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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-17
(45)【発行日】2025-03-26
(54)【発明の名称】ソフトカプセル
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/48 20060101AFI20250318BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20250318BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20250318BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20250318BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20250318BHJP
【FI】
A61K9/48
A61K47/36
A61K47/10
A61K47/26
A23L5/00 C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021551208
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2020036475
(87)【国際公開番号】W WO2021070644
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2019188237
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】315001213
【氏名又は名称】三生医薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100188499
【弁理士】
【氏名又は名称】勝又 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100127568
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 善典
(74)【代理人】
【識別番号】100171402
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 ▲茂▼
(74)【代理人】
【識別番号】100213779
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 有佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】豊田 航平
(72)【発明者】
【氏名】小山 憲一
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-028544(JP,A)
【文献】特開2009-040716(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104887643(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104338145(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/48
A61K 47/00-47/69
A23L 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼラチンを実質的に含有せず、ジェランガムを含有する皮膜を有するソフトカプセルであって、
皮膜におけるジェランガムの割合が、固形分換算で10質量%以上であり、
皮膜が、一価の金属イオンを、一価の金属化合物として含有し、
一価の金属化合物の割合が、ジェランガム100質量部に対して150質量部以下であり、
皮膜が、多価金属イオンを含まないか又は一価の金属イオン100質量部に対して多価金属イオン5質量部以下の含有割合で多価金属イオンを含み、
下記(A)及び/又は(B)を充足する、ソフトカプセル。
(A)試験液として水を用いた日局崩壊試験法による崩壊時間が60分以内である
(B)破壊強度(g)と外径(mm)の比(破壊強度/外径)が210以上である
【請求項2】
ゼラチンを実質的に含有せず、ジェランガム及び一価の金属イオンを含有する皮膜を有するソフトカプセルであり、
皮膜におけるジェランガムの割合が、固形分換算で10質量%以上であり、
皮膜が、一価の金属イオンを、一価の金属化合物として含有し、
一価の金属化合物の割合が、ジェランガム100質量部に対して150質量部以下であり、
皮膜が、多価金属イオンを含まないか又は一価の金属イオン100質量部に対して多価金属イオン5質量部以下の含有割合で多価金属イオンを含み、
下記(A)及び(B)を充足する、ソフトカプセル。
(A)試験液として水を用いた日局崩壊試験法による崩壊時間が60分以内である
(B)破壊強度(g)と外径(mm)の比(破壊強度/外径)が210以上である
【請求項3】
ジェランガム及び一価の金属イオンを含有する皮膜を有するソフトカプセルであり、
皮膜におけるジェランガムの割合が、固形分換算で10質量%以上であり、
皮膜が、一価の金属イオンを、一価の金属化合物として含有し、
一価の金属化合物が、アルギン酸アルカリ金属塩を含有し、
一価の金属化合物の割合が、ジェランガム100質量部に対して150質量部以下であり、
下記(A)及び/又は(B)を充足する、ソフトカプセル。
(A)試験液として水を用いた日局崩壊試験法による崩壊時間が60分以内である
(B)破壊強度(g)と外径(mm)の比(破壊強度/外径)が210以上である
【請求項4】
ジェランガム及び一価の金属イオンを含有する皮膜を有するソフトカプセルであり、
皮膜に、他の皮膜基剤をジェランガム100質量部に対して100質量部以下の割合で含有し、
皮膜が、多価金属イオンを含まないか又は一価の金属イオン100質量部に対して多価金属イオン5質量部以下の含有割合で多価金属イオンを含み、
下記(A)及び/又は(B)を充足する、ソフトカプセル。
(A)試験液として水を用いた日局崩壊試験法による崩壊時間が60分以内である
(B)破壊強度(g)と外径(mm)の比(破壊強度/外径)が210以上である
【請求項5】
(A)試験液として水を用いた日局崩壊試験法による崩壊時間が60分以内であり、かつ(B)破壊強度(g)と外径(mm)の比(破壊強度/外径)が210以上である、請求項1、3、4のいずれかに記載のカプセル。
【請求項6】
(C)破壊距離(mm)と外径(mm)の比(破壊距離/外径)が0.1以上である、請求項1~5のいずれかに記載のカプセル。
【請求項7】
皮膜におけるジェランガムの割合が、5質量%以上である、請求項4~6のいずれかに記載のカプセル。
【請求項8】
一価の金属イオンを、一価の金属化合物として含有する、請求項4~7のいずれかに記載のカプセル。
【請求項9】
一価の金属イオンを、アルカリ金属ハロゲン化物、有機酸のアルカリ金属塩、糖ないし多糖類のアルカリ金属塩から選択された少なくとも1種の一価の金属化合物として含有する、請求項1、2、4~8のいずれかに記載のカプセル。
【請求項10】
一価の金属イオンを、少なくともアルギン酸アルカリ金属塩として含有する、請求項1、2、4~9のいずれかに記載のカプセル。
【請求項11】
一価の金属イオンの割合が、金属原子換算で、ジェランガム100質量部に対して0.1質量部以上である、請求項1~10のいずれかに記載のカプセル。
【請求項12】
皮膜に、他の皮膜基剤をジェランガム100質量部に対して100質量部以下の割合で含有する、請求項1~3、5~11のいずれかに記載のカプセル。
【請求項13】
皮膜に可塑剤を含有する、請求項1~12のいずれかに記載のカプセル。
【請求項14】
