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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20250319BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021095193
(22)【出願日】2021-06-07
(65)【公開番号】P2022094282
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2024-03-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0174343
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピョ、ヒエ スン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ホ イン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、キ フン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ド ヒュン
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-198250(JP,A)
【文献】特開2019-176120(JP,A)
【文献】特開2011-129917(JP,A)
【文献】特開2019-004097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に互いに対向する第1及び第2面、第1及び第2面と連結され幅方向に互いに対向する第3及び第4面、第1~第4面と連結され長さ方向に互いに対向する第5及び第6面を有し、前記厚さ方向である積層方向において誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで積層される複数の内部電極を含む本体と、
前記本体に配置され、前記複数の内部電極と連結される外部電極と、を含み、
前記複数の内部電極は、互いに異なる厚さを有する2つ以上の内部電極を含み、前記複数の内部電極のうち最も厚い内部電極と最も薄い内部電極は、前記複数の内部電極の積層方向に互いに対向する第1及び第2最外側にそれぞれ配置され、これらの間に配置された内部電極はそれぞれ前記第2最外側方向に隣接した内部電極と同一であるか、それより大きい厚さを有する、積層型セラミックキャパシタ
【請求項2】
前記本体は、前記複数の内部電極が形成された容量形成部と、前記複数の内部電極の積層方向に前記容量形成部の両端にそれぞれ配置される上部及び下部カバー部と、を含む、請求項1に記載の積層型セラミックキャパシタ
【請求項3】
前記複数の内部電極のうち、前記1最外側に配置される内部電極の厚さをt1と、前記第2最外側に配置される内部電極の厚さをt2と定義するとき、t1≦2t2を満たす、請求項2に記載の積層型セラミックキャパシタ
【請求項4】
前記容量形成部は、前記第1最外側を含む第1領域及び前記第2最外側を含む第2領域を含み、
前記第1領域には、前記第1最外側に配置された内部電極と厚さが同一である複数の内部電極が積層された第1内部電極群が配置され、
前記第2領域には、前記第2最外側に配置された内部電極と厚さが同一である複数の内部電極が積層された第2内部電極群が配置される、請求項2または3に記載の積層型セラミックキャパシタ
【請求項5】
前記複数の内部電極の積層方向に対する前記第1領域及び前記第2領域の長さが互いに同一である、請求項4に記載の積層型セラミックキャパシタ
【請求項6】
前記第1内部電極群及び前記第2内部電極群に含まれた内部電極の個数が互いに同一である、請求項4または5に記載の積層型セラミックキャパシタ
【請求項7】
前記容量形成部は、それぞれ互いに異なる厚さの内部電極が配置される3つ以上の領域を含み、
前記容量形成部のそれぞれの領域に含まれる内部電極同士は互いに同一の厚さを有する、請求項2~6のいずれか一項に記載の積層型セラミックキャパシタ
【請求項8】
前記容量形成部のそれぞれの領域に含まれた内部電極の個数が互いに同一である、請求項7に記載の積層型セラミックキャパシタ
【請求項9】
前記複数の内部電極間に積層方向に離隔した距離が一定である、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層型セラミックキャパシタ
【請求項10】
前記複数の内部電極は、前記第1最外側から前記第2最外側に行くほど、その厚さが徐々に減少するように配置された、請求項1~9のいずれか一項に記載の積層型セラミックキャパシタ
【請求項11】
前記外部電極は、前記本体の第1方向の両端面にそれぞれ形成される第1外部電極及び第2外部電極を含み、
前記複数の内部電極は、前記第1外部電極及び前記第2外部電極とそれぞれ接続される第1内部電極及び第2内部電極を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の積層型セラミックキャパシタ
