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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/40 20060101AFI20250319BHJP
【FI】
B65C9/40
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020188920
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077868
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2023-10-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】森 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 亮輔
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-121788(JP,A)
【文献】特開2020-121752(JP,A)
【文献】特開2020-121775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 1/00-11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、前記シートに前記箔を転写する箔転写装置であって、
開口を有する筐体本体と、
前記開口を閉じる閉位置と、前記開口を開放する開位置と、の間で移動可能なカバーと、
前記カバーを前記閉位置でロック可能なロック機構と、
前記箔フィルムおよび前記シートを加熱するための加熱部材と、
前記加熱部材との間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟むための加圧部材と、
前記加熱部材に対面する板金であって、前記箔フィルムの幅方向に延び、シートの搬送方向における前記加熱部材の下流側に位置する板金と、
前記板金に配置され、前記加熱部材に対面して配置された温度センサと、
前記加熱部材を、前記加圧部材に圧接した圧接位置と、前記加圧部材から離間した離間位置との間で移動させる接離機構と、
前記接離機構の動作に連動して、前記加熱部材が離間位置に位置する場合に前記加熱部材と前記加圧部材の間であって前記加熱部材を覆う第1位置に位置し、前記加熱部材が圧接位置に位置する場合に前記第1位置と異なる位置である第2位置に位置するシャッタと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記温度センサが検知した検知温度に、箔転写を実行する条件から決定される第1補正値を足した値を第1ロック判定温度として算出し、前記第1ロック判定温度が第1閾値以上である場合、前記ロック機構を制御して前記カバーをロックし、
前記温度センサが検知した検知温度に、箔転写を実行する条件から決定される第2補正値であって、前記第1補正値とは別の第2補正値を足した値を第2ロック判定温度として算出し、前記第2ロック判定温度が第2閾値未満である場合、前記ロック機構を制御して前記カバーのロックを解除し、
前記シャッタが第2位置に位置する場合には、前記ロック機構を制御して前記カバーをロックし、前記温度センサが検知した検知温度に関わらず、前記カバーのロックを解除しないことを特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
前記箔転写装置は、
第1の幅の箔フィルムである第1箔フィルムと、
前記第1箔フィルムが装着される領域の幅方向における中央領域に装着され、前記第1の幅よりも狭い第2の幅の箔フィルムである第2箔フィルムと、
前記第1箔フィルムが装着される領域の幅方向における一方側に寄せた片寄せ領域に装着され、前記第2の幅の箔フィルムである第3箔フィルムと、
のいずれかを装着可能であり、
前記温度センサは、幅方向において、前記第2箔フィルムと前記第3箔フィルムとが共に装着される領域内であって、前記第2箔フィルムの中央よりも前記第2箔フィルムの端の近くに位置し、
前記第1補正値および前記第2補正値は、
前記第2箔フィルムを装着した場合、前記第1箔フィルムを装着した場合よりも大きな値に決定され、
前記第3箔フィルムを装着した場合、前記第1箔フィルムを装着した場合よりも大きく、前記第2箔フィルムを装着した場合よりも小さい値に決定されることを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項3】
前記第1補正値は、前記シートの幅が第1幅である場合、前記第1幅より大きい第2幅である場合より大きい値に決定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記第1補正値は、前記シートの厚さが第1厚さである場合、前記第1厚さより厚い第2厚さである場合より大きい値に決定されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項5】
前記制御部は、
シートの搬送方向におけるシートの全範囲に前記箔フィルムを接触させて転写を実行する通常モードと、前記搬送方向におけるシートの一部の範囲に前記箔フィルムを接触させて転写を実行する箔セーブモードと、を実行可能であり、
前記第1補正値および前記第2補正値は、
前記箔セーブモードを実行する場合、前記通常モードを実行する場合より大きな値に決定されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項6】
前記第1閾値は、前記第2閾値より大きい値であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項7】
前記第1閾値は、前記第2閾値より高い5~15℃高い温度であることを特徴とする請求項6に記載の箔転写装置。
【請求項8】
箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、前記シートに前記箔を転写する箔転写装置であって、
開口を有する筐体本体と、
前記開口を閉じる閉位置と、前記開口を開放する開位置と、の間で移動可能なカバーと、
前記カバーを前記閉位置でロック可能なロック機構と、
前記箔フィルムおよび前記シートを加熱するための加熱部材と、
前記加熱部材との間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟むための加圧部材と、
前記加熱部材に対面する板金であって、前記箔フィルムの幅方向に延び、シートの搬送方向における前記加熱部材の下流側に位置する板金と、
前記板金に配置され、前記加熱部材に対面して配置された温度センサと、
前記加熱部材を、前記加圧部材に圧接した圧接位置と、前記加圧部材から離間した離間位置との間で移動させる接離機構と、
前記接離機構の動作に連動して、前記加熱部材が離間位置に位置する場合に前記加熱部材と前記加圧部材の間であって前記加熱部材を覆う第1位置に位置し、前記加熱部材が圧接位置に位置する場合に前記第1位置と異なる位置である第2位置に位置するシャッタと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記温度センサが検知した検知温度が、第3閾値から箔転写を実行する条件から決定される第3補正値を引いた値以上である場合、前記ロック機構を制御して前記カバーをロックし、
前記温度センサが検知した検知温度が、第4閾値から箔転写を実行する条件から決定される第4補正値を引いた値未満である場合、前記ロック機構を制御して前記カバーのロックを解除し、
前記シャッタが第2位置に位置する場合には、前記ロック機構を制御して前記カバーをロックし、前記温度センサが検知した検知温度に関わらず、前記カバーのロックを解除しないことを特徴とする箔転写装置。
