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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-17
(45)【発行日】2025-03-26
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20250318BHJP
【FI】
H05K13/08 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023529172
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 JP2021022529
(87)【国際公開番号】W WO2022264214
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2024-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 利幸
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/009987(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/037887(WO,A1)
【文献】特開2011-142271(JP,A)
【文献】実開昭55-112263(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給装置によって供給された部品を回路基板に装着する装着機に搭載され、部品の電気的特性を測定する測定装置であって、
本体と、
前記本体に設けられ、前記部品が載置される載置台と、
前記本体に、互いに接近・離間可能に設けられ、前記載置台に載置された前記部品を把持して、前記部品の電気的特性を測定する一対の測定子と、
前記載置台と、前記一対の測定子のうちの少なくとも一方との相対位置関係を調節可能な調節機構と
を含む測定装置。
【請求項2】
前記調節機構が、前記一対の測定子のうちの少なくとも一方と前記本体との相対位置関係と、前記載置台と前記本体との相対位置関係との少なくとも一方を調節するものである請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記載置台に、前記接近・離間する方向である接近・離間方向に延び、前記部品が載置される溝部が設けられ、
前記調節機構が、前記一対の測定子のうちの少なくとも一方と前記載置台の前記溝部との相対位置関係を調節するものである請求項1または2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記一対の測定子が、固定子と、前記固定子に対して接近・離間可能に設けられた可動子とを含み、
前記調節機構が、前記載置台と前記可動子との相対位置関係を調節可能なものである請求項1ないし3のいずれか1つに記載の測定装置。
【請求項5】
前記調節機構が、前記可動子と前記載置台との間の、前記接近・離間する方向である接近・離間方向に交差する方向の相対位置と、前記接近・離間方向と平行な軸線周りの相対的な傾きと、前記接近・離間方向と交差する軸線周りの相対的な傾きとのうちの1つ以上を調節可能なものである請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記可動子が、可動子保持体を介して前記本体に、前記接近・離間する方向である接近・離間方向に移動可能に設けられ、
前記調節機構が、前記可動子保持体に設けられ、前記本体に対する前記可動子の相対位置関係を調節可能なものである請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記一対の測定子が、固定子と、前記固定子に対して接近・離間可能に設けられた可動子とを含み、
前記調節機構が、前記可動子の前記本体に対する、前記接近・離間する方向である接近・離間方向に交差する方向である第1方向における相対位置を調節する第1調節機構を含み、
前記第1調節機構が、
前記可動子または前記可動子と一体的に前記第1方向に移動可能な第1可動部材と、
前記第1可動部材を前記第1方向に相対移動可能に保持する第1保持部材と、
前記第1可動部材を前記第1保持部材に固定する第1固定装置とを含む請求項1ないし6のいずれか1つに記載の測定装置。
【請求項8】
前記一対の測定子が、固定子と、前記固定子に対して接近・離間可能に設けられた可動子とを含み、