【請求項12】
前記第1外部電極と前記第2内部電極、前記第2外部電極と前記第1内部電極は、それぞれ前記第1方向に互いに離隔するように配置され、これらの最短離隔距離は互いに同一である、請求項11に記載の積層型セラミックキャパシタ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層型セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
このような積層型セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用することができる。最近、電子装置の部品の小型化に伴い、積層型セラミックキャパシタの小型化及び高容量化に対する要求が増加している。
【0004】
一方、内部電極の積層数を増加させた高容量の積層型セラミックキャパシタが開発されるにつれて、キャパシタに配置された内部電極の層間電流密度の不均衡が増加するという問題点がある。
【0005】
すなわち、実装基板と内部電極の距離に応じた電気経路(Electrical path)のばらつきが増加することで、実装基板と近接して配置された内部電極に電流が集中する電流密度の不均衡が発生する。これは結果的に、積層型セラミックキャパシタの製品の信頼性を低下させる要因となり得る。
【0006】
これにより、積層型セラミックキャパシタの小型化及び高容量化に対する技術的要求とともに、実装基板からの距離が異なる内部電極間に発生する電流密度の不均衡を低減する技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許公報第10-2011-0068232号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的のうち一つは、実装基板からの距離が異なる内部電極間に電流密度の不均衡を低減する積層型電子部品を提供することである。
【0009】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで積層される複数の内部電極を含む本体と、上記本体に配置され、上記複数の内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記複数の内部電極は互いに異なる厚さを有する2つ以上の内部電極を含み、上記複数の内部電極のうち最も厚い内部電極と最も薄い内部電極は、上記複数の内部電極の積層方向に互いに対向する第1及び第2最外側にそれぞれ配置され、これらの間に配置された内部電極はそれぞれ上記第2最外側方向に隣接した内部電極と同一であるか、それより大きい厚さを有することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によると、互いに異なる高さに配置される内部電極の厚さを異ならせて抵抗及び寄生インダクタンスを調節することにより、内部電極間の電気経路(Electrical path)のばらつきによる電流密度の不均衡を低減することができる。
【0012】
但し、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
図2図1の積層型電子部品に含まれる第1及び第2内部電極をそれぞれ示した平面図である。
図3図1のI-I'線に沿った断面図である。
図4図3の実施形態に対する第1変形例を示した断面図である。
図5図3の実施形態に対する第2変形例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0015】
また、図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、複数の層、及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0016】
本発明の実施形態を明確に説明するために、方向を定義すると、図面に示されるX、Y、及びZはそれぞれ積層型電子部品の長さ方向、幅方向、及び厚さ方向を示す。
【0017】
また、本明細書において、長さ方向はX方向または第1方向、幅方向はY方向または第2方向、厚さ方向はZ方向、第3方向または積層方向とそれぞれ同一の概念で用いられることができる。
【0018】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものであり、図2は、図1の積層型電子部品に含まれる第1及び第2内部電極をそれぞれ示した平面図であり、図3は、図1のI-I'線に沿った断面図である。
【0019】
まず、図1図3を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について説明する。
【0020】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び誘電体層111を間に挟んで積層される複数の内部電極121、122を含む本体110と、本体110に配置され、複数の内部電極121、122と連結される外部電極131、132と、を含む。
