凹む凹曲面59に形成されており、前記易変形壁部28は、前記胴部4の圧搾により下方への凸形から上方への凸形へ反転するから、胴部の圧搾により上方へ凸形に反転した易変形壁部28と下方へ凹む凹曲面59との空隙Sを通って内容液を滞りなく効率的に吐出させることができる。
また前記閉塞壁部20の隆起部分A内に前記中栓50を嵌挿しており、前記隆起部分Aの内面と中栓50との間に、逆止弁V付きの外気導入路Pを設けたから、胴部4を圧搾した後の内圧の負圧状態を速やかに解消し、連続した吐出操作を効率的に行うことができる。
また前記易変形壁部28が閉蓋状態で補助蓋40と前記栓板58との間に挟持されるように形成したから、前記連通孔60の密閉状態をより確実として液垂れを防止することができる。
【符号の説明】
【0029】
2…容器体 4…胴部 6…口頸部 6a…大径部 6b…縮径部
6c…小径部 7…上端 8…オネジ部 9…開口面
10…キャップ状閉塞具 12…装着筒部 14…メネジ部 16…ヒンジ
20…閉塞壁部 22…内向きフランジ 24…垂直筒部
25…(垂直壁部の)内周面 26…テーパ状壁部 27…(テーパ状壁部の)内面
28…易変形壁部 29…(易変形壁部の)下面 30…連結筒部(延長筒部)
31…圧接リブ 32…シール筒部 34…吐出孔
40…補助蓋 42…蓋周壁 43…指掛け部 44…天板
46…垂下筒部 48…当接用突部
50…中栓 52…栓筒 54…鍔部 56…弁体部 58…栓板
59…上面(凹曲面) 60…連通孔
A…隆起部分 b…係止突起 e…環状段部 f…係合突条 i…補剛リブ
n…切欠き部 P…外気導入路 p1…第1流路 p2…第2流路 R…収納凹部
S…空隙 V…逆止弁