前記調節機構が、前記可動子の前記本体に対する前記接近・離間方向と平行な方向に延びた軸線または前記接近・離間方向に交差する方向に延びた軸線周りの相対的な傾きを調節可能な第2調節機構を含み、
前記第2調節機構が、
前記可動子または前記可動子と一体的に前記軸線周りに回動可能な第2回動部材と、
前記第2回動部材を前記軸線周りに相対回動可能に保持する第2保持部材と、
前記第2回動部材を前記第2保持部材に固定する第2固定装置とを含む請求項1ないし7のいずれか1つに記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路基板に装着される部品の電気的特性の測定を行う測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、部品供給装置によって供給された部品を回路基板に装着する装着機に搭載され、部品の電気的特性を測定する測定装置であって、部品が載せられる載置台と、互いに接近・離間可能に設けられた一対の測定子とを含む測定装置が記載されている。特許文献1に記載の測定装置において、載置台に載せられた部品が、一対の測定子により挟まれることによって部品の電気的特性が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017-9987号パンフレット
【概要】
【0004】
【課題】
【0005】
本開示の課題は、測定装置の改良であり、例えば、部品の電気的特性を安定的に測定可能とすることである。
【課題を解決するための手段、作用および効果】
【0006】
本開示に係る測定装置は、一対の測定子のうちの少なくとも一方の本体に対する相対位置関係と、載置台の本体に対する相対位置関係との少なくとも一方が調節可能とされる。一対の測定子の相対位置関係を調節したり、一対の測定子のうちの少なくとも一方と載置台との相対位置関係を調節したりすること等が可能となる。その結果、一対の測定子により部品を良好に把持することが可能となり、部品が小さくても、部品の電気的特性を安定的に測定可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態である測定装置を含む装着機の斜視図である。
図2】上記測定装置の要部の斜視図である。
図3】上記測定装置の要部の側面図である。
図4】上記測定装置の要部の斜視図である。
図5】上記測定装置の要部の背面図である。
図6】(6A)上記測定装置の載置台の溝部の断面図である。(6B)上記測定装置の可動子の正面図である。(6C)上記測定装置の載置台の溝部に可動子が進入した状態を示す図である。
図7】上記測定装置に含まれるエア回路図である。
図8】上記測定装置の制御装置の周辺を概念的に表すブロック図である。
図9】上記測定装置において部品の電気的特性が取得される場合の作動図である。(9A)初期状態を示す図である。(9B)クランプ状態を示す図である。(9C)測定状態を示す図である。(9D)廃棄状態を示す図である。
図10】従来の測定装置の要部を表す図である。
図11】本開示の実施例2に係る測定装置の要部を示す斜視図である。
図12】上記測定装置の要部を示す別の斜視図である。
図13】上記測定装置の要部の背面図である。
【実施形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態である測定装置を含む装着機について図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1に示す装着機は、部品を回路基板に装着するものであり、本体2,回路基板搬送保持装置4,部品供給装置6,ヘッド移動装置8等を含む。
回路基板搬送保持装置4は、回路基板P(以下、基板Pと略称する)を水平な姿勢で搬送して保持するものであり、図1において、基板Pの搬送方向をx方向、基板Pの幅方向をy方向、基板Pの厚み方向をz方向とする。y方向は装着機の前後方向であり、z方向は上下方向である。これら、x方向、y方向、z方向は互いに直交する。部品供給装置6は、基板Pに装着される電子部品(以下、部品と略称する)sを供給するものであり、複数のテープフィーダ14等を含む。ヘッド移動装置8は、装着ヘッド16を保持してx、y、z方向へ移動させるものであり、装着ヘッド16は、部品sを吸着して保持する吸着ノズル18を有する。
【0010】
符号22は測定装置を示す。測定装置22は、部品sの電気的特性を測定するものである。部品sの電気的特性としては、L(インダクタンス)、C(キャパシタンス)、R(レジスタンス)、Z′(インピーダンス)等が該当し、測定装置22によってこれらのうちの1つ以上が測定される。
【0011】