皮膜に、多価アルコール、糖アルコール、二糖類、多糖類及びこれらの誘導体から選択された少なくとも1種の可塑剤を含有する、請求項1~13のいずれかに記載のカプセル。
【請求項15】
カプセルの外径が0.1~15mmである、請求項1~14のいずれかに記載のカプセル。
【請求項16】
皮膜率が3質量%以上である、請求項1~15のいずれかに記載のカプセル。
【請求項17】
内容物を有し、皮膜率が3~50質量%である請求項1~16のいずれかに記載のカプセル。
【請求項18】
破壊強度の標準偏差(SD)値が、500g以下であり、破壊距離の標準偏差(SD)値が1mm以下である、請求項1~17のいずれかに記載のカプセル。
【請求項19】
シームレスカプセルである、請求項1~18のいずれかに記載のカプセル。
【請求項20】
滴下法にて、含水率80質量%以上、かつ破壊強度(g)と外径(mm)の比(破壊強度/外径)が5.0以上のカプセルを得るカプセル製造工程、このカプセル製造工程を経て得られたカプセルを乾燥する乾燥工程とを少なくとも経て、請求項1~19のいずれかに記載のカプセルを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル(ソフトカプセル)に関する。より詳しくは、医薬、食品、工業などの分野において使用されるカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソフトカプセルの皮膜基剤として、ゼラチンのような種々の材料が知られている。このような材料として、ジェランガムを使用する試みもなされつつある。
【0003】
例えば、特許文献1には、コア及びシェルを含有するシームレス崩壊可能カプセルであって、前記シェルがジェランガムを単独で、又は他のゲル化剤、充填剤、及び二価の金属イオン封鎖剤との混合物として含有するゲル化剤を含むシームレス崩壊可能カプセルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5529415号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、ジェランガムを使用する試みもなされつつあるが、未だ不十分なものが多いようである。
本発明者の検討によれば、ジェランガムは、皮膜材料の中でも、品質・物性面(例えば、水崩壊性、口腔内崩壊性など)や、製造・生産面において、調整が難しい材料のようであり、カプセル材料として用いるには改良が多いことがわかった。
とりわけ、ジェランガムを皮膜材料とするカプセル(例えば、ゼラチンなどを実質的に使用しないか又はその使用量が少ないカプセル)においては、特許文献1のように、二価イオン(カルシウムイオンなど)を含有する硬化剤を含有する水溶液中に浸漬するといった、煩雑な工程が必要となったり、得られるカプセルの水崩壊性が悪くなったりする場合があり、実質的に効率良く生産・使用可能な態様のカプセルの探索は困難を極めた。
【0006】
本発明の目的は、ジェランガムを含有する新規なカプセル等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ジェランガムを含有するカプセルに一価の金属イオンを配合すること等により、新規なカプセルが得られること、またこのようなカプセルが、優れた物性を有すること(例えば、ジェランガムを含有していながら、水崩壊性に優れる、比較的高い強度を有する、さらにはこれらを両立できること等)等を見出し、更なる検討を行って本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記発明等に関する。
[1]
ジェランガムを含有する皮膜を有するカプセル(ソフトカプセル)であって、下記(A)及び/又は(B)を充足する、カプセル(ソフトカプセル)。
(A)試験液として水を用いた日局崩壊試験法による崩壊時間が60分以内である
(B)破壊強度(g)と外径(mm)の比(破壊強度/外径)が210以上である
なお、このカプセルにおいて、皮膜はゼラチンを含有しなく(実質的に含有しなく)てもよい。
[2]
ジェランガム及び一価の金属イオンを含有する皮膜を有するカプセル(ソフトカプセル)。
なお、このカプセルにおいて、皮膜はゼラチンを含有しなく(実質的に含有しなく)てもよい。
[3]
(A)試験液として水を用いた日局崩壊試験法による崩壊時間が60分以内であり、かつ(B)破壊強度(g)と外径(mm)の比(破壊強度/外径)が210以上である、[1]又は[2]に記載のカプセル。
[4]
(C)破壊距離(mm)と外径(mm)の比(破壊距離/外径)が0.1以上である、[1]~[3]のいずれかに記載のカプセル。
[5]
皮膜におけるジェランガムの割合が、5質量%以上である、[1]~[4]のいずれかに記載のカプセル。
[6]
一価の金属イオンを、一価の金属化合物として含有する、[1]~[5]のいずれかに記載のカプセル。
[7]
一価の金属イオンを、アルカリ金属ハロゲン化物、有機酸のアルカリ金属塩、糖ないし多糖類のアルカリ金属塩から選択された少なくとも1種の一価の金属化合物として含有する、[1]~[6]のいずれかに記載のカプセル。
[8]
一価の金属イオンを、少なくともアルギン酸アルカリ金属塩として含有する、[1]~[6]のいずれかに記載のカプセル。
[9]
一価の金属イオンの割合が、金属原子換算で、ジェランガム100質量部に対して0.1質量部以上である、[1]~[8]のいずれかに記載のカプセル。
[10]
皮膜に、他の皮膜基剤をジェランガム100質量部に対して100質量部以下の割合で含有する、[1]~[9]のいずれかに記載のカプセル。
[11]
皮膜に可塑剤を含有する、[1]~[10]のいずれかに記載のカプセル。
[12]
皮膜に、多価アルコール、糖アルコール、二糖類、多糖類及びこれらの誘導体から選択された少なくとも1種の可塑剤を含有する、[1]~[11]のいずれかに記載のカプセル。
[13]
カプセルの外径が0.1~15mmである、[1]~[12]のいずれかに記載のカプセル。
[14]
皮膜率が3質量%以上である、[1]~[13]のいずれかに記載のカプセル。
[15]
内容物を有し、皮膜率が3~50質量%である[1]~[14]のいずれかに記載のカプセル。
[16]
破壊強度の標準偏差(SD)値が、500g以下であり、破壊距離の標準偏差(SD)値が1mm以下である、[1]~[15]のいずれかに記載のカプセル。
[17]
シームレスカプセルである[1]~[16]のいずれかに記載のカプセル。
[18]
滴下法にて、含水率80質量%以上、かつ破壊強度(g)と外径(mm)の比(破壊強度/外径)が5.0以上のカプセルを得るカプセル製造工程、このカプセル製造工程を経て得られたカプセルを乾燥する乾燥工程とを少なくとも経て、[1]~[17]のいずれかに記載のカプセルを製造する方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、ジェランガムを含有する新規なカプセル(ソフトカプセル)を提供できる。
【0010】
本発明の他の態様では、ジェランガムを含んでいても、水に対する溶解性ないし崩壊性に優れるカプセル(ソフトカプセル)を提供しうる。特に、このようなカプセルは、例えば、日局(第17改正)崩壊試験において、比較的短時間(例えば、60分以内、特に20分以内)に崩壊しうるものであってもよい。
【0011】
本発明の他の態様のカプセル(ソフトカプセル)では、比較的高い強度としうる。例えば、このようなソフトカプセルでは、内容物を含む場合であっても、比較的高い皮膜強度とすることができる。
【0012】
本発明の他の態様のカプセルでは、優れた強度と水崩壊性とを両立しうる。本発明者の検討によれば、ジェランガムを含むカプセルにおいては、通常、強度と水崩壊性とはトレードオフの関係にあるようであるが、本発明では、カプセルの組成や割合等を適宜選択すること等により、意外なことに、これらを両立できるカプセルが効率よく得られうる。
【0013】
