(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-17
(45)【発行日】2025-03-26
(54)【発明の名称】パネル収納容器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20250318BHJP
【FI】
H01L21/68 T
(21)【出願番号】P 2022048369
(22)【出願日】2022-03-24
【審査請求日】2024-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】大貫 和正
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-146578(JP,A)
【文献】特開2006-324640(JP,A)
【文献】特開2005-335743(JP,A)
【文献】特開2019-127272(JP,A)
【文献】米国特許第06186344(US,B1)
【文献】登録実用新案第3035569(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネルを第1方向に配列した状態で収納するための容器本体と、
前記容器本体の内側に設けられ、前記複数のパネルを支持するパネル支持部と、
を備え、
前記パネル支持部は、前記複数のパネルのうちの1枚のパネルを支持するための前記第1方向に交差する第2方向に延在しているシャフトと、導電性部材と、を備え、
前記容器本体は、前記シャフトを固定するための支柱を備え、
前記シャフトは、前記第2方向における両端部である第1端部及び第2端部を備え、
前記導電性部材は、前記第1端部に設けられ、前記シャフトと前記支柱とを電気的に接続し、
前記導電性部材の抵抗値は、前記シャフトの抵抗値及び前記支柱の抵抗値よりも大きい、パネル収納容器。
【請求項2】
前記支柱には、前記導電性部材が配置された嵌合穴が設けられており、
前記第1端部は、前記導電性部材を介して前記嵌合穴に嵌め合わされている、請求項1に記載のパネル収納容器。
【請求項3】
前記シャフトは、前記パネルを載置するための載置部と、前記載置部を前記第1方向において支持する土台部と、を備え、
前記載置部及び前記土台部は、前記第2方向に延在しており、
前記土台部の前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向における最大長さは、前記載置部の前記第3方向における最大長さよりも大きい、請求項2に記載のパネル収納容器。
【請求項4】
前記第2方向から見て、前記導電性部材の外周面によって画定される形状の重心と前記外周面との最大距離は、前記嵌合穴の内周面によって画定される形状の重心と前記内周面との最小距離よりも大きく、
前記導電性部材は、前記土台部の前記第3方向における両端部と前記第1方向において当接するストッパ部を備える、
請求項3に記載のパネル収納容器。
【請求項5】
前記導電性部材は、樹脂材料で構成されている、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のパネル収納容器。
【請求項6】
前記パネル支持部は、前記シャフトを前記支柱に固定するための固定部材と、前記支柱と前記固定部材との間に設けられ、前記固定部材を前記支柱に取り付けるための受け部材と、を備え、
前記固定部材の抵抗値と前記受け部材の抵抗値との合計抵抗値は、前記導電性部材の抵抗値以上である、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のパネル収納容器。
【請求項7】
前記固定部材は、金属材料で構成されており、
前記受け部材は、絶縁材料で構成されている、請求項6に記載のパネル収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パネル収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル用ガラス基板等のパネルを扱う製造工程において、矩形形状のパネルを製造装置から別工程の製造装置に移送する際、及びパネルを一時的に保管する際に、複数のパネルを収納するパネル収納容器が用いられる。例えば、特許文献1には、パネルを収納する容器本体と、容器本体に設けられた開口部を開閉自在に覆う蓋体と、を備えるパネル収納容器が記載されている。このパネル収納容器の内部には、1枚のパネルの中央下面を支持する長尺のサポート部材(シャフト)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のパネル収納容器では、シャフトは容器本体に設けられている支柱に固定されており、シャフト及び支柱は導電性を有する材料で構成されている。支柱は、容器本体の底面に設けられた位置決め部を介して、外部装置のアースに電気的に接続されている。この場合、例えばパネル収納容器に収納されたパネルが帯電していたとすると、該パネルとシャフトとが接触した際に、静電気放電(ESD)が発生するおそれがある。一方で、静電気放電の発生を抑制するためにシャフト及び支柱を導電性の低い材料で構成した場合、パネルが除電されないおそれがある。
【0005】
本開示は、静電気放電の発生を抑制しつつ、パネルを除電可能なパネル収納容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るパネル収納容器は、複数のパネルを第1方向に配列した状態で収納するための容器本体と、容器本体の内側に設けられ、複数のパネルを支持するパネル支持部と、を備える。パネル支持部は、複数のパネルのうちの1枚のパネルを支持するための第1方向に交差する第2方向に延在しているシャフトと、導電性部材と、を備える。容器本体は、シャフトを固定するための支柱を備える。シャフトは、第2方向における両端部である第1端部及び第2端部を備える。導電性部材は、第1端部に設けられ、シャフトと支柱とを電気的に接続している。導電性部材の抵抗値は、シャフトの抵抗値及び支柱の抵抗値よりも大きい。
