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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-17
(45)【発行日】2025-03-26
(54)【発明の名称】パネル収納容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20250318BHJP
【FI】
H01L21/68 T
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022048371
(22)【出願日】2022-03-24
(65)【公開番号】P2023141841
(43)【公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【弁理士】
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】大貫 和正
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-241619(JP,A)
【文献】特開2019-033145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネルを第1方向に配列した状態で収納するための容器本体と、
前記容器本体の内部に設けられ、前記複数のパネルを支持するパネル支持部と、
を備え、
前記パネル支持部は、前記複数のパネルのうちの1枚のパネルを支持するための前記第1方向と交差する第2方向に延びるシャフトを備え、
前記シャフトは、前記第2方向における端部を有し、
前記容器本体は、前記シャフトを固定するための支柱を備え、
前記支柱は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において前記端部を挟持する第1部材及び第2部材を有し、
前記第1部材には、前記第3方向において前記第2部材と離れる向きに窪むとともに、前記第2方向に延びる第1溝が設けられ、
前記第2部材には、前記第3方向において前記第1部材と離れる向きに窪むとともに、前記第2方向に延びる第2溝が設けられ、
前記シャフトは、前記端部が前記第1溝及び前記第2溝に収容された状態で、前記第1部材及び前記第2部材によって前記端部が前記第3方向において挟持されることで、固定される、パネル収納容器。
【請求項2】
前記第1溝の内周面は、前記第3方向において前記第2部材に近づくにつれて前記第1方向において互いに離れるよう傾斜した第1傾斜面及び第2傾斜面を含み、
前記端部は、前記第1部材と前記第2部材とによって前記第3方向において挟持されている状態で、前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面に接触している、請求項1に記載のパネル収納容器。
【請求項3】
前記第1溝の内周面は、前記第1方向において互いに向かい合う第1側面及び第2側面を含み、
前記端部は、前記第1部材と前記第2部材とによって前記第3方向において挟持されている状態で、前記第1側面及び前記第2側面に接触している、請求項1又は請求項2に記載のパネル収納容器。
【請求項4】
前記第1溝の内周面は、前記第3方向において前記第2部材から最も離れている底部を含み、
前記端部は、前記第1部材と前記第2部材とによって前記第3方向において挟持されている状態で、前記底部に接触している、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のパネル収納容器。
【請求項5】
前記第1溝は、前記端部に沿った形状を有する、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のパネル収納容器。
【請求項6】
前記第1部材は、前記第1部材と前記第2部材とによって前記端部が前記第3方向において挟持されている状態で、前記第2部材と離間している、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のパネル収納容器。
【請求項7】
前記第1部材は、前記第1溝の内周面から前記第2方向と交差する方向に突出する凸部を有し、
前記端部には、前記凸部が収容される凹部が設けられる、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のパネル収納容器。
【請求項8】
前記第1部材は、前記第1溝が設けられた第1導電性部材と、前記第1導電性部材を保持する第1本体部と、を有し、
前記第2部材は、前記第2溝が設けられた第2導電性部材と、前記第2導電性部材を保持する第2本体部と、を有し、
前記第1導電性部材の抵抗値は、前記シャフトの抵抗値、及び前記第1本体部の抵抗値よりも大きく、
前記第2導電性部材の抵抗値は、前記シャフトの抵抗値、及び前記第2本体部の抵抗値よりも大きい、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載のパネル収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パネル収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル用ガラス基板等のパネルを扱う製造工程において、矩形形状のパネルを製造装置から別工程の製造装置に移送する際、及びパネルを一時的に保管する際に、複数のパネルを収納するパネル収納容器が用いられる。例えば、特許文献1には、複数のパネルを収納する容器本体と、パネルを支持するパネル支持手段と、を備えるパネル収納容器が記載されている。上記パネル支持手段は、パネルの中央部を支持する中央サポート部材を含み、中央サポート部材の基端部が支柱に設けられた丸穴状の嵌合凹部に嵌合されることで、中央サポート部材は支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-31297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のパネル収納容器では、寸法公差等に起因して、基端部と嵌合凹部との間に間隙が生じることがある。この間隙が大きいと、ボルト等を用いて中央サポート部材を支柱に固定する際に、中央サポート部材が傾くおそれがある。例えば、中央サポート部材が上下方向に傾くと、上下方向において互いに隣り合う2つの中央サポート部材の間隔が、設計値よりも小さくなる。これらの2つの中央サポート部材の間にパネルを搬入する際、又はこれらの2つの中央サポート部材の間からパネルを搬出する際に、パネルが中央サポート部材と干渉し、パネルが破損するおそれがある。
【0005】