本発明の他の態様のカプセルでは、ジェランガムを含んでいても、効率良く製造しうる。例えば、このようなカプセルは、特許文献1のような浸漬工程を経ることなく、製造しうる。また、カプセル製造時や乾燥時における割れを効率良く抑えうる。従って、このようなカプセルは、量産性等の点においても優れている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のカプセル(ソフトカプセル)は、少なくともジェランガムを含有する。このようなカプセルは、特に、ジェランガムと一価の金属イオンを含有してもよい。このようなカプセルでは、通常、ジェランガム(さらには、一価の金属イオン等の他の成分)を皮膜(カプセル皮膜)に有する。具体的な本発明のソフトカプセルには、ジェランガム(さらには、一価の金属イオン等の他の成分)を含有する単一球(皮膜のみ)からなるカプセル、皮膜にジェランガム(さらには、一価の金属イオン等の他の成分)を含有するカプセル(内容物と、ジェランガムと一価の金属イオンを含有する皮膜とを含むカプセル)が含まれる。
【0015】
ジェランガムは、直鎖状のヘテロ多糖類であり、非病原性微生物Pseudomonas elodeaから産生されるものである。
ジェランガムとしては、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム等があり、本発明では、特に限定されずに用いることができるが、ソフトカプセルの製造性の観点から、脱アシル型ジェランガムを好適に使用してもよい。
【0016】
脱アシル型ジェランガムは、ネイティブ型ジェランガムが有するアシル基(例えば、アセチル基及びグリセリル基)が脱アシル化されたものであり、アシル基の全部が脱アシル化されたもの(完全脱アシル化ジェランガム)であってもよく、アシル基の一部が(又は部分的に)脱アシル化されたもの(部分脱アシル化ジェランガム)であってもよい。
【0017】
なお、部分脱アシル化ジェランガムにおいて、アシル基の量は、特に限定されないが、例えば、NMR測定(分析)におけるメチル基のピーク強度に対するアシル基のピーク強度の比として表されるアシル化度が、1.06以下(例えば、1.06未満、1.05以下、1以下、0.95以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、0.1以下)であってもよい。なお、アシル化度の下限値は、0超であればよく、例えば、0.001、0.002、0.003、0.005、0.007、0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04等であってもよい。
【0018】
ジェランガムの割合[又は皮膜におけるジェランガムの割合(カプセルが内容物を含む場合には皮膜におけるジェランガムの割合)]は、特に限定されないが、固形分換算で[又は水等の溶媒以外の成分(皮膜を構成する成分)全体に対する割合で]、カプセル強度を向上させる等の観点から、5質量%以上(例えば、10質量%以上、15質量%以上、18質量%以上)、好ましくは20質量%以上であり、23質量%以上、25質量%以上、27質量%以上、30質量%以上、33質量%以上であってもよい。また、上限は特に制限されず、例えば、製造時の操作性やカプセルの乾燥性等の観点から、80質量%以下、70質量%以下等であってもよい。
【0019】
カプセル(皮膜)は、一価の金属イオンを含有してもよい。このような一価の金属イオンをカプセル(皮膜)に含有させることにより、効率よく優れた物性(例えば、強度や水崩壊性)を有するソフトカプセルを得やすい。
一価の金属イオン(又は一価の金属)としては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム)イオンが挙げられる。
一価の金属イオンは、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0020】
カプセルは、一価のイオンを含む化合物として一価の金属イオンを含んでいてもよい。
このような化合物としては、例えば、無機化合物[例えば、アルカリ金属ハロゲン化物(例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム)など]、有機化合物{例えば、有機酸のアルカリ金属塩(例えば、酢酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等)、糖ないし多糖類のアルカリ金属塩[例えば、アルギン酸アルカリ金属塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム)など]など}などが挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
有機化合物(例えば、アルギン酸アルカリ金属塩等の多糖類のアルカリ金属塩)は、カプセル形成性などの観点から、無機化合物よりも好ましく、なかでも、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、特にアルギン酸ナトリウムがより好ましい。
【0022】
なお、ジェランガムに、アルカリ金属が含まれる(例えば、ジェランガムを構成するカルボキシル基のアルカリ金属塩等として含まれる)場合があるが、このようなアルカリ金属は、本発明における「一価金属イオン」(一価金属)に該当しないものとする。
すなわち、本発明(カプセル、皮膜)において、「一価金属イオン」とは、特に断りの無い限り、ジェランガムとは別に添加ないし配合されたもの[ジェランガムが元来含んでいるアルカリ金属でない一価金属(イオン)]を意味するものとする。
【0023】
一価の金属イオンを含有する場合、一価の金属イオンの割合[又は皮膜における一価の金属イオンの割合(ソフトカプセルが内容物を含む場合には皮膜における一価の金属イオンの割合)]は、特に限定されないが、固形分換算で[又は水等の溶媒以外の成分(皮膜を構成する成分)全体に対する割合で]、0.01質量%以上(例えば、0.03質量%以上)程度の範囲から選択してもよく、0.05質量%以上(例えば、0.07質量%以上)、好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、特に0.5質量%以上[例えば、0.8質量%以上(例えば、1質量%以上、1.15質量%以上)]等であってもよく、30質量%以下、好ましくは20質量%以下(例えば、18質量%以下)、さらに好ましくは15質量%以下(例えば、12質量%以下)、特に10質量%以下(例えば、8質量%以下、5質量%以下)等であってもよい。
【0024】
一価の金属イオンを化合物として含有する場合、一価の金属化合物の割合[又は皮膜における一価の金属化合物の割合(カプセルが内容物を含む場合には皮膜における一価の金属化合物の割合)]は、化合物の種類や化合物に含まれる一価の金属の割合(濃度)等に応じて適宜選択できるが、固形分換算で[又は水等の溶媒以外の成分(皮膜を構成する成分)全体に対する割合で]、0.01質量%以上(例えば、0.03質量%以上)程度の範囲から選択してもよく、0.1質量%以上(例えば、0.15質量%以上)、好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、特に1質量%以上[例えば、1.5質量%以上(例えば、2質量%以上、2.5質量%以上、3質量%以上)]等であってもよく、80質量%以下(例えば、70質量%以下)、好ましくは60質量%以下(例えば、55質量%以下)、さらに好ましくは50質量%以下(例えば、45質量%以下)、特に40質量%以下(例えば、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下)等であってもよい。
【0025】