【0007】
このパネル収納容器では、導電性部材が、シャフトと支柱とを電気的に接続している。導電性部材の抵抗値は、シャフトの抵抗値及び支柱の抵抗値より大きい。したがって、シャフトが支柱に直接接続されている構成と比較して、シャフトから支柱に至る経路の抵抗値が大きくなる。これにより、シャフトにパネルが載置された際の静電気放電の発生を抑制することができる。一方、導電性部材は導電性を有するので、シャフトに載置されたパネルから、シャフト、導電性部材、及び支柱の順に電気が流れ得る。したがって、パネルを除電することができる。以上のことから、静電気放電の発生を抑制しつつ、パネルを除電することが可能となる。
【0008】
いくつかの実施形態では、支柱には、導電性部材が配置された嵌合穴が設けられていてもよい。第1端部は、導電性部材を介して嵌合穴に嵌め合わされていてもよい。この場合、第1端部が導電性部材を介して嵌合穴に嵌め合わされた状態でシャフトが支柱に固定されるので、シャフトを支柱に確実に固定することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、シャフトは、パネルを載置するための載置部と、載置部を第1方向において支持する土台部と、を備えていてもよい。載置部及び土台部は、第2方向に延在していてもよい。土台部の第1方向及び第2方向に交差する第3方向における最大長さは、載置部の第3方向における最大長さよりも大きくてもよい。シャフトの自重による撓み量は、シャフトの断面積に比例し、シャフトの断面二次モーメントに反比例する。シャフトの断面が水平方向に拡張された場合、断面二次モーメントの増加量が断面積の増加量を上回る。したがって、シャフトを鉛直方向に拡張することなく、シャフトの自重による撓み量を低減することができる。その結果、パネル収納容器にパネルが搬入される際、又はパネル収納容器からパネルが搬出される際に、パネルがシャフトと干渉する可能性を低減することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、第2方向から見て、導電性部材の外周面によって画定される形状の重心と外周面との最大距離は、嵌合穴の内周面によって画定される形状の重心と内周面との最小距離よりも大きくてもよい。導電性部材は、土台部の第3方向における両端部と第1方向において当接するストッパ部を備えていてもよい。この場合、導電性部材の軸線回りに力が加わった場合でも、導電性部材の上記最大距離を有する部分が、嵌合穴の内周面に引っかかる。これにより、嵌合穴に対して、導電性部材が軸線回りに回転することが防止される。さらに、シャフトの軸線回りに力が加わったとしても、導電性部材のストッパ部とシャフトの土台部とが第1方向において当接するので、導電性部材に対して、シャフトがシャフトの軸線回りに回転することが防止される。したがって、嵌合穴に対して、シャフトがシャフトの軸線回りに回転することを防止することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、導電性部材は、樹脂材料で構成されていてもよい。この場合、シャフトの抵抗値及び支柱の抵抗値より大きい抵抗値を有する導電性部材を簡易に実現することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、パネル支持部は、シャフトを支柱に固定するための固定部材と、支柱と固定部材との間に設けられ、固定部材を支柱に取り付けるための受け部材と、を備えていてもよい。固定部材の抵抗値と受け部材の抵抗値との合計抵抗値は、導電性部材の抵抗値以上であってもよい。この場合、シャフトから支柱に至る経路は、シャフトから、導電性部材を通って支柱に至る経路と、シャフトから、固定部材及び受け部材を順に通って支柱に至る経路と、を含む。固定部材の抵抗値と受け部材の抵抗値との合計抵抗値が導電性部材の抵抗値より大きいので、シャフトから、固定部材及び受け部材を順に通って支柱に至る経路には、電流が流れがたい。したがって、シャフトから導電性部材を通って支柱に至る経路に電流が流れるので、シャフトと支柱との間の導電性を導電性部材によって調整することができる。その結果、静電気放電の発生をより確実に抑制することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、固定部材は、金属材料で構成されていてもよい。受け部材は、絶縁材料で構成されていてもよい。この場合、導電性部材の抵抗値よりも大きい合成抵抗値を有する固定部材及び受け部材を簡易に実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、静電気放電の発生を抑制しつつ、パネルを除電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るパネル収納容器の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示される支持部及び支柱の分解斜視図である。
【
図7】
図7は、