本開示は、パネルの破損を抑制可能なパネル収納容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るパネル収納容器は、複数のパネルを第1方向に配列した状態で収納するための容器本体と、容器本体の内部に設けられ、複数のパネルを支持するパネル支持部と、を備える。パネル支持部は、複数のパネルのうちの1枚のパネルを支持するための第1方向と交差する第2方向に延びるシャフトを備える。シャフトは、第2方向における端部を有する。容器本体は、シャフトを固定するための支柱を備える。支柱は、第1方向及び第2方向と交差する第3方向において端部を挟持する第1部材及び第2部材を有する。第1部材には、第3方向において第2部材と離れる向きに窪むとともに、第2方向に延びる第1溝が設けられる。第2部材には、第3方向において第1部材と離れる向きに窪むとともに、第2方向に延びる第2溝が設けられる。シャフトは、端部が第1溝及び第2溝に収容された状態で、第1部材及び第2部材によって端部が第3方向において挟持されることで、固定される。
【0007】
このパネル収納容器では、端部が第1溝及び第2溝に収容された状態で、第1部材及び第2部材によって、端部が第3方向において挟持されることで、シャフトは固定される。第1部材と第2部材とによって端部を挟持する際に、第1部材が第3方向において端部を押圧する力と第2部材が第3方向において端部を押圧する力とが、端部全体にわたって均一でなかったとしても、端部は第3方向に傾き得るものの、端部が第1方向に傾くことは抑制される。したがって、シャフトが第1方向において傾くことを抑制することができる。その結果、このパネル収納容器にパネルを搬送する際、又はこのパネル収納容器からパネルを搬出する際に、パネルがシャフトと干渉する可能性を低減でき、パネルの破損を抑制することができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、第1溝の内周面は、第3方向において第2部材に近づくにつれて第1方向において互いに離れるよう傾斜した第1傾斜面及び第2傾斜面を含んでもよく、端部は、第1部材と第2部材とによって第3方向において挟持されている状態で、第1傾斜面及び第2傾斜面に接触していてもよい。第1部材と第2部材とによって端部を第3方向において挟持する際に、第1部材は、第3方向において端部を押圧する。このとき、端部は、第1傾斜面及び第2傾斜面に接触していることから、第1傾斜面から第1傾斜面に垂直な方向に力を受け、第2傾斜面から第2傾斜面に垂直な方向に力を受ける。第1傾斜面及び第2傾斜面は、第3方向において第2部材に近づくにつれて第1方向において互いに離れるよう傾斜しているので、第1傾斜面から端部が受ける力の第1方向における成分と、第2傾斜面から端部が受ける力の第1方向における成分とは、互いに反対方向となる。したがって、端部の第1方向における移動が規制されるので、端部が第1方向において傾くことを抑制することができ、シャフトが第1方向において傾くことを抑制することができる。その結果、パネルの破損を抑制することができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、第1溝の内周面は、第1方向において互いに向かい合う第1側面及び第2側面を含んでもよく、端部は、第1部材と第2部材とによって第3方向において挟持されている状態で、第1側面及び第2側面に接触していてもよい。この場合、端部は、第1方向において第1側面と第2側面とによって挟まれている。したがって、端部の第1方向における移動が規制されるので、端部が第1方向において傾くことを抑制することができ、シャフトが第1方向において傾くことを抑制することができる。その結果、パネルの破損を抑制することができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1溝の内周面は、第3方向において第2部材から最も離れている底部を含んでもよく、端部は、第1部材と第2部材とによって第3方向において挟持されている状態で、底部に接触していてもよい。この場合、第1部材が第3方向において端部を押圧する力が、ほとんど分解されることなく、底部から端部に作用する。このため、第1方向における最大静止摩擦力が大きくなるので、端部が第1方向に動くことが抑制される。したがって、端部が第1方向において傾くことを抑制することができ、シャフトが第1方向において傾くことを抑制することができる。その結果、パネルの破損を抑制することができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、第1溝は、端部に沿った形状を有してもよい。この場合、端部が、第1部材と第2部材とによって第3方向において挟持されている状態において、第1溝の内周面と端部の外周面との間隙を小さくすることができる。これにより、端部が第1方向において傾くことを抑制することができ、シャフトが第1方向において傾くことを抑制することができる。その結果、パネルの破損を抑制することができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1部材は、第1部材と第2部材とによって端部が第3方向において挟持されている状態で、第2部材と離間していてもよい。例えば、第1部材と第2部材とによって端部が第3方向において挟持されている状態で、第1部材と第2部材とが第3方向において接触している場合、第1部材と第2部材とを第3方向においてさらに近づけることはできない。このような場合、端部には、第1部材と第2部材とによる挟持力が十分に作用しないことがある。上記構成によれば、第1部材と第2部材とが離間しているので、第3方向において第1部材と第2部材とが干渉することなく、端部に十分な挟持力を加えることができる。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1部材は、第1溝の内周面から第2方向と交差する方向に突出する凸部を有してもよく、端部には、凸部が収容される凹部が設けられてもよい。この構成によれば、第2方向における力がシャフトに加わったとしても、凸部が凹部と干渉することにより、シャフトが第2方向において移動することが規制される。したがって、シャフトが支柱から脱落する可能性を低減することができる。
【0014】
いくつかの実施形態において、第1部材は、第1溝が設けられた第1導電性部材と、第1導電性部材を保持する第1本体部と、を有してもよい。第2部材は、第2溝が設けられた第2導電性部材と、第2導電性部材を保持する第2本体部と、を有してもよい。第1導電性部材の抵抗値は、シャフトの抵抗値、及び第1本体部の抵抗値よりも大きくてもよい。第2導電性部材の抵抗値は、シャフトの抵抗値、及び第2本体部の抵抗値よりも大きくてもよい。この場合、シャフトの端部は、第1導電性部材に設けられた第1溝及び第2導電性部材に設けられた第2溝に収容された状態で、第1部材及び第2部材によって第3方向において挟持される。つまり、シャフトが第1導電性部材及び第2導電性部材を介して支柱に固定される。したがって、シャフトが第1導電性部材及び第2導電性部材を介さずに支柱に直接固定されている構成と比較して、シャフトから第1本体部及び第2本体部に至る経路の抵抗値が大きくなる。これにより、帯電しているパネルがシャフトに載置された際の静電気放電の発生を抑制することができる。一方、第1導電性部材及び第2導電性部材は導電性を有するので、シャフトに載置されたパネルから、シャフト、第1導電性部材、及び第1本体部の順、又はシャフト、第2導電性部材、及び第2本体部の順に電流が流れ得る。したがって、パネルを除電することができる。以上のことから、静電気放電の発生を抑制しつつ、パネルを除電することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、パネルの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係るパネル収納容器の分解斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図3は、シャフトが支柱に固定される態様を説明するための図である。
