(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】半導体モジュール及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/28 20060101AFI20250319BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20250319BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20250319BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20250319BHJP
H01L 23/50 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
H01L23/28 A
H01L25/04 C
H01L23/46 Z
H01L23/50 F
(21)【出願番号】P 2021067071
(22)【出願日】2021-04-12
【審査請求日】2024-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠司
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/045274(WO,A1)
【文献】特開平09-153574(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00777271(EP,A2)
【文献】国際公開第2017/134799(WO,A1)
【文献】特開2008-028311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28
H01L 25/07
H01L 23/473
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電流電極を有するパワー半導体素子と、
上面、前記上面と連なる側面、及び前記上面に対して反対側の面であり冷却器に固定可能な底面を有し、前記パワー半導体素子を収納する本体と、
第1面と前記第1面に対して反対側の面である第2面とを有し、前記主電流電極と接続され、前記側面から突出する主電流端子とを備え、
前記本体は、絶縁部材の端部が収納される凹部を前記側面に有し、
前記第2面は、前記側面において前記第1面よりも前記底面に近く、
前記凹部は、前記側面のうち前記底面と前記第2面との間において、前記底面から離間する位置に存在する、
半導体モジュール。
【請求項2】
主電流電極を有するパワー半導体素子と、
上面、前記上面と連なる側面、及び前記上面に対して反対側の面であり冷却器に固定可能な底面とを有し、前記パワー半導体素子を収納する本体と、
第1面と前記第1面に対して反対側の面である第2面とを有し、前記主電流電極と接続され、前記側面から突出する主電流端子と、
絶縁部材とを備え、
前記第1面は、前記絶縁部材によって覆われておらず、
前記第2面は、前記側面において前記第1面よりも前記底面に近く、
前記絶縁部材
のうち前記側面と最も近い部分は、前記側面に垂直な方向からの側面視において、前記底面と前記第2面との間において、前記底面から離間する位置に存在する、
半導体モジュール。
【請求項3】
制御端子をさらに備え、
前記パワー半導体素子は、制御電極を有し、
前記制御端子は、前記本体の内部において前記制御電極と電気的に接続され、
前記主電流端子のうち前記側面から突出する部分と、前記絶縁部材の前記本体の外部に位置する部分の一部又は全部とは、前記上面に垂直な方向からの平面視において重なり、
前記制御端子のうち前記側面から突出する部分と、前記絶縁部材の全部とは、前記平面視において重ならない、
請求項2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
制御端子をさらに備え、
前記パワー半導体素子は、制御電極を有し、
前記制御端子は、前記本体の内部において前記制御電極と電気的に接続され、
前記主電流端子のうち前記側面から突出する部分と、前記絶縁部材の前記本体の外部に位置する部分の一部又は全部とは、前記上面に垂直な方向からの平面視において重なり、
前記制御端子のうち前記側面から突出する部分と、前記絶縁部材の全部とは、前記平面視において重ならない、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記主電流端子は、前記側面から突出する部分に、前記絶縁部材を固定する固定部を有する請求項1から4までのうちいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記主電流端子は、
前記本体に内在する第1部分と、
前記第1部分と連結され、前記本体の外部に突出する第2部分と、
前記第2部分に対して、前記冷却器から離れる方向に角度をなす第3部分とを有し、
前記第3部分は、前記固定部を備える、
請求項5に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記固定部は、前記主電流端子に設けられた開口部であり、
前記開口部には、前記絶縁部材が挿入される、
請求項5又は6に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記固定部は、前記主電流端子に設けられた第1開口部であり、
前記絶縁部材には、第2開口部が設けられており、
前記第1開口部と前記第2開口部とを挿通する螺子によって、前記主電流端子と前記絶縁部材とが固定される、
請求項5又は6に記載の半導体モジュール。
【請求項9】
前記主電流端子は貫通孔を有するバスバーと前記絶縁部材との間に位置し、
前記螺子が前記貫通孔と前記第1開口部と前記第2開口部とを挿通することによって、前記主電流端子の前記第1面と前記バスバーとが電気的に接続される、
請求項8に記載の半導体モジュール。
【請求項10】
前記固定部は、凹部及び突起部の一方であり、
前記絶縁部材には、凹部及び突起部の他方が設けられており、
前記主電流端子の凹部及び突起部の一方と、前記絶縁部材の凹部及び突起部の他方とが連結される、
請求項5又は6に記載の半導体モジュール。
【請求項11】
前記固定部は、前記上面に垂直な方向からの平面視において前記冷却器と重ならない位置に配置される、請求項5から10までのうちいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項12】
前記上面に垂直な方向からの平面視において、前記主電流端子のうち前記側面から突出する部分と前記冷却器とが重なる領域の全部が、前記絶縁部材
と重なる、請求項5から11までのうちいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項13】
前記絶縁部材の全部は、前記上面に垂直な方向からの平面視において前記冷却器と重なる、請求項5から10までのうちいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項14】
前記パワー半導体素子は第1パワー半導体素子であり、前記主電流端子は第1主電流端子であり、
第2パワー半導体素子を備え、