測定装置22は、回収箱26を介して回路基板搬送保持装置4の本体に設けられる。回収箱26と測定装置22との間に回収通路28が設けられ、電気的特性が測定された部品sが、回収通路28を経て回収箱26に収容される。
【0012】
測定装置22は、図2-6に示すように、(i)本体30、(ii)部品sが載せられる載置台32、(iii)固定子34および可動子36から成る一対の測定子37、(iv)載置台32を移動させる載置台移動装置40、(v)可動子36を固定子34に対して接近・離間させる可動子移動装置41、(vi)電気的特性取得部としての電気的特性測定部42(図8参照)等を含む。本実施例において、部品sは、両端部に電極を有し、一対の測定子37によって把持可能なものであり、例えば、角チップとすることができる。本体30には、回収通路28と連通可能な貫通穴31(図9参照)が設けられる。また、本体30はアースされている。
【0013】
測定装置22は、例えば、可動子36の固定子34に対する接近・離間方向がy方向、接近・離間方向に直交する方向がx方向となるように、回路基板搬送保持装置4の本体に取り付けることができる。y方向は、概して水平方向であり、可動子36は水平方向の移動により、固定子34に対して接近・離間させられる。以下、y方向を、接近・離間方向、可動子36や後述する載置台32に形成された溝部46の長手方向と称する場合がある。また、可動子36が固定子34に接近する方向の動きを前進と称し、可動子36が固定子34から離間する方向の動きを後退と称する場合がある。載置台32の動きについても同様とする。さらに、x方向を、可動子36または溝部46の幅方向と称する場合がある。
【0014】
載置台32は、部品載置部44と、部品載置部44を保持する載置部保持体45とを含む。部品載置部44は、載置部保持体45に、一体的に移動可能に保持され、載置部保持体45は、本体30に、y方向(接近・離間方向)に移動可能に設けられる。
【0015】
部品載置部44には接近・離間方向に延びた溝部46が形成される。溝部46は、概してV字形を成すものであり、図6Aに示すように、一対の側面が傾斜した上溝部46aと、上溝部46aの下部に設けられ、断面が概して四角形を成す下溝部46bとを含む。上溝部46aは、一対の傾斜面48a、48bを含み、下溝部46bは、平坦面である底面50と、底面50の両側の一対の壁面51a、51bとを含む。
【0016】
部品載置部44に載置される部品sは、下溝部46bの底面50の上に載置される場合や、上溝部46aの一対の傾斜面48a、48bに保持されて、載置される場合等がある。
【0017】
なお、載置台32には接近・離間方向に延びたカバー部52が取り付けられる。カバー部52は、載置台32の溝部46の両側に位置する一対の側板52a,52bを含む。一対の側板52a,52bは、載置台32と一体的に移動させられる。
【0018】
固定子34、可動子36は、それぞれ、互いに対向する対向面34f、36fを有し、これら一対の対向面34f、36fによって部品sが把持される。固定子34は固定子保持体55を介して本体30に固定される。可動子36は可動子保持体56に一体的に移動可能に保持され、可動子保持体56が本体30に、y方向(接近・離間方向)に移動可能に設けられる。固定子保持体55、可動子保持体56は、接近・離間方向において、載置部保持体45の両側に位置する。なお、固定子34と可動子36とはそれぞれ銅線を介して電気的特性測定部42に接続される。
【0019】
可動子36は、図3,4等に示すように、概して直方体状を成した本体部36aと、本体部36aの前部において下方に突出した突出部36bとを含む。可動子36は、本体部36aの後部において可動子保持体56に保持され、前部を構成する突出部36bと本体部36aとが部品載置部44の溝部46に進入する。本実施例において、可動子36の突出部36bの前端面、または、突出部36bの前端面と本体部36aの前端面(の一部)とが対向面36fとされる。
【0020】
本体部36aは、直方体の長手方向が接近・離間方向に延びた姿勢で設けられる。
突出部36bは、図6B図6Cに示すように、溝部46に係合可能な大きさ、形状を成す。突出部36bは、下溝部46bに係合する下溝係合部57と、上溝部46aの一部に係合する上溝係合部58とを含む。上溝係合部58は、溝部46の一対の傾斜面48a、48bの一部に対向する一対の傾斜面58a、58bを有する。下溝係合部57は、それぞれ、下溝部46bの底面50、一対の壁面51a、51bに対向する下端面57d、一対の側面57a,57bを有する。本体部36aは、溝部46の一対の傾斜面48a、48bから離間している。
【0021】
