(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-17
(45)【発行日】2025-03-26
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20250318BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 513
(21)【出願番号】P 2023075532
(22)【出願日】2023-05-01
(62)【分割の表示】P 2019019536の分割
【原出願日】2019-02-06
【審査請求日】2023-05-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 伸也
(72)【発明者】
【氏名】田村 健寿
(72)【発明者】
【氏名】森田 健
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-191929(JP,A)
【文献】特開2009-200421(JP,A)
【文献】特開2013-161872(JP,A)
【文献】特開2015-026840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣り合う側面と端面とを有している素体と、前記側面及び前記端面に配置されている外部電極と、を備え、
前記外部電極は、複数の空隙が存在している導電性樹脂層と
、前記側面及び前記端面と前記導電性樹脂層との間に位置するように前記側面上と前記端面上に配置されている焼結金属層と、前記導電性樹脂層上に配置されているめっき層と、を有し、
前記めっき層の端縁と前記素体との間には、前記複数の空隙と連通している間隙が存在し、
前記導電性樹脂層は、前記側面上に位置している第一部分と、前記端面上に位置している第二部分と、を有しており、
前記第一部分の最大厚みは、前記第二部分の最大厚みより大きい、電子部品。
【請求項2】
前記側面は、実装面を構成する、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記導電性樹脂層は、前記側面の一部及び前記端面の一部を連続して覆うように形成されており、
前記めっき層は、前記端面の全体を覆うように形成されている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記素体は、互いに対向していると共に前記側面と前記端面とに隣り合う一対の別の側面を更に有し、
前記側面は、実装面を構成し、
前記導電性樹脂層は、前記側面の一部、前記端面の一部、及び前記一対の別の側面の各一部を連続して覆うように形成されており、
前記めっき層は、前記端面の全体を覆うように形成されている、請求項1に記載の電子部品。
【請求項5】
前記間隙は、前記側面及び前記一対の別の側面と、前記めっき層の前記端縁との間に存在している、請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
前記素体は、互いに対向していると共に前記側面と前記端面とに隣り合う一対の別の側面と、前記側面と対向している更に別の側面と、を更に有し、
前記導電性樹脂層は、前記側面の一部、前記一対の別の側面の各一部、前記更に別の側面の一部、及び前記端面の全体を連続して覆うように形成されている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項7】
前記間隙は、前記側面、前記一対の別の側面と、及び前記更に別の側面と、前記めっき層の前記端縁との間に存在している、請求項6に記載の電子部品。
【請求項8】
前記導電性樹脂層は、前記一対の別の側面のそれぞれの上に位置している部分を更に有しており、
前記第一部分の最大厚みは、前記一対の別の側面のそれぞれの上に位置している前記部分の最大厚みより大きい、請求項4~7のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項9】
前記間隙の幅は、0より大きく3μm以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに隣り合う側面と端面とを有している素体と、側面及び端面に配置されている外部電極と、を備えている電子部品が知られている(たとえば、特許文献1参照)。外部電極は、導電性樹脂層と、導電性樹脂層上に配置されているめっき層と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導電性樹脂層は、一般に、下地上に形成されており、樹脂と、導電性を有する金属粒子とを含んでいる。下地は、たとえば、焼結金属層又は素体を含む。樹脂は、水分を吸収する傾向にある。電子部品が電子機器にはんだ実装される場合、樹脂に吸収された水分がガス化して、体積膨張することがある。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。この場合、導電性樹脂層に応力が作用して、導電性樹脂層が下地から剥離するおそれがある。
【0005】
本発明の一態様は、導電性樹脂層の剥離を抑制する電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る電子部品は、互いに隣り合う側面と端面とを有している素体と、側面及び端面に配置されている外部電極と、を備えている。外部電極は、複数の空隙が存在している導電性樹脂層と、導電性樹脂層上に配置されているめっき層と、を有している。めっき層の端縁と素体との間には、複数の空隙と連通している間隙が存在している。導電性樹脂層は、側面上に位置している第一部分と、端面上に位置している第二部分と、を有している。第一部分での空隙の存在割合は、第二部分での空隙の存在割合より大きい。
【0007】
上記一つの態様では、電子部品がはんだ実装される際に、樹脂に吸収された水分がガス化した場合でも、水分から発生したガスは、複数の空隙から、めっき層の端縁と素体との間の間隙に至る。めっき層の端縁と素体との間の間隙に至ったガスは、外部電極外に移動して、導電性樹脂層に応力が作用しがたい。この結果、上記一つの態様は、導電性樹脂層の剥離を抑制する。
第一部分での空隙の存在割合が、第二部分での空隙の存在割合より大きい場合、導電性樹脂層内で水分から発生したガスは、めっき層の、第一部分上に位置している部分と、素体との間の間隙を通して、外部電極外に移動しやすい。第二部分にて発生したガスは、複数の空隙により構成される通路を通して、第一部分に至りやすい。第一部分に至ったガスは、上述したように、めっき層の端縁と素体との間の間隙を通して、外部電極外に移動する。したがって、上記一つの態様は、ガスが出る位置を制御する。
電子部品がはんだ実装される際に、端面に対応する位置では、側面に対応する位置に比して、溶融したはんだが多く存在するので、はんだ爆ぜが生じるおそれがある。はんだ爆ぜは、電子部品が電子機器にはんだ実装する際に、溶融したはんだが、外部電極から出るガスにより飛ばされる現象である。
上記一つの態様では、第二部分にて発生したガスは、上述したように、第一部分に至りやすいので、ガスは、第一部分から間隙を通して外部電極外に移動する。したがって、上記一つの態様は、はんだ爆ぜが生じるのを抑制する。
【0008】
第一部分の最大厚みは、第二部分の最大厚みより大きくてもよい。この場合、第一部分でのガスの移動経路が増加して、ガスが第一部分を移動しやすい。したがって、ガスは、めっき層の、第一部分上に位置している部分と、素体との間の間隙を通して、外部電極外により一層移動しやすい。この結果、本構成では、導電性樹脂層に応力がより一層作用しがたく、本構成は、導電性樹脂層の剥離をより一層抑制する。本構成は、はんだ爆ぜが生じるのをより一層抑制する。
【0009】
第一部分の厚み方向に沿う断面において、第一部分での空隙の総面積は、第一部分の面積の5~35%の範囲内であってもよい。
第一部分の厚み方向に沿う断面において、第一部分での空隙の総面積が、第一部分の面積の5%より小さい場合、水分から発生したガスが空隙内を移動しがたくなるおそれがある。第一部分の厚み方向に沿う断面において、第一部分での空隙の総面積が、第一部分の面積の35%より大きい場合、導電性樹脂層に水分が浸入しやすく、ガスの発生量が増加するおそれがある。したがって、本構成は、ガスの発生量の増加を抑制しつつ、第一部分でのガスの移動が阻害されるのを抑制する。
【0010】
側面は、実装面を構成してもよい。
電子部品が電子機器にはんだ実装されている場合、電子機器から電子部品に作用する外力が、素体に応力として作用することがある。外力は、はんだ実装の際に形成されたはんだフィレットから外部電極を通して素体に作用する。この場合、素体にクラックが発生するおそれがある。外力は、たとえば、素体における、実装面を構成する面に作用する傾向がある。
本構成では、第一部分が、実装面を構成する側面上に位置しているので、電子機器から電子部品に作用する外力が素体に作用しがたい。第一部分での空隙の存在割合が、第二部分での空隙の存在割合より大きい場合、第一部分は、第二部分に比して、素体に作用する外力を緩和しやすい。したがって、本構成は、クラックが素体に発生するのを確実に抑制する。
【0011】
導電性樹脂層は、側面の一部及び端面の一部を連続して覆うように形成されていてもよい。めっき層は、端面の全体を覆うように形成されていてもよい。
外力は、たとえば、素体における、側面の一部と端面の一部とで画成される領域に作用する傾向もある。本構成では、導電性樹脂層が側面の一部及び端面の一部を連続して覆っているので、電子機器から電子部品に作用する外力が素体に作用しがたい。したがって、本構成は、クラックが素体に発生するのを抑制する。
めっき層が、端面の全体を覆うように形成されているので、めっき層と端面との間には間隙が存在しがたい。したがって、第二部分で発生したガスは、第一部分に移動し、第一部分上に位置している部分と、素体との間の間隙を通して、外部電極外に移動する。この結果、本構成は、ガスが出る位置を確実に制御し、はんだ爆ぜが生じるのを確実に抑制する。
【0012】
導電性樹脂層の厚み方向に沿う断面において、複数の空隙の各最大長さは、1~20μmの範囲内であってもよい。