図4図4は、図2に示される支持部及び支柱の分解斜視図である。
図5図5は、図3のV-V線に沿った断面図である。
図6図6の(a)、図6の(b)、及び図6の(c)は、支柱の変形例を示す図である。
図7図7は、支柱の別の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。各図には、XYZ座標系が示される。Y軸方向は、X軸方向及びZ軸方向と交差(ここでは、直交)する方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向と交差(ここでは、直交)する方向である。一例として、X軸方向は、左右方向(幅方向;第3方向)であり、Y軸方向は、前後方向(奥行方向;第2方向)であり、Z軸方向は、上下方向(高さ方向;第1方向)である。説明の便宜上、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、及び「右」の用語が用いられるが、これらの方向に限定されない。
【0018】
図1を参照して、一実施形態に係るパネル収納容器を説明する。図1は、一実施形態に係るパネル収納容器の分解斜視図である。図1に示されるパネル収納容器1は、複数のパネルを収納するための容器である。パネル収納容器1は、例えば、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格に準拠している。パネルの例としては、液晶パネル用のガラス基板、及び電子部品を搭載したパネルが挙げられる。パネルは、矩形形状を有する。パネルのサイズの例としては、510mm×515mm及び600mm×600mmが挙げられる。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数は、任意に定められており、例えば、6枚でもよく、12枚でもよく、16枚でもよく、24枚でもよい。
【0019】
パネル収納容器1は、例えば、電子部品アセンブリを製造する製造装置に使用される。電子部品アセンブリは、例えば、ガラス板及びステンレス板といった大型のキャリアパネル上に多数の電子部品を搭載する工程、これらの電子部品をエポキシ樹脂等で封止する工程、封止された電子部品をパネル形態でキャリアパネルから剥がす工程、及びパネル形態の電子部品を個別に切り出す工程等を経て製造される。パネル収納容器1は、これらの工程間でパネルを移送するために用いられる。
【0020】
パネル収納容器1は、容器本体2と、蓋体3と、を備えている。
【0021】
容器本体2は、正面(前面)が開放された直方体形状の容器である。言い換えると、容器本体2は、前面に開口2aが設けられたフロントオープンボックス型の容器である。容器本体2は、複数のパネルを収納する。具体的には、容器本体2は、複数のパネルを上下方向に配列した状態で収納する。開口2aを介してパネルが容器本体2に出し入れされる。容器本体2の詳細は後述する。
【0022】
蓋体3は、容器本体2の開口2aを閉塞するための部材である。蓋体3は、ガスケット等の封止部材を介して容器本体2の開口2aを気密に閉塞する。蓋体3は、開口2aを画定するフランジ25に着脱自在に取り付けられる。蓋体3は、蓋本体31と、施錠機構32と、を備えている。蓋本体31は、蓋体3の本体部分である。蓋本体31は、矩形状の板材である。蓋本体31は、例えば、アルミニウム及びマグネシウム合金等の金属材料で構成されている。蓋本体31は、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂で構成されてもよい。蓋本体31の前面には、鍵穴33が設けられている。鍵穴33には、不図示の鍵が挿入される。
【0023】
施錠機構32は、鍵穴33に挿入された鍵が操作されることによって、蓋体3を施錠又は解錠する。施錠機構32は、不図示のラッチを備えている。蓋体3がフランジ25に取り付けられた状態で、鍵の操作によりラッチがフランジ25に設けられた施錠穴25hに嵌入されることによって蓋体3が施錠される。蓋体3が施錠されている状態で、鍵の操作によりラッチが施錠穴25hから引き抜かれることよって蓋体3が解錠される。
【0024】
容器本体2及び蓋体3は、金属材料又は樹脂材料で成形される複数の部品を組み合わせることによって構成される。樹脂材料の成形材料に含まれる樹脂の例としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、液晶ポリマー、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体が挙げられる。樹脂材料の成形材料に含まれる樹脂として、これらのアロイが用いられてもよい。
【0025】
これらの樹脂には、導電物質、及び各種帯電防止剤が添加されてもよい。導電物質は、例えば、カーボン繊維、カーボンパウダー、カーボンナノチューブ、又は導電性ポリマー等からなる。帯電防止剤としては、アニオン系、カチオン系、及び非イオン系等の帯電防止剤が用いられ得る。ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、オキザリックアシッドアニリド系、及びヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が添加されてもよい。剛性を向上させるガラス繊維又は炭素繊維等も選択的に添加されてもよい。
【0026】
次に、容器本体2を詳細に説明する。容器本体2は、天板21と、底板22と、一対の側壁23と、背面壁24と、フランジ25と、枠体26と、台座部27と、サイドプレート28と、を備えている。
【0027】
天板21、底板22、側壁23、及び背面壁24は、矩形状の板材である。天板21と底板22とは、上下方向において互いに向かい合っており、略平行に配置されている。一対の側壁23は、左右方向において互いに向かい合っており、略平行に配置されている。背面壁24は、天板21の後端と底板22の後端とを連結するとともに、一対の側壁23の後端を連結している。天板21、底板22、一対の側壁23、及び背面壁24によって、収容空間20が画定される。
【0028】
天板21、底板22、及び側壁23は、例えば、アルミニウム及びステンレス等の金属材料によって構成されている。背面壁24は、例えば、容器本体2の外部から収容空間20を目視可能な透明の樹脂材料によって構成されている。背面壁24の一部が透明の樹脂材料で構成されてもよい。透明な樹脂材料の例としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、及びシクロオレフィンポリマーが挙げられる。
【0029】