【0021】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されて形成される。
【0022】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程において、本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直方体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0023】
本体110は、厚さ方向(Z方向)に互いに対向する第1及び第2面(1、2)、第1及び第2面(1、2)と連結され、幅方向(Y方向)に互いに対向する第3及び第4面(3、4)、第1~第4面(1、2、3、4)と連結され、長さ方向(X方向)に互いに対向する第5及び第6面(5、6)を有することができる。
【0024】
本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難いほど一体化することができる。
【0025】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができる限り、特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。
【0026】
また、誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されたものであってもよい。
【0027】
本体110は、複数の内部電極121、122が形成された容量形成部と、複数の内部電極121、122の積層方向(Z方向)に容量形成部の両端にそれぞれ配置される上部及び下部カバー部112、113と、を含むことができる。
【0028】
上記容量形成部は、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の内部電極121、122を反復的に積層して形成されてもよい。
【0029】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部の上下部にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0030】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極を含まなくてもよく、誘電体層111と同一の材料を含んでもよい。すなわち、上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0031】
複数の内部電極121、122は、誘電体層111と交互に積層される。本体110の第1方向(X方向)の両端面(end surface)には、第1及び第2外部電極131、132が形成され、複数の内部電極121、122は、第1及び第2外部電極131、132とそれぞれ接続される第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。
【0032】
第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面(3、4)にそれぞれ露出することができる。
【0033】
図1図3を参照すると、第1及び第2内部電極121、122は、本体110の第3及び第4面(3、4)にそれぞれ露出することができる。より具体的に、第1内部電極121は第4面(4)と離隔し、第3面(3)に露出し、第2内部電極122は第3面(3)と離隔し、第4面(4)に露出してもよい。
【0034】
本体110の第3面(3)には、第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体の第4面(4)には、第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0035】
このとき、第1外部電極131と第2内部電極122、第2外部電極132と第1内部電極121は、それぞれ第1方向(X方向)に互いに離隔するように配置され、これらの最短離隔距離は同一であってもよい。
【0036】
図2を参照すると、本体110は、第1内部電極121が印刷された誘電体層111と第2内部電極122が印刷された誘電体層111とを厚さ方向(Z方向)に交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0037】
このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離することができる。
【0038】
また、第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されず、貴金属材料またはニッケル(Ni)、及び銅(Cu)のうち1つ以上の物質からなる導電性ペーストを使用して形成されてもよい。
【0039】