導電性樹脂層の厚み方向に沿う断面において、複数の空隙の各最大長さが、1μmより小さい場合、水分から発生したガスが空隙内を移動しがたくなるおそれがある。導電性樹脂層の厚み方向に沿う断面において、複数の空隙の各最大長さが、20μmより大きい場合、導電性樹脂層に水分が滞留しやすく、ガスの発生量が増加するおそれがある。したがって、本構成は、ガスの発生量の増加を抑制しつつ、導電性樹脂層でのガスの移動が阻害されるのを抑制する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、導電性樹脂層の剥離を抑制する電子部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る積層コンデンサの側面図である。
【
図3】本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
【
図8】素体、第一電極層、及び第二電極層を示す平面図である。
【
図9】素体、第一電極層、及び第二電極層を示す側面図である。
【
図10】素体、第一電極層、及び第二電極層を示す端面図である。
【
図11】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの斜視図である。
【
図12】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
【
図13】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
図1~
図10を参照して、本実施形態に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。
図2は、本実施形態に係る積層コンデンサの側面図である。
図3、
図4、及び
図5は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図6及び
図7は、外部電極の断面構成を示す図である。
図8は、素体、第一電極層、及び第二電極層を示す平面図である。
図9は、素体、第一電極層、及び第二電極層を示す側面図である。
図10は、素体、第一電極層、及び第二電極層を示す端面図である。本実施形態では、電子部品は、たとえば、積層コンデンサC1である。
【0017】
積層コンデンサC1は、
図1に示されるように、直方体形状を呈している素体3と、複数の外部電極5と、を備えている。本実施形態では、積層コンデンサC1は、一対の外部電極5を備えている。一対の外部電極5は、素体3の外表面に配置されている。一対の外部電極5は、互いに離間している。直方体形状は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。
【0018】
素体3は、互いに対向している一対の主面3a,3bと、互いに対向している一対の側面3cと、互いに対向している一対の端面3eと、を有している。一対の主面3a,3b、一対の側面3c、及一対の端面3eは、長方形状を呈している。一対の主面3a,3bが対向している方向が、第一方向D1である。一対の側面3cが対向している方向が、第二方向D2である。一対の端面3eが対向している方向が、第三方向D3である。積層コンデンサC1は、電子機器にはんだ実装される。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。積層コンデンサC1では、主面3aが、電子機器と対向する。主面3aは、実装面を構成するように配置される。主面3aは、実装面である。主面3aは、直方体形状を呈している素体3が有する一つの側面でもある。
【0019】
第一方向D1は、各主面3a,3bに直交する方向であり、第二方向D2と直交している。第三方向D3は、各主面3a,3bと各側面3cとに平行な方向であり、第一方向D1と第二方向D2とに直交している。第二方向D2は、各側面3cに直交する方向であり、第三方向D3は、各端面3eに直交する方向である。本実施形態では、素体3の第二方向D2での長さは、素体3の第一方向D1での長さより大きい。素体3の第三方向D3での長さは、素体3の第一方向D1での長さより大きく、かつ、素体3の第二方向D2での長さより大きい。第三方向D3が、素体3の長手方向である。
【0020】
一対の側面3cは、一対の主面3a,3bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面3cは、第三方向D3にも延在している。一対の端面3eは、一対の主面3a,3bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の端面3eは、第二方向D2にも延在している。
【0021】
素体3は、一対の稜線部3gと、一対の稜線部3hと、四つの稜線部3iと、一対の稜線部3jと、一対の稜線部3kと、を有している。稜線部3gは、端面3eと主面3aとの間に位置している。稜線部3hは、端面3eと主面3bとの間に位置している。稜線部3iは、端面3eと側面3cとの間に位置している。稜線部3jは、主面3aと側面3cとの間に位置している。稜線部3kは、主面3bと側面3cとの間に位置している。本実施形態では、各稜線部3g,3h,3i,3j,3kは、湾曲するように丸められている。素体3には、いわゆるR面取り加工が施されている。
【0022】
端面3eと主面3aとは、稜線部3gを介して、間接的に隣り合っている。端面3eと主面3bとは、稜線部3hを介して、間接的に隣り合っている。端面3eと側面3cとは、稜線部3iを介して、間接的に隣り合っている。主面3aと側面3cとは、稜線部3jを介して、間接的に隣り合っている。主面3bと側面3cとは、稜線部3kを介して、間接的に隣り合っている。
【0023】
素体3は、第二方向D2に複数の誘電体層が積層されて構成されている。素体3は、積層されている複数の誘電体層を有している。素体3では、複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2と一致する。各誘電体層は、たとえば、誘電体材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成されている。誘電体材料は、たとえば、BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系などの誘電体セラミックを含む。実際の素体3では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。素体3では、複数の誘電体層の積層方向が第一方向D1と一致していてもよい。
【0024】
積層コンデンサC1は、
図3~
図5に示されるように、複数の内部電極7と複数の内部電極9とを備えている。各内部電極7,9は、素体3内に配置されている内部導体である。各内部電極7,9は、積層型電子部品の内部電極として通常用いられる導電性材料からなる。導電性材料は、たとえば、卑金属を含む。導電性材料は、たとえば、Ni又はCuを含む。内部電極7,9は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、内部電極7,9は、Niからなる。
【0025】
内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置されている。内部電極7と内部電極9とは、素体3内において、第二方向D2に間隔を有して対向するように交互に配置されている。内部電極7と内部電極9とは、互いに極性が異なる。複数の誘電体層の積層方向が第一方向D1である場合、内部電極7と内部電極9とは、第一方向D1において異なる位置(層)に配置される。内部電極7,9の一端は、対応する端面3eに露出している。内部電極7,9は、対応する端面3eに露出している一端を有している。
【0026】
複数の内部電極7と複数の内部電極9とは、第二方向D2で交互に並んでいる。各内部電極7,9は、側面3cと略平行な面内に位置している。内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2で互いに対向している。内部電極7と内部電極9とが対向している方向(第二方向D2)は、側面3cと平行な方向(第一方向D1及び第三方向D3)と直交している。複数の誘電体層の積層方向が第一方向D1である場合、複数の内部電極7と複数の内部電極9とは、第一方向D1で交互に並ぶ。この場合、各内部電極7,9は、各主面3a,3bと略平行な面内に位置する。内部電極7と内部電極9とは、第一方向D1で互いに対向する。
【0027】
外部電極5は、
図1に示されるように、素体3の第三方向D3での両端部にそれぞれ配置されている。各外部電極5は、素体3における、対応する端面3e側に配置されている。外部電極5は、少なくとも、互いに隣り合う主面3aと端面3eとに配置されている。外部電極5は、
図2~
図5に示されるように、複数の電極部5a,5b,5c,5eを有している。電極部5aは、主面3a上及び稜線部3g上に配置されている。電極部5bは、稜線部3h上に配置されている。各電極部5cは、側面3c上及び稜線部3i上に配置されている。電極部5eは、端面3e上に配置されている。外部電極5は、稜線部3j上に配置されている電極部も有している。外部電極5は、少なくとも端面3eに配置されている。
【0028】
外部電極5は、一つの主面3a、一つの端面3e、及び一対の側面3cの四つの面、並びに、稜線部3g,3h,3i,3jに形成されている。互いに隣り合う電極部5a,5b,5c,5eは、接続されており、電気的に接続されている。電極部5eは、対応する内部電極7,9の一端をすべて覆っている。電極部5eは、対応する内部電極7,9と直接的に接続されている。外部電極5は、対応する内部電極7,9と電気的に接続されている。外部電極5は、
図3~
図5に示されるように、第一電極層E1、第二電極層E2、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。第四電極層E4は、外部電極5の最外層を構成している。各電極部5a,5c,5eは、第一電極層E1、第二電極層E2、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。電極部5bは、第一電極層E1、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。
【0029】