載置台移動装置40、可動子移動装置41は、それぞれ、図3に示すように、駆動源としてのエアシリンダ60,62、本体30に設けられた一対のガイドレール64,66、ガイドレール64,66に移動可能に係合させられた一対の載置台スライダ68,69および一対の可動子スライダ70,71、電磁弁装置74,76(図7,8参照)、エア源77等を含む。
【0022】
一対のガイドレール64,66は、y方向(接近・離間方向)に延びた姿勢で、x方向(可動子36の幅方向)に隔てて、本体30に固定される。また、載置台スライダ68,69には載置部保持体45が固定される。可動子スライダ70,71には可動子保持体56が固定される。さらに、載置部保持体45には、エアシリンダ60のピストンロッド60r(図7参照)が取り付けられ、可動子保持体56には、エアシリンダ62のピストンロッド62rが取り付けられる。エアシリンダ60,62は、ピストンロッド60r、62rが接近・離間方向に延びた姿勢で設けられる。
【0023】
一方、固定子側の部材{例えば、固定子34の上部、固定子保持体55等}には、エア通路92が設けられる。エア通路92は、固定子側の部材の、可動子36の対向面36fに対向する部分に開口する開口93を有する。また、エア通路92にはイオナイザ94が接続される。イオナイザ94は、コロナ放電を生起させてエアをイオン化するものである。
【0024】
エアシリンダ60の2つのエア室60a,60b、エア源77、エア通路92、フィルタ(大気)の間に電磁弁装置74が設けられる。電磁弁装置74の制御により載置台32の移動等が制御される。
【0025】
エアシリンダ62のエア室62a,62bには、電磁弁装置76を介して、エア源77、エア通路92、フィルタ(大気)が選択的に接続される。電磁弁装置76の制御により、可動子保持体56(可動子36)の移動等が制御される。また、載置台32の前進時、可動子36の後退時には、エアシリンダ60,62からエア通路92にエアが供給され、開口93から流出させられる。
【0026】
本実施例においては、エア通路92、エア源77、エアシリンダ60,62等によりエア供給装置96が構成される。エア供給装置96は、可動子移動装置41、載置台移動装置40と共通の構成要素を有する。
【0027】
本実施例において、可動子36は、可動子保持体56に、本体30に対する上下方向の相対位置である高さと、可動子36の幅方向の相対位置と、接近・離間方向に延びた軸線Yの周りの相対的な傾きとが調節可能に保持される。上下方向、可動子36の幅方向は、接近・離間方向に交差する方向としての直交する方向であるが、このうちの可動子36の幅方向は概して水平方向である。
【0028】
本実施例において、可動子36の前部が、溝部46に係合可能な形状、大きさを成す。また、可動子36は、溝部46との間の隙間が非常に小さくなる状態で可動子保持体56に組み付けられる。そのため、たとえ、部品sが、溝部46の底面50に載置された場合であっても、可動子36の対向面36fと固定子34の対向面34fとによって把持され、電気的特性が測定され得る。
【0029】
しかし、可動子36の可動子保持体56に対する組付け誤差等に起因して、可動子36が溝部46に進入した場合に、図10に示すように、可動子36と溝部46との間に隙間、例えば、可動子36の下端面57dと溝部46の底面50との間等に隙間が生じる場合がある。そのため、一対の対向面34f、36fによって、底面50に載置された部品sを把持することができず、電気的特性を測定することができなかったり、部品sを良好に把持することができず、電気的特性を精度よく測定することができなかったりする。
【0030】
そこで、本実施例においては、可動子36の、本体30に対する上下方向の位置、可動子36の幅方向の位置、軸線Yの周りの傾きを調節可能とすることにより、可動子36と部品載置部44の溝部46との相対位置関係を調節可能としたのである。
【0031】
可動子保持体56は、一対の可動子スライダ70,71に固定された保持体本体78、保持体本体78に固定されたブラケット80、ブラケット80に2つのボルトA1,A2によって取り付けられた上下方向可動部材82、上下方向可動部材82にボルトB1,B2によって取り付けられた回動部材84、回動部材84にボルトC1,C2によって取り付けられた幅方向可動部材86等を含む。
【0032】
ボルトA1,A2は、可動子36の幅方向に延び、ブラケット80を貫通して、上下方向可動部材82において螺合する。ボルトB1,B2は接近・離間方向に延び、上下方向可動部材82を貫通して、回動部材84において螺合する。ボルトC1,C2は上下方向に延び、幅方向可動部材86を貫通して回動部材84において螺合する。また、幅方向可動部材86には、可動子36が一体的に移動可能にボルトMによって取り付けられている。