前記本体は、第2パワー半導体素子を収納し、
第3面と第4面とを有し、前記第2パワー半導体素子の主電流電極と接続され、前記側面から外部へ突出する第2主電流端子とを備え、
前記第3面は、前記第4面の反対側の面であり、前記絶縁部材によって覆われておらず、
前記第4面は、前記第3面よりも前記冷却器に近く
前記絶縁部材の少なくとも一部は、前記第4面と前記冷却器との間に位置する、
請求項1又は2に記載の半導体モジュール。
【請求項15】
前記絶縁部材は、絶縁紙、絶縁シート又は絶縁板である、請求項1から14までのうちいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項16】
請求項1から請求項15までのうちいずれか1項に記載の半導体モジュールと、
前記冷却器とを、
備える半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体モジュール及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より電動機等を制御するパワー半導体モジュールが知られている。パワー半導体モジュールは、大電流のスイッチングに用いられるパワー半導体素子を収納する。パワー半導体モジュールのリード端子は本体の側面から突出していることが多い。パワー半導体素子は動作時に発熱するため、パワー半導体モジュールは冷却器を装着して使用されるのが通常である。リード端子と冷却器との間には空間距離及び沿面距離等の絶縁距離を一定程度確保する必要がある。
【0003】
特許文献1には、パワー半導体モジュールにおいて、全てのリード端子に対して本体から突出する部分を樹脂でコーティングする技術が開示されている。このパワー半導体モジュールは、リード端子が樹脂でコーティングされているため、冷却器との間の絶縁距離を確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のパワー半導体モジュールは、リード端子が樹脂でコーティングされているため、リード端子の表面から十分に放熱できないといった問題がある。
本開示は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、端子と冷却器との間の絶縁を確保しつつ、放熱特性を向上することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本開示の半導体モジュールは、主電流電極を有するパワー半導体素子と、上面、前記上面と連なる側面、及び前記上面に対して反対側の面であり冷却器に固定可能な底面を有し、前記パワー半導体素子を収納する本体と、第1面と前記第1面に対して反対側の面である第2面とを有し、前記主電流電極と接続され、前記側面から突出する主電流端子とを備え、前記本体は、絶縁部材の端部が収納される凹部を前記側面に有し、前記第2面は、前記側面において前記第1面よりも前記底面に近く、前記凹部は、前記側面のうち前記底面と前記第2面との間において、前記底面から離間する位置に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置1Aの構成例を示す側面図である。
【
図2】制御基板30を除いた半導体装置1Aの平面図である。
【
図3】主電流端子12Mと絶縁部材14Mとの配置を模式的に示す斜視図である。
【
図4】半導体モジュール10AをZ2方向に平面視した平面図である。
【
図5】
図4に示される線A-A’で半導体モジュール10Aを切断した断面図である。
【
図6A】主電流端子12MをZ2方向に平面視した場合、主電流端子12M、絶縁部材14M、及び冷却器21の配置の一例を模式的に示す平面図である。
【
図6B】主電流端子12M、絶縁部材14M、及び冷却器21の配置の他の例を模式的に示す平面図である。
【
図6C】
図6Bに示される絶縁部材14Mを採用した場合、半導体装置1AをY1方向に側面視した側面図である。
【
図6D】主電流端子12M、絶縁部材14M、及び冷却器21の配置例を示す側面図である。
【
図7】本開示の第2実施形態に係る半導体装置1Bの構成例を示す側面図である。
【
図8】制御基板30を除いた半導体装置1Bの平面図である。
【
図9A】絶縁部材14Pを主電流端子12Pに固定する他の構成例1を示す側面図である。
【
図9B】
図9Aに示される固定箇所PをX2方向に側面視した側面図である。
【
図9C】
図9Bに示される線B-B’で固定箇所Pを切断した断面図である。
【
図10A】他の構成例2が適用される
図9Aに示される固定箇所PをX2方向に側面視した側面図である。
【
図11】本開示の第3実施形態に係る半導体装置1Cの構成例を示す分解側面図である。
【
図12】制御基板30を除いた半導体装置1Cの平面図である。
【
図13】変形例1に係る半導体装置1Dの構成例を示す平面図である。
【
図14】変形例2に係る半導体装置1Eの構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本開示に係る実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法及び縮尺は実際のものと適宜異なる。また、以下に記載する実施形態は、本開示の好適な具体例である。このため、以下の実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
1.第1実施形態
図1は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置1Aの構成例を示す側面図である。
図2は、制御基板30を除いた半導体装置1Aの平面図である。
図1に示されるX軸、Y軸及びZ軸は、相互に直交する。X軸、Y軸及びZ軸は、以降の説明で例示される全図において共通である。任意の地点からみてX軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向と反対の方向をX2方向と表記する。任意の地点からY軸に沿って相互に反対の方向をY1方向及びY2方向と表記する。任意の地点からZ軸に沿って相互に反対の方向をZ1方向及びZ2方向と表記する。また、X軸及びY軸を含む平面をXY面と表記する。上面に対して反対側の面が底面である。上面は底面よりもZ1方向に位置する。おもて面に対して反対側の面が裏面である。おもて面は裏面よりもZ1方向に位置する。本明細書において、上面、底面、おもて面、及び裏面は、特に断らない限り、XY面と平行な面である。また、上面と底面とをつなぐ面を側面と表記する。また、本明細書において、平面視とは、Z2方向から対象物を見ることを意味し、後述する本体11の上面Uと垂直な方向から対象物を見ることと同義である。
【0010】
図1に示される半導体装置1Aは、半導体モジュール10A、冷却器21、制御基板30、並びにバスバー40P及び40Mを備える。半導体モジュール10Aは、本体11、主電流端子12P及び12M、制御端子13、絶縁部材14P及び14M、並びに連結部材15を備える。なお、
図1は側面図であるため図示されていないが、半導体装置1Aは、Y1方向から主電流端子12Pを側面視した場合に、主電流端子12Pと重なる主電流端子12N、絶縁部材14Pと重なる絶縁部材14Nを備える(
図2参照)。