図5のVII-VII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。各図には、XYZ座標系が示される。Y軸方向は、X軸方向及びZ軸方向と交差(ここでは、直交)する方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向と交差(ここでは、直交)する方向である。一例として、X軸方向は、左右方向(幅方向;第3方向)であり、Y軸方向は、前後方向(奥行方向;第2方向)であり、Z軸方向は、上下方向(高さ方向;第1方向)である。説明の便宜上、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、及び「右」の用語が用いられるが、これらの方向に限定されない。
【0017】
図1を参照して、一実施形態に係るパネル収納容器を説明する。
図1は、一実施形態に係るパネル収納容器の分解斜視図である。
図1に示されるパネル収納容器1は、複数のパネルを収納するための容器である。パネル収納容器1は、例えば、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格に準拠している。パネルの例としては、液晶パネル用のガラス基板、及び電子部品を搭載したパネルが挙げられる。パネルは、矩形形状を有する。パネルのサイズの例としては、510mm×515mm及び600mm×600mmが挙げられる。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数は、任意に定められており、例えば、6枚でもよく、12枚でもよく、16枚でもよく、24枚でもよい。
【0018】
パネル収納容器1は、例えば、電子部品アセンブリを製造する製造装置に使用される。電子部品アセンブリは、例えば、ガラス板及びステンレス板といった大型のキャリアパネル上に多数の電子部品を搭載する工程、これらの電子部品をエポキシ樹脂等で封止する工程、封止された電子部品をパネル形態でキャリアパネルから剥がす工程、及びパネル形態の電子部品を個別に切り出す工程等を経て製造される。パネル収納容器1は、これらの工程間でパネルを移送するために用いられる。
【0019】
パネル収納容器1は、容器本体2と、蓋体3と、を備えている。
【0020】
容器本体2は、正面(前面)が開放された直方体形状の容器である。言い換えると、容器本体2は、前面に開口2aが設けられたフロントオープンボックス型の容器である。容器本体2は、複数のパネルを収納する。具体的には、容器本体2は、複数のパネルを上下方向に配列した状態で収納する。開口2aを介してパネルが容器本体2に出し入れされる。容器本体2の詳細は後述する。
【0021】
蓋体3は、容器本体2の開口2aを閉塞するための部材である。蓋体3は、ガスケット等の封止部材を介して容器本体2の開口2aを気密に閉塞する。蓋体3は、開口2aを画定するフランジ25に着脱自在に取り付けられる。蓋体3は、蓋本体31と、施錠機構32と、を備えている。蓋本体31は、蓋体3の本体部分である。蓋本体31は、矩形状の板材である。蓋本体31は、例えば、アルミニウム及びマグネシウム合金等の金属材料で構成されている。蓋本体31は、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂で構成されてもよい。蓋本体31の前面には、鍵穴33が設けられている。鍵穴33には、不図示の鍵が挿入される。
【0022】
施錠機構32は、鍵穴33に挿入された鍵が操作されることによって、蓋体3を施錠又は解錠する。施錠機構32は、不図示のラッチを備えている。蓋体3がフランジ25に取り付けられた状態で、鍵の操作によりラッチがフランジ25に設けられた施錠穴25hに嵌入されることによって蓋体3が施錠される。蓋体3が施錠されている状態で、鍵の操作によりラッチが施錠穴25hから引き抜かれることよって蓋体3が解錠される。
【0023】
容器本体2及び蓋体3は、金属材料又は樹脂材料で成形される複数の部品を組み合わせることによって構成される。樹脂材料の成形材料に含まれる樹脂の例としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、液晶ポリマー、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体が挙げられる。樹脂材料の成形材料に含まれる樹脂として、これらのアロイが用いられてもよい。
【0024】
これらの樹脂には、導電物質、及び各種帯電防止剤が添加されてもよい。導電物質は、例えば、カーボン繊維、カーボンパウダー、カーボンナノチューブ、又は導電性ポリマー等からなる。帯電防止剤としては、アニオン系、カチオン系、及び非イオン系等の帯電防止剤が用いられ得る。ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、オキザリックアシッドアニリド系、及びヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が添加されてもよい。剛性を向上させるガラス繊維又は炭素繊維等も選択的に添加されてもよい。
【0025】
次に、容器本体2を詳細に説明する。容器本体2は、天板21と、底板22と、一対の側壁23と、背面壁24と、フランジ25と、枠体26と、台座部27と、サイドプレート28と、を備えている。
【0026】
天板21、底板22、側壁23、及び背面壁24は、矩形状の板材である。天板21と底板22とは、上下方向において互いに向かい合っており、略平行に配置されている。一対の側壁23は、左右方向において互いに向かい合っており、略平行に配置されている。背面壁24は、天板21の後端と底板22の後端とを連結するとともに、一対の側壁23の後端を連結している。天板21、底板22、一対の側壁23、及び背面壁24によって、収容空間20が画定される。
【0027】