【0033】
上述のボルトが緩められた場合には、2つの部材は相対移動可能な状態となるが、ボルトが締められた場合には、2つの部材は相対移動不能となる。以下、この相対移動不能な状態を、単に、固定された状態と称する。
【0034】
ボルトC1,C2によって幅方向可動部材86が回動部材84に固定され、ボルトB1,B2によって回動部材84が上下方向可動部材82に固定された状態で、ボルトA1,A2を緩める。上下方向可動部材82とブラケット80との間の上下方向における隙間R1により、上下方向可動部材82のブラケット80に対する上下方向の相対移動が許容されるが、上下方向可動部材82の外側面82aとブラケット80の内側面80aとが当接しているため、上下方向可動部材82のブラケット80に対する可動子36の幅方向の移動は制限される。
【0035】
上下方向可動部材82をブラケット80の内側面80aに沿って上下方向に相対移動させることにより、回動部材84、幅方向可動部材86、可動子36を一体的に上下方向に相対移動させ、可動子36の上下方向の位置を調節して、ボルトA1,A2を締める。それにより、可動子36の上下方向の位置が、ボルトA1,A2とブラケット80の貫通穴との間の隙間の範囲内において調節される。
【0036】
ボルトA1,A2によって上下方向可動部材82がブラケット80に固定され、ボルトB1,B2によって回動部材84が上下方向可動部材82に固定された状態で、ボルトC1,C2を緩める。それにより、幅方向可動部材86が回動部材84に対して可動子36の幅方向に相対移動可能となる。幅方向可動部材86を、回動部材84の上面に沿って幅方向に移動させ、可動子36の幅方向の位置を調節して、ボルトC1,C2を締める。それにより、可動子36の幅方向の位置が、ボルトC1,C2と幅方向可動部材86の貫通穴との隙間の範囲内において調節される。
【0037】
また、ボルトA1,A2によって上下方向可動部材82がブラケット80に固定され、ボルトC1,C2によって幅方向可動部材86が回動部材84に固定された状態で、ボルトB1,B2を緩める。幅方向可動部材86と上下方向可動部材82との間の上下方向における隙間R2,回動部材84が下方において保持されていないこと、可動子36と上下方向可動部材82との間の上下方向における隙間R3等により回動部材84、幅方向可動部材86、可動子36の上下方向可動部材82に対する軸線Yの周りの回動が許容される。
【0038】
回動部材84を回動させて、可動子36の軸線Yの周りの傾きを調節し、ボルトB1,B2を締める。それにより、ボルトB1,B2と上下方向可動部材82の貫通穴との間の隙間の範囲内において、可動子36の軸線Yの周りの傾きが調節される。
【0039】
なお、幅方向可動部材86には可動子36がボルトMによって固定されているが、図2,5等に示すように、幅方向可動部材86に設けられた上下方向に延びた凹部86rに、可動子36の側面に設けられた上下方向に延びた凸部36sが嵌合されている。そのため、ボルトMが緩められた状態で、幅方向可動部材86に対して可動子36が上下方向に相対移動可能とされる。この幅方向可動部材86に対する可動子36の上下方向の移動によっても、可動子36の上下方向の位置を調節することができる。
【0040】
これら作業は、例えば、可動子36を載置台32の溝部46に進入させた状態で、その可動子36と溝部46との隙間をダイヤルゲージ、歪ゲージ等の治具を用いて測定し、これらが小さくなるように、作業者によって行われるようにすることができる。
【0041】
当該装着機は制御装置200を含む。制御装置200は、図8に示すように、コンピュータを主体とするコントローラ202と、複数の駆動回路204とを含む。コントローラ202には、回路基板搬送保持装置4、部品供給装置6、ヘッド移動装置8が、それぞれ、駆動回路204を介して接続されるとともに、載置台移動装置40、可動子移動装置41の電磁弁装置74,76等が接続される。また、カメラ20、電気的特性測定部42、ディスプレイ216、載置台位置センサ218、可動子位置センサ220等が接続される。電磁弁装置74,76は、載置台位置センサ218、可動子位置センサ220の出力信号等に基づいて制御される。また、部品sの電気的特性の測定結果は、ディスプレイ216に表示されるようにすることができる。
【0042】
以上のように構成された装着機の測定装置22において、部品sの電気的特性が測定される場合の作動について説明する。
測定装置22は、常には、図9Aに示す初期状態にある。可動子36は後退端位置にあり、載置台32は前進端位置にある。部品sの電気的特性の測定指令が出されると、装着ヘッド16が移動させられる。吸着ノズル18によって部品sが保持され、移動させられ、溝部46に載置させられる。