特に、一価の金属イオンを有機化合物(例えば、アルギン酸アルカリ金属塩等の糖ないし多糖類のアルカリ金属塩)として含有する場合、当該化合物の割合は、固形分換算で[又は水等の溶媒以外の成分(皮膜を構成する成分)全体に対する割合で]、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に10質量%以上等であってもよく、80質量%以下(例えば、70質量%以下)、好ましくは60質量%以下(例えば、55質量%以下)、さらに好ましくは50質量%以下(例えば、45質量%以下)、特に40質量%以下等であってもよい。
【0026】
また、一価の金属イオンを含有する場合、一価の金属イオンの割合は、ジェランガム100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上(例えば、0.05質量部以上)、好ましくは0.1質量部以上(例えば、0.3質量部以上)、さらに好ましくは0.5質量部以上(例えば、0.8質量部以上)、特に1質量部以上(例えば、1.5質量部以上、2質量部以上、2.5質量部以上、3質量部以上)等であってもよく、100質量部以下(例えば、80質量部以下)、好ましくは50質量部以下(例えば、40質量部以下)、さらに好ましくは30質量部以下(例えば、25質量部以下)等であってもよく、20質量部以下(例えば、18質量部以下、15質量部以下等)等であってもよい。
【0027】
一価の金属イオンを化合物として含有する場合、一価の金属化合物の割合は、ジェランガム100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上(例えば、0.5質量部以上)、好ましくは1質量部以上(例えば、2質量部以上)、さらに好ましくは3質量部以上(例えば、4質量部以上)、特に5質量部以上(例えば、7質量部以上、8質量部以上、10質量部以上)等であってもよく、500質量部以下(例えば、400質量部以下)、好ましくは300質量部以下(例えば、250質量部以下)、さらに好ましくは200質量部以下(例えば、150質量部以下)等であってもよく、120質量部以下(例えば、100質量部以下、90質量部以下、80質量部以下、70質量部以下等)等であってもよい。
【0028】
特に、一価の金属イオンを有機化合物(例えば、アルギン酸アルカリ金属塩等の糖ないし多糖類のアルカリ金属塩)として含有する場合、当該化合物の割合は、ジェランガム100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上(例えば、0.5質量部以上)、好ましくは1質量部以上(例えば、3質量部以上)、さらに好ましくは5質量部以上(例えば、8質量部以上)、特に10質量部以上(例えば、15質量部以上、20質量部以上、25質量部以上、30質量部以上)等であってもよく、500質量部以下(例えば、400質量部以下)、好ましくは350質量部以下(例えば、300質量部以下)、さらに好ましくは250質量部以下(例えば、200質量部以下)等であってもよく、150質量部以下(例えば、120質量部以下、100質量部以下)等であってもよい。
【0029】
上記のような割合で一価の金属イオン(化合物)を使用することで、崩壊性やカプセル強度等の点で好ましいカプセルを効率良く得やすい。
【0030】
本発明のカプセル(又は皮膜)は、前記一価の金属イオン以外に、多価金属イオン(例えば、カルシウム等の二価の金属イオンなど)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。含む場合、その含有割合(皮膜における含有割合)は、特に限定されないが、比較的少ないのが好ましく、例えば、一価の金属イオン(又は一価の金属)100質量部に対して、多価金属イオン(又は多価の金属)5質量部以下、好ましくは3質量部以下、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下等であってもよい。
なお、ジェランガムに、多価金属イオンが含まれる(例えば、ジェランガムを構成するカルボキシル基のアルカリ土類金属塩等として含まれる)場合があるが、このような多価金属は、上記の「多価金属イオン」(多価金属)に該当しないものとする。
【0031】
カプセル(皮膜)において、ジェランガムは、必要に応じて、他の皮膜基剤と組み合わせてもよい。このような他の皮膜基剤としては、特に限定されないが、例えば、ゼラチン、カラギーナン、寒天、ペクチン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム、タラガム、ウェランガム、タマリンドシードガム、ガティガム、サイリウムシードガム、トラガントガム、アマシードガム、ダイユータンガム、アラビアガム、カードラン、ダーセレラン、プルラン、グルコマンナン、アルギン酸、これらの分解物(例えば、グァーガム分解物等)、これらの塩等を挙げることができる。
特に、カプセル[カプセルを構成する皮膜(基剤)]は、植物性である(植物性成分を主成分とする)のが好ましい。このような観点から、他の皮膜基剤を使用する場合でも、他の皮膜基剤(又は皮膜)は、植物性である(植物性成分を主成分とする)のが好ましく、代表的には、カプセル[カプセルを構成する皮膜(基剤)]は、動物性成分(例えば、ゼラチン等)を含まない(実質的に含まない)のが好ましい。
【0032】
なお、他の皮膜基剤を、一価の金属イオンを含有する成分(一価の金属化合物)として使用してもよい。例えば、前記のアルギン酸アルカリ金属塩は、他の皮膜基剤としても使用しうる。
【0033】
他の皮膜基剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0034】
他の皮膜基剤を使用する場合、他の皮膜基剤の割合は、特に限定されず、他の皮膜基剤の種類等にもよるが、特に、ジェランガムが主成分となるように皮膜基剤を構成してもよい。例えば、他の皮膜基剤の割合は、ジェランガム100質量部に対して、200質量部以下(例えば、150質量部以下)、好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは80質量部以下(例えば、60質量部以下、50質量部以下、40質量部以下、30質量部以下、20質量部以下)等であってもよい。他の皮膜基剤を使用する場合、下限値は特に限定されないが、例えば、ジェランガム100質量部に対して、0.1質量部、0.5質量部、1質量部、2質量部、3質量部、5質量部、8質量部、10質量部、12質量部、15質量部等であってもよい。
なお、前記のように、他の皮膜基剤は植物性であるのが好ましい。そのため、他の皮膜基剤が動物性成分(ゼラチン等)を含む場合でも、動物性成分(ゼラチン等)の割合は、ジェランガム100質量部に対して、10質量部以下程度であってもよく、実質的に含まなくてもよい[例えば、ジェランガム100質量部に対して5質量部以下(例えば、3質量部以下、2質量部以下、1質量部以下、0質量部)であってもよい]。
【0035】
カプセル(皮膜)は、例えば、皮膜強度を調整する等の観点から、さらに、可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤としては、当該技術分野において公知のものであれば特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポロプロピレングリコールなどの(ポリ)アルキレングリコール;グリセリンなどの3つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール)、糖類[例えば、単糖類(例えば、ブドウ糖、果糖、グルコース、ガラクトースなど)、二糖類(例えば、ショ糖、麦芽糖、トレハロース、カップリングシュガーなど)、オリゴ糖(例えば、マルトオリゴ糖など)、糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、エリスリトール、還元水飴など)、多糖類又はその誘導体〔例えば、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ポリデキストロース、デキストリン、マルトデキストリン、難消化性デキストリン、シクロデキストリン(α、β又はγ)など)、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)など〕、ポリビニルアルコール、トリアセチンなどが挙げられる。
