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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-17
(45)【発行日】2025-03-26
(54)【発明の名称】グロメット及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20250318BHJP
   H01B 17/58 20060101ALI20250318BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20250318BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20250318BHJP
【FI】
H02G3/22
H01B17/58 C
F16L5/02 A
B60R16/02 622
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022122451
(22)【出願日】2022-08-01
(65)【公開番号】P2024019781
(43)【公開日】2024-02-14
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯島 彬友
(72)【発明者】
【氏名】矢野 拓海
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-089054(JP,A)
【文献】特開2007-173139(JP,A)
【文献】特開2011-167046(JP,A)
【文献】特開2017-010638(JP,A)
【文献】特開2016-210214(JP,A)
【文献】特開2006-260877(JP,A)
【文献】実開平04-083937(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
H01B 17/58
F16L 5/02
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状を呈し、車両用パネルに形成される貫通孔の内縁に取り付けられる取付部と、
前記取付部の内側に設けられ、前記貫通孔の貫通方向へ延び、内部に配索材を挿通させる筒部と、
前記取付部と前記筒部の間に設けられ、山折り部と谷折り部を繋げて形成される蛇腹部と、
前記取付部と前記筒部の間に設けられ、前記蛇腹部と連なり、平板状を呈する平坦部と、を備え、
前記蛇腹部及び前記平坦部は、前記取付部に対し前記筒部を支持しており、
前記蛇腹部は、前記筒部に接続されて設けられ、
前記平坦部は、前記蛇腹部と前記取付部の間に設けられている、
グロメット。
【請求項2】
前記蛇腹部は、前記平坦部に対し前記貫通方向の一方側の領域に設けられている請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記平坦部は、前記蛇腹部と比べて径方向に対し大きく形成されている、
請求項1又は2に記載のグロメット。
【請求項4】
導電性を有する配索材と、
前記配索材に設けられるグロメットと、
前記グロメットを覆い、車両用パネルに取り付けられるカバーと、を備え、
前記グロメットは、
環状を呈し、車両用パネルに形成される貫通孔の内縁に取り付けられる取付部と、
前記取付部の内側に設けられ、前記貫通孔の貫通方向へ延び、内部に配索材を挿通させる筒部と、
前記取付部と前記筒部の間に設けられ、山折り部と谷折り部を繋げて形成される蛇腹部と、
前記取付部と前記筒部の間に設けられ、前記蛇腹部と連なり、平板状を呈する平坦部と、を備え、
前記蛇腹部及び前記平坦部は、前記取付部に対し前記筒部を支持しており、
前記カバーは、前記車両用パネルに取り付けられた状態において、前記筒部を前記車両用パネルに対し傾斜させて支持する、
ワイヤハーネス。
【請求項5】
導電性を有する配索材と、
前記配索材に設けられるグロメットと、を備え、
前記グロメットは、
環状を呈し、車両用パネルに形成される貫通孔の内縁に取り付けられる取付部と、
前記取付部の内側に設けられ、前記貫通孔の貫通方向へ延び、内部に配索材を挿通させる筒部と、
前記取付部と前記筒部の間に設けられ、山折り部と谷折り部を繋げて形成される蛇腹部と、
前記取付部と前記筒部の間に設けられ、前記蛇腹部と連なり、平板状を呈する平坦部と、を備え、
前記蛇腹部及び前記平坦部は、前記取付部に対し前記筒部を支持しており、
前記蛇腹部は、前記筒部に接続されて設けられ、