【0043】
電磁弁装置76の制御により可動子36が前進させられ、図9Bに示すように、可動子36と固定子34とにより部品sがクランプされる。次に、図9Cに示すように、電磁弁装置74の制御により載置台32が後退させられる。載置台32は、部品sおよび一対の測定子37から離間した位置、換言すると、可動子36の突出部36bが、溝部46から離間した位置に後退させられる。
【0044】
一方、部品sが溝部46に載せられた時から、設定時間である除電時間が経過した後に、部品sの電気的特性が測定される。除電時間は、部品sに帯電していた静電気が除去される時間であり、予め決められている。部品sの電気的特性の測定が終了した後に、可動子36が後退させられ、可動子36と固定子34との間に把持されていた部品sが開放される。また、可動子36の後退に伴って、エアが開口93から可動子36の対向面36fに斜め上方から供給される。
【0045】
次に、図9Dが示すように、可動子36がさらに後退させられ、載置台32が後退させられる。可動子36と固定子34との間の空間は、回収通路28に連通させられるため、部品sを回収箱26へ回収することができる。その後、載置台32が前進させられ、一対の対向面34f、36fの間に位置する。溝部46の上方が空間とされ、部品sが載置可能とされ、測定装置22が図9Aに示す初期状態に戻される。また、載置台32の前進に伴って、イオンを含むエアが可動子36の対向面36fに供給されるため、対向面36fの除電を図ることもできる。
【0046】
以上のように、本実施例においては、可動子36の部品載置部44に対する相対位置関係が調節可能とされているため、可動子36の突出部36bと溝部46との隙間を小さくまたは0に近づけることができる。その結果、部品sが小さくても、可動子36と固定子34との一対の対向面34f、36fにより部品sを良好に把持することができる。その結果、安定して、部品sの電気的特性を測定することができ、測定精度の低下を抑制することができる。
【0047】
また、部品載置部44は、載置部保持体45、ガイドレール64,66を介して本体30に電気的に導通された状態にあり、可動子36は、可動子保持体56、ガイドレール64,66を介して本体30に電気的に導通された状態にある。そのため、部品sの除電、載置台32、可動子36等の除電が良好に行われる。そのため、部品sの電気的特性を安定的に測定することができる。インピーダンスが小さい部品sであっても、その部品sのインピーダンスを精度よく測定することができる。
【0048】
さらに、可動子36の位置、姿勢を固定する場合に、2つのボルトが用いられるため、ボルトが1つの場合に比較して、位置、姿勢を良好に固定することができる。
【0049】
以上、本実施例においては、ブラケット80、上下方向可動部材82、回動部材84、幅方向可動部材86、ボルトA1,A2,B1,B2,C1,C2、幅方向可動部材86に設けられた凹部86r、可動子36に設けられた凸部36s等により調節機構100が構成される。第1方向が上下方向である場合には、上下方向可動部材82等が第1可動部材に対応し、ブラケット80等が第1保持部材に対応し、ボルトA1,A2等が第1固定装置に対応し、これら上下方向可動部材82、ブラケット80、ボルトA1,A2等、上下方向可動部材82が上下方向に相対移動可能とされた構造等により第1調節機構である上下方向調節機構102が構成される。第1方向が可動子36の幅方向である場合には、幅方向可動部材86等が第1可動部材に対応し、回動部材84等が第1保持部材に対応し、ボルトC1,C2等が第1固定装置に対応し、これら幅方向可動部材86、回動部材84、ボルトC1,C2等、幅方向可動部材86が幅方向に相対移動可能とされた構造等により第1調節機構としての幅方向調節機構104が構成される。第2方向が接近・離間方向と平行な方向である場合において、回動部材84等が第2可動部材に対応し、上下方向可動部材82等が第2保持部材に対応し、ボルトB1、B2等が第2固定装置に対応し、これら回動部材84、上下方向可動部材82、ボルトB1,B2等、回動部材84が軸線Yの周りに回動可能とされた構造等により第2調節機構106が構成される。なお、可動子36等が第1可動部材、幅方向可動部材86等が第1保持部材、ボルトM等が第1固定装置、これら可動子36、幅方向可動部材86、ボルトM、凹部86r、凸部36s等により第1調節機構としての上下方向調節機構が構成される。
【実施例2】
【0050】