フランジ25は、矩形状の枠体であって、天板21の前端、底板22の前端、及び一対の側壁23の前端にわたって設けられている。フランジ25によって、開口2aが画定される。フランジ25は、例えば、上述の樹脂材料又はアルミニウム及びステンレス等の金属材料によって構成されている。フランジ25の上枠部及び下枠部のそれぞれには、左右方向に離間して配列された2つの施錠穴25hが設けられている。上枠部の施錠穴25hと下枠部の施錠穴25hとは上下方向において互いに向かい合う位置に設けられている。
【0030】
枠体26は、天板21、底板22、一対の側壁23、及び背面壁24を固定するために用いられる。枠体26のうち後述する導電性部材66c及び導電性部材67cを除いた部分は、例えば、アルミニウム及びステンレス等の金属材料によって構成されている。枠体26は、背面壁24の前面に設けられる。枠体26は、枠部26a(図2参照)と、支柱26b(図2参照)と、一対の支柱26c(図2参照)と、を有している。枠部26aは、矩形状の部材であって、背面壁24の周縁に沿って設けられている。
【0031】
支柱26b及び一対の支柱26cは、上下方向に延びる柱状部材である。一方の支柱26c、支柱26b、及び他方の支柱26cは、左右方向においてその順に配列され、互いに略平行に配置されている。支柱26b及び一対の支柱26cは、枠部26aの上枠部から下枠部まで延びている。支柱26bは、枠体26の左右方向における中心に設けられ、一対の支柱26cは、枠体26の左右方向における両端近傍に設けられる。
【0032】
支柱26bは、後述するシャフト61aを固定するための部材である。支柱26bの具体的な構成については、後述する。支柱26cは、後述するシャフト62aを固定するための部材である。支柱26cには、シャフト62aを取り付けるための複数の嵌合穴が設けられている。これらの嵌合穴は、支柱26cの前面から後方に向けて窪んでいる。
【0033】
台座部27は、容器本体2のベースとなる部分である。台座部27は、例えば、アルミニウム及びステンレス等の金属材料によって構成されている。台座部27は、底板22の下面に設けられる。台座部27は、複数の柱状の支持部材を組み合わせることによって構成されている。
【0034】
サイドプレート28は、後述の支持体65を取り付けるための部材である。サイドプレート28は、上下方向に延びる板状部材である。サイドプレート28は、例えば、アルミニウム及びステンレス等の金属材料によって構成されている。サイドプレート28は、側壁23の外面に設けられる。本実施形態では、各側壁23に2つのサイドプレート28が設けられる。2つのサイドプレート28は、前後方向に配列され、互いに略平行に配置されている。1つのサイドプレート28は、側壁23の前後方向における中心付近に設けられ、もう1つのサイドプレート28は、側壁23の前後方向における前端近傍に設けられる。
【0035】
容器本体2の角部には、収容空間20へのパーティクル(粒子)の侵入を防止するためのカバー部材が設けられている。
【0036】
次に、図2を参照して、収容空間20内の構成を説明する。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図2に示されるように、パネル収納容器1は、パネル支持部60を更に備えている。パネル支持部60は、複数のパネルを支持するための部分である。パネル支持部60は、容器本体2の内部(収容空間20)に設けられている。パネル支持部60は、複数の支持部61と、複数の支持部62と、複数のストッパ63と、複数のストッパ64と、を備えている。
【0037】
支持部61、支持部62、ストッパ63、及びストッパ64の数は、パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数に応じて変更される。本実施形態では、パネル支持部60は、1枚のパネル当たり、1つの支持部61と、2つの支持部62と、2つのストッパ63と、2つのストッパ64と、を備えている。言い換えると、1つの支持部61と、2つの支持部62と、2つのストッパ63と、2つのストッパ64とによって、1枚のパネルを収納する収納段が形成される。
【0038】
支持部61は、パネルの左右方向における中央部を支持するための部分である。支持部61は、シャフト61aを有する。シャフト61aは、前後方向に延びる柱状(例えば、円柱状)の部材である。シャフト61aは、1枚のパネルを支持するために用いられる。シャフト61aは、シャフト61aの延在方向(前後方向)における両端部である端部61b、及び端部61cを有している。シャフト61aは、例えば、曲げ剛性の高い材料によって構成されている。シャフト61aの構成材料の例として、ステンレス及びアルミニウム等の金属、並びにカーボン繊維強化プラスチックが挙げられる。シャフト61aの端部61bは、支柱26bに固定される。シャフト61aの固定態様については、後述する。
【0039】
端部61bには、凹部61d(図3及び図4参照)が設けられている。凹部61dは、後述する凸部66jを収容可能な形状を有する。本実施形態では、凹部61dは、円柱の一部が欠落した形状を有する。
【0040】
支持部62は、パネルの左右方向の両端部を支持するための部分である。支持部62は、シャフト62aと、複数の弾性体62bと、複数の支持体65と、を有している。シャフト62aは、前後方向に延びる柱状(例えば、円柱状)の部材である。シャフト62aは、1枚のパネルを支持するために用いられる。シャフト62aは、シャフト62aの延在方向(前後方向)における両端部である端部62c及び端部62dを有している。シャフト62aの端部62cが支柱26cの嵌合穴に嵌入され、ネジによって支柱26cに固定される。
【0041】
シャフト62aは、例えば、曲げ剛性の高い材料によって構成されている。シャフト62aの構成材料の例として、ステンレス及びアルミニウム等の金属、並びにカーボン繊維強化プラスチックが挙げられる。シャフト62aの前後方向における長さは、パネルの前後方向における長さよりも僅かに長く、シャフト61aの前後方向における長さよりも長い。シャフト61aと一対のシャフト62aとは、左右方向に配列されている。一対のシャフト62aの間に、シャフト61aが配置されている。
【0042】
弾性体62bは、シャフト62aの軸線回りにシャフト62aを囲むように設けられた環状(例えば、円環状)の部材である。弾性体62bは、シャフト62aの表面に沿って設けられる。弾性体62bは、パネルの滑りを抑え、パネルの位置決め精度を向上させるために設けられる。パネルの滑り防止の観点から、弾性体62bは、シャフト62aよりも高い摩擦性(摩擦力)を有してもよい。パネルの損傷防止の観点から、弾性体62bは、シャフト62aよりも高い弾力性(クッション性)を有してもよい。弾性体62bは、例えば、ゴム材によって構成される。ゴム材の例としては、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、シリコーンゴム、及びフッ素ゴムが挙げられる。複数の弾性体62bは、シャフト62aの延在方向に一定の間隔で配列されている。
【0043】
支持体65は、シャフト62aを保持(支持)するとともに、パネルの左右方向における端部を支持するための部材である。支持体65の先端部分には、支持体65を前後方向に貫通する挿通孔が設けられており、シャフト62aが挿通孔を挿通している。支持体65は、支持体65の基端から先端に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面を有している。