天板21、底板22、及び側壁23は、例えば、アルミニウム及びステンレス等の金属材料によって構成されている。背面壁24は、例えば、容器本体2の外部から収容空間20を目視可能な透明の樹脂材料によって構成されている。背面壁24の一部が透明の樹脂材料で構成されてもよい。透明な樹脂材料の例としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、及びシクロオレフィンポリマーが挙げられる。
【0028】
フランジ25は、矩形状の枠体であって、天板21の前端、底板22の前端、及び一対の側壁23の前端にわたって設けられている。フランジ25によって、開口2aが画定される。フランジ25は、例えば、上述の樹脂材料又はアルミニウム及びステンレス等の金属材料によって構成されている。フランジ25の上枠部及び下枠部のそれぞれには、左右方向に離間して配列された2つの施錠穴25hが設けられている。上枠部の施錠穴25hと下枠部の施錠穴25hとは上下方向において互いに向かい合う位置に設けられている。
【0029】
枠体26は、天板21、底板22、一対の側壁23、及び背面壁24を固定するために用いられる。枠体26は、例えば、アルミニウム及びステンレス等の金属材料によって構成されている。枠体26は、背面壁24の前面に設けられる。枠体26は、枠部26a(
図2参照)と、支柱26b(
図2参照)と、一対の支柱26c(
図2参照)と、を有している。枠部26aは、矩形状の部材であって、背面壁24の周縁に沿って設けられている。
【0030】
支柱26b及び一対の支柱26cは、上下方向に延在する柱状部材である。一方の支柱26c、支柱26b、及び他方の支柱26cは、左右方向においてその順に配列され、互いに略平行に配置されている。支柱26b及び一対の支柱26cは、枠部26aの上枠部から下枠部まで延在している。支柱26bは、枠体26の左右方向における中心に設けられ、一対の支柱26cは、枠体26の左右方向における両端近傍に設けられる。
【0031】
支柱26bは、後述するシャフト61aを固定するための部材である。支柱26bには、シャフト61aを取り付けるための複数の嵌合穴26g(
図3参照)が設けられている。これらの嵌合穴26gは、支柱26bの前面26jから後方に向けて窪んでいる。支柱26cは、後述するシャフト62aを固定するための部材である。支柱26cには、シャフト62aを取り付けるための不図示の複数の嵌合穴が設けられている。これらの嵌合穴は、支柱26cの前面から後方に向けて窪んでいる。支柱26bの抵抗値は、例えば、1×10
-1Ω以上1×10
1Ω以下である。
【0032】
台座部27は、容器本体2のベースとなる部分である。台座部27は、例えば、アルミニウム及びステンレス等の金属材料によって構成されている。台座部27は、底板22の下面に設けられる。台座部27は、複数の柱状の支持部材を組み合わせることによって構成されている。
【0033】
サイドプレート28は、後述の支持体65を取り付けるための部材である。サイドプレート28は、上下方向に延在する板状部材である。サイドプレート28は、例えば、アルミニウム及びステンレス等の金属材料によって構成されている。サイドプレート28は、側壁23の外面に設けられる。本実施形態では、各側壁23に2つのサイドプレート28が設けられる。2つのサイドプレート28は、前後方向に配列され、互いに略平行に配置されている。1つのサイドプレート28は、側壁23の前後方向における中心付近に設けられ、もう1つのサイドプレート28は、側壁23の前後方向における前端近傍に設けられる。
【0034】
容器本体2の角部には、収容空間20へのパーティクル(粒子)の侵入を防止するためのカバー部材が設けられている。
【0035】
次に、
図2を参照して、収容空間20内の構成を説明する。
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図である。
図2に示されるように、パネル収納容器1は、パネル支持部60を更に備えている。パネル支持部60は、複数のパネルを支持するための部分である。パネル支持部60は、容器本体2の内部(収容空間20)に設けられている。パネル支持部60は、複数の支持部61と、複数の支持部62と、複数のストッパ63と、複数のストッパ64と、を備えている。
【0036】
支持部61、支持部62、ストッパ63、及びストッパ64の数は、パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数に応じて変更される。本実施形態では、パネル支持部60は、1枚のパネル当たり、1つの支持部61と、2つの支持部62と、2つのストッパ63と、2つのストッパ64と、を備えている。言い換えると、1つの支持部61と、2つの支持部62と、2つのストッパ63と、2つのストッパ64とによって、1枚のパネルを収納する収納段が形成される。
【0037】
支持部61は、パネルの左右方向における中央部を支持するための部分である。支持部61は、シャフト61aと、導電性部材61bと、を備えている。シャフト61aは、前後方向に延在する部材である。シャフト61aは、1枚のパネルを支持するために用いられる。シャフト61aは、シャフト61aの延在方向(前後方向)における両端部である端部61c(第1端部;
図3参照)及び端部61d(第2端部;
図3参照)を有している。シャフト61aは、例えば、曲げ剛性の高い材料によって構成されている。シャフト61aの構成材料の例として、ステンレス及びアルミニウム等の金属、並びにカーボン繊維強化プラスチックが挙げられる。シャフト61aの抵抗値は、例えば、1×10
-1Ω以上1×10
1Ω以下である。シャフト61aの形状及びシャフト61aが支柱26bに固定される態様については、後述する。
【0038】