実施例1に係る測定装置においては、第2方向として接近・離間方向と平行な方向に延びた軸線Yの周りの可動子の相対的な傾きが調節可能とされていたが、本実施例においては、第2方向として、接近・離間方向と交差する方向としての直交する方向である可動子36の幅方向に延びた軸線Xの周りの可動子36の相対的な傾きが調整可能とされる。
【0051】
実施例2に係る測定装置において、実施例1に係る測定装置の基本的な構造は同じであるため、対応する構成要素には、同じ符号を付して説明を省略する。実施例2において、調節機構を備えた可動子保持体について説明する。
【0052】
図11-13において、可動子保持体156は、一対の可動子スライダ70,71に固定された保持体本体178と、保持体本体178に2つのボルトD1,D2によって取り付けられた幅方向可動部材180と、幅方向可動部材180にボルトE1,E2によって取り付けられた回動部材182と、回動部材182にボルトF1,F2によって取り付けられた上下方向可動部材184とを含む。可動子36は、ボルトNによって上下方向可動部材184に一体的に移動可能に取り付けられている。
【0053】
ボルトE1,E2によって回動部材182が幅方向可動部材180に固定され、ボルトF1,F2によって回動部材182に上下方向可動部材184が固定された状態で、ボルトD1,D2を緩める。幅方向可動部材180、回動部材182、上下方向可動部材184および可動子36は、一体的に、可動子36の幅方向に移動可能となる。幅方向可動部材180と保持体本体178とはx方向において隙間R11を隔てて設けられるため、幅方向可動部材180の保持体本体178に対するx方向の移動が許容される。
【0054】
幅方向可動部材180等を可動子保持体本体178の上面に沿ってx方向に移動させることにより、可動子36の幅方向の位置を調節し、ボルトD1,D2を締める。ボルトD1,D2と幅方向可動部材180の貫通穴との隙間の範囲内において、可動子36の幅方向の位置を調節することができる。なお、ボルトD2の操作は、上下方向可動部材184に設けられた上下方向の貫通穴186を利用して行われる。貫通穴186から治具を通してボルトD2の頭部に係合し、ボルトD2を緩めたり締めたりする。
【0055】
ボルトD1,D2によって幅方向可動部材180が保持体本体178に固定され、ボルトE1,E2によって回動部材182が幅方向可動部材180に固定された状態で、ボルトF1,F2を緩める。それにより、上下方向可動部材184および可動子36が、回動部材182、幅方向可動部材180に対して上下方向に移動可能とされる。上下方向可動部材184と幅方向可動部材180、回動部材182との上下方向の隙間R12により、上下方向可動部材184の上下方向の移動が許容される。また、上下方向可動部材184の段面184aと幅方向可動部材180の内側面180aとが当接しているため、上下方向可動部材184のx方向の移動が制限される。
【0056】
上下方向可動部材184等を、幅方向可動部材180に沿って上下方向に移動させ、可動子36の上下方向の位置である高さを調節して、ボルトF1,F2を締める。ボルトF1,F2と回動部材182の貫通穴との隙間の範囲内において、可動子36の上下方向の位置を調節することができる。
【0057】
ボルトD1,D2によって幅方向可動部材180が保持体本体178に固定され、ボルトF1,F2によって回動部材182に上下方向可動部材184が固定された状態で、ボルトE1,E2を緩める。それにより、回動部材182、上下方向可動部材184および可動子36が幅方向可動部材180に対して軸線Xの周りに回動可能とされる。回動部材182と保持体本体178との間の隙間R13、回動部材182と幅方向可動部材180との間の隙間R12等により、回動部材182の軸線Xの周りの回動が許容される。また、回動部材182の内側面182aと幅方向可動部材180の外側面180bとが当接しているため、回動部材182のx方向の移動は制限される。
【0058】
回動部材182(および上下方向可動部材184、可動子36)を軸線Xの周りに回動させることにより可動子36の軸線Xの周りの本体30に対する相対的な傾きを調節してボルトE1,E2を締める。それにより、可動子36の軸線Xの周りの傾きを調節することができる。
【0059】
なお、上下方向可動部材184には可動子36がボルトNによって固定されているが、上下方向可動部材184に設けられた上下方向に延びた凹部184rに、可動子36の側面に設けられた上下方向に延びた凸部36sが嵌合されている。そのため、ボルトNが緩められた状態で、上下方向可動部材184に対して可動子36が上下方向に相対移動可能とされる。この上下方向可動部材184に対する可動子36の上下方向の移動によっても、可動子36の上下方向の位置を調節することができる。