電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3g上に配置されており、主面3a上には配置されていない。電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3gの全体を覆うように形成されている。第一電極層E1は、主面3aに形成されていない。電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3gの全体と接している。主面3aは、第一電極層E1に覆われておらず、第一電極層E1から露出している。電極部5aの第一電極層E1は、主面3a上に配置されていてもよい。この場合、電極部5aの第一電極層E1は、主面3aの一部と稜線部3gの全体とを覆うように形成される。すなわち、電極部5aの第一電極層E1は、主面3aの一部とも接する。主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部領域である。
【0030】
電極部5aの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び主面3a上に配置されている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を覆っている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。第二電極層E2は、主面3aの一部と接している。主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5aの第二電極層E2は、主面3a上に位置している部分E21を有する。電極部5aは、稜線部3g上では四層構造を有しており、主面3a上では三層構造を有している。電極部5aの第二電極層E2は、稜線部3gの全体と主面3aの一部とを覆うように形成されている。上述したように、主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5aの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と素体3との間に位置するように、稜線部3gの全体と主面3aの一部とを間接的に覆っている。電極部5aの第二電極層E2は、主面3aの一部を直接覆っている。電極部5aの第二電極層E2は、稜線部3gに形成されている第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5aの第一電極層E1が、主面3a上に配置されている場合、電極部5aは、主面3a及び稜線部3g上で四層構造を有する。電極部5aの第一電極層E1が、主面3a上に配置されている場合、第二電極層E2の部分E21は、主面3aと接している部分と、第一電極層E1と接している部分と、を含む。
【0031】
電極部5bの第一電極層E1は、稜線部3h上に配置されており、主面3b上には配置されていない。電極部5bの第一電極層E1は、稜線部3hの全体を覆うように形成されている。第一電極層E1は、主面3bに形成されていない。電極部5bの第一電極層E1は、稜線部3hの全体と接している。主面3bは、第一電極層E1に覆われておらず、第一電極層E1から露出している。電極部5bの第一電極層E1は、主面3b上に配置されていてもよい。この場合、電極部5bの第一電極層E1は、主面3bの一部と稜線部3hの全体とを覆うように形成される。すなわち、電極部5bの第一電極層E1は、主面3bの一部とも接する。主面3bの一部は、たとえば、主面3bにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5bは、第二電極層E2を有していない。主面3bは、第二電極層E2に覆われておらず、第二電極層E2から露出している。第二電極層E2は、主面3bに形成されていない。電極部5bは、三層構造を有している。
【0032】
電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3i上に配置されており、側面3c上には配置されていない。電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3iの全体を覆うように形成されている。第一電極層E1は、側面3cに形成されていない。電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3iの全体と接している。側面3cは、第一電極層E1に覆われておらず、第一電極層E1から露出している。電極部5cの第一電極層E1は、側面3c上に配置されていてもよい。この場合、電極部5cの第一電極層E1は、側面3cの一部と稜線部3gの全体とを覆うように形成される。すなわち、電極部5cの第一電極層E1は、側面3cの一部とも接する。側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける端面3e寄りの一部領域である。
【0033】
電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び側面3c上に配置されている。第一電極層E1の一部が、第二電極層E2で覆われている。電極部5cでは、第二電極層E2は、側面3cの一部と第一電極層E1の一部とに接している。電極部5cの第二電極層E2は、側面3c上に位置している部分E22を有する。電極部5cの第二電極層E2は、稜線部3iの一部と側面3cの一部とを覆うように形成されている。稜線部3iの一部は、たとえば、稜線部3iにおける主面3a寄りの一部領域である。側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける主面3a及び端面3e寄りの角領域である。電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と素体3との間に位置するように、稜線部3iの一部を間接的に覆っている。電極部5cの第二電極層E2は、側面3cの一部を直接覆っている。電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1における稜線部3iに形成されている部分の一部を直接覆っている。電極部5cの第一電極層E1が、側面3c上に配置されている場合、第二電極層E2の部分E22は、側面3cと接している部分と、第一電極層E1に接している部分と、を含む。
【0034】
電極部5cは、複数の領域5c1,5c2を有している。本実施形態では、電極部5cは、二つの領域5c1,5c2のみを有している。領域5c2は、領域5c1よりも主面3a寄りに位置している。領域5c1は、第一電極層E1、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。領域5c1は、第二電極層E2を有していない。領域5c1は、三層構造を有している。領域5c2は、第一電極層E1、第二電極層E2、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。領域5c2は、稜線部3i上では四層構造を有しており、側面3c上では三層構造を有している。領域5c1は、第一電極層E1が第二電極層E2から露出している領域である。領域5c2は、第一電極層E1が第二電極層E2で覆われている領域である。領域5c2が、部分E22を有している。
【0035】
電極部5eの第一電極層E1は、端面3e上に配置されている。端面3eの全体が、第一電極層E1に覆われている。電極部5eの第一電極層E1は、端面3eの全体と接している。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1上に配置されている。第一電極層E1の一部が、第二電極層E2で覆われている。電極部5eでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の一部と接している。電極部5eの第二電極層E2は、端面3e上に位置している部分E23を有する。電極部5eの第二電極層E2は、端面3eの一部を覆うように形成されている。端面3eの一部は、たとえば、端面3eにおける主面3a寄りの一部領域である。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と素体3との間に位置するように、端面3eの一部を間接的に覆っている。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1における端面3eに形成されている部分の一部を直接覆っている。電極部5eでは、第一電極層E1は、対応する内部電極7,9の一端と接続されるように端面3eに形成されている。
【0036】
電極部5eは、複数の領域5e1,5e2を有している。本実施形態では、電極部5eは、二つの領域5e1,5e2のみを有している。領域5e2は、領域5e1よりも主面3a寄りに位置している。領域5e1は、第一電極層E1、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。領域5e1は、第二電極層E2を有していない。領域5e1は、三層構造を有している。領域5e2は、第一電極層E1、第二電極層E2、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。電極部5eでは、第三電極層E3及び第四電極層E4は、第三方向D3から見て、端面3eの全体を覆うように形成されている。本実施形態では、第三電極層E3及び第四電極層E4は、端面3eの全体を間接的に覆っている。領域5e2は、四層構造を有している。領域5e1は、第一電極層E1が第二電極層E2から露出している領域である。領域5e2は、第一電極層E1が第二電極層E2で覆われている領域である。領域5e2が、部分E23を有している。
【0037】
図6に示されるように、第二電極層E2の部分E2
1の最大厚みT1は、第二電極層E2の部分E2
2の最大厚みT2より大きい。第二電極層E2の部分E2
1の面積は、第二電極層E2の部分E2
2の面積より大きい。
図7に示されるように、第二電極層E2の最大厚みT1は、第二電極層E2の部分E2
3の最大厚みT3より大きい。たとえば、第二電極層E2の部分E2
1が第一部分を構成する場合、第二電極層E2の部分E2
3は、第二部分を構成する。
図6及び
図7では、内部電極7,9の図示が省略されている。
【0038】