【請求項9】
前記加熱部材は、回転可能な加熱ローラであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項10】
前記加圧部材は、回転可能な加圧ローラであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項11】
前記ロック機構は、
前記カバーを閉位置にロックするロック位置と、前記カバーをロックしない非ロック位置と、に揺動可能なロックレバーと、
前記ロックレバーがロック位置から非ロック位置に揺動するのを規制する規制位置と、前記ロックレバーがロック位置から非ロック位置に揺動するのを規制しない非規制位置と、に移動可能な揺動規制部材と、
を有することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに箔を転写する箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、箔転写装置として、箔フィルムが巻回された供給リールと、箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、箔フィルムおよびシートを加熱する加熱ローラと、加熱ローラとの間で箔フィルムおよびシートを挟む加圧ローラと、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。この箔転写装置は、カバーを開いて、箔フィルムを交換したり、詰まったシートを取り除くことが可能となっている。このカバーは、箔転写を実行した後、内部の温度が閾値以上である場合、ロックされて開けないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-121788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術においては、ロックする条件やロック解除する条件に箔転写装置の動作条件が考慮されていない。このような場合、安全性を考えて全ての条件の中で最も厳しいロック条件を採用するのが一般的である。この場合、箔転写装置の動作条件によっては、カバーのロックを解除できるのにも関わらずロックを解除しない場合がある。これにより、カバーのロック状態が不必要に長くなり、ユーザの利便性が低下してしまう虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、カバーのロック状態が不必要に長くなることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための箔転写装置は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、シートに箔を転写する装置であって、開口を有する筐体本体と、カバーと、ロック機構と、加熱部材と、加圧部材と、温度センサと、制御部と、を備える。カバーは、開口を閉じる閉位置と、開口を開放する開位置と、の間で移動可能である。ロック機構は、カバーを閉位置でロック可能である。加熱部材は、箔フィルムおよびシートを加熱する。加圧部材は、加熱部材との間で箔フィルムおよびシートを挟む。
制御部は、温度センサが検知した検知温度に、箔転写を実行する条件から決定される第1補正値を足した値を第1ロック判定温度として算出し、第1ロック判定温度が第1閾値以上である場合、ロック機構を制御してカバーをロックする。
制御部は、温度センサが検知した検知温度に、箔転写を実行する条件から決定される第2補正値であって、第1補正値とは別の第2補正値を足した値を第2ロック判定温度として算出し、第2ロック判定温度が第2閾値未満である場合、ロック機構を制御してカバーのロックを解除する。
【0007】
この構成によれば、カバーをロックする判定基準となる第1ロック判定温度と、カバーロックを解除する判定基準となる第2ロック判定温度とが、それぞれ異なる補正値を足すことによって決定される。このため、箔転写を実行する条件に対して、カバーのロックとロック解除の条件がそれぞれ適切に算出される。この結果、カバーのロック状態が不必要に長くなることが抑制されてユーザの利便性を向上させることができる。
【0008】
また、前記した構成において、箔転写装置は、第1の幅の箔フィルムである第1箔フィルムと、第1箔フィルムが装着される領域の幅方向における中央領域に装着され、第1の幅よりも狭い第2の幅の箔フィルムである第2箔フィルムと、第1箔フィルムが装着される領域の幅方向における一方側に寄せた片寄せ領域に装着され、第2の幅の箔フィルムである第3箔フィルムと、のいずれかを装着可能であり、温度センサは、幅方向において、第2箔フィルムと第3箔フィルムとが共に装着される領域内であって、第2箔フィルムの中央よりも第2箔フィルムの端の近くに位置し、第1補正値および第2補正値は、第2箔フィルムを装着した場合、第1箔フィルムを装着した場合よりも大きな値に決定され、第3箔フィルムを装着した場合、第1箔フィルムを装着した場合よりも大きく、第2箔フィルムを装着した場合よりも小さい値に決定される構成としてもよい。
【0009】
この構成によれば、第1補正値および第2補正値が、装着された第1箔フィルム、第2箔フィルムまたは第3箔フィルムのいずれかに対応した値に決定されるので、カバーロックとロック解除がそれぞれ適切に算出される。この結果、カバーロック状態が不必要に長くなることが抑制されてユーザの利便性を向上させることができる。
【0010】
また、前記した構成において、第1補正値は、シートの幅が第1幅である場合、第1幅より大きい第2幅である場合より大きい値に決定される構成としてもよい。
【0011】
この構成によれば、第1補正値がシートの幅に応じた値に決定されるので、カバーロックとロック解除状態がそれぞれ適切に算出される。この結果、カバーロック状態が不必要に長くなることが抑制されてユーザの利便性を向上させることができる。
【0012】
また、前記した構成において、第1補正値は、シートの厚さが第1厚さである場合、第1厚さより厚い第2厚さである場合より大きい値に決定される構成としてもよい。
【0013】
この構成によれば、第1補正値がシートの厚さに対応した値に決定されるので、カバーロックとロック解除状態がそれぞれ適切に算出される。この結果、カバーロック状態が不必要に長くなることが抑制されてユーザの利便性を向上させることができる。
【0014】
また、前記した構成において、制御部は、シートの搬送方向におけるシートの全範囲に箔フィルムを接触させて転写を実行する通常モードと、搬送方向におけるシートの一部の範囲に箔フィルムを接触させて転写を実行する箔セーブモードと、を実行可能であり、第1補正値および第2補正値は、箔セーブモードを実行する場合、通常モードを実行する場合より大きな値に決定される構成としてもよい。
【0015】
この構成によれば、第1補正値および第2補正値が、通常モードか箔セーブモードかに対応した値に決定されるので、カバーロックとロック解除状態がそれぞれ適切に算出される。この結果、カバーロック状態が不必要に長くなることが抑制されてユーザの利便性を向上させることができる。
【0016】
また、前記した構成において、第1閾値は、第2閾値より大きい値である構成としてもよい。
【0017】
また、前記した構成において、第1閾値は、第2閾値より高い5~15℃高い温度である構成としてもよい。
【0018】
この構成によれば、第1閾値と第2閾値に5~15℃のギャップを設けることで、カバーのロックと解除が頻繁に繰り返されることを抑制できる。
【0019】
また、箔転写装置は、加熱部材を、加圧部材に圧接した圧接位置と、加圧部材から離間した離間位置との間で移動させる接離機構と、接離機構の動作に連動して加熱部材が離間位置に位置する場合に加熱部材と加圧部材の間であって加熱部材を覆う第1位置に位置し、加熱部材が圧接位置に位置する場合に第1位置と異なる位置である第2位置に位置するシャッタと、をさらに備え、制御部は、シャッタが第2位置に位置する場合には、ロック機構を制御してカバーをロックし、温度センサが検知した検知温度に関わらず、カバーのロックを解除しない構成としてもよい。