【0036】
これらは、一種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
なかでも、多価アルコール、糖アルコール、二糖類、多糖類、これらの誘導体(例えば、デンプン誘導体、セルロース誘導体等の多糖類の誘導体)は、乾燥後のカプセルに弾力性を持たせることや、水崩壊性を向上させること、皮膜の触感ないし食感を改良すること、皮膜液の操作性(取り扱いやすさ)を向上させること、可塑剤を配合して皮膜液中の固形分濃度を高くすることでカプセルの乾燥時間を短縮することなどの観点から好ましく、なかでも、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース、デンプン、デンプン誘導体、及び、セルロース誘導体がより好ましい。例えば、皮膜に含む場合、皮膜中の可塑剤含有量は、特に限定されず、例えば、10~50質量%を挙げることができる。
【0038】
カプセル(皮膜)は、前記成分以外に、当該技術分野において公知の成分を含有することができる。かかる成分としては、例えば、着色剤(色素、顔料)、着香剤、甘味料、酸化防止剤、防腐剤、調味料、香辛料、酸味料(例えば、クエン酸又はその塩など)、苦味料、塩分、うまみ成分、その他後述の内容物の項に記載の成分(例えば、生理活性物質、生物活性物質など)などを挙げることができる。これらは、一種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、甘味料は、その種類によっては、前記のように皮膜基剤や可塑剤として使用することもできる。前記成分の含有量は、特に制限されず、例えば、50質量%以下であってもよい。
【0039】
カプセルは、前記のように、皮膜のみで構成してもよく、皮膜と内容物とで構成してもよい。このような内容物を有するカプセルにおいて、カプセル内容物は特に制限されない。内容物の形状は、特に限定されず、例えば、液体状であってもよく、固体状であってもよく、これらが混在していてもよい。
【0040】
具体的な内容物としては、例えば、香料、化粧料、界面活性剤、洗剤、入浴剤、清涼化剤、生理活性物質(例えば、ビタミン類、アミノ酸、コラーゲン、コラーゲンペプチド、脂質{油脂〔油(例えば、中鎖脂肪酸油(MCT)、オリーブオイル、魚油、アマニ油など)、脂肪(例えば、バター、マーガリン、ココナッツオイル、シアバターなど)〕、ワックスなど}、イソフラボン類、ミネラル類、酵素、ホルモンなど)、生物活性物質(医薬など)、微生物類(例えば、乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌、酵母菌などの細菌類;酵母などの菌類など)、飲食物(又はその抽出物)、植物(又はその抽出物)、甘味料、酸味料、調味料、強壮剤などを挙げることができる。
これらは、一種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
カプセルにおける内容物の含有量は、特に制限されず、カプセルの大きさやその用途に応じて適宜設定することができる。例えば、内容物と皮膜の質量比は、皮膜を1とすると、内容物は1以上であってもよい。
【0042】
カプセル(ソフトカプセル)は、シームレスカプセルであってもよい。代表的なカプセル(ソフトカプセル)には、内容物と皮膜とを有するシームレスカプセル等が挙げられる。
【0043】
カプセルの形状は、特に限定されないが、例えば、球状(例えば、真球状など)であってもよく、フットボール状であってもよい。
【0044】
カプセルの外径は、特に限定されず、0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、1.5mm以上、2mm以上等であってもよく、30mm以下、25mm以下、20mm以下、18mm以下、15mm以下、12mm以下、10mm以下、8mm以下等であってもよく、代表的には0.1~20mm(例えば、0.1~15mm)、1~15mm、1.5~10mm、2~8mmなどであってもよい。外径とは、カプセルの平面形状(断面)が円形の場合は長径を意味し、円形でない場合は最大径を意味する。
外径は、例えば、デジタルノギス(商品名;クイックミニ25、型番:PK-0510SU、測定範囲:0~25mm、ミツトヨ製)を用いて測定できる。
なお、カプセルが、内容物を有しない(又は皮膜のみからなる)場合、上記外径は、皮膜の径となる。
なお、外径は、所定の条件(例えば、40~60%RH、45%RH等)における測定値であってもよい。以下、「乾燥前」のような特段の規定がない限り、ソフトカプセルの物性(例えば、皮膜厚み、破壊強度、弾力性等)において同じ。
【0045】
カプセルが内容物を有する場合、カプセルの皮膜の厚さは、特に限定されず、例えば、5~120μm、10~100μm、20~90μm、20~60μm程度であってもよい。
皮膜の厚さ(厚み)は、例えば、デジタルマイクロスコープ(商品名;VHX-900、キーエンス製)を用いて測定できる。
【0046】
カプセルが内容物を有する場合、皮膜と内容物との質量比は、カプセルの厚み(外径)等に応じて選択でき、特に限定されないが、例えば、皮膜100質量部に対して、内容物1質量部以上(例えば、10質量部以上)程度の範囲から選択でき、好ましくは30質量部以上(例えば、50質量部以上)、さらに好ましく60質量部以上(例えば、100質量部以上)程度であってもよく、4000質量部以下(例えば、3500質量部以下)、好ましくは3000質量部以下(例えば、2500質量部以下)、さらに好ましくは2000質量部以下等であってもよい。
【0047】
また、カプセルの皮膜率は、特に限定されないが、例えば、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上等であってもよい。カプセルが内容物を有する場合、皮膜率(皮膜及び内容物の総量に対する皮膜の質量割合)の上限値は、特に限定されないが、例えば、80質量%、70質量%、60質量%、50質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、22質量%、20質量%、18質量%等であってもよい。
特に、カプセルが内容物を有する場合、皮膜率は、例えば、1~50質量%(例えば、2~40質量%)、好ましくは3~20質量%、さらに好ましくは3~18質量%程度であってもよく、通常3~50質量%(例えば、3~40質量%程度)であってもよい。
なお、カプセルが内容物を有しない(又は皮膜のみからなる)場合、皮膜率は100質量%となる。むろん、本発明には、このような内容物を有しないカプセル(皮膜率100%のカプセル)も含まれる。
【0048】
なお、カプセルにおいて、含水率(皮膜における含水率)は、カプセルの用途等に応じて適宜設定することができ、例えば、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下であってもよく、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、8質量%以上などであってもよい。含水率は、実用的には、10~18質量%等であってもよい。
含水率は、特に限定されず、慣用の方法[例えば、乾燥減量を測定する方法(乾燥前後の質量を用いる方法)]を用いて決定できる。
【0049】