上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを使用することができ、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
外部電極131、132は、本体110に配置され、内部電極121、122と連結される。
【0041】
図1図3に示すように、外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面(3、4)にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。
【0042】
本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変わることができる。
【0043】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有する様々な物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して、具体的な物質が決定されてもよい。
【0044】
例えば、外部電極131、132は、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であるか、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。
【0045】
また、外部電極131、132は、本体110上に焼成電極及び樹脂系電極が順次に形成された形態であってもよい。また、外部電極131、132は、本体110上に導電性金属を含むシートを転写する方法で形成されるか、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方法で形成されたものであってもよい。
【0046】
外部電極131、132に含まれる導電性金属として、電気伝導性に優れた材料を使用することができ、特に限定しない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びそれらの合金のうち1つ以上であってもよい。
【0047】
一方、第1及び第2外部電極131、132は、めっき層をさらに含むことができる。上記めっき層は、第1及び第2ニッケル(Ni)めっき層と、上記第1及び第2ニッケルめっき層をそれぞれカバーする第1及び第2スズ(Sn)めっき層を含むことができる。
【0048】
図3を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、互いに異なる厚さを有する2つ以上の内部電極121、122を含む。
【0049】
本明細書において「厚さ」とは、ある部材の表面に対して垂直な方向に測定した上記部材の厚さを意味することができ、内部電極の厚さは平均厚さを意味することができる。
【0050】
具体的に、「平均厚さ」は、積層型電子部品の中心を通すとともに、Z軸に垂直な方向に切断した切断面に対して、それぞれの内部電極が配置された領域を同じ間隔で10等分した地点で測定した厚さの算術平均を意味することができる。
【0051】
本実施形態によると、複数の内部電極121、122のうち最も厚い内部電極と最も薄い内部電極は、複数の内部電極121、122の積層方向(Z方向)に互いに対向する第1及び第2最外側120-1、120-2にそれぞれ配置される。そして、これらの間に配置された内部電極はそれぞれ第2最外側120-2方向に隣接した内部電極と同一であるか、それより大きい厚さを有する。
【0052】
具体的に、図3に示すように、本体110に配置された複数の内部電極121、122のうち平均厚さが最も厚い内部電極は、本体110の第1最外側120-1に配置される。ここで、第1最外側120-1は、複数の内部電極121、122のうち積層方向(Z方向)に対して最も外側に配置される2つの内部電極のうち一つを意味する。
【0053】
したがって、第1最外側120-1は、本体110の第1面(1)に最も近接した内部電極に該当することもでき、本体110の第2面(2)に最も近接した内部電極に該当することもできる。
【0054】
これと同様に、本体110に配置された複数の内部電極121、122のうち平均厚さが最も薄い内部電極は、本体110の第2最外側120-2に配置される。ここで、第2最外側120-2は、複数の内部電極121、122のうち積層方向(Z方向)に対して最も外側に配置される2つの内部電極のうち第1最外側120-1を除く残りの一つを意味する。
【0055】
したがって、第2最外側120-2は、本体110の第1面(1)に最も近接した内部電極に該当することもでき、本体110の第2面(2)に最も近接した内部電極に該当することもできる。
【0056】
一例として、最も厚い内部電極が配置された第1最外側120-1が本体110の第2面(2)に近接するように配置される場合、最も薄い内部電極が配置された第2最外側120-2は、本体110の第1面(1)に近接するように配置される。このとき、第2最外側120-2は、積層型電子部品100がプリント回路基板に実装されるとき、実装面と最も近接した内部電極となる。
【0057】