【0044】
支持体65の基端部分が側壁23の内面に当接され、ノックピン(不図示)によってサイドプレート28、側壁23、及び支持体65が位置決めされる。この状態で、サイドプレート28の外側からサイドプレート28に設けられた挿通孔にネジが挿通され、支持体65の基端部分に設けられたネジ穴にネジが螺合される。これにより、支持体65とサイドプレート28とによって側壁23を挟み込んだ状態で、支持体65がサイドプレート28に固定される。
【0045】
ストッパ63は、パネルの飛び出しを防止するとともにパネルの前端の位置を決めるための部材である。ストッパ63は、例えば、上述の樹脂材料で構成されている。ストッパ63は、シャフト62aの端部62dに設けられている。例えば、シャフト62aの端部62dをストッパ63に設けられた取付穴に嵌入することによって、ストッパ63がシャフト62aに取り付けられる。ストッパ63は、弾性体62bの外径よりも大きい外径を有する円板状の係止片63aを有している。係止片63aは、外周面から中心に向かうにつれて後方に傾斜する傾斜面を有している。
【0046】
ストッパ64は、パネルの後端の位置を決めるための部材である。ストッパ64は、例えば、上述の樹脂材料で構成されている。ストッパ64は、シャフト62aの端部62cに設けられている。ストッパ64は、ブロック状の形状を有している。ストッパ64には、前後方向にシャフト62aを挿通するための挿通孔が設けられている。ストッパ64の挿通孔にシャフト62aが挿通された状態で、ストッパ64の後面が支柱26cの前面に当接され、ネジによってストッパ64が支柱26cに固定される。ストッパ64は、上面から下方に向かうにつれて前方に傾斜する傾斜面を有している。
【0047】
ストッパ63、ストッパ64、及び支持体65によって、パネルが載置される載置位置が規定される。具体的には、ストッパ63,64によってパネルの前後方向における載置位置が規定され、左右に設けられた4つの支持体65によってパネルの左右方向における載置位置が規定される。例えば、ロボットによってパネルが収容空間20に搬入され、いずれかの収納段にパネルが載置される。このとき、誤差等によってパネルの位置が僅かにずれることがある。例えば、パネルの前端がストッパ63の係止片63aの傾斜面上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって当該傾斜面に沿って載置位置に誘導される。同様に、パネルの後端がストッパ64の傾斜面上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって当該傾斜面に沿って載置位置に誘導される。同様に、パネルの側端が支持体65の傾斜面上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって当該傾斜面に沿って載置位置に誘導される。
【0048】
次に、図3~5を参照して、シャフト61aの固定態様を説明する。図3は、シャフトが支柱に固定される態様を説明するための図である。図4は、図2に示される支持部及び支柱の分解斜視図である。図5は、図3のV-V線に沿った断面図である。
【0049】
図3及び図4に示されるように、支柱26bは、リアブロック66(第1部材)と、クランピングプレート67(第2部材)と、を備えている。リアブロック66、及びクランピングプレート67は、シャフト61aの端部61bを左右方向において挟持するための部材である。
【0050】
リアブロック66は、上下方向に延びる部材である。リアブロック66は、枠部26aの上枠部から下枠部まで延びている。リアブロック66は、本体部66a(第1本体部)と、複数の導電性部材66c(第1導電性部材)とを備えている。本体部66aの左右方向における側面のうち、クランピングプレート67と向かい合う側面66sには、複数の凹部66bが設けられている。本体部66aは、凹部66bに導電性部材66cを嵌合させることによって、導電性部材66cを保持する。凹部66b、及び導電性部材66cの数は、パネル収納容器1が備えるシャフト61aの本数に応じて変更される。
【0051】
凹部66bは、導電性部材66cを保持する部分である。凹部66bは、前後方向に延びる溝であって、本体部66aを前後方向に貫通している。凹部66bは、導電性部材66cを嵌合可能な形状であって、クランピングプレート67に向かって開放されたU字状の形状を有する。
【0052】
導電性部材66cは、シャフト61aと本体部66aとを電気的に接続する部材である。導電性部材66cは、凹部66bに嵌め合わされ、凹部66bの全長にわたって前後方向に延びている。導電性部材66cは、例えば、導電性を有する樹脂材料で構成される。このような樹脂材料は、カーボン等の導電性物質を含んでいる。導電性部材66cの抵抗値は、シャフト61aの抵抗値及び本体部66aの抵抗値よりも大きい。導電性部材66cの抵抗値は、例えば、10~10Ωである。
【0053】
導電性部材66cには、溝66d(第1溝)が設けられている。溝66dは、シャフト61aを収容するために用いられる。溝66dは、左右方向においてクランピングプレート67と離れる向きに窪んでいる。溝66dは、導電性部材66cの前端から、導電性部材66cの後端に掛けて、前後方向に延びている。図5に示されるように、溝66dは、シャフト61aの端部61bの外周面に沿った形状を有する。具体的には、溝66dは、前後方向から見て、U字状の形状を有する。溝66dの上下方向における長さは、左右方向においてクランピングプレート67から離れるにつれて短くなる。溝66dの内周面は、側面66e(第1側面)、側面66f(第2側面)、傾斜面66g(第1傾斜面)、傾斜面66h(第2傾斜面)、及び底面66i(底部)を含む。
【0054】
側面66eと側面66fとは、上下方向において互いに向かい合っている。側面66eと側面66fとは、互いに略平行であり、上下方向と実質的に垂直な面である。傾斜面66g及び傾斜面66hは、クランピングプレート67に近づくにつれて上下方向において互いに離れるように傾斜している。底面66iは、溝66dの内周面のうち、左右方向においてクランピングプレート67から最も離れている。底面66iは、左右方向と実質的に垂直な面である。側面66e、傾斜面66g、底面66i、傾斜面66h、及び側面66fは、その順に連結されている。端部61bは、リアブロック66とクランピングプレート67とによって左右方向において挟持されている状態で、側面66e、側面66f、傾斜面66g、傾斜面66h、及び底面66iと接触している。
【0055】
導電性部材66cは、溝66dの内周面に設けられた凸部66jを有する。凸部66jは、シャフト61aの前後方向における移動を規制するための部分である。凸部66jは、溝66dの内周面から前後方向と交差する方向に突出している。本実施形態では、凸部66jは、導電性部材66cの前後方向における中央付近に設けられ、底面66iからクランピングプレート67に向かって突出している。凸部66jは、凹部61dに嵌合可能な形状を有する。
【0056】