第一電極層E1は、素体3の表面に付与された導電性ペーストを焼き付けることにより形成されている。第一電極層E1は、端面3e及び稜線部3g,3h,3iを覆うように形成されている。第一電極層E1は、導電性ペーストに含まれる金属成分(金属粉末)が焼結することにより形成されている。第一電極層E1は、焼結金属層である。第一電極層E1は、素体3に形成された焼結金属層である。第一電極層E1は、一対の主面3a,3b及び一対の側面3cに意図的に形成されていない。たとえば製造誤差などにより、第一電極層E1が意図せず主面3a,3b及び側面3cに形成されていてもよい。本実施形態では、第一電極層E1は、Cuからなる焼結金属層である。第一電極層E1は、Niからなる焼結金属層であってもよい。第一電極層E1は、卑金属を含んでいる。導電性ペーストは、たとえば、Cu又はNiからなる粉末、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を含んでいる。各電極部5a,5b,5c,5eが有している第一電極層E1は、一体的に形成されている。
【0039】
第二電極層E2は、第一電極層E1上、主面3a上、及び一対の側面3c上に付与された導電性樹脂を硬化させることにより形成されている。第二電極層E2は、第一電極層E1上と素体3上とにわたって形成されている。第一電極層E1は、第二電極層E2を形成するための下地金属層である。第二電極層E2は、第一電極層E1を覆う導電性樹脂層である。導電性樹脂は、たとえば、樹脂、導電性材料、及び有機溶媒を含んでいる。樹脂は、たとえば、熱硬化性樹脂である。導電性材料は、たとえば、金属粉末である。金属粉末は、たとえば、Ag粉末又はCu粉末である。熱硬化性樹脂は、たとえば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂である。
【0040】
本実施形態では、第二電極層E2は、第一電極層E1の一部を覆っている。第一電極層E1の一部は、たとえば、第一電極層E1における、電極部5a、電極部5cの領域5c2、及び電極部5eの領域5e2に対応する領域である。第二電極層E2は、稜線部3jの一部を直接覆っている。稜線部3jの一部は、たとえば、稜線部3jにおける端面3e寄りの一部領域である。第二電極層E2は、稜線部3jの一部と接している。各電極部5a,5b,5c,5eが有している第二電極層E2は、一体的に形成されている。
【0041】
第三電極層E3は、第二電極層E2上にめっき法により形成されている。本実施形態では、第三電極層E3は、第二電極層E2上にNiめっきにより形成されている。第三電極層E3は、Niめっき層である。第三電極層E3は、Snめっき層、Cuめっき層、又はAuめっき層であってもよい。第三電極層E3は、Ni、Sn、Cu、又はAuを含んでいる。Niめっき層は、第二電極層E2に含まれる金属よりも耐はんだ喰われ性に優れている。
【0042】
第四電極層E4は、第三電極層E3上にめっき法により形成されている。第四電極層E4は、はんだめっき層である。本実施形態では、第四電極層E4は、第三電極層E3上にSnめっきにより形成されている。第四電極層E4は、Snめっき層である。第四電極層E4は、Sn-Ag合金めっき層、Sn-Bi合金めっき層、又はSn-Cu合金めっき層であってもよい。第四電極層E4は、Sn、Sn-Ag合金、Sn-Bi合金、又はSn-Cu合金を含んでいる。
【0043】
第三電極層E3と第四電極層E4とは、第二電極層E2に形成されるめっき層PLを構成している。本実施形態では、第二電極層E2に形成されるめっき層PLは、二層構造を有している。第三電極層E3は、最外層を構成する第四電極層E4と、第二電極層E2との間に位置している中間めっき層である。各電極部5a,5b,5c,5eが有している第三電極層E3は、一体的に形成されている。各電極部5a,5b,5c,5eが有している第四電極層E4は、一体的に形成されている。
【0044】
第一電極層E1(電極部5eの第一電極層E1)は、対応する内部電極7,9と接続されるように、端面3eに形成されている。第一電極層E1は、端面3eの全体、稜線部3gの全体、稜線部3hの全体、及び稜線部3iの全体を覆っている。第二電極層E2(電極部5a,5c,5eの第二電極層E2)は、主面3aの一部、端面3eの一部、及び一対の側面3cの各一部を連続して覆っている。第二電極層E2(電極部5a,5c,5eの第二電極層E2)は、稜線部3gの全体、稜線部3iの一部、及び稜線部3jの一部を覆っている。第二電極層E2は、主面3aの一部、端面3eの一部、一対の側面3cの各一部、稜線部3gの全体、稜線部3iの一部、及び稜線部3jの一部にそれぞれ対応する複数の部分を有している。第一電極層E1(電極部5eの第一電極層E1)は、対応する内部電極7,9と直接的に接続されている。
【0045】
第一電極層E1(電極部5a,5b,5c,5eの第一電極層E1)は、第二電極層E2(電極部5a,5c,5eの第二電極層E2)で覆われている領域と、第二電極層E2(電極部5a,5c,5eの第二電極層E2)で覆われていない領域とを有している。第二電極層E2で覆われていない領域は、第二電極層E2から露出している領域である。第三電極層E3及び第四電極層E4は、第一電極層E1の第二電極層E2で覆われていない領域と、第二電極層E2とを覆っている。
【0046】
図8に示されるように、第一方向D1から見たとき、第一電極層E1(電極部5aの第一電極層E1)の全体が第二電極層E2で覆われている。第一方向D1から見たとき、第一電極層E1(電極部5aの第一電極層E1)は、第二電極層E2から露出していない。
【0047】
図9に示されているように、第二方向D2から見たとき、第一電極層E1の主面3a寄りの端領域が、第二電極層E2で覆われている。第一電極層E1の主面3a寄りの端領域は、領域5c
2が有する第一電極層E1を含んでいる。第二方向D2から見たとき、第二電極層E2の端縁E2eが、第一電極層E1の端縁E1eと交差している。第二方向D2から見たとき、第一電極層E1の主面3b寄りの端領域は、第二電極層E2から露出している。第一電極層E1の主面3b寄りの端領域は、領域5c
1が有する第一電極層E1を含んでいる。
【0048】
図10に示されるように、第三方向D3から見たとき、第一電極層E1の主面3a寄りの端領域が、第二電極層E2で覆われている。第一電極層E1の主面3a寄りの端領域は、領域5e
2が有する第一電極層E1を含んでいる。第三方向D3から見たとき、第二電極層E2の端縁E2eが、第一電極層E1上に位置している。第三方向D3から見たとき、第一電極層E1の主面3b寄りの端領域は、第二電極層E2から露出している。第一電極層E1の主面3b寄りの端領域は、領域5e
1が有する第一電極層E1を含んでいる。
【0049】
本実施形態では、第二電極層E2は、主面3aの一部のみ、端面3eの一部のみ、及び一対の側面3cの各一部のみを連続して覆っている。第二電極層E2は、稜線部3gの全体、稜線部3iの一部のみ、及び稜線部3jの一部のみを覆っている。第一電極層E1の、稜線部3iを覆っている部分の一部は、第二電極層E2から露出している。たとえば、領域5c1が有する第一電極層E1は、第二電極層E2から露出している。
【0050】
第二電極層E2には、
図3~
図7に示されるように、複数の空隙13が存在している。複数の空隙13は、第二電極層E2内に分散している。複数の空隙13のうちいくつかの空隙13は互いに連通している。互いに連通している空隙13は、少なくとも一つの通路を構成する。互いに連通している空隙13により構成される通路は、第二電極層E2の表面に開口している。第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、空隙13の最大長さは、1~20μmの範囲内である。本実施形態では、空隙13の最大長さは、20μmである。
【0051】
めっき層PLは、上述したように、第三電極層E3及び第四電極層E4を含んでいる。めっき層PLは、部分E2
1上に位置している部分PL1と、部分E2
2上に位置している部分PL2と、部分E2
3上に位置している部分PL3と、を有している。部分PL1は、端縁PL1eを有している。部分PL2は、端縁PL2eを有している。本実施形態では、端面3eの全体が外部電極5で覆われているので、部分PL3は、端縁を有していない。めっき層PL(第三電極層E3及び第四電極層E4)は、素体3から離れている。
図7に示されるように、端縁PL1eと素体3(主面3a)との間には、間隙17が存在している。
図6に示されるように、端縁PL2eと素体3(側面3c)との間には、間隙19が存在している。間隙17,19の幅は、たとえば、0より大きく3μm以下である。間隙17の幅と、間隙19の幅とは、同じでもよい。間隙17の幅と、間隙19の幅とは、異なっていてもよい。
【0052】
第二電極層E2は、上述したように、部分E21と、部分E22と、部分E23と、を有している。第二電極層E2の部分E21での空隙13の存在割合は、第二電極層E2の部分E22での空隙13の存在割合より大きい。第二電極層E2の部分E21での空隙13の存在割合は、第二電極層E2の部分E23での空隙13の存在割合より大きい。空隙13の存在割合は、第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、第二電極層E2の面積に対する空隙13の総面積の割合である。本実施形態では、第二電極層E2の厚み方向は、部分E21では、主面3aに直交する方向と一致し、部分E22では、側面3cに直交する方向と一致し、部分E23では、端面3eに直交する方向と一致する。すなわち、第二電極層E2の厚み方向は、部分E21では、第一方向D1と一致し、部分E22では、第二方向D2と一致し、部分E23では、第三方向D3と一致する。
【0053】
第二電極層E2の部分E21での空隙13の存在割合は、たとえば、第二電極層E2(部分E21)の厚み方向に沿う断面において、部分E21に存在する空隙13の総面積を、部分E21の面積で除し、百分率で表した値である。部分E21での空隙13の存在割合は、5~35%の範囲内である。本実施形態では、部分E21に存在する空隙13の総面積は、1250~21000μm2である。部分E21の面積は、0.025~0.060mm2である。たとえば、部分E21に存在する空隙13の総面積は、9000μm2であり、部分E21の面積は、0.045mm2である。この場合、部分E21での空隙13の存在割合は、20%である。部分E21の面積は、部分E21において、第一電極層E1の表面と、第二電極層E2の表面とで画成される領域の面積である。部分E21の面積は、部分E21に存在する空隙13の総面積を含んでいる。