導電性部材61bは、シャフト61aと支柱26bとを電気的に接続する部材である。導電性部材61bは、前端が開放された前後方向に延在する筒状の形状を有する。導電性部材61bは、端部61cに設けられ、シャフト61aの軸線回りに端部61cを囲んでいる。具体的には、導電性部材61bは、支柱26bの嵌合穴26gに嵌め合わされており、導電性部材61bの内部空間に端部61cを嵌め合わせることによって端部61cを保持する。導電性部材61bは、例えば、導電性を有する樹脂材料で構成される。このような樹脂材料は、カーボン等の導電性物質を含んでいる。導電性部材61bの抵抗値は、シャフト61aの抵抗値及び支柱26bの抵抗値よりも大きい。導電性部材61bの抵抗値は、例えば、1×104Ω以上1×109Ω以下である。
【0039】
支持部62は、パネルの左右方向の両端部を支持するための部分である。支持部62は、シャフト62aと、複数の弾性体62bと、複数の支持体65と、を有している。シャフト62aは、前後方向に延在する柱状(例えば、円柱状)の部材である。シャフト62aは、1枚のパネルを支持するために用いられる。シャフト62aは、シャフト62aの延在方向(前後方向)における両端部である端部62c及び端部62dを有している。シャフト62aの端部62cが支柱26cの嵌合穴に嵌入され、ネジによって支柱26cに固定される。
【0040】
シャフト62aは、例えば、曲げ剛性の高い材料によって構成されている。シャフト62aの構成材料の例として、ステンレス及びアルミニウム等の金属、並びにカーボン繊維強化プラスチックが挙げられる。シャフト62aの前後方向における長さは、パネルの前後方向における長さよりも僅かに長く、シャフト61aの前後方向における長さよりも長い。シャフト61aと一対のシャフト62aとは、左右方向に配列されている。一対のシャフト62aの間に、シャフト61aが配置されている。
【0041】
弾性体62bは、シャフト62aの軸線回りにシャフト62aを囲むように設けられた環状(例えば、円環状)の部材である。弾性体62bは、シャフト62aの表面に沿って設けられる。弾性体62bは、パネルの滑りを抑え、パネルの位置決め精度を向上させるために設けられる。パネルの滑り防止の観点から、弾性体62bは、シャフト62aよりも高い摩擦性(摩擦力)を有してもよい。パネルの損傷防止の観点から、弾性体62bは、シャフト62aよりも高い弾力性(クッション性)を有してもよい。弾性体62bは、例えば、ゴム材によって構成される。ゴム材の例としては、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、シリコーンゴム、及びフッ素ゴムが挙げられる。複数の弾性体62bは、シャフト62aの延在方向に一定の間隔で配列されている。
【0042】
支持体65は、シャフト62aを保持(支持)するとともに、パネルの左右方向における端部を支持するための部材である。支持体65の先端部分には、支持体65を前後方向に貫通する挿通孔が設けられており、シャフト62aが挿通孔を挿通している。支持体65は、支持体65の基端から先端に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面を有している。
【0043】
支持体65の基端部分が側壁23の内面に当接され、ノックピン(不図示)によってサイドプレート28、側壁23、及び支持体65が位置決めされる。この状態で、サイドプレート28の外側からサイドプレート28に設けられた挿通孔にネジが挿通され、支持体65の基端部分に設けられたネジ穴にネジが螺合される。これにより、支持体65とサイドプレート28とによって側壁23を挟み込んだ状態で、支持体65がサイドプレート28に固定される。
【0044】
ストッパ63は、パネルの飛び出しを防止するとともにパネルの前端の位置を決めるための部材である。ストッパ63は、例えば、上述の樹脂材料で構成されている。ストッパ63は、シャフト62aの端部62dに設けられている。例えば、シャフト62aの端部62dをストッパ63に設けられた取付穴に嵌入することによって、ストッパ63がシャフト62aに取り付けられる。ストッパ63は、弾性体62bの外径よりも大きい外径を有する円板状の係止片63aを有している。係止片63aは、外周面から中心に向かうにつれて後方に傾斜する傾斜面を有している。
【0045】
ストッパ64は、パネルの後端の位置を決めるための部材である。ストッパ64は、例えば、上述の樹脂材料で構成されている。ストッパ64は、シャフト62aの端部62cに設けられている。ストッパ64は、ブロック状の形状を有している。ストッパ64には、前後方向にシャフト62aを挿通するための挿通孔が設けられている。ストッパ64の挿通孔にシャフト62aが挿通された状態で、ストッパ64の後面が支柱26cの前面に当接され、ネジによってストッパ64が支柱26cに固定される。ストッパ64は、上面から下方に向かうにつれて前方に傾斜する傾斜面を有している。
【0046】
ストッパ63、ストッパ64、及び支持体65によって、パネルが載置される載置位置が規定される。具体的には、ストッパ63,64によってパネルの前後方向における載置位置が規定され、左右に設けられた4つの支持体65によってパネルの左右方向における載置位置が規定される。例えば、ロボットによってパネルが収容空間20に搬入され、いずれかの収納段にパネルが載置される。このとき、誤差等によってパネルの位置が僅かにずれることがある。例えば、パネルの前端がストッパ63の係止片63aの傾斜面上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって当該傾斜面に沿って載置位置に誘導される。同様に、パネルの後端がストッパ64の傾斜面上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって当該傾斜面に沿って載置位置に誘導される。同様に、パネルの側端が支持体65の傾斜面上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって当該傾斜面に沿って載置位置に誘導される。