導電性部材66cは、その前後両端に設けられたフランジ66tを有する。フランジ66tは、本体部66aから導電性部材66cが脱落することを防止するための部分である。上下方向に隣り合う2つの溝66dの間に位置する側面66sには、ボルト等の締結部材が螺合可能なネジ穴が設けられている。
【0057】
クランピングプレート67は、上下方向に延びる部材である。クランピングプレート67は、枠部26aの上枠部から下枠部まで延びている。クランピングプレート67は、本体部67a(第2本体部)と、複数の導電性部材67c(第2導電性部材)とを備えている。本体部67aの左右方向における側面のうち、リアブロック66と向かい合う側面67sには、複数の凹部67bが設けられている。本体部67aは、凹部67bに導電性部材67cを嵌合させることによって、導電性部材67cを保持する。凹部67bは、左右方向において凹部66bと向かい合っており、凹部67bの数は、凹部66bの数と等しい。導電性部材67cの数は、導電性部材66cの数と等しい。
【0058】
凹部67bは、導電性部材67cを保持する部分である。凹部67bは、前後方向に延びる溝であって、本体部67aを前後方向に貫通している。凹部67bは、導電性部材67cを嵌合可能な形状であって、リアブロック66に向かって開放されたU字状の形状を有する。
【0059】
導電性部材67cは、シャフト61aと本体部67aとを電気的に接続する部材である。導電性部材67cは、凹部67bに嵌め合わされ、凹部67bの全長にわたって前後方向に延びている。導電性部材67cは、例えば、導電性を有する樹脂材料で構成される。このような樹脂材料は、カーボン等の導電性物質を含んでいる。導電性部材67cの抵抗値は、シャフト61aの抵抗値及び本体部67aの抵抗値よりも大きい。導電性部材67cの抵抗値は、例えば、10~10Ωである。導電性部材67cの構成材料は、導電性部材66cの構成材料と同じでもよい。
【0060】
導電性部材67cには、溝67d(第2溝)が設けられている。溝67dは、シャフト61aを収容するために用いられる。溝67dは、左右方向においてリアブロック66と離れる向きに窪んでいる。溝67dは、導電性部材67cの前端から、導電性部材67cの後端に掛けて、前後方向に延びている。溝67dは、シャフト61aの端部61bの外周面に沿った形状を有する。具体的には、溝67dは、前後方向から見て、U字状(円弧状)の形状を有する。溝67dの上下方向における長さは、左右方向においてリアブロック66から離れるにつれて短くなる。溝66dの深さ(左右方向における側面66sから底面66iまでの距離)と、溝67dの深さ(左右方向における側面67sから溝67dの底部までの距離)との合計は、端部61bの左右方向における長さ(直径)よりも小さい。端部61bは、リアブロック66とクランピングプレート67とによって左右方向において挟持されている状態で、溝67dの内周面全体と接触している。
【0061】
導電性部材67cは、その前後両端に設けられたフランジ67tを有する。フランジ67tは、本体部67aから導電性部材67cが脱落することを防止するための部分である。上下方向に隣り合う2つの溝67dの間に位置する側面67sに、左右方向においてクランピングプレート67を貫通する貫通孔が設けられている。
【0062】
各導電性部材66cが本体部66aの凹部66bに嵌め合わされ、各導電性部材67cが本体部67aの凹部67bに嵌め合わされる。そして、溝66dと溝67dとが左右方向において互いに向かい合うようにリアブロック66及びクランピングプレート67が配置される。そして、凸部66jが凹部61dに収容されるとともに、シャフト61aの端部61bが溝66d及び溝67dに収容されるように、端部61bがリアブロック66とクランピングプレート67との間に配置される。このとき、リアブロック66とクランピングプレート67とは左右方向において離間している。この状態で、クランピングプレート67の貫通孔から、ボルト等の締結部材が挿通され、リアブロック66のネジ穴に螺合される。これにより、端部61bには、リアブロック66とクランピングプレート67とによって左右方向の挟持力が作用し、端部61bの外周面が溝66dの内周面及び溝67dの内周面に押し当てられる。具体的には、端部61bは、底面66i、傾斜面66g、及び傾斜面66hに押し当てられる。このとき、端部61bは、側面66e及び側面66fにも接触している。このようにして、シャフト61aは支柱26bに固定される。
【0063】
次に、パネル収納容器1の作用効果を説明する。上述のように、ロボットによってパネルが収容空間20に搬入され、いずれかの収納段にパネルが載置される。このとき、載置位置(シャフト61a及び一対のシャフト62a)の上方にパネルが搬入され、パネルが載置位置に降ろされる。したがって、シャフト61aが上下方向において傾くことによって、端部61cが設計上の高さよりも低くなっていた場合には、シャフト61aの下の収納段におけるパネルの搬入時にロボット又はパネルと、端部61cとが干渉し、パネルが破損するおそれがある。同様に、パネル収納容器1に収納されているパネルがロボットによって搬出される場合、載置位置に載置されているパネルがロボットによって上方に持ち上げられ、その後、収容空間20からパネル収納容器1の外部に搬出される。したがって、シャフト61aが上下方向において傾くことによって、端部61cが設計上の高さよりも低くなっていた場合には、シャフト61aの下の収納段におけるパネルの搬出時にロボット又はパネルと、端部61cとが干渉し、パネルが破損するおそれがある。
【0064】
一方で、パネル収納容器1では、端部61bが溝66d及び溝67dに収容された状態で、リアブロック66及びクランピングプレート67によって端部61bが左右方向において挟持されることで、シャフト61aは固定される。例えば、リアブロック66とクランピングプレート67とによって端部61bを挟持する際に、リアブロック66が端部61bを押圧する力と、クランピングプレート67が端部61bを押圧する力とが、端部61b全体にわたって均一でないことがある。このような場合、左右方向において端部61bが傾く可能性があるものの、端部61bが上下方向に傾くことは抑制される。したがって、シャフト61aが上下方向において傾くことを抑制することができる。その結果、パネル収納容器1にパネルを搬送する際、又はパネル収納容器1からパネルを搬出する際に、パネルがシャフト61aと干渉する可能性を低減でき、パネルの破損を抑制することができる。
【0065】
溝66dは、端部61bの外周面に沿った形状を有している。したがって、端部61bが、リアブロック66とクランピングプレート67とによって左右方向において挟持されている状態において、溝66dの内周面と端部61bの外周面との間隙を小さくすることができる。これにより、端部61bが上下方向において傾くことを抑制することができ、シャフト61aが上下方向において傾くことを抑制することができる。その結果、パネルの破損を抑制することができる。
【0066】