【0054】
第二電極層E2の部分E22での空隙13の存在割合は、たとえば、第二電極層E2(部分E22)の厚み方向に沿う断面において、部分E22に存在する空隙13の総面積を、部分E22の面積で除し、百分率で表した値である。部分E22での空隙13の存在割合は、5~35%の範囲内である。本実施形態では、部分E22に存在する空隙13の総面積は、1000~16800μm2である。部分E22の面積は、0.02~0.048mm2である。たとえば、部分E22に存在する空隙13の総面積は、2800μm2であり、部分E22の面積は、0.028mm2である。この場合、部分E22での空隙13の存在割合は、10%である。部分E22の面積は、部分E22において、第一電極層E1の表面と、第二電極層E2の表面とで画成される領域の面積である。部分E22の面積は、部分E22に存在する空隙13の総面積を含んでいる。
【0055】
第二電極層E2の部分E23での空隙13の存在割合は、たとえば、第二電極層E2(部分E23)の厚み方向に沿う断面において、部分E23に存在する空隙13の総面積を、部分E23の面積で除し、百分率で表した値である。部分E23での空隙13の存在割合は、5~35%の範囲内である。本実施形態では、部分E23に存在する空隙13の総面積は、1000~16800μm2である。部分E23の面積は、0.02~0.048mm2である。たとえば、部分E23に存在する空隙13の総面積は、2800μm2であり、部分E23の面積は、0.028mm2である。この場合、部分E23での空隙13の存在割合は、10%である。部分E23の面積は、部分E23において、第一電極層E1の表面と、第二電極層E2の表面とで画成される領域の面積である。部分E23の面積は、部分E23に存在する空隙13の総面積を含んでいる。
【0056】
空隙13の最大長さは、たとえば、以下のようにして求めることができる。
【0057】
外部電極5の断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、電極部5aを主面3aに直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。断面写真は、たとえば、互いに対向している一対の面(たとえば、一対の側面3c)に平行であり、かつ、当該一対の面から等距離に位置している平面で切断したときの電極部5aの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、空隙13の境界を判別し、空隙13の最大長さを求める。複数の空隙13の最大長さを求め、複数の空隙13の最大長さの平均値を求めてもよい。この場合、平均値を空隙13の最大長さとする。
【0058】
各部分E21,E22,E23での空隙13の総面積は、たとえば、以下のようにして求めることができる。
外部電極5(電極部5a及び電極部5e)の断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、外部電極5を主面3aと端面3eとに直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。断面写真は、たとえば、一対の側面3cに平行であり、かつ、一対の側面3cから等距離に位置している平面で切断したときの外部電極5の断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、空隙13の境界を判別し、部分E21に存在する空隙13の総面積と、部分E23に存在する空隙13の総面積と、を求める。
外部電極5(電極部5c)の断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、外部電極5を側面3cに直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。断面写真は、たとえば、一対の主面3a,3bに平行であり、かつ、一対の主面3a,3bから等距離に位置している平面で切断したときの外部電極5の断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、空隙13の境界を判別し、部分E22に存在する空隙13の総面積を求める。
【0059】
各部分E21,E22,E23での第二電極層E2の面積は、たとえば、以下のようにして求めることができる。
外部電極5(電極部5a及び電極部5e)の断面写真を取得する。断面写真は、上述したように、外部電極5を主面3aと端面3eとに直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、第一電極層E1の表面(第一電極層E1と第二電極層E2との境界)と、第二電極層E2の表面(第二電極層E2と第三電極層E3との境界)と、を判別し、部分E21での第二電極層E2の面積と、部分E23での第二電極層E2面積と、を求める。
外部電極5(電極部5c)の断面写真を取得する。断面写真は、上述したように、外部電極5を側面3cに直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、第一電極層E1の表面(第一電極層E1と第二電極層E2との境界)と、第二電極層E2の表面(第二電極層E2と第三電極層E3との境界)と、を判別し、部分E22での第二電極層E2の面積を求める。
【0060】
以上のように、本実施形態では、積層コンデンサC1がはんだ実装される際に、第二電極層E2に含まれている樹脂に吸収された水分がガス化した場合でも、水分から発生したガスは、複数の空隙13から間隙17,19に至る。間隙17,19に至ったガスは、外部電極5外に移動して、第二電極層E2に応力が作用しがたい。この結果、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離を抑制する。
積層コンデンサC1では、第二電極層E2の部分E21での空隙13の存在割合が、第二電極層E2の部分E23での空隙13の存在割合より大きい。したがって、第二電極層E2内で水分から発生したガスは、端縁PL1eと素体3との間の間隙17を通して、外部電極5外に移動しやすい。部分E23にて発生したガスは、複数の空隙13により構成される通路を通して、部分E21に至りやすい。部分E21に至ったガスは、上述したように、端縁PL1eと素体3との間の間隙17を通して、外部電極5外に移動する。したがって、積層コンデンサC1は、ガスが出る位置を制御する。
積層コンデンサC1では、第二電極層E2の部分E22での空隙13の存在割合が、第二電極層E2の部分E21での空隙13の存在割合より小さい。したがって、第二電極層E2内で水分から発生したガスは、端縁PL2eと素体3との間の間隙19から移動しがたい。したがって、積層コンデンサC1は、ガスが出る位置を確実に制御する。
【0061】
積層コンデンサC1がはんだ実装される際に、端面3eに対応する位置では、主面3aに対応する位置に比して、溶融したはんだが多く存在するので、はんだ爆ぜが生じるおそれがある。はんだ爆ぜは、積層コンデンサC1が電子機器にはんだ実装する際に、溶融したはんだが、外部電極5から出るガスにより飛ばされる現象である。
積層コンデンサC1では、部分E23にて発生したガスは、上述したように、部分E21に至りやすい。したがって、部分E23にて発生したガスは、部分E21から間隙17を通して外部電極5外に移動する。この結果、積層コンデンサC1は、はんだ爆ぜが生じるのを抑制する。
電極部5cが有している第二電極層E2にて発生したガスは、複数の空隙13により構成される通路を通して、電極部5aが有している第二電極層E2に至りやすい。電極部5aが有している第二電極層E2に至ったガスは、上述したように、間隙17を通して、外部電極5外に移動する。
【0062】
積層コンデンサC1では、部分E21の最大厚みT1は、部分E23の最大厚みT3より大きい。したがって、部分E21でのガスの移動経路が増加して、ガスが部分E21を移動しやすい。ガスは、間隙17を通して、外部電極5外により一層移動しやすい。この結果、積層コンデンサC1では、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたく、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
積層コンデンサC1では、部分E21の最大厚みT1は、部分E22の最大厚みT2より大きい。したがって、部分E21でのガスの移動経路が増加して、ガスが部分E21を移動しやすい。ガスは、間隙17を通して、外部電極5外により一層移動しやすい。この結果、積層コンデンサC1では、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたく、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
【0063】
積層コンデンサC1では、第二電極層E2の部分E21の厚み方向に沿う断面において、部分E21での空隙13の総面積は、部分E21の面積の5~35%の範囲内である。部分E21の厚み方向に沿う断面において、部分E21での空隙13の総面積が、部分E21の面積の5%より小さい場合、水分から発生したガスが空隙13内を移動しがたくなるおそれがある。部分E21の厚み方向に沿う断面において、部分E21での空隙13の総面積が、部分E21の面積の35%より大きい場合、第二電極層E2に水分が浸入しやすく、ガスの発生量が増加するおそれがある。したがって、積層コンデンサC1は、ガスの発生量の増加を抑制しつつ、部分E21でのガスの移動が阻害されるのを抑制する。
【0064】
積層コンデンサC1では、主面3aは、実装面を構成している。
積層コンデンサC1が電子機器にはんだ実装されている場合、電子機器から積層コンデンサC1に作用する外力が、素体3に応力として作用することがある。外力は、はんだ実装の際に形成されたはんだフィレットから外部電極5を通して素体3に作用する。この場合、素体3にクラックが発生するおそれがある。外力は、たとえば、主面3aに作用する傾向がある。