本発明のカプセルは、十分な水崩壊性を実現できる(水崩壊性に優れる)場合が多い。このような場合、カプセルは、例えば、試験液として水(37±2℃)を用いた日局(第17改正)崩壊試験法による崩壊時間が比較的短時間(例えば、60分以内)となるものであってもよく、当該崩壊時間は、40分以内、30分以内等であってもよく、特に20分以内、10分以内等であってもよい。当該崩壊時間の下限値は、特に制限はなく、例えば、30秒、1分、2分、3分、4分、5分等であってもよい。前記崩壊試験においては、必要により、補助盤を使用することができる。
【0050】
カプセルの破壊強度は、外径等にもよるが、例えば、100g以上、200g以上、300g以上、400g以上、500g以上、600g以上、700g以上、800g以上、900g以上、1000g以上などであってもよい。
カプセルの破壊強度の上限値は、特に限定されないが、例えば、20000g以下、15000g以下、12000g以下、10000g以下等であってもよい。
破壊強度は、例えば、レオメーターCR-3000EX(サン科学社製)で測定することができる。
【0051】
カプセル(例えば、内容物を有するカプセル)において、破壊強度(g)と外径(mm)の比(破壊強度/外径)は、特に限定されないが、例えば、200以上(例えば、200超)、好ましくは210以上(例えば、220以上)、さらに好ましくは230以上(例えば、240以上)であってもよく、250以上、300以上、400以上等であってもよい。
なお、破壊強度と外径の比(破壊強度/外径)の上限は、特に限定されず、例えば、20000、15000、10000、8000、6000、5000等であってもよい。
【0052】
単に、破壊強度が大きくても容易に破壊しやすいという場合(例えば、外径が大きい場合等)等も想定されるため、このような破壊強度と外径の比は、実質的なカプセルの破壊しやすさを反映する指標になるものと言える。
【0053】
カプセルの破壊距離は、外径等にもよるが、例えば、0.1mm以上、0.2mm以上、0.5mm以上、1.0mm以上などであってもよい。
ソフトカプセルの破壊距離の上限値は、特に限定されないが、例えば、15mm以下、10mm以下、8mm以下等であってもよい。
破壊距離は、例えば、レオメーターCR-3000EX(サン科学社製)で測定することができる。
【0054】
カプセルにおいて、破壊距離(mm)と外径(mm)の比(破壊距離/外径)は、特に限定されないが、例えば、0.1以上、好ましくは0.12以上、さらに好ましくは0.15以上であってもよく、0.18以上、0.2以上等であってもよい。
【0055】
なお、破壊距離と外径の比(破壊距離/外径)の上限は、特に限定されず、例えば、1.0、0.98、0.97、0.96、0.95等であってもよい。
【0056】
破壊距離と外径の比は、弾力性の程度(カプセルが破壊するまでの変形しやすさ)を表すということができ、そうすると、カプセルの強度(破壊しやすさ)を補足的に反映する指標になるものといえる。
【0057】
本発明のカプセルは、このように比較的高い(又は十分な)機械的強度を有する場合が多い。本発明のカプセルの特に好ましい態様では、ジェランガムを含有していながら、このような機械的強度と前記のような水崩壊性とを両立してもよい。
一般的に、カプセルが製造工程(特に乾燥工程)に耐えることができるようにするためにカプセルの皮膜厚(皮膜率)を大きくする必要が生じる一方で、皮膜厚を大きくすると、水崩壊性が悪くなりやすい。つまり、カプセルにおいて、十分な機械的強度と崩壊性を両立させることは難しい。特に、本発明者の検討によれば、特に、このような傾向は、ジェランガムを皮膜に含むカプセルにおいては顕著であった。
しかし、本発明では、皮膜処方を調整すること等により、これらを効率良く両立させることができる。
なお、このようなカプセルは、ジェランガムと組み合わせる成分(例えば、一価の金属イオンや金属化合物、他の皮膜基剤、可塑剤等の他の成分)やその割合(さらにはカプセルの製造条件)等を適宜選択することで、効率よく製造しうる。
【0058】
本発明では、複数のカプセルが比較的均一な形で得られうる。
例えば、カプセル(複数のカプセル)において、破壊強度の標準偏差(SD)値は、破壊強度等にもよるが、例えば、800g以下、700g以下、600g以下、500g以下、400g以下、350g以下などであってもよい。
また、カプセル(複数のカプセル)において、破壊距離の標準偏差(SD)値は、破壊強度等にもよるが、例えば、2mm以下、1.5mm以下、1mm以下、0.8mm以下、0.7mmg以下、0.6mm以下、0.5mm以下などであってもよい。
【0059】
カプセル(ソフトカプセル)は、公知の方法に従って、製造することができる。例えば、カプセル(又は皮膜)に対応する成分(例えば、ジェランガム、さらには一価の金属化合物、他の皮膜基剤、可塑剤等の他の成分)を含む液(皮膜液)を用いて、滴下法[ノズル(例えば、多重ノズル)を用いる滴下法]により製造してもよい。
【0060】
なお、皮膜液は、通常、溶媒成分として、水を使用する場合が多い。
【0061】
皮膜液において、固形分濃度は、例えば、3質量%以上(例えば、4質量%以上)、好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上であってもよく、20質量%以下(例えば、15質量%以下)、好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下等であってもよい。
【0062】
製造条件は、カプセルの組成、カプセル径の大きさ、皮膜率などに応じて適宜設定することができる。また、滴下後の、冷却温度、冷却時間、乾燥温度、乾燥時間も適宜設定することができる。
【0063】
なお、滴下後のカプセルを乾燥前に浸漬液(例えば、カルシウムのような多価金属イオンを含む液)に浸漬してもよいが、本発明では、カプセル(皮膜)を上記のような成分等で構成しているため、このような浸漬は必要ないし、むしろこのような浸漬によって水崩壊性を損なう場合がある。
【0064】
本発明では、ジェランガムに適度な強度を付与しながら効率良くゲル化を進行させやすい。そのため、本発明では、製造可能な適度な強度を有しながらも、物性面(例えば、水崩壊性や機械的強度)に優れたカプセル(ソフトカプセル)を効率良く得やすい。
このように本発明のカプセルは、上記滴下法等により効率よく製造しうるが、代表的には、滴下法にて、カプセル(高含水率のカプセル)を得るカプセル製造工程、このカプセル製造工程を経て得られたカプセルを乾燥する乾燥工程とを少なくとも経て製造できる。
【0065】
そして、このような一連の工程において、特に、乾燥前(乾燥工程前のカプセル)の条件を適宜設定することで、より一層、乾燥後における変形や割れ等が抑えられる等、効率良い製造を実現しやすい。
【0066】
乾燥前(乾燥前のカプセル)は、通常、含水率(皮膜における含水率)が高く、例えば、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上等であってもよく、99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下、96質量%以下、95質量%以下等であってもよい。
【0067】
乾燥前のカプセルの外径は、特に限定されず、通常0.1mm以上(例えば、1~20mm)であり、0.75~22.5mm、25mm以下(例えば、0.5~25mm)などであってもよい。
なお、外径は、例えば、デジタルノギス(商品名;クイックミニ25、型番:PK-0510SU、測定範囲:0~25mm、ミツトヨ製)を用いて測定できる。
【0068】
乾燥前のカプセルの破壊強度は、外径に応じて一概には設定できないが、10g以上(例えば、50~1000g)であり、30~1500g、3000g以下(例えば、10~3000g)などであってもよい。前記破壊強度は、レオメーターCR-3000EX(サン科学社製)で測定することができる。
【0069】