【0047】
次に、
図3及び
図4を参照して、シャフト61aの形状を説明する。
図3は、
図2に示される支持部及び支柱の分解斜視図である。
図4は、
図2のIV-IV線に沿った断面図である。
【0048】
図3に示されるように、シャフト61aは、端部61cと、露出部61eと、を有している。端部61cは、例えば、前後方向に延在する円柱状の形状を有する。上述のように、端部61cは、支柱26bの嵌合穴26gに嵌入されるので、支柱26bから露出していない。露出部61eは、シャフト61aのうちの端部61cを除く部分であって、支柱26bから露出している部分である。露出部61eは、端部61cと前後方向において連なっており、端部61dを含む。露出部61eの形状は、端部61cの形状と異なる。
【0049】
具体的に説明すると、
図4に示されるように、露出部61eは、載置部71と、土台部72と、を備えている。載置部71及び土台部72は、露出部61eの前後方向における全体にわたって延在している。載置部71は、シャフト61aに支持される1枚のパネルが載置される部材である。載置部71は、土台部72と接する下面を有しており、載置部71には、当該下面とは上下方向において反対側にパネルが載置される。載置部71は、前後方向に延在する柱形状を有している。本実施形態では、載置部71は、前後方向から見て、円から弓形が欠落した欠円形状を有している。載置部71は、前後方向に延在する円柱形状を有していてもよい。載置部71は、左右方向における最大長さ(最大幅)L1を有している。
【0050】
土台部72は、載置部71を上下方向に支持する部材である。土台部72は、シャフト61aの自重撓みを低減するために設けられる。土台部72は、前後方向に延在する柱形状を有している。本実施形態では、土台部72は、前後方向から見て、左右方向に長辺を有する矩形に、矩形の上辺から上方に突出する台形を組み合わせた六角形状を有している。土台部72の上面には、載置部71が嵌め合わされる溝が設けられている。土台部72の下角部には、面取りが施されている。土台部72は、左右方向における最大長さ(最大幅)L2を有している。土台部72の最大幅L2は、載置部71の最大幅L1よりも大きい。土台部72の左右方向における長さは、土台部72の下端において最大幅L2を有し、土台部72の下端から上方向に向かうにしたがって、小さくなる。
【0051】
本実施形態では、載置部71は、土台部72にネジによって固定されているが、接着又は溶接によって固定されていてもよい。あるいは、載置部71と土台部72とは、露出部61eとして一体的に構成されていてもよい。
【0052】
次に、
図3及び
図5を参照して、シャフト61aが支柱26bに固定される態様を説明する。
図5は、
図2のV-V線に沿った断面図である。
【0053】
図5に示されるように、導電性部材61bは、支柱26bの嵌合穴26gに配置されている。具体的には、導電性部材61bは、前方に開口が位置するように、嵌合穴26gに嵌め合わされている。導電性部材61bは、嵌入部61fと、ストッパ部61gと、を備えている。
【0054】
嵌入部61fは、嵌合穴26gに嵌め合わされる部分である。本実施形態では、嵌入部61fは、一端が開放された円筒形状を有している。嵌入部61fの他端には、後述の固定部材81の軸部81bが挿通可能な貫通孔が設けられている。嵌入部61fの外周面は、前後方向から見て矩形の角部を丸めた形状を有している。
【0055】
ストッパ部61gは、シャフト61aの回り止めとして機能する部分である。ストッパ部61gは、前後方向から見て円弧状の形状を有し、前後方向に延在している。ストッパ部61gは、嵌入部61fと前後方向において連なっており、導電性部材61bが嵌合穴26gに嵌め合わされた状態で、支柱26bの前面26jから前方に突出している。ストッパ部61gは、土台部72の左右方向における両端部と上下方向において当接する。
【0056】
支持部61は、受け部材80と、固定部材81と、を更に備えている。固定部材81は、シャフト61aを支柱26bに固定するための部材である。固定部材81として、例えば、ボルトが用いられる。固定部材81は、頭部81aと、軸部81bと、を備えている。固定部材81は、例えば、金属材料で構成されている。固定部材81の構成材料の例としては、ステンレス及びアルミニウムが挙げられる。固定部材81の抵抗値は、例えば、1×10-1Ω以上1×101Ωである。
【0057】
受け部材80は、支柱26bと固定部材81との間に設けられ、固定部材81を支柱26bに取り付けるための部材である。本実施形態では、受け部材80は、カップ状の形状を有し、固定部材81の頭部81aを収容する。受け部材80の底板には、固定部材81の軸部81bが挿通可能な貫通孔が設けられている。受け部材80は、支柱26bの後面26iに設けられている座繰り26kに配置される。座繰り26kは、固定部材81の頭部81aを収容するための穴であって、支柱26bの後面26iから前方に向けて窪んでいる。座繰り26kと嵌合穴26gとは、連通孔26mによって前後方向に連なっている。連通孔26mの内径は、固定部材81の軸部81bの外径よりも大きい。受け部材80は、例えば、絶縁材料で構成されている。受け部材80の構成材料の例としては、ポリアセタール及びポリカーボネートが挙げられる。受け部材80の抵抗値は、例えば、1×1012Ω以上1×1014Ω以下である。受け部材80の抵抗値と固定部材81の抵抗値との合計抵抗値は、導電性部材61bの抵抗値以上である。