これとは反対に、最も厚い内部電極が配置された第1最外側120-1が本体110の第1面(1)に近接するように配置される場合、最も薄い内部電極が配置された第2最外側120-2は、本体110の第2面(2)に近接するように配置される。このとき、第1最外側120-1は、積層型電子部品100がプリント回路基板に実装されるとき、実装面と最も近接した内部電極となる。
【0058】
図3を参照すると、本発明の一実施形態による複数の内部電極121、122は、第1最外側120-1から第2最外側120-2に行くほど、その平均厚さが徐々に減少するように配置されてもよい。
【0059】
そして、このとき、複数の内部電極121、122間には積層方向(Z方向)に離隔した距離が一定であってもよい。
【0060】
このように、複数の内部電極121、122が一方向に、その平均厚さが徐々に減少するように配置されることにより、内部電極121、122間の抵抗R及び寄生インダクタンスLが異なることができる。
【0061】
より詳細には、本発明が属する技術分野における通常の技術水準によると、導体の厚さが増加するほど、その抵抗及び寄生インダクタンスは減少するようになり、導体の厚さが減少するほど、その抵抗及び寄生インダクタンスは増加するようになる。
【0062】
このとき、内部電極121、122が第1最外側120-1から第2最外側120-2に行くほど、その平均厚さが徐々に減少するように配置されると、内部電極121、122は、第1最外側120-1から第2最外側120-2に行くほど、その抵抗及び寄生インダクタンスが増加する傾向を有するようになる。
【0063】
一方、複数の内部電極121、122が有するそれぞれの厚さは多様であってもよく、例えば、複数の内部電極121、122のうち、第1最外側120-1に配置される内部電極の厚さをt1と、第2最外側120-2に配置される内部電極の厚さをt2と定義するとき、t1≦2t2を満たすことができる。このとき、t1、t2の厚さは平均厚さを意味することができる。
【0064】
第1及び第2最外側120-1、120-2に配置される内部電極間の平均厚さの差が2倍を超えると、第1最外側120-1に配置された内部電極の厚さが過度に厚く形成され、積層型電子部品100の小型化及び高容量化に適さなくなることがある。または、第2最外側120-2に配置された内部電極の厚さが過度に薄く形成され、電極の連結性が低下することがある。
【0065】
本明細書において、電流がプリント回路基板の実装面から当該内部電極まで到達する距離をそれぞれの内部電極の電気経路と仮定するとき、複数の内部電極121、122のうち実装面に最も近接した内部電極が最も短い電気経路を有し、実装面から最も遠い内部電極が最も長い電気経路を有する。
【0066】
一方、本発明が属する技術分野における通常の技術水準によると、導体の長さが増加するほど、その抵抗及び寄生インダクタンスは増加するようになり、導体の長さが減少するほど、その抵抗及び寄生インダクタンスは減少するようになる。すなわち、電気経路が長いほど、それによる抵抗及び寄生インダクタンスが大きく現れ、電気経路が短いほど、それによる抵抗及び寄生インダクタンスが小さく現れる。
【0067】
したがって、複数の内部電極121、122のうち実装面に近接した内部電極であるほど、抵抗及び寄生インダクタンスが小さく現れ、実装面から離れるほど、電気経路による抵抗及び寄生インダクタンスが増加する。
【0068】
このように、一つの積層型電子部品100に配置される複数の内部電極121、122間には、電気経路の差による抵抗及び寄生インダクタンスのばらつきが発生することができる。そして、これにより、実装面に近接した内部電極に電流が集中することで、内部電極間に電流密度の不均衡が発生することができる。
【0069】
本発明の一適用形態によると、積層型電子部品100の第2最外層120-2がプリント回路基板の実装面側に配置される場合、複数の内部電極121、122は、実装面から離れるほど、その抵抗及び寄生インダクタンスが減少する傾向を有するようになる。
【0070】
積層型電子部品100が、このような方向に実装される場合、第2最外層120-2に配置された内部電極は、電極の厚さ面では、最も大きい抵抗及び寄生インダクタンスを有することができ、電気経路面では、最も小さい抵抗及び寄生インダクタンスを有することができる。また、第1最外層120-1に配置された内部電極は、電極の厚さ面では、最も小さい抵抗及び寄生インダクタンスを有することができ、電気経路面では、最も大きい抵抗及び寄生インダクタンスを有することができる。すなわち、それぞれの内部電極に対する抵抗及び寄生インダクタンスのばらつきが互いに相殺されることができる。
【0071】
これにより、複数の内部電極121、122が実装面から離れるほど、次第に厚くなるように配置される傾向を有する場合、内部電極間の抵抗及び寄生インダクタンスのばらつきが減少することができる。
【0072】
そして、これにより、実装面に近接した内部電極に電流が集中することが抑制され、複数の内部電極121、122間に電流密度の不均衡が低減されることができる。