前記平坦部は、前記蛇腹部と前記取付部の間に設けられている、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グロメット及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グロメット及びワイヤハーネスとして、例えば、特許文献1に記載されるように、パイプなどの配索材を挿通するための貫通孔にグロメットが装着され、グロメットにより貫通孔と配索材の間をシールするものが知られている。このグロメットは、貫通孔と配索材の間のシール部に折り返し部を形成し、この折り返し部によりシール部を配索材に近づけて高水圧に対するシール性を高めようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-40940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したグロメット及びワイヤハーネスでは、貫通孔に挿通された配索材を傾けて適切に配置することができない場合がある。例えば、上述したグロメット及びワイヤハーネスは、配索材を傾けようとすると、グロメットにおいて、配索材を挿通させている筒部分とグロメットを貫通孔に取り付けている取付部分が接触しやすく、配索材を傾けて支障なく配索することが難しい場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、配索材を傾けて適切に配索することができるグロメット及びワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係るグロメットは、配索材が挿通され車両用パネルに形成される貫通孔に取り付けられるグロメットであって、環状を呈し貫通孔の内縁に取り付けられる取付部と、取付部の内側に設けられ貫通孔の貫通方向へ延び内部に配索材を挿通させる筒部と、取付部と筒部の間に設けられ山折り部と谷折り部を繋げて形成される蛇腹部と、取付部と筒部の間に設けられ蛇腹部と連なり平板状を呈する平坦部とを備え、蛇腹部及び平坦部は、取付部に対し筒部を支持して構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るグロメット及びワイヤハーネスによれば、配索材を傾けて適切に配索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るグロメットの斜視図である。
図2図2は、図1のII-IIにおけるグロメットの断面図である。
図3図3は、蛇腹部の変形状態の説明図である。
図4図4は、グロメット及びワイヤハーネスの組み付けの説明図である。
図5図5は、グロメット及びワイヤハーネスの取付状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るワイヤハーネスの分解斜視図であり、図2は、図1のII-IIにおけるグロメット及びワイヤハーネスの断面図である。図3は、蛇腹部の変形の説明図であり、図4は、グロメット及びワイヤハーネスの組み付けの説明図であり、図5は、グロメット及びワイヤハーネスの取付状態の断面図である。
【0011】
図1、2に示すように、グロメット1は、パネル3に形成される貫通孔31に取り付けられ、貫通孔31に挿通される配索材Wを覆って保護する部材である。ワイヤハーネスWHは、グロメット1及び配索材Wを備えて構成される。例えば、ワイヤハーネスWHは、車両に配索される配索材Wにグロメット1を組み込んで構成される。
【0012】
ワイヤハーネスWHは、例えば、複数の配索材Wを束にして集合部品とし、車両に搭載される機器間を電気的に接続する。なお、ワイヤハーネスWHは、コルゲートチューブ、樹脂テープ等の他の部品を含んで構成されてもよい。配索材Wは、導電性を有し、車両に搭載される機器間を接続し、電源供給や信号通信に用いられる。配索材Wは、例えば、金属棒、電線、電線束、電線束を外装するパイプ等によって構成される。金属棒は、導電性を有する棒状部材の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線は、複数の導電性を有する金属素線からなる導体部(芯線)の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線束は、当該電線を束ねたものである。電線束を外装するパイプは、電線束の外周を覆う筒体である。
【0013】
パネル3は、車両用パネルであって、例えば車体のフロア部分に設けられるフロアパネルである。パネル3は、グロメット1が取り付けられる取付対象物であり、水平方向に設けられる板状部材により構成される。図1では、説明の便宜上、パネル3の一部を楕円形に示している。パネル3の全体形状は、例えば車両の構造に応じた形状とされる。
【0014】
パネル3には、貫通孔31が形成されている。貫通孔31は、ワイヤハーネスWHを挿通するための孔であり、パネル3の表裏を貫通し、パネル3の車外側と車内側を連通している。図1、2では、パネル3の下側が車外側、上側が車内側となっている。図1では、貫通孔31を楕円形に開口させた場合を示しているが、貫通孔31を楕円形以外の形状に開口させる場合もある。
【0015】
本実施形態において、貫通孔31が貫通する方向を貫通方向と称する。この貫通方向は、パネル3と直交する方向である。また、貫通孔31の径方向を単に径方向と称する。
【0016】