【0011】
本体11は、概略直方体の外形を有し、上面U、側面S1、側面S2、及び底面Dを有する。側面S1及び側面S2は上面Uと連なる。側面S2は側面S1の反対側の面である。側面S1は側面S2よりX1方向に位置する。底面Dは、上面Uに対して反対側の面であり、冷却器21と固定可能である。本体11は、後述する半導体チップを収納する。本体11が収納する半導体チップの数は任意である。この例では、本体11は2個の半導体チップを収納する。半導体チップには、大電流をスイッチング可能なパワー半導体素子が形成される。パワー半導体素子は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOS電界効果トランジスタ(MOSFET:metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)、還流ダイオード(FWD:Free Wheeling Diode)、及び逆導通IGBT(RC-IGBT:Reverse Conducting IGBT)等を含み得る。
【0012】
半導体チップは、2個の主電流電極と、1個の制御電極とを有する。主電流電極は、パワー半導体素子に対して制御対象となる電流を入力又は出力する電極である。主電流電極は、例えば、RC-IGBT及びIGBTにおけるコレクター電極及びエミッター電極が該当し、MOSFETにおけるドレイン電極及びソース電極が該当する。制御電極は、パワー半導体素子のオン又はオフを制御するための電圧を印加する電極である。制御電極は、例えば、RC-IGBT、IGBT及びMOSFETにおけるゲート電極が該当する。また、制御電極は、例えば、RC-IGBT、IGBT及びMOSFETにおける電流センス、温度センス等のセンス電極を含み得る。
【0013】
主電流端子12P、12N、及び12Mは、本体11の外部でXY面と平行な主面を有する平板形状をなし、X軸に沿って延在する。主電流端子12P、12N、及び12Mは、本体11の内部でパワー半導体素子の主電流電極と電気的に接続される。主面は、一方の面と、一方の面と反対側の面である他方の面を有する。制御端子13は、主電流端子12P、12N、及び12MよりもY1方向の幅が狭い角柱形状をなす。制御端子13は、本体11の外部でX軸に沿って延在する水平部と、水平部に対して折り曲げられてZ軸に沿って延在する垂直部とを備える。制御端子13はY1方向からの側面視でL字形状である。制御端子13は、本体11の内部でパワー半導体素子の制御電極と電気的に接続される。主電流端子12P、12N、及び12M、並びに制御端子13は、銅等の導体で構成される。主電流端子12M及び制御端子13は、本体11の側面S1からX1方向に突出する。主電流端子12P及び12Nは、本体11の側面S2からX2方向に突出する。つまり、主電流端子12M及び制御端子13と、主電流端子12P及び12Nとは、本体11の対向する側面S1及びS2からそれぞれ反対のX1方向及びX2方向に突出する。主電流端子12P、12N、及び12Mの各々は、本体11から離れた先端部分に、第1開口部12Ph、12Nh、及び12Mhを各々有する。主電流端子12P、12N、及び12Mの各先端部分には、第1開口部12Ph、12Nh、及び12Mhと1対1に対応するバスバー40P、40N及び40Mが接続される。バスバー40P、40N及び40Mは、図示しない電源及び駆動装置などの外部機器と電気的に接続される。なお、締結部分の詳細は後述する。
【0014】
制御端子13の本体11から離れた先端部分には、制御基板30が接続される。例えば、制御端子13の先端部分が、制御基板30のスルーホールを貫通し、制御基板30に形成された回路パターンに電気的に接続される。制御端子13の先端部分は、制御基板30のスルーホールにはんだ接合されていてもよいし、又は圧入されていてもよい。また、制御端子13の折り曲げ箇所は、側面S1から所定距離離れている。前記所定距離は、側面S1と主電流端子12Mの第1開口部40Mhと間の長さより短い。つまり、Y1方向からの側面視で、第1開口部40Mhと制御端子13は重ならない。この例では、制御基板30とバスバー40P、40N及び40MとがZ1方向に異なる位置に配置されるので、お互いに緩衝されることがない。また、制御端子13とバスバー40MとがX1方向に異なる位置に配置されるので、お互いに緩衝されることがない。従って、制御配線と主電流配線が良好に絶縁される。
【0015】
主電流端子12P、12N、及び12Mには、制御端子13と比較して、大電流が流れる。また、パワー半導体素子は動作時に発熱するため、パワー半導体素子を保護する観点より、主電流端子12P、12N、及び12Mから放熱することが好ましい。
【0016】
本体11は、樹脂によってモールドされる。樹脂モールドには各種の手法があるが、樹脂モールドに、例えば、以下の示すトランスファーモールド法を採用できる。第1工程は、主電流端子12P、12N、及び12M、並びに制御端子13が形成されたリードフレームに半導体チップ等とを接合し、配線された状態で、固定側の金型に配置する。第2工程は、固定側の金型と可動側の金型とを連結する。第3工程は、金型の注入口より樹脂を注入して、樹脂を硬化させる。第4工程は、金型から半導体モジュール10Aを取り出し、不要な樹脂を取り除き、リードフレームのタイバーなどを切断する。樹脂には、耐熱性が高く硬質な熱硬化性樹脂等の樹脂材料が使用可能である。樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、及びシアネート樹脂等であってもよい。本体11は、このような樹脂に、さらに、絶縁性の無機フィラーが加えられていてよい。無機フィラーは、例えば、珪素、アルミニウム、硼素等の酸化物、窒化物あるいは炭化物であってもよい。
【0017】
この例では、半導体モジュール10Aを樹脂モールドによって成形するが、本開示は、これに限定されない。例えば、筐体に全ての部品を電気的及び機械的に接続した後に、筐体をシリコーンゲルやエポキシ樹脂等の封止樹脂で封止してもよい。
【0018】
本体11の上面Uには、上面Uの四隅に4個の連結部材15が固定される。制御基板30は4個の連結部材15と固定される。上面Uと4個の連結部材15、及び4個の連結部材15と制御基板30は、例えば、接着剤を用いて固定される。制御基板30には、制御端子13に供給する制御信号を生成する回路が配置される。
【0019】
本体11の底面Dは、放熱面を有する。放熱面は、パワー半導体素子の裏面と平行であって、パワー半導体素子からZ2方向に絶縁板121などの絶縁層を介して、本体11の底面Dに露出した領域であってよい。例えば、放熱面は、後述する積層基板120の金属層123であってよい(
図5参照)。また、放熱面は、本体11と同じ材料からなる絶縁層で構成されていてもよい。または、放熱面は、銅などの金属ベース板であってもよい。このような本体11の底面Dには、冷却器21が固定される。この例では、放熱性の接着シートを用いて冷却器21と底面Dとが固定されるが、固定方法は任意である。例えば、螺子止めによって冷却器21と半導体モジュール10Aとが固定されてもよい。または、はんだやろう材を用いて接合されてもよい。この例において、放熱面は、底面Dから放熱面を除いた部分からZ2方向に突出する。従って、底面DはXY面に平行ではない。但し、Z2方向の放熱面の位置と、Z2方向の底面Dから放熱面を除いた部分の位置とが一致してもよい。この場合、底面Dは、XY面と平行になる。