【0020】
この構成によれば、シャッタが加熱部材を覆う第1位置に位置する場合にのみカバーのロックを解除するので、ユーザが加熱部材に触れてしまうのを抑制することができる。
【0021】
また、箔転写装置は、加熱部材に対面する板金であって、箔フィルムの幅方向に延び、搬送方向における前記加熱部材の下流側に位置する板金をさらに備え、温度センサは、板金に配置されている構成としてもよい。
【0022】
この構成によれば、温度センサが加熱部材の状態に対応した温度を検知することができる。
【0023】
前記課題を解決するための箔転写装置は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、シートに箔を転写する装置であって、開口を有する筐体本体と、カバーと、ロック機構と、加熱部材と、加圧部材と、温度センサと、制御部と、を備える。カバーは、開口を閉じる閉位置と、開口を開放する開位置と、の間で移動可能である。ロック機構は、カバーを閉位置でロック可能である。加熱部材は、箔フィルムおよびシートを加熱する。加圧部材は、加熱部材との間で箔フィルムおよびシートを挟む。
制御部は、温度センサが検知した検知温度が、第3閾値から箔転写を実行する条件から決定される第3補正値を引いた値以上である場合、カバーをロックする。
制御部は、温度センサが検知した検知温度が、第4閾値から箔転写を実行する条件から決定される第4補正値を引いた値未満である場合、カバーのロックを解除する。
【0024】
この構成によれば、カバーをロックする判定基準となる値と、カバーロックを解除する判定基準となる値とが、それぞれ異なる補正値をそれぞれの閾値から引くことによって決定される。このため、箔転写を実行する条件に対して、カバーロックとロック解除がそれぞれ適切に算出される。この結果、カバーロック状態が不必要に長くなることが抑制されてユーザの利便性を向上させることができる。
【0025】
また、前記した構成において、加熱部材は、回転可能な加熱ローラである構成としてもよい。
【0026】
また、前記した構成において、加圧部材は、回転可能な加圧ローラである構成としてもよい。
【0027】
また、前記した構成において、ロック機構は、カバーを閉位置にロックするロック位置とカバーをロックしない非ロック位置とに揺動可能なロックレバーと、ロックレバーがロック位置から非ロック位置に揺動するのを規制する規制位置とロックレバーがロック位置から非ロック位置に揺動するのを規制しない非規制位置とに移動可能な揺動規制部材と、を有する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、カバーのロック状態が不必要に長くなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る箔転写装置を示す図である。
図2】箔転写装置のカバーを開けた状態を示す図である。
図3】第1フィルムカートリッジ(a)と、第2フィルムカートリッジ(b)と、第3フィルムカートリッジ(c)を示す斜視図である。
図4】3つのフィルムセンサを示す図(a)と、各センサの検知内容を示す表(b)である。
図5】箔転写装置を上から見た図であり、箔フィルムおよび各シートセンサの位置を説明する図である。
図6】ロックレバー周りの構造を示す側面図であり、ロックレバーがロック位置に規制されている状態を示す図(a)と、ロックレバーが規制されていない状態を示す図(b)と、ロックレバーが非ロック位置に揺動している状態を示す図(c)である。
図7】ロックレバーを示す斜視図である。
図8】加熱ユニットを示す斜視図である。
図9】加熱ローラが圧接位置に位置する状態のシャッタと連動機構を説明する図(a)と、加熱ローラが離間位置に位置する状態のシャッタと連動機構を説明する図(b)である。
図10】検知温度に第1補正値を足した値とカバーをロックするタイミングと、検知温度に第2補正値を足した値とロックを解除するタイミングを説明するグラフである。
図11】箔フィルムの種類に対応した第1補正値と第2補正値を示す表である。
図12】シートの幅に対応した第1補正値と第2補正値を示す表(a)と、シートの厚さに対応した第1補正値と第2補正値を示す表(b)と、箔転写モードに対応した第1補正値と第2補正値を示す表(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、箔転写装置の全体構成を簡単に説明した後、本願発明の特徴部分の構成について説明する。
以下の説明において、方向は、図1に示す方向で説明する。すなわち、図1の右側を「前」とし、図1の左側を「後」とし、図1の紙面手前側を「左」とし、図1の紙面奥側を「右」とする。また、図1の上下を「上下」とする。
【0031】
図1に示すように、箔転写装置1は、例えばレーザプリンタ等の画像形成装置でシートSにトナー像を形成した後、シートSのトナー像の上に金箔等の箔を転写するための装置である。つまり、箔転写装置1は、シートSのトナー像の上に箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成している。箔転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50と、制御部100と、を備えている。
【0032】
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。筐体本体21は、上部に開口21A(図2参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述するフィルムユニットFUを着脱するための開口である。カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、筐体本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを閉じる閉位置(図1の位置)と、開口21Aを開放する開位置(図2の位置)との間で回動可能となっている。
【0033】
箔転写装置1は、カバー22を閉位置でロックするロック機構8を備えている。ロック機構8については、後で詳述する。
【0034】
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルム等のシートSが載置されるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上に載置される。
【0035】
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを一枚ずつ転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラ11Aと搬送ローラを備えている。
【0036】
シート排出機構12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、複数の搬送ローラを備えている。
【0037】
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように箔フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムユニットFUと、図示せぬモータ等の駆動源を備えている。
【0038】
フィルムユニットFUは、図2に示すように、後述する供給リール31の軸方向に直交する方向において、開口21Aを通過して筐体本体21に着脱可能となっている。フィルムユニットFUは、供給リール31と、巻取リール35とを備えている。供給リール31には、箔フィルムFが巻回されている。
【0039】