【0058】
導電性部材61bが、前方に開口が位置するように嵌合穴26gに嵌め合わされ、端部61cが嵌入部61fの内部空間に挿通されることで、端部61cが導電性部材61bに嵌め合わされる。すなわち、端部61cは導電性部材61bを介して嵌合穴26gに嵌め合わされる。そして、座繰り26kに受け部材80が嵌め合わされた後、受け部材80の貫通孔、連通孔26m、及び嵌入部61fの貫通孔に固定部材81の軸部81bが挿通され、端部61cの後面に設けられたネジ穴に固定部材81の軸部81bが螺合される。このとき、固定部材81の頭部81aは、受け部材80に収容される。これにより、シャフト61aは、支柱26bに固定される。なお、軸部81bの外径は挿通穴26kの内径よりも小さいので、シャフト61aが支柱26bに固定されている状態において、軸部81bは支柱26bと接触していない。
【0059】
次に、
図6及び
図7を参照して、回り止め構造を説明する。
図6は、
図5のVI-VI線に沿った断面図である。
図7は、
図5のVII-VII線に沿った断面図である。
【0060】
図6に示されるように、導電性部材61bの外周面によって画定される形状の重心G1と導電性部材61bの外周面との最大距離L3は、嵌合穴26gの内周面によって画定される形状の重心G2と嵌合穴26gの内周面との最小距離L4よりも大きい。本実施形態では、重心G1の位置と重心G2の位置とは、前後方向から見て、一致している。導電性部材61bの外周面によって画定される形状の具体的な形状は、限定されない。導電性部材61bの外周面によって画定される形状は、例えば、多角形状であってもよく、扁平形状であってもよい。
【0061】
図7に示されるように、導電性部材61bのストッパ部61gは、土台部72の左右方向における両端部と上下方向に当接している。土台部72の上記両端部の上面が、ストッパ部61gと上下方向に当接している。ストッパ部61gは、載置部71とも上下方向に当接している。具体的には、ストッパ部61gの内周面が、載置部71と上下方向に当接している。したがって、ストッパ部61gは、載置部71及び土台部72を上から覆うように、土台部72の上記両端部と上下方向に当接している。
【0062】
この構成では、導電性部材61bの軸線回りに力が加わった場合、導電性部材61bのうち重心G1から最大距離L3を有する部分が、嵌合穴26gの内周面に引っかかる。これにより、上記軸線回りに力が加わった場合でも、嵌合穴26gに対して、導電性部材61bが上記軸線回りに回転することが防止される。すなわち、導電性部材61bは、支柱26bに対して、上記軸線回りの回転が規制されている。さらに、シャフト61aの軸線回りに力が加わった場合でも、ストッパ部61gと土台部72の左右方向における両端部とが上下方向において当接しているので、シャフト61aが上記軸線回りに回転することが防止される。導電性部材61bは、上述したように、嵌合穴26g(支柱26b)に対して軸線回りに回転することが防止されているので、シャフト61aは支柱26bに対しても上記軸線回りに回転することが防止される。
【0063】
以上説明したように、パネル収納容器1では、シャフト61aの端部61cが、導電性部材61bを介して、嵌合穴26gに嵌め合わされる。導電性部材61bは、シャフト61aと支柱26bとを電気的に接続しており、導電性部材61bの抵抗値は、シャフト61aの抵抗値及び支柱26bの抵抗値よりも大きい。したがって、シャフト61aが、導電性部材61bを介さず、支柱26bに直接接続されている構成と比較して、シャフト61aから支柱26bに至る経路の抵抗値が大きくなる。これにより、シャフト61aにパネルが載置された際の静電気放電の発生を抑制することができる。一方、導電性部材61bは導電性を有するので、シャフト61aに載置されたパネルから、シャフト61a、導電性部材61b、及び支柱26bの順に電気が流れ得る。したがって、パネルを除電することができる。以上のことから、シャフト61aの抵抗値及び支柱26bの抵抗値より大きい抵抗値を有する導電性部材61bをシャフト61aと支柱26bとの間に介在させることで、静電気放電の発生を抑制しつつ、パネルを除電することができる。
【0064】
パネル収納容器1では、支柱26bには、導電性部材61bが配置された嵌合穴26gが設けられている。端部61cは、導電性部材61bを介して嵌合穴26gに嵌め合わされている。具体的には、端部61cは、導電性部材61bの嵌入部61fの内部空間に挿通されることで、嵌合穴26gに嵌め合わされる。この構成によれば、端部61cが導電性部材61bを介して嵌合穴26gに嵌め合わされた状態でシャフト61aが支柱26bに固定される。したがって、シャフト61aを支柱26bに確実に固定することができる。
【0065】
一般に、シャフトの自重による撓み量は、シャフトの断面積に比例し、シャフトの断面二次モーメントに反比例する。シャフトの断面が水平方向に拡張された場合、断面二次モーメントの増加量が断面積の増加量を上回る。パネル収納容器1では、土台部72の最大幅L2は、載置部71の最大幅L1よりも大きい。したがって、シャフト61aを鉛直方向に拡張することなく、シャフト61aの自重による撓み量を低減することができる。その結果、パネル収納容器1にパネルが搬入される際、又はパネル収納容器1からパネルが搬出される際に、パネルがシャフト61aと干渉する可能性を低減することができる。
【0066】