グロメット1は、弾性変形可能な弾性体により構成され、例えば、ゴム又は弾性樹脂材などによって構成される。また、グロメット1は、例えば、ブラケット2を介して貫通孔31に取り付けられる。グロメット1は、配索材Wと貫通孔31の内縁との隙間を埋めて配索材Wを保護し、車両の内外の止水を行う。また、グロメット1は、車両の防塵、防音を行う部材として機能させてもよい。
【0017】
ブラケット2は、グロメット1をパネル3に取り付けるための部材であり、例えば、金属製の板材が用いられる。ブラケット2は、貫通方向から見てグロメット1より大きく形成され、グロメット1の筒部12及び配索材Wを挿通するための開口部21を形成している。開口部21の内縁部211は、グロメット1の接合部113の形状に合わせて屈曲した断面形状とされている。つまり、内縁部211は、接合部113と嵌合可能な形状に形成されている。ブラケット2は、貫通孔31に配置されたグロメット1をパネル3側に押し付けてパネル3に取り付けられる。
【0018】
ブラケット2には、被掛止部22が設けられている。被掛止部22は、カバー4を掛け止められるための部位であり、例えば、板状を呈し貫通方向へ突出して設けられている。被掛止部22は、例えば、開口部21を挟んで二つ設けられる。被掛止部22には、掛止孔221が形成されている。ブラケット2には、締結孔23が形成されている。締結孔23は、ボルトなどの締結部材を挿通させるための孔である。締結孔23は、例えば、開口部21の周囲に四つ形成される。
【0019】
図2に示すように、グロメット1は、取付部11、筒部12、蛇腹部13及び平坦部14を備えている。取付部11は、グロメット1を貫通孔31に取り付けるための部位である。取付部11は、環状を呈し、貫通孔31の内縁に沿って配置される。取付部11は、挿通部111、リップ部112及び接合部113を有している。挿通部111は、筒状を呈し、貫通孔31の内径と比べて同じ外径又は小さい外径とされ、貫通孔31の内側へ挿通される。挿通部111が貫通孔31へ挿通されることにより、グロメット1がパネル3と平行な向きの移動が規制される。
【0020】
リップ部112は、挿通部111に対し径方向の外側に設けられ、パネル3と対峙する面に形成されている。リップ部112は、パネル3に向けて突設され、パネル3と当接するように設けられる。リップ部112は、例えば、挿通部111の周りを囲うように連なる突条として形成される。リップ部112がパネル3に圧接されることにより、グロメット1によって貫通孔31の車内側と車外側が封鎖され、グロメット1の止水機能が発揮される。
【0021】
接合部113は、リップ部112に対しパネル3と反対側の位置に形成され、ブラケット2と接合しブラケット2を支持する部位である。接合部113は、例えば、ブラケット2に形成される開口部21の内縁部211を掛止して、ブラケット2と接合する。具体的には、接合部113は、内縁部211を収容する溝113aを形成しており、溝113aに内縁部211を挿入させて保持する。溝113aの形状は、内縁部211の形状に合わせ内縁部211と嵌合するように形成される。溝113aは、取付部11の外周面を径方向の内側へ窪ませて形成され、周方向に沿って全周に亘って形成されている。
【0022】
筒部12は、配索材Wを挿通させるための部位であり、取付部11の内側(中心側)に設けられ、貫通孔31の貫通方向へ延びている。筒部12は、取付部11の内側に設けられる蛇腹部13及び平坦部14に支持されている。筒部12は、配索材Wを挿通可能な内径を有する筒体であり、配索材Wを挿通させて配索材Wを保護する。筒部12は、例えば、配索材Wが挿通されていない状態では、パネル3に対して垂直に設けられる。このため、グロメット1は、パネル3に対して垂直に配索される配索材Wを挿通させて用いることもできる。また、筒部12がパネル3に対して垂直に設けられることにより、グロメット1が金型成形により製造される場合、金型が抜きやすく成形しやすい構造となる。従って、グロメット1の製造が容易となり、グロメット1を低コストで製造することが可能となる。筒部12は、配索材Wがパネル3に対し斜めに配索される場合、配索材Wと共に斜めに傾斜する。
【0023】
蛇腹部13は、取付部11と筒部12の間に設けられ、山折り部131と谷折り部132を繋げて形成されている。例えば、蛇腹部13は、筒部12に接続されて設けられ、筒部12が傾斜する場合に変形して筒部12の傾斜を容易とする。山折り部131と谷折り部132は、互いに反対方向に折り返されて形成されている。例えば、山折り部131は車内側の方向で折り返されて形成され、谷折り部132は車外側の方向で折り返されて形成されている。図2において、蛇腹部13は、山折り部131と谷折り部132が一つずつ形成しているが、山折り部131と谷折り部132を複数繰り返して形成してもよい。
【0024】