箔フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、箔フィルムFは、支持層と、被支持層とを有する。支持層は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層を支持している。被支持層は、例えば、剥離層と、転写層と、接着層とを有する。剥離層は、支持層から転写層を剥離しやすくするための層であり、支持層と転写層との間に配置されている。剥離層は、支持層から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
【0040】
転写層は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウム等の金属であって薄く延された金属である。また、転写層は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層は、剥離層と接着層との間に配置されている。接着層は、転写層をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層は、後述する転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
【0041】
供給リール31は、樹脂などからなり、箔フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、箔フィルムFの一端が固定されている。箔フィルムFは、支持層を外側、被支持層を内側にして、供給リール31に巻回されている。
【0042】
巻取リール35は、樹脂などからなり、箔フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、箔フィルムFの他端が固定されている。箔フィルムFは、支持層を外側、被支持層を内側にして、巻取リール35に巻回されている。
【0043】
なお、図1等においては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に箔フィルムFが最大に巻回された状態を図示することとする。実際には、フィルムユニットFUが新品の状態においては、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となっており、巻取リール35には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となっている。また、フィルムユニットFUの寿命時(箔フィルムFを使い切ったとき)においては、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となり、供給リール31には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となる。
【0044】
フィルムユニットFUを箔転写装置1に装着した状態において、巻取リール35は、図示せぬ駆動源によって図示反時計回りに回転駆動される。巻取リール35が回転すると、供給リール31に巻回された箔フィルムFが引き出され、引き出された箔フィルムFが巻取リール35に巻き取られていく。詳しくは、箔転写中において、後述する加圧ローラ51と加熱ローラ61によって箔フィルムFが送り出されることで、供給リール31から箔フィルムFが引き出される。そして、加圧ローラ51と加熱ローラ61から送り出された箔フィルムFが、巻取リール35に巻き取られていく。
【0045】
転写部50は、シートSと箔フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に転写層を転写するための部分である。転写部50は、加圧部材の一例としての加圧ローラ51と、加圧部材の一例としての加熱ローラ61とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと箔フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
【0046】
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、箔フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面と反対側の面)と接触可能となっている。
【0047】
加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび箔フィルムFを挟み、図示せぬ駆動源によって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。
【0048】
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータを配置した回転可能なローラであり、箔フィルムFおよびシートSを加熱している。加熱ローラ61は、箔フィルムFの下側に配置され、箔フィルムFと接触している。
【0049】
なお、本実施形態では、加熱ローラ61を箔フィルムFに対して接触・離間させるための接離機構7によって加熱ローラ61を移動させている。接離機構7は、加熱ローラ61を、加圧ローラ51に圧接した圧接位置と、加熱ローラ61が加圧ローラ51から離間した離間位置との間で移動させる機構である。フィルムユニットFUが装着している状態では、加熱ローラ61が圧接位置に位置するときには、加熱ローラ61は箔フィルムFに接触する。接離機構7は、カバー22を閉じている状態においては、シートSが転写部50に供給されるタイミングに合わせて加熱ローラ61を、箔フィルムFに接触する接触位置に移動させている。また、接離機構7は、カバー22が開けられた場合や、転写部50においてシートSに箔転写を行わない場合には、加熱ローラ61を、箔フィルムFから離間する離間位置に位置させている。
【0050】
このように構成された箔転写装置1では、シートSの表面を下向きにしてシートトレイ3に載置されたシートSが、シート供給機構11により一枚ずつ転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50のシートSの搬送方向(以下の説明では、単に「搬送方向」という。)における上流側で、供給リール31から供給された箔フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と箔フィルムFが接触した状態で転写部50に搬送される。
【0051】
転写部50においては、シートSと箔フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に箔が転写される。転写部50の下流側において、箔フィルムFは、シートSから剥離される。
【0052】
シートSから剥離された箔フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、箔フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
【0053】
制御部100は、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、ROM等に記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。なお、制御部100の動作については、後で詳述する。
【0054】
ここで、箔転写装置1は、複数種類の幅の箔フィルムFを装着可能である。また、箔転写装置1は、複数種類の幅のシートSを搬送可能である。
【0055】
まず、図3(a)~(c)および図9を参照して、箔転写装置1に装着可能な箔フィルムFについて説明する。