【0020】
図3は、主電流端子12Mと絶縁部材14Mとの配置を模式的に示す斜視図である。主電流端子12M及び制御端子13は、本体11の側面S1からX1方向に突出する。主電流端子12P及び12Nは、本体11の側面S2からX2方向に突出する。主電流端子12Mは、第1面12Uと、第1面12Uと反側の面である第2面12Dとを備える。第2面12Dは、第1面12Uよりも冷却器21に近い。
【0021】
冷却器21は、半導体モジュール10Aを冷却する。冷却器21は、例えば、ヒートシンクであるが、水等の冷媒を循環させる水冷式の装置であってもよい。冷却器21は、熱抵抗の小さい材料で構成される。熱抵抗の小さい材料としては、例えば、アルミニウム及び銅等の金属が該当する。一方、主電流端子12Mの電圧は、例えば、1200Vである。このため、冷却器21と主電流端子12Mとの間を十分絶縁する必要がある。
【0022】
絶縁部材14Mは、主電流端子12Mと冷却器21とを良好に絶縁するために用いられる。絶縁部材14Mは、絶縁材料によって構成される。絶縁部材14Mは、本体11とは別に設けられる。絶縁部材14Mは、厚さが薄く、幅および長さが大きい。絶縁部材14Mは、厚さが100μm以上、4mm以下であってよい。また、絶縁部材14Mは、簡便に折り曲げられてもよい。絶縁部材14Mは、例えば、絶縁紙、絶縁シートあるいは絶縁板であってよい。絶縁紙は、例えば、天然繊維、化学繊維あるいはガラス繊維を絡ませながら薄く平らに成形したものであって簡便に曲げることが可能である。絶縁シートは、例えば、ポリイミド、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、及び合成ゴム等で構成されていてよい。絶縁板は、例えば、セラミック、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂等で構成されていてよい。また、絶縁紙と絶縁シートとをラミネートしたものであってもよい。この例の絶縁材料は、本体11をモールドする樹脂とは異なる。
【0023】
本体11の側面S1には、凹部11aが形成される。凹部11aは、側面S1のうち上面Uと主電流端子12Mの第1面12Uとの間に存在せず、側面S1のうち底面Dと主電流端子12Mの第2面12Dとの間において、底面Dから離間する位置に存在する。この例の凹部11aの形状は、略直方体である。凹部11aには絶縁部材14Mの端部が収納される。主電流端子12Mの第2面12Dの一部は、凹部11aを画する面となる。この例では、絶縁部材14Mの形状が直方体であるため、凹部11aの形状が略直方体となっているが、本開示はこれに限定されない。凹部11aの形状は、要は、絶縁部材14Mの端部を収納できるのであれば、どのような形状であってもよい。
【0024】
図3に示される絶縁部材14Mを凹部11aに嵌めこむことによって、絶縁部材14Mの一部が凹部11aに収納される。そのため、絶縁部材14Mは、一端部が本体11の凹部11aに収納されることで本体11の内部に延在する。そして、絶縁部材14Mは、側面S1から本体11の外部へ突出している。この例の凹部11aは、主電流端子12Mの第2面12Dに接して形成されている。そのため、側面S1において、絶縁部材14Mの上面は、主電流端子12Mの第2面12Dに接している。
【0025】
主電流端子12Mの側面S1から突出する部分には、第1開口部12Mhが形成される。絶縁部材14Mには、第2開口部14Mhが形成される。
図1に示されるように、ボルト41Mは、バスバー40Mの貫通孔40Mh、主電流端子12Mの第1開口部12Mh、及び絶縁部材14Mの第2開口部14Mhに挿通される。ボルト41Mは、ナット42Mによって固定される。これにより、バスバー40M、主電流端子12M、及び絶縁部材14Mが共締めされる。主電流端子12Mの第1開口部12Mhは、絶縁部材14Mを固定する固定部として機能する。なお、主電流端子12P及び12N、絶縁部材14P及び14N、並びにバスバー40P及び40Nは、バスバー40M、主電流端子12M、及び絶縁部材14Mと同様に構成されている。即ち、ボルト41Pが、バスバー40Pの貫通孔40Ph、主電流端子12Pの第1開口部12Ph、及び絶縁部材14Pの第2開口部14Phを挿通され、ボルト41Pによって共締めされる。また、バスバー40N、主電流端子12N、及び絶縁部材14Nは、ボルト41Nを用いて共締めされる。
【0026】
バスバー40P、40M及び40Nは、例えば、半導体装置1Aの筐体に固定される。上述したように、バスバー40P、40M及び40Nは、1対1に主電流端子12P、12M及び12Nと固定される。ここで、
図1に示されるバスバー40P及び40Mの位置がZ2方向にずれる場合を想定する。この場合、主電流端子12Pは矢印Jの方向に変位し、主電流端子12Mは矢印Qの方向に変位する。換言すれば、半導体モジュール10Aとバスバー40P、40M及び40Nとの相対位置に応じて、主電流端子12P、12M及び12Nと冷却器21との間の絶縁距離が短くなることがある。一方、制御端子13は制御基板30と固定されるが、制御基板30と制御端子13との相対位置は、制御基板30を連結部材15に取り付ける際に容易に調整できる。従って、制御基板30の取り付けに伴って、制御端子13がZ2方向に変位することが殆ど無い。そこで、半導体モジュール10Aは、主電流端子12P、12M、及び12Nと1対1に対応する絶縁部材14P、14M、及び14Nを設ける一方、制御端子13と冷却器21との間に絶縁部材を設けない。このため、制御端子13のうち本体11の側面S1から突出する部分は、絶縁部材14P、14M、及び14Nの全部と平面視において重ならない。
【0027】
このように絶縁部材14Mの一部は、主電流端子12Mの第2面12Dと冷却器21との間に位置するので、絶縁部材14Mが無い場合と比較して、主電流端子12Mと冷却器21との間の絶縁性が向上する。一方、主電流端子12Mの第1面12Uは、絶縁部材14Mによって覆われておらず、空間に露出している。従って、主電流端子12Mは、パワー半導体素子で発生する熱を、主電流端子12Mの側面S1から突出した部分から放熱できる。
【0028】
次に、半導体モジュール10Aの内部構造について説明する。
図4は、半導体モジュール10AをZ2方向に平面視した平面図である。但し、
図4においてモールドに用いる樹脂は省略されている。
図5は、
図4に示される線A-A’で半導体モジュール10Aを切断した断面図である。
【0029】
図4及び
図5に示されるように、半導体モジュール10Aは、積層基板120、接合部材130及び150、並びに半導体チップ141及び142を備える。
【0030】
積層基板120は、上面と上面の反対側の面である下面とを有する絶縁板121、配線層122、及び金属層123を備える。下面は上面よりもZ2方向に位置する。絶縁板121は、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、及び窒化ケイ素(Si3N4)等のセラミックス材料を用いて形成されてよい。
【0031】