乾燥前のカプセルにおいて、破壊強度(g)と外径(mm)の比(破壊強度/外径)は、3以上、3.5以上、4以上、4.5以上であってもよく、特に5.0以上であってもよい。前記値以上であれば、乾燥して得られるカプセルが製造可能な強度を有しながら、水中で崩壊可能なものである。前記破壊強度/外径は、例えば、カプセルが乾燥によって割れない観点から、5.5以上であっても、6.0以上であってもよい。上限は特に限定されず、例えば、15以下が挙げられる。
【0070】
本発明のカプセルは、例えば、上記のような製造方法にて製造できるが、このような製造方法は、具体的な公知の製造方法、例えば、特許第5047285号公報又は特表平10-506841号公報に記載の方法に従うこともできる。具体的には、二重又は多重(三重以上)ノズルによる滴下方式(シームレスカプセル法)等が挙げられる。例えば、カプセル内容物を、ジェランガム(さらには一価の金属イオンなどの他の成分)を含有するカプセル皮膜に充填して充填物を調製する工程を含む、製造方法を挙げることができる。充填物調製後には、成形する工程、乾燥する工程を含んでもよい。なお、前記カプセル内容物は、カプセル皮膜液と同一組成であってもよく、前述の本発明のカプセルの項を参照して設定してもよい。
【0071】
前記滴下方式は、例えば、適切に略同心円様に整列した複合ノズル装置を使用する。複合ノズル装置は、例えば、カプセル内容物を受け分配する内側ノズルと、カプセル皮膜液を受け及び分配する外側ノズルとを有し、内側ノズル及び外側ノズルは略同心円様に整列している。前記複合ノズル装置を用いて、カプセル内容物が内側ノズルの吐出口から吐出され、カプセル皮膜液が外側ノズルの吐出口から吐出される。カプセル内容物とカプセル皮膜液は、ポンプ又は重力によりそれぞれ一定速度で、内側ノズル及び外側ノズルから同時に、油液又は気体中に吐出され、同軸的な流れを、下流に流れる担体流内に形成し、振動等の物理的力を加えられて、その吐出液を一定間隔で切断し、切断部を、油液又は気体と前記カプセル皮膜液との界面又は表面張力により球状として、膜層を冷却によってゲル化させ、カプセルを製造することができる。
【0072】
前記界面又は表面張力としては、特に限定されないが、例えば、カプセル皮膜液と内容液との界面で15~50mN/mが好ましい。界面又は表面張力の測定には、例えば、KSV INSTRUMENTS(FINLAND)製のSigma702が用いられる。
【0073】
本発明において、カプセル製造時に多重ノズル付近での温度条件の調節が適切に制御されることが好ましい。カプセル(シームレスカプセル)製造装置の多重ノズル付近で、例えば、以下の温度範囲に設定するのが好ましい。
(1)カプセル内容物の温度を、内容物の性状に応じて、内容物が液状(又は流動性)を示す所定温度{例えば、(i)内容物が(常温で)液状のものである場合には、カプセル内容物の温度5~25℃(より好ましくは12~22℃)、(ii)内容物が常温で固形状のものである場合、液状となる温度[例えば、脂肪(例えば、バター、マーガリンなど40℃以下で室温の油)を用いる場合には、カプセル内容物の温度を30~60℃(より好ましくは40~50℃)等]等}の範囲で設定値±2℃(より好ましくは±1℃)に制御すること、
(2)カプセル皮膜液の温度を、50~99℃(より好ましくは60~95℃)の範囲で設定値±2℃(より好ましくは±1℃)に制御すること。
また、カプセルの内容物の油性成分に、親油性溶媒を加えて用いる場合、(3)親油性溶媒の温度を、1~25℃(より好ましくは5~20℃)の範囲で設定値±1℃(より好ましくは±0.5℃)に制御することが好ましい。
さらに、上記条件に加えて、(4)カプセル内容物の温度とカプセル皮膜液の温度の差が、25℃以上94℃以下(より好ましくは38℃以上85℃以下)であることがより好ましい。
また、カプセルの内容物の油性成分に、親油性溶媒を加えて用いる場合、(5)カプセル皮膜液の温度と親油性溶媒の温度の差が、35℃以上94℃以下(より好ましくは49℃以上85℃以下)であることがより好ましい。
さらに、ノズルを通過した後、膜層を冷却によってゲル化させる際、冷却オイルによって冷却する。冷却オイルでの冷却温度は、例えば、5~35℃程度である。
【0074】
以上の温度条件(1)~(5)は、カプセル(シームレスカプセル)に必要とされる品質の程度に応じて、当業者であれば適宜選択又は組み合わせることができる。上記の温度制御は、例えば、PID制御とフィードバック制御とを組み合わせることで当業者であれば容易に行うことができるが、これらの制御方法に限定されるものではない。
【0075】
前記カプセル皮膜液は、ジェランガム(さらには、必要に応じて一価の金属イオン等の他の成分)を含有するのであれば特に制限なく、例えば、溶媒に溶解して調製することができる。前記溶媒としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されず、例えば、水、エタノール等のアルコール類が挙げられ、水が好適である。
【0076】
さらに、得られたカプセルを冷却する場合、冷却温度は、特に限定されないが、通常20℃以下であり、好ましくは10℃以下である。冷却時間は、特に限定されないが、通常10分~30時間程度である。
【0077】
上記した方式によって湿潤カプセルを製造した後に、乾燥することができる。この乾燥は、例えば、通風装置付きの「回転ドラム式乾燥機」を用いて行うことが一般的であり、その他、シームレスカプセル等の小さいカプセルについてはこれを吹き上げて流動させながら乾燥する流動式であってもよい。乾燥温度は、特に限定されないが、20~50℃程度であってもよい。
【実施例
【0078】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0079】
得られたカプセルを下記方法に従って測定又は評価した。
[カプセル破壊強度及び弾力性(破壊距離)]
カプセル(乾燥前及び乾燥後のカプセル)の破壊強度は、室温(22~27℃)、40~60%RHにおいて、(株)サン科学製 レオメーターCR-3000EXで測定した値である。
なお、乾燥後のカプセルの強度は、湿度が45%RHの環境で十分(半日程度)おいたもの(概ね含水率は10~18質量%程度になっていた)について測定した(乾燥後のカプセルについて、以下同じ)。
また、上記測定において、カプセルが破壊するまでに変形した距離(カプセルが破壊するまでにレオメーターに押し込まれた距離)を、カプセルの弾力性の指標とした。
さらに、n=20にて、破壊強度及び破壊距離の標準偏差(SD)値を算出した。
[カプセル外径]
カプセル外径は、(株)ミツトヨ製デジタルノギス(商品名:クイックミニ25、型番:PK-0510SU、測定範囲:0~25mm)を使用して、室温(22~27℃)、40~60%RHで測定した。
[カプセル皮膜率]
皮膜率は、皮膜率(%)=カプセル皮膜重量/カプセル総重量×100より算出した。
なお、重量は、(株)エー・アンド・デイ製の電子天秤GX-200で測定した。
[カプセル皮膜の厚さ]
カプセルの皮膜の厚さ(皮膜厚)は、(株)キーエンス製のデジタルマイクロスコープ(商品名;VHX-900、10μmの校正スケールを使用)を用いて測定した。
[カプセル崩壊性]
得られたカプセルは、日本薬局方(第十七改正)の崩壊試験法に基づき、試験器にカプセルと補助盤を入れ、試験液として37±2℃の水を用いて試験を行い、カプセルが明らかに原型をとどめない、もしくは、カプセル皮膜の断片のみである、状態になった時間を崩壊時間とした。なお、同一処方について、試験でのカプセル数は少なくとも6球以上とし、これらのカプセルにおける崩壊時間の平均値を崩壊時間とした。
[含水率]
下記式で示される乾燥減量を測定することで含水率を得た。
乾燥減量(%)=[カプセル重量(mg)-乾燥カプセル重量(mg)]/カプセル重量(mg)×100
なお、乾燥カプセル重量は、カプセルを十分に乾燥させた後(110℃で2時間)のカプセル重量とした。
[乾燥後の割れ有無]
乾燥後のカプセルに割れがなかったものは「無」(0%)、割れがあったものについてはその割れの割合を評価した。
【0080】
実施例1~8