積層コンデンサC1では、部分E21が、主面3a上に位置しているので、電子機器から積層コンデンサC1に作用する外力が素体3に作用しがたい。部分E21での空隙の存在割合が、部分E23での空隙の存在割合より大きい場合、部分E21は、部分E23に比して、素体3に作用する外力を緩和しやすい。したがって、積層コンデンサC1は、クラックが素体3に発生するのを確実に抑制する。
【0065】
積層コンデンサC1では、第二電極層E2は、主面3aの一部、各側面3cの一部、及び端面3eの一部を連続して覆うように形成されている。めっき層PL(第三電極層E3及び第四電極層E4)は、端面3eの全体を覆うように形成されている。
外力は、たとえば、素体3における、主面3aの一部と、各側面3cの一部と、端面3eの一部とで画成される領域に作用する傾向もある。積層コンデンサC1では、第二電極層E2が、主面3aの一部、各側面3cの一部、及び端面3eの一部を連続して覆っているので、電子機器から積層コンデンサC1に作用する外力が素体3に作用しがたい。したがって、積層コンデンサC1は、クラックが素体3に発生するのを抑制する。
めっき層PLが、端面3eの全体を覆うように形成されているので、めっき層PLと端面3eとの間には間隙が存在しがたい。したがって、第二電極層E2の部分E23で発生したガスは、部分E21に移動し、間隙17を通して、外部電極5外に移動する。この結果、積層コンデンサC1は、ガスが出る位置をより一層確実に制御し、はんだ爆ぜが生じるのを確実に抑制する。
【0066】
積層コンデンサC1では、第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、複数の空隙13の各最大長さは、1~20μmの範囲内である。第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、複数の空隙13の各最大長さが、1μmより小さい場合、水分から発生したガスが空隙13内を移動しがたくなるおそれがある。第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、複数の空隙13の各最大長さが、20μmより大きい場合、第二電極層E2に水分が滞留しやすく、ガスの発生量が増加するおそれがある。したがって、積層コンデンサC1は、ガスの発生量の増加を確実に抑制しつつ、第二電極層E2でのガスの移動が阻害されるのを確実に抑制する。
【0067】
次に、
図11~
図15を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサC2の構成を説明する。
図11は、本変形例に係る積層コンデンサの斜視図である。
図12及び
図13は、本変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図14及び
図15は、外部電極の断面構成を示す図である。積層コンデンサC2は、概ね、上述した積層コンデンサC1と類似又は同じであるが、本変形例は、外部電極5の構成に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と本変形例との相違点を主として説明する。
【0068】
図11~
図13に示されるように、積層コンデンサC2は、積層コンデンサC1と同じく、素体3、複数の外部電極5、複数の内部電極7、及び複数の内部電極9を備えている。積層コンデンサC2では、一対の主面3a,3b及び一対の側面3cのうち一つの面が、電子機器と対向する。たとえば、積層コンデンサC2では、側面3cが、実装面を構成するように配置される。この場合、側面3cが、実装面である。主面3a及び主面3bは、直方体形状を呈している素体3が有する側面でもある。外部電極5は、一対の主面3a,3b、一つの端面3e、及び一対の側面3cの五つの面、並びに、稜線部3g,3h,3i,3jに形成されている。各電極部5a,5b,5c,5eは、第一電極層E1、第二電極層E2、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。
【0069】
電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3g上に配置されており、主面3a上には配置されていない。電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3gの全体を覆うように形成されている。第一電極層E1は、主面3aに形成されていない。電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3gの全体と接している。主面3aは、第一電極層E1に覆われておらず、第一電極層E1から露出している。本変形例でも、電極部5aの第一電極層E1は、主面3a上に配置されていてもよい。
【0070】
電極部5aの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び主面3a上に配置されている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を覆っている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。第二電極層E2は、主面3aの一部と接している。主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5aは、稜線部3g上では四層構造を有しており、主面3a上では三層構造を有している。電極部5aの第二電極層E2は、稜線部3gの全体と主面3aの一部とを覆うように形成されている。上述したように、主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5aの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と素体3との間に位置するように、稜線部3gの全体と主面3aの一部とを間接的に覆っている。電極部5aの第二電極層E2は、主面3aの一部を直接覆っている。電極部5aの第二電極層E2は、稜線部3gに形成されている第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5aの第一電極層E1が、主面3a上に配置されている場合、上述したように、電極部5aは、主面3a及び稜線部3g上で四層構造を有する。電極部5aの第二電極層E2は、主面3a上に位置している部分E21aを有する。本変形例でも、電極部5aの第一電極層E1が、主面3a上に配置されている場合、第二電極層E2の部分E21aは、主面3aと接している部分と、第一電極層E1と接している部分と、を含む。
【0071】
電極部5bの第一電極層E1は、稜線部3h上に配置されており、主面3b上には配置されていない。電極部5bの第一電極層E1は、稜線部3hの全体を覆うように形成されている。第一電極層E1は、主面3bに形成されていない。電極部5bの第一電極層E1は、稜線部3hの全体と接している。主面3bは、第一電極層E1に覆われておらず、第一電極層E1から露出している。本変形例でも、電極部5bの第一電極層E1は、主面3b上に配置されていてもよい。
【0072】
電極部5bの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び主面3b上に配置されている。電極部5bでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を覆っている。電極部5bでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。第二電極層E2は、主面3bの一部と接している。主面3bの一部は、たとえば、主面3bにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5bは、稜線部3h上では四層構造を有しており、主面3b上では三層構造を有している。電極部5bの第二電極層E2は、稜線部3hの全体と主面3bの一部とを覆うように形成されている。上述したように、主面3bの一部は、たとえば、主面3bにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5bの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と素体3との間に位置するように、稜線部3hの全体と主面3bの一部とを間接的に覆っている。電極部5bの第二電極層E2は、主面3bの一部を直接覆っている。電極部5bの第二電極層E2は、稜線部3hに形成されている第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5aの第一電極層E1が、主面3a上に配置されている場合、電極部5aは、主面3a及び稜線部3h上で四層構造を有する。電極部5bの第二電極層E2は、主面3b上に位置している部分E21bを有する。本変形例では、電極部5bの第一電極層E1が、主面3b上に配置されている場合、第二電極層E2の部分E21bは、主面3bと接している部分と、第一電極層E1と接している部分と、を含む。
【0073】
電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3i上に配置されており、側面3c上には配置されていない。電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3iの全体を覆うように形成されている。第一電極層E1は、側面3cに形成されていない。電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3iの全体と接している。側面3cは、第一電極層E1に覆われておらず、第一電極層E1から露出している。本変形例でも、電極部5cの第一電極層E1は、側面3c上に配置されていてもよい。
【0074】