配線層122は、絶縁板121の上面に設けられる。配線層122には、銅又は銅合金等の導体を材料とする配線パターンが形成される。金属層123は、絶縁板121の裏面に設けられる。金属層123は、半導体チップ141及び142で発生する熱を冷却器21に伝導する機能を有する、金属層123は、例えば、銅及びアルミ等の熱抵抗の小さい金属を用いることができる。積層基板120は、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板又はAMB(Active Metal Brazing)基板であってよい。
【0032】
積層基板120の金属層123は、放熱シートによって冷却器21に固定される。また、積層基板120の配線層122は、接合部材130を介して半導体チップ141及び142に電気的及び機械的に接続される。接合部材130は、例えば、半田等が用いられる。
【0033】
半導体チップ141には、ローサイドのRC-IGBT(以下、第1RC-IGBTと称する)が少なくとも形成される。第1RC-IGBTは、第1パワー半導体素子の一例である。また、半導体チップ142には、ハイサイドのRC-IGBT(以下、第2RC-IGBTと称する)が少なくとも形成される。第2RC-IGBTは、第2パワー半導体素子の一例である。
【0034】
半導体チップ141及び142の各々は、おもて面とおもて面の反対側の面である裏面とを備える。裏面はおもて面よりもZ2方向に位置する。半導体チップ141及び142の裏面にはコレクター電極が形成される。半導体チップ141及び142の裏面にはコレクター電極が形成される。半導体チップ141のおもて面には、エミッター電極E1、ゲート電極と電気的に接続される接続電極G1、及び4個の接続電極161が配置される。半導体チップ141と同様に、半導体チップ142のおもて面には、エミッター電極E2、ゲート電極と電気的に接続される接続電極G2、及び4個の接続電極162が配置される。4個の接続電極161は、半導体チップ141に形成される温度センサ及び電流センサに電気的に接続される。4個の接続電極162は、半導体チップ142に形成される温度センサ及び電流センサに電気的に接続される。また、接続電極G1、G2、161、及び162は、ワイヤー113を介して各制御端子13に電気的及び機械的に接続される。
【0035】
主電流端子12Pは、配線層122を介して第2RC-IGBTのコレクター電極と電気的に接続される。第2RC-IGBTは、接続電極G2に供給される制御信号に基づいて、オン又はオフに制御される。第2RC-IGBTのエミッター電極E2は接合部材150を介して配線114と電気的及び機械的に接続される。配線114は、銅又は銅合金で構成される。配線114は、
図4の左側に示される配線層122を介して、主電流端子12M及び第1RC-IGBTのコレクター電極と電気的に接続される。第1RC-IGBTは、接続電極G1に供給される制御信号に基づいて、オン又はオフに制御される。第1RC-IGBTのエミッター電極E1は、接合部材150を介して主電流端子12Nと電気的及び機械的に接続される。
【0036】
次に、主電流端子12Mと冷却器21との間の絶縁性について検討する。
図6Aは、主電流端子12Mを平面視した場合、主電流端子12M、絶縁部材14M、及び冷却器21の配置を模式的に示す平面図である。
図6Aに示されるように、主電流端子12Mのうち、本体11の側面S1から突出する部分Rと絶縁部材14Mの一部とが、重なる。ここで、冷却器21と主電流端子12Mとの間の絶縁を考慮すべきなのは、本体11の側面S1から突出する部分Rと、冷却器21とが重なる範囲Kである。この例では、範囲Kの全部が絶縁部材14Mと重なるので、冷却器21と主電流端子12Mとの間が良好に絶縁される。
【0037】
また、範囲Kの全部が絶縁部材14Mと重なるのであれば、絶縁部材14Mは
図6Aに示される態様よりも小さくてよい。例えば、
図6Bに示されるように、Y2方向における冷却器21の端面の位置と、Y2方向における絶縁部材14Mの端面の位置とが一致するように、絶縁部材14Mを配置してもよい。この場合、絶縁部材14Mの側面S1から突出する部分の全部と冷却器21とが平面視において重なる。なお、絶縁部材14Mのうち本体11に内在する部分は、平面視において冷却器21と重なるので、
図6Bに示される態様では、絶縁部材14Mの全部が、平面視において冷却器21と重なる。この結果、主電流端子12Mのうち、本体11の側面S1から突出する部分Rと絶縁部材14Mの一部とが、平面視において重なる。
図6Bに示される態様では、絶縁部材14Mが、平面視において冷却器21の範囲を超えてY2方向に延在する場合と比較して、絶縁部材14Mの面積を縮小しつつ、冷却器21と主電流端子12Mとの間が良好に絶縁される。
【0038】
図6Cは、
図6Bに示される絶縁部材14Mを採用した場合、半導体装置1AをY1方向に側面視した側面図である。この場合、絶縁部材14Mの端部は、凹部11aに収納されることによって支持される。しかし、絶縁部材14Mを主電流端子12Mに固定するためには十分でない。そこで、絶縁部材14Mは、接着剤を用いて、主電流端子12Mの第2面12Dに固定されてよい。接着剤を用いて絶縁部材14Mを主電流端子12Mの第2面12Dに固定する態様では、絶縁部材14Mの一部を凹部11aに収納することは必須ではない。換言すれば、絶縁部材14Mは本体11の内部に延在する必要はなく、本体11の外部に延在すればよい。この場合、絶縁部材14Mは、良好な絶縁性を確保する観点から、側面S1に接触することが好ましい。但し、絶縁部材14Mが側面S1と離間してもよい。絶縁部材14Mが側面S1と離間する場合、絶縁部材14Mうち側面S1と最も近い部分は、第2開口部14MhよりX2方向に位置する絶縁部材14Mの端面となる。絶縁部材14Mの端面は、側面S1に垂直な方向からの側面視において、底面Dと第2面12Dとの間において、底面Dから離間する位置に存在する。
【0039】
また、絶縁部材14Mは、冷却器21と主電流端子12Mとの間の絶縁を目的として設けられる。このため、絶縁部材14Mは、主電流端子12Mと必ずしも接触する必要はない。絶縁部材14Mと主電流端子12Mとに間に隙間があってもよい。即ち、絶縁部材14Mの一部が、第2面12Dと冷却器21との間に位置すればよい。また、本例では、絶縁部材14Mは、冷却器21と接触しない。また、本体11の底面Dと冷却器21の上面との間に絶縁部材14Mが嵌め込んで配置されない。そのため、冷却器21の上面からの放熱性の低下や、本体11から冷却器21への伝熱性の低下を抑制し、本体11の放熱性を高めることができる。また、好ましくは、隙間は、本体11の側面S1,S2において、冷却器21側より第2面12D側に位置する。即ち、好ましくは、絶縁部材14Mの一部は、本体11の側面S1,S2において、冷却器21側より第2面12D側に位置する。こうすることで、絶縁部材14Mの面積を縮小しつつ、主電流端子12Mをより確実に絶縁することができる。
【0040】
図6Dは、主電流端子12M、絶縁部材14M、及び冷却器21の配置例を示す側面図である。
図6Dでは、半導体装置1AがY1方向に側面視される。同図に示される配置例では、