蛇腹部13は、平坦部14に対し貫通孔31の貫通方向の一方側の領域に設けられている。例えば、蛇腹部13は、平坦部14に対し貫通孔31の貫通方向の一方側の領域のみに設けらる。図2において、蛇腹部13は、平坦部14に対し車外側(図2では下側)の領域に設けられている。つまり、山折り部131及び谷折り部132が平坦部14の設置位置に対し車外側の領域に設けられている。図2では、蛇腹部13は、平坦部14に対し筒部12が設けられる方向の領域に設けられている。このように、グロメット1は、蛇腹部13が平坦部14に対し貫通方向の一方側の領域に設けられていることにより、図3に示すように、筒部12が車外側で傾けられる場合、筒部12の回転中心Cを平坦部14に対し車外側の位置とすることができる。これにより、傾けられた筒部12と取付部11が干渉することが抑制される。
【0025】
なお、蛇腹部13は、その一部が平坦部14に対し貫通孔31の貫通方向の他方側の領域に設けられていてもよい。つまり、蛇腹部13の大部分が平坦部14に対し貫通孔31の貫通方向の一方側の領域に設けられていれば、筒部12が傾けられる場合、筒部12の回転中心Cを平坦部14の位置から貫通方向へ移動させた位置とすることができる。この場合であっても、筒部12と取付部11の干渉を抑制することができる。
【0026】
図2に示すように、平坦部14は、平板状を呈し、取付部11と筒部12の間に設けられ、蛇腹部13と連なるように形成されている。例えば、平坦部14は、蛇腹部13と取付部11の間に設けられている。つまり、筒部12の外側に蛇腹部13が接続され、蛇腹部13の外側に平坦部14が接続され、平坦部14は、蛇腹部13と取付部11の間に設けられている。このように平坦部14が設けられることにより、図3に示すように、筒部12が傾けられる場合、筒部12を取付部11から離れた位置で回転させて傾けることが可能となる。
【0027】
図2において、平坦部14は、蛇腹部13と比べて径方向に大きく形成されている。すなわち、グロメット1の垂直断面において、平坦部14は、蛇腹部13と比べて径方向に長く形成されている。つまり、平坦部14の径方向の長さL2は、蛇腹部13の径方向の長さL1より長い。このように、平坦部14を大きく形成することにより、筒部12が取付部11から離して設けることが可能となる。
【0028】
次に、本実施形態に係るグロメット及びワイヤハーネスの組立方法及び取付方法について説明する。
【0029】
まず、図4に示すように、グロメット1に配索材Wが挿通される。例えば、弾性体であるグロメット1は、拡径されて筒部12に配索材Wが挿通される。そして、ブラケット2に配索材Wが挿通される。すなわち、ブラケット2の開口部21に配索材Wが挿通され、開口部21の位置にグロメット1が配置される。そして、グロメット1とブラケット2が接合される。例えば、図2に示すように、ブラケット2の内縁部211がグロメット1の溝113aに挿入され、グロメット1によりブラケット2が保持される。
【0030】
そして、ブラケット2に対しカバー4が組み付けられる。カバー4は、グロメット1を覆う部材であり、グロメット1を収容可能な大きさに形成されている。また、カバー4は、パネル3に取り付けられた状態において、筒部12及び配索材Wをパネル3に対し傾斜させて支持する部材として機能する。例えば、カバー4は、内面で筒部12を押さえ付け、筒部12を傾かせて支持する。このカバー4の設置により、配索材Wをパネル3に対し傾けて配索することを容易とすることができる。カバー4は、グロメット1及びブラケット2と共に、グロメット組立体10を構成する。
【0031】
カバー4の組み付けにおいて、グロメット1を覆うようにブラケット2に対しカバー4が接近させられ、カバー4の掛止部41によりブラケット2の被掛止部22が掛止される。掛止部41は、例えば、被掛止部22を掛け止めるフックを有する構成とされる。ブラケット2にカバー4が取り付けられることにより、配索材W、グロメット1、ブラケット2及びカバー4が一体化されて組み付けられ、ワイヤハーネスWHとなる。
【0032】
そして、パネル3に対し、図示しない締結部材により、ブラケット2及びカバー4が共締めされる。このとき、ブラケット2によりグロメット1がパネル3に押し付けられて取り付けられる。これにより、グロメット1及びワイヤハーネスWHの取付が完了する。グロメット1をブラケット2とアセンブリし、ブラケット2をボルトなどの締結部材でパネル3に固定することにより、グロメット1をパネル3に対し強固に取り付けることが可能となる。
【0033】
ここで、図5に示すように、配索材W及び筒部12は、パネル3に対し傾斜して設けられる。筒部12は、蛇腹部13及び平坦部14を介して取付部11に支持されている。このため、筒部12が傾けられると、蛇腹部13が変形し、筒部12を無理なく傾けて設けることができる。すなわち、筒部12が傾けられると、傾斜内側の蛇腹部13が折り畳まれ、傾斜外側の蛇腹部13が広がるように変形し、蛇腹部13に大きな応力を生ずることなく、筒部12を傾けることができる。また、平坦部14が設けられることにより、筒部12を取付部11から離れた位置で傾けることができる。このため、傾けられた筒部12が取付部11に接触することを抑制することができる。従って、グロメット1は、筒部12及び配索材Wを傾けて適切に配索することができる。