電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び側面3c上に配置されている。電極部5cでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を覆っている。電極部5cでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。第二電極層E2は、側面3cの一部と接している。側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5cは、稜線部3i上では四層構造を有しており、側面3c上では三層構造を有している。電極部5cの第二電極層E2は、稜線部3iの全体と側面3cの一部とを覆うように形成されている。上述したように、側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と素体3との間に位置するように、稜線部3iの全体と側面3cの一部とを間接的に覆っている。電極部5cの第二電極層E2は、側面3cの一部を直接覆っている。電極部5cの第二電極層E2は、稜線部3iに形成されている第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5cの第一電極層E1が、側面3c上に配置されている場合、電極部5cは、側面3c上及び稜線部3i上で四層構造を有する。電極部5cの第二電極層E2は、側面3c上に位置している部分E22を有する。本変形例でも、電極部5cの第一電極層E1が、側面3c上に配置されている場合、第二電極層E2の部分E22は、側面3cと接している部分と、第一電極層E1と接している部分と、を含む。
【0075】
電極部5eの第一電極層E1は、端面3e上に配置されている。端面3eの全体が、第一電極層E1に覆われている。電極部5eの第一電極層E1は、端面3eの全体と接している。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1上に配置されている。電極部5eでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。電極部5eの第二電極層E2は、端面3eの全体を覆うように形成されている。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と端面3eとの間に位置するように、端面3eの全体を間接的に覆っている。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5eでは、第一電極層E1は、対応する内部電極7,9の一端と接続されるように端面3eに形成されている。電極部5eの第二電極層E2は、端面3e上に位置している部分E23を有する。
【0076】
本変形例でも、
図14及び
図15に示されるように、第二電極層E2の各部分E2
1a,E2
1bの最大厚みT1は、第二電極層E2の部分E2
2の最大厚みT2より大きい。
図14に示されるように、第二電極層E2の最大厚みT1は、第二電極層E2の部分E2
3の最大厚みT3より大きい。たとえば、第二電極層E2の各部分E2
1a,E2
1bが第一部分を構成する場合、第二電極層E2の部分E2
3は、第二部分を構成する。
【0077】
第二電極層E2には、
図12~
図15に示されるように、複数の空隙13が存在している。第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、空隙13の最大長さは、1~20μmの範囲内である。本変形例では、空隙13の最大長さは、20μmである。
【0078】
めっき層PLは、部分E2
1a上に位置している部分PL1aと、部分E2
1b上に位置している部分PL1bと、部分E2
2上に位置している部分PL2と、部分E2
3上に位置している部分PL3と、を有している。部分PL1aは、端縁PL1eaを有している。部分PL1bは、端縁PL1ebを有している。部分PL2は、端縁PL2eを有している。本変形例でも、部分PL3は、端縁を有していない。
図14に示されるように、端縁PL1eaと素体3(主面3a)との間には、間隙17が存在している。端縁PL1ebと素体3(主面3b)との間には、間隙18が存在している。
図15に示されるように端縁PL2eと素体3(側面3c)との間には、間隙19が存在している。間隙17,18,19の幅は、たとえば、0より大きく3μm以下である。各間隙17,18,19の幅は、同じでもよい。各間隙17,18,19の幅は、異なっていてもよい。
【0079】
第二電極層E2は、上述したように、部分E21aと、部分E21bと、部分E22と、部分E23と、を有している。第二電極層E2の各部分E21a,E21bでの空隙13の存在割合は、第二電極層E2の部分E22での空隙13の存在割合より大きい。第二電極層E2の各部分E21a,E21bでの空隙13の存在割合は、第二電極層E2の部分E23での空隙13の存在割合より大きい。本変形例でも、第二電極層E2の厚み方向は、部分E21a,E21bでは、主面3aに直交する方向と一致し、部分E22では、側面3cに直交する方向と一致し、部分E23では、端面3eに直交する方向と一致する。すなわち、第二電極層E2の厚み方向は、各部分E21a,E21bでは、第一方向D1と一致し、部分E22では、第二方向D2と一致し、部分E23では、第三方向D3と一致する。
【0080】
第二電極層E2の各部分E21a,E21bでの空隙13の存在割合は、部分E21での空隙13の存在割合と同様に、たとえば、第二電極層E2(各部分E21a,E21b)の厚み方向に沿う断面において、各部分E21a,E21bに存在する空隙13の総面積を、各部分E21a,E21bの面積で除し、百分率で表した値である。各部分E21a,E21bでの空隙13の存在割合は、5~35%の範囲内である。本変形例では、各部分E21a,E21bに存在する空隙13の総面積は、500~21000μm2である。各部分E21a,E21bの面積は、0.010~0.060mm2である。たとえば、各部分E21a,E21bに存在する空隙13の総面積は、7000μm2であり、各部分E21a,E21bの面積は、0.035mm2である。この場合、各部分E21a,E21bでの空隙13の存在割合は、20%である。各部分E21a,E21bの面積は、各部分E21a,E21bにおいて、第一電極層E1の表面と、第二電極層E2の表面とで画成される領域の面積である。各部分E21a,E21bの面積は、各部分E21a,E21bに存在する空隙13の総面積を含んでいる。
【0081】
第二電極層E2の部分E22での空隙13の存在割合は、たとえば、第二電極層E2(部分E22)の厚み方向に沿う断面において、部分E22に存在する空隙13の総面積を、部分E22の面積で除し、百分率で表した値である。部分E22での空隙13の存在割合は、5~35%の範囲内である。本変形例では、部分E22に存在する空隙13の総面積は、300~12600μm2である。部分E22の面積は、0.006~0.036mm2である。たとえば、部分E22に存在する空隙13の総面積は、2100μm2であり、部分E22の面積は、0.021mm2である。この場合、部分E22での空隙13の存在割合は、10%である。部分E22での空隙13の存在割合は、たとえば、各部分E21a,E21bでの空隙13の存在割合と同等であってもよい。部分E22での空隙13の存在割合は、たとえば、20%であってもよい。この場合、部分E22に存在する空隙13の総面積は、たとえば、500~21000μm2であり、部分E22の面積は、たとえば、0.010~0.060mm2である。より具体的には、部分E22に存在する空隙13の総面積は、たとえば、7000μm2であり、部分E22の面積は、たとえば、0.035mm2である。部分E22の面積は、部分E22において、第一電極層E1の表面と、第二電極層E2の表面とで画成される領域の面積である。部分E22の面積は、部分E22に存在する空隙13の総面積を含んでいる。
【0082】
第二電極層E2の部分E23での空隙13の存在割合は、たとえば、第二電極層E2(部分E23)の厚み方向に沿う断面において、部分E23に存在する空隙13の総面積を、部分E23の面積で除し、百分率で表した値である。部分E23での空隙13の存在割合は、5~35%の範囲内である。本変形例では、部分E23に存在する空隙13の総面積は、1000~70000μm2である。部分E23の面積は、0.02~0.20mm2である。たとえば、部分E23に存在する空隙13の総面積は、10000μm2であり、部分E23の面積は、0.10mm2である。この場合、部分E23での空隙13の存在割合は、10%である。部分E23の面積は、部分E23において、第一電極層E1の表面と、第二電極層E2の表面とで画成される領域の面積である。部分E23の面積は、部分E23に存在する空隙13の総面積を含んでいる。
【0083】
空隙13の最大長さは、上述した実施形態と同様の手法で求めることができる。各部分E21a,E21b,E22,E23での空隙13の総面積は、上述した実施形態と同様の手法で求めることができる。各部分E21a,E21b,E22,E23での第二電極層E2の面積も、上述した実施形態と同様の手法で求めることができる。
【0084】
以上のように、本変形例でも、積層コンデンサC2がはんだ実装される際に、第二電極層E2に含まれている樹脂に吸収された水分がガス化した場合でも、水分から発生したガスは、複数の空隙13から間隙17,18,19に至る。間隙17,18,19に至ったガスは、外部電極5外に移動して、第二電極層E2に応力が作用しがたい。この結果、積層コンデンサC2は、第二電極層E2の剥離を抑制する。
積層コンデンサC2では、第二電極層E2の各部分E21a,E21bでの空隙13の存在割合が、第二電極層E2の部分E23での空隙13の存在割合より大きい。したがって、第二電極層E2内で水分から発生したガスは、端縁PL1eaと素体3との間の間隙17を通して、外部電極5外に移動しやすい。第二電極層E2内で水分から発生したガスは、端縁PL1ebと素体3との間の間隙18を通して、外部電極5外に移動しやすい。部分E23にて発生したガスは、複数の空隙13により構成される通路を通して、部分E21a又は部分E21bに至りやすい。部分E21aに至ったガスは、上述したように、間隙17を通して、外部電極5外に移動する。部分E21bに至ったガスは、上述したように、間隙18を通して、外部電極5外に移動する。この結果、積層コンデンサC2は、積層コンデンサC1と同様に、ガスが出る位置を制御する。
積層コンデンサC2では、第二電極層E2の部分E22での空隙13の存在割合が、第二電極層E2の各部分E21a,E21bでの空隙13の存在割合より小さい。したがって、第二電極層E2内で水分から発生したガスは、端縁PL2eと素体3との間の間隙19から移動しがたい。したがって、積層コンデンサC2は、ガスが出る位置を確実に制御する。
【0085】