図3に示される凹部11aと比較して、Z1方向にずれた位置に凹部11bが設けられる。この場合、絶縁部材14Mの一端は、凹部11bに収納される。また、ボルト41Mとナット42Mとを用いて、バスバー40M、主電流端子12M、ワッシャー43M、及び絶縁部材14Mが共締めされる。この態様では、主電流端子12Mの第2面12Dから放熱させることができる。以上、主電流端子12M、絶縁部材14M、及び冷却器21の配置について説明したが、主電流端子12P及び12N、絶縁部材14P及び14N、並びに冷却器21の配置についても同様である。
【0041】
上述したように、第1実施形態に係る半導体モジュール10Aは、半導体チップ141と、側面S1と冷却器21に固定される底面Dとを有し、半導体チップ141を収納する本体11と、主電流端子12Mとを備える。本体11は、上面U、上面Uと連なる側面S1及びS2、並びに上面Uに対して反対側の面であり冷却器21に固定可能な底面Dを備える。半導体チップ141には、主電流電極を有するパワー半導体素子が形成される。また、主電流端子12Mは、第1面12Uと第2面12Dとを有し、主電流電極と接続され、側面S1から突出する。本体11は、絶縁部材14Mの端部が収納される凹部11aを側面S1に有する。凹部11aは、側面S1のうち底面Dと第2面12Dとの間において、底面Dから離間する位置に存在する。絶縁部材14Mうち側面S1と最も近い部分は、側面S1に開口する凹部11aの縁部となる。絶縁部材14Mうち側面S1と最も近い部分は、側面S1に垂直な方向であるX2方向からの側面視において、底面Dと第2面12Dとの間において、底面Dから離間して位置する。第1面12Uは、第2面12Dの反対側の面であり、絶縁部材14Mによって覆われていない。第2面12Dは、第1面12Uよりも冷却器21に近い。また、絶縁部材14Mの少なくとも一部は、第2面12Dと冷却器21との間に位置する。
【0042】
この半導体モジュール10Aによれば、絶縁部材14Mの少なくとも一部は、第2面12Dと冷却器21との間に位置するので、絶縁部材14Mを設けない場合と比較して、主電流端子12Mと冷却器21との間の絶縁性が向上する。また、主電流端子12Mの第1面12Uは絶縁部材14Mによって覆われていないので、第1面12Uを絶縁部材14Mで覆う場合と比較して、第1面12Uから放熱する熱量を大きくできる。この結果、半導体モジュール10Aによれば、主電流端子12Mと冷却器21との間の絶縁性を向上させつつ、パワー半導体素子で発生する熱を第1面12Uから効率よく放熱できる。
【0043】
また、主電流端子12Mと本体11との境界に応力が集中するので、絶縁部材14Mを主電流端子12Mの第2面12Dに接着剤で固着する場合、主電流端子12Mと本体11との境界から絶縁部材14Mが剥離し易くなる。これに対して、半導体モジュール10Aは、凹部11aに絶縁部材14Mの端部を収納するので、絶縁部材14Mを主電流端子12Mに接着剤で固定する場合と比較して、応力が集中する主電流端子12Mと本体11との境界から絶縁部材14Mが剥離することが無くなる。
【0044】
また、半導体モジュール10Aにおいて、主電流端子12Mのうち側面S1から突出する部分は、絶縁部材14Mの一部又は全部と平面視において重なり、制御端子13のうち側面S1から突出する部分は、絶縁部材14Mの全部と平面視において重ならない。つまり、本体11の外部において、主電流端子12Mと冷却器21との間には絶縁部材14Mが介在するが、制御端子13と冷却器21との間には絶縁部材14Mが介在しない。複数の制御端子13にそれぞれ絶縁部材14Mを形成するのは作業性が良くない。一方で、制御端子13と主電流端子12Mとに絶縁部材14Mをまとめて形成したり、複数の制御端子13に絶縁部材14Mをまとめて形成すると、絶縁部材13に粉塵が堆積され、主電流端子12Mと制御端子13の間、あるいは、複数の制御端子13間の絶縁性が低下する恐れがある。また、本体11に内在する半導体チップ141で発生する熱は、半導体チップ141を保護する観点より制御端子13から放熱することが好ましい。半導体モジュール10Aは、制御端子13を絶縁材料でコーティングする場合と比較して、制御端子13の表面から放熱できるといった利点がある。
【0045】
また、主電流端子12Mは、側面S1から突出する部分に、絶縁部材14Mを固定する固定部として機能する第1開口部12Mhを備える。この態様によれば、絶縁の対象となる主電流端子12Mに固定部を備えるので、他の部材に固定部を設ける場合と比較して、構成が簡素化される。また、本体11の側面S1に凹部11aを設け、絶縁部材14Mの一方の端部を凹部11aに収納する場合、本体11によって絶縁部材14Mの一方の端部が支持される。加えて、固定部によって絶縁部材14Mを主電流端子12Mに固定することによって、2箇所で絶縁部材14Mが固定される。
【0046】
また、半導体モジュール10Aにおいて、主電流端子12Mに設けられた第1開口部12Mhは固定部の一例であり、絶縁部材14Mには、第2開口部14Mhが設けられている。そして、第1開口部12Mhと第2開口部14Mhとを挿通するボルト41M(螺子の一例)によって、主電流端子12Mと絶縁部材14Mとが固定される。この態様によれば、主電流端子12Mと絶縁部材14Mとを螺子止めできるので、簡易な構成で主電流端子12Mと絶縁部材14Mとが固定される。
【0047】
また、主電流端子12Mは貫通孔40Mhを有するバスバー40Mと絶縁部材14Mとの間に位置し、ボルト41M(螺子の一例)が貫通孔40Mhと第1開口部12Mhと第2開口部14Mhとを挿通することによって、主電流端子12Mの第1面12Uとバスバー40Mとが電気的に接続される。この態様によれば、バスバー40M、主電流端子12M、及び絶縁部材14Mが共締めされるので、バスバー40M及び主電流端子12Mを固定する構成と、絶縁部材14M及び主電流端子12Mとを固定する構成とを兼用できる。
【0048】
また、固定部の一例である第1開口部12Mhは、平面視において冷却器21と重ならない位置に配置されるので、第1開口部12Mhが冷却器21と重なる位置に配置される場合と比較して、主電流端子12Mと冷却器21との間の絶縁性が向上する。とりわけ、ボルト41Mを用いる場合には、ボルト41Mの端部が絶縁部材14Mから突出するので、ボルト41Mと冷却器21との間の絶縁距離を十分確保する必要がある。この態様では、第1開口部12Mhは、平面視において冷却器21と重ならないので、絶縁距離を確保するために冷却器21と主電流端子12Mとを十分離間させる必要が無くなる。この結果、半導体モジュール10Aが小型化される。
【0049】
また、絶縁部材14Mを絶縁紙、絶縁シートあるいは絶縁板で構成するので、絶縁部材14Mを主電流端子12Mへ塗工する場合と比較して、絶縁部材14Mの取り扱いが容易となり、且つ絶縁部材14Mを本体11と一体成形により構成する場合と比較して、本体11の成形を簡便に行える。従って、コストを削減できる。
【0050】
2.第2実施形態
第1実施形態の半導体装置1Aにおいて、主電流端子12P及び12Nは、平板形状をなし、水平面に沿って延在した。これに対して、第2実施形態の半導体装置1Bは、主電流端子12P及び12NがL字型の形状である点、及び冷却器21の替わりに冷却器22を用いる点で相違する。以下相違点を中心に、第2実施形態に係る半導体装置1Bを説明する。
【0051】