【0034】
また、蛇腹部13は、平坦部14に対し車外側(図5では下側)の領域に設けられている。このため、筒部12が車外側で傾けられる場合、筒部12の回転中心Cを平坦部14に対し車外側の位置とすることができる。従って、グロメット1は、筒部12が大きく傾けられても、筒部12が取付部11に接触することを抑制することができる。言い換えれば、グロメット1は、筒部12を取付部11に接触させずに、筒部12及び配索材Wを大きく傾けて配置することができる。これにより、グロメット1は、配索材Wが大きく傾けられて配索される場合でも、適切に配索材Wの配索を行うことができる。
【0035】
また、平坦部14は、径方向において蛇腹部13と比べて大きく形成されている。このため、筒部12が取付部11から離して設けることができる。従って、グロメット1は、筒部12が傾けられても取付部11に接触することが抑制される。これにより、グロメット1は、配索材Wを大きく傾けた厳しい配索に対しても、適切に配索材Wを配索することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係るグロメット1及びワイヤハーネスWHによれば、筒部12を蛇腹部13及び平坦部14が支持することにより、蛇腹部13の変形により筒部12を容易に傾けることができ、筒部12を取付部11から離れた位置で傾けることが可能となる。従って、グロメット1及びワイヤハーネスWHは、筒部12と取付部11が接触することが抑制され、配索材Wを傾けて適切に配索することができる。
【0037】
また、本実施形態に係るグロメット1及びワイヤハーネスWHによれば、蛇腹部13が平坦部14に対し貫通方向の一方側の領域に設けられることにより、筒部12が傾けられても、筒部12と取付部11が接触することを抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態に係るグロメット1及びワイヤハーネスWHによれば、平坦部14が蛇腹部13と比べて径方向に対し大きく形成されることにより、筒部12を取付部11から離れた位置で傾かせて、筒部12が取付部11に接触しにくい構造とすることができる。
【0039】
また、本実施形態に係るグロメット1及びワイヤハーネスWHによれば、蛇腹部13が筒部12に接続されて設けられ、平坦部14が蛇腹部13と取付部11の間に設けられている。このため、グロメット1及びワイヤハーネスWHは、配索材Wを挿通した筒部12が傾けられる場合、筒部12を取付部11から離れた位置で傾けることが可能となる。従って、グロメット1及びワイヤハーネスWHは、筒部12と取付部11が接触することが抑制され、配索材Wを傾けて適切に配索することができる。
【0040】
また、本実施形態に係るワイヤハーネスWHによれば、グロメットを覆いパネル3に取り付けられるカバー4を備えることにより、カバー4がパネル3に取り付けられたときに、筒部12をパネル3に対し傾かせて支持する。これにより、パネル3に対し配索材Wを傾かせて配索することが容易となる。
【0041】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0042】
例えば、上述した実施形態では、グロメット1及びワイヤハーネスWHを車両のフロアパネルであるパネル3に取り付ける場合について説明されているが、フロアパネル以外の車両用のパネル又はその他のパネルに取り付ける場合に適用してもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、ブラケット2を用いてグロメット1がパネル3に取り付けられる場合について説明しているが、ブラケット2を用いずにグロメット1がパネル3に取り付けられてもよい。例えば、グロメット1をパネル3の貫通孔31の内縁に嵌合させて取り付ければよい。
【0044】
また、上述した実施形態の図2では、筒部12がグロメット1の中央位置に設けられる場合について説明しているが、筒部12がグロメット1の中央から偏った位置に設けられていてもよい。この場合、平坦部14は、筒部12の全周囲において、蛇腹部13と比べて大きく形成されていなくてもよく、少なくとも筒部12の一部の周囲において、蛇腹部13と比べて大きく形成されていればよい。特に、筒部12が傾斜される領域において、平坦部14が蛇腹部13と比べて大きく形成されていればよい。このように平坦部14が形成されていても、筒部12が傾いた場合に、筒部12と取付部11の接触を抑制することができ、上述した実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 グロメット
2 ブラケット
3 パネル(車両用パネル)
4 カバー
11 取付部
12 筒部
13 蛇腹部
14 平坦部
31 貫通孔
131 山折り部
132 谷折り部
C 回転中心
W 配索材
WH ワイヤハーネス
図1
図2
図3
図4
図5