下記(表1)の処方で皮膜液を調製し、多重ノズルを用いる滴下法にて、表4に示す条件でカプセル〔内容物:MCT(花王:ココナードML)〕を得た。
なお、ジェランガムには、脱アシル型のもの(CPケルコ社製、「ケルコゲル」)を用いた(以下、同じ)。
また、アルギン酸Naにおける一価金属(ナトリウム)イオンの割合は、1gあたり、0.0923gであった(以下同じ)。
【0081】
【表1】
【0082】
比較例1
下記(表2)の処方で皮膜液を調製し、多重ノズルを用いる滴下法にて、表4に示す条件でカプセル〔内容物:MCT(花王:ココナードML)〕を得た。
【0083】
【表2】
【0084】
実施例9~10
下記(表3)の処方で皮膜液を調製し、多重ノズルを用いる滴下法にて、表4に示す条件でカプセル〔内容物:MCT(花王:ココナードML)〕を得た。なお、実施例10では、乾燥前に乳酸カルシウム水溶液に浸漬処理を行った。
なお、クエン酸ナトリウムにおける一価金属(ナトリウム)イオンの割合は、1gあたり、0.0891gである(以下同じ)。
【0085】
【表3】
【0086】
結果を表4に示す。
【0087】
【表4】
【0088】
上記表の結果から明らかなように、実施例では、水崩壊性や機械的強度に優れたカプセルが得られた。
特に、実施例9の結果から、カプセルの製造条件(乾燥前の条件)を選択することで、乾燥後において割れの無いカプセルが効率良く得られることがわかった。
また、実施例10の結果から、乾燥前の浸漬処理によって、機械的強度を高めることができたものの、水崩壊性に乏しいカプセルが得られた。
一方、実施例1~8では、割れを発生させることなく、水崩壊性と優れた機械的強度とを両立できるカプセルを得ることができた。
【0089】
実施例11~19
下記(表5)の処方で皮膜液を調製し、多重ノズルを用いる滴下法にて、表6に示す条件でカプセル〔内容物:MCT(花王:ココナードML)〕を得た。
【0090】
【表5】
【0091】
なお、皮膜液において、固形分全体に対する、ジェランガムの割合は18.75質量%(実施例11~12)、31.25質量%(実施例13~17)、又は12.5質量%(実施例18~19)、アルギン酸Naの割合は12.5質量%(一価金属として0.092質量%)であり、ジェランガム100質量部に対するアルギン酸ナトリウムの割合は66.7質量部(一価金属として6.15質量部)[実施例11~12]、40.0質量部(一価金属として3.69質量部)[実施例13~17]又は100質量部(一価金属として9.23質量部)[実施例18~19]である。
【0092】
結果を表6に示す。
【0093】
【表6】
【0094】
上記より、ジェランガムに他の皮膜基剤(寒天、カラギーナン、ペクチン)を配合しても、水崩壊性や機械的強度が十分なカプセルが得られることが分かった。
中でも、実施例11~17と実施例18及び19との結果から、皮膜基剤全体に占めるジェランガムの割合を適宜選択する(少なすぎないものとする)ことで、水崩壊性と機械的強度とを効率良く両立できることがわかった。
なお、実施例18の結果から、他の皮膜基剤を用いる場合にも、カプセルの製造条件(乾燥前の条件)を選択することで、乾燥後において割れの無いカプセルが効率良く得られる傾向があることがわかった。
【0095】
実施例20~26
下記(表7)の処方で皮膜液を調製し、多重ノズルを用いる滴下法にて、表8に示す条件でカプセル〔内容物:MCT(花王:ココナードML)〕を得た。なお、対比のために、実施例7を併記する。
また、アルギン酸Kにおける一価金属(カリウム)イオンの割合は、1gあたり、0.112gであった。
【0096】
【表7】
【0097】
なお、皮膜液において、固形分全体に対する、ジェランガムの割合は37.5質量%であり、一価金属化合物の割合は、3.75質量%(一価金属として1.48質量%)[実施例20]、3.75質量%(一価金属として1.97質量%)[実施例21]、15.0質量%(一価金属として2.14質量%)[実施例22]、15.0質量%(一価金属として2.47質量%)[実施例23]、37.5質量%(一価金属として3.46質量%)[実施例24]、37.5質量%(一価金属として3.95質量%)[実施例25]、37.5質量%(一価金属として4.20質量%)[実施例26]であり、ジェランガム100質量部に対する一価金属化合物の割合は、10.0質量部(一価金属として3.93質量部)[実施例20]、10.0質量部(一価金属として5.25質量部)[実施例21]、40.0質量部(一価金属として5.70質量部)[実施例22]、40.0質量部(一価金属として6.57質量部)[実施例23]、100質量部(一価金属として9.23質量部)[実施例24]、100質量部(一価金属として10.54質量部)[実施例25]、100質量部(一価金属として11.20質量部)[実施例26]である。
【0098】
結果を表8に示す。
【0099】
【表8】
【0100】
上記表の結果から明らかなように、種々の一価アルカリ金属塩を用いても、水崩壊性や機械的強度に優れたカプセルが得られた。
【0101】
実施例27~31
下記(表9)の処方で皮膜液を調製し、多重ノズルを用いる滴下法にて、表10に示す条件でカプセル〔内容物:MCT(花王:ココナードML)〕を得た。なお、対比のために、実施例24を併記する。
【0102】
【表9】
【0103】
なお、皮膜液において、固形分全体に対する、ジェランガムの割合は30.0質量%、アルギン酸Naの割合は30.0質量%(一価金属として2.77質量%)であり、ジェランガム100質量部に対するアルギン酸Naの割合は、100質量部(一価金属として9.23質量部)である。
【0104】
結果を表10に示す。
【0105】
【表10】
【0106】
上記表の結果から明らかなように、種々の可塑剤を用いても、水崩壊性や機械的強度に優れたカプセルが得られた。
【0107】
実施例32~33
下記(表11)の処方で皮膜液を調製し、単一ノズルを用いる滴下法にて、内容物なしで皮膜のみのカプセル(単一球)を得た。
【0108】
【表11】
【0109】
なお、皮膜液において、固形分全体に対する、ジェランガムの割合は20.0質量%、アルギン酸Naの割合は26.7質量%であり、ジェランガム100質量部に対するアルギン酸Naの割合は133質量部(一価金属として12.31質量部)である。
【0110】
結果を表12に示す。
【0111】
【表12】
【0112】
上記表の結果から明らかなように、内容物を有しない場合であっても、水崩壊性や機械的強度に優れたカプセルが得られた。
【0113】
実施例34~35
実施例24(表9)と同じ処方で皮膜液を調製し、多重ノズルを用いる滴下法にて、表13に示す条件でカプセル〔実施例34の内容物:精製オリーブオイル(Dcoop S. Coop. And.:オリーブオイル リファインド)、実施例35の内容物:魚油(マルハニチロ:DHA-46MK)80質量%及びMCT(花王:ココナードML)20質量%〕を得た。なお、対比のために、実施例24を併記する。
【0114】
結果を表13に示す。
【0115】
【表13】
【0116】
上記表の結果から明らかなように、内容物を変更しても、水崩壊性や機械的強度に優れたカプセルが得られた。
【0117】
実施例36~43
下記(表14)の処方(表1(実施例1~8)において、アルギン酸ナトリウムを使用せず、アルギン酸ナトリウム及びグアーガム分解物の総量をすべてグアーガム分解物とした処方)で皮膜液を調製し、多重ノズルを用いる滴下法にて、表15に示す条件でカプセル〔内容物:MCT(花王:ココナードML)〕を得た。なお、対比のために、実施例1~8を併記する。
【0118】
【表14】
【0119】
結果を表15に示す。
【0120】
【表15】
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明のカプセルは、例えば、医薬、食品、工業などの分野に好適に用いることができる。