具体的には、端部61bは、リアブロック66とクランピングプレート67とによって左右方向において挟持されている状態で、側面66e、側面66f、傾斜面66g、傾斜面66h、及び底面66iと接触している。ここで、リアブロック66とクランピングプレート67とが端部61bを左右方向において挟持する際に、リアブロック66は、左右方向において端部61bを押圧する。このとき、端部61bは、傾斜面66g及び傾斜面66hに接触していることから、傾斜面66gから傾斜面66gに垂直な方向に力を受け、傾斜面66hから傾斜面66hに垂直な方向に力を受ける。傾斜面66g及び傾斜面66hは、左右方向においてクランピングプレート67に近づくにつれて上下方向において離れるよう傾斜しているので、傾斜面66gから端部61bが受ける力の上下方向における成分と、傾斜面66hから端部61bが受ける力の上下方向における成分とは、互いに反対方向となる。したがって、端部61bの上下方向における移動が規制されるので、端部61bが上下方向において傾くことを抑制することができ、シャフト61aが上下方向において傾くことを抑制することができる。その結果、パネルの破損を抑制することができる。
【0067】
上述のように、端部61bは、リアブロック66とクランピングプレート67とによって左右方向において挟持されている状態で、側面66e及び側面66fに接触している。つまり、端部61bは、上下方向において側面66eと側面66fとによって挟まれている。したがって、端部61bの上下方向における移動が規制されるので、端部61bが上下方向において傾くことを抑制することができ、シャフト61aが上下方向において傾くことを抑制することができる。その結果、パネルの破損を抑制することができる。
【0068】
上述のように、端部61bは、リアブロック66とクランピングプレート67とによって左右方向において挟持されている状態で、底面66iに接触している。この構成によれば、リアブロック66が左右方向において端部61bを押圧する力が、ほとんど分解されることなく、底面66iから端部61bに作用する。このため、底面66iから端部61bに作用する上下方向における最大静止摩擦力が大きくなるので、端部61bが上下方向に動くことが抑制される。したがって、端部61bが上下方向において傾くことを抑制することができ、シャフト61aが上下方向において傾くことを抑制することができる。その結果、パネルの破損を抑制することができる。
【0069】
例えば、リアブロック66とクランピングプレート67とによって端部61bが左右方向において挟持されている状態で、リアブロック66とクランピングプレート67とが左右方向において接触している場合、リアブロック66とクランピングプレート67とを左右方向においてさらに近づけることはできない。このような場合、端部61bには、リアブロック66とクランピングプレート67とによる挟持力が十分に作用しないことがある。一方、パネル収納容器1では、リアブロック66とクランピングプレート67とが離間しているので、左右方向においてリアブロック66とクランピングプレート67とが干渉することなく、端部61bに十分な挟持力を加えることができる。
【0070】
端部61bがリアブロック66とクランピングプレート67とによって左右方向において挟持されている状態で、凸部66jが凹部61dに収容されている。このため、前後方向における力がシャフト61aに加わったとしても、凸部66jが凹部61dと干渉することにより、シャフト61aが前後方向において移動することが規制される。したがって、シャフト61aが支柱26bから脱落する可能性を低減することができる。
【0071】
シャフト61a及び本体部66a,67aは導電性を有する材料で構成されている。本体部66a,67aは、容器本体2の底面に設けられた位置決め部を介して、外部装置のアースに電気的に接続されている。例えば、シャフト61aが導電性部材66c,67cを介さずに本体部66a,67aに直接固定されていた場合、パネル収納容器に収納されるパネルが帯電していたとすると、該パネルとシャフトとが接触した際に、静電気放電(ESD)が発生するおそれがある。一方で、静電気放電の発生を抑制するためにシャフト61a及び本体部66a,67aを導電性の低い材料で構成した場合、パネルが除電されないおそれがある。
【0072】
これに対し、パネル収納容器1では、端部61bは、導電性部材66cに設けられた溝66d及び導電性部材67cに設けられた溝67dに収容された状態で、リアブロック66及びクランピングプレート67によって左右方向において挟持される。つまり、シャフト61aが導電性部材66c,67cを介して本体部66a,67aに固定される。したがって、シャフト61aが導電性部材66c及び導電性部材67cを介さずに本体部66a,67aに直接固定されている構成と比較して、シャフト61aから本体部66a及び本体部67aに至る経路の抵抗値が大きくなる。これにより、帯電しているパネルがシャフト61aに載置された際の静電気放電の発生を抑制することができる。一方、導電性部材66c及び導電性部材67cは導電性を有するので、シャフト61aに載置されたパネルからシャフト61a、導電性部材66c、及び本体部66aの順、又はシャフト61a、導電性部材67c、及び本体部67aの順に電流が流れ得る。したがって、パネルを除電することができる。以上のことから、静電気放電の発生を抑制しつつ、パネルを除電することが可能となる。
【0073】
なお、本開示に係るパネル収納容器は上記実施形態に限定されない。
【0074】
上記実施形態においては、導電性部材66cを有するリアブロック66が、凸部66jを有していたが、導電性部材67cを有するクランピングプレート67が、溝67dの内周面から前後方向と交差する方向に突出する凸部を有してもよい。
【0075】
導電性部材66cの形状は、上記実施形態の形状に限られない。図6の(a)~(c)を参照して、導電性部材66c(支柱26b)の変形例を説明する。
【0076】
(第1変形例)
図6の(a)は、支柱の第1変形例を示す図である。第1変形例に係る支柱26bは、溝66dの内周面の形状において、上記実施形態に係る支柱26bと主に相違する。
【0077】
図6の(a)に示されるように、第1変形例に係る支柱26bでは、溝66dは、前後方向から見て、上記実施形態に係る溝66dとは異なるU字状の形状を有する。具体的には、溝66dの内周面は、側面66nと、側面66pと、傾斜面66kと、傾斜面66mと、を含む。側面66nと側面66pとは、上下方向において互いに向かい合っている。側面66nと側面66pとは、互いに略平行であり、上下方向と実質的に垂直な面である。側面66nと側面66pとの上下方向における離間距離は、端部61bの上下方向における長さ(直径)よりも大きい。傾斜面66k及び傾斜面66mは、クランピングプレート67に近づくにつれて上下方向において互いに離れるように傾斜している。
【0078】
側面66n、傾斜面66k、傾斜面66m、及び側面66pは、その順に連結されている。端部61bは、リアブロック66と、クランピングプレート67とによって左右方向において挟持されている状態において、傾斜面66k及び傾斜面66mと接触し、側面66n及び側面66pとは接触していない。
【0079】