【0073】
本発明の他の適用形態によると、積層型電子部品100の第1最外層120-1がプリント回路基板の実装面側に配置されるようにしてもよい。
【0074】
この場合には、積層型電子部品100に発生するESR(Equivalent Series Resistance)が低減される効果を奏することができる。
【0075】
(変形例)
図4及び図5は、図3の実施形態に対する第1及び第2変形例をそれぞれ示した断面図である。
【0076】
まず、図4を参照すると、本体110は、積層方向(Z方向)の両端に上部カバー部112に対応する領域C1と、下部カバー部113に対応する領域C2を含むことができ、その間に複数の内部電極を含む容量形成部Aを含むことができる。
【0077】
容量形成部Aは、最も厚い内部電極が配置された第1最外側を含む第1領域A1と、最も薄い内部電極が配置された第2最外側を含む第2領域A2とを含むことができる。すなわち、本発明の第1変形例によると、複数の内部電極が配置される容量形成部Aは2つの領域に区画されてもよい。
【0078】
このとき、第1領域A1には、第1最外側に配置された内部電極と平均厚さが同一である複数の内部電極が積層された第1内部電極群121a、122aが配置されてもよい。また、第2領域A2には、第2最外側に配置された内部電極と平均厚さが同一である複数の内部電極が積層された第2内部電極群121b、122bが配置されてもよい。
【0079】
すなわち、容量形成部Aには、2つの互いに異なる平均厚さを有する内部電極が配置されてもよく、そのうち第1領域A1には、相対的に厚い内部電極で構成された第1内部電極群121a、122aが配置され、第2領域A2には、相対的に薄い内部電極で構成された第2内部電極群121b、122bが配置されてもよい。
【0080】
一方、第1及び第2内部電極群121a、122a、121b、122bにそれぞれ含まれる内部電極の厚さの差は多様であってもよく、例えば、第1内部電極群121a、122aの厚さをt11と、第2内部電極群121b、122bに配置される内部電極の厚さをt12と定義するとき、t11≦2t12を満たすことができる。このとき、t11、t12の厚さは平均厚さを意味することができる。
【0081】
第1及び第2内部電極群121a、122a、121b、122bに含まれる内部電極の平均厚さの差が2倍を超えると、第1内部電極群121a、122aに配置された内部電極の厚さが過度に厚く形成され、積層型電子部品100の小型化及び高容量化に適さなくなることがある。または、第2内部電極群121b、122bに配置された内部電極の厚さが過度に薄く形成され、電極の連結性が低下することがある。
【0082】
本変形例によると、第1及び第2領域A1、A2に配置された複数の内部電極間には、積層方向(Z方向)に離隔した距離が一定であってもよい。
【0083】
そして、このとき、複数の内部電極の積層方向(Z方向)に対する第1及び第2領域A1、A2の長さは互いに同一であってもよい。すると、この場合、第1領域A1に含まれた内部電極の個数は、第2領域A2に含まれた内部電極の個数より少なくなることができる。
【0084】
また他の例として、第1及び第2領域A1、A2に含まれた内部電極の個数が同一であってもよい。すると、この場合、第1領域A1の積層方向に対する長さは、第2領域A2の積層方向に対する長さより長くなることができる。
【0085】
図5を参照すると、本体110は、積層方向(Z方向)の両端に上部カバー部112に対応する領域C1と、下部カバー部113に対応する領域C2とを含むことができ、その間に複数の内部電極を含む容量形成部A'を含むことができる。
【0086】
容量形成部A'は、それぞれ互いに異なる平均厚さの内部電極が配置される3つ以上の領域を含み、容量形成部A'のそれぞれの領域に含まれる内部電極同士は互いに同一の厚さを有することができる。
【0087】
例えば、図5に示すように、容量形成部A'は、3つの領域A3、A4、A5を含むことができる。以下、本明細書では、容量形成部A'が3つの領域A3、A4、A5を含む例示について代表的に説明するが、このような内容は、他の個数の領域を含む容量形成部A'にも同様に適用することができる。
【0088】
本変形例によると、容量形成部A'は、最も厚い内部電極が配置された第1最外側を含む第3領域A3と、最も薄い内部電極が配置された第2最外側を含む第5領域A5と、その間に中間厚さの内部電極が配置された第4領域A4と、を含むことができる。すなわち、本発明の第2変形例によると、複数の内部電極が配置される容量形成部A'は3つの領域に区画されてもよい。
【0089】
このとき、第3領域A3には、第1最外側に配置された内部電極と平均厚さが同一である複数の内部電極が積層された第3内部電極群121c、122cが配置されてもよい。また、第5領域A5には、第2最外側に配置された内部電極と平均厚さが同一である複数の内部電極が積層された第5内部電極群121e、122eが配置されてもよい。また、第4領域A4には、第1最外側に配置された内部電極より薄く、第2最外側に配置された内部電極より厚い複数の内部電極が積層された第4内部電極群121d、122dが配置されてもよい。