図7は、本開示の第2実施形態に係る半導体装置1Bの構成例を示す側面図である。
図8は、制御基板30を除いた半導体装置1Bの平面図である。半導体装置1Bは、主電流端子12P及び主電流端子12Nの形状、並びにバスバー40P及び40Nの配置を除き、
図1及び
図2に示される半導体装置1Aと同様に構成される。
【0052】
図7及び
図8に示されるように、主電流端子12Pは、第1部分P1、第2部分P2、及び第3部分P3を備える。第1部分P1は、本体11に内在する。第2部分P2は、第1部分P1と連結され、本体11の外部に突出する。第3部分P3は、第2部分P2に対して、冷却器21から離れる方向に角度をなす。この例の第3部分P3は、第2部分P2に対して、約90度の角度をなす。そして、第3部分P3に第1開口部12Phが形成される。第1開口部12Phは、絶縁部材14Pを主電流端子12Pに固定する固定部の一例である。
【0053】
絶縁部材14Pは、主電流端子12Pと同様にL字型の形状をしており、主電流端子12Pの第2面12Dに沿って設けられる。ボルト41Pは、絶縁部材14Pの第2開口部14Ph、主電流端子12Pの第1開口部12Ph、及びバスバー40Pの貫通孔40PhをX1方向に挿通し、X2方向に螺子止めされるナット42Pを用いて固定される。
【0054】
図8に示されるように、冷却器22を平面視した場合、主電流端子12Pのうち、本体11の外部に位置する部分は、冷却器22と重なる。また、上記平面視において、上記部分は絶縁部材14Pと重なる。更に、上記平面視において第1開口部12Phは冷却器22と重なる。第1実施形態の主電流端子12Pは、XY面に沿って設けられたので、ボルト41Pから底面Dを含む平面までの距離が短い。このため、平面視において第1開口部12Phと冷却器21とが重ならないように、主電流端子12Pが配置された(
図1参照)。一方、半導体装置1Bにおいて、主電流端子12Pの第3部分P3は、第2部分P2に対して、冷却器21から離れる方向に角度をなす。従って、ボルト41Pに対応する第1開口部12Phは、上記平面視において、冷却器22と重なっても、ボルト41Pと冷却器21との間の絶縁距離を十分確保できる。この結果、半導体装置1Bは、冷却器21よりも大型の冷却器22を用いることができるので、本体11を効率的に冷却できる。
【0055】
次に、絶縁部材14Pを主電流端子12Pに固定する他の構成例1を説明する。
図9Aは、絶縁部材14Pを主電流端子12Pに固定する他の構成例1を示す側面図である。同図に示されるように、絶縁部材14Pの主電流端子12Pへの固定は、主電流端子12Pをバスバー40Pへ固定する箇所と異なる固定箇所Pでなされる。主電流端子12Pとバスバー40Pとの固定は、上述したボルト41Pとナット42Pが用いられる。なお絶縁部材14Pは、第1実施形態と同様に、例えば、絶縁紙によって構成される
【0056】
図9Bは、
図9Aに示される固定箇所PをX2方向に側面視した側面図であり、
図9Cは、
図9Bに示される線B-B’で固定箇所Pを切断した断面図である。
図9B及び
図9Cに示されるように、主電流端子12Pの第3部分P3には、開口部12hが設けられている。開口部12hは、側面視において長方形の形状である。一方、絶縁部材14Pは、主電流端子12Pと接触する面からX1方向に突出する凸部401を有する。この例の凸部401は、直方体の形状をしている。開口部12hには絶縁部材14Pの凸部401が挿入される。これにより、絶縁部材14Pが主電流端子12Pに固定される。この例では、主電流端子12Pと接触する面から凸部401の端部までに高さは、主電流端子12Pの厚さと略一致させたが、凸部401の高さを主電流端子12Pの厚さ以上としてよい。この場合、
図9Bに示される開口部12hから凸部401がX1方向に突出するが、凸部401のうち突出した部分は折り曲げてもよい。また、絶縁部材14Pの端部に気切れ込みを2箇所設け、切込み部分をX1方向に折り曲げることによって、凸部401が構成されてよい。
【0057】
このように他の構成例1では、開口部12hに絶縁部材14Pが挿入されることにより絶縁部材14Pと主電流端子12Pとを固定できる。従って、構成例1では、絶縁部材14Pに開口部12hを形成し、絶縁部材14Pの端部に凸部401を設ければよいので、既存の構造を大幅に変更することなく、絶縁性が向上する。
【0058】
次に、他の構成例2について説明する。他の構成例2も
図9Aに示される他の構成例1と同様に固定箇所Pが、主電流端子12Pをバスバー40Pへ固定する箇所と異なる。
図10Aは、他の構成例2が適用される
図9Aに示される固定箇所PをX2方向に側面視した側面図である。
図10Bは、
図10Aに示される線C-C’で固定箇所Pを切断した断面図である。
図10A及び
図10Bに示されるように、主電流端子12Pの第3部分P3には、凹部12dが設けられている。凹部12dの外縁は、側面視において長方形の形状である。一方、絶縁部材14Pは、主電流端子12Pと接触する面からX1方向に突出する突起部402を有する。この例の突起部402は、鉤形状をなす。凹部12dに突起部402が挿入されることによって、主電流端子12Pの凹部12dと絶縁部材14Pの突起部402とが連結する。なお、絶縁部材14Pに凹部を設ける一方、主電流端子12Pに突起部を設け、絶縁部材14Pに凹部に主電流端子12Pに突起部を嵌め込むことによって、絶縁部材14Pと主電流端子12Pとを連結してもよい。
【0059】
このように構成例2では、凹部12dに突起部402を嵌め込まれることにより絶縁部材14Pと主電流端子12Pとを固定できる。従って、構成例2では、絶縁部材14Pに凹部12dを形成し、絶縁部材14Pの端部に突起部402を設ければよいので、既存の構造を大幅に変更することなく、絶縁性が向上する。
【0060】
3.第3実施形態
上述した第1実施形態及び第2実施形態では、主電流端子12P、12M、及び12Nの第2面12Dに、絶縁部材14P、14M、及び14Nを設けることによって、主電流端子12P、12M、及び12Nと冷却器21又は22との間の絶縁を確保した。これに対して、第3実施形態の半導体装置1Cは、底面Dと接する冷却器23の面に絶縁部材100を設ける点で、半導体装置1A及び1Bと相違する、以下、相違点を中心に説明する。
【0061】
図11は、本開示の第3実施形態に係る半導体装置1Cの構成例を示す分解側面図である。同図においてバスバー40M及び40Pは省略されている。
図12は、制御基板30を除いた半導体装置1Cの平面図である。半導体装置1Cは、絶縁部材14P、14M、及び14Nを除いた点、本体11の側面S1に凹部11aを形成しない点、絶縁部材100を設ける点、及び冷却器21の替わりに冷却器23を用いる点を除いて、第1実施形態の半導体装置1Aと同様に構成される。
【0062】
図11に示される絶縁部材100は、平板形状をなし、中央部に開口部Hを備える。絶縁部材100は、冷却器23と接触する下面と、下面の反対側の面である上面を備える。絶縁部材100の下面にはZ2方向に突出する凸部101及び102が設けられる。凸部101及び102は、絶縁部材100を冷却器23に取り付けるための位置決めに用いられる。
【0063】