箔転写装置1は、第1箔フィルムF1と、第2箔フィルムF2と、第3箔フィルムF3と、のいずれかを装着可能である。第1箔フィルムF1は、第1の幅H1の箔フィルムFである。図5に示すように、第2箔フィルムF2は、第1箔フィルムF1が装着される領域R1の幅方向における中央領域R2に装着され、第1の幅H1よりも狭い第2の幅H2の箔フィルムFである。第3箔フィルムF3は、第1箔フィルムF1が装着される領域R1の幅方向における一方側(図5における左側)に寄せた片寄せ領域R3に装着され、第2の幅H2の箔フィルムFである。
【0056】
図3(a)に示すように、幅がH1である箔フィルムFを有する第1フィルムカートリッジFC1が装着されたフィルムユニットFUを第1フィルムユニットFU1と呼ぶ。なお、第1の幅H1は、フィルムユニットFUに配置可能な箔フィルムFの最大幅であり、一例として、220mmである。第1フィルムユニットFU1は、搬送可能なサイズのシートSの全般の使用に適しており、特に幅の大きいシートSの幅方向全域に亘って箔転写を行いたい場合に最適である。
第1フィルムユニットFU1は、外周壁32Aに形成された3つの凹部32Dのすべてに係合片P1,P2,P3が固定されている。
【0057】
図3(b)に示すように、幅がH2である箔フィルムFを有し、箔フィルムFが中央に寄せられて配置された第2フィルムカートリッジFC2が装着されたフィルムユニットFUを第2フィルムユニットFU2と呼ぶ。なお、第2の幅H2は、第1の幅H1より小さく、一例として、110mmである。第2フィルムユニットFU2は、幅の小さいシートや、幅の大きいシートの中央領域R2のみに箔転写を行いたい場合に適しており、箔フィルムFを節約できる(図5参照)。
第2フィルムユニットPU2は、外周壁32Aに形成された3つの凹部32Dのうち、左右両側の2つの凹部32Dには係合片P1,P3が固定されており、中央の凹部32Dには係合片が固定されていない。
【0058】
図3(c)に示すように、幅がH2である箔フィルムFを有し、箔フィルムFが箔フィルムFの幅方向の片側に寄せられて配置された第3フィルムカートリッジFC3が装着されたフィルムユニットFUを第3フィルムユニットFU3と呼ぶ。
第2フィルムユニットFU2は、幅の大きいシートSの片寄せ領域R3のみに箔転写を行いたい場合に適しており、箔フィルムFを節約できる(図5参照)。
第3フィルムユニットPU3は、外周壁32Aに形成された3つの凹部32Dのうち、中央の凹部32Dと、左右片側の凹部32Dに係合片P2,P3が固定されており、左右片側のもう一方の凹部32Dには係合片が固定されていない。
【0059】
図4(a)に示すように、箔転写装置1は、箔フィルムFの幅を検出する箔フィルムセンサを備えている。箔フィルムセンサは、第1センサAS1、第2センサAS2、第3センサAS3の3つのセンサを有している。
【0060】
第1センサAS1、第2センサAS2、第3センサAS3は、フィルムユニットFUが筐体本体21に装着された状態で、供給ケース32の外周壁32Aに形成された3つ凹部32Dに対応する位置に配置されている。
第1センサAS1は、フィルムユニットFUの係合片P1を検知したときに制御部100にLOWを表す信号を送り、係合片P1を検知しないときに制御部100にHIGHを表す信号を送る。
第2センサAS2は、フィルムユニットFUの係合片P2を検知したときに制御部100にLOWを表す信号を送り、係合片P2を検知しないときに制御部100にHIGHを表す信号を送る。
第3センサAS3は、フィルムユニットFUの係合片P3を検知したときに制御部100にLOWを表す信号を送り、係合片P3を検知しないときに制御部100にHIGHを表す信号を送る。
【0061】
制御部100は、第1センサAS1、第2センサAS2、第3センサAS3からの信号を受けることで、第1フィルムユニットFU1、第2フィルムユニットFU2または第3フィルムユニットFU3のどれが筐体本体21に装着されているのか判断することができる。
【0062】
具体的には、図4(b)の表に示すように、第1センサAS1と、第2センサAS2と、第3センサAS3からの信号が、いずれもLOWである場合には、制御部100は、第1フィルムユニットFU1が筐体本体21に装着されていると判断する。
また、制御部100は、第1センサAS1および第3センサAS3からの信号がLOWで、第2センサAS2からの信号がHIGHである場合には、第2フィルムユニットFU2が筐体本体21に装着されていると判断する。
また、第2センサAS2および第3センサAS3からの信号がLOWで、第1センサAS1からの信号がHIGHである場合には、制御部100は、第3フィルムユニットFU3が筐体本体21に装着されていると判断する。
さらに、第1センサAS1、第2センサAS2および第3センサAS3からの信号がいずれもHIGHである場合には、制御部100は、第1フィルムユニットFU1、第2フィルムユニットFU2または第3フィルムユニットFU3のいずれも筐体本体21に装着されていないと判断する。
【0063】
次に、箔転写装置1に幅の異なるシートが載置された場合について図5を参照して説明する。図5に示すように、箔転写装置1は、第1シートセンサSS1と、シート幅センサSS4とを有している。
【0064】
図1に示すように、第1シートセンサSS1は、搬送方向において、ピックアップローラ11Aと転写部50の間に位置する。第1シートセンサSS1は、シートSの幅方向(図5の左右方向)における中央Cに位置している(図5参照)。第1シートセンサSS1は、転写部50に向けて搬送されるシートSの通過を検知可能である。第1シートセンサSS1がシートSを検知している間は、制御部100にON信号が送られる。
【0065】
シート幅センサSS4は、搬送方向において、ピックアップローラ11Aと転写部50の間に位置する。図5に示すように、シート幅センサSS4は、転写部50に向けて搬送されて片寄せ領域を通過するシートSを検知可能である。本実施形態では、シート幅センサSS4は、片寄せ領域R3に位置し、第1シートセンサSS1より少しだけ搬送方向の上流側に位置している。シート幅センサSS4は、シートSの幅方向(図5の左右方向)における中央Cから一方側に寄って配置されている。シート幅センサSS4がシートSを検知している間は、制御部100にON信号が送られる。
【0066】
なお、本実施形態では、シート幅センサSS4は、中央Cから図5における左側に75~77mm離れた位置に配置されている。
シート幅センサSS4は、A5サイズ(幅148.5mm)より大きな幅のシートS1が中央寄せで搬送されてきた場合には、シートS1を検知可能である。
シート幅センサSS4は、A5サイズ(幅148.5mm)以下の幅のシートS2が中央寄せで搬送されてきた場合には、シートS2を検知不能である。
【0067】
ここで、カバー22をロックするロック機構8について詳しく説明する。
図6(a)に示すように、ロック機構8は、ロックレバー81と、アクチュエータ91と、揺動規制部材92と、ロックピンRPと、を有する。本実施形態では、ロックレバー81は、カバー22の前端部に位置し、アクチュエータ91、揺動規制部材92およびロックピンRPは、筐体本体21に位置している(図2参照)。
【0068】
ロックレバー81は、カバー22を閉位置にロックするロック位置(図6(a)参照)と、カバー22をロックしない非ロック位置(図6(c)参照)とに揺動可能である。
【0069】
図7に示すように、ロックレバー81は、円筒状のシャフト82の両端に1つずつ設けられている。シャフト82は、カバー22に回動可能に支持されている。シャフト82の軸方向中央部には、ユーザによって操作されるハンドル83が設けられている。各ロックレバー81およびハンドル83は、シャフト82に固定されている。これにより、ユーザがハンドル83を回動させると、シャフト82とともに各ロックレバー81が回動するようになっている。
【0070】
図6(a)に示すように、ロックレバー81は、先端部がフック形状となっており、先端部がロックピンRPに係合可能となっている。ロックレバー81は、カバー22が閉位置に位置する状態において、ロックピンRPに係合可能なロック位置(図6(a)の位置)と、ロックピンRPから外れる非ロック位置(図6(c)の位置)とに移動可能となっている。