導電性部材61bは、土台部72の左右方向における両端部と上下方向において当接する。したがって、シャフト61aの軸線回りに力が加わったとしても、軸線回りの回転が防止された導電性部材61bのストッパ部61gとシャフト61aの土台部72とが接触するため、導電性部材61bに対して、シャフト61aの軸線回りの回転が防止される。さらに、前後方向から見て、導電性部材61bの外周面によって画定される形状の重心G1と導電性部材61bの外周面と最大距離L3は、嵌合穴26gの内周面によって画定される形状の重心G2と嵌合穴26gの内周面との最小距離L4よりも大きい。この構成によれば、導電性部材61bの軸線回りに力が加わった場合、導電性部材61bのうち重心G1から最大距離L3を有する部分が、嵌合穴26gの内周面に引っかかる。これにより、嵌合穴26gに対して、導電性部材61bが上記軸線回りに回転することが防止される。すなわち、導電性部材61bは、支柱26bに対して、軸線回りの回転が防止されている。以上のことから、嵌合穴26g(支柱26b)に対して、シャフト61aがシャフト61aの軸線回りに回転することを防止することができる。
【0067】
導電性部材61bは、樹脂材料で構成されてもよい。この場合、シャフト61aの抵抗値及び支柱26bの抵抗値より大きい抵抗値を有する導電性部材61bを簡易に実現することができる。
【0068】
パネル収納容器1では、シャフト61aから支柱26bに至る経路は、シャフト61aから、導電性部材61bを通って支柱26bに至る経路と、シャフト61aから、固定部材81及び受け部材80を順に通って支柱26bに至る経路と、を含む。固定部材81の抵抗値と受け部材80の抵抗値との合計抵抗値が導電性部材61bの抵抗値より大きいので、シャフト61aから、固定部材81及び受け部材80を順に通って支柱26bに至る経路には、電流が流れがたい。さらに、シャフト61aが支柱26bに固定されている状態において、固定部材81の軸部81bは支柱26bと接していないので、軸部81bを介して、支柱26bの内部に、電流が流れがたい。したがって、シャフト61aから導電性部材61bを通って支柱26bに至る経路に主に電流が流れるので、シャフト61aと支柱26bとの間の導電性を導電性部材61bによって調整することができる。その結果、静電気放電の発生をより確実に抑制することができる。
【0069】
固定部材81は金属材料で構成されてもよく、受け部材80は絶縁材料で構成されてもよい。この場合、固定部材81の抵抗値と受け部材80の抵抗値との合成抵抗値を導電性部材61bの抵抗値よりも大きくする構成を簡易に実現することができる。
【0070】
なお、本開示に係るパネル収納容器は、上記実施形態に限定されない。
【0071】
支柱26bには、嵌合穴26gが設けられていなくてもよい。この場合、シャフト61aは、前後方向において支柱26bとの間に導電性部材61bが介在している状態で、支柱26bに固定される。例えば、導電性部材61bは支柱26bの前面26jに接合されており、シャフト61aの端部61cが導電性部材61bに接合される。すなわち、シャフト61aは導電性部材61bを介して支柱26bに固定される。
【0072】
上記実施形態では、土台部72は、前後方向に延在する多角柱形状を有しているが、土台部72の形状は、この形状に限られない。土台部72は、シャフト61aの自重撓みを低減するために設けられるので、土台部72の形状は、シャフト61aの自重撓みを低減可能な形状であればよい。例えば、土台部72の形状は、前後方向に延在する板形状であってもよい。
【0073】
上記実施形態では、土台部72の左右方向における長さは、土台部72の下端から上方向に離れるにしたがって、小さくなっているが、土台部72の左右方向における長さは、この態様に限られない。土台部72の左右方向における長さは、土台部72の下端から上方向に離れるにしたがって、連続して減少してもよく、ステップ状に減少してもよい。
【0074】
シャフト61aは、土台部72を備えていなくてもよい。この場合、シャフト61a(載置部71)は、前後方向に延在している円柱状の部材であってもよい。シャフト61aが円柱状である場合には、シャフト61aは軸線回りに回転してもよいので、導電性部材61bは、ストッパ部61gを備えていなくてもよく、導電性部材61bの外周面及び嵌合穴26gの内周面は、前後方向から見て円形であってもよい。
【0075】
導電性部材61bの構成材料は、樹脂材料に限られない。導電性部材61bは、導電性部材61bの抵抗値がシャフト61aの抵抗値及び支柱26bの抵抗値よりも大きくなるように構成されていればよい。
【0076】
固定部材81の構成材料と受け部材80の構成材料との組み合わせは、固定部材81の抵抗値と受け部材80の抵抗値との合計抵抗値が、導電性部材61bの抵抗値以上という条件を満たす範囲で適宜変更されてもよい。例えば、固定部材81が絶縁材料で構成され、受け部材80が金属材料で構成されてもよい。固定部材81が金属材料で構成され、受け部材80が導電性部材61bと同じ材料で構成されてもよい。
【0077】
容器本体2の各部材の連結方法は、上記実施形態と異なっていてもよい。上記実施形態では、容器本体2は、複数の部品を組み合わせることによって構成されているが、一体成形品であってもよい。
【0078】
上記実施形態では、支持部62は、シャフト62a、複数の弾性体62b、及び複数の支持体65と、を備えている。この構成に代えて、支持部62は、パネルの左右方向における端部を支持するための、前後方向に延在する板状の支持体を有していてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…パネル収納容器、2…容器本体、26b…支柱、26g…嵌合穴、60…パネル支持部、61a…シャフト、61b…導電性部材、61c…端部(第1端部)、61d…端部(第2端部)、61g…ストッパ部、71…載置部、72…土台部、80…受け部材、81…固定部材。