積層コンデンサC2では、部分E23にて発生したガスは、上述したように、部分E21a又は部分E21bに至りやすい。したがって、部分E23にて発生したガスは、部分E21a,E21bから間隙17,18を通して外部電極5外に移動する。この結果、積層コンデンサC2は、積層コンデンサC1と同様に、はんだ爆ぜが生じるのを抑制する。
電極部5cが有している第二電極層E2にて発生したガスは、複数の空隙13により構成される通路を通して、電極部5aが有している第二電極層E2に至りやすい。電極部5aが有している第二電極層E2に至ったガスは、上述したように、間隙17又は間隙18を通して、外部電極5外に移動する。
【0086】
積層コンデンサC2では、各部分E21a,E21bの最大厚みT1は、部分E23の最大厚みT3より大きい。したがって、積層コンデンサC2でも、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたく、積層コンデンサC2も、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
積層コンデンサC2では、各部分E21a,E21bの最大厚みT1は、部分E22の最大厚みT2より大きい。したがって、積層コンデンサC2では、積層コンデンサC1と同様に、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたく、積層コンデンサC2は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
【0087】
積層コンデンサC2では、第二電極層E2の部分E21aの厚み方向に沿う断面において、部分E21aでの空隙13の総面積は、部分E21aの面積の5~35%の範囲内である。第二電極層E2の部分E21bの厚み方向に沿う断面において、部分E21bでの空隙13の総面積は、部分E21bの面積の5~35%の範囲内である。したがって、積層コンデンサC2は、積層コンデンサC1と同様に、ガスの発生量の増加を抑制しつつ、各部分E21a,E21bでのガスの移動が阻害されるのを抑制する。
【0088】
積層コンデンサC2では、主面3a又は主面3bが、実装面を構成している。
積層コンデンサC2でも、部分E21aが主面3a上に位置していると共に、部分E21bが主面3b上に位置しているので、電子機器から積層コンデンサC1に作用する外力が素体3に作用しがたい。各部分E21a,E21bでの空隙の存在割合が、部分E23での空隙の存在割合より大きい場合、各部分E21a,E21bは、部分E23に比して、素体3に作用する外力を緩和しやすい。したがって、積層コンデンサC2は、クラックが素体3に発生するのを確実に抑制する。
【0089】
積層コンデンサC2では、第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、複数の空隙13の各最大長さは、1~20μmの範囲内である。したがって、積層コンデンサC2は、積層コンデンサC1と同様に、ガスの発生量の増加を確実に抑制しつつ、第二電極層E2でのガスの移動が阻害されるのを確実に抑制する。
【0090】
積層コンデンサC1,C2は、素体3と、素体3に配置されている外部電極5と、を備えている。外部電極5は、複数の空隙13が存在している第二電極層E2と、第二電極層E2上に配置されているめっき層PLと、を有している。積層コンデンサC1では、めっき層PLの端縁PL1e,PL2eと素体3との間には、複数の空隙13と連通している間隙17,19が存在している。積層コンデンサC2では、めっき層PLの端縁PL1ea,PL1eb,PL2eと素体3との間には、複数の空隙13と連通している間隙17,18,19が存在している。
積層コンデンサC1がはんだ実装される際に、第二電極層E2に含まれている樹脂に吸収された水分がガス化した場合でも、水分から発生したガスは、複数の空隙13から、間隙17,19に至る。間隙17,19に至ったガスは、外部電極5外に移動して、第二電極層E2に応力が作用しがたい。この結果、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離を抑制する。
積層コンデンサC2がはんだ実装される際に、第二電極層E2に含まれている樹脂に吸収された水分がガス化した場合でも、水分から発生したガスは、複数の空隙13から、間隙17,18,19に至る。間隙17,18,19に至ったガスは、外部電極5外に移動して、第二電極層E2に応力が作用しがたい。この結果、積層コンデンサC2は、第二電極層E2の剥離を抑制する。
【0091】
本明細書では、ある要素が他の要素上に配置されていると記述されている場合、ある要素は、他の要素上に直接配置されていてもよく、他の要素上に間接的に配置されていてもよい。ある要素が他の要素上に間接的に配置されている場合、介在要素が、ある要素と他の要素との間に存在している。ある要素が他の要素上に直接配置されている場合、介在要素は、ある要素と他の要素との間に存在しない。
本明細書では、ある要素が他の要素上に位置していると記述されている場合、ある要素は、他の要素上に直接位置していてもよく、他の要素上に間接的に位置していてもよい。ある要素が他の要素上に間接的に位置している場合、介在要素が、ある要素と他の要素との間に存在している。ある要素が他の要素上に直接位置している場合、介在要素は、ある要素と他の要素との間に存在しない。
本明細書では、ある要素が他の要素を覆うと記述されている場合、ある要素は、他の要素を直接覆っていてもよく、他の要素を間接的に覆っていてもよい。ある要素が他の要素を間接的に覆っている場合、介在要素が、ある要素と他の要素との間に存在している。ある要素が他の要素を直接覆っている場合、介在要素は、ある要素と他の要素との間に存在しない。
【0092】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0093】
第二電極層E2の部分E22での空隙13の存在割合は、第二電極層E2の部分E21,E21a,E21bでの空隙13の存在割合以上であってもよい。部分E22での空隙13の存在割合が、部分E21,E21a,E21bでの空隙13の存在割合より小さい場合、上述したように、積層コンデンサC1,C2は、ガスが出る位置を確実に制御する。
部分E21,E21a,E21bの最大厚みT1は、部分E23の最大厚みT2以下であってもよい。部分E21,E21a,E21bの最大厚みT1が、部分E23の最大厚みT2より大きい場合、上述したように、積層コンデンサC1,C2では、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたく、積層コンデンサC1,C2は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
部分E21,E21a,E21bの最大厚みT1は、部分E22の最大厚みT3以下であってもよい。部分E21,E21a,E21bの最大厚みT1が、部分E22の最大厚みT3より大きい場合、上述したように、積層コンデンサC1,C2では、第二電極層E2に応力がより一層確実に作用しがたく、積層コンデンサC1,C2は、第二電極層E2の剥離をより一層確実に抑制する。
部分E21aの最大厚みT1と、部分E21bの最大厚みT1とは、同じでもよい。部分E21aの最大厚みT1と、部分E21bの最大厚みT1とは、異なっていてもよい。
第二電極層E2の部分E21,E21a,E21bの厚み方向に沿う断面において、部分E21,E21a,E21bでの空隙13の総面積は、部分E21,E21a,E21bの面積の5~35%の範囲外であってもよい部分E21,E21a,E21bの厚み方向に沿う断面において、部分E21,E21a,E21bでの空隙13の総面積が、部分E21,E21a,E21bの面積の5~35%の範囲内である場合、上述したように、積層コンデンサC1,C2は、ガスの発生量の増加を抑制しつつ、部分E21,E21a,E21bでのガスの移動が阻害されるのを抑制する。
第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、複数の空隙13の各最大長さは、1~20μmの範囲外であってもよい。第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、複数の空隙13の各最大長さが、1~20μmの範囲内である場合、上述したように、積層コンデンサC1,C2は、ガスの発生量の増加を確実に抑制しつつ、第二電極層E2でのガスの移動が阻害されるのを確実に抑制する。
【0094】
積層コンデンサC2では、側面3cが実装面を構成してもよい。
第二電極層E2内で水分から発生したガスが、間隙17及び間隙18を通して、外部電極5外に移動する場合、外部電極5からのガスの噴出により、はんだ実装の際に積層コンデンサC2の姿勢が変化するおそれがある。積層コンデンサC2の姿勢が変化した場合、積層コンデンサC2の実装不良が生じるおそれがある。
各部分E21a,E21bでの空隙13の存在割合が、部分E22での空隙13の存在割合より大きい場合、ガスは、上述したように、主として、間隙17及び間隙18を通して、外部電極5外に移動する。ガスは、間隙19を通して、外部電極5外に移動しがたい。したがって、積層コンデンサC2は、積層コンデンサC2の実装不良が生じるのを抑制する。
電極部5cが第二電極層E2を有しているので、電子機器から積層コンデンサC2に作用する外力が素体3に作用しがたい。したがって、積層コンデンサC2は、クラックが素体3に発生するのを抑制する。
【0095】
本実施形態では、電子部品として積層コンデンサC1,C2を例に説明したが、適用可能な電子部品は、積層コンデンサに限られない。適用可能な電子部品は、たとえば、積層インダクタ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、もしくは積層複合部品などの積層電子部品、又は、積層電子部品以外の電子部品である。
【符号の説明】
【0096】
3…素体、3a,3b…主面、3e…端面、5…外部電極、13…空隙、17,18,19…間隙、C1,C2…積層コンデンサ、E1…第一電極層、E2…第二電極層、E21,E21a,E21b…主面上に位置している部分、E23…端面上に位置している部分、E3…第三電極層、E4…第四電極層、PL…めっき層、PL1e,PL1ea,PL1eb…めっき層の端縁。