【0090】
すなわち、容量形成部A'には、3つの互いに異なる平均厚さを有する内部電極が配置されてもよく、そのうち第3領域A3には、相対的に厚い内部電極で構成された第3内部電極群121c、122cが配置され、第4領域A4には、中間厚さの内部電極で構成された第4内部電極群121d、122dが配置され、第5領域A5には、相対的に薄い内部電極で構成された第5内部電極群121e、122eが配置されてもよい。
【0091】
一方、第3~第5内部電極群121c~122eにそれぞれ含まれる内部電極の厚さの差は多様であってもよく、例えば、第3内部電極群121c、122cの厚さをt13と、第5内部電極群121e、122eに配置される内部電極の厚さをt15と定義するとき、t13≦2t15を満たすことができる。このとき、t13、t15の厚さは平均厚さを意味することができる。
【0092】
第3及び第5内部電極群121c、122c、121e、122eに含まれる内部電極の平均厚さの差が2倍を超えると、第3内部電極群121c、122cに配置された内部電極の厚さが過度に厚く形成され、積層型電子部品100の小型化及び高容量化に適さなくなることがある。または、第5内部電極群121e、122eに配置された内部電極の厚さが過度に薄く形成され、電極の連結性が低下することがある。
【0093】
また、例えば、第4内部電極群121d、122dの平均厚さをt14と定義するとき、t14はt13とt15の平均値に該当することができる。
【0094】
本変形例によると、第3~第5領域A3、A4、A5に配置された複数の内部電極間には、積層方向(Z方向)に離隔した距離が一定であってもよい。
【0095】
そして、このとき、複数の内部電極の積層方向(Z方向)に対する第3~第5領域A3、A4、A5の長さは互いに同一であってもよい。すると、この場合、第3領域A3に含まれた内部電極の個数が最も少なく、第5領域A5に含まれた内部電極の個数が最も多くなることができる。
【0096】
また他の例として、第3~第5領域A3、A4、A5に含まれた内部電極の個数が互いに同一であってもよい。すると、この場合、第3領域A3の積層方向に対する長さが最も長く、第5領域A5の積層方向に対する長さが最も短くなることができる。
【0097】
一方、図4及び図5に示した各変形例の場合にも、本発明の様々な適用形態に応じて互いに異なる方向に積層型電子部品を基板の上に実装することができる。
【0098】
本発明の一適用形態によると、第2内部電極群121b、122bまたは第5内部電極群121e、122eがプリント回路基板の実装面側に配置される場合、複数の内部電極は、実装面から離れるほど、その抵抗及び寄生インダクタンスが減少する傾向を有するようになる。
【0099】
積層型電子部品100が、このような方向に実装される場合、第2内部電極群121b、122bまたは第5内部電極群121e、122eに配置された内部電極は、電極の厚さ面では、最も大きい抵抗及び寄生インダクタンスを有することができ、電気経路面では、最も小さい抵抗及び寄生インダクタンスを有することができる。また、第1内部電極群121a、122aまたは第3内部電極群121c、122cに配置された内部電極は、電極の厚さ面では、最も小さい抵抗及び寄生インダクタンスを有することができ、電気経路面では、最も大きい抵抗及び寄生インダクタンスを有することができる。すなわち、それぞれの内部電極に対する抵抗及び寄生インダクタンスのばらつきが互いに相殺されることができる。
【0100】
これにより、複数の内部電極が実装面から離れるほど、次第に厚くなるように配置される傾向を有する場合、内部電極間の抵抗及び寄生インダクタンスのばらつきが減少することができる。
【0101】
そして、これにより、実装面に近接した内部電極に電流が集中することが抑制され、複数の内部電極間に電流密度の不均衡が低減されることができる。
【0102】
本発明の他の適用形態によると、第1内部電極群121a、122aまたは第3内部電極群121c、122cがプリント回路基板の実装面側に配置されるようにしてもよい。
【0103】
この場合には、積層型電子部品100に発生するESR(Equivalent Series Resistance)が低減される効果を奏することができる。
【0104】
以上のように本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0105】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112:上部カバー部
113:下部カバー部
120-1:第1最外側
120-2:第2最外側
121、122:内部電極
121a、122a:第1内部電極群
121b、122b:第2内部電極群
121c、122c:第3内部電極群
121d、122d:第4内部電極群
121e、122e:第5内部電極群
131、132:外部電極
A:容量形成部
A1:第1領域
A2:第2領域
図1
図2
図3
図4
図5