【0071】
揺動規制部材92は、図6(a)に示す規制位置と、図6(b),(c)に示す非規制位置とに移動可能である。図6(a)に示すように、揺動規制部材92は、規制位置において、ロックレバー81と接触することで、ロックレバー81がロック位置から非ロック位置に揺動するのを規制する。
【0072】
また、図6(b),(c)に示すように、揺動規制部材92は、非規制位置において、ロックレバー81から離れることで、ロックレバー81がロック位置から非ロック位置に揺動するのを規制しない。
【0073】
アクチュエータ91は、揺動規制部材92を規制位置と非規制位置との間でスライド移動させるためのものである。
【0074】
ここで、加熱ローラ61を有する加熱ユニット6について詳しく説明する。
図1に示すように、加熱ローラ61は、加熱ユニット6によって回転可能、かつ、上下に移動可能に支持されている。加熱ユニット6は、搬送方向において、供給リール31と巻取リール35の間に配置されている。加熱ユニット6は、接離機構7と、固定フレーム60と、シャッタ62と、連動機構63と、温度センサ66と、板金67と、を有している。
【0075】
接離機構7は、可動フレーム70と、カム73と、を有する。可動フレーム70は、加熱ローラ61を直接支持する部材である。可動フレーム70は、固定フレーム60の図示しないガイド部によってスライド可能にガイドされている。カム73は、回転により可動フレーム70を上下に移動させる部材である。
【0076】
図8に示すように、固定フレーム60は、加熱ユニット6の外枠を構成し、接離機構7を支持するフレームである。固定フレーム60は、筐体本体21に固定されている。
【0077】
シャッタ62は、後述するシャッタガイド65にスライド可能に支持され、図9(b)に示す第1位置と、図9(a)に示す第2位置に移動可能である。シャッタ62は、接離機構7の動作に連動して第1位置と第2位置を移動する。
【0078】
第1位置は、図9(b)に示すように、加熱ローラ61が離間位置に位置する場合に、加熱ローラ61と加圧ローラ51の間であって、加熱ローラ61を覆う位置である。
第2位置は、図9(a)に示すように、第1位置と異なる位置であり、加熱ローラ61が圧接位置に位置する場合に、シャッタ62が搬送方向の上流側に退避する位置である。
【0079】
連動機構63は、可動フレーム70の移動に連動してシャッタ62を移動させる機構である。具体的に、図9に示すように、連動機構63は、可動フレーム70が第1位置から第2位置に移動する場合に、シャッタ62を開位置から閉位置に移動させる。また、図8に示すように、連動機構63は、可動フレーム70が第2位置から第1位置に移動する場合に、シャッタ62を閉位置から開位置に移動させる。
【0080】
連動機構63は、リンク64と、シャッタガイド65と、を有する。リンク64は、固定フレーム60に揺動可能に支持されている。リンク64は、図9(a)に示す第3位置と、図9(b)に示す第4位置とに揺動可能である。リンク64は、揺動軸64Aと、アーム64Bと、長穴64Hと、を有している。リンク64は、図示せぬトーションバネによって、常に第4位置に向けて、つまり、シャッタ62が閉まる方向に付勢されている。
【0081】
揺動軸64Aは、固定フレーム60に支持されており、リンク64が揺動する軸である。アーム64Bは、可動フレーム70の突起70Dと接触する部分である。長穴64Hは、シャッタ62のシャフト62Sが入り込む。
【0082】
シャッタガイド65は、固定フレーム60に固定されており、長穴65Hを有している。長穴65Hは、シャッタ62のシャフト62Sの移動をガイドする。
【0083】
板金67は、搬送方向における加熱ローラ61の下流側に位置する。板金67は、金属製の板であり、固定フレーム60に固定されている。板金67は、箔フィルムFの幅方向(以下の説明では、単に「幅方向」という。)に延びている。板金67は。加熱ローラ61に対面している。
【0084】
温度センサ66は、板金67の下面に配置されている。すなわち、温度センサ66は、板金67の面のうち加熱ローラ61側の面に配置されている。図5に示すように、温度センサ66は、幅方向(図5における左右方向)において、第2箔フィルムF2と第3箔フィルムF3とが共に装着される領域内(R2とR3が重なる部分)であって、第2箔フィルムF2の中央Cよりも第2箔フィルムF2の端(図5におけるR2の左端)の近くに位置する。温度センサ66は、幅方向において、第1シートセンサSS1よりもシート幅センサSS4の近くに位置する。
【0085】
次に、制御部100がロック機構8を制御してカバー22をロックする場合(ロックをONする場合)と、ロックを解除する場合(ロックをOFFする場合)について説明する。カバー22がロックされた場合、ユーザはカバー22を開けることができず、ロックが解除された場合、ユーザはハンドル83を回動させると、カバー22を開くことができる。
【0086】
制御部100は、シャッタ62が第2位置に位置する場合には、ロック機構8を制御してカバー22をロックし、温度センサ66が検知した検知温度Tに関わらず、カバー22のロックを解除しない。前述したように、シャッタ62は、接離機構7の動作に連動して第2位置に位置するので、シャッタ62が第2位置に位置するときには、加熱ローラ61が圧接位置に位置する。すなわち、シャッタ62が第2位置に位置する場合というのは、加熱ローラ61が圧接位置に位置している場合である。この場合、箔転写を実行しているときなので、制御部100は、カバー22のロックを解除しないようになっている。
【0087】
ここで、図10では、温度センサ66が検知した検知温度Tを実線で示している。図10に示すように、制御部100は、温度センサ66が検知した検知温度Tに、箔転写を実行する条件から決定される第1補正値Aを足した値を第1ロック判定温度T1(図10において破線で示している。)として算出する(T1=T+A)。制御部100は、第1ロック判定温度T1が第1閾値以上である場合、ロック機構8を制御してカバー22をロックする。第1補正値Aは、箔転写装置1の動作条件によって、実験された結果により予め決定されている値である。また、第1閾値は、箔転写装置1の仕様により予め決定されている値である。第1閾値は、一例として85℃である。
【0088】
また、制御部100は、温度センサ66が検知した検知温度Tに、箔転写を実行する条件から決定される第2補正値B(図10において破線で示している。)を足した値を第2ロック判定温度T2として算出(T2=T+B)し、第2ロック判定温度T2が第2閾値未満である場合、ロック機構8を制御してカバー22のロックを解除する。第2補正値Bは、箔転写装置1の動作条件によって、実験された結果により予め決定されている値であり、第1補正値Aとは別の値である。
【0089】
第1閾値は、第2閾値より大きい値である。第1閾値は、第2閾値より高い5~15℃高い温度である。第2閾値は、例えば、75℃である。
【0090】
制御部100は、箔転写装置1に装着される箔フィルムFの種類、シートSの幅、シートSの厚さ、選択された箔転写のモード、などによって、第1補正値Aおよび第2補正値Bを変更する。制御部100は、例えば、図11図12に示すように、実験の結果により予め決められたテーブルにより値を決定する。
【0091】
具体的に、図11に示すように、箔転写装置1に第1箔フィルムF1が装着された場合には、制御部100は、第1補正値AをA1とし、第2補正値BをB1とする。
箔転写装置1に第2箔フィルムF2が装着された場合には、制御部100は、第1補正値AをA1より大きな値であるA2とし、第2補正値BをB1より大きな値であるB2とする。すなわち、第1補正値Aおよび第2補正値Bは、第2箔フィルムF2を装着した場合、第1箔フィルムF1を装着した場合よりも大きな値に決定される(A2>A1、B2>B1)。