第1変形例に係る支柱26bを有するパネル収納容器においても、上記実施形態に係るパネル収納容器1と共通の構成については、上記実施形態に係るパネル収納容器1と同様の効果が奏される。さらに、第1変形例に係る支柱26bを有するパネル収納容器では、側面66n及び側面66pとの上下方向における離間距離は、端部61bの直径よりも大きい。このため、端部61bを溝66dに容易に収容することができる。
【0080】
端部61bは、リアブロック66とクランピングプレート67とによって左右方向において挟持されている状態で、傾斜面66k及び傾斜面66mに接触している。この構成においても、パネル収納容器1の傾斜面66g及び傾斜面66hと同様に、端部61bの上下方向における移動が規制されるので、端部61bが上下方向において傾くことを抑制することができ、シャフト61aが上下方向において傾くことを抑制することができる。その結果、パネルの破損を抑制することができる。
【0081】
(第2変形例)
図6の(b)は、支柱の第2変形例を示す図である。第2変形例に係る支柱26bは、溝66dの内周面の形状において、上記実施形態に係る支柱26bと主に相違する。
【0082】
図6の(b)に示されるように、第2変形例に係る支柱26bでは、溝66dは、前後方向から見て、端部61bの外周面に沿った円弧状の形状を有する。言い換えると、溝66dの内周面は、上記実施形態の溝66dの側面66e、傾斜面66g、底面66i、傾斜面66h、及び側面66fが円弧状に連結されることによって構成されている。溝66dの内周面の半径は、端部61bの半径と実質的に等しい。端部61bは、リアブロック66とクランピングプレート67とによって左右方向において挟持されている状態において、溝66dの内周面の全体にわたって接触している。
【0083】
第2変形例に係る支柱26bを有するパネル収納容器においても、上記実施形態に係るパネル収納容器1と共通の構成については、上記実施形態に係るパネル収納容器1と同様の効果が奏される。さらに、第2変形例に係る支柱26bを有するパネル収納容器では、端部61bは、リアブロック66とクランピングプレート67とによって左右方向において挟持されている状態において、溝66dの内周面の全体にわたって接触している。このため、溝66dの内周面と端部61bの外周面との間には、ほとんど間隙が生じない。これにより、端部61bが上下方向において傾くことを一層抑制することができ、シャフト61aが上下方向において傾くことを一層抑制することができる。その結果、パネルの破損を抑制することができる。
【0084】
(第3変形例)
図6の(c)は、支柱の第3変形例を示す図である。第3変形例に係る支柱26bは、溝66dの内周面の形状において、上記実施形態に係る支柱26bと主に相違する。
【0085】
図6の(c)に示されるように、第3変形例に係る支柱26bでは、溝66dは、前後方向から見て、円弧状の形状を有する。溝66dの内周面の半径は、端部61bの半径よりも大きい。溝66dの内周面は、底部66rを含む。底部66rは、溝66dの内周面のうち、左右方向においてクランピングプレート67から最も離れている。端部61bは、リアブロック66とクランピングプレート67とによって左右方向において挟持されている状態において、底部66rと接触している。
【0086】
第3変形例に係る支柱26bを有するパネル収納容器においても、上記実施形態に係るパネル収納容器1と共通の構成については、上記実施形態に係るパネル収納容器1と同様の効果が奏される。さらに、第3変形例に係る支柱26bを有するパネル収納容器では、溝66dの内周面の半径は、端部61bの半径よりも大きいので、溝66dの開口の上下方向の長さは、端部61bの直径よりも大きい。したがって、端部61bを溝66dに容易に収容することができる。
【0087】
(第4変形例)
リアブロック66は、導電性部材66cを備えていなくてもよく、クランピングプレート67は、導電性部材67cを備えていなくてもよい。図7を参照して、支柱26bの第4変形例を説明する。図7は、支柱の第4変形例を示す図である。
【0088】
図7に示されるように、第4変形例に係る支柱26bは、リアブロック66が導電性部材66cを備えていない点、クランピングプレート67が導電性部材67cを備えていない点、凹部66bに代えて溝66dがリアブロック66に設けられる点、及び凹部67bに代えて溝67dがクランピングプレート67に設けられる点において、上記実施形態に係る支柱26bと主に相違する。
【0089】
第4変形例に係る支柱26bでは、リアブロック66に設けられる溝66dの内周面の形状としては、上記実施形態、第1変形例、第2変形例、及び第3変形例の溝66dの内周面のいずれが採用されてもよい。ここでは、溝66dの内周面の形状としては、第2変形例の溝66dの内周面の形状が用いられる。リアブロック66は、溝66dの内周面に設けられた凸部66jを有する。凸部66jの形状は、上記実施形態に係る凸部66jの形状と同じである。リアブロック66が凸部66jを有する代わりに、クランピングプレート67が溝67dの内周面から前後方向と交差する方向に突出する凸部を有してもよい。
【0090】
なお、支柱26bが導電性部材66c,67cを備える代わりに、支持部61が、弾性体61eをさらに備えている。弾性体61eは、シャフト61aの外周面に設けられた環状(例えば、円環状)の部材である。弾性体61eは、パネルの滑りを抑え、パネルの位置決め精度を向上させるために設けられる。弾性体61eの構成材料及び配列は、弾性体62bの構成材料及び配列と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0091】
第4変形例に係る支柱26bを有するパネル収納容器においても、上記実施形態に係るパネル収納容器1と共通の構成については、上記実施形態に係るパネル収納容器1と同様の効果が奏される。さらに、第4変形例に係る支柱26bを有するパネル収納容器では、溝66dはリアブロック66に設けられ、溝67dはクランピングプレート67に設けられている。よって、溝66dの内周面及び溝67dの内周面は、金属材料によって構成される。そのため、端部61bが金属材料で構成されている場合においても、リアブロック66及びクランピングプレート67が端部61bを挟持したときに、溝66dの内周面及び溝67dの内周面が変形することが抑制される。したがって、溝66dの内周面及び溝67dの内周面には、凹凸が生じ難いので、リアブロック66及びクランピングプレート67が端部61bを挟持したときに、端部61bの全体に対して均一な力が加わりやすくなる。その結果、端部61bが上下方向において傾くことを抑制することができ、パネルの破損を抑制することができる。
【符号の説明】
【0092】
1…パネル収納容器、2…容器本体、26b…支柱、60…パネル支持部、61a…シャフト、61b…端部、61d…凹部、66…リアブロック(第1部材)、66a…本体部(第1本体部)、66c…導電性部材(第1導電性部材)、66d…溝(第1溝)、66e…側面(第1側面)、66f…側面(第2側面)、66g…傾斜面(第1傾斜面)、66h…傾斜面(第2傾斜面)、66i…底面、66j…凸部、67…クランピングプレート(第2部材)、67a…本体部(第2本体部)、67c…導電性部材(第2導電性部材)、67d…溝(第2溝)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7