【0060】
本実施例においては、幅方向可動部材180、回動部材182、上下方向可動部材184、ボルトN、ボルトD1,D2、ボルトE1,E2、ボルトF1,F2、可動子36に設けられた凸部36s、上下方向可動部材184に設けられた凹部184r等により調節機構188が構成される。また、第1方向が接近・離間方向に交差する方向である直交する方向としての可動子36の幅方向である場合には、幅方向可動部材180等が第1可動部材に対応し、保持体本体178が第1保持部材に対応し、ボルトD1,D2等が第1固定装置に対応し、これら幅方向可動部材180、保持体本体178、ボルトD1,D2等により第1調節機構としての幅方向調節機構190が構成される。第1方向が接近・離間方向に交差する方向である直交する方向としての上下方向である場合には、上下方向可動部材184等が第1可動部材に対応し、回動部材182等が第1保持部材に対応し、ボルトF1,F2等が第1固定装置に対応し、これら上下方向可動部材184、回動部材182、ボルトF1,F2等により第1調節機構としての上下方向調節機構192が構成される。また、第2方向が接近・離間方向に交差する方向である直交する方向としての可動子36の幅方向である場合には、回動部材182等が第2可動部材に対応し、幅方向可動部材180等が第2保持部材に対応し、ボルトE1,E2等が第2固定装置に対応し、これら回動部材182、幅方向可動部材180、ボルトE1,E2等により第2調節機構194が構成される。なお、可動子36等が第1可動部材、上下方向可動部材184等が第1保持部材、ボルトN等が第1固定装置、これら可動子36、上下方向可動部材184、ボルトN、凹部184r、凸部36s等により第1調節機構としての上下方向調節機構が構成される。
【0061】
また、上記実施例において、可動子36の本体30に対する相対位置関係が調節されることにより前記可動子36と部品載置部44との相対位置関係が調節されるようにされていたが、部品載置部44と本体30との相対位置関係が調節されることにより、可動子36と部品載置部44の溝部46との相対位置関係が調節されるようにすることができる。
【0062】
さらに、第2調節機構は、接近・離間方向に交差する方向である直交する方向としての上下方向に延びた軸線の周りの可動子の相対的な傾きを調整する機構を含むものとすることができる。
【0063】
また、調節機構の構成要素である第1固定装置、第2固定装置は、ボルトを2つ含むものに限らず、3つ以上含むものとすることができる等、測定装置の構造は上記実施例における測定装置の構造に限定されない。
【0064】
以上、実施形態に記載の態様の他、本開示は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
22:測定装置 30:本体 32:載置台 34:固定子 36:可動子 40:載置台移動装置 41:可動子移動装置 42:電気的特性測定部 44:部品載置部 46:溝部 56,156:可動子保持体 82,184:上下方向可動部材 86,180:幅方向可動部材 84,182:回動部材 A1,A2、B1,B2,C1,C2,D1,D2,E1,E2,F1,F2:ボルト 100,188:調節機構 102,192:上下方向調節機構 104,190:幅方向調節機構 106,194:第2調節機構
【補足説明】
【0066】
第1調節機構において、前記第1方向が、前記接近・離間方向に交差する方向である直交する上下方向であり、前記第1可動部材が、前記上下方向に移動可能な上下方向可動部材であり、前記第2保持部材が、前記上下方向可動部材を前記上下方向に相対移動可能に保持する上下方向保持部材である場合には、第1調節機構は上下方向位置調節機構と称することができる。また、前記第1方向が、前記接近・離間方向に交差として直交し、かつ、上下方向に直交する可動子の幅方向であり、前記第1可動部材が、前記幅方向に移動可能な幅方向可動部材であり、前記第2保持部材が、前記幅方向可動部材を前記幅方向に相対移動可能に保持する幅方向保持部材である場合には、第1調節機構は幅方向位置調節機構と称することができる。
【0067】
第2調節機構は、前記第2方向が、水平方向であり、水平方向に延びた軸線の周りの相対的な傾きを調節するものであっても、鉛直方向に延びた軸線の周りの相対的な傾きを調節するものであってもよい。水平方向に延びた軸線には、前記接近・離間方向と平行な方向に延びた軸線、または接近・離間方向と直交する可動子または溝部の幅方向に延びた軸線等が該当する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13