冷却器23は、絶縁部材100と接触する接触面に、凹部231及び232が形成される。凹部231及び232は、1対1に凸部101及び102に対応する。凹部231及び232の底面は平面である。凹部231及び232の深さは、凸部101及び102の高さよりも小さい。従って、絶縁部材100の凸部101及び102が冷却器23の凹部231及び232に挿入されるように組み立てた場合、冷却器23の接触面と絶縁部材100の下面が接触する。
【0064】
半導体装置1Cの組み立て工程では、第1に、接着剤を用いて冷却器23に絶縁部材100を固定する。第2に、開口部Hに接着剤を流し込む。第3に、開口部Hに本体11を載置することによって、本体11を冷却器23に固定する。
図12に示されるように、本体11を平面視した場合、主電流端子12P、12M及び12Nは、冷却器23と重なる領域において絶縁部材100と重なる。即ち、冷却器23と主電流端子12P、12M及び12Nとの間には、絶縁部材100が位置する。よって、冷却器23と主電流端子12P、12M及び12Nとの間の絶縁を確保できる。更に、開口部Hに本体11を収容するので、絶縁部材100は、冷却器23と本体11とを位置決めすることができる。このように絶縁部材100は、絶縁性を確保する機能と位置決め機能を兼用するので、半導体装置1Cの個性を簡素化しつつ、絶縁性の向上が図られる。
【0065】
4.変形例
本開示は、上述した第1乃至第3実施形態に限定されるものではなく、以下に述べる各種の変形が可能である。また、各種の変形及び各実施形態を適宜組み合わせてもよいことは、勿論である。
【0066】
(1)変形例1
上述した第1実施形態及び第2実施形態では、主電流端子12Pに対応する絶縁部材14Pと、主電流端子12Nに対応する絶縁部材14Nとを独立して設けたが、本開示はこれに限定されない。
【0067】
図13は変形例1に係る半導体装置1Dの平面図である。半導体装置1Dは、半導体モジュール10Aの替わりに半導体モジュール10Dを用いる点で、第1実施形態の半導体装置1Aと相違する。
【0068】
半導体モジュール10Dは、絶縁部材14P及び14Nの替わりに絶縁部材14PNを用いる点、並びに絶縁部材14Mの替わりに絶縁部材14Wを用いる点を除いて、第1実施形態の半導体モジュール10Aと同様に構成される。
【0069】
図13に示される主電流端子12Nは、本体11に収納される第1RC-IGBTのエミッター電極E1に接続される(
図4参照)。主電流端子12Pは、本体11に収納される第2RC-IGBTのコレクター電極に接続される。第1RC-IGBTは第1パワー半導体素子の一例であり、第2RC-IGBTは第1パワー半導体素子の一例である。また、エミッター電極E1及びコレクター電極は、主電流電極の一例である。
【0070】
主電流端子12Nは、第1面と第1面の反対側の面である第2面を有する。第2面は第1面よりも冷却器21に近い。主電流端子12Pは、第3面と第3面の反対側の面である第4面を有する。第4面は第3面よりも冷却器21に近い。
【0071】
主電流端子12N及び12Pは、本体11の側面S2から外部に突出する。主電流端子12Nの第1面と、主電流端子12Pの第3面とは、絶縁部材14PNによって覆われていない。第1RC-IGBTで発生する熱は、主電流端子12Nの第1面から放熱され、第2RC-IGBTで発生する熱は、主電流端子12Pの第3面から放熱される。
【0072】
また、絶縁部材14PNの端部は、側面S2に設けられた凹部に収納される。絶縁部材14PNは、本体11の側面S2からX2方向に突出する。絶縁部材14PNの一部は、主電流端子12Nの第2面と冷却器21との間に位置し、且つ主電流端子12Pの第3面と冷却器21との間に位置する。絶縁部材14PNを平面視した場合、主電流端子12Pのうち本体11から突出する部分及び主電流端子12Nのうち本体11から突出する部分は、絶縁部材14PNが本体11から突出する部分と重なる。従って、1つの絶縁部材14PNを用いることによって、主電流端子12P及び12Nと冷却器21との間を良好に絶縁できる。
【0073】
また、絶縁部材14Wの端部は、側面S1に設けられた凹部に収納される。絶縁部材14Wは、本体11の側面S1からX1方向に突出する。絶縁部材14Wを平面視した場合、主電流端子12Mのうち本体11から突出する部分及び制御端子13のうち本体11から突出する部分は、絶縁部材14Wが本体11から突出する部分と重なる。従って、1つの絶縁部材14Wを用いることによって、主電流端子12M及び複数の制御端子13と冷却器21との間を良好に絶縁できる。
【0074】
以上、説明したように半導体装置1Dは、2つの主電流端子12P及び12Nを、1つの絶縁部材14PNを用いることによって、冷却器21と絶縁したので、半導体装置1Dの構成が簡素化される。また、半導体装置1Dは、主電流端子12M及び複数の制御端子13を、1つの絶縁部材14Wを用いることによって、冷却器21と絶縁したので、半導体装置1Dの構成が簡素化される。
【0075】
(2)変形例2
上述した各実施形態及び変形例1では、1つの半導体モジュールに1つの冷却器を設けたが、本開示はこれに限定されず、複数の半導体モジュールに1つの冷却器を設けてもよい。
図14は、変形例2に係る半導体装置1Eの構成例を示す平面図である。半導体装置1Eは、例えば、電気自動車等に用いられる三相の交流電動機を駆動するインバータに用いられる。
【0076】
図14に示されるように、半導体装置1Eは、半導体モジュールM1、M2、及びM3、冷却器24、U相用のバスバー40M_U、V相用のバスバー40M_V、W相用のバスバー40M_W、バスバー40N、及び40P、並びに絶縁シート200を備える。
【0077】
半導体モジュールM1、M2、及びM3は、変形例1の半導体モジュール10Dと同一の構成である。半導体モジュールM1、M2、及びM3の主電流端子12Mは、1対1にバスバー40M_U、バスバー40M_V、及びバスバー40M_Wと接続される。
【0078】
バスバー40Nは、半導体モジュールM1、M2、及びM3の主電流端子12Nと接続される。バスバー40Pは、半導体モジュールM1、M2、及びM3の主電流端子12Pと接続される。バスバー40Nとバスバー40Pとの間に絶縁シート200が配置される。絶縁シート200よって、バスバー40Nとバスバー40Pとの間が絶縁される。半導体モジュールM1、M2、及びM3は、接着剤を用いて、冷却器24と固定される。
【0079】
半導体装置1Eは、3個の半導体モジュールM1~M3に共通のバスバー40N及び40Pを備え、3個の半導体モジュールM1~M3に共通の冷却器24を備えるので、個別の構成要素を用いる場合と比較して、半導体装置1Eの構成を簡素化できる。
【符号の説明】
【0080】
1A,1B,1C,1D,1E…半導体装置、10A,10D,M1,M2,M3…半導体モジュール、11…本体、11a,11b…凹部、12U…第1面、12D…第2面、12M,12N,12P…主電流端子、13…制御端子、12Mh,12Ph…第1開口部、12h…開口部、14W,14M,14N,14P,14PN…絶縁部材、14Mh,14Ph…第2開口部、21,22,23,24…冷却器、40M,40M_U,40M_V,40M_W,40N,40P…バスバー、40Mh,40Ph…貫通孔、D…底面、P1…第1部分、P2…第2部分、P3…第3部分、S1,S2…側面。