箔転写装置1に第3箔フィルムF3が装着された場合には、制御部100は、第1補正値AをA1より大きく、A2より小さい値であるA3とし、第2補正値BをB1より大きく、B2より小さい値であるB3とする。すなわち、第1補正値Aおよび第2補正値Bは、第3箔フィルムF3を装着した場合、第1箔フィルムF1を装着した場合よりも大きく、第2箔フィルムF2を装着した場合よりも小さい値に決定される(A2>A3>A1、B2>B3>B1)。
【0092】
本実施形態では、第1センサAS1、第2センサAS2、第3センサAS3からの信号を受けることで、第1フィルムユニットFU1、第2フィルムユニットFU2または第3フィルムユニットFU3のどれが筐体本体21に装着されているのか判断することができるので、ユーザが箔フィルムFの幅を入力しなくても第1補正値Aと第2補正値Bを決定できるようになっている。
【0093】
また、図12(a)に示すように、箔転写装置1に第1幅のシートSが装着された場合には、制御部100は、第1補正値AをA4とし、第2補正値BをB4とする。また、箔転写装置1に第1幅より大きい第2幅のシートSが装着された場合には、制御部100は、第1補正値AをA4より小さい値であるA5とし、第2補正値BをB5とする。すなわち、第1補正値Aは、シートSの幅が第1幅である場合、第1幅より大きい第2幅である場合より大きい値A4に決定される(A4>A5)。なお、本実施形態では、第2補正値B4とB5は、同じ値(B4=B5)である。
【0094】
本実施形態では、第1幅のシートはA5サイズ(幅148.5mm)であり、第2幅のシートは、A4サイズ(幅210mm)である。本実施形態では、制御部100は、シートが中央寄せである場合には、シート幅センサSS4から送られる信号によって、A5サイズ以下の幅かA5サイズ以上の幅か判断できるので、ユーザがシートSの幅を入力しなくても第1補正値Aと第2補正値Bを決定できるようになっている。
【0095】
また、図12(b)に示すように、箔転写装置1に第1厚さのシートSが装着された場合には、制御部100は、第1補正値AをA6とし、第2補正値BをB6とする。また、箔転写装置1に第1厚さより厚い第2厚さのシートSが装着された場合には、制御部100は、第1補正値AをA6より小さい値であるA7とし、第2補正値BをB7とする。すなわち、第1補正値Aは、シートSの厚さが第1厚さである場合、第1厚さより大きい第2厚さである場合より大きい値A6に決定される(A6>A7)。なお、本実施形態では、第2補正値B6とB7は、同じ値(B6=B7)である。
【0096】
制御部100は、シートSの搬送方向におけるシートの全範囲に箔フィルムを接触させて転写を実行する通常モードと、搬送方向におけるシートの一部の範囲に箔フィルムを接触させて転写を実行する箔セーブモードと、を実行可能である。なお、通常モードは、幅方向においてシートSの一部の範囲においてのみ箔フィルムFがシートSと圧接する場合を含む。
【0097】
図12(c)に示すように、制御部100が通常モードを実行する場合、第1補正値AをA8とし、第2補正値BをB8とする。そして、制御部100が箔転写モードを実行する場合、第1補正値AをA8より大きいA9とし、第2補正値BをB8より大きいB9とする。すなわち、第1補正値Aおよび第2補正値Bは、制御部100が箔セーブモードを実行する場合、通常モードを実行する場合より大きな値A9,B9に決定される。
【0098】
なお、制御部100は、第1補正値Aおよび第2補正値Bを決定する場合、箔転写装置1に装着される箔フィルムFの種類、シートSの幅、シートSの厚さ、選択された箔転写のモード等の動作条件のうち複数の動作条件がある場合、図11,12のテーブルから選択される複数の第1補正値Aおよび第2補正値Bの平均を補正値として決定する。すなわち、制御部100は、例えば、箔フィルムFが第1箔フィルムF1であって、シートSが第1幅であって、第1厚さであって、通常モードである場合、第1補正値AをA1,A4,A6,A8の算術平均により算出する。
【0099】
以上に説明した構成によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
【0100】
箔転写装置1は、カバー22を開いて、箔フィルムFを交換したり、詰まったシートSを取り除くことが可能となっている。しかし、箔転写を実行した後は、箔転写装置1の内部の温度が高い場合があるので、制御部100は、一定の温度以下となるまでカバー22が開けないようにカバー22をロックする制御をする。
制御部100は、箔転写の実行中においては、加熱ローラ61と加圧ローラ51を圧接させており、加熱ローラ61を覆うシャッタ62は退避している。このため、仮に、箔転写の実行中にロックをしていないと、カバー22を開けることが可能なので、ユーザが加熱ローラ61に触れる可能性がある。このため、箔転写の実行中は、内部の温度に関わらずカバー22のロックを解除しない。
【0101】
また、箔転写を実行中でなくても、加熱ローラ61を覆うシャッタ62が高温である場合には、カバー22のロックを解除しない。本実施形態では、シャッタ62に温度センサを設けなくても、シャッタ62の温度を予測してロック機構8の制御をしている。
具体的には、制御部100は、温度センサ66が検知した検知温度Tに、箔転写を実行する条件から決定される第1補正値Aを足した値(T+A)を第1ロック判定温度T1として算出し、第1ロック判定温度T1が第1閾値以上である場合、ロック機構8を制御してカバー22をロックする。そして、制御部100は、温度センサ66が検知した検知温度Tに、第1補正値Aとは異なる第2補正値Bを足した値(T+B)を第2ロック判定温度T2として算出し、第2ロック判定温度T2が第2閾値未満である場合、ロック機構8を制御してカバー22のロックを解除する。
すなわち、第1ロック判定温度T1は、加熱ローラ61がON状態におけるシャッタ62の推定温度であり、第2ロック判定温度T2は、加熱ローラ61がOFF状態におけるシャッタ62の推定温度である。
この構成により、カバー22をロックする判定基準となる第1ロック判定温度T1と、カバーロックを解除する判定基準となる第2ロック判定温度T2とが、それぞれ適切な補正値(第1補正値A、第2補正値B)を足すことによって決定される。この結果、カバー22のロック状態が不必要に長くなることが抑制されてユーザの利便性を向上させることができる。また、この構成によれば、温度センサ66をシャッタ62に配置しなくてもシャッタ62の温度を推定できる。
【0102】
また、第1補正値Aおよび前記第2補正値Bは、第2箔フィルムF2を装着した場合、第1箔フィルムF1を装着した場合よりも大きな値A2,B2に決定される。図5に示すように、第2箔フィルムF2を装着した場合、センサ66付近に風が通りやすいので、第1箔フィルムFを装着した場合に比べると、板金67のうち、センサ66付近が他の部分に比べて冷えやすい。このため、第1補正値Aおよび前記第2補正値Bを、第1箔フィルムF1を装着した場合よりも大きな値A2,B2にするとよい。
また、第3箔フィルムを装着した場合、第1箔フィルムF1を装着した場合よりも大きく、第2箔フィルムを装着した場合よりも小さい値A3,B3に決定される。
図5に示すように、第1箔フィルムF(領域R1参照)は、幅が大きいフィルムであるので、シャッタ62および板金67が共に冷えにくい。図5に示すように、第3箔フィルムF3を装着した場合、センサ66が配置されていない側の板金67の半分は冷えやすいが、センサ66が配置されている板金67のもう半分は冷えにくいので、第1箔フィルムF1を装着した場合よりも大きく、第2箔フィルムを装着した場合よりも小さい値A3,B3にするとよい。
この結果、第1補正値Aおよび第2補正値Bが、装着された第1箔フィルムF1、第2箔フィルムF2または第3箔フィルムF3のいずれかに対応した値に決定されるので、カバー22のロックとロック解除状態がそれぞれ適切に算出される。
【0103】
また、第1補正値Aは、シートSの幅が狭い第1幅の場合、広い第2幅の場合より大きい値に決定される。シートSの幅が狭い場合には、シャッタ66に対して板金67の温度が低くなるためシャッタ66と板金67の温度の乖離が大きくなるため、補正値を大きい値とするとよい。
この結果、第1補正値AがシートSの幅(第1幅、第2幅)に対応した値に決定されるので、カバー22のロックとロック解除状態がそれぞれ適切に算出される。
【0104】
また、第1補正値Aは、シートSの厚さが小さい第1厚さの場合、厚さが第1厚さより大きい第2厚さの場合より大きい値に決定される。シートSの厚さが小さい場合には、シャッタ66に対して板金67の温度が低くなるためシャッタ66と板金67の温度の乖離が大きくなるため、補正値を大きい値とするとよい。
この結果、第1補正値AがシートSの厚さ(第1厚さ、第2厚さ)に対応した値に決定されるので、カバー22のロックとロック解除状態がそれぞれ適切に算出される。
【0105】
また、第1補正値および第2補正値は、箔セーブモードを実行する場合、通常モードを実行する場合より大きな値に決定される。箔セーブモードを実行する場合、通常モードを実行する場合より、シャッタ66に対して板金67の温度が低くなるためシャッタ66と板金67の温度の乖離が大きくなるため、補正値を大きい値とするとよい。
この結果、第1補正値Aおよび第2補正値Bが、通常モードか箔セーブモードかに対応した値に決定されるので、カバー22のロックとロック解除がそれぞれ適切に算出される。
【0106】
また、第1閾値と第2閾値に5~15℃のギャップを設けることで、カバーのロックと解除が頻繁に繰り返されることを抑制できる。
【0107】
また、シャッタが加熱部材を覆う第1位置に位置する場合にのみカバーのロックを解除するので、ユーザが加熱部材に触れてしまうのを抑制することができる。
【0108】
また、温度センサ66は、板金67に配置されているので、温度センサ66が加熱ローラ61の状態に対応した温度を検知することができる。
【0109】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0110】
前記実施形態では、制御部100は、温度センサ66が検知した検知温度Tに、箔転写を実行する条件から決定される第1補正値Aを足した値を第1ロック判定温度T1として算出し、第1ロック判定温度T1が第1閾値以上である場合、ロック機構を制御してカバーをロックし、温度センサ66が検知した検知温度Tに、第2補正値Bを足した値を第2ロック判定温度T2として算出し、第2ロック判定温度T2が第2閾値未満である場合、ロック機構を制御してカバーのロックを解除していたが、この構成に限定されない。
例えば、制御部100は、温度センサ66が検知した検知温度Tが、第3閾値から箔転写を実行する条件から決定される第3補正値Dを引いた値以上である場合、カバー22をロックし、温度センサ66が検知した検知温度Tが、第4閾値から箔転写を実行する条件から決定される第4補正値Eを引いた値未満である場合、カバー22のロックを解除する構成してもよい。
【0111】
この変形例においても、カバーをロックする判定基準となる値と、カバー22のロックを解除する判定基準となる値とが、それぞれ異なる補正値をそれぞれの閾値から引くことによって決定される。このため、箔転写を実行する条件に対して、カバー22のロックとロック解除がそれぞれ適切に算出される。この結果、カバー22のロック状態が不必要に長くなることが抑制されてユーザの利便性を向上させることができる。
【0112】
前記実施形態では、ロックレバーは、カバーの前端部に位置し、アクチュエータ、揺動規制部材およびロックピンは、筐体本体に位置していたが、ロックレバーが筐体本体に位置し、アクチュエータ、揺動規制部材およびロックピンがカバーに位置している構成であってもよい。
【0113】
前記実施形態では、制御部は、センサからの信号によって、箔フィルムの幅やシートSの幅を判断していたが、ユーザが入力する情報によって判断してもよい。
【0114】
前記実施形態では、第2補正値B4とB5は、同じ値(B4=B5)であり、第2補正値B6とB7は、同じ値(B6=B7)であったが、異なる値であってもよい。
【0115】
前記実施形態では、第1補正値Aおよび第2補正値Bを変更する箔転写を実行する条件が、箔フィルムFの種類、シートSの幅や厚さ、通常モードか箔セーブモードかによって決定されていたが、これに限定されるものではない。
例えば、制御部は、シートSの搬送方向の長さ、シートSの搬送速度(全速、半速)、加熱ローラの定着設定温度、箔転写の連続実行時間、気温や湿度などの装置の環境条件、によって第1補正値Aおよび第2補正値Bを変更する構成としてもよい。
【0116】
前記実施形態では、制御部100が第1補正値Aおよび第2補正値Bを決定する場合に、各条件に対応する条件テーブルによって決定していたが、予め決められた計算式によって決定してもよい。
【0117】
前記実施形態では、可動フレーム70は、カム73に押圧されることで、第2位置から第1位置に移動していたが、この構成に限られず、他の部材、例えば、ソレノイドアクチュエータに押圧されることで、第2位置から第1位置に移動する構成であってもよい。
【0118】
前記実施形態では、加圧部材として加圧ローラ51、加熱部材として加熱ローラ61を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、加圧部材は、加熱ローラとの間でシートおよび箔フィルムを挟むパッドなどであってもよい。また、加熱部材は、加圧ローラとの間でシートおよび箔フィルムを挟む板状の部材であってもよい。
【0119】
前記実施形態では、剥離部材としてローラ状の第2案内軸42を例示したが、本発明はこれに限定されず、剥離部材は、例えば、板状のブレードであってもよい。
前記実施形態では、規定部材としてローラ状の第3案内軸43を例示したが、本発明はこれに限定されず、規定部材は、例えば、板状のブレードであってもよい。
【0120】
前記実施形態では、箔転写用フィルムカートリッジFCに供給リール31と巻取リール35を設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、箔転写用フィルムカートリッジに供給リールを設け、筐体に巻取リールを設けてもよい。
【0121】
前記実施形態では、箔転写装置として、シート上に形成されたトナー像の上に箔を転写するものを例示したが、本発明はこれに限定されず、箔転写装置は、シートに箔を転写するものであればどのようなものであってもよい。
【0122】
前記実施形態では、箔フィルムFを4層で構成したが、本発明はこれに限定されず、箔フィルムは、転写層と支持層を有していれば、層の数はいくつであってもよい。
【0123】
前記実施形態では、フィルムユニットを箔転写用フィルムカートリッジとホルダとで構成したが、本発明はこれに限定されず、フィルムユニットは、ホルダを有していなくてもよい。また、ホルダは、箔転写用フィルムカートリッジを着脱不能に支持するものであってもよい。
【0124】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 箔転写装置
6 加熱ユニット
7 接離機構
8 ロック機構
21 筐体本体
21A 開口
22 カバー
50 転写部
51 加圧ローラ
60 固定フレーム
61 加熱ローラ
62 シャッタ
66 温度センサ
67 板金
70 可動フレーム
81 ロックレバー
100 制御部
A 第1補正値
B 第2補正値
F 箔フィルム
F1 第1箔フィルム
F2 第2箔フィルム
F3 第3箔フィルム
T 検知温度
T1 第1ロック判定温度
T2 第2ロック判定温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12